説明

リハビリ支援システム、それに用いる制御方法及び、コンピュータプログラム

【課題】リハビリの単調性を解消し、かつ医学的な根拠に基づいて使用者の症状を反映した適切なリハビリを促すことができるリハビリ支援システムを提供する。
【解決手段】リハビリ支援システム1は、ゲーム画面55を表示出力するモニタ3と、リハビリの検査結果の情報とゲームの難易度に関する情報とを対応づけるパラメータデータ30を記憶する外部記憶装置20と、使用者の演奏操作を入力する電子ドラム2と、を備えている。そして、リハビリ支援システム1は、入力された検査結果とパラ―メタデータ30とに基づく使用可能な楽曲、評価の難易度、演奏頻度の決定及び、ゲームで使用可能な楽曲等の範囲のこれらの決定した範囲への制限を実行する。またリハビリ支援システム1は、演奏時期の使用者への案内及び、ゲーム中の演奏操作の評価も実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーションを支援するリハビリ支援システム及び、それに用いる制御方法及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リハビリテーション(以下、リハビリと言うことがある)に音楽を利用する方法が知られている。このような方法に利用されるリハビリテーション用用具であって、複数の楽器と、演奏すべき楽器を告知するディスプレイとを利用して、身体機能回復の練習を行うリハビリテーション用具が知られている(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関する先行技術文献として特許文献2或いは、非特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−79521号公報
【特許文献2】特開2001−353232号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社ナムコ、“高齢者向けリハビリテインメントマシン「太鼓の達人RT〜日本の心〜」を開発・発売”、[online],2000年9月16日、株式会社ナムコ、[平成23年1月20日検索]、インターネット(URL:http://www.bandainamcogames.co.jp/corporate/press/namco/50/50-031.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リハビリの効果を得るには、長期間継続して行う必要がある。一方、リハビリの作業は、通常、単調であるため長期継続が難しい。更に、一定日数が経過すると、病院でのリハビリが打ち切られてしまう。このため、家庭でリハビリを継続する必要があり、これがリハビリの継続を更に難しくしている。また、家庭では正しいリハビリが行えているかどうかの把握が難しいという問題もある。特許文献1のリハビリテーション用用具では、音楽を利用することにより、継続性の向上が図られている。しかし、特許文献1のリハビリテーション用用具は、リハビリ対象者の症状に合わせた適切なリハビリを促すものではない。非特許文献1のゲームも同様で、ゲーム中に使用される楽曲として高齢者向けのものが用意される或いは、プレイ難易度として容易なものが用意されるといった変更が通常のゲームに加えられているに過ぎない。つまり、非特許文献1のゲームも、使用者の症状が反映されるものではない。
【0006】
そこで、本発明は、リハビリの単調性を解消し、かつ医学的な根拠に基づいて使用者の症状を反映した適切なリハビリを促すことができるリハビリ支援システム及び、それに用いる制御方法及び、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリハビリ支援システムは、指示を出力する出力装置(3)と、リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報(30)を記憶する対応情報記憶手段(20)と、使用者の入力操作を検出する操作検出手段(2)と、前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示手段(5)と、前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限手段(5)と、前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価手段(5)と、前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内手段(5)と、を備えている。
【0008】
本発明によれば、ゲーム中の評価基準に関する情報が案内され、その評価基準によって使用者の操作が評価されるので、所望の動作の実行を使用者に促すことができる。つまり、リハビリとして実行されるべき動作を、ゲームを通じて促すことできるので、リハビリにゲームの興趣性を付加することができる。これにより、リハビリの単調性を解消することができる。更に、リハビリに使用されるゲームには、対応情報を通じてリハビリ検査の検査結果が反映され、使用者のプレイ可能なゲームの範囲が制限される。検査結果とゲームのゲームを制限するための情報とは、医学的な根拠に基づいて対応付けることができるので、ゲーム範囲を医学的な根拠に基づいて制限することもできる。このため、リハビリに使用されるゲームが継続意欲を失うほど難しくなったり、リハビリ効果が低くなるほど易しくなったりすることを抑制することができる。これにより、医学的な根拠に基づいて使用者の症状を反映した適切なリハビリを促すことができる。
【0009】
本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記出力装置を通じて、予備操作の入力を指示する予備操作指示手段(5)と、前記予備操作指示手段の指示により入力された前記予備操作を評価する予備操作評価手段(5)と、を更に備え、前記ゲーム操作評価手段は、前記予備操作評価手段の評価結果を更に考慮して、前記所定の評価基準を調整してもよい。この場合、予備演奏の評価結果がゲームの評価に反映される。このため、使用者の日々の状態(症状)をゲームに反映することができる。これにより、より適切なリハビリを促すことができる。
【0010】
また、予備演奏の評価結果をゲームに反映する態様において、前記範囲制限手段は、前記予備操作評価手段の評価結果を考慮して、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限してもよい。この場合、ゲームの範囲の制限にも日々の状態を反映することができるので、更に適切なリハビリを促すことができる。
【0011】
本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記対応情報には、前記ゲームの範囲を制限するための情報としてゲームの難易度に関する情報が前記検査結果の情報と対応づけられており、前記範囲制限手段は、前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて前記使用者のプレイ可能なゲームの難易度を決定し、当該決定したゲームの難易度に応じて前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限してもよい。この場合、ゲームの範囲がゲームの難易度に基づいて制限されるので、プレイヤの実行可能なゲームの範囲をリハビリに適切な難易度の範囲に制限することができる。
【0012】
本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記出力装置を通じて、前記ゲーム操作評価手段による評価結果を通知する評価結果通知手段(5)を更に備えていてもよい。ゲームでは、リハビリとして実行すべき操作が要求され、その操作が評価されているので、ゲーム中の評価結果はリハビリの内容として把握することもできる。この場合、評価結果表示画面を通じてゲーム中の評価結果を容易に把握することができるので、リハビリ内容の把握も容易に行うことができる。また、評価結果が医師等の報告に利用されれば、更に適切なリハビリが促されるので、より適切なリハビリに活用することもできる。
【0013】
本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記ゲーム操作評価手段による過去の評価結果を記憶する過去結果記憶手段(20)と、前記出力装置を通じて、前記過去結果記憶手段が記憶する過去の評価結果を通知する過去結果通知手段(5)と、を更に備えていてもよい。この場合、過去のリハビリの内容の把握を容易に行うことができる。
【0014】
過去結果記憶手段に過去の評価結果が記憶されている態様において、前記範囲制限手段は、前記過去結果記憶手段に記憶された前記過去の評価結果を更に考慮して、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限してもよい。この場合、ゲームの範囲の制限に過去の実績を利用することができる。これにより、より実態に合ったリハビリを促すことができる。
【0015】
また、過去結果記憶手段に過去の評価結果が記憶されている態様において、前記ゲーム操作評価手段は、前記過去結果記憶手段に記憶された前記過去の評価結果を更に考慮して、前記所定の評価基準を調整してもよい。この場合、使用者の入力操作の評価に過去の実績を利用することができる。これにより、より実態に合った評価結果を得ることができる。
【0016】
出力装置として、どのようなものが利用されてもよい。例えば、本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記出力装置として、各種画面を出力可能なモニタ(3)が利用されていてもよい。この場合、検査結果の入力の指示、予備操作の入力の指示或いは、各評価結果の通知等の出力をモニタに表示される画面を通じて実行することができる。
【0017】
リハビリ支援システムで実行されるゲームは、どのようなものでもよい。例えば、本発明のリハビリ支援システムの一態様において、ゲーム音を再生出力する音声出力装置(4)と、楽曲を再生させるための楽曲データ(26)を記憶する楽曲データ記憶手段(20)と、前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段(5)を、更に備え、前記ゲームとして、前記楽曲を利用したゲームが実行されてもよい。
【0018】
また、使用者のプレイ可能なゲームの範囲は、どのように制限されてもよい。例えば、本発明のリハビリ支援システムの一態様において、前記楽曲データ記憶手段には、前記ゲームにて利用される複数の楽曲にそれぞれ対応する複数の楽曲データが記憶されており、前記範囲制限手段は、前記ゲームにて利用可能な前記複数の楽曲の数を制限することにより、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限してもよい。
【0019】
また、操作検出手段として、どのようなものが利用されてもよい。例えば、本発明のリハビリ支援システムの音楽ゲームが実行される態様において、前記操作検出手段として、前記使用者が操作を実行する操作部が表面に配置され、前記操作部に対する操作を検出可能に構成された電子ドラム(2)が利用されてもよい。この場合、使用者の演奏感を高めることができるので、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0020】
本発明のリハビリ支援システムの制御方法は、指示を出力する出力装置(3)と、リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報(30)を記憶する対応情報記憶手段(20)と、使用者の入力操作を検出する操作検出手段(2)と、を備えたリハビリ支援システムに組み込まれるコンピュータ(5)に、前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示工程と、前記検査結果入力指示工程にて入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限工程と、前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価工程と、前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内工程と、を実行させるものである。
【0021】
また、本発明のリハビリ支援システム用のコンピュータプログラムは、指示を出力する出力装置(3)と、リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報(31)を記憶する対応情報記憶手段(20)と、使用者の入力操作を検出する操作検出手段(3)と、を備えたリハビリ支援システムのコンピュータ(5)を、前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示手段、前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限手段、前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価手段及び、前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内手段として機能するように構成されたものである。本発明の制御方法或いは、コンピュータプログラムを実行することにより、本発明のリハビリ支援システムを実現することができる。
【0022】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
以上、説明したように、本発明によれば、リハビリとして実行されるべき動作を、ゲームを通じて促すことできるので、リハビリにゲームの興趣性を付加することができる。これにより、リハビリの単調性を解消することができる。更に、リハビリに使用されるゲームには、リハビリ検査の検査結果が反映され、使用者のプレイ可能なゲームの範囲が制限される。検査結果とゲーム条件とは、医学的な根拠に基づいて対応付けることができるので、ゲーム範囲を医学的な根拠に基づいて制限することもできる。これにより、医学的な根拠に基づいて使用者の症状を反映した適切なリハビリを促すことができる。つまり、本発明によれば、リハビリの単調性を解消し、かつ医学的な根拠に基づいて使用者の症状を反映した適切なリハビリを促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一形態に係るリハビリ支援システムの機能ブロック図。
【図2】電子ドラムを説明するための説明図。
【図3】リハビリ支援システムが実行するゲームの流れを説明するための説明図。
【図4】リハビリ検査結果入力画面の一例を示す図。
【図5】予備演奏画面の一例を示す図。
【図6】楽曲選択画面の一例を示す図。
【図7】評価難易度選択画面の一例を示す図。
【図8】演奏頻度選択画面の一例を示す図。
【図9】ゲーム画面の一例を示す図。
【図10】プレイ結果表示画面の一例を示す図。
【図11】グラフ画面の一例を示す図。
【図12】パラメータデータの内容の一例を示す図。
【図13】楽曲推奨処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図14】評価強さ決定処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図15】ゲーム中の拍の時期と演奏操作の評価範囲との間の関係の一例を示す図。
【図16】評価範囲決定処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るリハビリ支援システムの一形態について説明する。図1は、本発明の一形態に係るリハビリ支援システムの機能ブロック図である。図1に示すように、リハビリ支援システム1は、操作検出手段としての電子ドラム2と、表示装置としてのモニタ3と、音声出力装置としてのヘッドホン4と、コンピュータとしての制御ユニット5と、を備えている。また、その他にも、選択或いは決定をするためのボタン、電源スイッチ、ボリューム操作スイッチ、電源ランプといった通常のゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられているが、図1ではそれらの図示を省略している。
【0026】
図2は、電子ドラム2を説明するための説明図である。図2に示すように、電子ドラム2には、使用者の操作を受け付ける操作部2Aが設けられている。操作部2Aは、略円形に形成されており、6つの領域2Aa〜2Afに分けられている。電子ドラム2は、制御ユニット5に接続され、操作部2Aに入力された操作結果を領域2Aa〜2Af毎に出力可能なように構成されている。なお、電子ドラム2にも、選択或いは決定をするためのボタン、電源スイッチ等の入力装置及び、出力装置が設けられているが、図2ではそれらの図示を省略している。また、このような電子ドラム2の一例として、「HANDSONIC 10 HPD−10」(Roland社の製品)が存在している。
【0027】
図1に戻り、モニタ3及び、ヘッドホン4も、制御ユニット5に接続されている。制御ユニット5は、制御主体としてのゲーム制御部11と、その制御部11からの出力に従って動作する表示制御部12及び、音声出力制御部13と、を備えている。ゲーム制御部11は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種の周辺装置とを組み合わせたユニットとして構成されている。表示制御部12は、ゲーム制御部11から与えられる画像データに応じた画像をフレームバッファに描画し、その描画した画像に対応する映像信号をモニタ3に出力することにより、モニタ3上に所定の画像を表示させる。音声出力制御部13は、ゲーム制御部11から与えられる音声再生データに応じた音声再生信号を生成して、ヘッドホン4に出力することにより、ヘッドホン4から所定の音声(音楽等を含む)を再生させる。
【0028】
また、ゲーム制御部11には、外部記憶装置20が接続されている。外部記憶装置20には、ハードディスク、Flash SSD(Solid State Drive)或いは、DVDROM等の光学式記憶媒体といった、電源の供給がなくても記憶を保持可能な記憶媒体が使用される。
【0029】
外部記憶装置20には、ゲームプログラム21と、ゲームデータ22とが記憶されている。ゲームプログラム21は、ゲームを実行するために必要なコンピュータプログラムであり、そこには、本発明に係る機能を実現するための各種モジュールが含まれている。そして、ゲーム制御部11は、その内部記憶装置に記憶されたオペレーションプログラムを実行することにより、ゲームの実行に必要な各種の初期設定を実行する。各種の初期設定に続いて、外部記憶装置20からゲームプログラム21を読み込んでこれを実行することにより、ゲーム制御部11は、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行するための環境も設定する。また、外部記憶装置20には、過去のゲームの実績や過去のゲームで設定された情報等を含む過去データ23も記憶されている。過去データ23は、必要に応じて更新され、また、ゲーム制御部11が実行する各処理にて利用される。
【0030】
ゲーム制御部11は、使用者が選択した音楽(楽曲)の再生に合わせて使用者に操作を指示し、或いは使用者の操作に応じて効果音を発生させるといったゲーム処理を実行する。また、ゲーム制御部11は、使用者の操作を評価し、かつその評価結果に応じたゲームの制御といった処理も実行する。更に、ゲーム制御部11は、ゲームに利用可能な音楽のうちから使用者の症状に応じて選択可能な楽曲を制限する、或いはゲームの評価の難易度や演奏頻度等、難易度に関する選択肢を制限するといった使用者の楽曲の選択或いは難易度の選択を補助するための処理も実行する。
【0031】
ゲームデータ22には、ゲームプログラム21に従ってゲームを実行する際に参照されるべき各種のデータが含まれている。例えば、ゲームデータ22には、楽曲データ26、効果音データ27、画像データ28及び、演奏時期データ29が含まれている。楽曲データ26は、ゲームで使用される楽曲をヘッドホン4から再生出力させるために必要なデータである。図1では、一種類の楽曲データ26が示されているが、実際には、使用者が複数の楽曲から使用する楽曲を選択可能である。ゲームデータ22には、それらの複数の楽曲データ26がそれぞれの曲を識別するための情報を付して記録されている。効果音データ27は、使用者の操作に応答してヘッドホン4から出力させるべき複数種類の効果音を、効果音毎にユニークなコードと対応付けて記録したデータである。画像データ28は、ゲーム画面内の背景画像、各種のオブジェクト、アイコン等をモニタ3に表示させるためのデータである。演奏時期データ29は、使用者が演奏操作を実行すべき時期等を定義したデータである。演奏時期データ29に定義された演奏操作を実行すべき時期は、ゲーム中における演奏操作の指示に使用される。また、一曲の楽曲データに対して、難易度の異なる複数の演奏時期データ29が用意されてもよい。
【0032】
ゲームデータ22には、更に、対応情報としてのパラメータデータ30が含まれている。パラメータデータ30には、各種検査の結果に対応する各パラメータが定義されたデータである。パラメータデータ30に定義された検査結果毎のパラメータは、使用者がゲームに利用可能な楽曲の選択、評価基準の調整等に利用される。パラメータデータ30の詳細は、後述する。
【0033】
次に、リハビリ支援システム1にて実行されるゲームの概要を説明する。リハビリ支援システム1は、各種のリハビリに利用されてよいが、ここでは、リハビリ支援システム1が上肢の運動機能の回復を図るために利用された場合のゲームの概要を説明する。リハビリ支援システム1は、音楽に合わせて適切な時期に電子ドラム2を叩く動作を使用者に要求し、その要求に対応する電子ドラム2への操作を評価するという音楽を利用したゲームを実行可能なように構成されている。また、リハビリ支援システム1では、リハビリ対象者の症状に合わせた適切な動作を使用者に要求するために、リハビリ検査の検査結果が利用される。リハビリ検査として、周知の各種評価法による検査結果が利用されてよい。周知な評価法として、例えば、本邦において脳卒中に対するリハビリテーション領域で広く使用されているBrunnstrom stage(Br stage)、より機能的な動作を評価する簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluting Hand Fanction;STEF)、機能的自立評価法(Funcional Independence Measure;FIM)、又はManual Function Test(MFT)或いは、新しい上肢運動機能評価法として米国で広く使用されているWolf Motor Function Test(WMFT)といった評価法が存在する。
【0034】
図3は、リハビリ支援システム1が実行するゲームの流れを説明するための説明図である。図3に示すように、まず使用者の状態を把握するために、リハビリ検査結果入力画面31、予備演奏画面35を通じて、使用者の状態が入力される。続いて、入力された使用者の状態に基づいて、選択可能な楽曲等が制限されることにより、使用者の状態に応じたゲームが推奨される。この推奨は、楽曲選択画面40、評価難易度選択画面45、演奏頻度選択画面50を通じて実行される。これらの設定後、ゲーム画面55を通じてゲーム(リハビリ)が開始される。また、ゲーム終了後には、プレイ結果表示画面60、グラフ画面65を通じて、ゲームの結果が表示される。これにより、ゲームを通じて実施されたリハビリの内容が通知される。以下、ゲームの流れに沿って、各画面の説明を行う。
【0035】
図3に示すように、リハビリ支援システム1では、ゲーム開始前に、まず使用者はリハビリ検査の検査結果を入力する。図4は、使用者にリハビリ検査の検査結果を入力させるためのリハビリ検査結果入力画面の一例を示す図である。図4の例では、上肢FMA(Fugl−Meyer Assessment)、WMFT、日常生活での麻痺側上肢の使用状況を評価するMotor Activity Log−14(MAL−14)及び、Modified Ashworth Scale(MAS)が評価法として利用され、これらの評価法に基づくリハビリ検査の検査結果が使用されている。また、図4のAOUは使用頻度を、QOMは動作の上手さを、FASはFunction Ability Scale(動きの質的評価)を、それぞれ示している。図4に示すように、リハビリ検査結果入力画面31には、検査結果入力領域31Aが含まれている。検査結果入力領域31Aには、検査種類入力領域KSと、詳細入力領域SRとが含まれている。各入力領域KS、SRは、各リハビリ検査の種類に対応するように4つの領域に区分されている。詳細入力領域SRの各リハビリ検査の種類に対応する領域には、それぞれの検査結果の詳細を入力可能なように入力欄NRが設けられている。なお、図4に示す全ての種類の検査結果が入力されることで、より効果的なゲームの提供が可能であるが、入力される検査結果がいずれか一つの種類の検査結果のみであってもゲームは実行される。
【0036】
図4の例では、検査結果領域KSは、上から順に上肢FMA、WMFT、MAL−14、MASの4つに分けられている。また、詳細入力領域SRには、上肢FMAの検査結果に対応する入力欄NRに“25”が、WMFTの検査結果のうち“課題遂行時間”に対応するに入力欄NRに“1326.7”が、FASに対応する入力欄NRに“27”が、それぞれ入力されている。同様に、MAL−14の検査結果のうち“AOU”に対応する入力欄NRに“0.07”が、“QOM”に対応する入力欄NRに“0.14”が、MASの検査結果のうち“手首”に対応する入力欄NRに“1+”が、“手指”に対応する入力欄NRに“2”が、“母指”に対応する入力欄NRに“2”が、それぞれ入力されている。
【0037】
なお、リハビリ検査結果入力画面31への検査結果の入力は、ゲームの開始毎に実行される必要はない。リハビリ検査が実行される毎、例えば、1ヶ月毎にリハビリ検査が実行される場合には、リハビリ検査結果入力画面31を通じた検査結果の入力も1ヶ月毎に実行されればよい。このような場合、リハビリ検査結果入力画面31を通じて入力された検査結果は、ゲームの実行に利用可能なように、例えば、外部記憶装置20の過去データ23としてに記憶されていればよい。これにより、リハビリ支援システム1は、ゲーム開始毎に検査結果の入力が実行されなくても以前に入力された過去データ23中の検査結果を利用して、ゲームを実行することができる。
【0038】
図3に戻り、使用者はゲームの開始前に更に、使用者の本日の身体の状態(症状)を反映させるための予備演奏を実行する。図5は、使用者に予備演奏を実行させるための予備演奏画面の一例を示す図である。図5に示すように、予備演奏画面35には、使用者が実行すべき演奏操作を指示する操作種類指示領域SSと、操作位置表示領域SHとが含まれている。操作位置表示領域SHには、電子ドラム2に対応した仮想画像KGが表示されている。仮想画像KGは、実際の電子ドラム2と同様に、6つの領域KGa〜KGfに分けられている。これら6つの領域KGa〜KGfは、電子ドラム2の操作部2Aの6つの領域2Aa〜2Afにそれぞれ対応する。各領域KGa〜KGfには、現実の操作部2Aに対して実行された操作が反映される。この反映は、各領域KGa〜KGfのうちの実際に操作が実行された現実の操作部SAの領域に対応する領域の色が変色することにより実現される。これにより、仮想画像KGは、実際に使用者が操作部2Aのどの領域を操作したかを通知する。図5の例では、操作種類指示領域SSには、使用者に対する指示として、“叩いてください”という文字が表示されている。使用者は、予備演奏画面35において、この指示に従って、予備演奏として、電子ドラム2を叩く操作を実行すればよい。なお、電子ドラム2を叩く操作は手で実行されればよい。これは、以下において同様である。
【0039】
図3に戻り、使用者は、ゲームの開始前に、リハビリに利用する楽曲の選択を実行する。図6は、使用者に楽曲を選択させるための楽曲選択画面の一例を示す図である。図6に示すように、楽曲選択画面40には、選択可能な各楽曲の曲名が表示され、かつ楽曲毎に難易度を示すレベルと、各楽曲において過去に獲得したハイスコアとが表示される。また、ハイスコアは、“普”と、“難”とに区別されて表示される。“普”は後述する評価の難易度の“普通”に、“難”は“難しい”に、それぞれ対応する。楽曲の難易度を示すレベルは、“★”を利用して、難易度が表現されている。難易度は、“★”が少なければ易しく、“★”が増える毎に難易度が上昇する。楽曲選択画面40には、リハビリ検査結果入力画面31への入力結果が反映される。具体的には、リハビリ検査の検査結果に基づいて限定された難易度の楽曲が表示される。つまり、使用者の症状から判断して、適切と思われる難易度(レベル)の楽曲のみが表示されている。このため、使用者は、自己の症状に対して難しすぎる楽曲を選択する心配がない。
【0040】
図6の例では、楽曲名として“楽曲A”〜“楽曲J”の10曲が表示されている。また、“楽曲A”〜“楽曲C”までは難易度として一つの“★”が、“楽曲D”〜“楽曲G”までは難易度として二つの“★”つまり“★★”が、“楽曲H”〜“楽曲I”までは三つの“★”つまり“★★★”が、それぞれ表示されている。即ち、“楽曲A”〜“楽曲C”が最も易しい楽曲で、“★★★”が表示されている“楽曲H”〜“楽曲I”が最も難しい楽曲であることが示されている。このため、例えば、レベル“★★★★★”までの難易度の楽曲が用意されているとすれば、使用者のリハビリ検査の検査結果を考慮すると、レベル“★★★”までが適切な難易度の楽曲と判断されたことが理解できる。また、“楽曲A”の場合のハイスコアは、評価の難易度が“普通”の場合に“393点”であり、評価の難易度が“難しい”の場合に“546点”であるといった具合に過去のハイスコアの実績が楽曲毎に表示されている。
【0041】
また、図3に示すように、使用者は、評価難易度選択画面45を通じて評価の難易度の選択も可能である。図7は、使用者に評価の難易度を選択させるための評価難易度選択画面の一例を示す図である。図7に示すように、評価の難易度の選択肢として、評価難易度選択画面45には、“易しい”、“普通”、“難しい”の3つの選択肢が用意されている。これらの選択肢のうち“易しい”が選択された場合には使用者の電子ドラム2の操作に対する評価基準が易しく、“難しい”が選択された場合には評価基準が難しく設定される。一方、“普通”が選択された場合には、評価基準は標準状態から変更されない。使用者は、自己の状態や症状等から判断して、適切と思われる評価難易度を選択する。評価基準の詳細は、後述する。
【0042】
更に、図3に示すように、使用者は、演奏頻度選択画面50を通じて演奏頻度の選択も可能である。図8は、電子ドラム2を演奏する頻度を使用者に選択させるための演奏頻度選択画面の一例を示す図である。図8の例では、演奏頻度選択画面50に、“1拍に1回のペース”と、“2拍に1回のペース”と、“4拍に1回のペース”とが表示されている。使用者は、演奏頻度選択画面50にて、これら3つの選択肢から自己に最適と思われる頻度で演奏機会が訪れるものを選択する。これらの選択肢のなかでは“1拍に1回のペース”が最も多頻度で演奏機会が発生し、“4拍に1回のペース”の演奏機会が最も少ない。原則的には、演奏機会が多いほど演奏間隔が短くなるため難易度が上昇すると考えられるが、必ずしも演奏機会に比例するものでもない。また、演奏頻度選択画面50にも、リハビリ検査結果入力画面31への入力結果が反映される。図8の例では、選択肢が3つしか用意されていないが、これはリハビリ検査の結果と、予備演奏の結果とが反映された結果である。従って、例えば、演奏頻度選択画面50の選択肢として、“1拍に2回のペース”、或いは“3拍に1回のペース”といったその他の頻度のものが用意されていてもよい。
【0043】
一方、図3に示すように、上述のような各種入力、選択等が終了すると、ゲームの開始条件が成立する。図9は、リハビリ支援システム1が実行するゲーム画面の一例を示す図である。図9に示すように、図5で示した予備演奏画面35と同様に、ゲーム画面55には、操作位置表示領域SHが含まれ、そこには電子ドラム2に対応した仮想画像KGも表示されている。仮想画像KGの機能は、予備演奏画面35と共通する。また、ゲーム画面55には、使用者が電子ドラム2を演奏操作すべき時期が案内される操作案内領域AR及び、使用者の演奏操作の評価結果が表示される操作結果表示領域KHも含まれている。
【0044】
操作案内領域ARには、操作を実行すべき演奏周期を案内する周期案内領域AR1と、演奏周期と現在時刻との関係を案内する時期到来案内領域AR2とが含まれている。周期案内領域AR1には、拍を示す一定数の指示標識SYが所定の間隔をあけて表示されている。一定数の指示標識SYの一つは、演奏時期を指示する特定指示標識TYとして、他の指示標識SYとは区別可能に表示されている。また、演奏頻度選択画面50にて、“4拍に1回のペース”が選択された場合には4つの指示標識SYのうち一つが、“1拍に2回のペース”が選択された場合には4つの指示標識SYのうち間にそれぞれ指示標識SYを一つ含むように2つが、“1拍に1回のペース”が選択された場合には4つの指示標識SYの全てが、それぞれ特定指示標識TYとして区別される。
【0045】
時期到来案内領域AR2には、周期案内領域AR1の指示標識と対応するように、一定数の指示標識SYが所定の間隔をあけて表示されている。但し、時期到来案内領域AR2の指示標識SYには、使用者による演奏操作の実行前に特定指示標識TYは含まれていない。つまり、使用者による演奏操作の実行前には、周期案内領域AR1と同数の指示標識SY(特定指示標識TYを含む。特に区別しない場合は以後同様)が同じ間隔かつ同じ態様で時期到来案内領域AR2に表示されている。そして、時期到来案内領域AR2の各指示標識SYは、適切な演奏操作が実行されることにより、特定指示標識TYへと変化する。更に、時期到来案内領域AR2には、現在時刻を示す時間の基準として機能する基準標識KYも表示される。基準標識KYは、時間の経過とともに不図示の所定の経路上を移動する。所定の経路は、各指示標識SYに沿うように、直線状に延びている。
【0046】
図9の例では、特定指示標識TYとして“★”の記号が、それ以外の指示標識SYとして“★”と区別可能に白抜きにした“☆”の記号が、それぞれ利用されている。また、図9では、演奏頻度選択画面50にて、“4拍に1回のペース”が選択された場合を例示している。このため、この例では、周期案内領域AR1に、4つの指示標識SYのうちの一つが特定指示標識TYとして他と区別されるように、3つの“☆”と、一つの“★”が表示されている。
【0047】
また、図9の例では、時期到来案内領域AR2にて、基準標識KYとして矢印形状の図形が利用され、所定の経路は4つの指示標識SYの下方に配置されている。基準標識KYは、矢印の先の位置を現在時刻として、4つの指示標識SYの下方を時間の経過に伴って左から右に移動する。つまり、楽曲中の左端の拍に対応する時期が到来した場合には基準標識KYの矢印の先は、左端の“☆”の下方に位置し、次の拍に対応する時期が到来した場合には左から二番目の“☆”の下方に位置し、更にその次の拍に対応する時期が到来した場合には左から三番目の“☆”の下方に位置するといった具合に移動して、演奏時期を案内する。図9の例では、周期案内領域AR1にて、左から三番目の指示標識SYが特定指示標識TYを示す“★”として案内され、これに対応する時期到来案内領域AR2の左から三番目の指示標識SYに対して適切な操作が実行された後の状態を示している。このため、図9の例では、時期到来案内領域AR2に表示される“☆”のうちの左から三番目が特定指示標識TYを示す“★”に変化している。また、右端の拍の次の拍は、左端の拍が再度利用される。つまり、右端の次の拍に対応する時期が到来した場合には、再度基準標識KYの矢印の先が左端の“☆”の下方に位置するように基準標識KYは繰り返し指示標識SYの下方を移動する。
【0048】
適切な操作として、時期到来案内領域AR2にて案内される基準標識KYの位置と周期案内領域AR1の特定指示標識TYに対応する指示標識SYの位置との一致に合わせて、使用者には電子ドラム2を叩く操作が要求される。図9の例では、周期案内領域AR1にて、特定指示標識TYを示す“★”が左から三番目に位置している。このため、使用者には、時期到来案内領域AR2にて案内される基準標識KYと左から三番目の指示標識SYとの一致に合わせて、電子ドラム2を叩く操作が要求される。具体的には、図9の例において基準標識KYの矢印の先が左から三番目の“☆”の下方に位置した際に、使用者には電子ドラム2を叩く演奏操作が要求される。使用者が電子ドラム2を叩く演奏操作が実行されると、基準標識KYの矢印の先が指示標識SYの下方に位置した時期と使用者が演奏操作を実行した時期との間のずれ時間が検出される。そのずれ時間が一定の評価範囲内(評価難易度選択画面45にて選択された難易度に応じて変化する)であれば、評価され、時期到来案内領域AR2内の指示標識SYが特定指示標識SYを示す“★”に変化し、かつ得点が得られる。また、ヘッドホン4からは、演奏操作に対応する効果音が再生される。
【0049】
操作結果表示領域KHには、使用者が今回の演奏操作で獲得した得点と、1回の楽曲の再生中に獲得した得点の累計である総得点とが表示される。なお、得点は、上述のずれ時間が小さいほど高得点になるように設定されていてもよい。また、電子ドラム2の操作部2Aのどの領域に対して操作を実行したかは、仮想画像KGにより通知される。このため、操作部2Aの中心に位置する中心位置領域2Afが操作された場合に高得点が付与されるといった具合に、電子ドラム2の操作位置を演奏操作の評価対象に含めてもよい。このように電子ドラム2の演奏操作が評価対象に含まれる場合には、ゲーム画面55は、電子ドラム2に対応する画像が操作案内領域ARにも表示される等により、電子ドラム2の操作位置まで使用者に指示するように構成されていてもよい。
【0050】
更に、図3に示すように、ゲームの終了後には、プレイ結果が案内される。図10は、ゲーム終了後に表示されるプレイ結果表示画面の一例を示す図である。図10に示すように、プレイ結果表示画面60には、“今回叩いた回数”、“成功回数”、“中心を叩いた回数”、“中心かつ成功回数”、“今日のプレイ時間”、“今日の叩いた回数”、“点数”といったリハビリの内容を評価するための項目やゲームのプレイを動機付けるための項目等の各種情報が含まれる。図10の例では、“今回叩いた回数”として、“1回”が表示されている。これは、今回のゲームにて実行された演奏操作の回数が1回であることを意味する。同様に、図10の例では、“成功回数”、“中心を叩いた回数”及び、“中心を叩いた回数”として、いずれも“0回”が表示されている。これは、順に、上述のずれ時間が一定範囲内であった回数、時期は考慮せずに電子ドラム2の操作部2Aの中心位置領域2Afが叩かれた回数及び、ずれ時間が一定の評価範囲内かつ叩かれた位置が中心位置領域2Afであった回数のいずれもが0回であったことを意味する。また、図10の例では、“今日のプレイ時間”として“2分8秒”が、“今日の叩いた回数”として“415回”が、それぞれ表示されている。これは、順に、今日一日の累計のプレイ時間が2分8秒であること及び、今日一日で電子ドラム2を叩いた回数が累計で415回であることを意味する。更に、図10の例では、“点数”として“0点”が表示されている。これは、今回のプレイにて獲得した点数が0点であることを意味する。
【0051】
また、図3に示すように、過去分も含めた日毎のプレイ結果を案内する画面も存在する。図11は、日毎のプレイ結果を案内するためのグラフ画面の一例を示す図である。図11に示すように、グラフ画面65には、電子ドラム2を叩いた回数(対象となる日の累積回数。つまり、プレイ結果表示画面60の“今日の叩いた回数”に対応する回数)が日毎にグラフ化されて表示される。グラフ画面65の縦軸TJは電子ドラム2を叩いた回数を、横軸YJは日付を、それぞれ示している。図11の例では、日付“825”に回数“100”という結果が表示されている。日付の“825”は8月25日を、回数の“100”はその日に電子ドラム2を叩いた累積回数が100回であることを、それぞれ意味する。同様に、図11の例では、日付“826”に回数“300”が、日付“827”に回数“65”が、日付“830”に回数“100”が、日付“831”に回数“300”が、それぞれ表示されている。そして、それらの日付ごとに回数が棒グラム及び、折れ線グラムとして、グラフ化されて表示されている。なお、過去のプレイ結果については、例えば、外部記憶装置20に過去データ23として記憶され、その記憶された情報がグラフ画面65に利用されればよい。プレイ結果表示画面60の累計に関する情報も同様である。
【0052】
次に、図12を参照して、パラメータデータ30の詳細を説明する。図12は、パラメータデータ30の内容の一例を示す図である。図12に示すように、パラメータデータ30には、各検査結果(上肢FMA、WMFT、MAL−14、MAS)に対応する項目と、検査結果に対応する各パラ―メータの値とが対応付けて記述された複数のレコード(対応情報)の集合として構成されている。また、各検査結果の値及び、各パラメータの値は、カンマで区切って記述されている。
【0053】
図12の例では、上肢FMAの検査結果として“25”が、WMFTの検査結果として“1326.7”及び、“27”が、それぞれ記述されている。WMFTの検査結果は、順に課題遂行時間及び、FASの結果に対応する。つまり、図12の例では、WMFTの検査結果のうち課題遂行時間として“1326.7”が、FASとして“27”が、それぞれ記述されている。また、MAL−14の検査結果はAOU、QOMの順に、AOUとして“0.07”が、QOMとして“0.14”が、それぞれ記述されている。同様に、MASの結果は、手首、手指、母指の順に、手首として“1+”が、手指として“2”が、母指として“2”が、それぞれ記述されている。そして、これらの検査結果に対応付けられたパラメータ、つまりこれらの検査結果から得られるパラメータとして“r”、“s0”、“Tm”、“N0”が順に記述されている。各パラメータは、“r”が叩く強さの割合の値として、“s0”が叩く強さの閾値のとして、“Tm”が叩く時期を評価するための評価閾値として、“N0”が難易度を示す値として、それぞれ利用される。つまり、パラメータは、叩く強さの割合の値r、叩く強さの閾値s0、叩く時期を評価するための評価閾値Tm、難易度を示す値N0の順に記述されている。なお、各パラメータの値は、各検査結果に対応する使用者を対象に実行された実験結果に基づいて得られる。
【0054】
次に、リハビリ支援システム1にて、ゲーム制御部11が実行する処理の概要を説明する。ゲーム制御部11は、所定の処理ルーチンに従って、楽曲データ26等を読み取って音声出力制御部13に出力することにより、ヘッドホン4から楽曲等を再生させる。これにより、制御ユニット5が楽曲再生手段として機能する。また、ゲーム制御部11は、各ルーチンに従って、画像データ28等を参照しつつリハビリ検査結果入力画面31、予備演奏画面35、楽曲選択画面40、評価難易度選択画面45、演奏頻度選択画面50、ゲーム画面55、或いは、プレイ結果表示画面60、グラフ画面6といった各種画面等の描画に必要な画像データを生成して表示制御部12に出力することにより、モニタ3上に各種画面等を表示させる。なお、各画面の表示等は、周知の技術により実現されればよい。以下、ゲーム制御部11が実行する処理ルーチンの一部について説明する。
【0055】
ゲーム制御部11は、リハビリ検査の検査結果が反映された楽曲選択画面40をモニタ3に表示させるための処理を実行する。図13は、ゲーム制御部11が実行する楽曲推奨処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図13のルーチンは、例えば、ゲームを開始させるためのコマンドの選択等のゲームを開始するという使用者の指示に基づいて開始される。図13のルーチンが開始されると、ゲーム制御部11は、まずステップS1にて、リハビリ検査結果入力画面31を通じて入力された各種検査の結果を取得する。続くステップS2にて、ゲーム制御部11は、ステップS1で取得した検査結果とパラメータデータ30とから取得した検査結果に対応するパラメータを取得する。次のステップS3にて、ゲーム制御部11は、取得したパラメータに基づいて、使用者のプレイ可能な楽曲の難易度を決定する。この楽曲の難易度の決定は、例えば、次のように実行される。
【0056】
まず、ゲーム制御部11は、演奏周期Nを楽曲毎に算出する(なお、この演奏周期Nは、予め用意された情報に基づいて取得されてもよい)。この合計演奏操作数の算出には、楽曲の速さ(一拍の周期)と、演奏頻度とが利用される。また、演奏頻度には、予め設定された標準頻度が利用される。従って、例えば、標準頻度として“2拍に一回のペース”が利用され、楽曲の速さが60bpmである場合には、2秒に1回演奏の機会が到来する。この場合、演奏周期Nの値として、“2”が算出される。一方、楽曲の速さが同じで標準頻度として“4拍に一回のペース”が利用されている場合には、4秒に一回演奏の機会が到来するので、演奏周期Nの値として“4”が算出される。従って、演奏周期Nの値は、小さいほど難易度が高い。このため、演奏周期Nは、楽曲の難易度に対応する情報としも利用される。次に、算出された(或いは、得られた)演奏周期Nの値と、ステップS21で取得した各パラメータのうちの難易度を示す値N0と、を比較する。この比較結果が、演奏周期N<難易度を示す値N0の場合(つまり、難易度を示す値N0よりも演奏周期Nが小さく、難易度を示す値N0に対応する楽曲よりも難しい楽曲の場合)、難しすぎる難易度の楽曲と判断する。一方、ゲーム制御部11は、演奏周期Nと難易度を示す値N0との比較結果が演奏周期N<難易度を示す値N0以外の場合には、適切な難易度の楽曲と判断する。ゲーム制御部11は、このように楽曲の難易度を判断し、適切な難易度の楽曲を決定する。
【0057】
次のステップS4にて、ゲーム制御部11は、ステップS3で決定された難易度の楽曲のみが選択可能な楽曲選択画面40がモニタ3に表示されるように、表示制御部12への出力を制御する。これにより、全楽曲のうち適切な難易度の楽曲のみ表示される楽曲選択画面40がモニタ3に表示される。ゲーム制御部11は、ステップS4の処理を終えると、今回のルーチンを終了する。このように、楽曲選択画面40に含まれる楽曲がリハビリの検査結果に対応した適切な難易度のもののみとなるように表示を制御することにより、使用の実行可能なゲームの範囲を制限する。
【0058】
なお、ゲーム制御部11は、評価難易度選択画面45及び、演奏頻度選択画面50の各選択しに対しても同様の制限を実行するように構成されていてもよい。つまり、ゲーム制御部11は、リハビリ検査の検査結果を利用して、楽曲選択、評価難易度選択及び、演奏頻度選択を含めて、使用者が実行可能なゲームの範囲を制限してもよい。
【0059】
また、ゲーム制御部11は、リハビリ検査の検査結果をゲーム中の使用者の演奏操作に反映するための処理も実行する。図14は、ゲーム制御部11が実行する評価範囲決定処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図14のルーチンは、例えば、リハビリ検査結果入力画面31に対する入力が終了する毎に実行されればよい。図14のルーチンが開始されると、ゲーム制御部11は、まずステップS31にて、リハビリ検査結果入力画面31を通じて入力された各種検査の結果を取得する。続くステップS32にて、ゲーム制御部11は、ステップS31で取得した検査結果とパラメータデータ30とから取得した検査結果に対応するパラメータを取得する。このパラメータとして、例えば、評価閾値Tmを取得する。次のステップS33にて、ゲーム制御部11は、ステップS32で取得した評価閾値Tmを、評価範囲として決定する。このルーチンで決定された評価範囲は、ゲーム中の使用者の演奏操作の評価基準として利用される。
【0060】
図15は、拍の時期と演奏操作の評価範囲との間の関係の一例を示す図である。図15に示すように、ゲーム中の評価基準として利用される評価範囲は、楽曲中の拍の時期が中心に位置するように、所定の範囲で設定される。そして、この所定の範囲として、図14のルーチンで決定された評価範囲、つまり評価閾値Tmが利用される。評価閾値Tmの一例として、演奏周期Nを所定の数値で除した値が利用される。図15の例では、評価閾値Tmとして、演奏周期Nを所定の数値2で除したN/2という値が取得された場合を示している。この場合、図15に示すように、図14のルーチンにより決定された評価範囲として評価閾値Tmが利用され、N/2に対応する期間が評価範囲として設定される。そして、この評価範囲内に実行された演奏操作は評価され、評価範囲外に実行された演奏操作は評価されない。つまり、評価範囲外に演奏操作が実行されても得点が加算されない。このように、ゲーム中の演奏操作には、リハビリ検査の検査結果が反映される。なお、評価難易度選択画面45の設定によっても評価範囲は調整される。例えば、評価難易度選択画面45にて、“難しい”が選択された場合には評価閾値Tmよりも小さくなるように評価範囲を調整し、“易しい”が選択された場合には評価閾値Tmよりも大きくなるように評価範囲を調整する。これにより、リハビリ検査の結果が反映されるとともに使用者の意欲も考慮される。
【0061】
一方、ゲーム制御部11は、予備演奏の結果をゲームの評価に反映させるために評価の基準を調整する処理も実行する。図16は、ゲーム制御部11が実行する評価強さ決定処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図である。図16のルーチンは、例えば、ゲーム開始前の所定の処理の後といったゲーム開始に伴う処理に基づいて開始されればよい。図16のルーチンが開始されると、ゲーム制御部11は、まずステップS21にて、予備演奏画面35を通じて入力された予備演奏の結果を取得する。この予備演奏の結果として、例えば、入力された予備演奏操作の強さ(電子ドラム2を叩く強さ)を取得する(複数回の予備演奏操作の入力がある場合は、それらの平均値を算出)。続くステップS22にて、ゲーム制御部11は、リハビリ検査結果入力画面31を通じて入力された各種検査の結果を利用して、パラメータデータ30から検査結果に対応するパラメータを取得する。このパラメータとして、例えば、叩く強さの割合の値r及び、叩く強さの閾値s0を取得する。次のステップS13にて、ゲーム制御部11は、ゲーム中の使用者の電子ドラム2に対する演奏操作を評価するための評価強さを決定して、今回のルーチンを終了する。この評価強さの決定は、例えば、次のように実行される。
【0062】
まず、ゲーム制御部11は、ステップ21にて取得した予備演奏の強さと、ステップS22で取得した各パラメータのうちの叩く強さの割合の値rとを積算して、強さの基準値値sを算出する。この強さの割合の値rとして、例えば、“60%”といった値が利用され、この場合には算出された演奏操作の強さの値には0.6が積算される。更に、ゲーム制御部11は、算出して得られた強さの基準値sと、取得した各パラメータのうちの叩く強さの閾値s0と、を比較する。比較結果が、強さの基準値s>叩く強さの閾値s0ならば強さの基準値sとして叩く強さの閾値s0が利用されるように評価強さを決定し、それ以外の場合には算出して得られた強さの基準値sの値がそのまま利用されるように評価強さを決定する。決定された評価強さは、決定された評価強さ以上の強さで演奏操作が実行されなければ演奏操作されたと評価しないといった具合に、ゲーム中の使用者の演奏操作の強さの評価に利用される。
【0063】
以上に説明したように、この形態によれば、リハビリが音楽を利用したゲームを通じて実行される。このため、リハビリにゲームの興趣性を付加することができるので、リハビリの単調性を解消することができる。これにより、家庭でのリハビリの継続を促すことができる。また、ゲームには、リハビリ検査結果入力画面31を通じて、リハビリ検査の検査結果が利用され、使用者により適切と思われる楽曲の利用が推奨される。これにより、より適切なリハビリの実行を促すことができる。更に、ゲーム開始前の予備演奏を通じて、ゲームには当日の症状も反映することができる。このため、日々の症状に合わせたより適切なリハビリを促すことができる。また、評価の難易度や演奏ペースといったリハビリに関連する項目を使用者が微調整可能である。このため、日々の症状や向上心に応じて、ゲームの難易度、つまりリハビリの難易度を変化させることができる。これにより、よりリハビリの単調性を解消することができる。また、通常のリハビリでは、医師等による日々のリハビリ内容の把握が困難である。しかし、この形態によれば、リハビリの内容がゲームのプレイ結果として表示されるので、リハビリ内容の把握を容易に行うことができる。この結果を医師等に報告することにより、更に適切なリハビリの実行を促すこともできる。更に、これらのリハビリ内容がインターネット等のネットワークを通じて、外部の医師等も参照可能に構成されていれば、早期に報告することができるので、より効果的である。
【0064】
以上の形態において、外部記憶装置20が楽曲データ記憶手段、情報記憶手段、過去結果記憶手段として機能する。また、制御ユニット5が、ゲーム制御部11を通じて情報案内手段、ゲーム操作評価手段、検査結果入力指示手段、範囲制限手段、予備操作指示手段及び、予備操作評価手段として、それぞれ機能する。加えて、制御ユニット5が、ゲーム制御部11及び表示制御部12を通じて、プレイ結果表示画面60及び、グラフ画面65を表示させることにより、評価結果通知手段及び、過去結果通知手段としても機能する。
【0065】
本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、ゲーム画面55に時期の案内のために表示される指示標識SYは4つであるが、4つに限定されるものではない。ゲーム画面には任意の数の指示標識が表示されてもよい。また、上述の形態では、演奏操作を実行すべき時期がゲーム画面55を通じて案内されているが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、ゲーム画面には演奏時期に関する案内が含まれていなくてもよい。この場合、例えば、ゲームは、ゲーム画面にて、事前に指定された頻度(例えば、2拍に一回のペース等)の演奏操作を要求し評価するように構成されていればよい。つまり、情報案内手段は、ゲーム画面を通じて演奏操作の時期を案内する形態に限定されず、演奏頻度選択画面等、演奏操作の時期を他の画面を通じて案内するように構成されていてもよい。更に、例えば、演奏を実行すべき時期は、楽曲とは別に拍に対応する間隔で再生される楽器音(例えば、拍の周期に従って再生されるトライアングルの音など)の音声を通じて案内されてもよい。
【0066】
同様に、上述の形態では、リハビリ検査の検査結果の入力がリハビリ検査結果入力画面31を通じて、予備演奏の入力が予備演奏画面35を通じて、それぞれ指示されているが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、これらの指示は、いずれも音声を通じて指示されてもよい。同様に、ゲーム終了時の評価結果や過去の評価結果も音声を通じて通知されてもよい。これらの場合、専用の入力画面等が省略されてもよい。また、上述の演奏時期が音声を通じて案内される形態やこのような各種指示等が音声を通じて実行される形態の場合には、各種指示等を出力する出力装置としてモニタに替えて音声出力装置等の出力装置が利用されてもよい。
【0067】
また、上述の形態では、予備演奏画面35にて、叩く操作のみが評価されているが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、予備演奏画面35は、予備演奏操作を実行すべき時期も案内するように構成され、ゲーム制御部11は予備演奏における演奏操作の時期も評価するように構成されていてもよい。従って、予備演奏の評価結果は、所定の評価基準の調整以外に使用されてもよい。例えば、予備演奏の結果、通常よりも演奏操作が遅れている場合には通常の難易度よりも容易な楽曲のみが選択肢として推奨される等、ゲーム制御部11は、予備演奏における演奏操作時期の評価も考慮して、プレイ可能な楽曲等の難易度の決定、及びゲーム範囲の制限を実行するように構成されていてもよい。つまり、予備演奏の評価結果は、ゲームの難易度の決定及び、ゲーム範囲の制限に利用されてもよい。
【0068】
上述の形態では、直近のプレイ結果及び過去のプレイ結果は、結果の通知に利用されるに過ぎないが、ゲームの難易度の決定等に利用されてもよい。例えば、過去2回のプレイ結果から推奨難易度よりも易しい(或いは難しい)難易度のゲームの方がふさわしいと判断された場合には、これを考慮して、ゲームの難易度及び、ゲーム範囲の決定、或いは評価基準の調整等が実行されてもよい。なお、このような判断は、予め用意された実験結果に基づく基準を利用して実行されればよい。
【0069】
上述の形態では、楽器に対応する入力装置として電子ドラム2が利用されているが、入力装置には、ギターを模したもの、単なる棒上のコントローラ等、各種の入力装置が利用されてもよい。上述の形態では、使用者の入力操作を検出可能な電子ドラム2という入力装置が操作検出手段として利用されているが、操作検出手段は、このような形態に限定されない。例えば、操作検出手段は、カメラ等の検出手段を通じて、使用者の動作自体を検出し、検出結果を入力可能なように構成されていてもよい。つまり、操作検出手段は、入力装置としてのコントローラ等が省略されたものでもよい。
【0070】
上述の形態では、演奏操作の時期が案内され、その時期及び強さが評価されているが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、情報案内手段は、ゲーム画面を通じて、実行すべき演奏操作自体(例えば、右手を上げる、左手を下げる等の動作自体)或いは、複数の操作対象のうちの操作の実行対象を案内するように構成されていてもよい。この場合、ゲーム操作評価手段は、これらの演奏操作或いは、操作対象等を評価するように構成されていればよい。つまり、ゲーム操作評価手段の評価基準に対応する情報を情報案内手段は案内すればよい。従って、リハビリ支援システムにて実行されるゲームは、音楽を利用したものに限定されない。例えば、リハビリ支援システムにて実行されるゲームは、旗揚げゲーム、ダンスゲームといった身体を動かすゲームであればよい。
【0071】
上述の形態では、対応情報として、レコードの集合からなるパラメータデータ30が利用されているが、対応情報は、このような形態に限定されない。例えば、検査結果に関する情報に基づいてゲームの難易度に関する情報を算出可能な数式等が対応情報として利用されてもよい。
【0072】
また、上述の形態では、範囲制限手段は、選択可能な楽曲の種類、評価の難易度或いは、演奏頻度といった項目を制限することにより、使用者がプレイ可能なゲームの範囲を制限しているが、このような形態に限定されない。例えば、範囲制限手段は、ゲーム中に用意されたオプション、進行可能なステージ等のゲームの展開条件を制限してもよい。
【0073】
また、上述の形態では、ゲーム操作評価手段は、予備演奏の結果を利用して、評価範囲の大小を調整しているが、このような形態に限定されない。例えば、上述の形態では、図15に示すように、所定の評価範囲の中心は演奏時期となっているが、この中心がずれるように、つまり評価範囲が演奏時期よりも遅い範囲に大きく広がるように(図15に示す位置よりも拍の時期を基準として右側に位置するように)、ゲーム操作評価手段は、調整を実行してもよい。或いは、逆に演奏時期よりも早い範囲に大きく広がるように(図15に示す位置よりも拍の時期を基準として左側に位置するように)、ゲーム操作評価手段は、調整を実行してもよい。
【0074】
また、上述の形態では、各種パラメータとして、叩く強さの割合の値r、叩く強さの閾値s0、叩く時期を評価するための評価閾値Tm、難易度を示す値N0を例示しているが、パラメータは、これらのゲームの難易度に関連する情報に限定されない。例えば、演奏操作の実行回数に関する情報に対応するパラメータ、演奏頻度に関する情報に対応するパラメータ、演奏周期に関する情報に対応するパラメータ等、各種パラメータとして、その他の各種ゲームの範囲を制限するための情報に対応するパラメータが利用されてもよい。また、各パラメータが全て利用される形態に限定されるものでもない。この場合、例えば、ゲームの難易度とは関係なく、単に実行されるべき演奏操作の回数や演奏周期のみに基づいて、ゲームの範囲が制限されてもよい。このように対応情報として、検査結果と各種ゲームの範囲を制限するための情報とが対応づけられていてもよい。更に、ネットワークを通じて接続されたサーバー等が本発明の外部記憶装置として機能してもよい。
【0075】
上述の形態では、図13、図14及び、図16のルーチンにて、リハビリ検査結果入力画面31を通じて入力された検査結果がルーチン毎に取得され、その検査結果に基づいてルーチン毎にパラメータが取得されているが、各ルーチンはこのような形態に限定されない。例えば、検査結果を取得し、その検査結果とパラメータデータとに基づいてパラメータを取得する別のルーチンが設けられ、図13、図14及び、図16のルーチンは、この別のルーチンにて取得されたパラメータを利用して処理を実行するように構成されていてもよい。また、この別のルーチンで取得されたパラメータは、次回以降のゲームでも使用可能なように、例えば、過去データとして外部記憶装置等に記憶されてもよい。この場合、パラメータを取得するための別のルーチンは、ゲーム開始毎に実行される必要がないので、例えば、リハビリ検査が実行され、検査結果の入力内容が更新される毎(例えば、1ヶ月毎)に実行されるように構成されていればよい。同様に、図13のルーチンにおけるゲームの難易度の決定等のゲーム範囲を制限する情報或いは、図16のルーチンにおける決定された評価範囲の情報といったリハビリ検査の検査結果に依存する情報も過去データとして外部記憶装置等に記憶されるように構成されていてもよい。この場合、ゲーム制御部11が実行する各ルーチンは、次回以降の処理にて外部記憶装置等の過去データに記憶された情報を利用するように構成されていてもよい。更に、予備演奏の結果についても、例えば過去データとして外部記憶装置等に記憶され、記憶された予備演奏の結果が次回以降のルーチンにて利用されるように構成されていてもよい。この場合、ゲーム開始毎の予備演奏の実行を省略することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 リハビリ支援システム
2 電子ドラム(操作検出手段)
2A 操作部
3 モニタ(表示装置)
4 ヘッドホン(音声出力装置)
5 制御ユニット(楽曲再生手段、情報案内手段、ゲーム操作評価手段、検査結果入力指示手段、範囲制限手段、予備操作指示手段、評価結果通知手段、過去結果通知手段、コンピュータ)
20 外部記憶装置(楽曲データ記憶手段、情報記憶手段、過去結果記憶手段)
21 ゲームプログラム
22 ゲームデータ
30 パラメータデータ(対応情報)
55 ゲーム画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示を出力する出力装置と、
リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、
使用者の入力操作を検出する操作検出手段と、
前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示手段と、
前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限手段と、
前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価手段と、
前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内手段と、
を備えることを特徴とするリハビリ支援システム。
【請求項2】
前記出力装置を通じて、予備操作の入力を指示する予備操作指示手段と、
前記予備操作指示手段の指示により入力された前記予備操作を評価する予備操作評価手段と、を更に備え、
前記ゲーム操作評価手段は、前記予備操作評価手段の評価結果を更に考慮して、前記所定の評価基準を調整する請求項1に記載のリハビリ支援システム。
【請求項3】
前記範囲制限手段は、前記予備操作評価手段の評価結果を考慮して、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する請求項2に記載のリハビリ支援システム。
【請求項4】
前記対応情報には、前記ゲームの範囲を制限するための情報としてゲームの難易度に関する情報が前記検査結果の情報と対応づけられており、
前記範囲制限手段は、前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて前記使用者のプレイ可能なゲームの難易度を決定し、当該決定したゲームの難易度に応じて前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する請求項1〜3のいずれか一項に記載のリハビリ支援システム。
【請求項5】
前記出力装置を通じて、前記ゲーム操作評価手段による評価結果を通知する評価結果通知手段を更に備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載のリハビリ支援システム。
【請求項6】
前記ゲーム操作評価手段による過去の評価結果を記憶する過去結果記憶手段と、
前記出力装置を通じて、前記過去結果記憶手段が記憶する過去の評価結果を通知する過去結果通知手段と、を更に備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載のリハビリ支援システム。
【請求項7】
前記範囲制限手段は、前記過去結果記憶手段に記憶された前記過去の評価結果を更に考慮して、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する請求項6に記載のリハビリ支援システム。
【請求項8】
前記ゲーム操作評価手段は、前記過去結果記憶手段に記憶された前記過去の評価結果を更に考慮して、前記所定の評価基準を調整する請求項6又は7に記載のリハビリ支援システム。
【請求項9】
前記出力装置として、各種画面を出力可能なモニタが利用されている請求項1〜8のいずれか一項に記載のリハビリ支援システム。
【請求項10】
ゲーム音を再生出力する音声出力装置と、
楽曲データを再生させるための楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段を、更に備え、
前記ゲームとして、前記楽曲を利用したゲームが実行される請求項1〜9のいずれか一項に記載のリハビリ支援システム。
【請求項11】
前記楽曲データ記憶手段には、前記ゲームにて利用される複数の楽曲にそれぞれ対応する複数の楽曲データが記憶されており、
前記範囲制限手段は、前記ゲームにて利用可能な前記複数の楽曲の数を制限することにより、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する請求項10に記載のリハビリ支援システム。
【請求項12】
前記操作検出手段として、前記使用者が操作を実行する操作部が表面に配置され、前記操作部に対する操作を検出可能に構成された電子ドラムが利用される請求項10又は11に記載のリハビリ支援システム。
【請求項13】
指示を出力する出力装置と、リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、使用者の入力操作を検出する操作検出手段と、を備えたリハビリ支援システムに組み込まれるコンピュータに、
前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示工程と、
前記検査結果入力指示工程にて入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限工程と、
前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価工程と、
前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内工程と、を実行させるリハビリ支援システムの制御方法。
【請求項14】
指示を出力する出力装置と、リハビリテーションに関する検査結果の情報とゲームの範囲を制限するための情報とを対応づける対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、使用者の入力操作を検出する操作検出手段と、を備えたリハビリ支援システムのコンピュータを、
前記出力装置を通じて、リハビリテーションに関する検査結果の入力を指示する検査結果入力指示手段、前記検査結果入力指示手段の指示により入力された前記検査結果と前記対応情報とに基づいて、前記使用者のプレイ可能なゲームの範囲を制限する範囲制限手段、前記ゲーム中において前記操作検出手段が検出した操作を所定の評価基準に基づいて評価するゲーム操作評価手段及び、前記出力装置を通じて、前記所定の評価基準に対応する情報を前記使用者に案内する情報案内手段として機能するように構成されたリハビリ支援システム用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−157404(P2012−157404A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17306(P2011−17306)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【Fターム(参考)】