説明

リンキング目刺し装置および編地調整ユニット

【課題】 編地の編み目に目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しする目刺し作業を自動化するリンキング目刺し装置を提供する。
【解決手段】目刺しドラムユニット20は、目刺し針203が所定間隔毎に径方向に向けて突設されている。編地ケースユニット30は、目刺し針群の一部が載置面に突出するように目刺しドラムユニット20を配置する切欠溝301aが形成されている。編地調整ユニット50は、切欠溝301aに隙間を介して対向するように配置され、編地を撮像する撮像カメラ551,撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段,画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針203に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラ511A,511B,およびボールローラ511A,511Bを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリンキング目刺し装置および編地調整ユニットに関し、特に編地の編み目に目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しするリンキング目刺し装置およびそれに使用する編地調整ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
編地は、糸を編み針や編み棒で編み込んで製造されるため、多数の編み目が連続的に絡み合った組織を有し、伸縮性に富んでいる。このような編地を縫製して、例えばセータ等のニット製品を製造する際には、複数の編地部品を縫い合わせるために編地専用のミシン(以下、「リンキング装置」と称する)が用いられる。リンキング装置は、多数本のリンキング針を一定の間隔で櫛歯状に配列させている(例えば、特許文献1,特許文献2,非特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平9−158016号公報
【特許文献2】特開平11−267380号公報
【非特許文献1】「ダイヤルリンキングマシンDL1000」、[online]、シルバー精工株式会社、[平成20年11月25日検索]、インターネット<http://www.silver-reed.jp/category6/lineup2/dl1000/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来は、リンキング装置を用いて編地の編み目にリンキング針群のリンキング針を連続的に目刺しするためには、編み目を1つも飛び越すことなく、全ての編み目を順番にリンキング針群のリンキング針に突き刺す必要があり、この目刺し作業は熟練労働者の手作業に頼らざるを得ないのが実状であった。すなわち、人の眼で編地の編み目1つ1つを視認し、リンキング針群のリンキング針に連続的に目刺しさせる必要があった。このため、リンキング装置の駆動を電動化することによってリンキング作業時間の短縮を企図したとしても、リンキング装置に編地をセットする目刺し作業に手間取るため、全体としての生産性向上には大きな限界があった。
【0004】
本発明の目的は、上述の点に鑑み、リンキング装置によるリンキングの前段として、編地の編み目1つ1つに目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しすることができるようにしたリンキング目刺し装置を提供することにある。
【0005】
また、本発明の他の目的は、リンキング目刺し装置に付設して、リンキング装置によるリンキングの前段として、編地の編み目1つ1つに目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しできるように編地の位置を調整する編地調整ユニットを提供することにある。
【0006】
さらに、本発明の別の目的は、リンキング装置によるリンキングの前段として、編地の編み目1つ1つに目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しすることができるようにするリンキング目刺し方法を提供することにある。
【0007】
さらにまた、本発明のその他の目的は、リンキング装置によるリンキングの前段として、編地の編み目1つ1つに目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しできるように編地の位置を調整するようにする編地調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のリンキング目刺し装置は、多数本の目刺し針が所定間隔毎に列設された目刺し針群を含む目刺し針群保持部材と、前記目刺し針群の一部が載置面に突出するように前記目刺し針群保持部材を配置する切欠溝が形成された編地ケースユニットと、前記切欠溝に間隙を介して対向するように配置され、編地を撮像する撮像手段,前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段,前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラ,および前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットを含む編地調整ユニットとを備えることを特徴とする。請求項1記載のリンキング目刺し装置によれば、撮像手段により撮像された編地の画像に基づいて目刺しすべき編み目が存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地を目刺し針が位置する座標(目刺し位置)に移動させ、目刺し位置の編み目を自動的に目刺しさせることができる。従来のように人の眼で編地の編み目1つ1つを視認し目刺し針群の目刺し針に目刺しさせることなく、目刺し作業の自動化を実現できる。しかも、ボールローラが設けられているため、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0009】
請求項2記載のリンキング目刺し装置は、多数本の目刺し針が所定間隔毎に径方向に向けて突設された目刺し針群を含む目刺しドラムユニットと、前記目刺し針群の一部が載置面に突出するように前記目刺しドラムユニットを配置する切欠溝が形成された編地ケースユニットと、前記切欠溝に間隙を介して対向するように配置され、編地を撮像する撮像手段,前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段,前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラ,および前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットを含む編地調整ユニットとを備えることを特徴とする。請求項2記載のリンキング目刺し装置によれば、撮像手段により撮像された編地の画像に基づいて目刺しすべき編み目が存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地を目刺し位置に移動させ、目刺し位置の編み目を自動的に目刺しさせることができる。従来のように人の眼で編地の編み目1つ1つを視認し目刺し針群の目刺し針に目刺しさせることなく、目刺し作業の自動化を実現できる。しかも、一対のボールローラが設けられているため、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0010】
請求項3記載のリンキング目刺し装置は、請求項2に記載のリンキング目刺し装置において、前記目刺しドラムユニットが、目刺しドラム回転用モータにより回転されることを特徴とする。請求項3記載のリンキング目刺し装置によれば、目刺しドラムユニットが目刺しドラム回転用モータにより回転されるので、目刺し針群の目刺し針の位置(目刺し位置)の移動を制御することができ、目刺し作業の自動化を実現できる。
【0011】
請求項4記載のリンキング目刺し装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置において、前記編地ケースユニットが、載置面にセットされた編地を挟んで前記編地調整ユニットに圧接する編地セット板を前記切欠溝の近傍に備えていることを特徴とする。請求項4記載のリンキング目刺し装置によれば、編地セット板によって編地が編地調整ユニットに圧接されるので、撮像手段により編地の画像を正確に撮像できると同時に、ボールローラによる編地の移動調整を確実に行えるという効果がある。
【0012】
請求項5記載のリンキング目刺し装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置において、前記ボールローラが左右一対設けられていて、左ボールローラおよび右ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する4つの駆動モータユニットが設けられていることを特徴とする。請求項5記載のリンキング目刺し装置によれば、複数の駆動モータユニットによって一対のボールローラが編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0013】
請求項6記載のリンキング目刺し装置は、請求項5に記載のリンキング目刺し装置において、前記4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータおよび該左横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左横ずれ調整用補助ローラを含む左横ずれ調整用モータユニットと、右横ずれ調整用モータおよび該右横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右横ずれ調整用補助ローラを含む右横ずれ調整用モータユニットと、左進行調整用モータおよび該左進行調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左進行調整用補助ローラを含む左進行調整用モータユニットと、右進行調整用モータおよび該右進行調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右進行調整用補助ローラを含む右進行調整用モータユニットとからなることを特徴とする。請求項6記載のリンキング目刺し装置によれば、4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータユニット,右横ずれ調整用モータユニット,左進行調整用モータユニット,および右進行調整用モータユニットからなるので、左ボールローラおよび右ボールローラによって編地を前後左右に自由に移動調整することができる。
【0014】
請求項7記載のリンキング目刺し装置は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置において、前記編地調整ユニットが、前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地を編地進行方向に送る送りローラを含むことを特徴とする。請求項7記載のリンキング目刺し装置によれば、ボールローラによって必要な長さまで引き伸ばされた編地を移動する送りローラを設けるようにしたので、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことをより有効に防止できる。
【0015】
請求項8記載のリンキング目刺し装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置において、前記送りローラが左右一対設けられていて、左送りローラおよび右送りローラを編地進行方向に回転駆動する2つの駆動モータユニットが設けられていることを特徴とする。請求項8記載のリンキング目刺し装置によれば、2つの駆動モータユニットによって左右一対の送りローラが編地進行方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の送り方向への移動調整がより容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0016】
請求項9記載のリンキング目刺し装置は、請求項8に記載のリンキング目刺し装置において、前記2つの駆動モータユニットが、左送り調整用モータおよび該左送り調整用モータにより回転駆動され前記左送りローラに転接された左送り調整用補助ローラを含む左送り調整用モータユニットと、右送り調整用モータおよび該右送り調整用モータにより回転駆動され前記右送りローラに転接された右送り調整用補助ローラを含む右送り調整用モータユニットとからなることを特徴とする。請求項9記載のリンキング目刺し装置によれば、左送り調整用モータユニットおよび右送り調整用モータユニットによって左送りローラおよび右送りローラが編地進行方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の送り方向への移動調整がより容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地の編み目ピッチの変動による位置ずれを有効に防止できる。
【0017】
請求項10記載の編地調整ユニットは、編地を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段と、前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラと、前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットとを備えることを特徴とする。請求項10記載の編地調整ユニットによれば、撮像手段により撮像された編地の画像に基づいて目刺しすべき編み目が存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地を目刺し位置に移動させ、目刺し位置の編み目を自動的に目刺しさせることができる。従来のように人の眼で編地の編み目1つ1つを視認し目刺し針群の目刺し針に目刺しさせることなく、目刺し作業の自動化を実現できる。しかも、一対のボールローラが設けられているため、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0018】
請求項11記載の編地調整ユニットは、請求項10に記載の編地調整ユニットにおいて、前記ボールローラが左右一対設けられていて、左ボールローラおよび右ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する4つの駆動モータユニットが設けられていることを特徴とする。請求項11記載の編地調整ユニットによれば、4つの駆動モータユニットによって左右一対のボールローラが編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0019】
請求項12記載の編地調整ユニットは、請求項11に記載の編地調整ユニットにおいて、前記4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータおよび該左横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左横ずれ調整用補助ローラを含む左横ずれ調整用モータユニットと、右横ずれ調整用モータおよび該右横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右横ずれ調整用補助ローラを含む右横ずれ調整用モータユニットと、左進行調整用モータおよび該左進行調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左進行調整用補助ローラを含む左進行調整用モータユニットと、右進行調整用モータおよび該右進行調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右進行調整用補助ローラを含む右進行調整用モータユニットとからなることを特徴とする。請求項12記載の編地調整ユニットによれば、4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータユニット,右横ずれ調整用モータユニット,左進行調整用モータユニット,および右進行調整用モータユニットからなるので、左ボールローラおよび右ボールローラによって編地を前後左右に自由に移動調整することができる。
【0020】
請求項13記載の編地調整ユニットは、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の編地調整ユニットにおいて、前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地を編地進行方向に送る送りローラを含むことを特徴とする。請求項13記載の編地調整ユニットによれば、ボールローラによって必要な長さまで引き伸ばされた編地を移動する送りローラを設けるようにしたので、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことをより有効に防止できる。
【0021】
請求項14記載の編地調整ユニットは、請求項10ないし13のいずれか1項に記載の編地調整ユニットにおいて、前記送りローラが左右一対設けられていて、左送りローラおよび右送りローラを編地進行方向に回転駆動する2つの駆動モータユニットが設けられていることを特徴とする。請求項14記載の編地調整ユニットによれば、複数の駆動モータユニットによって一対の送りローラが編地進行方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の移動調整がより容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0022】
請求項15記載の編地調整ユニットは、請求項14に記載の編地調整ユニットにおいて、前記2つの駆動モータユニットが、左送り調整用モータおよび該左送り調整用モータにより回転駆動され前記左送りローラに転接された左送り調整用補助ローラを含む左送り調整用モータユニットと、右送り調整用モータおよび該右送り調整用モータにより回転駆動され前記右送りローラに転接された右送り調整用補助ローラを含む右送り調整用モータユニットとからなることを特徴とする。請求項15記載の編地調整ユニットによれば、左送り調整用モータユニットおよび右送り調整用モータユニットによって左送りローラおよび右送りローラが編地進行方向に回転駆動されるので、伸縮性に富んだ編地の送り方向への移動調整がより容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地の編み目ピッチの変動による位置ずれを有効に防止できる。
【0023】
請求項16記載のリンキング目刺し方法は、編地進行方向に移動する目刺し針群の目刺し針を編地の編み目に連続的に目刺しするリンキング目刺し方法において、撮像手段により編地を撮像するステップと、画像処理手段により撮像された編地の画像を画像処理するステップと、ボールローラを含む編地調整ユニットにより前記画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するステップとを含むことを特徴とする。請求項16記載のリンキング目刺し方法によれば、撮像手段により撮像された編地の画像に基づいて目刺しすべき編み目が存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地を目刺し位置に移動させ、目刺し位置の編み目を自動的に目刺しさせることができる。従来のように人の眼で編地の編み目1つ1つに目刺し針群の目刺し針を目刺しさせることなく、目刺し作業の自動化を実現できる。しかも、ボールローラを使用するため、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【0024】
請求項17記載の編地調整方法は、撮像手段により編地を撮像するステップと、画像処理手段により撮像された編地の画像を画像処理するステップと、ボールローラを含む編地調整ユニットにより前記画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するステップとを含むことを特徴とする。請求項17記載の編地調整方法によれば、撮像手段により撮像された編地の画像に基づいて目刺しすべき編み目が存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地を目刺し位置に移動させ、目刺し位置の編み目を自動的に目刺しさせることができる。従来のように人の眼で編地の編み目1つ1つに目刺し針群を目刺しさせることなく、目刺し位置に編み目を連続的に揃えることが可能となり、目刺し作業の自動化を実現できる。しかも、ボールローラを使用するため、伸縮性に富んだ編地の移動調整が容易となり、自動目刺し作業の実行中に編地が位置ずれを起こすことを有効に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
リンキング装置によるリンキングの前段として、編地の編み目に目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しすることを可能にするリンキング目刺し装置を提供するという目的を、編地を撮像してボールローラにより目刺し針の位置に編地の編み目を移動させることにより達成した。
【0026】
以下、本発明のリンキング目刺し装置について、添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0027】
図1ないし図7は、本発明の実施例に係るリンキング目刺し装置の全体構成を示す斜視図,右側面図,背面図,左側面図,平面図,前面図,および底面図である。図8は、本実施例に係るリンキング目刺し装置における目刺しドラムユニット20(図9参照)の回転駆動系を取り出して示す要部斜視図である。以下、本実施例に係るリンキング目刺し装置における前後左右については、原則として、図6に示す前面図から見た方向を表すものとする。
【0028】
本実施例に係るリンキング目刺し装置は、図1に示すように、ベースユニット10と、目刺しドラムユニット20と、編地ケースユニット30と、編地調整ユニット50とから、その主要部が構成されている。
【0029】
ベースユニット10は、平板状の金属板でなるベースプレート101と、ベースプレート101から起立された左右一対の前側サイドプレート102,102と、右側の前側サイドプレート102と連設されるように起立された中程サイドプレート103と、ベースプレート101の左端後部に起立されたプーリボックスプレート104と、プーリボックスプレート104の上半部に突設されたアセンブリガイドプレート105と、プーリボックスプレート104の中程に突設されたガイド上固定プレート106と、ベースプレート101の下面の四隅に取り付けられた4つの足ゴム107と、プーリボックスプレート104に取り付けられた目刺しドラム回転用モータ110と、目刺しドラム回転用モータ110の出力軸に固着された出力プーリ111(図4参照)と、出力プーリ111にタイミングベルト(図示せず)を介して接続されたタイミングプーリ112(図4参照)と、タイミングプーリ112を軸支するタイミングドラム接続ギア軸113(図8参照)と、タイミングドラム接続ギア軸113の先端部に固着されたドラム接続ギア114(図8参照)とを含んで構成されている。
【0030】
目刺しドラム回転用モータ110は、目刺しドラムユニット20を回転させるための交流モータでなり、図示しない電源スイッチのオンにより通電されて回転駆動される。
【0031】
図8に示すように、目刺しドラム回転用モータ110の出力軸には出力プーリ111が固着され、出力プーリ111にはタイミングベルト(図示せず)を介してタイミングプーリ112が接続されている。タイミングプーリ112は、タイミングドラム接続ギア軸113の基端部に取り付けられ、タイミングドラム接続ギア軸113の先端部にはドラム接続ギア114が取り付けられている。ドラム接続ギア114は、目刺しドラムユニット20の目刺しドラムギア201の内周面に刻設されたギアに噛合されている。
【0032】
図9ないし図11は、目刺しドラムユニット20の構成を示す右側斜視図,左側斜視図および一部削除左側面図である。
【0033】
目刺しドラムユニット20は、多数本の目刺し針203が列設されてなる目刺し針群を備えている。目刺しドラムユニット20は、回転可能に配置されており、目刺しドラムユニット20の最上位に位置する部分の目刺し針203は、編地ケース301の切欠溝301a(図12参照)から載置面に突出するように配置されている。
【0034】
詳しくは、目刺しドラムユニット20は、内周面にギアが刻設された目刺しドラムギア201と、リング状体を等角度で8つに分割してなる目刺しドラムホルダ202と、160本の目刺し針203と、目刺しドラムギア201に埋設された16個の六角ナット204と、8つの目刺しドラムホルダ202を目刺しドラムギア201に螺着する16個のバインド205とから構成されている。目刺し針203は、目刺しドラムギア201の外周部に径方向に向けて多数突設されるように配置され、8つの目刺しドラムホルダ202が16個の六角ナット204および16個のバインド205とによって目刺しドラムギア201に固着されることにより固定されている。
【0035】
目刺しドラムギア201は、図8に示すように、3組のベアリングユニット220と、ベアリング軸221とによって回転自在に軸支されている。各ベアリングユニット220は、ベアリングプレート222,ベアリング軸223およびプーリ224からなる。各ベアリングユニット220およびベアリング軸221は、ドラム軸支持部材230の左端円形外方突出縁でなる軸受部230aに嵌合されて支持されており、ドラム軸支持部材230の右端縁部230bは、図示しないビス等によりプーリボックスプレート104に固着されている。
【0036】
なお、目刺しドラムユニット20の背面側は、図1に示すように、自動目刺し作業中に目刺しドラムユニット20の目刺し針203に目刺しすべき編み目α(図45参照)が目刺しされた編地F(図45参照)が目刺しドラムユニット20から離脱しないように、かつ目刺し針203に人の手等が直接触れることがないように、下側編地ガイド225および上側編地ガイド226によって被覆されている。
【0037】
図12ないし図18は、編地ケースユニット30および目刺しドラムユニット20の構成を示す斜視図,右側面図,背面図,左側面図,平面図,前面図,および底面図である。図19は、編地セット板302,302の配置構成を示す要部斜視図である。
【0038】
編地ケースユニット30は、目刺しドラムユニット20が配置される切欠溝301aが形成されている湾曲板体でなる編地ケース301と、編地Fを挟んで編地調整ユニット50の下面に圧接する一対の編地セット板302,302とを含んで構成されている。
【0039】
詳しくは、編地ケースユニット30は、図19にも示すように、編地ケース301と、セット板固定プレート302a,302aを下面に有する一対の編地セット板302,302と、セット板固定プレート302a,302aで編地セット板302,302を軸支するセット板軸310,310と、セット板回転軸304と、一端部がセット板軸310,310に揺動自在に取り付けられ、ほぼ中央位置をセット板回転軸304により軸支されているセット板移動プレート308,308と、セット板移動プレート308,308に係合されている一対のセット板移動カム306,306と、一対のセット板移動カム306,306を固着するセット板レバー軸305と、基端部をセット板レバー軸305の一端に固着されているセット板レバー315とを含んで構成されている。
【0040】
編地ケース301は、図13の右側面から見て、左半部が左下がりに湾曲しており、右半部が水平から上方に膨出する湾曲板体でなる。編地ケース301の左半部は編地Fを仮収納する仮収納部を形成し、編地ケース301の右半部の上面は編地Fをセットする載置面となっている。編地ケース301の右端縁部には、編地進行方向に沿って延びる長溝状の切欠溝301aが形成されており、切欠溝301aは、編地ケース301の載置面に突出した目刺しドラムユニット20の目刺し針203が通過できるようになっている。編地ケース301の載置面には、切欠溝301aを挟むように、左右一対の編地セット板302,302がセット板レバー315の操作に応じて浮動自在に配置されている。
【0041】
編地ケースユニット30の編地ケース301の載置面側には、図2に示すように、狭い間隙を介して編地調整ユニット50が対向して配置されるようになっている。詳しくは、編地調整ユニット50の軸受部材502は、アセンブリガイドプレート105のアセンブリガイドプレート軸105aに軸支されており、編地調整ユニット50は、編地ケース301の載置面と狭い間隙を介して対向する調整位置と、編地ケース301の載置面から大きく離間して編地Fの初期セットを可能にする退避位置との間で揺動自在に配置されている。調整位置では、編地ケース301の載置面と調整ユニット基板501の下面との間には、編地ケース301に沿って編地Fが移動可能となるような一定の間隙が確保されている。
【0042】
図20ないし図27は、編地調整ユニット50の構成を示す斜視図,右側面図,右側断面図,背面図,左側面図,平面図,前面図,および底面図である。図28は、編地調整ユニット50の各ユニット群の配置関係を示す要部平面図である。図29は、編地調整ユニット50の各ローラ群の配置関係を示す模式図である。
【0043】
調整ユニット基板501は、金属製板体で形成されていて、編地進行方向(X方向)の端縁部に軸受部材502が一体的に固着されている。なお、編地進行方向Xと直交する方向を、編地横ずれ方向(Y方向)という。軸受部材502は、アセンブリガイドプレート105から突出するアセンブリガイドプレート軸105aに揺動自在に軸支されている。調整ユニット基板501は、固定シャフト503が弾性手段(図示せず)の弾力によってアセンブリガイドプレート105に穿設された係止孔(図示せず)に嵌合することにより、編地ケース301の載置面と狭い間隙を介して対向する調整位置と、編地ケース301の載置面から大きく離間して編地Fの初期セットを可能にする退避位置とに暫定的に固定できるようになっている。調整ユニット基板501には、図23および図27に示すように、スリット553a,左送りローラ窓553bおよび右送りローラ窓553cが穿設されたガラス板553と、左ボールローラキャップ514Aと、右ボールローラキャップ514Bとが埋設されている。
【0044】
調整ユニット基板501の上面側には、図26に示すように、左ボールローラユニット510Aと、右ボールローラユニット510Bと、左横ずれ調整用モータユニット520A(本発明の駆動モータユニットに相当)と、右横ずれ調整用モータユニット520B(本発明の駆動モータユニットに相当)と、左進行調整用モータユニット530A(本発明の駆動モータユニットに相当)と、右進行調整用モータユニット530B(本発明の駆動モータユニットに相当)と、左送り調整用モータユニット540C(本発明の駆動モータユニットに相当)と、右送り調整用モータユニット540D(本発明の駆動モータユニットに相当)と、撮像カメラユニット550とが配置されている。
【0045】
左ボールローラユニット510Aは、図22に示すように、硬質ゴム,プラスチック等の球体でなる左ボールローラ511Aと、左ボールローラ511Aを収納して回転自在に配置する円筒体でなる左ボールローラケース512Aと、左ボールローラケース512Aの上端開口を塞ぐ左ボールローラ蓋513Aと、左ボールローラケース512Aの下端開口を塞ぐように調整ユニット基板501に取り付けられているリング板状の左ボールローラキャップ514Aとを含んで構成されている。左ボールローラケース512Aの左側周壁には、後述する左横ずれ調整用モータユニット520Aの左横ずれ調整用補助ローラ525Aが左ボールローラ511Aに転接するための開口が穿設されている。また、左ボールローラケース512Aの後側周壁には、後述する左進行調整用モータユニット530Aの左進行調整用補助ローラ535Aが左ボールローラ511Aに転接するための開口が穿設されている。さらに、左ボールローラキャップ514Aの中央孔からは、左ボールローラケース512Aに収納配置された状態で、左ボールローラ511Aの下端部分が若干突出するようになっている。これは、左ボールローラ511Aが、編地ケース301の載置面上で編地Fを確実に移動調整できるようにするためである。また、左ボールローラ蓋513Aの内側には、左ボールローラ511Aの頂点に転接して押圧する押圧ボール513Aaと、押圧ボール513Aaを収納するケース513Abと、押圧ボール513Aaをケース513Ab内で転がり自在とするベアリング球513Acとが配置されている。
【0046】
右ボールローラユニット510Bも、左ボールローラユニット510Aと同様に、硬質ゴム,プラスチック等の球体でなる右ボールローラ511Bと、右ボールローラ511Bを収納して回転自在に配置する円筒体でなる右ボールローラケース512Bと、右ボールローラケース512Bの上端開口を塞ぐ右ボールローラ蓋513B(右ボールローラケース512Bの内部が見えるように図示および符号図示を省略する。以下同様)と、右ボールローラケース512Bの下端開口を塞ぐように調整ユニット基板501に取り付けられているリング板状の右ボールローラキャップ514Bとを含んで構成されている。右ボールローラケース512Bの右側周壁には、後述する右横ずれ調整用モータユニット520Bの右横ずれ調整用補助ローラ525Bが右ボールローラ511Bに転接するための開口が穿設されている。また、右ボールローラケース512Bの後側周壁には、後述する右進行調整用モータユニット530Bの右進行調整用補助ローラ535Bが右ボールローラ511Bに転接するための開口が穿設されている。さらに、右ボールローラキャップ514Bの中央孔からは、右ボールローラケース512Bに収納配置された状態で、右ボールローラ511Bの下端部分が若干突出するようになっている。これは、右ボールローラ511Bが、編地ケース301の載置面上で編地Fを確実に移動調整できるようにするためである。また、右ボールローラ蓋513Bの内側には、右ボールローラ511Bの頂点に転接して押圧する押圧ボール513Baと、押圧ボール513Baを収納するケース513Bbと、押圧ボール513Baをケース513Bb内で転がり自在とするベアリング球513Bcとが配置されている。ただし、符号513Ba,513Bb,513Bc等については図示を省略する。
【0047】
左横ずれ調整用モータユニット520Aは、図26および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の左横ずれ調整用モータ521Aと、左横ずれ調整用モータ521Aの出力軸の先端に取り付けられた傘歯車522Aと、傘歯車522Aに噛合する傘歯車523Aと、傘歯車523Aが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸524Aと、駆動ローラ軸524Aの他端部に取り付けられ左ボールローラ511Aに圧接された左横ずれ調整用補助ローラ525Aとを含んで構成されている。左横ずれ調整用補助ローラ525Aは、左ボールローラケース512Aの左側周壁に穿設された開口を介して左ボールローラ511Aに転接している。
【0048】
右横ずれ調整用モータユニット520Bは、図26および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の右横ずれ調整用モータ521Bと、右横ずれ調整用モータ521Bの出力軸の先端に取り付けられて傘歯車522Bと、傘歯車522Bに噛合する傘歯車523Bと、傘歯車523Bが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸524Bと、駆動ローラ軸524Bの他端部に取り付けられ右ボールローラ511Bに圧接された左進行調整用補助ローラ525Bとを含んで構成されている。右横ずれ調整用補助ローラ525Bは、右ボールローラケース512Bの右側周壁に穿設された開口を介して右ボールローラ511Bに転接している。
【0049】
左進行調整用モータユニット530Aは、図24および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の左進行調整用モータ531Aと、左進行調整用モータ531Aの出力軸の先端に取り付けられて傘歯車532Aと、傘歯車532Aに噛合する傘歯車533Aと、傘歯車533Aが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸534Aと、駆動ローラ軸534Aの他端部に取り付けられ左ボールローラ511Aに圧接された左進行調整用補助ローラ535Aとを含んで構成されている。左進行調整用補助ローラ535Aは、左ボールローラケース512Aの後側周壁に穿設された開口を介して左ボールローラ511Aに転接している。
【0050】
右進行調整用モータユニット530Bは、図21および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の右進行調整用モータ531Bと、右進行調整用モータ531Bの出力軸の先端に取り付けられて傘歯車532Bと、傘歯車532Bに噛合する傘歯車533Bと、傘歯車533Bが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸534Bと、駆動ローラ軸534Bの他端部に取り付けられ左ボールローラ511Bに圧接された横ずれ方向補助ローラ535Bとを含んで構成されている。右進行調整用補助ローラ535Bは、右ボールローラケース512Bの後側周壁に穿設された開口を介して右ボールローラ511Bに転接している。
【0051】
左送り調整用モータユニット540Cは、図24および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の左送り調整用モータ541Cと、左送り調整用モータ541Cの出力軸の先端に取り付けられて傘歯車542Cと、傘歯車542Cに噛合する傘歯車543Cと、傘歯車543Cが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸544Cと、駆動ローラ軸544Cの他端部に取り付けられ編地Fに圧接される左送り調整用補助ローラ545Cとを含んで構成されている。左送り調整用補助ローラ545Cは、ガラス板553に穿設された左送りローラ窓553bを介して下端部分が調整ユニット基板501の下面から若干突出するように配設されている。これは、左送り調整用補助ローラ545Cが、編地ケース301の載置面上で編地Fを確実に送り方向に移動調整できるようにするためである。
【0052】
右送り調整用モータユニット540Dは、図21および図28に示すように、縦方向に配置された円筒体状の右送り調整用モータ541Dと、右送り調整用モータ541Dの出力軸の先端に取り付けられて傘歯車542Dと、傘歯車542Dに噛合する傘歯車543Dと、傘歯車543Dが先端部に固着され軸受部材によって調整ユニット基板501に並行に回転自在に配置された駆動ローラ軸544Dと、駆動ローラ軸544Dの他端部に取り付けられ編地Fに圧接される左進行調整用補助ローラ545Dとを含んで構成されている。右送り調整用補助ローラ545Dは、ガラス板553に穿設された右送りローラ窓553cを介して下端部分が調整ユニット基板501の下面から若干突出するように配設されている。これは、右送り調整用補助ローラ545Dが、編地ケース301の載置面上で編地Fを確実に送り方向に移動調整できるようにするためである。
【0053】
撮像カメラユニット550は、撮像カメラ551(本発明の撮像手段に相当)と、撮像カメラ551を固定するためのカメラ固定プレート552と、スリット553a,左送りローラ窓553bおよび右送りローラ窓553cが穿設された透明なガラス板553とを含んで構成されている。なお、撮像カメラ551には、LED(Light Emitting Diode)ライト,ブラックライト等の照明手段が含まれていてもよい。
【0054】
なお、編地調整ユニット50には、モータ固定プレート,六角スペーサ,軸受部材等の支持部材が多数配置されているが、これらの部材は上述した各ユニットを支持するために設けられたものであるので、特に符号を付することなく、かつ詳しい説明を割愛する。
【0055】
図30ないし図36は、編地ケースユニット30,目刺しドラムユニット20および編地調整ユニット50を組み合わせた調整位置での状態を示す斜視図,右側面図,背面図,左側面図,平面図,前面図,および底面図である。
【0056】
図31に示すように、調整位置では、編地ケース301の載置面と調整ユニット基板501の下面との間には一定の間隙が確保されている。また、調整位置では、編地ケース301の載置面に突出した目刺しドラムユニット20の目刺し針203の先端部が、調整ユニット基板501に埋め込まれたガラス板553のスリット553aに進入している。これは、編地ケース301の載置面と調整ユニット基板501の下面との間の間隙を通過する編地Fの編み目に目刺し針203が確実に目刺しされるようにするためである。
【0057】
調整位置からセット板レバー315を上方に向けて回転操作すると、図19に示すように、セット板レバー軸305に固着されている一対のセット板移動カム306,306が揺動されて、セット板移動プレート308,308がセット板回転軸304を中心に回動してセット板軸310,310を介して編地セット板302,302が跳ね上げられるようになっている。これにより、編地セット板302,302が調整ユニット基板501の下面に圧接されるようになる。
【0058】
図37は、本実施例に係るリンキング目刺し装置の制御機構の主要部分を示すブロック図である。本実施例に係るリンキング目刺し装置は、撮像カメラ551に接続された画像処理用パーソナルコンピュータ(PC)600と、画像処理用PC600に接続された中央制御ボード700と、中央制御ボード700に接続されたモーションコントロールボード800と、モーションコントロールボード800に接続されたモータドライバ901〜907とから構成されている。
【0059】
撮像カメラ551は、例えばインターライン方式のCCD(Charge Coupled Device)でなる撮像素子を備え、例えば30回/秒の撮像を行うことができるようになっている。撮像カメラ551は、例えばEIA(Electronic Industries Alliance)規格によるビデオ信号のインターフェースで画像処理用PC600と接続されている。
【0060】
画像処理用PC600は、本実施例に係るリンキング目刺し装置の制御プログラムが格納されるROM(Read Only Memory)や、様々な設定条件等のデータが一時的に記憶されるRAM(Random Access Only Memory)を含んで構成されている。画像処理用PC600には、撮像カメラ551の他に、入力装置としてのコンソール、あるいは図示しないキーボードやテンキー等が接続されている。
【0061】
中央制御ボード700は、シリアル通信インターフェース(RS232CまたはUSB(Universal Serial Bus))で画像処理用PC600と接続され、中央制御ボード700の拡張バス(中央制御ボード700搭載のCPU(Central Processing Unit)が使用しているバス)を使用してモーションコントロールボード800と接続されている。中央制御ボード700は、電源投入時に全システムを初期化したり、ユーザーインターフェース(表示/キー入力)を管理したり、画像処理用PC600からの編み目位置データを受信したり、受信した編み目位置データを元に編地Fを移動する左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521B,左進行調整用モータ531Aおよび右進行調整用モータ531B,ならびに左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dの駆動情報を作成したり、モーションコントロールボード800に対して左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521B,左進行調整用モータ531Aおよび右進行調整用モータ531B,ならびに左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dの駆動情報を伝達して駆動を実行させたりする。
【0062】
モーションコントロールボード800は、例えばプログラマブル・コントローラやマイクロ・コンピュータ,パーソナル・コンピュータ,エンジニアリング・ワークステーション等のCPUによって構成される。モーションコントロールボード800の入力端子には,撮像カメラ551の中央処理ボード700が接続されている。モーションコントロールボード800の出力端子には、モータドライバ901〜907が接続されている。
【0063】
詳しくは、モーションコントロールボード800は、図38に示すように、電源801と、中央制御ボード700と接続される拡張バスコネクタ802と、拡張バスコネクタ802と接続されたモーションコントロール用IC803,804と、左送り調整用モータ接続コネクタ805と、右送り調整用モータ接続コネクタ806と、左進行調整用モータ接続コネクタ807と、左横ずれ進行調整用モータ接続コネクタ808と、右進行調整用モータ接続コネクタ809と、右横ずれ調整用モータ接続コネクタ810と、未使用コネクタ811と、目刺しドラム回転用モータ接続コネクタ812とを含んで構成されている。
【0064】
モーションコントール用IC803は、左送り調整用モータ541Cに接続されるモータドライバ901に接続される左送り調整用モータ接続コネクタ805と、右送り調整用モータ541Dに接続されるモータドライバ902に接続される右送り調整用モータ接続コネクタ806と、左進行調整用モータ531Aに接続されるモータドライバ903に接続される左進行調整用モータ接続コネクタ807と、左横ずれ調整用モータ521Aに接続されるモータドライバ904に接続される左横ずれ調整用モータ接続コネクタ808とに接続されている。また、モーションコントール用IC804は、右進行調整用モータ531Bに接続されるモータドライバ905に接続される右進行調整用モータ接続コネクタ809と、右横ずれ調整用モータ521Bに接続されるモータドライバ906に接続される右横ずれ調整用モータ接続コネクタ810と、未使用コネクタ811と、目刺しドラム回転用モータ110に接続されるモータドライバ907に接続される目刺しドラム回転用モータ接続用コネクタ812とに接続されている。
【0065】
図39を参照すると、本実施例に係るリンキング目刺し装置における編地調整処理は、編地位置確認ステップS101と、編地進行方向送りステップS102と、右ずれ判断ステップS103と、ボールローラ左移動調整ステップS104と、左ずれ判断ステップS105と、ボールローラ右移動調整ステップS106と、編み目ピッチ狭い判断ステップS107と、ボールローラまたは送りローラ順方向調整ステップS108と、編み目ピッチ広い判断ステップS109と、ボールローラまたは送りローラ逆方向調整ステップS110とからなる。なお、順方向とは編地進行方向Xに進む方向をいい、逆方向とは編地進行方向Xを戻る方向をいう。
【0066】
ボールローラ左移動調整ステップS104は、さらに図40に示すように、中央制御ボード700が編地Fを左に移動調整する制御情報を作成してモーションコントロールボード800に転送するステップS1041と、モーションコントロールボード800が中央制御ボード700からの制御信号に従った信号をモータドライバ904,906に出力するステップS1042とからなる。ここでの制御情報は、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521Bを制御する情報であり、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は時計方向であり、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数である。
【0067】
ボールローラ右移動調整ステップS106は、さらに図41に示すように、中央制御ボード700が編地Fを右に移動調整する制御情報を作成してモーションコントロールボード800に転送するステップS1061と、モーションコントロールボード800が中央制御ボード700からの制御信号に従った信号をモータドライバ904,906に出力するステップS1062とからなる。ここでの制御情報は、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521Bを制御する情報であり、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は反時計方向であり、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数である。
【0068】
ボールローラまたは送りローラ順方向移動調整ステップS108は、さらに図42に示すように、中央制御ボード700が編地Fを順方向(+X方向)に移動調整する制御情報を作成してモーションコントロールボード800に転送するステップS1081と、モーションコントロールボード800が中央制御ボード700からの制御信号に従った信号をモータドライバ901〜907に出力するステップS1082とからなる。ここでの制御情報は、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521B,左進行調整用モータ531Aおよび右進行調整用モータ531B,ならびに左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dを制御する情報であり、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は時計方向であり、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数である。
【0069】
ボールローラおよび送りローラ逆方向移動調整ステップS110は、さらに図43に示すように、中央制御ボード700が編地Fを逆方向(−X方向)に移動調整する制御情報を作成してモーションコントロールボード800に転送するステップS1101と、モーションコントロールボード800が中央制御ボード700からの制御信号に従った信号をモータドライバ901〜907に出力するステップS1102とからなる。ここでの制御情報は、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521B,左進行調整用モータ531Aおよび右進行調整用モータ531B,ならびに左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dを制御する情報であり、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は時計方向であり、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数である。
【0070】
編地Fとしては、綿,絹,毛,合成繊維等による編地Fはもちろんのこと、合成皮革や本革等、あらゆる編地材料が該当する。編地Fの目刺しすべき編み目αは必ずしも明確な輪郭パターンを備えているとはいえず、むしろそれぞれの目刺しすべき編み目αは輪郭がぼやけたり潰れたりしたような形状を備えている。また、図45に示すように、一定の目刺しすべき編み目αを備えた編地Fの中、想像上の黒点で印した多数の目刺しすべき編み目αを連続的に目刺ししようとする場合、図46に示すように、目刺しすべき編み目αの上下にも似たような編み目が多数存在しているため、例え1つの目刺しすべき編み目αを形成する編み目パターンを記憶させておいても、目刺しドラムユニット20の回転中に次に目刺しすべき編み目αを正確に抽出することは困難であり、結果的に目刺しすべき編み目αを連続的に目刺しすることが不可能となる。この問題を解決するためには、目印パターンは、例えば編地Fの表面に捨て糸Gを所定形状の目刺しすべき編み目αが連続するように編み込むことによって形成される。例えば、図47に示すように、目刺しすべき編み目αが並んでいる直ぐ上の列に、編地Fの地色の反対色などの目立つ色彩を備えるとともに、所定の樹脂溶液(例えば、アルコール等の溶剤中に繊維素系樹脂を溶融させたもの)に漬け込むことによって、編地Fを構成している糸と明瞭に区別できるようになされた1本の捨て糸Gを、編地Fを形成する際に予め半コース(場合によっては1コース)だけ編み込んでダミーの目印パターンを形成しておき、この目印パターンを手掛かりとして目刺しすべき編み目αを特定することが有効である。具体的には、画像処理用PC600上に映し出された撮像カメラ551からの拡大画像を見ながら、図48に示すように、捨て糸Gからなる目印パターンの1つの目刺しすべき編み目αを中心にしつつ、左右の目刺しすべき編み目αの一部をも取り込む領域をサーチウィンドウWで囲って、探索すべき形状の範囲を指定する。次に、サーチウィンドウW内で目刺しすべき編み目αにパターンウィンドウWaを合わせ、目印パターンの目刺しすべき編み目αを基準にして目刺しすべき編み目αの位置を指定する。図48においては、捨て糸Gの略逆「ハ」字頂点の直ぐ下に位置する編み目を目刺しすべき編み目αとして設定した例が示されている。
【0071】
次に、このように構成された本実施例のリンキング目刺し装置の動作について説明する。
【0072】
リンキング目刺し装置に編地Fを初期セットするには、図1に示す編地調整ユニット50の調整位置から、固定シャフト503を指で摘まんで弾性手段(図示せず)の弾力に抗して手前に引き、固定シャフト503の先端部をアセンブリガイドプレート105の係止孔(図示せず)から引き出して嵌合を解除させた後に、固定シャフト503をアセンブリガイドプレート105のアセンブリガイドプレート軸105aを中心に時計方向に回動させる。調整ユニット基板501が所定の退避位置まで回動すると、固定シャフト503の先端部が弾性手段(図示せず)の復元弾力によりアセンブリガイドプレート105の他の係止孔(図示せず)に嵌合して、編地調整ユニット50が所定の退避位置で係止される。
【0073】
編地調整ユニット50の退避位置では、編地調整ユニット50が編地ケース301から大きく離間するので、編地ケース301の載置面の右端側に編地セット板302,302が露出するとともに、編地ケース301の載置面の右端縁に切欠溝301aから突出する目刺し針203が露呈する。
【0074】
編地調整ユニット50の退避位置で編地Fを編地ケース301の載置面に載せ、編地Fの先端側を手で持ちながら目刺しすべき編み目α(図45参照)を目視して、切欠溝301aから露呈する目刺し針203のいくつかに刺し込む。これにより、編地Fの初期セットが完了する。
【0075】
リンキング目刺し装置に編地Fを初期セットすると、固定シャフト503を指で摘まんで弾性手段(図示せず)の弾力に抗して手前に引き、固定シャフト503の先端部をアセンブリガイドプレート105の他の係止孔(図示せず)から引き出して嵌合を解除させた後に、固定シャフト503をアセンブリガイドプレート105のアセンブリガイドプレート軸105aを中心に反時計方向に回動させる。調整ユニット基板501が所定の調整位置まで回動すると、固定シャフト503の先端部が弾性手段(図示せず)の復元弾力によりアセンブリガイドプレート105の係止孔(図示せず)に嵌合して、調整ユニット基板501が所定の調整位置で係止される。この調整位置では、図2に示すように、編地調整ユニット50の調整ユニット基板501の下面と編地ケースユニット30の編地ケース301の載置面との間に狭い間隙が形成されている。
【0076】
次に、セット板レバー315(図13参照)を上方に向けて回動操作する。すると、図19に示すように、セット板レバー軸305に固着されている一対のセット板移動カム306,306が弾性手段(図示せず)の弾力により揺動されて、セット板移動プレート308,308がセット板回転軸304を中心に回動してセット板軸310,310を介して編地セット板302,302が跳ね上げられる。これにより、セット板軸310,310が編地Fを挟んで調整ユニット基板501の下面に圧接され、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bならびに左送りローラ549Cおよび右送りローラ549Dによって編地Fが移動調整可能になるとともに、ガラス板553を通して撮像カメラ551によって編地Fの目刺しすべき編み目αが撮像可能になる。
【0077】
続いて、図示しない電源スイッチをオンにすると、編地調整ユニット50に通電が開始され、撮像カメラ551は、ガラス板553を通して編地Fの目刺しすべき編み目αの画像を撮像し、撮像カメラ551により撮像された画像データが画像処理用PC600に取り込まれる。画像処理用PC600は、取り込まれた画像データを画像処理して、目刺し針203で目刺しすべき編み目αを指し示す目印パターンの形状を設定するとともに、目印パターンを基準にして目刺しすべき編み目αの位置を設定し、これらの設定結果を画像処理用PC600内に記憶させる。具体的には、図48に示すように、予め編地Fの表面における目刺しすべき編み目αの近傍に所定の目印パターンを配置させておき、サーチウィンドウW内で目標となる箇所をパターンウィンドウWaで囲って特定することで、目刺しすべき編み目αを設定する。
【0078】
次に、画像処理用PC600は、中央制御ボード700,モーションコントロールボード800およびモータドライバ901〜907を介して編地調整ユニット50により編地Fを編地進行方向および編地横ずれ方向に移動調整し、撮像カメラ551で撮像された画像データを取り込む。次に、画像処理用PC600は、撮像カメラ551から取り込んだ画像データを画像処理し、画像処理された画像データ中から記憶済みの目印パターンと類似するパターンを検出するとともに、各パターン間のピッチ(間隔)を読み取る。ここで読み取ったピッチ情報は、基準ピッチとして画像処理用PC600内に記憶される。なお、このように基準ピッチを撮像カメラ551を用いて読み取る代わりに、キーボードやテンキーといった入力手段を用いて、基準ピッチの数値を直接入力しておくこともできる。この基準ピッチの読み取り作業が終了すると、画像処理用PC600は、具体的な基準ピッチの値をコンソールに表示させたりして外部に知らせる。
【0079】
次に、図示しない自動運転スイッチをオンにすると、自動目刺し作業が開始される。詳しくは、画像処理用PC600は、撮像カメラ551から取り込まれた画像データを画像処理し、すでに記憶されている目印パターンの画像データと一致するパターンを探索することによって、1番目に目刺しすべき編み目αが位置する座標を検出する。これとともに、画像処理用PC600は、中央制御ボード700,モーションコントロールボード800およびモータドライバ901〜907を介して編地調整ユニット50を駆動して、当該目刺しすべき編み目αが目刺し針203で目刺しすることができる位置に到達するように編地Fを編地進行方向Xおよび編地横ずれ方向Yに移動調整する。
【0080】
続いて、画像処理用PC600は、モーションコントロールボード800からの指令に基づいて目刺しドラム回転用モータ110を駆動し、目刺し針203の回転移動を開始する。詳しくは、目刺しドラム回転用モータ110への通電が開始されると、その出力軸に固着された出力プーリ111が回転する。出力プーリ111が回転すると、タイミングベルト(図示せず)を介してタイミングプーリ112が回転する。タイミングプーリ112が回転すると、タイミングドラム接続ギア軸113の基端部に取り付けられたドラム接続ギア114が回転するため、目刺しドラムユニット20が回転して目刺し針203が編地進行方向Xに回転移動する。目刺し針203が編地進行方向Xに回転移動すると、編地Fの先端側の目刺しすべき編み目α(図45参照)が、切欠溝301aから露呈する目刺し針203によって引っ張られて、編地Fが編地進行方向Xに送られる。目刺し針203の回転移動中に、目刺し針203は、編地Fの目刺しすべき編み目αを連続的に目刺しする。
【0081】
目刺し針203によって編地Fの目刺しすべき編み目αの目刺しが行われている間にも、画像処理用PC600は、撮像カメラ551で撮像された画像データを画像処理しており、次の目印パターンの探索、および次に目刺しすべき編み目αが位置する座標の検出を行っている。そして、画像処理用PC600は、予め記憶されていた基準ピッチと実際に検出された座標との差を演算し、演算結果に基づいて基準ピッチに補正を加え、編地調整ユニット50を駆動し、第2番目に目刺しすべき編み目αを目刺し位置にまで移動させる。そして、画像処理用PC600は、中央制御ボード700,モーションコントロールボード800およびモータドライバ901〜907を介して目刺し針203を回転移動させて、当該目刺しすべき編み目αの目刺しを実現する。以後も上記と同様の工程を繰り返すことにより、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し針群の目刺し針203に連続的に目刺しされて行く。
【0082】
このように、画像処理用PC600は、編地調整ユニット50が編地Fの自動目刺し作業に従事している間に、目刺しドラム回転用モータ110を駆動して目刺しドラムユニット20の目刺し針203を回転移動させ、目刺し済みの編地Fを送り出して、次に目刺しすべき編み目αを目刺し針203に目刺しする。
【0083】
以上の動作を繰り返すことにより、編地Fの目刺しすべき編み目αを目刺しドラムユニット20の目刺し針203に連続的に目刺しすることができる。なお、上記にあっては、編地ケースユニット30および目刺しドラムユニット20に編地Fを初期セットさせることを前提に説明したが、全く同じパターンの目刺しすべき編み目αを備えた複数の編地Fを目刺しする場合には、上記した目刺しすべき編み目αの設定・記憶工程および基準ピッチ読み取り工程は最初の1回だけ行い、後はこのデータを利用するように運用すれば、より効率的な自動目刺し作業を実現できる。
【0084】
以上の自動目刺し作業中は、目刺しドラムユニット20の目刺し針203は停止することなく連続的に回転移動される。ただし、目刺し針203が回転移動に入った時点で低速運転となって次の目印パターンの探索を確実とし、目印パターンが検知されて目刺し針203が回転移動に移行する時点で再度高速運転に転換されるようにプログラミングしてもよい。これらは、具体的には、画像処理用PC600が編地Fの回転速度を読み取り、この結果に基づいて目刺しドラム回転用モータ110の回転速度を加減することによって実現される。その他にも、例えば次に目刺しすべき編み目αが位置するものとして算出された座標が、基準ピッチを基に算出される座標と比較して一定数値以上の開きがある場合には、飛ばしエラーが発生したものと判断し、前回の目刺し位置に戻って再探索を行うようにプログラミングしてもよい。
【0085】
本実施例に係るリンキング目刺し装置は、撮像カメラ551が撮像した画像データの中から予め記憶されている目印パターンの画像データと一致する部分を検出し、これを基に次に目刺しすべき編み目αが存在する座標を正確に算出するとともに、目刺し針203が現在位置している座標との差を算出し、最初に設定されていた基準ピッチに従って回転移動したのでは次に目刺しすべき編み目αの位置に到達し得ないと判断した場合には、編地調整ユニット50を駆動し、編地Fの進むべきコースや移動量を修正することができる。
【0086】
画像処理用PC600は、撮像カメラ551を通じて時々刻々と取り込まれてくる画像データの中から、まずサーチウィンドウWで囲った目印パターンの形状(略逆「ハ」字形状)を順番に抽出するとともに、各目印パターンの頂点のやや下の部分を目刺しすべき編み目αの存在する位置であると認定し、その座標を算出する。
【0087】
画像処理用PC600は、撮像カメラ551で編地Fの目刺しすべき編み目αの位置を確認し(ステップS101)、編地Fの目刺しすべき編み目αの位置がOKであれば、目刺しドラムユニット20の回転により編地Fを編地進行方向Xに送る(ステップS102)。
【0088】
編地Fの目刺しすべき編み目αの位置がNGであれば、画像処理用PC600は、編地Fの目刺しすべき編み目αが右にずれているかどうかを判定し(ステップS103)、右にずれていれば、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bで編地Fを左に移動調整する(ステップS104)。詳しくは、編地Fが右にずれている場合には、画像処理用PC600からの指令により、中央制御ボード700は、図40に示すように、編地Fを左に移動する制御情報を作成し、モーションコントロールボード800に転送する(ステップS1041)。モーションコントロールボード800は、中央制御ボード700からの制御情報に従った信号をモータドライバ904,906に出力する(ステップS1042)。これにより、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521Bは、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は時計方向に、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数だけ回転し、編地Fは、図44(b)に示すように、左にずれ量だけ移動する。この結果、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し位置に移動し、目刺し針203により目刺しされる。
【0089】
編地Fが右にずれていなければ、画像処理用PC600は、編地Fが左にずれているかどうかを判定し(ステップS105)、左にずれていれば、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bで編地Fを右に移動調整する(ステップS106)。詳しくは、編地Fが左にずれている場合には、画像処理用PC600からの指令により、中央制御ボード700は、図41に示すように、編地Fを右に移動する制御情報を作成し、モーションコントロールボード800に転送する(ステップS1051)。モーションコントロールボード800は、中央制御ボード700からの制御情報に従った信号をモータドライバ904,906に出力する(ステップS1052)。これにより、左横ずれ調整用モータ521Aおよび右横ずれ調整用モータ521Bは、モータ回転数は現状を維持し、モータ回転方向は反時計方向に、モータ駆動距離は編地Fのずれ量に応じて算出したパルス数だけ回転し、編地Fは、図44(c)に示すように、右にずれ量だけ移動する。この結果、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し位置に移動し、目刺し針203により目刺しされる。
【0090】
編地Fが左にずれていなければ、画像処理用PC600は、編地Fの編み目ピッチが狭いかどうかを判定し(ステップS107)、編地Fの編み目ピッチが狭ければ、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bまたは左送りローラ549Cおよび右送りローラ549Dで編地Fを順方向(+X方向)に移動調整する(ステップS108)。詳しくは、編み目ピッチが狭い場合、画像処理用PC600からの指令により、中央制御ボード700は、図42に示すように、編地Fの編み目ピッチを広げるための制御情報を作成し、モーションコントロールボード800に転送する(ステップS1061)。モーションコントロールボード800は、中央制御ボード700からの制御情報に従った信号を、モータドライバ901〜907に出力する(ステップS1062)。これにより、左進行調整用モータ531Aおよび右進行調整用モータ531Bまたは左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dは、モータ回転数を回転数を落とし(=モータ速度を落とす)、回転数の変化具合は編み目ピッチのずれ量に応じて算出する。モータ回転方向は変更なし、モータ駆動距離は変更なしとする。これにより、編地Fは、図44(e),(f)に示すように、順方向(+X方向)にずれ量だけ移動する。この結果、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し位置に移動し、目刺し針203により目刺しされる。
【0091】
編地Fの編み目ピッチが狭くなければ、画像処理用PC600は、編地Fの編み目ピッチが広いかどうかを判定し(ステップS109)、編地Fの編み目ピッチが広ければ、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bまたは左送りローラ549Cおよび右送りローラ549Dで逆方向(−X方向)に移動調整する(ステップS110)。詳しくは、編み目ピッチが広い場合、画像処理用PC600からの指令により、中央制御ボード700は、図43に示すように、編地Fの編み目ピッチを狭める制御情報を作成し、モーションコントロールボード800に転送する(ステップS1071)。モーションコントロールボード800は、中央制御ボード700からの制御情報に従った信号を、モータドライバ901〜907に出力する(ステップS1072)。左進行調整用モータ531A,右進行調整用モータ531Bまたは左送り調整用モータ541Cおよび右送り調整用モータ541Dは、モータ回転数を上げ(=モータ速度を上げる)、回転数の変化具合は編み目ピッチのずれ量に応じ算出する。モータ回転方向は変更なし、モータ駆動距離は変更なしとする。これにより、編地Fは、図44(d),(g)に示すように、逆方向(−X方向)にずれ量だけ移動する。この結果、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し位置に移動し、目刺し針203により目刺しされる。
【0092】
なお、捨て糸Gは、樹脂を含んでいるために若干硬化しており、この結果、目印パターンの目刺しすべき編み目αは、図48に示すように、略三角形状に形成されている。そして、比較的柔軟で丸みを帯びた目刺しすべき編み目αが連続する編地Fの中には、三角形状の目刺しすべき編み目αは捨て糸Gを編み込んだ目印パターン以外に存在せず、しかも捨て糸Gは編地Fを構成している糸の反対色等に染められているため、目印パターンは非常に目立つ存在となる。このため、撮像カメラ551は、目印パターンを確実に撮像できることとなる。また、各三角形状の頂点が常に目刺しすべき編み目αの近傍に位置するように各目印パターンは配列されているため、目印パターンの頂点上方を目標に目刺し針203を回転移動させさえすれば、誤って目刺しすべきでない編み目を目刺ししてしまうエラーが発生せず、目刺しすべき編み目αを連続的に目刺しすることができる。
【0093】
目印パターンは、上記のように1本の捨て糸Gを半コースだけ編み込んであるため、目刺し完了後には簡単に抜き取ることができ、編地Fのデザインを損ねることはない。そして、編地進行方向Xに沿って編地Fを切除して糸屑を除去すれば、図49に示すように、目刺し位置に編地Fの目刺しすべき編み目αを連続的に揃えることができる。また、各目刺しすべき編み目α間は、編み目ラインによって一箇所の目落ちもなく確実に目刺しされている。
【0094】
そして、予め設定された編地Fの目刺し終わり位置が検出された時点で、画像処理用PC600は、次の目印パターンを探索する動作を中止し、自動目刺し作業を完了させる。
【0095】
自動目刺し作業が完了した後、セット板レバー315を下方に向けて回動操作する。すると、図19に示すように、セット板レバー軸305に固着されている一対のセット板移動カム306,306が揺動されて、セット板移動プレート308,308が弾性手段(図示せず)の復元弾力によりセット板回転軸304を中心に回動してセット板軸310,310を介して編地セット板302,302が降下される。これにより、セット板軸310,310が調整ユニット基板501の下面から離間して、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bならびに左送りローラ549Cおよび右送りローラ549Dによって編地Fが移動調整できないようになるとともに、撮像カメラ551によって編地Fの目刺しすべき編み目αが撮像できないようになる。
【0096】
ところで、目刺しすべき編み目αのパターンには、本来、平編み(天竺編み),ゴム編み,パール編み等と様々なものがあり、さらにそれぞれの編み方には表目と裏目との区別がある。糸の太さや材質も多種多様であるため、編地Fには、数多くのバリエーションが考えられる。これに対して、目印パターンの形成に際しては、捨て糸Gとして毛足が短くて目刺しすべき編み目αが明瞭に認識でき、しかも抜き取り易い材質のものを用い、これを最も単純で画像認識しやすい形状の編み目を形成できる平編みで編成することが望ましい。上記の条件を満たせば、どのような糸を用いてもよいが、一般論としては、天然繊維よりも化学繊維製の糸や、あるいは化学繊維と天然繊維との混紡糸で捨て糸Gを構成することが望ましい。
【0097】
なお、必ずしも上記のように捨て糸Gの略逆「ハ」字形状の目印パターンの頂点近傍に存在する編み目を目刺しすべき編み目αとして設定する必要はない。例えば、反対方向から目刺しする場合には、目印パターンの頂点の真上部分にパターンウィンドウWaを合わせて目刺しすべき編み目α’を設定することもできる(図48参照)。要は、目印パターンを手掛かりとして、目刺しすべき編み目αの位置を特定できればよい。
【0098】
上記のように、目印パターンを形成する捨て糸Gとして、通常の糸を用いるのでなく、所定の樹脂溶液中に漬け込むことによってある程度硬化させておいた糸を用いると、目印パターンにある程度の定型性を付与することが可能となり、通常の糸を用いた場合に比べて輪郭がシャープに現れるとともに、潰れや伸びに起因して各目印パターン間の形状がまちまちとなることを最小限に抑えることができる。この結果、撮像カメラ551による認識率を飛躍的に高めることができる。捨て糸Gの色としては、上記のように編地Fの反対色に限られるものではなく、編地Fから明瞭に区別できるのであれば他の色を選択してもよい。
【0099】
さらに、捨て糸Gとして、蛍光塗料と樹脂とを溶かした溶液中に漬け込んだものを選定し、捨て糸Gを編み込んで目印パターンを形成するとともに、ブラックライトで目印パターンを照らすようにしてもよい。このように、蛍光塗料を含んだ捨て糸Gからなる目印パターンをブラックライトで照らせば、目印パターンが発光して輪郭が極めてクリアに現れるため、撮像カメラ551による認識率を高めることができる。
【0100】
図50は、本実施例に係るリンキング目刺し装置の目刺しドラムユニット20,編地ケースユニット30および編地調整ユニット50をリンキング装置1000に搭載して、目刺し針203に目刺しされた編地Fの目刺しすべき編み目αを目刺し針203からリンキング装置1000のリンキング針1020に1目ずつ移し替えるようにする構成を示している。なお、リンキング装置1000の構成については、すでに公知であるので、詳しい説明を省略する(前記非特許文献1参照)。
【0101】
図51は、図50中の目刺しドラムユニット20の目刺し針203からリンキング装置1000のリンキング針1020に編地Fの編み目を1目ずつ移し替える様子を示す要部拡大図である。
【0102】
このような構成によれば、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺しドラムユニット20の目刺し針203に目刺しされた後に、目刺し針203からリンキング装置1000のリンキング針1020に1目ずつ移し替えられるので、編地Fの目刺しすべき編み目αが目刺し針203に目刺しされたドラムユニット20をリンキング装置1000に改めて装着する必要がないという利点がある。
【0103】
本実施例に係るリンキング目刺し装置を用いれば、撮像カメラ551やモーションコントロールボード800,画像処理用PC600,左横ずれ調整用モータユニット520Aおよび右横ずれ調整用モータユニット520Bの働きによって、自動的に目刺しすべき編み目αを撮像して正確に目刺しを行えるため、従来のように人の眼で編地Fの編み目1つ1つを視認し目刺し針群の目刺し針203に目刺しさせる必要がなく、編地Fの目刺し作業を自動化できる。しかも、目印パターンとして編み込まれる捨て糸Gは、文字通り目刺し完了後に抜き取られるため、編地F本来の編み目パターンとは無関係に、ただ撮像カメラ551による画像認識の容易さのみを念頭において編成できる利点を備えている。このため、編地Fの本編み部分F06はデザイン上の制約を一切受けることなく、複雑な組織編成(ゴム編みやパール編み,多数の表目と裏目との組み合わせ等)を備えた付加価値の高いものとすることができる。
【0104】
本実施例に係るリンキング目刺し装置によれば、予め記憶手段内に記憶させておいた目刺しすべき編み目αを指し示す目印パターンの画像データと、撮像カメラ551により撮像された編地Fの画像に基づいて目刺しすべき編み目αが存在する座標を算出し、算出結果に基づいて編地Fを目刺し位置に移動させ、目刺し位置の目刺しすべき編み目αを目刺し針203により自動的に目刺しさせるように構成しているので、目印パターンによって目刺しすべき編み目αを特定するように運用すれば、従来のように人の眼で編地Fの目刺しすべき編み目α1つ1つを視認し目刺し針群の目刺し針203に目刺しさせることなく、目刺し作業の自動化を実現できる。
【0105】
また、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bが設けられているため、伸縮性に富んだ編地Fの移動調整が容易となる。
【0106】
さらに、左ボールローラ511Aおよび右ボールローラ511Bによって必要な長さまで引き伸ばされた編地Fを編地進行方向Xに移動調整する左送りローラ549Cおよび右送りローラ549Dが設けられているため、自動目刺し作業の実行中に編地Fが位置ずれを起こすことをより有効に防止できる。
【0107】
以上、本発明の実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0108】
例えば、上記実施例では、目刺し針群保持部材を目刺しドラムユニットとして目刺し針群をリング状に配置した場合について説明したが、目刺し針群保持部材を平板体としても同様に、編地の編み目に目刺し針群の目刺し針を連続的に目刺しする目刺し作業を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施例に係るリンキング目刺し装置を示す斜視図。
【図2】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す右側面図。
【図3】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す背面図。
【図4】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す左側面図。
【図5】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す平面図。
【図6】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す前面図。
【図7】本実施例に係るリンキング目刺し装置を示す底面図。
【図8】目刺しドラムユニットの回転駆動系を取り出して示す要部斜視図。
【図9】目刺しドラムユニットの構成を示す右側斜視図。
【図10】目刺しドラムユニットの構成を示す左側斜視図。
【図11】目刺しドラムユニットの構成を示す一部削除左側面図。
【図12】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す斜視図。
【図13】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す右側面図。
【図14】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す背面図。
【図15】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す左側面図。
【図16】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す平面図。
【図17】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す前面図。
【図18】編地ケースユニットおよび目刺しドラムユニットを示す底面図。
【図19】編地セット板の配置構成を示す要部斜視図。
【図20】編地調整ユニットを示す斜視図。
【図21】編地調整ユニットを示す右側面図。
【図22】編地調整ユニットを示す右側断面図。
【図23】編地調整ユニットを示す背面図。
【図24】編地調整ユニットを示す左側面図。
【図25】編地調整ユニットを示す平面図。
【図26】編地調整ユニットを示す前面図。
【図27】編地調整ユニットを示す底面図。
【図28】編地調整ユニットの各ユニット群の配置関係を示す要部平面図。
【図29】編地調整ユニットのローラ群の配置関係を示す模式図。
【図30】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す斜視図。
【図31】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す右側面図。
【図32】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す背面図。
【図33】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す平面図。
【図34】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す前面図。
【図35】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す底面図。
【図36】編地ケースユニット,目刺しドラムユニットおよび編地調整ユニットを示す底面図。
【図37】撮像カメラ,装置間の接続関係を説明するブロック図。
【図38】モーションコントロールボードの構成を示す回路ブロック図。
【図39】編地調整処理を示すフローチャート。
【図40】図39中のボールローラ左移動調整ステップの詳細を示すフローチャート。
【図41】図39中のボールローラ右移動調整ステップの詳細を示すフローチャート。
【図42】図39中のボールローラ前移動調整ステップの詳細を示すフローチャート。
【図43】図39中のボールローラ後移動調整ステップの詳細を示すフローチャート。
【図44】(a)〜(g)はローラ群の移動調整を説明する図。
【図45】編地を示す平面図。
【図46】図45中の編地の拡大図。
【図47】図45中の編地に捨て糸を編み込んで目印パターンを形成した状態を示す平面図。
【図48】図45中の編地に捨て糸を編み込んで目印パターンを形成した状態を示す拡大図。
【図49】図45中の編地から目印パターンを除去した状態を示す拡大図。
【図50】本実施例に係るリンキング目刺し装置の要部を搭載したリンキング装置を示す斜視図。
【図51】本実施例に係るリンキング目刺し装置とリンキング装置との間での編地の編み目の移し替えの様子を示す要部拡大図。
【符号の説明】
【0110】
10 ベースユニット
20 目刺しドラムユニット
30 編地ケースユニット
50 編地調整ユニット
101 ベースプレート
102 前側サイドプレート
103 中程サイドプレート
104 プーリボックスプレート
105 アセンブリガイドプレート
106 ガイド上固定プレート
110 目刺しドラム回転用モータ
111 出力プーリ
112 タイミングプーリ
113 タイミングドラム接続ギア軸
114 ドラム接続ギア
201 目刺しドラムギア
202 目刺しドラムホルダ
203 目刺し針
301 編地ケース
301a 切欠溝
302 編地セット板
315 セット板レバー
501 調整ユニット基板
502 軸受部材
503 固定シャフト
510A 左ボールローラユニット
510B 右ボールローラユニット
511A 左ボールローラ
511B 右ボールローラ
512A 左ボールローラケース
512B 右ボールローラケース
514A 左ボールローラキャップ
514B 右ボールローラキャップ
520A 左横ずれ調整用モータユニット(駆動モータユニット)
520B 右横ずれ調整用モータユニット(駆動モータユニット)
521A 左横ずれ調整用モータ
521B 右横ずれ調整用モータ
525A,左横ずれ調整用補助ローラ
525B 左横ずれ調整用補助ローラ
530A 左進行調整用モータユニット(駆動モータユニット)
530B 右進行調整用モータユニット(駆動モータユニット)
531A 左進行調整用モータ
531B 右進行調整用モータ
535A 左進行調整用補助ローラ
535B 右進行調整用補助ローラ
540C 左送り調整用モータユニット(駆動モータユニット)
540D 右送り調整用モータユニット(駆動モータユニット)
541C 左送り調整用モータ
541D 右送り調整用モータ
549C 左送りローラ
549D 右送りローラ
553 ガラス板
553a スリット
553b 左送りローラ窓
553c 右送りローラ窓
800 モーションコントロールボード
901〜907 モータドライバ
S101 編地位置確認ステップ
S102 編地進行方向送りステップ
S103 右ずれ判断ステップ
S104 ボールローラ左移動調整ステップ
S105 左ずれ判断ステップ
S106 ボールローラ右移動調整ステップ
S107 編み目ピッチ狭い判断ステップ
S108 ボールローラまたは送りローラ順方向移動調整ステップ
S109 編み目ピッチ広い判断ステップ
S110 ボールローラまたは送りローラ逆方向移動調整ステップ
α 目刺しすべき編み目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数本の目刺し針が所定間隔毎に列設された目刺し針群を含む目刺し針群保持部材と、
前記目刺し針群の一部が載置面に突出するように前記目刺し針群保持部材を配置する切欠溝が形成された編地ケースユニットと、
前記切欠溝に間隙を介して対向するように配置され、編地を撮像する撮像手段,前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段,前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラ,および前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットを含む編地調整ユニットと
を備えることを特徴とするリンキング目刺し装置。
【請求項2】
多数本の目刺し針が所定間隔毎に径方向に向けて突設された目刺し針群を含む目刺しドラムユニットと、
前記目刺し針群の一部が載置面に突出するように前記目刺しドラムユニットを配置する切欠溝が形成された編地ケースユニットと、
前記切欠溝に間隙を介して対向するように配置され、編地を撮像する撮像手段,前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段,前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラ,および前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットを含む編地調整ユニットと
を備えることを特徴とするリンキング目刺し装置。
【請求項3】
前記目刺しドラムユニットが、目刺しドラム回転用モータにより回転される請求項2に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項4】
前記編地ケースユニットが、載置面にセットされた編地を挟んで前記編地調整ユニットに圧接する編地セット板を前記切欠溝の近傍に備えている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項5】
前記ボールローラが左右一対設けられていて、左ボールローラおよび右ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する4つの駆動モータユニットが設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項6】
前記4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータおよび該左横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左横ずれ調整用補助ローラを含む左横ずれ調整用モータユニットと、右横ずれ調整用モータおよび該右横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右横ずれ調整用補助ローラを含む右横ずれ調整用モータユニットと、左進行調整用モータおよび該左進行調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左進行調整用補助ローラを含む左進行調整用モータユニットと、右進行調整用モータおよび該右進行調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右進行調整用補助ローラを含む右進行調整用モータユニットとからなる請求項5に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項7】
前記編地調整ユニットが、前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地を編地進行方向に送る送りローラを含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項8】
前記送りローラが左右一対設けられていて、左送りローラおよび右送りローラを編地進行方向に回転駆動する2つの駆動モータユニットが設けられている請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項9】
前記2つの駆動モータユニットが、左送り調整用モータおよび該左送り調整用モータにより回転駆動され前記左送りローラに転接された左送り調整用補助ローラを含む左送り調整用モータユニットと、右送り調整用モータおよび該右送り調整用モータにより回転駆動され前記右送りローラに転接された右送り調整用補助ローラを含む右送り調整用モータユニットとからなる請求項8に記載のリンキング目刺し装置。
【請求項10】
編地を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された編地の画像を画像処理する画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するボールローラと、
前記ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する複数の駆動モータユニットと
を備えることを特徴とする編地調整ユニット。
【請求項11】
前記ボールローラが左右一対設けられていて、左ボールローラおよび右ボールローラを編地進行方向および編地横ずれ方向に回転駆動する4つの駆動モータユニットが設けられている請求項10に記載の編地調整ユニット。
【請求項12】
前記4つの駆動モータユニットが、左横ずれ調整用モータおよび該左横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左横ずれ調整用補助ローラを含む左横ずれ調整用モータユニットと、右横ずれ調整用モータおよび該右横ずれ調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右横ずれ調整用補助ローラを含む右横ずれ調整用モータユニットと、左進行調整用モータおよび該左進行調整用モータにより回転駆動され前記左ボールローラに転接された左進行調整用補助ローラを含む左進行調整用モータユニットと、右進行調整用モータおよび該右進行調整用モータにより回転駆動され前記右ボールローラに転接された右進行調整用補助ローラを含む右進行調整用モータユニットとからなる請求項11に記載の編地調整ユニット。
【請求項13】
前記画像処理手段により画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地を編地進行方向に送る送りローラを含む請求項10ないし12のいずれか1項に記載の編地調整ユニット。
【請求項14】
前記送りローラが左右一対設けられていて、左送りローラおよび右送りローラを編地進行方向に回転駆動する2つの駆動モータユニットが設けられている請求項10ないし13のいずれか1項に記載の編地調整ユニット。
【請求項15】
前記2つの駆動モータユニットが、左送り調整用モータおよび該左送り調整用モータにより回転駆動され前記左送りローラに転接された左送り調整用補助ローラを含む左送り調整用モータユニットと、右送り調整用モータおよび該右送り調整用モータにより回転駆動され前記右送りローラに転接された右送り調整用補助ローラを含む右送り調整用モータユニットとからなる請求項14に記載の編地調整ユニット。
【請求項16】
編地進行方向に移動する目刺し針群の目刺し針を編地の編み目に連続的に目刺しするリンキング目刺し方法において、
撮像手段により編地を撮像するステップと、
画像処理手段により撮像された編地の画像を画像処理するステップと、
ボールローラを含む編地調整ユニットにより前記画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するステップと
を含むことを特徴とするリンキング目刺し方法。
【請求項17】
撮像手段により編地を撮像するステップと、
画像処理手段により撮像された編地の画像を画像処理するステップと、
ボールローラを含む編地調整ユニットにより前記画像処理された編地の編み目の位置に基づいて編み目が目刺し針に目刺しされるように編地の位置を調整するステップと
を含むことを特徴とする編地調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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