説明

リテーナの使用方法およびリテーナ

本発明は、リテーナを使用する方法およびリテーナに関するものである。リテーナ(14)はドリルロッド、ロックボルトまたは同様のものを締め付ける締め付けジョー(21a,21b)を設けた第1の締め付けアーム(18a)および第2の締め付けアーム(18b)を含む。締め付けアームをそれらの回転軸継手(19a、19b)に対してアクチュエータ(20)によって回転させ、これによって締め付けジョーを互いに向けて動かし、または互いから離す。締め付けアームの回転軸継手の間の部分には、形状部材があり、それは締め付けアームの運動を相互に連絡して相互に依存させ、これによって締め付けアームの運動を締め付けアームの両運動方向において同期化する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、掘削機に属するリテーナの締め付けアームを動かして、締め付けアームに設けられた締め付けジョーを互いに向けて同時に動かし、それらの間にて、削岩ユニットまたは他の掘削機の穿孔中心に配置されたドリルロッド、ロックボルトまたは同様の掘削工具を締め付ける方法に関するものである。機械的な同期化が締め付けアーム間に提供されて、それらの運動を相互に依存させる。
【0002】
本発明はさらに、削岩ユニット、ボルト締め装置または同様の掘削機の送りビームに適応可能なリテーナに関するものである。リテーナは、1つ以上のアクチュエータによって動かされる少なくとも2つの締め付けジョーを含む。締め付けアーム間には、それらの運動を相互に依存させる同期化機構がある。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前段においてより詳細に記載される。
【0004】
削岩は、削岩機を設けた削岩ユニットと、これに接続されて作業すべき材料に対して穿孔を作る工具とを用いて行なわれる。工具は、ドリルロッドおよびドリルビットをその末端に接続して含み、または長い穿孔をあけるべき場合は、複数の連続したドリルロッドを交互に接続して延長ロッド構造にして含む。穿孔を開始する場合、ドリルロッドはそれをリテーナの締め付けジョーで穿孔中心に案内することによって心出しする必要がある。また、たとえばドリルロッドが互いに取り付けられている場合、リテーナを、ドリルロッドまたは他の穿孔工具を削岩機またはドリルビットへと固定するのに用いて、それらの回転を防止することができる。
【0005】
米国特許公報第4,438,984号はリテーナを開示し、これは、リテーナの締め付けアームが、力を一方のアームから他方へと伝動するロッドによって相互に接続されたものである。開示された構造は送りビームにおけるスペースを多く占有する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、新規で改良されたリテーナの使用方法およびリテーナを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の方法は、締め付けアームにアームの回転軸点の間の部分において形状部材を設け、形状部材によって第1の締め付けアームと第2の締め付けアームとの間の運動を締め付けアームの両進行方向において同期化することを特徴とする。
【0008】
本発明のリテーナは、リテーナの同期化手段が第1および第2の回転軸継手の間の部分に配設され、同期化手段が形状部材を含み、それが第1および第2の締め付けアームに形成されて、締め付けアーム間で同期化する運動をそれらの両進行方向において伝動するように配設されることを特徴とする。
【0009】
本発明の概念は、リテーナが同期化手段を含み、それによって締め付けアームの運動を相互に依存させることである。同期化手段は、締め付けアームに対して作用する1つ以上のアクチュエータとは別個であり、締め付けアームの運動をそれらの両進行方向において伝動する。同期化手段は形状部材によって実現され、それは締め付けアームに配設され、締め付けアームの回転軸継手の間の部分に配置される。
【0010】
本発明の利点は、同期化手段を回転軸継手の間の部分に配設しているので、それらがリテーナの外寸を増すことは決してないことである。さらなる利点は、締め付けアームに形成された形状表面を利用することによって、同期化を簡単な機械構造と少数の構成部品とを用いて実現できることである。このために、同期化がリテーナの重量を大きく増すことはない。また、リテーナは確実に作動する。
【0011】
実施例によれば、回転軸点の間の部分における形状部材は、互いに常に接触していて、これによって締め付けアームの運動を両進行方向において同期化する用意がいつでもできている。
【0012】
実施例によれば、同期化手段は、第1のおよび第2の締め付けアームの構造体に直接、形成された形状表面を含み、表面は互いに相対して配設され、締め付けアーム間で同期化する運動を、互いに相対して設置されたそれらの接触面を介して伝動する。
【0013】
実施例によれば、第1の締め付けアームおよび第2の締め付けアームは、相対して配設された相互に適合可能な歯を設け、締め付けアーム間の運動が直接、歯当りによって伝動される。歯は締め付けアームの構造体に直接、作られてよい。
【0014】
実施例によれば、第1の締め付けアームおよび第2の締め付けアームに形成された形状表面は、少なくともそれらの一部において互いに常に接触している。
【0015】
実施例によれば、同期化手段は、回転軸継手の間の部分において第1および第2の締め付けアームに形成された形状表面を含む。形状表面は、締め付けアームとは別個であって形状表面に相対して配設された接続部品によって相互に接続されている。しかし、接続部品は締め付けアームおよびそれらに設けられた形状表面に対して取り付けられない。同期化中には、形成表面と接続部品との間で運動が行なわれてもよい。
【0016】
実施例によれば、第1の締め付けアームは、中心の方向にリテーナを見た場合、互いに軸方向に一定の間隔を置いて配設された少なくとも2つの第1の接続カムを含む。同様に、第2の締め付けアームは、回転軸継手の間の部分において少なくとも2つの第2の接続カムを含み、カムは互いに軸方向に一定の間隔を置いて配設されている。第1の接続カムおよび第2の接続カムは、回転軸継手の間の部分において重ね合わされている。さらに、第1の接続カムおよび第2の接続カムは接続スロットを設け、それは互いに向けて開口し、中心の方向に見た場合に合致するように配設され、接続スロットは中心の方向に見た場合に接続チャンネルを形成するように配設されている。この接続チャンネルは接続ピンを設け、それは重ねられた接続カムの間で伝動部材として働く。接続ピンは、締め付けアームが動かされる場合に、垂直方向に動く。接続ピンの垂直方向の運動は、リテーナ本体に設けられた長手方向の穴または同様なものを介して行うことができる。接続ピンは、締め付けアームに取り付けられていない別個の部品である。
【0017】
実施例によれば、第1の締め付けアームには不動の接続ピンを設け、その外面は第1の形状表面として働く。第2の締め付けアームは長手の接続開口部を含み、それは第2の形状表面として働く。接続ピンは接続開口部を介して配設され、それらの形状表面は締め付けアーム間で同期化する運動を伝動する。
【0018】
実施例によれば、リテーナは、締め付けアーム間に配設されて両締め付けアームに同時に作用するように接続されたアクチュエータを1つだけ含む。
【0019】
実施例によれば、リテーナは、第1の締め付けアームだけに作用するように配設されたアクチュエータを1つだけ含む。この場合、第2の締め付けアームに対する運動は同期化手段によって伝動される。
【0020】
実施例によれば、リテーナは少なくとも2つのアクチュエータを含み、少なくとも第1のアクチュエータは第1の締め付けアームだけに作用するように接続され、少なくとも1つの第2のアクチュエータは第2の締め付けアームだけに作用するように配設されている。
【0021】
実施例によれば、アクチュエータは、回転軸によって締め付けアームに接続された液圧シリンダである。
【0022】
実施例によれば、アクチュエータは締め付けアームを動かすのに必要な力を、締め付けアームに対して直接、向けるように配設されている。これは構造の耐久性上の利点である。
【0023】
実施例によれば、アクチュエータは、回転軸によって締め付けアームに接続されている。軸上設置は構造を耐久性のあるものにし、また摩擦を減少するのに使用できる。
【0024】
実施例によれば、アクチュエータは、締め付けアームの長手軸に対して横に配設された圧力媒体シリンダである。したがって、アクチュエータの直線進行方向が、締め付けジョーの進行方向と実質的に対応するように構成されている。
【0025】
実施例によれば、アクチュエータは、締め付けアームの回転軸点の間の部分の外側に配置されている。したがって、アクチュエータが締め付けアームに接続される固定点を、締め付けアームの回転軸から大きく一定の間隔を置いて配置することができ、このようにしてより大きなトルクを達成することができ、これによりアクチュエータにより生成される締め付け力を大きくすることができる。
【0026】
実施例によれば、締め付けジョーは、互いに対向するそれらの表面において実質的にV形断面のスロットを含み、これによって締め付けジョーはそれらの間に押し挟まれたドリルロッドまたは同様のものを中央に配することができる。また、ジョーの形状のために、さまざまな直径のドリルロッドおよび同様のものを中央に配することもできる。
【0027】
実施例によれば、締め付けジョーは、同一の進行速度で、同一の距離を互いに対して対称的に動くように配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のいくつかの実施例を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図1】ブームおよびそれに配設された穿孔ユニットを設けた削岩リグと、第2の掘削機との概略的側面図である。
【図2】穿孔ユニットの概略的斜視図である。
【図3】本発明のリテーナを送りビームの前端部の方向から見た概略図である。
【図4】本体プレートのない図3のリテーナの概略的斜視図である。
【図5】図2のリテーナの線E−E間の概略的断面図である。
【図6】図2のリテーナの線D−D間の概略的断面図である。
【図7】図2のリテーナの線F−F間の概略的断面図である。
【図8】送りビームの前端部の方向から見た本発明のリテーナの概略図であり、リテーナの各締め付けアームが別個のアクチュエータによって作用されている。
【図9】送りビームの前端部の方向から見た本発明のリテーナの概略図であり、リテーナの1つの締め付けアームだけがアクチュエータによって作用されている。
【図10】歯付き外周部によって締め付けアーム間における回転運動を同期化する第2の代替方式の概略図である。
【図11】締め付けアームに設けられた横方向に長手の開口部と、開口部を介して配設された接続ピンとによって締め付けアーム間の回転運動を同期化する第3の代替方式の概略図である。
【図12】固定接続ピンと、横方向に長手の開口部とによって締め付けアーム間の回転運動を同期化する第4の代替方式の概略図である。
【0029】
明瞭にするため、図面に示すいくつかの実施例は簡略化している。図面において、同様な部分は同様の参照番号で示す。
【発明の実施例の詳細な説明】
【0030】
図1は、1つ以上のブーム3を設けた可動キャリア2を含む掘削機1を示す。第1のブーム3aは削岩ユニット4を設けた穿孔ブームである。穿孔ユニット4は、送りビーム6において送り装置7によって可動の削岩機5を含む。削岩機5は、これに連結された工具8を設けてもよく、それはねじ継手などの接続手段によって相互に取り付けられた複数の連続するドリルロッド9を含む。さらに、ドリルロッドの遠位端には、掘削孔12を岩盤11に作るドリルボタンを有するドリルビット10がある。削岩機5には、工具8に対して衝撃パルスを与えるのに用いられる衝撃装置を設けてもよく、それをドリルビット10へ、さらには破砕すべき岩盤11へと伝動する。また削岩機5は、掘削中に工具8をその長手軸を中心に回転させることができる回転装置を含んでもよい。また穿孔ユニット4は、送りビーム6で支持されるロッドマガジン13を設けてもよい。ロッドマガジン13は、長い穴の穿孔に必要な延長ロッド9および他の穿孔工具を格納するのに使用することができる。ロッドマガジン13は、ロッドマガジン13と穿孔軸、すなわち中心Kとの間で穿孔工具を移動する移動手段を設けている。送りビーム6の遠位端部分はリテーナ14を設け、それは工具9を締め付けてそれを穿孔中心Kにおいて心出しするジョーを有している。ジョーはドリルロッド9のシャフトまたは接続スリーブを把持することができ、これによって継手をねじって付けたり外したりする場合にロッドを定位置に保持することができる。さらに、ドリルビット10を交換すべき場合に、リテーナでドリルビット10を把持し、それを定位置に保持することができる。送りビーム6は、ロッドマガジン13の他にドリルビットマガジンを設けてもよい。
【0031】
図1の掘削機1の第2のブーム3bは、ロックボルト、注入チューブまたは同様のものなどの、掘削工具16を取り扱う他の掘削装置15を設けている。また、これらはジョーによって保持する必要があり、または工具を掘削機の中心Kに対して心出しする必要があるかもしれない。またこのような場合でも、これらの掘削装置15は本発明のリテーナ14を設けることができる。
【0032】
図2は、削岩ユニット4を示し、その送りビーム6は掘削時に必要なドリルロッド9が入っているロッドマガジン13を設けている。送りビーム6の遠位端はリテーナ14を設けて、そのあり得る構造の代替案を図3ないし図12により詳細に示す。
【0033】
図3のリテーナ14は、送りビームに取り付けできる本体17を含む。またリテーナ14は、第1の回転軸継手19aによって本体17に接続される第1の締め付けアーム18aと、第2の回転軸継手19bによって本体17に接続される第2の締め付けアーム18bとを含む。締め付けアーム18は、それらの間に配置されたアクチュエータ20によって回転軸継手19に対して動かすことができ、これによって締め付けアーム18の遠位端の締め付けジョー21a、21bは、当然にアクチュエータ20の運動方向に応じて、互いに向かって動き、または互いから離れる。アクチュエータ20は、液圧シリンダなどの圧力媒体シリンダでよく、それを継手22によって締め付けアーム18へと接続することができる。このとき、アクチュエータ20は締め付けアームに対して直接、力を伝動する。アクチュエータ20は回転軸継手19aおよび19bの間の部分の外側に配される。アクチュエータ20の接続点、すなわち継手22は、回転軸継手19a、19bから一定の間隔を置いて配置され、これによって継手19および22の間にトルクアームが生成される。締め付けジョー21は互いに対向する表面において心出し面23を含むとよく、このようにして、それらは、互いに向かって動く場合に、それらの間でドリルロッド9または他の工具を中心Kに対して正確に心出しすることができる。心出し面23は実質的にV形断面を有してよく、それらは中心Kに向けて当然に開口する。また、当然ながら、他の傾斜したまたは円錐形の心出し面23を締め付けジョー21において使用してもよい。締め付けアーム18は、回転軸継手19の間の部分に設けられた同期化手段24によって互いに依存して動くよう作られている。すなわち、同期化手段24はアクチュエータ20とは別個である。図3は、接続ピン25を示し、これは中心Kと平行していて、同期化手段24に属してもよい。見て分かるように、本体17は縦方向において長手の開口部26を設け、締め付けアーム18が動かされる場合に、開口部によって接続ピン25を縦方向Vに動かすことができる。
【0034】
図4では、同期化手段24をよりよく見えるように本体17の一部を取り除いている。回転軸継手19の間の部分において、第1の締め付けアーム18aは2つ以上の第1の接続カム27を含んでよく、それらはリテーナ14を中心Kの方向から見た場合に互いから軸方向に一定の間隔を置いてある。同様に、第2の締め付けアーム18bは2つ以上の接続カム28を含んでよい。接続カム27、28は、図4に示すように、回転軸継手19の間の部分において重ね合わされる。さらに、接続カム27、28は接続用スロット29を設け、それらは互いに向けて開口し、軸方向に合致するよう配設され、共に一種の接続チャンネル30を形成している。この軸方向接続チャンネル30は接続ピン25を設け、それは接続カム27、28の間の伝動部材として働くことができる。締め付けアーム18が動かされる場合、接続用スロット29および接続ピン25の接触面において運動が行なわれ、さらに接続ピン25が縦方向に直線的に動き、すなわち、中心Kに向かって動き、またはそこから離れる。本願において、同期化手段24に属する形状表面は、接続チャンネル30の表面によって実現され、それらは接続ピン25と接触している。
【0035】
図5の断面図は接続カム27、28の間の接続チャンネル30の形成をさらに明瞭に示す。接続ピン25の垂直運動のために、本体17は長手の開口部26a、26bを設けている。断面図である図6および図7はこの実施例の構造をさらに明瞭にしている。図4ないし図7とは異なり、接続スロット29は密閉した形状部を設けることができる。接続ピン25の横断面は望ましくは円形である。
【0036】
図8の実施例において、第1のアクチュエータ20aは力を第1の締め付けアーム18aだけに伝動し、第2のアクチュエータ20bは力を第2の締め付けアーム18bだけに伝動する。同期化手段24は締め付けアーム18の運動の同時性を保障する。
【0037】
図9の実施例において、アクチュエータ20からの力は第1の締め付けアーム18aだけに伝動され、同期化手段24は運動を第2の締め付けアーム18bに伝動する。
【0038】
図10は、締め付けアーム18に形成された歯31a、31bを含む同期化手段24の強力で、簡略化した実施例を示す。歯は回転軸継手19の湾曲した伝動表面に対して形成される。本願において、同期化運動は、歯同士の接触を介して直接、伝動されるので、接続ピンまたは同様な接続部材は必要でない。歯31は締め付けアーム18間において必要な形状部材として働く。
【0039】
図11は、第1の締め付けアーム18aにおける第1の長手の接続開口部32aと、第2の締め付けアーム18bにおける第2の長手の接続開口部32bとを設けた同期化手段24の強力で、簡略化した実施例を示す。接続開口部32の少なくとも一部分では、締め付けアーム18が互いに重ね合わされる。締め付けアーム18はこれらの重ねられた部分に接続カム27、28または同様な突出部分を設けてよい。接続開口部32は互いに対して横方向に配設され、これによってそれらは共に接続ピン25をその中に配設して有する接続チャンネル30を画成する。接続ピン25は、接続開口部32へは取り付けられないが、回転力を力伝動点22へと加えることによって締め付けアーム18が動かされる場合に、接続開口部32の長手方向に、また同時に中心Kに対して垂直方向に動かすことができる。
【0040】
図12は、第1の締め付けアーム18aに対して形成された長手の接続開口部32と、第2の締め付けアーム18bに設けられた非可動の固定接続ピン25とを有する同期化手段24の強力で、簡略化した他の実施例を示す。締め付けアーム18は接続開口部32の一部および接続ピン25において互いに重ね合わされる。締め付けアーム18はこれらの重ねられた部分に接続カム27、28または同様な突出部分を設けてもよい。アクチュエータ20が締め付けアーム18をそれぞれの回転軸19を中心に回転させるとき、接続ピン25は湾曲した経路をたどり、同時に接続開口部32におけるその位置が変化する。さらに、接続カム27が、第2の締め付けアーム18bに向けて開口しているスロット状の接続開口部32を含むことは可能である。本願において、接続ピン25の外面および接続開口部32の縁部は同期化運動を伝動する形状表面として働く。
【0041】
図3ないし図7、図11および図12の実施例において、接続ピン25は重ねられた部分の間に配設され、実質的に剪断力だけを受けることになる。その場合、接続ピン25は比較的薄くてもよいが、それでも締め付けアーム18間において強い力でさえも伝動することができる。図3ないし図7と、図11の実施例では、取外しおよび交換が容易な別個の接続ピン25がある。
【0042】
注目すべきことは、リテーナ14の締め付けジョー21の開口運動を、十分に大きく構成することができ、それをドリルロッド9のシャフトと連続したドリルロッド9間の接続スリーブとの両方をクランプするのに使用できることである。また、ドリルビット10または掘削において用いられる他の工具を、それで把持してもよい。
【0043】
本願において、垂直方向または垂直運動について言及するとき、これは送りビームの基本位置およびリテーナに対して垂直な運動を意味し、送りビームはその位置では水平である。また、ブームおよび送りビームが、作動中に回転する場合には、これによって当然にリテーナの位置も変化する。絶対的には方向が変わるが、リテーナはそれでもなお送りビームに対するその相対位置を保つ。
【0044】
場合によっては、本願に提示する特徴を、他の特徴に拘らず、そのまま用いることができる。しかし、本願に記載する特徴を、必要であれば、組み合わせてさまざまな組合せを作ることができる。
【0045】
図面および関連する説明は、本発明の思想を例証することを意図したに過ぎない。本発明の細部を、特許請求の範囲の範囲内で変えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機に属し、本体(17)と、該本体(17)に対して枢着された第1の締め付けアーム(18a)および第2の締め付けアーム(18b)と、前記締め付けアーム(18a、18b)の遠位端における締め付けジョー(21a、21b)と、少なくとも1つのアクチュエータ(20)とを含むリテーナ(14)を使用する方法であって、
前記アクチュエータ(20)によって前記締め付けアーム(18a、18b)をそれぞれの回転軸点(19a、19b)に対して回転させ、これによって前記締め付けジョー(21a、21b)を前記アクチュエータ(20)の運動方向に応じて、互いに向けて動かし、同様に互いから離す工程と、
工具(9)を前記掘削機(4、15)の中心(K)において前記締め付けジョー(21a、21b)によって締め付けて心出しし、それを前記中心(K)に配置する間に把持する工程と、
別個の機械的な同期化手段(24)によって前記締め付けアーム(18a、18b)を互いに接続し、これによって前記締め付けアーム(18a、18b)の運動を相互に依存させ、前記締め付けジョー(21a、21b)を同時に、かつ対称に動かす工程とを含む方法において、
第1の締め付けアーム(18a、18b)の前記回転軸点(19a、19b)の間の部分に形状部材を配設し、第1の締め付けアーム(18a)と第2の締め付けアーム(18b)との間の運動を前記締め付けアームの両進行方向において同期化することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、相互に適合する歯(31a、31b)を第1の締め付けアーム(18a)および第2の締め付けアーム(18b)に配設し、それらを互いに相対して配設し、
前記締め付けアーム(18a、18b)間の運動を直接、歯当りによって伝動することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、第1の締め付けアーム(18a)および第2の締め付けアーム(18b)の少なくとも一部分を重ね合わせるように配設し、前記重ねられた部分にて開口部の形で設けられた形状表面(29、32a、32b)を合致するように配設し、
前記中心(K)に平行している接続ピン(24)によって前記締め付けアーム(18a、18b)間の運動を伝動し、前記ピンは前記締め付けアーム(18a、18b)の形状表面に接触していることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記締め付けアーム(18a、18b)が動いている場合に、垂直方向において前記接続ピン(25)の横運動を可能にすることを特徴とする方法。
【請求項5】
掘削機(4、15)の送りビーム(6)にリテーナ(14)を取り付け可能な本体(17)と、
第1の回転軸継手(19a)によって前記本体(17)に接続された第1の締め付けアーム(18a)および第2の回転軸継手(19b)によって前記本体(17)に接続された第2の締め付けアーム(18b)と、
前記締め付けアーム(18a、18b)の遠位端の部分に配設され、互いに対向している締め付けジョー(21a、21b)と、
前記締め付けアーム(18a、18b)を前記回転軸継手(19a、19b)に対して動かして、前記締め付けジョー(21a、21b)を互いに向かって、また互いから離れて可動にする、少なくとも1つのアクチュエータ(20)と、
前記アクチュエータ(20)とは別個であり、第1の締め付けアーム(18a)の運動と第2の締め付けアーム(18b)の運動とを連絡して相互に依存させる機械的な同期化手段(24)とを含むリテーナにおいて、
該リテーナ(14)の前記同期化手段(24)は、第1および第2の回転軸継手(19a、19b)の間の部分に配設され、
前記同期化手段(24)は、前記締め付けアーム(18a、18b)に対して形成され、前記締め付けアーム(18a、18b)間で同期化する運動を前記締め付けアームの両進行方向において伝動するように配設された形状部材を含むことを特徴とするリテーナ。
【請求項6】
請求項5に記載のリテーナにおいて、前記同期化手段(24)は、第1および第2の締め付けアーム(18a、18b)の構造体に直接、形成された形状表面を含み、該表面は、互いに相対して配設され、前記締め付けアーム(18a、18b)間の同期化運動を互いに対向するそれぞれの接触面を介して伝動するように配設されることを特徴とするリテーナ。
【請求項7】
請求項6に記載のリテーナにおいて、第1の締め付けアーム(18a)および第2の締め付けアーム(18b)は、これらは回転軸継手(19a、19b)の間の部分で互いに対向している湾曲した伝動表面を設け、
該伝動表面には、相互に適合する歯(31a、31b)が設けられ、前記締め付けアーム(18a、18b)の同期化運動は、歯当たりによって直接、伝動されるように構成されることを特徴とするリテーナ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のリテーナにおいて、前記締め付けアーム(18a、18b)の形状表面は互いに常に接触していることを特徴とするリテーナ。
【請求項9】
請求項5に記載のリテーナにおいて、前記同期化手段(24)は、前記回転軸継手(19a、19b)の間の部分において第1および第2の締め付けアーム(18a、18b)に対して形成された形状表面を含み、
該形状表面は、該形状表面に取り付けられることなく該表面に相対して配設された別個の接続部品(25)によって相互に接続されることを特徴とするリテーナ。
【請求項10】
請求項9に記載のリテーナにおいて、第1の締め付けアーム(18a)は、前記回転軸継手(19a、19b)の間の部分において少なくとも2つの第1の接続カム(27)を含み、該カムは互いに軸方向に一定の間隔を置いて配設され、
第2の締め付けアーム(18b)は前記回転軸継手(19a、19b)の間の部分において少なくとも2つの第2の接続カム(28)を含み、該カムは互いに軸方向に一定の間隔を置いて配設され、
第1の接続カム(27)および第2の接続カム(28)は交互に重ね合わされ、
第1の接続カム(27)および第2の接続カム(28)には、互いに向けて開口して合致するよう配設された接続用スロット(29)が設けられ、該接続用スロット(29)が両側面において軸方向に接続チャンネル(30)を形成するように配設され、
接続ピン(25)が、前記接続チャンネル(30)に対して配設されて、第1および第2の締め付けアーム(18a、18b)の間の伝動部材として働くように配設され、
前記接続ピン(25)は、前記締め付けアーム(18a、18b)が動かされる場合に、垂直方向に自由に動くことを特徴とするリテーナ。
【請求項11】
請求項5に記載のリテーナにおいて、第1の締め付けアーム(18a)は前記回転軸継手(19a、19b)の間の部分において中心(K)に平行する接続ピン(25)を含み、
第2の締め付けアーム(18b)は前記回転軸継手(19a、19b)の間の部分において長手の接続開口部(32)を含み、
前記接続ピン(25)は前記接続開口部(32)を介して配設され、これによってそれらは形状部材として働き、前記締め付けアーム(18a、18b)間の同期化運動を伝動することを特徴とするリテーナ。
【請求項12】
請求項5ないし11のいずれかに記載のリテーナにおいて、該リテーナ(14)は単一のアクチュエータ(20)を含み、それは前記締め付けアーム(18a、18b)間に配設され、両締め付けアーム(18a、18b)に直接、作用するように接続されることを特徴とするリテーナ。
【請求項13】
請求項5ないし11のいずれかに記載のリテーナにおいて、該リテーナ(14)は単一のアクチュエータ(20)を含み、それは第1の締め付けアーム(18a)だけに作用するように配設され、第2の締め付けアーム(18b)は前記同期化手段の影響を受けて動くように配設されることを特徴とするリテーナ。
【請求項14】
請求項5ないし11のいずれかに記載のリテーナにおいて、該リテーナ(14)は少なくとも2つのアクチュエータ(20a、20b)を含み、少なくとも1つの第1のアクチュエータ(20a)は第1の締め付けアーム(18a)だけに直接、作用するように接続され、少なくとも1つの第2のアクチュエータ(20b)は第2の締め付けアーム(18b)だけに直接、作用するように配設されることを特徴とするリテーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−504721(P2012−504721A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530515(P2011−530515)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050090
【国際公開番号】WO2010/092237
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】