説明

リブ設計方法、リブ設計装置、およびリブ設計プログラム

【課題】トポロジー最適化処理によって物品の強度を補強するためのリブを設計する場合、ソリッド状の設計空間から不要部分を削ってリブを生成する方法を用いると、最適化後の形状が、余分な部位が残っている等の理由により不適切な形状である場合が多い。また、このリブ設計方法は、計算量が多く、処理に時間がかかる。
【解決手段】空間モデル内において、リブを設ける物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得し、取得したシェルモデルを複数の要素に分割する。また、物品の境界条件に対応した制約条件と目的関数とを含む最適化条件を取得する。複数の要素に分割されたシェルモデルに対して、最適化条件を満たすようにトポロジー最適化を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する。そして、この最適形状に対応するようにリブを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品等の強度を補強するためのリブを設計するリブ設計技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車の部品等を軽量化する方法として、部品の材料をアルミ等の金属から、より軽量なプラスチック樹脂等の素材に変更することが行われている。しかし、部品をプラスチック製にした場合、金属製である場合よりも部品の強度が弱くなってしまうため、リブを新たに設計して部品の強度を補強する場合がある。
このようなリブの設計を行う際、一般的に、設計者は、非特許文献1のような設計支援ソフトウェアを使用して設計を行う。非特許文献1のソフトウェアは、設計者が既存部品の形状データを入力し、制約条件や目的関数等を設定すると、自動的にトポロジー最適化処理を行って、既存部品の形状にリブを設けた最適化形状を生成して出力する。そして、設計者は、ソフトウェアが出力した最適化形状が設定した制約条件等の条件を満たすものであるかをテストし、条件を満たさない場合には、再度、制約条件等の条件をソフトウェアに入力し直して、最適化形状を出力させるということを繰り返し、最終的な物品形状を決定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“Altair OptiStruct”、[online]、アルテアエンジニアリング株式会社、[平成23年9月22日検索]、インターネット<URL:http://www.altairhyperworks.jp/Product,19,OptiStruct.aspx>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、非特許文献1の設計支援ソフトウェアで一般的に推奨されているリブ設計方法は、既存部品の形状に肉付けしたソリッド状の設計空間(形状変更に使用可能な空間)を設計者に設定させ、この設計空間から不要部分を削ってリブを生成するものである。
しかしながら、このリブ設計方法を用いると、最終的にソフトウェアが出力する最適化形状は、余分な部位が残っている等の理由により、実際にそのまま部品として使用できるような適切な形状でない場合が多い。このため、再度、設計者が制約条件や目的関数の設定をし直して、ソフトウェアに再設計させるということを繰り返さなければならないという問題があった。また、このリブ設計方法は、計算量が多くなり、ソフトウェアから最適化形状が出力されるまでに時間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より計算量が少なく、より適切な最適化形状を出力することが可能なリブ設計方法、リブ設計装置、およびリブ設計プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様によれば、形状データ取得部と、シェル情報取得部と、シェル分割部と、境界条件取得部と、最適化条件取得部と、最適化処理部と、リブ生成部と、を有するリブ設計装置が実行し、トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計方法であって、前記形状データ取得部が、前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する第1のステップと、前記シェル情報取得部が、前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得する第2のステップと、前記シェル分割部が、前記シェルモデルを複数の要素に分割する第3のステップと、前記境界条件取得部が、前記物品の境界条件を取得する第4のステップと、前記最適化条件取得部が、前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する第5のステップと、前記最適化処理部が、前記第3のステップにおいて複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する第6のステップと、前記リブ生成部が、前記最適形状に対応するようにリブを生成する第7のステップと、
を含むことを特徴とするリブ設計方法が提供される。
【0007】
この構成によれば、従来のようにソリッド状の設計空間を用いずに、2.5次元という、より少ないデータ量からリブを生成するため、計算量が少なくて済む。また、面状のシェルモデルからリブを生成するため、従来のように余分な部位が残った最適化形状が出力される可能性が低く、より適切な最適化形状を得ることが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計装置であって、
前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する形状データ取得部と、前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得するシェル情報取得部と、前記シェルモデルを複数の要素に分割するシェル分割部と、前記物品の境界条件を取得する境界条件取得部と、前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する最適化条件取得部と、前記シェル分割部において複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状を出力する最適化処理部と、前記最適形状に対応するようにリブを生成するリブ生成部と、を有することを特徴とするリブ設計装置が提供される。
【0008】
この構成によれば、従来のようにソリッド状の設計空間を用いずに、2.5次元という、より少ないデータ量からリブを生成するため、計算量が少なくて済む。また、面状のシェルモデルからリブを生成するため、従来のように余分な部位が残った最適化形状が出力される可能性が低く、より適切な最適化形状を得ることが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計処理をコンピュータに実行させるためのリブ設計プログラムであって、前記コンピュータに、前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する第1の処理ステップと、前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得する第2の処理ステップと、前記シェルモデルを複数の要素に分割する第3の処理ステップと、前記物品の境界条件を取得する第4の処理ステップと、前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する第5の処理ステップと、前記第3の処理ステップにおいて複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する第6の処理ステップと、前記最適形状に対応するようにリブを生成する第7の処理ステップと、を実行させるプログラムであるリブ設計プログラムが提供される。
【0009】
この構成によれば、従来のようにソリッド状の設計空間を用いずに、2.5次元という、より少ないデータ量からリブを生成するため、計算量が少なくて済む。また、面状のシェルモデルからリブを生成するため、従来のように余分な部位が残った最適化形状が出力される可能性が低く、より適切な最適化形状を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より計算量が少ない処理量で、より適切にリブが設計された最適化形状を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るリブ設計方法の一例を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るリブ設計方法の一例を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るリブ設計装置の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るリブ設計装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るリブ設計装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
(リブ設計方法)
図1および図2を用いて、本実施形態に係るリブ設計方法について説明する。以下では、リブ設計方法の非限定的一例として、長方形板状の物品の面上にリブを設計する場合について説明する。
【0013】
本実施形態に係るリブ設計方法はコンピュータ装置であるリブ設計装置により実行される。まず、リブ設計装置のユーザ(設計者)は、CD−ROM等の記録媒体から物品の3次元形状データ(例えば、CADデータ等)をリブ設計装置に読み込ませる。読み込まれた3次元形状データは、ディスプレイ等の表示装置に3次元表示される。以降、リブ設計装置のユーザは、この表示装置に表示される物品の3次元形状を視認しながら、マウスやキーボード等の入力装置を用いて必要な操作を行っていく。
【0014】
図1は、長方形板状の物品を上方から見た状態を示す図であり、本例では、この物品の長方形状の面全体に対してリブを設計するものとする。
ユーザは表示装置に表示された3次元形状に対して、リブを設ける物品の略面形状部分に対して、例えばマウスを操作して面状のシェルモデル10を設定する。ここで、シェルモデルとは、厚みを数値で表した、見た目に厚みのないモデルである。本例においては、上述したように長方形状の面全体に対してリブを設計するため、ユーザは、マウス等を操作して面全体を選択する操作を行う。
【0015】
また、この時、ユーザはシェルモデル10の厚み情報も入力する。厚み情報は、設計しようとするリブの高さに対応するものである。例えば、“5mm”の高さのリブを物品の面形状部分に設けることを想定しているのであれば、シェルモデル10の厚み情報も“5mm”と入力する。以上の操作により、シェルモデル10の2.5次元情報が設定されたことになる。
【0016】
そして、以上のようにして設定されたシェルモデル10は、リブ設計装置にインストールされたソフトウェアによって、自動的にメッシュ状の細かい要素(エレメント)に分割される。
次に、ユーザは、例えばキーボードやマウス等を操作して、境界条件を設定する。境界条件は、例えば、荷重条件、拘束条件、接触条件等からなり、リブを設計しようとする物品によって設定される条件は異なる。さらに、ユーザは、制約条件と目的関数とを入力する。制約条件と目的関数は、先に入力した境界条件に対応して決定されるものである。本例においては、制約条件は、物品の長辺の「両端固定、かつ、3か所に荷重」と設定され、目的関数Σ(x)は、「荷重点の変位量がA(特定の値)以下であり、最も軽い形状」と設定されるものとする。
【0017】
そして、以上のように設定されたシェルモデル10の2.5次元情報や、制約条件および目的関数を満たすように、物品の3次元データに対してトポロジー最適化処理が実行される。この処理は、例えば、非特許文献1に示されるアルテアエンジニアリング社の「OptiStruct」に代表される設計支援ソフトをリブ設計装置にインストールして実行させることが可能である。なお、本例では、トポロジー最適化の手法として、密度法を用いる場合について説明する。
【0018】
トポロジー最適化処理の結果は、シェルモデル10の要素ごとの密度を示す密度分布情報として表示装置に表示される。図2(a)は、表示装置に表示された密度分布情報の一例を示す図である。本例においては、密度の高い要素をより濃い色で表している。すなわち、本例においては、密度の高い要素が鉄橋のような形状11をなしている。この形状11の領域が、トポロジー最適化処理によってリブを形成すべき箇所であると判断された領域である。
【0019】
その後、図2(b)に示されるように、ユーザは密度の高い要素部分(形状11)をマウス等で選択し、最終的なリブ形状12を決定する。
なお、トポロジー最適化の処理結果である密度分布情報(図2(a))は、制約条件や目的関数の設定によって変化する。よって、密度分布情報において、例えばシェルモデル10の全体(全要素)に渡って密度が高くなってしまうような場合には、制約条件や目的条件を設定しなおして、再度、設計支援ソフトウェアにトポロジー最適化処理を実行させる。
【0020】
(リブ設計装置の構成)
図3は、本実施形態に係るリブ設計方法を実行するリブ設計装置の構成例を示す図である。図3に示されるリブ設計装置1は、形状データ取得部100と、シェル情報取得部110と、シェル分割部120と、境界条件取得部130と、最適化条件取得部140と、最適化処理部150と、リブ生成部160と、を有する。
【0021】
形状データ取得部100は、リブを設計する物品の形状を示す3次元形状データを取得する。3次元形状データの取得の方法は様々にありうる。例えば、の入力を受け付ける。
シェル情報取得部110は、リブを設計する物品の形状の少なくとも一部を含み物品の形状の変形が許容される空間である設計空間内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデル(2.5次元情報)を取得する。
【0022】
シェル分割部120は、シェル情報取得部110で取得された面状のシェルモデルをメッシュ状の複数の要素(エレメント)に分割する。
境界条件取得部130は、物品が使用される際の使用条件を示す境界条件を取得する。
最適化条件取得部140は、境界条件取得部130で取得された物品の境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する。目的関数は、例えば、物品の質量、体積、コンプライアンス、重心位置、回転慣性、変位、応力、ひずみ、要素力、複合材の応答(応力、ひずみ、破壊基準)、変位、速度、加速度、応力、要素力、固有値、座屈係数、等が挙げられる。本実施形態においては、非限定的一例として、目的関数が質量である場合について説明する。
【0023】
最適化処理部150は、シェル分割部120において複数の要素に分割された面状のシェルモデルに対して、最適化条件取得部140において取得された最適化条件を満たすようにトポロジー最適化を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する。本実施形態のリブ設計方法においては、非限定的一例として、トポロジー最適化の手法として、密度法を採用し、最適形状情報として密度分布情報を出力する場合について説明する。ただし、これに限定されるものではない。トポロジー最適化の手法として、例えば、均質化設計法、グランドストラクチャー法、等を採用することも可能である。
【0024】
リブ生成部160は、最適化処理部150によって出力された最適形状情報に対応するようにリブを生成する。このリブ生成部160の処理はリブ設計装置1によって自動的に実行されてもよいし、例えば、ユーザがリブ設計装置1の表示装置に表示される最適形状情報を視認して、マウス等の入力装置でリブを設計する部分を選択することによって、その要素部分に対応する物品の部分にリブが生成されるようになっていてもよい。
【0025】
(処理フロー)
図4は、図4に示されるリブ設計装置1が実行するリブ設計処理手順の一例を示すフローチャートである。
リブ設計装置1のユーザは、リブを生成する前の物品の3次元形状データが記録されているCD−ROM等の記録媒体をリブ設計装置1に読み込ませる。形状データ取得部100は、この物品の3次元形状データの入力を受け付けることで、3次元形状データを取得する(ステップS101)。形状データ取得部100が入力を受け付けた3次元形状データは、一旦、RAMやハードディスク等の記憶装置に記憶された後、リブ設計装置1のディスプレイ等の表示装置に表示出力される。これにより、ユーザは物品の3次元形状を視認できる。なお、3次元形状データは、例えば、リブ設計装置1が接続されているネットワークを介して、他の装置から受信する等となっていてもよい。
【0026】
また、CD−ROM等の記録媒体から3次元形状データを読み込む際、この3次元形状データには物品形状内の変更可能領域(形状変更が許容される領域)がすでに設定されている場合がある。もし、設定されていない場合には、表示装置に表示された物品の3次元形状に対して、ユーザがマウス等の入力装置を操作して変更可能領域を設定するようになっていてもよい。
【0027】
次に、ユーザは、マウス等の入力装置を操作して、表示装置に表示された物品の3次元形状の設計空間内において、リブを設ける物品の略面形状部分に対してシェルを設定する。また、ユーザは、キーボード、マウス等の入力装置を操作して、シェルごとに2.5次元情報を入力する(ステップS102)。本実施形態においては、非限定的一例として、2.5次元情報は、シェルの範囲を示す2次元座標と、シェルの厚みを示す厚み情報とから構成されるものとする。また、ここで設定されるシェルの厚みは、そのシェルが対応している物品の略面形状部分に形成するリブの高さに対応する。
【0028】
また、本実施形態においては、非限定的一例として、一つのシェルに対して一意の厚みが設定されるものとする。すなわち、例えば、物品の一つの面において、場所によってシェルの厚み(リブの高さ)を異ならせたい場合には、シェルの厚みが異なる場所ごとにシェルを設定する。ただし、シェルの設定方法はこれに限定されるものではなく、一つのシェルにおいて場所によって異なる厚みを設定する(すなわち、不均一に厚みを設定する)ようになっていてもよい。
ここで、シェル情報取得部110は、上記のようにユーザが入力したシェルごとの2.5次元情報を受け付け、RAM等のメモリに記憶する。
シェル分割部120は、ステップS102で入力を受け付けたシェルモデルを複数の要素(エレメント)に分割する(ステップS103)。
【0029】
次に、ユーザはキーボード等の入力装置を操作して、荷重条件や拘束条件等の境界条件を入力する。ここで、境界条件には、例えば、荷重条件と拘束条件とが含まれる。「荷重条件」とは、例えば、物品のいずれの部位に、どの方向にどれくらいの力が加わるか等の条件を示すものである。また、「拘束条件」とは、例えば、物品において固定される部位、回転する際の回転軸もしくは回転中心の点等の物品を拘束する条件を示すものである。
【0030】
また、境界条件には、接触条件等が含まれる場合もある。「接触条件」とは、例えば、リブを設計する物品と他の物品とが接触する際の固定状態(接着されているのか接触しているのみであるのか)、接触時の強度等の条件を示すものである。
境界条件取得部130は、上記のようにして入力された境界条件を受け付け、RAM等の記憶装置に記憶する(ステップS104)。
【0031】
ユーザは、キーボード等の入力装置を操作して、境界条件に対応した制約条件や目的関数を入力する。最適化条件取得部140は、ユーザによって入力された制約条件と目的関数とを含む最適化条件を受け付け、RAM等の記憶装置に記憶する(ステップS105)。
最適化処理部150は、ステップS103で複数の要素に分割されたシェルモデルに対し、ステップS105で取得された最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を実行する(ステップS106)。なお、これらの処理は、例えば、非特許文献1に示されるアルテアエンジニアリング社の「OptiStruct」に代表される設計支援ソフトによって実行させることが可能である。
【0032】
そして、最適化処理部150は、トポロジー最適化処理の結果として、シェルモデルの複数の要素の各要素における密度を示す密度分布情報を表示装置等に出力する(ステップS107)。
ユーザは、表示装置に表示出力された密度分布情報を視認し、リブを設定する場所として、密度の高い要素部分をマウス等の入力装置で選択する。リブ生成部160は、ユーザが入力装置で選択した要素部分にリブが設置された状態の形状を示す3次元データをハードディスクやRAM等の記憶装置に記憶する(ステップS108)。
【0033】
(リブ設計装置のハードウェア構成)
図5は、本実施形態に係るリブ設計装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5に示されるコンピュータ装置であるリブ設計装置1において、CPU201は、ROM204またはハードディスクドライブ206に格納されたプログラムに従い、RAM205を一次記憶用ワークメモリとして利用して、システム全体を制御する。
これにより、上記説明した本実施形態に係るリブ設計装置における形状データ取得部100、シェル情報取得部110、シェル分割部120、境界条件取得部130、最適化条件取得部140、最適化処理部150、およびリブ生成部160における機能が実現される。すなわち、CPU201は、マウス202aまたはキーボード202を介して入力されるデータをRAM205やハードディスクドライブ206等に記憶し、またこれらのデータを用いて、ハードディスクドライブ206に格納されたプログラムを読み出して、本実施形態のリブ設計処理を実行する。
【0034】
ディスプレイインタフェイス203には、LCDなどの表示装置が接続され、CPU201が実行するリブ設計処理に必要なデータ(シェルモデルの2.5次元情報、境界条件、最適化条件等のデータ)のユーザ入力用画面、処理経過表示画面、トポロジー最適化の処理結果である密度分布情報等が表示装置に表示される。
リムーバブルメディアドライブ207は、主に、リムーバブルメディアからハードディスクドライブ206へファイルを書き込んだり、ハードディスクドライブ206から読み出したファイルをリムーバブルメディアへ書き込む場合に利用される。リムーバブルメディアとしては、フロッピディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、DVD−ROM、DVD−R、DVD−R/W、DVD−RAM、MO、ブルーレイディスク(BD)、メモリカード、CFカード、スマートメディア、SDカード、メモリスティックなどが利用可能である。
【0035】
プリンタインタフェイス108には、レーザビームプリンタやインクジェットプリンタなどのプリンタが接続される。
ネットワークインタフェイス209は、コンピュータ装置であるリブ設計装置1を外部のネットワークへ接続するためのインタフェイスである。例えば、リブ設計装置1は、ネットワークインタフェイス209を介して、物品の3次元形状データを受信してハードディスクドライブ206等に記憶するようになっていてもよい。また、ネットワークインタフェイス209を介して、リブ設計処理の処理結果である最適化形状のデータを外部の装置等に出力するようになっていてもよい。
【0036】
図5に示した本実施形態に係るリブ設計装置のハードウェア構成は一例に過ぎず、その他の任意のハードウェア構成を用いることが可能である。
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0037】
1 リブ設計装置
10 シェルモデル
11 鉄橋形状(密度の高い要素部分)
12 リブ形状
100 形状データ取得部
110 シェル情報取得部
120 シェル分割部
130 境界条件取得部
140 最適化条件取得部
150 最適化処理部
160 リブ生成部
201 CPU
202 キーボード
202a マウス
203 ディスプレイインタフェイス
204 ROM
205 RAM
206 ハードディスクドライブ
207 リムーバブルメディアドライブ
208 プリンタインタフェイス
209 ネットワークインタフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状データ取得部と、シェル情報取得部と、シェル分割部と、境界条件取得部と、最適化条件取得部と、最適化処理部と、リブ生成部と、を有するリブ設計装置が実行し、トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計方法であって、
前記形状データ取得部が、前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する第1のステップと、
前記シェル情報取得部が、前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得する第2のステップと、
前記シェル分割部が、前記シェルモデルを複数の要素に分割する第3のステップと、
前記境界条件取得部が、前記物品の境界条件を取得する第4のステップと、
前記最適化条件取得部が、前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する第5のステップと、
前記最適化処理部が、前記第3のステップにおいて複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する第6のステップと、
前記リブ生成部が、前記最適形状に対応するようにリブを生成する第7のステップと、
を含むことを特徴とするリブ設計方法。
【請求項2】
トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計装置であって、
前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する形状データ取得部と、
前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得するシェル情報取得部と、
前記シェルモデルを複数の要素に分割するシェル分割部と、
前記物品の境界条件を取得する境界条件取得部と、
前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する最適化条件取得部と、
前記シェル分割部において複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状を出力する最適化処理部と、
前記最適形状に対応するようにリブを生成するリブ生成部と、
を有することを特徴とするリブ設計装置。
【請求項3】
トポロジー最適化処理を行って物品のリブを設計するリブ設計処理をコンピュータに実行させるためのリブ設計プログラムであって、前記コンピュータに、
前記物品の形状を示す3次元形状データを取得する第1の処理ステップと、
前記物品の形状の少なくとも一部を含む空間モデルを設計し、当該空間モデル内において、リブを設ける前記物品の略面形状部分に対して設定される面状のシェルモデルを取得する第2の処理ステップと、
前記シェルモデルを複数の要素に分割する第3の処理ステップと、
前記物品の境界条件を取得する第4の処理ステップと、
前記境界条件に対応した制約条件と、目的関数と、を含む最適化条件を取得する第5の処理ステップと、
前記第3の処理ステップにおいて複数の要素に分割された前記シェルモデルに対して、前記最適化条件を満たすようにトポロジー最適化処理を行い、最適化処理後の最適形状を表す情報である最適形状情報を出力する第6の処理ステップと、
前記最適形状に対応するようにリブを生成する第7の処理ステップと、
を実行させるプログラムであるリブ設計プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−114464(P2013−114464A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260228(P2011−260228)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】