説明

リポソーム医薬の製造方法及びリポソーム製造装置

本発明の本質は、水性媒体を脂質成分(有機溶媒中の脂質)と以下の方法で混合することである。即ち、前記脂質成分(有機溶媒中の脂質溶液)をラバルノズルの形状のイジェクタミキシングチャンバ中に、前記水性媒体が前記イジェクトの入り口ノズルを流れ出る加圧されたジェットから生じるエネルギによりイジェクト導入(吸引)され、これにより前記ミキシングチャンバの収束する部分(収束部)では前記ジェットにより圧力低下が生じ、リポソームのエアロゾル流が前記ミキシングチャンバの広がる部分(拡大部)の出口で生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジの応用分野に関し、医薬品、化粧品、獣医薬品、作物科学などに適用され、エアロゾル流のリポソーム医薬の製造の効率を改善することができる。
【背景技術】
【0002】
リポソーム医薬をエアロゾル形で製造する方法は従来から知られている。即ちGB2145107A,1985に記載される、混合装置で水性媒体と脂質成分(脂質の有機溶媒溶液)を混合し、その後ノズルからスプレーしてエアロゾル流体形を製造する方法である。しかしながら、脂質溶液として脂質成分を水性媒体と単に混合してリポソームベシクルを製造する方法は十分な効果が得られない。
【0003】
リポソーム医薬をエアロゾル形で製造する装置もまた従来から知られている。即ちGB2145107A、A61J3100、1985に記載される、水性媒体及び脂質成分(水溶性有機溶媒の溶液)をそれぞれ含む容器が、出口にスプレーノズルを有する混合装置に結合されている装置である。この装置では、両方の成分が前記それぞれの容器内の高圧ガス(天然ガス)の圧力でそれぞれの容器から混合装置に供給される。この構成は装置を複雑にし、成分の十分な混合も、又得られる混合物が高度に分散されるべきスプレー効果も保証されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リポソーム医薬のエアロゾル流の製造の効率の改善を課題とし、かつリポソーム製造のための効果的な装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題は、本発明により、リポソーム製造のための方法で解決される。即ち、水性媒体と、有機溶媒溶中の溶液として脂質成分とを共にミキシングチャンバに圧力下に供給して混合し、その後、ノズルからスプレーすることによりエアロゾル流を形成させて処理される表面に適用される。前記ミキシングチャンバのダイバージェント管の広がる部分からスプレーして、前記出口でエアロゾル流体形を形成させる。ここで前記混合は、イジェクタにより達成されるが、前記イジェクタは前記脂質成分をラバル型ノズルの形状に作られる前記イジェクタの前記ミキシングチャンバ内に吸引導入されるが、これは、前記イジェクタの入り口ノズルから流れる出る水性媒体のジェット流のエネルギにより生じ、前記水性媒体は前記ミキシングチャンバの前記狭い部分−収束する管部分−を流れて希薄化を伴い、同時に広がる部分−前記ミキシングチャンバの−では分散と均一化を生じる。
【0006】
同時に、前記水性媒体及び/又は前記脂質成分−有機溶媒の溶液として−は、生物活性物質を含んでいてよい。
【0007】
加えて、上記の問題はまた、リポソーム製造の装置で解決される。即ち、水性媒体の容器と、水溶性有機溶媒中の脂質溶液として脂質成分の容器を含み、これらはスプレーノズルを出口に持つ混合装置に結合される。本発明によれば、ポンプが、前記水性媒体用及び前記混合装置の間に設けられてよい。ここで前記混合装置は、イジェクタの形状であり、前記中央の入り口アクティブフローノズルは前記ポンプの出口パイプに結合される。前記ミキシングチャンバは、ラバルノズルの形状であり、その集束する管は前記脂質成分の容器に結合され、広がる管はスプレーノズルである。
【0008】
集束する部分と広がる部分を持つラバルノズルの形状で成形されるミキシングチャンバを持つイジェクタの形状の前記混合装置の構成は、単純なデザインである。また、脂質成分を前記ミキシングチャンバにイジェクト(吸入導入)は前記イジェクタの中心入り口ノズルから流れ出る水性媒体のジェットによるエネルギにより生じ、このジェットは狭い部分(集束する部分)で希薄化を起こし、一方、かかる水力学的作用により、高速で通って流れる成分の強い分散と均一化が、前記広がる部分(広がる管)で生じ、前記広がる管から流れ出る際、スプレーノズルから、脂質で取り囲まれた生物活性物質の溶液を含む微細に分散された滴的の流れを生じ、これは安定な二重膜−ベシクル(リポソーム)を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は本発明によるリポソームの製造装置を模式的に示した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
リポソーム医薬を製造する装置は、容器1を含む。これは水性媒体を含み、生物活性物質を含むことができる。さらに前記装置は容器2を含む。これは、脂質成分−水溶性有機溶媒の溶液として−を含み、また生物活性物質を含むことができる。前記装置はさらに、混合装置−イジェクタ3を含む。中心アクティブフローノズル4はポンプ5の出口パイプに結合され、前記ポンプは容器1とイジェクタ3の間に設けられる。イジェクタ3のミキシングチャンバ6はラバルノズルの形状で作られる。この集束する管7は容器2で脂質成分と結合される。かつミキシングチャンバ6のラバルノズルの広がる管8はスプレーノズルである。制御バルブ9は、容器1及び容器2とイジェクタ3を結合するパイプラインに設けられる。エアロゾル流の形でリポソーム医薬を製造するため適用される方法は以下に説明される。
【0011】
脂質成分はリン脂質(リン脂質自体、又はそれらの混合物、植物、動物又は微生物由来原材料)の水溶性有機溶媒(エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、ヘキサン、メタノール、クロロホルム、エーテルなど)であり、濃度は0.5%以上である。また、生物活性物質を含むことができる。これを容器2に入れる。容器1には水性媒体、例えば生物活性物質の水溶液を入れる。前記水性媒体は容器1からポンプ5によりイジェクタ3の中心ノズル4に導入されると(又は変法のひとつとして、中性ガスの圧力−ポンプによる容器1への圧縮ガス)、流れ出るアクティブフロージェット流が前記ラバルノズルの集束する管7−イジェクタ3の混合容器−で希釈化を生じる。それにより脂質成分のイジェクト(吸入導入)−容器2からリン脂質溶液の−が生じる。広がる管8では、脂質成分−リン脂質溶液−が前記水性媒体の流れと活発に混合され、これらの成分の均一な分散物が形成される。これをスプレーすることで、リポソームのエアロゾル流−即ち、安定な二重膜を形成する脂質で囲まれる生物活性物質の溶液を含む微細に分散された−ベシクル(リポソーム)が、ラバルノズルの前記広がる管8−混合容器6−の出口から、スプレーノズルからとして、形成される。前記成分の流速の比率はバルブ9で制御される。形成されるエアロゾル流は生物活性物質を含むリポソームの分散物であり、前記広がる管8から処理されるべき表面、例えば皮膚へ直接輸送される。
【0012】
実施例1
脂質成分を調製するために、リン脂質抽出(例えばリポホーク、Lipofolk)を水溶性有機溶媒(例えば70%エタノール)中にリン脂質が10%になるまで溶解させ、1:1の比で生物活性物質と混合する。カレンデュラのアルコールチンキ剤(70%アルコール)−消毒性及び抗炎症性調製物−を乾燥花から1:10比で調製する。得られた脂質成分を容器2に投入し、容器1には蒸留水を入れる。生物活性物質−カレンデュラ(カレンデュラの8−10%抽出物)を含むリポソームの水性分散物のエアロゾル流(前記イジェクト混合の結果得られる)を前記ラバルノズルの広がる管8−混合容器6−から、スプレーノズルからとして、処理されるべき表面、例えば皮膚に直接適用する。
【0013】
実施例2
脂質溶液を、リン脂質抽出(例えばリポホーク、Lipofolk)を水溶性有機溶媒(例えば70%エタノール)中にリン脂質が10%になるまで溶解させて容器2に投入する。容器1には水性媒体(生物活性物質の水溶液)を入れる。生物活性物質は例えば、山アルニカ花の40%アルコール溶液(抽出率1:15)での山アルニカ花チンキ剤である。生物活性物質−抽出山アルニカ花(局所微小循環と血液供給の改善、リンパドレナージュの促進、静脈緊張維持、及び脚の浮腫の除去)含むリポソームの水性分散物のエアロゾル流(前記イジェクト混合の結果得られる)を前記ラバルノズルの広がる管8−混合容器6−から、スプレーノズルからとして、処理されるべき表面、例えば皮膚に直接適用する。
【0014】
実施例3
脂質成分を調製するために、リン脂質抽出(例えばリポホーク、Lipofolk)を水溶性有機溶媒(例えば70%エタノール)中にリン脂質が10%になるまで溶解させ、1:1の比で生物活性物質と混合する。生物活性物質は、アルニカのアルコール抽出物(山アルニカ花の40%アルコール溶液)及びカモミール(野生カモミール花の40%アルコール溶液の水溶性アルコールチンキ剤)の混合物との1:1の混合物であり、リン脂質との比は1:2となる。脂質成分を容器2に投入する。容器1には水性媒体(生物活性物質の水溶液)を入れる。この水性媒体に含まれる生物活性物質は、野生カモミール花の1:20での水抽出物と、山アルニカ花の1:20での水抽出物との1:1の混合物である。前記イジェクト混合の結果形成されるエアロゾル流は、リポソームの水性分散物であり、生物活性物質−カモミールとアルニカ(これらは皮膚再生過程で刺激作用を奏する)−を含み、前記ラバルノズルの広がる管8−混合容器6−から、スプレーノズルからとして、処理されるべき表面、例えば皮膚に直接適用する。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソーム製造のための方法であり:
水性媒体と、有機溶媒溶中の溶液として脂質成分とを、共にミキシングチャンバに、圧力下で、供給して混合し;
その後、ノズルからスプレーすることにより、エアロゾル流を形成させて処理される表面に適用し;かつ
前記ミキシングチャンバの広がる管の拡大部分からスプレーして、前記出口でエアロゾル流を形成させることを含み、
前記混合はラバル型の形状に形成されるイジェクタにより達成され、
前記イジェクタは、前記脂質成分を、前記イジェクタの入り口ノズルから流れ出る水性媒体のジェット流により生じるエネルギによって前記ミキシングチャンバ内に吸引導入し、
さらに前記ジェット流が、前記水性媒体は前記ミキシングチャンバの前記狭い部分−収束する管部分−を流れて希薄化を伴い、同時に、前記ミキシングチャンバ−広がる管−の拡大部分で分散と均一化を生じさせる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリポソーム製造のための方法であり、前記水性媒体及び/又は脂質成分が生物活性物質を含む、方法。
【請求項3】
リポソームを製造する装置であり:
水性媒体を含む容器と、水溶性有機溶媒の脂質溶液を含む容器とを含み、これらはスプレーノズルをその出口に持つ混合装置に結合され;
前記水溶性媒体と前記混合装置の間に設けられるポンプとを含み、
前記混合装置は、イジェクタの形状で形成され、そのアクティブフローの中心入り口ノズルは前記ポンプの出口と結合され、さらに
前記イジェクタはラバルノズルの形状で形成され、前記脂質成分の前記容器と結合される集束する管及び前記スプレーノズルとして作用する広がる管を含む、装置。

【公表番号】特表2012−513991(P2012−513991A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543461(P2011−543461)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/RU2009/000172
【国際公開番号】WO2010/077167
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510339728)
【Fターム(参考)】