説明

リモートコントローラ、携帯型電子機器及びリモートコントロールプログラム

【課題】ユーザは、現在地に関連する案内を視聴するために、再生モードとして1曲終了モードを選択したうえで、曲送り操作を繰り返さなければならないこと。
【解決手段】再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内10とするための曲送り命令11を送信するか否かは、現在位置12と第N+1番目の案内10に係る案内位置13との距離に依存する。すなわち、現在位置12aでは、曲送り命令11は、送信されない。他方、現在位置12bでは、曲送り命令11は、送信される。本実施の形態では、曲送り命令11は、携帯電話機20からカーオーディオ装置30に送信される。案内10は、音声10a及び画像(例えば、交差点案内図)10bで出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートコントロール機能に関し、特に、リモートコントローラ、携帯型電子機器及びリモートコントロールプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、案内(例えば、文章や図形等)を基地ユニットから遠隔ユニットに送信して案内を遠隔ユニットで表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特表平10−502174号公報(図5及び図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術の下、オーディオ装置で簡易なナビゲーション機能を実現することが試みられている。例えば、緯度経度に対応付けられた案内は、インターネットを介して提供可能である。また、文章による案内を音声に変換することも可能である。したがって、ユーザは、インターネットを介してメモリにダウンロードされた案内をオーディオ装置で再生すれば、案内を視聴できる。
【0004】
ところが、ユーザは、現在地に関連する案内を視聴するために、再生モードとして1曲終了モードを選択したうえで、曲送り操作を繰り返さなければならない。つまり、曲送り操作が煩わしいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内にするための曲送り命令を送信するか否かを、現在位置と第N+1番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御することである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「案内」とは、「案内位置」に関連する情報(例えば、交差点案内)である。「案内」は、少なくとも音声で出力される。もちろん、「案内」は、音声で出力されるとともに、画像で出力されてもよい。しかも、「案内」には、「案内順序」が付される。この「案内順序」は、「案内位置」にも付される。つまり、「案内順序」は、「案内」及び「案内位置」との間で共通する。
【0007】
「送信」の方式は、命令を一方の機器から他方の機器に送るものであれば足りる。好ましくは、無線送信方式が採用される。無線送信方式の例として、赤外線方式やブルートゥース(Bluetooth)方式(登録商標)などがある。
【0008】
「現在位置」は、「曲送り命令」を送信する主体が現に存在する位置である。この位置は、「曲送り命令」を送信する主体に備えられ又は接続される「GPS受信機」によって得られる。「GPS受信機」の他に、各種センサ(例えば、速度センサ)が用いられてもよい。
【0009】
「第N+1番目の案内に係る案内位置」は、「案内順序が付される案内位置」のうち「第N+1番目の案内」に関連するものである。「案内順序が付される案内位置」は、「曲送り命令」を送信する主体に備えられる「インターフェース部」によって得られる。「インターフェース部」は、他の機器と有線通信(例えば、USB接続)若しくは無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))をし、又は携帯型記憶装置(例えば、SDカード(登録商標))に接続するための部位である。「案内順序が付される案内位置」は、「インターフェース部」を介して「記憶部」に記憶される。「記憶部」は、主記憶装置(例えば、RAM等)か2次記憶装置(例えば、ハードディスク等)かを問わない。
【0010】
「否かを・・・距離に応じて制御」とは、「距離」が距離閾値以下(未満)であれば、「命令を送信」し、「距離」が距離閾値以下(未満)でなければ、「命令を送信」しないことである。
【0011】
「制御」処理は、「リモートコントロールプログラム」及びハードウエア(コンピュータ)の協働又はハードウエア単体によって実現される。「曲送り命令」を送信する主体において、「処理部」が「制御」を実現する。
【0012】
「曲送り命令」を送信する主体の例として、「リモートコントローラ」や「携帯型電子機器」などがある。「携帯型電子機器」の例として、携帯電話機やPDA等がある。
【0013】
本発明は、再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を送信するか否かを現在位置と第N番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御することである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0014】
「第N番目」とは、「案内順序」の中の特定の順番である。その他の解釈は、前述と同じである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、再生対象を次の案内とするための曲送り命令又再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を自動的に送信することで、操作の煩わしさを解消できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態という)は、図1乃至図4で示される。
【0017】
<送信例>本実施の形態に係る送信例は、図1で示される。再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内10(以下、案内10という)とするための曲送り命令11を送信するか否かは、現在位置12と第N+1番目の案内10に係る案内位置13(以下、案内位置13という)との距離に依存する。すなわち、現在位置12aでは、曲送り命令11は、送信されない。他方、現在位置12bでは、曲送り命令11は、送信される。本実施の形態では、曲送り命令11は、携帯電話機20からカーオーディオ装置30に送信される。案内10は、音声10a及び画像(例えば、交差点案内図)10bで出力される。
【0018】
<前提条件1>本実施の形態に係る前提条件は、図2で示される。前述の送信例を実現するためには、案内列40及び案内位置列41が必要である。すなわち、案内列40には、案内10が含まれる。また、案内位置列41には、案内位置13が含まれる。
【0019】
案内列40及び案内位置列41は、案内リスト43を源泉とする。案内リスト43は、インターネット50を介してサーバ51(例えば、MAPQUESTやGOOGLEMAPS)からPC52にダウンロードされる。
【0020】
案内列40は、次の方法で得られる。案内リスト43に含まれる文字43aは、PC52によって音声(例えば、MP3形式)40aに変換される。音声40aは、案内リスト43での順序43bに等しい案内順序40bが付された状態(例えば、ポインタによる関連付け)で、携帯型記憶装置(例えば、SDカード)53aに記憶される。また、音声40aは、案内リスト43に含まれる画像43cに関連付けられる。つまり、案内列40は、携帯型記憶装置53aを介して、カーオーディオ装置30に取り込まれる。
【0021】
案内位置列41は、次の方法で得られる。案内リスト43に含まれる座標43dは、PC52によって抽出され、案内位置列41の要素41aとなる。案内位置列41の要素41aは、案内リスト43での順序43bに等しい案内順序41bが付された状態(例えば、ポインタによる関連付け)で、携帯型記憶装置(例えば、microSDカード)53bに記憶される。つまり、案内位置列41は、携帯型記憶装置53bを介して、携帯電話機20に取り込まれる。
【0022】
<前提条件2>前述の送信例を実現するためには、カーオーディオ装置が、携帯型記憶装置53aから案内列40を得るためのインターフェース部、携帯電話機20によって送信された曲送り命令11を受信するための受信部(例えば、赤外線通信部)及び1曲終了モードを実現するためのソフトウエアモジュールを備えなければならない。ここで、1曲終了モードとは、1曲分の再生が終了しても、次の曲の再生を開始しない機能である。
【0023】
もっとも、いずれの部品も公知であるので、当該カーオーディオ装置を製造するのは当業者であれば可能である。
【0024】
<ハードウエア構成について>本実施の形態に係る携帯電話機20のハードウエア構成は、図3で示される。携帯電話機20は、SoC(System on Chip)21を少なくとも備える。
【0025】
SoC21は、処理部及び記憶部を一体化したものである。すなわち、ROM、CPU、RAM及びI/Oが含まれる。
【0026】
ROMには、BIOS等の基本プログラムの他に、リモートコントロールプログラム及びこのプログラム用のデータが記憶される。
【0027】
I/Oには、GPS受信機22、インターフェース部(以下、I/F部という)23及び赤外線通信部(以下、IR部という)24が接続される。
【0028】
GPS受信機22は、現在位置を取得するための部品である。現在位置は、RAMに記憶される。
【0029】
I/F部23は、携帯型記憶装置53bから案内位置列41を取得するための部品(例えば、SDカードリーダ)である。案内位置列41は、RAMに記憶される。
【0030】
IR部24は、曲送り命令11を送信するための部品である。曲送り命令11は、カーオーディオ装置30によって受信される。
【0031】
<送信制御処理について>本実施の形態に係る送信制御処理(以下、本処理という)は、CPUがROMに記憶されるリモートコントロールプログラムを実行することで実現する。本処理は、図4で示される。現在位置12と第N+1番目の案内位置13との距離D(N+1)が演算される(S1)。このとき、現在位置12及び第N+1番目の案内位置13は、RAMからCPUのレジスタに読み出される。また、距離D(N+1)は、CPUのレジスタに記憶される。
【0032】
距離D(N+1)と距離閾値D0とが比較される(S2)。このとき、距離D(N+1)が距離閾値D0以上であれば(S2の「≧」)、S1からS2までの手続が繰り返される。
【0033】
他方、距離D(N+1)が距離閾値D0未満であれば(S2の「<」)、曲送り命令11を送信するための命令が出力される(S3)。これによって、IR部24は、曲送り命令11をカーオーディオ装置30に送信する。カーオーディオ装置30は、曲送り命令11を受けて、再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内10とする。
【0034】
S1乃至S3の手続は、Nの値を1ずつインクリメントしながら繰り返される(いわゆるループ処理)。繰り返しの範囲は、Nが1以上n−1以下(1≦N≦n−1)である。ここで、nは、案内順序41bの中で最後の順番を示す数である。しかも、本処理では、再生を開始するための再生開始命令が曲送り命令11とともに送信されてもよい。
【0035】
<本実施の形態における効果>本実施の形態によれば、再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内10(以下、案内10という)とするための曲送り命令11を送信するか否かは、現在位置12と第N+1番目の案内10に係る案内位置13(以下、案内位置13という)との距離に依存する。したがって、現在位置12が案内位置10に近づく度に、曲送り操作をする必要はない。すなわち、曲送り操作の煩わしさは、解消される。
【0036】
<変形例>本実施の形態に係る曲送り命令12に代えて、再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令が採用されてもよい。この変形例に係る送信制御処理は、図5で示される。本処理は、所定の周期(例えば、5分周期)でメイン処理から呼び出される。
【0037】
初期化が行われる(S11)。すなわち、案内順序Nは、「1」に設定される(S11)。案内順序Nとnとが比較される(S12)。nは、案内順序41bの中で最後の順番を示す数である。案内順序Nがnより大きければ(S12の「>」)、本処理は、終了する。他方、案内順序Nがn以下であれば(S12の「≦」)、現在位置と第N番目の案内位置との距離D(N)が演算される(S13)。このとき、現在位置及び第N番目の案内位置は、RAMからCPUのレジスタに読み出される。また、距離D(N)は、CPUのレジスタに記憶される。距離D(N)と距離閾値Dzとが比較される(S14)。このとき、距離D(N)が距離閾値Dz以上であれば(S14の「≧」)、「1」がNの値に加算される(S15)。そして、S12乃至S14の手続が実行される。他方、距離D(N)が距離閾値Dz未満であれば(S14の「<」)、再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を送信するための命令が出力される(S16)。これによって、IR部24は、曲指定命令をカーオーディオ装置30に送信する。カーオーディオ装置30は、曲指定命令を受けて、再生対象を第N番目の案内とする。
【0038】
本変形例によれば、再生対象を第N番目の案内とするための曲送り命令11を送信するか否かは、現在位置と第N番目に係る案内位置との距離に依存する。したがって、曲指定操作の煩わしさは、解消される。車両等が案内順序どおり走行しない場合であっても、最寄の案内位置に係る案内を自動的に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、リモートコントローラや携帯電話機等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態に係る送信例を示す図
【図2】本実施の形態の前提となるシステム構成を示す図
【図3】本実施の形態に係る携帯電話機のハードウエア構成を示す図
【図4】本実施の形態に係る送信制御処理の流れを示すフロー図
【図5】変形例に係る送信制御処理の流れを示すフロー図
【符号の説明】
【0041】
10 案内
11 曲送り命令
12 現在位置
13 案内位置
20 携帯電話機
21 SoC(処理部及び記憶部)
22 GPS受信機
23 インターフェース部
40b 案内順序
41a 案内位置
41b 案内順序

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置及び案内順序が付される案内位置を記憶する記憶部と、
再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内にするための曲送り命令を送信するか否かを、前記記憶部に記憶される現在位置と前記記憶部に記憶され第N+1番目の案内位置との距離に応じて制御する処理部を備えるリモートコントローラ。
【請求項2】
現在位置を得るためのGPS受信機を備える請求項1のリモートコントローラ。
【請求項3】
案内順序が付される案内位置を得るためのインターフェース部を備える請求項1又は請求項2のリモートコントローラ。
【請求項4】
リモートコントロール機能を有する携帯型電子機器であって、
現在位置及び案内順序が付される案内位置を記憶する記憶部と、
再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内にするための曲送り命令を送信するか否かを、前記記憶部に記憶される現在位置と前記記憶部に記憶され第N+1番目の案内位置との距離に応じて制御する処理部を備える携帯型電子機器。
【請求項5】
コンピュータに対して、
再生対象を第N番目の案内から第N+1番目の案内にするための曲送り命令を送信するか否かを、現在位置と第N+1番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御する処理を実行させるためのリモートコントロールプログラム。
【請求項6】
現在位置及び案内順序が付される案内位置を記憶する記憶部と、
再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を送信するか否かを、前記記憶部に記憶される現在位置と前記記憶部に記憶され第N番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御する処理部を備えるリモートコントローラ。
【請求項7】
現在位置を得るためのGPS受信機を備える請求項6のリモートコントローラ。
【請求項8】
案内順序が付される案内位置を得るためのインターフェース部を備える請求項6又は請求項7のリモートコントローラ。
【請求項9】
リモートコントロール機能を有する携帯型電子機器であって、
現在位置及び案内順序が付される案内位置を記憶する記憶部と、
再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を送信するか否かを、前記記憶部に記憶される現在位置と前記記憶部に記憶され第N番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御する処理部を備える携帯型電子機器。
【請求項10】
コンピュータに対して、
再生対象を第N番目の案内とするための曲指定命令を送信するか否かを現在位置と第N番目の案内に係る案内位置との距離に応じて制御する処理を実行させるためのリモートコントロールプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−271179(P2008−271179A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111297(P2007−111297)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】