説明

リチウム2次電池用電解液およびこれを含むリチウム2次電池

【課題】高電圧および低温/高温で優れた寿命特性を示すリチウム2次電池用電解液およびこれを含むリチウム2次電池を提供する。
【解決手段】本発明によるリチウム2次電池用電解液は、リチウム塩;アルキルアセテート(alkyl acetate)等を含む第1有機溶媒;およびスルトン(sultone)系化合物等を含む第1添加剤を含み、前記第1添加剤は、有機溶媒総量に対して0.01超乃至6重量%未満で含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、リチウム2次電池用電解液およびこれを含むリチウム2次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯用小型電子機器の電源として脚光を浴びているリチウム2次電池は、有機電解液を使用することに伴って、既存のアルカリ水溶液を使用した電池よりも2倍以上の高い放電電圧を示し、その結果、高いエネルギー密度を示す電池である。
【0003】
このようなリチウム2次電池は、リチウムをインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極、およびリチウムをインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる負極活物質を含む負極を含む電池セルに電解液を注入して使用される。
【0004】
最近、リチウム2次電池の価格安定および容量増加のために使用電圧を高電圧に上げる試みが進められているが、高電圧での遂行時に寿命に急激な劣化現象が起こり実際の製品に適用しにくいという問題がある。特に低温で抵抗増加による低温寿命の劣化が深刻な水準である。低温特性および電池の容量を向上させるために、Siを含む負極を利用した電池が研究されたが、既存の有機溶媒と前記Siが副反応を起こし得るというさらなる問題点があった。
したがって、低温寿命の特性を向上させながら、電池容量の向上のために負極活物質としてSiを使用し、これと共にSiと電解液の間の副反応を最少化することによって、高温寿命の特性を向上させることができるリチウム2次電池の普及が必要である実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、高電圧および低温で優れた寿命特性を示すリチウム2次電池用電解液を提供することにその目的がある。
本発明の他の実施形態は、Si系化合物と有機溶媒の間の副反応を最少化して高温寿命の特性を示すリチウム2次電池用電解液を提供することにその目的がある。
本発明のさらに他の実施形態は、前記電解液を含むリチウム2次電池を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、下記を含むリチウム2次電池用電解液を提供する。
下記化学式3で表される化合物を含む第1添加剤:
【化1】

前記化学式3中、
Lは、(L)mであり;
L1は、独立して、C(Rおよび(CR10=CR10)からなる群より選択されてもよく;
は、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択されてもよく;
10は、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択されてもよく;
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい;
リチウム塩;および
下記化学式4で表される化合物を含む第1有機溶媒:
【化2】

前記化学式4中、
11は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基であってもよく;
12は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基であってもよく;前記電解液は、第1添加剤を電解液総量に対して0.01重量%超6重量%未満を含むことができる。
前記リチウム2次電池用電解液は、前記第1有機溶媒を電解液中の有機溶媒の総量に対して10体積%乃至60体積%を含むことができる。
前記第1有機溶媒は、メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテートであることが好ましい。
前記リチウム2次電池用電解液は、電解液総量に対して0.1重量%乃至5重量%の第1添加剤を含むことが好ましい。
前記第1添加剤は、1,3−プロパンスルトン(1,3−propan sultone)、1,3−プロペンスルトン(1,3−propene sultone)、1,4−ブタンスルトン(1,4−butane sultone)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記第1添加剤は、1,3−プロパンスルトンであってもよい。前記第1添加剤は、1,3−プロペンスルトンであってもよい。前記第1添加剤は、1,4−ブタンスルトンであってもよい。
前記リチウム2次電池用電解液は、第2有機溶媒をさらに含み、前記第2有機溶媒は、一つ以上のカーボネート成分(carbonate moiety)を含むことができる。前記第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびブチレンカーボネート(BC)からなる群より選択される一つ以上の化合物を含むことができる。
前記第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびエチレンカーボネート(EC)からなる群より選択される一つ以上の化合物を含むことができる。
前記リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、xおよびyは自然数であるLiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサラト)ボレート)、またはこれらの一つ以上の組み合わせを含むことができる。
前記第1添加剤は、1,3−プロパンスルトンまたは1,3−プロペンスルトンであってもよく、リチウム塩は、LiPFであってもよく、第1有機溶媒は、メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテートであってもよく、第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、またはこれらの組み合わせであってもよい。
前記第1有機溶媒対前記第2有機溶媒の比は、約1:50乃至約50:1であってもよい。前記第1有機溶媒対前記第2有機溶媒の比は、約1:10乃至約10:1であってもよい。前記第1有機溶媒対前記第2有機溶媒の比は、約1:9乃至約3:2であってもよい。
本発明のさらに他の実施形態は、負極活物質を含む負極;正極活物質を含む正極;および前記電解液を含むリチウム2次電池を提供する。
前記負極と前記正極との間にセパレータをさらに含むことができる。
前記負極活物質は、炭素物質、Si系化合物、Sn系化合物、リチウム金属、リチウム金属合金、および遷移金属酸化物からなる群より選択される一つ以上の成分を含むことができる。負極活物質は、炭素物質、およびSi系化合物からなる群より選択される一つ以上の成分を含むことができる。
前記負極活物質は、炭素物質を含み、前記炭素物質は、黒鉛であってもよい。
前記負極活物質は、Si系化合物をさらに含み、前記Si系化合物は、Si、SiO、Si−炭素複合体、Si−Q合金、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよく、ここで、0<x<2であり、Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族乃至16族から選択される元素、但しSiを除く、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
前記Si系化合物対前記黒鉛の重量比は、約1:99乃至約10:90で含むことができる。前記Si系化合物対前記黒鉛の重量比は、約2:98乃至約6:94で含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記リチウム2次電池用電解液を使用する場合、高電圧および低温/高温で優れた寿命特性を示すリチウム2次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態によるリチウム2次電池を示す概略図である。
【図2】比較例9乃至12および比較例23乃至25により製造されたリチウム2次電池の高温(45℃)寿命特性を示すグラフである。
【図3】実施例14乃至17により製造されたリチウム2次電池の高温(45℃)寿命特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるもので、本発明はこれによって制限されず、特許請求の範囲の範疇により定義される。
【0010】
本発明の一実施形態によるリチウム2次電池用電解液は、リチウム塩;エチルアセテート(ethyl acetate)等の第1有機溶媒を含む有機溶媒;および第1添加剤を含み、前記第1添加剤は、前記電解液総量に対して0.01超乃至6重量%未満で含まれる。
前記第1添加剤は、下記化学式3で表される化合物を含むことができる:
【化3】

前記化学式3中、
Lは、(L)mであり;
L1は、独立して、C(Rおよび(CR10=CR10)からなる群より選択されてもよく;
は、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択されてもよく;
10は、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択されてもよく;
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい;
前記第1有機溶媒は、下記化学式4で表される化合物を含むことができる:
【化4】

前記化学式4中、
11は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基であってもよく;
12は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基であってもよい。具体的には、R11は、置換または非置換のC1−C3のアルキル基であってもよく;R12は、置換または非置換のC1−C3のアルキル基であってもよい。より具体的には、R11は、メチル、エチル、またはプロピルであってもよく;R12は、メチルであってもよい。さらに具体的には、化学式4で表される化合物は、メチルアセテート、エチルアセテート、およびプロピルアセテートからなる群より選択されてもよい。
【0011】
前記リチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサラト)ボレート(lithium bis(oxalato) borate:LiBOB)、LiTFSi(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(lithium bis(Trifluoromethanesulfonyl)imide))またはこれらの混合物が挙げられ、これらを支持(supporting)電解塩として含む。前記リチウム塩の濃度は、0.1乃至2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解液が適切な電導度および粘度を有するため、優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。具体的に、リチウム塩は、LiPFであってもよい。
【0012】
リチウム2次電池用電解液に含まれる前記第1有機溶媒は、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、またはプロピルアセテート(propyl acetate)を例として包含する。
【0013】
前記メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテート等の第1有機溶媒は、電解液に含まれる有機溶媒の総量に対して10乃至60体積%が含まれてもよく、例えば、20乃至40体積%が含まれてもよい。第1有機溶媒が10乃至60体積%で含まれる場合、電池の放電容量を約40乃至70%増加させることができ、寿命およびサイクル特性が改善される。
【0014】
また、前記有機溶媒は、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非陽子性溶媒等の第2有機溶媒をさらに含むことができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができ、前記エステル系溶媒としては、メチルプロピオン酸塩、エチルプロピオン酸塩、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは、C1乃至C20の直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0015】
前記第2有機溶媒が、2種以上の溶媒を含む場合には、該第2溶媒内に含まれている有機溶媒の混合比率を、目的とする電池性能に応じて適切に調節することができ、これは当該分野に務める者には広く理解され得る。
【0016】
また、前記第2有機溶媒は、エチルカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を1:1乃至1:3体積比で含むことができる。
【0017】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することがよい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1乃至約1:9の体積比に混合して使用することが電解液の性能が優秀に優れるように現れ得る。
【0018】
前記第2有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に加えて、芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、約1:1乃至約30:1の体積比に混合され得る。
【0019】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式1の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【化5】

(前記化学式1中、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1乃至C10のアルキル基、C1乃至C10のハロアルキル基またはこれらの組み合わせである。)
前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1,2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、キシレンまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0020】
リチウム2次電池用電解液の第1添加剤は、化学式3で表される化合物を含み、前記化合物は、電解液総量に対して0.01超乃至6重量%未満で含まれる。
【0021】
化学式3で表される化合物としては、C1乃至C10のアルカンスルトン(alkane sultone)、C1乃至C10のアルケンスルトン(alkene sultone)のような化合物が例示され、例えば1,3−プロパンスルトン(1,3−propane sultone)、1,3−プロペンスルトン(1,3−propene sultone)、およびこれらの組み合わせから選択される一つを使用することができる。
【0022】
具体的には、化学式3で表される化合物を含む第1添加剤は、0.01重量%超乃至6重量%未満、好ましくは1乃至3重量%で含まれ得る。該化合物が前記濃度で含まれる場合、リチウム2次電池の低温および高温寿命の特性が改善される。
【0023】
また、化学式4で表される化合物が含まれている電解液に化学式3で表される化合物を添加する場合、従来Si系化合物を含む負極活物質で問題となっている高温寿命の特性の低下問題を解決することができる。このように、化学式3で表される化合物を使用することによって、Si系化合物を含む負極活物質の高温寿命の特性が改善可能な理由は、これは電池の充放電過程で該化合物が還元されて負極界面に被膜を生成することによって、Si系化合物と電解液の副反応を抑制し、リチウムがインターカレーション/デインターカレーションされるSi系化合物の構造が崩壊することが防止されるためであると考えられる。
【0024】
このように化学式3で表される化合物がSi系化合物と電解液の副反応を抑制する効果および高温寿命の特性を改善する効果は、化学式4で表される化合物を含む電解液でさらに顕著に現れ、この時、化学式3で表される化合物の含量は、電解液総量に対して0.01重量%超乃至6重量%未満であることが好ましい。
【0025】
一方、前記リチウム2次電池用電解液は、電池寿命を向上させるために、第2添加剤としてビニレンカーボネートまたは下記化学式2のエチレンカーボネート系化合物をさらに含むこともできる。
【化6】

前記化学式2中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)またはC1乃至C5のフルオロアルキル基であり、前記RとRのうちの少なくとも一つは、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)またはC1乃至C5のフルオロアルキル基である。
【0026】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。前記ビニレンカーボネートまたは前記エチレンカーボネート系化合物をさらに使用する場合、その使用量を適切に調節して寿命を向上させることができる。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態は、前記非水電解液を含むリチウム2次電池を提供する。
リチウム2次電池は、使用するセパレータと電解液の種類に応じてリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類され、形態に応じて円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルクタイプと薄膜タイプに分類され得る。これら電池の構造と製造方法は、当該分野に広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によるリチウム2次電池の分解斜視図である。図1を参照すると、前記リチウム2次電池100は、円筒型で、負極112、正極114および前記負極112と正極114との間に配置されたセパレータ113、前記負極112、正極114およびセパレータ113に含浸された電解液(図示せず)、電池容器120、そして前記電池容器120を封入する封入部材140を主な部分として構成されている。このようなリチウム2次電池100は、負極112、正極114およびセパレータ113を順次に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で電池容器120に収納して構成される。
【0029】
前記負極112は、集電体および前記集電体の上に形成された負極活物質層を含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0030】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質、遷移金属酸化物およびこれらの組み合わせから選択される一つであってもよい。
【0031】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、炭素物質であって、リチウム2次電池で一般に使用される炭素系負極活物質は如何なるものでも使用可能であり、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素およびこれらの組み合わせから選択される一つであってもよい。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0032】
また、前記リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質としては、Si系化合物またはSn系化合物が挙げられる。
【0033】
前記Si系化合物としては、Si、SiO(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族乃至16族元素、遷移金属、希土類元素またはこれらの組み合わせであり、Siではない)を使用することができる。前記Si系化合物は、負極活物質総量に対して1乃至10重量%が含まれ得る。Si系化合物は黒鉛などの炭素物質に比べて高い放電容量を有することができる。また、メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテートと、0.1重量%乃至5重量%範囲のスルトン系化合物を前記Si系化合物を含む負極活物質と共に含む電解液は、高い放電容量および優れた高温寿命の特性を有することができる。
【0034】
前記Si系化合物は、前述した人造黒鉛、天然黒鉛などの炭素物質と共に使用することができる。また、Si系化合物と炭素物質を含む負極活物質において、前記Si系化合物は負極活物質の総量に対して1乃至10重量%であってもよく、前記炭素物質は負極活物質の総量に対して90乃至99重量%であってもよい。
【0035】
また、負極活物質は、前記Si系化合物および前記炭素物質を含むものであってもよく、この時、前記Si系化合物と前記炭素物質の重量比は、1:99乃至10:90であってもよい。前記数値範囲を満たす負極活物質は、常温寿命に優れていると同時に、高温寿命も改善される効果を有する。
【0036】
前記Sn系化合物としては、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族乃至16族元素、遷移金属、希土類元素またはこれらの組み合わせであり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうち少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。前記QおよびRの具体的な元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poおよびこれらの組み合わせから選択される一つであってもよい。
【0037】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlまたはSnの金属との合金を使用することができる。
【0038】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0039】
前記負極活物質層はまたバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含むこともできる。
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としてポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレイテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0040】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0041】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせから選択される一つを使用することができる。
【0042】
前記正極114は、電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的にはコバルト、マンガン、ニッケルまたはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上を使用することができ、その具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる:Li1−b(上記式中、0.90≦a≦1.8および0≦b≦0.5である);Li1−b2−c(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、および0≦c≦0.05である);LiE2−b4−c(上記式中、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1−b−cCoα(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である);LiNi1−b−cCo2−αα(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1−b−cCo2−α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1−b−cMnα(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である);LiNi1−b−cMn2−αα(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1−b−cMn2−α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5および0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMnGeO(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5および0.001≦e≦0.1である);LiNiG(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);LiCoG(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);LiMnG(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である)
;LiMn(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiTO;LiNiVO;Li(3−f)(PO(0≦f≦2);Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2);およびLiFePO
【0043】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mnおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Rは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Dは、O、F、S、Pおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Eは、Co、Mnおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Zは、F、S、Pおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、Vおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Qは、Ti、Mo、Mnおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Tは、Cr、V、Fe、Sc、Yおよびこれらの組み合わせから選択される一つであり;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cuおよびこれらの組み合わせから選択される一つである。
【0044】
もちろん、この化合物表面にコーティング層を有するものを使用することもでき、または前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用することもできる。前記コーティング層は、コーティング元素化合物であって、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートまたはコーティング元素のヒドロキシカーボネートを含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrおよびこれらの組み合わせから選択される一つを使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法などでコーティングすることができれば如何なるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該分野に務める者によく理解され得る内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0045】
前記正極活物質層はまたバインダーおよび導電材を含む。
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレイテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0046】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して使用することができる。
【0047】
前記電流集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されない。
【0048】
前記負極112と前記正極114は、それぞれ活物質、導電材およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0049】
前記電解液は、上述したとおりである。
【0050】
リチウム2次電池の種類に応じて正極114と負極112との間にセパレータ113が存在することもできる。前記セパレータ113としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができることはもちろんである。
[実施例]
【0051】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。ただし、下記実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されない。
【実施例1】
【0052】
(電解液の製造)
エチレンカーボネート(EC)、エチルアセテート(EA)およびジメチルカーボネート(DMC)を20:10:70体積比に混合して、LiPFの濃度が1.4MになるようにLiPFを添加して混合溶液を製造した。その後、前記混合溶液に1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液総量に対して1重量%に添加して電解液を製造した。
(リチウム2次電池の製造)
LiCoO、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびデンカブラックを97.75:1.25:1(LiCoO:PVDF:デンカブラック)の重量比でN−メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーを厚さ20μmのアルミニウム集電体の上に均一に塗布し、乾燥した後に圧延して正極を製造した。
人造黒鉛およびSBRバインダーを98.5:1.5重量比に混合して負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを厚さ15μmの銅集電体の上に均一に塗布し、乾燥した後に圧延して負極を製造した。
前記正極および前記負極の間にセパレータを介してリチウム2次電池を製造した。
【実施例2】
【0053】
EC:EA:DMCを20:20:60体積比で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例3】
【0054】
EC:EA:DMCを20:40:40体積比で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例4】
【0055】
EC:EA:DMCを20:60:20体積比で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例5】
【0056】
PSを3重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例6】
【0057】
EC:EA:DMCを20:40:40体積比で含み、PSを3重量%で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例7】
【0058】
EC:EA:DMCを20:60:20体積比で含み、PSを3重量%で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例8】
【0059】
(電解液の製造)
EC:EA:DMCを20:20:60体積比で含むことを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池用電解液を製造した。
(リチウム2次電池の製造)
負極活物質として人造黒鉛以外にSiを追加的に含み、Siと人造黒鉛の重量比が5:95である負極活物質スラリーを製造した。本負極活物質スラリーおよび前記製造された電解液を使用することを除いては、前記実施例1の記載と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例9】
【0060】
(電解液の製造)
EC:EA:DMCを20:60:20で含むことを除いては、前記実施例1同様な方法によりリチウム2次電池用電解液を製造した。
(リチウム2次電池の製造)
負極活物質として人造黒鉛以外にSiを追加的に含み、Siと人造黒鉛の重量比が3:97である負極活物質スラリーを製造した。本負極活物質スラリーおよび前記製造された電解液を使用することを除いては、前記実施例1の記載と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例10】
【0061】
PSを3重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例8と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例11】
【0062】
PSを3重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例9と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例12】
【0063】
PSを5重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例2と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例13】
【0064】
PSを5重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例10と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例14】
【0065】
PSの代わりに1,3−プロペンスルトン(PST)を1重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例8と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例15】
【0066】
PSの代わりに1,3−プロペンスルトン(PST)を1重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例9と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例16】
【0067】
PSTを3重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例14と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例17】
【0068】
PSTを3重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例15と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例18】
【0069】
PSの代わりにPSTを1重量%で含む電解液を使用することを除いては、前記実施例2と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例19】
【0070】
(電解液の製造)
エチレンカーボネート(EC)、メチルアセテート(MA)およびジメチルカーボネート(DMC)を20:10:70体積比で混合して、LiPFの濃度が1.4MになるようにLiPFを添加して混合溶液を製造した。その後、前記混合溶液に1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液総量に対して1重量%で添加して電解液を製造した。
(リチウム2次電池の製造)
負極活物質として人造黒鉛以外にSiを追加的に含み、Siと人造黒鉛の重量比が5:95である負極活物質スラリーを製造した。
その後、本負極活物質スラリーおよび前記製造された電解液を使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例20】
【0071】
EC:MA:DMCを20:60:20体積比で含み、PSを3重量%で含むことを除いては、前記実施例19と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例21】
【0072】
(電解液の製造)
エチレンカーボネート(EC)、プロピルアセテート(PA)およびジメチルカーボネート(DMC)を20:10:70体積比で混合して、LiPFの濃度が1.4MになるようにLiPFを添加して混合溶液を製造した。その後、前記混合溶液に1,3−プロパンスルトン(PS)を電解液総量に対して1重量%で添加して電解液を製造した。
(リチウム2次電池の製造)
負極活物質として人造黒鉛以外にSiを追加的に含み、Siと人造黒鉛の重量比が5:95である負極活物質スラリーを製造した。
その後、本負極活物質スラリーおよび前記製造された電解液を使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【実施例22】
【0073】
EC:PA:DMCを20:60:20体積比で含み、PSを3重量%で含むことを除いては、前記実施例21と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【0074】
〔比較例1乃至25〕
下記表1の比較例1乃至25に記載された組成を使用したことを除いては、実施例1と同様な方法によりリチウム2次電池を製造した。
【0075】
【表1】


【0076】
〔評価例1〕:低温(10℃)でのリチウム2次電池のサイクル特性の評価
前記製造された実施例1乃至18および比較例1乃至25のリチウム2次電池に対する低温寿命の特性を評価するために、下記方法で実験を行った。
詳しくは、低温容量は、前記実施例および比較例で製作された電池をそれぞれ0.5C電流で4.35V充電電圧でCC−CV条件で充電した後、10℃で2時間放置後、0.5C電流で3Vまで放電して測定した。
また、電池の寿命特性は、常温で0.5C、4.35V充電電圧でCC−CV条件で2時間充電した後、1.0C、3.0Vカット−オフで放電することを1サイクルとして50回反復実施した後、寿命特性を評価した。
低温寿命の特性は、常温(25℃)で測定した容量維持率(%)で評価し、低温での前記容量維持率(%)は下記数式1により得た。
[数式1]
容量維持率(%)=50サイクル放電容量/初期放電容量×100
(初期放電容量:2950mAh)
【0077】
〔評価例2〕:高温(45℃)でのリチウム2次電池のサイクル特性の評価
前記製造された実施例1乃至18および比較例1乃至25のリチウム2次電池に対する高温寿命の特性を評価するために、下記方法で実験を行った。
詳しくは、高温容量は、前記実施例および比較例で製作された電池をそれぞれ0.8C電流で4.2Vまたは4.35V充電電圧でCC−CV条件で充電した後、45℃で2時間放置後、0.5C電流で3Vまで放電して測定した。
また、電池の寿命特性は、常温で0.5C、4.2または4.35V充電電圧でCC−CV条件で2時間充電した後、1.0C、3.0Vカット−オフで放電することを1サイクルとして130回反復実施した後、寿命特性を評価した。
高温寿命の特性は、45℃で測定した容量維持率(%)で評価し、高温での前記容量維持率(%)は、下記数式2により得た。
[数式2]
容量維持率(%)=130サイクル放電容量/初期放電容量×100
(初期放電容量:2950mAh)
前記実験例1および2の結果を下記表2に記載した。
【0078】
【表2】


【0079】
前記実験例において、比較例1および2は電解液の組成としてEC、EMCおよびDMCを使用し、実施例2および3はEMCの代わりにEAを使用することを除いては、比較例1および2と同様な実験条件で実験した。実験結果、表2から分かるように、比較例1および2は、実施例2および3に比べて低温および高温での放電容量が非常に低く、容量維持率も低温および高温で顕著に低かった。
また、実施例19および20は、EAの代わりにMAを使用することを除いては実施例5および7と同様な実験条件で実験し、実施例21および22は、EAの代わりにPAを使用することを除いては、 実施例5および7と同様な実験条件で実験した。これは、リチウム2次電池の低温および高温寿命の特性が向上することを示すものである。したがって、EMCの代わりにアルキルアセテート、つまり、EA、MA、PAを含む電解液は、低温および高温寿命の特性が向上することが確認された。
一方、人造黒鉛およびSiを含む負極活物質を使用した実施例8乃至11、実施例13乃至17、および実施例19乃至22は、人造黒鉛のみを含む負極活物質を使用した実施例1乃至7に比べて、高温寿命の特性が低下する現象は現れず、むしろ高温寿命の特性が多少向上した結果を示した。
特に、PST1重量%およびEC:EA:DMCを2:2:6の体積比で含む電解液を使用し、負極活物質として人造黒鉛のみを使用した実施例18の場合、高温での容量維持率が72%である反面、電解液組成は同一であるが負極活物質として人造黒鉛およびSiを含む実施例14は、高温での容量維持率が91%であった。つまり、これは前記組成の電解液では、Siを含む負極活物質を使用してもSiと電解液の間の副反応が抑制されるため、高温寿命の特性が顕著に向上し得ることを示す。
反面、EAの代わりにEMCを使用することを除いては、実施例14および18と同一な実験条件で高温で実施された比較例21および22の場合の維持率は、それぞれ11%および7%であった。このようにPSまたはPSTを添加することによって得られるSiを含む負極活物質の高温寿命の特性の改善程度は、EAを含む電解液でより顕著に現れた。
【0080】
図2および図3は、負極活物質として人造黒鉛およびSiを共に含むリチウム2次電池に対して45℃で測定した高温寿命の特性の結果を示した。
図3から分かるように、PSTを1重量%および3重量%で含む実施例14および16は、高温寿命の特性に優れていた。
反面、EAを含むという点は、実施例14および16と同一であるが、PSTを含まないかまたはPSTを6重量%で含む電解液を使用した比較例9乃至12、24および25は共に高温寿命の特性が良くないし、PSTを1重量%で含むが、EAの代わりにEMCを使用した比較例23も高温寿命の特性が良くなかった(図2)。これは一般に負極活物質としてSi系化合物を含む場合、高温寿命の特性が低下する問題があるにもかかわらず、EA、およびPSTを0.01重量%超6重量%未満で含む電解液を使用する場合、リチウム2次電池の低温寿命の特性のみならず、高温寿命の特性が共に改善され得ることを示す。
【0081】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0082】
100…リチウム2次電池
112…負極
113…セパレータ
114…正極
120…電池容器
140…封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3で表される化合物を含む第1添加剤;
リチウム塩;および
下記化学式4で表される化合物を含む第1有機溶媒
を含む、リチウム2次電池用電解液:
【化1】

前記化学式3中、
Lは、(L)mであり;
各Lは、独立して、C(Rおよび(CR10=CR10)からなる群より選択され;
各Rは、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択され;
各R10は、独立して、水素(H)、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基から選択され;
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である;
【化2】

前記化学式4中、
11は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基であり;
12は、置換または非置換のC1−C6のアルキル基、または置換または非置換のアリール基であり;
前記電解液は、電解液総量に対して0.01重量%超6重量%未満の第1添加剤を含む、リチウム2次電池用電解液。
【請求項2】
前記リチウム2次電池用電解液は、前記第1有機溶媒を電解液中の有機溶媒の総量に対して10体積%乃至60体積%含む、請求項1に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項3】
前記第1有機溶媒は、メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテートである、請求項1又は2に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項4】
前記リチウム2次電池用電解液は、電解液総量に対して0.1重量%乃至5重量%の第1添加剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項5】
前記第1添加剤は、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項6】
前記リチウム2次電池用電解液は、第2有機溶媒をさらに含み、
前記第2有機溶媒は、カーボネート成分を含む一つ以上の化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項7】
前記第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびブチレンカーボネート(BC)からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む、請求項6に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項8】
前記第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびエチレンカーボネート(EC)からなる群より選択される一つ以上の化合物を含む、請求項7に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項9】
前記リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、xおよびyは自然数であるLiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサラト)ボレート)、またはこれらの一つ以上の組み合わせを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項10】
前記第1添加剤は、1,3−プロパンスルトン、または1,3−プロペンスルトン;
前記リチウム塩は、LiPF
前記第1有機溶媒は、メチルアセテート、エチルアセテート、またはプロピルアセテート;および
前記第2有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、またはこれらの組み合わせである、請求項6に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項11】
前記第1有機溶媒対前記第2有機溶媒の比率は、1:50乃至50:1である、請求項6〜10のいずれか1項に記載のリチウム2次電池用電解液。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の電解液;
負極活物質を含む負極;および
正極活物質を含む正極
を含む、リチウム2次電池。
【請求項13】
前記電解液のリチウム塩は、LiPF;および
前記電解液の第1有機溶媒は、エチルアセテートであり;
前記負極活物質は、Si系化合物および黒鉛を含む、請求項12に記載のリチウム2次電池。
【請求項14】
前記負極と前記正極との間にセパレータをさらに含む、請求項11又は12に記載のリチウム2次電池。
【請求項15】
前記負極活物質は、炭素物質、Si系化合物、Sn系化合物、リチウム金属、リチウム金属合金、および遷移金属酸化物からなる群より選択される一つ以上の成分を含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載のリチウム2次電池。
【請求項16】
前記負極活物質は、炭素物質を含み、
前記炭素物質は、黒鉛である、請求項12に記載のリチウム2次電池。
【請求項17】
前記負極活物質は、Si系化合物をさらに含み、
前記Si系化合物は、Si、SiO、Si−炭素複合体、Si−Q合金、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
ここで、
0<x<2であり、
Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族乃至16族から選択される元素、但しSiを除く、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載のリチウム2次電池。
【請求項18】
前記Si系化合物対前記黒鉛の重量比は、1:99乃至10:90である、請求項17に記載のリチウム2次電池。
【請求項19】
前記Si系化合物対前記黒鉛の重量比は、2:98乃至6:94である、請求項18に記載のリチウム2次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−105745(P2013−105745A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241684(P2012−241684)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【氏名又は名称原語表記】Samsung SDI Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】428−5,Gongse−dong,Giheung−gu,Yongin−si,Gyeonggi−do 446−577 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】