説明

リボンカートリッジ及び記録装置

【課題】 インクリボンの引き出しを抑えて安定したリボン走行を可能にしたリボンカートリッジ及び記録装置を提供する。
【解決手段】 リボン収納部の出口側300にインクリボン51に制動力を与える付与機構100を備え、この付与機構100がインクリボン張力に応じて制動力を可変する可変手段101を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンに制動力を与える付与機構を備えたリボンカートリッジ及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち出し、リボンカートリッジから引き出されるインクリボンを介して記録媒体に画像を記録するドットインパクトプリンタが知られている。この種のものでは、リボン収納部の出口側に、インクリボンに接触自在に板ばね、もしくはコイルばねを配置し、インクリボンに制動力を与えて、インクリボンの引き出しを抑制していた(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平11−216939号公報
【特許文献2】特開平10−35065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成では、キャリッジ移動速度が速い場合から遅い場合まで、同一制動力に設定されているため、特に、キャリッジ移動速度が速い場合、負荷が高くなるリボンの継ぎ目をキャリッジが通過したとき、インクリボンが不必要に引き出されて、リボンロックを起こす等の不具合があった。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、インクリボンの引き出しを抑えて安定したリボン走行を可能にしたリボンカートリッジ及び記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、リボン収納部の出口側にインクリボンに制動力を与える付与機構を備え、この付与機構がインクリボン張力に応じて制動力を可変する可変手段を備えたことを特徴とする。
本発明では、インクリボン張力が小さい段階では、それに応じてインクリボンへの制動力が小さく規定され、インクリボン張力が増大した場合には、それに応じて制動力が大きく可変する。これを例えばドットインパクトプリンタに搭載した場合、キャリッジ移動速度が遅い段階では、インクリボン張力が小さく、その制動力も小さく規定され、キャリッジ移動速度が速くなると、インクリボン張力が増大し、それに応じてインクリボンへの制動力が大きくなる。これによると、例えば負荷が高くなるリボンの継ぎ目をキャリッジが通過する場合、キャリッジ移動速度が速く、インクリボン張力が増大したとしても、これに応じて制動力が増大するため、インクリボンが不必要に引き出されることがなくなり、リボンロックの発生が回避される。
【0005】
この場合において、前記付与機構が、インクリボン通路を形成するカートリッジケースの隅部に設けられた制動部材と、この制動部材との協働によりインクリボンに制動力を与える弾性部材とを備え、インクリボン張力に応じて制動部材を変位させて制動力を可変するものであってもよい。また、前記制動部材が、前記弾性部材との協働によりインクリボンに制動力を与える制動力付与部と、インクリボン張力に応じて変位する変位部とを一体に備え、この変位部の変位により制動力付与部を揺動させて制動力を可変するものであってもよい。さらに、前記弾性部材が板ばねであってもよい。
これら構成によれば、インクリボンに制動力を与える機構が簡素化され、低い製造コストで、高い効果の制動力可変機構が提供される。
【0006】
キャリッジに搭載された記録ヘッドから記録ワイヤを打ち出すことにより、リボンカートリッジから引き出されるインクリボンを介して記録媒体に画像を記録する記録装置において、前記リボンカートリッジが、リボン収納部の出口側にインクリボンに制動力を与える付与機構を備え、この付与機構がインクリボン張力に応じて制動力を可変する可変手段を備えたものであってもよい。
この構成では、キャリッジ移動速度が遅い段階では、インクリボン張力が小さく、その制動力も小さく規定され、キャリッジ移動速度が速くなると、インクリボン張力が増大し、それに応じてインクリボンへの制動力が大きくなる。
これによると、例えば負荷が高くなるリボンの継ぎ目をキャリッジが通過する場合、キャリッジ移動速度が速く、インクリボン張力が増大したとしても、これに応じて制動力が増大するため、インクリボンが不必要に引き出されることがなくなり、いわゆるリボンロックの発生が回避される。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、インクリボン張力が小さい段階では、それに応じてインクリボンへの制動力が小さく規定され、インクリボン張力が増大した場合には、それに応じて制動力が大きく可変するため、これを例えばドットインパクトプリンタに搭載した場合、キャリッジ移動速度が遅い段階では、インクリボン張力が小さく、その制動力も小さく規定され、キャリッジ移動速度が速くなると、インクリボン張力が増大し、それに応じてインクリボンへの制動力が大きくなる。従って、例えば負荷が高くなるリボンの継ぎ目をキャリッジが通過する場合、キャリッジ移動速度が速く、インクリボン張力が増大したとしても、これに応じて制動力が増大するため、インクリボンが不必要に引き出されることがなくなり、リボンロックの発生が回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドットインパクトプリンタ10の外観斜視図であり、図2は、ドットインパクトプリンタ10の背面図である。また、図3は、ドットインパクトプリンタ10が内蔵する記録機構部20の構成を示す斜視図であり、図4は、図3のA−A´線における記録機構部20の断面図である。なお、図4においては記録ヘッド30の図示を省略する。図5は、上面カバー13を開放した状態におけるドットインパクトプリンタ10の上面図であり、図6は、上面カバー13を開放してリボンカートリッジ50を装着した状態におけるドットインパクトプリンタ10の上面図である。
【0009】
本発明の記録装置としてのドットインパクトプリンタ10は、複数の記録ワイヤを打ち出す記録ヘッド30により、記録媒体の記録面に対して、インクリボンを介して記録ワイヤを打ち出すことによって文字を含む画像を記録するものである。ここで、記録媒体としては、単票紙、連続紙、複写紙等、種々の形態のシート(紙製及び樹脂製のシートを含む)を利用可能であるが、本実施形態では、上記記録媒体として連続紙を用いた例について説明する。
【0010】
図1に示すように、ドットインパクトプリンタ10は、上部ケース11及び下部ケース12からなる略箱形の外装を有し、この外装に記録機構部20(図3)を内蔵する。
上部ケース11の上面前部には上面カバー13が配設され、後述するリボンカートリッジ50(図6)を記録機構部20に装着する際等に上方に開かれる。上部ケース11の前面下部には、記録機構部20に連続紙を供給するためのフロント給紙口111が開口する。フロント給紙口111の上には、前方に開く前面カバー15が配設され、前面カバー15を開けて記録機構部20に連続紙をセットできるようになっている。
【0011】
また、図1及び図2に示すように、上部ケース11には、上部ケース11の上面後部から背面にかけて連続する上背面カバー14が配設される。上背面カバー14は、後述する記録機構部20のメンテナンス時等に、上部ケース11の後方に向けて開放される。上背面カバー14の背面には、記録後の連続紙が吐き出される排紙口113が開口する。
さらに、上部ケース11の背面において、上背面カバー14の下には、記録機構部20に連続紙を供給するためのリア給紙口112が開口する。
さらに、図2に示すように、下部ケース12の背面下部にはI/Fカバー16が配設される。I/Fカバー16の内側には、ドットインパクトプリンタ10をコンピュータ等の各種機器に接続するためのコネクタ(図示略)が配設されており、I/Fカバー16を開けて、上記コネクタにケーブルを接続する等の作業を行えるようになっている。
【0012】
また、図1に示すように、上部ケース11の前面上部には操作パネル121が配設される。操作パネル121は、ドットインパクトプリンタ10の動作に係る各種設定を行うためのスイッチ類、動作状態を報知するインジケータ及び液晶ディスプレイパネル等を備える。下部ケース12の前面の隅には、ドットインパクトプリンタ10の電源をON/OFFするスイッチ122が配される。また、下部ケース12の背面には、図2に示すように、ドットインパクトプリンタ10に電源を供給するための電源コネクタ123が配設される。
【0013】
次に、記録機構部20の構成について説明する。図3及び図4に示すように、記録機構部20は、本体フレームとしての右サイドフレーム21、左サイドフレーム22、フロントフレーム23及びベースフレーム24を備える。この本体フレームに、記録ヘッド30と、記録ヘッド30を載置するキャリッジ28と、フロント側から記録ヘッド30に対して連続紙を供給するフロント給紙機構26と、リア側から記録ヘッド30に対して連続紙を供給するリア給紙機構27と、フロント給紙機構26及びリア給紙機構27により供給された連続紙を記録ヘッド30に向けて搬送する搬送機構34と、記録ヘッド30による記録済みの連続紙を排出する排紙機構35と、リボンカートリッジ50(図6)を駆動するリボン駆動ユニット37とが配設される。
【0014】
右サイドフレーム21及び左サイドフレーム22は、記録機構部20の両端部において互いに対向するよう立設され、この右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に、フロントフレーム23及びベースフレーム24が架け渡される。フロントフレーム23は記録機構部20のフロント側に位置し、ベースフレーム24は記録機構部20の下部のリア側に位置する。
右サイドフレーム21及び左サイドフレーム22のフロント下部には、それぞれローラ25が配設され、これら2個のローラ25を介して、記録機構部20が下部ケース12により支持される。また、ローラ25は回転自在に構成され、ローラ25を支点として記録機構部20をフロント側に傾けることで、記録機構部20の下方に配設される制御基板(図示略)のメンテナンス等を行える。
フロント給紙機構26は、記録機構部20の前面下部に配設されたフロント給紙台261と、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に平行に架け渡されたトラクタ支持軸263及びトラクタ駆動軸264と、左右一対のフロントトラクタ262と、各フロントトラクタ262に一体に取り付けられたフロントトラクタカバー266とを備える。
【0015】
フロント給紙台261は、記録機構部20の前面のほぼ下端部から斜め上に延びる面を有し、この面により、フロント給紙口111(図1)から挿入された連続紙を下方から支持する。フロント給紙台261の上方には、トラクタ支持軸263及びトラクタ駆動軸264が配設され、これらトラクタ支持軸263及びトラクタ駆動軸264に、左右一対のフロントトラクタ262が挿通される。
フロントトラクタ262は各々平面部を有し、この平面部がフロント給紙台261の面に連なるよう配設される。また、フロントトラクタ262は、複数のピン265を有するトラクタベルト(図示略)を備える。このトラクタベルトはトラクタ支持軸263とトラクタ駆動軸264とに架けられる。トラクタ支持軸263は回転自在に配設される一方、トラクタ駆動軸264は搬送モータ67(図15)によって駆動されて回転する。
そして、上記トラクタベルトは、トラクタ駆動軸264の回転に伴って回転し、ピン265をフロントトラクタ262の平面に沿って移動させる。ピン265は、フロントトラクタ262の平面部から露出し、連続紙の両端部に穿設されたスプロケットホールに係合する。そして、上記トラクタベルトが回転してピン265が移動することにより、連続紙が記録ヘッド30側へ搬送される。
【0016】
また、フロントトラクタ262には、ピン265の上方から被さるフロントトラクタカバー266が配設される。フロントトラクタ262に連続紙を載せてフロントトラクタカバー266を被せることにより、ピン265が連続紙のスプロケットホールに係合した状態が保持される。
リア給紙機構27は、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に平行に架け渡されたトラクタ支持軸272及びトラクタ駆動軸273と、左右一対のリアトラクタ271と、各リアトラクタ271に一体に取り付けられたリアトラクタカバー275と、リアトラクタ271の奥に配設されたスプロケットホイール276とを備える。
【0017】
記録機構部20のリア側においては、ベースフレーム24の一部が、リア給紙口112(図2)に対応する位置で平面に形成されており、この平面により、リア給紙口112から挿入された連続紙が下方から支持される。そして、このベースフレーム24に並べてトラクタ支持軸272及びトラクタ駆動軸273が配設され、これらトラクタ支持軸272及びトラクタ駆動軸273に、2個のリアトラクタ271が挿通される。リアトラクタ271は平面部を有し、この平面部が、ベースフレーム24がなす平面に連なるように配設される。
また、リアトラクタ271は、複数のピン274を有するトラクタベルト(図示略)を備え、このトラクタベルトはトラクタ支持軸272とトラクタ駆動軸273とに架けられており、搬送モータ67(図15)によってトラクタ駆動軸273が駆動されることにより回転する。ピン274はリアトラクタ271の平面部に露出しており、連続紙に穿設されたスプロケットホールに係合する。そして、上記トラクタベルトの回転によりピン274が移動し、連続紙がフロント側へ搬送される。
【0018】
リアトラクタ271の奥には、スプロケットホイール276が配設される。スプロケットホイール276は、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に架け渡された軸に挿通された左右一対の輪状部材であり、上記軸が搬送モータ67(図15)により駆動されることで回転する。スプロケットホイール276の円周面には複数のピン277が並び、これらピン277は、リアトラクタ271から搬送された連続紙のスプロケットホールに、上方から係合する。そして、スプロケットホイール276の回転によって連続紙が巻き上げられ、記録ヘッド30に向けて搬送される。
【0019】
また、リアトラクタ271には、ピン277の上方から被さるリアトラクタカバー275が配設される。リアトラクタ271に連続紙を載せてリアトラクタカバー275を被せることにより、ピン274が連続紙のスプロケットホールに係合した状態が保持される。
搬送機構34は、連続紙の裏面に当接する第1搬送ローラ341と、連続紙を介して第1搬送ローラ341に対向する第2搬送ローラ342と、第2搬送ローラ342を軸支する第2搬送ローラ軸343と、記録ヘッド30に対向して配設されたプラテン31とを備える。
【0020】
第1搬送ローラ341はスプロケットホイール276の上方に配設され、連続紙の裏面に当接する。この第1搬送ローラ341に対して、連続紙を挟んで対向する位置に、第2搬送ローラ軸343が配設される。この第2搬送ローラ軸343は、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に回転自在に架け渡され、複数の第2搬送ローラ342が挿通される。第2搬送ローラ軸343は、ローラ開閉モータ66(図15)の動作によって所定の範囲内で移動可能であり、ローラ開閉モータ66が開動作を行うと、第2搬送ローラ342は第1搬送ローラ341から離隔され、ローラ開閉モータ66が閉動作を行うと、第2搬送ローラ342は第1搬送ローラ341に向けて付勢される。
【0021】
そして、上記ローラ開閉モータ66が閉動作を行うことで、連続紙が第1搬送ローラ341と第2搬送ローラ342との間に挟まれて支持される。第1搬送ローラ341は搬送モータ67(図15)及び駆動輪列部33により駆動され、第1搬送ローラ341が回転することにより、第1搬送ローラ341と第2搬送ローラ342とに挟まれた連続紙が、上方すなわち記録ヘッド30側へ搬送される。
キャリッジ28は、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に架け渡されたキャリッジ軸29に挿通される。キャリッジ28には、キャリッジ駆動モータ32とキャリッジ駆動プーリ(図示略)とに架けられたベルトが装着され、キャリッジ駆動モータ32とキャリッジ駆動プーリによってベルトが駆動されることで、キャリッジ軸29に沿って移動する。
キャリッジ28には、記録ヘッド30が搭載される。記録ヘッド30は、搬送機構34の上方において連続紙の記録面に対向し、連続紙の記録面と記録ヘッド30との間には、後述するインクリボン51(図6)が配設される。そして、記録ヘッド30から連続紙に向けて記録ワイヤ(図示略)を打ち出すことにより、連続紙の記録面にインクが付着し、文字を含む画像が記録される。
【0022】
記録ヘッド30に対向する位置においては、連続紙の裏面側に、プラテン31が配設される。プラテン31は、連続紙に接する平面を有する平プラテンであり、この平面において記録ワイヤの突出力を支持する。プラテン31は、連続紙に対して垂直な方向に移動可能に構成され、ばね(図示略)によって連続紙に向けて付勢される。
また、キャリッジ28はギャップ調整モータ69(図15)を搭載する。このギャップ調整モータ69の動作により、記録ヘッド30と連続紙及びプラテン31との間のギャップが適宜調整される。
【0023】
排紙機構35は、記録ヘッド30により記録された連続紙に裏側から当接する第1排紙ローラ351と、右サイドフレーム21から左サイドフレーム22にかけて配設された可動フレーム353と、可動フレーム353を支持する可動軸354及びユニット支持軸355と、可動フレーム353と左サイドフレーム22とに跨って組み付けられたばね356と、可動フレーム353に固定された複数の排紙ローラユニット357と、排紙ローラユニット357に組み付けられた第2排紙ローラ358とを備える。
【0024】
第1排紙ローラ351は、記録ヘッド30の上方において連続紙の裏面に当接し、搬送モータ67(図15)及び駆動輪列部33により駆動されて回転する。この第1排紙ローラ351に対して、連続紙を介して対向する位置に、可動軸354及びユニット支持軸355が配設される。可動軸354及びユニット支持軸355は、右サイドフレーム21と左サイドフレーム22との間に架け渡され、ユニット支持軸355は右サイドフレーム21及び左サイドフレーム22に固定される一方、可動軸354は、ユニット支持軸355を中心として円を描くように移動可能である。また、可動フレーム353は、可動軸354及びユニット支持軸355に固定され、可動軸354とともに移動可能である。
可動フレーム353には、可動軸354及びユニット支持軸355の軸方向に沿って並ぶ複数の排紙ローラユニット357が取り付けられる。排紙ローラユニット357には、それぞれ、ユニット支持軸355から離隔した位置に第2排紙ローラ358が組み付けられている。
【0025】
可動フレーム353は、左サイドフレーム22との間に架け渡されたばね356によって、ユニット支持軸355を中心として第1排紙ローラ351に近づく方向に付勢される。このため、排紙ローラユニット357が有する第2排紙ローラ358は、第1排紙ローラ351に押し付けられる方向に付勢され、この付勢力により、連続紙が第1排紙ローラ351と第2排紙ローラ358との間に挟まれる。
さらに、可動軸354は、ローラ開閉モータ66(図15)の動作によって、ばね356の付勢力に抗して移動される。すなわち、ローラ開閉モータ66が開動作を行うと、ローラ開閉モータ66の駆動力によって、可動軸354がばね356の付勢力に抗して移動し、第2排紙ローラ358が第1排紙ローラ351から離隔する。また、ローラ開閉モータ66が駆動力を解放する(閉動作)と、ばね356の付勢力によって、第2排紙ローラ358が第1排紙ローラ351に押し付けられる。
【0026】
図5に示すように、記録機構部20のフロント側の右端部には、リボン駆動ユニット37が配設される。リボン駆動ユニット37は、図3に示すように右サイドフレーム21に固定されており、略箱形のカバーと、このカバーから突出するリボン巻き取り軸38及び巻き取り検出軸40とを備える。
また、図5に示すように、記録機構部20のフロント側の左端部には、リボンカートリッジ支持爪36が配設される。リボンカートリッジ支持爪36は左サイドフレーム22に一体として形成された板状部材である。
記録機構部20には、図6に示すように、リボンカートリッジ支持爪36とリボン駆動ユニット37とに跨ってリボンカートリッジ50が装着される。この図6に示す装着状態において、リボンカートリッジ50はキャリッジ28の上方に位置し、リボンカートリッジ50から延びるインクリボン51が、記録ヘッド30と連続紙との間を通る。
【0027】
図7は、リボンカートリッジ50の構成を示す外観斜視図、図8は、リボンカートリッジ50の上面図、図9は、リボンカートリッジ50の横断面図である。
図7から図9の各図に示すように、リボンカートリッジ50は平型のカートリッジケース53を有する。カートリッジケース53には、インクリボン51を収容するリボン収納部55が形成され、無端形状に形成されたインクリボン51が、折り畳まれて収容される。インクリボン51は、巻き取りローラ56及び従動ローラ58によってカートリッジケース53内に巻き取られ、リボン収納部55を経て、ケース53の外へ送り出されて周回する。カートリッジケース53から突出する巻き取り突起54はケース53内の巻き取りローラ56に連通しており、巻き取り突起54を手で回すことにより、巻き取りローラ56を回転させてインクリボン51を巻き取ることができる。
【0028】
また、インクリボン51は、カートリッジケース53の外部においてリボンガイド52に挿通される。このリボンガイド52は、キャリッジ28(図5)に装着され、インクリボン51が記録ヘッド30と連続紙との間を通るようにインクリボン51を支持する。なお、図7から図9では、リボンガイド52がカートリッジケース53の側面に係止された状態を図示したが、リボンカートリッジ50の使用時には、リボンガイド52がカートリッジケース53から取り外され、キャリッジ28に装着される。
リボンカートリッジ50を記録機構部20に装着した状態においては、リボン駆動ユニット37(図5)のリボン巻き取り軸38が回転することによって巻き取りローラ56が回転し、インクリボン51がケース53に巻き取られる。
【0029】
本構成では、リボン収納部55の出口側300(図9)に、図10に示すように、インクリボン51に制動力を与える付与機構100が設けられている。この付与機構100は、制動部材101と、この制動部材101との協働によりインクリボン51挟んで、それに制動力を与える板ばね状の弾性部材(以下、板ばねという。)103とを備えて構成されている。この板ばね103は、一端103aがカートリッジケース53のケース凹部53cに係止され、途中が、略円柱状の保持部53dで保持されて、他端103bがインクリボン51に接触している。
上記制動部材101は、インクリボン51の出口通路53aを形成するカートリッジケース53のケース隅部53bに配置されている。この制動部材101は、板ばね103の他端103bと直接的に協働してインクリボン51を挟み、このインクリボン51に制動力を与える略円柱状の制動力付与部101aと、インクリボン51の張力に応じて当該位置を変位させる略円柱状の変位部101bとを備え、これらを連結バー101cによって一体に連結して構成されている。この連結バー101cは、ピン101dを介して、カートリッジケース53に連結され、この制動部材101は、変位部101bの変位により制動力付与部101aを矢印Aまたは矢印Bの方向に回動させて、インクリボン51に与える制動力を可変する。
【0030】
このドットインパクトプリンタ10では、例えばキャリッジ28(図5)の移動速度が遅い場合、インクリボン51に加わる張力Fが小さい。この場合、付与機構100において、制動部材101が、板ばね103のばね力により押され、ピン101dの回りを矢印B方向に回動し、図示の状態に至り、板ばね103と制動力付与部101aとの間に発生するインクリボン51への制動力が小さくなる。
キャリッジ28の移動速度が速くなると、インクリボン51の張力が増大し、それに応じて、インクリボン51が、変位部101bを矢印C方向に押し込み、制動部材101が、板ばね103のばね力に抗して、ピン101dの回りを矢印A方向に回動し、制動力付与部101aが板ばね103を強く押し込み、板ばね103と制動力付与部101aとの間に発生するインクリボン51への制動力が大きくなる。
【0031】
すなわち、上記構成では、キャリッジ移動速度が遅い段階では、インクリボン張力が小さく、その制動力も小さくなり、キャリッジ移動速度が速くなると、インクリボン張力が増大し、それに応じてインクリボン51への制動力が大きくなり、これによると、例えば負荷が高くなるリボン51の継ぎ目をキャリッジ28が通過する場合、キャリッジ28の移動速度が速くなって、インクリボン51の張力が増大しても、これに応じて制動力が増大するため、インクリボン51が不必要に引き出されることがなくなり、いわゆるリボンロックの発生が回避される。
上記構成では、インクリボン51に制動力を与える機構が、板ばね103と制動部材101だけで構成されるため、付与機構の構造が簡素化し、低い製造コストで、高い効果の制動力可変機構が提供される。なお、弾性部材103は板ばねに限定されず、例えばコイルスプリング等であってもよい。
【0032】
図11は、別の実施形態を示す。
本実施形態では、上記実施形態と同様に、リボン収納部55の出口側300に、インクリボン51に制動力を与える付与機構200が設けられている。この付与機構200は、制動部材201と、制動部材201との協働によりインクリボン51を押し込んで、それに制動力を与える板ばね状の弾性部材(以下、板ばねという。)203とを備えて構成されている。この板ばね203は、一端203aがカートリッジケース53のケース凹部53cに係止され、途中が、略円柱状の保持部53dで保持されて、他端203bがインクリボン51に接触している。
上記制動部材201は、インクリボン51の出口通路53aを形成するカートリッジケース53のケース隅部53bに配置されている。この制動部材201は、板ばね203の他端203bと直接的に協働してインクリボン51を押圧し、このインクリボン51に制動力を与える略円柱状の制動力付与部201aと、インクリボン51の張力に応じて当該位置を変位させる略円柱状の変位部201bとを備え、これらを連結バー201cによって一体に連結して構成されている。この連結バー201cはピン201dを介してカートリッジケース53に連結され、上記制動部材201は、変位部201bの変位により制動力付与部201aを矢印Aまたは矢印Bの方向に回動させて、インクリボン51に与える制動力を可変する。
【0033】
上記ケース隅部53bには、略円柱状のリボン保持部210が固定され、このリボン保持部210の上にはインクリボン51が配置され、その上に板ばね203が配置され、さらに制動部材201の制動力付与部201aが重ねて配置される。この構成では、キャリッジ28(図5)の移動速度が遅い場合、インクリボン51に加わる張力Fが小さい。この場合には、変位部201bの変位が少なく、制動力付与部201aの押し力が小さく、インクリボン51に対し、専ら、板ばね203のばね力だけが付与され、インクリボン51への制動力は小さい。
これに対し、キャリッジ28の移動速度が速くなると、インクリボン51の張力が増大し、それに応じて、インクリボン51が、変位部201bを矢印C方向に押し込み、これと一体に回動する制動力付与部201aが、板ばね203を強く押し込み、これが付加されてインクリボン51への制動力が増大する。
この場合も、弾性部材203は板ばねに限定されるものではなく、例えばコイルスプリング等であってもよい。
【0034】
このように、本実施形態に係るドットインパクトプリンタ10では、キャリッジ28の移動速度が速くなって、インクリボン51の張力が増大しても、これに応じてインクリボン51への制動力が増大するため、インクリボン51が不必要に引き出されることがなく、リボンロックが回避される。
【0035】
上述した実施形態は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、ステーショナリー型のリボンカートリッジ50を駆動する構成を例示したが、これに限らず、オンキャリッジ型の構成、すなわち、キャリッジ28に搭載されたリボンカートリッジがキャリッジ28と共に移動する構成においても、本発明の適用が可能である。また、その他の細部構成についても、本発明の趣旨を損なうことのない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を適用した一実施形態に係るドットインパクトプリンタの外観斜視図である。
【図2】図1に示すドットインパクトプリンタの背面図である。
【図3】図1に示すドットインパクトプリンタが内蔵する記録機構部の構成を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A´線における記録機構部の断面図である。
【図5】図1に示すドットインパクトプリンタの上面図である。
【図6】図1に示すドットインパクトプリンタの上面図である。
【図7】図6に示すリボンカートリッジの構成を示す外観斜視図である。
【図8】図7に示すリボンカートリッジの上面図である。
【図9】図7に示すリボンカートリッジの横断面図である。
【図10】インクリボンに制動力を与える付与機構を示す図である。
【図11】別の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10…ドットインパクトプリンタ、20…記録機構部、30…記録ヘッド、37…リボン駆動ユニット、38…リボン巻き取り軸、50…リボンカートリッジ、51…インクリボン、55…リボン収納部、56…巻き取りローラ、58…従動ローラ、100、200…付与機構、101、201…制動部材(可変手段)、101a、201a…制動力付与部、101b、201b…変位部、103、203…弾性部材、300…出口側。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボン収納部の出口側にインクリボンに制動力を与える付与機構を備え、この付与機構がインクリボン張力に応じて制動力を可変する可変手段を備えたことを特徴とするリボンカートリッジ。
【請求項2】
前記付与機構が、インクリボン通路を形成するカートリッジケースの隅部に設けられた制動部材と、この制動部材との協働によりインクリボンに制動力を与える弾性部材とを備え、インクリボン張力に応じて制動部材を変位させて制動力を可変することを特徴とする請求項1記載のリボンカートリッジ。
【請求項3】
前記制動部材が、前記弾性部材との協働によりインクリボンに制動力を与える制動力付与部と、インクリボン張力に応じて変位する変位部とを一体に備え、この変位部の変位により制動力付与部を揺動させて制動力を可変することを特徴とする請求項2記載のリボンカートリッジ。
【請求項4】
前記弾性部材が板ばねであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のリボンカートリッジ。
【請求項5】
キャリッジに搭載された記録ヘッドから記録ワイヤを打ち出すことにより、リボンカートリッジから引き出されるインクリボンを介して、記録媒体に画像を記録する記録装置において、
前記リボンカートリッジが、リボン収納部の出口側にインクリボンに制動力を与える付与機構を備え、
この付与機構がインクリボン張力に応じて制動力を可変する可変手段を備えたことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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