説明

リチウム二次電池用非水電解液

【課題】サイクル特性の優れたリチウム二次電池を製造するために有利に用いることのできる非水電解液を提供する。
【解決手段】非水溶媒に電解質塩が溶解されているリチウム二次電池用非水電解液において、該非水電解液中にさらに、0.01〜10重量%のビニレンカーボネート化合物および0.01〜10重量%のアルキン化合物を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたサイクル特性を示すリチウム二次電池、そしてそのようなサイクル特性に優れたリチウム二次電池の製造に有用な非水電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池は小型電子機器などの駆動用電源として広く使用されている。リチウム二次電池は、基本的に、密閉容器内に収容された正極、負極、及び非水電解液から構成されており、特に、LiCoOなどのリチウム複合酸化物を正極材料とし、炭素材料又はリチウム金属を負極材料としたリチウム二次電池が好適に使用されている。そして、そのリチウム二次電池用の非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が好適に使用されている。
【0003】
近年、電池のサイクル特性および電気容量などの電池特性について、さらに優れた特性を有するリチウム二次電池が求められている。
【0004】
すなわち、正極材料として、例えばLiCoO、LiMn、LiNiOなどのリチウム複合酸化物を用いたリチウム二次電池では、非水電解液中の溶媒の一部が充電時に局部的に酸化分解することにより、該分解物が電池の望ましい電気化学的反応を阻害する結果となり、電池性能の低下を生じる。これは正極材料と非水電解液との界面における溶媒の電気化学的酸化に起因するものと理解されている。
【0005】
また、負極として例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの高結晶化した炭素材料を用いたリチウム二次電池では、非水電解液中の溶媒の一部が充電時に負極表面で還元分解される。特に、非水電解液溶媒として一般に広く使用されているエチレンカーボネート(EC)においても充放電を繰り返す間に、その一部が還元分解を起こし、電池性能が低下する。
【0006】
特許文献1と2には、リチウム二次電池の電池特性を向上させるために、非水電解液にビニレンカーボネート化合物を添加することが推奨されている。そして、このようなビニレンカーボネート化合物を添加した電解液では、サイクル寿命が向上することが示されている。
【0007】
特許文献3〜7には、リチウム二次電池の電池特性を向上させるために、非水電解液にアルキン化合物を添加することが推奨されている。そして、このようなアルキン化合物を添加した電解液では、サイクル寿命が向上することが示されている。
【0008】
近年、リチウム二次電池の高容量化のために、正極の合剤層や負極の合剤層の密度を高くすることが検討されている。特許文献8には、アルミニウム箔上に形成される正極合剤層の密度を3.3〜3.7g/cmとし、銅箔上に形成される負極合剤層の密度を1.4〜1.8g/cmとすることにより、高エネルギー密度で、安全性が高く、高温雰囲気での保存に適したリチウム二次電池が得られる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−45545号公報
【特許文献2】米国特許第5626981号
【特許文献3】特開2000−195545号公報
【特許文献4】特開2001−313072号公報
【特許文献5】米国特許第6479191/B1号
【特許文献6】特開2002−100399号公報
【特許文献7】特開2002−124297号公報
【特許文献8】特開2003−142075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の各種の特許文献の記載から明らかなように、リチウム二次電池の非水電解液にビニレンカーボネート化合物あるいはアルキン化合物などの添加剤を添加することによりサイクル特性などの電池性能が向上する。
【0011】
従来の比較的低密度の正極合剤層と負極合剤層を用いたリチウム二次電池では、これまでに知られているように、非水電解液にビニレンカーボネート化合物あるいはアルキン化合物などの添加剤を添加することによりサイクル特性などの電池性能が向上する。しかし、本発明者の研究によると、近年研究されている高密度の正極合剤層と負極合剤層を用いたリチウム二次電池では、これらの添加剤を添加した非水電解液を用いても、サイクル特性(多数回の繰り返し充電・放電操作の後でも、高い放電容量が維持される特性)が向上せず、またさらに、電池内の電解液が分解して、電解液の不足(液枯れ)が発生することが判明した。
【0012】
本発明は、上記のようなリチウム二次電池用非水電解液に関する課題を解決する非水電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、非水溶媒に電解質塩が溶解されているリチウム二次電池用非水電解液において、該非水電解液中に0.01〜10重量%の下記式(I)で表わされるビニレンカーボネート化合物:
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、RとRとはそれぞれ独立して、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす)
及び0.01〜10重量%の下記式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)あるいは(VII)のいずれかで表わされる少なくとも一種のアルキン化合物:
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、RとRは、互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;そしてYは、−COOR20、−COR20または−SO20を表わす;ただし、R20は、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、RとRそしてRとRはそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Yは、−COOR21、−COR21または−SO21を表わし;Yは、−COOR22、−COR22または−SO22を表わす;ただし、R21およびR22は互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【0020】
【化4】

【0021】
[式中、R10〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、R10とR11そしてR12とR13はそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Yは、−COOR23、−COR23または−SO23を表わし;Yは、−COOR24、−COR24または−SO24を表わす;ただし、R23およびR24は互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【0022】
【化5】

【0023】
[式中、R14〜R19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、R15とR16そしてR17とR18はそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わす]
【0024】
【化6】

【0025】
[式中、R25、R26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、または炭素原子数7〜12のアラルキル基を表わし;ただし、R26とR27とは互いに結合して、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Wはスルホキシド基、スルホン基、もしくはオギザリル基を表わし;Yは、炭素原子数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基または炭素原子数7〜12のアラルキル基を表わす]
【0026】
【化7】

【0027】
[式中、R28は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基を表わし;R29は、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わし;そしてpは1または2を表わす]
が含有されていることを特徴とする非水電解液にある。
【0028】
本発明の特定量のビニレンカーボネート化合物と特定量のアルキン化合物とを共に含有する非水電解液を、正極合剤層と負極合剤層の密度を高めて、高容量としたリチウム二次電池に使用した場合には、液枯れの現象が起きることなく、しかもサイクル特性が向上す
る。この作用効果については明らかではないが、ビニレンカーボネート化合物とアルキン化合物とを併用することにより、強固な被膜が負極上に形成されるものと推定される。この本発明の非水電解液の使用によるサイクル特性の向上は、従来の比較的低密度の正極合剤層と負極合剤層とを用いるリチウム二次電池でも有効に機能する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の非水電解液を用いることにより、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。本発明の非水電解液は、高密度の正極合剤層や負極合剤層を用いる高エネルギー(すなわち、放電容量が大きい)リチウム二次電池のサイクル特性の向上に特に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明で用いる前記式(I)のビニレンカーボネート化合物において、RとRは、それぞれ独立して水素原子、あるいはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。これらの基は、全てがメチル基またはエチル基だけのように同一であってもよく、また、メチル基とエチル基のように異なった置換基の組合せであっても良い。
【0031】
前記式(I)で表されるビニレンカーボネート化合物の具体例としては、ビニレンカーボネート、3−メチルビニレンカーボネート、3−エチルビニレンカーボネート、3−プロピルビニレンカーボネート、3−ブチルビニレンカーボネート、3−tert−ブチルビニレンカーボネート、3,4−ジメチルビニレンカーボネート、3,4−ジエチルビニレンカーボネート、3,4−ジプロピルビニレンカーボネート、3,4−ジブチルビニレンカーボネート、3,4−ジ−tert−ブチルビニレンカーボネート、3−エチル−4−メチルビニレンカーボネート、3−メチル−4−ブチルビニレンカーボネート、3−メチル−4−tert−ブチルビニレンカーボネートなどが挙げられ、特にビニレンカーボネートが最も好ましい。
【0032】
非水電解液中に含有される式(I)で表されるビニレンカーボネート化合物の含有量は、過度に多いと電池性能が低下することがあり、また、過度に少ないと期待した十分な電池性能が得られない。ビニレンカーボネート化合物の含有量は非水電解液の重量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上が最も好ましい。そして、ビニレンカーボネート化合物の含有量は非水電解液の重量に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が最も好ましい。従って、ビニレンカーボネート化合物の含有量は非水電解液の重量に対して、0.01〜10重量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜5重量%の範囲にあることがより好ましく、そして0.1〜3重量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0033】
次に、本発明において、ビニレンカーボネート化合物と併用されるアルキン化合物について詳しく説明する。
【0034】
前記式(II)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
【0035】
(1)Y=−COOR20の場合
2−プロピニルメチルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
1−メチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
2−プロピニルエチルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=エチル、x=1〕、
2−プロピニルプロピルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=プロピル、x=1〕、
2−プロピニルブチルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=ブチル、x=1〕、
2−プロピニルフェニルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=フェニル、x=1〕、
2−プロピニルシクロヘキシルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=シクロヘキシル、x=1〕、
2−ブチニルメチルカーボネート〔R=メチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
3−ブチニルメチルカーボネート〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=2〕、
2−ペンチニルメチルカーボネート〔R=エチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
1−メチル−2−ブチニルメチルカーボネート〔R=R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
1,1−ジメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−ジエチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=R=エチル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−エチルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=エチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−イソブチルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=イソブチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−ジメチル−2−ブチニルメチルカーボネート〔R=R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
1−エチニルシクロヘキシルメチルカーボネート〔R=水素、RとRとが結合=ペンタメチレン、R20=メチル、x=1〕、
1,1−フェニルメチル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=フェニル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−ジフェニル−2−プロピニルメチルカーボネート〔R=水素、R=R=フェニル、R20=メチル、x=1〕、
1,1−ジメチル−2−プロピニルエチルカーボネート〔R=水素、R=R=メチル、R20=エチル、x=1〕。
【0036】
(2)Y=−COR20の場合
ギ酸2−プロピニル〔R=R=R=R20=水素、x=1〕、
ギ酸1−メチル−2−プロピニル〔R=水素、R=メチル、R=水素、R20=水素、x=1〕、
酢酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1−メチル−2−プロピニル〔R=水素、R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
プロピオン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=エチル、x=1〕、
酪酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=プロピル、x=1〕、
安息香酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=フェニル、x=1〕、
シクロヘキシルカルボン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=シクロヘキシル、x=1〕、
ギ酸2−ブチニル〔R=メチル、R=R=R20=水素、x=1〕、
ギ酸3−ブチニル〔R=R=R=R20=水素、x=2〕、
ギ酸2−ペンチニル〔R=エチル、R=R=R20=水素、x=1〕、
ギ酸1−メチル−2−ブチニル〔R=R=メチル、R=R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=メチル、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−ジエチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=エチル、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−エチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=エチル、R=メチル、R20=ギ酸、x=1〕、
ギ酸1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=イソブチル、R=メチル、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−ジメチル−2−ブチニル〔R=R=R=メチル、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1−エチニルシクロヘキシル〔R=水素、RとRとが結合=ペンタメチレン、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−フェニルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=フェニル、R=メチル、R20=水素、x=1〕、
ギ酸1,1−ジフェニル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=フェニル、R20=水素、x=1〕、
酢酸2−ブチニル〔R=メチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
酢酸3−ブチニル〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=2〕、
酢酸2−ペンチニル〔R=エチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1−メチル−2−ブチニル〔R=R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−ジエチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=エチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−エチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=エチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=イソブチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−ジメチル−2−ブチニル〔R=R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1−エチニルシクロヘキシル〔R=水素、RとRとが結合=ペンタメチレン、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−フェニルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=フェニル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
酢酸1,1−ジフェニル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=フェニル、R20=メチル、x=1〕、
プロピオン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=メチル、R20=エチル、x=1〕。
【0037】
(3)Y=−SO20の場合
メタンスルホン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1−メチル−2−プロピニル〔R=水素、R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
エタンスルホン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=エチル、x=1〕、
プロパンスルホン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=プロピル、x
=1〕、
p−トルエンスルホン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=p−トリル、x=1〕、
シクロヘキシルスルホン酸2−プロピニル〔R=R=R=水素、R20=シクロヘキシル、x=1〕、
メタンスルホン酸2−ブチニル〔R=メチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸3−ブチニル〔R=R=R=水素、R20=メチル、x=2〕、
メタンスルホン酸2−ペンチニル〔R=エチル、R=R=水素、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1−メチル−2−ブチニル〔R=R=メチル、R=水素、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−ジエチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=エチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−エチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=エチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=イソブチル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−ブチニル〔R=R=R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1−エチニルシクロヘキシル〔R=水素、RとRとが結合=ペンタメチレン、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−フェニルメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=フェニル、R=メチル、R20=メチル、x=1〕、
メタンスルホン酸1,1−ジフェニル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=フェニル、R20=メチル、x=1〕、
エタンスルホン酸1,1−ジメチル−2−プロピニル〔R=水素、R=R=メチル、R20=エチル、x=1〕。
【0038】
前記式(III)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
【0039】
(1)Y=−COOR21およびY=−COOR22の場合
2−ブチン−1,4−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=R=R
水素、R21=R22=メチル、x=1〕、
2−ブチン−1,4−ジオール ジエチルジカーボネート〔R=R=R=R
水素、R21=R22=エチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメチルジカーボネート〔R=R=メチル、R
=R=水素、R21=R22=メチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエチルジカーボネート〔R=R=メチル、R
=R=水素、R21=R22=エチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメチルジカーボネート〔R
=R=R=R=メチル、R21=R22=メチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエチルジカーボネート〔R
=R=R=R=メチル、R21=R22=エチル、x=1〕。
【0040】
(2)Y=−COR21およびY=−COR22の場合
2−ブチン−1,4−ジオール ジホルメート〔R=R=R=R=R21=R
22=水素、x=1〕、
2−ブチン−1,4−ジオール ジアセテート〔R=R=R=R=水素、R
=R22=メチル、x=1〕、
2−ブチン−1,4−ジオール ジプロピオネート〔R=R=R=R=水素、
21=R22=エチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジホルメート〔R=R=メチル、R=R
21=R22=水素、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジアセテート〔R=R=メチル、R=R
水素、R21=R22=メチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジプロピオネート〔R=R=メチル、R=R
=水素、R21=R22=エチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジホルメート〔R=R=R
=R=メチル、R21=R22=水素、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジアセテート〔R=R=R
=R=メチル、R21=R22=メチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジプロピオネート〔R=R
=R=R=メチル、R21=R22=エチル、x=1〕。
【0041】
(3)Y=−SO21およびY=−SO22の場合
2−ブチン−1,4−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=R=R=水
素、R21=R22=メチル、x=1〕、
2−ブチン−1,4−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=R=R=水
素、R21=R22=エチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメタンスルホネート〔R=R=メチル、R
=R=水素、R21=R22=メチル、x=1〕、
3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエタンスルホネート〔R=R=メチル、R
=R=水素、R21=R22=エチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジメタンスルホネート〔R
=R=R=メチル、R21=R22=メチル、x=1〕、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール ジエタンスルホネート〔R
=R=R=メチル、R21=R22=エチル、x=1〕。
【0042】
前記式(IV)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
【0043】
(1)Y=−COOR23およびY=−COOR24の場合
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメチルジカーボネート〔R10=R11
=R12=R13=水素、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジエチルジカーボネート〔R10=R11
=R12=R13=水素、R23=R24=エチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジメチルジカーボネー
ト〔R10=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジエチルジカーボネー
ト〔R10=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=エチル、x=1〕。
【0044】
(2)Y=−COR23およびY=−COR24の場合
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジホルメート〔R10=R11=R12
13=R23=R24=水素、x=1〕、
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジアセテート〔R10=R11=R12
13=水素、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジプロピオネート〔R10=R11=R
=R13=水素、R23=R24=エチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジホルメート〔R10
=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=水素、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジアセテート〔R10
=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジプロピオネート〔R
10=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=エチル、x=1〕。
【0045】
(3)Y=−SO23およびY=−SO24の場合
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメタンスルホネート〔R10=R11
12=R13=水素、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジエタンスルホネート〔R10=R11
12=R13=水素、R23=R24=エチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジメタンスルホネート
〔R10=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=メチル、x=1〕、
2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール ジエタンスルホネート
〔R10=R11=R12=R13=メチル、R23=R24=エチル、x=1〕。
【0046】
前記式(V)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
ジプロパルギルカーボネート〔R14=R15=R16=R17=R18=R19=水素、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−プロピニル)カーボネート〔R14=R16=R18=R19=水素、R15=R17=メチル、x=1〕、
ジ(2−ブチニル)カーボネート〔R14=R19=メチル、R15=R16=R17=R18=水素、x=1〕、
ジ(3−ブチニル)カーボネート〔R14=R15=R16=R17=R18=R19=水素、x=2〕、
ジ(2−ペンチニル)カーボネート〔R14=R19=エチル、R15=R16=R17=R18=水素、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−ブチニル)カーボネート〔R14=R15=R16=R19=メチル、R17=R18=水素、x=1〕、
2−プロピニル 2−ブチニルカーボネート〔R14=R15=R16=R17=R
=水素、R19=メチル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R14=R19=水素、R15=R16=R17=R18=メチル、x=1〕、
ジ(1,1−ジエチル−2−プロピニル)カーボネート〔R14=R19=水素、R15=R16=R17=R18=エチル、x=1〕、
ジ(1,1−エチルメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R14=R19=水素、R15=R17=エチル、R16=R18メチル、x=1〕、
ジ(1,1−イソブチルメチル−2−プロピニル)カーボネート〔R14=R19=水素、R15=R17=イソブチル、R16=R18=メチル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)カーボネート〔R14=R15=R16=R17=R18=R19=メチル、x=1〕、
ジ(1−エチニルシクロヘキシル)カーボネート〔R14=R19=水素、R15とR16とが結合=ペンタメチレン、R17=R18とが結合=ペンタメチレン、x=1〕。
【0047】
前記式(VI)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げること
ができる。
【0048】
(1)Wがスルホキシド基の場合
ジ(2−プロピニル)サルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y=2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=メチル、R27=水素、Y=1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(2−ブチニル)サルファイト〔R25=メチル、R26=R27=水素、Y=2−ブチニル、x=1〕、
ジ(3−ブチニル)サルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y=3−ブチニル、x=2〕、
ジ(2−ペンチニル)サルファイト〔R25=エチル、R26=R27=水素、Y=2−ペンチニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−ブチニル)サルファイト〔R25=R26=メチル、R27=水素、Y=1−メチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジエチル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=R27=エチル、Y=1,1−ジエチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−エチル−1−メチル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=エチル、R27=メチル、Y=1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−イソブチル−1−メチル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=イソブチル、R27=メチル、Y=1−イソブチル−1−メチル−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)サルファイト〔R25=R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1−エチニルシクロヘキシル)サルファイト〔R25=水素、R26とR27とが結合=ペンタメチレン、Y=1−エチニルシクロヘキシル、x=1〕、
ジ(1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=フェニル、R27=メチル、Y=1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジフェニル−2−プロピニル)サルファイト〔R25=水素、R26=R27=フェニル、Y=1,1−ジフェニル−2−プロピニル、x=1〕、
メチル 2−プロピニルサルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y=メチル
、x=1〕、
メチル 1−メチル−2−プロピニルサルファイト〔R25=水素、R26=メチル、
27=水素、Y=メチル、x=1〕、
エチル 2−プロピニルサルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y=エチル
、x=1〕、
フェニル 2−プロピニルサルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y=フェ
ニル、x=1〕、
シクロヘキシル 2−プロピニルサルファイト〔R25=R26=R27=水素、Y
=シクロヘキシル、x=1〕。
【0049】
(2)Wがスルホン基の場合
ジ(2−プロピニル)サルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y=2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=メチル、R27=水素、Y=1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(2−ブチニル)サルフェート〔R25=メチル、R26=R27=水素、Y=2−ブチニル、x=1〕、
ジ(3−ブチニル)サルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y=3−ブチニル、x=2〕、
ジ(2−ペンチニル)サルフェート〔R25=エチル、R26=R27=水素、Y=2−ペンチニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−ブチニル)サルフェート〔R25=R26=メチル、R27=水素、Y=1−メチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジエチル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=R27=エチル、Y=1,1−ジエチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−エチル−1−メチル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=エチル、R27=メチル、Y=1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−イソブチル−1−メチル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=イソブチル、R27=メチル、Y=1−イソブチル−1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)サルフェート〔R25=R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1−エチニルシクロヘキシル)サルフェート〔R25=水素、R26とR27とが結合=ペンタメチレン、Y=1−エチニルシクロヘキシル、x=1〕、
ジ(1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=フェニル、R27=メチル、Y=1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジフェニル−2−プロピニル)サルフェート〔R25=水素、R26=R27=フェニル、Y=1,1−ジフェニル−2−プロピニル、x=1〕、
メチル 2−プロピニルサルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y=メチル
、x=1〕、
メチル 1−メチル−2−プロピニルサルフェート〔R25=水素、R26=メチル、
27=水素、Y=メチル、x=1〕、
エチル 2−プロピニルサルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y=エチル
、x=1〕、
フェニル 2−プロピニルサルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y=フェ
ニル、x=1〕、
シクロヘキシル 2−プロピニルサルフェート〔R25=R26=R27=水素、Y
=シクロヘキシル、x=1〕。
【0050】
(3)Wがオギザリルの場合
ジ(2−プロピニル)オギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y=2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=メチル、R27=水素、Y=1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(2−ブチニル)オギザレート〔R25=メチル、R26=R27=水素、Y=2−ブチニル、x=1〕、
ジ(3−ブチニル)オギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y=3−ブチニル、x=2〕、
ジ(2−ペンチニル)オギザレート〔R25=エチル、R26=R27=水素、Y=2−ペンチニル、x=1〕、
ジ(1−メチル−2−ブチニル)オギザレート〔R25=R26=メチル、R27=水
素、Y=1−メチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジエチル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=R27=エチル、Y=1,1−ジエチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−エチル−1−メチル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=エチル、R27=メチル、Y=1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1−イソブチル−1−メチル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=イソブチル、R27=メチル、Y=1−イソブチル−1−メチル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジメチル−2−ブチニル)オギザレート〔R25=R26=R27=メチル、Y=1,1−ジメチル−2−ブチニル、x=1〕、
ジ(1−エチニルシクロヘキシル)オギザレート〔R25=水素、R26とR27が結合=ペンタメチレン基、Y=1−エチニルシクロヘキシル、x=1〕、
ジ(1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=フェニル、R27=メチル、Y=1−メチル−1−フェニル−2−プロピニル、x=1〕、
ジ(1,1−ジフェニル−2−プロピニル)オギザレート〔R25=水素、R26=R27=フェニル、Y=1,1−ジフェニル−2−プロピニル、x=1〕、
メチル 2−プロピニルオギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y=メチル
、x=1〕、
メチル 1−メチル−2−プロピニルオギザレート〔R25=水素、R26=メチル、
27=水素、Y=メチル、x=1〕、
エチル 2−プロピニルオギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y=エチル
、x=1〕、
フェニル 2−プロピニルオギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y=フェ
ニル、x=1〕、
シクロヘキシル 2−プロピニルオギザレート〔R25=R26=R27=水素、Y
=シクロヘキシル、x=1〕。
【0051】
前記式(VII)で表されるアルキン化合物の具体例としては下記の化合物を挙げることができる。
2−ペンチン〔R28=メチル、R29=エチル、p=1〕、
1−ヘキシン〔R28=ブチル、R29=水素、p=1〕、
2−ヘキシン〔R28=プロピル、R29=メチル、p=1〕、
3−ヘキシン〔R28=R29=エチル、p=1〕、
1−ヘプチン〔R28=ペンチル、R29=水素、p=1〕、
1−オクチン〔R28=ヘキシル、R29=水素、p=1〕、
2−オクチン〔R28=メチル、R29=ペンチル、p=1〕、
4−オクチン〔R28=R29=プロピル、p=1〕、
1−デシン〔R28=オクチル、R29=水素、p=1〕、
1−ドデシン〔R28=デシル、R29=水素、p=1〕、
フェニルアセチレン〔R28=フェニル、R29=水素、p=1〕、
1−フェニル−1−プロピン〔R28=フェニル、R29=メチル、p=1〕、
1−フェニル−1−ブチン〔R28=フェニル、R29=エチル、p=1〕、
1−フェニル−1−ペンチン〔R28=フェニル、R29=プロピル、p=1〕、
1−フェニル−1−ヘキシン〔R28=フェニル、R29=ブチル、p=1〕、
ジフェニルアセチレン〔R28=R29=フェニル、p=1〕、
4−エチニルトルエン〔R28=p−トリル、R29=水素、p=1〕、
4−tert−ブチルフェニルアセチレン〔R28=4−tert−ブチルフェニル、R29=水素、p=1〕、
1−エチニル−4−フルオロベンゼン〔R28=p−フルオロフェニル、R29=水素、p=1〕、
1,4−ジエチニルベンゼン〔R28=p−エチニルフェニル、R29=水素、p=1〕、
ジシクロヘキシルアセチレン〔R28=R29=シクロヘキシル、p=1〕、
1,4−ジ フェニルブタジイン〔R28=R29=フェニル、p=2〕。
【0052】
非水電解液中における本発明で用いるアルキン化合物の含有量は、過度に多いと、電解液の電導度などが変わり電池性能が低下することがあるため、電解液の重量に対して10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が最も好ましい。また、過度に少ないと、十分な被膜が形成されず、期待した電池特性が得られないので、電解液の重量に対して0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上が最も好ましい。従って、アルキン化合物の含有量は非水電解液の重量に対して、0.01〜10重量%の範囲にあることが好ましく、0.05〜5重量%の範囲にあることがより好ましく、そして0.1〜3重量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0053】
本発明の非水電解液で使用される非水溶媒の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)などの環状カーボネート類や、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)、α−アンゲリカラクトン(AGL)などのラクトン類、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルブチルカーボネート(MBC)、ジブチルカーボネート(DBC)などの鎖状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、アジポニトリルなどのニトリル類、プロピオン酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸ブチル、ピバリン酸オクチルなどの鎖状エステル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、リン酸トリメチルやリン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、1,3−プロパンスルトン、1,4−プロパンスルトン、ジビニルスルホン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネート、グリコールサルファイト、プロピレンサルファイト、グリコールサルフェート、プロピレンサルフェートなどのS=O含有化合物などが挙げられる。
【0054】
これらの非水溶媒の組み合わせは、例えば、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせ、環状カーボネート類とラクトン類との組み合わせ、環状カーボネート類とラクトン類と鎖状エステルとの組み合わせ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とラクトン類との組み合わせ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とエーテル類の組み合わせ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類と鎖状エステル類との組み合わせなど種々の組み合わせが挙げられる。環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせあるいは環状カーボネート類とラクトン類と鎖状エステルとの組み合わせが好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとの割合は、容量比率で1:9〜10:0、好ましくは2:8〜7:3とするのがよい。
【0055】
本発明の非水電解液で使用される電解質塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)などの
鎖状のアルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLiなどの環状のアルキレン鎖を含有するリチウム塩が挙げられる。これらの電解質塩は、一種類で使用してもよく、二種類以上組み合わせて使用してもよい。これら電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が最も好ましい。また、これら電解質塩の濃度は、3M以下が好ましく、2.5M以下がより好ましく、2M以下が最も好ましい。
【0056】
本発明の非水電解液は、例えば、前記したエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルエチルカーボネートのような非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩を溶解し、ビニレンカーボネート化合物およびアルキン化合物を溶解することにより得られる。
【0057】
また、本発明の非水電解液に、例えば、空気や二酸化炭素を含ませることにより、電解液の分解によるガス発生の抑制や、サイクル特性や保存特性などの電池性能を向上させることができる。
【0058】
本発明において、非水電解液中に二酸化炭素または空気を含有(溶解)させる方法としては、(1)あらかじめ非水電解液を電池内に注液する前に空気または二酸化炭素含有ガスと接触させて含有させる方法、(2)注液後、電池封口前または後に空気または二酸化炭素含有ガスを電池内に含有させる方法のいずれでもよく、またこれらを組み合わせて使用することもできる。空気や二酸化炭素含有ガスは、極力水分を含まないものが好ましく、露点−40℃以下であることが好ましく、露点−50℃以下であることが特に好ましい。
【0059】
さらに、本発明の非水電解液において、例えば、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物(例、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、ビフェニル、ターフェニル(o−体、m−体、p−体)、ジフェニルエーテル、2−フルオロジフェニルエーテル、4−ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−体、m−体、p−体)、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2,4−ジフルオロアニソール、tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、4−tert−ブチルビフェニル、tert−アミルビフェニル、o−ターフェニルの部分水素化物(1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル、以下、m−体、p−体の場合も同様)、m−ターフェニルの部分水素化物、p−ターフェニルの部分水素化物等の芳香族化合物から選ばれる少なくとも一種を非水電解液の重量に対して0.1〜5重量%使用することにより過充電時の電池の安全性を確保することができる。
【0060】
芳香族化合物は二種類以上組合せて用いてもよく、その場合、例えば、ビフェニルとシクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとtert−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼン、ビフェニルとフルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとフルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールとシクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンと1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとフルオロシクロヘキシルベンゼン化合物、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物とフルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールとフルオロシクロヘキシルベンゼン化合物のように組み合わせることができ、混合比率(重量比)は50:50〜10:90が好ましく、50:50〜20:80がより好ましく、50:50〜25:75が最も好ましい。なかでも、ビニレンカーボネート化合物とアルキン化合物とを併
用する非水電解液系では、前記芳香族化合物のうち一種以上がフッ素置換された芳香族化合物であることが好ましく、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物を含有することが特に好ましい。
【0061】
本発明の非水電解液は、二次電池、特にリチウム二次電池の構成部材として使用される。二次電池を構成する非水電解液以外の構成部材については特に限定されず、従来使用されている種々の構成部材を使用できる。
【0062】
例えば、正極活物質としてはコバルト、マンガン、ニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、一種類だけを選択して使用しても良いし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiCo1−xNi(0.01<x<1)などが挙げられる。また、LiCoOとLiMn、LiCoOとLiNiO、LiMnとLiNiOのように適当に混ぜ合わせて使用しても良い。以上のように、正極活物質としては、LiCoO、LiMn、LiNiO、のような充電終了後の開回路電圧がLi基準で4.3V以上を示すリチウム複合金属酸化物であり、正極材料として最も好ましくは、CoやNiを含有するリチウム複合金属酸化物を用いることであり、リチウム複合金属酸化物の一部が他元素で置換されていても良い。例えば、LiCoOのCoの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cuなどで置換されていても良い。
【0063】
正極の導電剤として、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば何でも良い。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チェンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類などが挙げられる。また、グラファイト類とカーボンブラック類を適宜混合して用いても良い。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10重量%が好ましく、特に2〜5重量%が好ましい。
【0064】
正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電剤およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの結着剤と混練して正極合剤とした後、この正極材料を集電体としてのアルミニウム箔やステンレス製のラス板に圧延して、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製される。
【0065】
負極は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料が使用され、例えば、リチウム金属、リチウム合金、および炭素材料〔熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類(人造黒鉛、天然黒鉛など)、有機高分子化合物燃焼体、炭素繊維〕、スズ、スズ化合物、ケイ素、ケイ素化合物が使用される。
【0066】
負極(負極活物質)としては、炭素材料においては、特に、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下であることが好ましく、0.335〜0.340nmである黒鉛型結晶構造を有するグラファイト類を使用することがより好ましい。これらの負極活物質は、一種類だけを選択して使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なお、炭素材料のような粉末材料はエチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの結着剤と混練して負極合剤として使用される。負極の製造方法は、特に限定されず、上記の正極の製造方法と同様な方法により製造することができる。
【0067】
本発明のリチウム二次電池の構造は特に限定されるものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレータを有するコイン型電池、さらに、正極、負極およびロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池などが一例として挙げられる。なお、セパレータとしては公知のポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの微多孔膜、織布、不織布などが使用される。また、電池用セパレータは単層多孔質フィルム及び積層多孔質フィルムのいずれの構成であっても良い。本発明で使用される電池用セパレータは、製造条件によっても異なるが、透気度が50〜1000秒/100ccが好ましく、100〜800秒/100ccがより好ましく、300〜500秒/100ccが最も好ましい。透気度が高すぎるとリチウムイオン伝導性が低下するために電池用セパレータとしての機能が十分でなく、低すぎると機械的強度が低下するので上記範囲とするのが好ましい。また、空孔率は30〜60%が好ましく、35〜55%がより好ましく、40〜50%が最も好ましい。特に空孔率をこの範囲とすると、電池の容量特性が向上するので好ましい。さらに、電池用セパレータの厚みはできるだけ薄い方がエネルギー密度を高くできるため好ましいが、機械的強度、性能等の両面から5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、15〜25μmが最も好ましい。
【0068】
本発明の非水電解液は、特に正極合剤層と負極合剤層とが高い密度を持つように形成されたリチウム二次電池において、特に有効である。特に、アルミニウム箔上に形成される正極合剤層の密度は3.2〜4.0g/cmが好ましく、更に好ましくは3.3〜3.9g/cm、最も好ましくは3.4〜3.8g/cmである。正極合剤密度が4.0g/cmを超えて大きくなると、実質上、作製が困難となる。一方、銅箔上に形成される負極合剤層の密度は1.3〜2.0g/cm、更に好ましくは1.4〜1.9g/cm、最も好ましくは1.5〜1.8g/cmの間である。負極合剤層の密度が2.0g/cmを超えて大きくなると、実質上、作製が困難となる。
【0069】
本発明における好適な正極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は、30〜120μm、好ましくは50〜100μmであり、負極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は、1〜100μm、好ましくは3〜70μmである。電極材料層の厚みが好適な前記範囲より薄いと、電極材料層での活物質量が低下するために電池容量が小さくなる。一方、その厚さが前記範囲より厚いと、サイクル特性やレート特性が低下するので好ましくない。
【0070】
また、リチウム二次電池の構成は特に限定されるものではなく、正極、負極、多孔膜セパレータおよび電解液を有するコイン電池や円筒型電池、角型電池、積層型電池などが一例として挙げられる。
【0071】
本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧が4.2Vより大きい場合にも長期間にわたり、優れたサイクル特性を有しており、特に充電終止電圧が4.3V以上のような場合にも優れたサイクル特性を有している。放電終止電圧は、2.5V以上とすることができ、さらに2.8V以上とすることができる。電流値については特に限定されるものではないが、通常0.1〜3Cの定電流放電で使用される。また、本発明におけるリチウム二次電池は、−40℃以上で充放電することができるが、好ましくは0℃以上である。また、100℃以下で充放電することができるが、好ましくは80℃以下である。
【0072】
本発明におけるリチウム二次電池の内圧上昇の対策として、封口版に安全弁を用いることができる。その他、電池缶やガスケットなどの部材に切り込みを入れる方法も利用することができる。この他、従来から知られている種々の安全素子(過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子の少なくとも1種以上)を備えつけていることが好ましい。
【0073】
本発明におけるリチウム二次電池は必要に応じて複数本を直列および/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには、PTC素子、温度ヒューズ、ヒューズおよび/または電流遮断素子などの安全素子のほか、安全回路(各電池および/または組電池全体の電圧、温度、電流などをモニターし、電流を遮断する機能を有する回路)を設けても良い。
【実施例】
【0074】
本発明について、次に、実施例および比較例を挙げてより具体的に説明する。
【0075】
[実施例1]
〔非水電解液の調製〕
EC:PC:MEC(容量比)=30:5:65の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPF6を1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、この非水電解液に対して2−プロピニルメチルカーボネート[式(II)のアルキン化合物]を0.1重量%そしてビニレンカーボネートを3重量%となるように加えた。
【0076】
〔リチウム二次電池の作製および電池特性の測定〕
LiCoO(正極活物質)を94重量%、アセチレンブラック(導電剤)を3重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を3重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して正極合剤層を形成して正極を得た。別に、格子面(002)の面間隔(d002)が0.335nmである黒鉛型結晶構造を有する人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加え、混合したものを銅箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して負極合剤層を形成して負極を得た。そして、電池容器内に、正極、負極、そしてポリエチレン微多孔性フィルムのセパレータ(厚さ20μm)を収容し、前記の非水電解液を注入した後、電池封口前に露点が−60℃の空気を電池内に含有させて18650サイズの円筒電池(直径18mm、高さ65mm)を作製した。電池には、圧力開放口および内部電流遮断装置(PTC素子)を設けた。この時、正極合剤層の密度は、3.5g/cmであり、負極合剤層の密度は1.6g/cmであった。正極の合剤層の厚さ(集電体片面当たり)は70μmであり、負極の合剤層の厚さ(集電体片面当たり)は60μmであった。
【0077】
この18650電池を用いて、高温(60℃)下、2.2A(1C)の定電流で4.2Vまで充電した後、終止電圧4.2Vとして定電圧下に合計3時間充電した。次に2.2A(1C)の定電流下、終止電圧3.0Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期放電容量(mAh)は、ビニレンカーボネートを3重量%含有し、アルキン化合物を添加しない1M LiPF−EC/PC/MEC(容量比30/5/65)を非水電解液とし
て用いた場合(後記の比較例1)とほぼ同等であり、300サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は79.2%であった。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0078】
[実施例2〜4]
添加剤として、2−プロピニルメチルカーボネートを非水電解液に対して、それぞれ0.5重量%、1重量%、あるいは5重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0079】
[実施例5]
添加剤として、2−プロピニルメチルカーボネートおよびビニレンカーボネートを非水
電解液に対して、それぞれ1重量%および0.1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0080】
[実施例6]
添加剤として、2−プロピニルメチルカーボネートおよびビニレンカーボネートを非水電解液に対して、それぞれ1重量%および5重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0081】
[比較例1]
添加剤として、2−プロピニルメチルカーボネートを使用せず、ビニレンカーボネートを非水電解液に対して3重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0082】
[比較例2]
添加剤として、ビニレンカーボネートを使用せず、2−プロピニルメチルカーボネートを非水電解液に対して3重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。初期放電容量(相対値)と300サイクル後の放電容量維持率を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1の結果から、本発明のビニレンカーボネート化合物とアルキン化合物との非水電解液への併用添加により、高い放電容量維持率(サイクル特性)が達成できていることが分る。
【0085】
[実施例7]
アルキン化合物としてメタンスルホン酸2−プロピニル[式(II)の化合物]を1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:82.7
【0086】
[実施例8]
アルキン化合物として2−ブチン−1,4−ジオールジメチルジカーボネート[式(III)の化合物]を1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.3
【0087】
[実施例9]
アルキン化合物として2−ブチン−1,4−ジオールジメタンスルホネート[式(III)の化合物]を1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.4
【0088】
[実施例10]
アルキン化合物として2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメチルジカーボネ
ート[式(IV)の化合物]を1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:80.3
【0089】
[実施例11]
アルキン化合物としてジプロパルギルカーボネート[式(V)の化合物]を0.5重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:80.5
【0090】
[実施例12]
アルキン化合物としてジ(2−プロピニル)サルファイト[式(VI)の化合物]を0.5重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:82.5
【0091】
[実施例13]
アルキン化合物としてジ(2−プロピニル)オギザレート[式(VI)の化合物]を0.2重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.7
【0092】
[実施例14]
アルキン化合物としてフェニルアセチレン[式(VII)の化合物]を0.1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:80.4
【0093】
[実施例15]
アルキン化合物としてメタンスルホン酸2−プロピニル[式(II)の化合物]を1重量%使用し、正極(正極活物質)として、LiCoOに代えてLiMnを使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):0.87
300サイクル後の放電容量維持率:80.8
【0094】
[実施例16]
EC:DMC:DEC(容量比)=30:20:50の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFおよびLiN(SOCFをそれぞれ、0.9M、0.1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらに1,3−プロパンスルトン(PS)およびシクロヘキシルベンゼン(CHB)をそれぞれ非水電解液に対して1重量%、2重量%添加し、さらに添加剤として、2−プロピニルメチルカーボネート[式(II)のアルキン化合物]およびビニレンカーボネートを非水電解液に、それぞれ1重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:82.2
【0095】
[実施例17]
EC:DMC:DEC(容量比)=30:20:50の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPF6を1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらにビフェニル(BP)およびシクロヘキシルベンゼン(CHB)をそれぞれ非水電解液に対して0.5重量%、2重量%添加し、さらに添加剤として、ジ(2−プロピニル)サルファイト[式(VI)のアルキン化合物]およびビニレンカーボネートを非水電解液に、それぞれ0.5重量%、1重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.1
【0096】
[実施例18]
EC:DMC:DEC(容量比)=30:20:50の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらにtert−ブチルベンゼン(TBB)およびシクロヘキシルベンゼン(CHB)をそれぞれ非水電解液に対して1重量%添加し、さらに添加剤として、ジ(2−プロピニル)サルファイト[式(VI)のアルキン化合物]およびビニレンカーボネートを非水電解液に、それぞれ0.5重量%、1重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を
次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.4
【0097】
[実施例19]
EC:DMC:DEC(容量比)=30:20:50の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらにtert−アミルベンゼン(TAB)およびシクロヘキシルベンゼン(CHB)をそれぞれ非水電解液に対して1重量%添加し、さらに添加剤として、ジ(2−プロピニル)サルファイト[式(VI)のアルキン化合物]およびビニレンカーボネートを非水電解液に、それぞれ0.5重量%、1重量%含有させたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.8
【0098】
[実施例20]
〔非水電解液の調製〕
EC:MEC(容量比)=30:70の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、この非水電解液に対してジ(2−プロピニル)オギザレート[式(VI)のアルキン化合物]を0.3重量%そしてビニレンカーボネートを2重量%となるように加え、さらに、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を1重量%、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)を非水電解液に対して、3重量%となるように加えた。
【0099】
〔リチウム二次電池の作製および電池特性の測定〕
LiCoO(正極活物質)を94重量%、黒鉛(導電剤)を3重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を3重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して正極合剤層を形成して、正極を得た。別に、格子面(002)の面間隔(d002)が0.335nmである黒鉛型結晶構造を有する人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加え、混合したものを銅箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して負極合剤層を形成させ、負極を得た。そして、電池容器内に、正極、負極、そしてポリエチレン微多孔性フィルムのセパレータ(厚さ20μm)を収容し、前記の非水電解液を注入した後、電池封口前に露点−60℃の二酸化炭素を電池内に含有させて18650サイズの円筒電池(直径18mm、高さ65mm)を作製した。電池には、圧力開放口および内部電流遮断装置(PTC素子)を設けた。正極合剤層の密度は、3.5g/cmであり、負極合剤層の密度は1.6g/cmであった。正極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は70μmであり、負極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は60μmであった。
【0100】
この18650電池を用いて、高温(60℃)下、2.2A(1C)の定電流で4.2Vまで充電した後、終止電圧4.2Vとして定電圧下に合計3時間充電した。次に2.2A(1C)の定電流下、終止電圧3.0Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期放電容量(mAh)は、ビニレンカーボネートを3重量%含有し、アルキン化合物を添加しない1M LiPF−EC/PC/MEC(容量比30/5/65)を非水電解液とし
て用いた場合(前記比較例1)とほぼ同等(1.01)であり、300サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は82.5%であった。さらに、サイクル試験を5回繰り返した18650電池を用いて、常温(20℃)下、4.2Vの満充電状態から2.2A(1C)の定電流で続けて充電することに
より2時間の過充電試験を行い、電池の表面温度が120℃を越えないことを安全性の基準とした結果、電池の表面温度は120℃以下であった。
【0101】
[実施例21]
添加剤として、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)に代えてフルオロベンゼン(FB)を非水電解液に対して、4重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:82.1
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0102】
[実施例22]
添加剤として、シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えてフルオロベンゼン(FB)を非水電解液に対して、4重量%使用し、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)を非水電解液に対して、1重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:82.2
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0103】
[実施例23]
添加剤として、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)に代えて2,4−ジフルオロアニソール(DFA)を非水電解液に対して、1重量%使用し、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を非水電解液に対して、1.5重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:81.5
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0104】
[実施例24]
添加剤として、シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて2,4−ジフルオロアニソール(DFA)を非水電解液に対して、1重量%使用し、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)を非水電解液に対して、2重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:81.9
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0105】
[実施例25]
添加剤として、エチル 2−プロピニルオギザレート[式(VI)のアルキン化合物]
、ビニレンカーボネート(VC)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)および1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)に、さらにエチレンサルファイト(ES)を非水電解液に対して、0.4重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:82.6
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0106】
[実施例26]
添加剤として、ジ(2−プロピニル)オギザレート、ジ(2−プロピニル)サルファイト、ビニレンカーボネート(VC)、tert−アミルベンゼン(TAB)および1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(FCHB)を非水電解液に対して、それぞれ0.3重量%、0.3重量%、2重量%、1重量%、3重量%使用したほかは、実施例20と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.01
300サイクル後の放電容量維持率:83.2
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0107】
[実施例27]
EC:PC:DMC:DEC(容量比)=30:5:15:50の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらに非水電解液に対してギ酸2−プロピニル[式(II)のアルキン化合物]を0.5重量%、ビニレンカーボネートを2重量%となるように加えた。
次いで、実施例20と同様に18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:82.4
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0108】
[実施例28]
アルキン化合物として2−ブチン−1,4−ジオール ジホルメート[式(III)の
化合物]を非水電解液に0.5重量%含有させたほかは、実施例27と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:82.0
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下
【0109】
[実施例29]
アルキン化合物として2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジホルメート[式(
IV)の化合物]を非水電解液に0.5重量%含有させたほかは、実施例27と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクル試験と過充電試験を行った。その結果を次に記載する。
初期放電容量(相対値):1.00
300サイクル後の放電容量維持率:81.4
過充電試験における電池の表面温度:120℃以下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒に電解質塩が溶解されているリチウム二次電池用非水電解液において、該非水電解液中に0.01〜10重量%の下記式(I)で表わされるビニレンカーボネート化合物:
【化1】

(式中、RとRとはそれぞれ独立して、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす)
及び0.01〜10重量%の下記式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)あるいは(VII)のいずれかで表わされる少なくとも一種のアルキン化合物:
【化2】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、RとRは、互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;そしてYは、−COOR20、−COR20または−SO20を表わす;ただし、R20は、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【化3】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、RとRそしてRとRはそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Yは、−COOR21、−COR21または−SO21を表わし;Yは、−COOR22、−COR22または−SO22を表わす;ただし、R21およびR22は互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【化4】

[式中、R10〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、R10とR11そしてR12とR13はそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Yは、−COOR23、−COR23または−SO23を表わし;Yは、−COOR24、−COR24または−SO24を表わす;ただし、R23およびR24は互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす]
【化5】

[式中、R14〜R19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わす;ただし、R15とR16そしてR17とR18はそれぞれ互いに結合して炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わす]
【化6】

[式中、R25、R26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、または炭素原子数7〜12のアラルキル基を表わし;ただし、R26とR27とは互いに結合して、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を形成していても良い;xは1もしくは2を表わし;Wはスルホキシド基、スルホン基、もしくはオギザリル基を表わし;Yは、炭素原子数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基または炭素原子数7〜12のアラルキル基を表わす]
【化7】

[式中、R28は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基を表わし;R29は、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基を表わし;そしてpは1または2を表わす]
が含有されていることを特徴とする非水電解液。
【請求項2】
非水電解液中のビニレンカーボネート化合物の含有量が、0.05〜5重量%の範囲の値である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項3】
非水電解液中のビニレンカーボネート化合物の含有量が、0.1〜3重量%の範囲の値である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項4】
非水電解液中のアルキン化合物の含有量が、0.05〜5重量%の範囲の値である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項5】
非水電解液中のアルキン化合物の含有量が、0.1〜3重量%の範囲の値である請求項1に記載の非水電解液。
【請求項6】
ビニレンカーボネート化合物がビニレンカーボネートである請求項1に記載の非水電解液。
【請求項7】
アルキン化合物が、2−プロピニルメチルカーボネート、メタンスルホン酸 2−プロ
ピニル、2−ブチン−1,4−ジオール ジメチルジカーボネート、2−ブチン−1,4
−ジオール ジメタンスルホネート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジメチルジカーボネート、ジプロパルギル カーボネート、ジ(2−プロピニル)サルファイト、ジ(2−プロピニル)オギザレート、フェニルアセチレン、エチル 2−プロピニルオギザレート、ギ酸2−プロピニル、2−ブチン−1,4−ジオール ジホルメート、あるいは2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール ジホルメートである請求項1に記載の非水電解液。
【請求項8】
さらに、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルエーテル、2−フルオロジフェニルエーテル、4−ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2,4−ジフルオロアニソール、tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、4−tert−ブチルビフェニル、tert−アミルビフェニル、o−ターフェニルの部分水素化物、m−ターフェニルの部分水素化物、およびp−ターフェニルの部分水素化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族化合物を0.1〜5重量%含む請求項1に記載の非水電解液。
【請求項9】
さらに、ビフェニルとシクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとtert−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼン、ビフェニルとフ
ルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとフルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールとシクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンと1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンとフルオロシクロヘキシルベンゼン化合物、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物とフルオロベンゼン、あるいは2,4−ジフルオロアニソールとフルオロシクロヘキシルベンゼン化合物を、混合重量比率は50:50〜10:90にて、かつ合計量が0.1〜5重量%となるように含む請求項1に記載の非水電解液。
【請求項10】
正極、負極および非水電解液からなるリチウム二次電池において、正極がリチウム複合酸化物を含む材料であって、負極がリチウムの吸蔵・放出が可能な材料であり、非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項11】
正極、負極および非水電解液からなるリチウム二次電池において、正極が、アルミニウム箔上に形成されたリチウム複合酸化物を含む密度が3.2〜4.0g/cmの範囲にある正極合剤層材料からなり、非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項12】
正極、負極および非水電解液からなるリチウム二次電池において、負極が、銅箔上に形成されたリチウムの吸蔵・放出が可能な材料を含む密度が1.3〜2.0g/cmの範囲にある負極合剤層からなり、非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項13】
正極、負極および非水電解液からなるリチウム二次電池において、正極が、アルミニウム箔上に形成されたリチウム複合酸化物を含む密度が3.2〜4.0g/cmの範囲にある正極合剤層材料からなっていて、負極が、銅箔上に形成されたリチウムの吸蔵・放出が可能な材料を含む密度が1.3〜2.0g/cmの範囲にある負極合剤層からなり、そして非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。

【公開番号】特開2013−101959(P2013−101959A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8415(P2013−8415)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2010−87803(P2010−87803)の分割
【原出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】