説明

リモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるリモコン送信機に関し、簡易な構成で、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】上ケース1上面から複数の操作キー22Aや22B等が突出した操作体22に、検知スイッチ11を操作するロータ10が弾接する、略桟状の付勢部22Cを設けることによって、ロータ10を回転させる付勢部22Cが操作体22に一体に形成され、ばね等の部品を用いる必要がないため、簡易な構成に形成できると共に、付勢部22Cによってロータ10を回転させることで、検知スイッチ11の確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化が進むなか、これらを遠隔操作するリモコン送信機においても、扉体等の開閉や移動によって操作機能を増やし、多様な操作を行えるものが増えている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機について、図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
図5は従来のリモコン送信機の断面図、図6は同分解斜視図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製の上ケース、2はゴム等の操作体で、操作体2上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の操作キー2Aや2B等が設けられると共に、これらの操作キー2Aや2B等が、上ケース1上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0005】
そして、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面に操作体2が載置されると共に、配線基板3上面にはカーボン等の複数の固定接点4が設けられ、この固定接点4が複数の操作キー2Aや2B等の下面に形成されたカーボン等の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して複数のスイッチ接点が形成されている。
【0006】
また、6は絶縁樹脂製の扉体、7はゴム等の押圧体で、押圧体7上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の押圧キー7Aや7B等が設けられると共に、この複数の押圧キー7Aや7B等が、扉体6上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0007】
さらに、8は板状で絶縁樹脂製の保持板で、この保持板8が扉体6下面を覆い固着されて、押圧体7が扉体6内に収納されると共に、保持板8下面の複数の開口孔からは、複数の押圧キー7Aや7B等の下端が突出している。
【0008】
そして、扉体6が上ケース1上面に前後方向へ摺動可能に装着されると共に、この扉体6が閉じて、複数の操作キー2Aや2B等を覆った状態では、複数の押圧キー7Aや7B等の下端が所定の操作キーに、例えば押圧キー7Aの右下端が操作キー2A上面に、左下端が操作キー2B上面に各々当接している。
【0009】
また、9は略箱型で絶縁樹脂製の下ケース、10は絶縁樹脂製のロータで、下ケース9が上ケース1や配線基板3下面を覆うと共に、ロータ10が上ケース1と下ケース9の間に回転可能に装着され、ロータ10の右端が上ケース1側面の貫通孔から突出している。
【0010】
さらに、11は検知スイッチ、12はコイル状のばねで、検知スイッチ11が配線基板3下面に実装されると共に、検知スイッチ11の操作軸11Aがロータ10の左端に当接し、ロータ10右端と上ケース1の間には、ばね12がやや撓んだ状態で装着されている。
【0011】
また、配線基板3の上下面には、発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段13や、液晶表示素子等の表示手段14、配線パターンを介して送信手段13や表示手段14、複数の固定接点4や検知スイッチ11に接続されたマイコン等の制御手段15が形成されて、リモコン送信機が構成されている。
【0012】
なお、扉体6が閉じた状態で、この上面から突出した複数の押圧キー7Aや7B等は操作する電子機器の、例えば機器がエアコンであった場合、電源の入/切や冷暖房の切換え等の、通常頻繁に使用される操作に用いられ、扉体6が開いた状態で、上ケース1上面から突出する複数の操作キー2Aや2B等は、温度の増減や、風量や風向の切換え、タイマーの時刻設定等の、比較的使用頻度の少ないものに用いられる。
【0013】
以上の構成において、扉体6が閉じた状態で、扉体6上面から突出した所定の押圧キー、例えば押圧キー7Aの右端上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して押圧キー7Aの右端が下方へ揺動し、押圧キー7Aの右下端がこの下方の操作キー2A上面を押圧する。
【0014】
そして、この操作キー2Aが略ドーム状の薄肉部を弾性変形させて下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段15が、送信手段13から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信し、例えば、エアコンの冷暖房の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0015】
なお、このように扉体6が閉じた状態では、図7(a)の平面図に示すように、扉体6内側面に右端を押圧されたロータ10が、ばね12を撓めながら反時計方向へ回転した状態となっているため、ロータ10左端が検知スイッチ11の操作軸11Aを押圧し、検知スイッチ11が例えば接続された状態となっている。
【0016】
また、扉体6を後方へ摺動し、扉体6が開いた状態では、図7(b)に示すように、扉体6内側面がロータ10右端から離れるため、ばね12に付勢されてロータ10が時計方向へ回転し、左端が操作軸11Aから離れて、検知スイッチ11が例えば切断された状態となる。
【0017】
そして、この扉体6が開いた状態で、上ケース1上面から突出した所定の操作キー、例えば操作キー2Aを押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作キー2Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0018】
また、この電気的接離に応じて制御手段15が送信手段13からリモコン信号を送信するが、この時、検知スイッチ11の電気的接離によって、扉体6が開いた状態であることを制御手段15が検出し、上記の押圧キー7Aを介して押圧操作した場合とは異なるリモコン信号を電子機器へ送信して、例えば、設定温度の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0019】
つまり、扉体6の開閉によってばね12に付勢されたロータ10を回転して、検知スイッチ11の電気的接離を行うと共に、制御手段15がこの検知スイッチ11の電気的接離によって扉体6の開閉状態を検出し、複数の操作キー2Aや2B等と押圧キー7Aや7B等のどちらが操作されたかを判別して、扉体6が開いて操作キー2Aや2B等を直接押圧操作した場合と、扉体6が閉じて押圧キー7Aや7B等を介して押圧操作した場合とでは、異なるリモコン信号を送信することによって、遠隔操作する機能を増やし、機器のより多様な操作が可能なように構成されているものであった。
【0020】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2009−170329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、検知スイッチ11を操作するロータ10を、ばね12によって付勢して回転させているため、使用する部品数が多くなり、構成も複雑なものになってしまうという課題があった。
【0023】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、確実な操作が可能なリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明は、ケース上面から複数の操作キーが突出した操作体に、検知スイッチを操作するロータが弾接する、略桟状の付勢部を設けてリモコン送信機を構成したものであり、ロータを回転させる付勢部が操作体に一体に形成され、ばね等の部品を用いる必要がないため、簡易な構成に形成できると共に、付勢部によってロータを回転させることで、検知スイッチの確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、確実な操作が可能なリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同平面図
【図4】同平面図
【図5】従来のリモコン送信機の断面図
【図6】同分解斜視図
【図7】同平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0028】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0029】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は略箱型でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製の上ケース、22はゴムやエラストマー等の操作体で、操作体22上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の操作キー22Aや22B等が設けられると共に、これらの操作キー22Aや22B等が、上ケース1上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0030】
そして、3は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成され、この上面に操作体22が載置されると共に、配線基板3上面にはカーボン等の複数の固定接点4が設けられ、この固定接点4が複数の操作キー22Aや22B等の下面に形成されたカーボン等の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して複数のスイッチ接点が形成されている。
【0031】
また、6は絶縁樹脂製の扉体、7はゴムやエラストマー等の押圧体で、押圧体7上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の押圧キー7Aや7B等が設けられると共に、この複数の押圧キー7Aや7B等が、扉体6上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0032】
さらに、8は板状で絶縁樹脂製の保持板で、この保持板8が扉体6下面を覆い固着されて、押圧体7が扉体6内に収納されると共に、保持板8下面の複数の開口孔からは、複数の押圧キー7Aや7B等の下端が突出している。
【0033】
そして、扉体6が上ケース1上面に前後方向へ摺動可能に装着されると共に、この扉体6が閉じて、複数の操作キー22Aや22B等を覆った状態では、複数の押圧キー7Aや7B等の下端が所定の操作キーに、例えば押圧キー7Aの右下端が操作キー22A上面に、左下端が操作キー22B上面に各々当接している。
【0034】
また、9は略箱型で絶縁樹脂製の下ケース、10は絶縁樹脂製のロータで、下ケース9が上ケース1や配線基板3下面を覆うと共に、ロータ10が上ケース1と下ケース9の間に回転可能に装着され、ロータ10の右端部10Aが上ケース1側面の貫通孔から突出している。
【0035】
さらに、11は検知スイッチで、配線基板3下面に実装された検知スイッチ11の操作軸11Aが、ロータ10の左端部10Bに当接すると共に、操作体22右端には略桟状の付勢部22Cが設けられ、この付勢部22Cがやや撓んだ状態でロータ10の中間部10Cに弾接している。
【0036】
また、配線基板3の上下面には、発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段13や、液晶表示素子等の表示手段14、配線パターンを介して送信手段13や表示手段14、複数の固定接点4や検知スイッチ11に接続されたマイコン等の制御手段15が形成されて、リモコン送信機が構成されている。
【0037】
なお、扉体6が閉じた状態で、この上面から突出した複数の押圧キー7Aや7B等は操作する電子機器の、例えば機器がエアコンであった場合、電源の入/切や冷暖房の切換え等の、通常頻繁に使用される操作に用いられ、扉体6が開いた状態で、上ケース1上面から突出する複数の操作キー22Aや22B等は、温度の増減や、風量や風向の切換え、タイマーの時刻設定等の、比較的使用頻度の少ないものに用いられる。
【0038】
以上の構成において、扉体6が閉じた状態で、扉体6上面から突出した所定の押圧キー、例えば押圧キー7Aの右端上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して押圧キー7Aの右端が下方へ揺動し、押圧キー7Aの右下端がこの下方の操作キー22A上面を押圧する。
【0039】
そして、この操作キー22Aが略ドーム状の薄肉部を弾性変形させて下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段15が、送信手段13から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信し、例えば、エアコンの冷暖房の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0040】
なお、このように扉体6が閉じた状態では、図3(a)の平面図に示すように、扉体6内側面に右端部10Aを押圧されたロータ10が、中間部10Cで操作体22右端の略桟状の付勢部22Cを撓めながら、反時計方向へ回転した状態となっているため、図4(a)の平面図に示すように、ロータ10の左端部10Bが検知スイッチ11の操作軸11Aを押圧し、検知スイッチ11が例えば接続された状態となっている。
【0041】
また、扉体6を後方へ摺動し、扉体6が開いた状態では、図3(b)に示すように、扉体6内側面がロータ10の右端部10Aから離れるため、中間部10Cが付勢部22Cの弾性復帰力によって押圧されて、ロータ10が時計方向へ回転し、図4(b)に示すように、左端部10Bが操作軸11Aから離れて、検知スイッチ11が例えば切断された状態となる。
【0042】
そして、この扉体6が開いた状態で、上ケース1上面から突出した所定の操作キー、例えば操作キー22Aを押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作キー22Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0043】
また、この電気的接離に応じて制御手段15が送信手段13からリモコン信号を送信するが、この時、検知スイッチ11の電気的接離によって、扉体6が開いた状態であることを制御手段15が検出し、上記の押圧キー7Aを介して押圧操作した場合とは異なるリモコン信号を電子機器へ送信して、例えば、設定温度の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0044】
つまり、扉体6の開閉によって、中間部10Cが付勢部22Cに弾接したロータ10を回転して、検知スイッチ11の電気的接離を行うと共に、制御手段15がこの検知スイッチ11の電気的接離によって扉体6の開閉状態を検出し、複数の操作キー22Aや22B等と押圧キー7Aや7B等のどちらが操作されたかを判別して、扉体6が開いて操作キー22Aや22B等を直接押圧操作した場合と、扉体6が閉じて押圧キー7Aや7B等を介して押圧操作した場合とでは、異なるリモコン信号を送信することによって、遠隔操作する機能を増やし、機器のより多様な操作が可能なように構成されている。
【0045】
そして、本発明においては、複数の操作キー22Aや22B等が形成された操作体22の端部に、検知スイッチ11を操作するロータ10が弾接する、略桟状の付勢部22Cを設けることによって、ロータ10を回転させる付勢部22Cが操作体22に一体に形成され、ばね等の部品を用いる必要がないため、使用する部品数が少なく、リモコン送信機を簡易な構成に形成できるようになっている。
【0046】
さらに、付勢部22Cをロータ10の中間部10Cに弾接させて、扉体6の開閉に伴うロータ10の回転によって付勢部22Cを弾性変形させ、この付勢部22Cの弾性復帰力によってロータ10を回転させることで、検知スイッチ11の操作軸11Aを確実に揺動させ、検知スイッチ11の確実な電気的接離を行うことが可能なように構成されている。
【0047】
このように本実施の形態によれば、上ケース1上面から複数の操作キー22Aや22B等が突出した操作体22に、検知スイッチ11を操作するロータ10が弾接する、略桟状の付勢部22Cを設けることによって、ロータ10を回転させる付勢部22Cが操作体22に一体に形成され、ばね等の部品を用いる必要がないため、簡易な構成に形成できると共に、付勢部22Cによってロータ10を回転させることで、検知スイッチ11の確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によるリモコン送信機は、簡易な構成で、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 上ケース
3 配線基板
4 固定接点
5 可動接点
6 扉体
7 押圧体
7A、7B 押圧キー
8 保持板
9 下ケース
10 ロータ
10A 右端部
10B 左端部
10C 中間部
11 検知スイッチ
11A 操作軸
13 送信手段
14 表示手段
15 制御手段
22 操作体
22A、22B 操作キー
22C 付勢部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱型のケースと、このケース上面から複数の操作キーが突出した操作体と、この操作キーの上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点と、上記ケース上面に摺動可能に装着された扉体と、この扉体の摺動に応じて回転するロータと、このロータの回転に応じて電気的接離を行う検知スイッチと、上記スイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信する制御手段からなり、上記操作体に上記ロータが弾接する、略桟状の付勢部を設けたリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98760(P2013−98760A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239993(P2011−239993)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】