説明

リパーゼ阻害物質の胃腸内副作用の緩和のために有用な組成物、方法、及びキット

本開示は、リパーゼ阻害物質などの化合物に関連する望ましくない副作用(例えば、未消化脂肪又は油の肛門漏出)の改善を包含する、種々の処置のために好適な組成物に関する。詳細には、本発明の一実施形態は、動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的で該動物に投与するのに好適な組成物に関する。硬化剤は約33℃以上の完全融点を有する。前記組成物を含む種々のキットもまた本明細書に記載されている。
動物の胃腸管内に存在する親油性物質を硬化する方法もまた、開示され、ここで、この方法は、安全且つ有効な量の硬化剤を含む組成物を前記動物に投与することを含み、前記硬化剤は本明細書中に記載されており、約33℃以上の完全融点を有する。本方法はまた、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減、血中コレステロール値の低減、飽満感の誘導、減量の達成、体重調整の達成、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせから選択されるものを包含し、この方法は、安全且つ有効な量のリパーゼ阻害物質と共に、安全且つ有効な量の硬化剤を含む組成物を動物に投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化剤を含む組成物に関し、ここで、該組成物は胃腸管内に存在する未吸収食物脂肪及び油を硬化し、それにより胃腸への副作用及びこれらの物質の糞便物からの分離を低減するのに有用である。本発明は更に、種々の処置、例えば体重調整のために有用である組成物に関するもので、ここで、リパーゼ阻害物質に関連する副作用は改善される。本発明は更に、前記組成物を含むキット、並びに前記組成物及びキットを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカでの人口のかなりの割合が肥満であると考えられ、この人口の内、更に高い割合が過体重であると考えられている。肥満症は、多くの人々が西欧に感化されて高カロリー食に親しむようになった他の産業国及び先進国においても、大きな問題になりつつあると考えられている。西洋社会において慢性疾患の50%は肥満症に原因があり、米国の予防可能な死亡のおよそ70%は肥満症が原因であると推定されている。肥満症に関するヘルスケアのコストは相当なものである。結果として、減量達成組成物を開発することが重要な商業的関心事の対象となっている。
【0003】
体重調整のための試みとしては、食欲抑制剤、低カロリー食、運動レジメン、食事からの栄養吸収(例えば、脂質類)の阻害、外科的処置などが挙げられる。体重調整用としては様々な組成物が開発されてきている。このような製品に所望される特性としては、望ましくない副作用がないこと、高い効能、簡便な投与計画、及び低コストが挙げられる。肥満症を治療するために開発された薬剤は望ましくない副作用を示すことがあり、医師の管理のもとでのみ利用可能であり、並びに比較的高価であることがある。繊維含量の高い他製品では、効果的にするためには多量に投与する必要があり不便な場合がある。
【0004】
食物脂質の吸収を阻害する一つの方法は、脂質と結合する又は脂質を封鎖するのに好適な非吸収性物質を投与することを介し、これらの脂質の消化及び/又は代謝を阻害することによる。例えば、米国特許第4,223,023号(フルダ(Furda)、1980年9月16日発行)には、キトサンを摂取することで、脂肪酸類と結合してそれが使用されることを防止することが記載されている。同様に米国特許第5,453,282号(カナウチ(Kanauchi)ら、1995年9月26日発行)には、キトサン及びアスコルビン酸又はそれらの塩の混合物を含む食物脂質の吸収阻害剤が記載されている。しかし、脂肪の排泄量を増加させるキトサンの効力は比較的低く、体重調整用の栄養補助食品として効果的であるためには多量に投与する必要があり、現実的でない。(例えば、レングスフェルド(Lengsfeld)らの肥満症に関する研究(Obesity Research)、第7巻、別冊1、1999年11月を参照のこと)。特定の脂肪吸収性ポリマー粒子が、米国特許第4,432,968号(ページ(Page)ら、1984年2月21日発行)に記載されている。脂肪結合ポリマーもまた、PCT国際公開特許WO99/34787(マンデビレ(Mandeville)ら、1999年7月15日公開)に記載されている。同様に米国特許第3,980,968号(イングレマン(Ingleman)ら、1976年9月14日発行)には、胆汁酸と結合するアミノ基を含有する特定の固体ネットワーク(即ち架橋)ポリマーが記載されている。水の存在下でゲルを形成し、コレステロール及び脂質と結合可能な固体の架橋ポリウレタンポリマーが、米国特許第4,340,699号(グロイラー(Grouiler)、1982年7月20日発行)に記載されている。
【0005】
食物脂質の消化及び/又は代謝を阻害するための別の試みは、脂質の消化に必要な特定酵素の活性を阻害する化合物を利用することにある。膵リパーゼの作用を阻害するポリマーが、米国特許第3,923,976号(フィールズ(Fields)及びジョンソン(Johnson)、1975年12月2日発行)、及び米国特許第4,211,765号(ジョンソン(Johnson)及びフィールズ(Fields)、1980年7月8日発行)に記載されている。しかし、脂肪排泄量として測定される場合、このような物質もまた、脂質の消化を阻害する効力は低い。
【0006】
他のリパーゼ阻害物質は脂肪及び油の消化を減少させ、それにより未吸収の脂肪及び油を糞便を介して排出させることができる。リパーゼ阻害物質の例としては、米国特許第4,598,089号(ハドバリー(Hadvary)ら、1986年7月1日発行)に記載されているテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット;ゼニカル(XENICAL)(登録商標));PCT国際公開特許WO0040247(2000年7月13日公開)に記載されている2−アミノ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン及びその誘導体類;PCT国際公開特許WO0040569(2000年7月13日公開)に記載されている2−オキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン類及びその誘導体類;PCT国際公開特許WO0153278(2001年7月26日公開)に記載されている2−チオ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン及びその誘導体類;ハン(Han)ら、肥満とその代謝障害の国際ジャーナル(Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.)、第25巻1459〜1464頁、2001年に記載されているティーサポニン(teasaponin);シュー(Chiou)ら、脂質、第36巻、535〜542頁、2001年に記載されている長鎖α−ケトアミド類;ヤマモト(Yamamoto)ら、肥満とその代謝障害の国際ジャーナル(Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.)、第24巻、758〜764頁、2000年に記載されているノマメ薬草(Nomame Herba)の抽出物;カバリエ(Cavalier)ら、脂質の物理化学(Chem.Phys.Lipids)、第100巻、3〜31頁、1999年に記載されているキラルアルキルホスホネート類;トモダ(Tomoda)ら、生物物理化学リサーチコミュニケーション(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第265巻、536〜540頁、1999年に記載されているβ−ラクトンのキラル異性体類;及び、コマイ(Comai)ら、国際肥満研究ジャーナル(Int.J.Obes.)、第4巻、33〜42頁、1980年に記載されているプルロニック(Pluronic)L−101;を包含するリパーゼ阻害物質が挙げられる。
【0007】
しかしながら、未消化油の肛門漏出は、肥満症の治療に効果的である十分な多用量のリパーゼ阻害物質で治療された被験者にしばしば見られる望ましくない副作用である。この副作用を改善するいくつかの試みが記述されてきた。脂肪吸収の阻害率を高めるためにリパーゼ阻害物質と多量の非水溶性粗繊維とを組み合わせることが、米国特許第5,447,953号(イスラ(Isler)ら、1995年9月5日発行)に記載されている。肛門漏出を低減するために、リパーゼ阻害物質を特定の消化され難く発酵され難い親水性、ヒドロコロイド性の食品等級増粘剤類、又は乳化剤類と組み合わせることが、PCT国際公開特許WO00/09122(ハグ(Hug)ら、2000年2月24日発行)に記載されている。同様に、肛門漏出を低減するために、リパーゼ阻害物質をキトサン又はその誘導体若しくは塩と組み合わせることが、米国特許第6,030,953号(ベイリー(Bailly)ら、2000年2月29日発行)に記載されている。しかしながら、げっ歯類における油性の体毛のグリース化の顕著な値により証明されるように、便利な用量レベルにおいては、肛門漏出の除去におけるこうした物質の有効性は比較的低い。
【0008】
上述したように、脂肪類及び油類の消化及び吸収に必要な特定の酵素を阻害する有効用量の剤の使用は、望ましくない重篤な症状を引き起こし得る。食物脂質を封鎖し又はそれと結合する既知の物質は、典型的には効力が低く、肥満症の予防又は治療、或いは特定の薬品、緩下剤及び脂肪代替物に伴う副作用の改善において効果的であるためには多量に投与する必要があり、不便である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、(1)摂取に好適であり;(2)望ましくない副作用が最小限であり;(3)効力が高く;(4)投与計画が簡便であり;及び(5)種々の脂質、脂質代替物及びその他の親油性物質に広く適用可能である、体重調整のような処置に有用な組成物を開発することが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、リパーゼ阻害物質のような化合物に関連する望ましくない副作用(例えば、未消化脂肪又は油の肛門漏出)の改善を包含する、種々の処置のために好適な組成物に関する。詳細には、本発明の一実施形態は、動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的でその動物に投与するのに好適である組成物に関する。本発明の別の実施形態は、次のものを含む組成物に関する:
(a)本明細書に記載したような硬化剤であって、ここで約33℃以上の完全融点を有する硬化剤;及び
(b)リパーゼ阻害物質;
ここで、前記硬化剤とリパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約1:1(例えば約1:1〜約50:1)である。
【0011】
本明細書での更に別の実施形態では、動物の胃腸管内に存在する親油性物質を硬化する方法が提供され、ここでこの方法は、安全且つ有効な量の硬化剤を含む組成物を動物に投与することを含み、ここでこの硬化剤は本明細書に記載されており、約33℃以上の完全融点を有する。本明細書の方法はまた、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減、血中コレステロール値の低減、飽満感の誘導、減量の達成、体重調整の達成、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせから選択されるものを包含し、前記方法は、安全且つ有効な量のリパーゼ阻害物質と共に安全且つ有効な量の硬化剤を含む組成物を動物に投与することを含む。
【0012】
次のものを含むキットを包含する、種々のキットもまた本明細書で提供される:
(a)本明細書に記載されたような硬化剤を含む第1の組成物であって、ここで前記硬化剤は約33℃以上の完全融点を有する第1の組成物;及び
(b)リパーゼ阻害物質を含む第2の組成物。
【0013】
他のキットは次のものを含むものを包含する:
(a)本明細書に記載するような硬化剤を含む組成物であって、ここで前記硬化剤は約33℃以上の完全融点を有する、組成物;及び
(b)リパーゼ阻害物質;及び
(c)前記組成物の使用が、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、減量、体重調整、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される一以上の利益を提供するという前記組成物に関連する情報。
【0014】
本発明のこれらの及び他の実施形態は、本明細書に更に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
例えば刊行物及び特許を包含する様々な文献が、本開示を通して引用される。このようなすべての文献は参考として本明細書に組み込まれる。
百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、総組成物を基準にして計算される。
本発明で使用する様々な成分を包含する構成成分の商品名が本明細書で参照される。本発明者らは本明細書において、ある特定の商品名下にある物質に限定することを意図するものではない。商品名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる供給源から異なる名称又は参照番号で得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられてもよく、及び使用されてもよい。
【0016】
本明細書で使用される時、ここで変数、部分、基又は類似物が変数や構造において一回より多く出現する場合、各出現における定義は、ほかのすべての出現における定義とは独立である。
本発明の記載において、様々な実施形態及び/又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであろうが、これらの実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい手法となり得る。
【0017】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないかなる要素を含んでもよいし、いかなる要素から本質的に成ってもよいし、いかなる要素から成ってもよい。
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を説明及び記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であると共に、本発明の好ましい実施となり得る。
【0018】
本明細書で使用する時、「アルケニル」とは、2個〜約24個の炭素原子を有する、非置換又は置換炭化水素鎖ラジカルである。本明細書で特に指定されない限り(例えば、後述の「R」ラジカルに関して)、より好ましいアルケニルラジカルは2個〜約10個の炭素原子、より好ましくは2個〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2個〜約6個の炭素原子を有している。アルケニルラジカルは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する。アルケニルラジカルの非限定例には、ビニル、アリル、及びブテニルが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する時、「アルコキシ」は、アルキル、アルケニル、又はアルキニル、好ましくはアルキル又はアルケニル、最も好ましくはアルキル置換基を有する酸素ラジカルである。アルコキシラジカルの例には、−O−アルキル及び−O−アルケニルが挙げられる。アルコキシラジカルは、置換であっても非置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用する時、「アルキル」は、1個〜約24個の炭素原子を有する、非置換又は置換飽和炭化水素鎖ラジカルである。本明細書で特に指定されない限り(例えば、後述の「R」ラジカルに関して)、より好ましいアルキルラジカルは、1個〜約10個の炭素原子、より好ましくは1個〜約6個の炭素原子、最も好ましくは1個〜約4個の炭素原子を有している。好ましいアルキルラジカルには、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する時、「アルキニル」は、2個〜約24個の炭素原子を有する、非置換又は置換炭化水素鎖ラジカルである。本明細書で特に指定されない限り(例えば、後述の「R」ラジカルに関して)、より好ましいアルキニルラジカルは、2個〜約10個の炭素原子、より好ましくは2個〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2個〜約6個の炭素原子を有している。アルキニルラジカルは、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する。
【0022】
本明細書で使用する時、用語「動物」は、ヒト、及びコンパニオンアニマル(例えば、家庭猫、犬、馬、牛、又は他の同様の動物)のような哺乳類を含めた脊椎動物を包含し、最も好ましくはヒトである。
【0023】
本明細書で使用する時、「ヘテロアルケニル」は、炭素原子及び一以上のヘテロ原子から成るラジカルであって、前記ヘテロ原子は、酸素、イオウ、窒素、及びリン、より好ましくは、酸素、イオウ、及び窒素から成る群から選択される。ヘテロアルケニルラジカルは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む。本明細書で特に指定されない限り、より好ましいヘテロアルケニルラジカルは、2個〜約10個の炭素原子、より好ましくは2個〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2個〜約6個の炭素原子を有する。ヘテロアルケニルラジカルは、置換であっても、非置換であってもよい。
【0024】
本明細書で使用する時、「ヘテロアルキル」は、少なくとも一つの炭素原子及び一以上のヘテロ原子から成るラジカルであって、ここで前記ヘテロ原子は、酸素、イオウ、窒素、及びリン、より好ましくは、酸素、イオウ、及び窒素から成る群から選択される。ヘテロアルキルラジカルは、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を含有しない。本明細書で特に指定されない限り、より好ましいヘテロアルキルラジカルは、1個〜約10個の炭素原子、より好ましくは2個〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2個〜約6個の炭素原子を有する。ヘテロアルキルラジカルは置換であっても非置換であってもよい。
【0025】
本明細書で使用する時、「ヘテロアルキニル」は、炭素原子及び一以上のヘテロ原子から成るラジカルであって、ここで前記ヘテロ原子は、酸素、イオウ、窒素、及びリン、より好ましくは、酸素、イオウ、及び窒素から成る群から選択される。ヘテロアルキニルラジカルは少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む。本明細書で特に指定されない限り、より好ましいヘテロアルキニルラジカルは、2個〜約10個の炭素原子、より好ましくは2個〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2個〜約6個の炭素原子を有する。ヘテロアルキニルラジカルは置換であっても非置換であってもよい。
【0026】
本明細書で使用する時、「塩」とは、酸の塩基による少なくとも部分的な中和により、又は塩基の酸による少なくとも部分的な中和により形成される化合物である。塩類は有機であっても無機であってもよい。このような塩の多くが、当該技術分野で既知である。例としては、ステアリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及び塩酸オクタデシルアミンが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用する時、特に指定されない限り、基、部分などに関連する用語「置換」とは、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、ハロ、カルボキシ、アルコキシアシル(例えばカルボエチオキシ(carboethyoxy))、チオール、イミノ、チオキソ、及びヒドロキシアルキル、好ましくはアルキル、アルケニル、アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、及びハロ、より好ましくはアルキル、アルケニル、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、及びハロ、更により好ましくはアルキル及びアルコキシから選択され、最も好ましくはアルコキシである、一以上のペンダント置換基を有することを意味する。
【0028】
本明細書で使用する時、用語「非置換」とは置換されていないことを意味する。
【0029】
本明細書で使用する時、用語「脂質」とは、脂肪類、油類、トリグリセリド類、ジグリセリド類、モノグリセリド類などを指す。
【0030】
本明細書で使用する時、用語「親油性物質」、「親油性化合物」などは、特性が実質的に非極性であるあらゆる物質のことを言う。このような物質の非限定例としては、コレステロール、DDTなどの農薬、トコフェロール、テルペン類などが挙げられる。このような物質のオクタノール/水分配係数は、ハンシュ・C(Hansch,C.)及びレオ・A・J(Leo,A.J.)、「化学及び生物学における相関分析に関する置換定数(Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology)」、ジョンワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(1979年)に記載されている方法に従って測定される場合、通常、1を超える。
【0031】
本明細書で使用する時、所与の物質に関連して「製薬上許容できる」とは、この物質が、動物に対する安全性の点で過度の危険性を伴わずに、治療が意図されている動物に使用するのに好適である、ということを意味する。所与の物質が製薬上許容可能か否かは、当業者には判定できる。
【0032】
本明細書で使用する時、参照された物質の「安全且つ有効な量」とは、過度の有害な副作用(毒性、炎症、アレルギー反応など)を伴わずに生物化学的な又はその他の活性を示すのに効果的であり、本発明の様式で使用する場合の妥当な利益/危険比と釣り合うような参照物質の量を意味する。具体的な「安全且つ有効な量」は明らかに、治療する特定の条件、治療される動物の身体的条件、治療される動物の大きさ及び体重、治療期間、併用療法の性質(もしあれば)、使用する固有の剤形、組成物中の他の構成成分、及び組成物に望ましい投与計画といった要因を考慮して変化する。安全且つ有効な量であるか否かは、当業者には判定できる。
【0033】
(本発明の組成物)
本発明は、例えばリパーゼ阻害物質などの化合物に関連する望ましくない副作用を改善することを包含する、種々の利益のために好適な組成物に関する。特に、本発明の一実施形態は、動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的でその動物に投与するのに好適である組成物に関し、ここでこの組成物は本明細書に記載するような安全且つ有効な量の硬化剤を含む。全体に渡って使用される時、こうした親油性物質を硬化することには、生体内での物質の粘度を増加させることが包含され、それにより固体、半固体、ペースト、ゲルなどが形成され、その結果、この組成物の投与に際する前述の副作用は改善されることになる。理論に制限されるものではないが、本組成物はこうした硬化物質の形成を誘導するのに有用であり、それにより未消化、未硬化の脂肪類、油類、他の脂質類、又はその他の親油性物質に関連した副作用を改善すると考えられており、こうした副作用には肛門漏出、軟便等が包含されることがある。
【0034】
本発明の別の実施形態は、次:
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びそれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤であって、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから選択される;及び
(b)リパーゼ阻害物質;
を含む組成物であって、ここで、前記硬化剤とリパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約1:1である。
【0035】
(硬化剤)
硬化剤は約33℃以上の完全融点を有する。ある特定の物質は融点範囲を有し、ここで更に硬化剤が構成成分の混合物である場合には、その硬化剤もまた融点範囲を有することが認識されている。本発明の目的のためには、前述の「完全融点」とは、その硬化剤(構成成分の混合物である硬化剤類を包含する)が当業者に周知の標準条件を用いて完全に融解される融点を指す。
【0036】
好ましい硬化剤は、約37℃以上、42℃以上、50℃以上、又は60℃以上の完全融点を有するものを包含することが多い。好ましい硬化剤には、約33℃〜約100℃、約33℃〜約90℃、約33℃〜約80℃、又は約33℃〜約70℃の完全融点を有するものが包含されることが多い。或いは、これらの各範囲の下限値を、約42℃、約50℃、又は約60℃で置き換えてもよい。
【0037】
硬化剤は、R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びそれらの混合物から選択され、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’は、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される。
【0038】
本明細書のより好ましい実施形態では、硬化剤はR−COOR’、これらの塩類、及びそれらの混合物から選択される。本明細書の更により好ましい実施形態では、硬化剤は、R−COOH、これらの塩類、及びそれらの混合物から選択される。特に好ましい実施形態では、硬化剤はR−COOHの塩である。
【0039】
本明細書で使用する時、硬化剤は約33℃以上の完全融点を有する。ある特定の物質は融点の範囲を有し、更にここで硬化剤が構成成分の混合物である場合には、その硬化剤もまた融点範囲を有することが認識されている。本発明の目的のためには、前述の「完全融点」とは、その硬化剤(構成成分の混合物である硬化剤を包含する)が、当業者に周知の標準条件を用いて完全に融解される融点を指す。
【0040】
好ましい硬化剤は、約37℃以上、42℃以上、50℃以上、又は60℃以上の完全融点を有するものを包含することが多い。好ましい硬化剤には、約33℃〜約100℃、約33℃〜約90℃、約33℃〜約80℃、又は約33℃〜約70℃の完全融点を有するものが包含されることが多い。或いは、これらの各範囲の下限値を、約42℃、約50℃、又は約60℃で置き換えてもよい。
【0041】
硬化剤がR−COOR’である場合、好ましい硬化剤は脂肪酸類(即ちR’が水素である構成成分)を包含する。脂肪酸類は一般に当該技術分野で既知であり、それは当業者には理解されるであろう。利用される脂肪酸は、硬化剤が上述の融点を有する限り制限しなくてよい。この好ましい実施形態では、硬化剤は以下のように表されることも可能である:
R−COOH
式中、「R」は、約14個〜約24個の炭素原子を有する飽和又は不飽和鎖である脂肪酸鎖であり、「COOH」はカルボン酸部分である。この実施形態においてより好ましくは、「R」は約18個〜約24個、最も好ましくは約18個〜約22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和鎖である。脂肪酸鎖が完全に飽和である(二重結合若しくは三重結合を有さない)、又は一つの二重結合を含有するものもまた、好ましい。最も好ましくは、脂肪酸鎖は飽和であり、即ち二重結合若しくは三重結合を有していない。
【0042】
好ましい脂肪酸としては、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物、又は、別の場合には、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中で、特に好ましい長鎖脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びこれらの混合物、又は、別の場合には、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。ベヘン酸が特に好ましい。
【0043】
硬化剤がR−COOR’であり、ここでR’がアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから選択される(及びRは上記のように定義される)別の実施形態では、硬化剤は好ましくは前述の脂肪酸のエステルである。脂肪酸類のエステル類もまた、当業者には周知であろう。この場合もまた、硬化剤が上述の融点を有する限り、脂肪酸のエステルは制限されなくてよい。
【0044】
この好ましい実施形態では、R’は直鎖(例えばn−プロピル)であっても、分枝鎖(例えばイソ−プロピル)であってもよい。極めて好ましいR’基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル及びイソ−ブチル基、並びにこれらの混合物が挙げられる。エチル基が特に好ましい。
【0045】
硬化剤がR−OR’で表される別の好ましい実施形態では、硬化剤は好ましくは脂肪族アルコール(即ち、R’は水素及び(並びにRは上述のように定義される)である化合物)である。脂肪族アルコール類は当該技術分野で一般に既知であり、それは当業者には理解されるであろう。硬化剤が前述の融点を有する限り、利用される脂肪族アルコールは制限されなくてよい。この好ましい実施形態では、硬化剤は以下のように表される:
R−OH
式中、「R」は約14個〜約24個の炭素原子を有する飽和又は不飽和鎖である脂肪酸鎖であり、ここでOHはヒドロキシ部分である。この実施形態においてより好ましくは、「R」は約18個〜約24個、最も好ましくは約18個〜約22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和鎖である。脂肪族アルコール鎖がアルキル又はアルケニルであるものもまた好ましい。最も好ましくは、脂肪族アルコール鎖はアルキルである。好ましい脂肪族アルコール類としては、パルミチルアルコール及びステアリルアルコールが挙げられる。
【0046】
R−OR’で表されるが、ここでR’はアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、ヘテロアルキニルラジカルから選択される、(及びRは上述のように定義される)その他の硬化剤としては、好ましくは、前述の脂肪族アルコール類のエーテル類が挙げられる。脂肪族アルコール類のエーテル類は当該技術分野で周知である。この場合もまた、硬化剤が上述の融点を有する限り、脂肪族アルコールのエーテルは制限されなくてよい。
【0047】
硬化剤がエーテルである特に好ましい実施形態においては、R’は炭素原子の、好ましくは1個〜約24個の炭素原子を含有する、直鎖又は分枝鎖である。更により好ましくは、R’は1個〜約22個の炭素原子を含有し、この場合もまた、直鎖(例えばn−プロピル)又は分枝鎖(例えばイソ−プロピル)であってもよい。極めて好ましいR’基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル基、及びこれらの混合物が挙げられる。エチル基が特に好ましい。
【0048】
好ましいエーテル類の例としては、ステアリルメチルエーテル、ステアリルエトキシエーテル(即ち、ステアリルアルコールのエチレングリコール付加物)、及びセチルエトキシエーテル(即ち、セチルアルコールのエチレングリコール付加物)が挙げられる。
【0049】
本明細書の一実施形態では、硬化剤は、R−CONR’R”であり、式中、Rは上述のように定義され、R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから選択される。硬化剤が上述の融点を有する限り、このようなアミドは制限されなくてよい。非限定例としてはエルカミドが挙げられる。この実施形態において最も好ましくは、R’及びR”の内少なくとも一つは水素ではない。
【0050】
他の硬化剤はR−NR’R”で表される。R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから選択される(並びにRは上述のように定義される)。従って、アミンは一級、二級、又は三級アミンであり得る。この場合もまた、硬化剤が上述の融点を有する限り、アミンは制限されなくてよい。この実施形態で最も好ましくは、R’及びR”の内少なくとも一つは水素ではない。好ましいアミンの非限定例としてはオクタデシルアミンがある。
【0051】
硬化剤が塩である場合、この硬化剤は製薬上許容可能な塩である。このような塩類は当業者には周知である。この場合もまた、硬化剤が上述の融点を有する限り、塩は制限されなくてよい。
【0052】
本明細書で特に好ましい塩類としては、前述の脂肪酸類の塩類が挙げられる。例えば、こうした塩類としては、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物の塩類を挙げることができる。これらの中で、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びこれらの混合物の塩類が特に好ましい。
【0053】
例として、好ましい塩類としては、例えば、アルミニウム塩類及び亜鉛塩類、並びにナトリウム塩類及びカリウム塩類などのアルカリ金属塩類、マグネシウム塩類及びカルシウム塩類などのアルカリ土類金属塩類が挙げられる。マグネシウム塩類、ナトリウム塩類、カルシウム塩類、又はアルミニウム塩類が本明細書で特に好ましい。これらの中で、カルシウム塩類及びアルミニウム塩類が最も好ましいことが多い。塩類は最も好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、アラキジン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸マグネシウム、アラキジン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸アルミニウム、アラキジン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、アラキジン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、及びこれらの混合物から選択される。ステアリン酸カルシウムが本明細書で特に好ましい。
【0054】
硬化剤は、好ましくは、特定の目的及び治療される動物に対し安全且つ有効な濃度で、本明細書に記載の組成物に包含される。こうしたものとして、これらの濃度は当業者には容易に理解されるであろう。本明細書の好ましい実施形態では、組成物又はキットは、本明細書で後述するリパーゼ阻害物質に対する重量比(例えば、硬化剤とリパーゼ阻害物質との重量比が、好ましくは少なくとも約1:1である)に基づいた硬化剤を含む。
【0055】
加えて、所与の組成物は任意で、組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、又は少なくとも約1重量%、又は少なくとも約5重量%の硬化剤を含んでいてもよい。他の好ましい組成物においては、組成物は任意で、組成物の約0.1重量%〜約99重量%、約0.2重量%〜約95重量%、約0.5重量%〜約95重量%、約0.8重量%〜約95重量%、又は約1重量%〜約95重量%、又は約5重量%〜約95重量%の硬化剤を含んでいてもよい。所与の組成物又はキット中にリパーゼ阻害物質が存在する特に好ましい実施形態においては、硬化剤のこのような濃度は、本明細書で後述するような、硬化剤のリパーゼ阻害物質に対する好ましい比率に合致する。
【0056】
硬化剤に対する補助剤として、一以上の製薬上許容できる塩類が組成物中に包含されることが好ましいことも多い。例えば、硬化剤が脂肪酸を含む場合、組成物又はキットが製薬上許容できる塩を更に含む場合には、その塩は摂取後にその場で脂肪酸と不溶性物質(これは簡略化のために「不溶性石鹸」と記載されてもよい)を形成する場合があることが見出された。その場で形成されたこうした不溶性の物質は、胃腸管内に存在する親油性の物質の硬化を更に補助する場合がある。それ故に、本明細書の所与の組成物は、任意で、硬化剤とは区別される一以上の製薬上許容できる塩類を含んでいてもよい。こうした塩類は当業者には周知である。例としては、特定の塩類には、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸亜鉛などが包含される。所与の組成物中に塩が存在する場合、組成物は任意で、組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より好ましくは1重量%〜約60重量%、最も好ましくは約5重量%〜約50重量%の製薬上許容できる塩を含んでいてもよい。
【0057】
(リパーゼ阻害物質)
本発明の特定の実施形態で利用されるリパーゼ阻害物質は、当業者に、より容易に理解されるであろう。一例として、一以上の種々のリパーゼ阻害物質が任意で本組成物に包含されてもよく、又は他の態様で本組成物と共に(例えば、本組成物と同時に、又は組成物の投与に対して予め決められた時間に)投与されてもよい。
【0058】
リパーゼ阻害物質は、親油性毒素を溶解でき、体内からのそれらの排出を促進できる未消化脂肪及び/又は油をその場で効果的に製造する。このようなリパーゼ阻害物質は、肥満症、2型糖尿病の治療若しくは予防、又はその他の類似利益のために有用であることが実証されてきた。こうした化合物の例としては、米国特許第4,598,089号(ハドバリー(Hadvary)ら、1986年7月1日発行)に記載されている、テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット;F.ホフマン−ラ・ロッチェ社(F.Hoffman-La Roche Ltd)、スイス、ベイセル(Basel)により、薬剤物質ゼニカル(XENICAL)(登録商標)として市販)及びその誘導体類(例えばリプスタチン)が挙げられ、次の構造を有するテトラヒドロリプスタチンが包含される:
【0059】
【化1】

及び、次の構造を有するリプスタチンもまた包含される:
【0060】
【化2】

リパーゼ阻害物質の他の非限定例としては、PCT国際公開特許WO00/40247(2000年7月13日公開)に記載されているような2−アミノ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン及びその誘導体類;PCT国際公開特許WO00/40569(2000年7月13日公開)に記載されているような2−オキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン類及びその誘導体類;及びPCT国際公開特許01/53278(2001年7月26日公開)に記載されているような2−チオ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン及びその誘導体類が挙げられる。これらには、米国特許第6,624,161号に記載されているようなATL−962、及び関連化合物(アリザイム医療(Alizyme Therapeutics Limited)、並びにPCT国際公開特許00/40569に記載されているようなその他のリパーゼ阻害物質類を有利に包含する。
【0061】
特に、米国特許第6,624,161号に記載された例示のための例としては、2−エトキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−フェノキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(4−メチルフェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−クロロエトキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−プロポキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−フェノキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−プロポキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−エチルヘキシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−オクチルオキシー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−エチルヘキシルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−エチル−2−ヘキシルオキシー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−デシルオキシー6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−テタデシルオキシ(tetadecyloxy)ー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−ペンタデシルオキシー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシー6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘプタデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−オクタデシルオキシー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−エチルー2−ヘキシルオキシー4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−[2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エトキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;(Z)−6−メチル−2−(オクタデカ−9−エニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(10−フェニルデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−エチルー2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メトキシ−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ドセシルオキシ(docecyloxy)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−ヨードー2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−ブチルー2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(8−フェニルオクチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(4−フェニルブチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(12−フェニルドデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;(Z)−6−メチル−2−(オクタデカ−11−エニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(オクタデカ−11−イニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−[−10−(チエン−2−イル)−デシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;5−フルオロ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;8−フルオロー2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−フルオロ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−クロロ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−シクロプロピル−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−ヒドロキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−メルカプト−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−アミノ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−ニトロ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−シアノ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−トリフルオロメチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−ホルミル−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−アセトアミド−2−デキサデシルオキシ(dexadecyloxy)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−スルホ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−7−トリフルオロメチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−7−ヒドロキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−アミノ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−シクロプロピル−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−クロロ−2−ヘキサデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−4H−ピリド[2,3−d][1,3]オキサジン−4−オン;(E)−2−(ヘキサデカ−5−エニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−ナプチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(3−ピリジルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−ピロリルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−ピペリジニル−オキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−[6−(2−ピロル)イル−ヘキシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(14−シアノテトラデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(14−ニトロテトラデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(15−メトキシペンタデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(15−フェニルペンタデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(14−アミノテトラデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(14−ヒドロキシテトラデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(12−N−メチルカルバモイルドデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6,7−ジメチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;5−メチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−オクチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−オクチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(5−クロロペンチルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2,2’−(1,16−ヘキサデシリデンジオキシ)−ビス−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6,8−ジメチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(6−フェノキシヘキシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;及び、6−メチル−2−[6−(4−フェノキシフェノキシ)ヘキシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンが挙げられる。これらの化合物の中で好ましいものとして、2−(4−メチルフェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(4−クロロフェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−フェノキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−エチルヘキシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(2−エチルヘキシルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−エチル−2−ヘキシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−エチル−2−ヘキシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−エチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メトキシ−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−ヨード−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−ブチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(8−フェニルオクチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(4−フェニルブチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;及び、5−メチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンが挙げられる。他の好ましい化合物としては、2−デシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−テトラデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−ペンタデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ヘプタデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−オクタデシルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−[2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エトキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;(Z)−6−メチル−2−(オクタデカ−9−エニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(10−フェニルデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−ドセシルオキシ(docecyloxy)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(12−フェニルドデシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;(Z)−6−メチル−2−(オクタデカ−11−エニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(オクタデカ−11−イニルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−[−10−(チエン−2−イル)−デシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;7−オクチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−オクチル−2−オクチルオキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2−(5−クロロペンチルオキシ)−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;2,2’−(1,16−ヘキサデシリデンジオキシ)−ビス−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−(6−フェノキシヘキシルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;及び6−メチル−2−[6−(4−フェノキシフェノキシ)ヘキシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンが挙げられる。これらの中で、特に好ましいものとして、2−デシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;6−メチル−2−テトラデシルオキシ]−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;及び2−ヘキサデシルオキシ−6−
メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン;が挙げられる。これらの中で、2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンが特に好ましい。当業者には認識されるように、これらの化合物のすべては、それらの互変異性体、並びに、(限定はされないが)それらの製薬上許容できる塩類、エステル類、アミド類、又はプロドラッグ類にまで及ぶ。
【0062】
リパーゼ阻害物質のその他の非限定例としては、ハン(Han)ら、肥満とその代謝障害の国際ジャーナル(Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.)第25巻、1459〜1464頁、2001年に記載されているティーサポニン;シュー(Chiou)ら、脂質(Lipids)、第36巻、535〜542頁、2001年に記載されている長鎖α−ケトアミド類;ヤマモト(Yamamoto)ら、肥満とその代謝障害の国際ジャーナル(Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.)、第24巻、758〜764頁、2000年に記載されているノマメ薬草の抽出物;カバリエ(Cavalier)ら、「脂質の物理化学(Chem.Phys.Lipids)」、第100巻、3〜31頁、1999年に記載されているキラルアルキルホスホネート類;トモダ(Tomoda)ら、生物物理化学リサーチコミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第265巻、536〜540頁、1999年に記載されているβ−ラクトンのキラル異性体類;及びコマイ(Comai)ら、国際肥満研究ジャーナル(Int.J.Obes.)、第4巻、33〜42頁、1980年に記載されているプルロニック(Pluronic)L−101が挙げられる。
【0063】
リパーゼ阻害物質が利用される場合、そのリパーゼ阻害物質は、好ましくは所与の組成物中に、特定の目的及び治療される動物に対して安全且つ有効な濃度で包含される。これらの濃度は、そのようなものとして、当業者に容易に理解されるであろう。本明細書の好ましい実施形態では、組成物又はキットは、リパーゼ阻害物質を本明細書で以下に記載する硬化剤に対する重量比に基づいて(例えば、硬化剤とリパーゼ阻害物質の重量比で、好ましくは少なくとも約4.5:1で)含む。
【0064】
別の場合、又はそれに加えて、所与の組成物は任意で、その関連組成物の少なくとも約0.001重量%、少なくとも約0.002重量%、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.05重量%、又は少なくとも約0.1重量%のリパーゼ阻害物質を含んでもよい。他の好ましい組成物では、組成物は任意で、その組成物の約0.001重量%〜約15重量%、約0.002重量%〜約10重量%、約0.005重量%〜約4重量%、約0.01重量%〜約2重量%、又は約0.1重量%〜約1重量%のリパーゼ阻害物質を含んでもよい。特に好ましい実施形態では、リパーゼ阻害物質が所与の組成物又はキット内に存在する場合、リパーゼ阻害物質のこのような濃度は、本明細書中以下に記載するような、硬化剤のリパーゼ阻害物質に対する好ましい比率と合致する。
【0065】
(硬化剤とリパーゼ阻害物質との比率)
本明細書の好ましい実施形態では、組成物又はキットは、硬化剤対リパーゼ阻害物質の重量比が少なくとも約1:1である、硬化剤及びリパーゼ阻害物質を含む。特に好ましい実施形態では、こうした比率は、本明細書で前述した硬化剤とリパーゼ阻害物質のそれぞれの好ましい濃度と合致する。
【0066】
他の好ましい実施形態では、硬化剤とリパーゼ阻害物質の重量比は、少なくとも約2:1、或いは少なくとも約3:1、或いは少なくとも約4:1、或いは少なくとも約4.5:1、或いは少なくとも約5:1、或いは少なくとも約6:1、或いは少なくとも約7:1、或いは少なくとも約8:1である。更に他の好ましい実施形態では、硬化剤とリパーゼ阻害物質の重量比は、約1:1〜約100:1、或いは約2:1〜約100:1、或いは約3:1〜約100:1、或いは約4:1〜約100:1、或いは約4.5:1〜約100:1、或いは約5:1〜約75:1、或いは約6:1〜約50:1、或いは約7:1〜約40:1、或いは約8:1〜約30:1である。
【0067】
(本発明のキット)
本発明の特定の実施形態では、硬化剤及びリパーゼ阻害物質は、別々に服用できる組成物、例えば包装容器内で共に包装される別々の剤形に配合されてもよい。この実施形態は配合の問題を簡素化するため、又は所与の構成成分の連続服用に有用であることがあり得る。従って、本発明の追加の実施形態として、次:
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩、及びそれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤を含む第1の組成物であって、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される;及び
(b)リパーゼ阻害物質を含む第2の組成物;
を含むキットが提供される。
【0068】
あらゆる種々の他の任意構成成分と同様に、このキットは任意で、本明細書で後述する非消化性、非吸収性、連続気泡ポリマー発泡体(open-celled polymeric foam)を含んでもよい。
【0069】
本組成物の更なる実施形態では、他のキットは次:
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩、及びそれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤を含む組成物であって、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される;及び
(b)任意で、リパーゼ阻害物質;及び
(c)組成物の使用が、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、減量、体重調整、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせから選択される、一以上の利益を提供するという、組成物に関連する情報;
を含むことも可能である。
【0070】
あらゆる種々の他の任意構成成分と同様に、このキットはまた、任意で、本明細書で後述する非消化性、非吸収性、連続気泡ポリマー発泡体を含んでいてもよい。好ましくは、前記キットの情報は、組成物を使用のための指示に従って使用した場合に、本明細書に記載の利益の一つがもたらされるということを表示している。
【0071】
更に別の実施形態では、本キットは、本発明の組成物の投与に関する遵守改善のための助けとなるものを包含する。この実施形態では、キットは次:
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩、及びそれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤であって、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される;及び
(b)任意で、リパーゼ阻害物質;及び
(c)使用のための指導又は説明書;
を含むことが可能である。
【0072】
あらゆる種々の他の任意構成成分と同様に、このキットはまた任意で、本明細書で後述する非消化性、非吸収性、連続気泡ポリマー発泡体を含んでいてもよい。
【0073】
例えば、このような使用指導又は使用説明書は、推奨投与量及び投与頻度、許容最大用量、及び/又はあらゆる禁忌を含んでいてもよい。特に好ましい例としては、このようなキットはブリスターカード(blister cards)を包含してもよく、ここで各カードはユーザーによって投与されるべき組成物の一日の総用量を含む。ブリスターカードは、通常は切り取り線によって、セクションに分割されることもあり、この場合ブリスターカードの各用量セクションは、組成物の処方量又は用量を単独で含むか、或いは、例えば本発明の組成物と一体となっているか又は完全に別個の一つ以上のリパーゼ阻害物質と共に含まれる。例えば、PCT国際公開特許WO9822072(1998年5月28日公開)を参照のこと。
【0074】
(本明細書の組成物及びキットの任意構成成分及び形態)
本明細書に記載の種々の組成物は、本明細書に記載の処置、例えば、動物における、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減(例えば、胃腸管における)、血中コレステロール値の低減、飽満感の誘導、減量の達成、体重調整の達成、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせに関する、それらの有用性を向上させるために好適な、一以上の任意構成成分を含有してもよい。例えば、種々の任意構成成分は、関連組成物の製剤の簡易性、安定性、美味性、外観又はその他類似の品質の改善を補助することが可能である。
【0075】
好ましくは、本発明の化合物は、前述のような状態の治療において使用するための組成物に製剤される。レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、ペンシルベニア州、イーストン(Easton)(1990年)に記載されているものなどの標準的な製剤技術を使用する。
【0076】
組成物は、例えば、カプセル、ピル、カプレット、錠剤、咀しゃく錠、懸濁液、坐薬などを包含するいずれかの便利な形態で投与することが可能である。例えば、機械装置を使用し、当業者に既知の好適な結合剤及び/又はコーティング剤を利用するカプセル及び錠剤を包含する固体形態へと発泡体を圧縮する、好適な剤形を製造するためのいずれかの方法又はプロセスを使用してもよい。錠剤は、適切な結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香料、流動化剤(flow−inducing agents)及び融解剤を含有する圧縮錠、粉薬錠剤、腸溶性コーティング錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、又は多重圧縮錠であることができる。液状の経口剤形には、水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡性粒剤より還元した溶液及び/又は懸濁液、発泡性粒剤より還元した発泡性調剤、好適な溶媒、保存料、乳化剤、懸濁化剤、希釈液、甘味剤、融解剤、着色剤、着香剤などが包含される。
【0077】
経口投与される組成物はまた、溶液、エマルション、懸濁液、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤なども包含できる。そのような組成物の調製に好適な製薬上許容可能なキャリアは、当業者に周知である。シロップ剤、エリキシル剤、エマルション及び懸濁液のためのキャリアの典型的な構成成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液、典型的な懸濁化剤には、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アビセル(AVICEL)RC−591、トラガカント、及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤には、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ;典型的な保存剤には、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液組成物はまた、甘味剤、着香剤、又は着色料などの一以上の構成成分を含有してもよい。
【0078】
対象の化合物が所望する局所適用の近傍の胃腸管で放出されるように、又は所望の作用を延長するために様々な時間で放出されるように、そのような組成物が、従来の方法、典型的にはpH又は時間依存性のコーティングによって被覆されてもよい。このような剤形としては、典型的には、一以上の、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、ユードラギット(EUDRAGIT)コーティング剤、ワックス類及びセラックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
前記全てにおいて、言うまでもなく、本明細書に記載される構成成分は、単独又は混合物として投与することができ、組成物は所望の処置又は使用に適当な追加の薬剤又は賦形剤を更に包含してもよい。
【0080】
本明細書に記載されたような所与の構成成分(例えば、硬化剤又はリパーゼ阻害物質)に加えて、本発明の組成物は製薬上許容可能なキャリアを含有していてもよい。用語「製薬上許容可能なキャリア」とは、本明細書で使用する時、動物に投与するのに好適な、一以上の適合性の固体又は液体の充填剤希釈剤又はカプセル化物質を意味する。「適合性の」という用語は、本明細書で使用する時、通常の使用状況下で組成物の有効性を実質的に減少させる相互作用がないような態様において、これらの任意構成成分が本明細書に記載の構成成分(例えば硬化剤又はリパーゼ阻害物質)と、及び相互に混和できることを意味する。製薬上許容可能なキャリアは、不活性であるか又は、それ自体の機能的利益を有し得る。
【0081】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、PCT国際公開特許WO02/074343(2002年9月26日公開)による連続気泡ポリマー発泡体(open-celled polymeric foam)を組み込んでいてもよい。この実施形態では、連続気泡ポリマー発泡体が硬化剤との組み合わせにおいてリパーゼ阻害物質に関連する前述の副作用を改善するために効果的であるので、硬化剤とリパーゼ阻害物質との比率は重要ではない場合があることが分かる。特に、この実施形態では、本組成物は次:
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩、及びそれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤であって、式中、
i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される;及び
(b)非消化性、非吸収性、連続気泡ポリマー発泡体;及び
(c)リパーゼ阻害物質;
を含むことが可能である。
【0082】
言うまでもなく、硬化剤及びリパーゼ阻害物質に関する選択、並びにそれらのそれぞれの濃度及び相互に対する比率は上述の通りであり得る。それ故、これらについては再び繰り返さず、簡潔にする。加えて、連続気泡ポリマー発泡体はPCT国際公開特許WO02/074343(2002年9月26日公開)に記載されており、当業者はこの特許の開示に基づいてこうした発泡体を組み込むことができる。しかし、便宜上、この発泡体について、次の定義を用いて本明細書の以下に記載する:
本明細書で使用する時、所与の物質に関する「吸収する」という用語は、物質が化学的に変化しているかどうか、或いは代謝されているかどうかに拘わらず、腸の管腔から腸細胞に物質又は物質の分解生成物を輸送するプロセスのことを言う。例えば、次の物質の「吸収」とは、腸壁を通ってそれらが輸送されることを言う:脂肪類、油類、脂肪酸類、石鹸類、モノグリセリド類、トリグリセリド類、ポリグリセリド類、DDT、PCB類、フタレートエステル類、ダイオキシン類、四塩化炭素、コレステロールなど。「吸収性」という用語は、化学的に変化していない状態(例えば、DDT)、或いは胃腸管で化学的に変性した状態(例えば、脂肪類及び油類の加水分解によって脂肪酸類及びモノアシルグリセロールが形成される)のいずれかにおいて、腸壁を通って管腔から輸送され得る物質のことを言う。同様に「未吸収性(unabsorbable)」及び「非吸収性(non-absorbable)」という用語は、腸の管腔から腸細胞に輸送できず、且つ通常環境で胃腸管内にて化学的に変性されて吸収性の物質を形成することができない物質のことを言う。「未吸収性(unabsorbable)」又は「非吸収性(non-absorbable)」物質の例としては、例えば、ミラー(Miller)ら、「基本的な応用毒性学(Fundamental Applied Toxicology)」、第24巻、229〜237頁、1995年に記載されているもの;及びフラム(Flamm)ら、修正版食品科学栄養学(Critical Rev.Food Science Nutrition)、第41(5)巻、353〜362頁、2001年に開示されているイヌリンが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用する時、「非消化性」という用語は、参照された物質が消化酵素の作用によって分解されにくいことを意味する。
【0084】
本明細書で使用する時、連続気泡性のポリマー発泡体に関して使用される「封鎖する」という用語は、物質が、毛管力、物質のポリマー自体(即ち、ストラッツ(struts))への収着及び/又はポリマー表面への吸着によってポリマー発泡体の孔内に保持されることを意味する。
【0085】
この任意の実施形態において記載される発泡体は、非消化性及び非吸収性である。更に、発泡体は連続気泡である。本明細書で使用する時、発泡体は、発泡体構造において少なくとも1μmサイズの気泡の少なくとも約80%が、隣接する少なくとも一つの気泡と障害なく連絡していれば、「連続気泡」である。このような気泡は、発泡体構造内に一方の気泡と他方の気泡とをつなぐ気泡間開口部又は「窓」を有している。
【0086】
このような連続気泡発泡体における個々の気泡は、複数の相互につながった、三次元の分枝網目構造によって定義することも可能である。このような分枝網目構造を構築するポリマー物質の個々のストランドは、本明細書において「ストラッツ」と称される。
【0087】
理論に束縛されることなく、発泡体の気泡サイズは、封鎖した物質の消化を妨げる組成物の性能を決定するのに重要であると考えられている。小さい気泡の発泡体は、大きい気泡の発泡体に比べてより効果的に物質を封鎖し、それにより胃液による消化を妨げると考えられている。
【0088】
高いレベルの効力を得るために、本発明に有用な発泡体は、胃腸管内に存在する物質の封鎖能力又は物質との結合能力が高いことが望ましい。好都合な投与計画のためには、有効用量は食物摂取時に比較的小さい容量を占めるのが望ましい。そのため、発泡体は極めて圧縮性であり、非常に圧縮された状態で長期間保存された後に胃腸管で発泡体の再膨張が起こるように十分弾力性であることが望ましい。摂取時に発泡体をより圧縮すると、続いて起こる胃腸管での発泡体の体積膨張がより大きくなり、所定体積の消化物質の封鎖能における効力が大きくなる。圧縮度が高くなると、嵩が減り、摂取が促進されて好都合な投与計画が可能となる。
【0089】
高い容量及び高い圧縮度を得るためには、発泡体は比較的大きな空隙体積を有していなければならない。大きな空隙体積は、低密度発泡体の特徴である。発泡体の密度(即ち、空気中での発泡体体積の立方センチメートル当たりの発泡体のグラム数)は、本明細書においては、いかなる制限圧力もない完全に膨張した状態での乾燥重量に基づいて特定される。発泡体の密度を測定するために、発泡体構造の単位体積当たりの固体発泡体物質の重量決定を提供するいかなる適切な重量測定法をも用いることができる。例えば、米国特許第5,387,207号(ダイアー(Dyer)ら、1995年2月7日発行)に更に完全に記載されているASTM重量測定法は、密度決定に用いることができる方法の一つである。
【0090】
発泡体は、発泡体が本明細書に記載されるように非消化性、非吸収性、及び連続気泡性であるという前提で、種々のポリマー物質のいずれで構成されてもよい。有用なポリマー物質の非限定例としては、セルロース類、キチン類、キトサン類、天然スポンジ類、合成スポンジ類、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリスチレン化合物類(polystyrenics)、ポリオレフィン類、これらのコポリマー類、これらの混合物などが挙げられる。合成発泡体を、当業者に周知の種々の技術によって調製してもよい。このような技術の例としては、発泡剤、ポロゲン(porogens)、熱誘導相分離、非溶媒誘導相分離、分散技術、エマルション、逆エマルションなどの使用が挙げられる。
【0091】
(HIPE発泡体)
本明細書で有用な好ましいポリマー発泡体は、油相に対する水相の比率が比較的高い、当該技術分野では一般に「HIPE」として知られている、特定の油中水型エマルションの油相の重合によって調製される。本明細書で使用する場合、こうしたエマルションの重合により得られるポリマー発泡体材料を、本明細書では「HIPE発泡体」と称する。HIPE発泡体は一般に、相互連結した連続気泡の、親油性若しくは両親媒性、可撓性若しくは半可撓性、非イオン性ポリマー発泡体構造を含む。
【0092】
本発明での使用に適切なHIPE発泡体及びこのような発泡体を調製するのに適切なプロセスは、米国特許第5,149,720号(デスマライス(DesMarais)ら、1992年9月22日発行)、米国特許第5,260,345号(デスマライスら、1993年11月9日発行);米国特許第5,268,224号(デスマライスら、1993年12月7日発行);米国特許第5,563,179号(ストーン(Stone)ら、1996年10月8日発行);米国特許第5,650,222号(デスマライスら、1997年7月22日発行);米国特許第5,741,518号(デスマライスら、1998年4月21日発行);及び米国特許第5,827,909号(デスマライスら、1998年10月27日発行)に記載されている。
【0093】
(A.HIPEの構成成分)
HIPE発泡体は、不連続性水相と連続性油相を含むHIPEの重合によって調製してもよく、ここで水と油の重量比は少なくとも約10:1である。水相は一般に電解質及び水溶性反応開始剤を含有する。油相は一般にフリーラジカルにより重合され得る実質的に非水溶性のモノマー、乳化剤、及び以下に定義されるその他の任意成分から成る。モノマーは、得られるポリマー発泡体に所望される特性、例えば最終用途に十分な機械的完全性、可撓性、弾力性、親油性特性、及び経済性を与えるように選択される。好ましくは得られた発泡体のガラス転移温度(Tg)は、発泡体が圧縮されて、その嵩が小さくなり、それによって摂取を促進するのに十分な可撓性を与えるために、約−40℃〜約90℃である。
【0094】
(1)HIPEの油相構成成分
HIPEの連続性油相は、重合して固体の発泡体構造を形成するモノマー類及びそのエマルションを安定化するのに必要な乳化剤を含む。一般に、前記モノマー類は、約20重量%〜約95重量%、或いは約45重量%〜約65重量%の、少なくとも一種の実質的に非水溶性の一官能性モノマーを包含し、このモノマーは、ガラス転移温度(Tg)が約90℃以下のアタクチック非晶性ポリマーを形成することが可能である。このコモノマーは、結果として生じるHIPE発泡体の全体のTgを低くするために加えられる。この種類の代表的なモノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、及びテトラデシルメタクリレートなどのC4〜C14アルキルアクリレート類及びC6〜C16メタクリレート類;N−オクタデシル(メタ)アクリルアミドなどの置換型アクリルアミド類又はメタクリルアミド類;イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、ピペリレン、1,3,7−オクタトリエン、β−ミルセン及びアミルブタジエンなどのジエン類;p−n−オクチルスチレンなどの置換型C4〜C12スチレン化合物類;ビニルノルボルネン;及びこのようなモノマーの組み合わせが挙げられる。
【0095】
該油相はまた、約5重量%〜約80重量%の、実質的には非水溶性の、多官能性架橋剤を含む。このコモノマーは、結果として生じるHIPE発泡体に強度を与えるために加えられる。この種類の代表的な架橋モノマーは、ジビニルベンゼン類及びそれらの類似体などの2つ以上の活性化ビニル基を含有する多種多様なモノマーを包含する。これらの類似体としては、m,p−ジビニルベンゼンのエチルスチレンとの混合物、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルビフェニル類、ジビニルフェニルエーテル類、ジビニルフェロセン類、ジビニルフラン類などが挙げられる。その他の有用な架橋剤は、アクリル酸又はメタクリル酸と多官能性アルコール類及びアミン類との反応より誘導される群から選択することも可能である。この群の非限定例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。架橋モノマーのその他の例としては、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、及びトリビニルホスフィンが挙げられる。この点について有用なその他の架橋剤は当業者には周知である。架橋モノマーが普通に混合物(例えば、ジビニルベンゼンはしばしば、残りがエチルスチレンである55%純粋混合物である)として使用される場合には、架橋成分の重量分率は純粋な架橋剤に基づいて計算するということに留意するべきである。上記架橋剤の混合物を使用してもよい(例えば、ジビニルベンゼン、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)。
【0096】
他の実質的に非水溶性コモノマーを油相に0重量%〜約70重量%、或いは約15重量%〜約40重量%の量で加えて、特性を別の方法で修正してもよい。ある特定の場合には、結果として生じるHIPE発泡体に、スチレンによって提供される場合と同等の粘り強さ(toughness)を付与するような「強化(toughening)」モノマーが望ましいことがある。これらには、スチレン、4−tert−ブチルスチレン及びエチルスチレンなどのスチレン化合物、並びにメチルメタクリレートが挙げられる。p−n−オクチルスチレンなど結果として生じるHIPE発泡体のTgを低下し又は強度を増大するためにも役立つことのあるスチレン化合物及びその他の化合物もまた包含される。モノマーを、HIPE発泡体ストラッツ上に湿潤性表面を形成するため、或いはその他のいずれかの目的のために添加してもよい。充填剤などのその他の添加物、又は所望され得る場合その他の物質も、HIPEを硬化する前に加えてもよい。
【0097】
官能基を含有するモノマーを使用してもよい。例えば、アミン基を有するモノマーは、脂肪酸と結合する能力が高い発泡体を提供するのに有用であり得る。ジメチルアミノエチルアクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類は、このようなモノマーの非限定例である。このような官能基は、一般にエマルション形成及び/又は安定性に対して不利益であるので、重合後の発泡体の化学的修正によって官能基の形成を促進するモノマーが有用である場合がある。例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミドのtert−ブチル又はシクロへキシルエステルを含む油相を、HIPE発泡体を製造するために使用してもよい。発泡体を硬化後、tert−ブチル又はシクロヘキシルエステル基を好適な条件下で加水分解して、対応する官能基を含有する発泡体を得てもよい。或いは、官能基を含有するモノマー、又は官能基の形成を促進するモノマーを油相に導入する前に重合してもよく、他のモノマーと共重合してもよい。
【0098】
(2)乳化剤
乳化剤は、HIPEの形成と安定化に必要である。好適な乳化剤は、油相がその油相の約1重量%〜約20重量%の乳化剤を含むように、油相に添加されるのが有利である。高温でHIPEを安定化するのに特に有用な乳化剤が好ましい。次に、特に好ましい、酸化的に安定な乳化剤組成物について考察する。
【0099】
(2.1)主要乳化剤
油相の乳化剤成分は、少なくとも主要乳化剤を含む。適切な主要乳化剤は当業者には周知である。特に好ましい乳化剤には、クリル(CRILL)−6(商標)、スパン(Span)20(商標)、スパン40(商標)、スパン60(商標)、及びスパン80(商標)が挙げられる。これらは名目上、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸の各々から誘導されるソルビタンのエステルである。その他の好ましい乳化剤には、モノオレエート、モノミリステート、モノパルミテート、及びモノイソステアレートの酸類から誘導されるジグリセロールエステル類が挙げられる。別の好ましい乳化剤は、ジグリセロールモノオレエート(DGMO)である。これらの乳化剤の混合物もまた、それぞれの精製したものの場合に、特に、最小レベルのイソソルビド及び多価アルコール不純物を含有するソルビタンエステル類である場合に、とりわけ有用である。
【0100】
好ましい乳化剤は、米国特許第6,207,724号(ハード(Hird)ら、2001年3月27日発行)に記載されている。このような乳化剤は、ヒドロカルビル置換コハク酸又はコハク酸無水物又はそれらの反応同等物を、ポリオール(又はポリオール類のブレンド)、ポリアミン(又はポリアミン類のブレンド)、アルカノールアミン(又はアルカノールアミン類のブレンド)、又は2つ以上のポリオール類、ポリアミン類、及びアルカノールアミン類のブレンドのいずれかと反応させることにより生成する組成物を含む。実質的な炭素−炭素不飽和がなければ、それらは実質的に酸化的に安定化する。
【0101】
(2.2)補助的な乳化剤
これらの主要な乳化剤に加えて、補助的な乳化剤を任意で乳化剤成分に包含することができる。また、当業者は、様々な既知のいかなる種類の乳化剤も用いてよいことを理解するであろう。これらの補助的な乳化剤は油相の中で少なくとも主要な乳化剤と共に可溶性である。補助的な乳化剤は商業的に入手することができ、又は当該技術分野において既知の方法を用いて調製することができる。好ましい補助的な乳化剤は、ジタロージメチルアンモニウムメチルスルフェート及びジタロージメチルアンモニウムメチルクロライドである。これらの任意の補助的な乳化剤が乳化剤成分に包含される場合、主要な乳化剤と補助的な乳化剤の重量比は通常、約50:1〜約1:4、或いは約30:1〜約2:1である。
【0102】
当業者は、教示されてきたように、本発明に有用な発泡体を製造するプロセスにおいていかなる適切な乳化剤(類)も用いることができることを認識するであろう。例えば、米国特許第5,387,207号(ダイアー(Dyer)ら、1995年2月7日発行)及び米国特許第5,563,179号(ストーン(Stone)ら、1996年10月8日発行)を参照のこと。
【0103】
HIPEを形成するのに用いられる油相は、その油相の約85重量%〜約98重量%のモノマー成分及び約2重量%〜約15重量%の乳化剤成分を含む。好ましくは、油相は、その油相の約90重量%〜約97重量%のモノマー成分及び約3重量%〜約10重量%の乳化剤成分を含む。油相はまたその他の任意構成成分を含有することができる。かかる任意構成成分の一つは、米国特許第5,290,820号(バス(Bass)ら、1994年3月1日発行)に記載されているような、当業者に周知の一般型の油溶性重合反応開始剤である。
【0104】
(3)水相構成成分
HIPEの不連続性水性内相は一般に、一つ以上の溶存成分を含有する水性溶液である。この水相の一つの必須溶存成分は、水溶性電解質である。溶存電解質は、本来は油溶性であるモノマー、コモノマー及び架橋剤の水相にも溶解する傾向を最小にする。
【0105】
水相にイオン強度を付与することができるいずれの電解質も使用し得る。好ましい電解質は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水溶性ハロゲン化物(例えば塩化物)、硝酸塩、及び硫酸塩などの一価、二価、又は三価の無機塩である。非限定例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムが挙げられる。ポリマー発泡体を製造するために使用するHIPEには、塩化カルシウムが最も好ましい。一般に電解質は、HIPEの水相中でその水相の約0.2重量%〜約40重量%、或いは約1重量%〜約20重量%、或いは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で利用される。
【0106】
該水相の別の成分は、当業者には既知であろう水溶性フリーラジカル反応開始剤である。反応開始剤は、油相に存在する重合可能なモノマーの総モル数に基づいて約20モル%までの濃度で存在し得る。更に好ましくは、その反応開始剤は、油相の重合可能なモノマーの総モル数に基づいて約0.001モル%〜約10モル%の量で存在する。適切な反応開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムが挙げられる。
【0107】
(B.HIPE発泡体を得る処理条件)
HIPE発泡体の調製は、典型的に次の段階:1)安定な高内相エマルション(HIPE)を形成し;2)気泡ポリマー構造を形成するのに適切な条件下でこの安定なエマルションを硬化し;3)気泡ポリマー構造を圧縮及び洗浄してポリマー発泡体構造から元の残留水相を除去し、必要であれば、ポリマー気泡体構造を親水化界面活性剤及び/又は水和可能な塩で処理して、必要とされる親水化界面活性剤/水和可能な塩を沈着させ、そして4)その後にこのポリマー気泡体構造を脱水すること;を伴う。
【0108】
(1)HIPEの形成
HIPEは水相及び油相成分を、約8:1〜約140:1、或いは約10:1〜約75:1、或いは約13:1〜約65:1の範囲の重量比で組み合わせることによって形成される。上記の説明のように、油相は典型的に必須のモノマー、コモノマー、架橋剤、乳化剤、及び共乳化剤、並びに所望され得る場合は任意の構成成分を含有する。その水相は典型的に、電解質又は電解質類、及び重合反応開始剤又は重合反応開始剤類を含有する。
【0109】
HIPEは、組み合わされた油相及び水相からこれらを剪断攪拌することにより形成することができる。剪断攪拌は、一般に、安定なエマルションを形成するために必要な程度及び時間で行われる。このような工程はバッチ式又は連続式のいずれかで行うことができ、一般にエマルションを形成するのに適切な条件、即ち水相の液滴が、結果として生じるポリマー発泡体が必要とされる構造特性を示す程度に分散するような条件下で行われる。油相及び水相の組み合わせの乳化は、回転翼などの混合装置又は攪拌装置の使用を伴うことが多い。
【0110】
一つの好ましいHIPE発泡体の形成方法は、必要な油相及び水相を組み合わせ、且つ乳化する連続工程を伴う。このような工程においては、油相を含む液体の流れを形成する。同時に、水相を含む別の液体の流れも形成する。二つの別々の流れは、適切な混合室又は混合領域に適切な乳化圧力で提供されてそこで組み合わされ、所望の水相対油相の比率を得る。
【0111】
混合チャンバー又は混合領域において、組み合わされた流れは一般に、例えば、適切な形状及び寸法の回転翼か又は一般に当業者には既知のその他の剪断力又は乱流混合を付与するいずれかの手段により剪断攪拌される。剪断力は、典型的に組み合わされた油相/水相の流れに対し、好適な速度と程度で適用される。一旦形成されると、安定な液体HIPEは次に混合チャンバー又は混合領域から回収又はポンピングされ得る。連続工程によりHIPEを形成するこの好ましい方法については、米国特許第5,149,720号(デスマライスら、1992年9月22日発行)に詳細に記載されている。HIPEの再循環ループを有する改良型連続工程について記載している、米国特許第5,827,909号(デスマライス、1998年10月27日発行)も参照のこと。米国特許第5,817,704号(シャイブリ(Shiveley)ら、1998年10月6日発行)に開示されるように、この工程ではまた二つ以上の異なる種類のHIPEを同一容器内で形成することも可能である。この例においては、二対以上の油性及び水性の流れを独立して混合し、次いで必要に応じてブレンドしてもよい。或いは、米国特許出願番号第09/684,037号(カタルファモ(Catalfamo)らの名において2000年10月6日出願)に記載されるもののようなインライン混合技術を使用してもよい。
【0112】
(2)HIPEの油相の重合/硬化
形成されるHIPEは、一般に重合又は硬化するべき適切な反応器、容器又は領域に集められるか、又は注がれる。ある実施形態では、その反応容器はポリエチレンで作成されたタブを含んでおり、最終的に重合/硬化した固体の発泡体物質は、所望の程度まで重合/硬化が実施された後で、更に処理を行うために容易にそのタブから取り出すことができる。HIPEを容器に注ぐ温度は、通常は重合/硬化の温度とほぼ同じであることが好ましい。
【0113】
本発明の乳化剤は、高温で比較的急速に硬化する間にHIPEを安定化するのにも適切である。適切な重合/硬化の条件は、モノマー及びその他のエマルションの油相及び水相の構成(特に使用する乳化剤システム)、及び使用する重合反応開始剤の種類及び量によって異なる。しかしながら、適切な重合/硬化の条件はしばしば、HIPEを、約50℃を超える、或いは約65℃を超える、或いは約80℃を超える高温で、約20秒〜約64時間、或いは約1分〜約48時間の範囲の時間に亘り維持することを伴う。硬化時間を短縮するのに役立つ条件については米国特許第5,189,070号(ブラウンズコーム(Brownscombe)ら、1993年2月23日発行)及び米国特許出願番号09/255,225(デスマライスらの名において1999年2月22日出願)に詳細に説明されている。
【0114】
多孔質で水で満たされた連続気泡HIPE発泡体が、典型的にHIPEの硬化後に得られる。この硬化したHIPE発泡体はシート様の形態に切断するか、又はスライスしてもよい。硬化したHIPE発泡体のこのようなシートは、発泡体の特性を最終用途に合わせるために有用な、その後に続く処理/洗浄及び脱水段階によって容易に加工され得ることが見出された。硬化したHIPE発泡体は、切断又はスライスして厚さを約0.08cm〜約2.5cmの範囲にしてもよい。或いは、発泡体を、所望のサイズ及び形状の粒子に製粉(milled)、紛砕(ground)、又は他の態様で粉末化(comminuted)してもよい。
【0115】
(3)HIPE発泡体の処理/洗浄
形成された固体の重合HIPE発泡体は、一般にHIPEを調製するために使用された水相物質の残留物で満たされている。この水相物質の残留物(一般に電解質の水溶液、残留乳化剤、及び重合反応開始剤)は、発泡体のその後の加工及び使用に先立って少なくとも部分的には除去するべきである。この元の水相物質の除去は、通常は発泡体構造を圧縮して残留の液体を絞り出す、及び/又は発泡体構造を水又はその他の水性洗浄溶液で洗浄することにより行われる。数回、例えば、2〜4サイクルの圧縮及び洗浄段階を用いることが多い。
【0116】
元の水相物質が、必要とされる程度まで除去された後で、HIPE発泡体を、所望ならば、例えば適切な親水化界面活性剤及び/又は水和可能な塩の水性溶液で洗浄を続けることにより処理することができる。
任意に、残存する界面活性剤及びその他のいずれかの抽出可能な物質を、2−プロパノール、エタノール又はアセトンなどの好適な溶媒で洗浄することによって除去することもできる。
【0117】
(4)発泡体の脱水
該HIPE発泡体は処理/洗浄された後、一般に脱水される。脱水は、発泡体を圧縮して残留水分又は他の溶媒を絞り出すことにより、発泡体及び含有液体を約60℃〜約200℃の温度又はマイクロウエーブ処理に曝すことにより、真空脱水により、又は圧縮及び加熱乾燥/マイクロウエーブ/真空脱水の技術の組み合わせにより達成できる。その脱水段階は、一般にそのHIPE発泡体を使用する準備ができ、実用に耐えるほどに乾燥するまで実施される。脱水の一つの手段は、米国特許出願番号第09/687,280号(ウェバー(Weber)らの名で2000年10月13日に出願)に記載されており、ここにはHIPE発泡体の毛管脱水方法が記載されている。このような毛管脱水を、任意で乾燥工程の前に行ってもよい。
【0118】
(C.HIPE発泡体の特性)
非吸収性、非消化性、及び連続気泡性の発泡体であることに加えて、本発明に有用な好ましいHIPE発泡体は特定の所望の特性を有する。このような特性の非限定例を以下に詳述する:
(1)微小構造
HIPE発泡体の気泡は、実質的に球状である場合が多い。かかる球状の気泡サイズ又は直径は、一般に発泡体を特徴付けるために普通に用いられるパラメータである。ポリマー発泡体の所与のサンプルにおける気泡は必ずしもおおよその同一のサイズではないので、平均の気泡サイズ、即ち、気泡の平均直径が特定されることが多い。気泡サイズを測定する方法は、米国特許第5,563,179号(ストーンら、1996年10月8日発行)に開示されている。
【0119】
本発明に有用な好ましいHIPE発泡体は、約150μm未満、或いは約5μm〜約130μm、或いは約10μm〜約50μm、或いは約15μm〜約35μmの平均気泡直径を有することも可能である。
【0120】
(2)密度
本発明で有用な好ましいHIPE発泡体は、約0.1g/cc未満、或いは約0.01g/cc〜約0.1g/cc、或いは約0.01g/cc〜約0.05g/cc、或いは約0.01g/cc〜約0.03g/ccの乾燥基準の密度値を有する。
【0121】
(3)ガラス転移温度(Tg)
発泡体の圧縮性を決める重要な要因は、発泡体を構成するポリマーの可撓性である。可撓性は、ガラス転移温度が比較的低いポリマーの代表的な特性である。ガラス転移温度(Tg)は、ポリマーのガラスのような状態とゴムのような状態との間の転移の中間点を表す。使用温度より高いTgを有する一つ以上のポリマーを含む発泡体は非常に強いけれども、剛直となる傾向にあり、高度に圧縮した場合に発泡体の構造に永久的な損傷を生じ得る。更に、高Tgポリマーを一つ以上含む発泡体は、通常、長期間圧縮された状態で保存された後では膨張状態に戻るのに時間がかかる。機械的特性の所望の組み合わせ、特に圧縮性と弾力性については、所望の用途特性を達成するためのレベルとモノマーの種類範囲との間の選択が必要となる。
【0122】
発泡体のTgは、米国特許第5,817,704号(シベリー(Shiveley)ら、1996年3月8日発行)に記載されている方法を用いるダイナミック・メカニカル・アナリシス(Dynamic Mechanical Analysis)(DMA)によって決定される。本発明に有用なHIPE発泡体は、この方法に従って測定される場合に約−40℃〜約90℃のガラス転移温度を有するのが好ましい。
【0123】
当業者は、発泡体を構成するポリマーを可塑化するのに役立つことがある親油性物質の存在によってTgが影響を受ける場合があることを理解するであろう。Tgの測定には、使用中の条件下で起こり得る可塑化(plasticaization)を考慮すべきである。
【0124】
(4)弾力性
HIPE発泡体を構成するポリマーは、非常に圧縮された状態で長期間保存された後に胃腸管で発泡体の再膨張が起こるように十分弾力性であるのが好ましい。通常、この好ましい弾力性のためには、応力緩和及び/又はクリープによって生じる永久変形を防止するためにポリマーが架橋していなければならない。このような永久変形の尺度の一つにクリープ回復がある。多くの合成ポリマーは熱可塑性であり、そのため応力緩和及びクリープし易いことに留意すべきである。このような場合、クリープ回復は非常にわずかであり得る。例えば、31℃にて4時間5.1kPaの圧力を加えられた厚さ1mmの不織布ポリプロピレン繊維ウェブは、重りを取り除いた後わずかに回復するだけである。一方本発明に有用な好ましいHIPE発泡体は高度に架橋しているので、優れたクリープ回復を示す。好適には本発明に使用されるHIPE発泡体は、同様に31℃で5.1kPaの圧力を加えられた場合、HIPE発泡体を構成するポリマーのTgによっては比較的短時間に実質的に元の厚みに完全に回復する。
【0125】
(5)比表面積
本発明に有用なHIPE発泡体の別の重要なパラメータはそれらの比表面積であり、これは発泡体における気泡単位の寸法及びポリマーの密度の両方によって決定され、従って発泡体によって提供される固体表面の総量を定量するための方法である。
【0126】
比表面積は、既知の質量及び寸法の発泡体サンプル中で生じる、表面張力の低い液体(例えば、エタノール)の毛管取り込み量を測定することによって決定される。毛管吸引法によって発泡体の比表面積を測定するこのような手順の詳細は、米国特許第5,563,179号(ストーンら、1996年10月8日発行)の試験方法の項に示されている。比表面積を測定するその他同様の試験を、本発泡体に使用することもできる。本発明に従う好ましいHIPE発泡体は、約0.01m2/ccを超える;或いは約0.015m2/ccを超える、或いは約0.02m2/ccを超える、単位体積当たりの比表面積を有する。
【0127】
(6)発泡体の親油性又は両親媒性
本発明に有用なHIPE発泡体は一般に、消化管中でのその発泡体による脂質又は他の親油性物質の封鎖を促進するように親油性又は両親媒性である。例えば、HIPE発泡体構造物は、重合後に発泡体構造に残存する界面活性剤類及び塩類の存在により、又は好適な湿潤剤での処理により、親油性及び親水性の両方(即ち両親媒性)となる場合がある。或いは、界面活性剤類及び塩類がその構造物から除去されて、HIPE発泡体は親油性(だが疎水性)となされる場合もある。親油性又は両親媒性の発泡体は、肛門漏出などの望ましくない作用を緩和するために消化管中に存在する親油性物質を封鎖するのに及び/又はこのような物質を硬化するのに有用である。両親媒性のHIPE発泡体はまた、下痢のような望ましくない作用を緩和するために水性食物液体を封鎖するのに利用してもよい。
【0128】
連続気泡発泡体は、利用される場合、好ましくは所与の組成物中に、特定の目的及び治療される動物に対して安全且つ有効な濃度で包含される。一例としては、本明細書に記載の組成物は任意で、組成物の少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.25重量%、少なくとも約0.4重量%、又は少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも約2.5重量%の連続気泡発泡体を含んでいてもよい。他の好ましい組成物では、組成物は任意で、組成物の約0.05重量%〜約99重量%、約0.1重量%〜約95重量%、約0.25重量%〜約95重量%、約0.4重量%〜約95重量%、又は約0.5重量%〜約95重量%、又は約2.5重量%〜約95重量%の硬化剤を含んでいてもよい。
【0129】
(本発明の方法)
本方法は、好ましくは親油性物質を包含する種々の物質の硬化に関する種々の目的のために有用である。特に、本発明の一実施形態は、動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的で、前記動物に投与するのに好適な組成物を投与する方法に関する。
【0130】
組成物は従って、未消化脂質、未消化脂質代替物、毒素、及び/又は胃腸管内に存在するその他の物質、並びに減量の達成及び他の同様の目的を包含する種々のいずれかの目的のために投与されるリパーゼ阻害物質を硬化し、又はそれらの粘度を増加させる目的のために好適である。この方法は、それ故、動物における、胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベル(例えば胃腸管における)の低減、血中コレステロール値の低減、飽満感の誘導、減量の達成、体重調整の達成、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、及びこれらの組み合わせのために、単独で又はリパーゼ阻害物質のような別の機能性物質と共に、有用である。
【0131】
特に、本発明の方法は、動物(好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒト)へ本組成物を投与することを含む。組成物は、当業者に周知の種々の様式で投与されてよいが、経口投与が好ましい。投与頻度は、限られていない。しかしながら、本組成物は、典型的には、たまに又は必要に応じてという基準で、或いはより定期的に週1度、毎日という基準で、又は大体の頻度の基準で、投与されてもよい。例えば組成物は、少なくとも一日一回、或いは少なくとも一日二〜三回、食事と共に又は食間に投与されてもよい。
【0132】
本明細書で使用する時、特定の組成物に関する「投与する」という用語は、組成物を動物に与える(自らの場合も含む)こと、及び/又はいずれかの目的(好ましくは本明細書に記載の目的)のために組成物の使用を指導、説明又は推奨することを意味する。一つ以上の本組成物又はキットを投与するように指導、説明又は推奨する場合、このような指導は、組成物の使用が本明細書に記載される一つ以上の利益を与えることがある、及び/又は与えるであろうことをユーザーに説明する及び/又は知らせるものであってもよい。このような説明又は情報の非限定例は、本キットの説明の一部として本明細書中に記載している。
【0133】
指導される投与には、例えば、口頭指導(例:例えば、医師、健康専門家、専門販売員、若しくは団体による口頭での説明、及び/又はラジオやテレビ媒体(即ち、広告))を通じて、或いは書面での指導(例:例えば、医師若しくは他の健康専門家(例:手書きメモ)、専門販売員若しくは団体(例:広告用チラシ、パンフレット、又はその他教育的備品を通じて))、文字媒体(例:インターネット、電子メール、若しくはその他コンピュータ関連媒体)、及び/又は本組成物に関連のパッケージ(例:本組成物を収容するパッケージ上のラベル)による書面指導を通じて、含まれることも可能である。本明細書で使用する時、「書面の(written)」は語、絵、記号、及び/又はその他の視覚的記述子を介することを包含する。このような指導は、本明細書に使用される実際の語を使用する必要はなく、むしろそれと同一、又は類似の意味を伝達する語、絵、記号等の使用が本発明の範囲内で考慮される。
【0134】
本組成物及びその組成物内の種々の構成成分は、当業者が理解する種々の濃度に応じて投与されてもよい。加えて、種々の構成成分の好ましい濃度は本明細書中で前述した。加えて、又は別の場合に、一例としてこの方法は、一回の服用につき、動物1Kg当たり約2mg〜約30mg(例えば一日3回まで)の硬化剤の動物への投与を含む。それに加えて、又は別の場合には、また一例として、一日当たりおよそ600g(乾燥基準で)の食品の食事を消費するヒトに対して、硬化剤の有用な用量は任意で、一日約0.01g〜約10g、又は一日約0.1g〜約5g、又は一日約0.5g〜約3gの範囲で投与されてもよい。また一例として、この方法は、一回の服用につき、動物の1Kg当たり約1mg〜約4mg(例えば一日3回まで)のリパーゼの動物への投与を含む。別の場合には、又はそれに加えて、リパーゼ阻害物質が利用される場合、一日0.002g〜約2g、又は一日約0.01g〜約0.8g、又は一日約0.06g〜約0.4gが投与されてもよい。所与の組成物が一日一回よりも多く、又はもっと少ない頻度で投与される場合、当業者には適当な用量を決定できる。
【0135】
本明細書で前述したような任意の連続気泡発泡体が使用される場合、あらゆる安全且つ有効な量を用いてもよいが、あまりに少ない用量では十分に有効ではなく、用量が多い場合には投与に不具合であることがある。投与計画には、動物の食餌が、乾燥基準で食餌の約0.02重量%〜約2重量%、或いは約0.03重量%〜約1重量%、或いは約0.1重量%〜約0.5重量%の発泡体を含むものが包含される。例として、一日当たり(乾燥基準で)およそ600グラムの食品の食事を消費するヒトに関して、有用な用量は、一日当たり約0.12グラム〜約12グラム;或いは約0.18グラム〜約6グラム;或いは約0.6グラム〜約3グラムの発泡体を含む。別の方法では、用量は摂取される脂質のパーセンテージとして計算されてもよい。有用な投与計画には、発泡体が、摂取される脂質に対する重量基準で投与され、例えば、摂取脂質の約0.15重量%〜約15重量%、或いは約0.2重量%〜約7重量%、或いは約0.75重量%〜約3.75重量%の量で発泡体を投与するものが含まれる。例として、一日当たり約80グラムの脂質を含む食事を消費するヒトに関して、有用な用量は、一日あたり約0.12グラム〜約12グラム、或いは約0.16グラム〜約5.6グラム;或いは約0.6グラム〜約3グラムの発泡体を含む。
【0136】
これらの投与量範囲は単なる例であり、一日の投与量は種々の要因によって調節可能であることが理解される。構成成分の具体的な投与量、並びに治療の継続期間は相互に依存する。投与量及び治療計画は、使用する具体的化合物、治療適応症、化合物の効力、動物の個人的特性(例えば、動物の体重、年齢、性別、及び医学的状態等)、治療計画遵守、及び治療の副作用の存在及び重篤性等の要因にも依存する。
【実施例】
【0137】
次に示すものは、本組成物、キット及び方法の実施例である。組成物は、従来のプロセス、又は好ましくは本明細書に記載のプロセスを利用して調製される。実施例は本発明を説明するために提供し、いずれの態様でもこれらの範囲を限定するものではない。
【0138】
(実施例1)
オスのグループ、スプラグ・ドーレイ・ラット(Sprague-Dawley rats)(ハーラン研究所(Harlan Labs)、インディアナ州、インディアナポリス(Indianapolis)から市販)に、組成物の0.04重量%オルリスタットを含有するか、又は組成物の0.04重量%オルリスタットと1重量%、0.5重量%、若しくは0.25重量%ステアリン酸カルシウムの組み合わせを含有する食品組成物である組成物を与えた。各組成物の脂肪含量はラットの消費エネルギーの30%を提供した。ラットの別のグループ(再びオス、スプラグ・ドーレイ(Sprague Dawley)、ハーラン研究所(Harlan Labs)、インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis))にオルリスタットとステアリン酸カルシウムを欠いていること以外は同じ食品組成物(「対照組成物」)を与えた。すべてのラットが11日間それぞれの組成物を自由に消費した。
【0139】
これらの食餌計画の7日目及び11日目において、各ラットの外観をラットによって消費された組成物の違いを認識していない試験官が目視した。各ラットの他の糞便物からの油の分離は、排泄された食物の油で覆われたラットの体毛の分率を定量する基準を使用することによって判定された。点数「5」はラットの体毛のおよそ90%以上が油の痕跡を示したことを表した。点数「1」はラットの体毛に目に見える油がなかったことを表した。中間の点数「2」、「3」及び「4」はラットの体毛が部分的に覆われていることを示し、「2」はおよそ10%以下の被覆に相当し、「3」はおよそ10%以上でおよそ50%までの被覆に相当し、及び「4」はおよそ50%以上でおよそ90%までの被覆に相当した。
【0140】
評価により、対照組成物を消費したラットは、平均体毛外観点が「1」であると判定されたことが実証された。オルリスタット及びステアリン酸カルシウムの両方を含有する組成物を受容したそれらのラットは、ステアリン酸カルシウムの濃度1%、0.5%、及び0.25%に対して、それぞれ、平均体毛外観点が「1.1」「1.2」及び「1・4」であると判定された。オルスタットを含有するがステアリン酸カルシウムを含有しない組成物を受容したラットは、平均体毛外観点が「2.4」であると判定された。
【0141】
(実施例2)
オルリスタット(60mg)を、アルコール溶液から燻蒸シリカ(10mg)上に付着させ(その後溶媒を蒸発させ)る。付着したオルリスタットはベヘン酸(300mg)と混合され、サイズ00標準ハードゼラチンカプセルに充填される。このカプセルを、カロリー制限食を摂るヒト被験者に一日三回各食事と共に投与する。
【0142】
(実施例3)
ベヘン酸エチル(懸濁液の10重量%)、オルリスタット(懸濁液の1.2重量%)、キサンタンガム(懸濁液の0.2重量%)、サッカリンナトリウム(懸濁液の0.2重量%)、及びバニラフレーバ(懸濁液の0.3重量%)を含有する水性懸濁液を、融解したベヘン酸エチルを高剪断条件下でキサンタンガムに加え、次いでオルリスタット、サッカリンナトリウム、及びフレーバを再び高剪断条件下で冷却添加することにより、調製する。得られた懸濁液5mlをヒト被験者に対し毎食前に経口投与する。
【0143】
(実施例4)
ゼニカル(XENICAL)(登録商標)を、毎日の三度の各食事と共に治療的用量であるオルリスタット120mgを摂るように過体重のヒト被験者に処方する。この服用により食物の脂肪の吸収が減少され、被験者による総カロリー摂取が、被験者の通常食事のエネルギー摂取に対しておよそ10%低減される。このゼニカル(XENICAL)(登録商標)の投与計画は未吸収脂肪の肛門漏出を引き起こすことも多いので、ステアリン酸マグネシウムの別個の投与計画を被験者に対して提供する。詳細には、ステアリン酸マグネシウムを、各食事と共に消費されるウェファーの中に組み込んだ1gの量で与え、結果としてステアリン酸マグネシウムの一日当たりの総摂取量は3gとなる。ステアリン酸マグネシウムを包含させることにより、胃腸の不快感及び未吸収油の肛門漏出を防ぐ。ゼニカル(XENICAL)(登録商標)の効力は食事へのステアリン酸マグネシウムの添加によって影響を受けない。
【0144】
(実施例5)
過体重のヒト被験者にゼニカル(XENICAL)(登録商標)の治療的用量(一日当たり360mgオルリスタット/120mgオルリスタットを各食事と共に三回服用)を与えて、減量を補助する。この服用により、この被験者の通常の食物脂肪消費の25%の吸収が防止される。この吸収の減少の結果として、未吸収脂肪が他の糞便物から分離し、胃腸の不快感及び肛門括約筋からの油の制御されない浸出が起こる。
【0145】
これらの症状が最初に観察されたら、投与計画を、ゼニカル(XENICAL)(登録商標)とベヘン酸の組み合わせへと修正する。各食事の時に、被験者は二つのカプセルを消費する。第1のカプセルはゼニカル(XENICAL)(登録商標)(120mgオルリスタット)であり、一方、第2のカプセルはベヘン酸(1.2g)を含有する。これらのカプセルは被験者に好都合なように一つのキットに共に包装されている。
【0146】
投与計画を修正しても、食物脂肪の排泄は被験者の通常の食物脂肪消費のおよそ25%のレベルのままである。しかしながら、排泄された脂肪はベヘン酸の存在により硬化され、それにより脂肪は他の糞便物から分離することなく排泄される。
【0147】
225kcal/日のカロリー摂取における減少での排泄された脂肪の計算量は、総カロリー摂取のおよそ10%の減少に相当する。この減少により、総体脂肪及び体重は投与計画の12日毎におよそ0.5kg減少する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する硬化剤であって、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される;及び
(b)リパーゼ阻害物質;
を含む組成物であって、ここで、該硬化剤と該リパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約4.5:1であるか、又は該硬化剤がR−COOHである場合には、該硬化剤は、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択され、その場合、該硬化剤と該リパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約1:1である、組成物。
【請求項2】
動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的で動物に投与するのに好適な組成物であって、ここで、該組成物は、R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する安全且つ有効な量の硬化剤を含み、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;
ここで、該組成物は少なくとも約5重量%の硬化剤を含む、組成物。
【請求項3】
動物の胃腸管内に存在する一以上の親油性物質を硬化する目的で、動物に投与するのに好適な組成物であって、ここで該組成物は、R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、約33℃以上の完全融点を有する安全且つ有効な量の硬化剤を含み、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;
ここで該硬化剤がR−COOHである場合、該硬化剤はミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項4】
前記硬化剤と前記リパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約5:1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記硬化剤は、脂肪酸類、脂肪酸類の塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リパーゼ阻害物質は、2−アミノ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン類;2−オキシ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン類;2−チオ−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン類;テトラヒドロリプスタチン類;キラルアルキルホスホネート類;β−ラクトンのキラル異性体類;及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物の少なくとも約0.001重量%のリパーゼ阻害物質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記硬化剤は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
胃腸苦痛の治療、糞便切迫の治療、肥満症の治療、高脂血症の治療、下痢の治療、肛門漏出の抑制、毒性物質レベルの低減、血中コレステロール値の低減、飽満感の誘導、減量の達成、体重調整の達成、2型糖尿病の治療、2型糖尿病の発症の遅延、2型糖尿病の予防、又はこれらの組み合わせのために有用な薬剤製造において使うための組成物の使用であって、
該組成物は、次:
(a)約33℃以上の完全融点を有する安全且つ有効な量の硬化剤であって、ここで該硬化剤は、R−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択され、式中;
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される硬化剤;
(b)安全且つ有効な量のリパーゼ阻害物質;
を含み、ここで該硬化剤と該リパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約4.5:1であるか、又は該硬化剤がR−COOHである場合には、該硬化剤は、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択され、その場合、該硬化剤と該リパーゼ阻害物質との重量比は、少なくとも約1:1である、組成物の使用。
【請求項10】
(a)約33℃以上の完全融点を有する硬化剤を含む第1の組成物であって、ここで該硬化剤はR−COOR’、R−OR’、R−CONR’R”、R−NR’R”、これらの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択され、式中、
(i)Rは約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するアルキニルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキルラジカル、約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルケニルラジカル、及び約14個〜約24個の炭素原子を有するヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択され;及び
(ii)R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキニルラジカル、ヘテロアルキルラジカル、ヘテロアルケニルラジカル、及びヘテロアルキニルラジカルから成る群から選択される、;
(b)リパーゼ阻害物質を含む第2の組成物、
を含むキット。

【公表番号】特表2006−514053(P2006−514053A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565470(P2004−565470)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/039798
【国際公開番号】WO2004/060401
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】