説明

リペア装置、およびリペア方法

【課題】レーザ耐力が異なる欠陥を1台で修正可能なリペア装置、およびリペア方法を提供する。
【解決手段】本発明の位置決め装置は、載置ステージと、対象物を撮像する撮像部と、差画像データにより欠陥を抽出する第1欠陥抽出部と、レーザ照射範囲を設定するレーザ形状制御部と、レーザ光を照射する光源と、前記レーザ形状制御部が設定した照射範囲にレーザ光を照射する第1光学系と、差画像データと輝度情報により、欠陥を抽出する第2欠陥抽出部と、前記第2欠陥抽出部が抽出した欠陥の一部にスポット照射する第2光学系と、前記光源から照射されたレーザ光の光路を、前記第1光学系と前記第2光学系とに切り替える切替部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板やプリント基板の欠陥を修正するリペア装置、およびリペア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどのFPD(Flat Panel Display)基板、半導体ウエハ、プリント基板など、各種基板の製造過程では、その歩留りを向上するために、各パターニングプロセス後、逐次、配線の短絡や接続不良や断線やパターン不良などの欠陥が存在するか否かが検査されている。検査の結果、フォト工程後のレジストパターンやエッチング工程後のエッチングパターンにおいて欠陥が検出された場合、この欠陥に対してレーザ光を照射して修正を行っている。
【0003】
レーザ光を用いた欠陥の修正を行うリペア装置として、微小ミラーを複数縦横方向にマトリクス状に配列してなるデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)などの空間光変調素子を備え、このDMDにレーザ光源からのレーザ光を照射する際、微小ミラーをそれぞれ角度制御することにより、照射するレーザ光の断面形状を所望の形状に整形して、高速に欠陥修正を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−103581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリペア装置では、フォトレジスト(Photo Resist)として使用されるの高分子材料膜(レジスト膜)の欠陥など、レーザ耐力の低い物質の除去またはカットを容易に行える。しかしながら、異物欠陥などを加工する場合、同程度の出力のレーザ照射では除去またはカットすることが困難であった。これは、特許文献1のリペア装置では、DMDによって被加工面上にパターンを像として投影させるため、異物欠陥などの局所物を加工するにはレーザ光のエネルギー密度が不足するからである。、この結果、さらに下流の工程に配置される専用の別のリペア装置により修正するか、画素を黒欠陥化させる(黒点化)、あるいはそれでも修正できない場合にはパネルを廃棄していた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、レーザ耐力が異なる欠陥を1台で修正可能なリペア装置、およびリペア方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるリペア装置は、載置ステージに載置した対象物の欠陥を修正するリペア装置であって、前記対象物を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データにより欠陥を抽出する第1欠陥抽出部と、前記第1欠陥抽出部が抽出した欠陥全体をレーザ光の照射範囲として設定するレーザ形状制御部と、レーザ光を照射する光源と、前記レーザ形状制御部が設定した照射範囲に、前記光源から射出されたレーザ光を照射する第1光学系と、前記第1光学系による欠陥修正後に撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データと前記画像データの輝度情報により、欠陥を抽出する第2欠陥抽出部と、前記光源から射出されたレーザ光を、前記第2欠陥抽出部が抽出した欠陥の一部にスポット照射する第2光学系と、前記光源から照射されたレーザ光の光路を、前記第1光学系と前記第2光学系との間で切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記第1欠陥抽出部が抽出する欠陥はレジスト膜欠陥であり、前記第2欠陥抽出部が抽出する欠陥は異物欠陥であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記第1欠陥抽出部が作成する差画像データに基準となるリファレンスパターンと、異物欠陥情報とを保存するレシピ収納部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記第2光学系によるレーザ光をスポット照射する、開始点と終了点を入力する入力部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記載置ステージを移動するステージ制御部を備え、前記第2光学系によるレーザ光のスポット照射は、前記入力部により指定された開始点から終了点まで、前記ステージ制御部により前記載置ステージを移動しながら行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記対象物は回路が形成されたエッチング工程前の基板であり、第2欠陥抽出部が抽出した異物欠陥が修正の必要があるか否かを判定する判定部を備え、前記判定部が、前記異物欠陥が修正の必要ありと判定した場合にのみ、異物欠陥の修復を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記光源は、レーザの出力を調整する減衰器を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記光源は、照射するレーザ口径を切り替える切替部を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるリペア装置は、上記発明において、前記第2欠陥抽出部が欠陥を抽出した際、欠陥の抽出を出力する出力部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるリペア方法は、対象物の欠陥を修正するリペア方法であって、載置ステージに載置した対象物の欠陥を修正するリペア方法であって、前記対象物を撮像する第1撮像ステップと、前記第1撮像ステップが撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データにより欠陥を抽出する第1欠陥抽出ステップと、前記第1欠陥抽出ステップが抽出した欠陥全体をレーザ光の照射範囲として設定するレーザ形状設定ステップと、前記レーザ形状設定ステップが設定した照射範囲に、光源から第1光学系を介してレーザ光を照射して、欠陥を修正する第1欠陥修正ステップと、前記第1欠陥修正ステップ後前記対象物を撮像する第2撮像ステップと、前記第2撮像ステップが撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データと前記画像データの輝度情報に基づき、欠陥を抽出する第2欠陥抽出ステップと、前記光源から照射されるレーザ光の光路を、前記第1光学系と第2光学系とに切り替える切替ステップと、前記第2欠陥抽出部が抽出した欠陥に、前記光源から前記第2光学系を介してレーザ光をスポット照射して、欠陥を修正する第2欠陥修正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるリペア方法は、上記発明において、前記第1欠陥抽出ステップが抽出する欠陥はレジスト膜欠陥であり、前記第2欠陥抽出ステップが抽出する欠陥は異物欠陥であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるリペア方法は、上記発明において、前記第2欠陥修正ステップのレーザ光のスポット照射は、入力部により指定された開始点から終了点まで、前記対象物を載置する載置ステージを移動しながら行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかるリペア方法は、上記発明において、前記対象物は配線回路が形成されたエッチング工程前の基板であり、第2欠陥抽出ステップが抽出した異物欠陥が前記配線回路を跨ぐか否かを判定する判定ステップを含み、前記判定ステップが、前記異物欠陥が前記配線回路を跨ぐと判定した場合にのみ、異物欠陥の修復を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかるリペア方法は、上記発明において、前記第2欠陥修正ステップで前記対象物にスポット照射するレーザ光の密度は、前記第1欠陥修正ステップで前記対象物に照射するレーザ光の密度より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかるリペア装置、およびリペア方法は、対象物のレジスト膜欠陥全体にレーザ光を照射する第1光学系と、異物欠陥に局所的にレーザ光を集光し、照射する第2光学系とを備え、切替部により前記光学系を切り替えることにより、高密度のレーザによる対象物への影響を低減しながら、レーザ耐力のある異物欠陥のカットまたは除去を行うことができるため、生産ラインの歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかるリペア装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態にかかるリペア工程のフローチャートである。
【図3】図3は、基板上の欠陥を示す図である。
【図4】図4は、図3のA−A断面図である。
【図5】図5は、レジスト膜欠陥に照射するレーザ光の照射範囲を示す図である。
【図6】図6は、レジスト膜欠陥を修正後の基板を示す図である。
【図7】図7は、図6のB−B断面図である。
【図8】図8は、異物欠陥に照射するレーザ光の照射範囲を示す図である。
【図9】図9は、異物欠陥を修正後の基板を示す図である。
【図10】図10は、図9のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0024】
まず、本発明の実施の形態にかかるリペア装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかるリペア装置100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、リペア装置100は、リペア対象物である基板1を載置するXYステージ2と、基板1を撮像する撮像部12と、撮像部12が撮像した画像データから欠陥を抽出する欠陥抽出部13と、欠陥抽出部13が抽出したレジスト膜欠陥全体にレーザを照射するよう照射範囲を制御するレーザ形状制御部18と、レーザを射出するレーザ光源24と、レーザ形状制御部18が設定した照射範囲に、レーザ光源24から射出されたレーザ光を照射する第1光学系40aと、レーザ光源24から射出されたレーザ光を、欠陥抽出部13が抽出した異物欠陥の一部にスポット照射する第2光学系40bと、レーザ光源24から照射されたレーザ光の光路を、第1光学系40aと第2光学系40bとに切り替える切替部であるミラースライダー20と、XYステージ2を移動するステージ制御部3と、を備える。
【0025】
リペア対象物である基板1は、液晶ディスプレイのガラス基板のほか、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタ、半導体ウエハ、プリント基板など、フォトレジストを使用して回路を形成するものであれば、本実施の形態にかかるリペア装置100でのリペア対象物となりうる。
【0026】
XYステージ2は、対象物である基板1を載置し、ステージ制御部3の制御のもと、XY方向に移動する。本実施の形態では、図示しない検査装置により基板1の欠陥検査が行われ、該検査結果、例えば、欠陥の座標、大きさ、欠陥の種類などが主制御部15を介してステージ制御部3に送信される。ステージ制御部3は、受信した欠陥の座標データに従って、XYステージ2を移動制御する。
【0027】
基板1は、レンズ5、ビームスプリッタ6および対物レンズ8を介して照明光源4から照射された照明光が照射される。対物レンズ8は、対物レンズ切替ユニット7内に複数配置され、対物レンズ切替制御部9により使用する対物レンズ8が切り替えられる。基板1に照射された照明光は基板1表面で反射し、反射光は、撮像部12に入射する。
【0028】
撮像部12は、光路L上に配置された対物レンズ8、ビームスプリッタ6および10、ならびにレンズ11を介して基板1を撮像する。撮像部12は、例えば、CMOSイメージセンサまたはCCD等の撮像素子であり、図示しない検査装置により検出された基板1上の欠陥を撮像し、撮像した画像データを欠陥抽出部13へ送信する。撮像部12は、輝度情報を取得するためにカラー撮像可能なものが好ましい。
【0029】
欠陥抽出部13は、レジスト膜欠陥抽出部13aと、異物欠陥抽出部13bと、判定部13cとを備える。レジスト膜欠陥抽出部13aは、撮像部12が撮像した画像データとレシピ収納部16に保存されるリファレンスパターンとの差画像データからレジスト膜欠陥を抽出する。レジスト膜欠陥抽出部13aは、抽出したレジスト膜欠陥の差画像データの2値価処理を行い、レジスト膜欠陥形状データを作成する。異物欠陥抽出部13bは、撮像部12が撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データと、画像データの輝度情報により異物欠陥を抽出し、異物欠陥形状データを作成する。この異物欠陥形状データは、正常なパターン以外の領域にレーザ光を照射するためのマスク情報として用いられる。判定部13cは、異物欠陥が修正の必要があるか否かを判定する。欠陥抽出部13は、欠陥画像データや、差画像データ、欠陥形状データ等を表示部14に表示する。
【0030】
レーザ形状制御部18は、レジスト膜欠陥抽出部13aが作成したレジスト膜欠陥形状データを、主制御部15を介して取得し、該欠陥形状データに対応する2次元空間変調器29の制御信号を設定する。制御信号は、レジスト膜欠陥全体をレーザ光の照射範囲とするように設定する。
【0031】
レーザ光源24は、基板1の欠陥を修正するためのレーザ光を射出する。レーザ光源24は、例えば波長355nmのYAGレーザ発振器が用いられる。レーザ光源24は、レーザの出力を調整する減衰器を備えることが好ましい。減衰器により、第1光学系40aと第2光学系40bとにそれぞれ出力するレーザ光の出力を調整することが好ましい。レーザ光源24から射出されたレーザ光は、第1光学系40aまたは第2光学系40bを介して、基板1上の欠陥に照射される。レーザ光源24から射出されたレーザ光は、ミラースライダー20により第1光学系40aまたは第2光学系40bに切り替えられる。ミラースライダー20は、内部にレーザミラー21を備え、スライダー制御部19によりレーザミラー21の位置をレーザ光の光路に挿脱されることにより、レーザ光の光路を第1光学系40aと第2光学系40bとに切り替える。
【0032】
第1光学系40aは、第1ファイバ25aと、第1ファイバ接続部26と、レンズ27と、レーザミラー28と、2次元空間変調器29と、レーザミラー30と、レンズ31と、ビームスプリッタ10と、からなる。
【0033】
第1ファイバ25aは、レーザ光源24から射出されたレーザ光を伝送する。第1ファイバ25aは、端面がミラースライダー20に固定接続されるとともに、他端が第1ファイバ接続部26に位置決め固定される。第1ファイバ25aにより伝送されたレーザ光は、レンズ27により拡大投影された後、レーザミラー28により反射されて、2次元空間変調器29に入射される。
【0034】
2次元空間変調器29として、角度が変更可能な微小ミラーを備えるデジタルマイクロミラーデバイス(以下「DMD」と称する)が複数2次元縦横方向に配列されたデジタルマイクロミラーデバイスユニット(以下「DMDユニット」と称する)が用いられる。DMDは、駆動用メモリーセルの上部に、例えば角度±10°と0°(水平)にデジタル制御可能な微小ミラーを設けている。
【0035】
DMDは、各微小ミラーと駆動用メモリーセルとの間のギャップに働く電圧差によって起こる静電引力によって角度±10°と0°に高速に切り換えられるもので、例えば特開2000−28937号公報に開示されたものが知られている。この微小ミラーの回転は、例えばストッパにより角度±10°に制限され、駆動用メモリーセルのオン状態で角度±10°に回転し、オフ状態で水平角度0°に復帰する。なお、この微小ミラーは、例えば数μm〜数十μmオーダの矩形状に半導体製造技術を用いて形成されたマイクロミラーであり、駆動用メモリーセル上に2次元に配列することでDMDユニットが構成される。
【0036】
DMDユニットの基準反射面(各DMDの角度が0°の反射面)にレーザ光が入射した場合、レーザミラー30にレーザ光は入射せず、各微小ミラーがオン状態で角度±10°に傾いたときレーザミラー30にレーザ光が入射するよう各構成要素が配置されている。DMDユニットは、基準反射面の傾斜角を調整可能な支持台に取り付けられていることが好ましい。
【0037】
DMDユニットである2次元空間変調器29に入射したレーザ光は、例えば駆動用メモリーセルをオン状態にしたときに、レーザミラー30に入射し、レンズ31、ビームスプリッタ10および6、対物レンズ8を介して基板1に縮小投影される。
【0038】
また、駆動用メモリーセルをオフ状態にすれば、レーザ光は、レーザミラー30に入射されず、基板1に照射されない。
【0039】
第1光学系40aにおいて、基板1からビームスプリッタ10を介して撮像部12が配置されると共に、基板1からビームスプリッタ10、およびレーザミラー30を介してDMDユニットである2次元空間変調器29が配置されており、撮像部12と2次元空間変調器29との配置位置は、基板1に対して共役な位置関係になっている。
【0040】
レーザ形状制御部18は、レジスト膜欠陥抽出部13aにより作成された基板1のレジスト膜欠陥部の欠陥形状データを読み取り、この欠陥形状データに対応するDMDユニットの各微小ミラーの駆動用メモリーセルをオン状態にし、他の領域に配置されている各微小ミラーの駆動用メモリーセルをオフ状態にする制御信号を2次元空間変調器29に送出する。
【0041】
第2光学系40bは、第2ファイバ25bと、第2ファイバ接続部32と、レーザミラー23と、レーザミラー30と、レンズ31と、ビームスプリッタ10と、からなる。
【0042】
第2ファイバ25bは、レーザ光源24から射出されたレーザ光を伝送する。第2ファイバ25bは、端面がミラースライダー20に固定接続されるとともに、他端が第2ファイバ接続部32に位置決め固定される。レーザミラー21を介して第2ファイバ25bに入射したレーザ光は、第2ファイバ25bで伝送、射出され、レーザミラー23および30により反射されて、レンズ31、ビームスプリッタ10および6、ならびに対物レンズ8を介して基板1に縮小投影される。
【0043】
レーザミラー21は、ミラースライダー20内に配置される。スライダー制御部19は、レーザミラー21の位置をレーザ光の光路に挿脱することにより、レーザ光源24から射出されたレーザ光を第2ファイバ25bに射出させる。レーザミラー23は、ミラースライダー22内に配置される。スライダー制御部19は、レーザミラー23の位置をレーザ光の光路に挿脱することにより、第2ファイバ25bから伝送、射出されたレーザ光を、レーザミラー23で反射して、レーザミラー30に入射させる。第2光学系40bを介して基板1に照射されるレーザ光は、第2ファイバ25bの端面から射出されたレーザ光をそのまま基板1に縮小投影するため、レンズ27により第1ファイバ25aから射出したレーザ光を一旦拡大投影した後基板1に縮小投影する第1光学系40aのレーザ光より高密度なレーザ光となる。また、減衰器で第2光学系40bに射出するレーザ光の出力を、第1光学系40aに射出するレーザ光の出力より大きくすることが好ましく、これにより第2光学系40bを介して基板1に照射されるレーザ光は、第1光学系40aを介して基板1に照射されるレーザ光より、非常に高密度なレーザ光とすることが可能となる。
【0044】
第2光学系40bにおいて、基板1からビームスプリッタ10を介して撮像部12が配置されると共に、基板1からビームスプリッタ10、およびレーザミラー30および23を介して第2ファイバ接続部32が配置されており、撮像部12と第2ファイバ25bの第2接続部32側端面の配置位置は、基板1に対して共役な位置関係になっている。
【0045】
次に、本実施の形態に係るリペア装置100によるリペア工程について図2〜図10を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかるリペア工程のフローチャートである。図3は、基板上の欠陥を示す図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、レジスト膜欠陥に照射するレーザ光の照射範囲を示す図である。図6は、レジスト膜欠陥を修正後の基板を示す図である。図7は、図6のB−B断面図である。図8は、異物欠陥に照射するレーザ光の照射範囲を示す図である。図9は、異物欠陥を修正後の基板を示す図である。図10は、図9のC−C断面図である。
【0046】
まず、ステージ制御部3は、主制御部15を介して基板検査装置により基板1の検査結果を受信し、受信した検査結果に基づき欠陥が撮像部12の撮像視野に入るようXYステージ2を移動することにより、載置された基板1を移動する(ステップS101)。
【0047】
撮像部12は、対物レンズ8、ビームスプリッタ6および10、レンズ11を通して基板1上の欠陥部を撮像する(ステップS102)。図3に示す基板1は、エッチング工程前のTFTパネルであり、メタル層50の上にソースバスライン41(41a、41b)、ドレイン42(42a、42b)等のレジストパターンが形成されている。これらのレジストパターンは、エッチング工程前の工程(露光〜現像)にて形成される正常なパターンである。異物欠陥44は、図4に示すように、ある程度の高さがあり、異物欠陥44が発生すると、異物欠陥44の周辺はレジスト膜欠陥43で覆われるような様相となる。このようなレジスト膜欠陥43および異物欠陥44は、露光不良やショートの原因となる。
【0048】
撮像した画像データは、欠陥抽出部13に出力され、レジスト膜欠陥抽出部13aは、入力された画像データとレシピ収納部16に保存されるリファレンスパターンとの差画像データからレジスト欠陥43を抽出し、差画像データの2値価処理を行うことにより、レジスト膜欠陥形状データを作成する(ステップS103)。
【0049】
欠陥領域の重心が撮像視野の中央に位置するように、ステージ制御部3はXYステージ2を移動した後、レジスト膜欠陥抽出部13aは再度撮像された画像データにより画像処理を行い、レーザ形状制御部18は、該画像処理データとレジスト膜欠陥形状データとに基づき、レジスト膜欠陥43全体にレーザ照射するとともに、ソースバスライン41およびドレイン42にレーザ照射しないようなマスクパターンを生成する(ステップS104)。図5に斜線部で示す領域が、レーザ照射する領域であるパターニングレーザ照射形状45である。レーザ形状制御部18は、生成したマスクパターンの形状データを2次元空間変調器29に転送する。
【0050】
レーザ光源24から照射されたレーザ光は、第1ファイバ25aにより伝送され、レンズ27およびレーザミラー28を通して2次元空間変調器29に入射される。入射したレーザ光は、2次元空間変調器29でデータどおりのマスクパターンに生成され、図5に示すパターニングレーザ照射形状45にレーザ光が照射される。図6に示すように、レジスト膜欠陥43は、レーザ光の照射によるアブレーション硬化または熱作用で除去されることにより、レジスト膜欠陥43が修復される(ステップS105)。なお、第1光学系40aによるレーザ光の照射時は、ミラースライダー20内のレーザミラー21およびミラースライダー22内のレーザミラー23は、スライダー制御部19によりレーザ光路から退避するよう制御される。
【0051】
レジスト膜欠陥43を修復後、撮像部12は、基板1を撮像し(ステップS106)、画像データは欠陥抽出部13に出力される。
【0052】
異物欠陥抽出部13bは、入力された画像データとリファレンスパターンとの差画像データと、画像データの輝度情報により異物欠陥44を抽出し、異物欠陥形状データを作成する(ステップS107)。レジスト膜欠陥43を修復するレーザ光は、出力が低いため、レーザ耐力のある異物欠陥44は残存することが多く、残存する異物欠陥44についての異物欠陥形状データが異物欠陥抽出部13bにより作成される。
【0053】
異物欠陥が抽出された場合、判定部13cは、異物欠陥抽出部13bが作成した異物欠陥形状データに基づき、異物欠陥44が修正の必要があるか否かを判定する(ステップS108)。異物欠陥44は、原則、基板1上から除去されることが好ましいが、配線回路より小さい異物欠陥44は大きな問題となりえない。したがって、判定部13cは、残存する異物欠陥44が、修正の必要があるか否かを判定する。たとえば、図6および図7に示す異物欠陥44は、ドレイン42aとバスライン41bとの間に跨って存在するため、最終工程まで修正されなければショートの原因となる。したがって、判定部13cは、異物欠陥形状データとその位置、および回路の配線パターンとに基づき、抽出した異物欠陥44の修正の有無を判定する。
【0054】
判定部13cが、異物欠陥44の修正が必要と判断した場合(ステップS108:Yes)、スライダー制御部19は、ミラースライダー20および22のレーザミラー21および23をレーザ光の光路に侵入させるよう制御する(ステップS109)。
【0055】
レーザ光の光路切替後、第2光学系40bにより基板1上の異物欠陥44にレーザ光を照射して、異物欠陥44を修復する(ステップS110)。異物欠陥44の修復は、図8に示すように、レーザ走査開始点46とレーザ走査終了点47を指定した後、レーザ照射位置とレーザ走査開始点46が合致するよう、XYステージ2を移動する。レーザ走査開始点46に到着後、レーザ光源24が第2光学系40bを介してレーザ光を照射することにより、局所的なレーザビームスポット48が基板1面に結像する。その後、XYステージ2をレーザ走査終了点47に向けて移動させ、レーザ走査終了点47に到着したらレーザ光照射を終了する。図9および図10に示すように、レーザ光をレーザ走査開始点46からレーザ走査終了点47まで走査することにより、異物欠陥44を切断する欠陥切断部49が生じる。欠陥切断部49で異物欠陥44が切断されることで、エッチング工程でメタル層50がエッチングされ、回路のショートを防止することができる。
【0056】
異物欠陥44の修正後、基板1上に他の欠陥がある場合は(ステップS111:Yes)、ステップS101から欠陥修正を繰り返す。
【0057】
基板1上に他の欠陥がない場合は(ステップS111:No)、欠陥修正工程を終了する。
【0058】
また、ステップS108において、異物欠陥44がない、または修正が必要である異物欠陥がないと判定された場合は(ステップS118:No)、ステップS111の判断を行う。
【0059】
本実施の形態にかかるリペア装置100は、1台でレジスト膜欠陥43をパターニングレーザ照射で高速に除去して、パターンを復元することができるとともに、異物欠陥44を高密度のレーザ光で加工切断することができるため、修復に要する時間および修復装置の設置に要するスペースを省略することが可能となる。また、事前に異物欠陥44を修復することができるため、最終工程で異物欠陥の修復ができないために廃棄される回路の救済が可能となる。
【0060】
上記の実施形態では、判定部13cが、異物欠陥44の修正が必要か否かを判断しているが、判定部13cは、異物欠陥44の有無のみを判定し、異物欠陥がある場合に、表示部14により異物欠陥44を抽出した旨を出力してオペレータに通知させる構成としてもよい。表示部14が表示する異物欠陥44の異物欠陥形状データ等に基づき、オペレータが異物欠陥44の修復の必要性を判断し、入力部33を介してレーザ走査開始点46およびレーザ走査終了点47をオペレータが指定することにより、異物欠陥44の修復を行ってもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態のリペア装置100の変形例として、レーザ光源24内に挿脱可能なピンホール板を備えるものが例示される。ピンホール板は、レーザ光の口径を変更し、集光点の加工分解能を変更することができる。ピンホール板を挿入し、レーザ光径を小さくすることにより、微細な異物欠陥44を切断することが可能となる。また、図2のステップS109において、ミラースライダー20による光路切替と併せて、対物レンズの倍率を例えば高倍率に変更する制御を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかるリペア装置、およびリペア方法は、リペア工程に要する時間およびスペースを低減させることに有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 XYステージ
3 ステージ制御部
4 照明光源
12 撮像部
13 欠陥抽出部
18 レーザ形状制御部
19 スライダー制御部
20、22 ミラースライダー
21、23 レーザミラー
24 レーザ光源
29 2次元空間変調器
40a 第1光学系
40b 第2光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置ステージに載置した対象物の欠陥を修正するリペア装置であって、
前記対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像データと参照画像情報との差画像データにより欠陥を抽出する第1欠陥抽出部と、
前記第1欠陥抽出部が抽出した欠陥全体をレーザ光の照射範囲として設定するレーザ形状制御部と、
レーザ光を照射する光源と、
前記レーザ形状制御部が設定した照射範囲に、前記光源から射出されたレーザ光を照射する第1光学系と、
前記第1光学系による欠陥修正後に前記差画像データと前記画像データの輝度情報とにより、欠陥を抽出する第2欠陥抽出部と、
前記光源から射出されたレーザ光を、前記第2欠陥抽出部が抽出した欠陥の一部にスポット照射する第2光学系と、
前記光源から照射されたレーザ光の光路を、前記第1光学系と前記第2光学系との間で切り替える切替部と、
を備えることを特徴とするリペア装置。
【請求項2】
前記第1欠陥抽出部が抽出する欠陥はレジスト膜欠陥であり、前記第2欠陥抽出部が抽出する欠陥は異物欠陥であることを特徴とする請求項1に記載のリペア装置。
【請求項3】
前記第1欠陥抽出部が作成する差画像データに基準となるリファレンスパターンと、異物欠陥情報とを保存するレシピ収納部を備えることを特徴とする請求項2に記載のリペア装置。
【請求項4】
前記第2光学系によるレーザ光のスポット照射の、開始点と終了点を入力する入力部を備えることを特徴とする請求項1に記載のリペア装置。
【請求項5】
前記載置ステージを移動するステージ制御部を備え、
前記第2光学系によるレーザ光のスポット照射は、前記入力部により指定された開始点から終了点まで、前記ステージ制御部により前記載置ステージを移動しながら行うことを特徴とする請求項4に記載のリペア装置。
【請求項6】
前記対象物は回路が形成されたエッチング工程前の基板であり、
第2欠陥抽出部が抽出した異物欠陥が修正の必要があるか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部が、異物欠陥が修正の必要があると判定した場合にのみ、異物欠陥の修復を行うことを特徴とする請求項2に記載のリペア装置。
【請求項7】
前記光源は、レーザの出力を調整する減衰器を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のリペア装置。
【請求項8】
前記光源は、照射するレーザ口径を切り替える切替部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のリペア装置。
【請求項9】
前記第2欠陥抽出部が欠陥を抽出した際、欠陥の抽出を出力する出力部を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のリペア装置。
【請求項10】
載置ステージに載置した対象物の欠陥を修正するリペア方法であって、
前記対象物を撮像する第1撮像ステップと、
前記第1撮像ステップが撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データにより欠陥を抽出する第1欠陥抽出ステップと、
前記第1欠陥抽出ステップが抽出した欠陥全体をレーザ光の照射範囲として設定するレーザ形状設定ステップと、
前記レーザ形状設定ステップが設定した照射範囲に、光源から第1光学系を介してレーザ光を照射して、欠陥を修正する第1欠陥修正ステップと、
前記第1欠陥修正ステップ後、前記対象物を撮像する第2撮像ステップと、
前記第2撮像ステップが撮像した画像データとリファレンスパターンとの差画像データと前記画像データの輝度情報に基づき、欠陥を抽出する第2欠陥抽出ステップと、
前記光源から照射されるレーザ光の光路を、前記第1光学系と第2光学系とに切り替える切替ステップと、
前記第2欠陥抽出部が抽出した欠陥に、前記光源から前記第2光学系を介してレーザ光をスポット照射して、欠陥を修正する第2欠陥修正ステップと、
を含むことを特徴とするリペア方法。
【請求項11】
前記第1欠陥抽出ステップが抽出する欠陥はレジスト膜欠陥であり、前記第2欠陥抽出ステップが抽出する欠陥は異物欠陥であることを特徴とする請求項10に記載のリペア方法。
【請求項12】
前記第2欠陥修正ステップのレーザ光のスポット照射は、入力部により指定された開始点から終了点まで、前記対象物を載置する載置ステージを移動しながら行うことを特徴とする請求項10に記載のリペア方法。
【請求項13】
前記対象物は配線回路が形成されたエッチング工程前の基板であり、
第2欠陥抽出ステップが抽出した異物欠陥が前記配線回路を跨ぐか否かを判定する判定ステップを含み、
前記判定ステップが、前記異物欠陥が前記配線回路を跨ぐと判定した場合にのみ、異物欠陥の修復を行うことを特徴とする請求項11に記載のリペア方法。
【請求項14】
前記第2欠陥修正ステップで前記対象物にスポット照射するレーザ光の密度は、前記第1欠陥修正ステップで前記対象物に照射するレーザ光の密度より大きいことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載のリペア方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−91068(P2013−91068A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233299(P2011−233299)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】