説明

リハビリテーション支援装置

【課題】急性期患者の手指の運動機能の回復訓練に適したリハビリテーション支援装置をより低価格で提供する。
【解決手段】FMAベースリンク311と、そのFMAベースリンク311に基端が、指の第三指節に固定される第1指固定部315に先端がそれぞれ回動可能に連結されたFMA第1リンク312と、第1指固定部315にその基端が回動可能に連結されたFMA第2リンク313と、そのFMA第2リンク313の先端に基端が、指の第二指節に固定される第2指固定部316に先端がそれぞれ回動可能に連結されたFMA第3リンク314との4つのリンクからなるリンク機構、及びFMA第1リンク312及びFMA第2リンク313を第1指固定部315に対してそれぞれ回動させるモーター317により、患者の指の屈曲/伸展運動を支援する4指屈曲/伸展支援機構310を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の手指の運動機能の回復訓練に用いられるリハビリテーション支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中などの脳外科系疾患や脊髄損傷などにより、人体の運動機能が著しく低下したり、麻痺などによって損なわれたりすることがある。通常、こうした運動機能の回復訓練は、リハビリテーション専門医や理学療法士などの専門的な技術を有する医療スタッフの在籍する医療施設で行われる。こうした医療施設では、患者の運動機能の回復状況に応じたリハビリテーションプログラムに沿って、最適なリハビリテーションを実施する。
【0003】
こうした場合、患者は、リハビリテーションを受けるため、医療スタッフの常駐する専用の医療施設に通院する必要があり、またそのリハビリテーションには、専門の医療スタッフの補助が必要である。そのため、患者が1日に何回もリハビリテーションを受けることは難しく、運動機能の回復が遅れたり、回復し得なくなったりすることがある。したがって、患者が自宅において一人で手軽に、1日に何回でも、リハビリテーションを行うことを可能とするリハビリテーション支援装置の実用化が要望されている。
【0004】
上肢運動、すなわち肩や肘、手首関節の運動を補助するリハビリテーション支援装置は、数多くの開発例があり、製品化もなされている。一方、手指の運動機能のリハビリテーション支援装置としては、5本の指の全ての関節を同時に屈曲、伸展させるCPM(持続的他動運動:Continuous Passive Motion )装置しか製品化されていないのが現状である。ただし、こうしたCPM装置では、手指の運動と同時に、手首の屈曲、伸展や腕の内外転(捻り)といった運動を複合させるような複雑な運動の訓練までは行えない。一方、字を書いたり、箸でものを摘んだりといった日常動作には、各指の独立した動きと、それに協調した手首の運動が必要であり、患者の手指の運動機能を、日常生活に支障がないレベルまで回復させるには、個々の指、手首並びに腕の運動を、それぞれ独立して細やかに補助することが可能なリハビリテーション支援装置が必要となる。
【0005】
ところで、脳卒中では、左右のいずれか一方の半身にのみ、運動機能の低下や喪失が現れることが多い。また手指の運動機能に損傷を受けた整形外科の患者でも、損傷は片側の腕のみで、もう一方の腕の運動機能は維持されているケースがほとんどである。
【0006】
そこで従来、健側、すなわち正常な運動機能を有する半身側の運動をもとに、患側、すなわち運動機能が低下して機能回復訓練が必要な半身側の訓練運動を教示する、左右対称マスタースレーブ型の機能回復訓練装置が提案されている。こうした機能回復訓練装置としては、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載のものが知られている。
【0007】
これら従来の機能回復訓練装置では、患側の指の屈曲/伸展運動の補助を行う指屈曲/伸展支援機構として、2つのモーターを用いた機構が採用されている。そして、それらモーターの一つにより、指の中手指節間関節の屈曲/伸展運動を、もう一つにより、指の近位指節間関節の屈曲/伸展運動を、それぞれ支援するようにしている。
【0008】
なお、指の各部位の名称は、次の通りとなっている。拇指以外の4本の指、すなわち示指、中指、薬指及び小指は、3つの指節骨からなり、各指節骨の付け根部分にそれぞれ関節を有している。これら関節は、指の先端側から順に、遠位指節間関節(DIP関節:distal interphalangeal joint)、近位指節間関節(PIP関節:proximal interphalangeal joint)、中手指節間関節(MP関節:metacarpophalangeal joint )と呼ばれている。また、これらの指のDIP関節よりも先端側の部分は第一指節と、DIP関節からPIP関節までの部分は第二指節と、PIP関節からMP関節までの部分は第三指節と呼ばれている。
【0009】
一方、拇指は、2つの指節骨からなり、それらの付け根部分にそれぞれ関節を有している。これらの関節は、指の先端側から順に、指節間関節(IP関節:interphalangeal joint )、中手指節間関節(MP関節)と呼ばれている。なお、拇指の指節骨に繋がる、手のひら内の中手骨は、手首に位置する手根骨に対して可動となっており、手根骨と中手骨と間には、拇指手根中手関節(CM関節:trapeziometacarpal joint)と呼ばれる関節が存在している。なお、このCM関節は、屈曲/伸展運動と内転/外転運動とを許容する2自由度の関節となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−267254号公報
【特許文献2】特開2008−067852号公報
【特許文献3】特開2009−219804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした2つのモーターを備える指屈曲/伸展支援機構では、指のMP関節とPIP関節とを、それぞれ個別に屈曲/伸展させることが可能である。一方、リハビリテーションプログラムは、単純な運動のリハビリテーションから開始され、運動機能の回復に応じて次第に複雑な運動のリハビリテーションへと進むように計画されている。そのため、リハビリテーションの初期段階では、MP関節とPIP関節とを個別に屈曲/伸展させるような巧緻な運動までは不要であり、上記従来の機能回復訓練装置に採用された指屈曲/伸展支援機構は、急性期患者のリハビリテーション用は、聊かオーバースペックなものとなっている。そしてそうした複雑な運動の実現が、モーター等の部品点数の増加を招き、装置を高価格とする要因となっている。
【0012】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、急性期患者の手指の運動機能の回復訓練に適したリハビリテーション支援装置をより低価格で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、患者の手指の運動機能の回復訓練に用いられるリハビリテーション支援装置において、前記患者の指の屈曲/伸展運動を支援する機構であって、前記患者の手を保持する手保持部材にその基端が回動可能に連結されたベースリンクと、前記ベースリンクの先端にその基端が回動可能に連結され、前記指の第三指節に固定される第1指固定部にその先端が回動可能に連結される第1リンクと、前記第1指固定部にその基端が回動可能に連結された第2リンクと、前記第2リンクの先端にその基端が回動可能に連結され、前記指の第二指節に固定される第2指固定部がその先端に回動可能に連結された第3リンクと、前記第1指固定部に対して前記第1リンク及び前記第2リンクをそれぞれ回動させるモーターと、を有した指屈曲/伸展支援機構を備えている。
【0014】
上記構成では、1つのモーターによって、指のMP関節とPIP関節(拇指の場合にはIP関節)とが同時に屈曲/伸展されるようになる。そのため、1本の指にそれぞれ一つのモーターを設けるだけで、各指のMP関節とPIP関節(IP関節)の屈曲/伸展運動の支援が可能となり、装置の部品点数を抑えることができる。したがって、上記構成によれば、急性期患者の手指の運動機能の回復訓練に適したリハビリテーション支援装置をより低価格で提供することができる。
【0015】
なお、上記のように構成された指屈曲/伸展支援機構では、MP関節及びPIP関節/IP関節の屈曲/伸展に際してそれら関節の屈曲角度が不一致となる場合がある。これら関節の屈曲角度の一致を保証したい場合には、請求項2によるように、各リンクの連結位置が、前記第1指固定部の中心線を軸とする軸対称を維持するように指屈曲/伸展支援機構を構成すると良い。そうした指屈曲/伸展支援機構の具体的な構成態様としては、例えば請求項3によるように、手保持部材にその基端が回動可能に連結された、ベースリンクと同長の副ベースリンクと、その副ベースリンクの先端にその基端が回動可能に連結された、第1リンクと同長の副第1リンクと、第2リンクと同長の副第2リンクと、その副第2リンクの先端にその基端が回動可能に連結され、第2指固定部にその先端が回動可能に連結された副第3リンクと、ベースリンクの先端と副ベースリンクの先端とを連結する第4リンクと、1リンクの先端と副第1リンクの先端とを連結する第5リンクと、第2リンクの基端と副第2リンクの基端とを連結する第6リンクと、第2リンクの先端と副第2リンクの先端とを連結する第7リンクと、を備えるとともに、第4、第5、第6及び第7リンクの長さを、手保持部材におけるベースリンクの連結位置から副ベースリンクの連結位置までの長さ、及び第2指固定部における第3リンクの連結位置から副第3リンクの連結位置までの長さと同じとすること、ベースリンクの長さと第3リンクの長さとが同じとされていること、第1リンクの長さと第2リンクの長さとが同じとされていること、第1指固定部の中心線からの回動角度が等しくなるように、第1指固定部に対して第5リンク及び第6リンクを前記モーターが回動させること、を満すものなどが考えられる。
【0016】
一方、こうしたリハビリテーション支援装置は、患者の体格や姿勢に応じて、手保持部材の床面からの高さを調整可能とすることが望ましい。そうした高さの調整は、先端に手保持部材が設けられたアームと、そのアームを上下方向に回動可能に支持する支持部とを備える腕支持機構を設けることで行うことができる。
【0017】
こうした腕支持機構において、手保持部材の高さ調整の都度、アームの回動軸を固定しないのであれば、アーム自身や手保持部材、患者の手指等の重量に抗するだけの補償トルクをアームの回転軸に付与する必要がある。こうした補償トルクの付与は、例えば、支持部にその一端が固定された引張ばねと、アームの回動軸に固定されるとともに、位置により外径が変化する外周を有した偏心カムと、引張ばねの自由端と偏心カムとを連結し、かつその一部が偏心カムの外周に巻き掛けられたワイヤーと、を設けることで行うことができる。すなわち、引張ばねのばね力がアームの上方への回動方向に作用するように、引張ばねと偏心カムとをワイヤーを介して連結すれば、引張ばねのばね力により、手保持部材を上昇させる側にアームを回動させる方向のトルクを、すなわち支持する部材等の重量に抗するための補償トルクをアームの回転軸に付与することができる。
【0018】
ただし、こうした場合にも、アームの回動角度によってカムに対するワイヤーの巻き掛け長が変化して、その分、引張ばねの伸び量が変化するようになる。そしてその結果、アームの回動角度に応じてその回転軸に付与される補償トルクの大きさが変化してしまうようになる。その点、請求項4によるように、アームの回動軸を中心とした外周の外径が位置により変化する偏心カムを用いれば、アームの回動角度の変化に伴う引張ばねの伸び量の変化を、ひいてはアームの回動軸に付与される補償トルクの変化を抑えることが可能となる。
【0019】
ちなみに、請求項5によるように、偏心カムの取付時の初期角度を「θ0」、アームに付与する補償トルクを「τ」、引張ばねのばね定数を「K」としたとき、偏心カムのカム角度が「θ」となる位置の偏心カムの外周の前記アームの回動軸中心の外径「r(θ)」が下式(2)となるように偏心カムを形成すれば、アームの回動角度に拘わらず、補償トルクを一定とすることができる。
【0020】
【数2】

また、上述の指屈曲/伸展支援機構による各指のMP関節とPIP関節(IP関節)の屈曲/伸展運動の支援では、指に加えられる負荷を計測し、その計測結果に基づいてモーターの出力制御を行うことが望ましい。そうした場合の負荷の計測は、例えば請求項6によるような、モーターの回転軸の周りに配設されて、同モーターの本体に固定される部分と、同モーターにより回動される部材に固定される部分とを有する略環状のフレームと、そのフレームのモーターの本体に固定される部分と同モーターにより回動される部分とを繋ぐ部分に貼り付けられた歪みゲージと、を有したトルクセンサーを備えることで行うことができる。
【0021】
また、請求項7によるように、指屈曲/伸展支援機構の基部に一体回転可能に連結され、かつ手保持部材に回動可能に軸支されたピニオンと、手保持部材に往復直線動可能に設置されたガイドに設けられたラックと、により構成されたラック・アンド・ピニオン機構と、手保持部材に対してガイドを往復直線動させる内転/外転用のモーターと、を備えれば、指の内転/外転運動の支援を行うことが可能となる。また請求項8によるように、ラック・アンド・ピニオン機構を、示指、薬指及び小指の指屈曲/伸展支援機構に設けるとともに、手保持部材に対するガイドの直線運動に対しての示指用のピニオンの回転方向が、薬指及び小指用のピニオンの回転方向と逆となるようにすれば、1つのモーターのみにより、指先を広げたり、狭めたりするように、4指の内転/外転運動を連動して行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るリハビリテーション支援装置の全体構造を示す斜視図。
【図2】同リハビリテーション支援装置における患者の手指の装着態様を示す斜視図。
【図3】同リハビリテーション支援装置の腕支持機構に設けられた保障トルク発生に係る機構の構成を模式的に示す略図。
【図4】同リハビリテーション支援装置の腕支持機構に設けられた偏心カムの形状を示す斜視図。
【図5】同リハビリテーション支援装置の手支援機構の構成を示す斜視図。
【図6】同手支援機構の回内/回外運動支援部の構成を示す斜視図。
【図7】同手支援機構の掌屈/背屈運動支援部の構成を示す斜視図。
【図8】同リハビリテーション支援装置の4指屈曲/伸展支援機構の構成を示す斜視図。
【図9】同4指屈曲/伸展支援機構の構成を、一部を透過して示す斜視図。
【図10】同4指屈曲/伸展支援機構の構成をモデル化して示した略図。
【図11】同リハビリテーション支援装置の4指内転/外転支援機構の構成を示す斜視図。
【図12】同リハビリテーション支援装置の拇指支援機構の構成を示す斜視図。
【図13】同リハビリテーション支援装置の拇指支援機構の構成を示す斜視図。
【図14】同リハビリテーション支援装置のトルクセンサーの設置態様を示す斜視図。
【図15】同トルクセンサーの構成を示す平面図。
【図16】表側から見たときの同トルクセンサーの正面側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図17】裏側から見たときの同トルクセンサーの背面側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係るリハビリテーション支援装置の4指屈曲/伸展支援機構の構成を示す平面図。
【図19】同4指屈曲/伸展支援機構の駆動部の構成を模式的に示す斜視図。
【図20】同4指屈曲/伸展支援機構をモデル化して示した略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明のリハビリテーション支援装置を具体化した第1の実施の形態を、図1〜図15を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態のリハビリテーション支援装置は、手指の運動機能障害の発症後の早期段階におけるリハビリテーションでの使用を想定したものとなっている。このリハビリテーション支援装置は、健側の手指に装着された計測グローブにより計測された健側の手指の各部の動きをトレースするように患側の手指の各部を動作させる、左右対称マスタースレーブ型の機能回復訓練装置として構成されている。そして本実施の形態のリハビリテーション支援システムは、次の特徴を有したものとなっている。
・患者の手指のリハビリテーション支援を行う手指支援機構の位置及び姿勢を任意に調整可能な腕支持機構を備えており、ベッド上での使用も可能である。
・拇指の屈曲/伸展運動、拇指の内転/外転運動、拇指以外の4指の屈曲/伸展運動、同4指の内転/外転運動、手首の掌屈/背屈運動、及び手首の回内/回外運動のリハビリテーションの支援が可能である。
・指に作用する負荷を計測するトルクセンサーを備える。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態のリハビリテーション支援装置は、当該支援装置の土台となる台座10と、その台座10上に設けられた腕支持機構20と、その腕支持機構20に支持された手指支援機構100とを備えている。こうしたリハビリテーション支援装置は、図2に示されるように、運動機能の回復訓練を行う患者の手指Hをその手指支援機構100に保持した状態で使用される。
【0025】
なお、台座10の下面には、キャスター11が取り付けられ、台座10の上面には、装置の移動時に掴み手となるハンドル12が取り付けられている。
<腕支持機構>
次に、こうした台座10上に設けられた腕支持機構20の詳細を、図1〜図4を併せ参照して説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、台座10の上面には、腕支持機構20の基部21が固定されている。基部21には、中空円筒形状の支持柱22が、鉛直方向に伸びる自身の中心軸を中心として回動可能に支持されている。支持柱22には、アーム25が取り付けられている。アーム25は、アーム第1リンク23と、そのアーム第1リンク23の先端に連結されたアーム第2リンク24の2つのリンクによって構成されている。
【0027】
アーム第1リンク23は、長さの等しい、上下2つのリンク部材、すなわちアーム第1リンク部材26とアーム第2リンク部材27とを備えている。アーム第1リンク部材26及びアーム第2リンク部材27はそれらの基端において、支持柱22の側周にそれぞれ連結されている。これらアーム第1リンク部材26及びアーム第2リンク部材27の先端には、アーム第3リンク部材43の上端及び下端がそれぞれ回動可能に連結されている。アーム第3リンク部材43におけるアーム第1リンク部材26の連結位置からアーム第2リンク部材27の連結位置までの距離は、支持柱22の側周におけるアーム第1リンク部材26の連結位置からアーム第2リンク部材27の連結位置までの距離と等しくされている。そのため、アーム第1リンク部材26及びアーム第2リンク部材27は、それらの回動に拘わらず、互いの平行が維持されるようになっている。
【0028】
こうしたアーム第1リンク23の先端部には、アーム第2リンク24が連結されている。アーム第2リンク24は、アーム第1リンク23に固定された第1軸部材30を備えている。第1軸部材30の上端及び下端には、アーム第4リンク部材32及びアーム第5リンク部材33が、第1軸部材30の中心を通る鉛直方向の軸を中心として回動可能にそれぞれ連結されている。アーム第4リンク部材32及びアーム第5リンク部材33は、互いに平行に配設され、それらの先端には、第2軸部材45の上端及び下端がそれぞれ固定されている。そして第2軸部材45の下端には、回動可能に軸支された状態で手指支援機構100が取り付けられている。
【0029】
なお、腕支持機構20には、そのアーム25の先端に支持された手指支援機構100等の自重に抗して、支持柱22に対するアーム第1リンク23の回動角度を保持するための機構が設けられている。図3に示すように、この機構は、支持柱22の内部に設置された引張ばね36、アーム第1リンク部材26の基端に固定された偏心カム38等により構成されている。
【0030】
引張ばね36は、支持柱22の内部において、その自然長よりも伸長した状態で配設されている。引張ばね36の上端の固定位置は、支持柱22の上端に設けられた可変ノブ40を回転することで上下に変位されるようになっている。引張ばね36の下端には、ワイヤー41が連結されており、このワイヤー41は、支持柱22の下部に設けられた滑車37を介して偏心カム38に連結されている。
【0031】
図4に示すように、偏心カム38は、ワイヤー41が巻き掛けられる外周42を有した略扇型形状に形成されている。この外周42は、その外径、すなわちアーム第1リンク部材26の回動軸A1から外周42までの距離が、位置により変化するように形成されている。
【0032】
次に、以上のように構成された腕支持機構20の動作を説明する。この腕支持機構20では、支持柱22に対してアーム第1リンク23が上下方向に回動すると、アーム第2リンク24の先端に設けられた手指支援機構100が上下に変位される。またアーム第1リンク23の先端部に設けられた第1軸部材30に対してアーム第2リンク24が回動すると、手指支援機構100が水平方向に変位される。このようにこの腕支持機構20は、アーム25を動かすことで、手指支援機構100の位置及び姿勢を任意に調整可能となっている。
【0033】
なお、偏心カム38の外周42に巻き掛けられたワイヤー41は、引張ばね36のばね力で引かれており、偏心カム38が固定されたアーム第1リンク部材26の基端には、そうしたワイヤー41の張力に由来する、トルクが作用している。このトルクは、アーム第1リンク部材26を上方に回動させる方向に作用し、手指支援機構100等の自重に抗して、支持柱22に対するアーム第1リンク23の回動角度を保持するための補償トルクとなる。
【0034】
アーム第1リンク部材26が上下方向に回動されると、偏心カム38の外周42におけるワイヤー41の巻き掛け長が変化するようになる。ここで、偏心カム38の外周42の外径が一定であれば、巻き掛け長の変化分、引張ばね36の伸び量が変化して、アーム25に付与される補償トルクの大きさが変化してしまう。その点、本実施の形態では、外周42の外径が位置により変化する偏心カム38を採用することで、アーム第1リンク部材26の回動角度によらず、補償トルクを一定に保っている。
【0035】
ちなみに、補償トルクを一定に保つには、偏心カム38のカム角度が「θ」となる位置の外周42のアーム回動軸中心の外径r(θ)が下式(3)となるように、偏心カム38を形成する必要がある。下式(3)において、「θ0」は、偏心カム38の取付時の初期角度を、「τ」は、アーム25に付与する補償トルクを、「K」は、引張ばね36のばね定数をそれぞれ示している。なお、偏心カム38の取付時の初期角度とは、アーム第1リンク部材26の回動角度が初期角度にあるときの偏心カム38の外周42におけるワイヤー41の巻き掛け開始位置Oから巻き掛け終了位置Pまでのアーム回動軸中心の角度を示している。ちなみに、ここでは、アーム第1リンク部材26が水平となっているときの同アーム第1リンク部材26の回動角度を初期角度としている。また、偏心カム38のカム角度θは、アーム第1リンク部材26の回動角度が初期角度にあるときの偏心カム38の外周42におけるワイヤー41の巻き掛け終了位置Pからのアーム回動軸中心の角度を示している。
【0036】
【数3】

なお、この腕支持機構20では、支持柱22の上端に設けられた可変ノブ40を回転して引張ばね36の固定端の位置を上下に変位させて引張ばね36の伸び量を変更することで、補償トルクτの大きさを任意に調整可能となっている。
【0037】
<手指支援機構>
次に、こうした腕支持機構20によって変位可能に支持された手指支援機構100の詳細を、図5を参照して説明する。
【0038】
図5に示すように、手指支援機構100は、患者の手首の回内/回外運動、及びその掌屈/背屈運動を支援する手支援機構200、拇指以外の4指の屈曲/伸展運動、及びそれらの内転/外転運動を支援する4指支援機構300、患者の拇指の屈曲/伸展運動、及びその内転/外転運動を支援する拇指支援機構400を備えている。なお、患者の手は、手指支援機構100を通して挿入した後、4指支援機構300に拇指以外の4指を、拇指支援機構400に拇指をそれぞれ固定することで、手指支援機構100に保持される。
【0039】
<手支援機構>
ここでは、まず手支援機構200の詳細を、図6及び図7を参照して説明する。手支援機構200は、図6に示す回内/回外運動支援部210と、図7に示す掌屈/背屈運動支援部250とを備えている。
【0040】
図6に示すように、回内/回外運動支援部210は、アーム25の先端の第2軸部材45の基端に連結されるフレーム211を備えている。フレーム211には、半円環形状のリング212がその中心軸A2回りに回動可能に取り付けられている。なお、図6では、省略されているが、リング212の内周には、クッションとなる緩衝材が取り付けられている。
【0041】
リング212の外周には、2連の歯車213が取り付けられている。またフレーム211のリング212の側方には、モーター214が固定されており、その回転軸には、リング212の外周の2連の歯車213にそれぞれ噛み合わされる2連の歯車215が固定されている。
【0042】
一方、図7に示すように、掌屈/背屈運動支援部250には、基部252と、その基部252の両端より前方(図中右下方向)に突き出した2つのアーム部253とからなる、略コの字型の手支援機構第1リンク251が設けられている。この手支援機構第1リンク251は、その基部252において回内/回外運動支援部210のリング212に固定されている。
【0043】
手支援機構第1リンク251の2つのアーム部253の先端には、手支援機構第2リンク254が、回動可能に連結されている。手支援機構第2リンク254は、アーム部253の先端にその基端がそれぞれ連結される2つのアーム部255と、それら2つのアーム部255の先端にその両端がそれぞれ固定された取付部256とからなる、略コの字型に形成されている。なお、取付部256には、上述の4指支援機構300と拇指支援機構400(図7では図示略)とがそれぞれ取り付けられる。また、取付部256には、患者の手の甲が押し当てられるパッド260が設置されている。
【0044】
こうした手支援機構第2リンク254のアーム部255の一方には、モーター257がその先端に固定されている。このモーター257の回転軸には、傘歯歯車258が固定されている。そしてその傘歯歯車258は、手支援機構第1リンク251のアーム部253の一方の先端に固定された傘歯歯車259に噛み合わされている。
【0045】
次に、以上のように構成された手支援機構200の動作を説明する。こうした手支援機構200において、患者の手は、回内/回外運動支援部210のリング212を通して挿入され、掌屈/背屈運動支援部250の手支援機構第2リンク254に取り付けられた拇指支援機構400にその拇指を、4指支援機構300にその4指をそれぞれ固定することで、手支援機構第2リンク254に保持される。
【0046】
ここで、回内/回外運動支援部210のモーター214が回転されると、そのフレーム211に対してリング212がその中心軸A2回りに回動し、そのリング212と共に掌屈/背屈運動支援部250が回動される。そしてそれにより、掌屈/背屈運動支援部250の手支援機構第2リンク254にその手が保持された患者の手首が回内/回外運動されるようになる。
【0047】
一方、掌屈/背屈運動支援部250のモーター257が回転されると、手支援機構第1リンク251に対して手支援機構第2リンク254が軸A3回りに回動される。そしてこれにより、手支援機構第1リンク251が固定された回内/回外運動支援部210のリング212に通された患者の腕に対して、手支援機構第2リンク254に保持された患者の手がその甲側、あるいは手のひら側に屈曲され、患者の手首が掌屈/背屈運動されるようになる。
【0048】
<4指支援機構>
続いて、4指支援機構300の詳細を説明する。4指支援機構300は、拇指以外の4つの指、すなわち示指、中指、薬指及び小指の屈曲/伸展運動を支援する4指屈曲/伸展支援機構310と、それら4指の内転/外転運動を支援する4指内転/外転支援機構350とを備えている。なお、4指屈曲/伸展支援機構310は、上記4指に対してそれぞれ一つずつ設けられている。
【0049】
<4指屈曲/伸展支援機構>
ここではまず、4指屈曲/伸展支援機構(FMA機構)310の詳細を、図8〜図10を参照して説明する。
【0050】
図8に示すように、4指屈曲/伸展支援機構310は、FMAベースリンク311、FMA第1リンク312、FMA第2リンク313、及びFMA第3リンク314の4つのリンクからなるリンク機構を有している。FMAベースリンク311の基端は、手支援機構200の手支援機構第2リンク254に回動可能に連結され、またその先端には、FMA第1リンク312の基端が回動可能に連結されている。そうしたFMA第1リンク312の先端には、指の第三指節に固定される第1指固定部315が回動可能に連結され、またその第1指固定部315には、FMA第2リンク313の基端が回動可能に連結されている。そして更に、FMA第2リンク313の先端には、FMA第3リンク314の基端が回動可能に連結され、またそのFMA第3リンク314の先端には、指の第二指節に固定される第2指固定部316が回動可能に連結されている。
【0051】
第1指固定部315及び第2指固定部316には、指の第三指節及び第二指節にそれぞれ巻き掛けられるバンド状の固定具がそれぞれ取り付けられる。第1指固定部315及び第2指固定部316には磁石が設けられ、固定具に設けられた鉄片がこの磁石に吸着することで、第1指固定部315及び第2指固定部316への固定具の取付けが行われる。
【0052】
一方、図9に示すように、FMA第1リンク312には、モーター317が取り付けられている。このモーター317の回転軸には、FMA第1歯車318が固定され、そのFMA第1歯車318は、FMA第1リンク312の先端に固定されたFMA第2歯車319に噛み合わされている。そしてそのFMA第2歯車319は、FMA第2リンク313の基端に固定されたFMA第3歯車320に噛み合わされている。
【0053】
続いて、以上のように構成された4指屈曲/伸展支援機構310の動作を説明する。
4指屈曲/伸展支援機構310のモーター317が回転されると、その回転軸に設けられたFMA第1歯車318を介して、FMA第1リンク312の先端に固定されたFMA第2歯車319が回転される。そしてその回転により、FMA第1リンク312が、第1指固定部315に対して、その先端の回転軸回りに回動されるようになる。
【0054】
またFMA第2歯車319が回転されると、これに噛み合されたFMA第3歯車320も回転するようになる。そしてそのFMA第3歯車320がその基端に固定されたFMA第2リンク313が、第1指固定部315に対して、その基端の回動軸回りに回動されるようになる。そして、こうしたFMA第1リンク312及びFMA第2リンク313の回動により、指のMP関節及びPIP関節が屈曲/伸展運動される。
【0055】
図10は、4指屈曲/伸展支援機構310及びこれに装着される指をモデル化して示したものである。同図に示すように、指は、手のひら330側から順に、MP関節331、PIP関節332、DIP関節333の3つの関節を備えている。そして指は、DIP関節333よりも先の第一指節334、DIP関節333とPIP関節332との間の第二指節335、PIP関節332とMP関節331との間の第三指節336の3つの指節によって構成されている。
【0056】
ここで、MP関節331の屈曲角度θMPは、下式(4)により計算される。
【0057】
【数4】

なお、上式(4)における「A」は下式(5)により、また上式(4)における「B」は下式(6)によりそれぞれ求められる。
【0058】
【数5】

更に、上式(4)における「L1」は、下式(7)により算出され、上式(4)における「φ1」は、下式(8)により算出される。
【0059】
【数6】

一方、FMA第3歯車320の回転角度θ1とFMA第2歯車319の回転角度θ2との間には、下式(9)の関係が成立する。なお、「θ20」は、これら歯車の初期取付角度である。
【0060】
【数7】

一方、4指屈曲/伸展支援機構310は、第1指固定部315を軸として軸対称となっており、FMA第3歯車320の回転角度θ2とPIP関節332の屈曲角度θPIPとの間にも同様の幾何学的関係が成立する。また、FMA第2歯車319の回転角度θ1は、FMA第1歯車318との減速比からモーター317の回転軸の回転角度から計測することができる。そのため、モーター317の回転軸の回転角度を制御することで、MP関節331及びPIP関節332の屈曲角度を任意に制御することが可能となる。
【0061】
<4指内転/外転支援機構>
続いて、4指内転/外転支援機構350の詳細を、図11を参照して説明する。
図11に示すように、4指内転/外転支援機構350は、ガイド351を備えている。このガイド351は、上述した手支援機構200の手支援機構第2リンク254の取付部256に、指先方向及びその逆方向に進退可能に取り付けられている。ガイド351の図中右側の端には、回転を直線の動きに変換するラック・アンド・ピニオン機構のラック352が固定され、そのラック352には、手支援機構第2リンク254の取付部256に回転可能に連結された、上記ラック・アンド・ピニオン機構のピニオン354が噛み合わされている。このピニオン354は、手支援機構第2リンク254の取付部256に設けられたモーター353により回転される。
【0062】
一方、ガイド351には、更に3つのラック355,356,357が固定されている。これらのうち、図中最右側に配設されたラック355には、小指用の4指屈曲/伸展支援機構358の基端に固定されたピニオン359が噛み合わされている。図中におけるその左隣りに配設されたラック356には、薬指用の4指屈曲/伸展支援機構360の基端に固定されたピニオン361が噛み合わされている。更に、ガイド351の残りのラック357には、示指用の4指屈曲/伸展支援機構362の基端に固定されたピニオン363が噛み合わされている。各4指屈曲/伸展支援機構358,360,362の基端及び各ピニオン359,361,363は、それらピニオン359,361,363の回転軸回りに回動可能に手支援機構第2リンク254の取付部256に軸支されている。なお、小指及び薬指用の4指屈曲/伸展支援機構358,360の基端に固定されたピニオン359,361に噛み合わされたラック355,356には、その図中左側に歯が設けられている。これに対して、示指用の4指屈曲/伸展支援機構362の基端に固定されたピニオン363に噛み合わされたラック357には、その図中右側に歯が設けられている。ちなみに、中指用の4指屈曲/伸展支援機構364の基端は、手支援機構第2リンク254の取付部256に回動不能に固定されている。
【0063】
次に、以上のように構成された4指内転/外転支援機構350の動作を説明する。
手支援機構200の手支援機構第2リンク254の取付部256に設けられたピニオン354がモーター353により回転されると、そのピニオン354とラック352とによりその回転が直線運動に変換され、ラック352が固定されたガイド351が指先方向又はその逆方向に前進又は後退する。
【0064】
こうしてガイド351が移動すると、そのガイド351に設けられた3つのラック355,356,357にそれぞれ噛み合わされた3つのピニオン359,361,363が回動して、それらが固定された基端を中心に小指用、薬指用、示指用の各4指屈曲/伸展支援機構358,360,362が回動される。このとき、小指用及び薬指用の4指屈曲/伸展支援機構358,360の回動方向と、示指用の4指屈曲/伸展支援機構362の回動方向とは、ラックの歯の向きの違いにより、逆方向となる。そして、こうした各4指屈曲/伸展支援機構358,360,362の回動により、中指を中心として指先を広げたり、狭めたりするように、4指が内転/外転運動される。
【0065】
<拇指支援機構>
次に、拇指支援機構400の詳細を、図12及び図13を参照して説明する。
図12に示すように、拇指支援機構400の支持部401には、平行に置かれた2つのリンク機構が取り付けられている。このうちの一つは、その基端が支持部401に回動可能に連結された拇指第1リンク402と、その拇指第1リンク402の先端にその基端が回動可能に連結された拇指第2リンク403とからなるリンク機構となっている。もう一つは、拇指第1リンク402の基端とは異なる位置においてその基端が支持部401に回動可能に連結された拇指第3リンク404と、その拇指第3リンク404の先端にその基端が回動可能に連結された拇指第4リンク405とからなるリンク機構となっている。なお、支持部401は、手支援機構200の手支援機構第2リンク254の取付部256に固定されている。
【0066】
拇指第2リンク403の先端には、上述の4指屈曲/伸展支援機構310と同様の構成の拇指屈曲/伸展支援機構406の基端が取り付けられた基部407が回動可能に連結されている。また拇指第4リンク405の先端には、拇指第2リンク403の先端とは異なる位置において、そうした基部407が回動可能に連結されている。
【0067】
一方、支持部401には、モーター408が設けられ、そのモーター408の回転軸には、拇指第1歯車409が設けられている。この拇指第1歯車409は、拇指第1リンク402の基端に固定された拇指第2歯車410に噛み合わされている。
【0068】
続いて、以上のように構成された拇指支援機構400の動作を説明する。
モーター408が回転されると、拇指第1歯車409及び拇指第2歯車410を介して、支持部401に対して拇指第1リンク402が回動する。こうして拇指第1リンク402が回動すると、両リンク機構の連結位置の違いにより、例えば図13に示すように、拇指屈曲/伸展支援機構406の基端が取り付けられた基部407が、患者の手首内に頂点を有する円錐の弧に沿って回動される。そしてこの回動により、CM関節を中心とした拇指の内転/外転運動が行われる。
【0069】
一方、拇指屈曲/伸展支援機構406によっては、4指屈曲/伸展支援機構310と同様にして、拇指のCM関節及びMP関節の屈曲/伸展運動が行われる。
<トルクセンサー>
ところで、上述の4指屈曲/伸展支援機構310による指の屈曲/伸展運動の支援では、指に加えられる負荷を計測し、その計測結果に基づいてモーター317の出力制御を行うことが望ましい。そこで、本実施の形態のリハビリテーション支援装置では、そうした負荷を計測するためのトルクセンサーを設けるようにしている。
【0070】
図14に示すように、トルクセンサー500は、FMA第1リンク312に配設されたモーター317の回転軸周りに配設されており、そのモーター317の先端に固定されたブラケット508に対して取り付けられる。
【0071】
図15〜17に示すように、トルクセンサー500は、略環状のフレーム501を備えている。フレーム501の中央には、モーター317の回転軸が挿通される円形の孔502が形成されており、その図中左右側方には、モーター317の回転軸側の端部に固定されたブラケット508(図14)にフレーム501を固定するためのボルト穴504が形成されている。
【0072】
一方、フレーム501の図中上下には、図中左右方向に直線状に延伸されたリンク取付部505がそれぞれ形成されている。これらリンク取付部505には、フレーム501をFMA第1リンク312に固定するための2つのボルト穴506がそれぞれ形成されている。そしてこうしたフレーム501を介して、モーター317がFMA第1リンク312に固定されるようになっている。
【0073】
こうしたフレーム501のボルト穴504が形成された部分とリンク取付部505が形成された部分とを繋ぐ部分、すなわち図中における孔502の右斜め上、右斜め下、左斜め上及び左斜め下の部分の外周には、歪みゲージ507がそれぞれ貼り付けられている。これらの歪みゲージ507は、貼り付けられた部分の歪みに応じてその電気抵抗が変化するように構成されている。
【0074】
次にこうしたトルクセンサー500の作用を説明する。
モーター317の回転による屈曲/伸展運動により指に負荷が加わると、モーター317の回転軸が抵抗を受け、モーター317の本体に回転軸周りのトルクが加わるようになる。こうしたトルクが加わると、モーター317は、FMA第1リンク312に対して回転しようとする。そして、その結果、トルクセンサー500のフレーム501の歪みゲージ507が貼られた部分に歪みが生じるようになり、その歪みの大きさは、歪みゲージ507に通電される電流やこれに印加される電圧の変化として表れる。そのため、そうした電流や電圧の変化を計測することで、フレーム501に生じた歪みの大きさを、そしてひいてはそうした歪みを生じさせたモーター317の回転抵抗、すなわち指に加わる負荷の大きさを求めることが可能となる。
【0075】
なお、こうした本実施の形態では、手支援機構200の手支援機構第2リンク254が、患者の手を保持する手保持部材に相当する構成となっている。また台座10、並びに腕支持機構20の基部21及び支持柱22が、床面に載置される支持部に相当する構成となっている。
【0076】
以上説明した本実施の形態のリハビリテーション支援システムによれば、次の効果を奏することができる。
(1)指の屈曲/伸展運動の支援を、一つのモーター317のみで行うことができるため、部品点数の増加を抑え、急性期患者の手指の運動機能の回復訓練に適したリハビリテーション支援装置をより低価格で提供することができる。
【0077】
(2)手指支援機構100の高さが変わっても、それを支持するアーム25に付与される補償トルクが一定に保たれるため、手指支援機構100の高さ調節を容易かつ的確に行うことができる。
【0078】
(3)トルクセンサー500により、指に加わる負荷の精密な計測が可能なため、指の屈曲/伸展運動の支援を適切に行うことが可能となる。
(4)手指支援機構100の位置や姿勢を任意に調整でき、患者がベッドに臥したまま、リハビリテーション支援を行うことができるため、障害発症の早期からリハビリテーションを開始することができる。
【0079】
(5)台座10にキャスター11及びハンドル12が設けられているため、装置の移動が容易となる。
(6)指に装着される固定具が磁石を用いて第1指固定部315や第2指固定部316に固定されていて、容易にその着脱が可能なため、手指支援機構100への手の固定を容易とすることができる。
【0080】
(7)ラック・アンド・ピニオン機構と、モーター353と、により構成された4指内転/外転支援機構350により、4指の内転/外転運動の支援も可能である。しかも、ガイド351の直線運動に対しての示指用のピニオン363の回転方向が、薬指及び示指用のピニオン359,361の回転方向と逆としているため、1つのモーター353のみにより、指先を広げたり、狭めたりするように、4指の内転/外転運動を連動して行わせることが可能である。
【0081】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、指に装着される固定具を磁力によって第1指固定部315や第2指固定部316に固定することで、その着脱を可能としていたが、その固定を面ファスナー等により行うようにしても良い。
【0082】
・上記実施の形態では、第1指固定部315や第2指固定部316に対して、指に固定される固定具を着脱可能としていたが、それら第1指固定部315や第2指固定部316に固定具を完全に固定するようにしても良い。
【0083】
・上記実施の形態では、4指屈曲/伸展支援機構310のモーター317にトルクセンサー500を設けるようにしていたが、他の支援機構のモーターにも、同様のトルクセンサーを設けるようにしても良い。
【0084】
・指に作用する負荷の計測結果に基づくフォースフィードバックを行わない場合には、トルクセンサー500を割愛するようにしても良い。
・上記実施の形態では、4指屈曲/伸展支援機構310のモーター317を、FMA第1リンク312に設けていたが、設置スペースの確保が可能であれば、FMA第2リンク313や第1指固定部315にモーター317を設けるようにしても良い。
【0085】
・上記実施の形態では、台座10にキャスター11及びハンドル12を設け、装置の移動を容易としていたが、装置の設置位置が固定されている場合などには、それらを割愛するようにしても良い。
【0086】
・上記実施の形態では、可変ノブ40を回転させて引張ばね36の固定端の位置を変更することで、アーム25に付与される補償トルクを調節可能としていたが、補償トルクの調整が不要な場合には、引張ばね36の固定端の位置の調整機構を割愛するようにしても良い。
【0087】
・上記実施の形態では、引張ばね36、偏心カム38、ワイヤー41等により構成された機構により、手指支援機構100の高さの変化に拘わらず、補償トルクが一定に保たれるようにしていたが、手指支援機構100の高さの変化に伴う補償トルクの変化が無視できる場合には、そうした機構を割愛するようにしても良い。
【0088】
・上記実施の形態では、引張ばね36のばね力で、アーム25に付与される補償トルクを発生させていたが、トーションバーのような引張ばね36以外の弾性部材の弾性力で補償トルクを発生させるなど、別の方法で補償トルクを発生させるようにしても良い。
【0089】
・補償トルクを作用させなくても、アーム25の回動軸の摩擦などで手指支援機構100の位置や姿勢の保持が可能であれば、補償トルクの発生に係る構成を割愛するようにしても良い。
【0090】
・上記実施の形態では、基部21に対する支持柱22の回動、支持柱22に対するアーム第1リンク23の回動、アーム第1リンク23に対するアーム第2リンク24の回動、第2軸部材45に対する2つの軸回りの回動による5自由度の機構として、腕支持機構20が構成されていた。手指支援機構100の位置や姿勢の変更範囲が限定されている場合には、腕支持機構20の自由度を4以下としても良い。
【0091】
・手指支援機構100が固定されている場合など、その位置や姿勢の変更が不要な場合には、腕支持機構20を割愛するようにしても良い。
・上記実施の形態では、拇指以外の4指の屈曲/伸展に加え、拇指の屈曲/伸展、拇指の内転/外転、拇指以外の4指の屈曲/伸展、同4指の内転/外転、手首の掌屈/背屈、及び手首の回内/回外のリハビリテーション運動の支援を行うようにしていた。4指の屈曲/伸展運動を除く、それらの運動のうちの一部のリハビリテーション運動の支援が不要な場合には、その支援に係る機構の機能の一部、あるいはその機構全体を割愛するようにしても良い。
【0092】
(第2の実施の形態)
続いて、本発明のリハビリテーション支援装置を具体化した第2の実施の形態を、図18〜図20を併せ参照して説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態のものと機能や構成を同様とする部材については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0093】
第1の実施の形態のリハビリテーション支援装置に採用される4指屈曲/伸展支援機構600は、MP関節及びPIP関節の屈曲/伸展に際してそれら関節の屈曲角度が不一致となる場合がある。そこで、本実施の形態では、下記のように構成された4指屈曲/伸展支援機構を採用することで、MP関節及びPIP関節の屈曲角度の一致を保証するようにしている。
【0094】
図18に示すように、本実施の形態に採用される4指屈曲/伸展支援機構600も、第1の実施の形態のものと同様に、手支援機構200の手支援機構第2リンク254の取付部256に取り付けられている。また、この4指屈曲/伸展支援機構600も、第1の実施の形態のものと同様、FMAベースリンク601、FMA第1リンク602、FMA第2リンク604及びFMA第3リンク605の4つのリンクを備えている。
【0095】
FMAベースリンク601は、手支援機構第2リンク254の取付部256に取り付けられた当該4指屈曲/伸展支援機構600の基部620にその基端が回動可能に連結され、その先端にはFMA第1リンク602の基端が回動可能に連結されている。またFMA第1リンク602の先端は、指の第三指節に固定される第1指固定部603がその先端に回動可能に連結され、その第1指固定部603には、FMA第2リンク604の基端が回動可能に連結されている。そしてFMA第2リンク604の先端には、FMA第3リンク605の基端が回動可能に連結され、そのFMA第3リンク605の先端には、指の第二指節に固定される第2指固定部606が回動可能に連結されている。なお、この4指屈曲/伸展支援機構600では、FMAベースリンク601とFMA第3リンク605とが同じ長さに形成され、FMA第2リンク604とFMA第3リンク605とが同じ長さに形成されている。
【0096】
一方、本実施の形態の4指屈曲/伸展支援機構600では、FMAベースリンク601の図中上方に、FMA副ベースリンク607が配設されている。このFMA副ベースリンク607は、FMAベースリンク601と同長に形成され、その基端は、手支援機構第2リンク254に回動可能に連結されている。
【0097】
また、FMAベースリンク601の先端とFMA副ベースリンク607の先端とは、FMA第4リンク608を介して連結されている。なお、FMA第4リンク608の長さは、手支援機構第2リンク254におけるFMAベースリンク601の連結位置からFMA副ベースリンク607の連結位置までの長さと同じとされている。
【0098】
こうしたFMA副ベースリンク607の先端には、FMA副第1リンク609の基端が回動可能に連結されている。FMA副第1リンク609は、FMA第1リンク602と同長に形成されている。そしてFMA第1リンク602の先端とFMA副第1リンク609の先端とは、FMA第5リンク610を介して互いに連結されている。なお、FMA第5リンク610は、上記FMA第4リンク608と同長に形成されている。
【0099】
また、FMA第2リンク604の図中上方には、FMA副第2リンク611が配設されている。このFMA副第2リンク611は、FMA第2リンク604と同長に形成されている。FMA第2リンク604の基端とFMA副第2リンク611の基端とは、FMA第6リンク612を介して連結されている。またFMA第2リンク604の先端とFMA副第2リンク611の先端とは、FMA第7リンク613を介して連結されている。これらFMA第6リンク612及びFMA第7リンク613は、上記FMA第4リンク608と同長に形成されている。
【0100】
更に、こうしたFMA副第2リンク611の先端には、FMA副第3リンク614の基端が回動可能に連結されている。FMA副第3リンク614は、FMA第3リンク605と同長に形成されている。そしてFMA副第3リンク614の先端は、第2指固定部606に回動可能に連結されている。なお、第2指固定部606に対するFMA第3リンク605の連結位置からFMA副第3リンク614の連結位置までの長さは、上記FMA第4リンク608と同じ長さとされている。
【0101】
なお、こうした4指屈曲/伸展支援機構600では、手支援機構第2リンク254におけるFMAベースリンク601及びFMA副ベースリンク607の連結部が、当該4指屈曲/伸展支援機構600の運動支援対象となる指の中手骨の中心線に対してそれらを結ぶ直線が直交するように配設されている。一方、この4指屈曲/伸展支援機構600では、第1指固定部603の中心線Lと、指の第三指節の指節骨の中心線とが直交するように、第1指固定部603での指の第三指節の固定が行われる。更に、この4指屈曲/伸展支援機構600では、第2指固定部606におけるFMA第3リンク605の連結部とFMA副第3リンク614の連結部とを結ぶ直線と、指の第二指節の指節骨の中心線とが直交するように、同第2指固定部606での指の第二指節の固定が行われる。
【0102】
以上のようにリンク機構が構成された4指屈曲/伸展支援機構600の第1指固定部603には、モーター615が設置されている。図19に示すように、このモーター615の回転軸には、平歯車として構成されたFMA第1歯車616が固定されており、このFMA第1歯車616は、フェースギヤとして構成されたFMA第2歯車617に噛み合わされている。このFMA第2歯車617は、FMA第5リンク610の回動軸に固定されている。また、FMA第5リンク610の回動軸には、平歯車として構成されたFMA第3歯車618が固定され、このFMA第3歯車618は、FMA第6リンク612の回動軸に固定されたFMA第4歯車619に噛み合わされている。なお、FMA第3歯車618及びFMA第4歯車619は、径及び歯数が同じとなっている。そしてこれらFMA第3歯車618及びFMA第4歯車619がそれぞれ設けられたFMA第5リンク610及びFMA第6リンク612は、第1指固定部603の中心線Lからの角度が等しくなるように第1指固定部603に組み付けられている。
【0103】
次に、以上のように構成された4指屈曲/伸展支援機構600の動作を、図20を参照して説明する。
モーターにより、FMA第5リンク610とFMA第6リンク612とが第1指固定部603に対して回動されると、それに連動して4指屈曲/伸展支援機構600の各リンクが動いて、患者の指のMP関節及びPIP関節が屈曲/伸展運動される。このとき、4指屈曲/伸展支援機構600では、各リンクの連結位置が、常時、第1指固定部603の中心線Lを軸とする軸対称に維持される。
【0104】
また、このときのFMA第5リンク610の回動に対して、手支援機構第2リンク254におけるFMAベースリンク601及びFMA副ベースリンク607の連結部を結ぶ直線は、FMA第5リンク610との平行が維持される。そして、その直線は、中手骨の中心線に直交している。そのため、この4指屈曲/伸展支援機構600では、第1指固定部603の中心線LからのFMA第5リンク610の回動角度θ4と指のMP関節の屈曲角度θMPとが等しくなるように、同MP関節の屈曲/伸展が行われる。
【0105】
一方、このときのFMA第6リンク612の回動に対しては、第2指固定部606におけるFMA第3リンク605の連結部とFMA副第3リンク614の連結部とを結ぶ直線は、FMA第6リンク612との平行が維持される。また、その直線は、指の第二指節の指節骨の中心線と直交している。そのため、この4指屈曲/伸展支援機構600では、第1指固定部603の中心線LからのFMA第6リンク612の回動角度θ5と指のPIP関節の屈曲角度θPIPとが等しくなるように、同PIP関節の屈曲/伸展が行われる。
【0106】
更に、この4指屈曲/伸展支援機構600では、第1指固定部603の中心線LからのFMA第5リンク610の回動角度θ4及びFMA第6リンク612の回動角度θ5が等しくなるように、それらの回動が行われる。そのため、この4指屈曲/伸展支援機構600では、MP関節の屈曲角度θMPとPIP関節の屈曲角度θPIPとが常に等しくなるように、MP関節及びPIP関節の屈曲/伸展運動が行われることになる。
【0107】
なお、第1指固定部603の中心線Lを軸とする軸対称を維持するようにリンク機構が構成されていれば、屈曲/伸展運動時に、MP関節の屈曲角度θMPとPIP関節の屈曲角度θPIPとが等しい状態を維持できる。したがって、リンク機構が上記以外の構成とされた4指屈曲/伸展支援機構でも、第1指固定部の中心線Lを軸とする軸対称を維持するようにリンク機構が構成されたものであれば、MP関節の屈曲角度θMPとPIP関節の屈曲角度θPIPとを等しくすることが可能である。
【符号の説明】
【0108】
10…台座、11…キャスター、12…ハンドル、20…腕支持機構、21…基部(支持部)、22…支持柱(支持部)、23…アーム第1リンク、24…アーム第2リンク、25…アーム、26…アーム第1リンク部材、27…アーム第2リンク部材、30…第1軸部材、32…アーム第4リンク部材、33…アーム第5リンク部材、36…引張ばね、37…滑車、38…偏心カム、40…可変ノブ、41…ワイヤー、42…外周、43…アーム第3リンク部材、45…第2軸部材、100…手指支援機構、100…手指支援機構、200…手支援機構、210…回内/回外運動支援部、211…フレーム、212…リング、213…歯車、214…モーター、215…歯車、250…掌屈/背屈運動支援部、251…手支援機構第1リンク、252…基部、253…アーム部、254…手支援機構第2リンク(手保持部材)、255…アーム部、256…取付部、257…モーター、258…傘歯歯車、259…傘歯歯車、260…パッド、300…4指支援機構、310…4指屈曲/伸展支援機構、311…FMAベースリンク(ベースリンク)、312…FMA第1リンク(第1リンク)、313…FMA第2リンク(第2リンク)、314…FMA第3リンク(第3リンク)、315…第1指固定部、316…第2指固定部、317…モーター、318…FMA第1歯車、319…FMA第2歯車、320…FMA第3歯車、330…手のひら、331…MP関節、332…PIP関節、333…DIP関節、334…第一指節、335…第二指節、336…第三指節、350…4指内転/外転支援機構、351…ガイド、352…ラック、353…モーター、354…ピニオン、355…ラック、356…ラック、357…ラック、358…小指用の4指屈曲/伸展支援機構、359…ピニオン、360…薬指用の4指屈曲/伸展支援機構、361…ピニオン、362…示指用の4指屈曲/伸展支援機構、363…ピニオン、364…中指用の4指屈曲/伸展支援機構、400…拇指支援機構、401…支持部、402…拇指第1リンク、403…拇指第2リンク、404…拇指第3リンク、405…拇指第4リンク、406…拇指屈曲/伸展支援機構、407…基部、408…モーター、409…拇指第1歯車、410…拇指第2歯車、500…トルクセンサー、501…フレーム、502…孔、504…ボルト穴、505…リンク取付部、506…ボルト穴、507…歪みゲージ、508…ブラケット、600…4指屈曲/伸展支援機構、601…FMAベースリンク(ベースリンク)、602…FMA第1リンク(第1リンク)、603…第1指固定部、604…FMA第2リンク(第2リンク)、605…FMA第3リンク(第3リンク)、606…第2指固定部、607…FMA副ベースリンク(副ベースリンク)、608…FMA第4リンク(第4リンク)、609…FMA副第1リンク(副第1リンク)、610…FMA第5リンク(第5リンク)、611…FMA副第2リンク(副第2リンク)、612…FMA第6リンク(第6リンク)、613…FMA第7リンク(第7リンク)、614…FMA副第3リンク(副第3リンク)、615…モーター、616…FMA第1歯車、617…FMA第2歯車、618…FMA第3歯車、619…FMA第4歯車、620…基部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の手指の運動機能の回復訓練に用いられるリハビリテーション支援装置において、
前記患者の指の屈曲/伸展運動を支援する機構であって、
前記患者の手を保持する手保持部材にその基端が回動可能に連結されたベースリンクと、
前記ベースリンクの先端にその基端が回動可能に連結され、前記指の第三指節に固定される第1指固定部にその先端が回動可能に連結される第1リンクと、
前記第1指固定部にその基端が回動可能に連結された第2リンクと、
前記第2リンクの先端にその基端が回動可能に連結され、前記指の第二指節に固定される第2指固定部がその先端に回動可能に連結された第3リンクと、
前記第1指固定部に対して前記第1リンク及び前記第2リンクをそれぞれ回動させるモーターと、
を有した指屈曲/伸展支援機構を備える
ことを特徴とするリハビリテーション支援装置。
【請求項2】
各リンクの連結位置が、前記第1指固定部の中心線を軸とする軸対称を維持するように前記指屈曲/伸展支援機構が構成されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載のリハビリテーション支援装置。
【請求項3】
前記手保持部材にその基端が回動可能に連結された、前記ベースリンクと同長の副ベースリンクと、
その副ベースリンクの先端にその基端が回動可能に連結された、前記第1リンクと同長の副第1リンクと、
前記第2リンクと同長の副第2リンクと、
その副第2リンクの先端にその基端が回動可能に連結され、前記第2指固定部にその先端が回動可能に連結された副第3リンクと、
前記ベースリンクの先端と前記副ベースリンクの先端とを連結する第4リンクと、
前記第1リンクの先端と前記副第1リンクの先端とを連結する第5リンクと、
前記第2リンクの基端と前記副第2リンクの基端とを連結する第6リンクと、
前記第2リンクの先端と前記副第2リンクの先端とを連結する第7リンクと、
を備えるとともに、
前記第4、第5、第6及び第7リンクの長さを、前記手保持部材における前記ベースリンクの連結位置から前記副ベースリンクの連結位置までの長さ、及び前記第2指固定部における前記第3リンクの連結位置から前記副第3リンクの連結位置までの長さと同じとすること、
前記ベースリンクの長さと前記第3リンクの長さとが同じとされていること、
前記第1リンクの長さと前記第2リンクの長さとが同じとされていること、
前記第1指固定部の中心線からの回動角度が等しくなるように、前記第1指固定部に対して前記第5リンク及び前記第6リンクを前記モーターが回動させること、
を特徴とする請求項2に記載のリハビリテーション支援装置。
【請求項4】
先端に前記手保持部材が設けられたアームと、
そのアームを上下方向に回動可能に支持する支持部と、
前記支持部にその一端が固定された引張ばねと、
前記アームの回動軸に固定され、位置により外径が変化する外周を有した偏心カムと、
前記引張ばねの自由端と前記偏心カムとを連結し、かつその一部が前記偏心カムの外周に巻き掛けられたワイヤーと、
を有した腕支持機構を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリハビリテーション支援装置。
【請求項5】
前記偏心カムの取付時の初期角度を「θ0」、前記アームに付与する補償トルクを「τ」、前記引張ばねのばね定数を「K」としたとき、前記偏心カムのカム角度が「θ」となる位置の前記偏心カムの外周の前記アームの回動軸中心の外径「r(θ)」が下式(1)となるように前記偏心カムが形成されてなる
ことを特徴とする請求項4に記載のリハビリテーション支援装置。
【数1】

【請求項6】
前記モーターの回転軸の周りに配設されて、同モーターの本体に固定される部分と、同モーターにより回動される部材に固定される部分とを有する略環状のフレームと、
前記フレームの前記モーターの本体に固定される部分と同モーターにより回動される部分とを繋ぐ部分に貼り付けられた歪みゲージと、
を有したトルクセンサーを備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリハビリテーション支援装置。
【請求項7】
前記指屈曲/伸展支援機構の基部に一体回転可能に連結され、かつ前記手保持部材に回動可能に軸支されたピニオンと、前記手保持部材に往復直線動可能に設置されたガイドに設けられたラックと、により構成されたラック・アンド・ピニオン機構と、
前記手保持部材に対して前記ガイドを往復直線動させる内転/外転用のモーターと、
を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載のリハビリテーション支援装置。
【請求項8】
前記ラック・アンド・ピニオン機構を、示指、薬指及び示指の前記指屈曲/伸展支援機構に設けるとともに、
前記手保持部材に対する前記ガイドの直線運動に対しての示指用の前記ピニオンの回転方向が、前記薬指及び示指用の前記ピニオンの回転方向と逆とされてなる
ことを特徴とする請求項7に記載のリハビリテーション支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−106706(P2013−106706A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252817(P2011−252817)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【出願人】(504331392)株式会社丸富精工 (11)
【出願人】(502000595)株式会社 ダイニチ (4)
【Fターム(参考)】