説明

リチウム硫黄電池

【課題】電池容量の低下を抑制し、かつ、充放電効率を高めることができるリチウム硫黄電池を提供する。
【解決手段】コイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、この電池ケース21の内部に設けられた負極22と、負極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた正極23と、非水電解液27と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここで、非水電解液27は、非水系溶媒と支持塩と酸とを含んでいる。添加する酸は、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれた1種以上である。酸の添加量は、非水系溶媒に対して0.02M以上0.5M以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム硫黄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硫黄を正極活物質として使用する硫黄電池が知られている。硫黄は1672mAh/gという極めて高い理論容量密度を有するものであり、高容量電池として期待されている。しかし、硫黄電池では、充放電時等に硫黄分子やポリ硫化物イオンなどが電解液中へ溶解して拡散し、これが負極金属と反応して自己放電を生じたり負極を劣化させることで、電池の容量や充放電効率(クーロン効率)を劣化させることがあった。
【0003】
そこで、例えば、電気活性硫黄材料を含むカソードと、リチウムを含むアノードと、非水性電解質であって、非環式エーテル、環式エーテル、ポリエーテル、およびスルホンからなる群より選択される非水系溶媒と、リチウム塩と、塩であるN−O添加剤を含むものとを備えた電気化学セルが提案されている(特許文献1参照)。この電気化学セルでは、低自己放電率、高カソード利用率、高充電−放電効率、高比容量のいずれかを示すとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−518229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、充放電効率を高めることができるが、電池容量が低下することがあり、電池容量の低下を抑制することが望まれていた。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、電池容量の低下を抑制し、かつ、充放電効率を高めることができるリチウム硫黄電池を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、リチウム硫黄電池のイオン伝導媒体に所定の酸を添加したところ、電池の容量の低下を抑制し、かつ、充放電効率を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のリチウム硫黄電池は、
硫黄を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを含む負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれた1種以上の酸と非水系溶媒と支持塩とを含むイオン伝導媒体とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
このリチウム硫黄電池では、電池容量の低下を抑制し、かつ、充放電効率を高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、非水系溶媒と支持塩とを含むイオン伝導媒体に、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸、トリフルオロ酢酸などの酸を添加すると、支持塩を非水系溶媒中で安定して存在させることが可能となり、イオン伝導媒体の劣化を抑制できるためと推察される。あるいは、イオン伝導媒体に含まれる成分とイオン伝導媒体中に拡散したポリ硫化物イオンとの反応を抑制することによって、活物質として電池反応に寄与し得る硫黄量の減少を抑制できるためと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コイン型電池20の構成の概略を表す断面図。
【図2】評価セル30の説明図。
【図3】塩化水素濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示すグラフ。
【図4】硝酸濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示すグラフ。
【図5】リン酸濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示すグラフ。
【図6】亜リン酸濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示すグラフ。
【図7】トリフルオロ酢酸濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のリチウム硫黄電池は、硫黄を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在し、非水系溶媒と支持塩と所定の酸とを含むイオン伝導媒体と、を備えている。
【0012】
本発明のリチウム硫黄電池において、正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質は、硫黄を含むものである。硫黄はどのような形態で含まれていてもよいが、単体硫黄及び金属硫化物の両方又は一方であることが好ましい。なお、本発明において、金属硫化物とは金属多硫化物をも含むものとする。即ち、金属をMeとすると金属硫化物はMexy(x≧0,y≧0)で表すことのできるものとする。
【0013】
本発明のリチウム硫黄電池において、負極は、負極活物質としての金属リチウムやリチウム合金そのものでもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質は、リチウムを含む材料(リチウム系材料とも称する)であればよく、金属リチウムやリチウム合金のほか、リチウム酸化物、リチウム複合酸化物、リチウム硫化物、リチウム複合硫化物などが挙げられる。リチウム合金としては、例えば、アルミニウムやシリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。このリチウム系材料は、リチウムを主成分とする材料であることが好ましい。ここで、主成分とは、含まれる成分全体のうち原子量比が最も多い成分をいうものとすることができるが、例えば、50at%以上含まれる成分や、70at%以上含まれる成分、90at%以上含まれる成分などを主成分としてもよい。リチウム系材料は、金属リチウムであることが好ましい。金属リチウムを負極として用いると、理論電圧や電気化学当量を高めることが可能であり、高容量化を図ることができると考えられるからである。なお、リチウム系材料は、リチウムを吸蔵放出可能なものであることが好ましい。
【0014】
本発明のリチウム硫黄電池において、正極及び負極に用いられる導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばエタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
【0015】
本発明のリチウム硫黄電池において、イオン伝導媒体は、非水系溶媒に支持塩を溶解し、さらに、添加剤として酸を添加したものである。非水系溶媒は、特に限定されないが、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類、ジメトキシエタン(DME)、トリグライム及びテトラグライムなどのエーテル類、ジオキソラン(DOL)、テトラヒドロフランなどの環状エーテル及び、それらの混合物が好適である。また、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどのイオン液体を用いることもできる。イオン伝導媒体は、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子類又はアミノ酸誘導体やソルビトール誘導体などの糖類に、支持塩や酸を含む非水系溶媒を含ませてゲル化されていてもよい。支持塩は、通常のリチウム二次電池に用いられるリチウム塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、Li(C25SO22N、LiPF6,LiClO4,LiBF4,などの公知の支持塩を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。支持塩は、塩基性を示すものであること(塩基性支持塩とも称する)が好ましく、例えば、塩基性支持塩としてはLiTFSIが挙げられる。
【0016】
添加剤としての酸は、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれた1種以上の酸とすることができる。このうち、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸などの無機酸が好ましい。このうち、塩化水素であれば、添加量が少なくても比較的高い効果が得られるため好ましい。また、共鳴構造を有する硝酸は、高い放電容量を示すため、好ましい。酸の添加量は、特に限定されないが、安全性の観点から酸が負極に含まれるリチウムと激しい反応を生じない濃度とすることが好ましい。このような濃度は酸の種類によっても異なるが、例えば、非水系溶媒に対して1M以下であることが好ましく、0.5M以下であることがより好ましい。また、酸の添加の効果を生じさせるためには、0.01M以上であることが好ましく、0.02M以上であることがより好ましい。この濃度は、酸が塩化水素であれば、0.02M以上0.08M以下が好ましい。また、酸が硝酸であれば、0.3M以下が好ましく、0.05M以上0.25M以下がより好ましい。また、酸がリン酸であれば、0.3M以下が好ましく、0.2M以上0.25M以下が好ましい。また、酸が亜リン酸であれば、0.225M以下が好ましく、0.1M以上0.2M以下が好ましい。また、酸がトリフルオロ酢酸であれば、0.15M以下が好ましく、0.05M以上0.1M以下が好ましい。このような範囲であれば、高い放電容量が得られ、また、充放電効率も良好である。
【0017】
本発明のリチウム硫黄電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムや、ポリイミド三次元多孔フィルムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
【0018】
本発明のリチウム硫黄電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
【0019】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0020】
以下には、本発明のリチウム硫黄電池を具体的に作製した例を実施例として説明する。
【0021】
(1)評価セルの作製
電解液を以下のように調製した。1,2−ジメトキシエタン(DME)と1,3−ジオキソラン(DOL)とを体積比が9:1となるように混合したDME/DOL溶液に1Mのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を溶解した。そして、この溶液に、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸、トリフルオロ酢酸などの酸を、表1に示す割合で添加し、これを各実験例の電解液とした。
【0022】
正極材を以下のように作製した。活物質としての硫黄粉末(高純度化学製、純度99.99%)を50質量%、結着材としてのポリテトラフルオロエチレンを10質量%、導電材としてのカーボン(ECP600JD、ライオン社製)を40質量%配合し、乳鉢で混練後シート状に成形した。このシートを直径12mmの円形状に切り出し、真空加熱乾燥して正極材とした。負極材には、厚さ0.4mm、直径18mmの円形状に切り出したリチウム箔を用いた。
【0023】
このようにして得られた正極材と負極材と電解液(イオン伝導媒体)と、セパレータとしてのポリエチレン製多孔膜とを用い、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で図2の評価セルを作成した。図2は評価セル30の説明図であり、図2(a)は評価セル30の組立前の断面図、図2(b)は評価セル30の組立後の断面図である。評価セル30を組み立てるにあたり、まず、外周面にねじ溝が刻まれたステンレス製の円筒基体32の上面中央に設けられたキャビティ34に、負極36と、ポリエチレン製セパレータ38(微多孔性ポリエチレン膜、東燃化学(株)製)と、正極40とを、この順に、100μlの電解液をキャビティ34に注入しながら積層した。さらに、ポリプロピレン製の絶縁リング49を入れ、次いで絶縁性のリング42の穴に液密に固定された導電性の円柱44を正極40の上に配置し、導電性のコップ状の蓋46を円筒基体32にねじ込んだ。さらに、円柱44の上に絶縁用樹脂リング47を配置し、蓋46の上面中央に設けられた開口46aの内周面に刻まれたねじ溝に貫通孔45aを持つ加圧ボルト45をねじ込み、負極36とセパレータ38と固体電解質膜38と正極40とを加圧密着させた。このようにして、評価セル30を作製した。なお、円柱44は、リング42の上面より下に位置し絶縁用樹脂リング47を介して蓋46と接しているため、蓋46と円柱44とは電気的に非接触な状態となっている。また、キャビティ44の周辺にはパッキン48が配置されているため、キャビティ34内に注入された電解液が外部に漏れることはない。この評価セル30では、蓋46と加圧ボルト45と円筒基体32とが負極36と一体化されて全体が負極側となり、円柱44が正極40と一体化されると共に負極36と絶縁されているため正極側となる。
【0024】
(2)電気化学特性の評価
上述のようにして得られた各実験例の評価セルを用いて、電気化学特性の評価を行った。まず、評価セルを25℃に保持した恒温層内に設置して2.8Vから1.5Vまでの領域で0.5mAの定電流放電及び定電流充電を行った。この放電と充電を1サイクルとして50サイクル繰り返した。そして、このときの放電容量および充電容量を測定し、n回目の放電時の放電容量をDn(mAh/g)、n回目の充電時の充電容量をCn(mAh/g)とした。なお、ここでは、放電容量とは、正極合材あたりの容量をいうものとした。そして、測定した充電容量および放電容量から、(D50/D10)×100で示される容量維持率(%)および、(D5/C4)×100で示される充放電効率(%)を求めた。表1には、実験例1〜24の放電容量D2(mAh/g)、容量維持率(%)及び充放電効率(%)を示した。
【0025】
【表1】

【0026】
(3)考察
表1に示すように、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸、トリフルオロ酢酸のいずれかを添加した実験例1〜23では、いずれの酸も添加しなかった実験例24と同等以上の放電容量や容量維持率を示し、かつ、充放電効率を高めることができることがわかった。なお、表1によれば、亜リン酸の充放電効率は何も添加しない場合と同等であるが、サイクルを繰り返すごとに向上し、初期の数サイクル以外は何も添加しない場合に比して良好な値であった。なお、添加剤として塩を用いたものとの違いを確認するため、硝酸リチウムを添加した実験も行ったところ、充放電効率を高めることができたが、電池容量が大きく低下した。以上より、イオン伝導媒体に、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸、トリフルオロ酢酸のいずれかを添加することで、電池容量の低下を抑制し、かつ、充放電効率を高めることができることがわかった。
【0027】
次に、酸の添加量の好適範囲を検討した。図3〜7に酸濃度に対する放電容量、容量維持率及び充放電効率の関係を示す。図3より、塩化水素の添加量は0.08M以下であれば放電容量が高く好ましいことがわかった。なかでも、0.02M以上であれば、充放電効率も高く好ましいことがわかった。また、図4より、硝酸の添加量は0.3M以下であれば放電容量が高く好ましいことがわかった。なかでも、0.05M以上0.25M以下であれば、放電容量が特に高く、充放電効率も高く好ましいことがわかった。また、図5より、リン酸の添加量は、0.3M以下であれば放電容量が高く好ましいことがわかった。なかでも、0.2M以上0.25M以下であれば充放電効率も高く好ましいことがわかった。また、図6より、亜リン酸の添加量は、0.225M以下であれば放電容量が高く好ましいことがわかった。なかでも、0.1M以上0.2M以下であれば放電容量が特に高く、また充放電効率も高く好ましいことがわかった。また、図7より、トリフルオロ酢酸の添加量は、0.15M以下であれば放電容量が高く好ましいことがわかった。なかでも、0.05M以上0.1M以下であれば放電容量が高く、充放電効率も高く好ましいことがわかった。
【符号の説明】
【0028】
20 コイン型電池、21 電池ケース、22 負極、23 正極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 イオン伝導媒体、30 評価セル、32 円筒基体、34 キャビティ、36 負極、38 セパレータ、40 正極、42 リング、44 円柱、45 加圧ボルト、45a 貫通孔、46 蓋、46a 開口、47 絶縁用樹脂リング、48 パッキン、49 絶縁リング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを含む負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、塩化水素、硝酸、リン酸、亜リン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれた1種以上の酸と非水系溶媒と支持塩とを含むイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム硫黄電池。
【請求項2】
前記酸の添加量は、前記非水系溶媒に対して0.02M以上0.5M以下である、請求項1に記載のリチウム硫黄電池。
【請求項3】
前記支持塩は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、請求項1又は2に記載のリチウム硫黄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114920(P2013−114920A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260347(P2011−260347)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】