説明

リピータ装置

【課題】簡易な構成でありながら、自動的に適切な高域ゲインに調整することのできるHDMIリピータ装置を提供する。
【解決手段】第1認証判断手段4は、ライン18のDDC信号を監視し、HDCP第1認証が行われるか否かを判断する。HDCP第1認証が行われると判断すると、高域ゲイン調整手段6は、イコライザ部2の高域ゲインを調整する。強制ホットプラグ手段8は、強制的にホットプラグ検出信号を出力し、調整された高域ゲインによって、HDMIソース装置SOからHDMIシンク装置SKにTMDS信号を送信させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえばイコライザなどの特性修正機能を有するリピータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
AV機器の接続において、1本のケーブルで映像・音声・制御信号を合わせて送受信することのできるHDMIケーブルが用いられている。映像・音声信号はTMDS信号、制御信号はDDC信号などと呼ばれる。たとえば、DVDプレイヤなどのHDMIソース装置と、ディスプレイなどのHDMIシンク装置との間の接続に用いられる。
【0003】
図1に示すように、HDMIシンク装置に対して、複数のHDMIソース装置を接続する場合のために、切換機能のついたリピータ装置が用いられることがある。図1においては、HDMIシンク装置であるモニタSKが、リピータ装置RPを介して、HDMIソース装置であるDVDプレイヤSO1、ブルーレイディスクプレイヤSO2・・・セットトップボックスSOnに接続されている。各装置間の接続は、HDMIケーブルCBによって行われている。
【0004】
リピータ装置RPは、ユーザ操作によって切り換えることのできる切換スイッチを内蔵しており、DVDプレイヤSO1、ブルーレイディスクプレイヤSO2・・・セットトップボックスSOnのいずれをモニタSKに接続するかを選択する。
【0005】
ここで、DVDプレイヤSO1(あるいはBDプレイヤSO2、セットトップボックスSOn)と、リピータ装置RPとの間のHDMIケーブルCBが長いと、DVDプレイヤSO1からのTMDS信号(映像・音声信号)が減衰し(特に高域が減衰する)、モニタSKにおいて正しく再生できないという問題が生じる。たとえば、特許文献1においては、伝送路であるHDMIケーブルによって伝送品質が劣化した場合、TMDS信号のゲインを上げることによって対応する点が開示されている。
【0006】
また、上記のような場合に備えて、リピータ装置RPには、高域周波数帯のゲインを上げるイコライザが設けられることがある。これにより、DVDプレイヤSO1からのTMDS信号において、高域の減衰があっても、これをイコライザによって補い、モニタSKに与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194484
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなイコライザを有するリピータ装置においては、DVDプレイヤSO1とリピータ装置RP間のHDMIケーブルCBが短い場合であっても、上記イコライザが高域のゲインを持ち上げることになる。このため、映像や音声を送信するTMDS信号の立ち上がりや立ち下がり等が影響を受け、かえって信号品質を劣化させる結果となる場合があった。
【0009】
これを解決するためには、リピータ装置RPにおいて、DVDプレイヤSO1から送られてくるTMDS信号を監視し、減衰が認められればイコライザを動作させ、減衰が認められなければイコライザを動作させないという方法も考えられる。しかし、これを行うためには、リピータ装置RPにTMDS信号の波形を監視するための回路が必要となる。このような監視回路によってTMDS信号を監視するため波形の観測を行おうとすると、当該観測によってTMDS信号が影響を受けて劣化する可能性がある。また、TMDS信号は周波数の高いパルス信号であるため、その波形観測は容易ではない。このため、波形を劣化させず観測を行う監視回路は複雑な構成とならざるを得なかった。
【0010】
そこで、この発明では、簡易な構成でありながら上記問題を解決することのできるリピータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)(2)この発明に係るHDMIリピータ装置は、HDMIソース装置とHDMIシンク装置との間に接続され、TMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号を転送するHDMIリピータ装置であって、HDMIソース装置からのTMDS信号を受信し、イコライザにより高域ゲインを上げた後、HDMIシンク装置に送信するイコライザ部と、DDC信号を解析し、当該DDC信号がHDCP第1認証にのみ用いられるものであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断する第1認証判断手段と、前記第1認証判断手段がHDCP第1認証実行ありと判断すると、前記イコライザ部の前記イコライザの高域ゲインを増加または減少させる高域ゲイン調整手段とを備えている。
【0012】
したがって、イコライザの高域ゲインを自動的に適正な値に調整することができる。
【0013】
(3)この発明に係るHDMIリピータ装置は、第1認証判断手段は、DDC信号のアドレスを解析し、当該アドレスが、HDCP第1認証にのみ用いられるシンク装置のレジスタのアドレスであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断することを特徴としている。
【0014】
したがって、容易かつ確実にHDCP第1認証を検出することができる。
【0015】
(4)この発明に係るHDMIリピータ装置は、第1認証判断手段は、ホットプラグ検出信号がホットプラグの検出を示しているかどうかを判断することによっても、HDCP第1認証実行の有無を判断することを特徴としている。
【0016】
したがって、さらに確実にHDCP第1認証を検出することができる。
【0017】
(5)この発明に係るHDMIリピータ装置は、高域ゲイン調整手段によって高域ゲインが増加または減少されると、HDMIソース装置に対して、ホットプラグ検出信号を強制的に出力する強制ホットプラグ手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0018】
したがって、高域ゲイン変更後に確実にHDCP第1認証から開始させることができる。
【0019】
(6)この発明に係るリピータ装置は、データを送信するソース装置と、ソース装置からのデータを受信するシンク装置との間に接続され、データの中継を行うリピータ装置であって、前記ソース装置は、接続されたシンク装置の認証を行った後、データを送信するものであり、前記ソース装置または前記シンク装置は、データが正しく送受信されたかどうかの確認を行い、正しく送信されていないと判断した場合には、前記認証を再度行うものであって、ソース装置からのデータを受信し、当該データに所定の特性修正を施した後、リピータ装置に送信する特性修正部と、ソース装置からの制御信号を受信してシンク装置に転送するとともに、シンク装置からの制御信号を受信してソース装置に転送する制御信号転送部と、制御信号転送部において転送される制御信号を取得し、前記認証が行われているか否かを判断する認証判断手段と、前記認証判断手段によって前記認証が行われていると判断すると、前記特性修正部による特性修正の内容を変更する変更手段とを備えている。
【0020】
したがって、特性修正部による特性修正を自動的に適正な値に調整することができる。
【0021】
(7)この発明に係る方法は、HDMIソース装置とHDMIシンク装置との間においてやりとりされるTMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号を転送する方法であって、HDMIソース装置からのTMDS信号を受信し、高域ゲインを上げた後、HDMIリピータ装置に送信し、DDC信号を解析し、当該DDC信号がHDCP第1認証にのみ用いられるものであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断し、HDCP第1認証実行ありと判断すると、前記高域ゲインを増加または減少させることを特徴としている。
【0022】
したがって、イコライザの高域ゲインを自動的に適正な値に調整することができる。
【0023】
「第1認証判断手段」は、実施形態においては、ステップS4やステップS35がこれに対応する。
【0024】
「高域ゲイン調整手段」は、実施形態においては、ステップS7がこれに対応する。
【0025】
「強制ホットプラグ手段」は、実施形態においては、ステップS9がこれに対応する。
【0026】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のHDMIリピータ装置RPの構成を示す図である。
【図2】一実施形態によるHDMIリピータ装置RPの機能ブロック図である。
【図3】HDMIリピータ装置RPのハードウエア構成を示す図である。
【図4】HDMIリピータプログラム30のフローチャートである。
【図5】DDC信号のフォーマットを示す図である。
【図6】他の実施形態によるHDMIリピータ装置RPの機能ブロック図である。
【図7】HDMIリピータ装置RPのハードウエア構成を示す図である。
【図8】HDMIリピータプログラム30のフローチャートである。
【図9】HDMIリピータプログラム30のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.第1の実施形態
1.1概要
図2に、この発明の一実施形態によるHDMIリピータ装置RPの機能ブロック図を示す。HDMIリピータ装置RPは、HDMIソース装置SOとHDMIシンク装置SKとの間に接続されている。HDMIソース装置SOとHDMIリピータ装置RPとはHDMIケーブルSC1によって接続され、HDMIリピータ装置RPとHDMIシンク装置SKとはHDMIケーブルSC2によって接続されている。
【0029】
HDMIリピータ装置RPは、イコライザ部2、第1認証判断手段4、高域ゲイン調整手段6、強制ホットプラグ手段8、スイッチ10を備えている。イコライザ部2は、イコライザを備えており、HDMIソース装置SOから、映像信号や音声信号等であるTMDS信号をライン12によって受け、高域のゲインを上げて(他の周波数のゲインに対して、高域のゲインを相対的に大きくして)、ライン14を介してHDMIシンク装置SKに転送する。
【0030】
HDMIソース装置SOからの制御信号であるDDC信号は、ライン18を介してHDMIシンク装置SKに転送される。なお、DDC信号は、接続されたHDMIシンク装置SKが適正な装置であるかどうかの認証や、TMDS信号の暗号化やTMDS信号が正しく伝送されたかどうかの確認に用いる。
【0031】
HDMIシンク装置SKからのホットプラグ検出信号は、ライン16を介してHDMIソース装置SOに転送される。ホットプラグ検出信号は、HDMIシンク装置SKが接続された時に、HDMIシンク装置SKからHDMIソース装置SOに対して送信される信号である。なお、ホットプラグ検出信号を伝送するためのライン16には、スイッチ10が設けられている。このスイッチ10は、強制ホットプラグ手段8によって制御される。
【0032】
以下、図2を参照して、HDMIリピータ装置RPの動作概要を説明する。HDMIシンク装置SKが、HDMIリピータ装置RPを介して、HDMIソース装置SOに接続されると、HDMIシンク装置SKは、ホットプラグ検出信号を送信する。平常時、スイッチ10はオンになっているので、ホットプラグ検出信号は、HDMIソース装置SOに与えられる。
【0033】
HDMIソース装置SOは、これにより、HDMIシンク装置SKが接続されたことを検出し、HDMIシンク装置SKが適正な機器であるかどうかの認証(HDCP第1認証という)を行う。
【0034】
次に、HDMIソース装置SOは、DDC信号を用いて、フレーム毎に暗号化モジュールを生成し、TMDS信号をフレーム毎に暗号化して送信する。また、HDMIシンク装置SKからDDC信号として返送されてきた暗号化計算値を受信し、これを自らの暗号化計算値と比較して、TMDS信号が正しく送信されたかどうか、つまり、HDCPの保護状態が継続しているかどうかを定期的に判断する(HDCP第3認証という)。
【0035】
たとえば、TMDS信号に歪みがあり、HDMIシンク装置SKが正しく受信できなかった場合には、HDMIソース装置SOは、上記HDCP第3認証によってそのような事態を知ることができる。第3認証においては、映像フレーム毎に計算された値を128フレームに1回読み取ってチェックされるので、第3認証に失敗した場合、TMDS信号が劣化した状態でフレーム情報が正しく送られない状況にあると推測できるからである。TMDS信号が正しく伝送されずHDCP第3認証に失敗すると、HDMIソース装置SOは、HDCP第1認証に遡って再び処理を行う。
【0036】
この実施形態では、TMDS信号が劣化していることを、HDCP第3認証の失敗の結果生じるHDCP第1認証を検出することで検知しようとするようにしている。
【0037】
HDMIケーブルSC1が短いにもかかわらずイコライザ部2による高域ゲインが大きすぎてTMDS信号が劣化している場合や、HDMIケーブルSC1が長いにもかかわらずイコライザ部2による高域ゲインが足りずTMDS信号が劣化している場合には、HDCP第3認証が失敗し、HDCP第1認証が行われる。
【0038】
HDMIリピータ装置RPの第1認証判断手段4は、ライン18のDDC信号を常時監視し、HDCP第1認証が行われているか否かを判断する。この実施形態において、第1認証判断手段4は、HDCP第1認証にのみ用いられるDDC信号を検出することによって、HDCP第1認証が行われているかどうかを判断する。
【0039】
高域ゲイン調整手段6は、HDCP第1認証手段4によってHDCP第1認証が行われていると判断すると、イコライザ部2の高域ゲインを変更する。この実施形態では、イコライザ部2の初期高域ゲインを最も大きくしておき、HDCP第1認証が検出される毎に徐々に高域ゲインを減少させるようにしている。
【0040】
なお、この実施形態では、動作の安定化を図るため、高域ゲイン調整手段6によって高域ゲインが調整されると、強制ホットプラグ手段8が、HDMIソース装置SOに対して強制的にホットプラグ検出信号を与えるようにしている。この時、強制ホットプラグ手段8は、スイッチ10をオフにして、強制ホットプラグ検出信号がHDMIシンク装置SKに与えられないようにしている。
【0041】
HDMIソース装置SOは、ホットプラグ検出信号を受けて、イコライザ部2のゲインが変更された状態で、HDCP第1認証からの処理を開始する。
【0042】
以上のようにして、TMDS信号が不良であることを検出して、イコライザ部2の高域ゲインを減少させる。このようにしてイコライザ部2の高域ゲインを減少させても、TMDS信号が不良であれば、HDCP第3認証の失敗を経てHDCP第1認証が行われるので、これを検出して、再びイコライザ部2の高域ゲインを減少させる。この処理を繰り返すことにより、自動的に、適切なTMDS信号を転送することのできる高域ゲインにイコライザ部2を調整することができる。
【0043】
1.2ハードウエア構成
図3に、一実施形態に係るHDMIリピータ装置RPのハードウエア構成を示す。この実施形態では、HDMIソース装置SOとしてDVDプレイヤ26、HDMIシンク装置SKとしてモニタ28が接続されている。HDMIリピータ装置RPは、イコライザ部2、スイッチ10、CPU20、メモリ22、キー24を備えている。メモリ22には、HDMIリピータプログラム30が記録されている。
【0044】
また、HDMIリピータ装置RPには、HDMIケーブルSC1(SC2)からのTMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号などを伝送するライン12、14、16、18が設けられている。また、HDMIソース装置SOからHDMIシンク装置SKに対して+5Vを供給するためのライン32も設けられている。
【0045】
1.3HDMIリピータプログラムの処理
図4に、HDMIリピータプログラム30のフローチャートを示す。たとえば、HDMIソース装置SOであるDVDプレイヤ26の電源スイッチが投入されると、+5Vのライン32が「H」になる。CPU20は、このライン32が「H」になったことを検出して、HDMIリピータプログラムの処理を開始する。
【0046】
まず、CPU20は、スイッチ10をオンにし、イコライザ部2の高域ゲインを初期値(ここでは最大)に設定する(ステップS1、S2)。HDMIシンク装置SKであるモニタ28は、ライン32が「H」を受けたことに対応して、ライン16にホットプラグ検出信号を送信する。つまり、「L」から「H」に立ち上がる信号を送信する。これを受けたDVDプレイヤ26は、HDCP第1認証の処理を行う。
【0047】
CPU20は、HDCP第1認証が行われているか否かを判断する(ステップS3)。HDCP第1認証においては、モニタ28が適正な機器であるか否かを判断するため、モニタ28のBKSVレジスタからの読出やAKSVレジスタへの書込が行われる。これらの読出や書込は、DDC信号を伝送するライン18を用いて行われる。したがって、CPU20は、DDC信号のライン18を監視し、上記のいずれかのレジスタに対するアクセスがあれば、HDCP第1認証が行われていると判断する。
【0048】
図5に、ライン18を介して伝送されるDDC信号のデータフォーマットを示す。CPU20は、このフォーマットにしたがって解析を行い、HDMIシンク装置アドレスとレジスタアドレスに基づいて、BKSVレジスタやAKSVレジスタにアクセスが行われているかどうかを判断する。BKSVレジスタやAKSVレジスタ等のように、HDCP第1認証においてのみ用いられるレジスタにアクセスされている場合には、HDCP第1認証が行われていることを判断することができる。
【0049】
CPU20は、上記のようにしてHDCP第1認証を検出すると、1回目のHDCP第1認証に対し何も処理を行わない(ステップS3)。1回目のHDCP第1認証は、TMDS信号が不良でなくとも、必ず行われるものだからである。DVDプレイヤ26は、HDCP第1認証が成功すると、HDCP第3認証を行いながら映像・音声などのTMDS信号をモニタ28に送信する。この時、TMDS信号は、イコライザ部2によって高域ゲインが強調される。
【0050】
続いて、CPU20は、DDC信号のライン18の監視を続け、HDCP第1認証が行われたか否かを判断する(ステップS4)。2回目以降のHDCP第1認証が行われるということは、TMDS信号に不良がありHDCP第3認証が失敗し、その結果としてHDCP第1認証が行われたということである。したがって、CPU20は、ステップS4においてHDCP第1認証を検出すると、イコライザ部2の高域ゲインを減少させる(ステップS7)。
【0051】
次に、CPU20は、ホットプラグ検出信号のライン16に設けられているスイッチ10をオフにして(ステップS8)、ライン16にホットプラグ検出信号(「L」から「H」に変化する信号)を出力する(ステップS9)。なお、ライン16は、通常「H」であるから、一旦「L」として、その後「H」を出力する。
【0052】
この時、スイッチ10をオフにしているので、CPU20によって生成されたホットプラグ検出信号は、DVDプレイヤ26にのみ与えられる。モニタ28には、ホットプラグ検出信号が与えられないようにして、悪影響を避けるためである。CPU20は、ホットプラグ検出信号を出力した後、スイッチ10をオンに戻す(ステップS10)。
【0053】
ホットプラグ検出信号を受けたDVDプレイヤ26は、再びHDCP第1認証から始めて、HDCP第3認証を行いながらTMDS信号を送信する。
【0054】
なお、上記において、CPU20がホットプラグ信号をDVDプレイヤ26に与えるようにしているのは、イコライザ部2の高域ゲインを変更したので、モニタ28などがエラーを生じている可能性もあるため、安全のためHDCP第1認証から再スタートするようにしたものである。
【0055】
その後、CPU20は、再びステップS3以下を実行する。つまり、HDCP第1認証が行われたか否かを検出し、2回目以降のHDCP第1認証を検出すると、上記と同様にしてイコライザ部2の高域ゲインを減少させる(ステップS7〜S10)。
【0056】
一方、直前のHDCP第1認証が行われてから所定時間が経過しても、次のHDCP第1認証が検出されなければ、CPU20は、その時のイコライザ部2の高域ゲインが適正であると判断し処理を終了する(ステップS5)。
【0057】
以上のようにして、HDMIリピータRPは、イコライザ部2の高域ゲインを適切に調整することができる。
【0058】
1.4その他の実施形態
(1)上記実施形態では、HDMIソース装置を1つだけ接続することのできるリピータ装置RPを例として説明した。しかし、複数のHDMIソース装置を切り換えて接続することのできるリピータ装置RPについても同様に適用することができる。
【0059】
(2)また、上記実施形態では、強制ホットプラグ手段8、スイッチ10を設けることにより、確実にHDMIソース装置SOが第1認証を開始するようにしている。しかし、接続するHDMIシンク装置SKの特性によっては、強制ホットプラグ手段8、スイッチ10を設けなくともよい。
【0060】
(3)また、上記実施形態では、イコライザ部2の高域ゲインを初期値を最大値とし、信号不良があった場合に高域ゲインを徐々に減少させるようにしている。しかし、初期値を最小値として徐々に高域ゲインを増加させるようにしてもよい。
【0061】
(4)また、上記実施形態では、HDCP第1認証を1回検出する毎に、高域ゲインを変更するようにしている。しかし、予め定められた時間内にHDCP第1認証が何度生じたかを検出するようにしてもよい。この場合、たとえば、高域ゲインの強調値を中央値から開始し、中央値の時のHDCP第1認証の回数と、ゲイン変更後のHDCP第1認証の回数とを比較して、回数が減少していればゲイン変更の方向が正しいと判断して、さらにその方向にゲインを変更する。また、中央値の時のHDCP第1認証の回数と、ゲイン変更後のHDCP第1認証の回数とを比較して、回数が増加していればゲイン変更の方向が間違っていたと判断して、さらにその方向とは反対の方向にゲインを変更する。以後、これを繰り返し、所定時間内にHDCP第1認証が検出されなければ、その時の高域ゲインを用いる。
【0062】
たとえば、高域ゲインを増加させたことにより、HDCP第1認証の回数が増加したのであれば、前回の高域ゲインよりも減少させた高域ゲインに変更する。また、高域ゲインを増加させたことにより、HDCP第1認証の回数が減少したのであれば、今回の高域ゲインよりも増加させた高域ゲインに変更する。
【0063】
(5)上記実施形態では、HDCP第1認証が生じない高域ゲインを記録していない。しかし、これを記録しておき、次回の接続時にこれを初期値として用いるようにしてもよい。
【0064】
(6)上記実施形態は、スイッチ10を設け、強制的にホットプラグ検出信号を出力する場合には、スイッチ10をオフにするようにしている。しかし、HDMIシンク装置SKに対する影響が少ないようであれば、スイッチ10を設けず、強制的にホットプラグ検出信号を出力するようにしてもよい。
【0065】
(7)上記に示したその他の実施形態は、第2の実施形態に対しても適用することができる。
【0066】
2.第2の実施形態
2.1概要
図6に、第2の実施形態によるHDMIリピータ装置RPの機能ブロック図を示す。この実施形態においては、第1認証判断手段4は、ライン18のDDC信号を監視してHDCP第1認証が行われることを判断することに加えて、ライン16を監視し、HDMIシンク装置SKがホットプラグ検出信号を出力した場合にもHDCP第1認証が行われることを判断するようにしている。TMDS信号が劣化している場合、HDMIシンク装置SKの側がこれを判断し、ホットプラグ検出信号を出力する場合があるからである。
【0067】
なお、この実施形態において、強制ホットプラグ手段8は、ホットプラグ検出信号の検出によってHDCP第1認証が行われると判断した場合には、強制的にホットプラグ検出信号を出力することを行わない。HDMIシンク装置SKの出力したホットプラグ検出信号をそのまま用いて処理を進めればよいからである。
【0068】
2.2ハードウエア構成
図7に、この実施形態によるHDMIリピータ装置RPのハードウエア構成を示す。基本的な構成は第1の実施形態と同様であるが、この実施形態では、切換回路40によってHDMIソース装置であるDVDプレイヤ26、・・・BDプレイヤ27のいずれを接続するかを切り換えることができるようになっている。なお、切換回路40は、ユーザからのキー24への入力を受けて、CPU20の制御によって切り換えを行う。
【0069】
2.3HDMIリピータプログラムの処理
図8、図9に、HDMIリピータプログラム30のフローチャートを示す。図4に示すフローチャートと同じ処理には同じ符号を付している。
【0070】
CPU20は、まず、スイッチ10をオンにし、イコライザ部2の広域ゲインを初期値に設定する(ステップS1、S2)。HDMIシンク装置SKが接続されると、HDMIシンク装置SKであるモニタ28は、ライン16にホットプラグ検出信号を出力する。また、これを受けたDVDプレイヤ26は、HDCP第1認証を開始する。CPU20は、ライン16を監視して上記のホットプラグ検出信号が出たことを検出し(ステップS25)、ライン18を監視してHDCP第1認証が行われるかどうかを検出する(ステップS3)。
【0071】
CPU20は、1回目のホットプラグ検出、1回目のHDCP第1認証に対し何も処理を行わない。1回目のホットプラグ検出、1回目のHDCP第1認証は、TMDS信号が不良でなくとも、必ず行われるものだからである。
【0072】
続いて、CPU20は、ライン16の監視を続け、ホットプラグ検出信号が出されたかどうかを判断する(ステップS35)。TMDS信号に不良があった場合、モニタ28がホットプラグ検出信号を出すことがある。したがって、ホットプラグ検出信号を見いだした場合、TMDS信号に不良があったと判断することができる。
【0073】
ホットプラグ検出信号を見いだすと、CPU20は、イコライザ部2の高域ゲインを所定値だけ減少させ(ステップS36)、ステップS3以下を実行する。この場合、モニタ28の出したホットプラグ検出信号により、DVDプレイヤ26が、HDCP第1認証を行い、これに成功するとHDCP第3認証を行いつつTMDS信号の送信を行うことになる。つまり、減少された高域ゲインに基づいて、TMDS信号の伝送が行われることになる。
【0074】
CPU20は、ステップS35において、ホットプラグ検出信号を見いださない場合、ステップS4に進む。ステップS4においては、ライン18を監視し、HDCP第1認証が行われるかどうかを判断する。HDCP第1認証が行われたと判断した場合、TMDS信号に不良があったと判断して、イコライザ部2の高域ゲインを所定値だけ減少させ、強制的にホットプラグ検出信号を出力する点は、第1の実施形態と同じである。
【0075】
直前のホットプラグ検出信号あるいはHDCP第1認証が行われてから所定時間が経過しても、次のホットプラグ検出信号またはHDCP第1認証が検出されなければ、CPU20は、その時のイコライザ部2の高域ゲインが適正であると判断し処理を終了する(ステップS5)。
【0076】
以上のようにして、HDMIリピータRPは、イコライザ部2の高域ゲインを適切に調整することができる。
【0077】
2.4その他の実施形態
(1)上記実施形態では、HDMIソース装置SOを切り換えて使用できるHDMIリピータ装置RPを例として説明した。しかし、1つのHDMIソース装置SOのみを接続することのできるHDMIリピータ装置RPに対しても適用することができる。
【0078】
(2)上記実施形態では、ホットプラグ検出信号を見いだした場合には、強制的なホットプラグ検出信号を出力しないようにしている。しかし、この場合においても、強制的にホットプラグ検出信号を出力するようにしてもよい。
【0079】
(3)上記実施形態では、イコライザの高域ゲインを変更する場合について説明をした。しかし、周波数特性だけでなく、全体的なゲインを変更する場合、あるいは波形修正などの特性修正を行う場合にも適用することができる。
【0080】
(4)上記に示したその他の実施形態は、第1の実施形態に対しても適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMIソース装置とHDMIシンク装置との間に接続され、TMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号を転送するHDMIリピータ装置であって、
HDMIソース装置からのTMDS信号を受信し、イコライザにより高域ゲインを上げた後、HDMIシンク装置に送信するイコライザ部と、
DDC信号を解析し、当該DDC信号がHDCP第1認証にのみ用いられるものであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断する第1認証判断手段と、
前記第1認証判断手段がHDCP第1認証実行ありと判断すると、前記イコライザ部の前記イコライザの高域ゲインを増加または減少させる高域ゲイン調整手段と、
を備えたHDMIリピータ装置。
【請求項2】
HDMIソース装置とHDMIシンク装置との間に接続され、HDMIソース装置からのTMDS信号を受信し、イコライザにより高域ゲインを上げた後、HDMIシンク装置に送信するイコライザ部を有するとともに、TMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号を転送するHDMIリピータ装置をコンピュータによって実現するためのHDMIリピータプログラムであって、
コンピュータを、
DDC信号を解析し、当該DDC信号がHDCP第1認証にのみ用いられるものであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断する第1認証判断手段と、
前記第1認証判断手段がHDCP第1認証実行ありと判断すると、前記イコライザ部の前記イコライザの高域ゲインを増加または減少させる高域ゲイン調整手段と、
として機能させるためのHDMIリピータプログラム。
【請求項3】
請求項1のHDMIリピータ装置または請求項2のHDMIリピータプログラムにおいて、
前記第1認証判断手段は、DDC信号のアドレスを解析し、当該アドレスが、HDCP第1認証にのみ用いられるシンク装置のレジスタのアドレスであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断することを特徴とするリピータ装置またはリピータプログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのHDMIリピータ装置またはHDMIリピータプログラムにおいて、
前記第1認証判断手段は、ホットプラグ検出信号がホットプラグの検出を示しているかどうかを判断することによっても、HDCP第1認証実行の有無を判断することを特徴とするリピータ装置またはリピータプログラム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかのHDMIリピータ装置またはHDMIリピータプログラムにおいて、
前記高域ゲイン調整手段によって高域ゲインが増加または減少されると、HDMIソース装置に対して、ホットプラグ検出信号を強制的に出力する強制ホットプラグ手段をさらに備えたことを特徴とするHDMIリピータ装置またはHDMIリピータプログラム。
【請求項6】
データを送信するソース装置と、ソース装置からのデータを受信するシンク装置との間に接続され、データの中継を行うリピータ装置であって、
前記ソース装置は、接続されたシンク装置の認証を行った後、データを送信するものであり、
前記ソース装置または前記シンク装置は、データが正しく送受信されたかどうかの確認を行い、正しく送信されていないと判断した場合には、前記認証を再度行うものであって、
ソース装置からのデータを受信し、当該データに所定の特性修正を施した後、リピータ装置に送信する特性修正部と、
ソース装置からの制御信号を受信してシンク装置に転送するとともに、シンク装置からの制御信号を受信してソース装置に転送する制御信号転送部と、
制御信号転送部において転送される制御信号を取得し、前記認証が行われているか否かを判断する認証判断手段と、
前記認証判断手段によって前記認証が行われていると判断すると、前記特性修正部による特性修正の内容を変更する変更手段と、
を備えたリピータ装置。
【請求項7】
HDMIソース装置とHDMIシンク装置との間においてやりとりされるTMDS信号、DDC信号、ホットプラグ検出信号を転送する方法であって、
HDMIソース装置からのTMDS信号を受信し、高域ゲインを上げた後、HDMIリピータ装置に送信し、
DDC信号を解析し、当該DDC信号がHDCP第1認証にのみ用いられるものであるかどうかを判断することによって、HDCP第1認証実行の有無を判断し、
HDCP第1認証実行ありと判断すると、前記高域ゲインを増加または減少させること、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138757(P2012−138757A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289731(P2010−289731)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】