説明

リリーフバルブ

【課題】リリーフバルブに於いて、シートの受圧面積を大きくして該シートの摩耗量を少なくし、耐久性を向上させる。
【解決手段】ハウジング15に係合するポペット19のシート14には、該シート14に係合離脱可能でポペット19の軸方向に指向する横断面略直角三角形状の切欠き部32が円周上に設けられている。切欠き部32の外周面は入口通路11の内周面に嵌合するようになり、切欠き部32の円周面と直交する直径方向のポペット19の当接面31はハウジング19の着座面38に接触するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリリーフバルブに関し、さらに詳細には耐久性向上を改善したリリーフバルブにおけるポペットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リリーフバルブは入口通路の圧力が一定値を超えると、入口通路を遮断していたポペット弁が開き、圧油を出口通路へ流す機能を有する。
従来、非作動状態から作動状態に移行する時間を調整可能なリリーフバルブとしては、例えば特許文献1に示すように、一端に入口通路1(特許文献1に示す符号示す、以下同じ)、出口通路3、出口通路3と連通する内孔2及び入口通路1と出口通路3との間に形成されたシート4を有するハウジング5と、入口通路1と連通する軸方向通路8と中空孔7とが設けられかつハウジング5の内孔2に摺動可能に嵌合されシート4と係合離脱可能なポペット9と、ポペット9の中空孔7に摺動可能に嵌合する小径部10とハウジング5の内孔に摺動可能に嵌合する大径部11とを有するロッド12と、ポペット9の内方端部とロッド12の大径部内方端部14とを離隔する方向に押圧するスプリング15と、ロッド12の大径部外方端部24と当接可能にかつハウジング9の他端を閉じるカバー16と、を有している。さらに、ポペット9とハウジング5とに形成されたシート4上には、作動状態での通過流量の変化量に対する設定圧力の変化量の比(以下、圧力−流量特性、とする)が適切な値をとるように加工された段差部(図示しない)を有している。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−214549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたリリーフバルブでは、例えば入口通路1に流入した圧油の圧力が上昇すると、ポペット9に作用する圧油が上昇し、ポペット9がスプリング15を押圧(図1で右行)するので、入口通路1の圧油が吐出通路3へと流れ入口通路1の圧力が低下する。入口通路1の圧力の低下によりスプリング15の弾発力によりポペット9が反発して図1で左行し、ハウジング5とポペット9に形成されるシート4が解離して入口通路1の圧油が吐出通路3へと流れる。以下、前述の動作を繰り返して圧力設定が行われる。
【0005】
しかしながら、劣悪な作動油が使用され、母機の使用期間を大幅に超える使い方をされた時、圧力−流量特性が初期値から大きく変化する場合がある。これは、ポペット弁の開閉が繰り返し行われた結果、弁座との当たり面であるポペット弁のシート部に凹みが生じることによって起きる。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、ハウジングとポペットとの係合に形成されるシートに、ポペットの軸方向に指向する断面略直角三角形状の切欠き部を設け、該切欠き部の軸方向の外周面にハウジングの内周面が係合するようにしかつ、切欠き部の側壁面がハウジングの着座面の当接するようにしてシートの受圧面積を大きくして該シートの摩耗量を少なくし、耐久性を向上させたリリーフバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る課題を解決するため本発明は、一端に入口通路、出口通路、出口通路と連通する内孔及び入口通路と出口通路との間に形成されたシートを有するハウジングと、
前記入口通路と連通する軸方向通路と中空孔とが設けられかつハウジングの前記内孔に摺動可能に嵌合されかつシート面の端にポペットの軸方向に指向する段付が設けられ該シート面と係合離脱可能なポペットと、
前記ポペットの中空孔と摺動可能に嵌合する小径部と前記ハウジングの内孔に摺動可能に嵌合する大径部とを有するロッドと、
前記ポペット内方端部とロッドの大径部内方端部とを離隔する方向に押圧するスプリングと、
前記ロッドの大径部外方端部と当接可能にかつ前記ハウジングの他端を閉じるカバーと、を有するリリーフバルブにおいて、
前記ハウジングと前記ポペットとの係合に形成されるシートに、斜辺が前記シートに沿って形成され底辺が該シートと経て形成されて前記ポペットの軸方向に指向する断面略直角三角形の切欠き部を設け、該切欠き部の軸方向の外周面に前記ハウジングの内周面が係合するようにし、かつ前記切欠き部の円周方向の側壁面が前記ハウジングの着座面の当接するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ハウジングとポペットとの係合に形成されるシートに、斜辺が前記シートに沿って形成され底辺が該シートと経て形成されて前記ポペットの軸方向に指向する断面略直角三角形の切欠き部を設け、該切欠き部の軸方向の外周面に前記ハウジングの内周面が係合するようにし、かつ前記切欠き部の円周方向の側壁面が前記ハウジングの着座面の当接するようにしたので、ポペットがハウジングに面接触となるようなになってポペットの受圧面積が拡大して、リリーフバルブ開閉時にシートにかかる応力が減少する。その結果、シートの摩耗量が減り、ポペットの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るリリーフバルブを示す略縦断面図である。
【図2】図1のリリーフバルブを使用した油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るリリーフバルブ10は、一端に入口通路11、出口通路13、出口通路13と連通する内孔12及び入口通路11と出口通路13との間に形成されたシート14を有するハウジング15と、入口通路11と連通する軸方向通路16と中空孔17とが設けられかつハウジング15の内孔12に摺動可能に嵌合されシート14と係合離脱可能なポペット19と、ポペット19の中空孔17と摺動可能に嵌合する小径部20とハウジング15の内孔12に摺動可能に嵌合する大径部21とを有するロッド22と、ポペット19の小径部内方端部23とロッド22の大径部内方端部24とを離隔する方向に押圧するスプリング25と、ロッド22の大径部外方端部24と当接可能にかつハウジング15の他端を閉じるカバー26と、を有する。
【0011】
ハウジング15に係合するポペット19のシート14には、該シート14に係合離脱可能でポペット19の軸方向に指向する横断面略直角三角形状の切欠き部32が円周上に設けられている。これにより切欠き部32の外周面は入口通路11の内周面に嵌合するようになり、切欠き部32の円周面と直交する直径方向のポペット19の当接面31はハウジング15の着座面38に接触するようになる。
【0012】
前記切欠き部32は斜辺が前記シート14に沿って形成され、底辺が該シート14を経て形成され、前記ポペット19の軸方向に指向する断面略直角三角形を有し、該切欠き部32の軸方向の外周面に前記ハウジング15の内周面(入口通路11の内周面)が係合するようにし、かつ前記切欠き部32の円周方向の当接面31が前記ハウジング15の着座面38に当接するようなっている。
ハウジング15に係合するポペット19のシート部14の端には、ポペット19の軸方向に指向する横断面略直角三角形状の段付部36も円周上に設けられている。
【0013】
図2は、図1に示すリリーフバルブ10を油圧モータ45に使用した油圧回路図を示したものである。図2では1個の油圧モータ45にリリーフバルブ10を2個すなわち、符号46及び符号47を使用している。この場合、符号46及び符号47のリーフバルブの構造は図1に示すものと同じである。よって、リリーフバルブ46及び47の動作についてはリリーフバルブ11を構成する部品名称により説明する。
図2において、Aポート側から作動油を供給している油圧モータ45の回転が急停止すると、Aポートの圧力が上昇する。油圧モータ45の入口圧力が上昇すると、油圧モータ45の入口側に取り付けられたリリーフバルブ46の入口圧力が上昇する。リリーフバルブ46の入口圧力が上昇すると、入口通路11の圧油はスプリング25に抗してポペット9を押して切欠き部32の当接面31がハウジング15の着座面38から離脱し、入口通路11と出口通路13とを連結させ入口通路11の圧油を出口通路13にリリーフさせる。
【0014】
またこの時、油圧モータ45の出口側に取り付けられたリリーフバルブ47では、出口通路13及び42に圧油が流れ込み、ポペット19の側壁面41が加圧される。結果、ポペット19の切欠き部32が当接面31でハウジング15の着座面38に油圧モータ45の入口圧力で押し付けられる。
油圧モータ45が反転して、Aポートが油圧モータ出口に、Bポートが油圧モータ入口になると、リリーフバルブ46のポペット19の切欠き部32がハウジング15の設置面38と接して閉じる。一方で、リリーフバルブ47のポペット19の切欠き部32はハウジング15の着座面38から離れ、出口通路13に圧油をリリーフする。油圧モータ45が回転方向を変えるたびに、リリーフバルブ46及び47の開閉がそれぞれ発生する。
【0015】
かかる構成によると、出口通路13及び42からの加圧時に、ポペット19が切欠き部32の当接面31でハウジング15の着座面38と接して閉じることで、ポペット19をテーパー面でハウジング15の当たり面、すなわちシート14を受け止める従来のリリーフバルブよりも、ハウジング15との着座面38との摩耗をなくすことができた。ポペット19に切欠き部32と当接面31を設けることで、従来のポペットよりも、開閉時に摩耗が生じなくなり、より厳しい条件で長期間使用可能なリリーフバルブを提供するものとなった。
【符号の説明】
【0016】
10、46、47 リリーフバルブ 11 入口通路
12 内孔 13、42 出口通路
14 シート 15 ハウジング
19 ポペット 31 当接面
32 切欠き部 33 中空孔
36 段付部 38 着座面
41 側壁面 45 油圧モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に入口通路、出口通路、出口通路と連通する内孔及び入口通路と出口通路との間に形成されたシートを有するハウジングと、
前記入口通路と連通する軸方向通路と中空孔とが設けられかつハウジングの前記内孔に摺動可能に嵌合されかつシート面の端にポペットの軸方向に指向する段付が設けられ該シート面と係合離脱可能なポペットと、
前記ポペットの中空孔と摺動可能に嵌合する小径部と前記ハウジングの内孔に摺動可能に嵌合する大径部とを有するロッドと、
前記ポペット内方端部とロッドの大径部内方端部とを離隔する方向に押圧するスプリングと、
前記ロッドの大径部外方端部と当接可能にかつ前記ハウジングの他端を閉じるカバーと、を有するリリーフバルブにおいて、
前記ハウジングと前記ポペットとの係合に形成されるシートに、斜辺が前記シートに沿って形成され底辺が該シートと経て形成されて前記ポペットの軸方向に指向する断面略直角三角形の切欠き部を設け、該切欠き部の軸方向の外周面に前記ハウジングの内周面が係合するようにし、かつ前記切欠き部の円周方向の側壁面が前記ハウジングの着座面の当接するようにしたことを特徴とするリリーフバルブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−36549(P2013−36549A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173568(P2011−173568)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】