説明

リレー操作盤

【課題】 送電線や保護継電装置の増設に伴うスイッチの配設スペースや配線工事を抑制する。
【解決手段】 各送電線に対応して設けられ、対象の送電線を選択する複数の送電線スイッチ21〜2nと、各保護継電装置に対応して設けられ、対象の保護継電装置とその動作を選択する複数の機能スイッチ31〜34と、送電線スイッチ21〜2nで選択された送電線に対する機能スイッチ31〜34で選択された保護継電装置の動作を示すランプ41〜44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送電線保護継電装置の動作を操作するリレー操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線を保護するために、複数の保護継電装置(リレー)が各送電線に対して配設され、各送電線に対する各保護継電装置の動作は、従来、図6に示すようなリレー操作盤100によって操作・制御されるようになっている。このリレー操作盤100には、第1〜第6の回線(送電線)ごとに、各保護継電装置を操作するスイッチ101〜104が設けられている。これらのスイッチ101〜104は、押しボタン式で、保護継電装置の種類とその動作を選択するものである。すなわち、「43ARE不使用」スイッチ101は、43AREの不使用を選択するスイッチ、「43ARE使用」スイッチ102は、43AREの使用を選択するスイッチである。同様に、「43S送電」スイッチ103は、43Sの送電を選択するスイッチ、「43S受電」スイッチ104は、43Sの受電を選択するスイッチである。
【0003】
そして、例えば、第1の回線に対して43AREを不使用にする場合には、「43ARE不使用」スイッチ101を押下することで、第1の回線に対して43AREが使用されない状態となる。さらに、この押下によって、「43ARE不使用」スイッチ101に組み込まれたランプが点灯するようになっている。
【0004】
また、操作盤に関する技術として、押しボタン式の操作スイッチパネルに誤操作・誤入力を検出する機能を備えた制御盤の操作パネルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−78423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電力需要の状況変化や電力系統の変更などにより、回線を増やしたり、保護継電装置を増設したりする必要が生じる場合がある。このような場合、上記のような従来のリレー操作盤100では、第1〜第6の回線ごとにスイッチ101〜104が設けられているため、大きなスペースを要し、かつ、大規模な配線工事が必要となる。すなわち、回線を増やす場合、新たな回線に対してスイッチ101〜104を設けなければならず、リレー操作盤100に大きなスペースを要するとともに、スイッチ101〜104に対する配線工事を要する。同様に、保護継電装置を増設する場合、すべての回線に対して新たな保護継電装置のスイッチを設けなければならず、リレー操作盤100に大きなスペースを要するとともに、すべての回線に対する配線工事を要する。
【0007】
さらに、従来のリレー操作盤100では、第1〜第6の回線ごとにスイッチ101〜104が設けられているため、回線数が多いとスイッチ101〜104の数も多くなり、しかも、第1〜第6の回線ごとにスイッチ101〜104が分かれているため、視認性が悪い。このため、確認に手間を取ったり、誤認したりするおそれがある。
【0008】
また、特許文献1の技術では、スイッチパネルの誤操作・誤入力を防止することは可能であるが、回線や保護継電装置の増設に伴うスイッチの配設スペースや配線工事を抑制することはできない。
【0009】
そこで本発明は、送電線や保護継電装置の増設に伴うスイッチの配設スペースや配線工事を抑制することが可能なリレー操作盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、複数の送電線のそれぞれに対して、複数の保護継電装置の動作を操作するリレー操作盤であって、各送電線に対応して設けられ、対象の送電線を選択する複数の送電線スイッチと、各保護継電装置に対応して設けられ、対象の保護継電装置とその動作を選択する複数のリレー動作スイッチと、前記送電線スイッチで選択された送電線に対する前記リレー動作スイッチで選択された保護継電装置の動作を示す表示手段と、を備えることを特徴とするリレー操作盤である。
【0011】
この発明によれば、対象の送電線が送電線スイッチで選択され、対象の保護継電装置の動作がリレー動作スイッチで選択されると、選択された送電線に対する選択された保護継電装置の動作が、表示手段に表示される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のリレー操作盤において、前記表示手段は、前記各送電線スイッチに組み込まれ、選択された送電線スイッチに前記選択された保護継電装置の動作を示す、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、対象の送電線が送電線スイッチで選択され、対象の保護継電装置の動作がリレー動作スイッチで選択されると、選択された送電線スイッチに選択された保護継電装置の動作が表示される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、各送電線に対応した送電線スイッチと、各保護継電装置に対応したリレー動作スイッチとが設けられているだけである。このため、送電線を増やす場合には、新たな送電線スイッチを追加すればよく、同様に、保護継電装置を増設する場合にも、新たなリレー動作スイッチを追加すればよい。このため、送電線や保護継電装置を増設する場合でも、スイッチの配設スペースや配線工事を抑制・軽減することが可能となる。さらに、スイッチ数が減り、しかもスイッチが省スペース内に配設されるため、視認性が向上し、より迅速かつ適正・正確な操作が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、選択された送電線スイッチに選択された保護継電装置の動作が表示されるため、対象の送電線に対する保護継電装置の動作を迅速かつ確実に視認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態に係わるリレー操作盤の正面図である。
【図2】図1のリレー操作盤が設けられた自動復旧装置の正面図である。
【図3】図1のリレー操作盤の概略論理回路図である。
【図4】図1のリレー操作盤において、機能スイッチを追加した場合の正面図である。
【図5】図1のリレー操作盤において、機能スイッチを追加した場合の概略論理回路図である。
【図6】従来のリレー操作盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1は、この実施の形態に係わるリレー操作盤1を示す正面図である。このリレー操作盤1は、複数の線路(送電線)のそれぞれに対して、複数の保護継電装置の動作を操作する操作盤であり、図2に示すように、自動復旧装置10に設けられている。このリレー操作盤1は、主として、複数の送電線スイッチ21〜2nと、各種機能スイッチ(リレー動作スイッチ)31〜34とを備えている。
【0019】
送電線スイッチ21〜2nは、各線路に対応して設けられ、対象の線路を選択するスイッチである。これらの送電線スイッチ21〜2nは、同等の構成であるため、第1の送電線スイッチ21を例にしてその構成を説明する。
【0020】
この送電線スイッチ21は、押しボタン式で、表面部(押下部)が透明な部材から構成され、4つの領域に区画されている。すなわち、表面部に「使用」と標記された43ARE使用部211と、「不使用」と標記された43ARE不使用部212と、「送電」と標記された43S送電部213と、「受電」と標記された43S受電部214とに区画されている。また、各区画211〜214に対向して、ランプ(表示手段)41〜44が配設され(組み込まれ)、後述するようにして、使用ランプ41は赤色、不使用ランプ42は緑色、送電ランプ43と受電ランプ44は白色に点灯するようになっている。このような送電線スイッチ21が、各線路に対して1つずつ設けられている。
【0021】
各種機能スイッチ31〜34は、各保護継電装置に対応して設けられ、対象の保護継電装置とその動作を選択するスイッチであり、押しボタン式となっている。具体的には、使用スイッチ31は、表面部に「使用」と標記され、43AREの使用を選択するスイッチであり、不使用スイッチ32は、表面部に「不使用」と標記され、43AREの不使用を選択するスイッチである。同様に、送電スイッチ33は、表面部に「送電」と標記され、43Sの送電を選択するスイッチであり、受電スイッチ34は、表面部に「受電」と標記され、43Sの受電を選択するスイッチである。
【0022】
また、使用スイッチ31がオンの状態で不使用スイッチ32を押下すると、使用スイッチ31がオフされ、不使用スイッチ32がオンの状態で使用スイッチ31を押下すると、不使用スイッチ32がオフされるようになっている。同様に、送電スイッチ33と受電スイッチ34も、オンとオフが反転するようになっている。
【0023】
このような送電線スイッチ21〜2n、機能スイッチ31〜34およびランプ41〜44は、図3に示すような論理回路(シーケンス回路)50に組み込まれている。
【0024】
すなわち、各送電線スイッチ21〜2nと各機能スイッチ31〜34とが、各AND回路511、512…の入力側に接続され、AND回路51の出力側には、送電線スイッチ21〜2nと機能スイッチ31〜34との組み合わせに対応するランプ41〜44が接続されている。
【0025】
具体的には、例えば、第1の送電線スイッチ21と使用スイッチ31とが、第1のAND回路511の入力側に接続され、この第1のAND回路511の出力側に、第1の送電線スイッチ21の使用ランプ41が接続されている。そして、第1の送電線スイッチ21と使用スイッチ31とがオンされることで、第1の送電線スイッチ21の使用ランプ41が点灯するようになっている。同様に、第1の送電線スイッチ21と不使用スイッチ32とが、第2のAND回路512の入力側に接続され、この第2のAND回路512の出力側に、第1の送電線スイッチ21の不使用ランプ42が接続されている。そして、第1の送電線スイッチ21と不使用スイッチ32とがオンされることで、第1の送電線スイッチ21の不使用ランプ42が点灯するようになっている。
【0026】
このように、送電線スイッチ21〜2nで線路が選択・オンされ、機能スイッチ31〜34で機能(保護継電装置の動作)が選択・オンされると、オンした送電線スイッチ21〜2nの該当するランプ41〜44が点灯、表示するようになっている。また、図示していないが、送電線スイッチ21〜2nと機能スイッチ31〜34とは、各保護継電装置や制御装置などに接続され、送電線スイッチ21〜2nと機能スイッチ31〜34のスイッチ操作(オン・オフ)に応じて、各保護継電装置や制御装置などが制御されるようになっている。
【0027】
次に、このような構成のリレー操作盤1の作用について説明する。
【0028】
まず、特定の線路に対して、43AREを不使用にしたり、43Sを送電状態にさせたりする場合、該当する送電線スイッチ21〜2nと機能スイッチ31〜34とを押下する。例えば、第1の線路に対して43AREを不使用にする場合、第1の送電線スイッチ21と不使用スイッチ32とを押下する。これにより、上記のようにして、各保護継電装置や制御装置などが制御されて、第1の線路に対して43AREが不使用状態になるとともに、第1の送電線スイッチ21の不使用ランプ42が点灯する。また、この状態から、第1の線路に対して43AREを使用可能にするには、第1の送電線スイッチ21と使用スイッチ31とを押下する。これにより、第1の線路に対して43AREが使用可能になるとともに、第1の送電線スイッチ21の不使用ランプ42が消灯し、使用ランプ41が点灯するものである。
【0029】
一方、線路が増えたり、保護継電装置・機能が増設されたりした場合には、リレー操作盤1に新たな送電線スイッチや機能スイッチを追加すればよい。すなわち、線路が増えた場合には、新たな第(n+1)の線路に対して、上記第1の送電線スイッチ21と同様な第(n+1)の送電線スイッチ2(n+1)を追加すればよい。同様に、保護継電装置・機能が増設された場合には、上記使用スイッチ31などと同様な機能スイッチ35を追加すればよい。このとき、例えば、機能が増設され、○○スイッチ35、36を追加し場合、図4に示すように、○○スイッチ35、36をリレー操作盤1に追加する。また、図5に示すように、○○スイッチ35と各送電線スイッチ21〜2nとをAND回路515…5n5の入力側に接続し、AND回路515…5n5の出力側に、○○ランプ45を接続すればよい。
【0030】
ここで、図4中○○ランプ45、46は、送電線スイッチ21〜2nに新たに設けられ、○○スイッチ35、36のオン状態を示すランプである。なお、図5においては、○○スイッチ35および○○ランプ45のみを示し、○○スイッチ36および○○ランプ46については省略している。
【0031】
以上のように、このリレー操作盤1によれば、各線路に対応した送電線スイッチ21〜2nと、各保護継電装置・機能に対応した機能スイッチ31〜34とが設けられているだけである。このため、線路が増えたり、保護継電装置・機能が増設されても、リレー操作盤1に新たな送電線スイッチや機能スイッチを追加すればよい。このため、スイッチの配設スペースを抑制・削減して、リレー操作盤1のコンパクト化が可能となり、しかも、追加したスイッチに対する配線工事のみで済むため、大規模な配線工事が不要となる。
【0032】
また、スイッチ数が減り、スイッチが省スペース内に配設され、しかも、送電線スイッチ21〜2nと機能スイッチ31〜34とが分かれているため、操作性、視認性が向上する。さらには、選択された送電線スイッチ21〜2nに、選択された機能が色分け表示されるため、視認性がより向上し、対象の線路に対してより迅速かつ適正・正確な操作が可能となる。
【0033】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ランプ41〜44を各送電線スイッチ21〜2nに組み込む構成としているが、ランプ41〜44を各送電線スイッチ21〜2nに組み込まずに、別途配設する構成としてもよい。また、リレー操作盤1が自動復旧装置10に設けられている場合について説明したが、遠隔監視制御装置などその他の装置に設けられてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 リレー操作盤
21〜2n 送電線スイッチ
31〜34 機能スイッチ(リレー動作スイッチ)
41〜44 ランプ(表示手段)
10 自動復旧装置
50 論理回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送電線のそれぞれに対して、複数の保護継電装置の動作を操作するリレー操作盤であって、
各送電線に対応して設けられ、対象の送電線を選択する複数の送電線スイッチと、
各保護継電装置に対応して設けられ、対象の保護継電装置とその動作を選択する複数のリレー動作スイッチと、
前記送電線スイッチで選択された送電線に対する前記リレー動作スイッチで選択された保護継電装置の動作を示す表示手段と、
を備えることを特徴とするリレー操作盤。
【請求項2】
前記表示手段は、前記各送電線スイッチに組み込まれ、選択された送電線スイッチに前記選択された保護継電装置の動作を示す、ことを特徴とする請求項1に記載のリレー操作盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10548(P2012−10548A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146222(P2010−146222)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)