説明

リパーゼ阻害剤としての植物抽出物由来薬剤

カルダモン、マージョラム、タイム、チリ、月見草、オレガノ葉、カモミール葉、ナツメグ、リンゴの絞り滓、トウモロコシ胚芽、アーモンド、ヘーゼルナッツ、クルミ、カボチャ胚芽、クフェア・ライティ、月見草、オイルフラックス、ゴボウ、亜麻、ヒマワリの胚芽 、マリゴールド、エキノプス・バナティクス、クスノハガシワ、セイヨウアブラナ、ゴマ、ブラック・キャラウェー、シノグロスム・オフィシナーレ、ラパチョ茶、ウワウルシ、ストーンフラワー、プロポリス、サクラソウ、コウボク及び/又はセロリからなるリパーゼ阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
脂肪の過剰摂取は、メタボリック症候群の主要症状である肥満、高脂血症、II型糖尿病のような多くの障害をもたらす。食物摂取後での血中トリグリセリド(TG)及びブドウ糖レベルの上昇は、メタボリック症候群の進行において中心的役割を演じるインシュリン抵抗性において単独のリスク要因たり得る。食後のトリグリセリドレベルを低下させるためのひとつの可能性としては、小腸の脂肪加水分解酵素を阻害することが考えられる。膵臓リパーゼ(E.C.3.1.1.3)は、腸管内での食物脂肪の分解及び吸収に主要な役割を果たす。よってそれを阻害することが、食物TGの腸管での吸収の防止あるいは遅延をもたらし、ひいては血中TGの減少につながる。肥満はII型糖尿病の主要なリスク要因である。体重減少で血糖コントロールが改善し、それによって心臓血管疾患のリスク要因が低下することは十分立証されている。一般的には、体重減少を達成し、そしてその減少した体重を維持することは困難であるとされている。テトラハイドロリプスタチン(THL、オーリスタット、ゼニカル(商品名)) は市販品として入手可能なリパーゼ阻害剤であり、ストレプトミセス・トキシトリシニ(Streptomyces toxytricini)から得られる。オーリスタットの経口投与で、膵臓リパーゼの活性部位がブロックされることで脂質分解が阻害される。臨床試験ではオーリスタットにより体重減少及び食後の脂質数値の改善(食後のトリグリセリド値、LDL−コレステロール値、及び総コレステロール値の低下、LDL/HDL比の改善)が見られた。
【0002】
オーリスタットでII型糖尿病の発症を低下させることも可能である。オーリスタットの適用で、油状便あるいは脂肪便のような望ましからぬ副作用もある。より穏やかなリパーゼ阻害作用が植物抽出物の投与により達せられる結果、あるいはその活性成分が、脂質分解の完全な防止というより単に遅延をもたらす結果、油状便あるいは脂肪便が防止されることになる。
体系的には、このことは、それ自身消化の間に再吸収あるいは不活化され、そして除去される活性因子により達成されるとともに、それによりリパーゼ−コリパーゼ脂質複合体の反応における重要性が除去されることになる。
【0003】
リパーゼ阻害剤の投与はメタボリック症候群の患者にとって有用な薬物治療とされている。
加えて、リパーゼ阻害作用のある植物抽出物又はそれから分離される植物成分は食物サプリメントとして使用可能である。
【背景技術】
【0004】
消化管内におけるリパーゼ阻害剤としての植物抽出物の使用可能性についてはいくつかの特許で述べられている。具体的には、特開2003−26585号公報、特開2002−275077号公報、特開2002−47194号公報といった日本国の特許出願がそうである。
植物抽出物、具体的にはシキシマサワグルミ(Cyclocarya paliurus)、ブドウの種、カワラケツメイ(Cassia mimosoides, L. var. noname Makino)及び高良姜(Alpinia officinarum)が食後の脂質数値にもたらす肯定的な効果についていくつかの文献に記載がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、さらに、リパーゼ阻害剤として使用可能な他の植物を決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するものとして、下記物質の抽出物又はエッセンス及びこれらの混合物が挙げられる。
カルダモン
マージョラム
タイム
チリ(Capsicum frutescens)
月見草
オレガノ葉(Oreganum vulgare)
カモミール葉(Chamomilla recutica)
ナツメグ(Myristica fragrans)
リンゴの絞り滓
トウモロコシ胚芽
アーモンド
ヘーゼルナッツ
クルミ
カボチャ胚芽
クフェア・ライティ(Cuphea wrightii)(e)
月見草
オイルフラックス(Linum usitatissimum)
ゴボウ(Arctium lappa L)(e)
亜麻(e)
ヒマワリ(Helianthus annuus)の胚芽(e)
マリゴールド(Calendula officinalis)抽出物(e, h)
エキノプス・バナティクス(Echinops banaticus)
クスノハガシワ(Mallotus phillipinensis)(e)
セイヨウアブラナ(e)
ゴマ(e)
ブラック・キャラウェー(m)
シノグロスム・オフィシナーレ(Cynoglossum officinale)
ラパチョ茶(e)
ウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)
ストーンフラワー
プロポリス
サクラソウ
コウボク(Magnolia officinalis)
セロリ(Apium graveolens)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
抽出物の調整に関する記載
a) CO2抽出:
超臨界二酸化炭素による高圧抽出。水、糖、蛋白を含まず。
・カルダモン
植物使用部分:カルダモン(Elettaria cardamomum)の莢に入った種子;グアテマラ産天然原料;抽出物の粘性:油状液体;抽出物は精製油分を72%含有;他の成分:α-ピネン、β-ピネン、α-ミルセン、1,8-シネオール、リナロール、α-テルピネオール、酢酸リナリル、酢酸テルピニル。
【0008】
・マージョラム
植物使用部分:マージョラム(Origanum majorana)の葉;抽出物の粘性:油状液体;抽出物は精製油分を80%含有;他の成分:サビネン、cis-及びtrans-サビネン水和物、テルピネン-4-オール、酢酸サビネン水和物。
・タイム
植物使用部分:コモンタイム(Thymus vulgaris)の葉;ドイツ産天然原料;その他は上記カルダモンを参照。
・チリ(Capsicum frutescens)
植物使用部分:莢;インド産天然原料;抽出物はヒマワリ油にて安定化;抽出物粘性他は上記参照。
【0009】
・月見草 植物使用部分:種子;抽出物はトコフェロールにて安定化;抽出物粘性:油状液体。
・オレガノ葉 抽出物粘性:油状液体;成分:テルピネン 0.18%、p-シメン 2.6%、リモネン 0.07%、カルバクロール 62%、カリオフィレン 1.5%、チモール 0.33%、1,8-シネオール 0.49%、y-テルピネン 0.17%、β-テルピネン 0.2%、4-テルピネオール 1.5%、α-テルピネオール 0.58%、チモキノン 23.2%。
・カモミール葉 抽出物粘性:油状液体;ビサボロール 20-25%、酸化ビサボロール 5-20%、マトリシン 1.0-3.0%。
【0010】
・ナツメグ インドネシア産天然原料;抽出物粘性:油状液体;成分:ミリスチシン 19-24%、サフロール 1-3%。
b) 下記の抽出物は、以下のようにして調整した。
10gの天然原料粉を、
e) 37℃の純エタノール50ml
w) 37℃の水
h) 95℃の水
m) 37℃の60%エタノール
のいずれかに溶解し、2時間恒温槽にて振盪しつつ保温した。その後、抽出物を磁石撹拌子にて30分撹拌し、6000rpmにて10分間遠心した。次いで、遠心濃縮装置にて溶媒を除去した。
【0011】
・リンゴの絞り滓(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・トウモロコシ胚芽(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・アーモンド(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・ヘーゼルナッツ(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
【0012】
・クルミ、等級S(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・カボチャ胚芽(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・クフェア・ライティ(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・月見草(e)
植物使用部分:種子;抽出物粘性:粘凋液体。
【0013】
・オイルフラックス(165)(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・オイルフラックス(162)(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・ゴボウ(e)
植物使用部分:根;抽出物粘性:粘凋液体。
・亜麻(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
【0014】
・ヒマワリ(Helianthus annuus)の胚芽(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・マリゴールド(Calendula officinalis)(e, h)
抽出物粘性:粘凋液体。
・エキノプス・バナティクス(Echinops banaticus)(154:e, 152:e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・クスノハガシワ(Mallotus philippinensis)(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
【0015】
・セイヨウアブラナ(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・ゴマ(e)
抽出物粘性:粘凋液体。
・ブラック・キャラウェー(m)
・シノグロスム・オフィシナーレ(157:e)
・ラパチョ茶(e)
植物使用部分:タヒーボ樹木(Tabebuia impetiginosa)の内樹皮;抽出物粘性:粘凋液体。
【0016】
c) 他の抽出物:
・ウワウルシ(Arctostaphylos uve-ursi)
植物使用部分:ウワウルシの葉;抽出溶媒:水;抽出物粘性:粉状;成分:アルブチン。
・ストーンフラワー
植物使用部分;抽出溶媒:69%エタノール(v/v);抽出物粘性:乾燥残渣 1.0%。
・プロポリス
プロポリスは、花粉や樹皮といったミツバチが集めた原料、及びミツバチ自身が分泌する原料から成る混合物である;抽出溶媒:プロピレングリコール;抽出物粘性:液体。
【0017】
・サクラソウ
使用部分:サクラソウの葉及び根;抽出溶媒:50%エタノール(v/v);抽出物粘性:粉状。
・コウボク(Magnolia officinalis)
植物使用部分:樹皮;抽出溶媒:アルコール及び水;抽出物粘性:粉状。
・セロリ(Apium graveolens)
植物使用部分:塊茎;抽出溶媒:不明;抽出物粘性:油状液体。成分:9%セロリ油。
本件特許出願中で挙げられた植物抽出物中のリパーゼ阻害物質はいまだ特定されていない。
【0018】
試験溶液の調整及び酵素活性測定方法に関する記述
試験溶液の調整
粉状抽出物及び粘凋液体状抽出物の試験溶液を調整すべく、抽出物材料200mgを1mlの
適当な溶媒に溶解し、強く撹拌した。3400rpmで5分間遠心したあと、その上清を試験溶液として採取した。最終アッセイ時における抽出物固形分濃度と酵素モル濃度との間の比率を合わせるべく、試験溶液はアルカリフォスファターゼ測定のために1:200に希釈した。
CO2抽出物及び精油樹脂の試験溶液を調整すべく、100μlの油状液体抽出物を900μlの適当な酵素緩衝液(上記参照)に溶解し、100ワットで5分間、超音波処理を施した。
【0019】
膵臓リパーゼ
in vitroでの膵臓リパーゼ活性を測定すべく、2種類のリパーゼ測定アッセイを執り行った。
1.リパーゼ活性測定アッセイは、
・工業用アラビアゴムを1%含有する濃度50mM/LのBICIN緩衝液(pH8.0)200μl、
・植物抽出物試験溶液 50μl、及び
・濃度0.35mM/Lの膵臓リパーゼ溶液 25μl
より構成される。
【0020】
この混合物を37℃で20分間インキュベートした。
膵臓リパーゼ活性の最終的な測定は、メチルレソルフィンを加えたジアシルグリセロールを第三基質として、並びにコリパーゼ及び胆汁塩を必須のコファクターとしたリパーゼ比色試験を用いて、臨床化学用の自動分析機(コーンラブ、コーン社製)で執り行った。この方法は膵臓リパーゼに特異的であり、酵素により基質からメチルレソルフィンが開裂することに基礎を置いている。
膵臓リパーゼ活性を測定すべく、自動分析機における滴下手順は以下のとおり執り行われた:
1. 60μlの試薬1:コリパーゼ及びコール酸塩
2. 2μlの試験溶液及び10μlの洗浄溶液
3. 180秒インキュベーション
4. 40μlの試薬2:比色基質及びコール酸塩
5. 120秒インキュベーション。
【0021】
リパーゼ活性は83秒後に12の測定ポイントで測定された。メチルレソルフィンは75nmの波長で測定された。
2.植物抽出物の影響によるリパーゼ阻害は、トリオレインが酵素によって加水分解されて得られる遊離脂肪酸の放出を測定する第2のリパーゼ活性方法により確認された。
インキュベーション混合液を調整すべく、すぐ使える溶液(試薬1:R1)を用意する。R1は、
・26mmol/L トリス緩衝液(pH9.2)
・19mmol/L デソキシコール酸ナトリウム
・0.1mmol/L 塩化カルシウム
・0.3mmol/L トリオレイン
・300KU/L コリパーゼ
から成る。
【0022】
インキュベーション混合液は、以下の組成を有する:
・26mmol/L トリス緩衝液(pH9.2)50μl
・9.7mmol/L トリオレインエマルジョン(R1中で)50μl
・0.314mmol/L 膵臓リパーゼ(26mmol/L トリス緩衝液(pH9.2)で)50μl
・試験溶液 50μl。
CO2抽出物の試験の際には、26mmol/L トリス緩衝液(pH9.2)中に1%メチルセルロースを加えて用いた。
37℃のウォーターバス中で30分インキュベーションした後、3mlのクロロホルム/ヘプタン/メタノール混合液(50:49:1)を添加して反応をストップさせた。反応混合液を激しく撹拌し、そこから分離した遊離脂肪酸を抽出した。遠心(3,400rpm、10分間)の後、クロロホルム相から2mlを取り、1mlの銅試薬(純水94ml、1N NaOH 6ml、Cu(NO3)2 6.45mmol/L、トリエタノールアミン0.1mol/L、NaCl 33%(w/v))を加えた。この混合物を10分間激しく撹拌してから3400rpmで10分間遠心し、その上清から1mlを取って、それに、0.1%(W/V)バトクプロイン及び0.05%(W/V)3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール含有クロロホルムを1ml添加した。その、脂肪酸−銅−バトクプロイン複合体を、通常の分光光度計にて480nmで最終的に光学測定した。
【0023】
リパーゼ活性の減少は非特異的な酵素阻害又は酵素複合体の変成によるものではないことを確かめるために、α-アミラーゼ及びアルカリフォスファターゼ活性をさらに測定した。α-アミラーゼの阻害で、食後の血中ブドウ糖レベルが低下する可能性があり、糖尿病患者にとってのさらなる肯定的効果とみなされる。
α-アミラーゼ
植物抽出物の影響下でのアミラーゼ活性測定は以下のとおり執り行った。
アミラーゼ活性測定のためのインキュベーション混合物は、
・1%アラビアゴム含有50mM/L MOPSOバッファー(pH 8.0):200μl
・植物抽出物溶液:25μl
・0.35mM/L α-アミラーゼ溶液:25μl
の総量250μlである。
【0024】
この混合物を38℃で20分インキュベートした。膵臓リパーゼ活性の最終測定は、臨床化学用の自動解析器(Konelab、Kone社製)で行った。
化学反応の原理:
1. エチレン-p-ニトロフェノール-(グルコース)7
エチリデン-(グルコース)3-4+p-ニトロフェノール-(グルコース)2-4
2. p-ニトロフェノール-(グルコース)残渣→p-ニトロフェノール(A=405nm)+グルコース。
自動解析器での、α-アミラーゼ活性検出のための操作手順は以下のとおり執り行った。
【0025】
1. 試薬120μl:基質+α-グルコシダーゼ
2. 300秒間インキュベーション
3. 試験溶液3μl
4. 180秒間インキュベーション。
α-アミラーゼ活性は、120秒間で5箇所を測定することで決定する。
アルカリフォスファターゼ
植物抽出物の影響下でのアルカリフォスファターゼ活性の測定は以下のように執り行った。
【0026】
リパーゼ活性測定のためのインキュベーション混合物は、
・50mM/L HEDTAバッファー(pH 8.0):200μl
・植物抽出物試験溶液:25μl
・0.014mM/L アルカリフォスファターゼ溶液:25μl
の総量250μlである。
この混合物を22℃で20分インキュベートした。膵臓リパーゼ活性の最終測定は、臨床化学用の自動解析器(Konelab、Kone社製)で行った。
反応式
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール+4-ニトロフェニルフォスファテート→
(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)フォスファテート+4-ニトロフェノキシド(λ=409nm)。
【0027】
自動解析器での、アルカリフォスファターゼ活性検出のための操作手順は以下のとおり執り行った。
1. 試薬150μl
2. 300秒間インキュベーション
3. 試験溶液3μl
4. 120秒間インキュベーション。
アルカリフォスファターゼ活性は、22秒間で5箇所を測定することで決定した。
動物実験による検証
in vitroで得られた結果をさらに実験及び検証するため、トリグリセリド減少効果を動物実験で試験した。
【0028】
このため、トリトンWR-1339で血中のトリグリセリド除去作用と食後4時間以上の血漿トリグリセリド値上昇とを阻害したラットで脂肪負荷試験を行った。以下の試験基質を使用した。
蛋白及びペプチド
・プロタミン:魚の精子より得られた強塩基性核蛋白、トリグリセリド還元性(32 AS 21 x arg)(Tsujita et al, 1996)
・ペプチド(D4 グロビンダイジェスト):ウシ赤血球グロビンの酵素加水分解物、トリグリセリド還元性(Kanagawa et al, 1996, 1998)
・VVYP:ウシヘモグロビンβ鎖の32-35断片、トリグリセリド還元性(Kanagawa et al, 1996, 1998)
・LVYP:ウシβカゼインの73-76断片。
【0029】
抽出物
・エタノール抽出物
・Tabebuia impetiginosa(ラパチョ)の葉
・Arctium lappa L(ゴボウ)
・Linum usitatissimum(亜麻)の種子
・Helianthus annuus(ヒマワリ)の種子
・Calendula officinalis(マリゴールド)。
・精油樹脂
・Carum carvi(キャラウェー)の種子。
【0030】
・CO2抽出物
・Elettaria cardamomum(カルダモン)の莢付き果実
・Thymus vulgaris(タイム)の葉。
・プロポリス。
陽性対照として、オーリスタット。
その結果、試験基質の投与後、ラットの血漿中の食後のトリグリセリド値上昇が認められた。このことは、プロタミン、D4ペプチド、あるいはテトラペプチドのいずれについても、トリグリセリド減少効果は見出せなかったことを示す。この試験におけるいくつかの抽出物についても同様に、所望の効果は認められなかった。それらは亜麻、ヒマワリ、マリゴールド及びプロポリスである。
【0031】
しかしながら、その他の抽出物については、一部非常に明確なトリグリセリドの減少が認められた。すなわち、キャラウェーでは約3%±9%の減少、タイムでは7%±7%の減少、ゴボウでは12%±6%の減少、カルダモンでは13%±7%の減少、そして特にラパチョ茶抽出物では16%±7%という有意な減少が見られた。この実験では、抽出物のどの成分がこのように観察された効果をもたらすかについて判別されていない。このことは、動物でさらなる実験を試みる余地を残すとともに、ヒトでの実験の必要も示唆している。
概ね、この動物実験では、本件発明に係る有効な活性物質のうち、いくつかが実際に動物実験で同じ効果を示すということを実証することが可能であった。
【0032】
同様に、この効果は、決して直線的に発現してくるものではなく、また個々のケースでは他の影響により覆い隠されることさえあり、極端な場合は逆効果となり得ることも明らかとなった。しかしながらこの実験からは、ここで列挙した物質は特異的リパーゼ低下による防御に役立つとして、さらなる実験に値し、また、より具体的な結果が期待できる、といえる。本発明のさらなる詳細及び特徴は以下で実施例を参照してより詳細に説明される。しかし、それらは発明の限定を意図するものではなく、単にそれを説明するのみである。
図1は、試験物質投与後の、ラット血清中の食後のトリグリセリド値上昇を模式的に示すものである。
【0033】
図2は、脂肪負荷試験後のラット血清中の食後のトリグリセリド値を模式的に示すものである。
詳しくは、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、ラットに投与された物質の、食物摂取後約0.05時間後のトリグリセリド値を表で示すものである。これは、蛋白及びペプチドと、天然成分抽出物とを区別するものである。この実験構成では蛋白及びペプチドでは所望の減少には至らなかったが、しかしいくつかのケースではトリグリセリド値の有意な増加に至ったことには意味がある。そのことはまたいくつかの天然物にも当てはまる。しかしながら他の天然物は所望の方向で効果的である。ここで特に重要なのはタヒーボ樹木(Tabebuia impetiginosa)の内樹皮由来のラパチョ茶の効果である。
【図2】図2は、食物摂取後の時間に応じたトリグリセリド値の変化曲線を示すものである。期待したとおり、オーリスタット投与でのトリグリセリド値が最低である。しかしながら、既に図1に列挙した肯定的な作用の抽出物については、この4時間の実験期間の間で期待したとおりのトリグリセリドの低下も見られた。効果的と証明されたのはゴボウ、ラパチョ茶及びカルダモンであった。比較すると、オーリスタット投与におけるトリグリセリド値上昇が特に低いのは期待通りであり、明細書の範囲内の発明に関連する動物実験が行われているということを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リパーゼ阻害剤として作用する経口投与薬剤の調剤のための下記の物質、物質の抽出物又は物質のエッセンスの単独成分での又は混合物での使用:
カルダモン 及び/又は
マージョラム 及び/又は
タイム 及び/又は
チリ(Capsicum frutescens)及び/又は
月見草 及び/又は
オレガノ葉(Oreganum vulgare)及び/又は
カモミール葉(Chamomilla recutica)及び/又は
ナツメグ(Myristica fragrans)及び/又は
リンゴの絞り滓 及び/又は
トウモロコシ胚芽 及び/又は
アーモンド 及び/又は
ヘーゼルナッツ 及び/又は
クルミ 及び/又は
カボチャ胚芽 及び/又は
クフェア・ライティ(Cuphea wrightii)及び/又は
月見草 及び/又は
オイルフラックス(Linum usitatissimum)及び/又は
ゴボウ(Arctium lappa L)及び/又は
亜麻 及び/又は
ヒマワリ(Helianthus annuus)の胚芽 及び/又は
マリゴールド(Calendula officinalis)及び/又は
エキノプス・バナティクス(Echinops banaticus)及び/又は
クスノハガシワ(Mallotus philippinensis)及び/又は
セイヨウアブラナ 及び/又は
ゴマ 及び/又は
ブラック・キャラウェー 及び/又は
シノグロスム・オフィシナーレ(Cynoglossum officinale)及び/又は
ラパチョ茶 及び/又は
ウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)及び/又は
ストーンフラワー 及び/又は
プロポリス 及び/又は
サクラソウ 及び/又は
コウボク(Magnolia officinalis)及び/又は
セロリ(Apium graveolens)。
【請求項2】
リパーゼ阻害剤としての下記の物質、物質の抽出物又は物質のエッセンスの単独成分での又は混合物での使用:
カルダモン 及び/又は
マージョラム 及び/又は
タイム 及び/又は
チリ(Capsicum frutescens)及び/又は
月見草 及び/又は
オレガノ葉(Oreganum vulgare)及び/又は
カモミール葉(Chamomilla recutica)及び/又は
ナツメグ(Myristica fragrans)及び/又は
リンゴの絞り滓 及び/又は
トウモロコシ胚芽 及び/又は
アーモンド 及び/又は
ヘーゼルナッツ 及び/又は
クルミ 及び/又は
カボチャ胚芽 及び/又は
クフェア・ライティ(Cuphea wrightii)及び/又は
月見草 及び/又は
オイルフラックス(Linum usitatissimum)及び/又は
ゴボウ(Arctium lappa L)及び/又は
亜麻 及び/又は
ヒマワリ(Helianthus annuus)の胚芽 及び/又は
マリゴールド(Calendula officinalis)及び/又は
エキノプス・バナティクス(Echinops banaticus)及び/又は
クスノハガシワ(Mallotus philippinensis)及び/又は
セイヨウアブラナ 及び/又は
ゴマ 及び/又は
ブラック・キャラウェー 及び/又は
シノグロスム・オフィシナーレ(Cynoglossum officinale)及び/又は
ラパチョ茶 及び/又は
ウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)及び/又は
ストーンフラワー 及び/又は
プロポリス 及び/又は
サクラソウ 及び/又は
コウボク(Magnolia officinalis)及び/又は
セロリ(Apium graveolens)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−533058(P2008−533058A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501151(P2008−501151)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000428
【国際公開番号】WO2006/097074
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507311935)
【Fターム(参考)】