説明

リライトカード処理装置

【課題】
リライトカード処理装置おいて、カードの表面印刷の消去、印字、及び磁気やICチップに記録されているデータの処理を無駄なく行う装置構成を提供することにある。
【解決手段】
カード表面の印刷を消去及び再印刷できるリライトカードの処理装置において、挿入口から見て、通信部、印字ヘッド、消去ヘッドの順で搬送路上に配置することにより、最短の搬送路で、搬送路上におけるカードの余分な往復動作無く処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リライトカード処理装置に係り、特に鉄道やバス等の交通機関において定期券や乗車券として利用される磁気やICチップ内蔵等のリライトカードの処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リライトカード処理装置とは、現在流通している定期券等のカードに対しカードの運用が変更になった場合に、カード表面に印刷されている内容、及び運用情報の磁気データまたはICチップ内の内容を消去した後、カード表面の印刷内容を更新し、かつデータの再記録処理を行う装置である。
【0003】
リライトカード処理装置の主な機能は、カード表面の印刷内容を消去する消去機能、及びカード表面に印刷する印刷機能がある。消去機能は発熱抵抗体と発熱抵抗体温度検知サーミスタからなる消去ヘッドを有し、カード表面に一定の温度(130℃程度)を加えると、元々印刷してある文字等を消すことができる。また印刷機能は複数の発熱素子からなる印刷ヘッドを有し、カードの表面にドット毎に一定の温度(180℃程度)を加えると、書き換えたい文字等を印刷することができる。
【0004】
尚、カードの表面印刷の消去、及び印字はカードを搬送することにより行い、装置の搬送路上に配置している消去ヘッドは両方向からのカードの搬送に対しても、消去可能であり、印字ヘッドは印字ヘッドの配置する向きにより、どちらか片側からの搬送に対して印字可能である。また、消去時の最大搬送速度は印字時の最大搬送速度よりも遅い為、各々処理する際は、搬送速度を変更する必要がある。例えば、搬送路上に基準となる位置を設け、その位置にて搬送速度の変更等を行うことによっても実施できる。
【0005】
上記の通り、リライトカード処理装置は、カード表面の印刷を何度も書き換えることが可能な装置であるが、定期券の継続等よるカードの処理の順番をカード表面印刷の消去及び印字後、カードの書き換え処理とした場合、データの書き換え処理が正常に終了せず、表面印刷の書き換え処理のみ正常に終了した際、使用者は全ての処理が正常に処理されたカードと、表面印刷のみが正常処理されたカードと区別が難しい。
【0006】
このため、正常に定期券等の継続処理が完了したと誤認する可能性があり、主な装置使用者である駅員等は定期券使用者に渡すおそれがある為、まずデータの書き換え処理を行い正常終了したことを確認後、カード表面印刷の消去及び、印字を行う必要がある。従来、この種の装置としては特許文献1(特開2004−195809)に記載のものがある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−195809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
装置のカード挿入口(カードの排出口も兼用する)から見て、搬送路上に通信部、消去ヘッド、及び排出方向へ印字可能な印字ヘッド(挿入口方向に排出させながら印字する)の配置の場合、定期券等によるカードの更新処理を行う際、挿入口からカードを挿入し、通信部によりデータの書き換え、及びカード表面の印刷を消去後、印字を行う為に、まずカードを印字ヘッドよりも奥へ搬送し、印字基準位置を正確に合わせる為の基準となる場所まで搬送しなければならない。そのため、その搬送分だけ、搬送路の必要距離が長くなる問題がある。
【0009】
また、上記構成において、印字基準位置を印字ヘッドと消去ヘッドの間に配置し、印字ヘッドを挿入方向に印字可能な構成(挿入口から挿入方向に搬送しながら印字する構成)とした場合で、カードの表面印刷の消去処理終了後、カードが基準位置を横切っている場合は、カードを基準位置の手前まで後退させてから、カードを搬送し、印字処理を行う必要がある為、カードの搬送路上での往復動作が多くなり、処理時間がその分だけ長くなる問題がある。ここで印字開始位置の基準とはセンサ等からなり、カードが搬送路上で基準位置を通過して一定の距離を搬送後、印字を開始するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
挿入口から見て、通信部、印字ヘッド、消去ヘッドの順で搬送路上に配置し、印字ヘッドは挿入口方向に排出させながら印字させる構成を採用する。これにより、使用者が装置の挿入口から挿入したカードをまず通信部にて、データの書き換え処理を行い、終了後、消去ヘッド部にて表面印刷の文字を消去し、消去が終了した場所でカードの搬送方向を逆にし、挿入口方向へと搬送し、印字開始基準を印字ヘッドと消去ヘッドの間に配置することにより、基準位置をカードが通過後、一定距離を搬送し、印字ヘッド部にて、カード表面への印刷を行う。
【0011】
また、カードの更新処理よりカードの新規発券を優先する場合、挿入口から見て印字ヘッド、消去ヘッド、通信部の順に搬送路上に配置し、新規発券されたカードは、新規発券用のカード搬送路を通り、通信部にてデータの書き込み処理を行い、印字ヘッドにて、カードの表面印字を行い、挿入口から排出する。
【0012】
さらに、カード表面印刷の消去、及び印字処理の際のカード搬送速度を一定にすることにより、各々の処理の前に搬送速度を変更する為に、一時停止することなくカード表面印刷の消去、印字処理を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明は装置の挿入口から見て、通信部、印字ヘッド、消去ヘッドの順で搬送路上に配置することにより、例えば、挿入口から見て、通信部、消去ヘッド、印字ヘッドの配置の場合において、通信及び、カード表面の消去終了後、印字を印字開始基準位置まで搬送する為に、搬送路を長くする必要がなくなる為、装置の省スペース化を図ることができる。また搬送路上の動作において、カードの余分な往復動作が無くなり、処理時間の短縮が可能となる。
【0014】
また、使用者の要求等により、定期券等の新規発行が更新処理よりも優先する場合、装置構成を挿入口から見て印字ヘッド、消去ヘッド、通信部の順に搬送路上に配置することにより、搬送路上でのカードの往復動作が無くなり、処理時間の短縮が可能となる。
【0015】
また、カード表面印刷の消去処理、印字処理の際の、カード搬送速度を一定にすることにより、搬送速度を変更する為に、各動作の前に一時停止する動作が必要なく、連続して消去、印字動作を行う為、処理時間の短縮が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は一実施例によるリライトカード処理装置の内部構成図を示す。リライトカード処理装置1は、カード挿入口2、カード搬送路3、主制御部4、印字ヘッド5、消去ヘッド6、通信部7、印字位置基準センサ8から構成される。カード挿入口2はカードの挿入および排出を行うものであり、カードが挿入されたことを検知する機能をも有する。カード搬送路3は、主駆動モータからギヤ及びベルト伝達にて搬送用のゴムローラを回転させ、カードを搬送する。主駆動モータは例えばパルスモータとし、主制御部4から送信されるパルス周期によって、搬送速度を変化させることができる。
【0018】
主制御部4はリライトカード処理装置全体の制御を行う。印字ヘッド5は複数の発熱素子からなる印刷ヘッドを有し、カードの表面にドット毎に一定の温度(180℃程度)を加えて、書き換えたい文字等を印刷する。消去ヘッド6は、発熱抵抗体と発熱抵抗体温度検知サーミスタから構成され、発熱抵抗体温度検知サーミスタは検知した温度を電圧に変換し、主制御部4に送信する。サーミスタが検知した温度情報を基に、発熱抵抗体に流す電流を変化させ、抵抗体の発熱量を制御する。
【0019】
通信部7はカード内の磁気データまたはICチップにデータの書き換え作業を行う。印字位置基準センサ8は、カードの表面印字を行う際の基準となるセンサであり、カードがこの基準位置を通過して、一定の距離を搬送後、印字処理を開始する。
【0020】
次に図3を参照してカードの更新処理を行う際の一実施例の制御を説明する。まずカード挿入口2からカード9を取り込み(S301)、カード9を通信部7までカード搬送路3を通して搬送する。通信部7にてカード9の磁気及びICチップに書き込まれているデータの書き換え処理を行う(S302)。
【0021】
次に、消去ヘッド6までカードを搬送し、消去用の搬送速度を変更し、カードが消去ヘッド上を通過することにより、カード表面に印刷されている文字を消去する(S303)。カード9の表面印刷の消去が終了すると、今まで挿入方向に搬送していたカード搬送の向きを、逆向きの排出方向にし、カードを印字ヘッド5まで搬送する。
【0022】
ここで、印字用の搬送速度に変更し、印字位置基準センサ8を通過後、一定の距離を搬送し、印字ヘッド5上にカード9が搬送することにより、カード表面に印字を行う(S304)。なお、印字用の搬送速度への変更は、印字位置基準センサ8を通過後に行ってもよいし、消去終了後、逆向きに(排出方向に)搬送を開始する時点で最初から変更してもよい。カードの表面印刷終了後、カード挿入口2よりカードを排出する(S305)。
【実施例2】
【0023】
次に、新規カードの発券機構をさらに有するリトライカード処理装置を図2を用いて説明する。カード搬送路上の通信部7、印字ヘッド5、消去ヘッド6の配置が図1と異なっており、カード挿入口2から見て、印字ヘッド5、消去ヘッド6、通信部7の順にカード搬送路3上に構成される。
【0024】
また、印字位置基準センサ8は、印字ヘッド5と消去ヘッド6の間に配置する。新規発券用のカード12を収納するスタッカ10、スタッカ10からカード搬送路3まで搬送する為の、新規発券用搬送路11から構成される。
【0025】
図4を参照して、図2の新規カード発券を優先する場合のリトライカード処理装置の新規発券する際の一実施例の制御を説明する。まずスタッカ10から新規カード12が新規発券用搬送路11上に搬送される。次にカードを新規発券用搬送路か11らカード搬送路3に搬送する。
【0026】
カード搬送路3まで搬送したカードを通信部7まで搬送し、カードのICチップまたは磁気等へのデータの書き込みを行う。新規カード12は表面印刷がない為、表面印刷の消去処理は不要であり、カードを印字位置基準センサ8手前まで搬送し、印字用の搬送速度に変更し、印字ヘッド5まで搬送する。印字ヘッド5まで搬送されたカードは印字ヘッド5上を通過することにより、カード表面に印字され、印字されたカードはカード挿入口2から排出される。
【実施例3】
【0027】
次に、カードの表面印刷の消去と印字の際の消去温度及び印字温度と搬送速度の最適化を行い、カードの搬送速度を一定にした時の一実施例を説明する。
【0028】
装置の構成は、上述の図2と同様であり、カード挿入口2から見て、カード搬送路3上に印字ヘッド5、消去ヘッド6、通信部7の順に配置する。カードの更新等により、カード挿入口2からカードを挿入した場合は、通信部7へカードを搬送し、通信部7にてカードのデータ書き換え処理を行う。
【0029】
次に、カードの表面印刷の消去及び印刷を行うが、このとき上記で説明した実施例では、消去処理や印字処理においてそれぞれに最適な搬送速度に変更する為、各動作毎に停止処理を行うが、消去処理及び印字処理の際の搬送速度を一定にすることにより、通信部にて処理が終了したカードは停止することなく、消去と印字動作を連続して行い、そのままカード挿入口2からカードを排出する。
【0030】
またカードの新規発券時はスタッカ10より新規カード12を新規発券用搬送路11に排出し、続いてカード搬送路3上にカードを搬送する。カード搬送路3上に搬送されたカードは通信部7にて、データの書き込みを行い、書き込み終了後、印字ヘッド5まで搬送し、カード表面の印字動作を行い、カード挿入口2よりカードを排出する。これにより、カードの新規発券時に対しても、余分な往復動作が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例を説明する装置側面図である。
【図2】本発明の他の実施例を説明する装置側面図である。
【図3】本発明の実施例を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1・・・リライトカード処理装置、2・・・カード挿入口、3・・・カード搬送路、4・・・主制御部、5・・・印字ヘッド、6・・・消去ヘッド、7・・・通信部、8・・・印字位置基準センサ、9・・・リライトカード、10・・・スタッカ、11・・・新規発券用搬送路、12・・・新規リライトカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに所定の内容を印刷及び消去可能なリライトカード処理装置であって、
カードの挿入及び排出を行う挿入部と、
前記カードに所定の情報を記録又は書き込み可能な通信部と、
前記カードを加熱することによってカード面の印刷を行う印刷部と、
前記カードを加熱することによってカード面の印刷内容を消去する消去部と、
からなり、前記挿入部から順に前記通信部、前記印刷部、前記消去部の順に配置され、前記印字部は挿入口方向にカードを排出しながら印刷することを特徴とするリライトカード処理装置。
【請求項2】
カードに所定の内容を印刷及び消去可能なリライトカード処理装置であって、
カードの挿入及び排出を行う挿入部と、
前記カードに所定の情報を記録又は書き込み可能な通信部と、
前記カードを加熱することによってカード面の印刷を行う印刷部と、
前記カードを加熱することによってカード面の印刷内容を消去する消去部と、
新規発行するカードを蓄えるスタッカ部と
からなり、前記挿入部から順に前記印刷部、前記消去部、前記通信部の順に配置され、前記スタッカ部から取り出された新規発行カードは前記通信部にて情報の記録又は書き込みが行われた後、挿入口方向にカードを排出しながら前記印字部にて印刷することを特徴とするリライトカード処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−130948(P2007−130948A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328249(P2005−328249)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)