説明

リニアイオントラップ

【課題】
【解決手段】リニアイオントラップ(6、7、8)は、中央四重極ロッドセット(6)およびポストフィルター四重極ロッドセット(8)を備える。中央四重極ロッドセット(6)およびポストフィルター四重極ロッドセット(8)の軸方向に隣接するロッド電極間の位相差を180度に保つことにより、中央四重極ロッドセット(6)とポストフィルター四重極ロッドセット(8)との間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁が形成される。補助AC電圧を中央四重極(6)のロッドに印加して、イオントラップから放出されることが望ましいイオンを径方向に励起させる。この結果、イオントラップ(6、7、8)から、非断熱状態で、軸方向にイオンが放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアイオントラップ、質量分析計、イオンの捕捉方法および質量分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AC不均一電場により荷電粒子またはイオンにかかる時間平均力は、荷電粒子またはイオンを電場が弱くなる領域まで加速することが知られている。電場の最小値は、通常、疑似ポテンシャルの井戸または谷と称される。一方、電場の最大値は、通常、疑似ポテンシャルの山または障壁と称される。RFイオンガイドは、この現象を活用したものであり、イオンガイドの中心長手軸に沿って疑似ポテンシャル井戸が形成されて、イオンガイド内部で径方向にイオンが閉じ込められるように、設計される。
【0003】
従来の多極ロッドセット型イオンガイドや最近のリングスタック/イオントンネル型イオンガイド等、さまざまな形態のRFイオンガイドが知られている。リングスタック/イオントンネル型イオンガイドは、一直線上に配置される複数のリング電極を備え、リング電極の中心孔をイオンが透過する。逆位相のRF電圧を隣接するリング電極に印加することにより、イオンガイドの中心軸に沿って疑似ポテンシャル井戸が形成され、イオンガイド内部で径方向にイオンが閉じ込められる。
【0004】
RFイオンガイドと密接に関連する周知のデバイスに四重極ロッドセット・マスフィルター(QMF)がある。四重極マスフィルターは、4つの長尺ロッド電極を備える。ロッド電極にはAC電圧とDC電圧の組み合わせが印加される。所定の組み合わせのAC電圧およびDC電圧を印加した場合、所定の質量対電荷比を有するイオンのみが、安定した軌道で四重極マスフィルターを通過することができる。すなわち、明確に定義された幅に含まれる質量対電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルターを透過することができる。他のイオンは、四重極マスフィルターの通過軌道が不安定であるため、システムに応答せず、減衰する。
【0005】
四重極マスフィルターには、四重極マスフィルターの入口側および出口側にフリンジ電場が形成され、イオンビームの焦点がぼけるという周知の課題がある。これにより、全体的なイオン透過が抑制されるという影響が生じる。この課題を解決するために、Brubakerは、四重極をセグメント化して、入口側四重極および出口側四重極を短くした構成を提案した(米国特許第3129327号)。しかし、この構成では、入口側四重極および出口側四重極にはRF用電圧が印加されるため、入口側四重極および出口側四重極ではイオンの質量フィルタリングが行なわれない。この構成は、遅延DCランプとして知られ、また、RF用四重極は、Brubakerレンズ、プレ/ポストフィルターまたはスタビーと称されることもある。
【0006】
四重極プレフィルターおよび四重極ポストフィルターを採用した周知の四重極構成の概略を図1Aに示す。図1Aに示すように、短いプレフィルター2が中央四重極1の上流側に配置され、短いポストフィルター3が中央四重極1の下流側に配置される。
【0007】
図1Bに、プレフィルター2のロッド、中央四重極1のロッド、ポストフィルター3のロッドに適当なRF電圧を供給するための従来の回路構成を示す。単一のRF/DC源を用いて、中央四重極1を駆動する。プレフィルター2のロッドおよびポストフィルター3のロッドは、中央四重極1の隣接ロッドに対して、容量的に結合される。この結果、中央四重極1のロッドに印加されるRF電圧のうちかなり大きな割合が、プレフィルター2の電極およびポストフィルター3の電極にも印加される。ただし、プレフィルター2の電極やポストフィルター3の電極には、分解DC電圧は印加されない。(図示しない)追加の接続を利用して、電極にさらにDC電圧や補助RF電圧を供給するようにしてもよい。
【0008】
リニアイオントラップは、複数のロッド電極またはリング電極と、イオントラップ内部で軸方向にイオンを閉じ込めるために用いられる別の電極と、を備える。リニアイオントラップは、周知のように、中央四重極と短い入口側四重極と短い出口側四重極とを備える。DC電圧を入口側四重極および出口側四重極に印加することにより、イオントラップ内部で軸方向にイオンが閉じ込められる。四重極の電極に双極性補助AC電圧を印加することにより、閉じ込め電極のスロットを介してイオンを共鳴的に放出させるようにしてもよい。
【0009】
米国特許第7084398号(Loboda)に開示される低分解能リニアイオントラップは、長尺ロッドセットにRF電圧を印加して、イオンガイド内部で径方向にイオンを閉じ込める。長尺ロッドセット外部の電極にRF電圧を印加することにより、イオンガイドの出口側に軸方向RF電場が形成される。軸方向RF電場は、イオンに対する障壁として働く軸方向疑似ポテンシャル障壁を発生させる。疑似ポテンシャル障壁の大きさは、イオンの質量対電荷比に逆比例する。この結果、比較的低い質量対電荷比を有するイオンは、比較的大きな振幅を持つ疑似ポテンシャル障壁の影響を受ける。イオンガイドから軸方向にイオンを放出させるために、軸方向静電場は、イオンガイドの軸に沿ってイオンを推進するように構成される。疑似ポテンシャル障壁は、比較的低い質量対電荷比を有するイオンに対する軸方向静電場の影響を抑制する一方で、比較的高い質量対電荷比を有するイオンに対する軸方向静電場の影響を十分に抑制することができない。したがって、比較的高い質量対電荷比を有するイオンは、イオンガイドから軸方向に放出される。軸方向静電場の振幅または疑似ポテンシャル障壁の振幅を調節することにより、イオンを質量選択的に放出させることが可能である。しかし、周知のイオントラップには、イオン放出の質量分解能が比較的低いという課題がある。
【0010】
イオントラップの改良が求められている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様は、イオントラップであって、
複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、
複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、
第1の電極の少なくとも一部の電極および第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加するように配置および構成される第1のデバイスであって、第1の動作モードにおいて、第1の電極の少なくとも一部の電極とこの電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する第1のデバイスと、
第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加するように配置および構成される第2のデバイスであって、第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる第2のデバイスと、
を備える。
【0012】
第1のデバイスが、第1の電極の少なくとも一部および第2の電極の少なくとも一部に、第1のACまたはRF電圧を印加する構成が望ましい。第1のデバイスが単一のACまたはRF発生器を備える構成でもよいし、二つ以上のACまたはRF発生器を備える構成でもよい。第1の電極と第2の電極とに基本的に同じACまたはRF電圧を印加する実施形態も、第1の電極に第1のACまたはRF電圧を印加する一方で第2の電極に第2の異なるACまたはRF電圧を印加する実施形態も、いずれも本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0013】
本発明の好適な実施形態において、第2の四重極のロッドが第1の四重極のロッドと同軸上にある構成が望ましい。本実施形態において、第1の四重極の一つのロッドが第2の四重極の一つのロッドに最も近い位置にある(軸方向に隣接する、と見なされる)。すなわち、別々の四重極ロッドセットに含まれ、互いに最も近い位置にあるロッドを、軸方向に隣接するロッドと見なすことができる。
【0014】
第2の四重極ロッドセットのロッドが第1の四重極ロッドセットのロッドと同軸上にない構成でもよい。あるいは、第2の四重極ロッドセットのロッドを、第1の四重極ロッドセットのロッドに対して回転させた位置としてもよい。第2の四重極ロッドセットのロッドが第1の四重極ロッドセットのロッドに対して正確に45度の角度に配置されれば、第1の四重極ロッドセットの一つのロッドが第2の四重極ロッドセットの二つのロッドから等距離に位置することになる。このような実施形態において、第1の四重極ロッドセットの一つのロッドと第2の四重極ロッドセットの二つの最も近い位置にあるロッドのうち一方との間の位相差をゼロとする一方で、第1の四重極ロッドセットの同じロッドと第2の四重極ロッドセットの二つの最も近い位置にあるロッドのうち他方との間の位相差をゼロでない値とすることができる。このような実施形態も本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0015】
第1の四重極ロッドセットは、望ましくは、中心長手軸を有する第1のロッド電極と、中心長手軸を有する第2のロッド電極と、中心長手軸を有する第3のロッド電極と、中心長手軸を有する第4のロッド電極とを備える。第2の四重極ロッドセットは、望ましくは、中心長手軸を有する第5のロッド電極と、中心長手軸を有する第6のロッド電極と、中心長手軸を有する第7のロッド電極と、中心長手軸を有する第8のロッド電極とを備える。
【0016】
好適な実施形態において、
(i)第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、第2の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同一直線上にある、または同軸上にある、および/または、
(iii)第1のロッド電極の中心長手軸は、第5のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(iv)第2のロッド電極の中心長手軸は、第6のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(v)第3のロッド電極の中心長手軸は、第7のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(vi)第4のロッド電極の中心長手軸は、第8のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある。
【0017】
あるいは、
(i)第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、第2の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、または第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iii)第1のロッド電極の中心長手軸は、第5のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第5のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iv)第2のロッド電極の中心長手軸は、第6のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第6のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(v)第3のロッド電極の中心長手軸は、第7のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第7のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(vi)第4のロッド電極の中心長手軸は、第8のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第8のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、
構成でもよい。
【0018】
また、
(i)第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、第2の四重極ロッドセットの中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(iii)第1のロッド電極の中心長手軸は、第5のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(iv)第2のロッド電極の中心長手軸は、第6のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(v)第3のロッド電極の中心長手軸は、第7のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(vi)第4のロッド電極の中心長手軸は、第8のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、
構成でもよい。
【0019】
さらに、
(i)第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、第2の四重極ロッドセットの中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、または第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iii)第1のロッド電極の中心長手軸は、第5のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第5のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iv)第2のロッド電極の中心長手軸は、第6のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第6のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(v)第3のロッド電極の中心長手軸は、第7のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第7のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(vi)第4のロッド電極の中心長手軸は、第8のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、第8のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、
構成でもよい。
【0020】
一実施形態において、
(i)第1のロッド電極の下流側端部の中心が、第5のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(ii)第2のロッド電極の下流側端部の中心が、第6のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(iii)第3のロッド電極の下流側端部の中心が、第7のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(iv)第4のロッド電極の下流側端部の中心が、第8のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にあり、
1が、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、
(i)第1の電極と第2の電極とが、ほぼ同じ直径を有する、または、実質的に異なる直径を有する、および/または、
(ii)第1の電極と第2の電極とが、ほぼ同じ内接半径を有する、または、実質的に異なる内接半径を有する、および/または、
(iii)第1の電極と第2の電極とが、ほぼ同じ断面形状を有する、または、実質的に異なる断面形状を有する、および/または、
(iv)第1の電極と第2の電極とが、ほぼ同じ物理特性を有する、または、実質的に異なる物理特性を有する。
【0022】
一実施形態において、
(i)第1のロッド電極と第5のロッド電極との間の位相差が、 1度になるように構成される、および/または、
(ii)第2のロッド電極と第6のロッド電極との間の位相差が、 2度になるように構成される、および/または、
(iii)第3のロッド電極と第7のロッド電極との間の位相差が、 3度になるように構成される、および/または、
(iv)第4のロッド電極と第8のロッド電極との間の位相差が、 4度になるように構成され、
1度および/または 2度および/または 3度および/または 4度が、(i)0度より大きい値、(ii)5から10度の範囲の値、(iii)10から15度の範囲の値、(iv)5から20度の範囲の値、(v)20から25度の範囲の値、(vi)25から30度の範囲の値、(vii)30から35度の範囲の値、(viii)35から40度の範囲の値、(ix)40から45度の範囲の値、(x)45から50度の範囲の値、(xi)50から55度の範囲の値、(xii)55から60度の範囲の値、(xiii)60から65度の範囲の値、(xiv)65から70度の範囲の値、(xv)70から75度の範囲の値、(xvi)75から80度の範囲の値、(xvii)80から85度の範囲の値、(xviii)85から90度の範囲の値、(xix)90から95度の範囲の値、(xx)95から100度の範囲の値、(xxi)100から105度の範囲の値、(xxii)105から110度の範囲の値、(xxiii)110から115度の範囲の値、(xxiv)115から120度の範囲の値、(xxv)120から125度の範囲の値、(xxvi)125から130度の範囲の値、(xxvii)130から135度の範囲の値、(xxviii)135から140度の範囲の値、(xxix)140から145度の範囲の値、(xxx)145から150度の範囲の値、(xxxi)150から155度の範囲の値、(xxxii)155から160度の範囲の値、(xxxiii)160から165度の範囲の値、(xxxiv)165から170度の範囲の値、(xxxv)170から175度の範囲の値、(xxvi)175から180度の範囲の値、および(xxvii)180度、からなる群から選択される。
【0023】
ここで、 1度および/または 2度および/または 3度および/または 4度は、0度より大きく、5度より小さい値でもよい。
【0024】
一実施形態において、
(i)第1の四重極ロッドセットおよび第2の四重極ロッドセットは、同じ電極セット内の電気的に絶縁された部分をそれぞれ含むものでもよい。および/または、第1の四重極ロッドセットおよび第2の四重極ロッドセットは、同じ電極セットから機械的に形成されるものでもよい。および/または、
(ii)第1の四重極ロッドセットが、誘電体被覆を備える電極セットの一領域を含み、第2の四重極ロッドセットが、同じ電極セットの別の領域を含むものでもよい。
【0025】
第1の四重極ロッドセットの下流側端部と第2の四重極ロッドセットの上流側端部との間の軸方向の距離は、望ましくは、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。
【0026】
第1の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第1の位置であって、第1の電極の下流側端部と同一面内にある第1の位置と、第2の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第2の位置であって、第2の電極の上流側端部と同一面内にある第2の位置と、の間の軸方向の距離は、望ましくは、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。
【0027】
第1の四重極ロッドセットが望ましくは第1の軸長さを有し、第2の四重極ロッドセットが望ましくは第2の軸長さを有する。一実施形態において、第1の軸長さは、望ましくは、第2の軸長さよりも実質的に長い。および/または、第2の軸長さに対する第1の軸長さの比は、望ましくは、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である。別の実施形態において、第2の軸長さが、第1の軸長さよりも実質的に長い構成でもよい。および/または、第1の軸長さに対する第2の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である構成でもよい。特に、第1の四重極ロッドセットからイオンがエネルギーとして放出される場合、第2の四重極ロッドセットを第1の四重極ロッドセットよりも長くすることにより、時間飛行型質量分析計等の他のイオン光学部品に対してイオンを透過させる前に、イオンの運動エネルギーを抑制することができる。
【0028】
第1の四重極ロッドセットは、望ましくは、第1の中心長手軸を備える。
(i)第1の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)第1の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、第1の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される。
【0029】
第2の四重極ロッドセットは、望ましくは、第2の中心長手軸を備える。
(i)第2の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)第2の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、第2の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される。
【0030】
第1の四重極ロッドセットに対して第1のACまたはRF電圧を印加する、および/または、第2の四重極ロッドセットに対して第2のACまたはRF電圧を印加する、ように第1のデバイスを配置および構成することが望ましい。このような実施形態も、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0031】
一実施形態において、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧は、望ましくは、(i)50Vより小さいピークピーク値(peak to peak)、(ii)50から100Vの範囲のピークピーク値、(iii)100から150Vの範囲のピークピーク値、(iv)150から200Vの範囲のピークピーク値、(v)200から250Vの範囲のピークピーク値、(vi)250から300Vの範囲のピークピーク値、(vii)300から350Vの範囲のピークピーク値、(viii)350から400Vの範囲のピークピーク値、(ix)400から450Vの範囲のピークピーク値、(x)450から500Vの範囲のピークピーク値、(xi)500から1000Vの範囲のピークピーク値、(xii)1から2kVの範囲のピークピーク値、(xiii)2から3kVの範囲のピークピーク値、(xiv)3から4kVの範囲のピークピーク値、(xv)4から5kVの範囲のピークピーク値、(xvi)5から6kVの範囲のピークピーク値、(xvii)6から7kVの範囲のピークピーク値、(xviii)7から8kVの範囲のピークピーク値、(xix)8から9kVの範囲のピークピーク値、(xx)9から10kVの範囲のピークピーク値、(xxi)10から11kVの範囲のピークピーク値、(xxii)11から12kVの範囲のピークピーク値、(xxiii)12から13kVの範囲のピークピーク値、(xxiv)13から14kVの範囲のピークピーク値、(xxv)14から15kVの範囲のピークピーク値、(xxvi)15から16kVの範囲のピークピーク値、(xxvii)16から17kVの範囲のピークピーク値、(xxviii)17から18kVの範囲のピークピーク値、(xxix)18から19kVの範囲のピークピーク値、(xxx)19から20kVの範囲のピークピーク値、および(xxxi)20kVより大きなピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する。
【0032】
一実施形態において、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧は、望ましくは、(i)100kHz未満の値、(ii)100から200kHzの範囲の値、(iii)200から300kHzの範囲の値、(iv)300から400kHzの範囲の値、(v)400から500kHzの範囲の値、(vi)0.5から1.0MHzの範囲の値、(vii)1.0から1.5MHzの範囲の値、(viii)1.5から2.0MHzの範囲の値、(ix)2.0から2.5MHzの範囲の値、(x)2.5から3.0MHzの範囲の値、(xi)3.0から3.5MHzの範囲の値、(xii)3.5から4.0MHzの範囲の値、(xiii)4.0から4.5MHzの範囲の値、(xiv)4.5から5.0MHzの範囲の値、(xv)5.0から5.5MHzの範囲の値、(xvi)5.5から6.0MHzの範囲の値、(xvii)6.0から6.5MHzの範囲の値、(xviii)6.5から7.0MHzの範囲の値、(xix)7.0から7.5MHzの範囲の値、(xx)7.5から8.0MHzの範囲の値、(xxi)8.0から8.5MHzの範囲の値、(xxii)8.5から9.0MHzの範囲の値、(xxiii)9.0から9.5MHzの範囲の値、(xxiv)9.5から10.0MHzの範囲の値、および(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される周波数を有する。
【0033】
一実施形態において、第1のACまたはRF電圧および第2のACまたはRF電圧は、望ましくは、ほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数を有する。別の実施形態において、第1のACまたはRF電圧および第2のACまたはRF電圧の振幅および/または周波数は、10%未満の範囲、10から20%の範囲、20から30%の範囲、30から40%の範囲、40から50%の範囲、50から60%の範囲、60から70%の範囲、70から80%の範囲、80から90%の範囲、90から100%の範囲、または100%より大きな範囲、で異なるものとしてもよい。
【0034】
動作モードにおける時間経過に対して、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように、第1のデバイスを配置および構成するものでもよい。あるいは、動作モードにおいて、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、第1のデバイスを配置および構成するものでもよい。
【0035】
一実施形態において、第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出される少なくとも一部のイオンまたはほぼ全部のイオンが、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を越えて、第2の四重極ロッドセットに入る。
【0036】
一実施形態において、第1の四重極ロッドセット内部において、少なくとも一部のイオンの径方向変位を変動させる、増大させる、減少させる、または、変更するように、第2のデバイスを配置および構成するものでもよい。
【0037】
好適な実施形態において、一つ以上の補助AC電圧を印加して、第1の四重極ロッドセット内部において、質量選択的に、または、質量対電荷比選択的に、少なくとも一部のイオンを径方向に励起させ、その結果、第1の四重極ロッドセット内部において、イオンの径方向の動きを増大させるように、第2のデバイスを配置および構成することも望ましい。
【0038】
一実施形態において、一つ以上の補助AC電圧が、(i)50mV未満のピークピーク値、(ii)50から100mVの範囲のピークピーク値、(iii)100から150mVの範囲のピークピーク値、(iv)150から200mVの範囲のピークピーク値、(v)200から250mVの範囲のピークピーク値、(vi)250から300mVの範囲のピークピーク値、(vii)300から350mVの範囲のピークピーク値、(viii)350から400mVの範囲のピークピーク値、(ix)400から450mVの範囲のピークピーク値、(x)450から500mVの範囲のピークピーク値、および(xi)500mVより大きいピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有するものでもよい。
【0039】
一実施形態において、一つ以上の補助AC電圧が、(i)10kHz未満の値、(ii)10から20kHzの範囲の値、(iii)20から30kHzの範囲の値、(iv)30から40kHzの範囲の値、(v)40から50kHzの範囲の値、(vi)50から60kHzの範囲の値、(vii)60から70kHzの範囲の値、(viii)70から80kHzの範囲の値、(ix)80から90kHzの範囲の値、(x)90から100kHzの範囲の値、(xi)100から110kHzの範囲の値、(xii)110から120kHzの範囲の値、(xiii)120から130kHzの範囲の値、(xiv)130から140kHzの範囲の値、(xv)140から150kHzの範囲の値、(xvi)150から160kHzの範囲の値、(xvii)160から170kHzの範囲の値、(xviii)170から180kHzの範囲の値、(xix)180から190kHzの範囲の値、(xx)190から200kHzの範囲の値、(xxi)200から250kHzの範囲の値、(xxii)250から300kHzの範囲の値、(xxiii)300から350kHzの範囲の値、(xxiv)350から400kHzの範囲の値、(xxv)400から450kHzの範囲の値、(xxvi)450から500kHzの範囲の値、(xxvii)500から600kHzの範囲の値、(xxviii)600から700kHzの範囲の値、(xxix)700から800kHzの範囲の値、(xxx)800から900kHzの範囲の値、(xxxi)900から1000kHzの範囲の値、および(xxxii)1MHzより大きい値、からなる群から選択される周波数を有するものでもよい。
【0040】
第1の電極の少なくとも一部の電極に印加される一つ以上の補助AC電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように、第2のデバイスを配置および構成するものでもよい。あるいは、第1の電極の少なくとも一部の電極に印加される一つ以上の補助AC電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、第2のデバイスを配置および構成するものでもよい。
【0041】
好適な実施形態において、動作モードにおいて、ほぼ非断熱状態でイオントラップから軸方向にイオンが放出される、および/または、イオンに対して実質的に軸方向のエネルギーを与えることにより、イオンが放出される。
【0042】
好適な実施形態において、(i)10eV未満の値、(ii)10から20
eVの範囲の値、(iii)20から30eVの範囲の値、(iv)30から40eVの範囲の値、(v)40から50eVの範囲の値、(vi)50から60eVの範囲の値、(vii)60から70eVの範囲の値、(viii)70から80eVの範囲の値、(ix)80から90eVの範囲の値、(x)90から100eVの範囲の値、および(xi)100eVより大きい値、からなる群から選択される平均軸方向運動エネルギーを用いて、イオントラップから軸方向にイオンが放出される。
【0043】
好適な実施形態において、望ましくは、イオントラップから軸方向にイオンが放出され、軸方向運動エネルギーの標準偏差が、(i)10eV未満の値、(ii)10から20eVの範囲の値、(iii)20から30eVの範囲の値、(iv)30から40eVの範囲の値、(v)40から50eVの範囲の値、(vi)50から60eVの範囲の値、(vii)60から70eVの範囲の値、(viii)70から80eVの範囲の値、(ix)80から90eVの範囲の値、(x)90から100eVの範囲の値、および(xi)100eVより大きい値、からなる群から選択される。
【0044】
一実施形態において、動作モードにおいて、イオントラップから、ほぼ同じ軸方向に、および/または、実質的に異なる軸方向に、異なる質量対電荷比を有する複数の異なる種類のイオンが同時に放出される。
【0045】
一実施形態において、動作モードにおいて、ある瞬間に軸方向に放出されることが望ましくないイオンは径方向に励起されない、または、径方向にごくわずかまたは不十分な程度しか励起されない。
【0046】
一実施形態において、イオントラップからある瞬間に軸方向に放出されることが望ましいイオンはイオントラップから質量選択的に放出される。および/または、イオントラップから同じ瞬間に軸方向に放出されることが望ましくないイオンはイオントラップから質量選択的に放出されない。
【0047】
一実施形態において、少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させることにより、第1の四重極ロッドセットから軸方向に非断熱状態で放出させるように、第2のデバイスを配置および構成することが望ましい。
【0048】
以下の関係を用いて、断熱性パラメータηを定義するようにしてもよい。
【数1】

ここで、qは電荷、E0は電界、mは質量、ΩはRF周波数である。一実施形態において、η>0.3の場合に、イオンが第1の四重極ロッドセットから非断熱状態で放出されると見なされる。
【0049】
一実施形態において、少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させることにより、第1の四重極ロッドセットから軸方向に非断熱状態で放出させるように、第2のデバイスを配置および構成することが望ましい。第1の四重極ロッドセットから非断熱状態で放出されるイオンに関して、ηが、(i)0.3から0.4の範囲、(ii)0.4から0.5の範囲、(iii)0.5から0.6の範囲、(iv)0.6から0.7の範囲、(v)0.7から0.8の範囲、(vi)0.8から0.9の範囲、および(vii)0.9より大きい値、からなる群から選択される値を有するように設定される。
【0050】
一実施形態において、イオントラップは、望ましくは、さらに第3のデバイスを備える。第3のデバイスは、
(i)第1の四重極ロッドセット内部において軸方向に少なくとも一部のイオンを閉じ込める助けになるように、第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上のDC電圧を印加する、および/または、
(ii)第1の四重極ロッドセット内部において軸方向に少なくとも一部のイオンを閉じ込める助けになるように、第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上の追加のAC電圧を印加する、
ように配置および構成される。
【0051】
一つ以上の追加のAC電圧を印加することにより、望ましくは、追加の疑似ポテンシャル障壁が形成される。そうでなければ、第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとの間の疑似ポテンシャル障壁の振幅に影響を与える。
【0052】
第2の電極の一つ以上の電極に印加される一つ以上の追加のAC電圧は、望ましくは、10V未満、10から20Vの範囲の値、20から30Vの範囲の値、30から40Vの範囲の値、40から50Vの範囲の値、50から60Vの範囲の値、60から70Vの範囲の値、70から80Vの範囲の値、80から90Vの範囲の値、90から100Vの範囲の値、または100Vより大きな値の振幅を有する。第2の電極の一つ以上の電極に印加される一つ以上の追加のAC電圧は、望ましくは、(i)100kHz未満の値、(ii)100から200kHzの範囲の値、(iii)200から300kHzの範囲の値、(iv)300から400kHzの範囲の値、(v)400から500kHzの範囲の値、(vi)0.5から1.0MHzの範囲の値、(vii)1.0から1.5MHzの範囲の値、(viii)1.5から2.0MHzの範囲の値、(ix)2.0から2.5MHzの範囲の値、(x)2.5から3.0MHzの範囲の値、(xi)3.0から3.5MHzの範囲の値、(xii)3.5から4.0MHzの範囲の値、(xiii)4.0から4.5MHzの範囲の値、(xiv)4.5から5.0MHzの範囲の値、(xv)5.0から5.5MHzの範囲の値、(xvi)5.5から6.0MHzの範囲の値、(xvii)6.0から6.5MHzの範囲の値、(xviii)6.5から7.0MHzの範囲の値、(xix)7.0から7.5MHzの範囲の値、(xx)7.5から8.0MHzの範囲の値、(xxi)8.0から8.5MHzの範囲の値、(xxii)8.5から9.0MHzの範囲の値、(xxiii)9.0から9.5MHzの範囲の値、(xxiv)9.5から10.0MHzの範囲の値、および(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される振幅を有する。
【0053】
第3のデバイスは、望ましくは、
(i)動作モードにおいて、イオントラップから軸方向にイオンが放出される間に、DCトラップ場、DCポテンシャル障壁または障壁場の振幅を変動させる、増大させる、減少させる、またはスキャンするように、第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上のDC電圧を印加する、および/または、
(ii)動作モードにおいて、イオントラップから軸方向にイオンが放出される間に、疑似ポテンシャル障壁または障壁場の振幅を変動させる、増大させる、減少させる、またはスキャンするように、第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上の追加のAC電圧を印加する、
ように配置および構成される。
【0054】
一実施形態において、
(a)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、イオントラップの一つ以上の上流領域および/または中間領域および/または下流領域にトラップされるまたは隔離されるように構成される。および/または、
(b)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、イオントラップの一つ以上の上流領域および/または中間領域および/または下流領域でフラグメント化(断片化)されるように構成される。および/または、
(c)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、イオントラップの長さ方向の少なくとも一部に沿って伝達される際に、イオン移動度に従って、または、電界強度に対するイオン移動度の変化率に従って時間的に分離されるように構成される。および/または、
(d)動作モードにおいて、イオントラップが、(i)100ミリバールより大きい値、(ii)10ミリバールより大きい値、(iii)1ミリバールより大きい値、(iv)0.1ミリバールより大きい値、(v)10-2ミリバールより大きい値、(vi)10-3ミリバールより大きい値、(vii)10-4ミリバールより大きい値、(viii)10-5ミリバールより大きい値、(ix)10-6ミリバールより大きい値、(x)100ミリバールより小さい値、(xi)10ミリバールより小さい値、(xii)1ミリバールより小さい値、(xiii)0.1ミリバールより小さい値、(xiv)10-2ミリバールより小さい値、(xv)10-3ミリバールより小さい値、(xvi)10-4ミリバールより小さい値、(xvii)10-5ミリバールより小さい値、(xviii)10-6ミリバールより小さい値、(xix)10ミリバールから100ミリバールの範囲の値、(xx)1ミリバールから10ミリバールの範囲の値、(xxi)0.1ミリバールから1ミリバールの範囲の値、(xxii)10-2ミリバールから10-1ミリバールの範囲の値、(xxiii)10-3ミリバールから10-2ミリバールの範囲の値、(xxiv)10-4ミリバールから10-3ミリバールの範囲の値、(xxv)10-5ミリバールから10-4ミリバールの範囲の値、からなる群から選択される圧力に維持されるように配置および構成される。および/または、
(e)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、イオントラップの一部内でフラグメント化(断片化)されるまたは反応するように構成され、イオンは、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation:CID)、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation:SID)、(iii)電子移動解離(Electron Transfer Dissociation:ETD)、(iv)電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation:ECD)、(v)電子衝突または衝撃解離、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation:PID)、(vii)レーザー誘起解離、(viii)赤外線誘起解離、(ix)紫外線誘起解離、(x)熱解離または温度解離、(xi)電場誘起解離、(xii)磁場誘起解離、(xiii)酵素消化または酵素分解解離、(xiv)イオン−イオン反応解離、(xv)イオン−分子反応解離、(xvi)イオン−原子反応解離、(xvii)イオン−準安定イオン反応解離、(xviii)イオン−準安定分子反応解離、(xix)イオン−準安定原子反応解離、または(xx)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation:EID)によってフラグメント化されるように構成される。
【0055】
イオントラップは、望ましくは、さらに、イオントラップ内でイオンをパルス状にする、および/または、ほぼ連続的なイオンビームをパルス状イオンビームに変換するデバイス、イオンゲートまたは別のイオントラップを備える。デバイス、イオンゲートまたは別のイオントラップは、イオントラップの上流側および/または下流側に配置される。
【0056】
イオントラップは、望ましくは、第2の異なる動作モードで動作するように配置および構成される。
第2の異なる動作モードにおいて、
(i)DC電圧および/またはACまたはRF電圧を第1の電極の一つ以上の電極および/または第2の電極の一つ以上の電極に印加することにより、イオントラップを、軸方向にイオンを閉じ込めないように構成されるRF用イオンガイドまたはイオンガイドとして作動させる、および/または、
(ii)DC電圧および/またはACまたはRF電圧を第1の電極の一つ以上の電極および/または第2の電極の一つ以上の電極に印加することにより、イオントラップを、イオンを質量選択的に伝達すると共にイオンを軸方向に閉じ込めないように構成されるマスフィルターまたは質量分析器として作動させる。
【0057】
一実施形態において、動作モードにおいて、第1の四重極ロッドセットおよび/または第2の四重極ロッドセット内部で径方向にイオンが閉じ込められるように、ACまたはRF電圧のほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数および/またはほぼ同じ位相を第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとに印加するようにしてもよい。この実施形態において、イオントラップは、従来のイオンガイドとして作用し、デバイス内部で軸方向にイオンを閉じ込めない構成が望ましい。
【0058】
一実施形態において、イオントラップは、望ましくは、さらに、複数の第3の電極を備える第3の四重極ロッドセットを備える。第3の四重極ロッドセットは、望ましくは、第1の四重極ロッドセットの上流側に配置される。
【0059】
第1の動作モードにおいて、第3の電極の少なくとも一部の電極とこの電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第1の電極との間で、位相差をゼロに保つ構成が望ましい。この結果、望ましくは、第3の四重極ロッドセットと第1の四重極ロッドセットとの間に疑似ポテンシャル障壁が形成されない。
【0060】
第3の四重極ロッドセットは、望ましくは、中心長手軸を有する第9のロッド電極と、中心長手軸を有する第10のロッド電極と、中心長手軸を有する第11のロッド電極と、中心長手軸を有する第12のロッド電極とを備える。
【0061】
好適な実施形態において、
(i)第3の四重極ロッドセットの中心長手軸は、第1の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)第3の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同一直線上にある、または同軸上にある、および/または、
(iii)第1のロッド電極の中心長手軸は、第9のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(iv)第2のロッド電極の中心長手軸は、第10のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(v)第3のロッド電極の中心長手軸は、第11のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(vi)第4のロッド電極の中心長手軸は、第12のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある。
【0062】
一実施形態において、
(i)第9のロッド電極の下流側端部の中心が、第1のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(ii)第10のロッド電極の下流側端部の中心が、第2のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(iii)第11のロッド電極の下流側端部の中心が、第3のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(iv)第12のロッド電極の下流側端部の中心が、第4のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にあり、
2が、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。
【0063】
好適な実施形態において、
(i)第1の電極と第3の電極とが、ほぼ同じの直径を有する、および/または、
(ii)第1の電極と第3の電極とが、ほぼ同じ内接半径を有する、および/または、
(iii)第1の電極と第3の電極とが、ほぼ同じ断面形状を有する、および/または、
(iv)第1の電極と第3の電極とが、ほぼ同じ物理特性を有する。
【0064】
好適な実施形態において、
(i)第1のロッド電極と第9のロッド電極との間の位相差が、 5度になるように構成される、および/または、
(ii)第2のロッド電極と第10のロッド電極との間の位相差が、 6度になるように構成される、および/または、
(iii)第3のロッド電極と第11のロッド電極との間の位相差が、 7度になるように構成される、および/または、
(iv)第4のロッド電極と第12のロッド電極との間の位相差が、 8度になるように構成され、
5度および/または 6度および/または 7度および/または 8度が0度になるように構成される。
【0065】
あるいは、 5度および/または 6度および/または 7度および/または 8度は、10度未満、20度未満、30度未満、40度未満または50度未満でもよい。
【0066】
一実施形態において、
(i)第1の四重極ロッドセットおよび第3の四重極ロッドセットは、同じ電極セット内の電気的に絶縁された部分をそれぞれ含む。および/または、第1の四重極ロッドセットおよび第3の四重極ロッドセットは、同じ電極セットから機械的に形成される。および/または、
(ii)第1の四重極ロッドセットが、誘電体被覆を備える電極セットの一領域を含み、第3の四重極ロッドセットが、同じ電極セットの別の領域を含む。
【0067】
一実施形態において、
(i)第3の四重極ロッドセットの下流側端部と第1の四重極ロッドセットの上流側端部との間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。および/または、
(ii)第3の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第3の位置であって、第3の電極の下流側端部と同一面内にある第3の位置と、第1の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第4の位置であって、第1の電極の上流側端部と同一面内にある第4の位置と、の間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される。
【0068】
第1の四重極ロッドセットが望ましくは第1の軸長さを有し、第3の四重極ロッドセットが望ましくは第3の軸長さを有する。
(i)第1の軸長さが、第3の軸長さよりも実質的に長い、および/または、第3の軸長さに対する第1の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である、または、
(ii)第3の軸長さが、第1の軸長さよりも実質的に長い、および/または、第1の軸長さに対する第3の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である。
【0069】
第3の四重極ロッドセットが、望ましくは、第3の中心長手軸を備える。
(i)第3の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)第3の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、第3の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される。
【0070】
一実施形態において、第3の四重極ロッドセットに対して第3のACまたはRF電圧を印加するように、第1のデバイスを配置および構成する。
【0071】
一実施形態において、第3のACまたはRF電圧は、望ましくは、(i)50Vより小さいピークピーク値(peak to peak)、(ii)50から100Vの範囲のピークピーク値、(iii)100から150Vの範囲のピークピーク値、(iv)150から200Vの範囲のピークピーク値、(v)200から250Vの範囲のピークピーク値、(vi)250から300Vの範囲のピークピーク値、(vii)300から350Vの範囲のピークピーク値、(viii)350から400Vの範囲のピークピーク値、(ix)400から450Vの範囲のピークピーク値、(x)450から500Vの範囲のピークピーク値、(xi)500から1000Vの範囲のピークピーク値、(xii)1から2kVの範囲のピークピーク値、(xiii)2から3kVの範囲のピークピーク値、(xiv)3から4kVの範囲のピークピーク値、(xv)4から5kVの範囲のピークピーク値、(xvi)5から6kVの範囲のピークピーク値、(xvii)6から7kVの範囲のピークピーク値、(xviii)7から8kVの範囲のピークピーク値、(xix)8から9kVの範囲のピークピーク値、(xx)9から10kVの範囲のピークピーク値、(xxi)10から11kVの範囲のピークピーク値、(xxii)11から12kVの範囲のピークピーク値、(xxiii)12から13kVの範囲のピークピーク値、(xxiv)13から14kVの範囲のピークピーク値、(xxv)14から15kVの範囲のピークピーク値、(xxvi)15から16kVの範囲のピークピーク値、(xxvii)16から17kVの範囲のピークピーク値、(xxviii)17から18kVの範囲のピークピーク値、(xxix)18から19kVの範囲のピークピーク値、(xxx)19から20kVの範囲のピークピーク値、および(xxxi)20kVより大きなピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する。
【0072】
一実施形態において、第3のACまたはRF電圧は、望ましくは、(i)100kHz未満の値、(ii)100から200kHzの範囲の値、(iii)200から300kHzの範囲の値、(iv)300から400kHzの範囲の値、(v)400から500kHzの範囲の値、(vi)0.5から1.0MHzの範囲の値、(vii)1.0から1.5MHzの範囲の値、(viii)1.5から2.0MHzの範囲の値、(ix)2.0から2.5MHzの範囲の値、(x)2.5から3.0MHzの範囲の値、(xi)3.0から3.5MHzの範囲の値、(xii)3.5から4.0MHzの範囲の値、(xiii)4.0から4.5MHzの範囲の値、(xiv)4.5から5.0MHzの範囲の値、(xv)5.0から5.5MHzの範囲の値、(xvi)5.5から6.0MHzの範囲の値、(xvii)6.0から6.5MHzの範囲の値、(xviii)6.5から7.0MHzの範囲の値、(xix)7.0から7.5MHzの範囲の値、(xx)7.5から8.0MHzの範囲の値、(xxi)8.0から8.5MHzの範囲の値、(xxii)8.5から9.0MHzの範囲の値、(xxiii)9.0から9.5MHzの範囲の値、(xxiv)9.5から10.0MHzの範囲の値、および(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される周波数を有する。
【0073】
一実施形態において、望ましくは、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧および/または第3のACまたはRF電圧が、ほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数を有する。
【0074】
あるいは、 第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧および/または第3のACまたはRF電圧の振幅および/または周波数は、10%未満の範囲、10から20%の範囲、20から30%の範囲、30から40%の範囲、40から50%の範囲、50から60%の範囲、60から70%の範囲、70から80%の範囲、80から90%の範囲、90から100%の範囲、または100%より大きな範囲、で異なるものでもよい。
【0075】
動作モードにおける時間経過に対して、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧および/または第3のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように、第1のデバイスを配置および構成するものでもよい。あるいは、動作モードにおいて、第1のACまたはRF電圧および/または第2のACまたはRF電圧および/または第3のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、第1のデバイスを配置および構成するものでもよい。
【0076】
一実施形態において、追加のDC電圧および/または追加のRF電圧を第3の四重極ロッドセットのロッドに印加して、イオントラップ内部で軸方向にイオンを閉じ込めるような構成でもよい。
【0077】
本発明の別の態様は、上述したイオントラップを備える質量分析計である。
【0078】
質量分析計は、さらに、
(a)イオントラップの上流側に配置されるイオン源であって、(i)エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)イオン源と、(ii)大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization:APPI)イオン源と、(iii)大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization:APCI)イオン源と、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:MALDI)イオン源と、(v)レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization:LDI)イオン源と、(vi)大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionization:API)イオン源と、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon:DIOS)イオン源と、(viii)電子衝撃(Electron Impact:EI)イオン源と、(ix)化学イオン化(Chemical Ionization:CI)イオン源と、(x)電界イオン化(Field Ionization:FI)イオン源と、(xi)電界脱離(Field Desorption:FD)イオン源と、(xii)誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)イオン源と、(xiii)高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment:FAB)イオン源と、(xiv)液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry:LSIMS)イオン源と、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization:DESI)イオン源と、(xvi)ニッケル63放射性イオン源と、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化イオン源と、(xviii)サーモスプレーイオン源と、からなる群から選択されるイオン源、および/または、
(b)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオンガイド、および/または、
(c)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオン移動度分離装置および/または一つ以上の電界非対称性イオン移動度分光計装置、および/または、
(d)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオントラップまたは一つ以上のイオン捕獲領域、および/または、
(e)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上の衝突セル、フラグメンテーション(断片化)セルまたは反応セルであって、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation:CID)フラグメンテーション装置と、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation:SID)フラグメンテーション装置と、(iii)電子移動解離フラグメンテーション装置と、(iv)電子捕獲解離フラグメンテーション装置と、(v)電子衝突または電子衝撃解離フラグメンテーション装置と、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation:PID)フラグメンテーション装置と、(vii)レーザー誘起解離フラグメンテーション装置と、(viii)赤外線誘起解離装置と、(ix)紫外線誘起解離装置と、(x)ノズル・スキマー・インターフェース・フラグメンテーション装置と、(xi)インソースフラグメンテーション装置と、(xii)インソース衝突誘起解離フラグメンテーション装置と、(xiii)熱源または温度源フラグメンテーション装置と、(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置と、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置と、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーション装置と、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置と、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置と、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置と、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置と、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置と、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置と、(xxiii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応装置と、(xxiv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応装置と、(xxv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応装置と、(xxvi)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置と、(xxvii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応装置と、(xxviii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応装置と、(xxix)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation:EID)フラグメンテーション装置と、からなる群から選択される一つ以上の衝突セル、フラグメンテーションセルまたは反応セル、および/または、
(f)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上の質量分析器であって、(i)四重極質量分析器と、(ii)2次元またはリニア四重極質量分析器と、(iii)ポール(Paul)トラップ型または3次元四重極質量分析器と、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器と、(v)イオントラップ型質量分析器と、(vi)磁場型質量分析器と、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器と、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器と、(ix)静電またはオービトラップ型質量分析器と、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ型質量分析器と、(xi)フーリエ変換質量分析器と、(xii)飛行時間型質量分析器と、(xiii)直交加速飛行時間型質量分析器と、(xiv)線形加速飛行時間型質量分析器と、からなる群から選択される一つ以上の質量分析器、および/または、
(g)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器、および/または、
(h)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオン検出器、および/または、
(i)イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のマスフィルターであって、(i)四重極マスフィルターと、(ii)2次元またはリニア四重極イオントラップと、(iii)ポール(Paul)型または3次元四重極イオントラップと、(iv)ペニング(Penning)型イオントラップと、(v)イオントラップと、(vi)磁場型マスフィルターと、(vii)飛行時間型マスフィルターと、からなる群から選択される一つ以上のマスフィルター、
を備えることが望ましい。
【0079】
本発明のさらに別の態様は、イオンの捕捉方法であって、
複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットを準備する工程と、
複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットを準備する工程と、
第1の電極の少なくとも一部の電極および第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加して、第1の電極の少なくとも一部の電極とこの電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加して、第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる工程と、
を備える。
【0080】
本発明のまた別の態様は、上記のイオン捕捉方法を備える質量分析方法である。
【0081】
本発明のさらに別の態様は、質量分析計の制御システムにより実行されるコンピュータプログラムである。質量分析計は、複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、を含むイオントラップを備える。
コンピュータプログラムは、制御システムに、
(i)第1の電極の少なくとも一部の電極および第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加させて、使用時に、第1の電極の少なくとも一部の電極とこの電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成させて、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加させて、第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる、
ように構成される。
【0082】
本発明のまた別の態様は、コンピュータ読み取り可能な媒体であって、コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されるコンピュータで実行可能な命令を備える。この命令は、質量分析計の制御システムにより実行可能に構成される。質量分析計は、複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、を含むイオントラップを備える。
この命令は、制御システムに、
(i)第1の電極の少なくとも一部の電極および第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加させて、使用時に、第1の電極の少なくとも一部の電極とこの電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、第1の四重極ロッドセットと第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成させて、
(ii)第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加させて、第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる、
ように構成される。
【0083】
望ましくは、コンピュータ読み取り可能な媒体は、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、および(vi)光ディスクからなる群から選択される。
【0084】
本発明のまた別の態様は、イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える。
【0085】
第1の多極ロッドセットは、望ましくは、四重極、六重極、または、より高次の多極ロッドセットを含む。上述したさまざまな実施形態を本発明のこの態様にも同様に適用可能である。
【0086】
本発明のまた別の態様は、イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える。
【0087】
本発明のさらに別の態様は、イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿って配置される一つ以上のベーン電極と、
一つ以上のベーン電極にACまたはRF電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える。
【0088】
第1の多極ロッドセットは、望ましくは、四重極、六重極、または、より高次の多極ロッドセットを含む。上述したさまざまな実施形態を本発明のこの態様にも同様に適用可能である。
【0089】
本発明のまた別の態様は、イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿って一つ以上のベーン電極を準備する工程と、
一つ以上のベーン電極にACまたはRF電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える。
【0090】
本発明のさらに別の態様は、イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
第2の複数の電極を備える第2の多極ロッドセットであって、第2の四重極ロッドセットが第1の四重極ロッドセットの下流側に配置され、第2の複数の電極が第1の複数の電極と同軸上にない、第2の多極ロッドセットと、
第1の電極の少なくとも一部の電極に第1のACまたはRF電圧を印加し、第2の電極の少なくとも一部の電極に第2のACまたはRF電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセットと第2の多極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える。
【0091】
第1の多極ロッドセットは、望ましくは、四重極、六重極、または、より高次の多極ロッドセットを含む。上述したさまざまな実施形態を本発明のこの態様にも同様に適用可能である。
【0092】
本発明のまた別の態様は、イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
第2の複数の電極を備える第2の多極ロッドセットであって、第2の四重極ロッドセットが第1の四重極ロッドセットの下流側に配置され、第2の複数の電極が第1の複数の電極と同軸上にない、第2の多極ロッドセットを準備する工程と、
第1の電極の少なくとも一部の電極に第1のACまたはRF電圧を印加し、第2の電極の少なくとも一部の電極に第2のACまたはRF電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセットと第2の多極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える。
【0093】
上述した好適な実施形態は、一つ、二つ、三つ、または四つ以上の四重極デバイスに関して記載したが、第1の四重極ロッドセットおよび/または第2の四重極ロッドセットおよび/または第3の四重極ロッドセットを六重極ロッドセット、八重極ロッドセットまたはそれより高次の多極ロッドセットに置き換える実施形態も可能である。
【0094】
好適な実施形態の一つは、高透過RF四重極イオンガイドおよび/またはイオントラップである。一部の周知のデバイスとは異なり、好適な実施形態に従うイオントラップでは、イオン誘導領域に沿った軸方向の物理的障害が存在しないため、高いイオン透過効率で動作可能である。
【0095】
一実施例において、印加される電場を2つの動作モード間で切り替えるようにしてもよい。第1の動作モードでは、デバイスは、望ましくは、所定の質量範囲または質量対電荷比範囲のイオンを伝達する(すなわち、デバイスは、望ましくは、四重極マスフィルターとして作用する)。第2の動作モードでは、デバイスは、望ましくは、リニアイオントラップとして作用し、少なくとも一つの径方向に対して、質量選択的にまたは質量対電荷比選択的にイオンを変位させる。イオンは、望ましくは、軸方向に非断熱状態で放出され、一つ以上の径方向依存の軸方向RF障壁またはRF-DCの組み合わせ障壁を越えて伝達される。
【0096】
好適な実施形態は、セグメント化された四重極(またはより高次の多極)ロッドセットを備えるリニアイオントラップとして構成され、主四重極のロッドに印加されるRF電圧と主四重極ロッドセットの下流側に配置されるポストフィルターのロッドに印加されるRF電圧との間に、180度の位相差がある。主四重極とポストフィルターとの間に180度の位相差があることにより、望ましくは、中心から径方向に離れるに従って強度が増大する軸方向疑似ポテンシャル障壁が形成される。一実施形態において、主四重極ロッドセット内部でより大きな半径を持つように、イオンを共鳴的に励起する構成が望ましい。したがって、イオンは、ポストフィルターに到達すると、疑似ポテンシャル障壁により反射される。ただし、イオンの動きが断熱状態のままである間は、疑似ポテンシャル近似のみが成立する。所定半径で、ポストフィルターに到達したイオンは、疑似ポテンシャル近似がもはや成立しない位置において、疑似ポテンシャル障壁と相互作用する。イオンがエネルギーを得ることにより、たとえば、一実施形態において、十分な軸方向の運動エネルギーを得ることにより、イオンは、疑似ポテンシャル障壁を越えて逃げ、デバイスから軸方向に放出される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
以下、例示を目的として、本発明のさまざまな実施例を、他の構成と共に、添付の図面を参照して詳述する。
【0098】
【図1A】軸方向に隣接するロッドに同位相のRF電圧を印加する構成の従来の四重極ロッドセットアセンブリを示す図。
【図1B】従来の四重極ロッドセットアセンブリにRF電圧を供給する電気回路を示す図。
【0099】
【図2A】主四重極ロッドセットに印加されるRF電圧と主四重極ロッドセットの下流側に配置されるポストフィルターの軸方向に隣接するロッドに印加されるRF電圧との間に180度の位相差があることにより、主四重極ロッドセットとポストフィルターとの間に軸方向疑似ポテンシャル障壁が形成される、本発明の好適な実施形態を示す図。
【図2B】中央四重極とポストフィルターとの間に形成される疑似ポテンシャル障壁の高さのヒートマップを示す図。
【図2C】従来の動作モードと本発明の一実施形態に従うイオン捕捉動作モードとの間で、四重極アセンブリを切り替えるために利用可能な、電気回路を示す図。
【図2D】本発明の一実施例に従い、径方向に励起されて、四重極アセンブリから非断熱状態で放出されるイオンのSIMION(RTM)シミュレーションを示す図。
【図2E】本発明の一実施例に従い得られたシミュレーション質量スペクトルを示す図。
【0100】
【図3A】中央四重極ロッドセットの電極に印加されるRF電圧とポストフィルターの電極に印加されるRF電圧との位相差を変化させることが可能な、本発明の別の実施例に従う電気回路を示す図。
【図3B】本発明の一実施例に従うシミュレーション質量スペクトルを示す図。
【0101】
【図4A】独立型質量分析器として利用可能な、本発明の一実施例に従う四重極アセンブリを示す図。
【図4B】ハイブリッド構成の一部である質量分析器として利用可能な、本発明の一実施例に従う四重極アセンブリを示す図。
【図4C】ハイブリッド構造における分離器として利用可能な、本発明の一実施例に従う四重極アセンブリを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0102】
好適な実施形態に従うイオントラップを、図2Aを参照して詳述する。デバイスは、望ましくは、四重極プレフィルター7と、中央四重極6と、四重極ポストフィルター8と、を備える。望ましくは中央四重極6の上流側に配置されるプレフィルター7(または(図示しない)他のイオン光学デバイス)をパルスすることにより、イオンを周期的に所望のデバイスに入れることができる。
【0103】
四重極プレフィルター7、中央四重極6および四重極ポストフィルター8を形成する電極にRF電圧を印加することにより、四重極プレフィルター7、中央四重極6および四重極ポストフィルター8の内部で径方向にイオンを閉じ込める構成が望ましい。四重極プレフィルター7、中央四重極6および四重極ポストフィルター8の一方の電極対(影付きで示す)は、望ましくは、印加されるRF電圧の一つの位相に接続される。一方、四重極プレフィルター7、中央四重極6および四重極ポストフィルター8の他方の電極対(白色で示す)は、望ましくは、印加されるRF電圧の逆の位相に接続される。一実施形態において、ポストフィルター8のロッドに印加されるRF電圧と中央四重極6の隣接する対応ロッドに印加されるRF電圧との間で、180度の位相差を維持する構成が望ましい。一方で、中央四重極6およびプレフィルター7の軸方向に隣接するロッド間では、いかなる位相差も維持されない構成が望ましい。
【0104】
後述するように、ポストフィルター8のロッドに印加されるRF電圧と中央四重極6の軸方向に隣接する対応ロッドに印加されるRF電圧との間の位相差を180度未満とする実施形態も可能である。
【0105】
ポストフィルター8のロッドに印加されるRF電圧と中央四重極6の隣接する対応ロッドに印加されるRF電圧との間の位相差により、軸方向の疑似ポテンシャル障壁が形成される構成が望ましい。疑似ポテンシャル障壁は、望ましくは、ロッドに近付くにつれて径方向に増大する。軸方向の疑似ポテンシャル障壁の片側のロッドにおいてRF電圧を維持することにより、軸方向の疑似ポテンシャル障壁の上流側および下流側で、径方向にイオンを閉じ込めることができる。
【0106】
図2Bに、軸方向疑似ポテンシャル障壁の相対的な高さを示すヒートマップを示す。点線は、四重極ロッドの位置を示す。
【0107】
図2Cに、四重極ポストフィルター8の電極にRF電圧を印加することにより中央四重極ロッドセット6と四重極ポストフィルター8の軸方向に隣接するロッド間を同相にする従来の動作モードと、四重極ポストフィルター8のロッドに印加されるRF電圧と中央四重極ロッドセット6(および四重極プレフィルター7)の軸方向に隣接するロッドに印加されるRF電圧との間で180度の位相差を維持する本発明の好適な実施例に従う動作モードとの間で、四重極構成を切り替えるために利用可能な、本発明の一実施例に従う電気回路を示す。
【0108】
四重極プレフィルター7のロッドにDC電圧を印加することにより、四重極構成内部で第1の軸方向にイオンが閉じ込められる構成が望ましい。また、中央四重極6と四重極ポストフィルター8との間に形成される軸方向疑似ポテンシャル障壁により、四重極構成内部で第2の異なる軸方向にイオンが閉じ込められる構成が望ましい。四重極ポストフィルター8の電極にDC電圧をさらに印加して、別の障壁成分を四重極ポストフィルター8に加えることにより、イオンは、第2の軸方向における実DCポテンシャル障壁と軸方向疑似ポテンシャル障壁とを組み合わせた影響を受ける。一つ以上のベーン電極にDC電圧および/またはRF電圧を印加して、イオントラップ内部で軸方向にイオンを捕捉する構成の実施形態も可能である。ベーン電極は、主ロッド電極と平行に配置される補助ロッド電極であることが望ましい。ベーン電極は、主ロッド電極に比べて軸方向の長さが短いものでもよい。
【0109】
イオンと背景ガスとの衝突により四重極構成内部でイオンが運動エネルギーを失うことにより、所定の時間後に、イオンが熱エネルギーレベルまたはその近傍にある構成も可能である。すなわち、四重極構成の中心軸の近傍にイオン雲が存在すると考えられる。
【0110】
一実施形態において、四重極ポストフィルター8の中心軸を、中央四重極ロッドセット6の中心軸に対して変位させることにより、中央四重極ロッドセット6の中心長手軸が四重極ポストフィルター8の中心長手軸と同軸上にない構成も可能である。この実施例において、中央四重極ロッドセット6の軸と四重極ポストフィルター8の軸との間がオフセットされることにより、中央四重極6と四重極ポストフィルター8との間に形成される疑似ポテンシャル障壁の中央四重極6の中心軸または光軸に沿った振幅は、ゼロではない値となる。この結果、中央四重極ロッドセット6の内部で軸方向にイオンを閉じ込めるために、DC電圧を四重極ポストフィルター8の電極に印加する必要がなくなる。四重極ポストフィルター8の電極にRF電圧を印加するだけで十分である。
【0111】
中央四重極ロッドセット6内部でイオンの径方向の動きを増大させる方法の一つは、中央四重極6を形成する複数の電極対のうち一つの電極対間に小さな補助AC電圧またはティックル電圧を印加する方法である。補助AC電圧は、電極間のイオンの動きに影響を与え、印加AC電場の振動数でイオンを振動させるような電場を電極間に形成することが望ましい。印加AC電場の振動数がデバイス内部のイオンの固有振動数に一致する場合、イオンの動きが、印加電場と共鳴し、イオンの動きの振幅が大きくなる。ポストフィルター8に到達したイオンは、通常、RF障壁またはRF−DC組み合わせ障壁により反射される。ただし、十分な大きさの半径まで励起したイオンは、断熱状態の近似がもはや適用されない位置で、RF障壁を妨害する。言い換えると、イオンの動きは、固有の動きよりも、むしろ、印加RF電場によるミクロの動きが支配的となる。このような条件下では、イオンは、通常の断熱状態近似の場合に比べて、RF電場から非常に多くの運動エネルギーを獲得することができる。この結果、イオンは、十分な軸方向の運動エネルギーを得て、中央四重極6とポストフィルター8との間の軸方向疑似ポテンシャル障壁を越えて、ポストフィルター8に入り、イオントラップから軸方向に放出される。
【0112】
他の方法で、中央四重極ロッドセット6内部でイオンを共鳴的に励起するようにしてもよい。
【0113】
図2Dに、図2Aに示すような好ましいデバイスを用いて、好ましいイオントラップから軸方向にイオンを放出させた場合のSIMION8(RTM)シミュレーションの結果を示す。
【0114】
図2Eに、図2Aに示すような所望のデバイスを用いたシミュレーション質量スペクトルを示す。質量対電荷比が609である一価のレセルピンイオンの集合を、ランダムな初期軸方向位置と熱分配エネルギーを有する所望のデバイス内に存在するモデルとして用いて、シミュレーションを行なった。0.84のq因子で質量595から615まで対応質量のスキャンが行なわれるように、RF振幅を変化させた。1000Da(ダルトン)/秒の割合で、RF振幅をスキャンさせた。周波数380kHzおよび振幅0.2Vの補助またはティックルAC電圧をモデルとして用いた。また、+4VのDC電圧をモデルとして用いて、ポストフィルター8の電極に印加した。シミュレーションの結果、ピーク高さの中点における1質量ユニットのピーク幅に対応する質量放出プロファイルが得られる。
【0115】
本発明の他の実施形態において、中央四重極6のロッドとポストフィルター8のロッドとの間の位相差を、0度から180度の範囲で変動可能に構成してもよい。この構成により、疑似ポテンシャルRF障壁の振幅を調節可能である。SIMION(RTM)演算により、たとえば、透過イオンの平均軸方向運動エネルギーを、中央ロッドセット6とポストフィルターロッドセット8との間の位相シフトが180度の場合の93eVから、位相シフトが45度の場合の8.4eVまで減少させることができる。このように位相を変動させることによって、デバイス性能を越えたレベルの制御が可能になる。
【0116】
図3Aに、中央四重極6とポストフィルター8との間にさまざまな位相差を与えることが可能な電気回路の概略図を示す。AC電源13が、中央四重極6のロッドに接続され、また、位相遅延デバイス14を介して、ポストフィルター8のロッドに接続される。
【0117】
図3Bに、中央四重極ロッドセット6のロッドに印加したRF電圧とポストフィルター8のロッドに印加したRF電圧の位相差を45度に設定した場合の、一実施例に従うデバイスのシミュレーション質量スペクトルを示す。質量対電荷比が609である一価のレセルピンイオンの集合をランダムな初期軸方向位置と熱分配エネルギーを有するデバイス内に存在するモデルとして用いた。RF、ACおよびDC電圧は、先のシミュレーションと同様のものとした。
【0118】
上述した実施例において、時間に対する共鳴質量対電荷比を変動させて、所望のデバイスから順にイオンを放出させるようにしてもよい。これはさまざまな構成で実現可能である。たとえば、主RF電圧の振幅および周波数をほぼ一定に保つ一方で、補助AC電圧またはティックル電圧の周波数を時間の関数として変動させるようにしてもよい。
【0119】
別の実施例として、補助AC電圧またはティックル電圧の周波数および/または主RF電圧の周波数をほぼ一定に保つ一方で、主RF電圧の振幅を時間の関数として変動させるようにしてもよい。
【0120】
また別の実施例として、補助AC電圧またはティックル電圧の周波数および主RF電圧の振幅をほぼ一定に保つ一方で、主RF電圧の振幅を時間の関数として変動させるようにしてもよい。
【0121】
さらに別の実施例として、主RF電圧の周波数、補助AC電圧またはティックル電圧の周波数および主RF電圧の振幅を任意の組み合わせで変動させるようにしてもよい。
【0122】
所望のデバイスを、リニアイオントラップとして所定の動作モードで作動させ、標準的な四重極マスフィルターとして別の動作モードで作動させるようにしてもよい。各電極に印加する適当なRF電圧および分解DC電圧を切り替えることによって、所望のデバイスを、2つの動作モード間で切り替えるようにしてもよい。
【0123】
所望のデバイスを用いて、前駆イオンおよび/またはフラグメントイオンの質量分析を行なうようにしてもよい。一実施例において、所望のデバイスを、それ自体で質量分析計として、または、質量分析システムの一部として、動作させるようにしてもよい。所望のデバイスを、一つ以上のイオンガイド、一つ以上のマスフィルターまたは質量分析器、一つ以上のイオントラップ、一つ以上のフラグメンテーションデバイス、一つ以上のイオン移動度分光計または分離器、またはこれらの任意の組み合わせと組み合わせるようにしてもよい。
【0124】
図4Aに、好適な実施形態に従うイオントラップ15の上流側にイオン源16を、また、下流側にイオン検出器18を配置した本発明の実施例を示す。質量分析計の上流側端部に配置されるイオン源16としては、レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization:LDI)イオン源、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:MALDI)イオン源またはシリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon:DIOS)イオン源等のパルスイオン源を用いることができる。あるいは、連続イオン源を用いるようにしてもよいが、この場合には、別のイオントラップ17が必要となる。別のイオントラップ17は、好適な実施形態に従うイオントラップ15の上流側に配置され、イオン源16から入るイオンを貯蔵する構成が望ましい。別のイオントラップ17は、望ましくは、イオンを周期的に放出して、好適な実施形態に従うイオントラップ15にイオンを伝達する。連続イオン源としては、エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)イオン源、大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization:APCI)イオン源、電子衝撃(Electron Impact:EI)イオン源、大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization:APPI)イオン源、化学イオン化(Chemical Ionization:CI)イオン源、脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization:DESI)イオン源、大気圧MALDI(Atmospheric Pressure MALDI:AP−MALDI)イオン源、高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment:FAB)イオン源、液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry:LSIMS)イオン源、電界イオン化(Field Ionization:FI)イオン源、または電界脱離(Field Desorption:FD)イオン源を用いることができる。ここに挙げた以外の連続または疑似連続イオン源を用いることもできる。
【0125】
図4Bに、好適な実施形態に従うイオントラップ15の上流側にフラグメンテーション(断片化)デバイス20と質量分析器またはマスフィルター19とを配置した実施例を示す。質量分析器またはマスフィルター19の下流側で、好適な実施形態に従うイオントラップ15の上流側に、フラグメンテーションデバイス20を配置する構成が望ましい。この実施例の構成において、好適なデバイス15の上流側に(図示しない)別のイオントラップを配置してもよい。別のイオントラップにイオンを貯蔵して周期的に放出する構成が望ましい。あるいは、フラグメンテーションデバイス20がイオントラップとして機能する構成でもよい。このような構成により、質量分析後のイオンをフラグメント化することが可能になる。フラグメンテーションデバイス20から放出されるフラグメントイオンの質量分析を、好適な実施形態に従うイオントラップ15により行なうことができる。好適なイオントラップ15から軸方向に放出されるイオンを、好適なイオントラップ15の下流側に配置されるイオン検出器18により検出する構成が望ましい。
【0126】
図4Cに、好適な実施形態に従うイオントラップ15をフラグメンテーションデバイス20とマスフィルターまたは質量分析器19との上流側に配置した実施例を示す。この実施例の構成において、好適な実施形態に従うイオントラップ15の上流側に(図示しない)別のイオントラップを配置してもよい。別のイオントラップにイオンを貯蔵して周期的に放出する構成としてもよい。また、この実施例の配置において、質量依存的に、または、質量対電荷比依存的に、好適なイオントラップ15から軸方向にイオンを放出する構成が望ましい。好適なイオントラップ15から軸方向に放出されるイオンを、好適なイオントラップ15の下流側に配置されるフラグメンテーションデバイス20によりフラグメント化(断片化)する構成が望ましい。フラグメンテーションデバイス20により形成されたフラグメントイオンを、フラグメンテーションデバイス20の下流側に配置されるマスフィルターまたは質量分析器19で分析する構成が望ましい。この実施例の配置により、並列MS/MS実験が容易になり、質量依存的に好適なイオントラップ15から放出されるイオンをフラグメント化して、フラグメントイオンを高負荷サイクルを有する前駆イオンに割り当てることが可能になる。
【0127】
図4Cに示す実施例の質量分析器19として、飛行時間型質量分析器、イオントラップ型質量分析器、磁場型質量分析器、四重極質量分析器、またはフーリエ変換を用いる質量分析器を用いることができる。
【0128】
以上、本発明をその好適な実施例を参照して詳述したが、本発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、当業者には自明のことであるが、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態および態様において実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオントラップであって、
複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、
複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極および前記第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加するように配置および構成される第1のデバイスであって、第1の動作モードにおいて、前記第1の電極の少なくとも一部の電極と前記電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、前記第1の四重極ロッドセットと前記第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する第1のデバイスと、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加するように配置および構成される第2のデバイスであって、前記第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる第2のデバイスと、
を備える、イオントラップ。
【請求項2】
請求項1に記載のイオントラップであって、
前記第1の四重極ロッドセットが、中心長手軸を有する第1のロッド電極と、中心長手軸を有する第2のロッド電極と、中心長手軸を有する第3のロッド電極と、中心長手軸を有する第4のロッド電極とを備え、
前記第2の四重極ロッドセットが、中心長手軸を有する第5のロッド電極と、中心長手軸を有する第6のロッド電極と、中心長手軸を有する第7のロッド電極と、中心長手軸を有する第8のロッド電極とを備える、
イオントラップ。
【請求項3】
請求項2に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、前記第2の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同一直線上にある、または同軸上にある、および/または、
(iii)前記第1のロッド電極の中心長手軸は、前記第5のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(iv)前記第2のロッド電極の中心長手軸は、前記第6のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(v)前記第3のロッド電極の中心長手軸は、前記第7のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(vi)前記第4のロッド電極の中心長手軸は、前記第8のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、
イオントラップ。
【請求項4】
請求項2に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、前記第2の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、または前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iii)前記第1のロッド電極の中心長手軸は、前記第5のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第5のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iv)前記第2のロッド電極の中心長手軸は、前記第6のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第6のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(v)前記第3のロッド電極の中心長手軸は、前記第7のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第7のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(vi)前記第4のロッド電極の中心長手軸は、前記第8のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第8のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、
イオントラップ。
【請求項5】
請求項2に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、前記第2の四重極ロッドセットの中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(iii)前記第1のロッド電極の中心長手軸は、前記第5のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(iv)前記第2のロッド電極の中心長手軸は、前記第6のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(v)前記第3のロッド電極の中心長手軸は、前記第7のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(vi)前記第4のロッド電極の中心長手軸は、前記第8のロッド電極の中心長手軸から軸方向にオフセットされる、
イオントラップ。
【請求項6】
請求項2に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸は、前記第2の四重極ロッドセットの中心長手軸から軸方向にオフセットされる、および/または、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、または前記第2の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iii)前記第1のロッド電極の中心長手軸は、前記第5のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第5のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(iv)前記第2のロッド電極の中心長手軸は、前記第6のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第6のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(v)前記第3のロッド電極の中心長手軸は、前記第7のロッド電極の中心長手軸に対して、回転させた位置にある、および/または、前記第7のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、および/または、
(vi)前記第4のロッド電極の中心長手軸は、前記第8のロッド電極の中心長手軸に対して回転させた位置にある、および/または、前記第8のロッド電極の中心長手軸と同軸上にない、
イオントラップ。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第5のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(ii)前記第2のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第6のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(iii)前記第3のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第7のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にある、および/または、
(iv)前記第4のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第8のロッド電極の上流側端部の中心からx1mm以内にあり、
1が、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項8】
請求項2ないし7のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の電極と前記第2の電極とが、ほぼ同じ直径を有する、または、実質的に異なる直径を有する、および/または、
(ii)前記第1の電極と前記第2の電極とが、ほぼ同じ内接半径を有する、または、実質的に異なる内接半径を有する、および/または、
(iii)前記第1の電極と前記第2の電極とが、ほぼ同じ断面形状を有する、または、実質的に異なる断面形状を有する、および/または、
(iv)前記第1の電極と前記第2の電極とが、ほぼ同じ物理特性を有する、または、実質的に異なる物理特性を有する、
イオントラップ。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1のロッド電極と前記第5のロッド電極との間の位相差が、 1度になるように構成される、および/または、
(ii)前記第2のロッド電極と前記第6のロッド電極との間の位相差が、 2度になるように構成される、および/または、
(iii)前記第3のロッド電極と前記第7のロッド電極との間の位相差が、 3度になるように構成される、および/または、
(iv)前記第4のロッド電極と前記第8のロッド電極との間の位相差が、 4度になるように構成され、
1度および/または 2度および/または 3度および/または 4度が、(i)0度より大きい値、(ii)5から10度の範囲の値、(iii)10から15度の範囲の値、(iv)5から20度の範囲の値、(v)20から25度の範囲の値、(vi)25から30度の範囲の値、(vii)30から35度の範囲の値、(viii)35から40度の範囲の値、(ix)40から45度の範囲の値、(x)45から50度の範囲の値、(xi)50から55度の範囲の値、(xii)55から60度の範囲の値、(xiii)60から65度の範囲の値、(xiv)65から70度の範囲の値、(xv)70から75度の範囲の値、(xvi)75から80度の範囲の値、(xvii)80から85度の範囲の値、(xviii)85から90度の範囲の値、(xix)90から95度の範囲の値、(xx)95から100度の範囲の値、(xxi)100から105度の範囲の値、(xxii)105から110度の範囲の値、(xxiii)110から115度の範囲の値、(xxiv)115から120度の範囲の値、(xxv)120から125度の範囲の値、(xxvi)125から130度の範囲の値、(xxvii)130から135度の範囲の値、(xxviii)135から140度の範囲の値、(xxix)140から145度の範囲の値、(xxx)145から150度の範囲の値、(xxxi)150から155度の範囲の値、(xxxii)155から160度の範囲の値、(xxxiii)160から165度の範囲の値、(xxxiv)165から170度の範囲の値、(xxxv)170から175度の範囲の値、(xxvi)175から180度の範囲の値、および(xxvii)180度、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項10】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットおよび前記第2の四重極ロッドセットは、同じ電極セット内の電気的に絶縁された部分をそれぞれ含む、および/または、前記第1の四重極ロッドセットおよび前記第2の四重極ロッドセットは、同じ電極セットから機械的に形成される、および/または、
(ii)前記第1の四重極ロッドセットが、誘電体被覆を備える電極セットの一領域を含み、前記第2の四重極ロッドセットが、前記と同じ電極セットの別の領域を含む、
イオントラップ。
【請求項11】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットの下流側端部と前記第2の四重極ロッドセットの上流側端部との間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、および/または、
(ii)前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第1の位置であって、前記第1の電極の下流側端部と同一面内にある第1の位置と、前記第2の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第2の位置であって、前記第2の電極の上流側端部と同一面内にある第2の位置と、の間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項12】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第1の四重極ロッドセットが第1の軸長さを有し、前記第2の四重極ロッドセットが第2の軸長さを有し、
(i)前記第1の軸長さが、前記第2の軸長さよりも実質的に長い、および/または、前記第2の軸長さに対する前記第1の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である、または、
(ii)前記第2の軸長さが、前記第1の軸長さよりも実質的に長い、および/または、前記第1の軸長さに対する前記第2の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である、
イオントラップ。
【請求項13】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第1の四重極ロッドセットが、第1の中心長手軸を備え、
(i)前記第1の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)前記第1の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、前記第1の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される、
イオントラップ。
【請求項14】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第2の四重極ロッドセットが、第2の中心長手軸を備え、
(i)前記第2の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)前記第2の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、前記第2の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される、
イオントラップ。
【請求項15】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスが、前記第1の四重極ロッドセットに対して第1のACまたはRF電圧を印加する、および/または、前記第2の四重極ロッドセットに対して第2のACまたはRF電圧を印加する、ように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項16】
請求項15に記載のイオントラップであって、
(a)前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧は、(i)50Vより小さいピークピーク値(peak to peak)、(ii)50から100Vの範囲のピークピーク値、(iii)100から150Vの範囲のピークピーク値、(iv)150から200Vの範囲のピークピーク値、(v)200から250Vの範囲のピークピーク値、(vi)250から300Vの範囲のピークピーク値、(vii)300から350Vの範囲のピークピーク値、(viii)350から400Vの範囲のピークピーク値、(ix)400から450Vの範囲のピークピーク値、(x)450から500Vの範囲のピークピーク値、(xi)500から1000Vの範囲のピークピーク値、(xii)1から2kVの範囲のピークピーク値、(xiii)2から3kVの範囲のピークピーク値、(xiv)3から4kVの範囲のピークピーク値、(xv)4から5kVの範囲のピークピーク値、(xvi)5から6kVの範囲のピークピーク値、(xvii)6から7kVの範囲のピークピーク値、(xviii)7から8kVの範囲のピークピーク値、(xix)8から9kVの範囲のピークピーク値、(xx)9から10kVの範囲のピークピーク値、(xxi)10から11kVの範囲のピークピーク値、(xxii)11から12kVの範囲のピークピーク値、(xxiii)12から13kVの範囲のピークピーク値、(xxiv)13から14kVの範囲のピークピーク値、(xxv)14から15kVの範囲のピークピーク値、(xxvi)15から16kVの範囲のピークピーク値、(xxvii)16から17kVの範囲のピークピーク値、(xxviii)17から18kVの範囲のピークピーク値、(xxix)18から19kVの範囲のピークピーク値、(xxx)19から20kVの範囲のピークピーク値、および(xxxi)20kVより大きなピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する、および/または、
(b)前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧は、(i)100kHz未満の値、(ii)100から200kHzの範囲の値、(iii)200から300kHzの範囲の値、(iv)300から400kHzの範囲の値、(v)400から500kHzの範囲の値、(vi)0.5から1.0MHzの範囲の値、(vii)1.0から1.5MHzの範囲の値、(viii)1.5から2.0MHzの範囲の値、(ix)2.0から2.5MHzの範囲の値、(x)2.5から3.0MHzの範囲の値、(xi)3.0から3.5MHzの範囲の値、(xii)3.5から4.0MHzの範囲の値、(xiii)4.0から4.5MHzの範囲の値、(xiv)4.5から5.0MHzの範囲の値、(xv)5.0から5.5MHzの範囲の値、(xvi)5.5から6.0MHzの範囲の値、(xvii)6.0から6.5MHzの範囲の値、(xviii)6.5から7.0MHzの範囲の値、(xix)7.0から7.5MHzの範囲の値、(xx)7.5から8.0MHzの範囲の値、(xxi)8.0から8.5MHzの範囲の値、(xxii)8.5から9.0MHzの範囲の値、(xxiii)9.0から9.5MHzの範囲の値、(xxiv)9.5から10.0MHzの範囲の値、および(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される周波数を有する、および/または、
(c)前記第1のACまたはRF電圧および前記第2のACまたはRF電圧が、ほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数を有する、および/または、
(d)前記第1のACまたはRF電圧および前記第2のACまたはRF電圧の振幅および/または周波数は、10%未満の範囲、10から20%の範囲、20から30%の範囲、30から40%の範囲、40から50%の範囲、50から60%の範囲、60から70%の範囲、70から80%の範囲、80から90%の範囲、90から100%の範囲、または100%より大きな範囲、で異なる、
イオントラップ。
【請求項17】
請求項15または16に記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスは、動作モードにおける時間経過に対して、前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項18】
請求項15または16に記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスは、動作モードにおいて、前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項19】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出される少なくとも一部のイオンまたはほぼ全部のイオンが、前記軸方向の疑似ポテンシャル障壁を越えて、前記第2の四重極ロッドセットに入る、
イオントラップ。
【請求項20】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、前記第1の四重極ロッドセット内部において、少なくとも一部のイオンの径方向変位を変動させる、増大させる、減少させる、または、変更するように、配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項21】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、前記一つ以上の補助AC電圧を印加して、前記第1の四重極ロッドセット内部において、質量選択的に、または、質量対電荷比選択的に、少なくとも一部のイオンを径方向に励起させ、その結果、前記第1の四重極ロッドセット内部において、前記イオンの径方向の動きを増大させるように、配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項22】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
(a)前記一つ以上の補助AC電圧が、(i)50mV未満のピークピーク値、(ii)50から100mVの範囲のピークピーク値、(iii)100から150mVの範囲のピークピーク値、(iv)150から200mVの範囲のピークピーク値、(v)200から250mVの範囲のピークピーク値、(vi)250から300mVの範囲のピークピーク値、(vii)300から350mVの範囲のピークピーク値、(viii)350から400mVの範囲のピークピーク値、(ix)400から450mVの範囲のピークピーク値、(x)450から500mVの範囲のピークピーク値、および(xi)500mVより大きいピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する、および/または、
(b)前記一つ以上の補助AC電圧が、(i)10kHz未満の値、(ii)10から20kHzの範囲の値、(iii)20から30kHzの範囲の値、(iv)30から40kHzの範囲の値、(v)40から50kHzの範囲の値、(vi)50から60kHzの範囲の値、(vii)60から70kHzの範囲の値、(viii)70から80kHzの範囲の値、(ix)80から90kHzの範囲の値、(x)90から100kHzの範囲の値、(xi)100から110kHzの範囲の値、(xii)110から120kHzの範囲の値、(xiii)120から130kHzの範囲の値、(xiv)130から140kHzの範囲の値、(xv)140から150kHzの範囲の値、(xvi)150から160kHzの範囲の値、(xvii)160から170kHzの範囲の値、(xviii)170から180kHzの範囲の値、(xix)180から190kHzの範囲の値、(xx)190から200kHzの範囲の値、(xxi)200から250kHzの範囲の値、(xxii)250から300kHzの範囲の値、(xxiii)300から350kHzの範囲の値、(xxiv)350から400kHzの範囲の値、(xxv)400から450kHzの範囲の値、(xxvi)450から500kHzの範囲の値、(xxvii)500から600kHzの範囲の値、(xxviii)600から700kHzの範囲の値、(xxix)700から800kHzの範囲の値、(xxx)800から900kHzの範囲の値、(xxxi)900から1000kHzの範囲の値、および(xxxii)1MHzより大きい値、からなる群から選択される周波数を有する、
イオントラップ。
【請求項23】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、前記第1の電極の少なくとも一部の電極に印加される前記一つ以上の補助AC電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項24】
前記請求項1ないし22のいずれかに記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、前記第1の電極の少なくとも一部の電極に印加される前記一つ以上の補助AC電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項25】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
動作モードにおいて、
(i)ほぼ非断熱状態で前記イオントラップから軸方向にイオンが放出される、および/または、前記イオンに対して軸方向のエネルギーを実質的に与えることによりイオンが放出される、および/または、
(ii)(i)10eV未満の値、(ii)10から20eVの範囲の値、(iii)20から30eVの範囲の値、(iv)30から40eVの範囲の値、(v)40から50eVの範囲の値、(vi)50から60eVの範囲の値、(vii)60から70eVの範囲の値、(viii)70から80eVの範囲の値、(ix)80から90eVの範囲の値、(x)90から100eVの範囲の値、および(xi)100eVより大きい値、からなる群から選択される平均軸方向運動エネルギーを用いて、前記イオントラップから軸方向にイオンが放出される、および/または、
(iii)前記イオントラップから軸方向にイオンが放出され、前記軸方向運動エネルギーの標準偏差が、(i)10eV未満の値、(ii)10から20eVの範囲の値、(iii)20から30eVの範囲の値、(iv)30から40eVの範囲の値、(v)40から50eVの範囲の値、(vi)50から60eVの範囲の値、(vii)60から70eVの範囲の値、(viii)70から80eVの範囲の値、(ix)80から90eVの範囲の値、(x)90から100eVの範囲の値、および(xi)100eVより大きい値、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項26】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
動作モードにおいて、前記イオントラップから、ほぼ同じ軸方向に、および/または、実質的に異なる軸方向に、異なる質量対電荷比を有する複数の異なる種類のイオンが同時に放出される、
イオントラップ。
【請求項27】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
動作モードにおいて、ある瞬間に軸方向に放出されることが望ましくないイオンは径方向に励起されない、または、径方向にごくわずかまたは不十分な程度しか励起されない、
イオントラップ。
【請求項28】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記イオントラップからある瞬間に軸方向に放出されることが望ましいイオンは前記イオントラップから質量選択的に放出される、および/または、前記イオントラップから前記瞬間に軸方向に放出されることが望ましくないイオンは前記イオントラップから質量選択的に放出されない、
イオントラップ。
【請求項29】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、少なくとも一部のイオンを径方向に共鳴的に励起させることにより、前記イオンを前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に非断熱状態で放出させるように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項30】
請求項29に記載のイオントラップであって、
【数2】

ここで、ηは断熱性パラメータ、qは電荷、E0は電界、mは質量、ΩはRF周波数であり、
η>0.3の場合に、イオンが前記第1の四重極ロッドセットから非断熱状態で放出されると見なされる、
イオントラップ。
【請求項31】
請求項30に記載のイオントラップであって、
前記第2のデバイスは、少なくとも一部のイオンを径方向に共鳴的に励起させることにより、前記イオンを前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に非断熱状態で放出させるように配置および構成され、
前記第1の四重極ロッドセットから非断熱状態で放出されるイオンに関して、ηが、(i)0.3から0.4の範囲、(ii)0.4から0.5の範囲、(iii)0.5から0.6の範囲、(iv)0.6から0.7の範囲、(v)0.7から0.8の範囲、(vi)0.8から0.9の範囲、および(vii)0.9より大きい値、からなる群から選択される値を有するように設定される、
イオントラップ。
【請求項32】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
さらに第3のデバイスを備え、
前記第3のデバイスが、
(i)前記第1の四重極ロッドセット内部において軸方向に少なくとも一部のイオンを閉じ込める助けになるように、前記第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上のDC電圧を印加する、および/または、
(ii)前記第1の四重極ロッドセット内部において軸方向に少なくとも一部のイオンを閉じ込める助けになるように、前記第2の電極の一つ以上の電極に一つ以上の追加のAC電圧を印加する、
ように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項33】
請求項32に記載のイオントラップであって、
前記第3のデバイスは、
(i)動作モードにおいて、前記イオントラップから軸方向にイオンが放出される間に、DCトラップ場、DCポテンシャル障壁または障壁場の振幅を変動させる、増大させる、減少させる、またはスキャンするように、前記第2の電極の一つ以上の電極に前記一つ以上のDC電圧を印加する、および/または、
(ii)動作モードにおいて、前記イオントラップから軸方向にイオンが放出される間に、疑似ポテンシャル障壁または障壁場の振幅を変動させる、増大させる、減少させる、またはスキャンするように、前記第2の電極の一つ以上の電極に前記一つ以上の追加のAC電圧を印加する、
ように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項34】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
(a)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、前記イオントラップの一つ以上の上流領域および/または中間領域および/または下流領域にトラップされるまたは隔離されるように構成される、および/または、
(b)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、前記イオントラップの一つ以上の上流領域および/または中間領域および/または下流領域でフラグメント化(断片化)されるように構成される、および/または、
(c)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、前記イオントラップの長さ方向の少なくとも一部に沿って伝達される際に、イオン移動度に従って、または、電界強度に対するイオン移動度の変化率に従って時間的に分離されるように構成される、および/または、
(d)動作モードにおいて、前記イオントラップが、(i)100ミリバールより大きい値、(ii)10ミリバールより大きい値、(iii)1ミリバールより大きい値、(iv)0.1ミリバールより大きい値、(v)10-2ミリバールより大きい値、(vi)10-3ミリバールより大きい値、(vii)10-4ミリバールより大きい値、(viii)10-5ミリバールより大きい値、(ix)10-6ミリバールより大きい値、(x)100ミリバールより小さい値、(xi)10ミリバールより小さい値、(xii)1ミリバールより小さい値、(xiii)0.1ミリバールより小さい値、(xiv)10-2ミリバールより小さい値、(xv)10-3ミリバールより小さい値、(xvi)10-4ミリバールより小さい値、(xvii)10-5ミリバールより小さい値、(xviii)10-6ミリバールより小さい値、(xix)10ミリバールから100ミリバールの範囲の値、(xx)1ミリバールから10ミリバールの範囲の値、(xxi)0.1ミリバールから1ミリバールの範囲の値、(xxii)10-2ミリバールから10-1ミリバールの範囲の値、(xxiii)10-3ミリバールから10-2ミリバールの範囲の値、(xxiv)10-4ミリバールから10-3ミリバールの範囲の値、(xxv)10-5ミリバールから10-4ミリバールの範囲の値、からなる群から選択される圧力に維持されるように配置および構成される、および/または、
(e)動作モードにおいて、少なくとも一部のイオンが、前記イオントラップの一部内でフラグメント化(断片化)されるまたは反応するように構成され、前記イオンは、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation:CID)、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation:SID)、(iii)電子移動解離(Electron Transfer Dissociation:ETD)、(iv)電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation:ECD)、(v)電子衝突または衝撃解離、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation:PID)、(vii)レーザー誘起解離、(viii)赤外線誘起解離、(ix)紫外線誘起解離、(x)熱解離または温度解離、(xi)電場誘起解離、(xii)磁場誘起解離、(xiii)酵素消化または酵素分解解離、(xiv)イオン−イオン反応解離、(xv)イオン−分子反応解離、(xvi)イオン−原子反応解離、(xvii)イオン−準安定イオン反応解離、(xviii)イオン−準安定分子反応解離、(xix)イオン−準安定原子反応解離、または(xx)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation:EID)によってフラグメント化されるように構成される、
イオントラップ。
【請求項35】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
さらに、前記イオントラップ内でイオンをパルス状にする、および/または、ほぼ連続的なイオンビームをパルス状イオンビームに変換するデバイス、イオンゲートまたは別のイオントラップを備え、
前記デバイス、イオンゲートまたは別のイオントラップは、前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される、
イオントラップ。
【請求項36】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
前記イオントラップは、第2の異なる動作モードで動作するように配置および構成され、
前記第2の異なる動作モードにおいて、
(i)DC電圧および/またはACまたはRF電圧を前記第1の電極の一つ以上の電極および/または前記第2の電極の一つ以上の電極に印加することにより、前記イオントラップを、軸方向にイオンを閉じ込めないように構成されるRF用イオンガイドまたはイオンガイドとして作動させる、および/または、
(ii)DC電圧および/またはACまたはRF電圧を前記第1の電極の一つ以上の電極および/または前記第2の電極の一つ以上の電極に印加することにより、前記イオントラップを、イオンを質量選択的に伝達すると共にイオンを軸方向に閉じ込めないように構成されるマスフィルターまたは質量分析器として作動させる、
イオントラップ。
【請求項37】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
動作モードにおいて、前記第1の四重極ロッドセットおよび/または前記第2の四重極ロッドセット内部で径方向にイオンが閉じ込められるように、ACまたはRF電圧のほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数および/またはほぼ同じ位相を前記第1の四重極ロッドセットと前記第2の四重極ロッドセットとに印加する、
イオントラップ。
【請求項38】
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップであって、
さらに、複数の第3の電極を備える第3の四重極ロッドセットであって、前記第1の四重極ロッドセットの上流側に配置される第3の四重極ロッドセットを備える、
イオントラップ。
【請求項39】
請求項38に記載のイオントラップであって、
前記第1の動作モードにおいて、前記第3の電極の少なくとも一部の電極と前記電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第1の電極との間で位相差をゼロに保つ、
イオントラップ。
【請求項40】
請求項38または39に記載のイオントラップであって、
前記第3の四重極ロッドセットが、中心長手軸を有する第9のロッド電極と、中心長手軸を有する第10のロッド電極と、中心長手軸を有する第11のロッド電極と、中心長手軸を有する第12のロッド電極とを備える、
イオントラップ。
【請求項41】
請求項40に記載のイオントラップであって、
(i)前記第3の四重極ロッドセットの中心長手軸は、前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸と同一直線上にある、または、同軸上にある、および/または、
(ii)前記第3の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸は、前記第1の電極の少なくとも一部の電極またはすべての電極の中心長手軸と同一直線上にある、または同軸上にある、および/または、
(iii)前記第1のロッド電極の中心長手軸は、前記第9のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(iv)前記第2のロッド電極の中心長手軸は、前記第10のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(v)前記第3のロッド電極の中心長手軸は、前記第11のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、および/または、
(vi)前記第4のロッド電極の中心長手軸は、前記第12のロッド電極の中心長手軸と軸方向に隣接する、および/または、同軸上にある、
イオントラップ。
【請求項42】
請求項40または41に記載のイオントラップであって、
(i)前記第9のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第1のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(ii)前記第10のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第2のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(iii)前記第11のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第3のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にある、および/または、
(iv)前記第12のロッド電極の下流側端部の中心が、前記第4のロッド電極の上流側端部の中心からx2mm以内にあり、
2が、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項43】
請求項40ないし42のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の電極と前記第3の電極とが、ほぼ同じの直径を有する、および/または、
(ii)前記第1の電極と前記第3の電極とが、ほぼ同じ内接半径を有する、および/または、
(iii)前記第1の電極と前記第3の電極とが、ほぼ同じ断面形状を有する、および/または、
(iv)前記第1の電極と前記第3の電極とが、ほぼ同じ物理特性を有する、
イオントラップ。
【請求項44】
請求項40ないし43のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1のロッド電極と前記第9のロッド電極との間の位相差が、 5度になるように構成される、および/または、
(ii)前記第2のロッド電極と前記第10のロッド電極との間の位相差が、 6度になるように構成される、および/または、
(iii)前記第3のロッド電極と前記第11のロッド電極との間の位相差が、 7度になるように構成される、および/または、
(iv)前記第4のロッド電極と前記第12のロッド電極との間の位相差が、 8度になるように構成され、
5度および/または 6度および/または 7度および/または 8度が0度になるように構成される、
イオントラップ。
【請求項45】
請求項38ないし44のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第1の四重極ロッドセットおよび前記第3の四重極ロッドセットは、同じ電極セット内の電気的に絶縁された部分をそれぞれ含む、および/または、前記第1の四重極ロッドセットおよび前記第3の四重極ロッドセットは、同じ電極セットから機械的に形成される、および/または、
(ii)前記第1の四重極ロッドセットが、誘電体被覆を備える電極セットの一領域を含み、前記第3の四重極ロッドセットが、前記と同じ電極セットの別の領域を含む、
イオントラップ。
【請求項46】
請求項38ないし45のいずれかに記載のイオントラップであって、
(i)前記第3の四重極ロッドセットの下流側端部と前記第1の四重極ロッドセットの上流側端部との間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、および/または、
(ii)前記第3の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第3の位置であって、前記第3の電極の下流側端部と同一面内にある第3の位置と、前記第1の四重極ロッドセットの中心長手軸に沿った第4の位置であって、前記第1の電極の上流側端部と同一面内にある第4の位置と、の間の軸方向の距離は、(i)1mm未満の値、(ii)1から2mmの範囲の値、(iii)2から3mmの範囲の値、(iv)3から4mmの範囲の値、(v)4から5mmの範囲の値、(vi)5から6mmの範囲の値、(vii)6から7mmの範囲の値、(viii)7から8mmの範囲の値、(ix)8から9mmの範囲の値、(x)9から10mmの範囲の値、(xi)10から15mmの範囲の値、(xii)15から20mmの範囲の値、(xiii)20から25mmの範囲の値、(xiv)25から30mmの範囲の値、(xv)30から35mmの範囲の値、(xvi)35から40mmの範囲の値、(xvii)40から45mmの範囲の値、(xviii)45から50mmの範囲の値、および(xix)50mmより大きい値、からなる群から選択される、
イオントラップ。
【請求項47】
請求項38ないし46のいずれかに記載のイオントラップであって、
前記第1の四重極ロッドセットが第1の軸長さを有し、前記第3の四重極ロッドセットが第3の軸長さを有し、
(i)前記第1の軸長さが、前記第3の軸長さよりも実質的に長い、および/または、前記第3の軸長さに対する前記第1の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である、または、
(ii)前記第3の軸長さが、前記第1の軸長さよりも実質的に長い、および/または、前記第1の軸長さに対する前記第3の軸長さの比が、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50である、
イオントラップ。
【請求項48】
請求項38ないし47のいずれかに記載のイオントラップであって、
前記第3の四重極ロッドセットが、第3の中心長手軸を備え、
(i)前記第3の中心長手軸に沿った真っ直ぐなLOS(line of sight:直線距離)が存在する、および/または、
(ii)前記第3の中心長手軸に沿った軸方向の物理的障害が実質的に存在しない、および/または、
(iii)使用時に、前記第3の中心長手軸に沿って透過されるイオンが、ほぼ100%のイオン透過効率で透過される、
イオントラップ。
【請求項49】
請求項38ないし48のいずれかに記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスが、前記第3の四重極ロッドセットに対して第3のACまたはRF電圧を印加するように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項50】
請求項49に記載のイオントラップであって、
(a)前記第3のACまたはRF電圧は、(i)50Vより小さいピークピーク値(peak to peak)、(ii)50から100Vの範囲のピークピーク値、(iii)100から150Vの範囲のピークピーク値、(iv)150から200Vの範囲のピークピーク値、(v)200から250Vの範囲のピークピーク値、(vi)250から300Vの範囲のピークピーク値、(vii)300から350Vの範囲のピークピーク値、(viii)350から400Vの範囲のピークピーク値、(ix)400から450Vの範囲のピークピーク値、(x)450から500Vの範囲のピークピーク値、(xi)500から1000Vの範囲のピークピーク値、(xii)1から2kVの範囲のピークピーク値、(xiii)2から3kVの範囲のピークピーク値、(xiv)3から4kVの範囲のピークピーク値、(xv)4から5kVの範囲のピークピーク値、(xvi)5から6kVの範囲のピークピーク値、(xvii)6から7kVの範囲のピークピーク値、(xviii)7から8kVの範囲のピークピーク値、(xix)8から9kVの範囲のピークピーク値、(xx)9から10kVの範囲のピークピーク値、(xxi)10から11kVの範囲のピークピーク値、(xxii)11から12kVの範囲のピークピーク値、(xxiii)12から13kVの範囲のピークピーク値、(xxiv)13から14kVの範囲のピークピーク値、(xxv)14から15kVの範囲のピークピーク値、(xxvi)15から16kVの範囲のピークピーク値、(xxvii)16から17kVの範囲のピークピーク値、(xxviii)17から18kVの範囲のピークピーク値、(xxix)18から19kVの範囲のピークピーク値、(xxx)19から20kVの範囲のピークピーク値、および(xxxi)20kVより大きなピークピーク値、からなる群から選択される振幅を有する、および/または、
(b)前記第3のACまたはRF電圧は、(i)100kHz未満の値、(ii)100から200kHzの範囲の値、(iii)200から300kHzの範囲の値、(iv)300から400kHzの範囲の値、(v)400から500kHzの範囲の値、(vi)0.5から1.0MHzの範囲の値、(vii)1.0から1.5MHzの範囲の値、(viii)1.5から2.0MHzの範囲の値、(ix)2.0から2.5MHzの範囲の値、(x)2.5から3.0MHzの範囲の値、(xi)3.0から3.5MHzの範囲の値、(xii)3.5から4.0MHzの範囲の値、(xiii)4.0から4.5MHzの範囲の値、(xiv)4.5から5.0MHzの範囲の値、(xv)5.0から5.5MHzの範囲の値、(xvi)5.5から6.0MHzの範囲の値、(xvii)6.0から6.5MHzの範囲の値、(xviii)6.5から7.0MHzの範囲の値、(xix)7.0から7.5MHzの範囲の値、(xx)7.5から8.0MHzの範囲の値、(xxi)8.0から8.5MHzの範囲の値、(xxii)8.5から9.0MHzの範囲の値、(xxiii)9.0から9.5MHzの範囲の値、(xxiv)9.5から10.0MHzの範囲の値、および(xxv)10.0MHzより大きな値、からなる群から選択される周波数を有する、および/または、
(c)前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧および/または前記第3のACまたはRF電圧が、ほぼ同じ振幅および/またはほぼ同じ周波数を有する、および/または、
(d)前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧および/または前記第3のACまたはRF電圧の振幅および/または周波数は、10%未満の範囲、10から20%の範囲、20から30%の範囲、30から40%の範囲、40から50%の範囲、50から60%の範囲、60から70%の範囲、70から80%の範囲、80から90%の範囲、90から100%の範囲、または100%より大きな範囲、で異なる、
イオントラップ。
【請求項51】
請求項49または50に記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスは、動作モードにおける時間経過に対して、前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧および/または前記第3のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相をほぼ一定に保つように配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項52】
請求項49または50に記載のイオントラップであって、
前記第1のデバイスは、動作モードにおいて、前記第1のACまたはRF電圧および/または前記第2のACまたはRF電圧および/または前記第3のACまたはRF電圧の周波数および/または振幅および/または位相を変動させる、増大させる、減少させる、または、スキャンするように、配置および構成される、
イオントラップ。
【請求項53】
質量分析計であって、
前記いずれかの請求項に記載のイオントラップを備える、質量分析計。
【請求項54】
請求項53に記載の質量分析計であって、
さらに、
(a)前記イオントラップの上流側に配置されるイオン源であって、(i)エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)イオン源と、(ii)大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization:APPI)イオン源と、(iii)大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization:APCI)イオン源と、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:MALDI)イオン源と、(v)レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization:LDI)イオン源と、(vi)大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionization:API)イオン源と、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon:DIOS)イオン源と、(viii)電子衝撃(Electron Impact:EI)イオン源と、(ix)化学イオン化(Chemical Ionization:CI)イオン源と、(x)電界イオン化(Field Ionization:FI)イオン源と、(xi)電界脱離(Field Desorption:FD)イオン源と、(xii)誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)イオン源と、(xiii)高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment:FAB)イオン源と、(xiv)液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry:LSIMS)イオン源と、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization:DESI)イオン源と、(xvi)ニッケル63放射性イオン源と、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化イオン源と、(xviii)サーモスプレーイオン源と、からなる群から選択されるイオン源、および/または、
(b)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオンガイド、および/または、
(c)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオン移動度分離装置および/または一つ以上の電界非対称性イオン移動度分光計装置、および/または、
(d)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオントラップまたは一つ以上のイオン捕獲領域、および/または、
(e)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上の衝突セル、フラグメンテーション(断片化)セルまたは反応セルであって、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation:CID)フラグメンテーション装置と、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation:SID)フラグメンテーション装置と、(iii)電子移動解離フラグメンテーション装置と、(iv)電子捕獲解離フラグメンテーション装置と、(v)電子衝突または電子衝撃解離フラグメンテーション装置と、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation:PID)フラグメンテーション装置と、(vii)レーザー誘起解離フラグメンテーション装置と、(viii)赤外線誘起解離装置と、(ix)紫外線誘起解離装置と、(x)ノズル・スキマー・インターフェース・フラグメンテーション装置と、(xi)インソースフラグメンテーション装置と、(xii)インソース衝突誘起解離フラグメンテーション装置と、(xiii)熱源または温度源フラグメンテーション装置と、(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置と、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置と、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーション装置と、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置と、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置と、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置と、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置と、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置と、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置と、(xxiii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応装置と、(xxiv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応装置と、(xxv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応装置と、(xxvi)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置と、(xxvii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応装置と、(xxviii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応装置と、(xxix)電子イオン化解離(Electron Ionization Dissociation:EID)フラグメンテーション装置と、からなる群から選択される一つ以上の衝突セル、フラグメンテーションセルまたは反応セル、および/または、
(f)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上の質量分析器であって、(i)四重極質量分析器と、(ii)2次元またはリニア四重極質量分析器と、(iii)ポール(Paul)トラップ型または3次元四重極質量分析器と、(iv)ペニング(Penning)トラップ型質量分析器と、(v)イオントラップ型質量分析器と、(vi)磁場型質量分析器と、(vii)イオンサイクロトロン共鳴(Ion Cyclotron Resonance:ICR)質量分析器と、(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance:FTICR)質量分析器と、(ix)静電またはオービトラップ型質量分析器と、(x)フーリエ変換静電またはオービトラップ型質量分析器と、(xi)フーリエ変換質量分析器と、(xii)飛行時間型質量分析器と、(xiii)直交加速飛行時間型質量分析器と、(xiv)線形加速飛行時間型質量分析器と、からなる群から選択される一つ以上の質量分析器、および/または、
(g)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のエネルギー分析器または静電エネルギー分析器、および/または、
(h)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のイオン検出器、および/または、
(i)前記イオントラップの上流側および/または下流側に配置される一つ以上のマスフィルターであって、(i)四重極マスフィルターと、(ii)2次元またはリニア四重極イオントラップと、(iii)ポール(Paul)型または3次元四重極イオントラップと、(iv)ペニング(Penning)型イオントラップと、(v)イオントラップと、(vi)磁場型マスフィルターと、(vii)飛行時間型マスフィルターと、からなる群から選択される一つ以上のマスフィルター、
を備える、質量分析計。
【請求項55】
イオンの捕捉方法であって、
複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットを準備する工程と、
複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットを準備する工程と、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極および前記第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加して、前記第1の電極の少なくとも一部の電極と前記電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、前記第1の四重極ロッドセットと前記第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加して、前記第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる工程と、
を備える、イオンの捕捉方法。
【請求項56】
質量分析方法であって、
請求項55に記載のイオンの捕捉方法を備える、質量分析方法。
【請求項57】
質量分析計の制御システムにより実行されるコンピュータプログラムであって、
前記質量分析計が、複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、を含むイオントラップを備え、
前記制御システムに、
(i)前記第1の電極の少なくとも一部の電極および前記第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加させて、使用時に、前記第1の電極の少なくとも一部の電極と前記電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、前記第1の四重極ロッドセットと前記第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成させて、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加させて、前記第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる、
ように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項58】
コンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されるコンピュータで実行可能な命令を備え、
前記命令は、質量分析計の制御システムにより実行可能に構成され、
前記質量分析計が、複数の第1の電極を備える第1の四重極ロッドセットと、複数の第2の電極を備える第2の四重極ロッドセットであって、前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置される第2の四重極ロッドセットと、を含むイオントラップを備え、
前記命令が、前記制御システムに、
(i)前記第1の電極の少なくとも一部の電極および前記第2の電極の少なくとも一部の電極に対して第1のACまたはRF電圧を印加させて、使用時に、前記第1の電極の少なくとも一部の電極と前記電極に対応し軸方向に隣接する少なくとも一部の第2の電極との間の位相差をゼロではない値に保つことにより、前記第1の四重極ロッドセットと前記第2の四重極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成させて、
(ii)前記第1の電極の少なくとも一部の電極に一つ以上の補助AC電圧を印加させて、前記第1の四重極ロッドセット内部の少なくとも一部のイオンを、径方向に共鳴的に励起させ、その結果、前記第1の四重極ロッドセットから軸方向に放出させる、
ように構成される、
コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項59】
請求項58に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、および(vi)光ディスクからなる群から選択される、
コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項60】
イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または前記第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える、イオントラップ。
【請求項61】
イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または前記第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える、イオンの捕捉方法。
【請求項62】
イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿って配置される一つ以上のベーン電極と、
前記一つ以上のベーン電極にACまたはRF電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または前記第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える、イオントラップ。
【請求項63】
イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿って一つ以上のベーン電極を準備する工程と、
前記一つ以上のベーン電極にACまたはRF電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセットの長さ方向に沿ったおよび/または前記第1の多極ロッドセットの出口側の位置に、軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える、イオンの捕捉方法。
【請求項64】
イオントラップであって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットと、
第2の複数の電極を備える第2の多極ロッドセットであって、前記第2の四重極ロッドセットが前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置され、前記第2の複数の電極が前記第1の複数の電極と同軸上にない、第2の多極ロッドセットと、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極に第1のACまたはRF電圧を印加し、前記第2の電極の少なくとも一部の電極に第2のACまたはRF電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセットと前記第2の多極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成するように配置および構成されるデバイスと、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させるように配置および構成されるデバイスと、
を備える、イオントラップ。
【請求項65】
イオンの捕捉方法であって、
第1の複数の電極を備える第1の多極ロッドセットを準備する工程と、
第2の複数の電極を備える第2の多極ロッドセットであって、前記第2の四重極ロッドセットが前記第1の四重極ロッドセットの下流側に配置され、前記第2の複数の電極が前記第1の複数の電極と同軸上にない、第2の多極ロッドセットを準備する工程と、
前記第1の電極の少なくとも一部の電極に第1のACまたはRF電圧を印加し、前記第2の電極の少なくとも一部の電極に第2のACまたはRF電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセットと前記第2の多極ロッドセットとの間に軸方向の疑似ポテンシャル障壁を形成する工程と、
前記第1の複数の電極の少なくとも一部に補助AC電圧を印加することにより、前記第1の多極ロッドセット内の少なくとも一部のイオンを、共鳴的に励起させて、前記第1の多極ロッドセットから軸方向に非断熱的に放出させる工程と、
を備える、イオンの捕捉方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2011−509513(P2011−509513A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541843(P2010−541843)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000071
【国際公開番号】WO2009/087402
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(509314666)マイクロマス・ユーケイ・リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】MICROMASS UK LIMITED
【Fターム(参考)】