説明

リムーバブル記憶装置および生体認証システム

【課題】リムーバブル記憶装置を交換する場合でも処理が煩雑とならないリムーバブル記憶装置および生体認証システムを提供することを目的とする。
【解決手段】リムーバブル記憶装置1の制御部(MPU)111により指紋読取部115に不具合があると判断されたときに、RAM113に記憶された利用者の生体認証パターンと所定情報とをインターネットファクシミリ装置2またはインターネットファクシミリ装置2に接続されたネットワークに構成されたストレージ301に送信することを特徴とするリムーバブル記憶装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リムーバブル記憶装置および生体認証システムに関し、詳しくは、生体認証パターンを使用して利用者の認証を行うリムーバブル記憶装置およびリムーバブル記憶装置を用いた生体認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用希望者の生体認証パターンを取得し、当該取得した生体認証パターンと、あらかじめ登録している利用を許可する利用者の生体認証パターンとを照合し、取得した生体認証パターンと登録している生体認証パターンとが一致して利用希望者と登録利用者との同一性が認証された場合に、利用希望者による記憶装置へのアクセスを許可するリムーバブル記憶装置が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−110382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているリムーバブル記憶装置のような生体認証装置は、指紋パターン等をセンサでスキャンして認証を行うものであり、比較的高い認証の精度が要求されるので、一定期間使用して精度がおちるとセンサの寿命などにより使用できなくなる。そこで、新たな装置に交換する必要がある。また、特にリムーバブル記憶装置では、持ち運び可能な構成となっているため、持ち運びや着脱作業等で故障することもあり、一定の認証精度を保つためには比較的頻繁に交換を行う必要がある。この交換処理では、リムーバブル記憶装置内のデータを一旦他の記憶媒体に退避させ、その後、新たな記憶媒体にデータを記憶させる処理を行う必要があるので、処理が煩雑となる問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、リムーバブル記憶装置を交換する場合でも処理が煩雑とならないリムーバブル記憶装置および生体認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のリムーバブル記憶装置は、予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とを記憶する記憶手段と、利用希望者の生体認証パターンを取得する生体認証パターン取得手段と、前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンと前記記憶手段により記憶された生体認証パターンとが同一の個体を示す場合に、所定の電子機器装置との間で前記所定情報のデータ交換を行うデータ交換手段と、前記生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かを判断する不具合判断手段と、を有するリムーバブル記憶装置であって、前記不具合判断手段により不具合があると判断されたときに、前記記憶手段により記憶された前記利用者の生体認証パターンと前記所定情報とを前記電子機器装置内または前記電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信することを特徴としている。
【0006】
この構成によれば、リムーバブル記憶装置には、記憶手段と、生体認証パターン取得手段と、データ交換手段と、不具合判断手段と、が備わる。記憶手段により、予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とは記憶される。生体認証パターン取得手段により利用希望者の生体認証パターンは取得される。記憶手段により記憶された生体認証パターンと生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンとが同一の個体を示す場合には、データ交換手段により所定の電子機器装置との間で所定情報のデータ交換が行われる。不具合判断手段により生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かが判断される。不具合判断手段により不具合があると判断されたときには、記憶手段により記憶された所定情報は、電子機器装置内または電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信される。
【0007】
このように、請求項1のリムーバブル記憶装置は、予め登録された利用者の生体認証パターンと利用希望者から取得した生体認証パターンとが同一の個体を示す場合に所定の電子機器装置との間でデータ交換を行うので、情報の機密性を保つことができる。また、生体認証パターン取得手段に不具合が発生した時には、不具合判断手段により不具合であると判断され、所定情報が電子機器装置内または電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信されるので、不具合によりリムーバブル記憶装置を交換する際にリムーバブル記憶装置内に保存されたデータを利用者が外部の記憶装置にあらためて記憶させる必要がない。
【0008】
請求項2に記載のリムーバブル記憶装置は、請求項1に記載のリムーバブル記憶装置において、前記生体認証パターン取得手段により生体認証パターンを取得した回数をカウントする回数カウント手段を更に有し、前記不具合判断手段は、前記回数カウント手段によりカウントされた数が予め定めた設定値に達したときに、不具合であると判断することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、リムーバブル記憶装置には更に回数カウント手段が備わり、回数カウント手段により生体認証パターン取得手段によって生体認証パターンが取得された回数はカウントされ、回数カウント手段によりカウントされた数が予め定めた設定値に達したときには、不具合判断手段により不具合があると判断される。
【0010】
このように、請求項2のリムーバブル記憶装置によれば、生体認証パターン取得手段が使用された数がカウントされ、このカウント数が予め定めた設定値に達すると不具合であると判断され、不具合であると判断されると、記憶手段により記憶された所定情報が電子機器装置内または電気機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信される。したがって、生体認証パターン取得手段の使用回数が設定値を超えると、リムーバブル記憶装置内に記憶された所定情報が外部の記憶装置に送信されることとなるので、耐用回数以上使用したことによるリムーバブル記憶装置の交換の際に、リムーバブル記憶装置内に記憶された所定情報をあらためて外部の記憶装置に記憶させること無く交換作業を行うことができる。
【0011】
請求項3に記載のリムーバブル記憶装置は、請求項1又は2に記載のリムーバブル記憶装置において、前記不具合判断手段は、前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンと前記記憶手段により記憶された生体認証パターンとが連続して所定回数以上同一の個体を示さない場合に、不具合があると判断することを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、請求項3のリムーバブル記憶装置においては、生体認証パターン取得手段によって取得された生体認証パターンと記憶手段によって記憶された生体認証パターンとが連続して所定回数以上同一の個体を示さないときは、不具合判断手段により生体認証パターン取得手段は不具合があると判断される。
【0013】
このように、請求項3のリムーバブル記憶装置によれば、生体認証パターン取得手段が所定回数以上連続して生体認証パターン記憶手段により記憶された生体認証パターンと同一の個体を示さないときには、不具合判断手段が不具合があると判断し、記憶手段により記憶された所定情報が電子機器装置内または電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信される。したがって、生体認証パターン取得手段が一定の精度以上で生体認証パターンをスキャンできなくなったような場合にリムーバブル記憶装置を交換する際に、リムーバブル記憶装置内に記憶された所定情報をあらためて外部の記憶装置に記憶させること無く交換作業を行うことができる。
【0014】
請求項4に記載のリムーバブル記憶装置は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のリムーバブル記憶装置において、前記記憶領域の空き領域の容量を検知する検知手段を更に有し、前記検知手段により検知された前記空き領域の容量が前記記憶手段により記憶された所定情報の容量よりも大きいときに限り、前記所定情報を前記記憶領域に送信すること特徴としている。
【0015】
この構成によれば、請求項4のリムーバブル記憶装置には更に検知手段が備わっており、検知手段により記憶領域の空き領域の容量は検知され、検知手段により検知された記憶領域の空き領域の容量が記憶手段に記憶された所定情報の容量よりも大きいときに限り、所定情報が記憶領域に送信される。
【0016】
このように、請求項4のリムーバブル記憶装置は、不具合判断手段によって不具合があると判断されたときであって、リムーバブル記憶装置の外部にある記憶領域の空き領域の容量が所定情報の容量よりも大きいときに所定情報を記憶領域に送信することとなるので、記憶領域の空き領域が足りなくて、記憶領域に所定情報を記憶させることができない場合に所定情報を送信することが無く、電子機器装置等に無駄な負担が掛からなくてすむ。
【0017】
請求項5に記載の生体認証システムは、予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とを記憶する記憶手段と、利用希望者の生体認証パターンを取得する生体認証パターン取得手段と、前記生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かを判断する不具合判断手段と、を有するリムーバブル記憶装置と、前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターン及び前記記憶手段により記憶された生体認証パターンが同一の個体を示すか否か判定する判定手段を有する電子機器装置と、を備え、前記判定手段により同一の個体を示すと判定されると前記リムーバブル記憶装置と前記電子機器装置との間でデータ交換を行う生体認証システムであって、前記不具合判断手段により不具合があると判断されたときに、前記記憶手段により記憶された前記利用者の生体認証パターンと前記所定情報とを前記電子機器装置内または前記電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信することを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、請求項5の生体認証システムにはリムーバブル記憶装置と電子機器装置とが備わり、リムーバブル記憶装置には記憶手段と生体認証パターン取得手段と不具合判断手段とが備わり、電子機器装置には判定手段が備わる。記憶手段により予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とは記憶される。生体認証パターン取得手段により利用希望者の生体認証パターンは取得される。生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かは不具合判断手段により判断される。判定手段により生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンと記憶手段により記憶された生体認証パターンとが同一の個体を示すか否か判定される。判定手段により同一の個体を示すと判定されると、リムーバブル記憶装置と電子機器装置との間ではデータ交換が行われる。不具合判断手段により不具合であると判断されたときには、記憶手段により記憶された利用者の生体認証パターンと所定情報とは電子機器装置内または電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信される。
【0019】
このように、請求項5の生体認証システムにおいては、予め生体認証パターンが登録され、登録された生体認証パターンと同一の個体を示す生体認証パターンが取得されたときにリムーバブル記憶装置と電子機器装置との間でデータ交換が行われるので、情報の機密性を保つことができる。また、生体認証パターン取得手段に不具合があると、予め登録された生体認証パターンおよび所定情報が電子機器装置内または電子機器装置に接続されたネットワークに構築された記憶領域に送信されるので、不具合によりリムーバブル記憶装置を交換する際にリムーバブル記憶装置内に保存されたデータを利用者が外部の記憶装置にあらためて記憶させる必要がない。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載のリムーバブル記憶装置によれば、予め登録される生体認証パターンをリムーバブル記憶装置に記憶させるので、多数の利用者が利用する電子機器装置の利用者認証に生体認証パターンが用いられる場合でも、利用者毎に所有するリムーバブル記憶装置に設定情報を個別に記憶すればよいので、電子機器装置に多数の利用者毎の生体認証パターン等の情報を記憶するために容量の大きい記憶装置を設ける必要がないという効果が得られる。
【0021】
また、生体認証パターン取得手段に不具合があったときには、リムーバブル記憶装置内に記憶されている所定情報が外部の記憶領域に送信されるので、故障等によりリムーバブル記憶装置を交換する際に、リムーバブル記憶装置外の記憶領域にあらためて所定情報を記憶させる作業をする必要が無くなり、処理が煩雑とならない。
【0022】
請求項2に記載のリムーバブル記憶装置によれは、生体認証パターンを取得した回数が予め定めた設定値に達したときに不具合であると判断されるので、予め生体認証パターン取得手段の耐用回数を設定しておくことで、生体認証パターン取得手段が耐用回数を超えれば所定情報を外部の記憶領域に送信されるので、リムーバブル記憶装置が耐用回数まで使用されて交換されるときにあらためて所定情報を記憶させる作業をする必要が無くなり、処理が煩雑とならない。
【0023】
請求項3に記載のリムーバブル記憶装置によれば、予め登録した生体認証パターンと取得した生体認証パターンとが所定回数以上連続して同一の個体を示さない場合には、不具合であると判断される。所定回数以上連続して同一の個体を示さない場合には、生体認証パターン取得手段の精度が落ちて認証に必要な十分の生体認証パターン情報を取得できていない可能性が高いので、このような場合に不具合であると判断し所定情報を外部の記憶領域に送信することで、リムーバブル記憶装置が故障等により交換されるときにあらためて所定情報を記憶させる作業をする必要が無くなり、処理が煩雑とならない。
【0024】
請求項4に記載のリムーバブル記憶装置によれば、リムーバブル装置の外部の記憶領域により記憶された所定情報を記憶できる十分な空き領域がない場合には所定情報が送信されないので、このような場合に無駄な送信処理が行われないので、リムーバブル記憶装置や電子機器装置などに余計な負担が掛からない。
【0025】
請求項5に記載の生体認証システムによれば、リムーバブル記憶装置が予め利用者の生体認証パターンを記憶するとともに利用希望者の生体認証パターンの取得を行い、電子機器装置が予め記憶された利用者の生体認証パターンと取得された利用希望者の生体認証パターンが同一の個体を示すか否かの判定を行う。したがって、同一の個体を示すか否かの判定という高度な情報処理を必要とするものを電子機器装置で行うのでリムーバブル記憶装置に大きな処理負担を掛けることがない。
【0026】
また、生体認証パターン取得手段に不具合があったときには、リムーバブル記憶装置内に記憶されている所定情報が外部の記憶領域に送信されるので、故障等によりリムーバブル記憶装置を交換する際に、リムーバブル記憶装置外の記憶領域にあらためて所定情報を記憶させる作業をする必要が無くなり、処理が煩雑とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のリムーバブル記憶装置の一例としてのリムーバブル記憶装置1と、本発明の電子機器装置の一例としてのインターネットファクシミリ装置2について、図面に基づいて説明する。リムーバブル記憶装置1は、利用者の指紋情報を取得することができ、インターネットファクシミリ装置2を利用する際に用いる設定情報を取得した利用者の指紋情報(生体情報の一種)と対応付けて記憶することができる。また、リムーバブル記憶装置1は取得した利用者の指紋情報に基づいて利用者の認証を行う。さらに、リムーバブル記憶装置1は指紋情報の取得に不具合があるか否かを、指紋を読取った回数や利用者の認証が連続してできなかった回数等をもとに判断し、不具合があると判断した場合はリムーバブル記憶装置1に記憶されている情報を外部の記憶領域に送信できる。インターネットファクシミリ装置2は、印刷機能、複写機能、ファクシミリ通信機能、電子メール送信機能等を備えており、リムーバブル記憶装置1から送信される設定情報に基づいて、インターネットファクシミリ装置2の各種機能について設定することができる。
【0028】
図1は、リムーバブル記憶装置1の構成例を示したブロック図である。このリムーバブル記憶装置1は、図1に示すように、制御部(MPU)111、ROM112、RAM113、アクセス制御部114、指紋読取部115、読取数カウント部116及び、USB通信部117を備えており、各部111〜117は、バス118によって通信可能に接続されている。
【0029】
制御部111は、ROM112に記憶された制御プログラムに従ってリムーバブル記憶装置1の各部の動作を制御する。ROM112は、制御部111によりこのリムーバブル記憶装置1の各部の動作を制御するための前記制御プログラム等を記憶するメモリである。RAM113は、リムーバブル記憶装置1の動作に用いる各種データ等を記憶するものである。RAM113には、予めインターネットファクシミリ装置2の利用を許可する利用者を登録し、その利用者の指紋情報を記憶する。また、利用者の指紋情報と対応させてインターネットファクシミリ装置の利用者毎の設定情報を記憶する。
【0030】
アクセス制御部114は、リムーバブル記憶装置1が接続された電子機器装置2によるRAM113に対するアクセスを制御するものであり、電子機器装置2によるRAM1113へのアクセスに対し、RAM113に記憶している情報単位でアクセスを許可又は不許可にすることができる。アクセス制御部114は、電子機器装置2の識別情報と対応付けられた情報、この実施の形態においては、インターネットファクシミリ装置2の識別情報と対応付けられた設定情報に関してアクセスの許可又は不許可について制御する。
【0031】
指紋読取部115は、利用者の指紋の凹凸を読み取るセンサを備え、当該センサによって読み取った指紋の凹凸に対応した電子データ(指紋情報)を生成するものである。指紋の凹凸を読み取るセンサは、感熱式、半導体式、光学式等、どのような方式でもよく、既存のセンサを用いることができる。なお、指紋読取部115の通常の使用状態において照合できる精度で指紋を読み取れる回数を、使用耐用回数である設定値(例えば60000回)として予め設定している。なお、指紋読取部115により読取られた指紋情報は制御部111によって、予め登録したインターネットファクシミリ装置2の利用者の指紋情報と同一の個体(利用者)を示すか判定される。また、制御部111はこの判定の結果が連続して所定回数(例えば5回)以上同一の個体を示さない場合には、指紋読取部115の異常であると判断する。
【0032】
読取数カウント部116は、指紋読取部115によって指紋が読み取られる毎に制御部111によりRAM113の所定領域に記憶されている指紋読取回数を示すカウント数(情報)を更新するものである。カウント数は予め設定された指紋読取部115の使用耐用回数である設定値(例えば60000回)までカウントされる。なお、このカウント数が設定値を超えたときには、制御部111は指紋読取部の寿命であると判断する。
【0033】
USB通信部117は、USBホストコントローラを備えた装置との間でUSB接続による通信を実現するためのものである。USB通信部117が備えるUSBポート117aに、USBケーブル3の一端が接続され、他端がインターネットファクシミリ装置2のUSBコントローラ223が備えるUSBポート223aに接続されることにより、リムーバブル記憶装置1とインターネットファクシミリ装置2との間でUSB接続による通信が可能になる。
【0034】
上述したように、リムーバブル記憶装置1は、USBメモリのような記憶装置としての機能の他に、指紋の認証機能も有しており、インターネットファクシミリ装置2を設定するための設定情報を利用者の指紋の情報である指紋情報と対応付けて記憶することができる。そして、インターネットファクシミリ装置2から設定情報を送信せよとの要求があった場合には、指紋読取部115を用いて外部から利用者の指紋情報を取得し、取得した指紋情報とリムーバブル記憶装置1が記憶している指紋情報とが同一の利用者を示すかどうかを判定し、両方の指紋情報が同一の利用者を示す場合には、その指紋情報と対応付けて記憶している設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する。なお、リムーバブル記憶装置1とインターネットファクシミリ装置2とは、USBケーブル3を介さずに、直接的に接続する構成であってもよいことは言うまでもない。
【0035】
また、上述したように、リムーバブル記憶装置1は、制御部111に指紋読取部115の不具合を判定する機能を有する。例えば、指紋読取部115を用いて指紋を読取られた数が予め定めた設定値(例えば60000回)を超えたときには寿命であると判断し、指紋読取部115を用いて読取った指紋情報と予め記憶された指紋情報とが連続して所定回数以上同一の個体を示さないときには、指紋読取部115が異常であると判断し、それぞれ、不具合であると判断する。なお、不具合であることを判断する方法は本実施形態に限られず、例えば、所定期間内に指紋読取部115により読取られた指紋情報と予め記憶された指紋情報とが同一の個体を示す割合が所定割合以下のとき、不具合であると判断するものであってもよい。
【0036】
図2は、インターネットファクシミリ装置2の構成例を示したブロック図である。このインターネットファクシミリ装置2は、図2に示すように、制御部(MPU:Microprocessing Unit)211、ROM(Read Only Memory)212、RAM(Random Access Memory)213、原稿読取部214、画像処理部215、コーデック(CODEC:Coder and Decoder)216、画像メモリ217、プリンタ218、操作部219、報知部220、FAX通信部221、LAN―I/F(Local Area Network Interface)222、及び、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ223を備えており、各部211〜223は、バス224によって通信可能に接続されている。
【0037】
制御部211は、ROM212に記憶された制御プログラムに従ってインターネットファクシミリ装置2の各部の動作を制御する。ROM212は、制御部211によりこのインターネットファクシミリ装置2の各部の動作を制御するための前記制御プログラム等を記憶するメモリである。RAM213は、インターネットファクシミリ装置2の動作に用いる各種データ等を記憶するものである。
【0038】
原稿読取部214は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するものであり、図示しないが、例えば、透明な原稿載置板に載置された原稿を読み取るフラット・ベッド・スキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)や、原稿トレイに載置された原稿を読み取るべく、その原稿を搬送する自動原稿給送装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えている。
【0039】
画像処理部215は、原稿読取部214から出力された画像データに対して、色調整、色空間変換、2値化等の処理を行うものである。コーデック216は、画像処理部215によって処理された画像データを符号化(エンコード)し、また、符号化されたされた画像データを復号(デコード)するものである。コーデック216に入力された画像データは、JPEG、MH、MR、MMR、JBIG方式等に基づいて符号化され、画像メモリ217に記憶される。
【0040】
プリンタ218は、画像メモリ217から読み出され、コーデック216によって復号された画像データを印刷出力するものである。
【0041】
操作部219は、図示しないが、原稿読取部214に原稿の読み取り動作の開始を指示するためのスタートキー、ファクシミリ番号やコピー部数等を入力するためのテンキー、操作対象を指定するためのカーソルキー等の他、インターネットファクシミリ装置2に対して各種の設定を行うためのその他の入力キーを備えている。報知部220は、各種の設定状態やインターネットファクシミリ装置2の動作状態等を文字や図形等で表示するタッチパネル式の液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や、点灯又は消灯で表示するLEDランプ、所定の警告音を鳴動するスピーカ等を備えている。
【0042】
FAX通信部221は、原稿の画像データをファクシミリ送受信するものであり、図示しないが、モデム(MODEM:MOdulator-DEModulator)及びNCU(Network Control Unit)を備えている。モデムは、例えばITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行うものである。NCUは、電話回線を制御して電話をかけたり、切ったりする回線網制御装置であり、図示しないPSTN(Public Switched Telephone Network)に接続される。PSTNには、G3ファクシミリ装置等が通信可能に接続され、インターネットファクシミリ装置2は、G3ファクシミリ装置等との間で画像データをファクシミリ送受信することが可能である。
【0043】
LAN−I/F222は、インターネットファクシミリ装置2をLAN303に接続可能にするものである。LAN303には、ストレージ301や図示しないパーソナルコンピュータ等が接続され、インターネットファクシミリ装置2はストレージ301やパーソナルコンピュータ等との間でデータの通信が可能である。また、LAN303にはルータ302も接続されており、インターネットファクシミリ装置2は、ルータ302を介してインターネット304とも接続される。したがって、インターネットファクシミリ装置2は、インターネット304に接続される他のインターネットファクシミリ装置との間でインターネットファクシミリ送信を行うことも可能である。
【0044】
USBホストコントローラ223は、USBのホストコントローラ機能を実現するものである。USBホストコントローラ223に設けられたUSBポート223aに、USBケーブル3の一端が接続され、他端がリムーバブル記憶装置1のUSBポート117aに接続されることにより、インターネットファクシミリ装置2とリムーバブル記憶装置1とが通信可能に接続される。
【0045】
このようなインターネットファクシミリ装置2は、上述したように、印刷機能、複写機能、ファクシミリ通信機能、電子メール送信機能等を備えており、操作部219に設けられた各種のキーを操作することによって、各機能を実行する上でのさまざまな設定を行うことができる。例えば、印刷機能を使用して印刷する場合の印刷画の濃淡や、ファクシミリ通信機能を使用してファクシミリ通信を行う際のリトライ回数等を設定できる。また、操作部219及び報知部220を使用してインターネットファクシミリ装置2を操作する場合における、報知部220の液晶表示装置に表示するメニューの表示態様や表示項目をも設定することができる。これらの設定は、操作部219及び報知部220を用いて設定するだけでなく、リムーバブル記憶装置1から送信される設定情報に基づいて設定することも可能である。
【0046】
次に、図3及び図4を用いて、インターネットファクシミリ装置2を設定するための設定情報と、当該設定情報に基づいて設定されたインターネットファクシミリ装置2を使用する利用者の指紋である指紋情報と対応付けてリムーバブル記憶装置1に記憶する場合に、インターネットファクシミリ装置2の制御部211が実行する処理と、リムーバブル記憶装置1の制御部111が実行する処理の例を説明する。なお、制御部111と制御部211とは、お互いに通信を行って連携して処理を実行するため、相手装置における処理を待つための待機が生じるが、図3及び図4では、説明の都合上これらの待機を省略する。また、図3及び図4に示す処理の順序はこれらに限定されるものではなく、順序を変更しても本発明を実現できる場合には適宜に変更してよい。
【0047】
まず、制御部211は、利用者により、インターネットファクシミリ装置2を使用する際の設定をリムーバブル記憶装置1に登録する指示が行われたか否かを判断する(S101)。指示が行われていないと判断すると待機する(S101:NO)。一方、指示が行われたと判断すると(S101:YES)、制御部211は、リムーバブル記憶装置1がインターネットファクシミリ装置2に接続されているか否かを判断する(S102)。リムーバブル記憶装置1が接続されていないと判断すると(S102:NO)、待機する。一方、リムーバブル記憶装置1が接続されていると判断すると(S102:YES)、制御部211は、設定を登録する処理の開始を指示する設定登録処理開始指示を、リムーバブル記憶装置1に送信する(S103)。なお、図示しないが、このときインターネットファクシミリ装置2の報知部220に、リムーバブル記憶装置1の指紋読取部115に指紋を入力するよう促すメッセージが表示される。
【0048】
リムーバブル記憶装置1では、インターネットファクシミリ装置2から送信された設定登録処理開始指示を受信し、制御部111は、指紋読取部115を介して、外部から利用者の指紋情報を取得する(S201)。ここで取得される指紋情報を「第1の指紋情報」と呼ぶ。次に、制御部111は、第1の指紋情報の取得が完了したか否かを判断する(S202)。第1の指紋情報の取得が完了していないと判断すると(S202:NO)、第1の指紋情報を取得する処理を続行する。
【0049】
一方、第1の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S202:YES)、制御部111の読取数カウント部116はカウント数を1加算する(S203)。すなわち、第1の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S202:YES)、リムーバブル記憶装置1の制御部111はRAM113の所定領域に記憶された指紋読取部115により指紋が読取られた数(カウント数)を1加算して更新する。
【0050】
読取数カウント部116のカウント数を1加算すると(S203)、その後、制御部111は、読取数カウント部116のカウント数が予め定めた指紋読取部115の使用耐用回数(例えば60000回)以下か否か判断する(S204)。読取数カウント部116のカウント数が予め定めた指紋読取部115の使用耐用回数(例えば60000回)を超えていると判断すると(S204:NO)、設定情報、指紋情報の退避処理を行う(S205)。この設定情報、指紋情報の退避処理は、リムーバブル記憶装置1に記憶されている所定の情報をインターネットファクシミリ装置2に記憶する処理が行われるものであるが、詳しくは後述する。なお、ステップ205において設定情報、指紋情報の退避処理を行うと、ステップ206からステップ216までの処理をスキップして、ステップ217の処理に進む。
【0051】
ステップ103に戻って、インターネットファクシミリ装置2の制御部211は設定登録処理開始指示をリムーバブル装置1に送信すると(S103)、現在のインターネットファクシミリ装置2の設定を示す設定情報を生成し、この設定情報をRAM213の所定の領域に記憶させることにより現在の設定を退避させる(S104)。その後、図示しないが、インターンネットファクシミリ装置2の制御部211は、インターネットファクシミリ2の設定を入力する旨の利用者に対する指示を報知部220に表示する。そして、制御部211は、利用者によるインターネットファクシミリ装置2を設定する操作を、操作部219を介して受け付け(S105)、設定の操作の受け付けが完了したか否かを判断する(S106)。設定の操作の受け付けが完了したか否かは、たとえば、操作部219が利用者による設定の操作を終了する操作を受け付けたか否かによって判断する。設定の操作の受け付けが完了していないと判断すると(S106:NO)、設定の操作の受け付けを続行する。一方、設定の操作の受け付けが完了したと判断すると(S106:YES)、ステップ107に処理を進める。
【0052】
ステップ204に戻って、リムーバブル記憶装置1の制御部111は、カウント数が予め定めた指紋読取部115の使用耐用回数(例えば60000回)以下であると判断すると(S204:YES)、インターネットファクシミリ装置2に対して、設定情報の送信を要求する(S206)。そして、インターネットファクシミリ装置2の制御部211は、リムーバブル記憶装置1から送信された設定情報要求を受信する(S107)。設定情報要求を受信すると、制御部211は、現在、インターネットファクシミリ装置2で有効となっている設定、つまり、ステップ105において受け付けた設定を示す設定情報を生成し、この設定情報をリムーバブル記憶装置1に送信する(S108)。
【0053】
リムーバブル記憶装置1では、インターネットファクシミリ装置2から送信された設定情報を受信すると(S207)、再び指紋読取部115を介して、外部から利用者の指紋情報を取得する(S208)。ここで取得される指紋情報を「第2の指紋情報」と呼ぶ。制御部111は、第2の指紋情報の取得が完了したか否かを判断する(S209)。第2の指紋情報の取得が完了していないと判断すると(S209:NO)、第2の指紋情報を取得する処理を続行する。
【0054】
一方、第2の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S209:YES)、その後、読取数カウント部116のカウント数を1加算する処理を行う(S210)。すなわち、第2の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S209:YES)、リムーバブル記憶装置1の制御部111はRAM113の所定領域に記憶された指紋読取部115により指紋が読取られた数(カウント数)を1加算して更新する処理を行う。
【0055】
読取数カウント部116のカウント数を1加算する処理を行うと(S210)、次に、読取数カウント部116に示されるカウント数が予め定められた設定値(例えば、60000回)以下であるか否か判断する(S211)。読取数カウント部116に示されるカウント数が予め定められた設定値(例えば、60000回)以下であると判断すると(S211:YES)、次に、制御部111は、第1の指紋情報と第2の指紋情報とが同一の個体、つまり、同一の利用者を示すか否かを判定する(S212)。
【0056】
この判定では、いわゆる指紋認証処理を行うが、指紋認証のアルゴリズムは、指紋の画像のパターンマッチングを行うもの、指紋の画像から抽出した特徴点を使用するもの等、どのようなものであってもよく、既存の技術を利用することができる。なお、指紋読取部115は、指紋認証のアルゴリズムに応じた電子データ(指紋情報)を生成する。なお、以下において、同一の個体を示すと判定することを“判定に成功”といい、同一の個体を示さないと判定することを“判定に失敗”という。ステップ212において同一の個体を示すと判定すると(S212:YES)、すなわち判定に成功すると、リムーバブル記憶装置1の制御部111はRAM113に記憶されている判定連続失敗回数をクリアして(S213)、その後、ステップ217に処理を進める。
【0057】
ここで判定連続失敗回数とはステップ212および後述するステップ405において判定に成功することなく、判定に失敗しつづけた回数である。言い換えると、判定に失敗した回数が所定回数まで計数されるが、その途中で判定に成功すると、計数された判定連続失敗回数がクリアされる。
【0058】
一方、ステップ212において同一の個体を示さないと判定すると(S212:NO)すなわち判定に失敗すると、制御部111はRAM113に記憶されている判定連続失敗回数を1加算して記憶させる(S214)。そして、制御部111は所定回数(例えば5回)以上連続して判定に失敗したか否か判断する(S215)。すなわち、RAM113に記憶されている判定連続失敗回数が所定回数以上であるか否か判断する。所定回数(例えば5回)以上連続して判定に失敗したと判断しないと(S215:NO)、そのままステップ217の処理に進む。一方、所定回数(例えば5回)連続して判定に失敗したと判断すると(S215:YES)、設定情報、指紋情報の退避処理が行われ(S216)、その後、ステップ217の処理に進む。また、ステップ211に戻ってカウント数が予め定められた設定値(例えば60000回)を超えると判断すると(S211:NO)、設定情報、指紋情報の退避処理が行われ(S216)、ステップ217の処理に進む。なお、この設定情報、指紋情報の退避処理(S216)は、リムーバブル記憶装置1に記憶されている所定の情報をインターネットファクシミリ装置2に記憶する処理が行われるものであるが、詳しくは後述する。
【0059】
ステップ217に進むと制御部111はステップ212等における判定結果情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する(S215)。この判定結果情報は本実施形態においてはステップ212において判定に成功したことを示す情報、ステップ212において判定に失敗し且つステップ216において設定情報、指紋情報の退避処理が行われたことを示す情報、ステップ212において判定に失敗したがステップ216の設定情報および指紋情報の退避処理は行われなかったことを示す情報のいずれか一つの情報である。
【0060】
リムーバブル記憶装置1の制御部111は、判定結果情報の送信処理が終わると(S217)その後、ステップ212における判定の結果が、第1の指紋情報と第2の指紋情報とが同一の個体(利用者)を示したものであったか否かを判断する(S218)。すなわち、ステップ212において判定に成功したか否かを判断する。判定に成功したと判断すると(S218:YES)、インターネットファクシミリ装置2から受信した設定情報と第1の指紋情報とを対応付けてRAM113に記憶(登録)し(S219)、処理を終了する。なお、設定情報と対応付けて記憶する指紋情報は、第2の指紋情報であってもよい。一方、判定に失敗したと判断すると(S218:NO)、ステップ219をスキップして処理を終了する。このように、インターネットファクシミリ装置2の設定情報を受信する前後で、利用者の指紋情報を取得し、両方の指紋情報が同一の利用者を示す場合にのみ、設定情報を記憶することにより、間違いなく、インターネットファクシミリ装置2に設定を行った利用者の指紋情報と当該利用者によって設定された設定を示す設定情報とを対応付けて記憶することができる。
【0061】
インターネットファクシミリ装置2では、リムーバブル記憶装置1から送信された判定結果情報を受信し(S109)、制御部211は、その判定結果情報が、設定情報、指紋情報の退避処理が行われたことを示す情報であるか否か判断する(S110)。すなわち、ステップ216において設定情報、指紋情報の退避処理が行われたか否か判断する。そして、退避処理が行われた情報であると判断すると(S110:YES)、エラー処理2を行い(S113)、その後、ステップ114の処理に進む。具体的にエラー処理2は、報知部220が備える液晶表示装置にリムーバブル記憶装置1の指紋読取部115に不具合がある旨のエラーメッセージを表示し、LEDランプを点滅させ、さらに、スピーカーから所定の警告音を鳴動させる。
【0062】
ステップ110において退避処理が行われたことを示す情報でないと判断すると(S110:NO)、第1の指紋情報と第2の指紋情報とが同一の個体(利用者)を示すとの判定であるか否かを判断する(S111)。すなわち、ステップ212において判定に成功したことを示す情報であるか否か判断する。判定に成功したと判断すると(S111:YES)、ステップ114に処理を進める。一方、判定に失敗したと判断すると(S111:NO)、エラー処理1を行い(S112)、その後、ステップ114の処理に進む。具体的にこのエラー処理1では、報知部220が備える液晶表示装置に指紋読取エラーである旨のエラーメッセージを表示し、LEDランプを点滅させ、さらに、スピーカーから所定の警告音を鳴動させる。
【0063】
ステップ114では、制御部211は、インターネットファクシミリ装置2から、リムーバブル記憶装置1が取り外されたか否かを判断する。リムーバブル記憶装置1が取り外されていないと判断すると(S114:NO)、待機する。一方、リムーバブル記憶装置1が取り外されたと判断すると(S114:YES)、制御部211は、ステップ104で、RAM113に退避されていた設定情報に基づいて、利用者によって変更される前の設定を復帰させる(S115)。
【0064】
このようにして、利用者によってインターネットファクシミリ装置2に対して行われた設定を示す設定情報が、当該利用者の指紋情報と対応付けて、リムーバブル記憶装置1に記憶される。また、リムーバブル記憶装置1の指紋読取部115の読取回数(読取数カウント部のカウント数)や読取った指紋が同一の個体を示すか否かの判定に連続して失敗した回数(判定連続失敗回数)を計数して、リムーバブル記憶装置1の指紋読取部115の寿命や異常等の不具合がみつけられる。なお、このようにして、不具合が見つかるとリムーバブル記憶装置1のRAM113に記憶された指紋情報およびインターネットファクシミリ装置2の設定情報を退避させる処理が行われる。
【0065】
次に、図5及び図6を用いて、リムーバブル記憶装置1に記憶されている設定情報を使用して、インターネットファクシミリ装置2の設定を行う場合に、リムーバブル記憶装置1の制御部111が実行する処理とインターネットファクシミリ装置2の制御部211が実行する処理との例を説明する。なお、制御部111と制御部211とは、お互いに通信を行って連携して処理を実行するため、相手装置における処理を待つための待機が生じるが、図5及び図6では、説明の都合上これらの待機を省略する。また、図5及び図6に示す処理の順序はこれらに限定されるものではなく、順序を変更しても本発明を実現できる場合には適宜に変更してよい。
【0066】
まず、制御部211は、利用者により、リムーバブル記憶装置1に記憶されている設定情報を使用したインターネットファクシミリ装置2の設定の変更が指示されたか否かを判断する(S301)。設定の変更が指示されていないと判断すると(S301:NO)、待機する。一方、設定の変更が指示されたと判断すると(S301:YES)、制御部211は、インターネットファクシミリ装置2にリムーバブル記憶装置1が接続されているか否かを判断する(S302)。リムーバブル記憶装置1が接続されていないと判断すると(302:NO)、待機する。一方、リムーバブル記憶装置1が接続されていると判断すると(302:YES)、リムーバブル記憶装置1が記憶している設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する処理の開始を指示する設定送信処理開始指示をリムーバブル記憶装置1に送信し(S303)、指紋入力を促すメッセージを報知部220に表示する(S304)。
【0067】
リムーバブル記憶装置1の制御部111は、インターネットファクシミリ装置2から送信された設定送信処理開始指示を受信すると、指紋読取部115を介して、外部から利用者の指紋情報を取得する(S401)。ここで取得される指紋情報を「第3の指紋情報」と呼ぶ。次に、制御部111は、第3の指紋情報の取得が完了したか否かを判断する(S402)。第3の指紋情報の取得が完了していないと判断すると(S402:NO)、第3の指紋情報を取得する処理を続行する。一方、第3の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S402:YES)、制御部111は、読取数カウント部116のカウント数に1加算する処理を行う(S403)。すなわち、第3の指紋情報の取得が完了したと判断すると(S402:YES)、リムーバブル記憶装置1の制御部111はRAM113の所定領域に記憶された指紋読取部115により指紋が読取られた数(カウント数)を1加算して更新する(S403)。
【0068】
読取数カウント部116のカウント数に1加算する処理を行うと、次に、制御部111は、読取数カウント部116のカウント数が予め定められた設定値(例えば60000回)以下であるか否か判断する(S404)。読取数カウント部116のカウント数が予め定められた設定値(例えば60000回)以下であると判断すると(S404:YES)、次に、設定情報と対応付けてRAM113に記憶されている指紋情報と取得した第3の指紋情報とが同一の個体(利用者)を示すか否か判定する(S405)。すなわち、両指紋情報に基づいて同一の個体(利用者)を示すか否かの判定を行い、判定に成功するか否かを判断する。
【0069】
この2つの指紋情報が同一の個体(利用者)を示すか否かの判定は、2つの指紋情報が同一の個体の同一の指の指紋を示すか否かを判断することによって行う。したがって、特定の利用者が異なる指毎に設定情報を対応付けることにより、複数の設定情報をリムーバブル記憶装置1に記憶させることも可能である。RAM113に複数の設定情報とこれらにそれぞれ対応付けられた複数の指紋情報とが存在する場合には、ステップ403の判定では、RAM113に記憶されているすべての指紋情報について、第3の指紋情報が示す個体(利用者)の指と同一の個体の指を示すか否かを判定する。同一の個体を示すと判定すると(S405:YES)、すなわち、判定に成功すると、リムーバブル記憶装置1の制御部111はRAM113に記憶された判定連続失敗回数をクリアする処理を行い(S406)、ステップ410の処理に進む。
【0070】
ステップ405に戻って、判定に失敗したと判断すると(S405:NO)、制御部111はRAM113に記憶された判定連続失敗回数を1加算して記憶させる処理を行い(S407)、その後、判定に所定回数(例えば5回)連続で失敗したか否か判断する(S408)。すなわち、RAM113に記憶された判定連続失敗回数が所定回数(例えば5回)に達したか判断する。判定に所定回数(例えば5回)連続で失敗したと判断すると(S408:YES)、設定情報、指紋情報の退避処理を行い(S409)、ステップ410の処理に進む。一方、判定に所定回数(例えば5回)連続で失敗したと判断しないと(S408:NO)、そのまま、ステップ410の処理に進む。
【0071】
ステップS404に戻って、カウント数が予め定めた設定値(例えば60000回)を超えていると判断すると(S404:NO)、設定情報、指紋情報の退避処理を行い(S409)、その後、ステップ410に進む。なお、ステップ409における設定情報、指紋情報退避処理は、リムーバブル記憶装置1に記憶されている所定の情報をインターネットファクシミリ装置2に記憶する処理が行われるものであるが、詳しくは後述する。
【0072】
ステップ410に進むと、リムーバブル記憶装置1の制御部111は、判定結果情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する。本実施形態において判定結果情報には、ステップ405において判定に成功したことを示す情報のほか、ステップ405において判定に失敗し且つステップ409において設定情報、指紋情報の退避処理が行われたことを示す情報、ステップ405において判定に失敗したが設定情報、指紋情報の退避処理は行われていないことを示す情報のいずれかの情報である。
【0073】
インターネットファクシミリ装置2の制御部211では、リムーバブル記憶装置1から送信された判定結果情報を受信すると(S305)、退避処理が行われたか否か判断する(S306)。すなわち、ステップ305において受信した情報が、ステップ405において判定に失敗し且つステップ409において設定情報、指紋情報の退避処理が行われたことを示す情報であるか否か判断される。退避処理が行われたと判断すると(S306:YES)、ステップ318に進み、エラー処理2を行い処理を終了する。具体的にエラー処理2では、報知部220が備える液晶表示装置にリムーバブル記憶装置1の指紋読取部115に不具合がある旨のエラーメッセージを表示し、LEDランプを点滅させ、さらに、スピーカーから所定の警告音を鳴動させる。
【0074】
退避処理が行われていないと判断すると(S306:NO)、すなわちステップ305において受信した情報が、ステップ405において判定に成功したことを示す情報、ステップ405において判定に失敗したが設定情報、指紋情報の退避処理は行われていないことを示す情報のいずれかであると判断すると、次に、判定に成功したか否か判断する(S307)。すなわち、ステップ305において受信した情報が、ステップ405において判定に成功した情報か否か判断する。判定に成功していないと判断すると(S307:NO)、エラー処理1を行う(S317)。エラー処理1では、報知部220が備える液晶表示装置に指紋読取エラーである旨のエラーメッセージを表示し、LEDランプを点滅させ、さらに、スピーカーから所定の警告音を鳴動させる。
【0075】
一方、判定に成功したと判断すると(S307:YES)、制御部211は、受信した判定結果情報に基づいて、当該判定結果を報知部220が備える液晶表示装置に表示する(S308)。
【0076】
ここで、利用者は、液晶表示装置に表示された判定結果の表示を参照し、判定結果が利用者が認証されたことを示す場合には(判定に成功したことを示す場合には)、リムーバブル記憶装置1に記憶されている設定情報を使用してインターネットファクシミリ装置2の設定を変更するか否かを選択し、その選択を操作部219を介して入力することができる。
【0077】
制御部211は、上記の利用者による選択操作の入力を受け付け(S309)、この利用者による入力に基づいて、リムーバブル記憶装置1に記憶されている設定情報を使用して、インターネットファクシミリ装置2の設定を変更するか否かを判断する(S310)。設定情報を使用して設定を変更しないと判断すると(S310:NO)、処理を終了する。一方、設定情報を使用して設定を変更すると判断すると(S310:YES)、制御部211は、設定情報の送信を指示する送信指示をリムーバブル記憶装置1に送信する(S311)。
【0078】
リムーバブル記憶装置1では、インターネットファクシミリ装置2から送信された送信指示を受信し(S411)、受信した送信指示を受けて、ステップ405の判定において、第3の指紋情報と同一の個体(利用者)を示すと判定された指紋情報と対応付けて記憶されている設定情報をRAM113から読み出し、この設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する(S412)。
【0079】
インターネットファクシミリ装置2では、リムーバブル記憶装置1から送信された設定情報を受信すると(S312)、制御部211は、現在、インターネットファクシミリ装置2に設定されている設定を示す設定情報を生成し、この設定情報をRAM113の所定の領域に記憶することによって、現在の設定を退避させる(S313)。そして、リムーバブル記憶装置1から受信した設定情報に基づいてインターネットファクシミリ装置2の設定を変更する(S314)。
【0080】
利用者は、設定を変更したインターネットファクシミリ装置2を使用した所定の作業(原稿の複写、原稿のFAX送信等)を終えると、リムーバブル記憶装置1をインターネットファクシミリ装置2から取り外す。
【0081】
制御部211は、リムーバブル記憶装置1が取り外されたか否かを判断し(S315)、取り外されていないと判断すると(S315:NO)、待機する。一方、リムーバブル記憶装置1が取り外されたと判断すると(S315:YES)、ステップ313においてRAM213に退避させた設定情報を使用してインターネットファクシミリ装置2を設定し、利用者によって変更される前の設定を復帰させ(S316)、処理を終了する。
【0082】
このようにして、リムーバブル記憶装置1によって読み取られた指紋(=指紋情報)と同一の個体を示す指紋情報と対応付けて記憶されている設定情報がリムーバブル記憶装置1からインターネットファクシミリ装置2に送信され、送信された設定情報に基づいてインターネットファクシミリ装置2の設定が変更される。また、リムーバブル記憶装置1の指紋読取部115の読取回数(読取数カウント部のカウント数)や読取った指紋が同一の個体を示すか否かの判定に連続して失敗した回数(判定連続失敗回数)を計数して、リムーバブル記憶装置1の指紋読取部115の寿命や異常等の不具合がみつけられる。なお、このようにして、不具合が見つかるとリムーバブル記憶装置1のRAM113に記憶された指紋情報およびインターネットファクシミリ装置2の設定情報を退避させる処理が行われる。
【0083】
次に、図7を用いて、リムーバブル記憶装置1で行われる設定情報、指紋情報の退避処理について説明する。リムーバブル記憶装置1では図3から図5に示すように、指紋読取部115の不具合で認証に所定回数以上連続して失敗した場合や指紋読取部115の耐用回数以上使用された場合に設定情報、指紋情報の退避処理(S205、S216、S409)が行われる。
【0084】
設定情報、指紋情報の退避処理では、まず、リムーバブル記憶装置1の制御部111はインターネットファクシミリ装置2に対して記憶領域の空き容量データの要求を送信する(S601)。すなわち、インターネットファクシミリ装置2のRAM213の記憶領域のうち書き込みが可能な領域をバイト数で表し、そのバイト数を送信するよう要求する。リムーバブル記憶装置1から空き容量データ要求を受信するとインターネットファクシミリ装置2の制御部211はRAMの空き容量を確認し(S501)、空き容量のバイト数をリムーバブル記憶装置に送信する(S502)。
【0085】
リムーバブル記憶装置1の制御部111は空き容量データを受信すると、設定情報、指紋情報のデータ容量が、受信した空き容量データが示すバイト数以下であるか否か判断する(S602)。空き容量以下であると判断すると設定情報、指紋情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する(S603)。インターネットファクシミリ装置2は設定情報、指紋情報を受信すると(S503)、設定情報、指紋情報をRAM213に記憶し(S504)処理を終了する。一方、リムーバブル記憶装置1は設定情報、指紋情報を送信した後(S603)、設定情報、指紋情報の消去処理を行い(S604)、処理を終了する。
【0086】
以上に説明したように、本実施形態に係るリムーバブル記憶装置1およびインターネットファクシミリ装置2によれば、利用者の指紋情報と、インターネットファクシミリ装置2への利用者による設定を示す設定情報と、を対応付けてリムーバブル記憶装置1のRAM113に記憶する。そして、リムーバブル記憶装置1が備える指紋読取部114で利用者の指紋を読み取って指紋情報を生成し、生成したこの指紋情報とRAM113に記憶されている指紋情報とが同一の利用者を示すか否かを判定し、両者が同一の利用者を示すと判定された場合に、同一の利用者を示すと判定された指紋情報と対応付けてRAM113に記憶されている設定情報をインターネットファクシミリ装置に送信し、送信された設定情報を使用してインターネットファクシミリ装置2の設定(変更)を行う。
【0087】
また、リムーバブル記憶装置1に備えられた指紋読取部115の指紋読取回数が、予め定められた設定値(例えば60000回)を超えると、制御部111は設定情報、指紋情報の退避処理を行う。さらに、制御部111はリムーバブル記憶装置のRAM113に記憶された利用者の指紋情報と指紋読取部115が読取った指紋情報とが連続して所定回数(例えば5回)以上同一の個体を示さないと判定すると、設定情報、指紋情報の退避処理を行う。指紋読取部115を用いて指紋を読取られた数が予め定めた設定値(例えば60000回)を超えたときには寿命であると判断し、指紋読取部115を用いて読取った指紋情報と予め記憶された指紋情報とが連続して所定回数(例えば5回)以上同一の個体を示さないときには、指紋読取部115が異常であると判断し、それぞれ、不具合であると判断するので、このように、指紋読取部115が不具合であると判断すると、設定情報、指紋情報の退避処理を行うこととなる。
【0088】
このように、本実施形態のリムーバブル記憶装置1は指紋読取部115に不具合があると、リムーバブル記憶装置1のRAM113に記憶されている設定情報、指紋情報の退避処理が自動的に行われるので、指紋読取部115の不具合でリムーバブル記憶装置1を交換する際に、別途、設定情報、指紋情報の退避処理を行う必要がない。したがって、リムーバブル記憶装置1の交換作業の煩雑さが解消できる。
【0089】
なお、本実施形態においては設定情報、指紋情報の退避はインターネットファクシミリ装置2のRAM213に記憶させることで行われるが、これでなくてもよい。例えば、LAN303上に構成されたストレージ301に記憶させるものであってもよい。この場合、リムーバブル記憶装置1の制御部111は、設定情報、指紋情報をインターネットファクシミリ装置2に送信し、インターネットファクシミリ装置2の制御部211は、LAN−I/F222を介して、LAN303に構成されたストレージ301に記憶させる。なお、ストレージ301は、例えば、LANに接続されたパソコンのRAMやHDD(ハードディスクドライブ)等であってもよい。また、ストレージは例えばLAN303のルータ302を介してインターネット上に構成されたものであってもよい。このように、LAN303やインターネット304上に構成されるストレージに記憶させるとすると、同種のインターネットファクシミリ装置2がLAN等に複数接続され、利用者が、複数あるインターネットファクシミリ装置2のいずれも使用する可能性があるような場合に、リムーバブル記憶装置1を新たなものと交換した後、退避先から設定情報、指紋情報を新しいリムーバブル記憶装置1に移す際に、複数あるうちのいずれのインターネットファクシミリ装置2にリムーバブル記憶装置1を接続してもよい。
【0090】
また、本実施形態は、利用者毎の設定情報をインターネットファクシミリ装置2に記憶するのではなく、利用者毎のリムーバブル記憶装置1に記憶する構成としている。これにより大勢の利用者がインターネットファクシミリ装置2の設定を設定情報を使用して変更する場合でも、インターネットファクシミリ装置2に、複数の利用者の設定情報を記憶するための大容量の記憶装置を搭載する必要がない。
【0091】
なお、本実施形態において、予め取得してRAM113に記憶された利用者の指紋情報と新たに指紋読取部115により読取られた利用希望者の指紋情報(第3の指紋情報)とが同一の利用者を示すか否かを判定する処理はリムーバブル記憶装置1の制御部111で行われる。また、指紋読取部115に不具合があるか否かの判断もリムーバブル記憶装置1の制御部111で行われる。しかし、これらの判定および判断はインターネットファクシミリ装置2の制御部211が行うものであってもよい。すなわち、リムーバブル記憶装置1の制御部111が予めリムーバブル記憶装置1のRAMが記憶した指紋情報と新たに指紋読取部115が読取った指紋情報とをインターネットファクシミリ装置2に送信し、インターネットファクシミリ装置2の制御部211が、受信した両指紋情報を照合することで、同一の利用者を示すか否か判定するものであってもよい。また、両指紋情報が同一の個体を示すか否かの判定に連続して失敗した回数をインターネットファクシミリ装置2の制御部211が計数し、5回以上連続して判定に失敗した場合に、不具合であると判断するものであってもよい。また、リムーバブル記憶手段1の読取数カウント部116が指紋読取部115の読取回数をカウントし、カウント数が予め定めた所定数に達するか否かの判断をインターネットファクシミリ装置2の制御部211が行うものであってもよい。
【0092】
なお、本発明における「利用者の生体認証パターン」は、本実施形態の第1の指紋情報に相当するが、本実施形態の第2の指紋情報をRAM113に記憶する場合には第2の指紋情報がこれに相当する。また、本発明における「所定情報」は、本実施形態におけるインターネットファクシミリ装置2の設定情報が相当するが、これに限られず、リムーバブル記憶装置を用いて記憶するあらゆる情報に適用することができる。
【0093】
また、本発明における「記憶手段」は、本実施形態のRAM113に相当し、本発明における「利用希望者の生体認証パターン」は、本実施形態の第3の指紋情報に相当する。また、本発明における「生体認証パターン取得手段」は、本実施形態の指紋読取部115に相当し、本発明において「同一の個体を示す」は、本実施形態における判定に成功に相当し、本発明において「同一の個体を示さない」は、本実施形態における判定に失敗に相当する。
【0094】
本発明において「電子機器装置」は本実施形態のインターネットファクシミリ装置2に相当するが、これに限られず、例えばパーソナルコンピュータでもよく、認証機能を用いることで個人設定が可能となる装置やセキュリティーの向上が図れる装置等に用いることができる。また、本発明の「データ交換手段」は、本実施形態のアクセス制御部114およびUSB通信部117に相当する。
【0095】
また、本発明の「不具合」は、本実施形態の指紋読取部115(生体認証パターン取得手段)の異常や寿命を含む概念であり、指紋読取部115が正常に動作しない状態を示す。なお、「不具合」はこれに限られず、例えば、所定期間内に指紋読取部115により読取られた指紋情報と予め記憶された指紋情報とが同一の個体を示す割合が所定割合以下のとき、不具合であると判断するものであってもよく、例えば指紋読取部115に指を押し当てられたことを検出し、指紋読取部115のセンサがその押し当てられた部分をスキャンしているか監視し、スキャンできていない部分が一定割合以上であるときに不具合と判断するものであってもよい。また、指紋読取部115が光学式のセンサである場合にはLED等の光源を監視し、これが点灯しないときには不具合であると判断するものであってもよく、指紋読取部115が半導体センサである場合にはセンサセルに破損がないか監視し、破損箇所がある場合には不具合と判断するものであってもよい。
【0096】
本発明の「リムーバブル記憶装置」は本実施形態においてもリムーバブル記憶装置1である。また、本発明の「ネットワーク」は、本実施形態のLAN303およびインターネット304を含む概念である。本発明の「記憶領域」は本実施形態のRAM213に相当するが、これに限られず、LAN303またはインターネット304に構成されたストレージであってもよい。
【0097】
本発明の「回数カウント手段」は、本実施形態の読取数カウント部116に相当する。本発明において「カウントされた数」は本実施形態におけるカウント数および指紋読取回数に相当する。本発明において「予め定めた設定値」は本実施形態においては例えば60000回に相当し、指紋読取部115の使用耐用回数に相当する。本発明において「所定回数以上連続して同一の個体を示さない」とは、本実施形態において判定連続失敗回数が所定回数以上であることに相当する。本発明において「所定回数以上連続して」は、本実施形態では例えば5回が相当する。なお、本発明の「予め定めた設定値」は60000回に限られるものではなく、本発明の「所定回数以上連続して」は5回に限られるものではないことはいうまでもない。本発明の「検知手段」は本実施形態のリムーバブル記憶装置1の制御部111の機能に含まれるが、例えば、インターネットファクシミリ装置2の制御部211の機能に含まれるものであってもよい。また、本発明の「記憶領域の空き容量」はインターネットファクシミリ装置2のRAM213の空き容量が相当する。また、本発明の「生体認証システム」は、本実施形態においてリムーバブル記憶装置1とインターネットファクシミリ装置2とを少なくとも含むものである。
【0098】
なお、上述の実施の形態は一例であり、実施の形態は、上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。たとえば、上述の実施形態では、生体情報として指紋情報を採用したが、生体情報は指紋情報に限らず、声紋情報や虹彩情報であってもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、リムーバブル記憶装置1のRAM113に記憶されている設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信する際に、外部から取得した第3指紋情報とRAM113に記憶されている指紋情報との判定(認証)の結果を示す判定結果情報をインターネットファクシミリ装置2に送信し、この判定結果情報に応じてインターネットファクシミリ装置2から送信される送信指示に応じて、設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信するようにした。しかし、これに替えて、外部から取得した第3指紋情報とRAM113に記憶されている指紋情報との判定(認証)の結果が、両者が同一の利用者を示す場合に、この判定結果をインターネットファクシミリ装置2に送信せず、すぐに、設定情報をインターネットファクシミリ装置2に送信するようにしてもよい。この場合、インターネットファクシミリ装置2は、設定情報がリムーバブル記憶装置1から送信されたことにより、利用者の指紋が認証されたと判断することができる。
【0100】
さらに、上述の実施形態では、インターネットファクシミリ装置2を設定する設定情報を指紋情報と対応付けてリムーバブル記憶装置1に記憶させる際に、第1の指紋情報と第2の指紋情報とを取得し、両者が同一の利用者を示す場合に、第1の指紋情報又は第2の指紋情報と設定情報とを対応付けてリムーバブル記憶装置1に記憶することとしたが、第2の指紋情報の取得及び、第1の指紋情報と第2の指紋情報とが同一の利用者を示すか否かの判定を行わず、無条件に、第1の指紋情報と設定情報とを対応付けてリムーバブル記憶装置1に記憶するようにしてもよい。
【0101】
また、上述の実施形態では、インターネットファクシミリ装置2からリムーバブル記憶装置1が取り外されたことが検出されたときに、利用者によって設定情報を使用して変更されたインターネットファクシミリ装置2の設定を元に復帰することとしたが、これに限ることなく、利用者による設定の復帰を指示する操作部219への操作に応じて元の設定を復帰するようにしてもよい。
【0102】
さらに、上述の実施形態では、利用者による設定の変更の前に、現在の設定を示す設定情報を退避しておき、後に、退避しておいた設定情報を使用して変更前の設定を復帰するようにしたが、現在の設定を示す設定情報を退避するのではなく、デフォルトの設定を示す設定情報をROM212等に記憶しておき、このデフォルトの設定情報を使用して常にデフォルトの設定に戻すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば、生体情報を使用した認証処理を行い、認証された生体情報に対応する設定情報に基づいて装置の設定を行う装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係るリムーバブル記憶装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電子機器装置の一例としてのインターネットファクシミリ装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】指紋情報と設定情報とを対応付けてリムーバブル記憶装置に記憶する際に、インターネットファクシミリ装置及びリムーバブル記憶装置において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートに続くフローチャートである。
【図5】リムーバブル記憶装置に記憶された設定情報を使用してインターネットファクシミリ装置の設定を変更する際に、インターネットファクシミリ装置及びリムーバブル記憶装置において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートに続くフローチャートである。
【図7】図3から図5に示される設定情報、指紋情報の退避処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
1 リムーバブル記憶装置
111 制御部(MPU)
113 RAM
114 アクセス制御部
115 指紋読取部
116 指紋読取数カウント部
2 インターネットファクシミリ装置
213 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とを記憶する記憶手段と、
利用希望者の生体認証パターンを取得する生体認証パターン取得手段と、
前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンと前記記憶手段により記憶された生体認証パターンとが同一の個体を示す場合に、所定の電子機器装置との間で前記所定情報のデータ交換を行うデータ交換手段と、
前記生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かを判断する不具合判断手段と、を有するリムーバブル記憶装置であって、
前記不具合判断手段により不具合があると判断されたときに、前記記憶手段により記憶された前記利用者の生体認証パターンと前記所定情報とを前記電子機器装置内または前記電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信することを特徴とするリムーバブル記憶装置。
【請求項2】
前記生体認証パターン取得手段により生体認証パターンを取得した回数をカウントする回数カウント手段を更に有し、
前記不具合判断手段は、前記回数カウント手段によりカウントされた数が予め定めた設定値に達したときに、不具合があると判断することを特徴とする請求項1に記載のリムーバブル記憶装置。
【請求項3】
前記不具合判断手段は、前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターンと前記記憶手段により記憶された生体認証パターンとが所定回数以上連続して同一の個体を示さない場合に、不具合があると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリムーバブル記憶装置。
【請求項4】
前記記憶領域の空き領域の容量を検知する検知手段を更に有し、
前記検知手段により検知された前記空き領域の容量が前記記憶手段により記憶された所定情報の容量よりも大きいときに限り、前記所定情報を前記記憶領域に送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のリムーバブル記憶装置。
【請求項5】
予め登録された利用者の生体認証パターンと所定情報とを記憶する記憶手段と、利用希望者の生体認証パターンを取得する生体認証パターン取得手段と、前記生体認証パターン取得手段に不具合があるか否かを判断する不具合判断手段と、を有するリムーバブル記憶装置と、
前記生体認証パターン取得手段により取得された生体認証パターン及び前記記憶手段により記憶された生体認証パターンが同一の個体を示すか否か判定する判定手段を有する電子機器装置と、を備え、
前記判定手段により同一の個体を示すと判定されると、前記リムーバブル記憶装置と前記電子機器装置との間でデータ交換を行う生体認証システムであって、
前記不具合判断手段により不具合があると判定されたときに、前記記憶手段により記憶された前記利用者の生体認証パターンと所定情報とを前記電子機器装置内または前記電子機器装置に接続されたネットワークに構成された記憶領域に送信することを特徴とする生体認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−3780(P2008−3780A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171528(P2006−171528)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】