説明

リヨセルとセルロース系低重合度パルプとのフィブリル化ブレンド

ASTM試験1975−96による測定にて200〜1000の重合度を有するセルロースパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンド、該ブレンドの製造方法、および該ブレンドを組み込んだ材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低重合度のセルロース系パルプとリヨセルとの分散性フィブリル化ブレンド、該ブレンドの製造方法、および該ブレンドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フィブリル化リヨセルを種々の材料のための補強材として使用することが提唱されている。しかしながら、出願者らは、フィブリル化リヨセル単独では補強材としてうまく機能しない、ということを見出した。フィブリル化リヨセルは適切に分散せず、したがって、靱性等の必要とされる物理的特性をもたらさない。フィブリル化リヨセルは、凝集もしくはバンドル化を起こしやすい。このため、フィブリル化リヨセルを補強材として、あるいは濾過材として使用することは困難である。なぜなら、一緒になってバンドル化し、材料の全体にわたって分散しないからである。
【0003】
低い重合度(DP)を有するセルロース系パルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドが、よく分散し、よく濾過し、そして靱性を保持しつつより良好な弾性率と強度をもたらす材料を提供する、ということを出願者らは見出した。どのような物理的特性がもたらされるか、そしてどの程度にもたらされるかは、リヨセルと低DPセルロース系パルプとのフィブリル化ブレンドを組み合わせる材料に依存する。
【0004】
1つの実施態様では、低DPパルプのDPは、Cuene(カプリエチレンジアミン)溶剤を使用するASTM試験1975−96に従った測定にて200〜1000であってよい。他の実施態様では、低DPパルプのDPは、ASTM試験1975−96に従った測定にて300〜850であってよい。他の実施態様では、低DPパルプのDPは、ASTM試験1975−96に従った測定にて400〜750であってよい。低DPパルプは微細パルプ(pulp fine)を含む。
【0005】
1つの実施態様では、ブレンドは、25〜75重量%がリヨセルで、残りが低DPパルプであってよい。1つの実施態様では、リヨセルが40〜60重量%で、残りが低DPパルプであってよい。1つの実施態様では、リヨセルが50重量%で、残りが低DPパルプであってよい。
【0006】
1つの実施態様では、リヨセルは3〜12mmの長さを有する。1つの実施態様では、リヨセルは3〜10mmの長さを有する。1つの実施態様では、リヨセルは4〜8mmの長さを有する。これらの実施態様のそれぞれにおいて、フィブリル化リヨセルのフィブリルは通常、100〜100万もしくはそれ以上のアスペクト比をもたらすよう30〜800ナノメートルの範囲の直径または幅を有する。
【0007】
低DP材料を破砕すると、リヨセル材料を分散させる際に有用なフィブリル、粒子、および微細物になる。
ブレンドは、種々の材料〔例えば、ゴム、ポリビニルアルコール、他のエラストマー材料、セルロースエーテル、ポリウレタン、ポリ乳酸、およびラテックス(例えば、ポリスチレン−co−ブチルアクリレートを水溶性ポリマー中に分散させたもの)〕中に組み込むことができる。ブレンドは、生分解性だけでなく、高い最大強度、高い弾性率、および高い破断強度が必要とされる材料中に組み込むことができる。ブレンドは、熱的クリープをもたらすよう接着剤中に組み込むことができる。ブレンドは、水性塗料におけるレオロジー改質剤として使用することができる。ブレンドはさらに、澱粉ベースの材料において使用することができる。
【0008】
1100以上のDP(ASTM試験1975−96に従って測定)を有するパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドがうまく機能しないということを出願者らが見出したので、このブレンドが分散するという事実は驚くべきことである。該フィブリル化ブレンドはうまく分散せず、また適切に濾過されない。出願者らはさらに、低DPパルプ(フィブリル化されていようといまいと)がうまく機能しないということを見出した。該低DPパルプは、うまく分散せず、適切に濾過されず、また必要とされる物理的特性をもたらさない。
【0009】
セルロースは通常、高エネルギーにてフィブリル化され、したがって製造コストが増大する。セルロースのフィブリル化には高いエネルギーが必要とされると考えられている。
1つの実施態様では、リヨセルと低DPパルプとのブレンドを、ブレンド1トン当たり500kwh未満のエネルギーにてフィブリル化することができ、適切に機能する、ということを出願者らは見出した。1つの実施態様では、リヨセルと低DPパルプとのブレンドを、ブレンド1トン当たり100kwh未満のエネルギーにてフィブリル化することができ、適切に機能する、ということを出願者らは見出した。1つの実施態様では、リヨセルと低DPパルプとのブレンドを、ブレンド1トン当たり10kwh未満のエネルギーにてフィブリル化することができ、適切に機能する、ということを出願者らは見出した。
【0010】
出発物質
リヨセルと低DPパルプは、セルロースを、そして場合によってはヘミセルロースおよびリグニンを主成分として含有する。リヨセルと低DPパルプに対する通常の出発物質としては、樹木、草、および再生紙などがあるが、これらに限定されない。いかなる供給源からの出発物質も、最初はパルプに転化される。パルプは、クラフト木材パルプ等の化学木材パルプであり、漂白してもよいし、軽く漂白してもよいし、あるいは無漂白であってもよい。軽く漂白したパルプと無漂白のパルプはリグニンを含有する。パルプ用原材料は、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンの供給源であり、「木材」または「樹木」という用語は、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンの全ての供給源を総称的に表わすのに使用される。木材パルプ工業においては、樹木は従来、硬材または軟材として分類されている。リヨセルや低DPパルプに対する出発物質として有用な軟材種の例としては、ダグラスファーやバルサムファー等のモミ;イースタンホワイトパインやロブロリーパイン等のマツ;ホワイトスプルース等のトウヒ;イースタンラーチ等のカラマツ;ヒマラヤスギ;およびイースタンヘムロックやウエタンヘムロック等のツガ;などがあるが、これらに限定されない。リヨセルや低DPパルプに対する出発物質として有用な硬材種の例としては、アカシア;レッドアルダーやヨーロピアンブラックアルダー等のハンノキ;アメリカヤマナラシ等のヤマナラシ;ブナ;カバノキ;ホワイトオーク等のオーク;ユーカリやモミジバフウ等のゴムの木;バルサムポプラ、イースタンコットンウッド、ブラックコットンウッド、およびイエローポプラ等のポプラ;ならびに、サトウカエデ、レッドメープル、シルバーメープル、およびビッグリーフメープル等のアエデ;などがあるが、これらに限定されない。
【0011】
軟材種(softwood)または硬材種(hardwood)の木材は、一般には3つの主成分、すなわちセルロース、ヘミセルロース、およびリグニンを含む。セルロースは、植物の木質組織の約50%を構成し、D−グルコースモノマーの非分岐ポリマーである。個別のセルロースポリマー鎖が結びついてより厚いミクロフィブリルが形成され、次いでこれが結びついてフィブリルが形成され、これらのフィブリルを整列させてバンドルにする。バンドルは、光学顕微鏡または走査電子顕微鏡にて高い倍率で見たときに、植物細胞壁の成分ように見える繊維を形成する。セルロースは、広範囲にわたる分子内水素結合と分子間水素結合の結果、高度に結晶質である。
【0012】
ヘミセルロースという用語は、木材中においてセルロース結びついた低分子量炭水化物ポリマーの異質なグループを表わす。ヘミセルロースは、線状ポリマーであるセルロースとは対照的に、非晶質の分岐ポリマーである。結合してヘミセルロースを形成する主要な単糖は、D−グルコース、D−キシロース、D−マンノース、L−アラビノース、D−ガラクトース、D−グルクロン酸、およびD−ガラクツロン酸である。
【0013】
リグニンは、複雑な芳香族ポリマーであって木材の20〜40%を構成し、非晶質ポリマーとして存在する。リグニンは、軟材もしくは針葉樹(裸子植物)リグニン、硬材(双子葉被子植物)リグニン、および草もしくは一年生植物(単子葉被子植物)リグニン、を含む3つの広範な種類に分類することができる。軟材リグニンは、コニフェリルアルコールまたはグアイアシルプロパン(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロパン)モノマーから誘導されるものとして特徴づけられることが多い。硬材リグニンは、グアイアシルプロパンモノマーのほかに3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニルプロパンモノマーのポリマーを含有する。草のリグニンは、これらモノマーの両方および4−ヒドロキシフェニルプロパンモノマーのポリマーを含有する。硬材リグニンは、類似の手順によって単離すると、種ごとの構造において軟材リグニンよりはるかに不均質である。
【0014】
パルプ化法
パルプ業界では、セルロースをリファイニングするために、木材主成分の化学的性質の違いが利用されている。例えば、蒸気の形態の加熱水が、ヘミセルロースからのアセチル基の除去を引き起こし、これに応じて、酢酸が形成されることでpHが低下する。次いで木材の炭水化物成分の酸加水分解が起こり、このときリグニンの加水分解はより少ない。ヘミセルロースは、酸加水分解を特に受けやすく、溶解パルプセクションまたは酸性亜硫酸塩蒸解プロセスにおいて説明するように、クラフトパルプ化工程において使用される場合は、初期の蒸気による前加水分解工程によって殆どを分解させることができる。
【0015】
木材とアルカリ溶液との反応に関しては、木材の全ての成分が、強いアルカリ性条件によって分解を受けやすい。クラフト木材パルプ化時に一般的に使用される140℃以上の高温では、ヘミセルロースとリグニンが、希アルカリ溶液によって優先的に分解される。さらに、全ての木材成分を、塩素、酸素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、および過酸化水素等の漂白剤によって酸化することができる。
【0016】
従来のパルプ化法(例えば、亜硫酸パルプ化やアルカリパルプ化)を使用して、リヨセル繊維を製造するのに有用な、そして低DPパルプを製造するのに有用な木材パルプを得ることができる。適切なアルカリパルプ化法の例は、酸による前加水分解工程のないクラフト法である。通常のクラフトパルプは、酸による前加水分解を受けにくい。アルカリパルプ化の前の酸による前処理工程を回避することによって、パルプ化木材を製造する上での全体的なコストが低減される。前加水分解工程を含むクラフトパルプ化プロセスについては、バルプの溶解のセクションにて説明する。
【0017】
通常のクラフト木材パルプは、7重量%〜約30重量%のヘミセルロース含量と0重量%〜約20重量%のリグニン含量を有する。リグニンの含量は、漂白の量に依存する。パルプのセルロース含量、ヘミセルロース含量、またはリグニン含量に適用したときの重量%は、パルプの乾燥重量に対する重量%を意味する。
【0018】
パルプは、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、過酸、および過酸化水素(これらに限定されない)を含む漂白剤を使用する任意の従来の漂白法によって漂白処理にかけることができる。
【0019】
リヨセル
再生セルロース繊維は、種々のアミンオキシドまたはイオン性液体を溶剤として使用して製造することができる。約12%の水が存在する状態のN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)が、特に有用な溶剤であることが分かっている。セルロースを、加熱条件下(通常は90℃〜130℃の範囲)にて溶剤中に溶解し、多数の細孔付き紡糸口金から空気中に押し出す。セルロースドープのフィラメントを、約3〜10倍の範囲のファクターで機械的に連続的に空気中に延伸して分子配向を起こさせる。次いで、これらのフィラメントを非溶剤(通常は、水または水/NMMO)中に導いて、セルロースを再生させる。低級脂肪族アルコール等の他の再生溶剤も提唱されている。
【0020】
NMMOもしくは他の第三アミン溶剤と混合することができる他の溶剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびカプロラクタン誘導体などがある。イオン性液体またはイオン性液体と非プロトン性もしくはプロトン性液体との混合物も適切である。イオン性液体のカチオン部分の例は、環式カチオンと非環式カチオンからなる群からのカチオンである。環式カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、およびイミダゾールカチオンなどがあり、非環式カチオンとしては、アルキル第四級アンモニウムカチオンおよびアルキル第四級リンカチオンなどがある。カチオン部分の対イオンは、ハロゲン、擬似ハロゲン、およびカルボキシレートからなる群から選択される。カルボキシレートとしては、アセテート、シトレート、マレート、マレエート、ホルメート、およびオキシレートなどがあり、ハロゲンとしては、塩化物、臭化物、塩化亜鉛/塩化コリン、塩化3−メチル−N−ブチル−ピリジニウム、および塩化ベンジルジメチル(テトラデシル)アンモニウムなどかある。カチオン上の置換基(すなわちR基)は、C、C、C、およびCであってよく、これらは飽和であっても、不飽和であってもよい。イオン性液体である化合物の例としては、塩化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、および塩化1−アリル−3−メチルイミダゾリウムなどがあるが、これらに限定されない。リヨセル用に使用されるパルプは通常、NMMOまたはイオン性液体中に10〜90分で完全に溶解する。溶解時間はより短いのが好ましい。「完全に溶解する」という用語は、ここでの文脈で使用されるときは、本発明の組成物をNMMOまたはイオン性液体中に溶解することによって形成されるドープを光学顕微鏡にて40×〜70×の倍率で観察したときに、未溶解の粒子が実質的に認められない、ということを意味している。
【0021】
NMMO液体またはイオン性液体から紡糸されたセルロース紡織繊維をリヨセル繊維と呼ぶ。リヨセルは、ヒドロキシル基の置換が起こらず、且つ化学中間体が形成されない有機溶液から沈殿したセルロースで構成される繊維に対して受け入れられている総称である。Lenzing AG製のあるリヨセル製品は、Tencel(登録商標)繊維として現在市販されている。これらの繊維は、0.9〜5.7デニール重量以上にて入手可能である。デニールは、9000メートルの繊維のグラム表示での重量である。繊度が小さいので、これらの繊維から造られるヤーンは、極めて心地よい手触りの布帛をもたらす。本特許出願中の「リヨセル」という用語は、ポリノジック繊維を含む。
【0022】
リヨセル布帛について広く認識されている2つの問題は、湿潤摩耗(例えば、洗濯処理時に起こる)の条件下での繊維のフィブリル化によって引き起こされる。フィブリル化は、「ピリング」(すなわち、フィブリルが絡み合って、小さくて比較的密な球状物になること)を引き起こしやすい。フィブリル化はさらに、染色した布帛における「艶消し(frosted)」外観の原因ともなる。フィブリル化は、高配向であることと、繊維内の見かけの横方向凝集が良くないことによって引き起こされると考えられる。この問題と提唱されている解決策について説明している、広範な技術的特許文献がある。
【0023】
リヨセルは、漂白もしくは未漂白パルプ、またはパルプとリグニンとの混合物から製造することができる。パルプは、従来の溶解パルプであっても、あるいは、ヘミセルロースを含有していて、200〜1100のDPを有していて、ヘミセルロースの含量が3〜20%であるクラフトパルプであってもよく、リヨセル溶剤(例えば、アミンオキシド、イオン性液体、および前記した他の溶剤)に適合するよう特殊処理されている。
【0024】
リヨセル用に使用されるパルプ(特殊処理したクラフトパルプを含む)は、リヨセル溶剤(例えば、アミンオキシド、イオン性液体、および前記した他の溶剤)との適合を可能にする多くの特性を有する。リヨセルパルプは、「Tappi T430 cm−99」による測定にて、約2.0未満の銅価を有し、約0.7未満の銅価を有することができる。リヨセルパルプは、約120μモル/g未満のカルボニル含量、および約約120μモル/g未満のカルボキシル含量を有する。カルボキシル基とカルボニル基の含量は、「TAPPI TM 237」によって、あるいは「Thuringisches Institute fur Textil-und Kunstoff Forschunge. V., Breischeidstr. 97, D-07407 Rudolstadt, Germany」による独自の評価法によって測定される。
【0025】
リヨセルパルプは低い遷移金属含量を有する。全遷移金属含量は、「Tappi 266 om−94」による測定にて20ppm未満であるのが好ましく、5ppm未満であるのがさらに好ましい。「全遷移金属含量」という用語は、パーツ・パー・ミリオン(ppm)の単位の測定での、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、および銅を合わせた量を表わす。リヨセルパルプは、「Tappi 266 om−94」による測定にて4ppm未満(さらに好ましくは2ppm未満)の鉄含量を有し、リヨセル用に使用されるパルプの銅含量は、「Tappi 266 om−94」による測定にて1.0ppm未満であるのが好ましく、0.5ppm未満であるのがさらに好ましい。
【0026】
リヨセル繊維はさらに、繊維に対して自然な外観をもたらす、不規則な振幅と周期の自然なひだを有してよい。ひだの振幅は約1繊維径より大きくてよく、ひだの周期は約5繊維径より大きい。
【0027】
繊維の製造方法
前述したように、リヨセル繊維の1つの製造方法は乾燥ジェット/湿潤法である。この方法では、紡糸口金のオリフィスを出るフィラメントを、空隙を通して機械的に引っ張り、次いで液体浴中に沈め、凝固させ、そして機械的に延伸してから乾燥する。乾燥リヨセル繊維は、2〜12mmの種々の長さにカットすることができる。乾燥リヨセルは、2〜12mmより長くカットすることができず、またフィブリル化に直接使用することができない。
【0028】
他の方法は、一般的に「メルトブロー法」と呼ばれている。繊維を、一連の小径オリフィスを通して、押し出される繊維とほぼ平行に流れるエアストリーム中に押し出す。これにより、繊維が引っ張られるか又は延伸される。この延伸は2つの目的を満たす。延伸は、ある程度の縦方向の分子配向を引き起こし、最終的な繊維径を小さくする。メルトブロー法は通常、不織材料を製造するのに有用な、小さな径(最も普通には10μm未満)を有する繊維をもたらす。
【0029】
メルトブロー法の1つの実施態様では、ドープを、70℃〜140℃の温度でポンプまたは押出機によって、やや高温にて紡糸装置に移送する。最終的には、ドープを、多数の紡糸オリフィスを有する押出ヘッドに導く。ドープフィラメントが、潜在的繊維の行路に対してほぼ平行方向に流れている比較的高速の乱流ガスストリーム中に現れる。ドープがオリフィスを通して押し出されると、液体ストランドまたは潜在的フィラメントが、オリフィスを出た後の連続した軌道を進行時に引っ張られる(すなわち、径が大幅に減少し、長さが増大する)。乱流により、繊維間において、そして個々の繊維の長さに沿って、自然なひだと最終的繊維径の幾らかの変動が引き起こされる。このひだは不規則であり、通常は約1繊維径より大きいピーク対ピーク振幅を有し、周期は通常、約5繊維径より大きい。軌道中のある箇所にて、繊維と再生溶液とを接触させる。再生溶液は非溶剤(例えば、水、低級脂肪族アルコール、またはこれらの混合物)である。溶剤として使用されるNMMOは、再利用のための再生浴から回収することができる。再生溶液は、押出ヘッドの下のある所定の距離にて微細なスプレーとして施すのが好ましい。
【0030】
幾らか類似している方法は「スパンボンド法」と呼ばれ、この場合は、繊維を管中に押し出し、遠位端での減圧によって引き起こされる、管を通るエアフローによって繊維を延伸する。一般には、スパンボンドされた繊維は連続的であるが、メルトブローされた繊維は、不連続で長さがより短い場合が一般的である。
【0031】
「遠心紡糸法」と呼ばれる他の方法は、急速回転ドラムの側壁における開口から繊維を吐出させる、という点が異なる。ドラムが回転するときに、空気抵抗によって繊維が幾らか引っ張られる。しかしながら、メルトブロー法におけるような強いエアストリームは、通常は存在しない。
【0032】
溶解グレードパルプ
現在最も入手しやすいリヨセル繊維は、非セルロース成分(特にヘミセルロース)を除去するよう広範囲にわたって処理されている高品質木材パルプから製造される。高度に処理されたこれらのパルプは、溶解グレードパルプもしくは高アルファ(または高α)パルプと呼ばれ、アルファ(またはα)という用語は、セルロースの比率を表わしている(Tappi,T203 CM−99)。したがって高αパルプは、高率のセルロースを〔これに応じて、低率の他の成分(特にヘミセルロース)を〕含有する。高アルファパルプを生成させるのに必要なプロセシング、および高アルファパルプにおいては出発原材料の含量がより少ないのでパルプ収率がより低くなるという事実が、リヨセル繊維およびリヨセル繊維から製造される製品のコストを大幅に高める。
【0033】
溶解グレードパルプは従来、亜硫酸法によって製造されているが、クラフト法を、ある特定の変更を加えた形で使用することができる。
パルプを製造するのにクラフト法を使用するときは、硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムとの混合物を使用して木材をパルプにする。従来のクラフト法は、残留ヘミセルロースをさらなるアルカリ攻撃に対して安定化させ、したがって、パルプ中にヘミセルロースが残留するので、漂白段階におけるその後のクラフトパルプの処理を通して、許容しうる品質の溶解パルプ(すなわち高アルファパルプ)を得ることができない。溶解型のパルプをクラフト法によって得るためには、アルカリパルプ化段階の前に、酸による前処理を原材料に施す必要がある。原材料のうちの相当量(最初の木材物質の10%以上程度の主としてヘミセルロース)を、この酸性相の前処理において可溶化させる(したがってプロセス収率が低下する)。前加水分解条件下では、セルロースは、攻撃に対して大いに抵抗性があるが、残留ヘミセルロースは、はるかに短い鎖長に分解され、したがって後続するクラフト蒸解において、種々のヘミセルロース加水分解反応によって、もしくは溶解によって、残留ヘミセルロースをかなりの程度まで除去することができる。
【0034】
前加水分解工程は通常、希薄無機酸(硫酸もしくは二酸化イオウ水溶液)または水単独による高温(150〜180℃)での木材の処理を含み、より低い温度では、最大で2時間を必要とする。後者のケースでは、天然に存在する多糖類のうちの特定のもの(主として、軟材中のマンナンおよび硬材中のキシラン)からの遊離酢酸がpHを4未満に低下させる。
【0035】
非溶解クラフトパルプも、リヨセル用に使用することができる。非溶解クラフトパルプは、200〜1100に調整された重合度、およびリヨセル溶剤に適合するように調整された銅価と遷移金属を有する。非溶解クラフトパルプについては後述する。
【0036】
重合度
「重合度」(DPと略記する)という用語は、セルロース分子中のD−グルコースモノマーの数を表わす。したがって、「平均重合度」または「平均DP」という用語は、セルロースポリマーの集合体におけるのセルロースポリマー1つ当たりのD−グルコース分子の平均数を表わす。
【0037】
パルプのDPは、使用される木材の種に依存する。硬材と軟材は異なるDPを有する。パルプのDPはさらに、使用されるパルプ化システムと漂白システムに依存する。ヘミセルロースを含むクラフト紙パルプは、ヘミセルロースをほとんど含まないで通常は全く含まないクラフト溶解パルプもしくは数種の亜硫酸溶解パルプより高いDPを有する。数種の溶解パルプは高いDPを有することがある。
【0038】
パルプのDPはさらに、それを測定する方法に依存する。本特許出願におけるDPの測定は、Cuene(カプリエチレンジアミン)溶剤を使用するASTM試験1975−96による。他の試験は、Cuam(水酸化銅アンモニウム)溶剤またはLiCl/DMAc(塩化リチウム/ジメチルアセトアミド)溶剤を使用する。Klemmeらによる「Comprehensive Organic Chemistry, Vol. 1, Fundamentals and analytical methods, Wiley-VCH1998」には、水酸化銅アンモニウムを使用するパルプのDPについて、製紙グレードの軟材パルプだと1000超、溶解グレードの軟材パルプだと300〜1700、製紙グレードの硬材パルプだと1000超、溶解グレードの硬材パルプだと300〜1000、と報告している。
【0039】
Sixtaによる「Handbook of pulp, vol. 2, Wiley-VCH2006」には、パインクラフトパルプにECF漂白を施して、DPが2207(GPC法でCuene溶剤により測定)、および、DPが2827、DPが659(GPC法でLiCl/DMAc/セルロース溶液により測定)となるようにしたことが記載されている
Sixtaはさらに、異なる種に対するDP、パルプ化システム、および漂白システムも示している。Sixtaは以下のようなDPを報告しており、Cuam法はCuene法より高いDPを有することがわかる。
・ECF漂白を施したパインクラフト:2207のCueneDPと2827のCuamDP
・TCF漂白を施したトウヒクラフト:1648のCueneDPと2251のCuamDP
・ECF漂白を施したユーカリクラフト:2355のCueneDPと2847のCuamDP
・ECF漂白を施したブナノキ亜硫酸パルプ:2240のCueneDPと2636のCuamDP
・TCF漂白を施したトウヒ亜硫酸パルプ:3074のCueneDPと3648のCuamDP
・ECF漂白を施したトウヒ亜硫酸パルプ:2486のCueneDPと3144のCuamDP
・TCF漂白を施したブナノキ亜硫酸パルプ:3489のCueneDPと4050のCuamDP
DPの分布は、単峰形(すなわち、モードDP値が、分布内にて最も頻繁に生じるDP値である)であっても、多峰形(すなわち、幾つかの相対的最大値を有するセルロースDP値の分布)であってもよい。多峰形の処理パルプは、例えば、2種以上の単峰形の処理パルプ(それぞれが異なるモードDP値を有する)を混合することによって作製することができる。セルロースDP値の分布は、GPC法によって決定することができる(Sixtaによる「Handbook of pulp, vol. 2, Wiley-VCH2006」)。
【0040】
重合度の低下
前加水分解処理なしのクラフトパルプのDPを、200〜1000の範囲のDP、または300〜850の範囲のDP、または400〜750の範囲のDPに低下させるための種々の方法がある。DPの低下は、ヘミセルロースの含量を実質的に減らすことなく行うことができる。パルプは、漂白パルプであっても、半漂白パルプであっても、あるいは未漂白パルプであってもよい。低DPのおがくずパルプ、リヨセルパルプ、またはビスコースグレードパルプを、これらの方法を使用して製造することができる。
【0041】
漂白工程が使用される場合、このDP低下処理は、パルプ化プロセスの後、ならびに漂白プロセスの前、漂白プロセス時、もしくは漂白プロセスの後に行われる。これは、漂白工程の一部と同じ時間にて行われるDP低下処理の一部を含む。漂白工程(使用される場合)は、セルロースの平均DPを低下させるための処理の前に行うのが好ましい。
【0042】
DPを低下させる方法は、酸、酸代替物、酸と酸代替物との組み合わせ物、スチーム、アルカリ性二酸化塩素、セルラーゼ、少なくとも1種の遷移金属と過酸との組み合わせ物(好ましくは、過酢酸および硫酸第一鉄と過酸化水素との組み合わせ物)でパルプを処理することを含んでよい。
【0043】
以下に記載の方法は説明のためのものである。
ヘミセルロースの含量を実質的に減らすことなくセルロースの平均DPを低下させるようパルプを処理する手段は、パルプを酸で処理することである。単に酸性化溶液のpHを制御することができるという条件にて、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、および硝酸(これらに限定されない)を含めた任意の酸を使用することができる。工業規模のプロセスにて使用されるときに重大な腐食問題を引き起こさない強酸であることから、硫酸が使用される。さらに、酸の代わりに、あるいは酸と併用する形で酸代替物を使用することができる。酸代替物は、パルプを含有する溶液中に溶解したときに酸を形成する化合物である。酸代替物の例としては、二酸化硫黄ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、および塩素ガスなどがある。
【0044】
酸もしくは酸の組み合わせ物は、水溶液中にて約0.1重量%〜約10重量%の量にて使用するのが好ましく、パルプと酸とを、約20℃〜約180℃の温度にて約2分〜約5時間にわたって接触させる。酸もしくは酸代替物の量は、パルプのpHを約0.0〜約5.0の範囲内の値に調整できるに足る量である。量、時間、温度、およびpHは、これら範囲内のある範囲であってよい。DPの低下が起こる割合は、酸処理を行う温度及び/又は圧力を高めることによって増大させることができる。酸処理時にパルプを撹拌するのが好ましいが、撹拌は激しく行ってはならない。
【0045】
試剤がスチームであるとき、スチームは、約120℃〜約260℃の温度にて約150psi〜約750psiの圧力で使用するのが好ましく、パルプを、約0.5分〜約10分にわたってスチームにさらす。スチームは、少なくとも1種の酸を含んでよい。スチームは、スチームのpHを約1.0〜約4.5の範囲内の値に低下させるに足る量の酸を含んでよい。パルプを酸とスチームの両方にさらすことにより、セルロースの平均DPを低下させるのに、スチームの単独使用と比べてより低い圧力と温度を使用することができるようになる。
【0046】
試剤が、少なくとも1種の遷移金属と過酢酸との組み合わせ物であるとき、遷移金属は約5ppm〜約50ppmの濃度にて存在し、過酢酸は約5ミリモル/リットル〜約200ミリモル/リットルの濃度にて存在し、パルプと該組み合わせ物とを、約40℃〜約100℃の温度にて約0.2時間〜約3時間にわたって接触させる。
【0047】
試剤が、硫酸第一鉄と過酸化水素との組み合わせ物であるとき、硫酸第一鉄は、約0.1M〜約0.6Mの濃度にて存在し、過酸化水素は、約0.1容量%〜約1.5容量%の濃度にて存在し、パルプと該組み合わせ物とを、約3.0〜約5.0のpHにて約10分〜約1時間にわたって接触させる。
【0048】
ヘミセルロースの含量を実質的に減らすことなく、セルロースの平均DPを低下させるべくパルプを処理するさらに他の手段は、パルプをアルカリ性二酸化塩素で、またはアルカリ性次亜塩素酸ナトリウム、酸素、もしくはオゾンで処理することである。
【0049】
処理したパルプのヘミセルロース含量(重量%にて表示)は、約7重量%〜約30重量%であるか、あるいは当該範囲内のある範囲である。本明細書で使用している「重量%(percent by weight)」または「重量百分率(weight percentage)」という用語は、処理したパルプのヘミセルロース含量またはリグニン含量に適用されるときは、処理したパルプの乾燥重量を基準とした重量%を意味している。
【0050】
ヘミセルロース含量とリグニン含量は、Tappi T249cm−00に基づいた糖含量アッセイによって測定され、同じサンプルにおけるリグニン含量は、加水分解サンプルから糖溶液を濾過した後の固体残留物から推定される。
【0051】
銅価
前加水分解処理していないクラフトパルプをリヨセル用に使用する場合は、そのDPを上記のように低下させる必要があり、そして銅価を、「Tappi T430 cm−99」による測定にて2.0未満(さらに好ましくは約1.1未満、最も好ましくは約0.7未満)に下げるよう該クラフトパルプをさらに処理する。銅価が高いと、溶解時および溶解後にセルロースの分解を引き起こす、と一般に考えられているので、銅価は低いことが望ましい。銅価は、セルロースの還元値(reducing value)を測定するのに使用される経験的試験である。銅価は、アルカリ性媒体中において特定重量のセルロース材料によって水酸化第二銅から酸化第一銅に還元される金属銅のミリグラム数に関して表示される。処理したパルプの銅価は、例えば、パルプをホウ水素化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムで処理することによって、あるいはパルプを、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化物(例えば過酸化水素)、および過酸(例えば過酢酸)(これらに限定されない)を含む1種以上の漂白剤で処理することによって下げることができる。
【0052】
リヨセル繊維とのブレンドにおいて使用される低DPパルプの銅価は、低い銅価を必要とせず、銅価を下げるように処理する必要がない。しかしながら、該パルプは、減少した銅価を有してよい。
【0053】
リヨセルと低DPパルプとのフィブリル化ブレンド
低重合度(DP)を有するパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドは、分散し、適切に濾過し、そして良好な弾性率と靱性と強度を有する材料を提供する、ということを本出願者らは見出した。どのような物理的特性がもたらされるか、そしてどの程度にもたらされるかは、リヨセル/パルプブレンドと組み合わせる材料に依存する。
【0054】
1つの実施態様では、低DPパルプのDPは、Cuene(カプリエチレンジアミン)溶剤を使用するASTM試験1975−96による測定にて200〜1000であってよい。他の実施態様では、低DPパルプのDPは、ASTM試験1975−96による測定にて300〜850であってよい。他の実施態様では、低DPパルプのDPは、ASTM試験1975−96による測定にて400〜750であってよい。
【0055】
1つの実施態様では、ブレンドは、25〜75重量%がリヨセルであってよく、残りが低DPパルプである。1つの実施態様では、ブレンドは、40〜60重量%がリヨセルであってよく、残りが低DPパルプである。1つの実施態様では、ブレンドは、50重量%がリヨセルであってよく、残りが低DPパルプである。
【0056】
1つの実施態様では、リヨセルは3〜12mmの長さを有する。1つの実施態様では、リヨセルは3〜10mmの長さを有する。1つの実施態様では、リヨセルは4〜8mmの長さを有する。これらの実施態様のそれぞれにおいて、フィブリル化リヨセルのフィブリルは通常、100より大きくて100万以上のアスペクト比をもたらすよう、30〜800ナノメートルの範囲の直径もしくは幅を有する。
【0057】
低DP材料は、リヨセル材料を分散させる上で有用なフィブリル、粒子、および微細物になる。
ブレンドは、リヨセルと低DPパルプを一緒にフィブイル化することによって作製される。1つの実施態様では、リヨセルと低DPパルプを、ディスインデグレーター(離解機)またはハイドロパルパー中にて20〜240分混合することができる。他の実施態様では、リヨセルと低DPパルプを、ディスインデグレーターまたはハイドロパルパー中にて60〜180分混合することができる。ディスインデグレーターは2700〜3300rpmにて作動し、ハイドロパルパーは約500〜900rpmにて作動する。ミキサー中におけるブレンドの濃度(コンシステンシー)は、重量基準にて0.5〜5%である。ディスインテグレーター中におけるブレンドの濃度(コンシステンシー)は、重量基準にて約1〜2%であり、ハイドロパルパー中におけるブレンドの濃度(コンシステンシー)は、重量基準にて2〜4%である。1つの実施態様では、フィブリル化に必要なエネルギーは、ブレンド1トン当たり0.5〜500kwhである。1つの実施態様では、フィブリル化に必要なエネルギーは、ブレンド1トン当たり0.5〜100kwhである。1つの実施態様では、フィブリル化に必要なエネルギーは、ブレンド1トン当たり0.5〜10kwhである。1つの実施態様では、ディスインテグレーターにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり160〜190kwh(キロワット時)であって、他の実施態様では、ディスインテグレーターにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり170〜180kwhであり、1つの実施態様では、ハイドロパルパーにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり50kwh未満であって、他の実施態様では、ハイドロパルパーにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり0.5〜25kwhである。ブレンドの濃度(コンシステンシー)を0.05〜50%の濃度(コンシステンシー)に変えることができ、こうしたブレンドを、補強もしくは濾過しようとする材料に加えることができる。濾過したブレンドを、1〜80%の濃度(コンシステンシー)での水スラリーにて出荷することができる。
【0058】
3〜12mmのリヨセルはフィブリル化されるが、より短くて低DPの繊維は、著しくはフィブリル化されないで微細物を形成することが分かっている。このことは、低DPパルプと同程度には微細物を形成しない、より高いDPのパルプについては当てはまらない。
【0059】
低DPパルプ/リヨセルブレンドは、フィブリル化を有するパルプ繊維を含んでよい。リヨセル繊維は、単独でフィブリル化される場合よりも、ブレンドにおいてより多くのフィブリル化を有することが分かっている。低DP繊維は、単独でフィブリル化される場合には限られたフィブリル化を有し、またリヨセルとのブレンドにてフィブリル化されるときより少ないフィブリル化を有する。パルプ/リヨセルブレンド中の高DPパルプは、パルプ/リヨセルブレンド中の低DPパルプと比較してフィブリル化がより少ない。
【0060】
ブレンドは、ゴム、ポリビニルアルコール、他のエラストマー材料、セルロースエーテル、ポリウレタン、ポリ乳酸、およびラテックス(例えば、ポリスチレン−co−ブチルアクリレートを水溶性ポリマー中に分散させたもの)等の、種々の材料中に組み込むことができる。ブレンドは、生分解性だけでなく、高い最大強度、高い弾性率、および高い破断強度が必要とされる材料中に組み込むことができる。ブレンドは、熱的クリープをもたらすよう接着剤中に組み込むことができる。ブレンドは、水性塗料におけるレオロジー改質剤として使用することができる。ブレンドはさらに、澱粉ベースの材料において使用することができる。
【0061】
フィブリル化リヨセル自体は、簡単には分散しない。フィブリル化リヨセルは凝集を起こしやすい。フィブリルは、それ自体が曲がりやすいか、あるいは絡み合いやすい。
200〜1000のDPを有する低DPパルプとフィブリル化リヨセルとを組み合わせると、良好な分散性を有する材料が得られる、ということを本出願者は見出した。より高いDPのパルプとフィブリル化リヨセルとの組み合わせ物は分散せず、より低いDPのパルプとフィブリル化リヨセルとの組み合わせ物も分散しない。より高いDPのパルプとフィブリル化リヨセルとの組み合わせ物は、より低いDPのパルプとフィブリル化リヨセルとの組み合わせ物ほどには、良好な弾性率、靱性、または強度をもたない。
【0062】
分散性を表す方法が幾つかある。
1つの方法は、EPA法180.1を使用して、水中におけるブレンドの濁り安定性を示すことである。この試験では、Nephelometric濁度計でブレンドスラリーの濁りを、30秒〜1分で10〜30回測定してばらつきをチェックする。容易に分散しうる材料は、安定なスラリーを有する。大きなばらつきはない。スラリー中に塊スポットや空スポットはない。濁度の標準偏差は小さい。
【0063】
リヨセル単独では、0.4〜2.5の標準偏差を有することがある。フィブリル化リヨセルと低DPパルプとのブレンド(一緒にフィブリル化されている)は、0.1〜0.3の標準偏差を有することがある。フィブリル化リヨセルとより高いDPパルプとのブレンド(一緒にフィブリル化されている)は、0.5〜9以上の標準偏差を有することがある。
【0064】
他の方法は、水/セメント混合物から特定量の水を濾過するのに要する時間を測定することである。特定量の水を濾過するのに要する時間が長いほど、繊維の分散が良好である。フィブリル化リヨセル単独、またはフィブリル化リヨセルとより高いDPのパルプとのブレンド(水切りするために一緒にフィブリル化されている)の場合は、フィブリル化低DPパルプの場合より約1.5〜2倍長くかかる。例えば、フィブリル化低DPパルプがセメント混合物から特定量の水を切るのに約1分かかる場合、フィブリル化リヨセルまたはフィブリル化リヨセルとより高いDPのパルプとのブレンドは、同じ量の水を切るのに1.5〜2分かかる。
【0065】
フィブリル化リヨセルと低DPパルプとのブレンド(水切りするために一緒にフィブリル化されている)の場合は、さらに長い時間がかかる。フィブリル化リヨセルと低DPパルプとのブレンドは、水切りするのに、低DPパルプそれ自体より2.5〜3.5倍長くかかる。例えば、低DPパルプそれ自体が、特定量の水を切るのに1分かかる場合、ブレンドは、同じ量の水を切るのに2.5〜3.5分かかる。
【0066】
水切り時間(drainage times)がより速いということは、系を濾過する水/セメント混合物の全体にわたって材料がより少ない、ということを示している。水が速やかに水切りされるオープンスポットがある。セメント母材の全体にわたって、材料が均一に分布している。
【0067】
なぜ低DPパルプがより良好な分散をもたらすのかについて、出願者は確信のある説明ができない。分散を引き起こす特質があるのかどうかを調べるために、FQA(Jeremy Meyers、Hiroki Nakano「Tappi Spring 2005 Technical Conference, pp. 1-8」)に従って繊維の特性をチェックした。表5は繊維の特性を比較したものである。
【0068】
Tappi T−230に従って測定した低DPパルプの粘度は20〜50センチポイズであるが、より高いDPのパルプの粘度は70センチポイズ以上である。低DPパルプのカルボキシル基は、より高いDPのパルプの場合の3〜3.5と比較して4.25〜5.25である。パルプ1グラム当たりの繊維の数は、より高いDPのパルプの場合が450万〜530万であるのと比較して、低DPパルプの場合は550万より多い。LWAFL(長さ加重平均繊維長:length weighted average fiber length)は、より高いDPのパルプの場合が2.4mmより大きいのと比較して、低DPパルプの場合は2.3mm未満である。キンクインデックス(kink index)は、より高いDPのパルプの場合が1.8以下であるのと比較して、低DPパルプの場合は2より大きい。カールインデックス(curl index)は、より高いDPのパルプの場合が0.18以下であるのと比較して、低DPパルプの場合は0.2より大きい。WWAFL(重量加重平均繊維長)は、より高いDPのパルプの場合が3.3mm以上であるのと比較して、低DPパルプの場合は3.2mm未満である。LW微細物(長さ加重、0.2mm未満)は、より高いDPのパルプが5.3%未満であるのと比較して、低DPパルプの場合は6重量%より大きい。離解すると(Tappi T227 om−94)、低DPパルプは、同じ条件下でリファイニングされたより高いDPのパルプと比較して、はるかに短い繊維長、より多い個体群、およびはるかに多い微細物を有する(表2と6)。
【0069】
微細物が加わると、リヨセル/低DPパルプブレンドの分散と絡み合い減少に役立つ、と考えられる。他の差異のうちの1つが分散と絡み合い減少の原因とないっている、と考えられる。
【0070】
添加剤
疎水性繊維が必要とされる多くの用途がある。フィブリル化ブレンドを添加剤で処理して、種々の材料(例えば、ゴム、熱可塑性樹脂、および組み合わせることのできる他の材料)とのブレンディングをより良好にすることができる。疎水性を付与するために使用することができる添加剤は、AKDもしくはASAもしくはカチオン界面活性剤、低レベルの置換の酢酸セルロース、および分散剤(Hydropalat 1080等)等のサイズ剤であり、サイズ剤は、シランをセルロースに結びつけ、セルロース上のカルボキシル基に対する疎水性末端とモノアミンとを反応させる。
【0071】
リグニン
さらに、リヨセル、低DPパルプ、またはこれらの両方中にリグニルンを使用することによって、リヨセルと低DPパルプとのフィブリル化ブレンドのそれぞれを疎水性にすることができる。リヨセルのための出発物質は、軽度漂白パルプまたは未漂白パルプである。低DPパルプは、未漂白であっても、あるいは軽度漂白であってもよい。リグニンの量は、リヨセル、パルプ、または両方とリグニンを加えた重量の90%という多量であってよい。リグニンを含んだ繊維(木材繊維またはリヨセル)は、より疎水性が高く、ゴム等の疎水性ポリマーとの結合を高めることができる。
【実施例】
【0072】
以下の実施例においては、Weyerhaeuser Peach(登録商標)パルプを、低DPパルプの例として使用する。高DPパルプの例は、Weyerhaeuser社のフラフパルプであるNB416、FR416、FR516、および漂白処理したLVである。リグニンを含有する低DPパルプの1つの例がUB未漂白パルプである。LVは、WeyerhaeuserのLongviewパルプを出発パルプとして米国特許第6,524,348号に記載の方法に従って得られる、高度にカルボキシル化されたパルプである。
【0073】
下記の2つの実施例は、低エネルギーのハイドロパルパーと高エネルギーのディスインテグレーターを使用してリヨセル/低DPパルプブレンドを製造することを示す。
実施例1:ハイドロパルパーの使用(90分)
水(56.5kg)、6mm長さのリヨセル繊維(92%ソリッドにて0.91kg)、およびネバードライド(never-dried)Peach(登録商標)パルプ(23%ソリッドにて3.65kg)を含む溶液(濃度:2.75重量%)を40ガロンの実験用ハイドロパルパーに加えた。ハイドロパルパーのスイッチを入れ、90分作動させた。「典型的な」ハイドロパルパーは、約700rpmにて作動する。ハイドロパルパーにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり25キロワット時である。Dried Peach(登録商標)も使用することができる。
【0074】
実施例2:ディスインテグレーターの使用(90分と180分)
水(1.94kg)、6mm長さのリヨセル繊維(92%ソリッドにて13.2g)、およびネバードライドPeach(登録商標)パルプ(23%ソリッドにて52.2g)を含む溶液(濃度:1.2重量%)を標準的なブリティッシュ・ディスインテグレーター(Tappi T227 om−94)に加えた。ディスインテグレーターのスイッチを入れ、3000rpmにて90分と180分作動させた。ディスインテグレーターにおけるエネルギーは、ブレンド1トン当たり175キロワット時である。パルプは、乾燥していても、非乾燥(never dry)であってもよい。乾燥木材パルプとしては、フラフNB416、FR416、Peach(登録商標)パルプ、および未漂白パルプ(UB)などがある。表1は、6mm長さのリヨセルとPeach(登録商標)パルプからの高度にフィブリル化されたセルロースブレンドが、同じリファイニング条件にて作製された、同じリヨセル/パルプブレンド比を有するリヨセル/NB416ブレンドもしくはリヨセル/FR416ブレンドより低いフリーネスを有する、ということを示している。760のDPと1.9%のリグニン含量を有する未漂白パルプと6mm長さのリヨセルからの高度にフィブリル化されたセルロースブレンドも、低いフリーネスを有する。フリーネスが低いということは、より微細な粒子であるということを示している、と考えられる。微細物は、250ミクロン未満の粒径を有する粒子である。
【0075】
【表1】

【0076】
実施例3:リファイニングされたリヨセル/パルプブレンドの特性
実施例3は、リファイニングされたPeach(登録商標)/リヨセルブレンドまたはリファイニングされた未漂白低DPパルプ/リヨセルブレンドが、リファイニング時において、リファイニング高DPパルプ/リヨセルブレンドより微細な粒子を生成する、ということを示す(表2に示す)。高DPパルプは、漂白処理したLVおよびNB416である。リヨセルとのブレンド中の、パルプからの余分の微細物、より多くの個体群、およびより短い低DP繊維が、ブレンド中へのリヨセルフィブリルの分散性を高め、必要以上の希釈と長いリヨセルフィブリル間の間隔により、リヨセルフィブリル間の機械的な絡み合いを少なくする。ブレンドは、25〜75重量%のリヨセルと75〜25重量%の低DPパルプを含有してよい。リヨセルの含量が高いと(95/5 リヨセル/NB416)、このブレンドは、同じ条件のリヨセル/Peachと比較して、微細物がより多くなって個体群がより少なくなるが、リヨセル/NB416からのこの余分の微細物は、おそらく過剰にフィブリル化されたリヨセル繊維からのものであろう。このことは、リヨセルフィブリルを複合材料用途に利用するうえで好ましくない。さらに、95/5比のリヨセル/Peachは、75/25比のリヨセル/Peachより微細物が多かった。この場合も、リヨセルからの微細物のために、良好な分散が得られないと考えられる。ブレンド中のリヨセル比が高いと、それが高度に微細物であっても、絡み合い有する。このことは、適切なリヨセル/パルプ比が重要であって、パルプからの微細物だけがブレンドの分散に役立つ、ということを示している。
【0077】
本実施例では、リヨセル単独、またはリヨセルと種々のパルプを表に記載の比にて組み合わせて得られるブレンドを、ブリティッシュ・ディスインテグレーター(離解機)またはハイドロパルパー中にて、表に記載の時間にわたってフィブリル化した。ブレンドは、ハイドルパルパーの場合は実施例1に記載の濃度(コンシステンシー)にて、そしてブリティッシュ・ディスインテグレーターの場合は実施例2に記載の濃度(コンシステンシー)にて水溶液状態であった。得られた材料を、表に記載の繊維特性に関して試験した。
【0078】
【表2−1】

【0079】
【表2−2】

【0080】
実施例4:リファイニングリヨセル/パルプブレンドの懸濁安定性
分散性を示す1つの方法は、EPA法180.1を使用して水中でのブレンドの濁り安定性を明らかにすることである。下記の表は、フィブリル化リヨセル、700のDPを有するPeach(登録商標)パルプとフィブリル化リヨセルとのブレンド、および1500のDPを有するNB416パルプとフィブリル化リヨセルとのブレンド、の間の比較を示す。
【0081】
【表3】

【0082】
スラリーの安定性に関するこの試験では、スラリーの濁度を記録するのに30秒タイム(half minute time)を用いる。安定なスラリーは、濁度の変動が少ない。リヨセル/低DPパルプブレンドは、リヨセル単独もしくはより高いDPのパルプとリヨセルとのブレンドよりはるかに高い安定性を有する。
【0083】
下記の表は、他のサンプルに対する懸濁安定性データを示す。表からわかるように、50/50比のリヨセル/Peach(登録商標)ブレンドからの懸濁液がやはり、最も高い懸濁安定性(最も低い標準偏差)を有する。
【0084】
帯電したナノセルロース表面は、ナノセルロースの分散性を向上させるが、高いDPを有する高カルボキシル基パルプ(LV繊維)とリヨセルとのブレンドは、良好な安定性を示さないこと(標準偏差値が大きい)が分かった。これは、微細物の生成が不十分であることの結果であろう。
【0085】
【表4】

【0086】
他の方法は、特定量の水を水/セメント混合物から濾過するのに要する時間を測定することである。特定量の水を濾過するに要する時間が長くなるほど、繊維の分散性は良くなる。第1の試験において使用した3種の材料と低DPパルプのサンプルを使用した。秒表示での濾過時間は、低DPパルプで55秒、リヨセル単独で101秒、リヨセル/高DP(1500DP)の50/50ブレンドで103秒、リヨセル/低DP(700DP)の50/50ブレンドで178秒だった。この場合も、低DPブレンドはより良好な分散性を示した。
【0087】
本出願者は、低DPパルプが良好な分散性をもたらす理由を解明してはいない。FQA(Jeremy Meyers、Hiroki Nakano「Tappi Spring 2005 Technical Conference, pp. 1-8」)で繊維特性をチェックして、分散を引き起こす可能性のある特質があるのかどうかを調べた。表5は繊維の特性を比較したものである。
【0088】
【表5】

【0089】
Peach(登録商標)パルプの粘度(Tappi T−230)とDPは他のパルプより低いことがわかる。Peach(登録商標)パルプのR−10とR−18(Tappi T−235 cm−00)は他のパルプよりやや低い。Peach(登録商標)パルプのカルボキシル基はNB416より多い。Peach(登録商標)パルプの1g当たりの繊維数は他のパルプより多い。Peach(登録商標)パルプのLWAFL(長さ加重平均繊維長)は他のパルプより短い。Peach(登録商標)パルプのキンクインデックスとカールインデックスは他のパルプより大きい。Peach(登録商標)パルプのWWAFL(重量加重平均繊維長)は他のパルプより短く、Peach(登録商標)パルプのLWファイン分(微細物、長さ加重、0.2mm未満)は他のパルプより多い。Peach(登録商標)パルプは、離解すると(Tappi T227 om−94)、同じ条件下でリファイニングされたFR416と比較して、はるかに短い繊維長、より多い個体群、およびはるかに多い微細物を有する。
【0090】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM試験1975−96による測定にて200〜1000の重合度を有するセルロースパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドであって、リヨセル繊維の少なくとも一部が3〜12mmの長さを有する上記フィブリル化ブレンド。
【請求項2】
リヨセルがブレンドの25〜75重量%を構成する、請求項1に記載のフィブリル化ブレンド。
【請求項3】
リヨセルとセルロースパルプの少なくとも一方がリグニンを含有する、請求項1に記載のフィブリル化ブレンド。
【請求項4】
ブレンドが疎水性である、請求項1に記載のフィブリル化ブレンド。
【請求項5】
ブレンドが添加剤で処理されている、請求項1に記載のフィブリル化ブレンド。
【請求項6】
添加剤が、界面活性剤、分散剤、ナノクレー、カーボンブラック、シリカ、およびリグニンもしくはリグニン誘導体から選択される、請求項5に記載のフィブリル化ブレンド。
【請求項7】
ASTM試験1975−96による測定にて200〜1000の重合度を有するセルロースパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドを含み、リヨセルの少なくとも一部が3〜12mmの長さを有する上記材料。
【請求項8】
リヨセルがブレンドの25〜75重量%を構成する、請求項7に記載の材料。
【請求項9】
リヨセルとセルロースパルプの少なくとも一方がリグニンを含有する、請求項7に記載の材料。
【請求項10】
ブレンドが疎水性である、請求項7に記載の材料。
【請求項11】
ブレンドが添加剤で処理されている、請求項7に記載の材料。
【請求項12】
添加剤が、界面活性剤、分散剤、ナノクレー、カーボンブラック、シリカ、およびリグニンもしくはリグニン誘導体から選択される、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリスチレン−co−ブチルアクリレート、水溶性ポリマー、不織布、接着剤、水性塗料、または澱粉ベース材料をさらに含む、請求項7に記載の材料。
【請求項14】
熱可塑性材料、熱硬化性材料、またはゲル材料をさらに含む、請求項7に記載の材料。
【請求項15】
エラストマー材料またはゴムをさらに含む、請求項7に記載の材料。
【請求項16】
ASTM試験1975−96による測定にて200〜1000の重合度を有するセルロースパルプとリヨセルとのフィブリル化ブレンドの製造方法であって、
ASTM試験1975−96による測定にて200〜1000の重合度を有するセルロースパルプを供給すること;
3〜12mmの長さを有するリヨセルを供給すること;
リヨセルとセルロースパルプを水性媒体中に入れて水性混合物を得ること;
該水性混合物を、リヨセルとセルロースパルプの1トン当たり0.5〜500キロワット時のエネルギーレベルにて20〜240分ミキシングすること;
を含み、リヨセルの少なくとも一部が3〜12mmの長さを有する上記方法。
【請求項17】
ミキシングが、リヨセルとセルロースパルプの1トン当たり0.5〜100キロワット時のエネルギーレベルにて行われる、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
ミキシングが、リヨセルとセルロースパルプの1トン当たり0.5〜10キロワット時のエネルギーレベルにて行われる、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
リヨセルとセルロースパルプが水性混合物の0.5〜5重量%を構成する、請求項16に記載の製造方法。
【請求項20】
ミキシングが60〜180分行われる、請求項16に記載の製造方法。

【公表番号】特表2012−526923(P2012−526923A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510807(P2012−510807)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029230
【国際公開番号】WO2010/132151
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(510146193)ウェヤーハウザー・エヌアール・カンパニー (5)
【Fターム(参考)】