説明

リモコン機能を備えた電子機器

【課題】電化機器の遠隔操作が可能な電子機器でありながらも、開発費の増大などを極力抑えることができ、ユーザの利便性をも向上させることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】本体装置とモジュールからなり、リモコン制御信号を電化機器に無線送信する電子機器であって、本体装置は、モジュールおよび所定のプログラムを記憶した記憶媒体が、着脱自在に接続可能である接続部と;接続のなされたモジュールまたは記憶媒体からプログラムを読み出し、これに基づいた制御を実行する制御部と;ユーザによる指示情報を取得する指示情報取得部と;を備えており、モジュールは、制御部に読み出される制御プログラムを記憶する第1記憶部と;リモコン制御信号を生成して無線送信する信号送信部と;を備えているものであって、制御プログラムは、信号送信部に、指示情報に応じたリモコン制御信号を生成させるステップを含んでいる電子機器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の電化機器を遠隔操作(リモコン操作)することが可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭内には様々な電化機器が普及しており、その数、種類は、年々増加し、機器自体の機能も差別化を図るために多機能、複雑化してきている。その機器製品の中で特に映像機器、音響機器、空調機器等にはリモコン装置が付属し、離れて操作できるようになっており、各製品の利便性を高めている。
【0003】
通常、リモコン装置は電化機器に付属という形で付いてきている。そして付属している電化機器のみを操作できるようになっており、それ以外の電化機器は全く操作することができないのが一般的であった。
【0004】
上記のような家電機器の状況により、家庭内に多数のリモコン装置が存在するケースが増えている。更に電化機器自体も、差別化や高性能化のために様々な機能が新たに追加されてきており、リモコン装置自体も機器の全ての機能の操作をカバーするように、ボタン数が増大したり、複雑な操作が必要となったりしている。そのためユーザは、リモコン装置の選択に混乱し、その操作方法で悩まされることが多かった。
【0005】
このような状況を緩和するために複数の電化機器のリモコンの代わりをする汎用リモコンが単体で市販されている。この汎用リモコンには予め複数の電化製品をリモコン制御できるように信号パターンが設計されており、設定を切り替えることで複数の電化機器のリモコンとして使用することができる。
【0006】
しかし、汎用リモコンにはボタンの配置や数が固定的であるために、共通的な機能しか割り当てられず柔軟な対応が難しい。またユーザにとっては、リモコン操作のためだけに用いられる汎用リモコンを別途購入する必要あり、その分の費用が余計に掛かりムダとなる。このようにユーザの利便性の観点からは、いくつかの問題がある。
【0007】
そこで本来はリモコン機能以外の主要な用途や機能を持つ携帯端末にリモコン機能を持たせ、それによってリモコンの数を減らそうということが考えられている。携帯端末として現在最も普及しているのが、携帯電話機、次に携帯ゲーム機である。携帯電話機については、例えば特許文献1〜8にも記載されているように、電化機器にリモコンの機能を持たせることが考えられている。
【0008】
これらの記載によれば、携帯電話機をリモコンとして利用するために考えられている方法として、(1)携帯電話機の筐体外部に電化機器制御用信号の送受信部を、内部に電化機器制御用信号生成部を新たに設けること、(2)電化機器の制御プログラムを、インターネットを介したネットワーク上のサーバにまとめて置いておき、希望する電化機器の制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードして、携帯電話機内臓のメモリに記憶させること、(3)その都度、リモコン操作したい電化機器の制御プログラムを起動し、携帯電話機を一対一のリモコンとするか、まずリモコン操作可能な複数の電化機器を携帯電話機の表示部に表示し、その中からリモコン操作したい電化機器を選択した後にリモコン操作したい電化機器をリモコン操作すること、といったものが挙げられている。
【特許文献1】特開2001−274899号公報
【特許文献2】特開2001−275172号公報
【特許文献3】特開2001−285945号公報
【特許文献4】特開平10−271229号公報
【特許文献5】特開2003−264612号公報
【特許文献6】特開2003−264613号公報
【特許文献7】特開2002−204292号公報
【特許文献8】特開2005−244676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記のような携帯電話機をリモコンとして利用する方法によれば、例えばリモコン信号の信号送信部を仕様変更する場合でも、携帯電話機本体の仕様を大幅に変更する必要があり、ひいては開発費や開発期間の増大を招くといった問題点がある。また、リモコン操作に使用される携帯電話機の操作ボタン数も、従来のリモコンに設けられているボタン数とさほど変わりがなく、操作時の混乱が解消されるとは言い難いものである。
【0010】
そこで本発明は上記の問題点に鑑みて、電化機器の遠隔操作を実行することが可能な電子機器でありながらも、開発費の増大などを極力抑えることができ、ユーザの利便性をも向上させることが可能な電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、本体装置とモジュールからなり、リモコン制御信号を無線送信することで、該リモコン制御信号を受信する電化機器の遠隔操作を可能とする電子機器であって、前記本体装置は、前記モジュールおよび所定のプログラムを記憶した記憶媒体が、着脱自在に接続可能である接続部と;前記接続のなされたモジュールまたは記憶媒体からプログラムを読み出し、これに基づいた制御を実行する制御部と;ユーザによる指示情報を取得する指示情報取得部と;を備えており、前記モジュールは、前記制御部に読み出される制御プログラムを記憶する第1記憶部と;前記リモコン制御信号を生成して無線送信する信号送信部と;を備えているものであって、前記制御プログラムは、前記信号送信部に、前記指示情報に応じた前記リモコン制御信号を生成させるステップを含んでいる構成(第1の構成)とする。
【0012】
本構成によれば、本体装置は、所定のプログラムを記憶した記憶媒体(ゲーム用カートリッジ等)が接続されることにより、当該プログラムを実行する装置(ゲーム機本体等)としての役割を果たすことができる。その一方で本体装置は、モジュールが接続されることにより、所定の電化機器をリモコン制御するリモコン送信機としての役割を果たすことができる。これによりユーザにとっては、共通の本体装置を、所定のプログラムの実行装置(ゲーム機等)やリモコン送信機として用いることができるため、利便性が向上する。
【0013】
また本構成では、本体装置とは別に設けられたモジュールが、リモコン制御を実行させるための第1記憶部(制御プログラムを記憶する)や信号送信部を備えている。そのため、例えば信号送信部を仕様変更する場合であっても、本体装置自体の仕様変更を極力回避することができるため、機器の開発費や開発期間の削減が容易となる。またユーザにとっても、電子機器にリモコン機能を付加させるにあたっては、モジュールだけを新たに入手すればよいために都合が良い。
【0014】
また上記第1の構成において、前記本体装置は、所定の通信サーバから前記制御プログラムをダウンロードする、通信手段を備えており、前記第1記憶部は、該制御プログラムを記憶する構成(第2の構成)としてもよい。
【0015】
本構成によれば、上記所定の通信サーバに種々の制御プログラムが準備されていれば、本体装置による制御プログラムのダウンロードにより、これらの制御プログラムを入手することが可能となる。これにより、例えば複数種類の電化機器に係る制御プログラムを準備しておくことで、電子機器を、複数種の電化機器に対するリモコン送信機とすること等が容易となる。
【0016】
また上記第1または第2の構成において、前記本体装置は、ゲーム用プログラムを記憶した前記記憶媒体が前記接続部に接続されることにより、携帯型のゲーム機となる構成(第3の構成)としてもよい。
【0017】
本構成によれば、同じ本体装置を、携帯型のゲーム機とリモコン送信機の何れとしても活用することが可能である。なお携帯型のゲーム機とリモコン送信機は、何れも多数の操作ボタンを必要としないことが多いため、本体装置における操作ボタンを極力少なくして操作性を向上させやすいものとなる。
【0018】
また上記第1から第3の何れかの構成において、前記本体装置は、表示装置を備えており、前記モジュールは、アプリケーションプログラムを記憶する第2記憶部を備えており、該アプリケーションプログラムは、前記第1記憶部が保有している前記制御プログラムの種類の一覧を前記表示装置に表示させ、該一覧における何れかをユーザが選択可能とする第1ステップと、該選択のなされたものに係る前記制御プログラムを起動させる第2ステップと、を含む構成(第4の構成)としてもよい。
【0019】
本構成によれば、上記第1ステップおよび第2ステップの実行により、ユーザは電子機器が保有する各制御プログラムの種類を把握するとともに、その中から所望のものを起動させることができる。そのため、電子機器が複数の制御プログラムを保有していても、ユーザの利便性が損なわれることを極力回避することが可能となる。
【0020】
また、プログラムに基づいた処理を実行する所定の本体装置に、着脱自在に接続可能であるモジュールであって、前記本体装置に読み出される制御プログラムを記憶する記憶部と;所定の電化機器に送信するためのリモコン制御信号を生成して無線送信する信号送信部と;を備えており、前記制御プログラムは、前記信号送信部に、前記リモコン制御信号を生成させるステップを含んでいる構成(第5の構成)のモジュールによれば、所定の本体装置とともにリモコン送信機を実現することができる。
【0021】
また、上記第5の構成における本体装置に相当するとともに、ゲーム用プログラムを記憶したカートリッジを、着脱可能に接続する接続部と;該ゲーム用プログラムを読み出して、該プログラムに基づいた処理を実行する制御部と;を有する携帯ゲーム機であって、前記接続部は、前記カートリッジの代わりに、上記第5の構成に係るモジュールを接続可能であり、該モジュールが接続されているとき、前記制御部は、前記制御プログラムを読み出し、該制御プログラムに係る処理を実行する構成(第6の構成)の携帯ゲーム機によれば、上記第5の構成に係るモジュールとともにリモコン送信機を実現できる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように本発明の電子機器によれば、本体装置は、所定のプログラムを記憶した記憶媒体(ゲーム用カートリッジ等)が接続されることにより、当該プログラムを実行する装置(ゲーム機本体等)としての役割を果たすことができる。その一方で本体装置は、モジュールが接続されることにより、所定の電化機器をリモコン制御するリモコン送信機としての役割を果たすことができる。これによりユーザにとっては、共通の本体装置を、所定のプログラムの実行装置(ゲーム機等)やリモコン送信機として用いることができるため、利便性が向上する。
【0023】
また本発明の電子機器では、本体装置とは別に設けられたモジュールが、リモコン制御を実行させるための第1記憶部(制御プログラムを記憶する)や信号送信部を備えている。そのため、例えば信号送信部を仕様変更する場合であっても、本体装置自体の仕様変更を極力回避することができるため、機器の開発費や開発期間の削減が容易となる。またユーザにとっても、電子機器にリモコン機能を付加させるにあたっては、モジュールだけを新たに入手すればよいために都合が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態として、各種ゲーム用カートリッジの着脱が可能である携帯型のゲーム機(携帯ゲーム機)、およびカートリッジの代わりに携帯ゲーム機に装着可能なリモコン仕様のモジュール(以下、単に「モジュール」と称する)等を含む、リモコン制御システム挙げて説明する。
【0025】
リモコン制御システムの構成概略を、図1に示す。本図のように当該システム1は、携帯ゲーム機2、モジュール3、電化機器4、およびサーバ5などを有している。
【0026】
まず携帯ゲーム機2の構成について、図2を参照しながら説明する。本図に示すように、携帯ゲーム機2は、CPU21、無線通信部22、操作ボタン23、表示装置24、スピーカ25、および接続部26等を備えている。
【0027】
CPU21は、接続部26に装着されているゲーム用カートリッジ6もしくはモジュール3に記録されているプログラムに基づいて、種々の処理を実行する。例えばゲーム用カートリッジ6に係るゲーム用プログラムである場合には、表示装置24を通じたキャラクターの表示、スピーカ25を通じた効果音の出力、操作ボタン23の状態に応じたキャラクターの移動などの処理を実行する。なお、モジュール3が接続されている場合における処理の内容については、改めて説明する。
【0028】
無線通信部22は、無線通信を実行するものであり、これによりインターネット等の通信経路を介して、サーバ5等にアクセスことが可能となっている。無線通信部22により、例えば離れた場所にいる者と、ゲーム上の対戦を実行することも可能となっている。
【0029】
操作ボタン23は、例えば押しボタンスイッチや十字型のボタンスイッチなどにより構成されている。これにより携帯ゲーム機2は、ユーザによるボタン操作を通じて、ユーザの意図が反映された情報(指示情報)を取得することが可能である。
【0030】
表示装置24は、例えばLCDによるディスプレイ装置を備えており、CPU21による制御に従った各種の表示を行う。またスピーカ25は、CPU21による制御に従った各種音響の出力を行う。
【0031】
接続部26は、モジュール3やゲーム用カートリッジ6を、携帯ゲーム機2側に着脱自在に装着できる形状となっており、装着されたときに、互いの内部回路を所定の状態に接続する。
【0032】
またモジュール3については、同じく図2に示すように、フラッシュメモリ31、ROM32、リモコン制御信号生成部33、およびリモコン制御信号送信部34、接続部35などを備えている。フラッシュメモリ31は、サーバ5からのダウンロード等により取得された各種の制御プログラム等を記憶する。なお制御プログラムとは、所定の電化機器のリモコン制御を実行するために必要なプログラムであり、具体的内容については後述する。またROM32は、後述するアプリケーションプログラム等が記憶されている。
【0033】
リモコン制御信号生成部33は、携帯ゲーム機2側におけるCPU21の制御に応じて、リモコン制御を実行するためのリモコン制御信号を生成し、リモコン制御信号送信部34に出力する。またリモコン制御信号送信部34は、例えば赤外線通信手段を有しており、受取ったリモコン制御信号を無線信号に変調して、所定の電化機器4に無線送信する。
【0034】
なお上述したように、携帯ゲーム機2は、モジュール3だけでなくゲーム用カートリッジ6と接続させることも可能である。ゲーム用カートリッジ6は、同じく図2に示すように、フラッシュメモリ41およびROM42を備えている。フラッシュメモリ41は、携帯ゲーム機2側のCPU21の制御により、例えばゲームの途中経過情報などを記録する。またROM42は、ゲームを実行するためのプログラム等が記憶されている。なおモジュール3およびゲーム用カートリッジ6における接続部(35、43)は、何れも、携帯ゲーム機2側の接続部26に対応している。
【0035】
電化機器4は、リモコン制御信号を受信するための受信部を備えており、受信したリモコン制御信号に対応した処理(例えば電源のON/OFFなど)を実行することができるようになっている。なお図1には一例として、TV受信機およびDVDプレーヤが挙げられているが、これらには限定されない。
【0036】
サーバ5は、携帯ゲーム機2等との間で、インターネット等の通信経路を介しての通信が可能である。またサーバ5は、各種電化機器4に対応する制御プログラムが記録されているデータベースを保有しており、携帯ゲーム機2からの要求等に応じて、各種制御プログラムを提供することができるようになっている。
【0037】
以上の構成により携帯ゲーム機2は、ゲーム用カートリッジ6が接続されている場合には、そこに記録されているゲームプログラムを読み出すことによって、ゲームを実行することが可能である。またその一方で、モジュール3が接続されている場合には、所定の電化機器4を制御するためのリモコン送信機として使用することが可能となっている。ここで携帯ゲーム機2をリモコン送信機として使用するにあたっての処理の流れについて、図3を参照しながら、以下に説明する。
【0038】
携帯ゲーム機2の接続部26にモジュール3を接続させた状態で、携帯ゲーム機2の電源がON(もしくはリセットボタン等が押下)されると、CPU21は、ROM32に格納されているアプリケーションプログラムを読み出す(ステップS11)。以降、CPU21が実行する各種処理は、このアプリケーションプログラムに基づいてなされる。なおCPU21にROM32内のデータを読み出させるためのプログラムについては、携帯ゲーム機2側に備えられている。
【0039】
次にCPU21は、何れの制御プログラムを実行させるか、あるいは、制御プログラムのダウンロードを実行するかをユーザに選択させるための選択画面を、表示装置24に表示させる(ステップS12)。なおこのとき、ユーザの利便性を向上させるために、フラッシュメモリ31に格納されている各制御プログラムの種類の一覧も、表示させることとする。
【0040】
このときの表示状態の一例を、図4に示す。この例では、既にフラッシュメモリ31には、TV受信機、DVDプレーヤ、オーディオ機器などをリモコン操作するための制御プログラムが格納されており、そのうちの何れを起動させるかを、操作ボタン23を通じて任意に選択できるようになっている。また「(※)ダウンロード実行モードに移行」を選択することにより、ダウンロード実行モードへ移行することも可能となっている。
【0041】
これによりユーザにとっては、実行させたい制御プログラム(リモコン操作をしたい機器)が一覧の中に存在するときは、これを選択することにより、その制御プログラムを起動させることができる。一方、逆に一覧の中に存在しないときは、所望の制御プログラムをダウンロードすべく、ダウンロード実行モードへ進むことができる。
【0042】
図4のような表示がなされている段階で、ダウンロード実行モードに移行する旨の選択がなされたときは(ステップS13の「ダウンロード要」)、サーバ5から制御プログラムをダウンロードするためのモード(ダウンロード実行モード)に移行する(ステップS14)。
【0043】
ダウンロード実行モードでは、携帯ゲーム機2は、無線通信部22を通じてサーバ5にアクセスし、ダウンロード可能な制御プログラム(サーバ5が現時点で保有している制御プログラム)の種類を報知させるように、サーバ5に要求する。そしてサーバ5から送られてきたダウンロード可能な制御プログラムの一覧を表示する。
【0044】
ユーザは、この一覧の中からダウンロードを希望する制御プログラムを指定できるようになっており、携帯ゲーム機2は、指定された制御プログラムをダウンロードする(ステップS15)。その後、再びステップS12の処理(新たにダウンロードされた制御プログラムも選択可能となっている)に戻ることとする。
【0045】
また一方、図4のような表示がなされている段階で、一の制御プログラムが選択されたときは(ステップS13の「制御プログラムが選択」)、CPU21は、当該選択された制御プログラムを起動する(ステップS16)。以降CPU21が行う各種処理は、当該制御プログラムに基づいて実行される。
【0046】
当該制御プログラムの起動により、CPU21は、制御項目(何を制御するか)および制御内容(どのように制御するか)についての選択画面を、表示装置24に表示させる(ステップS17)。そしてユーザにより、操作ボタン23を通じた選択指示があったときは(ステップS18のY)、CPU21は、その指示に応じたリモコン制御信号を、リモコン制御信号生成部33に生成させる。このリモコン制御信号は、リモコン制御信号送信部34を通じて外部(制御プログラムに対応する電化機器4)に送信される。
【0047】
ここでステップS17の処理について、一例として、TV受信機に係る制御プログラムが起動された場合を想定して具体的に説明する。制御プログラムの起動(ステップS16)により、表示装置24には図5に示すような表示がなされる。この例では、制御項目として、電源のON/OFF、チャンネル切替、音量調節などが、操作ボタン23を通じて任意に選択できるようになっている。
【0048】
この状態で「(3)音量調節」が選択された場合、さらに図6に示すように、ユーザに制御内容を選択させる表示がなされる。このときに、ユーザによって所定のボタンが押下されたら(ステップS18のY)、このボタン操作に応じたリモコン制御信号(TV受信機に音量調節をさせる信号)が生成されて無線送信される。
【0049】
このように制御プログラムは、操作ボタン23や表示装置24を通じて、制御項目や制御内容をユーザに決定させる処理、および、リモコン制御生成部33やリモコン制御信号送信部34を通じて、ユーザの指示に基づいたリモコン制御信号を生成させて無線送信させる処理などを実行させる。
【0050】
以上の通り、本実施形態のリモコン制御システム1について説明した。ここで当該システム1における、携帯ゲーム機2(本体装置)とモジュール3からなる電子機器は、リモコン制御信号を無線送信することで、このリモコン制御信号を受信する電化機器4の遠隔操作を可能とするものである。
【0051】
またこの電子機器において、携帯ゲーム機2の方は、モジュール3およびゲーム用カートリッジ6が、着脱自在に接続可能である接続部26と;接続のなされたモジュール3またはゲーム用カートリッジ6からプログラムを読み出し、これに基づいた制御を実行するCPU21(制御部)と;ユーザのボタン操作を通じて、ユーザの意図を反映した指示情報を取得するための操作ボタン23を備えている。
【0052】
またモジュール3の方は、CPU21に読み出される制御プログラムを記憶するフラッシュメモリ31と;リモコン制御信号を生成して無線送信する、リモコン制御信号生成部33及びリモコン制御信号送信部34と;を備えている。また制御プログラムは、このようなリモコン制御信号を生成して無線送信する装置に対して、ユーザのボタン操作に応じたリモコン制御信号を生成させるステップを含んでいる。
【0053】
そのため、携帯ゲーム機2は、ゲーム用カートリッジ6が接続されることにより、ゲーム用プログラムを実行するためのゲーム機本体としての役割を果たすことができる。またその一方で携帯ゲーム機2は、モジュール3が接続されることにより、電化機器4をリモコン制御するリモコン送信機としての役割を果たすことができる。これによりユーザにとっては、共通の本体装置を、ゲーム機本体やリモコン送信機として用いることができるため、利便性が向上するものとなっている。
【0054】
また、携帯ゲーム機2とは別に設けられたモジュール3が、リモコン制御を実行させるためのフラッシュメモリ31(制御プログラムを記憶する)や、リモコン制御信号生成部33、リモコン制御信号送信部34などを備えている。そのため、例えばリモコン制御生成部33やリモコン制御信号送信部34などを仕様変更する場合であっても、携帯ゲーム機2自体の仕様変更を極力回避することができるため、機器の開発費や開発期間の削減が容易となる。またユーザにとっても、ゲーム機として使用していた携帯ゲーム機2にリモコン機能を付加させるにあたっては、モジュール3だけを新たに入手すればよいために都合が良い。
【0055】
また携帯ゲーム機2は、サーバ5から制御プログラムをダウンロードする無線通信部22(通信手段)を備えており、フラッシュメモリ31は、制御プログラムを記憶するものとなっている。またサーバ5においては、種々の電化機器に係る制御プログラムが準備されている。
【0056】
そのため、携帯ゲーム機2によるサーバ5からの制御プログラムのダウンロードにより、これらの制御プログラムを入手することが可能となっている。これにより、携帯ゲーム機2とモジュール3からなる電子機器を、複数種の電化機器に対するリモコン送信機とすることが容易となっている。
【0057】
また携帯ゲーム機2は、ゲーム用プログラムを記憶したゲーム用カートリッジ6(記憶媒体)が接続部26に接続されることにより、携帯型のゲーム機とすることができる。そのため、同じ本体装置(携帯ゲーム機2)を、携帯型のゲーム機とリモコン送信機の何れとしても活用することが可能である。なお携帯型のゲーム機とリモコン送信機は、何れも多数の操作ボタンを必要としないことが多いため、本体装置における操作ボタンを極力少なくして操作性を向上させやすいものとなっている。
【0058】
また携帯ゲーム機2は表示装置24を備えており、モジュール3はアプリケーションプログラムを記憶するROM32を備えている。そしてこのアプリケーションプログラムは、フラッシュメモリ31が保有している制御プログラムの種類の一覧を表示装置24に表示させ、この一覧における何れかをユーザが選択可能とするステップ(ステップS12に相当)と、選択のなされたものに係る制御プログラムを起動させるステップ(ステップS16に相当)を含んでいる。
【0059】
そのためこれらのステップに係る処理の実行により、ユーザは、携帯ゲーム機2とモジュール3からなる電子機器が保有する各制御プログラムの種類を把握するとともに、その中から所望のものを起動させることができる。そのため、かかる電子機器が複数の制御プログラムを保有していても、ユーザの利便性が損なわれることを極力回避することが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、携帯ゲーム機とリモコン送信機を併用する電子機器などにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係るリモコン制御システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯ゲーム機などの構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るリモコン制御処理に関する流れ図である。
【図4】本発明の実施形態での、ステップS12の処理に関する説明図である。
【図5】本発明の実施形態での、ステップS17の処理に関する説明図である。
【図6】本発明の実施形態での、ステップS17の処理に関する説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 リモコン制御システム
2 携帯ゲーム機(本体装置)
3 モジュール
4 電化機器
5 サーバ(通信サーバ)
6 ゲーム用カートリッジ(記憶媒体)
21 CPU(制御部)
22 無線通信部(通信手段)
23 操作ボタン(指示情報取得部)
24 表示装置
25 スピーカ
26 接続部(携帯ゲーム機側)
31 フラッシュメモリ(第1記憶部)
32 ROM(第2記憶部)
33 リモコン制御信号生成部(信号送信部)
34 リモコン制御信号送信部(信号送信部)
35 接続部(モジュール側)
41 フラッシュメモリ
42 ROM
43 接続部(ゲーム用カートリッジ側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置とモジュールからなり、リモコン制御信号を無線送信することで、該リモコン制御信号を受信する電化機器の遠隔操作を可能とする電子機器であって、
前記本体装置は、
前記モジュールおよび所定のプログラムを記憶した記憶媒体が、着脱自在に接続可能である接続部と;
前記接続のなされたモジュールまたは記憶媒体からプログラムを読み出し、これに基づいた制御を実行する制御部と;
ユーザによる指示情報を取得する指示情報取得部と;を備えており、
前記モジュールは、
前記制御部に読み出される制御プログラムを記憶する第1記憶部と;
前記リモコン制御信号を生成して無線送信する信号送信部と;を備えているものであって、
前記制御プログラムは、
前記信号送信部に、前記指示情報に応じた前記リモコン制御信号を生成させるステップを含んでいることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記本体装置は、
所定の通信サーバから前記制御プログラムをダウンロードする、通信手段を備えており、
前記第1記憶部は、該制御プログラムを記憶することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体装置は、
ゲーム用プログラムを記憶した前記記憶媒体が前記接続部に接続されることにより、携帯型のゲーム機となることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記本体装置は、表示装置を備えており、
前記モジュールは、アプリケーションプログラムを記憶する第2記憶部を備えており、
該アプリケーションプログラムは、
前記第1記憶部が保有している前記制御プログラムの種類の一覧を前記表示装置に表示させ、該一覧における何れかをユーザが選択可能とする第1ステップと、
該選択のなされたものに係る前記制御プログラムを起動させる第2ステップと、を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電子機器。
【請求項5】
プログラムに基づいた処理を実行する所定の本体装置に、着脱自在に接続可能であるモジュールであって、
前記本体装置に読み出される制御プログラムを記憶する記憶部と;
所定の電化機器に送信するためのリモコン制御信号を生成して無線送信する信号送信部と;を備えており、
前記制御プログラムは、
前記信号送信部に、前記リモコン制御信号を生成させるステップを含んでいることを特徴とするモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の本体装置に相当するとともに、
ゲーム用プログラムを記憶したカートリッジを、着脱可能に接続する接続部と;該ゲーム用プログラムを読み出して、該プログラムに基づいた処理を実行する制御部と;を有する、携帯ゲーム機であって、
前記接続部は、前記カートリッジの代わりに、請求項5に記載のモジュールを接続可能であり、
該モジュールが接続されているとき、前記制御部は、前記制御プログラムを読み出し、該制御プログラムに係る処理を実行することを特徴とする携帯ゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124730(P2008−124730A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305596(P2006−305596)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】