リボヌクレオチドレダクターゼR2に向けられたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび癌の処置のための併用療法におけるこの使用
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2タンパク質をコードする遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤、例えばサイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンを含む、組合せ物。この組合せは、さらに、1種または2種以上の化学療法剤を含むことができる。この組合せを用いて哺乳類における癌を処置する方法もまた、提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、癌療法の分野および特に癌の処置のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドと1種または2種以上の免疫療法剤との組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DNA合成に至る最初の独特の段階は、リボヌクレオチドのこれらの対応するデオキシリボヌクレオチドへの変換であり、細胞周期に特異的な方式でハウスキーピング遺伝子リボヌクレオチドレダクターゼにより触媒された反応である[Lewisら、J. Cell Physiol. 94:287-2981978; Reichard, Science 60:1773-1777, 1993; Wright, Encyl. Pharmacol. Therapeut. 128:89-111, 1989; Wrightら、Biochem. Cell Biol. 68:1364-1371 1990; Stubbe, Ann. Rev. Biochem. 58:257-285, 1989]。哺乳類の酵素は、しばしばR1およびR2と呼ばれる2種の類似しない二量体タンパク質サブユニットから構成されており、この両方は、酵素活性に必要であり、これは、異なる染色体上に位置する2種の異なる遺伝子によりコードされる[Bjorklundら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11322-11326, 1993; Toninら、Cytogenet Cell Genet. 45:102-108, 1987]。
【0003】
リボヌクレオチドレダクターゼおよび特にR2サブユニットの発現は、腫瘍プロモーター、または腫瘍進行の成長因子により媒介された機構における形質転換する成長因子に曝露された形質転換した細胞において高められる[Amaraら、J. Biol. Chem. 271:20126-20131, 1996; Chenら、EMBO J. 12:3977-3986, 1993; Amaraら、Nucleic Acids Res. 23:1461-1467, 1995]。これらの研究は、げっ歯動物およびヒト組織から得られた腫瘍細胞[Weber, Cancer Res. 43:3466-3492, 1983; Wrightら、Encyl. Pharmacol. Therapeut. 128:89-111, 1989; Saekiら、Int. J. Oncol. 6:523-529, 1995; Jensonら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:9257-9261, 1994]、並びに抗腫瘍剤、例えばヒドロキシ尿素に対する抵抗性について選択された培養細胞[Lewisら、J Cell Physiol. 97:87-97, 1978; Wrightら、Drug Resistance in Mammalian Cells, Boca Raton, FL; CRC Press, Inc; 15-27, 1989]におけるものである。これらの発見は、リボヌクレオチドレダクターゼの発現との干渉は、腫瘍細胞の増殖を阻害するための有用な方法であり得ることを示唆する。
【0004】
最近の数年において、核酸化学および遺伝子導入の進歩により、遺伝子発現の特別の干渉を操作するための新たな方法が着想された。アンチセンス技術は、遺伝子特異性干渉を達成するように設計されたプロトコルにおける最も一般的に記載されている方法であり、多くのアンチセンス化合物は、現在臨床的に試験されている[Holmlund, Ann N Y Acad Sci. 1002:244-51, 2003における概説を参照]。
【0005】
リボヌクレオチドレダクターゼに対して特異的に標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、国際特許出願第PCT/CA97/00454号およびPCT/CA00/00120号に記載されている。
【0006】
免疫療法は、癌療法に対する極めて新しい方法であり、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的に、または間接的に刺激または増強することを含む。免疫療法はまた、免疫学的療法、生物学的療法、生物学的反応修飾物質を用いた療法および生物療法とも呼ばれ、治療的ワクチン(いわゆる「能動的免疫療法」)および生物学的剤、例えばサイトカインおよびモノクローナル抗体の投与(「受動的免疫療法」)などの種々の方法を含む。
【0007】
多くの免疫療法的方法が、規制認可を得ており、現在、転移性乳癌の処置のために認可されたモノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)、並びに濾胞性B細胞リンパ腫の処置のためのリツキシマブ(リツキサン(Rituxan))、並びに直腸結腸癌の処置において用いられる非サイトカインアジュバントであるレバミソール、並びに慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、悪性黒色腫、AIDS関連カポジ肉腫、有毛細胞白血病および基底細胞腫に対する使用のために認可されたサイトカインインターフェロンアルファ、並びに転移性腎細胞癌の処置において用いるために認可されたインターロイキン−2(IL−2)を含む、臨床的設定において用いられている。
【0008】
Medical Research Councilにより行われた研究は、腎細胞癌における酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)およびインターフェロンの効果を比較した。この研究により、インターフェロン療法は、12%の1年生存率の改善をもたらす(MPA31%の生存率、インターフェロン43%の生存率)ことが示された。ほとんどの患者は、連続的な療法に伴う薬剤の副作用を耐容した(Medical Research Council Renal Cancer Collaborators, Lancet (1999) 353(9146):14-17)。
【0009】
サイトカインの標準的な化学療法剤との組合せはまた、利点をもたらし得る。最近の研究により、13−シスレチノイン酸と組み合わせたIL−2は、再発性の卵巣癌を有する患者における無病生存期間および合計生存期間を延長することが示された(Recchiaら、Proc. 2004 European Society of Medical Oncology Congress, Vienna, Abst. # 491P)。サイトカインの化学療法剤との組合せを含む他の研究は、腎細胞癌において行われた(Bleumerら、Eur Urol. 2003 44(1):65-75による概説を参照)。ビンブラスチンとの組み合わせでのインターフェロンアルファは、ビンブラスチンのみよりも優れていると示され、組合せで処置した患者について67.6週およびビンブラスチン単独を施与された患者について37.8週の生存期間をもたらした(Pyrhoenenら、J Clin Oncol. 1999 17(9):2859-67)。
【0010】
インターロイキンとインターフェロンアルファとの組合せ(Negrierら、Ann Oncol. 2002 13(9):1460-8; Touraniら、J Clin Oncol. 2003 21(21):3987-94)、インターフェロンとCCI−779との組合せ(Dutcherら、Proc Am Soc Clin Oncol 2003. 22: 213 (Abstr 854))、インターフェロンとオールトランスレチノイン酸との組合せ(Goldbergら、Cancer 2002 95(6):1220-7)、インターフェロンアルファとレバミソールとの組合せ(Aksoy, Int Urol Nephrol. 2001 33(3):457-9)および5−FUと組み合わせてのインターロイキンとインターフェロンアルファとの組合せ(Atzpodienら、Cancer. 2002 95(5):1045-50; Van Herpenら、Br J Cancer. 2000年2月;82(4):772-6; Negrierら、J Clin Oncol. 2000 18(24):4009-15)はまた、腎臓癌に対する効力を例証した。最近、Motzerらは、インターフェロンのみで、または併用療法の一部として処置した、進行性腎細胞癌を有する、463人の以前は処置されていなかった患者に対する遡及的な分析を公表した。分析により、インターフェロン療法に関する4ヶ月および6ヶ月無進行生存率は、それぞれ55%および42%であることが示された(Motzer, J Clin Oncol. 2002 20(1):289-96)。
【0011】
この背景情報を、本出願人により本発明への可能な関連であると考えられる既知の情報を作成する目的で提供する。了解は必ずしも意図されず、上記の情報のすべてが、本発明に対して従来技術を構成すると考慮するべきではない。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の目的は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に向けられたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび癌の処置のための併用療法におけるこの使用を提供することにある。本発明の1つの観点において、哺乳類における癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記組合せ物を提供する。
【0013】
本発明の他の観点において、哺乳類における癌を処置する方法であって、前記哺乳類に、(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および(b)1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せ物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
本発明の他の観点において、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の、哺乳類における癌の処置のための医薬の製造における使用を提供する。
【0015】
本発明の他の観点において、癌の処置のための組合せ物を含む薬学的キットであって、前記組合せ物が、(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および(b)1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記薬学的キットを提供する。
【0016】
本発明の他の観点において、対象における腎臓癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:配列番号:1に相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のサイトカインを含む、前記組合せ物を提供する。
【0017】
発明の詳説
本発明は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼタンパク質のR2サブユニットをコードする遺伝子に対する1種または2種以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、癌の処置のための組合せ物を提供する。リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび免疫療法剤との併用療法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは免疫療法剤(1種または2種以上)単独のいずれかよりも、腫瘍性細胞の成長を低減するにあたり有効であることが見出された。本発明の組合せ物は、さらに、1種または2種以上の化学療法剤を含むことができる。
【0018】
本発明の状況において、「組合せ物」または「組合せ」は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子および1種または2種以上の免疫療法剤に対して標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび免疫療法剤(1種または2種以上)を、別個に、連続的に、同時に、または混合物において、処置を受ける対象に投与することができる。従って、組合せ物は、例えば、複数の別個の投与単位を含むことができ、組合せの各々の活性成分は、個別の投与単位、または各々の単位が1種もしくは2種以上の活性成分を含む複数の投与単位、または固定された比率の組合せのすべての活性成分を含む単一の投与単位で提供される。
【0019】
本発明はさらに、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せの、種々の癌の処置のための併用療法における使用を提供する。本発明はさらに、哺乳類における癌を処置する方法であって、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せの有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。併用療法は、一次処置であってもよいか、またはこれは、すでに一次療法を受けている癌患者についてのアジュバント療法の一部であってもよい。
【0020】
定義
他に定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する分野における通常の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0021】
本明細書中で用いる用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的遺伝子から転写されるmRNAに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを表す。本発明の状況において、標的遺伝子は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2タンパク質をコードする遺伝子である。
【0022】
本明細書中で用いる用語「オリゴヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかを含む、少なくとも7ヌクレオチド長であるヌクレオチドのポリマー形態、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾された形態を意味する。この用語は、DNAまたはRNAの一本鎖および二本鎖形態を含む。
【0023】
本明細書中で用いる用語「免疫療法剤」は、癌細胞に対する身体の免疫応答を間接的に、もしくは直接的に増強、刺激もしくは増大し、かつ/または他の抗癌療法の副作用を低減する化合物、組成物または処置を表す。当該分野において知られている一般的な免疫療法剤の例には、サイトカイン、癌ワクチン、モノクローナル抗体および非サイトカインアジュバントが含まれるが、これらには限定されない。
【0024】
本明細書中で用いる用語「選択的にハイブリダイズする」は、核酸分子が、第2の核酸分子に検出可能に、かつ特異的に結合する能力を表す。オリゴヌクレオチドは、非特異性核酸分子への検出可能な結合の感知し得る量を最小にするハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の下で、選択的にハイブリダイズして、核酸鎖を標的する。高度なストリンジェンシー条件を用いて、当該分野において知られており、本明細書中で討議する選択的なハイブリダイゼーション条件を達成することができる。
【0025】
典型的には、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を、慣用のハイブリダイゼーション手順により高いストリンジェンシーにおいて遂行する。洗浄条件は、典型的には、約5〜30分後に洗浄溶液を交換して、1〜3×SSC、0.1〜1%SDS、50〜70℃である。
【0026】
本明細書中で核酸配列に関して用いる用語「に相当する」は、参照ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部と同一のポリヌクレオチド配列を意味する。対照的に、用語「に相補的な」を本明細書中で用いて、ポリヌクレオチド配列が、参照ポリヌクレオチド配列の補体の全体または一部と同一であることを意味する。例示のために、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に相当し、参照配列「GTATA」に相補的である。
【0027】
以下の用語を、本明細書中で用いて、2種または3種以上のポリヌクレオチド間の配列関係を記載する:「参照配列」、「比較のウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の百分率(%)」および「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列の比較のための基準として用いられる規定された配列であり;参照配列は、例えば全長cDNA、mRNAもしくは遺伝子配列のセグメントとしての、比較的大きい配列のサブセットであってもよいか、または完全なcDNA、mRNAもしくは遺伝子配列を含んでいてもよい。一般的に、参照ポリヌクレオチド配列は、少なくとも20ヌクレオチド長、およびしばしば少なくとも50ヌクレオチド長である。
【0028】
本明細書中で用いる「比較のウィンドウ」は、少なくとも15の近接するヌクレオチド位置の参照配列の概念的なセグメントを表し、これにわたり、候補配列を、参照配列と比較することができ、ここで、比較のウィンドウにおける候補配列の一部は、2つの配列の最適な配列比較についての参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセントまたはこれ以下の付加または欠失(即ちギャップ)を含むことができる。本発明は、参照または候補配列のいずれかの全長まで、およびこれを含む比較のウィンドウについての種々の長さを意図する。1つの態様において、比較のウィンドウは、候補配列の全長である。
【0029】
比較ウィンドウを配列比較するための配列の最適な配列比較を、SmithおよびWatermanの局所的な相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math. (1981) 2:482)、NeedlemanおよびWunschの相同性配列比較アルゴリズム(J. Mol. Biol. (1970) 48:443)、PearsonおよびLipmanの類似性方法についての探索(Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) (1988) 85:2444)を用いて、これらのアルゴリズム(例えばWisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 573 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)のコンピューター化された実行を用いて、公的に入手できるコンピューターソフトウエア、例えばALIGNもしくはMegalign(DNASTAR)を用いて、または検査により、行うことができる。次に、最良の配列比較(即ち比較ウィンドウにわたり同一性の最も高い百分率をもたらす)を選択する。
【0030】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列が、比較のウィンドウにわたり同一(即ちヌクレオチドからヌクレオチドへの基準において)であることを意味する。
本明細書中で参照配列に関して用いる用語「配列同一性の百分率(%)」は、いかなる同類置換をも配列同一性の一部として考慮せずに、配列の最適な配列比較を行い、所要に応じて、ギャップを導入して最大の配列同一性の百分率を達成した後に、比較のウィンドウにわたり参照ポリヌクレオチド配列中の残基と同一である、候補配列におけるヌクレオチド残基の百分率として定義される。
【0031】
本明細書中で用いる用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特性を示し、ここで、ポリヌクレオチドは、比較のウィンドウにわたり参照配列と比較して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む。本発明の種々の態様において、比較のウィンドウにわたり参照配列と比較して少なくとも60%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性および少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を、参照配列と実質的な同一性を有すると考慮する。
【0032】
本明細書中で同義的に用いる用語「療法」および「処置」は、レシピエントの状態を改善する意図と共に行う介入を表す。改善は、主観的または客観的であり得、処置される疾患、障害または状態に関連する症状の改善、この発生の防止またはこの病態の変化に関連する。従って、療法および処置の用語は、最も広い意味で用いられ、種々の病期における疾患、障害または状態の防止(予防)、緩和、低減および治癒を含む。レシピエントの状態の悪化の防止はまた、当該用語により包含される。療法/処置が必要であるものは、すでに疾患、障害または状態を有するもの、および疾患、障害または状態の傾向があるか、または発生する危険にあるもの、および疾患、障害または状態を防止するべきであるものを含む。
【0033】
用語「改善する(ameliorate)」または「改善(amelioration)」は、処置される疾患の1種または2種以上の症状、徴候および特徴における、一時的および長期間の両方での停止、防止、低減または改善(improvement)を含む。
本明細書中で用いる用語「対象」または「患者」は、処置を必要とする哺乳類を表す。
【0034】
本発明の化合物を1種または2種以上の他の治療剤「と組み合わせて」投与することは、同時の(併用の)投与および連続的な投与を含むことを意図する。連続的な投与は、治療剤(1種または2種以上)および本発明の化合物(1種または2種以上)を対象に、種々の順序において、および種々の経路により投与することを包含することを意図する。
【0035】
本明細書中で用いる用語「約」は、公称値からの+/−10%の変化を表す。このような変化は常に、これが特定的に言及されているか否かを問わず、本明細書中に提供したすべての示された値に含まれることを、理解するべきである。
【0036】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
選択および特徴
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼタンパク質のR2サブユニットをコードする遺伝子を標的にする。従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニット遺伝子から転写されたmRNAの一部に相補的である。種々の哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼmRNAの配列は、当該分野において知られている。例えば、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットについてのmRNA配列(GenBank受託番号NM_001034)は、NCBIにより維持されたGenBankデータベースから入手でき、ここでは、配列番号:105として提供されている(図27)。他の哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼmRNA、例えばNM_009104マウス(Mus musculus)R2サブユニットおよびX68127ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)R2サブユニットの配列はまた、このデータベースから入手可能である。
【0037】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニット遺伝子を標的にする。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAの一部に相補的な配列を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:105に示した配列の一部に相補的である配列を含む。
【0038】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、選択された哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの一部に相補的な少なくとも7つの近接するヌクレオチドの配列を含む。1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの一部に相補的な少なくとも7つの近接するヌクレオチドの配列を含む。
【0039】
本発明の組合せにおいて包含させるのに適するアンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にする、米国特許第5,998,383号および6,121,000号(参照により本明細書中に導入する)に開示されているものを含む。例示的な配列を、表1に示す。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1に示したアンチセンスオリゴヌクレオチド配列のいずれか1つの少なくとも7個の連続的なヌクレオチドを含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子またはmRNAのコード領域の部分に相補的な少なくとも7個の近接するヌクレオチドの配列を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列:
5’−GGCTAAATCGCTCCACCAAG−3’ [配列番号:1]
により表されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも7個の連続的なヌクレオチドを含む。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
表1についての脚注:
名称は、以下のものを含む:AS=アンチセンス;II=R2;最初の番号は、R2mRNA配列における最初のヌクレオチド位置を示し;第2の番号は、配列セグメントの長さを示す。
配列は、部分的なホスホロチオエート化を「*」により示さない限り、完全にホスホロチオエート化されていた。
Tm℃=形成したオリゴヌクレオチド二本鎖の融点。
dG=オリゴヌクレオチド−補体二量体形成の自由エネルギー値。
【0045】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、アンチセンス配列が、二本鎖、ヘアピンまたは二量体を形成する最小の可能性を示し、ホモオリゴマー/配列反復を最小に含むかまたはこれを含まないように選択する。オリゴヌクレオチドはさらに、GCクランプを含むことができる。当業者は、これらの特性を、種々のコンピューターモデリングプログラム、例えばプログラムOLIGO(登録商標)Primer Analysis Software, バージョン5.0(National Biosciences, Inc., Plymouth, MNにより頒布されている)を用いて、定性的に決定することができることを、認識する。
【0046】
有効であるために、慣用のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、7〜100ヌクレオチド長である。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約7〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約12〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約7〜約35ヌクレオチド長、約10〜約35ヌクレオチド長、約12〜約35ヌクレオチド長および約12〜約25ヌクレオチド長である。
【0047】
当該分野において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、この標的配列の補体と100%の同一性を有する必要はないことが理解される。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらの標的配列の補体と少なくとも約75%同一である配列を有する。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的配列の補体と少なくとも約90%同一である配列を有する。他の態様において、これらは、標的配列の補体と少なくとも約95%同一である配列を有して、いくつかの塩基のギャップまたはミスマッチを可能にする。他の態様において、これらは、標的配列の補体と少なくとも約98%同一である。同一性は、例えば、University of Wisconsin Computer Group (GCG)ソフトウエアの、またはNCBIウェブサイト上に提供されているBLASTNプログラムを用いることにより決定することができる。
【0048】
本発明の状況において、オリゴヌクレオチドは、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)または修飾RNAもしくはDNAまたはこれらの組合せのオリゴマーまたはポリマーであってもよい。従って、この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(主鎖)結合から構成されるオリゴヌクレオチド並びに同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。このような修飾オリゴヌクレオチドは、望ましい特性、例えば増強された細胞取り込み、核酸標的に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での増大した安定性のために、しばしば天然の形態よりも好ましい。
【0049】
当該分野において知られているように、ヌクレオシドは、塩基−糖の組合せであり、ヌクレオチドは、さらにヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を含むヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドを形成するにあたり、リン酸基は、互いに隣接するヌクレオシドに共有結合して、直線状ポリマー化合物を形成し、RNAおよびDNAの正常な結合または主鎖は、3’から5’へのホスホジエステル結合である。本発明において有用な修飾オリゴヌクレオチドの特定の非限定的な例には、修飾された主鎖または天然でないヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書中で定義したように、修飾された主鎖を有するオリゴヌクレオチドは、主鎖中にリン原子を保有するものおよび主鎖中にリン原子を欠いているものの両方を含む。本発明の目的のために、および時々当該分野において参照されるように、これらのヌクレオシド間主鎖中にリン原子を有しない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオチドであると考慮することができる。
【0050】
修飾オリゴヌクレオチド主鎖を有する例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドには、例えば、ホスホロチオエート類、キラルなホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホトリエステル類、アミノアルキルホスホトリエステル類、3’−アルキレンホスホネート類を含むメチルおよび他のアルキルホスホネート類、並びにキラルなホスホネート類、ホスフィネート類、3’アミノホスホラミデートを含むホスホラミデート類並びにアミノアルキルホスホラミデート類、チオノホスホラミデート類、チオノアルキルホスホネート類、チオノアルキルホスホトリエステル類、並びに正常な3’−5’結合を有するボラノホスフェート類、これらの2’−5’結合類似体である1つまたは2つ以上の修飾ヌクレオチド間結合を有するもの、並びにヌクレオシド単位の隣接する対が、3’−5’から5’−3’に、または2’−5’から5’−2’に結合している、逆転した極性を有するものが含まれる。種々の塩、混合塩および遊離酸形態もまた、含まれる。
【0051】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドである。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの4つ、5つまたは6つの3’末端ヌクレオチドに結合するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチドに結合するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0052】
リン原子を含まない例示的な修飾オリゴヌクレオチド主鎖は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つもしくは2つの短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合により形成する。このような主鎖には、モルホリノ結合(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成する);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;並びに混合されたN、O、SおよびCH2成分部分を有する他のものが含まれる。
【0053】
本発明はまた、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合の両方が新規な基で置換されている、修飾オリゴヌクレオチドを意図する。塩基単位は、適切な核酸標的化合物でのハイブリダイゼーションのために維持されている。優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されているこのような修飾オリゴヌクレオチドの例は、ペプチド核酸(PNA)である[Nielsenら、Science, 254:1497-1500 (1991)]。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖主鎖は、アミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖で置換されている。核酸塩基は、保有され、主鎖のアミド部分のアザ−窒素原子に直接的に、または間接的に結合している。
【0054】
本発明はまた、リボースの2’−Oを4’−Cと結合させるメチレン架橋を含む立体配置的に制限されたオリゴヌクレオチド類似体である、「固定された核酸」(LNA)を含むオリゴヌクレオチドを意図する(Singhら、Chem. Commun., 1998, 4:455-456を参照)。LNAおよびLNA類似体は、相補的なDNAおよびRNAとの極めて高い二本鎖熱安定性、3’−エクソヌクレアーゼ分解に対する安定性並びに良好な溶解性特性を示す。アデニン、シトシン、グアニン、5−メチルシトシン、チミンおよびウラシルのLNA類似体の合成、これらのオリゴマー化および核酸認識特性が、記載されている(Koshkinら、Tetrahedron, 1998, 54:3607-3630を参照)。ミスマッチした配列の研究により、LNAは、ワトソン−クリック塩基対合則に、対応する修飾されていない参照鎖と比較して一般的に改善された選択性で従うことが示されている。
【0055】
LNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、有効であり、無毒性であると例証されている(Wahlestedtら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97:5633-5638)。さらに、LNA/DNAコポリマーは、血清および細胞抽出物中で容易に分解されなかった。
【0056】
LNAは、相補的なDNAもしくはRNAと、または相補的なLNAと、高い熱親和性で二本鎖を形成する。LNA媒介ハイブリダイゼーションの普遍性は、極めて安定なLNA:LNA二本鎖の形成により強調されている(Koshkinら、J. Am. Chem. Soc., 1998, 120:13252-13253)。LNA:LNAハイブリダイゼーションは、最も熱的に安定な核酸タイプの二本鎖系であると示されており、LNAのRNA模倣特性は、二本鎖レベルにおいて確立された。3種のLNAモノマー(TまたはA)の導入の結果、DNA補体の方向に顕著に上昇した融点がもたらされた。
【0057】
2’−アミノ−LNA(Singhら、J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)および2’−メチルアミノ−LNAの合成が、記載されており、相補的RNAおよびDNA鎖とのこれらの二本鎖の熱安定性が、報告されている。ホスホロチオエート−LNAおよび2’−チオ−LNAの調製もまた、記載されている(Kumarら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8:2219-2222)。
【0058】
修飾オリゴヌクレオチドはまた、1つまたは2つ以上の置換された糖部分を含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、2’位において以下の置換基の1種を有する糖を含むことができる:OH;F;O−、S−もしくはN−アルキル;O−、S−もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換C1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。このような基の例は、以下のものである:O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2、ここでnおよびmは、1〜約10である。
【0059】
あるいはまた、オリゴヌクレオチドは、2’位において以下の置換基の1種を含むことができる:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールもしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。
【0060】
特定の例は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、また2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られている)[Martinら、Helv. Chim. Acta, 78:486-504(1995)]、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ(O(CH2)2ON(CH3)2基、また2’−DMAOEとしても知られている)、2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、置換された糖部分を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOE修飾ヌクレオチドを含む。
【0061】
同様の修飾はまた、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置または2’−5’結合オリゴヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位置においてなされ得る。オリゴヌクレオチドはまた、糖擬態、例えばシクロブチル部分を、ペントフラノシル糖の代わりに有することができる。
【0062】
オリゴヌクレオチドはまた、核酸塩基への修飾を含むことができる。本明細書中で用いる「修飾されていない」または「天然の」核酸塩基は、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、並びにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されている核酸塩基には、他の合成および天然核酸塩基、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニン類およびグアニン類、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシル類およびシトシン類、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが含まれる。
【0063】
他の核酸塩基には、米国特許第3,687,808号;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, (1990) pp 858-859, Kroschwitz, J. I.編、John Wiley & Sons; Englischら、Angewandte Chemie, Int. Ed., 30:613 (1991);およびSanghvi, Y. S., (1993) Antisense Research and Applications, pp 289-302, Crooke, S. T.およびLebleu, B.編、CRC Pressに開示されているものが含まれる。これらの核酸塩基の数種は、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン類、6−アザピリミジン類並びに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6およびO−6置換プリン類が含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃上昇させると示されている[Sanghvi, Y. S., (1993) Antisense Research and Applications, pp 276-278, Crooke, S. T.およびLebleu, B.編、CRC Press, Boca Raton]。
【0064】
本発明中に含まれる他のオリゴヌクレオチド修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増大させる1種または2種以上の部分または結合体のオリゴヌクレオチドへの化学結合である。このような部分には、脂質部分、例えばコレステロール部分[Letsingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6553-6556 (1989)]、コール酸[Manoharanら、Bioorg. Med. Chem. Let., 4:1053-1060 (1994)]、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール[Manoharanら、Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:306-309 (1992); Manoharanら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 3:2765-2770 (1993)]、チオコレステロール[Oberhauserら、Nucl. Acids Res., 20:533-538 (1992)]、脂肪鎖、例えばドデカンジオールもしくはウンデシル残基[Saison-Behmoarasら、EMBO J., 10:1111-1118 (1991); Kabanovら、FEBS Lett., 259:327-330 (1990); Svinarchukら、Biochimie, 75:49-54 (1993)]、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくは1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム[Manoharanら、Tetrahedron Lett., 36:3651-3654 (1995); Sheaら、Nucl. Acids Res., 18:3777-3783 (1990)]、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖[Manoharanら、Nucleosides & Nucleotides, 14:969-973 (1995)]、またはアダマンタン酢酸[Manoharanら、Tetrahedron Lett., 36:3651-3654 (1995)]、パルミチル部分[Mishraら、Biochim. Biophys. Acta, 1264:229-237 (1995)]、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分[Crookeら、J. Pharmacol. Exp. Ther., 277:923-937 (1996)]が含まれるが、これらには限定されない。
【0065】
当業者は、所定のオリゴヌクレオチドにおけるすべての位置が、均一に修飾されている必要はないことを認識する。従って、本発明は、前述の修飾の1つより多くを、単一のオリゴヌクレオチド中に、またはさらにオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいて導入することを意図する。
【0066】
本発明はさらに、キメラオリゴヌクレオチド、即ち2つまたは3つ以上の化学的に別個の領域を含み、各々が少なくとも1つのモノマー単位で構成されているオリゴヌクレオチドであるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増大した抵抗性、増大した細胞取り込みおよび/または標的の核酸への増大した結合親和性が付与されるようにオリゴヌクレオチドが修飾されている、少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドの追加の領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素についての基質として作用し得る。例えば、RNase Hは、RNA:RNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。
【0067】
従って、RNase Hの活性化の結果、RNA標的の切断がもたらされ、これにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率が大幅に増大される。従って、キメラオリゴヌクレオチドを用いる際には、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、同程度の結果が、しばしば一層短いオリゴヌクレオチドを用いて得られる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および所要に応じて当該分野において知られている関連する核酸ハイブリダイゼーション手法により、常習的に検出され得る。
【0068】
本発明の状況において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、これが、DNAおよびRNAヌクレアーゼにより分解されやすくないように修飾されているか、あるいはまたそれ自体でオリゴヌクレオチドをDNAもしくはRNAヌクレアーゼから保護する送達ビヒクル中に配置されている際には、「ヌクレアーゼ抵抗性」である。ヌクレアーゼ抵抗性オリゴヌクレオチドには、例えば、ホスホン酸メチル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホトリエステル類、およびモルホリノオリゴマーが含まれる。ヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに適する送達ビヒクルには、例えばリポソーム類が含まれる。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性である。
【0069】
本発明はさらに、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを意図する。
【0070】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、当業者に十分知られている慣用の手法により調製することができる。例えば、オリゴヌクレオチドを、商業的に入手できる装置、例えばApplied Biosystems Canada Inc., Mississauga, Canadaから入手できる装置を用いた固相合成を用いて、調製することができる。当該分野において十分知られているように、修飾オリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート類およびアルキル化された誘導体もまた、同様の方法により容易に調製することができる。
【0071】
あるいはまた、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、天然に存在するリボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を当該分野において知られている方法により酵素的に消化することにより、調製することができる。
【0072】
アンチセンスオリゴヌクレオチドをまた、組換え方法を用いることにより調製することができ、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする核酸配列を含む発現ベクターを、好適な宿主細胞中で発現させる。このような発現ベクターを、当該分野において知られている手順を用いて容易に構成することができる。好適なベクターの例には、プラスミド、ファージミド、コスミド、バクテリオファージ、バキュロウイルスおよびレトロウイルス、並びにDNAウイルスが含まれるが、これらには限定されない。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させるための適切な宿主細胞の選択は、選択されたベクターに依存することを理解する。宿主細胞の例には、細菌、酵母、昆虫、植物および哺乳類細胞が含まれるが、これらには限定されない。
【0073】
当業者はまた、発現ベクターはさらに、1種または2種以上の調節要素、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の効率的な転写に必要な転写要素を含むことができることを、理解する。ベクター中に導入することができる調節要素の例には、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、およびポリアデニル化シグナルが含まれるが、これらには限定されない。当業者は、好適な調節要素の選択は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現のために選択された宿主細胞に依存すること、およびこのような調節要素は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳類または昆虫遺伝子を含む種々の供給源から由来し得ることを認識する。
【0074】
本発明において、発現ベクターを、好適な宿主細胞または組織中に、当該分野において知られている種々の方法の1つにより導入することができる。このような方法は、Sambrookら、1992;Ausubelら、1989;Changら、1995;Vegaら、1995;およびVectors: A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses (1988)中に一般的に記載されていると見出すことができ、例えば安定な、またはトランジエントなトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび組換えウイルスベクターでの感染が含まれる。
【0075】
免疫療法剤
本発明の組合せ物は、1種または2種以上の免疫療法剤を、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む。免疫療法は、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的に、もしくは間接的に刺激もしくは増強し、かつ/または他の抗癌剤により生じている場合がある副作用を低減させる療法である。免疫療法はまた、当該分野において、免疫学的療法、生物学的療法、生物学的反応修飾物質を用いた療法および生物療法とも呼ばれる。当該分野において知られており、本発明の組合せ物中に包含させることが意図される一般的な免疫療法剤の例には、サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンが含まれるが、これらには限定されない。
【0076】
免疫療法剤は、非特異的であり得、即ち、癌細胞の成長および/または拡散に対抗するにあたり一層有効になるように免疫系を全体的に高め、またはこれらは、特異的であり得、即ち癌細胞自体を標的にする。免疫療法レジメンは、非特異的および特異的免疫療法剤の使用を組み合わせることができる。本発明の組合せ物は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種もしくは2種以上の非特異的な免疫療法剤、1種もしくは2種以上の特異的な免疫療法剤、またはこれらの組合せと組み合わせて含むことができる。1つの態様において、組合せ物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種または2種以上の非特異的な免疫療法剤と組み合わせて含む。
【0077】
非特異的な免疫療法剤は、免疫系を刺激または間接的に増大させる物質である。非特異的な免疫療法剤は、癌の処置のための主な療法として単独で、および主な療法に加えて用いられており、この場合において、非特異的な免疫療法剤は、他の療法(例えば癌ワクチン)の有効性を増強させるためのアジュバントとして機能する。非特異的な免疫療法剤はまた、この後者の状況において、他の療法の副作用、例えばある化学療法剤により誘発された骨髄抑制を低減する機能を有し得る。非特異的な免疫療法剤は、重要な免疫系細胞に対して作用し、二次的な応答、例えばサイトカインおよび免疫グロブリンの増大した産生を生じ得る。あるいはまた、当該剤は、これら自体、サイトカインを含むことができる。非特異的な免疫療法剤は、一般的には、サイトカインまたは非サイトカインアジュバントとして分類される。
【0078】
多くのサイトカインが、免疫系を高めるように設計された一般的な非特異的な免疫療法として、または他の療法で提供されるアジュバントとして、癌の処置における用途が見出されている。本発明の1つの態様において、組合せ物は、1種または2種以上のサイトカインを含む。本発明の併用療法において用いるのに適するサイトカインには、インターフェロン、インターロイキンおよびコロニー刺激因子が含まれるが、これらには限定されない。
【0079】
アンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて用いるための、本発明が意図するインターフェロン(IFN)には、IFNの一般的なタイプ、IFN−アルファ(IFN−α)、IFN−ベータ(IFN−β)およびIFN−ガンマ(IFN−γ)が含まれる。IFNは、例えばこれらの成長を遅くし、一層正常に行動する細胞中へのこれらの発生を促進し、かつ/または抗原のこれらの産生を増大し、従って癌細胞を、免疫系が認識し、破壊するのを一層容易にすることにより、癌細胞に対して直接作用することができる。IFNはまた、例えば血管新生を遅くし、免疫系を高め、かつ/またはナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞およびマクロファージを刺激することにより、癌細胞に対して間接的に作用することができる。
【0080】
本発明の1つの態様において、組合せ物は、IFN−αを含む。組換えIFN−αは、Roferon (Roche Pharmaceuticals)およびIntron A (Schering Corporation)として商業的に入手できる。IFN−αを、単独で、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて用いることは、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)、カポジ肉腫、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、濾胞性非ホジキンリンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫を含む種々の癌の処置において、効力を示した。
【0081】
本発明がアンチセンスオリゴヌクレオチドとの組合せにおいて用いることを意図するインターロイキンには、IL−2(またはアルデスロイキン(aldesleukin))、IL−4、IL−11およびIL−12(またはオプレルベキン(oprelvekin))が含まれる。商業的に入手できる組換えインターロイキンの例には、Proleukin(登録商標)(IL-2; Chiron Corporation)およびNeumega(登録商標)(IL-12; Wyeth Pharmaceuticals)が含まれる。Zymogenetics, Inc. (Seattle, WA)は現在、IL−21の組換え形態を試験しており、これはまた、本発明の組合せにおいて用いることが意図される。単独での、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせてのインターロイキンは、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、卵巣癌(再発性卵巣癌を含む)、子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)、乳癌、直腸結腸癌、肺癌、脳腫瘍、前立腺癌、白血病およびリンパ腫を含む種々の癌の処置において、効力を示した。
【0082】
本発明の1つの態様において、組合せ物は、IL−2を含む。インターロイキンはまた、種々の癌の処置において、IFN−αと組み合わせて良好な活性を示した(Negrierら、Ann Oncol. 2002 13(9):1460-8; Touraniら、J Clin Oncol. 2003 21(21):3987-94)。従って、他の態様において、本発明は、1種または2種以上のインターロイキンおよびIFN−αを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む組合せ物を提供する。他の態様において、組合せ物は、IL−2およびIFN−αを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む。
【0083】
デニロイキンジフティトックス(denileukin diftitox)(またはOntak; Seragen, Inc)として知られており、ジフテリア毒素に結合したIL−2を含むインターロイキン−免疫毒素結合体は、FDAにより、皮膚T細胞リンパ腫の処置のために認可され、また本発明の組合せ物中に包含させることができる。
【0084】
本発明が組合せ物においてアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることを意図するコロニー刺激因子(CSF)には、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSFまたはフィルグラスチム)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSFまたはサルガモスチム(sargramostim))およびエリスロポエチン(エポエチンアルファ、ダルベポエチン(darbepoietin))が含まれる。1種または2種以上の成長因子での処置は、伝統的な化学療法を受けている患者において新たな血液細胞の発生を刺激するのを補助することができる。従って、CSFでの処置は、化学療法に関連する副作用を低減させるにあたり有用であり得、用いるべき化学療法剤の一層高い用量を可能にし得る。
【0085】
本発明の1つの態様は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のCSFを含む組合せ物を提供する。種々の組換えコロニー刺激因子は、商業的に入手でき、例えばノイポゲン(Neupogen)(登録商標)(G−CSF;Amgen)、ノイラスタ(Neulasta)(ペルフィルグラスチム;Amgen)、ロイキン(Leukine)(GM−CSF;Berlex)、プロクリット(エリスロポエチン;Ortho Biotech)、エポゲン(Epogen)(エリスロポエチン;Amgen)、アルネスプ(Arnesp)(エリスロポエチン)である。コロニー刺激因子は、黒色腫、直腸結腸癌(転移性直腸結腸癌を含む)、肺癌および白血病を含む癌の処置において効力を示した。本発明はさらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のCSFを含む組合せ物を、併用療法において、癌の処置のための化学療法剤の標準的な用量よりも高い用量と共に用いることを提供する。
【0086】
本発明の他の態様において、組合せ物は、1種または2種以上の非サイトカインアジュバントを含む。本発明の組合せにおいて用いるのに適する非サイトカインアジュバントには、レバミソール、水酸化ミョウバン(ミョウバン)、バシラスカルメットゲラン(BCG)、フロイント不完全アジュバント(IFA)、QS−21、DETOX、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびジニトロフェニル(DNP)が含まれるが、これらには限定されない。他の免疫および/または化学療法剤と組み合わせての非サイトカインアジュバントは、種々の癌に対する効力が例証されており、これには、例えば大腸癌および直腸結腸癌(レバミソール(Levamisole));黒色腫(BCGおよびQS−21);腎臓癌および膀胱癌(BCG)が含まれる。従って、本発明の他の態様は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種または2種以上の非サイトカインアジュバントおよびインターフェロンと組み合わせて含む組合せ物を提供する。他の態様において、組合せ物は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、レバミソールおよびIFN−αと組み合わせて含む。
【0087】
特異的な、または非特異的な標的を有することに加えて、免疫療法剤は、能動的であり、即ち身体自体の免疫応答を刺激することができるか、またはこれらは、受動的であり、即ち身体の外部で発生した免疫系成分を含むことができる。両方のタイプの免疫療法剤は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと共に、本発明の併用療法において用いるのに適する。1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、併用療法において、1種または2種以上の能動的免疫療法剤と共に用いる。
【0088】
受動的な特異的免疫療法は、典型的には、癌細胞の表面上に見出される特定の抗原に特異的な、または特定の細胞成長因子に特異的な1種または2種以上のモノクローナル抗体を用いることを含む。モノクローナル抗体を、例えば特異的なタイプの癌に対する対象の免疫応答を増大させるために、特定の細胞成長因子、例えば血管新生に関与するものを標的することにより、または剤、例えば化学療法剤、放射活性粒子もしくは毒素に結合もしくは共役した際に、癌細胞に対する他の抗癌剤の送達を増強することにより癌細胞の成長に干渉するために、多くの方法で癌の処置において用いることができる。
【0089】
1つの態様において、本発明は、1種または2種以上のモノクローナル抗体を、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む、癌の処置のための組合せ物を提供する。本発明の組合せ中に含むのに適する、現在癌免疫療法剤として用いられているモノクローナル抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、セツキシマブ(C−225、Erbitux(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、およびBL22が含まれるが、これらには限定されない。
【0090】
モノクローナル抗体を、リンパ腫(例えば非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL))、骨髄腫(例えば多発性骨髄腫)、白血病(例えばB細胞白血病または急性骨髄性白血病)、乳癌(進行性転移性乳癌を含む)、直腸結腸癌(進行性および/または転移性の直腸結腸癌を含む)、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、子宮頸癌、黒色腫および脳腫瘍を含む、広範囲の癌の処置において用いる。モノクローナル抗体を、単独で、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて、用いることができる。
【0091】
能動的な特異的免疫療法は、典型的には、癌ワクチンを用いることを含む。全体の癌細胞、癌細胞の一部または癌細胞から由来する1種もしくは2種以上の抗原を含む癌ワクチンが、開発されている。癌ワクチンは、単独で、または1種もしくは2種以上の免疫もしくは化学療法剤と組み合わせて、黒色腫、腎臓癌、卵巣癌、乳癌、直腸結腸癌、肺癌および白血病を含むいくつかのタイプの癌の処置において、調査されている。非特異的免疫療法剤は、癌ワクチンと組み合わせて、身体の免疫応答を増強させるために有用である。本発明の1つの態様は、癌ワクチンを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む組合せ物を提供する。この組合せは、さらに、1種または2種以上の非特異的免疫療法剤を含むことができる。
【0092】
化学療法剤
前に示したように、本発明の組合せ物はさらに、1種または2種以上の化学療法剤を含むことができる。化学療法剤(1種または2種以上)を、当該分野において知られている広範囲の癌化学療法剤から選択することができる。既知の化学療法剤は、特定のタイプの癌の処置に特異的なもの並びにある範囲の癌に適用可能なもの、例えばドキソルビシン、カペシタビン、ミトキサントロン、イリノテカン(CPT−11)、シスプラチンおよびゲムシタビンを含む。エトポシドは、一般的に、白血病(急性リンパ球性白血病および急性骨髄性白血病を含む)、生殖細胞腫瘍、ホジキン病および種々の肉腫の処置において、適用可能である。シタラビン(Ara−C)はまた、急性骨髄性白血病、髄膜性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、および非ホジキンリンパ腫を含む種々の白血病の処置において適用可能である。両方のタイプの化学療法剤は、本発明の組合せにおいて用いるのに適する。
【0093】
特定の癌を処置するために用いることができる、組合せにおいて用いるのに適する例示的な化学療法剤を、表2に示す。当業者は、多くの他の化学療法剤が入手可能であり、以下のリストは、代表的であるに過ぎないことを認識する。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
前に示したように、化学療法剤の組合せを、用いることができる。標準的な癌化学療法剤を用いた併用療法は、当該分野において十分知られており、本発明の組合せの一部として包含させることができる。例示的な併用療法には、乳癌の処置のために、エピルビシンのパクリタキセルもしくはドセタキセルとの組合せ、またはドキソルビシンもしくはエピルビシンのシクロホスファミドとの組合せが含まれる。多重化学療法剤(polychemotherapeutic)レジメンはまた、有用であり、例えばドキソルビシン/シクロホスファミド/5−フルオロウラシルまたはシクロホスファミド/エピルビシン/5−フルオロウラシルからなってもよい。上記の組合せの多くは、種々の他の固形腫瘍の処置において有用である。
【0098】
エトポシドのシスプラチンまたはカルボプラチンのいずれかとの組合せを、小細胞肺癌の処置において用いる。胃癌または食道癌の処置において、ドキソルビシンまたはエピルビシンのシスプラチンおよび5−フルオロウラシルとの組合せは、有用である。直腸結腸癌について、5−フルオロウラシルに基づく薬剤との組み合わせでのCPT−11、または5−フルオロウラシルに基づく薬剤との組み合わせでのオキサリプラチンを、用いることができる。オキサリプラチンをまた、カペシタビンと組み合わせて用いることができる。
【0099】
他の例には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニソンの、非ホジキンリンパ腫の処置における組合せ;ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン(DTIC)のホジキン病の処置における組合せ並びにシスプラチンまたはカルボプラチンの、ゲムシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビンまたはエトポシドのいずれか1種またはこれらの組合せとの、非小細胞肺癌の処置における組合せが含まれる。
【0100】
種々の肉腫を、併用療法により処置する。例えば骨肉腫について、ドキソルビシンとシスプラチンとの組合せもしくはメトトレキセートのロイコボリンとの組合せを用い;進行した肉腫について、エトポシドを、イホスファミドと組み合わせて用いることができ;軟部肉腫について、ドキソルビシンもしくはダカルバジンを、単独で用いることができ、あるいは進行した肉腫について、ドキソルビシンを、イホスファミドもしくはダカルバジンと組み合わせて、またはエトポシドをイホスファミドと組み合わせて用いることができる。
【0101】
ユーイング肉腫/末梢性神経外胚葉性腫瘍(PNET)または横紋筋肉腫を、エトポシドおよびイホスファミド、またはビンクリスチン、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドの組合せを用いて、処置することができる。
【0102】
アルキル化剤であるシクロホスファミド、シスプラチンおよびメルファランはまた、しばしば種々の癌の処置において、他の化学療法剤との併用療法において用いられる。
【0103】
レチノイン酸およびこの誘導体は、数種の形態の癌、特に肺癌、乳癌、頭頸部癌、および血液癌に対する効力を有すると例証された。レチノイン酸誘導体であるVesanoid(登録商標)(トレチノイン;オールトランスレチノイン酸)は、FDAにより、急性前骨髄球性白血病(APL)を有する患者のために認可された。13−シスレチノイン酸またはオールトランスレチノイン酸は、IFN−αと組み合わせて、また腎細胞癌に対する効力を有すると示され、13−シスレチノイン酸は、IL−2と組み合わせて、再発性卵巣癌の処置における効力が示されている。従って、本発明は、13−シスレチノイン酸またはオールトランスレチノイン酸を、本発明の組合せ中に包含させることができることを意図する。
【0104】
本発明の組合せ物中のリボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと共に包含させることができる、免疫療法剤と化学療法剤との特定の組合せには、IFN−αおよびビンブラスチン、IFN−αおよび5−FU、IFN−αおよび13−シスレチノイン酸、IFN−αおよびオールトランスレチノイン酸、IL−2および5−FU、IL−2および13−シスレチノイン酸、IL−2とIFN−αおよび5−FUが含まれるが、これらには限定されない。
【0105】
本発明の組合せの効力
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の組合せを、標準的な手法を用いて、インビトロおよびインビボで試験することができる。例示的な方法を、以下および本明細書中に示す例中に記載する。
【0106】
1.インビトロ試験
腫瘍性細胞の成長または増殖を減衰させる、組合せの能力の最初の決定を、所要に応じてインビトロ手法を用いて行うことができる。
【0107】
例えば、組合せの細胞毒性を、好適な癌細胞系を用いて、インビトロでアッセイすることができる。一般的に、選択された試験細胞系の細胞を、適切な密度に成長させ、試験化合物(1種または2種以上)を加える。適切なインキュベーション時間(例えば約48〜72時間)の後に、細胞生存を評価する。細胞生存を決定する方法は、当該分野において十分知られており、これには、レザズリン還元試験(Fields & Lancaster (1993) Am. Biotechnol. Lab. 11:48-50; O'Brienら(2000) Eur. J. Biochem. 267:5421-5426および米国特許第5,501,959号を参照)、スルホローダミンアッセイ(Rubinsteinら(1990) J. Natl. Cancer Inst. 82:113-118)またはニュートラルレッド色素試験(Kitanoら(1991) Euro. J. Clin. Investg. 21:53-58; Westら(1992) J. Investigative Derm. 99:95-100)が含まれるが、これらには限定されない。細胞毒性を、処理した培養物中の細胞生存を1種または2種以上の対照培養物、例えば未処理の培養物、対照化合物(典型的には既知の治療剤)で前処理した培養物および/または組合せの成分で個別に処理した培養物中での細胞生存と比較することにより、決定する。
【0108】
あるいはまた、組合せの、腫瘍性細胞の増殖を阻害する能力を、関連する癌細胞系の細胞を好適な培地中で培養することにより、評価することができる。適切なインキュベーション時間の後に、細胞を、組合せで処理し、さらにある時間インキュベートすることができる。次に、細胞を、上記したように計数し、適切な対照と比較する。
【0109】
組合せをまた、腫瘍細胞の足場非依存性成長を阻害するこれらの能力を決定することにより、インビトロで試験することができる。足場非依存性成長は、当該分野において、腫瘍形成能の良好な指標であると知られている。一般的に、足場非依存性成長を、適切な癌細胞系からの細胞を柔軟な寒天上で平板培養し、適切なインキュベーション時間の後に形成したコロニーの数を決定することにより、評価する。次に、組合せで処理した細胞の成長を、適切な対照(上記した)で処理した細胞の成長と、および未処理の細胞の成長と比較することができる。
【0110】
組合せを試験するのに適する種々の癌細胞系が、当該分野において知られており、多くは、商業的に入手できる(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Manassas, VAから)。本発明の1つの態様において、組合せのインビトロ試験を、ヒト癌細胞系において行う。インビトロ試験のための好適な癌細胞系の例には、乳癌細胞系MDA−MB−231およびMCF−7、腎臓癌腫細胞系A−498、中皮細胞系MSTO−211H、NCI−H2052およびNCI−H28、卵巣癌細胞系OV90およびSK−OV−3、大腸癌細胞系CaCo、HCT116およびHT29、子宮頸癌細胞系HeLa、非小細胞肺癌腫細胞系A549およびH1299、膵臓癌細胞系MIA−PaCa−2およびAsPC−1、前立腺癌細胞系PC−3、膀胱癌細胞系T24、肝臓癌細胞系HepG2、脳腫瘍細胞系U−87 MG、黒色腫細胞系A2058、肺癌細胞系NCI−H460が含まれるが、これらには限定されない。好適な細胞系の他の例は、当該分野において知られている。
【0111】
所要に応じて、組合せの毒性をまた、最初に標準的な手法を用いてインビトロで評価することができる。例えば、ヒト一次線維芽細胞を、インビトロで、オリゴヌクレオチドで、市販の脂質担体、例えばリポフェクタミンの存在下で処理することができる。次に、細胞を、標準的な生死判別アッセイ、例えばトリパンブルー排除アッセイを用いて、これらの生存性について、処理に続いて種々の時点において試験する。細胞をまた、DNAを合成するこれらの能力について、例えばチミジン取り込みアッセイを用いて、および細胞周期動力学における変化について、例えば標準的な細胞選別アッセイを蛍光血球計算器(fluorocytometer)細胞選別機(FACS)と組み合わせて用いて、アッセイする。
【0112】
2.インビボ試験
腫瘍の成長または増殖を阻害する組合せのインビボでの能力を、適切な動物モデルにおいて、当該分野において知られている標準的な手法を用いて、決定することができる(例えば、Ennaら、Current Protocols in Pharmacology, J. Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照)。
【0113】
一般的に、抗腫瘍化合物をスクリーニングするための現在の動物モデルは、ヒトまたは哺乳類腫瘍を動物中に移植した異種移植モデルである。ヒト癌の異種移植モデルの例には、皮下注射により移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるヒト固形腫瘍異種移植;脂肪体注射により移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるヒト固形腫瘍同系移植;関連する組織中に直接移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、ヒト固形腫瘍正所性異種移植;生存アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるリンパ腫および白血病の実験モデル、およびマウスにおける転移の実験的モデルが含まれるが、これらには限定されない。
【0114】
例えば、組合せを、固形腫瘍について、0日目に所定量の腫瘍断片を両側性に皮下移植したマウスを用いて、インビボで試験することができる。腫瘍を有する動物を、種々の処置を施すおよび対照とする前に混合する。進行した腫瘍の処置の場合において、腫瘍を、所望の大きさに発育させ、不十分に発育した腫瘍を有する動物を、除外する。選択された動物を、無秩序に、処置を受けるかまたは対照として作用させる群に分配する。好適な群分けは、例えば、本発明の組合せを施与される群、アンチセンスのみを施与される群、抗癌剤(1種または2種以上)のみを施与される群および処置を施与されない群である。
【0115】
腫瘍を有しない動物もまた、腫瘍を有する動物と同一の処置を施して、毒性効果を腫瘍に対する特定の効果から分離することができるようにすることができる。処置は、一般的には、腫瘍のタイプに依存して、移植の3〜22日後に開始し、動物を、毎日観察する。本発明の組合せを、動物に、例えば大量瞬時注入により投与することができる。種々の動物群を、1週間に約3または4回、最大の体重損失が達成されるまで秤量し、その後、群を、一層低い頻度で、例えば1週間に少なくとも1回、試験の終了まで秤量する。
【0116】
腫瘍を、1週間に約2または3回、腫瘍が所定の大きさおよび/または重量に達するまで、または腫瘍が所定の大きさ/重量に達する前に動物が死亡した場合には、動物が死亡するまで、測定する。次に、動物を絶命させ、腫瘍の組織像、大きさおよび/または増殖を評価する。
白血病に対する組成物の効果の研究のために、動物に、特定の数の細胞を移植し、抗腫瘍活性を、対照に対する処置したマウスの生存期間の増大により、決定する。
【0117】
腫瘍転移に対する本発明の組合せの効果を研究するために、腫瘍細胞を、典型的には、エクスビボで組成物で処理し、次に好適な試験動物中に注射する。次に、注射の部位からの腫瘍細胞の拡散を、好適な期間にわたり、標準的な手法によりモニタリングする。
オリゴヌクレオチドのインビボでの毒性効果を、処置の間の動物体重に対するこれらの効果を測定することにより、並びに動物を絶命させた後に血液学的プロフィールおよび肝酵素分析を行うことにより、評価することができる。
【0118】
【表8】
【0119】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、単独で用いた際の成分の各々よりも有効である。改善された効力を、例えば相加効果以下として明示することができ、ここで組合せの効果は、各々の成分単独の効果よりも大きいが、成分の効果の合計よりも低く、またはこれは、相加効果であってもよく、ここで、組合せの効果は、個別に用いた際の成分の効果の合計に等しく、またはこれは、相加効果以上であってもよく、ここで組合せの効果は、単独で用いた各々の成分の効果の合計よりも大きい。相加効果以上をまた、相乗的と記載することができる。組合せの改善された効力を、当該分野において知られている多くの方法により決定することができる。
【0120】
例えば、このような改善された効力は、以下の1つまたは2つ以上をもたらし得る:(i)各々の成分単独の効果と比較した際の、組合せの、腫瘍性細胞の成長または増殖を阻害する能力の増大;(ii)ある効果をもたらすのに必要な成分の1種または2種以上の用量の減少(即ち、半有効量またはED50の減少);(iii)成分の1種または2種以上に関連する低下した毒性現象(即ち、半致死量またはLD50の増大)および(iv)各々の成分単独の治療係数/臨床的治療係数と比較した際の、組合せの改善された治療係数または臨床的治療係数。
【0121】
本明細書中で用いる用語「治療係数」は、LD50/ED50として定義され、ここで、「ED50」は、化合物に関連する最大の応答もしくは効果の50%をもたらす化合物の量、または試験集団の50%において所定の応答もしくは効果をもたらす量であり、「LD50」は、試験集団の50%において致死的効果を有する化合物の量である。従って、高い治療係数を有する化合物を、典型的には、低い治療係数を有する化合物よりも高い安全性で投与することができる。LD50は、前臨床試験において決定され、一方ED50を、前臨床または臨床試験において決定することができる。前臨床試験を、適切な動物モデル、例えば本明細書中に記載したものを用いて行う。治療係数をまた、治療効果を生じる用量および毒性効果を生じる用量(例えばそれぞれED90およびLD10)に基づいて、決定することができる。
【0122】
「臨床的治療係数」は、臨床的設定における患者における相対的安全性または相対的有効性のいくつかの係数を、明らかに、かつ独特に定義することができないという点で、治療係数とは異なる。従って、これが、食品医薬品局により規定された以下の基準の1つ:組合せにおける成分の各々と比較して、推奨された投与量範囲内での効力の許容されるレベルにおいて、増大した安全性(もしくは患者受容性)を例証する、または推奨された投与量範囲内での安全性(もしくは患者受容性)の同等のレベルにおいて、増大した効力を例証する、を満たす際に、組合せを、改善された臨床的治療係数を例証するものと考慮する。あるいはまた、臨床的研究の間に、毒性効果を生じるのに必要な薬剤の用量または濃度(例えば溶液、血液、血清、血漿中の)を、集団における所望の治療的効果を達成するのに必要な濃度と比較して、臨床的治療係数を評価することができる。臨床的治療係数を評価するための臨床的研究の方法は、当該分野における技術を有する作業者に十分知られている。
【0123】
本発明の他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、治療的相乗作用を示し、ここで、「治療的相乗作用」は、組合せが、当該成分の最適な用量において用いる際の組合せの成分の1種よりも治療的に優れている際に、例証される[T. H. Corbettら(1982) Cancer Treatment Reports, 66:1187において定義されているように]。組合せの効力を例証するために、組合せの最大耐量を、当該研究における別個の成分の各々の最大耐量と比較することが、必要であり得る。この効力を、当該分野における技術を有する作業者に一般的に知られている手法および等式を用いて、定量することができる[例えば、T. H. Corbettら(1977) Cancer, 40, 2660.2680; F. M. Schabelら(1979) Cancer Drug Development, Part B, Methods in Cancer Research, 17:3-51, New York, Academic Press Inc.を参照]。
【0124】
本発明の組合せの使用
本発明の組合せを、種々の癌の処置において用いることができる。本発明の1つの態様において、組合せは、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは免疫療法剤(1種もしくは2種以上)単独のいずれかよりも、癌の処置において有効である。本発明は、癌の処置は、組合せを用いて、癌を処置、安定化または防止することを包含することを意図する。この状況において、組合せでの処置の結果、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の大きさの増大の遅延化もしくは防止、腫瘍の消失もしくは除去とこの再出現との間の、無病生存期間の増大、初期の、もしくはその後の腫瘍の発生(例えば転移)の防止、増殖抑制期間の増大、腫瘍に関連する1種もしくは2種以上の有害な症状の低減、腫瘍退行の遅延化、または癌を有する対象の合計の生存期間の増大がもたらされ得る。
【0125】
本発明の1つの態様は、増殖抑制期間(TTP)の増大、癌に関連する1種もしくは2種以上の有害な症状の低減、腫瘍退行の遅延化、または患者の合計の生存期間の増大をもたらす、リボヌクレオチドレダクターゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せでの、癌を有する患者の処置を提供する。
【0126】
本発明により処置するかまたは安定化することができる癌の例には、白血病およびリンパ腫を含む血液学的新生物;腺癌を含む癌腫;黒色腫および肉腫が含まれるが、これらには限定されない。癌腫、腺癌および肉腫はまた、しばしば「固形腫瘍」と呼ばれ、一般的に起こる固形腫瘍の例には、脳、乳房、頸部、大腸、頭頸部、腎臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、胃および子宮の癌、非小細胞肺癌および直腸結腸癌が含まれるが、これらには限定されない。リンパ腫の種々の形態はまた、固形腫瘍の形成をもたらし得、従って、ある状況において、また固形腫瘍であると考慮することができる。
【0127】
用語「白血病」は、広く血液形成器官の進行性の悪性疾患を表す。白血病は、典型的には、白血球並びに血液および骨髄中のこれらの前駆体のゆがんだ増殖および発生により特徴づけられるが、また他の血液細胞の悪性疾患、例えば未成熟の赤血球を冒す赤白血病を表し得る。白血病は、一般的に、(1)疾患の持続性および特徴−急性または慢性;(2)伴う細胞のタイプ−骨髄性(myeloid)(骨髄性(myelogenous))、リンパ球性(リンパ向性)または単球性、および(3)血液中の異常な細胞の数の増大または無増大−白血病または無白血病性(下白血病(subleukaemic))に基づいて、臨床的に分類される。
【0128】
白血病には、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、無白血病性白血病、アロイコシセミック(aleukocythemic)白血病、好塩基球性白血病、芽球白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス(Gross)の白血病、有毛細胞白血病、ヘモブラスティック(hemoblastic)白血病、血球芽細胞(hemocytoblastic)白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ向性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、微小骨髄芽球性(micromyeloblastic)白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ(Naegeli)白血病、血漿細胞白血病、形質細胞白血病、前骨髄球性白血病、Rieder細胞白血病、シリングの白血病、幹細胞白血病、下白血病性白血病、および未分化細胞白血病が含まれる。
【0129】
用語「リンパ腫」は、一般的に、リンパ性系の悪性新生物を表し、これには、リンパ性系の癌が含まれる。リンパ腫の2種の主なタイプは、ホジキン病(HDまたはHL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)である。異常な細胞は、リンパ節を拡大し、身体中に固形腫瘍を形成し、または一層まれには、白血病のように血液中を循環する集まりの外見を呈する。
【0130】
ホジキン病リンパ腫には、結節状リンパ球優性ホジキンリンパ腫;古典的なホジキンリンパ腫;結節状硬化症ホジキンリンパ腫;リンパ球が富化された古典的なホジキンリンパ腫;混合細胞性ホジキンリンパ腫;リンパ球欠乏ホジキンリンパ腫が含まれる。非ホジキンリンパ腫には、小リンパ球性NHL、濾胞性NHL;外套細胞NHL;粘膜関連リンパ様組織(MALT)NHL;びまん性大細胞B細胞NHL;縦隔大B細胞NHL;前駆体Tリンパ芽球性NHL;皮膚性T細胞NHL;T細胞およびナチュラルキラー細胞NHL;成熟(末梢)T細胞NHL;バーキットリンパ腫;菌状息肉腫;Sezary症候群;前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫;B細胞小リンパ球性リンパ腫;リンパ形質細胞性リンパ腫;脾臓周辺帯B細胞リンパ腫;結節性周辺帯リンパ腫;血漿細胞骨髄腫/プラズマ細胞腫;血管内大B細胞NHL;一次浸出液リンパ腫;芽細胞性ナチュラルキラー細胞リンパ腫;腸疾患型T細胞リンパ腫;肝脾ガンマ−デルタT細胞リンパ腫;皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫;血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫;および一次全身性未分化大T/ヌル細胞リンパ腫が含まれる。
【0131】
用語「肉腫」は、一般的には、結合組織、例えば筋肉、骨、軟骨または脂肪において発生し、胚結合組織のような実体から構成されており、一般的に、原線維または均一物質中に包埋された、厳密に包装された細胞で構成されている腫瘍を表す。肉腫には、軟部肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、メラノ肉腫(melanosarcoma)、粘液肉腫、骨肉腫、Abemethyの肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、肺胞性柔軟部分肉腫、エナメル芽細胞肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胚性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキンの肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽細胞肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽細胞肉腫、Jensenの肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉細胞腫肉腫、傍骨性骨肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、セロシスティック(serocystic)肉腫、滑膜肉腫、および末梢血管拡張肉腫が含まれる。
【0132】
用語「黒色腫」は、皮膚および他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するものと解釈される。黒色腫には、例えば、末端性黒子性黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、Cloudmanの黒色腫、S91黒色腫、Harding-Passey黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節状黒色腫、サブアンガル(subungal)黒色腫、および表面拡散性黒色腫が含まれる。
【0133】
用語「癌腫」は、周囲の組織に浸潤し、転移を発生する傾向がある上皮細胞で構成された、悪性の新たな成長を表す。例示的な癌腫には、例えば、腺房(acinar)癌腫、腺房(acinous)癌腫、腺様嚢胞(adenocystic)癌腫、アデノイド嚢胞性癌腫、腺腫様癌腫(carcinoma adenomatosum)、副腎皮質の癌腫、肺胞性癌腫、肺胞細胞癌腫、基底細胞腫、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、気管支肺胞癌腫、細気管支癌腫、気管支原性癌腫、脳状癌腫、胆管細胞性癌腫、絨毛癌腫、直腸結腸癌、膠質癌腫、面皰癌、体癌腫、多孔癌腫、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌腫、円柱状細胞癌腫、乳管癌、カルシノーマデュルム(carcinoma durum)、胚性癌腫、脳様癌腫、類表皮癌、上皮腺腫様癌腫(carcinoma epitheliale adenoides)、外方増殖性癌腫、カルシノーマエクスウルセレ(carcinoma ex ulcere)、線維性癌腫(carcinoma fibrosum)、ゼラチン状癌腫、ゼラチン質癌腫、巨細胞癌腫、巨大細胞癌腫(carcinoma gigantocellulare)、腺性癌腫、顆粒膜細胞癌腫、ヘアマトリックス(hair-matrix)癌腫、血性(haematoid)癌腫、肝細胞癌、好酸性細胞癌腫、ヒアリン癌腫、ハイパーメフロイド(hypemephroid)癌腫、乳児性胚性癌腫、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌腫、Krompecherの癌腫、Kulchitzky細胞癌腫、大細胞癌、レンズ状癌腫、水晶体癌腫(carcinoma lenticulare)、脂肪性(lipomatous)癌腫、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色性癌腫、カルシノーマモレ(carcinoma molle)、粘液性癌腫、カルシノーマムチパルム(carcinoma muciparum)、カルシノーマムコセルレア(carcinoma mucocellulare)、粘表皮癌、カルシノーマムコスム(carcinoma mucosum)、粘膜癌腫、粘液腫様癌腫(carcinoma myxomatodes)、上咽頭癌、燕麦細胞癌、非小細胞癌腫、骨化性癌腫(carcinoma ossificans)、類骨癌腫、乳頭癌、門脈周囲癌腫、前浸潤癌、有棘細胞癌腫、糊状癌腫、腎臓の腎細胞癌、補充細胞癌腫、肉腫様癌腫(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダー癌腫(schneiderian carcinoma)、スキルス癌、陰嚢癌腫(carcinoma scroti)、印環細胞癌腫、単純癌、小細胞癌腫、ソラノイド(solanoid)癌腫、球状細胞癌腫、紡錘細胞癌腫、海綿癌腫(carcinoma spongiosum)、扁平上皮癌、扁平細胞癌腫、線癌腫、毛細血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectaticum)、末梢血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌、結節性癌腫(carcinoma tuberosum)、塊茎状癌腫、疣状癌、および絨毛性癌腫(carcinoma villosum)が含まれる。
【0134】
用語「癌腫」はまた、腺癌を包含する。腺癌は、腺性の(分泌性の)特性を有する器官を作成する細胞において発生するか、または中空の内臓、例えば消化管もしくは気管支上皮を満たす細胞において発生する癌腫である。例には、乳房、肺、膵臓および前立腺の腺癌が含まれるが、これらには限定されない。
【0135】
本発明により包含される追加の癌には、例えば、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、原発性血小板増多症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、悪性膵臓膵島細胞腺腫、悪性カルチノイド膀胱癌、前癌性皮膚病変、グリオーマ、精巣癌、甲状腺癌、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質性の癌、中皮腫および髄芽腫が含まれる。
【0136】
本明細書中で例証したように、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リンパ腫、白血病および固形腫瘍を含む広範囲の癌に対して有効であると示され、これらのすべてはまた、免疫療法剤での処置から利益を享受し得る。従って、本発明の1つの態様は、リンパ腫、白血病または固形腫瘍の処置における組合せの使用を提供する。他の態様において、本発明は、バーキットリンパ腫、赤白血病、急性骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、または大腸癌、直腸結腸癌、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および肺癌の群から選択された固形癌の処置における組合せの使用を提供する。
【0137】
他の態様において、本発明は、固形腫瘍、例えば黒色腫、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、直腸結腸癌、肺癌、脳腫瘍並びにこの再発性の、および転移性の様式;カポジ肉腫;多発性骨髄腫;リンパ腫、例えば濾胞性非ホジキンリンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫;並びに白血病、例えば有毛細胞白血病および慢性骨髄性白血病(CML)を含む、免疫療法に応答すると示された癌の処置における組合せの使用を提供する。
【0138】
併用療法
本発明の組合せを、対象に、意図する目的を達成するのに有効な量で投与する。投与するべき正確な投与量を、医師により、処置を必要とする患者に関する要因の観点から、容易に決定することができる。投与量および投与を調整して、組合せの各々の成分の十分なレベルを提供し、かつ/または所望の効果を維持する。適切な投与量を決定する際に考慮することができる要因には、疾患状態の重篤度、対象の一般的な健康、年齢、体重、および対象の性別、食物、投与の時間および頻度、組合せの特定の成分、反応感受性、並びに療法に対する耐容性/応答が含まれる。
【0139】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、典型的には、非経口的に、例えば静脈内注入により投与する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する他の方法は、当該分野において知られている。標準的な免疫療法剤を投与する方法もまた、当該分野において知られており、これには、皮下注射、および静脈内、筋肉内または胸骨内(intrasternal)注射または注入手法が含まれる。
【0140】
一般的に、疾患の重篤度の決定には、ある疾患特徴、例えば癌が前転移性(pre-metastatic)であるか転移性であるか、癌の病期および/または悪性度などの同定が必要である。
【0141】
病期分類は、癌が対象においてどの程度に進行しているかを記載するために用いられるプロセスである。病期分類は、予後の決定、処置の計画およびこのような処置の結果の評価において、重要であり得る。種々の癌の病期分類系を、種々のタイプの癌のために用いることが必要であり得る一方、ほとんどの病期分類系は、一般的には、癌がどの程度遠くまで解剖学的に拡散したかを記載することを含み、同一の病期分類群における同様の予後および処置を対象に施すことを試行する。
【0142】
ほとんどの固形腫瘍、数種の白血病およびリンパ腫のために用いられる一般的な病期分類系の例は、全病期分類(Overall Stage Grouping)系およびTMN系である。全病期分類系において、ローマ数字I〜IVを用いて、癌の4つの病期を示す。一般的に、癌が、原発性の病変の領域において、いかなるリンパ節への拡散をも有せずに検出可能であるに過ぎない場合には、これを、病期Iと呼ぶ。病期IIおよびIIIの癌は、一般的に、局所的に進行しており、かつ/または局所的なリンパ節に拡散している。例えば、癌が、局所的に進行しており、かつ最も近いリンパ節にのみ拡散している場合には、これを、病期IIと呼ぶ。病期IIIにおいて、癌は、局所的に進行しており、一般的に原発性の病変の部位に近接しているリンパ節に拡散している。
【0143】
原発性の腫瘍から身体の遠位の部分、例えば肝臓、骨、脳または他の部位に転移した癌を、病期IV、即ち最も進行した病期と呼ぶ。従って、病期Iの癌は、一般的に治癒可能な小さい限局性癌であり、一方病期IVの癌は、通常手術不能であるか、または転移癌を表す。他の病期分類系と同様に、所定の病期についての予後および処置は、しばしば癌のタイプに依存し、例えば病期IIの非小細胞肺癌は、病期IIの子宮頸癌とは異なる予後および処置を有する。数種の癌について、4つの予後群への分類は、不十分であり、全体的な病期分類は、さらに、従属群に、例えばIIIaおよびIIIbなどの分類を用いて分けられる。対照的に、数種の癌は、4つよりも少ない病期の分類を有し得る。さらに、すべての視覚可能な腫瘍が全滅した後に再発する癌を、再発性疾患と呼び、局所的な再発は、原発腫瘍の位置において発生し、遠位の再発は、遠隔転移を表す。この病期分類系の下で、病期IVを、遠位の再発と同義的に用いることができる。
【0144】
TMN系において、腫瘍のタイプを、Tにより示し;所属リンパ節関与を、Nにより示し;遠隔転移を、Mにより示す。T、NおよびMのカテゴリーの各々を、別個に番号で分類して、全体的な病期を決定する。Tカテゴリーは、原発腫瘍の程度を分類し、T0からT4までの番号が付与され、例えばT0は、局所的な組織に侵入していない(例えばその場での)原発腫瘍を表し、一方T4は、他の器官に侵入している場合があり、恐らく手術不能である、大きい原発腫瘍を表す。Nカテゴリーは、癌が付近のリンパ節に転移しているか否かを分類し、N0からN4までの番号が付与され、例えばN0は、リンパ節関与がないことを意味し、一方N4は、広範囲な関与を示す。いずれのリンパ節が所属であるかの定義は、癌のタイプに依存し得る。Mカテゴリーは、遠隔転移を分類し、M0またはM1の番号が付与され、例えばM0は、遠隔転移がないことを意味し、M1は、遠隔転移を示す。他の病期分類系と同様に、TおよびNについての正確な定義は、各々の異なる種類の癌について異なり得る。
【0145】
上記したように、病期分類系に対する変化は、癌のタイプに依存し得る。例えば、ほとんどの白血病は、これらが、他の固形原発腫瘍と同様に解剖学的に局所化されていないため、病期分類系を有しないが、白血病の少数の形態は、病期分類系を有して、疾患の進行の程度を記載する。少数の白血病を、IからIVまでの病期に定義することができるが、これらの病期は、例えば、種々の要因、例えば血液計数、骨髄関与の程度または症状の存在もしくは不存在に依存する。さらに、あるタイプの癌、例えば前立腺癌または大腸癌は、異なる命名法を有する病期分類系、例えば大腸癌についてDuke病期分類系を用いることができる。個別の癌についての病期分類系を、新たな情報を用いて改訂することができ、その後得られた病期は、特定の癌についての予後および処置を変化し得る。
【0146】
癌の「悪性度」を用いて、腫瘍が、この同一のタイプの正常な組織にどの程度近く類似しているかを記載する。腫瘍の顕微鏡的外見に基づいて、病理学者は、腫瘍の悪性度を、細胞形態、細胞構成および分化の他のマーカーなどのパラメーターに基づいて同定する。一般的な規則として、腫瘍の悪性度は、この成長の速度または攻撃性に相当し、腫瘍は、典型的には、最も攻撃性が低い(悪性度I)から最も攻撃性が高い(悪性度IV)まで分類される。従って、悪性度が高くなるに従って、癌は、一層攻撃性となり、一層迅速に成長する。腫瘍の悪性度についての情報は、処置を計画し、予後を予測するにあたり有用である。
【0147】
American Joint Commission on Cancerは、腫瘍を悪性度で分類するための以下のガイドラインを推奨している:1)GX悪性度を評価することはできない;2)G1は良好に分化しており;G2は中程度に良好に分化している;3)G3は分化が乏しい;4)G4は分化していない。悪性度分類が、病理学者により用いられてほとんどの癌を表現するが、これは、他のものよりも、あるタイプの癌についての処置計画において重要な役割を奏する。例は、前立腺癌に特異的なGleason系であり、これは、悪性度番号を用いて、分化の程度を記載する(低いスコアは、良好に分化した細胞を示し、高いスコアは、乏しく分化した細胞を記載する)。悪性度はまた、いくつかのタイプの脳腫瘍および軟部肉腫において重要である。
【0148】
本発明において、組合せを用いて、癌発育および進行の種々の病期および悪性度を処置することができる。従って、本発明は、組合せを、小さく、遅く成長し、局所的であり、かつ/または非攻撃性であり得る早期の異常増殖を含む早期の癌の、例えば疾患を治癒するかまたは癌の退行を生じる意図の下の処置において、並びに中間期の処置において、並びに進行しており、かつ/または転移性であり、かつ/または攻撃的な異常増殖を含む、後期の癌の処置において、例えば疾患の進行を遅くするために、転移を低減させるために、または患者の生存を増大させるために、用いることを意図する。同様に、組合せを、低悪性度の癌、中悪性度の癌およびまたは高悪性度の癌の処置において用いることができる。
【0149】
本発明はまた、組合せを、無痛性の癌、局所的に再発性の、遠位に再発性の、および/または難治性の癌(即ち、処置に対して応答していない癌)を含む再発性の癌、転移癌、局所進行癌および攻撃性の癌の処置において用いることができることを意図する。
【0150】
当業者は、これらのカテゴリーの多くは重複し得、例えば攻撃性の癌は、典型的にはまた転移性であることを、理解する。本明細書中で用いる「攻撃性の癌」は、迅速に成長する癌を表す。当業者は、数種の癌、例えば乳癌または前立腺癌について、用語「攻撃性の癌」は、所定の癌についての再発時間の範囲の早期のほぼ3分の2以内に再発した、進行癌を表し、一方、他のタイプの癌、例えば小細胞肺癌腫(SCLC)について、ほぼすべての症例は、攻撃性であると考慮される迅速に成長する癌を表すことを、理解する。従って、この用語は、ある癌のタイプの小区分を包含するか、またはこれは、他の癌のタイプをすべて包含し得る。
【0151】
リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、薬剤抵抗性腫瘍細胞に対して有効であると例証された。従って、組合せをまた、多薬剤抵抗性腫瘍を含む薬剤抵抗性癌を処置するために用いることができる。当該分野において知られているように、化学療法に対する癌細胞の抵抗性は、癌の対応における中心的な問題の1つである。
【0152】
ある癌、例えば前立腺癌および乳癌を、ホルモン療法により、即ち例えばある癌の成長を、身体の天然のホルモンを遮断することにより遅延化するかまたは停止するホルモンまたは抗ホルモン薬剤を含むホルモン剤で、処置することができる。このような癌は、ホルモン療法に対する抵抗性を発生し得るか、またはこれに対して本質的に抵抗性であり得る。本発明はさらに、組合せを、このような「ホルモン抵抗性」または「ホルモン難治性」癌の処置において用いることを意図する。
【0153】
本発明の組合せを、単独で、または1種もしくは2種以上の免疫療法剤と組み合わせて、一次療法またはアジュバント療法の一部として用いることができることが、意図される。「一次療法(primary therapy)」または「一次療法(first-line therapy)」は、対象における癌の初期の診断による処置を表す。例示的な一次療法は、手術、広範囲の化学療法、免疫療法および放射線療法を含むことができる。一次療法が、全身的な化学療法または免疫療法ではない際には、その後の化学療法または免疫療法を、「一次全身療法」と考慮することができる。本発明の1つの態様において、組合せを、一次全身療法のために用いる。
【0154】
「アジュバント療法」は、一次療法に続き、再発の危険にある対象に投与される療法を表す。アジュバント全身療法は、典型的には、一次療法の直後に開始して、再発を遅延させ、生存を延長させ、または対象を治癒させる。難治性癌の処置を、「二次療法」と呼ぶことができ、これは、一次療法に加えて、本発明の意図された使用である。
【0155】
本発明の1つの態様において、組合せを、早期の癌の処置において用いる。他の態様において、組合せを、早期の癌のための一次全身療法として用いる。
【0156】
代替的な態様において、組合せを、後期のおよび/または進行および/または転移癌の処置において、用いる。他の態様において、組合せを、悪性度IIIまたは悪性度IVの腫瘍の処置において、用いる。さらなる態様において、組合せを、後期のおよび/または進行および/または転移癌の処置のための一次全身療法として投与する。
【0157】
本発明の特定の態様において、後期のおよび/または進行および/または転移癌は、固形腫瘍である。さらなる態様において、固形腫瘍は、黒色腫、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、直腸結腸癌、肺癌、または脳腫瘍である。
【0158】
医薬組成物
アンチセンスオリゴヌクレオチド(1種または2種以上)を、医薬組成物として、適切な薬学的に生理学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤またはビヒクルと共に投与することができる。医薬組成物をまた、患者に対する併用の投与のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含むように、処方することができる。
【0159】
本発明の医薬組成物を、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入もしくは噴霧により、または直腸内に、慣用の無毒性の薬学的に許容し得る担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与単位処方物において、投与することができる。本明細書中で用いる非経口の用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入手法を含む。
【0160】
医薬組成物は、経口使用に適する形態、例えば錠剤、トローチ剤、薬用キャンデー、水性もしくは油性懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤であってもよい。経口使用が意図される組成物を、医薬組成物の製造のために当該分野に知られている方法により調製することができ、甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤の群から選択された1種または2種以上の剤を含んで、薬学的に的確であり、口当たりが良好である製剤を提供することができる。錠剤は、活性成分を、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム、並びに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクを含む、好適な無毒の薬学的に許容し得る賦形剤との混合物において含む。錠剤は、コーティングされていなくてよいか、またはこれらを、既知の手法によりコーティングして、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、かつこれにより持続された作用を一層長い期間にわたり提供することができる。例えば、時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを、用いることができる。
【0161】
経口使用のための医薬組成物をまた、活性成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合する硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合する軟質ゼラチンカプセルとして提示することができる。
【0162】
水性懸濁液は、活性化合物を、例えば懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、例えばヘプタ−デカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドの、脂肪酸類およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドの、脂肪酸類および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートを含む好適な賦形剤との混合物において、含む。水性懸濁液はまた、1種もしくは2種以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ−安息香酸エチルもしくはp−ヒドロキシ−安息香酸n−プロピル、1種もしくは2種以上の着色剤、1種もしくは2種以上の風味剤または1種もしくは2種以上の甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリンを含むことができる。
【0163】
油状懸濁液を、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油中に、または鉱油、例えば液体パラフィン中に懸濁させることにより、処方することができる。油状懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。甘味剤、例えば上記に述べたもの、および/または風味剤を加えて、口当たりの良好な経口製剤を提供することができる。これらの組成物を、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を加えることにより、保存することができる。
【0164】
水を加えることにより水性懸濁液を調製するのに適する分散可能な粉末および顆粒は、活性化合物を、分散または湿潤剤、懸濁剤および1種または2種以上の保存剤との混合物において提供する。好適な分散または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上記で述べたものにより例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤もまた、存在することができる。
【0165】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型のエマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば液体パラフィンであってもよく、あるいはこれは、これらの油の混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴムもしくはトラガカントゴム;天然に存在するホスファチド類、例えば大豆、レシチン;または脂肪酸およびヘキシトール、無水物から誘導されたエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエートおよび上記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルジョンはまた、甘味剤および風味剤を含むことができる。
【0166】
シロップおよびエリキシル剤を、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に処方することができる。このような処方物はまた、粘滑薬、保存剤および/または風味剤および着色剤を含むことができる。
【0167】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液を、既知の技術により、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤、例えば上記で述べたものを用いて処方することができる。無菌の注射可能な製剤はまた、無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールに溶解した溶液であってもよい。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液が含まれるが、これらには限定されない。他の例は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いられている無菌の固定油、および例えば合成モノまたはジグリセリド類を含む種々の無刺激性の固定油である。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射可能剤の調製において用途が見出されている。
【0168】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、注射または注入のために処方する。
【0169】
他の医薬組成物および医薬組成物を調製する方法は、当該分野において知られており、例えば“Remington: The Science and Practice of Pharmacy,” Gennaro, A., Lippincott, Williams & Wilkins, Philidelphia, PA (2000)(以前は“Remingtons Pharmaceutical Sciences”)中に記載されている。
【0170】
癌患者における臨床試験
当業者は、インビトロでの、および動物モデルにおける、本発明の組合せの例証された有効性に続いて、これらを、臨床試験において試験して、癌の処置におけるこれらの効力をさらに評価し、治療的使用のための規制認可を得るべきであることを認識する。当該分野において知られているように、臨床試験は、試験のフェーズにより進行し、これを、フェーズI、II、IIIおよびIVとして識別する。フェーズI/IIの臨床試験の代表例を、本明細書中の例中に提供する。
【0171】
最初に、組合せを、フェーズIの試験において評価する。典型的には、フェーズIの試験を用いて、投与の最良の方式(例えばピルによるかまたは注射による)、投与の頻度、および化合物についての毒性を決定する。フェーズIの研究は、しばしば実験室試験、例えば血液試験および組織診を含んで、患者の身体中での化合物の効果を評価する。フェーズIの試験のために、癌患者の小さいグループを、特定の用量のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤で処置する。試験中、用量を、典型的には、グループ毎に増大させて、化合物に関連する最大耐量(MTD)および用量規定毒性(DLT)を決定する。このプロセスにより、その後のフェーズIIの試験において用いるための適切な用量が決定される。
【0172】
フェーズIIの試験を行って、組合せの有効性および安全性をさらに評価することができる。フェーズIIの試験において、組合せを、1種の特定のタイプの癌を有するかまたは関連する癌を有する患者のグループに、フェーズIの試験において有効であると見出された投与量を用いて投与する。
【0173】
フェーズIIIの試験は、いかにして化合物を標準的な、または最も広範囲に許容されている処置と比較するかを決定することに集中する。フェーズIIIの試験において、患者を、2つまたは3つ以上の「治療群」の1つに無秩序に割り当てる。2つの治療群での試験において、例えば一方の治療群に、標準的な処置を施与し(対照群)、他方の治療群に、本発明の組合せでの処置を施与する(試験群)。
【0174】
フェーズIVの試験を用いて、化合物の長期間の安全性および有効性をさらに評価する。フェーズIVの試験は、フェーズI、IIおよびIIIの試験よりも一般的ではなく、組合せが標準的な使用のために認可された後に行う。
【0175】
臨床試験のための患者の適格性
参加者の適格性の基準は、一般的(例えば年齢、性別、癌のタイプ)から特定(例えば前の処置のタイプおよび数、腫瘍の特性、血球計数、器官機能)までの範囲にわたり得る。適格性の基準はまた、試験フェーズに伴って変化し得る。例えば、フェーズIおよびIIの試験において、基準は、しばしば、異常な器官機能または他の要因のために検査処置からの危険にあり得る患者を除外する。フェーズIIおよびIIIの試験において、追加の基準は、しばしば疾患のタイプおよび病期、並びに前の処置の数およびタイプを考慮することを含む。
【0176】
フェーズIの癌試験は、通常、他の処置の選択肢が有効ではなかった15〜30人の参加者を含む。フェーズIIの試験は、典型的には、化学療法、手術または放射線処置をすでに受けているが、処置が有効ではなかった100人までの参加者を含む。フェーズIIの試験における参加は、しばしば受けた前の処置に基づいて制限される。本発明の組合せの使用を一次療法として調査する試験のために、例えば、参加のために選択された患者は、前の全身療法を何も受けていてはならない。フェーズIIIの試験は、通常数百人ないし数千人の参加者を含む。この大きい数の参加者は、本発明の組合せと標準的な処置との間で有効性の真実の差異があるか否かを決定するために、必要である。フェーズIIIは、新たに癌と診断された患者から長期間の疾患を有する患者までにわたる患者を含んで、疾患の連続体を対象とすることができる。
【0177】
当業者は、研究集団を、処置が一層狭く規定された集団に対して同様に有効であり得るか否かを決定するには過度に多様にせずに、臨床試験を、可能な限り包括的であるように設計しなければならないことを理解する。試験に含まれる集団が一層多様になるに従って、結果は、特にフェーズIIIの試験において、一般的な集団に一層適用可能になり得る。臨床試験の各々のフェーズにおける適切な参加者の選択は、当該分野における作業者の通常の技術の範囲内であると考えられる。
【0178】
処置前の患者の評価
研究の開始の前に、当該分野において知られているいくつかの基準を用いて、最初に患者を分類することができる。患者を、最初に、例えば米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)一般状態(PS)スケールを用いて評価することができる。ECOG PSは、患者における機能的障害により測定されている、患者の疾患の進行の評価のために広範囲に許容されている標準であり、ECOG PS 0は、機能的障害がないことを示し、ECOG PS 1および2は、患者が、次第に大きい機能的障害を有するが、尚歩行可能であることを示し、ECOG PS 3および4は、次第の不具および運動性の欠如を示す。
【0179】
患者の全体的な生活の質を、例えば、McGill Quality of Life Questionnaire (MQOL)(Cohenら(1995) Palliative Medicine 9: 207-219)を用いて評価することができる。MQOLは、物理的症状;物理的、心理学的および実存的健康;支持;および全体的な生活の質を測定する。悪心、気分、食欲、不眠、運動性および疲労などの症状を評価するために、McCorkleおよびYoung((1978) Cancer Nursing 1: 373-378)により開発されたSymptom Distress Scale (SDS)を、用いることができる。
【0180】
患者をまた、当該患者の疾患のタイプおよび/または病期により、および/または腫瘍の大きさにより、分類することができる。
【0181】
本発明の組合せの臨床試験における投与
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を、典型的には、試験参加者に非経口的に投与する。1つの態様において、組合せを、静脈内注入により投与する。薬剤を静脈内注入により投与する方法は、当該分野において知られている。通常、静脈内注入は、ある期間にわたり、例えば60分にわたり行われる。
【0182】
患者転帰のモニタリング
臨床試験の評価項目は、評価の下の処置の有効性を示す測定可能な転帰である。評価項目は、試験の開始の前に確立され、臨床試験のタイプおよびフェーズに依存して変化する。評価項目の例には、例えば、腫瘍応答率−腫瘍が、特定の量により、大きさが減少した、試験参加者の比率、通常百分率として記載される;無病生存−参加者が、癌を発生または再発せずに生存する時間の量、通常月で測定される;全体的な生存−参加者が生きる時間の量、典型的に臨床試験の開始から死亡の時点まで測定される、が含まれる。進行および/または転移癌について、疾患安定化−疾患が安定化した、例えば腫瘍(1または2以上)が、成長および/または転移(「進行」)を終了した試験参加者の比率を、評価項目として用いることができる。他の評価項目には、毒性および生活の質が含まれる。
【0183】
腫瘍応答率は、フェーズIIの試験における典型的な評価項目である。しかし、処置が、参加者の腫瘍の大きさを減少させ、無病生存の期間を延長した場合でさえも、これは、全体的な生存を延長し得ない。このような場合において、副作用および全体的な生存を延長することができないことは、一層長い無病生存の利点を上回り得る。あるいはまた、腫瘍を有しない間隔の間の、参加者の改善された生活の質は、他の要因を上回り得る。従って、腫瘍応答率が、しばしば一時的であり、参加者のための長期間の生存の利益に変わり得ないため、応答率は、フェーズIIの試験における処置の有効性の合理的な基準であり、一方参加者の生存および生活の質は、典型的にはフェーズIIIの試験における評価項目として用いられる。
【0184】
薬学的キット
本発明はさらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、癌の処置において用いるための治療キットを提供する。キットの個別の成分を、個別の容器中に包装し、このような容器に関連して、医薬または生物学的産物の製造、使用または販売を規制する政府の機関により指示された形態での情報であってもよく、この情報により、ヒトへの投与のための製造、使用または販売の機関による認可が反映される。
【0185】
キットの成分を、1種または2種以上の溶液中に提供する際には、溶液は、水溶液、例えば無菌の水溶液であってもよい。この場合において、容器手段は、これ自体、吸入装置、シリンジ、ピペット、点眼装置、または他のこのような同様の装置であってもよく、これから、組成物を、患者に投与することができる。
【0186】
キットの成分をまた、乾燥したかまたは凍結乾燥した形態で提供することができ、かつキットは、さらに、凍結乾燥した成分の再構成に適する溶媒を含むことができる。容器の数またはタイプにかかわりなく、本発明のキットはまた、組成物の患者への投与を補助するための装置を含むことができる。このような装置は、吸入装置、シリンジ、ピペット、鉗子、測定スプーン、点眼装置またはすべてのこのような医学的に認可された送達ビヒクルであってもよい。
【0187】
本明細書中に記載した本発明の一層良好な理解を得るために、以下の例を述べる。これらの例は、例示的な目的のみのためであることを、理解するべきである。従って、これらは、本発明の範囲をいかなる方法によっても限定するべきではないものである。
【0188】
例
以下の例1〜15において言及する配列番号:1は、配列:
5’−GGCTAAATCGCTCCACCAAG−3’ [配列番号:1]
を有する完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドである。
配列番号:1は、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAのコード領域にハイブリダイズする。
【0189】
配列番号:2は、4つの塩基の変化を配列番号:1に関して配列の中央部に有する、配列番号:1についてのミスマッチした対照のオリゴヌクレオチドである:
5’−GGCTAAACTCGTCCACCAAG−3’ [配列番号:2]
配列番号:3は、配列番号:1についてのスクランブルされた対照オリゴヌクレオチドである。配列番号:3は、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAに相補的ではなく、配列番号:1と同一の塩基組成比を維持する。
5’−ACGCACTCAGCTAGTGACAC−3’ [配列番号:3]
【0190】
ホスホロチオエートを、Boston BioSystem Inc. (Boston, MA)による自動DNA合成装置(Perkin-Elmer, USA)において合成し、逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製した。
配列番号:1は、現在、本明細書中に記載した標準的な化学療法剤と組み合わせて、種々の癌の処置のためのいくつかの臨床試験において研究されている。
【0191】
例1:ヒト腎臓癌腫細胞系におけるインターフェロンアルファ(IFNアルファ)のインビトロ試験
予備的なインビトロ試験を、ヒト腎臓癌腫細胞系(A498およびCaki−1)において行って、これらの細胞系が、IFNアルファの直接的な抗増殖効果に対して感受性であるか否かを決定した。培養した細胞を、増大する濃度のIFNアルファ(0、100、600、800、1000、3000、または10000U/ml)で96時間処理し、細胞増殖を、XTTアッセイにより評価した。IFNアルファのインビトロでの抗増殖効果を、図1A(A498)および図1B(Caki−1)中に示し、これは、両方の細胞系が、IFNアルファに対して、用量依存性方式で感受性であったことを例示する。
【0192】
例2:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#1
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな(subconfluent)対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0193】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に割り当てた。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下(s.c.)注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0194】
1回分の調製および処置:配列番号:1についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に1または2.5mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。組換えインターフェロンアルファ−2b(Intron A(登録商標))を、以下の投薬および処置スケジュールに従って用いた。処置を、腫瘍細胞の接種の7日後に、腫瘍の大きさが約125mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0195】
群および処置:以下の処置群を評価した:
1.生理食塩水で処置した群−1:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−2:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で1mg/kg/48時間、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/48時間、i.v.、n=10
5.Intron A、103単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の103単位のIntron A、i.t.、n=10
6.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
7.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「3+5」、n=10
8.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「3+6」、n=10
9.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「4+5」、n=10
10.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「4+6」、n=10
【0196】
マウスは、配列番号:1で25回の処置およびIntron Aで30回の処置を受けた。Intron Aについての投薬スケジュールは、以下の通りであった:Intron Aでの連続する3週間の処置、1週間の休止、および再度Intron Aでのさらに連続する3週間の処置。配列番号:1についての投薬スケジュールは、実験の継続のための配列番号:1での1日おきの処置であった。
【0197】
評価項目:配列番号:1およびIntron Aの、腫瘍成長に対する効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週、腫瘍細胞接種の7日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0198】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図2Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図2Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせた際に、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。注目すべきことに、最適以下の薬剤投与量においてさえも、組み合わせ効果は、少なくとも相加的のままであり、これは、有効な相乗効果を示す。高い用量の組み合わせ(それぞれ2.5mg/kgおよび105)における、配列番号:1およびIntron Aの併用処置からの結果は、マウスにおける腎臓細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。この群中の合計で5匹のマウスは、全体的な退行を例証し、残りの5匹の処置した動物における腫瘍は、100mgを超えて成長せず、これは、部分的な退行および安定化を示す。
【0199】
例3:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#2
第2の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の7日後に開始した。マウスは、合計で配列番号:1での処置を23回およびIntron Aでの処置を35回受けた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0200】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群−A:生理食塩水0.1ml/マウス/2日おき、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−B:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
5.Intron、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron、i.t.、n=10
6.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron、105で処置した群:「3+5」、n=10
7.配列番号:1、5mg/kgおよびIntron、105で処置した群:「4+5」、n=10
【0201】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積の結果を、図3Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図3Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。
【0202】
例4:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#3
第3の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の7日後に開始した。マウスは、合計で配列番号:1での処置を23回およびIntron Aでの処置を35回受けた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0203】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水0.1ml/マウス/2日おき、i.v.、n=10
2.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
3.配列番号:3で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
4.配列番号:1およびIntron A、105で処置した群:「2+5」、n=10
5.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
6.配列番号:3およびIntron A、105で処置した群:「3+5」、n=10
【0204】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積の結果を、図4Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図4Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。対照的に、スクランブルした対照のオリゴヌクレオチド(配列番号:3)は、単独療法として効力を有せず、Intron Aの効力を改善しなかった。
【0205】
例5:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#4
第4の独立したインビボ研究を、SCIDマウスおよびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。臨床的な設定において、IFNアルファを、典型的には皮下に投与する。従って、配列番号:1の皮下に投与されたIFNアルファとの、および腫瘍内に投与されたIFNアルファとの組み合わせにおける有効性を、比較した。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)および腫瘍内(i.t.)。
【0206】
群および処置(群あたり10匹のマウス):
1.48時間あたり0.1mlの生理食塩水溶液、i.v.での処置(n=10)
2.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.での処置(n=10)
3.50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、i.t.での処置(n=10)
4.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、i.t.での処置(n=10)
5.100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、s.c.での処置(n=10)
6.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、s.c.での処置(n=10)
【0207】
処置を、ヒト腎臓腫瘍細胞の接種の7日後から開始した。
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積を例証する結果を、図5Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図5Bに示す。これらの結果は、Intron Aが、皮下に投与しても腫瘍内に投与しても、配列番号:1との組み合わせにおいて同等に有効であることを、明確に示す。
【0208】
例6:ヒト腎臓癌腫(A498)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#1
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(A498)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0209】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に可能にした。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の9×106個のA498ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0210】
1回分の調製および処置:配列番号:1についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に1または2.5mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。組換えインターフェロンアルファ−2b(Intron A(登録商標))を、以下の投薬および処置スケジュールに従って用いた。処置を、腫瘍細胞の接種の20日後に、腫瘍の大きさが約200mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0211】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群−1:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−2:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で1mg/kg/48時間、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/48時間、i.v.、n=10
5.Intron A、103単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の103単位のIntron A、i.t.、n=10
6.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
7.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「3+5」、n=10
8.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「3+6」、n=10
9.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「4+5」、n=10
10.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「4.+6.」、n=10
【0212】
処置を、ヒト腎臓腫瘍細胞の接種の20日後から開始した。マウスは、配列番号:1での処置を15回およびIntron Aでの処置を12回受けた。Intron Aについての投薬スケジュールは、以下の通りであった:Intron Aでの連続する2週間の処置およびさらに2日間の処置および実験の休止のための休止。配列番号:1についての投薬スケジュールは、実験の継続のための1日おきの配列番号:1での処置であった。
【0213】
評価項目:配列番号:1およびIntron Aの、腫瘍成長に対する効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週、腫瘍細胞接種の20日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0214】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図6Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図6Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。注目すべきことに、最適以下の薬剤投与量においてさえも、組み合わせ効果は、少なくとも相加的のままであり、これは、有効な相乗効果を示唆する。高い用量の組み合わせ(それぞれ2.5mg/kgおよび105)における、配列番号:1およびIntron Aの併用処置からの結果は、マウスにおける腎臓細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。この群中の10匹のマウスはすべて、すべての腫瘍の全体的な退行を例証した。
【0215】
例7:ヒト腎臓癌腫(A498)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#2
第2の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびA498細胞系(ヒト腎臓癌腫)を用いて、例6に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の9×106個のA498ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の20日後から開始した。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0216】
群および処置:
群1:48時間あたり0.1mlの生理食塩水で処置する、i.v.(n=10)
群2:日あたり50ulの生理食塩水/週×5で処置する、i.t.(n=10)
群3:10000単位のIntron A/マウス/日×5/週で2週間50ulの生理食塩水中で処置する、i.t.(n=10)
群4:0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1で処置する、i.v.(n=10)
群5:2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および10000単位のIntron A/マウス/5日/週で2週間処置する、i.t.(n=10)
【0217】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図7Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図7Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。
【0218】
例8:インターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験についての代替のモデル
SCIDマウスが免疫無防備状態であるため、腎臓癌腫の処置における配列番号:1と組み合わせてのインターフェロンアルファ投与の効力を試験するために用いることができる代替のモデルは、正常なマウス(例えば免疫競合性Balb/cマウス)におけるマウス腎臓癌のRenCaモデルである。このモデルは、同系のRenCa細胞を用いるが、リボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAにおける配列番号:1についての標的配列は、マウスにおいて保存され、このようにIFNアルファとの組み合わせにおける配列番号:1の効力を、RenCaマウス腫瘍モデルにおいて有効に試験することができる。上記の例中に概説したもののような処置およびプロトコルを、用いることができる。
【0219】
マウス腎臓癌のRenCaモデルをまた用いて、配列番号:1との組み合わせでの種々のインターロイキンを含む他の免疫療法剤を、例えば以下の例10において提供するプロトコルに従って試験することができる。
【0220】
例9:進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1とインターフェロンアルファとの併用療法を評価するための、フェーズI/II臨床試験
前の例において記載したように、A498腎臓腫瘍異種移植を有し、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組み合わせで処置したマウスは、腫瘍退行を例証した。部分的な退行および安定化はまた、Caki1腎臓腫瘍異種移植を有するマウスにおいて観察された。併用処置に対するこの応答は、対照のオリゴヌクレオチドでの処置によりインターフェロンアルファの効力が改善されなかったため、用量依存性であり、また配列特異性であった。これらの前臨床評価において得られた陽性の結果の観点において、ヒト患者におけるインターフェロンアルファとの組み合わせでの配列番号:1の効力を調査するための臨床試験を、設計し、行うことができる。適切な臨床試験を、当該分野において知られており、本明細書中に一般的に記載した一般的な手順および、提案されたPart 54を含むCode of Federal RegulationsのTitle 21のGood Clinical Practicesに関するガイドラインを含む適用可能なガイドラインに従って設計することができる。
【0221】
例により、フェーズI/IIの研究についての以下の概説および一般的な基準を提供し、これに好適な臨床試験が基づくことができる。当業者は、試験前または試験中に記載されたプロトコルに対して修正を行って、資源の入手可能性、患者の脱落、用量規定毒性の発生などの要因を説明することができることを理解する。
【0222】
配列番号:1が、ヒトにおける癌の処置において用いた際に、細胞毒性剤よりむしろ細胞分裂阻害剤と考慮される(例15における臨床試験の結果を参照)ため、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せは、顕性の腫瘍収縮よりも、患者において増殖抑制期間(TTP)に対する大きい影響を有すると推測される。従って、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せのフェーズI/IIの研究についての適切な一次的な評価項目は、無進行生存(PFS)である。比較のために、インターフェロンで処置した463人の一次患者のMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerデータベース(Motzerら、J.Clinical Oncology 2002 20(1): 289-296)を、用いることができる。
【0223】
従って、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せについてのフェーズI/IIの研究の主な目的は、以下のことである:
(1)インターフェロン(インターフェロンアルファ)と組み合わせて施与した際の、配列番号:1の推奨されるフェーズIIでの用量を決定すること。
(2)進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における歴史的な対照に対する無進行生存(PFS)を評価すること。
【0224】
二次的な目的は、以下のことを含むことができる:
(1)進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1およびインターフェロンの客観的な応答率を決定すること。
(2)客観的な応答(完全な、および部分的な)および主要でない応答の持続時間を評価すること。
(3)安定な疾患の頻度および持続時間を評価すること。
(4)インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の毒性を評価すること。
【0225】
研究の薬物動態学的目的は、増大する用量における、およびフェーズIIの用量における配列番号:1の薬物動態学的プロフィールを特徴づけすることである。
【0226】
研究の記載
以下の概説は、進行性または転移性腎臓癌腫の処置における一次療法としての、インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の評価に関する。
【0227】
適格性の基準
・進行性または転移性腎細胞癌の組織学的に確認された診断
・サイトカイン、化学療法または他の全身療法での前の処置がないこと
・測定可能な、または評価可能な疾患
・年齢≧18歳;KPS≧70%またはECOG 0〜2;インフォームドコンセント
・研究中を通して中心静脈ラインアクセスを維持することができること
・予測された神経学的関与を伴う神経学的転移または骨転移がないこと
・少なくとも3ヶ月の平均余命
・配列番号:1およびインターフェロンアルファについての標準的な除外および許容可能な実験室的基準
【0228】
試験設計
・非盲検の、非ランダムのフェーズI/IIの研究。
・フェーズIの部分において、インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の用量を増大させて、フェーズIIの部分についての推奨された用量を発生させる(以下を参照)。
・用量増大の決定は、最初のサイクルにおいて見られる用量規定毒性(DLT)に基づく。
・一段階設計を、フェーズIIの部分のために用いる。
・約12人の患者が、研究のフェーズIの部分に必要であり、約40人(36人+脱落により10%)が、フェーズIIの部分に必要であると、見積もられる。フェーズIIの代表団が、フェーズIIの用量における6人のフェーズIの患者を含むため、34人の追加の患者が、研究のフェーズIIの部分において登録することが必要であると、見積もられる。
・研究の提案された継続期間は、少なくとも56日である。
【0229】
用量選択
固形腫瘍または黒色腫を有する患者における配列番号:1の前のフェーズIの単一剤研究において、最大耐量(MTD)は、222.0mg/m2/日において達成された。毒性の証拠は、ヒト対象において、148.0mg/m2/日の用量において見られなかった。従って、研究のための配列番号:1の適切な開始用量は、185.0mg/m2/日(前のフェーズIの単独療法研究におけるMTDよりも1用量レベル低い)への併用療法における増大を伴って、またはインターフェロンと組み合わせての配列番号:1についてのMTDが決定されるまで、148.0mg/m2/日である。
【0230】
週あたり3回の6〜9MIUの皮下のインターフェロン用量増大スキームが、以前インターフェロンおよび細胞周期阻害剤の併用療法研究において用いられた(Dutcher JPら、Proceedings of ASCO 第22巻、213頁、Abstract 854, 2003)。さらに、週あたり3回の10MIUの皮下の用量が、インターフェロンおよび免疫調節物質であるレバミソールの併用療法研究において達成され、処置毒性における有意な増大はなかった(Askoy Hら、Int Urol Nephrol. 2001 33(3):457-9)。従って、インターフェロンについての適切な開始用量は、6MIUであり、9または10MIUへの増大を伴う。
【0231】
配列番号:1とインターフェロンとの組合せについての例示的な用量増大を、以下の表に示す。
【0232】
【表9】
【0233】
例示的な処置レジメン
・処置サイクルを、3週間または4週間の継続期間とすることができる。
・21日のサイクルについて、配列番号:1を、14日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。28日のサイクルについて、配列番号:1を、21日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。
・インターフェロンを、21日または28日のいずれかのサイクルの間、6MIUの開始用量で、週あたり3回皮下に投与することができる。
・患者は、進行性の疾患または耐容不能な毒性が発生しない限り、無制限に継続することができる。
・応答するか、主要でない応答を有するか、または疾患状態において変化がない患者は、疾患が進行するまで処置を継続することができる。
【0234】
用量規定毒性(DLT)
用量増大研究に適用可能な適切なレベルのDLTを、技術のある臨床医により確立することができる。毒性を、一般的にNational Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE), Version 3.0, 2003年6月10日に従って分類する。調査する臨床医により、前に存在する医学的状態または患者の悪性度に起因すると決定された、血液学的な、もしくは凝固パラメーターまたは補体レベル以外の実験室的異常を、毒性と考慮することができる。
【0235】
用量の変更
患者における用量規定毒性(DLT)の発生を説明するための用量の変更を、研究の間行うことができる。以下に、各々の試験剤についてなされ得る適切な用量の変更についてのガイドラインを提供する。
【0236】
配列番号:1の用量を、1レベル低下させるか、または調査者の臨床的裁量において、DLT階級が低下するまで中断することができる。次に、投薬を、低下した用量レベルで再開することができる。予測されない毒性の場合には、処置の再開が、調査者の裁量において完全な用量においてであり得る以外は、同一の行為を採ることができる。用量を、以下のレベルに調整することができる。185.0mg/m2/日、148.0mg/m2/日、および74.0mg/m2/日。
【0237】
重篤な毒性が発生した場合には、インターフェロンの投与量を、例えば50%減少により変更することができるか、または療法を、有害な反応が減少するまで一時的に中止することができる。毒性が、用量を保持することを必要とする場合には、当該用量を省略し、次のスケジュールされた用量を、遅延を伴わずにスケジュールされたものとして送達する。低下した用量は、研究の際の患者の時間の残りを通して再び増大しない。患者が、複数の用量低下を必要とする場合には、患者を、研究から除外しなければならない。患者におけるインターフェロンの用量低下の適切な最大の数は、2である。さらに、免疫療法が保留されたかまたは4週間中断された場合には、研究処置を中止しなければならない。
【0238】
評価についての基準
適切な一次効力転帰は、6ヶ月におけるPFS率である。試料の大きさの計算の目的のために、6ヶ月におけるPFSは、歴史的な対照データに基づくことができる(Motzer, 2002, 上記を参照)。患者についてのPFSは、療法の開始から進行までの時間として定義される。
【0239】
代替案として、PFS率を、インターフェロンアルファ単独で処置した患者を含む対照の治療群と比較することができる。この代替案を用いる場合には、試料の大きさを、2倍にする必要がある。
【0240】
二次的な評価項目として、客観的な応答率を、標準的なResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST) Guidelines (Therasse Pら、New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumours. J of the National Cancer Institute, 92(3): 205-216)を用いて決定する。比較的古い代替の基準世界保健機関定義(WHO Handbook for reporting results of cancer treatment. World Health Organization Offset Publication No. 48; 1979)を、代替の研究設計選択肢として考慮する。
【0241】
その後の試験
その後のランダムのフェーズII(b)/IIIの試験を、行うことができ、これは、典型的には、約400人の患者の登録を伴う。臨床的有益性の確認評価を、随意に、このような試験から、生存終点まで継続させることにより得ることができる。
【0242】
例10:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターロイキン−2との組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0243】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に可能にした。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の1×107個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0244】
1回分の調製および処置:アンチセンスオリゴヌクレオチド薬剤(配列番号:1)についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に10mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。処置を、腫瘍細胞の接種の7日後に、腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。IL2についての用量および処置スケジュールを、以下に記載する。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腹腔内(i.p.)。
【0245】
群および処置:以下の処置を、この実験において評価した:
1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で10mg/kg/48時間、i.v.、n=10(合計で17回の処置)
3.IL2処置サイクル;8日(4日処置、次に2日停止、次にさらに4日処置)
I−高い用量(20000単位)/1日の処置について2回、i.p.、n=10
II−低い用量(5000単位)/1日の処置について2回、i.p.、n=10
4.配列番号:1+IL−2処置群−I:n=10
5.配列番号:1+IL−2処置群−II:n=10
【0246】
評価項目:配列番号:1およびIL−2、即ち腎臓癌腫についての標準的な免疫療法剤の、単独での、または組合せでの、腫瘍成長に対する抗腫瘍効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週の日に、腫瘍細胞接種の7日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0247】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図8Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図8Bに示し、これは、配列番号:1およびIL−2が共に、単独療法として抗腫瘍効力を有するが、配列番号:1は、高い、および低い用量のIL−2療法のいずれよりも優れていることを例示している。組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的である。
【0248】
低い、および高い用量の組み合わせ(それぞれ5000Uおよび20000U)の両方における配列番号:1とIL−2との併用処置からの結果は、マウスにおける腎細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。各々の群における10匹のマウスはすべて、すべての腫瘍の全体的な退行を例証した。
【0249】
例11:進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1とインターロイキン−2との併用療法を研究するための、有効な臨床試験の設計
前の例において記載したように、Caki1腎臓腫瘍異種移植を有し、配列番号:1とIL−2との組合せで処置したマウスは、腫瘍退行を例証した。これらの前臨床評価において得られた陽性の結果の観点において、ヒト患者におけるIL−2との組み合わせでの配列番号:1の効力を調査するための臨床試験を、設計し、行うことができる。適切な臨床試験を、当該分野において知られており、本明細書中に一般的に記載した一般的な手順および、提案されたPart 54を含むCode of Federal RegulationsのTitle 21のGood Clinical Practicesに関するガイドラインを含む適用可能なガイドラインに従って、設計することができる。例により、フェーズI/IIの研究についての以下の概説を提供し、これに好適な臨床試験が基づくことができる。当業者は、試験前または試験中に記載されたパラメーターに対して修正を行って、資源の入手可能性、患者の脱落、用量規定毒性の発生などの要因を説明することができることを、理解する。
【0250】
試験設計
IL−2療法が、ヒトにおける腎細胞癌のために認可された療法である場合には、以下に提供する概説は、腎細胞癌の処置における配列番号:1のインターロイキン−2(IL−2)との組合せの評価に関する。この組合せをまた、一次全身療法として評価することができ、患者の適格性の基準は、上記の例9において記載したものと同様である。
【0251】
・フェーズIの部分において、IL−2と組み合わせての配列番号:1の用量を増大させて、フェーズIIの部分についての推奨された用量を発生させる(表5における例示的な用量増大を参照)。
・用量増大の決定は、最初のサイクルにおいて見られる用量規定毒性(DLT)に基づく。
・フェーズIIの用量における数人のフェーズIの患者を含むためのフェーズIIの集団
【0252】
【表10】
【0253】
例示的な処置レジメン
・処置サイクルを、3週間または4週間の継続期間とすることができる。
・21日のサイクルについて、配列番号:1を、14日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。28日のサイクルについて、配列番号:1を、21日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。
・28日のサイクルについて、サイクル中、IL−2を、最大14回の用量まで8時間おき(q8h)の15分間の注入として投与し、続いて各々14日の期間の休止期間とすることができる(用量は、所要に応じて毒性のために保留される)。
・最初の2回のサイクルの後に、1回のサイクルのIL−2の中断が、臨床的に指示された任意の時点において必要であり得る。
・IL−2との組み合わせには、用量の投与の間毎日のモニタリングが必要である。
【0254】
例12:マウス異種移植モデルにおける種々の化学療法剤との組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験
配列番号:1は、この、および以下の例13〜15において例証されたように、単独で、および多くの標準的な化学療法剤と組み合わせて、インビボでの効力を例証した。効力は、広範囲の種々の腫瘍のタイプを表す異種移植モデルにおいて、および多くの種々の癌に対する臨床試験において例証され、これにより、配列番号:1の、単独での、または1種もしくは2種以上の他の治療剤との組み合わせでの、一般的な癌に対する処置の広範囲の適用可能性が示された。
【0255】
例12.1
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の4日後に、マイトマイシンCを、大量瞬時注入により、尾静脈中に、4、11および18日において3.5mg/kg/週の用量で投与した。マイトマイシンCの抗腫瘍効果を、さらにマイトマイシンCとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、毎日6mg/kgにおいて投与し、マイトマイシンCを、4、11および18日において3.5mg/kg/週の用量で、配列番号:1での処置の1時間後に静脈内に投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、配列番号:1と同一の期間にわたり施与した。すべての処置を、22日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、マイトマイシンCでの処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1とマイトマイシンCとの組合せにより誘発された抗腫瘍効果は、マイトマイシンCを単独で用いて得られた抗腫瘍効果よりも有効であった(図9を参照)。
【0256】
例12.2
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、5〜6週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにCPT−11のみの抗腫瘍効果またはCPT−11との組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。CPT−11を、7〜12日に5日間連続して、100μlの生理食塩水中で20mg/kgの用量で、腹腔内に投与した。すべての処置を、32日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、9匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、CPT−11のみで観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とCPT−11との併用処置により、いずれかの剤単独よりも有効である、優れた共同的効果が示された(図10を参照)。
【0257】
例12.3
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。処置を、腫瘍細胞注射の5日後において開始し、配列番号:1および5−FUを、以下に概説するように投与した:
群および処置:
群1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水:0.1ml/2日、i.v.;
群2.配列番号:1で処置した群:100μLの生理食塩水中10mg/kg/2日、i.v.;
群3.5−FUで処置した群:13mg/kg/5日/週(1週間継続および1週間休止)、i.v.;
群4.配列番号:1および5−FUで処置した群。
【0258】
配列番号:1単独で、および5−FUと組み合わせて処置したCD−1ヌードマウスにおけるヒト大腸腫瘍細胞の成長を、図11に示す。
【0259】
例12.4
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、5〜6週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。処置を、腫瘍細胞注射の4日後に開始し、配列番号:1およびカペシタビンを、以下に概説するように投与した:
群および処置:
群1:カペシタビンについてのビヒクル溶液0.2ml、o.p.で処置した;
群2:0.1mlの生理食塩水、i.v.で処置した;
群3:0.2mlのビヒクル溶液中の359mg/kg/日×5/週のカペシタビン、o.p.で処置した;
群4:0.1mlの生理食塩水中の10mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.で処置した;
群5:0.1mlの生理食塩水中の10mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および0.2mlのビヒクル溶液中の359mg/kg/日×5/週のカペシタビン、o.p.で処置した。
【0260】
配列番号:1単独で、およびカペシタビンと組み合わせて処置したCD−1ヌードマウスにおけるヒト大腸腫瘍細胞の成長を、図12に示す。
【0261】
例12.5
Caki−1ヒト腎臓癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約200mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらに2種の化学療法剤:5−FUおよびビンブラスチンの抗腫瘍効果と比較した。5−FUを、7〜13日、21〜27日および35〜36日において、13mg/kg/日の用量で腹腔内に投与し、一方ビンブラスチンを、7、14、21、28および35日において、0.6mg/kg/週の用量で腹腔内に投与した。これらの化合物の各々の抗腫瘍効果を、さらに5−FUとの、またはビンブラスチンとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。
【0262】
2種の化学療法剤を、上記したように、配列番号:1での処置の1時間後に、併用処置を同一の日に行った際に、適用した。すべての処置を、36日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、2種の化学療法剤の各々で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1と5−FUまたはビンブラスチンとの組合せは、いずれかの剤単独よりも有効であった(図13を参照)。
【0263】
例12.6
図14は、2つの独立した実験からの結果を示す。両方の実験において、PC−3ヒト前立腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雄SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の14日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいてそれぞれ18回(図14A)または17回(図14B)投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにミトキサントロン(novantrone(登録商標))単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ミトキサントロンを、処置の開始において1回、2mg/kgの用量で(図14A)または1週間に1回4週間にわたり、0.8mg/kgの低下した用量において(図14B)静脈内に投与した。すべての処置を、それぞれ50日(図14A)または48日(図14B)において停止した。
【0264】
最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹(図14A)または10匹(図14B)の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。図14Aにおいて例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、ミトキサントロン単独で観察された阻害効果と同様であった。配列番号:1とミトキサントロンとの組合せ(配列番号:1+)は、ある程度の相加的な抗腫瘍効果を示した。図14Bは、ミトキサントロン単独により、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされ、併用療法は、ミトキサントロン単独療法よりも有効であったことを示す。
【0265】
例12.7
図15は、2つの独立した実験からの結果を示す。両方の実験において、DU145ヒト前立腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雄SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の13日(図15A)または11日(図15B)後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいてそれぞれ15回(図15A)または14回(図15B)投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにミトキサントロン(novantrone(登録商標))単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ミトキサントロンを、処置の開始において1回、2mg/kgの用量で(図15A)または1週間に1回4週間にわたり、0.8mg/kgの低下した用量において(図15B)静脈内に投与した。すべての処置を、それぞれ42日(図15A)または38日(図15B)において停止した。
【0266】
最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹(図15A)または10匹(図15B)の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。図15Aにおいて例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、ミトキサントロン単独で観察された阻害効果と同様であった。配列番号:1とミトキサントロンとの組合せ(配列番号:1+)は、ある程度の相加的な抗腫瘍効果を示した。図15Bにおいて、ミトキサントロン単独により、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされ、併用療法は、ミトキサントロン単独療法よりも有効であった。
【0267】
例12.8
A2058ヒト黒色腫細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。A2058は、転移性の黒色腫細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の6日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにダカルバジン(DTIC)のみの抗腫瘍効果またはDTICとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。DTICを、6〜10日において連続して5日間、100μlの生理食塩水中で80mg/kgの用量において、静脈内に投与した。
【0268】
すべての処置を、24日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、DTIC単独で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とDTICとの組合せは、いずれかの剤単独よりも有効であった(図16)。
【0269】
例12.9
図17は、3つの独立した実験からの結果を示す。MDA−MB−231ヒト乳癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の5日後に、配列番号:1またはスクランブルした対照のオリゴヌクレオチド(配列番号:3)を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールもしくはドキソルビシン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回、10mg/kgの用量において、3週間(図17A)または4週間(図17C)にわたり静脈内に投与した。ドキソルビシンを、1週間に1回、5mg/kgの用量において、最初の3週間(図17A)または2週間(図17C)にわたり静脈内に投与した。
【0270】
すべての処置を、それぞれ33日(図17A)または26日(図17C)において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す(図17Aおよび17B)。図17Cにおいて、抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、すべての3つの実験において、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、タキソールまたはドキソルビシン単独で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とタキソールまたはドキソルビシンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった。図17Bは、配列番号:1と同一の塩基組成を有するが、R2mRNAとは相補的ではない対照のオリゴヌクレオチドは、単独療法としては有意な抗腫瘍活性を有せず、ドキソルビシンと協同しないことを例証しており、このことは、配列番号:1の効果が配列特異的であることを示唆している。
【0271】
例12.10
SK−OV−3ヒト卵巣腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の6日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて17回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールもしくはシスプラチン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、最初の3週間は1週間に1回静脈内に、および次の2週間は1週間に1回腹腔内に、10mg/kgの用量において投与した。シスプラチンを、最初の3週間は1週間に1回静脈内に、および次の2週間は1週間に1回腹腔内に、4mg/kgの用量において投与した。
【0272】
すべての処置を、40日において停止した。抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり9匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、それぞれタキソールまたはシスプラチン単独で観察された阻害効果と同様であったかまたはこれより優れていた。配列番号:1とタキソールまたはシスプラチンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった(図18)。
【0273】
種々の化学療法剤との組み合わせにおける配列番号:1処置の結果を、表6に要約する。
【0274】
【表11】
【0275】
例13:薬剤抵抗性腫瘍における配列番号:1単独での、または種々の化学療法剤との組み合わせにおけるインビボ試験
例13.1
BxPC−3ヒト膵癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。BxPC−3は、ゲムシタビン抵抗性細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の21日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて17回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにゲムシタビンの抗腫瘍効果と比較した。ゲムシタビンを、100mg/kgの用量において3日おきに静脈内に投与した。抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。予測されたように、同一の期間の間のゲムシタビンでの処置は、ゲムシタビン抵抗性腫瘍に対しては無効であった(図19AおよびB)。
【0276】
例13.2
Hela S3ヒト頸部類上皮細胞癌腫細胞(100μlのPBS中5×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。Hela S3は、ヒドロキシ尿素抵抗性細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の3日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて6回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにヒドロキシ尿素もしくはシスプラチン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ヒドロキシ尿素を、毎日250mg/kgの用量において10日間腹腔内に投与した。シスプラチンを、1週間に1回3週間にわたり、4mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0277】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。予測されたように、同一の期間の間のヒドロキシ尿素での処置は、ヒドロキシ尿素抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチン単独で観察された阻害効果より優れていた。予測されたように、配列番号:1のヒドロキシ尿素との併用療法は、配列番号:1の単独療法と同程度に有効であるに過ぎなかった。しかし、配列番号:1のシスプラチンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった(図20AおよびB)。
【0278】
例13.3
MDA−CDDP−S4ヒトインビボ選択シスプラチン抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて9回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにシスプラチンまたはタキソールのみの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、毎週1回3週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。タキソールを、毎週1回3週間にわたり10mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0279】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、同一の期間の間のシスプラチンでの処置は、シスプラチン抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたタキソールで観察された阻害効果と同様であった(図21)。
【0280】
例13.4
MDA−CDDP−S4ヒトインビボ選択シスプラチン抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CB−17 SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の9日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソール単独および組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回10mg/kgの用量においてi.p.で投与した。
【0281】
抗腫瘍活性を、腫瘍の容積の阻害により見積もり(図22A)、これを、ノギスで測定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。動物を絶命させ、腫瘍重量を、研究の終了時に秤量した(図22C)。配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたタキソールで観察された阻害効果より優れていた。併用処置の効果は、いずれかの処置単独よりも大きかった。この研究を繰り返し、同様の結果が得られた(図22B)。
【0282】
例13.5
MDA−MB435−To.1ヒトタキソール抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の20日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて15回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにシスプラチンまたはタキソールのみの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、1週間に1回4週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。タキソールを、1週間に1回4週間にわたり20mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0283】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり9〜10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、同一の期間の間のタキソールでの処置は、タキソール抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチンで観察された阻害効果より優れていた(図23AおよびBを参照)。
【0284】
例13.6
MDA−MB435−To.1ヒトタキソール抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CB−17 SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の17日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、シスプラチンのみおよび組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、1週間に1回4週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0285】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。研究の終了時に、動物を絶命させ、腫瘍を秤量した。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチンで観察された阻害効果より優れていた。2種の化合物の組合せにより、いずれか1種のみよりも優れた抗腫瘍効力が生じた(図24AおよびBを参照)。
【0286】
例13.7
ヒトタキソール抵抗性前骨髄球性白血病細胞(HL−60)(100μlのPBS中7×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の10日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回10mg/kgの用量においてi.p.で投与した。
【0287】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。さらに、動物を絶命させ、腫瘍重量を、研究の終了時に秤量した。配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、タキソールでの処置は、腫瘍成長または重量に対して効果を有しなかった(図25AおよびBを参照)。
【0288】
例13.8
LS513多薬剤(multi-drug)抵抗性大腸癌腫細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の8日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにCPT−11のみまたは組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。CPT−11を、5日にわたり20mg/kg/日の用量においてi.p.で投与した。
【0289】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。腫瘍重量を、処置の終了時に動物を絶命させた後に測定した。これらの細胞は、正の対照として用いたCPT−11に対して抵抗性ではなかった。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1は、CPT−11と同等に有効であり、組み合わせて、効力は、いずれかの処置単独より大きかった(図26A、BおよびCを参照)。
【0290】
単独での、または種々の化学療法剤との組み合わせにおける薬剤抵抗性腫瘍の配列番号:1での処置の結果を、表7に要約する。
【0291】
【表12】
【0292】
例14:マウス異種移植モデルにおける配列番号:1単独のインビボでの効力
以前、固形腫瘍、血液学的新生物および転移の種々のマウスモデルを用いて、配列番号:1単独での処置が、種々の腫瘍タイプの成長および転移を阻害する(即ち、リンパ腫または赤白血病を有するマウスの生存を延長させる)にあたり有効であることが、例証された。結果を、表8に要約する。配列番号:1が単独で、これらのヒト癌細胞系に対する効力をインビボで例証したため、配列番号:1を1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、これらのヒト腫瘍の処置において同等に、または一層有効であり得ることが、予期される。
【0293】
【表13】
【0294】
【表14】
【0295】
【表15】
【0296】
例15:種々の化学療法剤と組み合わせての配列番号:1についてのフェーズI/IIの臨床試験
配列番号:1を用いての、継続中の臨床試験およびNCIにより認可された他の臨床試験の例を、以下に概説する。試験1〜7の各々に伴うプロトコルの詳細を、表9に示す。以下に、各々の試験に伴うプロトコルを記載する:
【0297】
1.プロトコルLO1−1409(腎細胞癌)
研究の記載:進行性または転移性腎細胞癌(フェーズI/II)を有する患者における、配列番号:1とカペシタビンとの併用療法
集団:標準的な療法に失敗した、進行性または転移性腎細胞癌
研究レジメン:配列番号:1(CIV注入)+カペシタビン
サイクル:21日+7日の休止
状況:フェーズIIにおいて継続中
投薬:配列番号:1を、連続的な静脈内注入として、21日間、148.0mg/m2/日の出発用量で、1660mg/m2/日の固定用量で(21日間2つの毎日の用量に分割して)経口的に投与されたカペシタビンと組み合わせて投与し、続いて7日間休止した。
【0298】
2.プロトコルL6093(乳癌)
研究の記載:配列番号:1およびカペシタビンの、転移性乳癌の処置におけるフェーズIIの研究
集団:乳癌、転移性かつ2つまたは3つ以上の以前のレジメンの失敗
研究レジメン:配列番号:1+カペシタビン
21日サイクル中の14日
対象:40(2病期:各々20)
状況:継続中の研究
【0299】
3.プロトコルL6104(NSCLC)
研究の記載:配列番号:1およびドセタキセルの、転移性、または進行性非小細胞肺癌におけるフェーズI/IIの試験
集団:転移性、または切除不可能な局所進行性NSCLC
研究レジメン:配列番号:1+ドセタキセル
対象:42(フェーズI 12;フェーズII 30)
状況:継続中の研究
【0300】
4.プロトコルL6090(固形腫瘍)
研究の記載:配列番号:1およびゲムシタビンの、固形腫瘍を有する患者におけるフェーズIの研究
集団:転移性または切除不可能であり、治療的な、または緩和的な手段が存在しないか、またはもはや有効ではない固形腫瘍。
研究レジメン:配列番号:1+ゲムシタビン
対象:34
状況:継続中の研究
【0301】
5.プロトコルL6108(AML)
研究の記載:高用量のシタラビンとの組み合わせでの配列番号:1の、難治性または再発した急性骨髄性白血病(AML)におけるフェーズIの試験
集団:難治性の、または再発した急性骨髄性白血病。
研究レジメン:配列番号:1+シタラビン
対象:30
状況:継続中の研究
【0302】
6.プロトコルL6099(直腸結腸癌)
研究の記載:配列番号:1、オキサリプラチンおよびカペシタビンの、難治性の切除不可能な直腸結腸癌におけるフェーズIの試験
集団:局所進行性または転移性直腸結腸癌(難治性、切除不可能)。患者は、以前のオキサリプラチン含有レジメンを有しない少なくとも1種の標準的な以前の化学療法を受けていなければならない。
研究レジメン:配列番号:1+オキサリプラチンおよびカペシタビン
対象:15〜20
状況:継続中の研究
【0303】
7.プロトコルL6102(前立腺癌)
研究の記載:ドセタキセルおよびプレドニソンとの組み合わせでの配列番号:1の、ホルモン難治性前立腺癌を有する患者におけるフェーズIIの研究
集団:ホルモン難治性前立腺癌を有し、PSAレベルが上昇している(PSA≧20)患者。ECOG 0〜2、適切な器官機能を有する。
研究レジメン:配列番号:1+ドセタキセル+プレドニソン
対象:40
状況:継続中の研究
【0304】
【表16】
【0305】
【表17】
【0306】
【表18】
【0307】
【表19】
【0308】
プロトコル1409についての中間のデータは、フェーズIIの用量における25人の応答が評価できる患者の中で;13人(52%)は、最良の応答として安定な疾患(SD)を有しており(継続期間の中央値:4ヶ月、範囲2〜10)、1つの耐久性の(8ヶ月)部分的応答(PR)が観察されたことを示した。フェーズIIの用量において、PRを有する患者は、39%の表面的な腫瘍の減少を経験し、最長の耐久SDを有する患者は、23%の腫瘍の減少を有していた。1人の追加の患者は、用量レベル0において、またSDおよび腫瘍の大きさの13%の減少を有していた。配列番号:1とカペシタビンとの組合せは、予測された毒性を伴って、推奨されたフェーズIIの用量において耐容される。処置は、これらの薬剤について許容し得る頻度で起こることがすでに知られているもの以外の数種の処置に関連する毒性を伴って、良好に耐容された。
【0309】
種々の癌の処置についての、他の治療剤との組み合わせでの配列番号:1についての他の臨床試験が、提案されており、ここで、配列番号:1についての以下の投与量が、意図された:
【0310】
【表20】
【0311】
【表21】
【0312】
【表22】
【0313】
上記した広範囲の状況における配列番号:1の例証された効力は、これが、免疫療法が受け入れられる種々の癌の処置において、1種または2種以上の免疫療法剤との併用療法の一部として有効な用途を有することを示す。
【0314】
例16:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト腫瘍細胞の増殖をインビトロで阻害する。#1
コロニー形成効率を、標準的なプロトコルを用いて決定した。要するに、細胞を、24時間37℃で、10%胎児ウシ血清を有する成長培地中で培養した。細胞を、5mlのリン酸緩衝生理食塩水、pH7.2で1回、リポフェクチン+/−オリゴヌクレオチド処置の前に洗浄した。
【0315】
試験オリゴヌクレオチドを、細胞培養物に、2.5μgのDOTMA/DOPE(リポフェクチン;Life Technologies, Inc.)の存在下で、4時間にわたり加えた。オリゴヌクレオチドを、他に示さない限りは0.2μMにおいて試験した。対照は、リポフェクチンで、しかしオリゴヌクレオチドを伴わずに処置した培養物であった。4時間後、オリゴヌクレオチドを含む培地を除去し、5mlの成長培地で洗浄した。次に、細胞を、10%胎児ウシ血清を含む成長培地中で、7〜10日間培養した。生存細胞を、メチレンブルー染色により視覚化し、コロニーを記録した。いくつかの実験において、細胞アリコートを、培養物から除去し、生存性を、トリパンブルー排除試験を用いて決定した。結果を、対照細胞と比較した生存細胞の百分率として分析した。
【0316】
AS−II−336−20およびAS−II−2229B−20と表される、R2mRNAに対して向けられた、20量体の2種のホスホロチオエートアンチセンス配列を、作成し、調査した。AS−II−336−20は、配列5’−TCC TGG AAG ATC CTC CTC GC−3’(配列番号:103)を有し、表1に示すR2ヌクレオチドの番号づけに基づいて、ヌクレオチド336〜355においてヒトリボヌクレオチドレダクターゼのR2メッセージを標的する。AS−II−2229B−20は、配列:5’−TCC CAC ATA TGA GAA AAC TC−3’(配列番号:104)を有し、ヌクレオチド2229〜2248においてR2メッセージを標的する。
【0317】
AS−II−336−20を、ヒト腫瘍細胞(Hela)の増殖を阻害する能力について試験した。以前に抗腫瘍剤であるヒドロキシ尿素に対する抵抗性について選択された、Hela S3細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville, Maryland, ATCC)およびHela細胞系(Hela 1mM)を、試験した(表11における結果を参照)。Hela S3細胞を用いて、2つの実験に着手した。0.2μMのアンチセンス構造物AS−II−336−20の4時間の処理で、それぞれ92%および82%の阻害が、2つの実験におけるコロニー形成効率において見られた。同一の実験を、Hela lmM細胞系および変化する濃度のアンチセンス構造物AS−II−336−20で繰り返し(表11における結果を参照)、同様の結果が得られ、0.2μMが、コロニー形成を阻害するための有効濃度であった。
【0318】
これらのデータは、AS−II−336−20が、ヒト腫瘍細胞コロニー形成能力の極めて有効な阻害剤であり、これが、ヒト腫瘍細胞コロニー形成能力の増殖の阻害、および他の化学療法化合物に対する抵抗性を示すヒト腫瘍細胞の増殖の阻害の両方において有効であることを示す。同様に、表11に示すように、AS−II−336−20は、高度にヒドロキシ尿素抵抗性のマウスL細胞系である、マウス腫瘍細胞系であるSC2を用いて行った実験において、有効な抗腫瘍化合物である。
【0319】
アンチセンス配列AS−II−2229B−20をまた、相対的コロニー形成効率実験において、ヒトHela腫瘍細胞の増殖を阻害する能力について試験し、表11に示すようにAS−II−336−20の能力に類似する結果が得られた。これらのデータは、AS−II−2229B−20が、Hela S3細胞を用いて、および薬剤抵抗性Hela 1mM細胞系を用いて試験した際に、有効な抗腫瘍剤であることを示す。
【0320】
【表23】
【0321】
AS−II−2229B−20をまた、ヒト乳癌細胞系MDA435の増殖を阻害する能力について試験し、極めて有効であると見出された(表12を参照)。
【0322】
【表24】
【0323】
AS−II−2229B−20をさらに、腫瘍細胞の細胞毒性について、ヒト腫瘍および非腫瘍細胞集団の処置から得られた結果を比較することにより試験した。Hela S3腫瘍細胞およびWI 38正常非腫瘍形成性ヒト細胞を用いた。腫瘍細胞は、正常な非腫瘍形成性細胞よりも、AS−II−2229B−20の細胞毒性効果に対してはるかに感受性であると見出された。例えば、アンチセンス曝露の3日後の細胞の分析により、腫瘍細胞が、4〜8回の決定にわたり平均して、正常な非腫瘍形成性細胞よりも、AS−II−2229B−20の細胞毒性効果に対して約5倍感受性であることが示された。
【0324】
例17:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト腫瘍細胞の増殖をインビトロで阻害する。#2
コンピュータープログラム(OLIGO、Primer Analysis Software, Version 3.4)を用いたR2mRNAの分析を行って、アンチセンス配列融点、自由エネルギー特性を決定し、潜在的な自己二量体生成を評価し、かつ一連の追加のアンチセンス配列の自己相補的特性を設計してR2メッセージを標的した。これらの配列(配列番号:1および4〜102)を、表1に示す。
【0325】
ホスホロチオエートデオキシリボヌクレオチドとしてのこれらの配列の多くのアンチセンス効果を試験するために、これらを、一連のヒト腫瘍細胞系を用いて例16において記載したように行った相対的コロニー形成実験において、試験した。膀胱、乳房、肺、大腸、膵臓、前立腺、肝臓および頸部から由来する癌細胞を用いて得られた結果(コロニー形成能力の%阻害として示す)を、表13に示す。用いた特定の細胞系は、以下の通りである:
【0326】
T24=膀胱細胞癌腫
HCT116=大腸細胞癌腫
A549=肺細胞癌腫
MDA−MB−231=乳房細胞腺癌
MIA PaCa−2=脾臓細胞癌腫
PC−3=前立腺細胞腺癌
HepG2=肝細胞癌
HeLaS3=頸部の癌腫から単離された細胞
T−47D=乳房乳管癌
H596=肺腺扁平上皮癌細胞
Colo320=大腸細胞腺癌
【0327】
【表25】
【0328】
【表26】
【0329】
【表27】
【0330】
表13に対する説明文
−アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1に記載したように、示さない(*)限り完全にチオエートされていた(thioated)。
−相対的コロニー形成効率についての値は、2〜8回の決定から得られた平均である。
−ND=決定されず。
−種々の細胞系を、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville, Marylandから得た。
【0331】
例18:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対して標的されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる化学療法剤の効果に対するヒト腫瘍細胞の感作
極めて低い濃度の短いアンチセンス配列を有するヒト腫瘍細胞の処置を、試験して、これらの構造物が、腫瘍細胞を、他の化学療法薬剤の阻害効果に対して感作し得るか否かを決定した。用いた濃度は、これ自体細胞毒性ではなかった(表11中に示した結果により例証されたように)。表14に示すように、Hela S3およびHela 1mM細胞の0.02μMのAS−II−2229B−20アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、これらの細胞の、N−(ホスホンアセチル)−L−アスパラギン酸塩(PALA)およびメトトレキセート(MTX)に対する感受性が増大した。
【0332】
【表28】
【0333】
公開された特許出願を含むすべての特許明細書、刊行物の開示および本明細書中で参照したデータベース記入事項は、各々のこのような個別の特許明細書、刊行物およびデータベース記入事項を、参照により導入するように特定的に、かつ個別に示したのと同一の程度に、特定的にこれらの全体において参照により導入する。
【0334】
本発明をこのように記載し、同一のことが、多くの方法で変化し得ることが、明らかである。このような変化は、本発明の精神および範囲からの逸脱として考慮するべきではなく、当業者に明らかであるこのような修正はすべて、特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0335】
【図1】ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1およびA498)におけるインビトロでのインターフェロンアルファの抗増殖効果を示す図である。
【図2A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図2B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0336】
【図3A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図3B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図4A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図4B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0337】
【図5A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図5B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図6A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図6B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【0338】
【図7A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図7B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図8A】配列番号:1単独およびインターロイキン−2と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図8B】配列番号:1単独およびインターロイキン−2と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0339】
【図9】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図10】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図11】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図12】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0340】
【図13】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0341】
【図14】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおける前立腺腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図15】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおける前立腺腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0342】
【図16】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおけるA2058黒色腫成長に対する効果を示す図である。
【図17】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおける乳房腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0343】
【図18】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおける卵巣腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図19】CD−1ヌードマウスにおけるヒト膵癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0344】
【図20】SCIDマウスにおけるヒドロキシ尿素(HU)に抵抗性のヒト頸部類上皮細胞癌腫の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図21】SCIDマウスにおけるシスプラチンに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図22】SCIDマウスにおけるシスプラチンに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0345】
【図23】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図24】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図25】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト前骨髄球性白血病の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0346】
【図26】SCIDマウスにおけるLS513、ヒト多薬剤抵抗性の大腸腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図27】ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの配列[配列番号:105]を示す図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、癌療法の分野および特に癌の処置のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドと1種または2種以上の免疫療法剤との組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DNA合成に至る最初の独特の段階は、リボヌクレオチドのこれらの対応するデオキシリボヌクレオチドへの変換であり、細胞周期に特異的な方式でハウスキーピング遺伝子リボヌクレオチドレダクターゼにより触媒された反応である[Lewisら、J. Cell Physiol. 94:287-2981978; Reichard, Science 60:1773-1777, 1993; Wright, Encyl. Pharmacol. Therapeut. 128:89-111, 1989; Wrightら、Biochem. Cell Biol. 68:1364-1371 1990; Stubbe, Ann. Rev. Biochem. 58:257-285, 1989]。哺乳類の酵素は、しばしばR1およびR2と呼ばれる2種の類似しない二量体タンパク質サブユニットから構成されており、この両方は、酵素活性に必要であり、これは、異なる染色体上に位置する2種の異なる遺伝子によりコードされる[Bjorklundら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11322-11326, 1993; Toninら、Cytogenet Cell Genet. 45:102-108, 1987]。
【0003】
リボヌクレオチドレダクターゼおよび特にR2サブユニットの発現は、腫瘍プロモーター、または腫瘍進行の成長因子により媒介された機構における形質転換する成長因子に曝露された形質転換した細胞において高められる[Amaraら、J. Biol. Chem. 271:20126-20131, 1996; Chenら、EMBO J. 12:3977-3986, 1993; Amaraら、Nucleic Acids Res. 23:1461-1467, 1995]。これらの研究は、げっ歯動物およびヒト組織から得られた腫瘍細胞[Weber, Cancer Res. 43:3466-3492, 1983; Wrightら、Encyl. Pharmacol. Therapeut. 128:89-111, 1989; Saekiら、Int. J. Oncol. 6:523-529, 1995; Jensonら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:9257-9261, 1994]、並びに抗腫瘍剤、例えばヒドロキシ尿素に対する抵抗性について選択された培養細胞[Lewisら、J Cell Physiol. 97:87-97, 1978; Wrightら、Drug Resistance in Mammalian Cells, Boca Raton, FL; CRC Press, Inc; 15-27, 1989]におけるものである。これらの発見は、リボヌクレオチドレダクターゼの発現との干渉は、腫瘍細胞の増殖を阻害するための有用な方法であり得ることを示唆する。
【0004】
最近の数年において、核酸化学および遺伝子導入の進歩により、遺伝子発現の特別の干渉を操作するための新たな方法が着想された。アンチセンス技術は、遺伝子特異性干渉を達成するように設計されたプロトコルにおける最も一般的に記載されている方法であり、多くのアンチセンス化合物は、現在臨床的に試験されている[Holmlund, Ann N Y Acad Sci. 1002:244-51, 2003における概説を参照]。
【0005】
リボヌクレオチドレダクターゼに対して特異的に標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、国際特許出願第PCT/CA97/00454号およびPCT/CA00/00120号に記載されている。
【0006】
免疫療法は、癌療法に対する極めて新しい方法であり、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的に、または間接的に刺激または増強することを含む。免疫療法はまた、免疫学的療法、生物学的療法、生物学的反応修飾物質を用いた療法および生物療法とも呼ばれ、治療的ワクチン(いわゆる「能動的免疫療法」)および生物学的剤、例えばサイトカインおよびモノクローナル抗体の投与(「受動的免疫療法」)などの種々の方法を含む。
【0007】
多くの免疫療法的方法が、規制認可を得ており、現在、転移性乳癌の処置のために認可されたモノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)、並びに濾胞性B細胞リンパ腫の処置のためのリツキシマブ(リツキサン(Rituxan))、並びに直腸結腸癌の処置において用いられる非サイトカインアジュバントであるレバミソール、並びに慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、悪性黒色腫、AIDS関連カポジ肉腫、有毛細胞白血病および基底細胞腫に対する使用のために認可されたサイトカインインターフェロンアルファ、並びに転移性腎細胞癌の処置において用いるために認可されたインターロイキン−2(IL−2)を含む、臨床的設定において用いられている。
【0008】
Medical Research Councilにより行われた研究は、腎細胞癌における酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)およびインターフェロンの効果を比較した。この研究により、インターフェロン療法は、12%の1年生存率の改善をもたらす(MPA31%の生存率、インターフェロン43%の生存率)ことが示された。ほとんどの患者は、連続的な療法に伴う薬剤の副作用を耐容した(Medical Research Council Renal Cancer Collaborators, Lancet (1999) 353(9146):14-17)。
【0009】
サイトカインの標準的な化学療法剤との組合せはまた、利点をもたらし得る。最近の研究により、13−シスレチノイン酸と組み合わせたIL−2は、再発性の卵巣癌を有する患者における無病生存期間および合計生存期間を延長することが示された(Recchiaら、Proc. 2004 European Society of Medical Oncology Congress, Vienna, Abst. # 491P)。サイトカインの化学療法剤との組合せを含む他の研究は、腎細胞癌において行われた(Bleumerら、Eur Urol. 2003 44(1):65-75による概説を参照)。ビンブラスチンとの組み合わせでのインターフェロンアルファは、ビンブラスチンのみよりも優れていると示され、組合せで処置した患者について67.6週およびビンブラスチン単独を施与された患者について37.8週の生存期間をもたらした(Pyrhoenenら、J Clin Oncol. 1999 17(9):2859-67)。
【0010】
インターロイキンとインターフェロンアルファとの組合せ(Negrierら、Ann Oncol. 2002 13(9):1460-8; Touraniら、J Clin Oncol. 2003 21(21):3987-94)、インターフェロンとCCI−779との組合せ(Dutcherら、Proc Am Soc Clin Oncol 2003. 22: 213 (Abstr 854))、インターフェロンとオールトランスレチノイン酸との組合せ(Goldbergら、Cancer 2002 95(6):1220-7)、インターフェロンアルファとレバミソールとの組合せ(Aksoy, Int Urol Nephrol. 2001 33(3):457-9)および5−FUと組み合わせてのインターロイキンとインターフェロンアルファとの組合せ(Atzpodienら、Cancer. 2002 95(5):1045-50; Van Herpenら、Br J Cancer. 2000年2月;82(4):772-6; Negrierら、J Clin Oncol. 2000 18(24):4009-15)はまた、腎臓癌に対する効力を例証した。最近、Motzerらは、インターフェロンのみで、または併用療法の一部として処置した、進行性腎細胞癌を有する、463人の以前は処置されていなかった患者に対する遡及的な分析を公表した。分析により、インターフェロン療法に関する4ヶ月および6ヶ月無進行生存率は、それぞれ55%および42%であることが示された(Motzer, J Clin Oncol. 2002 20(1):289-96)。
【0011】
この背景情報を、本出願人により本発明への可能な関連であると考えられる既知の情報を作成する目的で提供する。了解は必ずしも意図されず、上記の情報のすべてが、本発明に対して従来技術を構成すると考慮するべきではない。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の目的は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に向けられたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび癌の処置のための併用療法におけるこの使用を提供することにある。本発明の1つの観点において、哺乳類における癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記組合せ物を提供する。
【0013】
本発明の他の観点において、哺乳類における癌を処置する方法であって、前記哺乳類に、(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および(b)1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せ物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
本発明の他の観点において、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の、哺乳類における癌の処置のための医薬の製造における使用を提供する。
【0015】
本発明の他の観点において、癌の処置のための組合せ物を含む薬学的キットであって、前記組合せ物が、(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および(b)1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記薬学的キットを提供する。
【0016】
本発明の他の観点において、対象における腎臓癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:配列番号:1に相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のサイトカインを含む、前記組合せ物を提供する。
【0017】
発明の詳説
本発明は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼタンパク質のR2サブユニットをコードする遺伝子に対する1種または2種以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、癌の処置のための組合せ物を提供する。リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび免疫療法剤との併用療法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは免疫療法剤(1種または2種以上)単独のいずれかよりも、腫瘍性細胞の成長を低減するにあたり有効であることが見出された。本発明の組合せ物は、さらに、1種または2種以上の化学療法剤を含むことができる。
【0018】
本発明の状況において、「組合せ物」または「組合せ」は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子および1種または2種以上の免疫療法剤に対して標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび免疫療法剤(1種または2種以上)を、別個に、連続的に、同時に、または混合物において、処置を受ける対象に投与することができる。従って、組合せ物は、例えば、複数の別個の投与単位を含むことができ、組合せの各々の活性成分は、個別の投与単位、または各々の単位が1種もしくは2種以上の活性成分を含む複数の投与単位、または固定された比率の組合せのすべての活性成分を含む単一の投与単位で提供される。
【0019】
本発明はさらに、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せの、種々の癌の処置のための併用療法における使用を提供する。本発明はさらに、哺乳類における癌を処置する方法であって、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にしたアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せの有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。併用療法は、一次処置であってもよいか、またはこれは、すでに一次療法を受けている癌患者についてのアジュバント療法の一部であってもよい。
【0020】
定義
他に定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する分野における通常の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0021】
本明細書中で用いる用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的遺伝子から転写されるmRNAに相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを表す。本発明の状況において、標的遺伝子は、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2タンパク質をコードする遺伝子である。
【0022】
本明細書中で用いる用語「オリゴヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかを含む、少なくとも7ヌクレオチド長であるヌクレオチドのポリマー形態、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾された形態を意味する。この用語は、DNAまたはRNAの一本鎖および二本鎖形態を含む。
【0023】
本明細書中で用いる用語「免疫療法剤」は、癌細胞に対する身体の免疫応答を間接的に、もしくは直接的に増強、刺激もしくは増大し、かつ/または他の抗癌療法の副作用を低減する化合物、組成物または処置を表す。当該分野において知られている一般的な免疫療法剤の例には、サイトカイン、癌ワクチン、モノクローナル抗体および非サイトカインアジュバントが含まれるが、これらには限定されない。
【0024】
本明細書中で用いる用語「選択的にハイブリダイズする」は、核酸分子が、第2の核酸分子に検出可能に、かつ特異的に結合する能力を表す。オリゴヌクレオチドは、非特異性核酸分子への検出可能な結合の感知し得る量を最小にするハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の下で、選択的にハイブリダイズして、核酸鎖を標的する。高度なストリンジェンシー条件を用いて、当該分野において知られており、本明細書中で討議する選択的なハイブリダイゼーション条件を達成することができる。
【0025】
典型的には、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を、慣用のハイブリダイゼーション手順により高いストリンジェンシーにおいて遂行する。洗浄条件は、典型的には、約5〜30分後に洗浄溶液を交換して、1〜3×SSC、0.1〜1%SDS、50〜70℃である。
【0026】
本明細書中で核酸配列に関して用いる用語「に相当する」は、参照ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部と同一のポリヌクレオチド配列を意味する。対照的に、用語「に相補的な」を本明細書中で用いて、ポリヌクレオチド配列が、参照ポリヌクレオチド配列の補体の全体または一部と同一であることを意味する。例示のために、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に相当し、参照配列「GTATA」に相補的である。
【0027】
以下の用語を、本明細書中で用いて、2種または3種以上のポリヌクレオチド間の配列関係を記載する:「参照配列」、「比較のウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の百分率(%)」および「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列の比較のための基準として用いられる規定された配列であり;参照配列は、例えば全長cDNA、mRNAもしくは遺伝子配列のセグメントとしての、比較的大きい配列のサブセットであってもよいか、または完全なcDNA、mRNAもしくは遺伝子配列を含んでいてもよい。一般的に、参照ポリヌクレオチド配列は、少なくとも20ヌクレオチド長、およびしばしば少なくとも50ヌクレオチド長である。
【0028】
本明細書中で用いる「比較のウィンドウ」は、少なくとも15の近接するヌクレオチド位置の参照配列の概念的なセグメントを表し、これにわたり、候補配列を、参照配列と比較することができ、ここで、比較のウィンドウにおける候補配列の一部は、2つの配列の最適な配列比較についての参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセントまたはこれ以下の付加または欠失(即ちギャップ)を含むことができる。本発明は、参照または候補配列のいずれかの全長まで、およびこれを含む比較のウィンドウについての種々の長さを意図する。1つの態様において、比較のウィンドウは、候補配列の全長である。
【0029】
比較ウィンドウを配列比較するための配列の最適な配列比較を、SmithおよびWatermanの局所的な相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math. (1981) 2:482)、NeedlemanおよびWunschの相同性配列比較アルゴリズム(J. Mol. Biol. (1970) 48:443)、PearsonおよびLipmanの類似性方法についての探索(Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) (1988) 85:2444)を用いて、これらのアルゴリズム(例えばWisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 573 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)のコンピューター化された実行を用いて、公的に入手できるコンピューターソフトウエア、例えばALIGNもしくはMegalign(DNASTAR)を用いて、または検査により、行うことができる。次に、最良の配列比較(即ち比較ウィンドウにわたり同一性の最も高い百分率をもたらす)を選択する。
【0030】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列が、比較のウィンドウにわたり同一(即ちヌクレオチドからヌクレオチドへの基準において)であることを意味する。
本明細書中で参照配列に関して用いる用語「配列同一性の百分率(%)」は、いかなる同類置換をも配列同一性の一部として考慮せずに、配列の最適な配列比較を行い、所要に応じて、ギャップを導入して最大の配列同一性の百分率を達成した後に、比較のウィンドウにわたり参照ポリヌクレオチド配列中の残基と同一である、候補配列におけるヌクレオチド残基の百分率として定義される。
【0031】
本明細書中で用いる用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特性を示し、ここで、ポリヌクレオチドは、比較のウィンドウにわたり参照配列と比較して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む。本発明の種々の態様において、比較のウィンドウにわたり参照配列と比較して少なくとも60%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性および少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を、参照配列と実質的な同一性を有すると考慮する。
【0032】
本明細書中で同義的に用いる用語「療法」および「処置」は、レシピエントの状態を改善する意図と共に行う介入を表す。改善は、主観的または客観的であり得、処置される疾患、障害または状態に関連する症状の改善、この発生の防止またはこの病態の変化に関連する。従って、療法および処置の用語は、最も広い意味で用いられ、種々の病期における疾患、障害または状態の防止(予防)、緩和、低減および治癒を含む。レシピエントの状態の悪化の防止はまた、当該用語により包含される。療法/処置が必要であるものは、すでに疾患、障害または状態を有するもの、および疾患、障害または状態の傾向があるか、または発生する危険にあるもの、および疾患、障害または状態を防止するべきであるものを含む。
【0033】
用語「改善する(ameliorate)」または「改善(amelioration)」は、処置される疾患の1種または2種以上の症状、徴候および特徴における、一時的および長期間の両方での停止、防止、低減または改善(improvement)を含む。
本明細書中で用いる用語「対象」または「患者」は、処置を必要とする哺乳類を表す。
【0034】
本発明の化合物を1種または2種以上の他の治療剤「と組み合わせて」投与することは、同時の(併用の)投与および連続的な投与を含むことを意図する。連続的な投与は、治療剤(1種または2種以上)および本発明の化合物(1種または2種以上)を対象に、種々の順序において、および種々の経路により投与することを包含することを意図する。
【0035】
本明細書中で用いる用語「約」は、公称値からの+/−10%の変化を表す。このような変化は常に、これが特定的に言及されているか否かを問わず、本明細書中に提供したすべての示された値に含まれることを、理解するべきである。
【0036】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
選択および特徴
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼタンパク質のR2サブユニットをコードする遺伝子を標的にする。従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニット遺伝子から転写されたmRNAの一部に相補的である。種々の哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼmRNAの配列は、当該分野において知られている。例えば、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットについてのmRNA配列(GenBank受託番号NM_001034)は、NCBIにより維持されたGenBankデータベースから入手でき、ここでは、配列番号:105として提供されている(図27)。他の哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼmRNA、例えばNM_009104マウス(Mus musculus)R2サブユニットおよびX68127ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)R2サブユニットの配列はまた、このデータベースから入手可能である。
【0037】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニット遺伝子を標的にする。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAの一部に相補的な配列を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:105に示した配列の一部に相補的である配列を含む。
【0038】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、選択された哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの一部に相補的な少なくとも7つの近接するヌクレオチドの配列を含む。1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの一部に相補的な少なくとも7つの近接するヌクレオチドの配列を含む。
【0039】
本発明の組合せにおいて包含させるのに適するアンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を標的にする、米国特許第5,998,383号および6,121,000号(参照により本明細書中に導入する)に開示されているものを含む。例示的な配列を、表1に示す。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1に示したアンチセンスオリゴヌクレオチド配列のいずれか1つの少なくとも7個の連続的なヌクレオチドを含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子またはmRNAのコード領域の部分に相補的な少なくとも7個の近接するヌクレオチドの配列を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列:
5’−GGCTAAATCGCTCCACCAAG−3’ [配列番号:1]
により表されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも7個の連続的なヌクレオチドを含む。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
表1についての脚注:
名称は、以下のものを含む:AS=アンチセンス;II=R2;最初の番号は、R2mRNA配列における最初のヌクレオチド位置を示し;第2の番号は、配列セグメントの長さを示す。
配列は、部分的なホスホロチオエート化を「*」により示さない限り、完全にホスホロチオエート化されていた。
Tm℃=形成したオリゴヌクレオチド二本鎖の融点。
dG=オリゴヌクレオチド−補体二量体形成の自由エネルギー値。
【0045】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、アンチセンス配列が、二本鎖、ヘアピンまたは二量体を形成する最小の可能性を示し、ホモオリゴマー/配列反復を最小に含むかまたはこれを含まないように選択する。オリゴヌクレオチドはさらに、GCクランプを含むことができる。当業者は、これらの特性を、種々のコンピューターモデリングプログラム、例えばプログラムOLIGO(登録商標)Primer Analysis Software, バージョン5.0(National Biosciences, Inc., Plymouth, MNにより頒布されている)を用いて、定性的に決定することができることを、認識する。
【0046】
有効であるために、慣用のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、7〜100ヌクレオチド長である。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約7〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約12〜約50ヌクレオチド長である。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約7〜約35ヌクレオチド長、約10〜約35ヌクレオチド長、約12〜約35ヌクレオチド長および約12〜約25ヌクレオチド長である。
【0047】
当該分野において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、この標的配列の補体と100%の同一性を有する必要はないことが理解される。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらの標的配列の補体と少なくとも約75%同一である配列を有する。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的配列の補体と少なくとも約90%同一である配列を有する。他の態様において、これらは、標的配列の補体と少なくとも約95%同一である配列を有して、いくつかの塩基のギャップまたはミスマッチを可能にする。他の態様において、これらは、標的配列の補体と少なくとも約98%同一である。同一性は、例えば、University of Wisconsin Computer Group (GCG)ソフトウエアの、またはNCBIウェブサイト上に提供されているBLASTNプログラムを用いることにより決定することができる。
【0048】
本発明の状況において、オリゴヌクレオチドは、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)または修飾RNAもしくはDNAまたはこれらの組合せのオリゴマーまたはポリマーであってもよい。従って、この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(主鎖)結合から構成されるオリゴヌクレオチド並びに同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。このような修飾オリゴヌクレオチドは、望ましい特性、例えば増強された細胞取り込み、核酸標的に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での増大した安定性のために、しばしば天然の形態よりも好ましい。
【0049】
当該分野において知られているように、ヌクレオシドは、塩基−糖の組合せであり、ヌクレオチドは、さらにヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を含むヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドを形成するにあたり、リン酸基は、互いに隣接するヌクレオシドに共有結合して、直線状ポリマー化合物を形成し、RNAおよびDNAの正常な結合または主鎖は、3’から5’へのホスホジエステル結合である。本発明において有用な修飾オリゴヌクレオチドの特定の非限定的な例には、修飾された主鎖または天然でないヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書中で定義したように、修飾された主鎖を有するオリゴヌクレオチドは、主鎖中にリン原子を保有するものおよび主鎖中にリン原子を欠いているものの両方を含む。本発明の目的のために、および時々当該分野において参照されるように、これらのヌクレオシド間主鎖中にリン原子を有しない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオチドであると考慮することができる。
【0050】
修飾オリゴヌクレオチド主鎖を有する例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドには、例えば、ホスホロチオエート類、キラルなホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホトリエステル類、アミノアルキルホスホトリエステル類、3’−アルキレンホスホネート類を含むメチルおよび他のアルキルホスホネート類、並びにキラルなホスホネート類、ホスフィネート類、3’アミノホスホラミデートを含むホスホラミデート類並びにアミノアルキルホスホラミデート類、チオノホスホラミデート類、チオノアルキルホスホネート類、チオノアルキルホスホトリエステル類、並びに正常な3’−5’結合を有するボラノホスフェート類、これらの2’−5’結合類似体である1つまたは2つ以上の修飾ヌクレオチド間結合を有するもの、並びにヌクレオシド単位の隣接する対が、3’−5’から5’−3’に、または2’−5’から5’−2’に結合している、逆転した極性を有するものが含まれる。種々の塩、混合塩および遊離酸形態もまた、含まれる。
【0051】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドである。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの4つ、5つまたは6つの3’末端ヌクレオチドに結合するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチドに結合するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0052】
リン原子を含まない例示的な修飾オリゴヌクレオチド主鎖は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つもしくは2つの短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合により形成する。このような主鎖には、モルホリノ結合(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成する);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;並びに混合されたN、O、SおよびCH2成分部分を有する他のものが含まれる。
【0053】
本発明はまた、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合の両方が新規な基で置換されている、修飾オリゴヌクレオチドを意図する。塩基単位は、適切な核酸標的化合物でのハイブリダイゼーションのために維持されている。優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されているこのような修飾オリゴヌクレオチドの例は、ペプチド核酸(PNA)である[Nielsenら、Science, 254:1497-1500 (1991)]。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖主鎖は、アミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖で置換されている。核酸塩基は、保有され、主鎖のアミド部分のアザ−窒素原子に直接的に、または間接的に結合している。
【0054】
本発明はまた、リボースの2’−Oを4’−Cと結合させるメチレン架橋を含む立体配置的に制限されたオリゴヌクレオチド類似体である、「固定された核酸」(LNA)を含むオリゴヌクレオチドを意図する(Singhら、Chem. Commun., 1998, 4:455-456を参照)。LNAおよびLNA類似体は、相補的なDNAおよびRNAとの極めて高い二本鎖熱安定性、3’−エクソヌクレアーゼ分解に対する安定性並びに良好な溶解性特性を示す。アデニン、シトシン、グアニン、5−メチルシトシン、チミンおよびウラシルのLNA類似体の合成、これらのオリゴマー化および核酸認識特性が、記載されている(Koshkinら、Tetrahedron, 1998, 54:3607-3630を参照)。ミスマッチした配列の研究により、LNAは、ワトソン−クリック塩基対合則に、対応する修飾されていない参照鎖と比較して一般的に改善された選択性で従うことが示されている。
【0055】
LNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、有効であり、無毒性であると例証されている(Wahlestedtら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97:5633-5638)。さらに、LNA/DNAコポリマーは、血清および細胞抽出物中で容易に分解されなかった。
【0056】
LNAは、相補的なDNAもしくはRNAと、または相補的なLNAと、高い熱親和性で二本鎖を形成する。LNA媒介ハイブリダイゼーションの普遍性は、極めて安定なLNA:LNA二本鎖の形成により強調されている(Koshkinら、J. Am. Chem. Soc., 1998, 120:13252-13253)。LNA:LNAハイブリダイゼーションは、最も熱的に安定な核酸タイプの二本鎖系であると示されており、LNAのRNA模倣特性は、二本鎖レベルにおいて確立された。3種のLNAモノマー(TまたはA)の導入の結果、DNA補体の方向に顕著に上昇した融点がもたらされた。
【0057】
2’−アミノ−LNA(Singhら、J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)および2’−メチルアミノ−LNAの合成が、記載されており、相補的RNAおよびDNA鎖とのこれらの二本鎖の熱安定性が、報告されている。ホスホロチオエート−LNAおよび2’−チオ−LNAの調製もまた、記載されている(Kumarら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8:2219-2222)。
【0058】
修飾オリゴヌクレオチドはまた、1つまたは2つ以上の置換された糖部分を含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、2’位において以下の置換基の1種を有する糖を含むことができる:OH;F;O−、S−もしくはN−アルキル;O−、S−もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換C1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。このような基の例は、以下のものである:O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2、ここでnおよびmは、1〜約10である。
【0059】
あるいはまた、オリゴヌクレオチドは、2’位において以下の置換基の1種を含むことができる:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールもしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。
【0060】
特定の例は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、また2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られている)[Martinら、Helv. Chim. Acta, 78:486-504(1995)]、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ(O(CH2)2ON(CH3)2基、また2’−DMAOEとしても知られている)、2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、置換された糖部分を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOE修飾ヌクレオチドを含む。
【0061】
同様の修飾はまた、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位置または2’−5’結合オリゴヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位置においてなされ得る。オリゴヌクレオチドはまた、糖擬態、例えばシクロブチル部分を、ペントフラノシル糖の代わりに有することができる。
【0062】
オリゴヌクレオチドはまた、核酸塩基への修飾を含むことができる。本明細書中で用いる「修飾されていない」または「天然の」核酸塩基は、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、並びにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されている核酸塩基には、他の合成および天然核酸塩基、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニン類およびグアニン類、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシル類およびシトシン類、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが含まれる。
【0063】
他の核酸塩基には、米国特許第3,687,808号;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, (1990) pp 858-859, Kroschwitz, J. I.編、John Wiley & Sons; Englischら、Angewandte Chemie, Int. Ed., 30:613 (1991);およびSanghvi, Y. S., (1993) Antisense Research and Applications, pp 289-302, Crooke, S. T.およびLebleu, B.編、CRC Pressに開示されているものが含まれる。これらの核酸塩基の数種は、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン類、6−アザピリミジン類並びに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6およびO−6置換プリン類が含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃上昇させると示されている[Sanghvi, Y. S., (1993) Antisense Research and Applications, pp 276-278, Crooke, S. T.およびLebleu, B.編、CRC Press, Boca Raton]。
【0064】
本発明中に含まれる他のオリゴヌクレオチド修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増大させる1種または2種以上の部分または結合体のオリゴヌクレオチドへの化学結合である。このような部分には、脂質部分、例えばコレステロール部分[Letsingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6553-6556 (1989)]、コール酸[Manoharanら、Bioorg. Med. Chem. Let., 4:1053-1060 (1994)]、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール[Manoharanら、Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:306-309 (1992); Manoharanら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 3:2765-2770 (1993)]、チオコレステロール[Oberhauserら、Nucl. Acids Res., 20:533-538 (1992)]、脂肪鎖、例えばドデカンジオールもしくはウンデシル残基[Saison-Behmoarasら、EMBO J., 10:1111-1118 (1991); Kabanovら、FEBS Lett., 259:327-330 (1990); Svinarchukら、Biochimie, 75:49-54 (1993)]、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくは1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホン酸トリエチルアンモニウム[Manoharanら、Tetrahedron Lett., 36:3651-3654 (1995); Sheaら、Nucl. Acids Res., 18:3777-3783 (1990)]、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖[Manoharanら、Nucleosides & Nucleotides, 14:969-973 (1995)]、またはアダマンタン酢酸[Manoharanら、Tetrahedron Lett., 36:3651-3654 (1995)]、パルミチル部分[Mishraら、Biochim. Biophys. Acta, 1264:229-237 (1995)]、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分[Crookeら、J. Pharmacol. Exp. Ther., 277:923-937 (1996)]が含まれるが、これらには限定されない。
【0065】
当業者は、所定のオリゴヌクレオチドにおけるすべての位置が、均一に修飾されている必要はないことを認識する。従って、本発明は、前述の修飾の1つより多くを、単一のオリゴヌクレオチド中に、またはさらにオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいて導入することを意図する。
【0066】
本発明はさらに、キメラオリゴヌクレオチド、即ち2つまたは3つ以上の化学的に別個の領域を含み、各々が少なくとも1つのモノマー単位で構成されているオリゴヌクレオチドであるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増大した抵抗性、増大した細胞取り込みおよび/または標的の核酸への増大した結合親和性が付与されるようにオリゴヌクレオチドが修飾されている、少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドの追加の領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素についての基質として作用し得る。例えば、RNase Hは、RNA:RNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。
【0067】
従って、RNase Hの活性化の結果、RNA標的の切断がもたらされ、これにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率が大幅に増大される。従って、キメラオリゴヌクレオチドを用いる際には、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、同程度の結果が、しばしば一層短いオリゴヌクレオチドを用いて得られる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および所要に応じて当該分野において知られている関連する核酸ハイブリダイゼーション手法により、常習的に検出され得る。
【0068】
本発明の状況において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、これが、DNAおよびRNAヌクレアーゼにより分解されやすくないように修飾されているか、あるいはまたそれ自体でオリゴヌクレオチドをDNAもしくはRNAヌクレアーゼから保護する送達ビヒクル中に配置されている際には、「ヌクレアーゼ抵抗性」である。ヌクレアーゼ抵抗性オリゴヌクレオチドには、例えば、ホスホン酸メチル類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホトリエステル類、およびモルホリノオリゴマーが含まれる。ヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに適する送達ビヒクルには、例えばリポソーム類が含まれる。本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性である。
【0069】
本発明はさらに、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを意図する。
【0070】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、当業者に十分知られている慣用の手法により調製することができる。例えば、オリゴヌクレオチドを、商業的に入手できる装置、例えばApplied Biosystems Canada Inc., Mississauga, Canadaから入手できる装置を用いた固相合成を用いて、調製することができる。当該分野において十分知られているように、修飾オリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート類およびアルキル化された誘導体もまた、同様の方法により容易に調製することができる。
【0071】
あるいはまた、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、天然に存在するリボヌクレオチドレダクターゼR2遺伝子を当該分野において知られている方法により酵素的に消化することにより、調製することができる。
【0072】
アンチセンスオリゴヌクレオチドをまた、組換え方法を用いることにより調製することができ、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする核酸配列を含む発現ベクターを、好適な宿主細胞中で発現させる。このような発現ベクターを、当該分野において知られている手順を用いて容易に構成することができる。好適なベクターの例には、プラスミド、ファージミド、コスミド、バクテリオファージ、バキュロウイルスおよびレトロウイルス、並びにDNAウイルスが含まれるが、これらには限定されない。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させるための適切な宿主細胞の選択は、選択されたベクターに依存することを理解する。宿主細胞の例には、細菌、酵母、昆虫、植物および哺乳類細胞が含まれるが、これらには限定されない。
【0073】
当業者はまた、発現ベクターはさらに、1種または2種以上の調節要素、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の効率的な転写に必要な転写要素を含むことができることを、理解する。ベクター中に導入することができる調節要素の例には、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、およびポリアデニル化シグナルが含まれるが、これらには限定されない。当業者は、好適な調節要素の選択は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現のために選択された宿主細胞に依存すること、およびこのような調節要素は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳類または昆虫遺伝子を含む種々の供給源から由来し得ることを認識する。
【0074】
本発明において、発現ベクターを、好適な宿主細胞または組織中に、当該分野において知られている種々の方法の1つにより導入することができる。このような方法は、Sambrookら、1992;Ausubelら、1989;Changら、1995;Vegaら、1995;およびVectors: A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses (1988)中に一般的に記載されていると見出すことができ、例えば安定な、またはトランジエントなトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび組換えウイルスベクターでの感染が含まれる。
【0075】
免疫療法剤
本発明の組合せ物は、1種または2種以上の免疫療法剤を、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む。免疫療法は、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的に、もしくは間接的に刺激もしくは増強し、かつ/または他の抗癌剤により生じている場合がある副作用を低減させる療法である。免疫療法はまた、当該分野において、免疫学的療法、生物学的療法、生物学的反応修飾物質を用いた療法および生物療法とも呼ばれる。当該分野において知られており、本発明の組合せ物中に包含させることが意図される一般的な免疫療法剤の例には、サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンが含まれるが、これらには限定されない。
【0076】
免疫療法剤は、非特異的であり得、即ち、癌細胞の成長および/または拡散に対抗するにあたり一層有効になるように免疫系を全体的に高め、またはこれらは、特異的であり得、即ち癌細胞自体を標的にする。免疫療法レジメンは、非特異的および特異的免疫療法剤の使用を組み合わせることができる。本発明の組合せ物は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種もしくは2種以上の非特異的な免疫療法剤、1種もしくは2種以上の特異的な免疫療法剤、またはこれらの組合せと組み合わせて含むことができる。1つの態様において、組合せ物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種または2種以上の非特異的な免疫療法剤と組み合わせて含む。
【0077】
非特異的な免疫療法剤は、免疫系を刺激または間接的に増大させる物質である。非特異的な免疫療法剤は、癌の処置のための主な療法として単独で、および主な療法に加えて用いられており、この場合において、非特異的な免疫療法剤は、他の療法(例えば癌ワクチン)の有効性を増強させるためのアジュバントとして機能する。非特異的な免疫療法剤はまた、この後者の状況において、他の療法の副作用、例えばある化学療法剤により誘発された骨髄抑制を低減する機能を有し得る。非特異的な免疫療法剤は、重要な免疫系細胞に対して作用し、二次的な応答、例えばサイトカインおよび免疫グロブリンの増大した産生を生じ得る。あるいはまた、当該剤は、これら自体、サイトカインを含むことができる。非特異的な免疫療法剤は、一般的には、サイトカインまたは非サイトカインアジュバントとして分類される。
【0078】
多くのサイトカインが、免疫系を高めるように設計された一般的な非特異的な免疫療法として、または他の療法で提供されるアジュバントとして、癌の処置における用途が見出されている。本発明の1つの態様において、組合せ物は、1種または2種以上のサイトカインを含む。本発明の併用療法において用いるのに適するサイトカインには、インターフェロン、インターロイキンおよびコロニー刺激因子が含まれるが、これらには限定されない。
【0079】
アンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて用いるための、本発明が意図するインターフェロン(IFN)には、IFNの一般的なタイプ、IFN−アルファ(IFN−α)、IFN−ベータ(IFN−β)およびIFN−ガンマ(IFN−γ)が含まれる。IFNは、例えばこれらの成長を遅くし、一層正常に行動する細胞中へのこれらの発生を促進し、かつ/または抗原のこれらの産生を増大し、従って癌細胞を、免疫系が認識し、破壊するのを一層容易にすることにより、癌細胞に対して直接作用することができる。IFNはまた、例えば血管新生を遅くし、免疫系を高め、かつ/またはナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞およびマクロファージを刺激することにより、癌細胞に対して間接的に作用することができる。
【0080】
本発明の1つの態様において、組合せ物は、IFN−αを含む。組換えIFN−αは、Roferon (Roche Pharmaceuticals)およびIntron A (Schering Corporation)として商業的に入手できる。IFN−αを、単独で、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて用いることは、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)、カポジ肉腫、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、濾胞性非ホジキンリンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫を含む種々の癌の処置において、効力を示した。
【0081】
本発明がアンチセンスオリゴヌクレオチドとの組合せにおいて用いることを意図するインターロイキンには、IL−2(またはアルデスロイキン(aldesleukin))、IL−4、IL−11およびIL−12(またはオプレルベキン(oprelvekin))が含まれる。商業的に入手できる組換えインターロイキンの例には、Proleukin(登録商標)(IL-2; Chiron Corporation)およびNeumega(登録商標)(IL-12; Wyeth Pharmaceuticals)が含まれる。Zymogenetics, Inc. (Seattle, WA)は現在、IL−21の組換え形態を試験しており、これはまた、本発明の組合せにおいて用いることが意図される。単独での、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせてのインターロイキンは、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、卵巣癌(再発性卵巣癌を含む)、子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)、乳癌、直腸結腸癌、肺癌、脳腫瘍、前立腺癌、白血病およびリンパ腫を含む種々の癌の処置において、効力を示した。
【0082】
本発明の1つの態様において、組合せ物は、IL−2を含む。インターロイキンはまた、種々の癌の処置において、IFN−αと組み合わせて良好な活性を示した(Negrierら、Ann Oncol. 2002 13(9):1460-8; Touraniら、J Clin Oncol. 2003 21(21):3987-94)。従って、他の態様において、本発明は、1種または2種以上のインターロイキンおよびIFN−αを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む組合せ物を提供する。他の態様において、組合せ物は、IL−2およびIFN−αを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む。
【0083】
デニロイキンジフティトックス(denileukin diftitox)(またはOntak; Seragen, Inc)として知られており、ジフテリア毒素に結合したIL−2を含むインターロイキン−免疫毒素結合体は、FDAにより、皮膚T細胞リンパ腫の処置のために認可され、また本発明の組合せ物中に包含させることができる。
【0084】
本発明が組合せ物においてアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることを意図するコロニー刺激因子(CSF)には、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSFまたはフィルグラスチム)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSFまたはサルガモスチム(sargramostim))およびエリスロポエチン(エポエチンアルファ、ダルベポエチン(darbepoietin))が含まれる。1種または2種以上の成長因子での処置は、伝統的な化学療法を受けている患者において新たな血液細胞の発生を刺激するのを補助することができる。従って、CSFでの処置は、化学療法に関連する副作用を低減させるにあたり有用であり得、用いるべき化学療法剤の一層高い用量を可能にし得る。
【0085】
本発明の1つの態様は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のCSFを含む組合せ物を提供する。種々の組換えコロニー刺激因子は、商業的に入手でき、例えばノイポゲン(Neupogen)(登録商標)(G−CSF;Amgen)、ノイラスタ(Neulasta)(ペルフィルグラスチム;Amgen)、ロイキン(Leukine)(GM−CSF;Berlex)、プロクリット(エリスロポエチン;Ortho Biotech)、エポゲン(Epogen)(エリスロポエチン;Amgen)、アルネスプ(Arnesp)(エリスロポエチン)である。コロニー刺激因子は、黒色腫、直腸結腸癌(転移性直腸結腸癌を含む)、肺癌および白血病を含む癌の処置において効力を示した。本発明はさらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のCSFを含む組合せ物を、併用療法において、癌の処置のための化学療法剤の標準的な用量よりも高い用量と共に用いることを提供する。
【0086】
本発明の他の態様において、組合せ物は、1種または2種以上の非サイトカインアジュバントを含む。本発明の組合せにおいて用いるのに適する非サイトカインアジュバントには、レバミソール、水酸化ミョウバン(ミョウバン)、バシラスカルメットゲラン(BCG)、フロイント不完全アジュバント(IFA)、QS−21、DETOX、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびジニトロフェニル(DNP)が含まれるが、これらには限定されない。他の免疫および/または化学療法剤と組み合わせての非サイトカインアジュバントは、種々の癌に対する効力が例証されており、これには、例えば大腸癌および直腸結腸癌(レバミソール(Levamisole));黒色腫(BCGおよびQS−21);腎臓癌および膀胱癌(BCG)が含まれる。従って、本発明の他の態様は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、1種または2種以上の非サイトカインアジュバントおよびインターフェロンと組み合わせて含む組合せ物を提供する。他の態様において、組合せ物は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを、レバミソールおよびIFN−αと組み合わせて含む。
【0087】
特異的な、または非特異的な標的を有することに加えて、免疫療法剤は、能動的であり、即ち身体自体の免疫応答を刺激することができるか、またはこれらは、受動的であり、即ち身体の外部で発生した免疫系成分を含むことができる。両方のタイプの免疫療法剤は、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと共に、本発明の併用療法において用いるのに適する。1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、併用療法において、1種または2種以上の能動的免疫療法剤と共に用いる。
【0088】
受動的な特異的免疫療法は、典型的には、癌細胞の表面上に見出される特定の抗原に特異的な、または特定の細胞成長因子に特異的な1種または2種以上のモノクローナル抗体を用いることを含む。モノクローナル抗体を、例えば特異的なタイプの癌に対する対象の免疫応答を増大させるために、特定の細胞成長因子、例えば血管新生に関与するものを標的することにより、または剤、例えば化学療法剤、放射活性粒子もしくは毒素に結合もしくは共役した際に、癌細胞に対する他の抗癌剤の送達を増強することにより癌細胞の成長に干渉するために、多くの方法で癌の処置において用いることができる。
【0089】
1つの態様において、本発明は、1種または2種以上のモノクローナル抗体を、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む、癌の処置のための組合せ物を提供する。本発明の組合せ中に含むのに適する、現在癌免疫療法剤として用いられているモノクローナル抗体には、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、セツキシマブ(C−225、Erbitux(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、およびBL22が含まれるが、これらには限定されない。
【0090】
モノクローナル抗体を、リンパ腫(例えば非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL))、骨髄腫(例えば多発性骨髄腫)、白血病(例えばB細胞白血病または急性骨髄性白血病)、乳癌(進行性転移性乳癌を含む)、直腸結腸癌(進行性および/または転移性の直腸結腸癌を含む)、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、子宮頸癌、黒色腫および脳腫瘍を含む、広範囲の癌の処置において用いる。モノクローナル抗体を、単独で、または他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて、用いることができる。
【0091】
能動的な特異的免疫療法は、典型的には、癌ワクチンを用いることを含む。全体の癌細胞、癌細胞の一部または癌細胞から由来する1種もしくは2種以上の抗原を含む癌ワクチンが、開発されている。癌ワクチンは、単独で、または1種もしくは2種以上の免疫もしくは化学療法剤と組み合わせて、黒色腫、腎臓癌、卵巣癌、乳癌、直腸結腸癌、肺癌および白血病を含むいくつかのタイプの癌の処置において、調査されている。非特異的免疫療法剤は、癌ワクチンと組み合わせて、身体の免疫応答を増強させるために有用である。本発明の1つの態様は、癌ワクチンを、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて含む組合せ物を提供する。この組合せは、さらに、1種または2種以上の非特異的免疫療法剤を含むことができる。
【0092】
化学療法剤
前に示したように、本発明の組合せ物はさらに、1種または2種以上の化学療法剤を含むことができる。化学療法剤(1種または2種以上)を、当該分野において知られている広範囲の癌化学療法剤から選択することができる。既知の化学療法剤は、特定のタイプの癌の処置に特異的なもの並びにある範囲の癌に適用可能なもの、例えばドキソルビシン、カペシタビン、ミトキサントロン、イリノテカン(CPT−11)、シスプラチンおよびゲムシタビンを含む。エトポシドは、一般的に、白血病(急性リンパ球性白血病および急性骨髄性白血病を含む)、生殖細胞腫瘍、ホジキン病および種々の肉腫の処置において、適用可能である。シタラビン(Ara−C)はまた、急性骨髄性白血病、髄膜性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、および非ホジキンリンパ腫を含む種々の白血病の処置において適用可能である。両方のタイプの化学療法剤は、本発明の組合せにおいて用いるのに適する。
【0093】
特定の癌を処置するために用いることができる、組合せにおいて用いるのに適する例示的な化学療法剤を、表2に示す。当業者は、多くの他の化学療法剤が入手可能であり、以下のリストは、代表的であるに過ぎないことを認識する。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
前に示したように、化学療法剤の組合せを、用いることができる。標準的な癌化学療法剤を用いた併用療法は、当該分野において十分知られており、本発明の組合せの一部として包含させることができる。例示的な併用療法には、乳癌の処置のために、エピルビシンのパクリタキセルもしくはドセタキセルとの組合せ、またはドキソルビシンもしくはエピルビシンのシクロホスファミドとの組合せが含まれる。多重化学療法剤(polychemotherapeutic)レジメンはまた、有用であり、例えばドキソルビシン/シクロホスファミド/5−フルオロウラシルまたはシクロホスファミド/エピルビシン/5−フルオロウラシルからなってもよい。上記の組合せの多くは、種々の他の固形腫瘍の処置において有用である。
【0098】
エトポシドのシスプラチンまたはカルボプラチンのいずれかとの組合せを、小細胞肺癌の処置において用いる。胃癌または食道癌の処置において、ドキソルビシンまたはエピルビシンのシスプラチンおよび5−フルオロウラシルとの組合せは、有用である。直腸結腸癌について、5−フルオロウラシルに基づく薬剤との組み合わせでのCPT−11、または5−フルオロウラシルに基づく薬剤との組み合わせでのオキサリプラチンを、用いることができる。オキサリプラチンをまた、カペシタビンと組み合わせて用いることができる。
【0099】
他の例には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニソンの、非ホジキンリンパ腫の処置における組合せ;ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン(DTIC)のホジキン病の処置における組合せ並びにシスプラチンまたはカルボプラチンの、ゲムシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビンまたはエトポシドのいずれか1種またはこれらの組合せとの、非小細胞肺癌の処置における組合せが含まれる。
【0100】
種々の肉腫を、併用療法により処置する。例えば骨肉腫について、ドキソルビシンとシスプラチンとの組合せもしくはメトトレキセートのロイコボリンとの組合せを用い;進行した肉腫について、エトポシドを、イホスファミドと組み合わせて用いることができ;軟部肉腫について、ドキソルビシンもしくはダカルバジンを、単独で用いることができ、あるいは進行した肉腫について、ドキソルビシンを、イホスファミドもしくはダカルバジンと組み合わせて、またはエトポシドをイホスファミドと組み合わせて用いることができる。
【0101】
ユーイング肉腫/末梢性神経外胚葉性腫瘍(PNET)または横紋筋肉腫を、エトポシドおよびイホスファミド、またはビンクリスチン、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドの組合せを用いて、処置することができる。
【0102】
アルキル化剤であるシクロホスファミド、シスプラチンおよびメルファランはまた、しばしば種々の癌の処置において、他の化学療法剤との併用療法において用いられる。
【0103】
レチノイン酸およびこの誘導体は、数種の形態の癌、特に肺癌、乳癌、頭頸部癌、および血液癌に対する効力を有すると例証された。レチノイン酸誘導体であるVesanoid(登録商標)(トレチノイン;オールトランスレチノイン酸)は、FDAにより、急性前骨髄球性白血病(APL)を有する患者のために認可された。13−シスレチノイン酸またはオールトランスレチノイン酸は、IFN−αと組み合わせて、また腎細胞癌に対する効力を有すると示され、13−シスレチノイン酸は、IL−2と組み合わせて、再発性卵巣癌の処置における効力が示されている。従って、本発明は、13−シスレチノイン酸またはオールトランスレチノイン酸を、本発明の組合せ中に包含させることができることを意図する。
【0104】
本発明の組合せ物中のリボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと共に包含させることができる、免疫療法剤と化学療法剤との特定の組合せには、IFN−αおよびビンブラスチン、IFN−αおよび5−FU、IFN−αおよび13−シスレチノイン酸、IFN−αおよびオールトランスレチノイン酸、IL−2および5−FU、IL−2および13−シスレチノイン酸、IL−2とIFN−αおよび5−FUが含まれるが、これらには限定されない。
【0105】
本発明の組合せの効力
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の組合せを、標準的な手法を用いて、インビトロおよびインビボで試験することができる。例示的な方法を、以下および本明細書中に示す例中に記載する。
【0106】
1.インビトロ試験
腫瘍性細胞の成長または増殖を減衰させる、組合せの能力の最初の決定を、所要に応じてインビトロ手法を用いて行うことができる。
【0107】
例えば、組合せの細胞毒性を、好適な癌細胞系を用いて、インビトロでアッセイすることができる。一般的に、選択された試験細胞系の細胞を、適切な密度に成長させ、試験化合物(1種または2種以上)を加える。適切なインキュベーション時間(例えば約48〜72時間)の後に、細胞生存を評価する。細胞生存を決定する方法は、当該分野において十分知られており、これには、レザズリン還元試験(Fields & Lancaster (1993) Am. Biotechnol. Lab. 11:48-50; O'Brienら(2000) Eur. J. Biochem. 267:5421-5426および米国特許第5,501,959号を参照)、スルホローダミンアッセイ(Rubinsteinら(1990) J. Natl. Cancer Inst. 82:113-118)またはニュートラルレッド色素試験(Kitanoら(1991) Euro. J. Clin. Investg. 21:53-58; Westら(1992) J. Investigative Derm. 99:95-100)が含まれるが、これらには限定されない。細胞毒性を、処理した培養物中の細胞生存を1種または2種以上の対照培養物、例えば未処理の培養物、対照化合物(典型的には既知の治療剤)で前処理した培養物および/または組合せの成分で個別に処理した培養物中での細胞生存と比較することにより、決定する。
【0108】
あるいはまた、組合せの、腫瘍性細胞の増殖を阻害する能力を、関連する癌細胞系の細胞を好適な培地中で培養することにより、評価することができる。適切なインキュベーション時間の後に、細胞を、組合せで処理し、さらにある時間インキュベートすることができる。次に、細胞を、上記したように計数し、適切な対照と比較する。
【0109】
組合せをまた、腫瘍細胞の足場非依存性成長を阻害するこれらの能力を決定することにより、インビトロで試験することができる。足場非依存性成長は、当該分野において、腫瘍形成能の良好な指標であると知られている。一般的に、足場非依存性成長を、適切な癌細胞系からの細胞を柔軟な寒天上で平板培養し、適切なインキュベーション時間の後に形成したコロニーの数を決定することにより、評価する。次に、組合せで処理した細胞の成長を、適切な対照(上記した)で処理した細胞の成長と、および未処理の細胞の成長と比較することができる。
【0110】
組合せを試験するのに適する種々の癌細胞系が、当該分野において知られており、多くは、商業的に入手できる(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Manassas, VAから)。本発明の1つの態様において、組合せのインビトロ試験を、ヒト癌細胞系において行う。インビトロ試験のための好適な癌細胞系の例には、乳癌細胞系MDA−MB−231およびMCF−7、腎臓癌腫細胞系A−498、中皮細胞系MSTO−211H、NCI−H2052およびNCI−H28、卵巣癌細胞系OV90およびSK−OV−3、大腸癌細胞系CaCo、HCT116およびHT29、子宮頸癌細胞系HeLa、非小細胞肺癌腫細胞系A549およびH1299、膵臓癌細胞系MIA−PaCa−2およびAsPC−1、前立腺癌細胞系PC−3、膀胱癌細胞系T24、肝臓癌細胞系HepG2、脳腫瘍細胞系U−87 MG、黒色腫細胞系A2058、肺癌細胞系NCI−H460が含まれるが、これらには限定されない。好適な細胞系の他の例は、当該分野において知られている。
【0111】
所要に応じて、組合せの毒性をまた、最初に標準的な手法を用いてインビトロで評価することができる。例えば、ヒト一次線維芽細胞を、インビトロで、オリゴヌクレオチドで、市販の脂質担体、例えばリポフェクタミンの存在下で処理することができる。次に、細胞を、標準的な生死判別アッセイ、例えばトリパンブルー排除アッセイを用いて、これらの生存性について、処理に続いて種々の時点において試験する。細胞をまた、DNAを合成するこれらの能力について、例えばチミジン取り込みアッセイを用いて、および細胞周期動力学における変化について、例えば標準的な細胞選別アッセイを蛍光血球計算器(fluorocytometer)細胞選別機(FACS)と組み合わせて用いて、アッセイする。
【0112】
2.インビボ試験
腫瘍の成長または増殖を阻害する組合せのインビボでの能力を、適切な動物モデルにおいて、当該分野において知られている標準的な手法を用いて、決定することができる(例えば、Ennaら、Current Protocols in Pharmacology, J. Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照)。
【0113】
一般的に、抗腫瘍化合物をスクリーニングするための現在の動物モデルは、ヒトまたは哺乳類腫瘍を動物中に移植した異種移植モデルである。ヒト癌の異種移植モデルの例には、皮下注射により移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるヒト固形腫瘍異種移植;脂肪体注射により移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるヒト固形腫瘍同系移植;関連する組織中に直接移植され、腫瘍成長アッセイにおいて用いられる、ヒト固形腫瘍正所性異種移植;生存アッセイにおいて用いられる、マウスにおけるリンパ腫および白血病の実験モデル、およびマウスにおける転移の実験的モデルが含まれるが、これらには限定されない。
【0114】
例えば、組合せを、固形腫瘍について、0日目に所定量の腫瘍断片を両側性に皮下移植したマウスを用いて、インビボで試験することができる。腫瘍を有する動物を、種々の処置を施すおよび対照とする前に混合する。進行した腫瘍の処置の場合において、腫瘍を、所望の大きさに発育させ、不十分に発育した腫瘍を有する動物を、除外する。選択された動物を、無秩序に、処置を受けるかまたは対照として作用させる群に分配する。好適な群分けは、例えば、本発明の組合せを施与される群、アンチセンスのみを施与される群、抗癌剤(1種または2種以上)のみを施与される群および処置を施与されない群である。
【0115】
腫瘍を有しない動物もまた、腫瘍を有する動物と同一の処置を施して、毒性効果を腫瘍に対する特定の効果から分離することができるようにすることができる。処置は、一般的には、腫瘍のタイプに依存して、移植の3〜22日後に開始し、動物を、毎日観察する。本発明の組合せを、動物に、例えば大量瞬時注入により投与することができる。種々の動物群を、1週間に約3または4回、最大の体重損失が達成されるまで秤量し、その後、群を、一層低い頻度で、例えば1週間に少なくとも1回、試験の終了まで秤量する。
【0116】
腫瘍を、1週間に約2または3回、腫瘍が所定の大きさおよび/または重量に達するまで、または腫瘍が所定の大きさ/重量に達する前に動物が死亡した場合には、動物が死亡するまで、測定する。次に、動物を絶命させ、腫瘍の組織像、大きさおよび/または増殖を評価する。
白血病に対する組成物の効果の研究のために、動物に、特定の数の細胞を移植し、抗腫瘍活性を、対照に対する処置したマウスの生存期間の増大により、決定する。
【0117】
腫瘍転移に対する本発明の組合せの効果を研究するために、腫瘍細胞を、典型的には、エクスビボで組成物で処理し、次に好適な試験動物中に注射する。次に、注射の部位からの腫瘍細胞の拡散を、好適な期間にわたり、標準的な手法によりモニタリングする。
オリゴヌクレオチドのインビボでの毒性効果を、処置の間の動物体重に対するこれらの効果を測定することにより、並びに動物を絶命させた後に血液学的プロフィールおよび肝酵素分析を行うことにより、評価することができる。
【0118】
【表8】
【0119】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、単独で用いた際の成分の各々よりも有効である。改善された効力を、例えば相加効果以下として明示することができ、ここで組合せの効果は、各々の成分単独の効果よりも大きいが、成分の効果の合計よりも低く、またはこれは、相加効果であってもよく、ここで、組合せの効果は、個別に用いた際の成分の効果の合計に等しく、またはこれは、相加効果以上であってもよく、ここで組合せの効果は、単独で用いた各々の成分の効果の合計よりも大きい。相加効果以上をまた、相乗的と記載することができる。組合せの改善された効力を、当該分野において知られている多くの方法により決定することができる。
【0120】
例えば、このような改善された効力は、以下の1つまたは2つ以上をもたらし得る:(i)各々の成分単独の効果と比較した際の、組合せの、腫瘍性細胞の成長または増殖を阻害する能力の増大;(ii)ある効果をもたらすのに必要な成分の1種または2種以上の用量の減少(即ち、半有効量またはED50の減少);(iii)成分の1種または2種以上に関連する低下した毒性現象(即ち、半致死量またはLD50の増大)および(iv)各々の成分単独の治療係数/臨床的治療係数と比較した際の、組合せの改善された治療係数または臨床的治療係数。
【0121】
本明細書中で用いる用語「治療係数」は、LD50/ED50として定義され、ここで、「ED50」は、化合物に関連する最大の応答もしくは効果の50%をもたらす化合物の量、または試験集団の50%において所定の応答もしくは効果をもたらす量であり、「LD50」は、試験集団の50%において致死的効果を有する化合物の量である。従って、高い治療係数を有する化合物を、典型的には、低い治療係数を有する化合物よりも高い安全性で投与することができる。LD50は、前臨床試験において決定され、一方ED50を、前臨床または臨床試験において決定することができる。前臨床試験を、適切な動物モデル、例えば本明細書中に記載したものを用いて行う。治療係数をまた、治療効果を生じる用量および毒性効果を生じる用量(例えばそれぞれED90およびLD10)に基づいて、決定することができる。
【0122】
「臨床的治療係数」は、臨床的設定における患者における相対的安全性または相対的有効性のいくつかの係数を、明らかに、かつ独特に定義することができないという点で、治療係数とは異なる。従って、これが、食品医薬品局により規定された以下の基準の1つ:組合せにおける成分の各々と比較して、推奨された投与量範囲内での効力の許容されるレベルにおいて、増大した安全性(もしくは患者受容性)を例証する、または推奨された投与量範囲内での安全性(もしくは患者受容性)の同等のレベルにおいて、増大した効力を例証する、を満たす際に、組合せを、改善された臨床的治療係数を例証するものと考慮する。あるいはまた、臨床的研究の間に、毒性効果を生じるのに必要な薬剤の用量または濃度(例えば溶液、血液、血清、血漿中の)を、集団における所望の治療的効果を達成するのに必要な濃度と比較して、臨床的治療係数を評価することができる。臨床的治療係数を評価するための臨床的研究の方法は、当該分野における技術を有する作業者に十分知られている。
【0123】
本発明の他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、治療的相乗作用を示し、ここで、「治療的相乗作用」は、組合せが、当該成分の最適な用量において用いる際の組合せの成分の1種よりも治療的に優れている際に、例証される[T. H. Corbettら(1982) Cancer Treatment Reports, 66:1187において定義されているように]。組合せの効力を例証するために、組合せの最大耐量を、当該研究における別個の成分の各々の最大耐量と比較することが、必要であり得る。この効力を、当該分野における技術を有する作業者に一般的に知られている手法および等式を用いて、定量することができる[例えば、T. H. Corbettら(1977) Cancer, 40, 2660.2680; F. M. Schabelら(1979) Cancer Drug Development, Part B, Methods in Cancer Research, 17:3-51, New York, Academic Press Inc.を参照]。
【0124】
本発明の組合せの使用
本発明の組合せを、種々の癌の処置において用いることができる。本発明の1つの態様において、組合せは、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは免疫療法剤(1種もしくは2種以上)単独のいずれかよりも、癌の処置において有効である。本発明は、癌の処置は、組合せを用いて、癌を処置、安定化または防止することを包含することを意図する。この状況において、組合せでの処置の結果、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の大きさの増大の遅延化もしくは防止、腫瘍の消失もしくは除去とこの再出現との間の、無病生存期間の増大、初期の、もしくはその後の腫瘍の発生(例えば転移)の防止、増殖抑制期間の増大、腫瘍に関連する1種もしくは2種以上の有害な症状の低減、腫瘍退行の遅延化、または癌を有する対象の合計の生存期間の増大がもたらされ得る。
【0125】
本発明の1つの態様は、増殖抑制期間(TTP)の増大、癌に関連する1種もしくは2種以上の有害な症状の低減、腫瘍退行の遅延化、または患者の合計の生存期間の増大をもたらす、リボヌクレオチドレダクターゼに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む組合せでの、癌を有する患者の処置を提供する。
【0126】
本発明により処置するかまたは安定化することができる癌の例には、白血病およびリンパ腫を含む血液学的新生物;腺癌を含む癌腫;黒色腫および肉腫が含まれるが、これらには限定されない。癌腫、腺癌および肉腫はまた、しばしば「固形腫瘍」と呼ばれ、一般的に起こる固形腫瘍の例には、脳、乳房、頸部、大腸、頭頸部、腎臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、胃および子宮の癌、非小細胞肺癌および直腸結腸癌が含まれるが、これらには限定されない。リンパ腫の種々の形態はまた、固形腫瘍の形成をもたらし得、従って、ある状況において、また固形腫瘍であると考慮することができる。
【0127】
用語「白血病」は、広く血液形成器官の進行性の悪性疾患を表す。白血病は、典型的には、白血球並びに血液および骨髄中のこれらの前駆体のゆがんだ増殖および発生により特徴づけられるが、また他の血液細胞の悪性疾患、例えば未成熟の赤血球を冒す赤白血病を表し得る。白血病は、一般的に、(1)疾患の持続性および特徴−急性または慢性;(2)伴う細胞のタイプ−骨髄性(myeloid)(骨髄性(myelogenous))、リンパ球性(リンパ向性)または単球性、および(3)血液中の異常な細胞の数の増大または無増大−白血病または無白血病性(下白血病(subleukaemic))に基づいて、臨床的に分類される。
【0128】
白血病には、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、無白血病性白血病、アロイコシセミック(aleukocythemic)白血病、好塩基球性白血病、芽球白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス(Gross)の白血病、有毛細胞白血病、ヘモブラスティック(hemoblastic)白血病、血球芽細胞(hemocytoblastic)白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ向性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、微小骨髄芽球性(micromyeloblastic)白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ(Naegeli)白血病、血漿細胞白血病、形質細胞白血病、前骨髄球性白血病、Rieder細胞白血病、シリングの白血病、幹細胞白血病、下白血病性白血病、および未分化細胞白血病が含まれる。
【0129】
用語「リンパ腫」は、一般的に、リンパ性系の悪性新生物を表し、これには、リンパ性系の癌が含まれる。リンパ腫の2種の主なタイプは、ホジキン病(HDまたはHL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)である。異常な細胞は、リンパ節を拡大し、身体中に固形腫瘍を形成し、または一層まれには、白血病のように血液中を循環する集まりの外見を呈する。
【0130】
ホジキン病リンパ腫には、結節状リンパ球優性ホジキンリンパ腫;古典的なホジキンリンパ腫;結節状硬化症ホジキンリンパ腫;リンパ球が富化された古典的なホジキンリンパ腫;混合細胞性ホジキンリンパ腫;リンパ球欠乏ホジキンリンパ腫が含まれる。非ホジキンリンパ腫には、小リンパ球性NHL、濾胞性NHL;外套細胞NHL;粘膜関連リンパ様組織(MALT)NHL;びまん性大細胞B細胞NHL;縦隔大B細胞NHL;前駆体Tリンパ芽球性NHL;皮膚性T細胞NHL;T細胞およびナチュラルキラー細胞NHL;成熟(末梢)T細胞NHL;バーキットリンパ腫;菌状息肉腫;Sezary症候群;前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫;B細胞小リンパ球性リンパ腫;リンパ形質細胞性リンパ腫;脾臓周辺帯B細胞リンパ腫;結節性周辺帯リンパ腫;血漿細胞骨髄腫/プラズマ細胞腫;血管内大B細胞NHL;一次浸出液リンパ腫;芽細胞性ナチュラルキラー細胞リンパ腫;腸疾患型T細胞リンパ腫;肝脾ガンマ−デルタT細胞リンパ腫;皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫;血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫;および一次全身性未分化大T/ヌル細胞リンパ腫が含まれる。
【0131】
用語「肉腫」は、一般的には、結合組織、例えば筋肉、骨、軟骨または脂肪において発生し、胚結合組織のような実体から構成されており、一般的に、原線維または均一物質中に包埋された、厳密に包装された細胞で構成されている腫瘍を表す。肉腫には、軟部肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、メラノ肉腫(melanosarcoma)、粘液肉腫、骨肉腫、Abemethyの肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、肺胞性柔軟部分肉腫、エナメル芽細胞肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胚性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキンの肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽細胞肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽細胞肉腫、Jensenの肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉細胞腫肉腫、傍骨性骨肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、セロシスティック(serocystic)肉腫、滑膜肉腫、および末梢血管拡張肉腫が含まれる。
【0132】
用語「黒色腫」は、皮膚および他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するものと解釈される。黒色腫には、例えば、末端性黒子性黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、Cloudmanの黒色腫、S91黒色腫、Harding-Passey黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節状黒色腫、サブアンガル(subungal)黒色腫、および表面拡散性黒色腫が含まれる。
【0133】
用語「癌腫」は、周囲の組織に浸潤し、転移を発生する傾向がある上皮細胞で構成された、悪性の新たな成長を表す。例示的な癌腫には、例えば、腺房(acinar)癌腫、腺房(acinous)癌腫、腺様嚢胞(adenocystic)癌腫、アデノイド嚢胞性癌腫、腺腫様癌腫(carcinoma adenomatosum)、副腎皮質の癌腫、肺胞性癌腫、肺胞細胞癌腫、基底細胞腫、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、気管支肺胞癌腫、細気管支癌腫、気管支原性癌腫、脳状癌腫、胆管細胞性癌腫、絨毛癌腫、直腸結腸癌、膠質癌腫、面皰癌、体癌腫、多孔癌腫、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌腫、円柱状細胞癌腫、乳管癌、カルシノーマデュルム(carcinoma durum)、胚性癌腫、脳様癌腫、類表皮癌、上皮腺腫様癌腫(carcinoma epitheliale adenoides)、外方増殖性癌腫、カルシノーマエクスウルセレ(carcinoma ex ulcere)、線維性癌腫(carcinoma fibrosum)、ゼラチン状癌腫、ゼラチン質癌腫、巨細胞癌腫、巨大細胞癌腫(carcinoma gigantocellulare)、腺性癌腫、顆粒膜細胞癌腫、ヘアマトリックス(hair-matrix)癌腫、血性(haematoid)癌腫、肝細胞癌、好酸性細胞癌腫、ヒアリン癌腫、ハイパーメフロイド(hypemephroid)癌腫、乳児性胚性癌腫、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌腫、Krompecherの癌腫、Kulchitzky細胞癌腫、大細胞癌、レンズ状癌腫、水晶体癌腫(carcinoma lenticulare)、脂肪性(lipomatous)癌腫、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色性癌腫、カルシノーマモレ(carcinoma molle)、粘液性癌腫、カルシノーマムチパルム(carcinoma muciparum)、カルシノーマムコセルレア(carcinoma mucocellulare)、粘表皮癌、カルシノーマムコスム(carcinoma mucosum)、粘膜癌腫、粘液腫様癌腫(carcinoma myxomatodes)、上咽頭癌、燕麦細胞癌、非小細胞癌腫、骨化性癌腫(carcinoma ossificans)、類骨癌腫、乳頭癌、門脈周囲癌腫、前浸潤癌、有棘細胞癌腫、糊状癌腫、腎臓の腎細胞癌、補充細胞癌腫、肉腫様癌腫(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダー癌腫(schneiderian carcinoma)、スキルス癌、陰嚢癌腫(carcinoma scroti)、印環細胞癌腫、単純癌、小細胞癌腫、ソラノイド(solanoid)癌腫、球状細胞癌腫、紡錘細胞癌腫、海綿癌腫(carcinoma spongiosum)、扁平上皮癌、扁平細胞癌腫、線癌腫、毛細血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectaticum)、末梢血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌、結節性癌腫(carcinoma tuberosum)、塊茎状癌腫、疣状癌、および絨毛性癌腫(carcinoma villosum)が含まれる。
【0134】
用語「癌腫」はまた、腺癌を包含する。腺癌は、腺性の(分泌性の)特性を有する器官を作成する細胞において発生するか、または中空の内臓、例えば消化管もしくは気管支上皮を満たす細胞において発生する癌腫である。例には、乳房、肺、膵臓および前立腺の腺癌が含まれるが、これらには限定されない。
【0135】
本発明により包含される追加の癌には、例えば、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、原発性血小板増多症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、悪性膵臓膵島細胞腺腫、悪性カルチノイド膀胱癌、前癌性皮膚病変、グリオーマ、精巣癌、甲状腺癌、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質性の癌、中皮腫および髄芽腫が含まれる。
【0136】
本明細書中で例証したように、リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リンパ腫、白血病および固形腫瘍を含む広範囲の癌に対して有効であると示され、これらのすべてはまた、免疫療法剤での処置から利益を享受し得る。従って、本発明の1つの態様は、リンパ腫、白血病または固形腫瘍の処置における組合せの使用を提供する。他の態様において、本発明は、バーキットリンパ腫、赤白血病、急性骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、または大腸癌、直腸結腸癌、腎臓癌、前立腺癌、黒色腫、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頸癌および肺癌の群から選択された固形癌の処置における組合せの使用を提供する。
【0137】
他の態様において、本発明は、固形腫瘍、例えば黒色腫、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、直腸結腸癌、肺癌、脳腫瘍並びにこの再発性の、および転移性の様式;カポジ肉腫;多発性骨髄腫;リンパ腫、例えば濾胞性非ホジキンリンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫;並びに白血病、例えば有毛細胞白血病および慢性骨髄性白血病(CML)を含む、免疫療法に応答すると示された癌の処置における組合せの使用を提供する。
【0138】
併用療法
本発明の組合せを、対象に、意図する目的を達成するのに有効な量で投与する。投与するべき正確な投与量を、医師により、処置を必要とする患者に関する要因の観点から、容易に決定することができる。投与量および投与を調整して、組合せの各々の成分の十分なレベルを提供し、かつ/または所望の効果を維持する。適切な投与量を決定する際に考慮することができる要因には、疾患状態の重篤度、対象の一般的な健康、年齢、体重、および対象の性別、食物、投与の時間および頻度、組合せの特定の成分、反応感受性、並びに療法に対する耐容性/応答が含まれる。
【0139】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、典型的には、非経口的に、例えば静脈内注入により投与する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する他の方法は、当該分野において知られている。標準的な免疫療法剤を投与する方法もまた、当該分野において知られており、これには、皮下注射、および静脈内、筋肉内または胸骨内(intrasternal)注射または注入手法が含まれる。
【0140】
一般的に、疾患の重篤度の決定には、ある疾患特徴、例えば癌が前転移性(pre-metastatic)であるか転移性であるか、癌の病期および/または悪性度などの同定が必要である。
【0141】
病期分類は、癌が対象においてどの程度に進行しているかを記載するために用いられるプロセスである。病期分類は、予後の決定、処置の計画およびこのような処置の結果の評価において、重要であり得る。種々の癌の病期分類系を、種々のタイプの癌のために用いることが必要であり得る一方、ほとんどの病期分類系は、一般的には、癌がどの程度遠くまで解剖学的に拡散したかを記載することを含み、同一の病期分類群における同様の予後および処置を対象に施すことを試行する。
【0142】
ほとんどの固形腫瘍、数種の白血病およびリンパ腫のために用いられる一般的な病期分類系の例は、全病期分類(Overall Stage Grouping)系およびTMN系である。全病期分類系において、ローマ数字I〜IVを用いて、癌の4つの病期を示す。一般的に、癌が、原発性の病変の領域において、いかなるリンパ節への拡散をも有せずに検出可能であるに過ぎない場合には、これを、病期Iと呼ぶ。病期IIおよびIIIの癌は、一般的に、局所的に進行しており、かつ/または局所的なリンパ節に拡散している。例えば、癌が、局所的に進行しており、かつ最も近いリンパ節にのみ拡散している場合には、これを、病期IIと呼ぶ。病期IIIにおいて、癌は、局所的に進行しており、一般的に原発性の病変の部位に近接しているリンパ節に拡散している。
【0143】
原発性の腫瘍から身体の遠位の部分、例えば肝臓、骨、脳または他の部位に転移した癌を、病期IV、即ち最も進行した病期と呼ぶ。従って、病期Iの癌は、一般的に治癒可能な小さい限局性癌であり、一方病期IVの癌は、通常手術不能であるか、または転移癌を表す。他の病期分類系と同様に、所定の病期についての予後および処置は、しばしば癌のタイプに依存し、例えば病期IIの非小細胞肺癌は、病期IIの子宮頸癌とは異なる予後および処置を有する。数種の癌について、4つの予後群への分類は、不十分であり、全体的な病期分類は、さらに、従属群に、例えばIIIaおよびIIIbなどの分類を用いて分けられる。対照的に、数種の癌は、4つよりも少ない病期の分類を有し得る。さらに、すべての視覚可能な腫瘍が全滅した後に再発する癌を、再発性疾患と呼び、局所的な再発は、原発腫瘍の位置において発生し、遠位の再発は、遠隔転移を表す。この病期分類系の下で、病期IVを、遠位の再発と同義的に用いることができる。
【0144】
TMN系において、腫瘍のタイプを、Tにより示し;所属リンパ節関与を、Nにより示し;遠隔転移を、Mにより示す。T、NおよびMのカテゴリーの各々を、別個に番号で分類して、全体的な病期を決定する。Tカテゴリーは、原発腫瘍の程度を分類し、T0からT4までの番号が付与され、例えばT0は、局所的な組織に侵入していない(例えばその場での)原発腫瘍を表し、一方T4は、他の器官に侵入している場合があり、恐らく手術不能である、大きい原発腫瘍を表す。Nカテゴリーは、癌が付近のリンパ節に転移しているか否かを分類し、N0からN4までの番号が付与され、例えばN0は、リンパ節関与がないことを意味し、一方N4は、広範囲な関与を示す。いずれのリンパ節が所属であるかの定義は、癌のタイプに依存し得る。Mカテゴリーは、遠隔転移を分類し、M0またはM1の番号が付与され、例えばM0は、遠隔転移がないことを意味し、M1は、遠隔転移を示す。他の病期分類系と同様に、TおよびNについての正確な定義は、各々の異なる種類の癌について異なり得る。
【0145】
上記したように、病期分類系に対する変化は、癌のタイプに依存し得る。例えば、ほとんどの白血病は、これらが、他の固形原発腫瘍と同様に解剖学的に局所化されていないため、病期分類系を有しないが、白血病の少数の形態は、病期分類系を有して、疾患の進行の程度を記載する。少数の白血病を、IからIVまでの病期に定義することができるが、これらの病期は、例えば、種々の要因、例えば血液計数、骨髄関与の程度または症状の存在もしくは不存在に依存する。さらに、あるタイプの癌、例えば前立腺癌または大腸癌は、異なる命名法を有する病期分類系、例えば大腸癌についてDuke病期分類系を用いることができる。個別の癌についての病期分類系を、新たな情報を用いて改訂することができ、その後得られた病期は、特定の癌についての予後および処置を変化し得る。
【0146】
癌の「悪性度」を用いて、腫瘍が、この同一のタイプの正常な組織にどの程度近く類似しているかを記載する。腫瘍の顕微鏡的外見に基づいて、病理学者は、腫瘍の悪性度を、細胞形態、細胞構成および分化の他のマーカーなどのパラメーターに基づいて同定する。一般的な規則として、腫瘍の悪性度は、この成長の速度または攻撃性に相当し、腫瘍は、典型的には、最も攻撃性が低い(悪性度I)から最も攻撃性が高い(悪性度IV)まで分類される。従って、悪性度が高くなるに従って、癌は、一層攻撃性となり、一層迅速に成長する。腫瘍の悪性度についての情報は、処置を計画し、予後を予測するにあたり有用である。
【0147】
American Joint Commission on Cancerは、腫瘍を悪性度で分類するための以下のガイドラインを推奨している:1)GX悪性度を評価することはできない;2)G1は良好に分化しており;G2は中程度に良好に分化している;3)G3は分化が乏しい;4)G4は分化していない。悪性度分類が、病理学者により用いられてほとんどの癌を表現するが、これは、他のものよりも、あるタイプの癌についての処置計画において重要な役割を奏する。例は、前立腺癌に特異的なGleason系であり、これは、悪性度番号を用いて、分化の程度を記載する(低いスコアは、良好に分化した細胞を示し、高いスコアは、乏しく分化した細胞を記載する)。悪性度はまた、いくつかのタイプの脳腫瘍および軟部肉腫において重要である。
【0148】
本発明において、組合せを用いて、癌発育および進行の種々の病期および悪性度を処置することができる。従って、本発明は、組合せを、小さく、遅く成長し、局所的であり、かつ/または非攻撃性であり得る早期の異常増殖を含む早期の癌の、例えば疾患を治癒するかまたは癌の退行を生じる意図の下の処置において、並びに中間期の処置において、並びに進行しており、かつ/または転移性であり、かつ/または攻撃的な異常増殖を含む、後期の癌の処置において、例えば疾患の進行を遅くするために、転移を低減させるために、または患者の生存を増大させるために、用いることを意図する。同様に、組合せを、低悪性度の癌、中悪性度の癌およびまたは高悪性度の癌の処置において用いることができる。
【0149】
本発明はまた、組合せを、無痛性の癌、局所的に再発性の、遠位に再発性の、および/または難治性の癌(即ち、処置に対して応答していない癌)を含む再発性の癌、転移癌、局所進行癌および攻撃性の癌の処置において用いることができることを意図する。
【0150】
当業者は、これらのカテゴリーの多くは重複し得、例えば攻撃性の癌は、典型的にはまた転移性であることを、理解する。本明細書中で用いる「攻撃性の癌」は、迅速に成長する癌を表す。当業者は、数種の癌、例えば乳癌または前立腺癌について、用語「攻撃性の癌」は、所定の癌についての再発時間の範囲の早期のほぼ3分の2以内に再発した、進行癌を表し、一方、他のタイプの癌、例えば小細胞肺癌腫(SCLC)について、ほぼすべての症例は、攻撃性であると考慮される迅速に成長する癌を表すことを、理解する。従って、この用語は、ある癌のタイプの小区分を包含するか、またはこれは、他の癌のタイプをすべて包含し得る。
【0151】
リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、薬剤抵抗性腫瘍細胞に対して有効であると例証された。従って、組合せをまた、多薬剤抵抗性腫瘍を含む薬剤抵抗性癌を処置するために用いることができる。当該分野において知られているように、化学療法に対する癌細胞の抵抗性は、癌の対応における中心的な問題の1つである。
【0152】
ある癌、例えば前立腺癌および乳癌を、ホルモン療法により、即ち例えばある癌の成長を、身体の天然のホルモンを遮断することにより遅延化するかまたは停止するホルモンまたは抗ホルモン薬剤を含むホルモン剤で、処置することができる。このような癌は、ホルモン療法に対する抵抗性を発生し得るか、またはこれに対して本質的に抵抗性であり得る。本発明はさらに、組合せを、このような「ホルモン抵抗性」または「ホルモン難治性」癌の処置において用いることを意図する。
【0153】
本発明の組合せを、単独で、または1種もしくは2種以上の免疫療法剤と組み合わせて、一次療法またはアジュバント療法の一部として用いることができることが、意図される。「一次療法(primary therapy)」または「一次療法(first-line therapy)」は、対象における癌の初期の診断による処置を表す。例示的な一次療法は、手術、広範囲の化学療法、免疫療法および放射線療法を含むことができる。一次療法が、全身的な化学療法または免疫療法ではない際には、その後の化学療法または免疫療法を、「一次全身療法」と考慮することができる。本発明の1つの態様において、組合せを、一次全身療法のために用いる。
【0154】
「アジュバント療法」は、一次療法に続き、再発の危険にある対象に投与される療法を表す。アジュバント全身療法は、典型的には、一次療法の直後に開始して、再発を遅延させ、生存を延長させ、または対象を治癒させる。難治性癌の処置を、「二次療法」と呼ぶことができ、これは、一次療法に加えて、本発明の意図された使用である。
【0155】
本発明の1つの態様において、組合せを、早期の癌の処置において用いる。他の態様において、組合せを、早期の癌のための一次全身療法として用いる。
【0156】
代替的な態様において、組合せを、後期のおよび/または進行および/または転移癌の処置において、用いる。他の態様において、組合せを、悪性度IIIまたは悪性度IVの腫瘍の処置において、用いる。さらなる態様において、組合せを、後期のおよび/または進行および/または転移癌の処置のための一次全身療法として投与する。
【0157】
本発明の特定の態様において、後期のおよび/または進行および/または転移癌は、固形腫瘍である。さらなる態様において、固形腫瘍は、黒色腫、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、直腸結腸癌、肺癌、または脳腫瘍である。
【0158】
医薬組成物
アンチセンスオリゴヌクレオチド(1種または2種以上)を、医薬組成物として、適切な薬学的に生理学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤またはビヒクルと共に投与することができる。医薬組成物をまた、患者に対する併用の投与のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含むように、処方することができる。
【0159】
本発明の医薬組成物を、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入もしくは噴霧により、または直腸内に、慣用の無毒性の薬学的に許容し得る担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与単位処方物において、投与することができる。本明細書中で用いる非経口の用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入手法を含む。
【0160】
医薬組成物は、経口使用に適する形態、例えば錠剤、トローチ剤、薬用キャンデー、水性もしくは油性懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤であってもよい。経口使用が意図される組成物を、医薬組成物の製造のために当該分野に知られている方法により調製することができ、甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤の群から選択された1種または2種以上の剤を含んで、薬学的に的確であり、口当たりが良好である製剤を提供することができる。錠剤は、活性成分を、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム、並びに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクを含む、好適な無毒の薬学的に許容し得る賦形剤との混合物において含む。錠剤は、コーティングされていなくてよいか、またはこれらを、既知の手法によりコーティングして、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、かつこれにより持続された作用を一層長い期間にわたり提供することができる。例えば、時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを、用いることができる。
【0161】
経口使用のための医薬組成物をまた、活性成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合する硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合する軟質ゼラチンカプセルとして提示することができる。
【0162】
水性懸濁液は、活性化合物を、例えば懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、例えばヘプタ−デカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドの、脂肪酸類およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドの、脂肪酸類および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートを含む好適な賦形剤との混合物において、含む。水性懸濁液はまた、1種もしくは2種以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ−安息香酸エチルもしくはp−ヒドロキシ−安息香酸n−プロピル、1種もしくは2種以上の着色剤、1種もしくは2種以上の風味剤または1種もしくは2種以上の甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリンを含むことができる。
【0163】
油状懸濁液を、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油中に、または鉱油、例えば液体パラフィン中に懸濁させることにより、処方することができる。油状懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。甘味剤、例えば上記に述べたもの、および/または風味剤を加えて、口当たりの良好な経口製剤を提供することができる。これらの組成物を、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を加えることにより、保存することができる。
【0164】
水を加えることにより水性懸濁液を調製するのに適する分散可能な粉末および顆粒は、活性化合物を、分散または湿潤剤、懸濁剤および1種または2種以上の保存剤との混合物において提供する。好適な分散または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上記で述べたものにより例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤もまた、存在することができる。
【0165】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型のエマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば液体パラフィンであってもよく、あるいはこれは、これらの油の混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴムもしくはトラガカントゴム;天然に存在するホスファチド類、例えば大豆、レシチン;または脂肪酸およびヘキシトール、無水物から誘導されたエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエートおよび上記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルジョンはまた、甘味剤および風味剤を含むことができる。
【0166】
シロップおよびエリキシル剤を、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に処方することができる。このような処方物はまた、粘滑薬、保存剤および/または風味剤および着色剤を含むことができる。
【0167】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液を、既知の技術により、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤、例えば上記で述べたものを用いて処方することができる。無菌の注射可能な製剤はまた、無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールに溶解した溶液であってもよい。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液が含まれるが、これらには限定されない。他の例は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いられている無菌の固定油、および例えば合成モノまたはジグリセリド類を含む種々の無刺激性の固定油である。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射可能剤の調製において用途が見出されている。
【0168】
本発明の1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、注射または注入のために処方する。
【0169】
他の医薬組成物および医薬組成物を調製する方法は、当該分野において知られており、例えば“Remington: The Science and Practice of Pharmacy,” Gennaro, A., Lippincott, Williams & Wilkins, Philidelphia, PA (2000)(以前は“Remingtons Pharmaceutical Sciences”)中に記載されている。
【0170】
癌患者における臨床試験
当業者は、インビトロでの、および動物モデルにおける、本発明の組合せの例証された有効性に続いて、これらを、臨床試験において試験して、癌の処置におけるこれらの効力をさらに評価し、治療的使用のための規制認可を得るべきであることを認識する。当該分野において知られているように、臨床試験は、試験のフェーズにより進行し、これを、フェーズI、II、IIIおよびIVとして識別する。フェーズI/IIの臨床試験の代表例を、本明細書中の例中に提供する。
【0171】
最初に、組合せを、フェーズIの試験において評価する。典型的には、フェーズIの試験を用いて、投与の最良の方式(例えばピルによるかまたは注射による)、投与の頻度、および化合物についての毒性を決定する。フェーズIの研究は、しばしば実験室試験、例えば血液試験および組織診を含んで、患者の身体中での化合物の効果を評価する。フェーズIの試験のために、癌患者の小さいグループを、特定の用量のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤で処置する。試験中、用量を、典型的には、グループ毎に増大させて、化合物に関連する最大耐量(MTD)および用量規定毒性(DLT)を決定する。このプロセスにより、その後のフェーズIIの試験において用いるための適切な用量が決定される。
【0172】
フェーズIIの試験を行って、組合せの有効性および安全性をさらに評価することができる。フェーズIIの試験において、組合せを、1種の特定のタイプの癌を有するかまたは関連する癌を有する患者のグループに、フェーズIの試験において有効であると見出された投与量を用いて投与する。
【0173】
フェーズIIIの試験は、いかにして化合物を標準的な、または最も広範囲に許容されている処置と比較するかを決定することに集中する。フェーズIIIの試験において、患者を、2つまたは3つ以上の「治療群」の1つに無秩序に割り当てる。2つの治療群での試験において、例えば一方の治療群に、標準的な処置を施与し(対照群)、他方の治療群に、本発明の組合せでの処置を施与する(試験群)。
【0174】
フェーズIVの試験を用いて、化合物の長期間の安全性および有効性をさらに評価する。フェーズIVの試験は、フェーズI、IIおよびIIIの試験よりも一般的ではなく、組合せが標準的な使用のために認可された後に行う。
【0175】
臨床試験のための患者の適格性
参加者の適格性の基準は、一般的(例えば年齢、性別、癌のタイプ)から特定(例えば前の処置のタイプおよび数、腫瘍の特性、血球計数、器官機能)までの範囲にわたり得る。適格性の基準はまた、試験フェーズに伴って変化し得る。例えば、フェーズIおよびIIの試験において、基準は、しばしば、異常な器官機能または他の要因のために検査処置からの危険にあり得る患者を除外する。フェーズIIおよびIIIの試験において、追加の基準は、しばしば疾患のタイプおよび病期、並びに前の処置の数およびタイプを考慮することを含む。
【0176】
フェーズIの癌試験は、通常、他の処置の選択肢が有効ではなかった15〜30人の参加者を含む。フェーズIIの試験は、典型的には、化学療法、手術または放射線処置をすでに受けているが、処置が有効ではなかった100人までの参加者を含む。フェーズIIの試験における参加は、しばしば受けた前の処置に基づいて制限される。本発明の組合せの使用を一次療法として調査する試験のために、例えば、参加のために選択された患者は、前の全身療法を何も受けていてはならない。フェーズIIIの試験は、通常数百人ないし数千人の参加者を含む。この大きい数の参加者は、本発明の組合せと標準的な処置との間で有効性の真実の差異があるか否かを決定するために、必要である。フェーズIIIは、新たに癌と診断された患者から長期間の疾患を有する患者までにわたる患者を含んで、疾患の連続体を対象とすることができる。
【0177】
当業者は、研究集団を、処置が一層狭く規定された集団に対して同様に有効であり得るか否かを決定するには過度に多様にせずに、臨床試験を、可能な限り包括的であるように設計しなければならないことを理解する。試験に含まれる集団が一層多様になるに従って、結果は、特にフェーズIIIの試験において、一般的な集団に一層適用可能になり得る。臨床試験の各々のフェーズにおける適切な参加者の選択は、当該分野における作業者の通常の技術の範囲内であると考えられる。
【0178】
処置前の患者の評価
研究の開始の前に、当該分野において知られているいくつかの基準を用いて、最初に患者を分類することができる。患者を、最初に、例えば米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)一般状態(PS)スケールを用いて評価することができる。ECOG PSは、患者における機能的障害により測定されている、患者の疾患の進行の評価のために広範囲に許容されている標準であり、ECOG PS 0は、機能的障害がないことを示し、ECOG PS 1および2は、患者が、次第に大きい機能的障害を有するが、尚歩行可能であることを示し、ECOG PS 3および4は、次第の不具および運動性の欠如を示す。
【0179】
患者の全体的な生活の質を、例えば、McGill Quality of Life Questionnaire (MQOL)(Cohenら(1995) Palliative Medicine 9: 207-219)を用いて評価することができる。MQOLは、物理的症状;物理的、心理学的および実存的健康;支持;および全体的な生活の質を測定する。悪心、気分、食欲、不眠、運動性および疲労などの症状を評価するために、McCorkleおよびYoung((1978) Cancer Nursing 1: 373-378)により開発されたSymptom Distress Scale (SDS)を、用いることができる。
【0180】
患者をまた、当該患者の疾患のタイプおよび/または病期により、および/または腫瘍の大きさにより、分類することができる。
【0181】
本発明の組合せの臨床試験における投与
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を、典型的には、試験参加者に非経口的に投与する。1つの態様において、組合せを、静脈内注入により投与する。薬剤を静脈内注入により投与する方法は、当該分野において知られている。通常、静脈内注入は、ある期間にわたり、例えば60分にわたり行われる。
【0182】
患者転帰のモニタリング
臨床試験の評価項目は、評価の下の処置の有効性を示す測定可能な転帰である。評価項目は、試験の開始の前に確立され、臨床試験のタイプおよびフェーズに依存して変化する。評価項目の例には、例えば、腫瘍応答率−腫瘍が、特定の量により、大きさが減少した、試験参加者の比率、通常百分率として記載される;無病生存−参加者が、癌を発生または再発せずに生存する時間の量、通常月で測定される;全体的な生存−参加者が生きる時間の量、典型的に臨床試験の開始から死亡の時点まで測定される、が含まれる。進行および/または転移癌について、疾患安定化−疾患が安定化した、例えば腫瘍(1または2以上)が、成長および/または転移(「進行」)を終了した試験参加者の比率を、評価項目として用いることができる。他の評価項目には、毒性および生活の質が含まれる。
【0183】
腫瘍応答率は、フェーズIIの試験における典型的な評価項目である。しかし、処置が、参加者の腫瘍の大きさを減少させ、無病生存の期間を延長した場合でさえも、これは、全体的な生存を延長し得ない。このような場合において、副作用および全体的な生存を延長することができないことは、一層長い無病生存の利点を上回り得る。あるいはまた、腫瘍を有しない間隔の間の、参加者の改善された生活の質は、他の要因を上回り得る。従って、腫瘍応答率が、しばしば一時的であり、参加者のための長期間の生存の利益に変わり得ないため、応答率は、フェーズIIの試験における処置の有効性の合理的な基準であり、一方参加者の生存および生活の質は、典型的にはフェーズIIIの試験における評価項目として用いられる。
【0184】
薬学的キット
本発明はさらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、癌の処置において用いるための治療キットを提供する。キットの個別の成分を、個別の容器中に包装し、このような容器に関連して、医薬または生物学的産物の製造、使用または販売を規制する政府の機関により指示された形態での情報であってもよく、この情報により、ヒトへの投与のための製造、使用または販売の機関による認可が反映される。
【0185】
キットの成分を、1種または2種以上の溶液中に提供する際には、溶液は、水溶液、例えば無菌の水溶液であってもよい。この場合において、容器手段は、これ自体、吸入装置、シリンジ、ピペット、点眼装置、または他のこのような同様の装置であってもよく、これから、組成物を、患者に投与することができる。
【0186】
キットの成分をまた、乾燥したかまたは凍結乾燥した形態で提供することができ、かつキットは、さらに、凍結乾燥した成分の再構成に適する溶媒を含むことができる。容器の数またはタイプにかかわりなく、本発明のキットはまた、組成物の患者への投与を補助するための装置を含むことができる。このような装置は、吸入装置、シリンジ、ピペット、鉗子、測定スプーン、点眼装置またはすべてのこのような医学的に認可された送達ビヒクルであってもよい。
【0187】
本明細書中に記載した本発明の一層良好な理解を得るために、以下の例を述べる。これらの例は、例示的な目的のみのためであることを、理解するべきである。従って、これらは、本発明の範囲をいかなる方法によっても限定するべきではないものである。
【0188】
例
以下の例1〜15において言及する配列番号:1は、配列:
5’−GGCTAAATCGCTCCACCAAG−3’ [配列番号:1]
を有する完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドである。
配列番号:1は、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAのコード領域にハイブリダイズする。
【0189】
配列番号:2は、4つの塩基の変化を配列番号:1に関して配列の中央部に有する、配列番号:1についてのミスマッチした対照のオリゴヌクレオチドである:
5’−GGCTAAACTCGTCCACCAAG−3’ [配列番号:2]
配列番号:3は、配列番号:1についてのスクランブルされた対照オリゴヌクレオチドである。配列番号:3は、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAに相補的ではなく、配列番号:1と同一の塩基組成比を維持する。
5’−ACGCACTCAGCTAGTGACAC−3’ [配列番号:3]
【0190】
ホスホロチオエートを、Boston BioSystem Inc. (Boston, MA)による自動DNA合成装置(Perkin-Elmer, USA)において合成し、逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製した。
配列番号:1は、現在、本明細書中に記載した標準的な化学療法剤と組み合わせて、種々の癌の処置のためのいくつかの臨床試験において研究されている。
【0191】
例1:ヒト腎臓癌腫細胞系におけるインターフェロンアルファ(IFNアルファ)のインビトロ試験
予備的なインビトロ試験を、ヒト腎臓癌腫細胞系(A498およびCaki−1)において行って、これらの細胞系が、IFNアルファの直接的な抗増殖効果に対して感受性であるか否かを決定した。培養した細胞を、増大する濃度のIFNアルファ(0、100、600、800、1000、3000、または10000U/ml)で96時間処理し、細胞増殖を、XTTアッセイにより評価した。IFNアルファのインビトロでの抗増殖効果を、図1A(A498)および図1B(Caki−1)中に示し、これは、両方の細胞系が、IFNアルファに対して、用量依存性方式で感受性であったことを例示する。
【0192】
例2:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#1
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな(subconfluent)対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0193】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に割り当てた。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下(s.c.)注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0194】
1回分の調製および処置:配列番号:1についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に1または2.5mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。組換えインターフェロンアルファ−2b(Intron A(登録商標))を、以下の投薬および処置スケジュールに従って用いた。処置を、腫瘍細胞の接種の7日後に、腫瘍の大きさが約125mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0195】
群および処置:以下の処置群を評価した:
1.生理食塩水で処置した群−1:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−2:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で1mg/kg/48時間、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/48時間、i.v.、n=10
5.Intron A、103単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の103単位のIntron A、i.t.、n=10
6.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
7.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「3+5」、n=10
8.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「3+6」、n=10
9.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「4+5」、n=10
10.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「4+6」、n=10
【0196】
マウスは、配列番号:1で25回の処置およびIntron Aで30回の処置を受けた。Intron Aについての投薬スケジュールは、以下の通りであった:Intron Aでの連続する3週間の処置、1週間の休止、および再度Intron Aでのさらに連続する3週間の処置。配列番号:1についての投薬スケジュールは、実験の継続のための配列番号:1での1日おきの処置であった。
【0197】
評価項目:配列番号:1およびIntron Aの、腫瘍成長に対する効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週、腫瘍細胞接種の7日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0198】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図2Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図2Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせた際に、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。注目すべきことに、最適以下の薬剤投与量においてさえも、組み合わせ効果は、少なくとも相加的のままであり、これは、有効な相乗効果を示す。高い用量の組み合わせ(それぞれ2.5mg/kgおよび105)における、配列番号:1およびIntron Aの併用処置からの結果は、マウスにおける腎臓細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。この群中の合計で5匹のマウスは、全体的な退行を例証し、残りの5匹の処置した動物における腫瘍は、100mgを超えて成長せず、これは、部分的な退行および安定化を示す。
【0199】
例3:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#2
第2の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の7日後に開始した。マウスは、合計で配列番号:1での処置を23回およびIntron Aでの処置を35回受けた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0200】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群−A:生理食塩水0.1ml/マウス/2日おき、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−B:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
5.Intron、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron、i.t.、n=10
6.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron、105で処置した群:「3+5」、n=10
7.配列番号:1、5mg/kgおよびIntron、105で処置した群:「4+5」、n=10
【0201】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積の結果を、図3Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図3Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。
【0202】
例4:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#3
第3の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の5×106個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の7日後に開始した。マウスは、合計で配列番号:1での処置を23回およびIntron Aでの処置を35回受けた。投与の経路を、以下のように示す:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0203】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水0.1ml/マウス/2日おき、i.v.、n=10
2.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
3.配列番号:3で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/2日おき、i.v.、n=10
4.配列番号:1およびIntron A、105で処置した群:「2+5」、n=10
5.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
6.配列番号:3およびIntron A、105で処置した群:「3+5」、n=10
【0204】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積の結果を、図4Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図4Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。対照的に、スクランブルした対照のオリゴヌクレオチド(配列番号:3)は、単独療法として効力を有せず、Intron Aの効力を改善しなかった。
【0205】
例5:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#4
第4の独立したインビボ研究を、SCIDマウスおよびCaki−1(ヒト腎臓癌腫細胞系)を用いて、例1に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。臨床的な設定において、IFNアルファを、典型的には皮下に投与する。従って、配列番号:1の皮下に投与されたIFNアルファとの、および腫瘍内に投与されたIFNアルファとの組み合わせにおける有効性を、比較した。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)および腫瘍内(i.t.)。
【0206】
群および処置(群あたり10匹のマウス):
1.48時間あたり0.1mlの生理食塩水溶液、i.v.での処置(n=10)
2.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.での処置(n=10)
3.50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、i.t.での処置(n=10)
4.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、i.t.での処置(n=10)
5.100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、s.c.での処置(n=10)
6.0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および50μlの生理食塩水中の100000単位のIntron A/マウス/日×3/週、s.c.での処置(n=10)
【0207】
処置を、ヒト腎臓腫瘍細胞の接種の7日後から開始した。
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍容積を例証する結果を、図5Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図5Bに示す。これらの結果は、Intron Aが、皮下に投与しても腫瘍内に投与しても、配列番号:1との組み合わせにおいて同等に有効であることを、明確に示す。
【0208】
例6:ヒト腎臓癌腫(A498)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#1
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(A498)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0209】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に可能にした。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の9×106個のA498ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0210】
1回分の調製および処置:配列番号:1についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に1または2.5mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。組換えインターフェロンアルファ−2b(Intron A(登録商標))を、以下の投薬および処置スケジュールに従って用いた。処置を、腫瘍細胞の接種の20日後に、腫瘍の大きさが約200mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0211】
群および処置:
1.生理食塩水で処置した群−1:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.生理食塩水で処置した群−2:生理食塩水0.05ml/マウス/5日/週、i.t.、n=10
3.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で1mg/kg/48時間、i.v.、n=10
4.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で2.5mg/kg/48時間、i.v.、n=10
5.Intron A、103単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の103単位のIntron A、i.t.、n=10
6.Intron A、105単位/5日/週で処置した群:0.05mlの生理食塩水中の105単位のIntron A、i.t.、n=10
7.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「3+5」、n=10
8.配列番号:1、1mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「3+6」、n=10
9.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、103で処置した群:「4+5」、n=10
10.配列番号:1、2.5mg/kgおよびIntron A、105で処置した群:「4.+6.」、n=10
【0212】
処置を、ヒト腎臓腫瘍細胞の接種の20日後から開始した。マウスは、配列番号:1での処置を15回およびIntron Aでの処置を12回受けた。Intron Aについての投薬スケジュールは、以下の通りであった:Intron Aでの連続する2週間の処置およびさらに2日間の処置および実験の休止のための休止。配列番号:1についての投薬スケジュールは、実験の継続のための1日おきの配列番号:1での処置であった。
【0213】
評価項目:配列番号:1およびIntron Aの、腫瘍成長に対する効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週、腫瘍細胞接種の20日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0214】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図6Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図6Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。注目すべきことに、最適以下の薬剤投与量においてさえも、組み合わせ効果は、少なくとも相加的のままであり、これは、有効な相乗効果を示唆する。高い用量の組み合わせ(それぞれ2.5mg/kgおよび105)における、配列番号:1およびIntron Aの併用処置からの結果は、マウスにおける腎臓細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。この群中の10匹のマウスはすべて、すべての腫瘍の全体的な退行を例証した。
【0215】
例7:ヒト腎臓癌腫(A498)のマウス異種移植モデルにおけるインターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験#2
第2の独立したインビボ研究を、SCIDマウス(雌、6週齢)およびA498細胞系(ヒト腎臓癌腫)を用いて、例6に記載したようにして行って、配列番号:1の、IFNアルファとの組み合わせにおける効力を試験した。要するに、0.1mlのPBS中の9×106個のA498ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。処置を、腫瘍細胞注射の20日後から開始した。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腫瘍内(i.t.)。
【0216】
群および処置:
群1:48時間あたり0.1mlの生理食塩水で処置する、i.v.(n=10)
群2:日あたり50ulの生理食塩水/週×5で処置する、i.t.(n=10)
群3:10000単位のIntron A/マウス/日×5/週で2週間50ulの生理食塩水中で処置する、i.t.(n=10)
群4:0.1mlの生理食塩水中の2.5mg/kg/2日の配列番号:1で処置する、i.v.(n=10)
群5:2.5mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および10000単位のIntron A/マウス/5日/週で2週間処置する、i.t.(n=10)
【0217】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図7Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図7Bに示し、これは、配列番号:1およびIntron Aが共に、単独療法として有意な抗腫瘍効力を有し、組み合わせて、効果は、少なくとも相加的であることを例示している。
【0218】
例8:インターフェロンアルファとの組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験についての代替のモデル
SCIDマウスが免疫無防備状態であるため、腎臓癌腫の処置における配列番号:1と組み合わせてのインターフェロンアルファ投与の効力を試験するために用いることができる代替のモデルは、正常なマウス(例えば免疫競合性Balb/cマウス)におけるマウス腎臓癌のRenCaモデルである。このモデルは、同系のRenCa細胞を用いるが、リボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAにおける配列番号:1についての標的配列は、マウスにおいて保存され、このようにIFNアルファとの組み合わせにおける配列番号:1の効力を、RenCaマウス腫瘍モデルにおいて有効に試験することができる。上記の例中に概説したもののような処置およびプロトコルを、用いることができる。
【0219】
マウス腎臓癌のRenCaモデルをまた用いて、配列番号:1との組み合わせでの種々のインターロイキンを含む他の免疫療法剤を、例えば以下の例10において提供するプロトコルに従って試験することができる。
【0220】
例9:進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1とインターフェロンアルファとの併用療法を評価するための、フェーズI/II臨床試験
前の例において記載したように、A498腎臓腫瘍異種移植を有し、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組み合わせで処置したマウスは、腫瘍退行を例証した。部分的な退行および安定化はまた、Caki1腎臓腫瘍異種移植を有するマウスにおいて観察された。併用処置に対するこの応答は、対照のオリゴヌクレオチドでの処置によりインターフェロンアルファの効力が改善されなかったため、用量依存性であり、また配列特異性であった。これらの前臨床評価において得られた陽性の結果の観点において、ヒト患者におけるインターフェロンアルファとの組み合わせでの配列番号:1の効力を調査するための臨床試験を、設計し、行うことができる。適切な臨床試験を、当該分野において知られており、本明細書中に一般的に記載した一般的な手順および、提案されたPart 54を含むCode of Federal RegulationsのTitle 21のGood Clinical Practicesに関するガイドラインを含む適用可能なガイドラインに従って設計することができる。
【0221】
例により、フェーズI/IIの研究についての以下の概説および一般的な基準を提供し、これに好適な臨床試験が基づくことができる。当業者は、試験前または試験中に記載されたプロトコルに対して修正を行って、資源の入手可能性、患者の脱落、用量規定毒性の発生などの要因を説明することができることを理解する。
【0222】
配列番号:1が、ヒトにおける癌の処置において用いた際に、細胞毒性剤よりむしろ細胞分裂阻害剤と考慮される(例15における臨床試験の結果を参照)ため、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せは、顕性の腫瘍収縮よりも、患者において増殖抑制期間(TTP)に対する大きい影響を有すると推測される。従って、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せのフェーズI/IIの研究についての適切な一次的な評価項目は、無進行生存(PFS)である。比較のために、インターフェロンで処置した463人の一次患者のMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerデータベース(Motzerら、J.Clinical Oncology 2002 20(1): 289-296)を、用いることができる。
【0223】
従って、配列番号:1とインターフェロンアルファとの組合せについてのフェーズI/IIの研究の主な目的は、以下のことである:
(1)インターフェロン(インターフェロンアルファ)と組み合わせて施与した際の、配列番号:1の推奨されるフェーズIIでの用量を決定すること。
(2)進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における歴史的な対照に対する無進行生存(PFS)を評価すること。
【0224】
二次的な目的は、以下のことを含むことができる:
(1)進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1およびインターフェロンの客観的な応答率を決定すること。
(2)客観的な応答(完全な、および部分的な)および主要でない応答の持続時間を評価すること。
(3)安定な疾患の頻度および持続時間を評価すること。
(4)インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の毒性を評価すること。
【0225】
研究の薬物動態学的目的は、増大する用量における、およびフェーズIIの用量における配列番号:1の薬物動態学的プロフィールを特徴づけすることである。
【0226】
研究の記載
以下の概説は、進行性または転移性腎臓癌腫の処置における一次療法としての、インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の評価に関する。
【0227】
適格性の基準
・進行性または転移性腎細胞癌の組織学的に確認された診断
・サイトカイン、化学療法または他の全身療法での前の処置がないこと
・測定可能な、または評価可能な疾患
・年齢≧18歳;KPS≧70%またはECOG 0〜2;インフォームドコンセント
・研究中を通して中心静脈ラインアクセスを維持することができること
・予測された神経学的関与を伴う神経学的転移または骨転移がないこと
・少なくとも3ヶ月の平均余命
・配列番号:1およびインターフェロンアルファについての標準的な除外および許容可能な実験室的基準
【0228】
試験設計
・非盲検の、非ランダムのフェーズI/IIの研究。
・フェーズIの部分において、インターフェロンと組み合わせての配列番号:1の用量を増大させて、フェーズIIの部分についての推奨された用量を発生させる(以下を参照)。
・用量増大の決定は、最初のサイクルにおいて見られる用量規定毒性(DLT)に基づく。
・一段階設計を、フェーズIIの部分のために用いる。
・約12人の患者が、研究のフェーズIの部分に必要であり、約40人(36人+脱落により10%)が、フェーズIIの部分に必要であると、見積もられる。フェーズIIの代表団が、フェーズIIの用量における6人のフェーズIの患者を含むため、34人の追加の患者が、研究のフェーズIIの部分において登録することが必要であると、見積もられる。
・研究の提案された継続期間は、少なくとも56日である。
【0229】
用量選択
固形腫瘍または黒色腫を有する患者における配列番号:1の前のフェーズIの単一剤研究において、最大耐量(MTD)は、222.0mg/m2/日において達成された。毒性の証拠は、ヒト対象において、148.0mg/m2/日の用量において見られなかった。従って、研究のための配列番号:1の適切な開始用量は、185.0mg/m2/日(前のフェーズIの単独療法研究におけるMTDよりも1用量レベル低い)への併用療法における増大を伴って、またはインターフェロンと組み合わせての配列番号:1についてのMTDが決定されるまで、148.0mg/m2/日である。
【0230】
週あたり3回の6〜9MIUの皮下のインターフェロン用量増大スキームが、以前インターフェロンおよび細胞周期阻害剤の併用療法研究において用いられた(Dutcher JPら、Proceedings of ASCO 第22巻、213頁、Abstract 854, 2003)。さらに、週あたり3回の10MIUの皮下の用量が、インターフェロンおよび免疫調節物質であるレバミソールの併用療法研究において達成され、処置毒性における有意な増大はなかった(Askoy Hら、Int Urol Nephrol. 2001 33(3):457-9)。従って、インターフェロンについての適切な開始用量は、6MIUであり、9または10MIUへの増大を伴う。
【0231】
配列番号:1とインターフェロンとの組合せについての例示的な用量増大を、以下の表に示す。
【0232】
【表9】
【0233】
例示的な処置レジメン
・処置サイクルを、3週間または4週間の継続期間とすることができる。
・21日のサイクルについて、配列番号:1を、14日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。28日のサイクルについて、配列番号:1を、21日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。
・インターフェロンを、21日または28日のいずれかのサイクルの間、6MIUの開始用量で、週あたり3回皮下に投与することができる。
・患者は、進行性の疾患または耐容不能な毒性が発生しない限り、無制限に継続することができる。
・応答するか、主要でない応答を有するか、または疾患状態において変化がない患者は、疾患が進行するまで処置を継続することができる。
【0234】
用量規定毒性(DLT)
用量増大研究に適用可能な適切なレベルのDLTを、技術のある臨床医により確立することができる。毒性を、一般的にNational Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE), Version 3.0, 2003年6月10日に従って分類する。調査する臨床医により、前に存在する医学的状態または患者の悪性度に起因すると決定された、血液学的な、もしくは凝固パラメーターまたは補体レベル以外の実験室的異常を、毒性と考慮することができる。
【0235】
用量の変更
患者における用量規定毒性(DLT)の発生を説明するための用量の変更を、研究の間行うことができる。以下に、各々の試験剤についてなされ得る適切な用量の変更についてのガイドラインを提供する。
【0236】
配列番号:1の用量を、1レベル低下させるか、または調査者の臨床的裁量において、DLT階級が低下するまで中断することができる。次に、投薬を、低下した用量レベルで再開することができる。予測されない毒性の場合には、処置の再開が、調査者の裁量において完全な用量においてであり得る以外は、同一の行為を採ることができる。用量を、以下のレベルに調整することができる。185.0mg/m2/日、148.0mg/m2/日、および74.0mg/m2/日。
【0237】
重篤な毒性が発生した場合には、インターフェロンの投与量を、例えば50%減少により変更することができるか、または療法を、有害な反応が減少するまで一時的に中止することができる。毒性が、用量を保持することを必要とする場合には、当該用量を省略し、次のスケジュールされた用量を、遅延を伴わずにスケジュールされたものとして送達する。低下した用量は、研究の際の患者の時間の残りを通して再び増大しない。患者が、複数の用量低下を必要とする場合には、患者を、研究から除外しなければならない。患者におけるインターフェロンの用量低下の適切な最大の数は、2である。さらに、免疫療法が保留されたかまたは4週間中断された場合には、研究処置を中止しなければならない。
【0238】
評価についての基準
適切な一次効力転帰は、6ヶ月におけるPFS率である。試料の大きさの計算の目的のために、6ヶ月におけるPFSは、歴史的な対照データに基づくことができる(Motzer, 2002, 上記を参照)。患者についてのPFSは、療法の開始から進行までの時間として定義される。
【0239】
代替案として、PFS率を、インターフェロンアルファ単独で処置した患者を含む対照の治療群と比較することができる。この代替案を用いる場合には、試料の大きさを、2倍にする必要がある。
【0240】
二次的な評価項目として、客観的な応答率を、標準的なResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST) Guidelines (Therasse Pら、New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumours. J of the National Cancer Institute, 92(3): 205-216)を用いて決定する。比較的古い代替の基準世界保健機関定義(WHO Handbook for reporting results of cancer treatment. World Health Organization Offset Publication No. 48; 1979)を、代替の研究設計選択肢として考慮する。
【0241】
その後の試験
その後のランダムのフェーズII(b)/IIIの試験を、行うことができ、これは、典型的には、約400人の患者の登録を伴う。臨床的有益性の確認評価を、随意に、このような試験から、生存終点まで継続させることにより得ることができる。
【0242】
例10:ヒト腎臓癌腫(Caki−1)のマウス異種移植モデルにおけるインターロイキン−2との組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験
細胞系:ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1)を、単一層培養物として、10%胎児ウシ血清(FBS)、0.1mMの非必須アミノ酸、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンホテリシンBおよび2mMのL−アラニル−l−グルタミンを補足した最小必須培地(α−MEM)中で、37℃で空気中5%CO2の雰囲気で成長させた。腫瘍細胞を、毎週2回、トリプシン−EDTA処理により常習的に継代した。細胞を、サブコンフルエントな対数的に成長する培養物から、トリプシン−EDTAでの処理により収穫し、腫瘍接種について計数した。
【0243】
腫瘍接種:少なくとも7日の順化期間を、動物の受け取りと腫瘍接種の開始との間に可能にした。雌のSCIDマウスが、6〜7週齢(20〜25g)である際に、各々のマウスに、0.1mlのPBS中の1×107個のCaki−1ヒト腎臓癌腫細胞を、マウスの右側腹部に皮下注射して、腫瘍成長を誘発させた。
【0244】
1回分の調製および処置:アンチセンスオリゴヌクレオチド薬剤(配列番号:1)についての1回分を、以下の手順を用いて処方した。濃縮貯蔵溶液(通常50mg/mlの濃度でddH2O中に調製し、−80℃に維持する)から、配列番号:1を、生理食塩水で希釈して、投薬の最初の日に10mg/mlの最終目的濃度を達成した。十分な配列番号:1を希釈して、化合物を、実験の継続のために、大量瞬時注入により尾静脈中に1日おきに投与することができるようにした。処置を、腫瘍細胞の接種の7日後に、腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した際に、開始した。各々の処置群は、10匹の腫瘍を有するマウスを含んでいた。IL2についての用量および処置スケジュールを、以下に記載する。投与の経路は、以下の通りである:静脈内(i.v.)および腹腔内(i.p.)。
【0245】
群および処置:以下の処置を、この実験において評価した:
1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水0.1ml/マウス/48時間、i.v.、n=10
2.配列番号:1で処置した群:0.1mlの生理食塩水中で10mg/kg/48時間、i.v.、n=10(合計で17回の処置)
3.IL2処置サイクル;8日(4日処置、次に2日停止、次にさらに4日処置)
I−高い用量(20000単位)/1日の処置について2回、i.p.、n=10
II−低い用量(5000単位)/1日の処置について2回、i.p.、n=10
4.配列番号:1+IL−2処置群−I:n=10
5.配列番号:1+IL−2処置群−II:n=10
【0246】
評価項目:配列番号:1およびIL−2、即ち腎臓癌腫についての標準的な免疫療法剤の、単独での、または組合せでの、腫瘍成長に対する抗腫瘍効果を、決定した。腫瘍の大きさを、毎週の日に、腫瘍細胞接種の7日後から、2次元で、ノギスを用いて測定し、容積を、式:V=0.5a×b2、式中aおよびbは、それぞれ腫瘍の長い、および短い直径である、を用いて、mm3で表した。次に、各々の測定から計算した平均の腫瘍の容積を、標準的なグラフ中にプロットして、抗腫瘍効力を、対照のものと比較した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。
【0247】
腫瘍接種の後の種々の時点における腫瘍の容積の結果を、図8Aに示し、実験的な評価項目における腫瘍重量を、図8Bに示し、これは、配列番号:1およびIL−2が共に、単独療法として抗腫瘍効力を有するが、配列番号:1は、高い、および低い用量のIL−2療法のいずれよりも優れていることを例示している。組み合わせにおいて、効果は、少なくとも相加的である。
【0248】
低い、および高い用量の組み合わせ(それぞれ5000Uおよび20000U)の両方における配列番号:1とIL−2との併用処置からの結果は、マウスにおける腎細胞腫瘍の劇的な退行を例証した。各々の群における10匹のマウスはすべて、すべての腫瘍の全体的な退行を例証した。
【0249】
例11:進行性または転移性腎細胞癌を有する患者における配列番号:1とインターロイキン−2との併用療法を研究するための、有効な臨床試験の設計
前の例において記載したように、Caki1腎臓腫瘍異種移植を有し、配列番号:1とIL−2との組合せで処置したマウスは、腫瘍退行を例証した。これらの前臨床評価において得られた陽性の結果の観点において、ヒト患者におけるIL−2との組み合わせでの配列番号:1の効力を調査するための臨床試験を、設計し、行うことができる。適切な臨床試験を、当該分野において知られており、本明細書中に一般的に記載した一般的な手順および、提案されたPart 54を含むCode of Federal RegulationsのTitle 21のGood Clinical Practicesに関するガイドラインを含む適用可能なガイドラインに従って、設計することができる。例により、フェーズI/IIの研究についての以下の概説を提供し、これに好適な臨床試験が基づくことができる。当業者は、試験前または試験中に記載されたパラメーターに対して修正を行って、資源の入手可能性、患者の脱落、用量規定毒性の発生などの要因を説明することができることを、理解する。
【0250】
試験設計
IL−2療法が、ヒトにおける腎細胞癌のために認可された療法である場合には、以下に提供する概説は、腎細胞癌の処置における配列番号:1のインターロイキン−2(IL−2)との組合せの評価に関する。この組合せをまた、一次全身療法として評価することができ、患者の適格性の基準は、上記の例9において記載したものと同様である。
【0251】
・フェーズIの部分において、IL−2と組み合わせての配列番号:1の用量を増大させて、フェーズIIの部分についての推奨された用量を発生させる(表5における例示的な用量増大を参照)。
・用量増大の決定は、最初のサイクルにおいて見られる用量規定毒性(DLT)に基づく。
・フェーズIIの用量における数人のフェーズIの患者を含むためのフェーズIIの集団
【0252】
【表10】
【0253】
例示的な処置レジメン
・処置サイクルを、3週間または4週間の継続期間とすることができる。
・21日のサイクルについて、配列番号:1を、14日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。28日のサイクルについて、配列番号:1を、21日間にわたり148.0mg/m2/日の開始用量で連続的静脈内注入として投与し、続いて7日の休止とすることができる。
・28日のサイクルについて、サイクル中、IL−2を、最大14回の用量まで8時間おき(q8h)の15分間の注入として投与し、続いて各々14日の期間の休止期間とすることができる(用量は、所要に応じて毒性のために保留される)。
・最初の2回のサイクルの後に、1回のサイクルのIL−2の中断が、臨床的に指示された任意の時点において必要であり得る。
・IL−2との組み合わせには、用量の投与の間毎日のモニタリングが必要である。
【0254】
例12:マウス異種移植モデルにおける種々の化学療法剤との組み合わせにおける配列番号:1のインビボ試験
配列番号:1は、この、および以下の例13〜15において例証されたように、単独で、および多くの標準的な化学療法剤と組み合わせて、インビボでの効力を例証した。効力は、広範囲の種々の腫瘍のタイプを表す異種移植モデルにおいて、および多くの種々の癌に対する臨床試験において例証され、これにより、配列番号:1の、単独での、または1種もしくは2種以上の他の治療剤との組み合わせでの、一般的な癌に対する処置の広範囲の適用可能性が示された。
【0255】
例12.1
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の4日後に、マイトマイシンCを、大量瞬時注入により、尾静脈中に、4、11および18日において3.5mg/kg/週の用量で投与した。マイトマイシンCの抗腫瘍効果を、さらにマイトマイシンCとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、毎日6mg/kgにおいて投与し、マイトマイシンCを、4、11および18日において3.5mg/kg/週の用量で、配列番号:1での処置の1時間後に静脈内に投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、配列番号:1と同一の期間にわたり施与した。すべての処置を、22日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、マイトマイシンCでの処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1とマイトマイシンCとの組合せにより誘発された抗腫瘍効果は、マイトマイシンCを単独で用いて得られた抗腫瘍効果よりも有効であった(図9を参照)。
【0256】
例12.2
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、5〜6週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにCPT−11のみの抗腫瘍効果またはCPT−11との組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。CPT−11を、7〜12日に5日間連続して、100μlの生理食塩水中で20mg/kgの用量で、腹腔内に投与した。すべての処置を、32日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、9匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、CPT−11のみで観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とCPT−11との併用処置により、いずれかの剤単独よりも有効である、優れた共同的効果が示された(図10を参照)。
【0257】
例12.3
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。処置を、腫瘍細胞注射の5日後において開始し、配列番号:1および5−FUを、以下に概説するように投与した:
群および処置:
群1.生理食塩水で処置した群:生理食塩水:0.1ml/2日、i.v.;
群2.配列番号:1で処置した群:100μLの生理食塩水中10mg/kg/2日、i.v.;
群3.5−FUで処置した群:13mg/kg/5日/週(1週間継続および1週間休止)、i.v.;
群4.配列番号:1および5−FUで処置した群。
【0258】
配列番号:1単独で、および5−FUと組み合わせて処置したCD−1ヌードマウスにおけるヒト大腸腫瘍細胞の成長を、図11に示す。
【0259】
例12.4
HT−29ヒト大腸癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、5〜6週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。処置を、腫瘍細胞注射の4日後に開始し、配列番号:1およびカペシタビンを、以下に概説するように投与した:
群および処置:
群1:カペシタビンについてのビヒクル溶液0.2ml、o.p.で処置した;
群2:0.1mlの生理食塩水、i.v.で処置した;
群3:0.2mlのビヒクル溶液中の359mg/kg/日×5/週のカペシタビン、o.p.で処置した;
群4:0.1mlの生理食塩水中の10mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.で処置した;
群5:0.1mlの生理食塩水中の10mg/kg/2日の配列番号:1、i.v.および0.2mlのビヒクル溶液中の359mg/kg/日×5/週のカペシタビン、o.p.で処置した。
【0260】
配列番号:1単独で、およびカペシタビンと組み合わせて処置したCD−1ヌードマウスにおけるヒト大腸腫瘍細胞の成長を、図12に示す。
【0261】
例12.5
Caki−1ヒト腎臓癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約200mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらに2種の化学療法剤:5−FUおよびビンブラスチンの抗腫瘍効果と比較した。5−FUを、7〜13日、21〜27日および35〜36日において、13mg/kg/日の用量で腹腔内に投与し、一方ビンブラスチンを、7、14、21、28および35日において、0.6mg/kg/週の用量で腹腔内に投与した。これらの化合物の各々の抗腫瘍効果を、さらに5−FUとの、またはビンブラスチンとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。
【0262】
2種の化学療法剤を、上記したように、配列番号:1での処置の1時間後に、併用処置を同一の日に行った際に、適用した。すべての処置を、36日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、2種の化学療法剤の各々で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1と5−FUまたはビンブラスチンとの組合せは、いずれかの剤単独よりも有効であった(図13を参照)。
【0263】
例12.6
図14は、2つの独立した実験からの結果を示す。両方の実験において、PC−3ヒト前立腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雄SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の14日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいてそれぞれ18回(図14A)または17回(図14B)投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにミトキサントロン(novantrone(登録商標))単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ミトキサントロンを、処置の開始において1回、2mg/kgの用量で(図14A)または1週間に1回4週間にわたり、0.8mg/kgの低下した用量において(図14B)静脈内に投与した。すべての処置を、それぞれ50日(図14A)または48日(図14B)において停止した。
【0264】
最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹(図14A)または10匹(図14B)の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。図14Aにおいて例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、ミトキサントロン単独で観察された阻害効果と同様であった。配列番号:1とミトキサントロンとの組合せ(配列番号:1+)は、ある程度の相加的な抗腫瘍効果を示した。図14Bは、ミトキサントロン単独により、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされ、併用療法は、ミトキサントロン単独療法よりも有効であったことを示す。
【0265】
例12.7
図15は、2つの独立した実験からの結果を示す。両方の実験において、DU145ヒト前立腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雄SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約50mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の13日(図15A)または11日(図15B)後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいてそれぞれ15回(図15A)または14回(図15B)投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにミトキサントロン(novantrone(登録商標))単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ミトキサントロンを、処置の開始において1回、2mg/kgの用量で(図15A)または1週間に1回4週間にわたり、0.8mg/kgの低下した用量において(図15B)静脈内に投与した。すべての処置を、それぞれ42日(図15A)または38日(図15B)において停止した。
【0266】
最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、5匹(図15A)または10匹(図15B)の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。図15Aにおいて例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、ミトキサントロン単独で観察された阻害効果と同様であった。配列番号:1とミトキサントロンとの組合せ(配列番号:1+)は、ある程度の相加的な抗腫瘍効果を示した。図15Bにおいて、ミトキサントロン単独により、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされ、併用療法は、ミトキサントロン単独療法よりも有効であった。
【0267】
例12.8
A2058ヒト黒色腫細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。A2058は、転移性の黒色腫細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の6日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにダカルバジン(DTIC)のみの抗腫瘍効果またはDTICとの組み合わせでの配列番号:1の抗腫瘍効果と比較した。DTICを、6〜10日において連続して5日間、100μlの生理食塩水中で80mg/kgの用量において、静脈内に投与した。
【0268】
すべての処置を、24日において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、DTIC単独で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とDTICとの組合せは、いずれかの剤単独よりも有効であった(図16)。
【0269】
例12.9
図17は、3つの独立した実験からの結果を示す。MDA−MB−231ヒト乳癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の5日後に、配列番号:1またはスクランブルした対照のオリゴヌクレオチド(配列番号:3)を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールもしくはドキソルビシン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回、10mg/kgの用量において、3週間(図17A)または4週間(図17C)にわたり静脈内に投与した。ドキソルビシンを、1週間に1回、5mg/kgの用量において、最初の3週間(図17A)または2週間(図17C)にわたり静脈内に投与した。
【0270】
すべての処置を、それぞれ33日(図17A)または26日(図17C)において停止した。最後の処置の1日後に、腫瘍を、動物から切除し、これらの重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて、腫瘍重量における差異を例証し、各々の棒は、10匹の動物から計算した平均の腫瘍重量を表す(図17Aおよび17B)。図17Cにおいて、抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、すべての3つの実験において、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、タキソールまたはドキソルビシン単独で観察された阻害効果よりも優れていた。配列番号:1とタキソールまたはドキソルビシンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった。図17Bは、配列番号:1と同一の塩基組成を有するが、R2mRNAとは相補的ではない対照のオリゴヌクレオチドは、単独療法としては有意な抗腫瘍活性を有せず、ドキソルビシンと協同しないことを例証しており、このことは、配列番号:1の効果が配列特異的であることを示唆している。
【0271】
例12.10
SK−OV−3ヒト卵巣腺癌細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の6日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて17回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールもしくはシスプラチン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、最初の3週間は1週間に1回静脈内に、および次の2週間は1週間に1回腹腔内に、10mg/kgの用量において投与した。シスプラチンを、最初の3週間は1週間に1回静脈内に、および次の2週間は1週間に1回腹腔内に、4mg/kgの用量において投与した。
【0272】
すべての処置を、40日において停止した。抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり9匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、それぞれタキソールまたはシスプラチン単独で観察された阻害効果と同様であったかまたはこれより優れていた。配列番号:1とタキソールまたはシスプラチンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった(図18)。
【0273】
種々の化学療法剤との組み合わせにおける配列番号:1処置の結果を、表6に要約する。
【0274】
【表11】
【0275】
例13:薬剤抵抗性腫瘍における配列番号:1単独での、または種々の化学療法剤との組み合わせにおけるインビボ試験
例13.1
BxPC−3ヒト膵癌細胞(100μlのPBS中3×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CD−1ヌードマウスの右側腹部中に皮下注射した。BxPC−3は、ゲムシタビン抵抗性細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の21日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて17回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにゲムシタビンの抗腫瘍効果と比較した。ゲムシタビンを、100mg/kgの用量において3日おきに静脈内に投与した。抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。予測されたように、同一の期間の間のゲムシタビンでの処置は、ゲムシタビン抵抗性腫瘍に対しては無効であった(図19AおよびB)。
【0276】
例13.2
Hela S3ヒト頸部類上皮細胞癌腫細胞(100μlのPBS中5×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。Hela S3は、ヒドロキシ尿素抵抗性細胞系である。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の3日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて6回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにヒドロキシ尿素もしくはシスプラチン単独または組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。ヒドロキシ尿素を、毎日250mg/kgの用量において10日間腹腔内に投与した。シスプラチンを、1週間に1回3週間にわたり、4mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0277】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。予測されたように、同一の期間の間のヒドロキシ尿素での処置は、ヒドロキシ尿素抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチン単独で観察された阻害効果より優れていた。予測されたように、配列番号:1のヒドロキシ尿素との併用療法は、配列番号:1の単独療法と同程度に有効であるに過ぎなかった。しかし、配列番号:1のシスプラチンとの併用療法は、いずれかの単独療法よりも有効であった(図20AおよびB)。
【0278】
例13.3
MDA−CDDP−S4ヒトインビボ選択シスプラチン抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の7日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて9回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにシスプラチンまたはタキソールのみの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、毎週1回3週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。タキソールを、毎週1回3週間にわたり10mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0279】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、同一の期間の間のシスプラチンでの処置は、シスプラチン抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたタキソールで観察された阻害効果と同様であった(図21)。
【0280】
例13.4
MDA−CDDP−S4ヒトインビボ選択シスプラチン抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CB−17 SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の9日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソール単独および組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回10mg/kgの用量においてi.p.で投与した。
【0281】
抗腫瘍活性を、腫瘍の容積の阻害により見積もり(図22A)、これを、ノギスで測定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。動物を絶命させ、腫瘍重量を、研究の終了時に秤量した(図22C)。配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたタキソールで観察された阻害効果より優れていた。併用処置の効果は、いずれかの処置単独よりも大きかった。この研究を繰り返し、同様の結果が得られた(図22B)。
【0282】
例13.5
MDA−MB435−To.1ヒトタキソール抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の20日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて15回投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにシスプラチンまたはタキソールのみの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、1週間に1回4週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。タキソールを、1週間に1回4週間にわたり20mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0283】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり9〜10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、同一の期間の間のタキソールでの処置は、タキソール抵抗性腫瘍に対しては無効であった。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチンで観察された阻害効果より優れていた(図23AおよびBを参照)。
【0284】
例13.6
MDA−MB435−To.1ヒトタキソール抵抗性乳腺癌細胞(100μlのPBS中4×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌CB−17 SCIDマウスの脂肪体(右脚の内側)中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の17日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、シスプラチンのみおよび組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。シスプラチンを、1週間に1回4週間にわたり4mg/kgの用量において静脈内に投与した。
【0285】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。研究の終了時に、動物を絶命させ、腫瘍を秤量した。例示されたように、配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。配列番号:1で達成された腫瘍成長における遅延は、正の対照として用いたシスプラチンで観察された阻害効果より優れていた。2種の化合物の組合せにより、いずれか1種のみよりも優れた抗腫瘍効力が生じた(図24AおよびBを参照)。
【0286】
例13.7
ヒトタキソール抵抗性前骨髄球性白血病細胞(HL−60)(100μlのPBS中7×106個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の10日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにタキソールの抗腫瘍効果と比較した。タキソールを、1週間に1回10mg/kgの用量においてi.p.で投与した。
【0287】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。さらに、動物を絶命させ、腫瘍重量を、研究の終了時に秤量した。配列番号:1での処置により、生理食塩水対照と比較して、腫瘍重量の有意な減少が生じた。予測されたように、タキソールでの処置は、腫瘍成長または重量に対して効果を有しなかった(図25AおよびBを参照)。
【0288】
例13.8
LS513多薬剤(multi-drug)抵抗性大腸癌腫細胞(100μlのPBS中1×107個の細胞)を、6〜7週齢の雌SCIDマウスの右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の大きさが約100mm3の容積に達した後、腫瘍細胞注射の8日後に、配列番号:1を、大量瞬時注入により、尾静脈中に、1日おきに10mg/kgにおいて投与した。対照の動物には、生理食塩水のみを、同一の期間にわたり施与した。配列番号:1の抗腫瘍効果を、さらにCPT−11のみまたは組み合わせの抗腫瘍効果と比較した。CPT−11を、5日にわたり20mg/kg/日の用量においてi.p.で投与した。
【0289】
抗腫瘍活性を、ノギスで測定した腫瘍の容積の阻害により推定した。各々の点は、実験群あたり10匹の動物から計算した平均の腫瘍の容積を表す。腫瘍重量を、処置の終了時に動物を絶命させた後に測定した。これらの細胞は、正の対照として用いたCPT−11に対して抵抗性ではなかった。例示されたように、配列番号:1での処置の結果、生理食塩水対照と比較して、腫瘍成長の有意な遅延がもたらされた。配列番号:1は、CPT−11と同等に有効であり、組み合わせて、効力は、いずれかの処置単独より大きかった(図26A、BおよびCを参照)。
【0290】
単独での、または種々の化学療法剤との組み合わせにおける薬剤抵抗性腫瘍の配列番号:1での処置の結果を、表7に要約する。
【0291】
【表12】
【0292】
例14:マウス異種移植モデルにおける配列番号:1単独のインビボでの効力
以前、固形腫瘍、血液学的新生物および転移の種々のマウスモデルを用いて、配列番号:1単独での処置が、種々の腫瘍タイプの成長および転移を阻害する(即ち、リンパ腫または赤白血病を有するマウスの生存を延長させる)にあたり有効であることが、例証された。結果を、表8に要約する。配列番号:1が単独で、これらのヒト癌細胞系に対する効力をインビボで例証したため、配列番号:1を1種または2種以上の免疫療法剤と共に含む組合せは、これらのヒト腫瘍の処置において同等に、または一層有効であり得ることが、予期される。
【0293】
【表13】
【0294】
【表14】
【0295】
【表15】
【0296】
例15:種々の化学療法剤と組み合わせての配列番号:1についてのフェーズI/IIの臨床試験
配列番号:1を用いての、継続中の臨床試験およびNCIにより認可された他の臨床試験の例を、以下に概説する。試験1〜7の各々に伴うプロトコルの詳細を、表9に示す。以下に、各々の試験に伴うプロトコルを記載する:
【0297】
1.プロトコルLO1−1409(腎細胞癌)
研究の記載:進行性または転移性腎細胞癌(フェーズI/II)を有する患者における、配列番号:1とカペシタビンとの併用療法
集団:標準的な療法に失敗した、進行性または転移性腎細胞癌
研究レジメン:配列番号:1(CIV注入)+カペシタビン
サイクル:21日+7日の休止
状況:フェーズIIにおいて継続中
投薬:配列番号:1を、連続的な静脈内注入として、21日間、148.0mg/m2/日の出発用量で、1660mg/m2/日の固定用量で(21日間2つの毎日の用量に分割して)経口的に投与されたカペシタビンと組み合わせて投与し、続いて7日間休止した。
【0298】
2.プロトコルL6093(乳癌)
研究の記載:配列番号:1およびカペシタビンの、転移性乳癌の処置におけるフェーズIIの研究
集団:乳癌、転移性かつ2つまたは3つ以上の以前のレジメンの失敗
研究レジメン:配列番号:1+カペシタビン
21日サイクル中の14日
対象:40(2病期:各々20)
状況:継続中の研究
【0299】
3.プロトコルL6104(NSCLC)
研究の記載:配列番号:1およびドセタキセルの、転移性、または進行性非小細胞肺癌におけるフェーズI/IIの試験
集団:転移性、または切除不可能な局所進行性NSCLC
研究レジメン:配列番号:1+ドセタキセル
対象:42(フェーズI 12;フェーズII 30)
状況:継続中の研究
【0300】
4.プロトコルL6090(固形腫瘍)
研究の記載:配列番号:1およびゲムシタビンの、固形腫瘍を有する患者におけるフェーズIの研究
集団:転移性または切除不可能であり、治療的な、または緩和的な手段が存在しないか、またはもはや有効ではない固形腫瘍。
研究レジメン:配列番号:1+ゲムシタビン
対象:34
状況:継続中の研究
【0301】
5.プロトコルL6108(AML)
研究の記載:高用量のシタラビンとの組み合わせでの配列番号:1の、難治性または再発した急性骨髄性白血病(AML)におけるフェーズIの試験
集団:難治性の、または再発した急性骨髄性白血病。
研究レジメン:配列番号:1+シタラビン
対象:30
状況:継続中の研究
【0302】
6.プロトコルL6099(直腸結腸癌)
研究の記載:配列番号:1、オキサリプラチンおよびカペシタビンの、難治性の切除不可能な直腸結腸癌におけるフェーズIの試験
集団:局所進行性または転移性直腸結腸癌(難治性、切除不可能)。患者は、以前のオキサリプラチン含有レジメンを有しない少なくとも1種の標準的な以前の化学療法を受けていなければならない。
研究レジメン:配列番号:1+オキサリプラチンおよびカペシタビン
対象:15〜20
状況:継続中の研究
【0303】
7.プロトコルL6102(前立腺癌)
研究の記載:ドセタキセルおよびプレドニソンとの組み合わせでの配列番号:1の、ホルモン難治性前立腺癌を有する患者におけるフェーズIIの研究
集団:ホルモン難治性前立腺癌を有し、PSAレベルが上昇している(PSA≧20)患者。ECOG 0〜2、適切な器官機能を有する。
研究レジメン:配列番号:1+ドセタキセル+プレドニソン
対象:40
状況:継続中の研究
【0304】
【表16】
【0305】
【表17】
【0306】
【表18】
【0307】
【表19】
【0308】
プロトコル1409についての中間のデータは、フェーズIIの用量における25人の応答が評価できる患者の中で;13人(52%)は、最良の応答として安定な疾患(SD)を有しており(継続期間の中央値:4ヶ月、範囲2〜10)、1つの耐久性の(8ヶ月)部分的応答(PR)が観察されたことを示した。フェーズIIの用量において、PRを有する患者は、39%の表面的な腫瘍の減少を経験し、最長の耐久SDを有する患者は、23%の腫瘍の減少を有していた。1人の追加の患者は、用量レベル0において、またSDおよび腫瘍の大きさの13%の減少を有していた。配列番号:1とカペシタビンとの組合せは、予測された毒性を伴って、推奨されたフェーズIIの用量において耐容される。処置は、これらの薬剤について許容し得る頻度で起こることがすでに知られているもの以外の数種の処置に関連する毒性を伴って、良好に耐容された。
【0309】
種々の癌の処置についての、他の治療剤との組み合わせでの配列番号:1についての他の臨床試験が、提案されており、ここで、配列番号:1についての以下の投与量が、意図された:
【0310】
【表20】
【0311】
【表21】
【0312】
【表22】
【0313】
上記した広範囲の状況における配列番号:1の例証された効力は、これが、免疫療法が受け入れられる種々の癌の処置において、1種または2種以上の免疫療法剤との併用療法の一部として有効な用途を有することを示す。
【0314】
例16:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト腫瘍細胞の増殖をインビトロで阻害する。#1
コロニー形成効率を、標準的なプロトコルを用いて決定した。要するに、細胞を、24時間37℃で、10%胎児ウシ血清を有する成長培地中で培養した。細胞を、5mlのリン酸緩衝生理食塩水、pH7.2で1回、リポフェクチン+/−オリゴヌクレオチド処置の前に洗浄した。
【0315】
試験オリゴヌクレオチドを、細胞培養物に、2.5μgのDOTMA/DOPE(リポフェクチン;Life Technologies, Inc.)の存在下で、4時間にわたり加えた。オリゴヌクレオチドを、他に示さない限りは0.2μMにおいて試験した。対照は、リポフェクチンで、しかしオリゴヌクレオチドを伴わずに処置した培養物であった。4時間後、オリゴヌクレオチドを含む培地を除去し、5mlの成長培地で洗浄した。次に、細胞を、10%胎児ウシ血清を含む成長培地中で、7〜10日間培養した。生存細胞を、メチレンブルー染色により視覚化し、コロニーを記録した。いくつかの実験において、細胞アリコートを、培養物から除去し、生存性を、トリパンブルー排除試験を用いて決定した。結果を、対照細胞と比較した生存細胞の百分率として分析した。
【0316】
AS−II−336−20およびAS−II−2229B−20と表される、R2mRNAに対して向けられた、20量体の2種のホスホロチオエートアンチセンス配列を、作成し、調査した。AS−II−336−20は、配列5’−TCC TGG AAG ATC CTC CTC GC−3’(配列番号:103)を有し、表1に示すR2ヌクレオチドの番号づけに基づいて、ヌクレオチド336〜355においてヒトリボヌクレオチドレダクターゼのR2メッセージを標的する。AS−II−2229B−20は、配列:5’−TCC CAC ATA TGA GAA AAC TC−3’(配列番号:104)を有し、ヌクレオチド2229〜2248においてR2メッセージを標的する。
【0317】
AS−II−336−20を、ヒト腫瘍細胞(Hela)の増殖を阻害する能力について試験した。以前に抗腫瘍剤であるヒドロキシ尿素に対する抵抗性について選択された、Hela S3細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville, Maryland, ATCC)およびHela細胞系(Hela 1mM)を、試験した(表11における結果を参照)。Hela S3細胞を用いて、2つの実験に着手した。0.2μMのアンチセンス構造物AS−II−336−20の4時間の処理で、それぞれ92%および82%の阻害が、2つの実験におけるコロニー形成効率において見られた。同一の実験を、Hela lmM細胞系および変化する濃度のアンチセンス構造物AS−II−336−20で繰り返し(表11における結果を参照)、同様の結果が得られ、0.2μMが、コロニー形成を阻害するための有効濃度であった。
【0318】
これらのデータは、AS−II−336−20が、ヒト腫瘍細胞コロニー形成能力の極めて有効な阻害剤であり、これが、ヒト腫瘍細胞コロニー形成能力の増殖の阻害、および他の化学療法化合物に対する抵抗性を示すヒト腫瘍細胞の増殖の阻害の両方において有効であることを示す。同様に、表11に示すように、AS−II−336−20は、高度にヒドロキシ尿素抵抗性のマウスL細胞系である、マウス腫瘍細胞系であるSC2を用いて行った実験において、有効な抗腫瘍化合物である。
【0319】
アンチセンス配列AS−II−2229B−20をまた、相対的コロニー形成効率実験において、ヒトHela腫瘍細胞の増殖を阻害する能力について試験し、表11に示すようにAS−II−336−20の能力に類似する結果が得られた。これらのデータは、AS−II−2229B−20が、Hela S3細胞を用いて、および薬剤抵抗性Hela 1mM細胞系を用いて試験した際に、有効な抗腫瘍剤であることを示す。
【0320】
【表23】
【0321】
AS−II−2229B−20をまた、ヒト乳癌細胞系MDA435の増殖を阻害する能力について試験し、極めて有効であると見出された(表12を参照)。
【0322】
【表24】
【0323】
AS−II−2229B−20をさらに、腫瘍細胞の細胞毒性について、ヒト腫瘍および非腫瘍細胞集団の処置から得られた結果を比較することにより試験した。Hela S3腫瘍細胞およびWI 38正常非腫瘍形成性ヒト細胞を用いた。腫瘍細胞は、正常な非腫瘍形成性細胞よりも、AS−II−2229B−20の細胞毒性効果に対してはるかに感受性であると見出された。例えば、アンチセンス曝露の3日後の細胞の分析により、腫瘍細胞が、4〜8回の決定にわたり平均して、正常な非腫瘍形成性細胞よりも、AS−II−2229B−20の細胞毒性効果に対して約5倍感受性であることが示された。
【0324】
例17:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト腫瘍細胞の増殖をインビトロで阻害する。#2
コンピュータープログラム(OLIGO、Primer Analysis Software, Version 3.4)を用いたR2mRNAの分析を行って、アンチセンス配列融点、自由エネルギー特性を決定し、潜在的な自己二量体生成を評価し、かつ一連の追加のアンチセンス配列の自己相補的特性を設計してR2メッセージを標的した。これらの配列(配列番号:1および4〜102)を、表1に示す。
【0325】
ホスホロチオエートデオキシリボヌクレオチドとしてのこれらの配列の多くのアンチセンス効果を試験するために、これらを、一連のヒト腫瘍細胞系を用いて例16において記載したように行った相対的コロニー形成実験において、試験した。膀胱、乳房、肺、大腸、膵臓、前立腺、肝臓および頸部から由来する癌細胞を用いて得られた結果(コロニー形成能力の%阻害として示す)を、表13に示す。用いた特定の細胞系は、以下の通りである:
【0326】
T24=膀胱細胞癌腫
HCT116=大腸細胞癌腫
A549=肺細胞癌腫
MDA−MB−231=乳房細胞腺癌
MIA PaCa−2=脾臓細胞癌腫
PC−3=前立腺細胞腺癌
HepG2=肝細胞癌
HeLaS3=頸部の癌腫から単離された細胞
T−47D=乳房乳管癌
H596=肺腺扁平上皮癌細胞
Colo320=大腸細胞腺癌
【0327】
【表25】
【0328】
【表26】
【0329】
【表27】
【0330】
表13に対する説明文
−アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1に記載したように、示さない(*)限り完全にチオエートされていた(thioated)。
−相対的コロニー形成効率についての値は、2〜8回の決定から得られた平均である。
−ND=決定されず。
−種々の細胞系を、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville, Marylandから得た。
【0331】
例18:リボヌクレオチドレダクターゼR2に対して標的されたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる化学療法剤の効果に対するヒト腫瘍細胞の感作
極めて低い濃度の短いアンチセンス配列を有するヒト腫瘍細胞の処置を、試験して、これらの構造物が、腫瘍細胞を、他の化学療法薬剤の阻害効果に対して感作し得るか否かを決定した。用いた濃度は、これ自体細胞毒性ではなかった(表11中に示した結果により例証されたように)。表14に示すように、Hela S3およびHela 1mM細胞の0.02μMのAS−II−2229B−20アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置により、これらの細胞の、N−(ホスホンアセチル)−L−アスパラギン酸塩(PALA)およびメトトレキセート(MTX)に対する感受性が増大した。
【0332】
【表28】
【0333】
公開された特許出願を含むすべての特許明細書、刊行物の開示および本明細書中で参照したデータベース記入事項は、各々のこのような個別の特許明細書、刊行物およびデータベース記入事項を、参照により導入するように特定的に、かつ個別に示したのと同一の程度に、特定的にこれらの全体において参照により導入する。
【0334】
本発明をこのように記載し、同一のことが、多くの方法で変化し得ることが、明らかである。このような変化は、本発明の精神および範囲からの逸脱として考慮するべきではなく、当業者に明らかであるこのような修正はすべて、特許請求の範囲内に包含されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0335】
【図1】ヒト腎臓癌腫細胞系(Caki−1およびA498)におけるインビトロでのインターフェロンアルファの抗増殖効果を示す図である。
【図2A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図2B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0336】
【図3A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図3B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図4A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図4B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0337】
【図5A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図5B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図6A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【図6B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓癌腫成長に対する効果を示す図である。
【0338】
【図7A】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図7B】配列番号:1単独およびインターフェロンアルファと組み合わせての、SCIDマウスにおけるA498腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図8A】配列番号:1単独およびインターロイキン−2と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図8B】配列番号:1単独およびインターロイキン−2と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0339】
【図9】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図10】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図11】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図12】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、ヌードマウスにおけるHT−29大腸腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0340】
【図13】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおけるCaki−1腎臓腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0341】
【図14】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおける前立腺腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図15】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、SCIDマウスにおける前立腺腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0342】
【図16】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおけるA2058黒色腫成長に対する効果を示す図である。
【図17】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおける乳房腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【0343】
【図18】配列番号:1の化学療法剤と組み合わせての、CD−1ヌードマウスにおける卵巣腫瘍成長に対する効果を示す図である。
【図19】CD−1ヌードマウスにおけるヒト膵癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0344】
【図20】SCIDマウスにおけるヒドロキシ尿素(HU)に抵抗性のヒト頸部類上皮細胞癌腫の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図21】SCIDマウスにおけるシスプラチンに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図22】SCIDマウスにおけるシスプラチンに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0345】
【図23】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図24】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト乳腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図25】SCIDマウスにおけるタキソールに抵抗性のヒト前骨髄球性白血病の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【0346】
【図26】SCIDマウスにおけるLS513、ヒト多薬剤抵抗性の大腸腺癌の処置における、配列番号:1の効果を示す図である。
【図27】ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2mRNAの配列[配列番号:105]を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類における癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記組合せ物。
【請求項2】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項4】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項5】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項7】
癌が、進行癌である、請求項1〜6のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項8】
癌が、転移癌である、請求項1〜7のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項9】
処置が、一次全身療法である、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項10】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項11】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項12】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項13】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項14】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項15】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項16】
癌が、固形癌である、請求項1〜15のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項17】
哺乳類が、ヒトである、請求項1〜16のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項18】
哺乳類における癌を処置する方法であって、前記哺乳類に:
(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および
(b)1種または2種以上の免疫療法剤
を含む組合せ物を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
癌が、進行癌である、請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
癌が、転移癌である、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
組合せ物を、哺乳類に、一次全身療法として投与する、請求項18〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項18〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
癌が、固形癌である、請求項18〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
哺乳類が、ヒトである、請求項18〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の、哺乳類における癌の処置のための医薬の製造における使用。
【請求項36】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項35〜39のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
癌が、進行癌である、請求項35〜40のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
癌が、転移癌である、請求項35〜41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
処置が、一次全身療法である、請求項35〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項35〜43のいずれかに記載の使用。
【請求項45】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項35〜43のいずれかに記載の使用。
【請求項46】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項47】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項49】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項35〜48のいずれかに記載の使用。
【請求項50】
癌が、固形癌である、請求項35〜49のいずれかに記載の使用。
【請求項51】
哺乳類が、ヒトである、請求項35〜50のいずれかに記載の使用。
【請求項52】
癌の処置のための組合せ物を含む薬学的キットであって、前記組合せ物が:
(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および
(b)1種または2種以上の免疫療法剤
を含む、前記薬学的キット。
【請求項53】
対象における腎臓癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:配列番号:1に相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のサイトカインを含む、前記組合せ物。
【請求項54】
1種または2種以上のサイトカインが:インターフェロンアルファおよびインターロイキン−2から選択されている、請求項53に記載の組合せ物。
【請求項55】
処置が、一次全身療法である、請求項53または54に記載の組合せ物。
【請求項1】
哺乳類における癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤を含む、前記組合せ物。
【請求項2】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項4】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項5】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項7】
癌が、進行癌である、請求項1〜6のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項8】
癌が、転移癌である、請求項1〜7のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項9】
処置が、一次全身療法である、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項10】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項11】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項12】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項13】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項14】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項15】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項16】
癌が、固形癌である、請求項1〜15のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項17】
哺乳類が、ヒトである、請求項1〜16のいずれかに記載の組合せ物。
【請求項18】
哺乳類における癌を処置する方法であって、前記哺乳類に:
(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および
(b)1種または2種以上の免疫療法剤
を含む組合せ物を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項18〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
癌が、進行癌である、請求項18〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
癌が、転移癌である、請求項18〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
組合せ物を、哺乳類に、一次全身療法として投与する、請求項18〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項18〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項18〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項18〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
癌が、固形癌である、請求項18〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
哺乳類が、ヒトである、請求項18〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上の免疫療法剤の、哺乳類における癌の処置のための医薬の製造における使用。
【請求項36】
哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAである、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
ヒトリボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAが、配列番号:105に示す配列を有する、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1および4〜104のいずれかに示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号:1に示す配列の少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つまたは2つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項35〜39のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
癌が、進行癌である、請求項35〜40のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
癌が、転移癌である、請求項35〜41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
処置が、一次全身療法である、請求項35〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
1種または2種以上の免疫療法剤が、非特異的免疫療法剤である、請求項35〜43のいずれかに記載の使用。
【請求項45】
1種または2種以上の免疫療法剤が、特異的免疫療法剤である、請求項35〜43のいずれかに記載の使用。
【請求項46】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカイン、非サイトカインアジュバント、モノクローナル抗体および癌ワクチンの群から選択されている、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項47】
1種または2種以上の免疫療法剤が:サイトカインおよび非サイトカインアジュバントの群から選択されている、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
1種または2種以上の免疫療法剤が、1種または2種以上のサイトカインである、請求項35〜44のいずれかに記載の使用。
【請求項49】
組合せ物が、さらに1種または2種以上の化学療法剤を含む、請求項35〜48のいずれかに記載の使用。
【請求項50】
癌が、固形癌である、請求項35〜49のいずれかに記載の使用。
【請求項51】
哺乳類が、ヒトである、請求項35〜50のいずれかに記載の使用。
【請求項52】
癌の処置のための組合せ物を含む薬学的キットであって、前記組合せ物が:
(a)哺乳類リボヌクレオチドレダクターゼR2サブユニットmRNAに相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド、および
(b)1種または2種以上の免疫療法剤
を含む、前記薬学的キット。
【請求項53】
対象における腎臓癌の処置において用いるための組合せ物であって、前記組合せ物が:配列番号:1に相補的な少なくとも7つの連続的なヌクレオチドを含む、7〜100ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび1種または2種以上のサイトカインを含む、前記組合せ物。
【請求項54】
1種または2種以上のサイトカインが:インターフェロンアルファおよびインターロイキン−2から選択されている、請求項53に記載の組合せ物。
【請求項55】
処置が、一次全身療法である、請求項53または54に記載の組合せ物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−520474(P2007−520474A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548057(P2006−548057)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000040
【国際公開番号】WO2005/065719
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506238400)ジーンセンス テクノロジーズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000040
【国際公開番号】WO2005/065719
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506238400)ジーンセンス テクノロジーズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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