リラクセーション判定装置
【課題】リラクセーションを客観的に判断することのできる装置を提供する。
【解決手段】波高関連値取得手段10は、心電図の波高関連値を各周期ごとに取得する。波高関連値周波数解析手段12は、時系列データとして得られた波高関連値を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。波高関連値LF成分算出手段14は、波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出する。間隔取得手段4は、得られた心電図に基づいて、心電波形の特徴点の間隔(たとえば、R波とR波の時間間隔)を取得する。間隔周波数解析手段6は、時系列データとして得られた特徴点の間隔を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。間隔HF成分算出手段8は、間隔周波数解析手段6によって得られた特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出する。解析手段16は、波高関連値LF成分と間隔HF成分の変化に基づき、リラクセーションを判定する。
【解決手段】波高関連値取得手段10は、心電図の波高関連値を各周期ごとに取得する。波高関連値周波数解析手段12は、時系列データとして得られた波高関連値を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。波高関連値LF成分算出手段14は、波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出する。間隔取得手段4は、得られた心電図に基づいて、心電波形の特徴点の間隔(たとえば、R波とR波の時間間隔)を取得する。間隔周波数解析手段6は、時系列データとして得られた特徴点の間隔を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。間隔HF成分算出手段8は、間隔周波数解析手段6によって得られた特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出する。解析手段16は、波高関連値LF成分と間隔HF成分の変化に基づき、リラクセーションを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被験者がリラックスした状態にあるか否かを客観化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者がリラックスしているか否かを判定するためには、図1に示すような質問シートに回答してもらうことにより行っていた。各項目について、被験者が該当する度合いを選択して記入することで、リラックスの度合いを判断できるようにしたものである。
【0003】
一方、心電図などの生体情報を計測し、これに基づいてストレスやリラックスの度合いを判断する技術も提案されている。
【0004】
特許文献1は、心電図のR−R間隔のHF成分に基づいて、被験者のストレスの大小を計測する装置を開示している。
【0005】
特許文献2は、心電図からLF成分/HF成分を算出し、これに基づいて緊張感/疲労感を判断する方法を開示している。
【0006】
特許文献3は、心拍動の間隔の標準偏差に基づいて、リラクセーション測定値を決定することを開示している。
【0007】
特許文献4は、RR間隔の周波数変動と呼吸周期の変動とに基づいて、リラックス状態を測定する方法を開示している。
【0008】
特許文献5は、心拍変動を周波数解析してLF成分/HF成分を算出し、これに基づいて肩こりであるか否かを判断する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−167091
【特許文献2】特開2007−139499
【特許文献3】特開2006−6944
【特許文献4】特開2005−319256
【特許文献5】特開2000−166879
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、質問シートによる方法では、質問を理解しこれに答えること自体が、被験者のリラックス度に大きな影響を与える可能性があり、客観的な測定は困難である。特に、測定精度を高めるために質問を増加させればさせるほど、上記の問題が顕著になるというジレンマがある。
【0011】
また、特許文献1、2、5は、それぞれ、ストレス、緊張感/疲労感、肩こりを測定するものであり、直接的にリラックスを計測するものではない。仮に、これらがリラックスの計測に応用できるとしても、被験者のリラックス度合いを正確に反映しているかどうかは、必ずしも明確ではない。リラクセーションに言及する特許文献3、4についても同様に、被験者のリラックス度合いを正確に反映しているかどうかは、必ずしも明確ではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の各側面を以下に示す。
【0013】
(1)この発明に係るリラクセーション判定装置は、測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得部と、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、リラクセーション判断手段による判断結果を出力する出力手段とを備えている。
【0014】
したがって、心電情報に基づいて、客観的に迅速に被験者がリラックスしているか否かを判定することができる。
【0015】
(2)この発明に係るリラクセーション判定装置は、波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴としている。
【0016】
(3)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴としている。
【0017】
したがって、より正確にリラックスしているか否かを判定することができる。
【0018】
(4)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴としている。
【0019】
(5)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴としている。
【0020】
(6)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴としている。
【0021】
(7)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0022】
(8)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0023】
(9)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0024】
この発明において「測定部」とは、測定対象の心電波形を測定する機能を有するものをいい、心電計などがこれに該当する。実施形態においては、図3のECG電極20、増幅アンプ22がこれに該当する。
【0025】
「リラクセーション判断手段」は、実施形態においては、図4のステップS3〜S7、図5のステップS8〜S11がこれに対応する。
【0026】
「間隔周波数解析手段」は、実施形態においては、図4のステップS5、S6がこれに対応する。
【0027】
「間隔波形HF成分算出手段」は、実施形態においては、図4のステップS7がこれに対応する。
【0028】
「波高関連値周波数解析手段」は、実施形態においては、図5のステップS8、S9がこれに対応する。
【0029】
「波高関連値LF成分算出手段」は、実施形態においては、図5のステップS10がこれに対応する。
【0030】
「出力手段」とは、判断結果を何らかの形式で出力する機能を有するものをいい、ディスプレイ、プリンタ、他のコンピュータ、記録媒体などに対する出力を行うものや送信するための通信部を含む概念である。
【0031】
「心電情報」とは、心電波形データだけでなく、心電波形の特徴部分の値などを含む概念である。
【0032】
「波高関連値」とは、波高ピーク値だけでなく、波高平均値、波形面積など、波の形に関連する値を含む概念である。
【0033】
「心電情報取得部」とは、測定部からの信号を受ける回路、記録媒体からのデータを読み出すドライブ、通信によって送られてくるデータを受信する受信部などを含む概念である。
【0034】
「ゆらぎ」とは、値の時間的変動をいうものである。
【0035】
「P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎ」とは、P波などを特徴付ける特徴値(ピーク値や平均値など)のゆらぎをいう。
【0036】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】質問シートの例である。
【図2】この発明の一実施形態によるリラクセーション判定装置の機能ブロック図である。
【図3】リラクセーション判定装置をCPUを用いて実現した場合のハードウエア構成である。
【図4】リラクセーション判定プログラムのフローチャートである。
【図5】リラクセーション判定プログラムのフローチャートである。
【図6】心電波形を示す図である。
【図7a】ハードディスク32に記録された一拍ごとのデータを示す図である。
【図7b】ハードディスク32に記録された5秒間の平均のデータを示す図である。
【図8】RR間隔、R波高値のスプライン補完を示す図である。
【図9】LF成分とHF成分の算出を示す図である。
【図10】リラクセーション判定装置の実測例データを示す図である。
【図11】リラクセーション判定装置の実測例データを示す図である。
【図12】判定例を示す図である。
【図13】密閉式足浴の方法を示す図である。
【図14】実測例グラフを示す図である。
【図15】実測例グラフを示す図である。
【図16】実測例グラフを示す図である。
【図17】実測例グラフを示す図である。
【図18】実測例グラフを示す図である。
【図19】実測例グラフを示す図である。
【図20】実測例グラフを示す図である。
【図21】実測例グラフを示す図である。
【図22】sIgA値、血清CO値の測定データである。
【図23】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図24】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図25】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図26】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図27】実測例グラフを示す図である。
【図28】実測例グラフを示す図である。
【図29】実測例グラフを示す図である。
【図30】実測例グラフを示す図である。
【図31】実測例グラフを示す図である。
【図32】実測例グラフを示す図である。
【図33】実測例グラフを示す図である。
【図34】実測例グラフを示す図である。
【図35】実測例グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.機能ブロック図
図2に、この発明の一実施形態によるリラクセーション判定装置の機能ブロック図を示す。心電情報取得部2は、被験者の心電図情報を取得する。
【0039】
波高関連値取得手段10は、得られた心電図に基づいて、波高関連値(たとえばR波のピーク値(R波高値))を各周期ごとに取得する。なお、波高関連値取得手段10は、予め波高関連値の含まれたデータを取得しても良いし、心電図データに基づいて波高関連値を算出することによってこれを取得しても良い。波高関連値周波数解析手段12は、時系列データとして得られた波高関連値を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。波高関連値LF成分算出手段14は、波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分(波高関連値LF成分)を算出する。
【0040】
間隔取得手段4は、得られた心電図に基づいて、心電波形の特徴点の間隔(たとえば、R波とR波の時間間隔(RR間隔))を取得する。なお、間隔取得手段4は、予め特徴点の間隔の含まれたデータを取得しても良いし、心電図データに基づいて特徴点の間隔を算出することによってこれを取得しても良い。間隔周波数解析手段6は、時系列データとして得られた特徴点の間隔を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。間隔HF成分算出手段8は、間隔周波数解析手段6によって得られた特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分(間隔HF成分)を算出する。
【0041】
解析手段16は、波高関連値LF成分と間隔HF成分の変化に基づき、以下のようにして被験者がリラックスしているか否かおよびその程度を判断する。この実施形態では、i)波高関連値LF成分が減少し間隔HF成分が増大した場合、ii)波高関連値LF成分が変化せず間隔HF成分が増大した場合、iii)波高関連値LF成分が減少し間隔HF成分が変化しなかった場合のいずれかと判定された場合、被験者がリラックスしていると判断する。また、波高関連値LF成分減少の程度または間隔HF成分増大の程度を、リラックスの度合いとする。
【0042】
なお、この実施形態では、波高関連値取得手段10、波高関連値周波数解析手段12、波高関連値LF成分算出手段14、間隔取得手段4、間隔周波数解析手段6、間隔HF成分算出手段8によって、リラクセーション判断手段3が構成されている。
【0043】
出力手段17は、以上のようにして解析された被験者のリラックスの判定結果を、ディスプレイなどに出力する。
2.ハードウエア構成
図3に、一実施形態によるリラクセーション判定装置をCPU26を用いて実現した場合のハードウエア構成を示す。CPU26には、A/D変換器24、ディスプレイ28、メモリ30、ハードディスク32、操作部34が接続されている。
【0044】
ECG電極20は、被験者の心電信号を取得するため、対象者の体に貼り付けられる。ECG電極20からの心電信号は、増幅アンプ22によって増幅され、A/D変換器24によってディジタルデータの心電波形信号に変換される。A/D変換器24は、生成したディジタルデータをメモリ30に蓄積していく。
【0045】
メモリ30は、CPU26のワークエリアとして使用される。ディスプレイ28は、判定結果などを表示する。操作部34は、操作者による操作入力を行うためのボタンなどである。ハードディスク32には、リラクセーション判定のためのプログラムが記録されている。
3.リラクセーション判定プログラムの処理
ハードディスク32に記録されたリラクセーション判定プログラムのフローチャートを図4に示す。CPU26は、ステップS1において、メモリ30に蓄積された心電波形データを取り込む。心電波形は、電位の変化を所定時間ごとにサンプリングしたディジタルデータであり、模式的に示すと図6に示すようになる。
【0046】
CPU26は、取り込んだ心電波形の一拍を認識する(ステップS2)。たとえば、所定の値を超えるピーク点を有する波を認識しこれをR波とする。そして、このR波の直前のボトム波をQ波とし、Q波の開始点を一拍の開始点とする。同様にして、次の拍の開始点を認識することにより一拍を認識する。また、R波の直後のボトム波をS波とし、S波終了後の平坦部をST部として認識する。
【0047】
CPU26は、次に、今回認識した一拍のR波のピークと、前の拍のR波のピークとの時間間隔を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS3)。この実施形態では、ステップS3が間隔取得手段に対応する。さらに、R波のピークの波高値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS4)。この実施形態では、ステップS4が波高関連値取得手段に対応する。したがって、処理が継続されると、図7aに示すように、ハードディスク32には、各拍ごとのRR間隔とR波高値が記録されていくことになる。
【0048】
なお、図7aにおいて、RがR波高値を示し、RRがRR間隔を示している。また、絶対時刻は計測時刻を示し、相対時刻は計測開始を0とした時間を示している。また、この実施形態では、図7aに示すように、RR間隔とR波高値以外の特徴値も記録するようにしている。PはP波高値、QはQ波高値、SはS波高値、STはST値、TはT波高値、PRはP波とR波の間隔、VATはQ波とR波の間隔、QRSはQ波とS波の間隔、QTはQ波とT波の間隔である。
【0049】
次に、CPU26は、RR間隔の時間的変動を表す波形を算出する(ステップS5)。たとえば、図7bに示すように、図7aのデータに基づいてRR間隔の5秒間の平均値の時間的変動を算出する。次に、図8Aに示すように、横軸に時間、縦軸にRR間隔をとった平面に、図7bのRR間隔の平均値の時間的変動をPに示すようにプロットする。横軸に対するプロットの時間間隔は、実際の一拍の時間に対応するようにすればよい。RR間隔の時間的変動は一拍ごとの離散的な値となっているので、図8Aに示すようにスプライン補完などにより、なめらかな波形αで結ぶ。
【0050】
次に、CPU26は、生成したRR間隔変動波形αに基づいて、一拍よりも細かい時間間隔(たとえば、数十ms)でリサンプリングして、RR間隔の時系列データを得る。この時系列データを、周波数解析し(たとえば、フーリエ変換、ウエーブレット変換など)、各周波数成分ごとの値を算出する(ステップS6)。この周波数解析による値は、リサンプリングの単位時間間隔ごとに算出する。
【0051】
図9にこのようにして得られた周波数解析の波形を示す。縦軸はパワースペクトル密度(単位はmsec2・Hzの平方根)であり、横軸は周波数(単位はHz)である。低い周波数に現れたピークを有する波をVLF、その次の波をLF、その次の波をHF(呼吸性変動成分を表している)と呼ぶ。CPU26は、HFの波の平均値を算出する。
【0052】
この実施形態では、CPU26は、次のようにしてHFの平均値を算出している。まず、0.15Hz〜0.4Hz(2Hzまでとしてもよい)の間にある極大値を見出す。次に、この極大値から前後0.15Hzの区間の波形を抽出し、最小値を基線としてその面積を算出する(図9参照)。これを、周波数幅(0.3Hz)で割ることにより、平均値を算出し、これをRR間隔HF成分としている(単位はmsec/(Hzの平方根))。
【0053】
CPU26は、リサンプリングの単位時間ごとに算出したRR間隔HF成分の5秒間の平均値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS7)。図10に、RR間隔HF成分の記録例を示す。図において、HF Amplitudeで示す項目が、RR間隔HF成分である。
【0054】
次に、CPU26は、R波高値の時間的変動を表す波形を算出する(ステップS8)。たとえば、図8Bに示すように、横軸に時間、縦軸にR波高値をとった平面に、図7bのデータに基づいてR波高値の5秒間の平均値の時間的変動をQに示すようにプロットする。横軸に対するプロットの時間間隔は、実際の一拍の時間に対応するようにとればよい。R波高値の時間的変動は一拍ごとの離散的な値となっているので、図8Bに示すようにスプライン補完などにより、なめらかな波形βで結ぶ。
【0055】
次に、CPU26は、生成したR波高値波形βに基づいて、一拍よりも細かい時間間隔(たとえば、数十ms)でリサンプリングして、R波高値の時系列データを得る。この時系列データを、周波数解析し(たとえば、フーリエ変換、ウエーブレット変換など)、各周波数成分ごとの値を算出する(ステップS9)。この周波数解析による値は、リサンプリングの単位時間間隔ごとに算出する。
【0056】
図9にこのようにして得られた周波数解析の波形を示す。CPU26は、時系列データであるR波高値の周波数解析波形につき、前述のRR間隔HF成分と同様の算出方法によって、R波高値LF成分を算出する。
【0057】
この実施形態では、CPU26は、次のようにしてR波高値LFの平均値を算出している。まず、0.04Hz〜0.15Hzの区間の波形を抽出し、最小値を基線としてその面積を算出する(図9参照)。これを、周波数幅(0.11Hz)で割ることにより、平均値を算出し、これをR波高値LF成分としている(単位はmsec/(Hzの平方根))。
【0058】
CPU26は、リサンプリングの単位時間ごとに算出したR波高値LF成分の5秒間の平均値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS10)。図11に、R波高値LF成分の記録例を示す。図11において、LF Amplitudeで示す項目が、R波高値LF成分である。
【0059】
上記のようにして、R波高値LF成分とRR間隔HF成分を得ると、CPU26は、これらに基づいて被験者がリラックスした状態にあるかどうかを判断する(図5、ステップS11)。その判定は、たとえば、以下のようにして行う。CPU26は、上記のようにして得たR波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、直近の所定時間(たとえば直近1分間)の平均値を現在平均値として取得する。さらに、R波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、測定開始から現在まで(過去の所定期間)の平均値を基準平均値として取得する。なお、基準平均値としては、別途平常状態において取得したR波高値LF成分とRR間隔HF成分の平均値を、被験者ごとに予め記録しておいて用いてもよい。
【0060】
CPU26は、R波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、基準平均値と現在平均値とを比較して、現在平均値が基準平均値から「実質的に変化していない」、基準平均値より「減少している」、基準平均値より「増大している」かを判断する。たとえば、現在平均値の基準平均値からの変動量絶対値が、基準平均値の所定割合以下(たとえば10パーセント以下)であれば、「実質的に変化していない」と判断する。変動量絶対値が所定割合を超え(たとえば10パーセントを超え)、現在平均値が基準平均値よりも大きければ「増大している」、現在平均値が基準平均値よりも小さければ「減少している」と判断する。
【0061】
CPU26は、R波高値LF成分およびRR間隔HF成分の判断に基づいて、図12に示すように、被験者がリラックスしているか否かを判定する。この実施形態では、R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「実質的に変化していない」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。R波高値LF成分が「実質的に変化していない」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。上記の組み合わせ以外の場合(たとえば、R波高値LF成分が「増大している」場合や、RR間隔HF成分が「減少している」場合など)には、被験者はリラックスした状態にないと判定する。
【0062】
CPU26は、このようにして判定した結果を、ディスプレイ28に表示するなどして出力する(ステップS12)。CPU26は、上記の処理を繰り返し、リアルタイムに被験者がリラックスしているか否かを判定する。
5.実施例
4名の成人女性につき、密閉式足浴を行い、本発明にかかるリラックス判定を行った実験例を以下に示す。ここで、密閉式足浴は、本願発明者の一人である山本敬子によって開発された足浴方式である。主として、起き上がることが困難であって通常の入浴ができない患者に対し、施すことを目的としたものである。
【0063】
図13に、密閉式足浴の概略を示す。図13Aに示すように、膝の裏に枕50などをあて、膝を起こした状態にする。ビニール袋54の中にお湯の入った容器52を入れ、この容器52に足先をつける(図13B参照)。ビニール袋54の入り口を、膝下において足をくるむように止める。続いて、この上に毛布などを掛ける。
【0064】
密閉式足浴は、湯の温度が冷めにくいため、希望する時間だけ湯につかることができ、密閉されているため湯がこぼれる心配もないという利点がある。密閉式足浴を行うことにより、リラクセーション効果があるとの報告がなされている(たとえば、豊田久美子、荒川千登世、稲本俊「足浴が精神神経免疫系に及ぼす影響」総合看護1997,32(3),pp3-14)。
【0065】
密閉式足欲は、患者に対してだけでなく健常者に対してもリラクセーション効果があることも報告されている(たとえば、岩崎眞弓、野村志保子「局所温罨法によるリラクゼーション効果の検討」日本看護研究学会2005,28(0285-9262)pp33-44)。そこで、この実験では、4名の成人女性(健常者)に対し、密閉式足浴を行い、リラックス判定を実施した。手順は以下のとおりである。
【0066】
(1)足浴を開始する(なお、図において(1)は丸数字として示している。以下、(2)(3)・・も同様である)。(1)から(2)までの間に、膝を曲げる、オリーブ油を塗る、足のマッサージをするなどを行う。
【0067】
(2)足をお湯につける。(2)から(3)までの間は安静に横たわっている。
【0068】
(3)足をお湯から出す。(3)から(4)の間は足を石けんで洗い、お湯で足を洗浄する。
【0069】
(4)足をくるんでいたビニール袋を全て外す。
【0070】
この実験においては、被験者がリラックス状態にあるか否かを確認するために、sIgAおよび血清コレチゾール(血清CO)の量を計測した。リラックスするとsIgAが増加し、血清COが減少することが知られている。この実験では、被験者の唾液を採取し、これに含まれるsIgA、血清COの変化を測定し、被験者がリラックス状態にあることを確認した。
【0071】
図22に、sIgA、血清COの測定結果を示す。sIgA前は、(1)の時点の20分前に採取した唾液に含まれるsIgA量を示す(単位μg/mL)。血清CO前は、(1)の時点の20分前に採取した唾液に含まれる血清CO量を示す(単位μg/dL)。sIgA後(血清CO後)は、(1)の時点の30分後に採取した唾液に含まれるsIgA量(血清CO量)を示す。なお、sIgAは、被験者がリラックスした状態になってから、20分程度遅れて、その値が増加することが知られている。したがって、sIgA量は、20分程度前の被験者の状態を示す指標である。
【0072】
図22から明らかなように、いずれの被験者においても、実験開始前より実験開始後において、sIgAが増加し、血清COが減少しており、リラックスした状態に変化していることがわかる。
【0073】
また、図22には、図1に示すようなシートを用いて被験者に記載してもらった値を併せて示している。「不快な−心地よい」の項目は、数値が大きいほど心地よいことを示している。「眠い−目覚めた」の項目は、数値が大きいほど目覚めていることを表している。「緊張した−リラックスした」の項目は、数値が大きいほどリラックスしていることを表している。「FS」の項目は、フェイススケールの値を示し、数値が小さいほど、にこやかであることを表している。各項目において「前」は、(1)の時点の20分前に質問シートに記入したもらった結果、「後」は(1)の時点の30分後に質問シートに記入してもらった結果である。
【0074】
図22からも明らかなように、足浴を開始した後の(1)から30分後の時点では、sIgA、血清CO、質問シートのいずれに関しても、全ての被験者について、リラックス状態にあることが示されている。
【0075】
この実験では、上記の計測と並行して、足浴開始の前から連続的に心電図の計測を行った。図14から図21に計測結果を示す。図14、図15が被験者A、図16、図17が被験者B、図18、図19が被験者C、図20、図21が被験者Dのデータである。
【0076】
各図において、(1)は足浴を開始した時点を示している。(1)から(2)までの間に、膝を曲げる、オリーブ油を塗る、足のマッサージをするなどを行っている。(2)は足をお湯につけた時点である。(2)から(3)までの間は安静に横たわっている。(3)は足をお湯から出した時点である。(3)から(4)の間は足を石けんで洗い、お湯で足を洗浄している。(4)は足をくるんでいたビニール袋を全て外した時点である。
【0077】
いずれの被験者においても、(2)以降において、R波高値LF成分が減少するかあるいは変化せず、RR間隔HF成分が増大するかあるいは変化しないことが観察できる。
【0078】
具体的には、CPU26は、たとえば次のようにして被験者がリラックスしているか否かを判定する。まず、被験者の安静時の心電図を計測し、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の平均値を算出して、基準値として予めハードディスク32に記録しておく。判定時にも、被験者の心電図を計測し、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の平均値を算出する。このときの平均値は、4拍以上の平均値であればよく、1分以上の平均値が好ましく、5分以上の平均値とすることがさらに好ましい。CPU26は、このようにして計測した平均値を、予め記録しておいた基準値と比較し、リラックスしているか否かを判断し、ディスプレイ28に表示するなどして出力する。
【0079】
たとえば、図14〜図21に示す4人の被験者について、足浴開始前の平均値を基準値とし、足浴開始以後の平均値の変化を示したのが表1である。
【0080】
【表1】
【0081】
表1において、足浴開始前平均は、(1)の時点の35分前から20分前までの15分間における平均値である(平常状態における平均値)。足浴開始後平均は、(1)の時点から30分後から35分後までの5分間における平均値である。
【0082】
従来技術においては、RR間隔のLF成分/HF成分の増加があれば、リラックスしていると判定するものがあった。そこで、各被験者のRR間隔のLF成分/HF成分を算出し、図23〜図26にグラフとして示した。図23は、図15に示す被験者AのRR間隔のLF成分/HF成分の変化をプロットしたものである。図24、図25、図26は、それぞれ、図17、図19、図21に示す被験者B、C、DのRR間隔のLF成分/HF成分の変化をプロットしたものである。図23〜図26において、縦軸はLF成分/HF成分の値、横軸は時間(分)を示す。
【0083】
図23、図24においては、リラックスしているにも拘わらず、LF成分/HF成分が減少している。したがって、従来、提案されているRR間隔のLF成分/HF成分は、リラックスの度合いの指標としては正確性を欠くことが分かる。
4.その他実施形態
(1)上記実施形態では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の所定時間分の平均値(実施形態では5秒の平均)を用いているが、R波高値LF成分、RR間隔HF成分をそのまま用いて判断するようにしてもよい。
【0084】
(2)上記実施形態では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の所定時間分の平均値をそのまま用いているが、これをハイカットフィルタリングして判断に用いてもよい。たとえば、時系列のR波高値LF成分、RR間隔HF成分を、0.03Hzを遮断周波数とするハイカットフィルタリングする。その時の、RR間隔HF成分の値を図10のハイカットHF Amplitudeに示す。R波高値LF成分の値を図11のハイカットLF Amplitudeに示す。また、図14Cに、ハイカット後のR波高値LF成分(5秒間の平均)の推移を示す。図15Dに、ハイカット後のRR間隔HF成分(5秒間の平均)の推移を示す。このようにハイカット処理を行うことにより、より明瞭に痛みの判断を行うことができる。
【0085】
(4)なお、上記では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分を用いて判定を行った。しかし、R波高値に代えてP波、Q波、S波、T波など他の波高値やST値を用いてもよい。たとえば、図27A、図29A、図31A、図33Aは、それぞれ、被験者A、B、C、DのT波高値のLF成分であり、図28A、図30A、図32A、図34Aは、それぞれ、被験者A、B、C、DのST値のLF成分である。R波高値と同じように、リラクセーションによりその値が低下していることが分かる。なお、図27C〜図34Cは、ハイカットフィルタリング処理をした波形である。
【0086】
(5)上記実施形態では、RR間隔HF成分を用いてノイズ排除を行うようにしている。しかし、心電波形の任意の特徴点(P点、Q点など)の拍動間隔のHF成分を用いるようにしてもよい。また、同一拍内の任意の2つの特徴点間の時間間隔のHF成分を用いてもよい。図35Bに、同一拍内におけるQT間隔のHF成分を示す。図35Dに、ハイカットフィルタリング処理をした波形を示す。RR間隔HF成分と同じように、リラクセーションとともに値が増大している。
【0087】
(6)上記実施形態では、LF成分やHF成分算出において平均値を用いているが、最高値や面積値を用いてもよい。
【0088】
(7)上記実施形態では、人間を対象としているので、図9においてLF成分算出のための範囲を0.04Hz〜0.15Hz、HF成分算出のための範囲を0.15Hz〜0.4Hzとした。しかし、動物などを対象としてリラクセーション判定を行う場合には、下記表2に示すようにその範囲を定めるとよい。
【0089】
【表2】
【0090】
(8)なお、上記各実施形態では、リラクセーション判定を出力するようにしているが、図14などに示すようなグラフをディスプレイ28に表示出力して人間に判断させるようにしてもよい。
【0091】
(9)なお、上記実施形態ではリラクセーション判定装置として構成したが、リラクセーション判定機能を有する心電計として適用することもできる。
【0092】
(10)上記実施形態では、HF成分、LF成分を算出することによって「ゆらぎ」を数値化している。しかし、他の方法、たとえば、HF波やLF波のピーク値、HF波やLF波の急峻度などによって「ゆらぎ」を数値化して判定するようにしてもよい。
【0093】
(11)上記実施形態では、心電図波形を受けてR波高値、RR間隔などの特徴量を抽出し、リラクセーション判定を行っている。しかし、外部から特徴量自体を受けて、リラクセーション判定を行うようにしてもよい。
【0094】
(12)上記実施形態では、波高関連値や間隔値のゆらぎに基づいてリラクセーションを判断している。しかし、波高関連値や間隔値に基づいて直接的にリラクセーション判断してもよい。
【0095】
(13)上記実施形態では、図12に示すように、i)R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「実質的に変化していない」と判断した場合、ii)R波高値LF成分が「実質的に変化していない」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合、iii)R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定している。しかし、i)ii)iii)のいずれか一つだけ、あるいは任意の二つについてのみ判断を行うようにしても良い。
【0096】
(14)上記実施形態では、図1の各機能をコンピュータを用いて実現したが、その一部または全部をハードウエア論理回路によって実現するようにしてもよい。
【技術分野】
【0001】
この発明は、被験者がリラックスした状態にあるか否かを客観化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者がリラックスしているか否かを判定するためには、図1に示すような質問シートに回答してもらうことにより行っていた。各項目について、被験者が該当する度合いを選択して記入することで、リラックスの度合いを判断できるようにしたものである。
【0003】
一方、心電図などの生体情報を計測し、これに基づいてストレスやリラックスの度合いを判断する技術も提案されている。
【0004】
特許文献1は、心電図のR−R間隔のHF成分に基づいて、被験者のストレスの大小を計測する装置を開示している。
【0005】
特許文献2は、心電図からLF成分/HF成分を算出し、これに基づいて緊張感/疲労感を判断する方法を開示している。
【0006】
特許文献3は、心拍動の間隔の標準偏差に基づいて、リラクセーション測定値を決定することを開示している。
【0007】
特許文献4は、RR間隔の周波数変動と呼吸周期の変動とに基づいて、リラックス状態を測定する方法を開示している。
【0008】
特許文献5は、心拍変動を周波数解析してLF成分/HF成分を算出し、これに基づいて肩こりであるか否かを判断する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−167091
【特許文献2】特開2007−139499
【特許文献3】特開2006−6944
【特許文献4】特開2005−319256
【特許文献5】特開2000−166879
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、質問シートによる方法では、質問を理解しこれに答えること自体が、被験者のリラックス度に大きな影響を与える可能性があり、客観的な測定は困難である。特に、測定精度を高めるために質問を増加させればさせるほど、上記の問題が顕著になるというジレンマがある。
【0011】
また、特許文献1、2、5は、それぞれ、ストレス、緊張感/疲労感、肩こりを測定するものであり、直接的にリラックスを計測するものではない。仮に、これらがリラックスの計測に応用できるとしても、被験者のリラックス度合いを正確に反映しているかどうかは、必ずしも明確ではない。リラクセーションに言及する特許文献3、4についても同様に、被験者のリラックス度合いを正確に反映しているかどうかは、必ずしも明確ではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の各側面を以下に示す。
【0013】
(1)この発明に係るリラクセーション判定装置は、測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得部と、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、リラクセーション判断手段による判断結果を出力する出力手段とを備えている。
【0014】
したがって、心電情報に基づいて、客観的に迅速に被験者がリラックスしているか否かを判定することができる。
【0015】
(2)この発明に係るリラクセーション判定装置は、波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴としている。
【0016】
(3)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴としている。
【0017】
したがって、より正確にリラックスしているか否かを判定することができる。
【0018】
(4)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴としている。
【0019】
(5)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴としている。
【0020】
(6)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴としている。
【0021】
(7)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0022】
(8)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0023】
(9)この発明に係るリラクセーション判定装置は、リラクセーション判断手段が、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴としている。
【0024】
この発明において「測定部」とは、測定対象の心電波形を測定する機能を有するものをいい、心電計などがこれに該当する。実施形態においては、図3のECG電極20、増幅アンプ22がこれに該当する。
【0025】
「リラクセーション判断手段」は、実施形態においては、図4のステップS3〜S7、図5のステップS8〜S11がこれに対応する。
【0026】
「間隔周波数解析手段」は、実施形態においては、図4のステップS5、S6がこれに対応する。
【0027】
「間隔波形HF成分算出手段」は、実施形態においては、図4のステップS7がこれに対応する。
【0028】
「波高関連値周波数解析手段」は、実施形態においては、図5のステップS8、S9がこれに対応する。
【0029】
「波高関連値LF成分算出手段」は、実施形態においては、図5のステップS10がこれに対応する。
【0030】
「出力手段」とは、判断結果を何らかの形式で出力する機能を有するものをいい、ディスプレイ、プリンタ、他のコンピュータ、記録媒体などに対する出力を行うものや送信するための通信部を含む概念である。
【0031】
「心電情報」とは、心電波形データだけでなく、心電波形の特徴部分の値などを含む概念である。
【0032】
「波高関連値」とは、波高ピーク値だけでなく、波高平均値、波形面積など、波の形に関連する値を含む概念である。
【0033】
「心電情報取得部」とは、測定部からの信号を受ける回路、記録媒体からのデータを読み出すドライブ、通信によって送られてくるデータを受信する受信部などを含む概念である。
【0034】
「ゆらぎ」とは、値の時間的変動をいうものである。
【0035】
「P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎ」とは、P波などを特徴付ける特徴値(ピーク値や平均値など)のゆらぎをいう。
【0036】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】質問シートの例である。
【図2】この発明の一実施形態によるリラクセーション判定装置の機能ブロック図である。
【図3】リラクセーション判定装置をCPUを用いて実現した場合のハードウエア構成である。
【図4】リラクセーション判定プログラムのフローチャートである。
【図5】リラクセーション判定プログラムのフローチャートである。
【図6】心電波形を示す図である。
【図7a】ハードディスク32に記録された一拍ごとのデータを示す図である。
【図7b】ハードディスク32に記録された5秒間の平均のデータを示す図である。
【図8】RR間隔、R波高値のスプライン補完を示す図である。
【図9】LF成分とHF成分の算出を示す図である。
【図10】リラクセーション判定装置の実測例データを示す図である。
【図11】リラクセーション判定装置の実測例データを示す図である。
【図12】判定例を示す図である。
【図13】密閉式足浴の方法を示す図である。
【図14】実測例グラフを示す図である。
【図15】実測例グラフを示す図である。
【図16】実測例グラフを示す図である。
【図17】実測例グラフを示す図である。
【図18】実測例グラフを示す図である。
【図19】実測例グラフを示す図である。
【図20】実測例グラフを示す図である。
【図21】実測例グラフを示す図である。
【図22】sIgA値、血清CO値の測定データである。
【図23】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図24】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図25】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図26】RR間隔のLF成分/HF成分の算出値を示す図である。
【図27】実測例グラフを示す図である。
【図28】実測例グラフを示す図である。
【図29】実測例グラフを示す図である。
【図30】実測例グラフを示す図である。
【図31】実測例グラフを示す図である。
【図32】実測例グラフを示す図である。
【図33】実測例グラフを示す図である。
【図34】実測例グラフを示す図である。
【図35】実測例グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.機能ブロック図
図2に、この発明の一実施形態によるリラクセーション判定装置の機能ブロック図を示す。心電情報取得部2は、被験者の心電図情報を取得する。
【0039】
波高関連値取得手段10は、得られた心電図に基づいて、波高関連値(たとえばR波のピーク値(R波高値))を各周期ごとに取得する。なお、波高関連値取得手段10は、予め波高関連値の含まれたデータを取得しても良いし、心電図データに基づいて波高関連値を算出することによってこれを取得しても良い。波高関連値周波数解析手段12は、時系列データとして得られた波高関連値を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。波高関連値LF成分算出手段14は、波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分(波高関連値LF成分)を算出する。
【0040】
間隔取得手段4は、得られた心電図に基づいて、心電波形の特徴点の間隔(たとえば、R波とR波の時間間隔(RR間隔))を取得する。なお、間隔取得手段4は、予め特徴点の間隔の含まれたデータを取得しても良いし、心電図データに基づいて特徴点の間隔を算出することによってこれを取得しても良い。間隔周波数解析手段6は、時系列データとして得られた特徴点の間隔を周波数解析し、周波数成分ごとの大きさを得る。間隔HF成分算出手段8は、間隔周波数解析手段6によって得られた特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分(間隔HF成分)を算出する。
【0041】
解析手段16は、波高関連値LF成分と間隔HF成分の変化に基づき、以下のようにして被験者がリラックスしているか否かおよびその程度を判断する。この実施形態では、i)波高関連値LF成分が減少し間隔HF成分が増大した場合、ii)波高関連値LF成分が変化せず間隔HF成分が増大した場合、iii)波高関連値LF成分が減少し間隔HF成分が変化しなかった場合のいずれかと判定された場合、被験者がリラックスしていると判断する。また、波高関連値LF成分減少の程度または間隔HF成分増大の程度を、リラックスの度合いとする。
【0042】
なお、この実施形態では、波高関連値取得手段10、波高関連値周波数解析手段12、波高関連値LF成分算出手段14、間隔取得手段4、間隔周波数解析手段6、間隔HF成分算出手段8によって、リラクセーション判断手段3が構成されている。
【0043】
出力手段17は、以上のようにして解析された被験者のリラックスの判定結果を、ディスプレイなどに出力する。
2.ハードウエア構成
図3に、一実施形態によるリラクセーション判定装置をCPU26を用いて実現した場合のハードウエア構成を示す。CPU26には、A/D変換器24、ディスプレイ28、メモリ30、ハードディスク32、操作部34が接続されている。
【0044】
ECG電極20は、被験者の心電信号を取得するため、対象者の体に貼り付けられる。ECG電極20からの心電信号は、増幅アンプ22によって増幅され、A/D変換器24によってディジタルデータの心電波形信号に変換される。A/D変換器24は、生成したディジタルデータをメモリ30に蓄積していく。
【0045】
メモリ30は、CPU26のワークエリアとして使用される。ディスプレイ28は、判定結果などを表示する。操作部34は、操作者による操作入力を行うためのボタンなどである。ハードディスク32には、リラクセーション判定のためのプログラムが記録されている。
3.リラクセーション判定プログラムの処理
ハードディスク32に記録されたリラクセーション判定プログラムのフローチャートを図4に示す。CPU26は、ステップS1において、メモリ30に蓄積された心電波形データを取り込む。心電波形は、電位の変化を所定時間ごとにサンプリングしたディジタルデータであり、模式的に示すと図6に示すようになる。
【0046】
CPU26は、取り込んだ心電波形の一拍を認識する(ステップS2)。たとえば、所定の値を超えるピーク点を有する波を認識しこれをR波とする。そして、このR波の直前のボトム波をQ波とし、Q波の開始点を一拍の開始点とする。同様にして、次の拍の開始点を認識することにより一拍を認識する。また、R波の直後のボトム波をS波とし、S波終了後の平坦部をST部として認識する。
【0047】
CPU26は、次に、今回認識した一拍のR波のピークと、前の拍のR波のピークとの時間間隔を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS3)。この実施形態では、ステップS3が間隔取得手段に対応する。さらに、R波のピークの波高値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS4)。この実施形態では、ステップS4が波高関連値取得手段に対応する。したがって、処理が継続されると、図7aに示すように、ハードディスク32には、各拍ごとのRR間隔とR波高値が記録されていくことになる。
【0048】
なお、図7aにおいて、RがR波高値を示し、RRがRR間隔を示している。また、絶対時刻は計測時刻を示し、相対時刻は計測開始を0とした時間を示している。また、この実施形態では、図7aに示すように、RR間隔とR波高値以外の特徴値も記録するようにしている。PはP波高値、QはQ波高値、SはS波高値、STはST値、TはT波高値、PRはP波とR波の間隔、VATはQ波とR波の間隔、QRSはQ波とS波の間隔、QTはQ波とT波の間隔である。
【0049】
次に、CPU26は、RR間隔の時間的変動を表す波形を算出する(ステップS5)。たとえば、図7bに示すように、図7aのデータに基づいてRR間隔の5秒間の平均値の時間的変動を算出する。次に、図8Aに示すように、横軸に時間、縦軸にRR間隔をとった平面に、図7bのRR間隔の平均値の時間的変動をPに示すようにプロットする。横軸に対するプロットの時間間隔は、実際の一拍の時間に対応するようにすればよい。RR間隔の時間的変動は一拍ごとの離散的な値となっているので、図8Aに示すようにスプライン補完などにより、なめらかな波形αで結ぶ。
【0050】
次に、CPU26は、生成したRR間隔変動波形αに基づいて、一拍よりも細かい時間間隔(たとえば、数十ms)でリサンプリングして、RR間隔の時系列データを得る。この時系列データを、周波数解析し(たとえば、フーリエ変換、ウエーブレット変換など)、各周波数成分ごとの値を算出する(ステップS6)。この周波数解析による値は、リサンプリングの単位時間間隔ごとに算出する。
【0051】
図9にこのようにして得られた周波数解析の波形を示す。縦軸はパワースペクトル密度(単位はmsec2・Hzの平方根)であり、横軸は周波数(単位はHz)である。低い周波数に現れたピークを有する波をVLF、その次の波をLF、その次の波をHF(呼吸性変動成分を表している)と呼ぶ。CPU26は、HFの波の平均値を算出する。
【0052】
この実施形態では、CPU26は、次のようにしてHFの平均値を算出している。まず、0.15Hz〜0.4Hz(2Hzまでとしてもよい)の間にある極大値を見出す。次に、この極大値から前後0.15Hzの区間の波形を抽出し、最小値を基線としてその面積を算出する(図9参照)。これを、周波数幅(0.3Hz)で割ることにより、平均値を算出し、これをRR間隔HF成分としている(単位はmsec/(Hzの平方根))。
【0053】
CPU26は、リサンプリングの単位時間ごとに算出したRR間隔HF成分の5秒間の平均値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS7)。図10に、RR間隔HF成分の記録例を示す。図において、HF Amplitudeで示す項目が、RR間隔HF成分である。
【0054】
次に、CPU26は、R波高値の時間的変動を表す波形を算出する(ステップS8)。たとえば、図8Bに示すように、横軸に時間、縦軸にR波高値をとった平面に、図7bのデータに基づいてR波高値の5秒間の平均値の時間的変動をQに示すようにプロットする。横軸に対するプロットの時間間隔は、実際の一拍の時間に対応するようにとればよい。R波高値の時間的変動は一拍ごとの離散的な値となっているので、図8Bに示すようにスプライン補完などにより、なめらかな波形βで結ぶ。
【0055】
次に、CPU26は、生成したR波高値波形βに基づいて、一拍よりも細かい時間間隔(たとえば、数十ms)でリサンプリングして、R波高値の時系列データを得る。この時系列データを、周波数解析し(たとえば、フーリエ変換、ウエーブレット変換など)、各周波数成分ごとの値を算出する(ステップS9)。この周波数解析による値は、リサンプリングの単位時間間隔ごとに算出する。
【0056】
図9にこのようにして得られた周波数解析の波形を示す。CPU26は、時系列データであるR波高値の周波数解析波形につき、前述のRR間隔HF成分と同様の算出方法によって、R波高値LF成分を算出する。
【0057】
この実施形態では、CPU26は、次のようにしてR波高値LFの平均値を算出している。まず、0.04Hz〜0.15Hzの区間の波形を抽出し、最小値を基線としてその面積を算出する(図9参照)。これを、周波数幅(0.11Hz)で割ることにより、平均値を算出し、これをR波高値LF成分としている(単位はmsec/(Hzの平方根))。
【0058】
CPU26は、リサンプリングの単位時間ごとに算出したR波高値LF成分の5秒間の平均値を算出し、ハードディスク32に記録する(ステップS10)。図11に、R波高値LF成分の記録例を示す。図11において、LF Amplitudeで示す項目が、R波高値LF成分である。
【0059】
上記のようにして、R波高値LF成分とRR間隔HF成分を得ると、CPU26は、これらに基づいて被験者がリラックスした状態にあるかどうかを判断する(図5、ステップS11)。その判定は、たとえば、以下のようにして行う。CPU26は、上記のようにして得たR波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、直近の所定時間(たとえば直近1分間)の平均値を現在平均値として取得する。さらに、R波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、測定開始から現在まで(過去の所定期間)の平均値を基準平均値として取得する。なお、基準平均値としては、別途平常状態において取得したR波高値LF成分とRR間隔HF成分の平均値を、被験者ごとに予め記録しておいて用いてもよい。
【0060】
CPU26は、R波高値LF成分とRR間隔HF成分のそれぞれについて、基準平均値と現在平均値とを比較して、現在平均値が基準平均値から「実質的に変化していない」、基準平均値より「減少している」、基準平均値より「増大している」かを判断する。たとえば、現在平均値の基準平均値からの変動量絶対値が、基準平均値の所定割合以下(たとえば10パーセント以下)であれば、「実質的に変化していない」と判断する。変動量絶対値が所定割合を超え(たとえば10パーセントを超え)、現在平均値が基準平均値よりも大きければ「増大している」、現在平均値が基準平均値よりも小さければ「減少している」と判断する。
【0061】
CPU26は、R波高値LF成分およびRR間隔HF成分の判断に基づいて、図12に示すように、被験者がリラックスしているか否かを判定する。この実施形態では、R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「実質的に変化していない」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。R波高値LF成分が「実質的に変化していない」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定する。上記の組み合わせ以外の場合(たとえば、R波高値LF成分が「増大している」場合や、RR間隔HF成分が「減少している」場合など)には、被験者はリラックスした状態にないと判定する。
【0062】
CPU26は、このようにして判定した結果を、ディスプレイ28に表示するなどして出力する(ステップS12)。CPU26は、上記の処理を繰り返し、リアルタイムに被験者がリラックスしているか否かを判定する。
5.実施例
4名の成人女性につき、密閉式足浴を行い、本発明にかかるリラックス判定を行った実験例を以下に示す。ここで、密閉式足浴は、本願発明者の一人である山本敬子によって開発された足浴方式である。主として、起き上がることが困難であって通常の入浴ができない患者に対し、施すことを目的としたものである。
【0063】
図13に、密閉式足浴の概略を示す。図13Aに示すように、膝の裏に枕50などをあて、膝を起こした状態にする。ビニール袋54の中にお湯の入った容器52を入れ、この容器52に足先をつける(図13B参照)。ビニール袋54の入り口を、膝下において足をくるむように止める。続いて、この上に毛布などを掛ける。
【0064】
密閉式足浴は、湯の温度が冷めにくいため、希望する時間だけ湯につかることができ、密閉されているため湯がこぼれる心配もないという利点がある。密閉式足浴を行うことにより、リラクセーション効果があるとの報告がなされている(たとえば、豊田久美子、荒川千登世、稲本俊「足浴が精神神経免疫系に及ぼす影響」総合看護1997,32(3),pp3-14)。
【0065】
密閉式足欲は、患者に対してだけでなく健常者に対してもリラクセーション効果があることも報告されている(たとえば、岩崎眞弓、野村志保子「局所温罨法によるリラクゼーション効果の検討」日本看護研究学会2005,28(0285-9262)pp33-44)。そこで、この実験では、4名の成人女性(健常者)に対し、密閉式足浴を行い、リラックス判定を実施した。手順は以下のとおりである。
【0066】
(1)足浴を開始する(なお、図において(1)は丸数字として示している。以下、(2)(3)・・も同様である)。(1)から(2)までの間に、膝を曲げる、オリーブ油を塗る、足のマッサージをするなどを行う。
【0067】
(2)足をお湯につける。(2)から(3)までの間は安静に横たわっている。
【0068】
(3)足をお湯から出す。(3)から(4)の間は足を石けんで洗い、お湯で足を洗浄する。
【0069】
(4)足をくるんでいたビニール袋を全て外す。
【0070】
この実験においては、被験者がリラックス状態にあるか否かを確認するために、sIgAおよび血清コレチゾール(血清CO)の量を計測した。リラックスするとsIgAが増加し、血清COが減少することが知られている。この実験では、被験者の唾液を採取し、これに含まれるsIgA、血清COの変化を測定し、被験者がリラックス状態にあることを確認した。
【0071】
図22に、sIgA、血清COの測定結果を示す。sIgA前は、(1)の時点の20分前に採取した唾液に含まれるsIgA量を示す(単位μg/mL)。血清CO前は、(1)の時点の20分前に採取した唾液に含まれる血清CO量を示す(単位μg/dL)。sIgA後(血清CO後)は、(1)の時点の30分後に採取した唾液に含まれるsIgA量(血清CO量)を示す。なお、sIgAは、被験者がリラックスした状態になってから、20分程度遅れて、その値が増加することが知られている。したがって、sIgA量は、20分程度前の被験者の状態を示す指標である。
【0072】
図22から明らかなように、いずれの被験者においても、実験開始前より実験開始後において、sIgAが増加し、血清COが減少しており、リラックスした状態に変化していることがわかる。
【0073】
また、図22には、図1に示すようなシートを用いて被験者に記載してもらった値を併せて示している。「不快な−心地よい」の項目は、数値が大きいほど心地よいことを示している。「眠い−目覚めた」の項目は、数値が大きいほど目覚めていることを表している。「緊張した−リラックスした」の項目は、数値が大きいほどリラックスしていることを表している。「FS」の項目は、フェイススケールの値を示し、数値が小さいほど、にこやかであることを表している。各項目において「前」は、(1)の時点の20分前に質問シートに記入したもらった結果、「後」は(1)の時点の30分後に質問シートに記入してもらった結果である。
【0074】
図22からも明らかなように、足浴を開始した後の(1)から30分後の時点では、sIgA、血清CO、質問シートのいずれに関しても、全ての被験者について、リラックス状態にあることが示されている。
【0075】
この実験では、上記の計測と並行して、足浴開始の前から連続的に心電図の計測を行った。図14から図21に計測結果を示す。図14、図15が被験者A、図16、図17が被験者B、図18、図19が被験者C、図20、図21が被験者Dのデータである。
【0076】
各図において、(1)は足浴を開始した時点を示している。(1)から(2)までの間に、膝を曲げる、オリーブ油を塗る、足のマッサージをするなどを行っている。(2)は足をお湯につけた時点である。(2)から(3)までの間は安静に横たわっている。(3)は足をお湯から出した時点である。(3)から(4)の間は足を石けんで洗い、お湯で足を洗浄している。(4)は足をくるんでいたビニール袋を全て外した時点である。
【0077】
いずれの被験者においても、(2)以降において、R波高値LF成分が減少するかあるいは変化せず、RR間隔HF成分が増大するかあるいは変化しないことが観察できる。
【0078】
具体的には、CPU26は、たとえば次のようにして被験者がリラックスしているか否かを判定する。まず、被験者の安静時の心電図を計測し、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の平均値を算出して、基準値として予めハードディスク32に記録しておく。判定時にも、被験者の心電図を計測し、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の平均値を算出する。このときの平均値は、4拍以上の平均値であればよく、1分以上の平均値が好ましく、5分以上の平均値とすることがさらに好ましい。CPU26は、このようにして計測した平均値を、予め記録しておいた基準値と比較し、リラックスしているか否かを判断し、ディスプレイ28に表示するなどして出力する。
【0079】
たとえば、図14〜図21に示す4人の被験者について、足浴開始前の平均値を基準値とし、足浴開始以後の平均値の変化を示したのが表1である。
【0080】
【表1】
【0081】
表1において、足浴開始前平均は、(1)の時点の35分前から20分前までの15分間における平均値である(平常状態における平均値)。足浴開始後平均は、(1)の時点から30分後から35分後までの5分間における平均値である。
【0082】
従来技術においては、RR間隔のLF成分/HF成分の増加があれば、リラックスしていると判定するものがあった。そこで、各被験者のRR間隔のLF成分/HF成分を算出し、図23〜図26にグラフとして示した。図23は、図15に示す被験者AのRR間隔のLF成分/HF成分の変化をプロットしたものである。図24、図25、図26は、それぞれ、図17、図19、図21に示す被験者B、C、DのRR間隔のLF成分/HF成分の変化をプロットしたものである。図23〜図26において、縦軸はLF成分/HF成分の値、横軸は時間(分)を示す。
【0083】
図23、図24においては、リラックスしているにも拘わらず、LF成分/HF成分が減少している。したがって、従来、提案されているRR間隔のLF成分/HF成分は、リラックスの度合いの指標としては正確性を欠くことが分かる。
4.その他実施形態
(1)上記実施形態では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の所定時間分の平均値(実施形態では5秒の平均)を用いているが、R波高値LF成分、RR間隔HF成分をそのまま用いて判断するようにしてもよい。
【0084】
(2)上記実施形態では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分の所定時間分の平均値をそのまま用いているが、これをハイカットフィルタリングして判断に用いてもよい。たとえば、時系列のR波高値LF成分、RR間隔HF成分を、0.03Hzを遮断周波数とするハイカットフィルタリングする。その時の、RR間隔HF成分の値を図10のハイカットHF Amplitudeに示す。R波高値LF成分の値を図11のハイカットLF Amplitudeに示す。また、図14Cに、ハイカット後のR波高値LF成分(5秒間の平均)の推移を示す。図15Dに、ハイカット後のRR間隔HF成分(5秒間の平均)の推移を示す。このようにハイカット処理を行うことにより、より明瞭に痛みの判断を行うことができる。
【0085】
(4)なお、上記では、R波高値LF成分、RR間隔HF成分を用いて判定を行った。しかし、R波高値に代えてP波、Q波、S波、T波など他の波高値やST値を用いてもよい。たとえば、図27A、図29A、図31A、図33Aは、それぞれ、被験者A、B、C、DのT波高値のLF成分であり、図28A、図30A、図32A、図34Aは、それぞれ、被験者A、B、C、DのST値のLF成分である。R波高値と同じように、リラクセーションによりその値が低下していることが分かる。なお、図27C〜図34Cは、ハイカットフィルタリング処理をした波形である。
【0086】
(5)上記実施形態では、RR間隔HF成分を用いてノイズ排除を行うようにしている。しかし、心電波形の任意の特徴点(P点、Q点など)の拍動間隔のHF成分を用いるようにしてもよい。また、同一拍内の任意の2つの特徴点間の時間間隔のHF成分を用いてもよい。図35Bに、同一拍内におけるQT間隔のHF成分を示す。図35Dに、ハイカットフィルタリング処理をした波形を示す。RR間隔HF成分と同じように、リラクセーションとともに値が増大している。
【0087】
(6)上記実施形態では、LF成分やHF成分算出において平均値を用いているが、最高値や面積値を用いてもよい。
【0088】
(7)上記実施形態では、人間を対象としているので、図9においてLF成分算出のための範囲を0.04Hz〜0.15Hz、HF成分算出のための範囲を0.15Hz〜0.4Hzとした。しかし、動物などを対象としてリラクセーション判定を行う場合には、下記表2に示すようにその範囲を定めるとよい。
【0089】
【表2】
【0090】
(8)なお、上記各実施形態では、リラクセーション判定を出力するようにしているが、図14などに示すようなグラフをディスプレイ28に表示出力して人間に判断させるようにしてもよい。
【0091】
(9)なお、上記実施形態ではリラクセーション判定装置として構成したが、リラクセーション判定機能を有する心電計として適用することもできる。
【0092】
(10)上記実施形態では、HF成分、LF成分を算出することによって「ゆらぎ」を数値化している。しかし、他の方法、たとえば、HF波やLF波のピーク値、HF波やLF波の急峻度などによって「ゆらぎ」を数値化して判定するようにしてもよい。
【0093】
(11)上記実施形態では、心電図波形を受けてR波高値、RR間隔などの特徴量を抽出し、リラクセーション判定を行っている。しかし、外部から特徴量自体を受けて、リラクセーション判定を行うようにしてもよい。
【0094】
(12)上記実施形態では、波高関連値や間隔値のゆらぎに基づいてリラクセーションを判断している。しかし、波高関連値や間隔値に基づいて直接的にリラクセーション判断してもよい。
【0095】
(13)上記実施形態では、図12に示すように、i)R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「実質的に変化していない」と判断した場合、ii)R波高値LF成分が「実質的に変化していない」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合、iii)R波高値LF成分が「減少している」と判断し、かつRR間隔HF成分が「増大している」と判断した場合には、被験者はリラックスしていると判定している。しかし、i)ii)iii)のいずれか一つだけ、あるいは任意の二つについてのみ判断を行うようにしても良い。
【0096】
(14)上記実施形態では、図1の各機能をコンピュータを用いて実現したが、その一部または全部をハードウエア論理回路によって実現するようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得部と、
前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、
リラクセーション判断手段による判断結果を出力する出力手段と、
を備えたリラクセーション判定装置。
【請求項2】
請求項1のリラクセーション判定装置において、
前記波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項3】
請求項1または2のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、
前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、
前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項5】
請求項4のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、
前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、
前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項7】
請求項6のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項8】
請求項6または7のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項10】
コンピュータによってリラクセーション判定装置を実現するためのリラクセーション判定プログラムであって、
測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得手段と、
前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、
をコンピュータによって実現するためのリラクセーション判定プログラム。
【請求項11】
請求項10のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項12】
請求項10または11のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、
前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、
前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項14】
請求項13のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項15】
請求項10〜13のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、
前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、
前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項16】
請求項15のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項17】
請求項15または16のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項19】
心電波形を測定し、
前記心電波形の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断すること、
を特徴とするリラクセーション判定方法。
【請求項1】
測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得部と、
前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、
リラクセーション判断手段による判断結果を出力する出力手段と、
を備えたリラクセーション判定装置。
【請求項2】
請求項1のリラクセーション判定装置において、
前記波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項3】
請求項1または2のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、
前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、
前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項5】
請求項4のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、
前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、
前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項7】
請求項6のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項8】
請求項6または7のリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかのリラクセーション判定装置において、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定装置。
【請求項10】
コンピュータによってリラクセーション判定装置を実現するためのリラクセーション判定プログラムであって、
測定部によって測定された心電情報を取得する心電情報取得手段と、
前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断するリラクセーション判断手段と、
をコンピュータによって実現するためのリラクセーション判定プログラム。
【請求項11】
請求項10のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記波高関連値に関するゆらぎが、P波、Q波、R波、S波、T波もしくはSTの特徴値のゆらぎであることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項12】
請求項10または11のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記心電情報の波高関連値に関するゆらぎと前記心電情報の波形特徴点の間隔のゆらぎの双方に基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記波高関連値を周波数解析する波高関連値周波数解析手段と、
前記波高関連値周波数解析手段によって得られた波高関連値の周波数成分に基づいてLF成分を算出して波高関連値LF成分とする波高関連値LF成分算出手段とを備え、
前記波高関連値LF成分を波高関連値のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項14】
請求項13のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少した場合に、リラックスしていると判定することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項15】
請求項10〜13のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、
時系列データとして得られた前記心電情報の波形特徴点の間隔を周波数解析する間隔周波数解析手段と、
前記間隔周波数解析手段によって得られた波形特徴点の間隔の周波数成分に基づいてHF成分を算出して間隔HF成分とする間隔HF成分算出手段とを備え、
前記間隔HF成分を間隔のゆらぎの特徴として得ることを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項16】
請求項15のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が実質的に変化しない場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項17】
請求項15または16のリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が実質的に変化せず、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれかのリラクセーション判定プログラムにおいて、
前記リラクセーション判断手段は、前記波高関連値LF成分が減少し、前記間隔HF成分が増大した場合に、被験者がリラックスしていると判断することを特徴とするリラクセーション判定プログラム。
【請求項19】
心電波形を測定し、
前記心電波形の波高関連値に関するゆらぎに基づいて、被験者がリラックスしているか否かを判断すること、
を特徴とするリラクセーション判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2010−227488(P2010−227488A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81295(P2009−81295)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
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