説明

リモコン受信器およびスイッチ装置

【課題】光ワイヤレス信号の受光可能範囲をより拡大することが可能なリモコン受信器およびスイッチ装置を得る。
【解決手段】受光レンズ15を介して光ワイヤレス信号を受信する受光素子13cを備えるリモコン受信器において、受光レンズ15の表面15aに、光を受光素子13c側へ導光する第1のプリズム16を突設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン送信器からの光信号を受信するリモコン受信器、および該リモコン受信器を備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明器具、エアコン、オーディオ機器、扇風機、スイッチなどの電気・電子機器において、動作の指示や設定の変更のために、光リモコン装置が広く用いられている。
【0003】
光リモコン装置は、赤外光等の光を伝送媒体とする光ワイヤレス信号(光信号)を送信するリモコン送信器と、その光ワイヤレス信号を受信するリモコン受信器とによって構成される。
【0004】
リモコン受信器は、光ワイヤレス信号を受信して電気信号に変換するフォトトランジスタやフォトダイオードのような受光素子と、光を受光素子側へ導光する受光レンズとを備え、受光素子から出力される電気信号の内容を読み取って、光ワイヤレス信号によって伝送された情報を機器に与えるように構成される。
【0005】
この場合、より広い範囲(受光可能範囲;視野角)から光ワイヤレス信号を受信できるように、魚眼レンズとフレネルレンズとを組み合わせて用いる構成が公知である(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平7−298374号公報
【特許文献2】特開2005−39745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、魚眼レンズの場合、受光可能範囲を広く確保するには、レンズの直径を大きくとる必要があるため、装置構成が大型化してしまうという問題がある上、また、表面に近い浅い入射角からの光は、レンズ面に当たる幅が狭くなって受光強度が弱くなってしまい、リモコン受信器との離間距離を長くとることができず、結局は受光可能範囲を拡大できなくなってしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、光ワイヤレス信号の受光可能範囲をより拡大することが可能なリモコン受信器およびスイッチ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にあっては、受光レンズを介して光ワイヤレス信号を受信する受光素子を備えるリモコン受信器において、受光レンズの表面に、光を受光素子側へ導光する第1のプリズムを突設したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にあっては、上記第1のプリズムは受光素子の正面方向軸に対する略全周方向からの光を受光素子側へ導光する形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明にあっては、上記第1のプリズムは受光素子の正面方向軸を含む平面の両側からの光を受光素子側へ導光する形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明にあっては、上記第1のプリズムの表面は、相互に対向する少なくとも一組の平面を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明にあっては、上記第1のプリズムの突端側に、平坦面を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明にあっては、上記第1のプリズムの突端側に、レンズ面を形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明にあっては、上記第1のプリズムは、受光レンズ上に複数のプリズムセグメントを積み重ねた形状であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明にあっては、受光レンズの表面に、第1のプリズムに隣接して、光を受光素子側へ導光する第2のプリズムを突設したことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明にあっては、受光レンズの裏面に、光を受光素子側へ導光する第3のプリズムを形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明にあっては、上記受光レンズが、複数のレンズセグメントを有することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明にあっては、上記複数のレンズセグメントのうち少なくとも一つの表面が非球面形状であることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明にあっては、受光レンズを介して光信号を受信する受光素子を備えるリモコン受信器において、受光レンズの基部に、光を受光素子側へ導光する第4のプリズムを形成したことを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明にあっては、上記リモコン受信器を備えるスイッチ装置であって、上記受光レンズの表面に、光を受光素子側へ導光する第1のプリズムを突設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、受光レンズ上に突設された第1のプリズムによって、より広い方向からの光を受光素子に導光することができるため、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、上記受光素子の正面方向軸周りに受光可能範囲をより拡大することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、受光素子の正面方向軸を含む平面の両側について受光強度(受光感度)を大きくし、受信可能範囲をより拡大することができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、一組の平面の対向姿勢に対応する特定の方向について受光強度を大きくすることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、平坦面の法線方向、すなわち受光レンズの正面側からの受光強度を大きくすることができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、受光レンズの正面側における受光可能範囲をより拡大することができる。
【0027】
請求項7の発明によれば、各プリズムセグメントに対応する複数の方向について受光強度を大きくし、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、第1および第2のプリズムのそれぞれに対応する複数の方向について受光強度を大きくし、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0029】
請求項9の発明によれば、第3のプリズムを設けた分、受光可能範囲をさらに拡大することができる。
【0030】
請求項10の発明によれば、各レンズセグメントに対応する複数の方向について受光強度を大きくし、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0031】
請求項11の発明によれば、レンズセグメントを非球面形状とすることで、球面形状のレンズセグメントを複数並べて配置した場合に比べて、スペース効率良く受光レンズを形成することができる。
【0032】
請求項12の発明によれば、受光レンズの基部に形成した第4のプリズムによって、より広い方向からの光を受光素子に導光することができるため、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0033】
請求項13の発明によれば、スイッチ装置および当該スイッチ装置に対して光ワイヤレス信号を送信する送信器を備えたユニットのレイアウトの自由度を増大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器を含むスイッチ装置およびそれを用いた照明器具システムの構成例を示す図、図2は、スイッチ装置の要部構成を示す斜視図、図3は、図2のIII-III断面図、図4は、受光機構の分解斜視図、図5は、受光素子の中心を通りかつ当該受光素子の表面に垂直な受光機構の断面における主要な光路(図6〜図9の全て)を示す模式図(平面図)、図6は、第1〜第3のプリズムを通らず受光レンズから受光素子に入射する光路を示す模式図(平面図)、図7は、第1のプリズムから受光レンズ内を経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(平面図)、図8は、第2のプリズムから受光レンズ内を経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(平面図)、図9は、受光レンズから第3のプリズムを経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(平面図)である。なお、各図中、X方向は水平でありかつスイッチ装置の設置基準面(壁面等の造営面;取付枠の表面等)に沿う方向、Y方向は鉛直でありかつスイッチ装置の設置基準面に沿う方向、Z方向は水平でありかつスイッチ装置の設置基準面に垂直な方向を示している。すなわち、本実施形態では、XY平面が設置基準面(平面)となる。
【0035】
照明器具システム1では、電源3と照明器具4とが配線5によって接続される回路をスイッチ装置2によって開閉することで、照明器具4の点灯および消灯を切り替えるようになっている。
【0036】
例えば壁スイッチとして具現化されるスイッチ装置2は、揺動可能に支持されるハンドル9を備えて手指等による押圧操作によって回路の開閉を切り替えることができるとともに、リモコン受信器を内蔵しており、リモコン送信器を備えた送信装置6A,6B等からの光ワイヤレス信号(光信号)に応じて回路の開閉を切り替えることができるようになっている。
【0037】
送信装置6Aは、タイマ(図示せず)を内蔵して、タイマ設定部6bによる点消灯時間の設定に応じた制御信号を送信部6aから光ワイヤレス信号によって送信するように構成されており、かかる送信装置6Bを用いれば、照明器具4を、例えば予め設定された点灯時間になると自動的に点灯させ、消灯時間になると自動的に消灯させるような制御が可能となる。
【0038】
また、送信装置6Bは、人検知センサ6cによる検知結果に応じた制御信号を送信部6aから光ワイヤレス信号によって送信するように構成されており、かかる送信装置6Aを用いれば、照明器具4を、例えば人がいるときには自動的に点灯させ、人がいなくなると自動的に消灯させるような制御が可能となる。
【0039】
このように、受信装置としてのスイッチ装置2、ならびに送信装置6A,6Bは、それぞれ別の機能を担っているため、装置毎に最適な設置位置が異なるとともに相互に離間する位置になる場合も多い。したがって、これら装置間を有線接続すると、配線の配索が煩わしくなる上、設置位置のセッティングやその変更も難しくなる。このため、本実施形態にかかる照明器具システム1では、赤外光等による光ワイヤレス信号(光信号)を用いた無線による制御システムを構築している。
【0040】
ところが、スイッチ装置2における受光可能範囲が狭いと、スイッチ装置2や送信装置6A,6Bの設置可能範囲(レイアウト)が結局制限されてしまうことになり、無線システムとしたことによるメリットを十分に活用できなくなってしまう。このため、本実施形態では、スイッチ装置2に、光ワイヤレス信号の受光可能範囲をより拡大するための構成を備えている。かかる構成の詳細については後述する。
【0041】
スイッチ装置2は、図2に示すように、上下方向に長い略長方形状の取付枠7をベースとして各部品がアセンブリされたものである。取付枠7は、壁(図示せず)等の造営面や、当該造営面に埋込配設される埋込ボックス(図示せず)などに、ねじ止め等によって固定される。
【0042】
スイッチ装置本体8は、開口部7aに挿入された状態で取付枠7に係止されている。そして、図3にも示すように、スイッチ装置本体8の前面には揺動可能なピアノハンドル型のハンドル9が取り付けられ、さらにそのハンドル9の前面がハンドルカバー10で覆われている。
【0043】
そして、手指等によってハンドル9(ハンドルカバー10)を押圧操作すると、その裏面の突起9aがスイッチ装置本体8のタクトスイッチ11を押圧し、このタクトスイッチが出力する信号に応じて、回路の開閉が切り替わるようになっている。また、ハンドルカバー10はハンドル9に開閉可能に取り付けられており、これを開いた状態ではスイッチ装置本体8の前面に設けられたモード切替スイッチや調整つまみ等(いずれも図示せず)が露出して、それらを操作できるようになっている。
【0044】
また、スイッチ装置2には、上述したように、光ワイヤレス信号(以下、単に光とも称する)を受光するための受光機構が設けられている。具体的には、図2および図3に示すように、スイッチ装置本体8の前面の幅方向(X方向)の一方側で一定の略円弧状断面で上下方向に伸びる突条状のベース部14を備えている。このベース部14は、ハンドル9およびハンドルカバー10とは分離されてスイッチ装置本体8に固定されており、ハンドル9およびハンドルカバー10が揺動した場合にもベース部14は動かないようになっている。なお、ベース部14の長手方向略中央位置には、矩形状の表示窓14aが形成されており、回路の開閉状態(照明器具4の点消灯状態)やスイッチ装置2の位置を示す表示灯を視認できるようになっている。
【0045】
このベース部14の一部区間は、受光素子13c(図4参照)を内蔵する受光モジュール13へ光を導光するためのシリンドリカルレンズ状の受光レンズ15として形成してある。よって、ベース部14の少なくとも受光レンズ15が形成されている区間は、透光性の合成樹脂によって構成される。光ワイヤレス信号として赤外光を用いる場合には、このベース部14の全体を、赤外光を透過させ可視光線を殆ど透過させない材料を用いて形成するのが好適である。なお、受光レンズ15は、非球面レンズとしてもよい。
【0046】
受光モジュール13は、光ワイヤレス信号(例えば赤外光)を透過する合成樹脂材料によって形成されており、図4に示すように、本体部13aの前面側に半球面状の集束レンズ13bを備えるとともに、その内部に受光素子13cを封止してある。なお、本実施形態では、スイッチ装置本体8の受光モジュール13の前面側(受光レンズ15側)となる部分に円筒状の筒状部12を設け、その筒内面で光を反射させることで受光モジュール13への集束性を高めてある。
【0047】
そして、本実施形態では、図4に示すように、受光レンズ15の表面15a上に第1のプリズム16および第2のプリズム17を突設するとともに、受光レンズ15の裏面には第3のプリズム18を形成して、図5に示すように、受光可能範囲の拡大を図っている。
【0048】
以下、受光レンズ15、第1〜第3のプリズム16,17,18の構成および機能について、図4〜図9を参照しながら説明する。なお、図5〜図9中には、光線を細い実線で示している。また、図5は、図6〜図9に示した光路を全て記載した図である。
【0049】
図6は、光が第1〜第3のプリズム16,17,18のいずれをも通らず、受光レンズ15のみを透過して受光素子13cに入射する光路を示している。このように、受光レンズ15自体も光の集束機能を備えており、受光可能範囲の拡大に寄与していることは言うまでもない。
【0050】
図7は、光が第1のプリズム16を介して受光素子13cに入射する光路を示している。図4にも示すように、第1のプリズム16は、受光レンズ15の表面15aの頂部において、略台形状の一定断面で上下方向の所定区間で延設される突条として形成されている。すなわち、第1のプリズム16は、相互に対向する一対の傾斜面(平面)16b,16bを備えるとともに、その突端側には平坦面16aを備えている。この第1のプリズム16は、YZ平面について面対称形状(すなわち、受光素子13cの正面方向軸(Z軸)を含む平面(YZ平面)の両側からの光を受光素子13c側へ導光する形状)となっている。かかる構成により、受光レンズ15の光軸(Z軸)周囲の特定方向からの光を受光素子13c側へ導光することができる。
【0051】
この第1のプリズム16によれば、一対の傾斜面16b,16bによって、YZ平面の両側からXY平面に対して角度の浅い範囲(X軸に比較的近い方向)からの光を屈折させて、受光素子13cへ導光できるようになるとともに、平坦面16aによって、当該平坦面16aの法線方向、すなわち正面側(Z方向)からの光を透過させて、受光素子13cへ導光できるようになる。
【0052】
図8は、光が第2のプリズム17を介して受光素子13cに入射する光路を示している。図4にも示すように、第2のプリズム17は、第1のプリズム16の上下に隣接して一対設けられており、これらはXZ平面について面対称形状となっており、いずれも山形断面で上下方向(Y方向)に伸びる突条として形成され、相互に対向する一対の傾斜面(平面)17b,17bを有し、その稜線17aが第1のプリズム16から斜め後方に向けて真っ直ぐ伸びて、突条の高さが第1のプリズム16から離間するにつれて漸減している。
【0053】
この第2のプリズム17によれば、一方側の傾斜面17bで屈折した光は他方側の傾斜面17bで反射して、受光素子13cに導光されることになる。図7と図8とを比較すれば明らかとなるように、この第2のプリズム17によれば、YZ平面の両側について第1のプリズム16による受光可能範囲よりXY平面に対して角度の深い範囲(X軸からより離間した方向)からの光を導光できるようになる。
【0054】
さらに、第2のプリズム17の傾斜面17bの法線は、斜め上方または斜め下方を指向しているため、受光可能範囲を上下方向にも拡大することが可能となる。
【0055】
図9は、光が第3のプリズム18を介して受光素子13cに入射する光路を示している。図4にも示すように、第3のプリズム18は、受光レンズ15の裏面において、X方向に一定間隔を空けて形成された上下方向(Z方向)に伸びる一対の凹溝として形成されている。これら第3のプリズム18,18はYZ平面について面対称形状となっており、相互に近い側の内側面18aはYZ平面に沿う平面として形成される一方、相互に遠い側の内側面18bは開口側に向けて溝幅が拡大するように二段に拡げられている。
【0056】
この第3のプリズム18によれば、受光レンズ15の表面15aを経由して内側面18bに到達した光を内側面18bで屈折させ、受光素子13cに導光することができ、図8と図9とを比較すれば明らかとなるように、YZ平面の両側について第2のプリズム17による受光可能範囲よりXY平面に対して角度の深い範囲(X軸からより離間した方向)からの光を導光できるようになる。
【0057】
以上の本実施形態によれば、受光レンズ15の表面15a上に突設された第1のプリズム16によって、より広い方向からの光を受光素子13cに導光することができ、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0058】
また、上述したように、第1〜第3のプリズム16,17,18は、いずれも、所定のYZ平面(例えば受光素子13cの中心を通り受光レンズ15の正面方向に向かう軸(Z軸)を含む鉛直面)について面対称形状となっている。このように、各プリズム16,17,18を面対称形状とすることで、当該対称基準面の両側について受光可能範囲を拡大することができる。また、各プリズム16,17,18の形状に応じて、特定の方向からの受光強度(受光感度)を強くすることができるという利点もある。そして、本実施形態のように、各プリズム16,17,18に対応する受光可能範囲を相互に補完するように設定することで、受光可能範囲の抜けを無くして、方向による受光強度のばらつきを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1、第2のプリズム16,17の表面は、相互に対向する少なくとも一組の平面(傾斜面16b,16bおよび傾斜面17b,17b)を含んでいる。したがって、それら傾斜面16b,16b同士の対向姿勢(傾斜角度)に対応する方向(図7参照)、および傾斜面17b,17b同士の対向姿勢(傾斜角度)に対応する方向(図8参照)について、それぞれ受光強度を大きくすることができ、それら各方向について所要の受光強度を確保できる分、受光可能範囲をより拡大することができる。
【0060】
また、傾斜面16b,17bの面積を比較的広くできる分、対応する方向について受光強度をより大きくすることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、上記第1のプリズム16の突端側に、平坦面16aを形成したため、当該平坦面16aの法線方向、すなわち正面方向(Z方向)からの受光強度を大きくすることができ、その分受光可能範囲をより拡大することができる。また、尖端形状やエッジが少なくなる分、衝突等に対する強度が高くなるという利点もある。
【0062】
また、本実施形態によれば、受光レンズ15の表面15aに、第1のプリズム16に隣接して第2のプリズム17を突設したため、第1および第2のプリズム16,17のそれぞれに対応する複数の方向について受光強度を大きくして、受光可能範囲を拡大することができる。また、第1および第2のプリズム16,17をそれぞれ別個に形成した場合に比べて剛性および強度を高くすることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、受光レンズ15の裏面に、光を受光素子13c側へ導光する第3のプリズム18を形成した分、受光可能範囲をさらに拡大することができる。
【0064】
そして、本実施形態によれば、受光レンズ15の正面側のみならず、より広い範囲、例えば側方からの信号も受信しやすくなるため、スイッチ装置2および当該スイッチ装置2に対して光ワイヤレス信号を送信する送信器を備えた送信装置6A,6Bのレイアウト(設置位置)の自由度を増大することができる。
【0065】
以下、本実施形態の各変形例について図面を参照しながら説明する。
【0066】
図10に示す変形例では、平坦面を有するベース部14A上に、凸レンズ状(球面状)の受光レンズ15Aが形成され、その前方側の頂点となる位置に、円錐状の第1のプリズム16Aが突設されている。
【0067】
かかる変形例によれば、第1のプリズム16Aおよび受光レンズ15AがいずれもZ軸(受光素子13cの正面方向軸)を中心とする軸対称形状(すなわち、Z軸に対する略全周方向からの光を受光素子13c側へ導光する形状)であるため、当該Z軸周りの略全方向(全周方向)について受光可能範囲を拡大することができる。すなわち、かかる構成によれば、受光レンズ15の光軸(Z軸)周囲の不特定方向からの光を受光素子13c側へ導光することができる。
【0068】
また、図11に示す変形例では、図10の変形例の第1のプリズム16Aに替わって、四角錐状の第1のプリズム16Bが設けられている。
【0069】
かかる変形例によれば、第1のプリズム16Bの表面に、X方向(左右方向)およびY方向(上下方向)についてそれぞれ相互に対向する側面(平面)16Ba,16Baが形成されるため、対をなす側面16Ba,16Baの対向姿勢(傾斜角度)に対応する各方向について受光強度を大きくし、受光可能範囲を拡大することができる。
【0070】
また、図12に示す変形例では、図4に示す第1のプリズム16に替わって、突端側にレンズ面(凸曲面)16Caが形成された第1のプリズム16Cが設けられている。
【0071】
かかる変形例によれば、受光レンズ15の正面側における受光可能範囲をより一層拡大することができる。
【0072】
また、図13に示す変形例では、図4に示す第1のプリズム16に替わって、複数のプリズムセグメントを受光レンズ15の表面15aから離間する方向に重ねた形状の第1のプリズム16Dが設けられている。具体的には、第1のプリズム16Dを、相互に対向する一対の傾斜面16Da,16Daからなるプリズムセグメントと、その前方側(突端側)で相互に対向する一対の傾斜面16Db,16Dbからなるプリズムセグメントとを有し、YZ平面について対称な面対称形状とし、傾斜面16Da,16Dbとで対向姿勢(傾斜角度)を異ならせている。
【0073】
かかる変形例によれば、各プリズムセグメントに対応する複数の方向について受光強度を大きくして、受光可能範囲を拡大することができる。
【0074】
また、図14に示す変形例では、図4に示す第3のプリズム18に替わって、略四角錐台形状の一つの大きな凹部として第3のプリズム18Eが形成され、図15に示す変形例では、図10に示す変形例の受光レンズ15Aの裏面に、正面視で環状かつ溝状に第3のプリズム18Fが形成され、図16に示す変形例では、図10に示す変形例の受光レンズ15Aの裏面に、略円錐台形状の一つの大きな凹部として第3のプリズム18Gが形成されている。これら各例では、各凹部あるいは溝部の内側面を適宜に傾斜させたり膨出させたりすることで、図4に示す第3のプリズム18と同等の効果が得られる。
【0075】
このように、第3のプリズムも種々に変形可能である。なお、これら変形例のように、第1のプリズムが面対称形状である場合には第3のプリズムも面対称形状とし、第1のプリズムが軸対称形状である場合には第3のプリズムも軸対称形状とするのが好適である。すなわち、第1のプリズムが正面視で矩形である場合には第3のプリズムの形状も正面視では矩形状の凹部または平行な溝として形成し、第1のプリズムが正面視で円形状である場合には第3のプリズムの形状も正面視で円形状の凹部または環状の溝として形成するのが好適である。
【0076】
また、図17に示す変形例では、図11に示す変形例の受光レンズ15Aに替わって、二つのレンズセグメント15H,15Hからなる受光レンズが設けられている。さらに、この場合、二つのレンズセグメント15H,15Hの光軸Cr,Clと、第1のプリズム16Bの光軸Cmとをそれぞれ相異なる方向に設定している。
【0077】
かかる変形例によれば、各レンズセグメント15H,15Hに対応する複数の方向について受光強度を大きくして、受光可能範囲を拡大することができる。また、レンズセグメント15H,15Hによる光の集束効果と、第1のプリズム16Bによる光の集束効果とを両立することができる。すなわち、図11の変形例に比べて、正面方向(Z方向)における受光強度をより大きくすることができる。
【0078】
また、図18に示す変形例では、ベース部I上に、上下方向(Y方向)に伸びる略シリンドリカルレンズ状の複数のレンズセグメント15I,15Iがベース部14Iの幅方向に並べて配置され、その境界部上に、一定の山形断面で上下方向(Y方向)に伸びる突条として形成された第1のプリズム16Iが設けられ、さらに、当該第1のプリズム16Iの上下両側に、図4と同形状の第2のプリズム17,17が形成されている。そして、この場合も、二つのレンズセグメント15I,15Iの光軸Cr,Clと、第1のプリズム16Iの光軸Cmとをそれぞれ相異なる角度に設定している。
【0079】
かかる変形例によっても、各レンズセグメント15I,15Iに対応する複数の方向について受光強度を大きくして、受光可能範囲を拡大することができる。また、レンズセグメント15I,15Iによる光の集束効果と、第1のプリズム16Iによる光の集束効果とを両立することができる。すなわち、この場合も、正面方向(Z方向)における受光強度をより大きくすることができる。
【0080】
また、この変形例のように複数のレンズセグメント15I,15Iを設ける場合には、受光レンズを設置できるスペースによっては、それらのうち少なくとも一方(より好適には全て)を非球面レンズ状とするのが好適となる場合がある。すなわち、この変形例のように、受光モジュール13の中央位置(図18では複数のレンズセグメント15I,15Iの境界部)がベース部14I(受光レンズ)の幅方向(X方向)の中央位置と一致していない場合、長い方の幅に合わせた形状のレンズセグメントを形成すると、短い方の幅に合わせた形状のレンズセグメントは短くなるし、短い方の幅に合わせた形状のレンズセグメントを形成すると、他方側に余剰スペースが生じる。この点、レンズセグメント15I,15Iのうち少なくとも一方を非球面形状とすれば、受光モジュール13の中央位置の両側のスペース全体に亘って効率よくレンズセグメントを形成することができる。
【0081】
なお、複数のレンズセグメントの表面を滑らかに連続させれば、複数のレンズセグメントの境界で段差が無くなる分、見栄えが良くなるという利点がある。
【0082】
また、図19に示す変形例では、平板状のベース部14J上に受光レンズの凸レンズ状のレンズ面16Jaを形成するとともに、その基部に略円錐台状の第4のプリズム16Jを形成している。こうすれば、レンズ面16Jaによって正面側の領域においてZ軸周りに受光可能範囲をより拡大することができる上、第4のプリズム16Jの実質的な機能面となる側面(受光素子13c側に傾斜する傾斜面)によって、Z軸回りのZ軸より離れた領域について受光可能範囲をより拡大することができる。また、かかる構成によれば、魚眼レンズを用いた場合よりもより小型に形成することができて、受光機構全体として小型化を図ることができる。さらに、側面をより広く確保することができる分、当該側面に対応する方向について受光強度を大きくすることができる。
【0083】
また、図20に示す変形例では、平板状のベース部14Kに受光レンズのシリンドリカルレンズ状のレンズ面16Kaを形成するとともに、その基部に略角錐台状の第4のプリズム16Kを形成している。こうすれば、レンズ面16Kaによって正面側の領域においてYZ平面の両側に受光範囲をより拡大することができる上、第4のプリズム16Kの実質的な機能面となる側面(受光素子13c側に傾斜する傾斜面)によって、YZ平面より離れたYZ平面の表裏両側(左右両側)について受光可能範囲をより拡大することができる。また、この場合も、魚眼レンズを用いた場合よりもより小型に形成することができて、受光機構全体として小型化を図ることができる。さらに、側面をより広く確保することができる分、当該側面に対応する方向について受光強度を大きくすることができる。
【0084】
そして、受光機構に、上記実施形態または各変形例に示した構成を採用することで、スイッチ装置2の受光可能範囲を好適に拡大することができるため、送信装置6A,6Bおよびスイッチ装置2のレイアウトの自由度を高めることができ、それらをそれぞれより好適な位置に配置することが可能となる。
【0085】
また、第1〜第4のプリズムを適宜に形成することで、特定の方向あるいは範囲に受光強度を大きくすることも可能となるため、送信装置6A,6Bおよびスイッチ装置2の特定のレイアウトに対して通信性能を高めることもできる。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば各プリズムや、プリズムセグメント、レンズ、レンズセグメントの数、設置位置、形状等は適宜に変更可能である。また、上記実施形態(変形例)に開示した各構成要素は、適宜に組み合わせて構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態にかかるリモコン受信器を含むスイッチ装置およびそれを用いた照明器具システムの構成例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器を含むスイッチ装置の要部構成を示す斜視図。
【図3】図2のIII-III断面図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールの分解斜視図。
【図5】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールの主要な光路(図6〜図9の全て)を示す模式図(受光素子の中心を通りかつ当該受光素子の表面に垂直な断面およびその断面近傍での光路を示す平面図)。
【図6】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールにおいて第1〜第3のプリズムを通らず受光レンズから受光素子に入射する光路を示す模式図(図5の光路の一部を示す平面図)。
【図7】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールにおいて第1のプリズムから受光レンズ内を経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(図5の光路の一部を示す平面図)。
【図8】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールにおいて第2のプリズムから受光レンズ内を経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(図5の光路の一部を示す平面図)。
【図9】本発明の一実施形態にかかるリモコン受信器に含まれる受光モジュールにおいて受光レンズから第3のプリズムを経由して受光素子に入射する光路を示す模式図(図5の光路の一部を示す平面図)。
【図10】本発明の一実施形態の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図11】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図12】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図13】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図14】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図15】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図16】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図17】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図18】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図19】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【図20】本発明の一実施形態の別の変形例にかかる受光レンズおよびプリズムの斜視図。
【符号の説明】
【0088】
1 照明器具システム
2 スイッチ装置
7 取付枠
7a 開口部
13c 受光素子
15,15A 受光レンズ
15H,15I レンズセグメント
15a 表面
16,16A,16B,16C,16D,16I 第1のプリズム
16J,16K 第4のプリズム
16Ba 側面(平面)
16Da,16Da 傾斜面(プリズムセグメント)
16Db,16Db 傾斜面(プリズムセグメント)
16Ca,16Ja,16Ka レンズ面
16a 平坦面
16b,16b 傾斜面(平面)
17 第2のプリズム
18,18E,18F,18G 第3のプリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光レンズを介して光信号を受信する受光素子を備えるリモコン受信器において、
受光レンズの表面に、光を受光素子側へ導光する第1のプリズムを突設したことを特徴とするリモコン受信器。
【請求項2】
前記第1のプリズムは受光素子の正面方向軸に対する略全周方向からの光を受光素子側へ導光する形状であることを特徴とする請求項1に記載のリモコン受信器。
【請求項3】
前記第1のプリズムは受光素子の正面方向軸を含む平面の両側からの光を受光素子側へ導光する形状であることを特徴とする請求項1に記載のリモコン受信器。
【請求項4】
前記第1のプリズムの表面は、相互に対向する少なくとも一組の平面を含むことを特徴とする請求項3に記載のリモコン受信器。
【請求項5】
前記第1のプリズムの突端側に、平坦面を形成したことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項6】
前記第1のプリズムの突端側に、レンズ面を形成したことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項7】
前記第1のプリズムは、受光レンズ上に複数のプリズムセグメントを積み重ねた形状であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項8】
受光レンズの表面に、第1のプリズムに隣接して、光を受光素子側へ導光する第2のプリズムを突設したことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項9】
受光レンズの裏面に、光を受光素子側へ導光する第3のプリズムを形成したことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項10】
前記受光レンズが、複数のレンズセグメントを有することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器。
【請求項11】
前記複数のレンズセグメントのうち少なくとも一つの表面が非球面形状であることを特徴とする請求項10に記載のリモコン受信器。
【請求項12】
受光レンズを介して光信号を受信する受光素子を備えるリモコン受信器において、
受光レンズの基部に、光を受光素子側へ導光する第4のプリズムを形成したことを特徴とするリモコン受信器。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一つに記載のリモコン受信器を備えるスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−53948(P2008−53948A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226823(P2006−226823)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】