説明

リンクされた等価セルヘッダに基づいてアドホックネットワークを組織する手法およびプロトコル

移動アドホックネットワークを確立および維持することが提供される。アドホックネットワークは、リンクされた等価セルネットワークを形成する互いに通信可能にリンクされる複数の等価セルを含む。等価セルヘッダが各等価セルを管理する。さらに、等価セルネットワーク全体にわたって散在するレギュラーノードも設けることができる。レギュラーノードは、等価セルヘッダに比べて、通信特権に制約がある。しかしながら、等価セルネットワークによって要求されるのに応じて、等価セルヘッダをレギュラーノードに降格させ、レギュラーノードを等価セルヘッダに昇格させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は移動環境における通信のためのアドホック無線ネットワークに関する。より具体的には、本発明は、ほぼ瞬時に通信を行うために、移動デバイス間にアドホック無線ネットワークを確立するとともに維持することに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国特許法第119条に基づいて、2005年11月22日にWai Chen他によって出願された“Linked Equivalent Cell Header-based Approach and Protocol for organizing an Ad-Hoc Network”と題する米国特許出願第11/284,731号からの優先権を主張し、また2005年11月22日にShengwei Cai他によって出願された“Group-Header Based Method to Organize Local Peer Group of Vehicles for Inter-Vehicle
Communication”と題する米国特許出願第11/285,593号に関連し、それらの特許出願はそれぞれ参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
無線ホームネットワーク、無線オフィスネットワークや、ローカルカフェ、ファーストフードチェーンまたはホテルにおけるいわゆる「ホットスポット」ネットワーク、さらには都市全体でWiFi技術を実施することのいずれにしても、無線技術は、今日の生活のあらゆる面において普及してきている。社会においてこのように無線を推し進める目的は、情報を入手しやすくすること、および、コンピュータネットワーク、特にインターネットを広く受け入れるとともに利用することによって社会全体が享受してきた生産性をさらに高めることである。802.11a/b/gのような無線ネットワーキング技術によって、WiFi機能を搭載したデバイスが、通信線のような制約を受けることなく、標準的な有線ネットワーク内に存在するかのように互いに接続できるようになる。ネットワーク通信エリア内であれば物理的な場所に関係なく、人々は自由に、ネットワークに接続された状態を維持することができる。
【0004】
このような無線での接続性を向上させる流れの中にあって、日常生活の一領域は立ち遅れている。アメリカの道路および高速道路は、衛星測位システムや携帯電話システム以外の無線技術に関して、ほとんど手付かずのままである。しかしながら、アメリカの道路において無線ネットワーク技術を実施することには数多くの利点がある。最も注目すべきものの中には、交通情報、アンバーアラート、気象注意報等があり、それらの情報は影響がある全ての車両に即座に中継することができる。
【0005】
さらに、自動車を互いにネットワーク化することによって、近くの他の車両に影響がある車両情報を中継できるようになる。たとえば、自動車が突然ブレーキをかけることがある。この動作を、ブレーキをかけている自動車の後方にいる全ての車両に瞬時に報告することができ、それにより、他の車両のドライバが差し迫った状況に陥る前に、必要な措置を講じることができるようになる。この特徴が、交通事故および交通渋滞を緩和するために意味があることは明らかである。このタイプの無線ネットワーキングは、限定はしないが、緊急道路障害物警告、交差点での協調、隠れた車道に関する警告、車線変更または合流の支援を含む、車両安全アプリケーションの数多くの面において現われる可能性がある。
【0006】
車両安全通信(「VSC」)は、車車間通信とインフラストラクチャを介した車両通信とに大きく分けることができる。車車間通信では、固定されたインフラストラクチャからの支援を受けることなく、車両同士が通信する。車両が互いの無線範囲内にいるとき、または他の車両を介してマルチホップ中継できるときに、車両同士が通信する。インフラストラクチャを介した車両通信では、路側無線アクセスポイントのようなインフラストラクチャの支援を受けて、車両同士が通信する。この場合に、車両はインフラストラクチャだけと通信することもできる。
【0007】
重要なVSC性能要件には、衝突回避のような種々のVSCアプリケーションを支援するために、遅延時間が短いこと(約100ミリ秒)、およびスループットを維持すること(別の言い方をすると、近くにいる車両が警告メッセージを受信するのに成功するパーセンテージ)が含まれる。
【0008】
単に、移動する車両に無線アンテナを取り付けて、その後、協調性なく通信を行うだけでは、これらの要件を満足できないであろう。具体的には、無線帯域幅が限られているため、協調性なくデータを伝送することによって、通信電波が複数のメッセージで溢れることになり、無線波の妨害が生じるであろう。
【0009】
その場合に、これらの車両は、互いの伝送を妨害することになり、伝送用の無線帯域幅を得るために互いに競合することになる。さらに、所望の伝送方向を考慮することなく、全てのメッセージが全ての方向に伝搬することになる。
【0010】
さらに、各車両が他の車両のネットワーク構成と整合しないであろう。移動度が高く、また固有の関係がないので、車両を事前に車両グループとして構成することは難しい(すなわち、どの車両も、あらかじめその近くにいる車両について何も知らない)。車両間安全通信を構築するために必要とされる全ての情報を車両間で概ねリアルタイムに交換しなければならず、また、グループ内の車両は概ねリアルタイムに自らを構成して安全通信を行えるようにする必要がある。協調しない車両の移動度が高いと、近くにいる車両や車両グループが頻繁に変化し、車両グループ内でサポートサーバ(移動度、アドレス、名前、メディアセッションのための)を用いることが難しいことを示す。これらの重大な違いのせいで、既存のアドホックネットワーキング技術を、安全通信のために車両グループに直に適用できない。
【0011】
ホットスポットのような他の場所で利用されるWiFi方法を用いることは、通信エリア、データトラフィック量、遅延時間の問題のために実用的ではない。大都市の通常のラッシュアワーの通勤は、3車線の高速道路の1200メートル長当たりの車両が600台にもなるという車両密度を生じる可能性がある。さらに、これらの車両は全て、時速30〜60マイルの速度で個々の通信エリアを通り抜けていく。たいていの無線システムは、ネットワーク内でそのような大きな変化率を取り扱うだけの能力がない。
【0012】
具体的には、車両が通信エリアに入るときに、無線アクセスポイントやルータによって識別されるとともに構成命令を受ける必要がある。車両が通信エリアを出るときは、無線アクセスポイントやルータは、レコードを更新して、ネットワークからその車両を削除する必要がある。したがって、特定の通信エリアを車両が通り抜ける速さによって、情報更新の頻度、すなわち無線アクセスポイントやルータによって送信され、その範囲内の全ての車両によって応答されるべきハンドシェーキング要件が決定される。これら全ての車両が情報を同時に送信すると、すぐにシステムの容量を超えてしまう。
【0013】
車車間通信ネットワークを確立するために、いくつかの試みがなされてきた。たとえば、FleetNetおよびCarTalk2000はいずれも、車車間通信ネットワーク
を構築する。これらのシステムはいずれも、位置情報を得るために、各車両内でGPSシステムを使用する。FleetNetは、「アドホック」ネットワークのためのインフラストラクチャとして固定ノードおよび移動ノードの両方を使用する。固定ノードは、サーバルータやゲートウエイルータやクライアントサーバルータとしての役割を果たす。このように複数の固定ノードを用いると、インフラストラクチャを設置、維持、管理するためにかなりの財務費および間接費が生じる。さらに、FleetNetシステムは、位置に基づくルーティングおよび位置認識を用いる。具体的には、実施される通信プロトコルにおいて、それらのシステムのための重要要素として、位置データが決定的な役割を果たす。
【0014】
CarTalk2000も位置に基づくプロトコルを用いる。CarTalk2000による車車間システムに参加する各車両は、常に現在位置を検出するために、GPSデバイスを搭載していなければならない。さらに、CarTalk2000は、トポロジカル情報ルーティングや、手続き型ルーティング、あるいはアドホック・オンデマンド・ディスタンス・ベクター型プロトコル、ダイナミック・ソース・ルーティング、ハイブリッド・ルーティングなどのリアクティブルーティングのような複数の異なるルーティングプロトコルを用いる。これらのプロトコルはそれぞれ、複雑な別個のプロトコルルールを用いる。
【0015】
CarTalk2000システムの主な欠点は、近くにあるノードを発見することが、データ転送量を著しく増やすことである。各ノードが、周期的にビーコンを送信して、その存在を近くの車両に対して通知する。トラフィックが高いエリアでは、この結果として、ビーコンメッセージが衝突する可能性がある。
【0016】
しかしながら、これらのGPSネットワークは大きな欠点を有する。移動度の高い車両環境では、GPS情報はすぐに有効でなくなる。GPS位置ルーティングを実行するために、車両間で絶えず変化するGPS情報を交換すると、過大なプロトコルオーバーヘッドや無線帯域幅の無駄が生じる。結果として、そのようなGPS位置ルーティング技術は、最低限の通信遅延時間やマルチホップスループットの維持を達成することはできない。
【0017】
したがって、過度の帯域幅や著しいプロトコルオーバーヘッドを必要とすることなく、最低限の通信遅延時間やマルチホップスループットの維持を達成しながら、過酷なVSC性能要件を達成することができるアドホックネットワークを構成することが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
[発明の概要]
本発明の目的は、複数の移動デバイスをグループ化して、ローカルピアグループ(「LPG」)のような1つの管理グループにし、メッセージ伝送を連携および中継し、メッセージ伝搬の範囲および方向を制御することによって、移動デバイス間通信に適した通信境界を創出することである。
【0019】
さらに、本発明の目的は、ローカルピアグループを確立するための簡単なプロトコル、およびグループ内とグループ間の両方においてノード間でデータを伝送するためのプロトコルを提供することである。
【0020】
さらに、本発明の目的は、ネットワークの少なくともいくつかのメンバが、ネットワークの他のメンバに対する、ネットワーク内での位置を認識する順序付きネットワークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明により、複数の移動無線デバイス間に移動アドホックネットワークを確立および維持する方法が提供される。本方法は、複数の移動無線デバイスのうちの第1のデバイスを第1の等価セルヘッダ(ECH)として動作させるステップを含む。この第1のECHは、第1の等価セル(EC)を確立する。この第1のECは第1のECHの無線通信範囲のエリア内に中心があり、かつエリアの一部を占めるような大きさで形成される。ECはECHによって管理される。
【0022】
さらに、第1のECHからECH情報(ECH_HELLO)メッセージを送信するステップが提供される。ECH_HELLOメッセージは、複数の移動無線デバイスのうちの1つのデバイスが第1のECHであることを通知する。ECH_HELLOメッセージ送信は、各ECHが他のECHとは異なる間隔を有するようにランダムに定められた一定の間隔で行われる。
【0023】
さらに別のステップは、少なくとも第2のECHとして動作している少なくとも第2の移動無線デバイスから送信される少なくとも第2のECH_HELLOメッセージを第1の無線デバイスによって受信すること、および、第2のECHが受信された唯一の他のECH_HELLOメッセージである場合、または受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージがリンクされていないECHノードに属する場合には、第1のECHノードと第2のECHノードとの間にリンクされた等価セルネットワークを形成することを提供する。しかしながら、受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージが統合された一連のリンクされたECHノードに属する場合には、第1のデバイスは、リンクされた等価セルネットワーク内のレギュラーノードとして動作する。レギュラーノードは、リンクされた等価セルネットワークの一部であるが、ECHと比べて通信特権に制約がある。
【0024】
さらに、等価セルネットワークに属するECHの移動度を検出するステップと、所定の選択判定基準に基づいて新たなECHを選択するステップとが提供される。ECH選択は、レギュラーノードをECHに選択的に昇格させることによって実行される。そのレギュラーノードは、移動度を検出されたECHによって管理される等価セルに対するそのレギュラーノードの位置に基づいて選択される。移動度は、新たなECHがECネットワークに参加すること、リンクされたECHがECネットワークを出ること、および、リンクされたECHが同じECネットワークの別のECHによって管理されるEC内に移動することを含む。
【0025】
複数の移動デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステムも提供される。そのシステムは、複数の移動無線デバイスのうちの第1のデバイスを第1の等価セルヘッダ(ECH)として動作させる手段を含む。第1のECHは第1の等価セル(EC)を確立する。第1のECは、第1のECHの無線通信範囲のエリア内に中心があり、そのエリアの一部を占めるような大きさで形成される。ECはECHによって管理される。
【0026】
さらに、第1のECHからECH情報(ECH_HELLO)メッセージを送信する手段が提供される。ECH_HELLOメッセージは、複数の移動無線デバイスのうちの1つのデバイスが第1のECHであることを通知する。ECH_HELLOメッセージ送信は、各ECHが他のECHノードとは異なる間隔を有するようにランダムに定められた一定の間隔で行われる。
【0027】
さらに別の手段は、少なくとも第2のECHとして動作している少なくとも第2の移動無線デバイスから送信される少なくとも第2のECH_HELLOメッセージを第1の無線デバイスによって受信すること、および、第2のECHが受信された唯一の他のECH
_HELLOメッセージである場合、または受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージがリンクされていないECHノードに属する場合には、第1のECHノードと第2のECHノードとの間にリンクされた等価セルネットワークを構成することを提供する。しかしながら、2つ以上の受信されたECH_HELLOメッセージが統合された一連のリンクされたECHノードに属する場合には、第1のデバイスは、リンクされた等価セルネットワーク内のレギュラーノードとして動作する。レギュラーノードは、リンクされた等価セルネットワークの一部であるが、ECHに比べると通信特権に制約がある。
【0028】
さらに、等価セルネットワークに属するECHの移動度を検出する手段と、所定の選択判定基準に基づいて新たなECHを選択するための手段が提供される。
【0029】
本発明のこれらの、さらには別の特徴、態様および利点は、以下に記述される詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面との関連で、さらに深く理解されるようになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[発明の詳細な説明]
本発明によれば、複数のノードすなわち移動デバイスが管理しやすいグループに編成される。これらのグループを用いて、ノード間のデータ伝送が調整される。グループは、近くにあるノードの相対的な位置に基づいて構築される。このグループ化すなわちローカルピアグループ(「LPG」)は、1つのLPG内や複数のLPG間でのルーティングの基礎および本発明によるアドホック無線ネットワーク内における伝送の組織化の基礎となり、限定はしないが、車両安全や情報アプリケーションを含む、無線通信を支援する。
【0031】
LPGの目的は、近くにあるノード間での種々の程度の連携を確立することである。これら近くにあるノードは、無線通信の能力を備える移動デバイスである。移動デバイスの実施形態は、車両内に設置されたり車両内に個別に持ち込まれたりする通信デバイスを備える車両や、通信デバイスを携帯した歩行者を含む。好ましい実施形態は、固有の通信デバイスを備える移動車両である。しかしながら、携帯電話、PDA、ノートパソコン等を含む他の通信デバイスも本発明の一部として用いることができ、唯一の必要条件は、その通信デバイスが、開示される実施形態の適当な動作のために必要な無線通信プロトコルに対応していることである。
【0032】
連携の程度には、2つのタイプがある。第1のタイプは直ぐ近くにある移動デバイスの密な連携であり、概ね瞬時のメッセージ伝送の支援に利用されるLPG内通信のために用いられる。たとえば、緊急道路障害物警告や他のタイプの緊急メッセージまたは安全メッセージの送信は、LPG内メッセージ伝送を用いて実行される。これらのメッセージでは、遅延が通常約100ms以下であることが要求される。
【0033】
第2のタイプは、近くにある移動デバイスの疎な連携である。このタイプの連携は、リンクまたは相互接続されているLPGの間のLPG間通信を支援するために用いられる。たとえば、LPG間通信は、道路認識アプリケーションや、ドライバの視界拡張のために用いることができる。
【0034】
LPGは、直ぐ近くにある複数のノードから動的に形成される。具体的には、第1のノードが無線信号を送信し、第1のノードの範囲内にある他のノードが、その無線信号を受信する能力を有する。LPGは無線通信エリアに基づいて形成されるので、LPG内のノードは、固定インフラストラクチャなしに、シングルホップまたはマルチホップで互いに通信することができる。
【0035】
[用語集]
さらに説明を続ける前に、本開示を通して共通に用いられるいくつかの重要な用語を定義する必要がある。
【0036】
用語「等価セル(equivalent cell)」(ECとも呼ばれる)は、無線通信エリアの一
部を指している。ECは、等価セルネットワークの基本編成構造を形成する。
【0037】
用語「等価セルヘッダ(equivalent cell header)」(ECHとも呼ばれる)は、等価セルを定義、維持および管理するノードを指している。ECHはリンクされていなくても、リンクされていてもよい。リンクされたECネットワークでは、メンバECHノードが、ネットワーク内通信バックボーンを提供する。ネットワーク内の全てのメッセージは、宛先に到着するまで、ECH間で送信される。
【0038】
用語「レギュラーノード(regular nodes)」は、リンクされたECネットワークのメ
ンバノードを指す。レギュラーノードは、ネットワーク内での通信特権に制約がある。レギュラーノードは、ある特定の状況下において、ECHになることができる。レギュラーノードとECHとの違いは機能的な違いだけである。構造的には、いずれのノードタイプも同じであるものの、特定の機能が、特定の時点におけるノードタイプに応じて、その時点で実行できたり実行できなかったりする。
【0039】
用語「リンクされた(linked)」は、2つ以上のECHがシングルホップまたはマルチホップで互いに無線通信していることを指している。リンクされたECH(またはリンクされたEC)ネットワークは、ECHノードに関連付けられた、シングルホップの通信範囲内にあるレギュラーノードを含むことができる。
【0040】
用語「リンクされていない(unlinked)」は、ECHが他のECHと無線通信していないことを指している。リンクされていないECHは、自ネットワークの唯一のメンバECHであり、関連付けられるレギュラーノードを持たない。
【0041】
用語「kのリンク度(linked degree of k)」は、2つのECHをリンクする無線ホップの数kを指している。たとえば、ECH AとECH Bが直にリンクされる場合には、リンク度は1(すなわちk=1)である。しかしながら、ECH AとECH Bが互いを検出することができ、かつECH BとECHCが互いを検出することができるが、ECH AとECH Cが互いを検出できない場合には、ECH AとECH Cとの間のリンク度は2(すなわちk=2)である。
【0042】
用語「区別されたECHノード(distinct ECH nodes)」は、同じ等価セルネットワークのメンバでないECHノードを指している。区別されたECHノードは、リンクされていないECHノードであっても、リンクされたECHノードであってもよいが、異なる等価セルネットワークに属している。
【0043】
用語「移動度(mobility)」は、リンクされたECネットワークに対するECHの動きを指している。より具体的には、移動度は、リンクされたECネットワークに入るECHの動き、メンバであるリンクされたECネットワークから出るECHの動き、またはあるECから別のECHによって管理される別のECに移るECHの動きを指している。
【0044】
[リンクされたECネットワークの形成]
図1を参照すると、本発明は、動的かつ自己組織的なローカルピアグループ、すなわちリンクされた等価セルネットワーク100を提供する。リンクされた等価セルネットワーク(L_EC)100の基本構成ブロックは、等価セルヘッダ(ECH)104aを中心
にした等価セル(EC)102aである。複数のEC102a、102b、102cが無線で互いにリンクし、L_EC100を形成する。これ以降、EC102a、102bおよび102cをまとめて符号102によって参照し、ECHノード104a、104bおよび104cをまとめて符号104によって参照する。
【0045】
ECH104aは、PDA、ノートパソコンまたは車両搭載コンピューティングデバイスのような、移動無線ネットワーキングデバイスである。ECH104aは、外側に向かって全方向に広がる無線通信エリア108を有する無線送受信機を備えている。図1に示されるように、無線通信エリア108は、定義されるEC102aのエリアよりもかなり大きい。図1は、3つのECノード102a、102bおよび102cを含む無線通信エリア108を示すが、これは例示にすぎず、唯一の構成と解釈されることを意図していないことに留意されたい。具体的には、定められた無線通信エリア内に、任意の数のEC102が存在するようにすることができる。しかしながら、本発明の説明を簡単にするために、ECHノードの無線通信エリア108は、これ以降、3つのECノード102を含む。
【0046】
ECHノード104は、L_EC100のネットワーキングバックボーンを提供する。具体的には、全てのEC間通信および制御データ送信は、ECHノード104によって実行される。さらに、ECHノード104aは、割り当てられたEC102aの動作パラメータを管理する。そのような動作パラメータは、メンバすなわちECHノード104bのEC102b内に位置するレギュラーノード106を追跡すること、ECノード104bと通信している他のECHノード104a、104cのリストを維持すること、およびL_EC100内でのその相対的な位置を含む。レギュラーノード106は、EC102内に配置される移動無線ネットワークデバイスである。任意の移動無線デバイスは、ECH104として、またはレギュラーノード106として動作することができる。
【0047】
図2を参照しながら、これ以降、アドホックネットワークの初期化および統合について説明する。ノード202、すなわち移動無線デバイスが、最初に、ECHとして動作し、自身が唯一のメンバであるリンクされていないEC204を確立する。ECH202は、第2のECH206からの送信を検出すると、ECH_HELLOメッセージで応答し、第2のECH206に識別情報を与える。検出された他のECHがECH206だけである場合には、その結果として、ECH202およびECH206を含むリンクされたEC210になる。したがって、これら2つのECH202および206は、EC204およびEC208を含むネットワークを形成する、すなわち既に確立されているネットワークを拡張する。さらに、2つ以上のリンクされていないECHノードを検出するリンクされていないECHは、その2つ以上のリンクされていないECHノードとネットワークを形成し、全ての検出されたECHノードを含むリンクされたECが構成される。
【0048】
リンクされたEC210にさらに別のリンクされていないECHノードが出合うと、そのノードは、さらなるリンクされたECHまたはレギュラーノードのいずれかとして、増大しているリンクされたECに組み込まれる。具体的には、リンクされていないECHノードが、互いにリンクされている2つのECHノードを検出すると、レギュラーノードになる。たとえば、図3では、リンクされていないECH302aは、レギュラーノード302bになる。これらの移動無線デバイスは、レギュラーノードとして、全L_EC100内でメッセージを送受信することができる。しかしながら、全てのメッセージはECHノード202および206を通してルーティングされ、レギュラーノード間で直にはルーティングされない。このようにして、帯域幅が節約される。
【0049】
別の方法では、図4に示されるように、リンクされていないECHノード402aが他のECH202を1つのみ検出する場合は、L_ECの一部であってもなくても、検出さ
れたECH202にリンクし、リンクされたEC404の長さを拡張してリンクされたECH402bになるであろう。
【0050】
レギュラーノードがただ1つのECHを検出する場合は、そのレギュラーノードはECHになり、そして、検出されたECHにリンクしてリンクされたECネットワークを形成する。さらに、レギュラーノードまたはリンクされていないECHは、自ノードが「リンカー」であると検出した場合には、リンクされたECHになる。
【0051】
リンカーは、複数の区別されたECHを検出するノード(レギュラーまたはECH)である。ここで、検出されたECHノードは同じECネットワークのメンバではない。これらの区別されたECHノードは、リンクされていないECHノード、異なるネットワークに属するリンクされたECHノード、またはその両方の組み合わせであり得る。
【0052】
レギュラーノードが自ノードをリンカーであると認識するとき、レギュラーノードは新たなECHになり、これら複数の区別されたECHを接続して、より大きな1つのネットワークを形成する。レギュラーノードは、あるECHノードがネットワークの一部であるか否かを、そのECHノードが属するリンクされたECネットワークのメンバECHノードのリスト(本明細書において、LECHリストと呼ばれる)を受信することによって検出する。LECHリストはECHメッセージに含まれる。レギュラーノードは、複数の区別されたECHノードのLECHリストをそれぞれ比較することによって、自ノードが「リンカー」であるか判定する。
【0053】
区別されたECHノードによって送信されるECHメッセージは、それらのリスト間で共有されるECHノードを持たない。すなわち、両方のリストにのるECHは存在しない。リンクされていないECHノードはそのネットワーク内の唯一のECHであるので、そのLECHリストは自ノードへの参照だけを含む。図5の例では、リンクされていないECH500は、3つのリンクされているECH501〜503からそれぞれECH_HELLOメッセージを受信する。ECH501はECH506とリンクしてリンクされたEC505を形成し、ECH502はECH507とリンクしてリンクされたEC510を形成し、ECH503はECH508とリンクしてリンクされたEC515を形成する。3つのECH_HELLOメッセージを受信すると、リンクされていないECH500は、2つ以上のECHリスト内に共通に列挙されるECHがあるか否かを判定する。この事例では、3つのリンクされるECHリストは共通のメンバを持たない。したがって、リンクされていないECH500は、自ノードが「リンカー」ノードであると判定し、これら3つの離ればなれの区別されたリンクEC505、510および515全てを1つにリンクし、1つのリンクされたネットワーク520を形成する。レギュラーノードも、そのノードが「リンカー」ノードであるか否かを判定するために、同様の評価を実行する。
【0054】
リンクされたECは、ECH_HELLOメッセージにおいて送信される制御メッセージを介して維持される。ECH_HELLOメッセージは、あらかじめ定義された間隔で、各ECHによって送信される。レギュラーノードはECH_HELLOメッセージを受信するだけで、応答はしない。レギュラーノードまたはリンクされたECHノードがECH_HELLOメッセージを受信するのに失敗すると、そのノードはリンクされていないECHになる。
【0055】
ECH_HELLOメッセージは、メッセージの発信元のIDと、発信元によって送信される現在のメッセージの番号を特定するシーケンス番号と、L_ECの第1の通信経路に沿って発信元が認識できるECHノードの第1のリスト(LECHリスト)と、L_ECの第2の通信経路に対する第2のLECHリストとを含むことが好ましい。付加的なLECHリストを提供してもよく、その場合、各LECHリストは、発信元ECHを中心と
したL_ECの1つのブランチ、すなわち通信経路、に沿って出合う全てのECHノードのECH IDを含む。さらに、ECH_HELLOメッセージは、タイムアウト値を含むこともできる。タイムアウト値は、現在のECH_HELLOメッセージの受信と次のECH_HELLOメッセージの受信との間の最長経過時間を他のECHノードおよびレギュラーノードに通知するものであり、それにより、特定のECHがリンクされたECネットワーク内に依然として存在するか否かを判定するための手段を提供する。
【0056】
各L_ECは、LPG_IDによって識別される。リンクされたECHノードのグループがL_ECを形成し、その際、LPG_IDを割り当てられる。L_EC内のリンクされるECHの数は、動作性能やネットワーク内の移動デバイス(すなわち、ノード)の台数または分布のような環境条件を考慮して柔軟に定義することができる。ECH_HELLOメッセージを通して、LPG_IDがメンバECHノードおよびレギュラーノードに通知される。このようにして、レギュラーノードは、現在どのL_ECに属しているかがわかる。
【0057】
LPG_IDは、個々のL_ECに割り当てられ、そのL_ECを識別する一意の識別子である。したがって、LPG_IDは、メンバECHノードのIDや他の識別情報の組み合わせのような、個々のL_ECに固有な特性に基づいて作成することができる。また、LPG_IDは、ランダムに生成されたコードであってもよい。そのような事例では、コードを形成するビット数または文字の数が、LPG_IDの固有性を決定する。コード長が長くなるほど、短いコード長よりもランダムに繰り返される可能性が小さくなる。
【0058】
[移動度検出およびECH選択]
本明細書において定義される移動度検出は、リンクされたECに出入りするECHの動き、および別のEC内に入るECHの動きを検出することを指している。レギュラーノードの動きはリンクされたECネットワークの動作に影響を及ぼさないが、ECHノードが動く結果として、リンクされたECネットワークの動作が非効率的になったり、またはリンクされたECネットワークが崩壊したりする可能性がある。移動によって、ECHノードが重複するECを有する可能性がある。その結果、あまりにも近くでメッセージが再送されることに起因して、ネットワークのそのエリアにおけるデータ伝送が非効率的になり、所定の長さのネットワークを伝搬するのにより長い時間がかかるようになる。それとは別に、移動は反対の影響を及ぼす可能性もあり、ECHノードの動きによって、2つのECHノードの無線通信範囲間に隙間が形成され、その隙間を越えてメッセージが伝搬できないので、基本的には、その結果として、その場所においてリンクされたECネットワークが崩壊する。
【0059】
リンクされたECネットワーク内の移動度を補正するために、移動度検出が必要とされる。移動度検出は、受動的または能動的に実行することができる。受動的な移動度検出法では、ECH_HELLOメッセージを用いて、ノードの移動度を検出する。具体的には、この方法では、ECHがネットワークから外れたことをその周囲にあるECHノードまたはレギュラーノードが検出するためには、あらかじめ設定された時間が経過することが必要である。
【0060】
全てのECHは自らのタイマーに基づいて動作し、各ECHはT秒毎にECH_HELLOメッセージを送信する。時間Tの間に、各ECHは(およびレギュラーノードも)、近くにあるECHノードからECH_HELLOメッセージを収集する。収集されたメッセージに基づいて、ECHは自身のLECHリストおよび送信するECH_HELLOメッセージを更新する。更新されたECHノードリストを維持するために、あるECHからECH_HELLOメッセージを受信せずに所定の時間が経過すると、ECHリストからそのECHを自動的に削除する。有効期限または所定の時間は、Tよりも長くなければな
らず、たとえば3Tである。この検出の速さは完全に、ECH_HELLOの時間Tによって決まる。あるECHからECH_HELLOメッセージが受信されると、タイマーはリセットまたはリスタートされる。タイマーを用いて、ECHリスト内の全てのECHについてのECH_HELLOメッセージを追跡する。
【0061】
しかしながら、そのリストは、所定の時間が経過した後にはじめて更新される。すなわち、リンクされたECネットワーク内にもはや存在しない古いECHが削除される。したがって、あるECHが送信範囲から既に移動しているが、それでもECHリスト内に列挙されている可能性がある。この受動的な方法では、結果として、メッセージ転送が途切れる可能性があり、L_ECネットワークの性能に影響を及ぼす。したがって、能動的な移動度検出法を用いて、ECH移動度のより迅速な検出および解決を提供することができる。
【0062】
能動的な移動度検出では、ECH_HELLOメッセージと組み合わせて、新たな制御メッセージM_DETECTが用いられる。これにより、短い時間、すなわちTよりも短い時間で移動度を検出することができる。M_DETECTメッセージは、発信者のIDと、移動した可能性のあるECH(mECH)、すなわち、その元の位置から離れているかまたはリンクされたECネットワークから出ているECHのIDとを含む。M_DETECTメッセージは、予期しないECH_HELLOメッセージを受信したECHによって送信される。M_DETECTメッセージは、発信者の1ホップ範囲内にあり、かつ送信側ECHまたはmECHのいずれかに関連付けられるECHおよびレギュラーノードの両方を対象とする。
【0063】
図6は、能動的な移動度検出方法のためのフローチャートを示す。この方法は、ステップ601において、レギュラーノード(RNa)がM_DETECTメッセージを受信するときに開始する。
【0064】
M_DETECTメッセージを受信すると、ステップ603において、そのレギュラーノードはECH選択を開始する。レギュラーノードのECH選択処理の第1のステップは、ステップ603において、タイマー(選択ランダムタイマー)をランダムな値(たとえば、0〜kの範囲の値、ただしkはT HELLO時間未満である)に設定することである。選択ランダムタイマーをランダムな時間に設定するのは、重複して選択が呼び出されるのを避けるためである。ステップ605において、選択ランダムタイマーが切れる場合には、ステップ611において、レギュラーノードがELECTION_QUERYメッセージを送信し、ステップ613において、第2のタイマーすなわちホールドタイマー(たとえば、4/T)を設定する。その後、レギュラーノードは、ステップ615において、近くにいるECHノードからELECTION_REPLYメッセージの形で応答を受信するのを待つ。近くにいるECHは、1ホップ送信距離内にいる、すなわち中継が不要なECHである。選択ランダムタイマーが依然として動作している他のレギュラーノードは、ELECTION_QUERYメッセージを受信すると、その選択ランダムタイマーを直ちに停止し、レギュラーノードとしてとどまる。
【0065】
同時に、ECHは、ELECTION_QUERYを受信すると、応答ランダムタイマー(たとえば、0〜hの範囲、ただしhは約4/T)のようなランダムタイマーを設定する。応答ランダムタイマーが経過する間、そのECHは他のECHノードからのELECTION_REPLYメッセージを待ち受ける。応答ランダムタイマーが切れると、そのECHは、発信者ID、クエリー発信元ID、および応答ランダムタイマーが経過する間にELECTION_REPLYメッセージを受信することによって検出された全てのECHノードのIDを含む、ELECTION_REPLYメッセージを作成し送信する。
【0066】
ホールドタイマーが切れる時点を判定するために、ホールドタイマーは監視される。ステップ617においてホールドタイマーが切れると、レギュラーノードは、ECHによって送信されたELECTION_REPLYメッセージを収集し、リンク状態を解析して、自ノードがECHになるべきか否かをステップ619において判定する。応答したECHノードが少なくとも2のリンク度でシリアルにリンクされているとステップ621において判定される場合には、ステップ609に進み自ノードはレギュラーノードにとどまる。応答したECHノードが1のリンク度の1つのリンクだけを形成するとステップ623において判定される場合には、処理はステップ625に進み、自ノードがELECTION_RE_QUERYメッセージを以前に送信しているか否かを判定する。ELECTION_RE_QUERYメッセージは、発信者ID、および以前のクエリーにおいて検出された全てのECHのIDを含む。
【0067】
そのレギュラーノードが以前にELECTION_RE_QUERYメッセージを送信していた場合には、処理はステップ609に進み、レギュラーノードとしてとどまる。しかしながら、そのレギュラーノードが以前にELECTION_RE_QUERYメッセージを送信していなかった場合には、収集された現在の情報に基づいては判断を下すことができないので、ステップ629においてELECTION_RE_QUERYメッセージを送信する。そのレギュラーノードがELECTION_RE_QUERYメッセージを送信した後に、処理はステップ613に進む。
【0068】
しかしながら、ステップ623の条件が満たされない場合には、ステップ627において、そのレギュラーノードは自らをECHと宣言し、新たなECH IDとして設定される発信者IDと、古いECH IDとを含むFRESHメッセージを送信する。こうして、FRESHメッセージの受信者は、古いECH IDの代わりに新しいECH IDが用いられることを通知されるので、それに応じて、FRESHメッセージの各受信者は、現在のLECHリストを更新する。
【0069】
ステップ629において、RNaがELECTION_RE_QUERYメッセージを
送信する場合に、その送信メッセージに応答して実行される手順を図7に示す。ステップ701では、レギュラーノード(RNb)が、RNaによって送信されるELECTION_RE_QUERYメッセージを受信する。RNbの近くに、このステップおよび以下に
記述される後続のステップを実行する複数のレギュラーノードが存在し得る。ステップ703では、RNbが、ELECTION_RE_QUERYメッセージにおいて列挙され
るECHノードの可視性を評価する。ステップ705に進むと、列挙されるECHノードのいずれもRNbが見えない場合には、ステップ707に進み、RNbは選択ランダムタイマーを設定する。選択ランダムタイマーが設定されたインターバル中に、RNbは、ステ
ップ709に示されるように、新たに選択されたECHノードによって送信されるELECTION_REPLYメッセージを受信するのを待ち受ける。RNbがELECTIO
N_REPLYメッセージを受信する前に、ステップ711において選択ランダムタイマーが切れる場合には、ステップ713においてRNbは自らをECHとして宣言する。ス
テップ715において、新たなECHはELECTION_REPLYメッセージを送信する。しかしながら、RNbの選択ランダムタイマーが切れる前に、ステップ709にお
いてELECTION_REPLYメッセージが受信される場合には、RNaはレギュラ
ーノードにとどまる。ステップ705に戻ると、ELECTION_RE_QUERYにおいて列挙される少なくとも1つのECHがRNbから見える場合には、RNbはレギュラーノードにとどまる。
【0070】
レギュラーノードがECHになった後に、FRESHメッセージを送信することによって、そのノードはリンクされたECネットワーク内の他のECHノードに、その状態変化を通知する。このメッセージによって、受信側のECHノードは、移動によって古くなっ
てしまったLECHリストを直ちに更新する。古いECHがFRESHメッセージを受信すると、その古いECHは自らをレギュラーノードに降格させる。
【0071】
好ましい実施形態では、受動的および能動的の両方の移動度検出が用いられるが、いずれかの検出方法を独立して用いることもできる。
【0072】
種々のタイマー、たとえば選択ランダムタイマー、ホールドタイマーおよびECH_HELLOメッセージタイマーの値はランダムにあらかじめ設定されるが、選択されるランダムな時間は、各機能の動作性能や動作の遅延要求を満足するように選択される。しかしながら、選択ランダムタイマーおよびホールドタイマーは、TをECH_HELLO周期として、1Tよりもはるかに小さい値を有することが好ましい。こうして、ECH選択動作は、1T以内にECHの移動に応答する。
【0073】
[リンクされたECネットワークの融合および分離]
2つ以上のリンクされたECネットワークが互いに極めて近接するとき、それらのリンクされたECネットワークは互いに融合することができる。しかしながら、リンクされたECネットワーク全体が他のリンクされたECネットワークに「融合する」のではなく、むしろ、近くにあるECHノードが互いにリンクする。具体的には、ECHノードは、互いに近づいていくと、ECH_HELLOメッセージを交換する。ECH_HELLOメッセージの交換を通して、それらのECHノードは、リンクされたECネットワークのID(LPG_ID)、メンバECHノードの識別情報、レギュラーノード、およびLPG内のECHノードの数のような、互いのリンクされたECネットワークに関する情報を得るであろう。
【0074】
融合するリンクされたECネットワークの結合したサイズが、所定の最大LPGサイズよりも小さい(または等しい)場合には、融合するリンクされたECネットワークは1つの大きなリンクされたECネットワークを形成する。隣接したECHノードが互いにリンクされるようになり、実効的には、全てのECHを結合して1つのネットワークが形成される。しかしながら、融合するリンクされたECネットワークの結合したサイズが所定の最大LPGサイズよりも大きい場合には、融合するリンクされたECネットワークは、2つの新たなリンクされたECネットワークを形成することになり、その新たなネットワークは、元の融合するリンクされたECネットワークとは、サイズおよびメンバECHノードが異なる。ECHノードの全数が所定の最大LPGサイズを超えなければ、任意の数のリンクされたECネットワークを融合することができる。
【0075】
所定の最大LPGサイズを超える場合には、リンクされたECネットワークは2つの新たなリンクされたECネットワークに分離することができる。しかしながら、そのようなリンクされたECネットワークの分離は比較的稀である。大体の場合には、リンクされたECネットワークは、所定の最大LPGサイズよりも少ない数のECHノードを含む。リンクされたECネットワークが、所定の最大LPGサイズよりも多くの数のECHノードを含む場合には、2つのリンクされたECネットワークに分離することになり、分離後のネットワークの個々のサイズは最大LPGサイズよりも小さい。
【0076】
ECHは、そのLECHリストから、リンクされたECネットワークの現在のサイズを入手することができる。LECHリスト内の各エントリは、ECH_IDおよび対応するLPG_IDを含む。あるECHが、そのLPGサイズが所定の最大LPGサイズよりも大きいことを検出する場合には、そのECHは、新たなLPG_IDと、その新たなLPG_IDのECHノードの構成を反映する新しいLECHリストとを含むFRESHメッセージを発行することによって、分離処理を呼び出すことができる。このメッセージを受信すると、新しいLECHリスト内に列挙されるECHノードは、新たなLPG_IDで
、自らのLPG_IDを更新する。
【0077】
リンクされたECネットワーク内のECHノードの最大数は、動作性能、無線データトラフィックの性能、道路上の車両の台数または分布のような道路環境を考慮して定義されかつ動作中に柔軟に制御されることが好ましい。たとえば、一般的に、ECHノードの数が少なくなると、無線帯域幅への負荷が小さくなり、無線帯域幅が十分に活用されないことを犠牲にはするが、(遅延時間が短くなるという点で)性能が向上するようになる。対照的に、ECHノードの数が増えると、負荷が大きくなる傾向があり、ベストエフォートのアプリケーションにより適している。
【0078】
あるECHが有するLECHリスト内のECHノードの相対的な位置は、他のECHノードが有するLECHリスト内のものと一致する。したがって、LECHリストのサイズが十分に長い場合(〜2*リンクされたECネットワーク内のECHノードの最大数)、各ECHは、LECHリストによって、特定のリンクされたECネットワークについて、どのECHが先頭および末端ECHであるかがわかる。また、リンクされたECネットワークが分離する場合には、ECHノードは、どのECHがリンクされたECネットワーク分離を呼び出すべきであるかを予想することができる。たとえば、最大数+1に配置されるECHを、リンクされたECネットワーク分離を呼び出すようにあらかじめ決めておくことができる。
【0079】
言い換えると、各ECHは、LECHリスト内のECHノードの数、およびLECHリスト内における自らの位置がわかる。したがって、分離が必要とされるとき(たとえば、所定の最大サイズを超えるとき)、所定の方針を用いて、分離位置を選択することができる。第1の場合には、その分離は、LECHリストの中間において行うことができる。その分離処理を開始するために、中心付近の2つのECHノードによって分離が開始される(各ECHがリスト内の自らの位置がわかっているため)。別の場合には、分離は、最大サイズ+1の位置において行われる。したがって、分離は、最大サイズ位置および最大サイズ+1の位置にある2つのECHノードによって開始される。分離後に、2つの新たに形成されたリンクされたECネットワークは、形成された2つのリンクされたECネットワーク間の境界に位置するECHノードを通して、互いに通信する。
【0080】
図8を参照すると、上記のプロトコルは、無線送受信機のような、無線通信範囲内のノード間での無線通信を提供するための送信手段802を含むコンピューティングデバイス800によって実行される。さらに、たとえばマイクロコントローラ、マイクロプロセッサのような制御手段804が、送信手段802を通して他のノードから信号を受信し、また送信手段802を通して他のノードに信号を送信するように構成される。また、制御手段804は、プロセッサ実行可能命令として上記のプロトコルを実行することによって動作を制御する。記憶手段806がコンピューティングデバイス800内に配置され、制御手段804と動作可能に通信する。記憶手段806は、メモリモジュール、取出し可能媒体、複数の記憶デバイスの組み合わせ等であってもよく、上述された実施形態のプロトコルを実施するために必要とされるプロセッサ実行可能命令を格納するだけの大きさを有する。さらに、タイミング手段808が、別個の構成要素として、または制御手段804の機能によって提供される。タイミング手段808は、上述の実施形態において参照される各タイマーに必要とされる時間インターバル追跡を提供する。電源供給装置のような電圧供給手段810が、必要に応じて構成要素に動作電力を供給するために、コンピューティングデバイス800の全ての構成要素に電気的に接続される。
【0081】
上記の実施形態を実行するためのプロセッサ実行可能命令は、EPROM、フラッシュメモリまたは他のそのような不揮発性記憶装置等の形態をとる記憶手段806に組み込むことができる。さらに、プロセッサ実行可能命令は、光媒体または磁気媒体のようなコン
ピュータ読取り可能媒体に格納することができるし、またはネットワーク(たとえばインターネット)を介してダウンロードすることができる。追加機能が利用できるようになるのに応じて、システムの機能強化を図るために、プロセッサ実行可能命令は、必要に応じてユーザが定期的に更新することができることが望ましい。
【0082】
本発明の上記の実施形態は、限定ではなく例示を意図しており、また、本発明の全ての実施形態を表すことは意図していない。添付の特許請求の範囲において字義通りに述べられ、また法的に認められる均等物において述べられるような本発明の精神または範囲から逸脱することなく、種々の変更および変形を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明によるアドホック移動ネットワークを示す図である。
【図2】本発明による、2つのリンクされていない等価セルヘッダによるアドホック移動ネットワークの初期化を示す図である。
【図3】本発明による、リンクされていない等価セルヘッダがリンクされた等価セルネットワークに出合う第1の事例を示す図である。
【図4】本発明による、リンクされていない等価セルヘッダがリンクされた等価セルネットワークに出合う第2の事例を示す図である。
【図5】本発明による、リンクされていない等価セルヘッダが既存のリンクされた等価セルネットワークに出合う第3の事例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、能動的な移動度検出を実行するためのステップを示すフローチャートである。
【図7】図6の能動的な移動度検出のフローチャートに続く流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態による、アドホックネットワークを構成および維持するシステムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法であって、
前記複数の移動無線デバイスのうちの第1のデバイスを、無線通信範囲を有する第1の等価セルヘッダ(ECH)として動作させること、
前記第1のECHのための第1の等価セル(EC)であって前記第1のECHの無線通信範囲のエリア内に中心があり、かつ該エリアの一部を占めるような大きさで形成されるとともに、前記ECHによって管理される第1の等価セルを確立すること、
前記複数の移動無線デバイスのうちの前記1つのデバイスが前記第1のECHであることを通知するECH情報(ECH_HELLO)を、ランダムに定められた一定の間隔で前記第1のECHから送信すること、
第2のECHとして動作する少なくとも1つの第2の移動無線デバイスから送信される第2のECH_HELLOメッセージを、前記第1の無線デバイスによって受信すること、
前記第2のECHが他の唯一の受信されたECH_HELLOメッセージである場合、または受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージがリンクされていないECHに属する場合には、前記第1のECHと前記第2のECHとの間にリンクされた等価セルネットワークを構成すること、および
受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージが統合された一連のリンクされたECHに属する場合には、前記第1のデバイスを前記リンクされた等価セルネットワーク内のレギュラーノードであって、前記リンクされた等価セルネットワークの一部であるとともにECHに比べて通信特権に制約があるレギュラーノードとして動作させること、
を含む、複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項2】
前記レギュラーノードは、1つのECH_HELLOメッセージだけを受信する場合に、該受信されたECH_HELLOメッセージを送信したECHとリンクする新たなECHになり、
また、前記レギュラーノードは、リンクされていないECHから少なくとも1つのECH_HELLOメッセージを受信する場合に新たなECHになる、
請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項3】
前記レギュラーノードは、異なるネットワークに属する少なくとも2つの異なるECHノードから、少なくとも2つのECH_HELLOメッセージを受信する場合に、新たなECHとなって、異なるECネットワークに属する前記少なくとも2つの異なるECHノードを互いにリンクして、1つの統合されたネットワークを作成する、
請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項4】
ECHは、該ECHと他のECHとの間の通信リンク、および前記リンクされたECネットワークに属する異なる等価セルからのレギュラーノード間の通信リンクを提供する、
請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項5】
前記無線通信範囲の前記エリアは、前記中心にある等価セルに加えて、多数の他の等価セル(EC)を含み、
各ECは唯一のECHによって管理される、
請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立
および維持する方法。
【請求項6】
リンクされたECHはそれぞれ、前記リンクされたECネットワーク内の他のECHノードに対する自らの相対的な位置を認識しており、
該相対的な位置は、少なくとも1つの通信中のECHノードのリストから判定され、
該少なくとも1つのECHノードのリストの各リストは、前記リンクされた等価セルネットワークの1つの通信経路に沿ったECHノードの順序を示す、
請求項5に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項7】
前記等価セルネットワークに属するECHの移動度を検出するステップと、
所定の選択判定基準に基づいて、新たなECHを選択するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項8】
前記ECH選択は、レギュラーノードをECHに選択的に昇格させることによって実行され、
該レギュラーノードは、前記検出されたECHによって管理される前記等価セルに対する該レギュラーノードの位置に基づいて選択される、
請求項7に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項9】
前記移動度は、新たなECHが前記ECネットワークに参加すること、リンクされたECHが該ECネットワークから出ること、および、リンクされたECHが同じECネットワークの別のECHによって管理されるECの中に移動することを含む、
請求項7に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項10】
前記複数の移動無線デバイスのうちの少なくとも1つのデバイスは、車両内に設置または内蔵される、
請求項1に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立および維持する方法。
【請求項11】
複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステムであって、
前記複数の移動無線デバイスのうちの第1のデバイスを、無線通信範囲を有する第1の等価セルヘッダ(ECH)として動作させる手段と、
前記複数の移動中の無線デバイスのうちの前記1つのデバイスが前記第1のECHであることを通知するECH情報(ECH_HELLO)を、ランダムに定められた一定の間隔で前記第1のECHから送信する手段と、
前記第1のECHのための第1の等価セル(EC)であって前記第1のECHの無線通信範囲のエリア内に中心があり、かつ該エリアの一部を占めるような大きさで形成されるとともに、前記ECHによって管理される第1の等価セルを確立する手段と、
第2のECHとして動作する少なくとも1つの第2の移動無線デバイスから送信される第2のECH_HELLOメッセージを、前記第1の無線デバイスによって受信する手段と、
前記第2のECHが他の唯一の受信されたECH_HELLOメッセージである場合、または受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージがリンクされていないECHノードに属する場合には、前記第1のECHノードと前記第2のECHノードとの間にリンクされた等価セルネットワークを構成する手段と、
受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージが統合された一連のリンクされたECHノードに属する場合には、前記第1のデバイスを前記リンク等価セルネットワーク内のレギュラーノードであって、前記リンクされた等価セルネットワークの一部であるとともにECHと比べて通信特権に制約があるレギュラーノードとして動作させる手段と、
を備える、複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項12】
前記レギュラーノードが1つのECH_HELLOメッセージだけを受信する場合に、該受信されたECH_HELLOメッセージを送信したECHとリンクする新たなECHになり、
また、前記レギュラーノードは、リンクされていないECHから少なくとも1つのECH_HELLOメッセージを受信する場合に新たなECHになる、
請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項13】
前記レギュラーノードは、異なるネットワークに属する少なくとも2つの異なるリンクされたECHノードから、少なくとも2つのECH_HELLOメッセージを受信する場合に、新たなECHとなって、異なるECネットワークに属する前記少なくとも2つの異なるECHノードを互いにリンクし、1つの統合されたネットワークを作成する、
請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項14】
各ECHは、互いの間の通信リンク、および前記リンクされた等価セルネットワークに属する異なる等価セルからのレギュラーノード間の通信リンクを提供する、
請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項15】
前記無線通信範囲の前記エリアは、前記中心にある等価セルに加えて、多数の他の等価セルを含み、各等価セルは唯一のECHによって管理されるとともに、リンクされた等価セルネットワークを構成する、
請求項14に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項16】
ECHは、該ECHによって管理される等価セルの相対的な位置を認識しており、
該相対的な位置は、少なくとも1つの通信中のECHのリストから判定され、
該少なくとも1つのECHのリストの各リストは、前記リンクされた等価セルネットワークの1つの通信経路に沿った通信中のECHを示す、
請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項17】
前記等価セルネットワークに属するECHの移動度を検出する手段と、
所定の選択判定基準に基づいて、新たなECHを選択する手段と、
をさらに含む、請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項18】
前記ECH選択は、レギュラーノードをECHに選択的に昇格させることによって実行され、
該レギュラーノードは、前記検出されたECHによって管理される前記等価セルに対する該レギュラーノードの位置に基づいて選択される、
請求項17に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確
立するシステム。
【請求項19】
前記複数の移動無線デバイスのうちの少なくとも1つのデバイスは、移動中の車両内に設置または内蔵される、
請求項11に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立するシステム。
【請求項20】
複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立する方法を実行するための、プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータ読取り可能媒体であって、前記方法は、
前記複数の移動無線デバイスのうちの第1のデバイスを、無線通信範囲を有する第1の等価セルヘッダ(ECH)として動作させること、
前記第1のECHのための第1の等価セル(EC)であって前記第1のECHの無線通信範囲のエリア内に中心があり、かつ該エリアの一部を占めるような大きさで形成されるとともに、該ECは前記ECHによって管理される第1の等価セルを確立すること、
前記複数の移動無線デバイスのうちの前記1つのデバイスが前記第1のECHであることを通知するECH情報(ECH_HELLO)を、ランダムに定められた一定の間隔で前記第1のECHから送信すること、
第2のECHとして動作する少なくとも1つの第2の移動無線デバイスから送信される第2のECH_HELLOメッセージを、前記第1の無線デバイスによって受信すること、
前記第2のECHが受信された唯一の他のECH_HELLOメッセージである場合、または受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージがリンクされていないECHノードに属する場合には、前記第1のECHノードと前記第2のECHノードとの間にリンクされた等価セルネットワークを構成すること、
受信された2つ以上のECH_HELLOメッセージが統合された一連のリンクされたECHノードに属する場合には、前記第1のデバイスを前記リンクされた等価セルネットワーク内のレギュラーノードであって、前記リンクされた等価セルネットワークの一部であるとともにECHに比べて通信特権に制約があるレギュラーノードとして動作させること
を含む、複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立する方法を実行するための、プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項21】
前記方法は、
前記等価セルネットワークに属するECHの移動度を検出するステップと、
所定の選択判定基準に基づいて、新たなECHを選択するステップと
をさらに含み、
該ECH選択は、レギュラーノードをECHに選択的に昇格させることによって実行され、
該レギュラーノードは、前記検出されたECHによって管理される前記等価セルに対する該レギュラーノードの位置に基づいて選択される、
請求項20に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立する方法を実行するための、プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項22】
前記コンピュータ読取り可能媒体はネットワークであり、
前記命令は、該ネットワークを介して送信可能な信号である、
請求項20に記載の複数の移動無線デバイス間にモバイルアドホックネットワークを確立する方法を実行するための、プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータ
読取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−541579(P2008−541579A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510337(P2008−510337)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/042239
【国際公開番号】WO2007/061577
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】