説明

リンクコンベアのリンク

【課題】リンクコンベアのリンクを改良する。
【解決手段】本発明は、リンクコンベア1特に輸送リンクコンベアのリンク2〜4に関する。リンク2〜4は、リンクコンベア1の他の隣接するリンク2〜4の相補的な差込要素5,6に確実に引っ掛かる少なくとも一の差込プラグ要素5,6を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクコンベヤーの新規なリンクに関し、特に輸送リンクコンベアの新規なリンクに関する。また本発明は、このようなリンクで組み立てられたリンクコンベア、及びこのような一のリンクコンベアを有するリンクコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、個々の荷物の輸送用にコンベアベルトを使用することが知られている。コンベアベルトはリンクコンベアとして設計でき、多数のリンクを備えることができる。多数のリンクはぴったりと互いに連結される。従来技術のリンクコンベアの場合は、隣接するリンク間のぴったり合った連結がピン連結を用いて構成される。このため、個々のリンクは指状の凸部を示している。この指状の凸部は、コンベアの移動方向に突出している。装着状態における隣接するリンクの指状の凸部は、指状のものと互いに係合すると共に、交差する方向に延設される孔部を有する。また隣接するリンクを確実に連結するよう、連結ピンが孔部に押し込まれている。
【0003】
このようなピン連結を有する従来のリンクコンベアにおける第一の欠点として、ピン連結を行うのに、互いに連結される2つのリンクのみならず、連結ピンの態様の追加的な部材を必要とすることが挙げられる。
【0004】
また従来技術のピン連結の他の欠点は、ピン連結を解除するために、連結ピンを取り外す工具が一般に必要となることが挙げられる。
【0005】
さらに、従来のピン連結におけるリンクコンベアの連結ピンを、ごく短い稼働時間後に取り外すのに適さない。
【0006】
最後に、従来のピン連結の場合には、例えばシステムが稼働しているときに生じる振動によって発生する虞がある、動作中に再び緩んでしまうことがないように、ピン連結を確実に行わなければならない。したがって、リンクコンベアの従来技術のピン連結は、接続ピンが動作中に横軸方向に移動することを防止するための、追加的な横方向の固定手段を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/148708号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/067262号明細書
【特許文献3】米国特許第4084687号明細書
【特許文献4】米国特許第3262549号明細書
【特許文献5】英国特許第831327号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に鑑み、本発明の目的は、このようなリンクコンベアのリンク構造を改良することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記の目的は、主たる請求項に記載される発明に係るリンクによって達成される。
【0010】
本発明は、概して、従来のピン連結を用いるのでなく、確実な押込嵌合連結を用いて、リンクコンベアの隣接するリンクを互いに連結する技術的な教示を含んでいる。押込嵌合連結は、1つのリンク上の押込嵌合要素と他のリンク上のこれに対応して形成された押込嵌合要素を備える。これにより、上記で説明した従来技術のピン連結と比較して、追加的な連結要素(例えばピン)を必要としないという利点が得られる。
【0011】
本発明の一の選択的な実施形態において、押込嵌合連結は、舌状部と溝状部との連結である。またリンクは舌状部を有しており、舌状部と溝状部との連結を形成するために、舌状部をこれに対応して形成された溝部に押し込むことができる。
【0012】
また押込嵌合連結は、好ましくは、隣接するリンク上の2つの相補的な切欠引掛要素を備える切欠引掛連結である。したがって、本発明に係るこの態様のリンクは、確実な切欠引掛連結を用いてリンクを、リンクコンベアの他の隣接するリンクの相補的な切欠引掛要素へ連結するために、少なくとも一の切欠引掛要素を有する。
【0013】
この場合、本明細書において用いられる「切欠引掛連結」には、スナップ嵌合連結も含まれる。
【0014】
本発明の好ましい態様の一例においては、リンクが、いくつかの同じリンクを組み立ててリンクコンベアを形成できるコンベアの、進行方向に対するリンクの対向端部に2つの相補的な切欠引掛要素を有しており、相補的な切欠引掛要素はそれぞれ互いに引っ掛かり、組となる。
【0015】
また本発明の好ましい態様の一例において、リンクは歯状構造を有しており、該歯状構造を任意選択的に内側又は外側に配置することができる。また、組み立て状態でそれぞれの組の2つの隣接するリンクの相補的切欠引掛要素が、歯状構造の歯状部を形成している。したがって、個々の切欠引掛要素は、歯状構造の歯状部の一部を形成するよう形成されると共に、相補的な切欠引掛要素は、組み立て状態において歯状部を形成するように形状を適合させている。
【0016】
好ましくは、組み立てられたリンクコンベアが隣接するリンクの接続部において、実質的に平滑で、凹みのない、途切れない、及び/又は水平な外面あるいは内面を有するように、切欠引掛連結が形成される。
【0017】
さらに、切欠引掛連結は特定の切欠引掛方向を有しており、2つの相補的な切欠引掛要素は、連結又は分離を行うために、反対方向に移動させることを要する。
【0018】
本発明の一の実施形態において、切欠引掛方向は、コンベアの面に対して交差する方向に向いており、特にコンベアの面に対して直角に向いており。このことは、2つの相補的な切欠引掛要素を互いに連結する又は互いから分離するために、2つの相補的な切欠引掛要素を、コンベアの方向に対して交差する方向に反対方向に移動することを要することを意味する。
【0019】
また、本発明の他の実施形態において、切欠引掛方向は、コンベアの面に対して平行に延びる、及び/又はコンベアの進行方向に対して平行に延びる。したがって、このことは、2つの相補的な切欠引掛要素を連結又は分離するために、2つの相補的な切欠引掛要素を、コンベアの方向に対して平行に、及び/又は2つの相補的な切欠引掛要素を互いに連結する又は互いから分離するために、コンベアの面に対して平行に反対方向に移動することを要することを意味する。
【0020】
ただ、本明細書の説明において、切欠引掛連結方向がコンベアの面に対して交差する方向に向いている上述の第1の実施形態が好ましい。このことにより、動作中におけるリンクコンベアの進行方向に働く引張力が、切欠引掛連結方向と交差する方向に向いている場合、切欠引掛連結が意図せず分離することがないという利点が得られる。
【0021】
さらに、好ましくは切欠引掛連結を工具なしで取り外し可能とし、また工具なしで連結可能とする。このことは、2つの相補的な切欠引掛要素を手で引っ掛けることができ、互いから分離することができ、したがって簡単に組み立てられることを意味する。
【0022】
さらに、切欠引掛連結は特定の締結力によって行われ、また特定の分離力が切欠引掛連結を分離するのに必要とされる。切欠引掛連結は、好ましくは、2つの相補的な切欠引掛要素を分離するのに必要な分離力が2つの相補的な切欠引掛要素を連結するのに必要な締結力より大きくなるよう、構成される。このような構成の切欠引掛連結によって、小さい作業の力で簡単に組み立てられる利点と、組み立て状態における機械的耐荷重性が良好である利点と、を合わせもつことができる。
【0023】
本発明の一の実施形態において、リンク及びこれによって組み立てられたリンクコンベアは、平滑な外面を有するので、個々の荷物やバルク材料を輸送するいずれの場合においても有用である。
【0024】
また、本発明の他の実施形態において、リンク及びこれによって組み立てられたリンクコンベアの外面も、テクスチャを付されている。このためリンクには、従来技術のように孔又は搬送駆動器を配置できる。搬送駆動器は、例えばブラシ、ニードル、コンベアの進行方向に対して交差する方向に配置された弾性リップ、又は接着剤で貼り付けられたベルト又は布地、合成皮革、ゴム、シリコーン又はフォーム等種々の材質のストリップを備えることができる。外面にも、柔軟性PVC(ポリ塩化ビニル)又はTPE(熱可塑性エラストマー)等柔軟性合成材料を塗布することによって、テクスチャを付けることができる。
【0025】
さらに、本発明に係るリンクは、好ましくは材質が同質である。このことは、リンクが、コスト効率に優れた大量生産が容易な、均一な単一の材質で構成された単一部分からなることを意味する。
【0026】
例えばリンクを、少なくとも部分的にプラスチックから、特にプラスチックのキャンバス、織物の布地、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン(PP)、ウレタン、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブテン・テレフタラート(PBT)又はポリアミド(PA)から構成できる。ただし、また、本発明に係るリンクを、少なくとも部分的に金属又はステンレス鋼、特に金属の布地から構成することもできる。
【0027】
さらに、本発明においては、リンクを、例えば硬度、弾性が異なる材質で構成できる。例えばリンクを、比較的硬いABSと比較的弾性のあるTPEの組合せで構成できる。この場合、リンクを一又は複数の部分で構成できる。
【0028】
本発明の一の実施形態において、リンクは、そのリンクを隣接するリンクに形状的に連結するためにコンベアの進行方向に対して交差する方向に延設される交差方向溝部を有する。この隣接するリンクは、これに対応している舌状部であってコンベアの進行方向に対して横方向に延設される舌状部を有する。この舌状部を、形状的嵌合連結を形成するよう横方向溝部に押し込むことができる。このような設計においては、したがって、本発明に係るリンクは、コンベアの進行方向に対してその両対向端部に異なる接続要素を有する、すなわち一方の端部に切欠引掛連結を行う切欠引掛要素と、他方の端部に確実なピン状連結を行う交差方向溝部と、を有する。この場合、組み立てられたリンクコンベアは、同一のリンクではなく、異なるリンクを備える。異なるリンクを、以下に詳細に説明する。
【0029】
ここで、リンクにおける交差方向溝部は好ましくは円形状内側断面を有する。一方、隣接するリンクにおける舌状部はこれに対応している円形状外側断面を有する。これにより、隣接するリンク間の確実な連結を行うよう、舌状部を、コンベアの進行方向に対して横方向に、したがって横方向溝部に関して軸方向に横方向溝部内へと押し込むことができる。
【0030】
この場合、交差方向溝部は、好ましくは、コンベアの進行方向に対して交差する方向に延設されるスロットとコンベアの進行方向において連通している。組み立て状態においてこのスロットには隣接するリンクの材料ウェブが貫通する。材料ウェブが、隣接するリンクの舌状部を隣接するリンクの他の部分に連結する。スロットは、好ましくは、外面に対して傾斜して、特に、有用性が実証されている外面に対して約45°で延びる。
【0031】
さらに、本発明は個々の部品としての上述の創意に富んだリンクに限定されず、このようなリンクから組み立てられたリンクコンベア全体の保護も請求する。
【0032】
リンクコンベアは、好ましくは、個々の荷物を輸送するコンベアベルトとして構成される。ただし、本発明に係るリンクコンベアは、バルク材料を供給するコンベアベルトとしても構成できる。さらに、本発明に係るリンクコンベアは、ベルトドライブにおいて動力伝達に対する駆動ベルトとしても機能し得る。
【0033】
本発明に係るリンクコンベアの設計に関して、種々の設計が任意に採用できる。ごく数例を挙げると、リンクコンベアは、歯付きベルト、丸ベルト、Vリブドベルト又は平ベルトとして設計できる。
【0034】
この種のリンクコンベアの場合には、複数のリンクがコンベアの進行方向に次々に配置されることは明らかであろう。一方、リンクコンベアは、コンベアの進行方向に対して横に並んで配置された複数のリンクを備えることも可能である。この場合、ベルト幅は増加することになる。
【0035】
複数のリンクを横に並んで配置する場合、進行方向に連続的に配置されているコンベアのリンクが、互いに対して横方向にオフセットさせることができる。
【0036】
本発明に係るリンクの説明において始めに記載したように、完成したリンクコンベアは、任意選択的に同一又は異なるリンクを備えることができる。したがって、リンクコンベアが異なるリンクを備える場合、リンクは略剛体又は略弾性体であることが有用であろう。この場合、好ましくは、コンベアの進行方向の個々の弾性のリンクは、2つの隣接した剛性リンクとそれぞれ側面で接している。弾性リンクは、ポジティブな及び/又は同一面となる嵌合連結を用いて剛性リンクと連結されており、剛性リンクは、切欠引掛連結を用いてそれぞれ互いに引っ掛かり、組となる。
【0037】
最後に、本発明は、例えば輸送システム又はベルトドライブ等のリンクコンベアシステムの保護も請求する。本発明に係るリンクコンベアシステムは、上述の本発明に係るリンクコンベアと2つの方向転換ローラとを有し、一方又は両方の方向転換ローラを駆動できる。さらに、本発明に係るリンクコンベアシステムの場合におけるリンクコンベアは、好ましくは、内側歯状部を有する。リンクコンベアの上部行程の下に摺動ガイドを配置できる。リンクコンベアの内側歯状部は摺動ガイド上に沿って摺動する。
【0038】
さらに、本発明に係るリンクコンベアシステムは、方向転換ローラ上でリンクコンベアが横方向にずれることを防止するために、横側ガイドを有することができる。この場合、横側ガイドを、横側ガイドが内側歯状部とのみ重なるが、横側の歯状部はリンクコンベアの外面にまでは達しないよう、配置することができる。
【0039】
最後に本発明は、隣接するリンクの切欠引掛連結を解放するよう設計された分解プライヤーを含んでいる。
【0040】
本発明に係る分解プライヤーは、好ましくヘッド端部において開口する装着スロットを有する。分解の際には、リンクコンベアを装着スロットに挿入できる。分解プライヤーは、分解の際には、2つの互いに引っ掛けられたリンクの領域においてリンクコンベアに押し込まれる。装着スロットにリンクコンベアが収容される。好ましくは、リンクコンベアの上述の装着スロットは、2つのレバーアームの回転面に対して直角に延びる。
【0041】
本発明に係る分解プライヤーは、好ましくは、遠端部が関節を用いて回転可能に互いに連結されている2つの、一方の端部が自由端となるレバーアームを有する。ただし、通常のプライヤーのように、本発明に係る分解プライヤーは、2つの、2つの端部が自由端となるレバーアームを備えることもできる。2つのレバーアームは、一方の端部で2つのハンドルを形成すると共に、他端でプライヤーヘッドを形成する。
【0042】
さらに、本発明に係る分解プライヤーの2つのレバーアームは、プライヤーヘッドの内側領域にクランプ顎部をそれぞれ有することに留意すべきである。両方のクランプ顎部は、切欠引掛連結を解放するために、組み立ての際に切欠引掛要素を外側から対向する方向における押圧する。
【0043】
本発明のさらなる他の有用な展開は、従属請求項において特定され、又は図面を参照して好ましい例示的な実施の形態の説明を用いてより詳細に説明される。以下に図面を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】組み立て状態における本発明に係るリンクコンベアの斜視図である。
【図2】図2A及び図2Bは、図1に係るリンクコンベアの2つの同一のリンクであって、2つのリンクが切欠引掛連結を用いて互いに連結可能なリンクの斜視図である。
【図3】組み立て状態における本発明に係るさらなる例示的な実施形態のリンクコンベアの斜視図である。
【図4】図4Aは、図3に係るリンクコンベアの弾性リンクの斜視図、図4B及び図4Cは、図3に係るリンクコンベアの剛性リンクの斜視図である。
【図5】図3に係るリンクコンベアの、搬送駆動器を有する変形例の弾性リンクの斜視図である。
【図6】本発明に係るリンクコンベアの斜視図である。
【図7】本発明に係る、輸送方向に連続的に配置されたリンクが、互いに対して横方向にオフセットされている、リンクコンベアの一部分の斜視図である。
【図8】本発明に係るリンクコンベアのいくつかのリンクであって、中央リンクに孔が空けられている、いくつかのリンクの斜視図である。
【図9】中央リンクに孔が空けられていない、図8に係る他の例示的な実施形態の斜視図である。
【図10】切欠引掛連結を有すると共に、接着連結を追加的に用いて固定されている、2つのリンクの側面図である。
【図11】輸送される材料面から突出するリップを有する、本発明に係るリンクコンベアの一部分の斜視図である。
【図12】図11の変形例である。
【図13】図13Aは、図1に応じたリンクコンベアを分解するための、本発明に係る分解プライヤーの斜視図、図13Bは、切欠引掛連結の開放の際の、図13Aに応じた分解プライヤーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に、本発明に係るリンクコンベア1を示す。例えば、リンクコンベア1は、個々の荷物を輸送するために用いることができる。
【0046】
リンクコンベア1は、多数のリンク2,3,4から構成される。リンク2,3,4は、リンクコンベア1を組み立てるために切欠引掛連結を用いて確実に互いに連結されて、それぞれ組とできる。
【0047】
この目的のために、個々のリンク2〜4は、コンベアの進行方向における対向端部に相補的な切欠引掛要素5,6を有する。組み立て状態では、リンク3上の切欠引掛要素6は、リンク4上の切欠引掛要素5と係合し、確実な切欠引掛連結を形成している。
【0048】
切欠引掛連結を行うために、2つの切欠引掛要素5,6は、コンベアの進行方向に対して横方向に、コンベアの面に対して交差する方向に互いに押圧される。この切欠引掛連結は、工具なしに行うことができ、リンクコンベア1の組み立てを簡単化できる。隣接するリンク3,4間の切欠引掛連結も手で再び分離できる。このとき、リンクコンベア1の隣接するリンク3,4は、コンベアの面に対して交差する方向に引き離される。この場合、切欠引掛要素5,6を締結するのに必要な締結力は、切欠引掛要素5,6を分離するのに必要な分離力より実質的に小さいことに留意すべきである。こうして、この切欠引掛連結は、小さい作業力で簡単に取り付けできる利点と、機械的耐荷重性が高い利点とを合わせ持つ。
【0049】
さらに、切欠引掛方向は、コンベアの進行方向に関して直角に、コンベアの面に対して直角に向いている。これにより、動作中にリンクコンベア1に生じる引張力が切欠引掛連結の意図しない分離をもたらすことがないという利点が得られる。
【0050】
さらに、それぞれ組として組み立てられた状態では、相補的に形成された切欠引掛要素5,6が、内側歯状構造の歯状部7を形成し、内側歯状構造により例えば歯車を用いたリンクコンベア1を駆動できることにも留意すべきである。
【0051】
図3に、複数の剛体のリンク9,10,11,12と、複数の弾性のリンク13,14とを備える本発明に係るリンクコンベア8の他の例示的な実施形態を示す。
【0052】
この場合、剛体要素10,11を、切欠引掛連結を用いて確実に連結できる。この切欠引掛連結は、図1に対応する例示的な実施形態における切欠引掛連結と同じ方法であり、この点に関する上述の説明を参照できる。
【0053】
この場合も、また、それぞれ組となっている2つの剛体部10,11が、内側歯状構造の歯状部15を形成しており、歯車が内側歯状構造と係合できる。
【0054】
一方、弾性リンク13,14は、確実な連結を用いて剛性リンク9,10と連結される。このため、剛体部9,10,11,12は、円形状内側断面を有する横方向溝部15をそれぞれ有する。交差方向溝部15はスロット17へと嵌入される。弾性リンク13は、剛性リンク9,10,11,12と確実な連結を行うために、円形状外側断面を有する舌状部18をそれぞれ両端に有する。舌状部18を、確実な連結を行うために、交差方向溝部16へと軸方向に押し込むことができる。
【0055】
図5に、図3及び図4A〜図4Cに対応する例示的な実施形態の変形例を示す。重複を避けるため、上述の説明が参照できる。同じ参照符号をこれと対応する部材に用いている。
【0056】
この例示的な実施形態の特徴は、剛性リンク9,11の外面にそれぞれ装着スリーブ19,20が取り付けられる点である。装着スリーブ19,20にはそれぞれニードルを搬送駆動器として挿入できる。
【0057】
最後に、図6に、リンクコンベア22と、被駆動歯車23と、従動方向転換ローラ24と、を有する輸送ベルト・システム21全体を示す。
【0058】
この場合、歯車23は軸方向歯状構造を有するが、この軸方向歯状構造は歯車23の全幅にわたっては延びていないことに留意すべきである。
【0059】
図7に、複数のリンク34〜40を有する本発明に係るリンクコンベアの一部分の斜視図を示す。複数のリンク34〜40は、切欠引掛連結を用いてそれぞれ連結される。この切欠引掛連結のタイプは既に説明しており、上述の説明が参照できる。
【0060】
この例示的な実施形態の特徴は、複数のリンクが並んで配置されている点である。送り方向に連続的に配置されたリンクは、互いに対して横方向にオフセットされている。例えば、リンク34は、リンク36,37に対して横方向にオフセットされている。
【0061】
図8は、本発明に係るリンクコンベアの3つのリンク41〜43の斜視図を示す。リンク41,43はプラスチックで形成されるので、比較的硬い。一方、中央のリンク42は繊維材料で形成されるため、比較的弾性がある。
【0062】
リンク42は、舌状部と溝状部との連結で隣接するリンク41,43とそれぞれ連結される。
【0063】
さらに、中央の弾性リンク42は孔44を有する。この孔44は、射出成形機械又は押出機において製造される場合に有用である。射出成形又は押出プロセスの場合には、プラスチックが孔41を通じて流れ、続いてプラスチックは冷却して硬化し、さらに強力な連結を構成できる。
【0064】
また図9に、弾性リンクが孔を開口していない、図8に係るリンクコンベアを示す。
【0065】
図10に、本発明に係る2つのリンク2,3を示す。リンク2,3は、図1に対応する例示的な実施形態と多くが対応する。重複を避けるため、上述の説明を適宜参照し、対応する部材には同じ参照符号を付している。
【0066】
この例示的な実施形態の特徴は、隣接するリンク2,3間の切欠引掛連結が、接着連結45によってさらに固定されている点である。
【0067】
図11に、本発明に係るリンクコンベア1を示す。リンクコンベア1は、上述し図1に示したリンクコンベア1と多くが対応する。重複を避けるため、上述の説明が参照できる。同じ参照符号をこれと対応する部材に用いている。
【0068】
この例示的な実施形態の特徴は、輸送材料に面する側の個々のリンクがリップ46を有する点である。リップ46は、送り方向に対して交差する方向に延設されており、弾性がある。
【0069】
図12に示す例示的な実施形態は、図11に示した上述の例示的な実施形態に多くが対応している。このため、重複を避けるために、上記説明を参照し、同じ参照符号を対応する部材に用いる。
【0070】
この例示的な実施形態の特徴は、リップ46の代わりに、ブラシ47が配置される点である。ブラシ47はそれぞれ個々に上方へ突出し、弾性を有することができる。
【0071】
図13A及び図13Bに、図1に係るリンクコンベア1の切欠引掛連結を解除する、本発明に係る分解プライヤー48を示す。
【0072】
分解プライヤー48は2つのレバーアーム49,50を有する。レバーアーム49,50は、一端で締結され、回転面において互いに対して回転できる。
【0073】
更に、分解プライヤー48は、嵌入スロット51を有するプライヤーヘッドを有する。嵌入スロット51はヘッド端部で開口している。これにより、分解プライヤー48は、引っ掛けられたリンクコンベア1に横方向に押し込むことができる。
【0074】
分解プライヤー48のプライヤーヘッドは、さらに2つのクランプ顎部52,53を有する。一方のレバーアーム50を押し下げると、クランプ顎部53が上方から切欠引掛要素5を押し下げ、これにより、切欠引掛連結が解除される。
【0075】
本発明は、上述した好ましい実施形態の例に限定されない。むしろ、本発明の概念を用いた複数の変形及び変更が可能であり、これらも保護範囲として企図する。
【0076】
また本発明は、上位の請求項の技術のみならず下位の請求項の技術に関する保護も請求している。したがって、上位の請求項に係る特徴のみならず、下位の請求項に係る技術にも、本発明を実現できる。
【符号の説明】
【0077】
1…リンクコンベア
2…リンク
3…リンク
4…リンク
5…切欠引掛要素
6…切欠引掛要素
7…歯状部
8…リンクコンベア
9…剛性リンク
10…剛性リンク
11…剛性リンク
12…剛性リンク
13…弾性リンク
14…弾性リンク
15…歯状部
16…横方向溝部
17…スロット
18…舌状部
19…装着スリーブ
20…装着スリーブ
21…コンベアベルト・システム
22…リンクコンベア
23…歯車
24…方向転換ローラ
34〜40…リンク
41〜43…リンク
44…孔
45…接着連結
46…リップ
47…ブラシ
48…分解プライヤー
49,50…レバーアーム
51…嵌入スロット
52,53…クランプ顎部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクコンベア(1,8,22)、特に輸送リンクコンベアのリンク(2-4,9-12)において、
少なくとも一の押込嵌合要素(5,6)であって、リンクコンベア(1,8,22)の隣接する他のリンク(2-4,9-12)の相補的押込嵌合要素(5,6)と確実な押込嵌合連結を行う少なくとも一の押込嵌合要素(5,6)を備えてなることを特徴とするリンク。
【請求項2】
請求項1に記載のリンクにおいて、
a)前記押込嵌合連結は、切欠引掛連結であり、2つの相補的な押込嵌合要素(5,6)が切欠引掛要素として構成されている、又は
b)前記押込嵌合連結は、舌状部と溝状部との連結であり、一方の押込嵌合連結が舌状部であると共に、前記相補的押込嵌合要素が溝状部であることを特徴とするリンク。
【請求項3】
請求項2に記載のリンク(2-4,9-12)において、
複数の同じリンク(2-4,9-12)を組み立ててリンクコンベア(1,8,22)を形成できるように、コンベアの進行方向のリンクの対向端部に、2つの相補的な切欠引掛要素(5,6)を備えてなることを特徴とするリンク。
【請求項4】
請求項3に記載のリンク(2-4,9-12)において、
組み立て状態でそれぞれの組の2つの隣接するリンク(2-4,9-12)の相補的切欠引掛要素(5,6)が、歯状構造の歯状部(7)を形成する歯状構造を備えてなることを特徴とするリンク。
【請求項5】
請求項4に記載のリンク(2-4,9-12)において、
前記歯状構造(7)は、内側又は外側に配置されてなることを特徴とするリンク。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)において、
組み立てられたリンクコンベア(1,8,22)が隣接するリンク(2-4,9-12)の接続部において、略平滑で、凹みがない、途切れがない、及び/又は平坦な外面あるいは内面を有するよう、前記切欠引掛連結が構成されてなることを特徴とするリンク。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)において、
a)前記切欠引掛連結は特定の切欠引掛方向を有し、該特定の切欠引掛方向において、前記2つの相補的な切欠引掛要素(5,6)は、連結又は分離を行うために、反対方向に移動させることを要するものであり、
b)前記切欠引掛方向は、コンベアの面に対して交差する方向に向いており、特にコンベアの面に対して直交しているか、又は
c)前記切欠引掛方向は、コンベアの面に対して平行に延びる、及び/又はコンベアの進行方向に対して平行に延びてなることを特徴とするリンク。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)において、
a)前記切欠引掛連結は工具なしで取り外し可能であると共に、工具なしで連結可能なものであり、及び/又は
b)前記切欠引掛連結は特定の締結力で連結でき、前記切欠引掛連結を取り外すのに特定の分離力が必要であり、前記必要な分離力が前記締結力より大きいことを特徴とするリンク。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一に記載のリンク(9,11)において、
a)少なくとも一の搬送駆動器がリンク(9,11)の外面に配置される、及び/又は
b)前記搬送駆動器は、ブラシであるか、又は
c)前記搬送駆動器は、ニードルであるか、又は
d)前記搬送駆動器は、コンベアの進行方向に対して交差する方向に延設されるリップであるか、又は
e)前記外面は、接着剤で貼り付けられたベルト、又は布地、合成皮革、ゴム、シリコーン又はフォーム等種々の材質のストリップから構成されるか、又は
f)前記外面は、柔軟性PVC又はTPE等、柔軟性プラスチックを配置することによってテクスチャを付されていることを特徴とするリンク。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)において、
リンク(2-4,9-12)は、これを構成する材質が同質であることを特徴とするリンク。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)において、前記リンク(2-4,9-12)は、少なくとも部分的に、
a)プラスチック、特にプラスチック布地、織物の布地、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン、ウレタン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、
b)織物の布地、
c)金属、特に金属の布地
の内の一からなることを特徴とするリンク。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一に記載のリンク(9-12)において、
リンク(9-12)を、隣接するリンク(13)に確実に連結するために、コンベアの進行方向に対して交差する方向に延設される交差方向溝部(16)を備えており、
該隣接するリンク(13)は、これに対応している舌状部(18)であってコンベアの進行方向に対して交差する方向に延設される舌状部を有しており、
該舌状部(18)は、確実な連結を形成するよう、前記交差方向溝部(16)に押し込み可能に構成してなることを特徴とするリンク。
【請求項13】
請求項12に記載のリンク(9-12)において、
a)前記交差方向溝部(16)は円形状内側断面を有すると共に、前記舌状部(18)はこれに対応する円形状外側断面を有する、及び/又は
b)交差方向溝部(16)はコンベアの進行方向に対して交差する方向に延設されるスロット(17)と連通しており、装着状態において該スロットには、隣接するリンク(13)の材料ウェブが貫通すると共に、前記材料ウェブが前記舌状部(18)を前記隣接するリンク(13)の他の部分に連結している、及び/又は
c)前記スロット(17)は、前記外面に対して傾斜して、特に外面に対して45°の角度で延びている、及び/又は
d)前記交差方向溝部(16)及び切欠引掛要素(5,6)は、リンク(9-12)の対向端部に配置されてなることを特徴とするリンク。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一に記載のリンク(2-4,9-12)を複数備えてなることを特徴とするリンクコンベア(1,8,22)。
【請求項15】
請求項14に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
a)個々の荷物を輸送するための輸送ベルト、又は
b)バルク材料を運ぶためのコンベアベルト、又は
c)ベルト駆動における動力伝達のための駆動ベルト
であることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
a)歯付きベルト、
b)丸ベルト、
c)Vベルト、
d)Vリブドベルト又は
e)平ベルト
であることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
コンベアの進行方向に対して並んで配置される複数のリンク(2-4,9-12)を備えてなることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項18】
請求項17に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
進行方向に対して連続的に配置されるコンベアリンク(2-4,9-12)は、互いに横方向にオフセットされてなることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項19】
請求項14乃至18のいずれか一に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
リンクコンベア(1,8,22)は、略剛体又は略弾性体である異なるリンク(2-4,9-12)からなることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項20】
請求項19に記載のリンクコンベア(1,8,22)において、
a)コンベアの進行方向における個々の弾性リンク(2-4,9-12)は、2つの隣接する剛性リンク(2-4,9-12)とそれぞれ側面で接している、及び/又は
b)弾性リンク(2-4,9-12)は、ポジティブな及び/又は同一面となる嵌合連結で剛性リンク(2-4,9-12)に連結される、及び/又は
c)剛性リンク(2-4,9-12)は、切欠引掛連結を用いて組にしてそれぞれ連結されてなることを特徴とするリンクコンベア。
【請求項21】
リンクコンベアシステム、特に輸送システム又はベルトドライブであって、
a)上部行程及び下部行程を有する請求項13乃至19のいずれか一に記載のリンクコンベア(1,8,22)と、
b)リンクコンベア(1,8,22)をガイドする2つの方向転換ローラと、
c)リンクコンベアの内側歯状部と、
を備えてなることを特徴とするリンクコンベアシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のリンクコンベアシステムにおいて、
上部行程の下に配置されると共に、上部行程の内側歯状部に沿って摺動する摺動ガイドを備えてなることを特徴とするリンクコンベアシステム。
【請求項23】
請求項21又は22に記載のリンクコンベアシステムにおいて、
内側歯状部の一方の側又は両側に、横方向に隣接して配置される横側ガイドを備えてなることを特徴とするリンクコンベアシステム。
【請求項24】
請求項1乃至13のいずれか一に記載の2つのリンク間の切欠引掛連結を解放するための分解プライヤー(48)。
【請求項25】
請求項24に記載の分解プライヤー(48)において、
ヘッド端部に開口装着スロット(51)を有するプライヤーヘッドを備えており、
リンクコンベアを組み立てる際に開口装着スロット(51)に差し込み可能としたことを特徴とする分解プライヤー。
【請求項26】
請求項24乃至25のいずれか一に記載の分解プライヤー(48)において、
一方の端部が自由端である2つのレバーアーム(49,50)であって、一方の端部が自由端である該2つのレバーアームの遠端部が、関節を用いて回転可能に互いに連結されてなることを特徴とする分解プライヤー。
【請求項27】
請求項26に記載の分解プライヤー(48)において、
レバーアーム(49,50)は、切欠引掛連結を解放するために、切欠引掛連結の切欠引掛連結方向に対して平行に回転可能である、及び/又はリンクコンベアのコンベアの面に対して直角であることを特徴とする分解プライヤー。
【請求項28】
請求項25乃至27のいずれか一に記載の分解プライヤー(48)において、
リンクコンベアに対する前記装着スロット(51)は、2つのレバーアーム(49,50)の回転面に対して直角に延設されてなることを特徴とする分解プライヤー。
【請求項29】
請求項26乃至28のいずれか一に記載の分解プライヤー(48)において、
a)2つのレバーアーム(49,50)は、プライヤーヘッドの内部領域に1つのクランプ顎部(52,53)をそれぞれ有しており、かつ
b)前記2つのクランプ顎部(52,53)は、分解の際に切欠引掛連結を解放するために切欠引掛要素を反対方向に押圧するよう構成してなることを特徴とする分解プライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−526033(P2012−526033A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508947(P2012−508947)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002762
【国際公開番号】WO2010/130363
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511269967)
【氏名又は名称原語表記】HASTEM−MUELLER, Stefan
【Fターム(参考)】