説明

リチウム硫黄バッテリ

少なくとも1つのフルオロ置換化合物を含むリチウム硫黄バッテリが記載される。主に溶媒である好ましいフルオロ置換化合物が、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、およびフルオロ置換非環状カーボネートフルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から特に選択される。モノフルオロエチレンカーボネート、シス−ジフルオロエチレンカーボネート、トランス−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、2,2,2−トリフルオロエチル−メチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−フルオロメチルカーボネートが好ましい。前記溶媒が、非フッ素化溶媒、例えばエチレンカーボネート、ジアルキルカーボネートまたはプロピレンカーボネートをさらに含んでもよい。また、本発明は、このようなバッテリのための添加剤としてのフッ素化化合物および特定の電解質溶液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2009年10月27日に出願された欧州特許出願第09174210.6号(その全内容を参照によって本願明細書に組み込む)の優先権を主張する本発明は、Li−Sバッテリ、LiSバッテリのためのフッ素化添加剤の使用、および新規な電解質溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム硫黄バッテリ、または本発明に関して簡単に「Li−S」バッテリは、例えば、コンピュータ、携帯電話、および多くの他の電気部品のための多数のデバイス用の再充電可能な電源として適用可能である。それらは2600Wh/kgの高い理論比エネルギーを有し、硫黄は比較的無毒性である。また、バッテリは、電気駆動輸送手段のために適したエネルギー源である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,510,209号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0061288号明細書
【特許文献3】米国特許第5,916,708号明細書
【特許文献4】米国特許第6,159,640号明細書
【特許文献5】米国特許第6,489,064号明細書
【特許文献6】米国特許第6,677,085号明細書
【特許文献7】未公開欧州特許出願第09155665.2号明細書
【特許文献8】09161429.7号明細書
【特許文献9】米国特許第6,264,818号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2008/0305401号明細書
【特許文献11】国際公開第02/38718号パンフレット
【特許文献12】米国特許第5,750,730号明細書
【特許文献13】国際公開第2007/042471号パンフレット
【特許文献14】米国特許第7,390,591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
根本原理は、それらがアノード区画の金属アノードと、カソード(例えば、多孔質炭素)とを含むと共に、イオン輸送媒体として役立つゲル−ポリマー電解質膜または非水性溶媒を有するということである。しばしば、膜−例えば、Lisicon膜またはNasicon膜は、金属カチオンに対して透過性であるが、他の化合物に対して不透過性であり、アノードおよびカソード区画を有効に分離するのに役立つ。本発明の問題は、Li−Sバッテリを提供することである。別の問題は、Li−Sバッテリのために適した電解質溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらのおよび他の問題は、請求の範囲に記載されたバッテリ、電解質溶液およびフルオロ置換有機化合物の使用によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】非常に適したリチウムバッテリBを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によって、酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する少なくとも1つのフルオロ置換有機化合物を含むかまたはからなる電解質溶媒を含むLi−Sバッテリが提供され、そこにおいてフルオロ置換有機化合物が、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択される。用語「Li−Sバッテリ」は、「リチウム硫黄バッテリ」と同じ意味を有する。
【0008】
電解質溶媒は、バッテリを使用するための温度において液体であるように選択される。各々のフルオロ置換有機化合物の融点が十分に低い場合、それをニートで使用することができる。モノフルオロエチレンカーボネート(「F1EC」)の融点は約22℃である。したがって、より低い融点を有する補助溶媒と一緒に、例えば約2〜4℃の融点を有するジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネート、−14.5℃の融点を有するエチルメチルカーボネートと一緒に、または−50℃の範囲の融点を有するプロピレンカーボネートと一緒にこの化合物を適用することが好ましい。したがって、この場合、溶媒は溶媒混合物である。
【0009】
本発明のmLi−Sバッテリは好ましくは、金属カチオンに対して透過性である膜を含み、多孔質層によって挟まれている薄くて緻密な、実質的に非孔質層を含む。
【0010】
用語「金属」はリチウムを意味する。
【0011】
金属−空気バッテリが米国特許第5,510,209号明細書に開示されている。金属はリチウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛である。例えば、米国特許第5,510,209号明細書の図1に記載されたバッテリは、リチウム箔アノードと、ポリマー電解質(ポリアクリルニトリル、溶媒、例えばプロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネート、および電解質塩、例えばLiPFを含む)と、複合陽極集電装置と(周囲空気からの)酸素がそれを通って多孔質炭素電極に輸送される酸素透過性膜とを含む。
【0012】
本発明によるバッテリは、その溶媒が上に規定されたフルオロ置換有機化合物からなるかまたは含むリチウム硫黄バッテリを提供する。ポリマーは、電解質中に存在しうるが、本発明のバッテリには必ずしも存在しない。フルオロ置換有機化合物を含有するかまたはからなるリチウムイオン輸送溶媒または溶媒混合物を提供することが十分である。
【0013】
本発明はここで、Li−Sバッテリの図においてさらに詳細に説明される。
【0014】
好ましくは、電解質溶媒は、−20℃以上の温度の液体である。
【0015】
図1は、非常に適したリチウムバッテリBを説明する。バッテリBは、集電装置1および2を含む。アノード3はリチウム金属を含む。カソード4は、元素硫黄、Liおよびフルオロ置換溶媒を含む。薄くて緻密な、実質的に非孔質層5が、多孔質層6’および6’’によって挟まれる。非孔質層5および多孔質層6’、6’’は複合LISICON膜であってもよい。バッテリは、バッテリBによって提供された電流によって作動される装置7(例えば携帯電話でありうる)に接続される。
【0016】
Li−S電池の化学プロセスは、放電の間のアノード表面からのリチウムの溶解、および充電の間の公称アノード上へのリチウムのめっきを包含する。
【0017】
アノード上で、Liが酸化されてLiを形成する。カソード上で、硫黄は多硫化物に還元され、最後にLiSになる。
→Li→Li→Li→Li
【0018】
リチウム硫黄バッテリを充電するとき、逆反応が生じる。LiSはカソードにおいて分解され、最後に元素硫黄を生じる。
LiS→Li→Li→Li→Li→Li→S
【0019】
Liイオンはアノードに移り、Li金属に還元される。
【0020】
単一のフルオロ置換有機化合物または2つ以上のフルオロ置換有機化合物の混合物を利用することができることは当業者には明らかである。本発明に関して、単数形の「フルオロ置換有機化合物」は、複数、すなわち2つ以上のフルオロ置換有機化合物の混合物を含めることが意図される。
【0021】
本発明の実施形態によって、フルオロ置換有機化合物を電解質溶媒としてまたはアノードが電解質溶媒と接触しているLi−Sバッテリの電解質溶媒の成分として適用することができる。バッテリのこのようなタイプにおいて、しばしばアノードと溶媒との反応が観察され、もしくはLiデンドライトがアノード上に成長し、いつかはショートカットを生じる。
【0022】
好ましい実施形態によって、Li−Sバッテリは、アノードとカソード区画との間に膜を含有するタイプである。本発明は、この好ましい実施形態の図においてさらに詳細にここで説明される。アノードはリチウムを含有し、カソードは元素硫黄と、元素硫黄およびLiを少なくとも部分的に溶解するように選択される少なくとも1つの溶媒とを含む。実質的に非孔質のリチウムイオン伝導膜がアノードとカソードとの間に提供され、硫黄および他の反応種がアノードとカソードとの間で移動しないようにする。非孔質膜は例えば薄いセラミック膜である。硫黄と硫化リチウムと多硫化リチウムとを溶解するために溶媒をその中で使用すると共にアノードとカソード区画との間に膜を含むLi−Sバッテリが、米国特許出願公開第2009/0061288号明細書(あらゆる目的のためにその内容をその全体において参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。無極性である硫黄は、ベンゼン、フルオロベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフランなどの無極性溶媒中に溶解する。硫化リチウムおよび多硫化リチウムは極性化合物であり、したがって、カーボネート有機溶媒またはテトラグライムなどの極性溶媒中に溶解する。
【0023】
フルオロ置換有機化合物は、Liイオン、硫黄および形成された硫化リチウムおよび多硫化リチウムのいずれかと望ましくない方法で反応しないように選択される。適したフッ素化有機化合物の適合性は試験によって、例えば、電圧および容量を制御して特定の数の充電−放電サイクルにおいて各バッテリを試験することによって確認されうる。
【0024】
以下において、好ましいフッ素化有機溶媒が示される。上述のように、これらの化合物は、他の溶媒、例えば、非ハロゲン化溶媒、または塩素化されている溶媒と混合して適用されてもよく、もしくはそれらはカソード区画の単独の溶媒または複数の溶媒を構成することができる。好ましくは、塩素原子によって置換されない溶媒が適用される。
【0025】
液体電解質を有するバッテリ内でおよびゲル状態の電解質を有するバッテリ内で溶媒を適用することができる。ゲル状態の電解質において、非水性溶媒は、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル化剤を使用することによってゲル化される。また、非水性溶媒系に添加されて熱または放射線の使用によってin situ重合される重合性モノマーが使用されてもよい。
【0026】
好ましいフッ素化有機化合物は、モノフッ素化、ジフッ素化、トリフッ素化、ポリフッ素化および過フッ素化有機化合物からなる群から選択される。ここで用語「ポリフッ素化」は、4個以上のフッ素原子によって置換されるが少なくとも1個の水素原子、または少なくとも1個の塩素原子、もしくは少なくとも1個の水素原子および少なくとも1個の塩素原子を含有する化合物を意味する。好ましくは、モノフッ素化、ジフッ素化、トリフッ素化、ポリフッ素化および過フッ素化有機化合物は、塩素原子によって置換されない。全ての水素原子がフッ素原子によって置換されるそれらの化合物は、過フッ素化されている。
【0027】
好ましいフッ素化有機化合物は、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスホラン、フルオロ置換リン酸エステル、フルオロ置換ホスホン酸エステルおよび飽和または不飽和フルオロ置換ヘテロ環の群から選択される。
【0028】
適したフッ素化エーテルは、例えば、米国特許第5,916,708号明細書に記載されたフッ素化エーテル、すなわち、式(I)
RO−[(CHO]−CF−CFH−X (I)
(式中、Rが、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜10個のC原子を有する分岐アルキル基であり、
Xが、フッ素、塩素または1〜6個のC原子を有するペルフルオロアルキル基であり、エーテル酸素を含有してもよく、
mが2〜6の整数であり、
nが1〜8の整数である)の部分フッ素化エーテル、
および/または式(II)
X−CFH−CFO−[(CHO]−CF−CFH−X (II)
(式中、X、mおよびnが上記の意味を有する)の部分フッ素化エーテルである。
【0029】
適した部分フッ素化カルバメートは、例えば、米国特許第6,159,640号明細書に記載された部分フッ素化カルバメート、すなわち、式RN−C(O)OR(式中、RおよびRは独立に、同一または異なっており、直鎖C1−C6−アルキル、分岐C3−C6−アルキル、C3−C7−シクロアルキルであり、もしくはRおよびRが直接にまたは1つまたは複数の付加的なNおよび/またはO原子を介して結合され、3〜7員環を形成する)の化合物である。場合により、環中の付加的なN原子は、C1−C3アルキル基で飽和しており、さらに、環の炭素原子がC1−C3アルキル基によって置換されてもよい。基RおよびRにおいて、1つまたは複数の水素原子がフッ素原子によって置換されてもよい。Rが、1〜6個のまたはそれぞれ3〜6個の炭素原子を有する部分フッ素化または過フッ素化直鎖または分岐アルキル基、もしくは3〜7個のC原子を有する部分フッ素化または過フッ素化シクロアルキル基であり、1つまたは複数のC1−C6アルキル基によって置換されてもよい。
【0030】
適したフッ素化アセトアミドは例えば、米国特許第6,489,064号明細書に記載されたフッ素化アセトアミド、すなわち、式(I)RCO−NR(III)の部分フッ素化アミドであり、上式中、Rが、少なくとも1個の水素原子がフッ素によって置換される直鎖C1−C6アルキル基、または少なくとも1個の水素原子がフッ素によって置換される分岐C3−C6アルキル基、もしくは直鎖C1−C6アルキル基または分岐C3−C6アルキル基または両方によって1回以上置換されていてもよいC3−C7シクロアルキル基であり、そこにおいてシクロアルキル基または任意選択の直鎖または分岐アルキル置換基もしくは両方の少なくとも1個の水素原子がフッ素によって置換され、RおよびRが独立に、同一または異なった直鎖C1−C6アルキル基、分岐C3−C6アルキル基またはC3−C7シクロアルキル基を表わすか、またはアミド窒素と一緒に飽和5または6員環窒素含有環を形成するか、もしくは1個または複数の付加的なNおよび/またはO原子と接合して4〜7員環を形成し、そこにおいて環に存在する付加的なN原子が場合によりC1−C3アルキル基で飽和しており、また、環炭素原子はC1−C3アルキル基を有してもよい。
【0031】
適した部分フッ素化エステルは、例えば米国特許第6,677,085号明細書に記載された部分フッ素化エステル、式(IV):RCO−O−[CHR(CH−O]−R(IV)のジオールから誘導された部分フッ素化化合物であり、上式中、Rが、(C1−C8)アルキル基または(C3−C8)シクロアルキル基であり、前記基の各々が部分フッ素化または過フッ素化され、その結果、基の少なくとも1個の水素原子がフッ素によって置換され、Rが、(C1−C8)アルキルカルボニルまたは(C3−C8)シクロアルキルカルボニル基であり、前記アルキルカルボニルまたはシクロアルキルカルボニル基が場合により部分フッ素化または過フッ素化されてもよく、Rが、水素原子または(C1−C8)アルキルまたは(C3−C8)シクロアルキル基であり、mが0、1、2または3であり、nが1、2または3である。
【0032】
直鎖または分岐フルオロ置換ジアルキルカーボネートおよびフルオロ置換アルキレンカーボネートが特に好ましい。
【0033】
適したフッ素化ジアルキルカーボネートは、式(V)
−O−C(O)−O−R (V)
のフッ素化ジアルキルカーボネートである。
【0034】
式(V)の化合物において、RおよびRの少なくとも1つが少なくとも1個のフッ素原子によって置換されることを条件に、RおよびRは同一または異なっていてもよい。RおよびRの少なくとも1つが少なくとも1個のフッ素原子によって置換されることを条件に、RおよびRが好ましくは、1〜8個の炭素原子を有する、好ましくは、1〜4個の炭素、より好ましくは、1〜3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基;3〜8個の炭素原子を有する、好ましくは3個の炭素原子を有する分岐アルキル基;または5〜7個の炭素原子を有する、好ましくは、5または6個の炭素原子を有する環状アルキル基である。
【0035】
非常に好ましくは、RおよびRの少なくとも1つが少なくとも1個のフッ素原子によって置換されることを条件に、RおよびRは、1〜3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を意味する。最も好ましくは、RおよびRは、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよび1−フルオロ−1−メチルエチルからなる群から選択される。式(V)の最も好ましい化合物は、メチルフルオロメチルカーボネート、フルオロメチルエチルカーボネート、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、フルオロメチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートおよびビス−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートである。このような化合物をホスゲン、COFClまたはCOF、およびそれぞれのアルコールから、あるいは未公開欧州特許出願第09155665.2号明細書に記載されているように製造することができる。その方法によって、一般式(Vi)、FCHR−OC(O)−OR’(式中、Rが、1〜5個のC原子を有する直鎖または分岐アルキルまたはHを意味し、R’が、1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル、少なくとも1個のフッ素原子によって置換された、2〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル、フェニル、1個または複数のC1−C3アルキル基原子によって置換されたフェニル、または1個または複数の塩素またはフッ素原子によって置換されたフェニル、もしくはベンジルを意味する)のフルオロアルキル(フルオロ)アルキルカーボネートの製造は、
式(VII)、FCHROC(O)Fのフルオロアルキルフルオロホルメート、または式(VII’)、FCHROC(O)Clのフルオロアルキルクロロホルメートを、式(VIII)、R’OH(式中、RおよびR’が上に記載された意味を有する)のアルコールと反応させる工程を有するか、または
式(IX)、ClCHROC(O)Fのクロロアルキルフルオロホルメート、または式(IX’)、ClCHROC(O)Clのクロロアルキルクロロホルメート(式中、Rが上に記載された意味を有する)を式(VIII)、R’OH(式中、R’が上に記載された意味を有する)のアルコールと反応させる工程と、後続の塩素−フッ素交換とを有する。用語「(フルオロ)アルキル」は、アルキルおよびフルオロ置換アルキルを意味する。
【0036】
別の実施形態によって、式(X)のフルオロ置換アルキレンカーボネートが利用される。
【化1】

ここで、R、R、RおよびRの少なくとも1つが、フッ素または少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたアルキル基であることを条件に、R、R、RおよびRは独立に、H、1〜3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基および2または3個の炭素原子を有するアルケニル基、少なくとも1個のフッ素原子によって置換された、1〜3個の炭素原子を有する直鎖アルキル基または2または3個の炭素原子を有するアルケニル基、およびフッ素から選択される。
【0037】
1つの実施形態によって、式(X)の化合物において、R、R、RおよびRの少なくとも1つがフッ素であることを条件に、R、R、RおよびRはHおよびFから選択される。特にフルオロエチレンカーボネート、しかし同様にシス−およびトランス−4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネートおよびテトラフルオロエチレンカーボネートが非常に適している。これらの化合物をエチレンカーボネートの直接フッ素化によって製造することができる。ジフルオロ置換エチレンカーボネートの場合、シスおよびトランス−4,5−ジフルオロエチレンカーボネートおよび4,4−ジフルオロエチレンカーボネートが得られる。これらの異性体を分別蒸留によって分離することができる。
【0038】
別の好ましい実施形態によって、式(X)の化合物において、R、RおよびRの少なくとも1つがFであるか、またはRが、少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC1−C3アルキル基であることを条件に、Rが、C1−C3アルキル基または少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC1−C3アルキル基であり、R、RおよびRがHまたはFである。好ましくは、Rがメチル、エチルまたはビニルである。
【0039】
このタイプの特に好ましい化合物は4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2オン、5−エチル−4−フルオル−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジメチル−4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンである。
【0040】
この化合物は公知であり、各々の非フッ素化化合物のフッ素化によってまたは各々のクロロ置換化合物の塩素−フッ素交換によって製造されてもよい。4−アルキル−4−フルオロ置換化合物は、09161429.7号明細書に記載されているように製造されてもよい。4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンは、式(XI)、FC(O)OCHR’C(O)R(式中、Rがアルキルであり、R’がHまたはC1−C3アルキルである)の化合物の環化によって調製される。Rは、好ましくはC1−C5アルキル、より好ましくはC1−C3アルキルを意味する。最も好ましくは、Rはメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを意味する。R’は好ましくはHである。特に好ましくは、Rはメチルであり、R’はHである。
【0041】
環化反応は好ましくは、窒素を含有する複素環化合物によって、またはフッ化物イオンによって触媒される。好ましい実施形態において、複素環化合物は芳香族化合物である。例えば、ピリジンまたは2−メチルイミダゾールを触媒として使用することができる。特に好ましいのは、少なくとも1つのジアルキルアミノ基によって置換されたピリジンである。4−ジメチルアミノピリジンが非常に適している。他の4−ジアルキルアミノピリジン、例えば、アルキルがC1−C3アルキル基を意味する4−ジアルキルアミノピリジンもまた、適していると考えられる。
【0042】
さらに別の好ましい実施形態によって、RおよびRの少なくとも1つがFであるか、またはRおよびRの少なくとも1つが、少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC1−C3アルキル基であることを条件に、RおよびRが、C1−C3アルキル基または少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC1−C3アルキル基であり、RおよびRがHまたはFである。
【0043】
このタイプの特に好ましい化合物は、4−フルオロ−5−(1−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−(2−フルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−4−メチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−4−メチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンである。
【0044】
化合物の別の群は、少なくとも1つのアルキル基が少なくとも1個のフッ素原子によって置換されるトリアルキルホスフィットである。トリス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェートが好ましい化合物である。それを場合により塩基、例えばアミンの存在下でPClおよびトリフルオロエタノールから調製することができる。
【0045】
化合物のさらに別の群は、式(XII)、(CnFn+m)P(nが1、2、3、4、5、6、7または8であり、mが+1または−1である)のペルフルオロアルキルホスホランである。それらを米国特許第6,264,818号明細書に記載された方法と同様に電気フッ素化によってペンタアルキルホスファンから調製することができる。
【0046】
また、式(XIII)、R−P(O)Rのフルオロ置換ホスホネートエステルおよびホスフェートエステルが適している。式(XIII)において、RがC1−C4アルキル基、少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC1−C4アルキル基、またはフルオロ置換C2−C4アルコキシ基であり、RおよびRが同一または異なっており、少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたC2−C4アルコキシ基を表わす。このタイプの好ましい化合物は、メチルビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホネート、エチルビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホネート、およびトリス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェートである。
【0047】
また、式(XIV)、R−C(O)ORのフルオロ置換炭酸エステルが適している。式(XIV)において、RおよびRの少なくとも1つが少なくとも1個のフッ素原子によって置換されることを条件に、Rが好ましくはC1−C3を意味し、Rが好ましくは、C1−C3アルキル基を意味する。好ましい化合物は2,2,2−トリフルオロエチルブチレート(R=C、R=C)、エチルトリフルオロアセテート(R=CF、R=C)、2,2,2−トリフルオロエチルアセテート(R=CH、R=C)およびメチルペンタフルオロプロピオネート(R=C、R=CH)である。これらの化合物は、米国特許出願公開第2008/0305401号明細書に記載されているように低温において運転されるバッテリのために適している。
【0048】
適した化合物の別の群は、式(XV)、R−C(O)−C(H)=C(H)−ORの群である。式(XV)の化合物において、Rがポリフッ素化または過フッ素化アルキル基であり、RがC1−C4アルキル、1つまたは複数のフッ素原子によって置換されたC1−C4アルキル、もしくはフェニルである。Rが好ましくはCF、CHF、またはCであり、Rが好ましくはメチルまたはエチルである。最も好ましい化合物は、4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(ETFBO)である。これらの化合物は、それぞれのカルボン酸塩化物をそれぞれのビニルエーテルに添加し、次いで脱塩酸を行なうことによって調製されてもよい。例えば、ETFBOはトリフルオロ塩化アセチルおよびエチルビニルエーテルから調製されてもよい。また、ETFBOは例えばSolvay Fluor GmbH(Hannover、Germany)から入手可能である。
【0049】
適した化合物の別の群はポリフッ素化および過フッ素化エーテルである。適した過フッ素化ポリエーテルは、例えば、国際公開第02/38718号パンフレットに記載されている。これらの過フッ素化ポリエーテルは本質的に炭素、フッ素および酸素原子からなり、少なくとも2つ、好ましくは3つのC−O−Cエーテル結合を含み、もしくはその定義を満たすいくつかの化合物の混合物を含む。しばしば、ペルフルオロポリエーテルの酸素原子は、C−O−Cエーテル結合にだけ存在する。ペルフルオロポリエーテルは一般に、約200以上の分子量を有する。一般にそれらは、約1500未満の分子量を有する。ポリエーテルがいくつかの物質の混合物である場合、分子量は重量平均分子量である。一般に、ペルフルオロポリエーテルは101.3kPaにおいて40℃以上の沸点を有する。ペルフルオロポリエーテルは一般に、101.3kPaにおいて約200℃以下の沸点を有する。調製の結果として、これらのペルフルオロポリエーテルはしばしば、個々の物質の混合物である。一般に、ペルフルオロポリエーテルの動粘度は25℃において1cSt(センチストーク)以下である。一般に、動粘度は25℃において少なくとも0.3cStである。
【0050】
好ましいペルフルオロポリエーテルは、名称GALDEN(登録商標)およびFOMBLIN(登録商標)でSolvay Solexisによって市販された製品である。
【0051】
例を挙げると、
GALDEN HT 55:101.3kPAにおいて沸点57℃、平均分子量340
GALDEN HT 70:101.3kPaにおいて沸点66℃、平均分子量410
FOMBLIN PFS1:101.3kPaにおいて沸点90℃、平均分子量460
【0052】
部分フッ素化ポリエーテルは、名称NOVEC(登録商標)で3Mによって市販されたヒドロフルオロエーテルである。GALDEN(登録商標)およびFOMBLIN(登録商標)系は通常、40〜76℃の範囲の沸点を有する多成分系である。
【0053】
フルオロ置換化合物として適している他のフルオロ置換化合物は、リチウムフルオロ(オキサレート)ボレートおよびリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレートである。それらは溶媒ではないが、電解質塩添加剤である。
【0054】
また、フッ素化ヘテロ環、特に、フッ素化ジオキソラン、フッ素化オキサゾリジン、フッ素化イミダゾリジン、フッ素化ジヒドロイミダゾール、フッ素化2,3−ジヒドロイミダゾール、フッ素化ピロール、フッ素化チオフェン、フッ素化チアゾールおよびフッ素化イミダゾールが適している。
【0055】
適したフッ素化ジオキソランは例えばchemstep(France)から入手可能な2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン(米国特許第5,750,730号明細書)および2−フルオロ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキソランである。
【0056】
適したフッ素化オキサゾリジンは例えばchemstepから入手可能な2,2−ジフルオロ−3−メチルオキサゾリジンおよび4,5−ジフルオロ−3−メチルオキサゾリジン−2−オンである。
【0057】
適したフッ素化イミダゾリジンは例えばabcrから入手可能な2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン、およびApolloから入手可能な1,3−ジブチル−2,2−ジフルオロイミダゾリジンである。
【0058】
適したフッ素化2,3−ジヒドロイミダゾールは例えばchemstepから入手可能な2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾールおよび1−エチル−2−フルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾールである。
【0059】
適したフッ素化イミダゾールは例えばselectlabから入手可能な1−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール、およびchemstepから入手可能な2−フルオロ−1−(メトキシメチル)−1H−イミダゾールである。
【0060】
適したフッ素化ピロールは例えばchemstepから入手可能な2−エチル−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピロールである。
【0061】
適したフッ素化チオフェンは例えばapacpharmaから入手可能な2−フルオロチオフェンである。
【0062】
適したフッ素化チアゾールは例えばchemstepから入手可能な4−フルオロチアゾールである。
【0063】
また、フルオロ置換有機液体は例えば4,5−ジメチル−3−ペルフルオロオクチル−1,2,4−トリアゾリウムテトラフルオロボレートである。
【0064】
フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群の一部である他のフルオロ置換化合物、もしくは好ましくは、上述のF置換エステル、アミド、エーテル、カルバメート、環状または非環状カーボネート、ホスホラン、ホスフィット、ホスフェート、ホスホネートおよびヘテロ環に対してさらに存在している他のフルオロ置換化合物は、国際公開第2007/042471号パンフレットに記載されたフルオロ置換化合物である。その文献には、
1−アセトキシ−2−フルオロベンゼン、1−アセトキシ−3−フルオロベンゼン、1−アセトキシ−4−フルオロベンゼン、2−アセトキシ−5−フルオロベンジルアセテート、4−アセチル−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール、6−アセチル−2,2,3,3−テトラフルオロベンゾ−1,4−ジオキシン、1−アセチル−3−トリフルオロメチル−5−フェニルピラゾール、1−アセチル−5−トリフルオロメチル−3−フェニルピラゾール、ベンゾトリフルオリド、ベンゾイルトリフルオロアセトン、1−ベンゾイル−3−トリフルオロメチル−5−メチルピラゾール、1−ベンゾイル−5−トリフルオロメチル−3−メチルピラゾール、1−ベンゾイルオキシ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼン、1−ベンゾイル−4−トリフルオロメチルベンゼン、1,4−ビス(t−ブトキシ)テトラフルオロベンゼン、2,2−ビス(4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート、1,4−ビス(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)ベンゼン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、ジフルオロアセトフェノン、2,2−ジフルオロベンゾジオキソール、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−4−カルバルデヒド、1−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]エタノン、3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−プロペン、フルオロベンゾフェノン、ジフルオロベンゾフェノン、1−(2’−フルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)プロパン−1−オン、6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチイン−4−オン、4−フルオロジフェニルエーテル、5−フルオロ−1−インダノン、1−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エタノン、フルオロフェニルアセトニトリルからなる芳香族化合物の群、
ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメチルシラン、1,2−ビス[ジフルオロ(メチル)シリル]エタン、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−(t−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチルイミダゾリウムトリメチルジフルオロシリコネート、ジフェニルジフルオロシランからなるSi−C結合を有する化合物の群、
ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロプ−2−イル)2−メチレンスクシネート、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロプ−2−イル)マレエート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)マレエート、ビス(ペルフルオロオクチル)フマレート、ビス(ペルフルオロイソプロピル)ケトン、2,6−ビス(2,2,2−トリフルオロアセチル)シクロヘキサノン、ブチル2,2−ジフルオロアセテート、シクロプロピル4−フルオロフェニルケトン、ジエチルペルフルオロアジペート、N,N−ジエチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオンアミドからなるC=O結合を有する化合物の群、
アリル1H,1H−ヘプタフルオロブチルエーテル、トランス−1,2−ビス(ペルフルオロヘキシル)エチレン、(E)−5,6−ジフルオロオクタ−3,7−ジエン−2−オンからなるC=C結合を有する化合物の群、
N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルアミンからなるアミンの群から選択される、リチウムイオンバッテリの電解質のための添加剤および電解質溶媒として当該発明のための適した化合物が開示されている。
【0065】
用語「ジフルオロアセトフェノン」は芳香族環上の2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−および3,5−位置にフッ素置換を有する異性体を包含する。
【0066】
用語「フルオロベンゾフェノン」は特に異性体2−フルオロベンゾフェノンおよび4−フルオロベンゾフェノンを包含する。
【0067】
用語「ジフルオロベンゾフェノン」は2,3’−、2,3−、2,4’−、2,4−、2,5−、2,6−、3,3’−、3,4’−、3,4−、3,5−および4,4’−位置にフッ素置換を有する異性体を包含する。
【0068】
用語「フルオロフェニルアセトニトリル」は2−、3−および4−位置にフッ素置換を有する異性体を包含する。
【0069】
化合物は公知の方法で合成されてもよく、また、例えばABCR GmbH & Co.KG(Karlsruhe、Germany)から市販されている。
【0070】
上述のフッ素化有機化合物が唯一の溶媒として、すなわち単一溶媒の形態で用いられてもよく、もしくはそれらは、フルオロ置換されない1つまたは複数の有機溶媒と混合して適用される。それらは、直鎖または環状エーテル、エステル、ケトン、飽和または不飽和アルカン、芳香族炭化水素および特に有機カーボネートと一緒に適用されてもよい。アルキルカーボネートおよびアルキレンカーボネートが好ましい溶媒である。しばしば、エチレンカーボネート(EC)が溶媒中に含まれる。溶媒はさらに、低粘度剤、例えば1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートのようなエーテルおよびそれらの任意の混合物を含有してもよい。また、ニトリル、例えばアセトニトリル、およびt−アミルベンゼン、およびチオ置換化合物、例えば、エチレン−1,3−ジオキソラン−2−チオン(エチレンチオカーボネート)が非常に適した非フッ素化溶媒または添加剤である。また、溶媒はさらに、ベンゼン、フルオロベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、キシレンまたはシクロヘキサンを含有してもよい。また、リチウムビス(オキサラト)ボレートを適用することができる。それは溶媒ではないが、電解質塩添加剤である。
【0071】
好ましい混合物は、モノフルオロエチレンカーボネート、シス−ジフルオロエチレンカーボネート、トランス−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、2,2,2−トリフルオロエチル−メチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−フルオロメチルカーボネート、ならびにエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびメチルエチルカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの非フッ素化有機化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0072】
バッテリ溶媒は、0.1〜100重量%のフルオロ置換有機化合物を含有する。しばしば、フッ素化有機化合物は、3重量%以上の量で電解質溶媒中に含有される。しばしば、それは、50重量%以下、好ましくは、30重量%以下の量で含有される。
【0073】
カソード区画において金属リチウムを溶媒から分離するための膜を含むバッテリにおいて、イオン性液体を上述のフルオロ置換化合物のいずれかと混合して適用することができる。非常に適したイオン性液体は、イミダゾリウム、およびピリジニウム誘導体をベースとしたイオン性液体であるが、ホスホニウムまたはテトラアルキルアンモニウム化合物もまた適用することができる。代表的なイオン性液体は、トシレート、トリフレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス−(フルオロスルホニル)アミド、ビス−(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、ならびに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムのテトラフルオロボレート、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムのオクチルサルフェートである。
【0074】
Li−Sバッテリの非常に適した膜は、米国特許第7,390,591号明細書(あらゆる目的のためにその内容をその全体において参照によって本願明細書に組み込む)に記載されている。これらの膜は、活性金属のイオンに対しては高度に伝導性であるが、他の場合なら実質的に不透過性である。それらは化学的に安定しており、活性金属アノードを他のバッテリ部品との有害な反応から保護し、アノードおよびカソードの化学環境を切り離す。それらはモノリシックであるか、または2つ以上の層から構成されてもよい。
【0075】
例えば、活性金属と接触している第1の層は、部分的にまたは完全にLiN、LiP、LiI、LiBr、LiCl、LiFおよびLiPONから構成されてもよい。
【0076】
第2の層は、実質的に不透過性、イオン伝導性および第1の材料(またはその先駆物質)と化学的に親和性である材料から構成されてもよい。適した材料には、ガラスまたは非晶質金属イオン伝導体、例えば、リン系または酸化物系ガラス、オキシ窒化リン系ガラス、セレニド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラスおよびボラサイトガラスなどがある。セラミック活性金属イオン伝導体、例えばリチウムベータ−アルミナ、ナトリウムベータ−アルミナ、Li超イオン伝導体(LISICON)、Na超イオン伝導体(NASICON)等、およびガラス−セラミック活性金属イオン伝導体もまた、適している。特定の例、例えばLiPONが米国特許第7,390,591号明細書の第4欄、1〜39行目に見出される。
【0077】
層は、付加的な構成成分、例えばポリマー、例えば、ポリエチレン−ヨウ素のようなポリマー−ヨウ素錯体、またはポリマー電解質をさらに含み、保護複合材の第2の層として使用されてもよい材料の可撓性複合シートを形成してもよい。例えば、Li−イオン伝導ガラス−セラミック材料とポリエチレンオキシド−Li塩錯体ベースの固体ポリマー電解質との複合材。このような材料は、Ohara Corp.から入手可能である。
【0078】
カソードは好ましくは、米国特許第7,390,591号明細書の第15欄に記載されたカソードの一つである。適したカソードには、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、Ag、Cu、V、V13、FeSおよびTiSなどがある。
【0079】
バッテリセルの製造は、米国特許第7,390,591号明細書の第15欄、33行目〜第16欄2行目に示されているように本技術分野に公知である。
【0080】
本発明のバッテリセルの利点は、より低い重量および低減されたコストにおいて改良された火災保護およびエネルギー密度である。
【0081】
本発明の別の態様は、酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つのフルオロ置換有機化合物であって、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択されるフルオロ置換有機化合物と、元素硫黄およびM(式中、MがNaまたはLiであり、Xが硫黄であり、yが1、2、3、4、6または8である)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む電解質溶液に関する。好ましくは、MがLiであり、MがLiであり、yが1、2、3、4、6または8である。特に好ましくは溶液は、LiBF、LiCIO、LiAsF、LiPO、LiPFおよびLiN(CFSOからなる群から選択される電解質塩を含む。電解質塩の濃度は好ましくは1±0.1モル濃度である。
【0082】
好ましいフッ素化有機化合物は、詳細に上に記載されたフッ素化有機化合物である。フルオロエチレンカーボネート、シス−およびトランス−4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネートおよびテトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2オン、5−エチル−4−フルオル−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジメチル−4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましい。
【0083】
本発明のさらに別の態様は、酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むフルオロ置換有機化合物の、唯一の溶媒としてまたは少なくとも1つの非フルオロ置換溶媒と混合しての使用、もしくはリチウムビス(オキサラト)ボレートまたはリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレートの、リチウム酸素バッテリ、リチウム硫黄バッテリ、またはマグネシウム−酸素バッテリのカソード区画において、好ましくはリチウム硫黄バッテリにおいての使用に関する。
【0084】
好ましくは、特に好ましくはリチウム硫黄バッテリにおいて、フルオロ置換有機化合物は、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択される。
【0085】
参照によって本願に組み込まれる一切の特許、特許出願、および刊行物の開示内容が、用語を不明確にする程度まで本出願の説明と対立する場合、本願の説明が優先されるものとする。
【0086】
以下の実施例は本発明を説明することを意図し、それを限定しない。
【実施例】
【0087】
F1ECはフルオロエチレンカーボネートである。
【0088】
実施例1 F1EC中の硫黄の溶液
50mgの硫黄を一つ口PFAフラスコ内に置いた。モノフルオロエチレンカーボネートを10mLずつ添加した。添加するたびに混合物を10分間25℃において攪拌した。180mLを添加した後に硫黄を溶解した。
【0089】
実施例2 F1EC中の硫化リチウムの溶液
50mgの硫化リチウムを一つ口PFAフラスコ内に置いた。モノフルオロエチレンカーボネートを10mLずつ添加した。添加するたびに混合物を10分間25℃において攪拌した。250mLを添加した後に硫化リチウムを溶解した。
【0090】
実施例3 多硫化リチウムの調製
100mgの硫化リチウムを250mLの乾燥THF中に溶解した。490mgの硫黄を添加し、混合物を室温において24時間攪拌した。硫黄が溶解し、多硫化リチウムを形成した。溶媒の蒸発後、褐色の生成物を真空中で乾燥した。
【0091】
実施例4 F1EC中の多硫化リチウムの溶液
50mg多硫化リチウムを一つ口PFAフラスコ内に置いた。モノフルオロエチレンカーボネートを10mLずつ添加した。添加するたびに混合物を10分間25℃において攪拌した。100mLを添加した後に多硫化リチウムを溶解した。
【0092】
実施例5 リチウム硫黄バッテリ
米国特許出願公開第2009/0061288号明細書の図1のバッテリタイプに相当するリチウム−硫黄バッテリが提供される。それは2つの集電装置を含む。アノードはリチウムを含有する。カソードは、元素硫黄とLi(一硫化リチウムおよび/または多硫化リチウム)と溶媒とを含有する。溶媒は、少なくとも部分的に元素硫黄とLiとを溶解するように選択される。バッテリはさらに、アノード区画とカソード区画との間に実質的に非孔質のリチウムイオン伝導膜を含有する。膜は例えば、Ceramatec Inc.(Salt Lake City,USA)から入手可能なLISICON膜、例えば、Li1+xAlTi2−x(PO(式中、xが0.0〜0.5である)をベースとした膜である。必要ならば、膜にリチウム塩、例えばLiPFを注入してアノードと膜との間でリチウムイオンを伝導することができる。
【0093】
カソード区画の溶媒は、表1に記載した混合物の1つから選択される。
【0094】
【表1】

【0095】
略語
EC=エチレンカーボネート
PC=プロピレンカーボネート
TG=テトラグライム
F1EC=モノフルオロエチレンカーボネート
F2EC=ジフルオロエチレンカーボネート(シス−4,5、トランス−4,5および4,4−異性体を含有する混合物)
F3EC=トリフルオロエチレンカーボネート
F4EC=テトラフルオロエチレンカーボネート
F1DMC=フルオロメチルメチルカーボネート
4FPC=4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン
FMTFEC=フルオロメチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート
【0096】
バッテリの運転
上述のバッテリが放電される場合、リチウム金属がアノードにおいて酸化されてリチウムイオンおよび電子を生じる。電子が電力消費装置を通過し、リチウムイオンが膜を通してカソードに伝導され、そこにおいてそれらは硫黄と徐々に反応して高い多硫化物(例えばLiまたはLi)を形成する。電圧は2.5Vから2.1Vに低下してもよい。
【0097】
バッテリは、電源に接続される時に再充電される。ここで、カソード区画からのリチウムイオンは、膜を通してアノード区画に移動し、電子と組み合わせられて元素リチウムを形成する。カソード区画において、元素硫黄がSアニオンから形成する。
【0098】
実施例6 多硫化リチウムバッテリ
実施例5において説明されたバッテリのために、実施例1、2および4に説明された硫黄、硫化リチウムまたは多硫化リチウムの溶液の少なくとも1つが、表1に示された各々の他の溶媒と適切な量において混合され、バッテリにおいて利用された各々の溶媒中の硫黄、硫化リチウムまたは多硫化リチウムの溶液を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つのフルオロ置換有機化合物を含むかまたはからなる電解質溶媒を含むLi−Sバッテリであって、前記フルオロ置換有機化合物が、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択される、Li−Sバッテリ。
【請求項2】
リチウムを含有するアノードと、元素硫黄を含有するカソードと集電装置とを含むと共に、酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つのフルオロ置換有機化合物を含むかまたはからなる電解質溶媒を有するリチウム硫黄バッテリであって、前記フルオロ置換有機化合物が、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択される、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項3】
前記溶媒が前記カソードに含有される、請求項1または請求項2に記載のバッテリ。
【請求項4】
前記フルオロ置換有機化合物が、モノフルオロエチレンカーボネート、シス−ジフルオロエチレンカーボネート、トランス−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、2,2,2−トリフルオロエチル−メチルカーボネート、および2,2,2−トリフルオロエチル−フルオロメチルカーボネートからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバッテリ。
【請求項5】
前記電解質溶媒が少なくとも1つの非フッ素化溶媒をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバッテリ。
【請求項6】
前記非フッ素化溶媒が、アルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、およびエーテルからなる群から選択される、請求項5に記載のリチウムバッテリ。
【請求項7】
前記非フッ素化溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、テトラグライム、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびそれらの任意の混合物からなる群からの少なくとも1つの溶媒である、請求項6に記載のリチウムバッテリ。
【請求項8】
各々の金属イオンに対して選択的に伝導性である膜をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバッテリ。
【請求項9】
リチウムイオンに対して選択的に伝導性である膜をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のバッテリ。
【請求項10】
酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むフルオロ置換有機化合物の、唯一の溶媒としてまたは少なくとも1つの非フルオロ置換溶媒と混合しての使用、もしくはリチウムビス(オキサラト)ボレートまたはリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレートの、リチウム酸素バッテリ、リチウム硫黄バッテリ、またはマグネシウム−酸素バッテリのカソード区画においての使用。
【請求項11】
前記フルオロ置換有機化合物が、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
酸素、窒素、リン、硫黄およびケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つのフルオロ置換有機化合物であって、フルオロ置換カルボン酸エステル、フルオロ置換カルボン酸アミド、フルオロ置換フッ素化エーテル、フルオロ置換カルバメート、フルオロ置換環状カーボネート、フルオロ置換非環状カーボネート、フルオロ置換エーテル、ペルフルオロアルキルホスホラン、フルオロ置換ホスフィット、フルオロ置換ホスフェート、フルオロ置換ホスホネートおよびフルオロ置換ヘテロ環からなる群から選択されるフルオロ置換有機化合物と、
元素硫黄およびM(式中、MがNaまたはLiであり、Xが硫黄であり、yが1、2、3、4、6または8である)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む電解質溶液。
【請求項13】
MがLiである、請求項12に記載の電解質溶液。
【請求項14】
MがLiであり、溶液が、LiBF、LiCIO、LiAsF、LiPO、LiPFおよびLiN(CFSOからなる群から選択される電解質塩をさらに含む、請求項12または13に記載の電解質溶液。

【図1】
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【公表番号】特表2013−508927(P2013−508927A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535784(P2012−535784)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066143
【国際公開番号】WO2011/051275
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】