説明

リングヘッド及びそれを用いたローラ部材の製造方法

【課題】本発明の目的は、スリット幅と流体流路の絞り幅とを容易に変更可能なリングヘッドを提供することにある。また、軸芯体の周面に高品位な塗膜が形成されてなるローラ部材の製造方法を提供することにある。
【解決手段】内部に環状の流体分配室を備え、第1のリング部材と第2のリング部材との間隙に構成される、内周面全周に開口しているスリットと、流体導入口と、該流体分配室と該スリットとを連結する環状流路とを有しているリングヘッドであって、該第1のリング部材と該第2のリング部材との間には、該スリットの幅を規定する所定の厚みを有するスペーサが配置されており、流体の流路は、該スペーサにより流路幅が絞られている絞り部を有し、該スペーサはリングヘッドから着脱可能であることを特徴とするリングヘッド及び該リングヘッドを用いたローラ部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングヘッドに関するものである。また、本発明は、軸芯体の周面に塗膜を有するローラ部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、リングヘッドを用いて軸芯体の周面に塗膜を形成する方法が記載されている。
【0003】
リングヘッドを用いた塗膜の形成方法は、リングヘッドの内周面の全周にわたって開口したスリットから塗料を吐出し、リングヘッドと軸芯体とを相対的に移動させることにより、該軸芯体の周面に薄膜層を塗布する方法である。
【0004】
ところで、リングヘッドのリング内周面の全周にわたって開口したスリットの幅が均一でない場合や幅が適正でない場合には、円筒形基材や弾性ローラの円周方向の膜厚ムラが大きくなる場合や、塗布ムラ、液ダレが発生する場合がある。
【0005】
このような課題に対して、リングヘッドを構成する上環状塗布部材と下環状塗布部材との間に吐出口のスリット間隔を調整するためのスペーサを配置してスリット間隔の寸法精度(間隙精度)を向上させることが提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
一方、リングヘッド内の、当該リングヘッドへの流体導入部と吐出口とを結ぶ流体の流路の途中に絞り部を設けて、当該流体の流速を上げ、吐出口からの流体の吐出ムラを軽減する構成が知られている。
【特許文献1】特開昭60−95440号公報
【特許文献2】特開昭61−8164号公報
【特許文献3】特開平08−323265号公報
【特許文献4】特開平09−19653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、リングヘッドは、上記したように、当該リングヘッドから塗料を吐出させて軸芯体の周面に塗膜を形成することの他に、当該リングヘッドから空気などの気体を吐出させて軸芯体の周面に形成した塗料を乾燥することなどにも利用されている。
【0008】
ここで、スリットから吐出させる塗料や気体の性質に応じて、塗布条件や乾燥条件の最適化を図るために、スリットの幅や流体流路を流れる流体の流速を規定する流体流路の絞り幅を変更したいという要求があった。従来は、スリット幅や流体流路の絞り幅を変更した複数のリングヘッドを用意し、リングヘッドを適宜交換することにより上記の要望に対応していた。しかし、複数のリングヘッドを用意することは極めてコストがかかるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、スリット幅と流体流路の絞り幅とを容易に変更可能なリングヘッドを提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的は、軸芯体の周面に高品位な塗膜が形成されてなるローラ部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るリングヘッドは、
内部に環状の流体分配室を備え、
第1のリング部材と第2のリング部材との間隙によって構成されてなる、内周面の全周にわたって開口している流体を吐出するためのスリットと、
該流体分配室に流体を導入する流体導入口と、
該流体分配室と該スリットとを連結する環状流路と、を有しているリングヘッドであって、
該第1のリング部材と該第2のリング部材との間には、該スリットの幅を規定する所定の厚みを有するスペーサが配置されており、該流体分配室から該環状流路を経て該スリットに至る流体の流路は、該スペーサにより該スリットに向けて流れる流体の流速が上昇するように絞られている絞り部を有し、
更に該スペーサは、該第1のリング部材及び該第2のリング部材から着脱可能であることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係るローラ部材の製造方法は、
軸芯体の周面に塗膜を有するローラ部材の製造方法であって、
上記のリングヘッドのスリットから塗料を該軸芯体の周面に供給して塗膜を形成する工程を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るローラ部材の製造方法は、
軸芯体の周面に塗膜を有するローラ部材の製造方法であって、
軸芯体の周面に塗料を塗布する工程と、上記のリングヘッドのスリットから乾燥用の気体を該軸芯体の周面に塗布された塗料に吹き付けて該塗料を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるリングヘッドによれば、厚み及び内径の少なくとも一方が異なるような複数のリング状のスペーサを用意し、それらを適宜交換することによりスリット幅、絞り幅の変更することが可能となる。即ち、複数のリングヘッドを用意する必要がなく、リングヘッドから吐出する塗料や気体の性質に応じて塗工条件や乾燥条件を容易に変更することができる。その結果、塗工条件や乾燥条件の最適化が極めて容易となり、高品位なローラ部材を低コストで製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[本発明に係るリングヘッドの概要]
(第1の態様)
以下、本発明に係るリングヘッドを、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施態様に係るリングヘッド1の概略図である。
【0017】
図1(a)は、該リングヘッド1の平面図である。
【0018】
図1(b)は、図1(a)のA−A´線における断面図である。
【0019】
図1(c)は、図1(a)のB−B´線における断面図である。
【0020】
図1において、101は、第1のリング部材、103は第2のリング部材である。105は、第1のリング部材101と第2のリング部材103との間隙により構成されている、内周面の全周にわたって開口している流体を吐出するためのスリットである。
【0021】
図1(b)において、107は、リングヘッド1内にリング状に設けられている流体分配室である。流体分配室107には、流体導入口109を介して外部から流体が導入されるように構成されている。また、流体分配室107とスリット105とは、環状流路111によって連結されている。
【0022】
第1のリング部材と第2のリング部材との間には、ドーナツ形状のスペーサ113が配置されている。スペーサ113は、その厚みによりスリット105の幅を規定している。
【0023】
また、流体分配室107から環状流路111を経てスリット105に至る流体の流路には、該スペーサ113によって流路幅が狭められた絞り部115が存在している。
【0024】
絞り部115においては、流路の幅115−aが絞ることにより、流体導入口109から流体分配室107に導入されスリット105に向かう流体の流速を上昇させることができる。その結果、スリット105からの流体吐出の均一性を向上する。
【0025】
スペーサ113は、ボルト117を取り外すことにより、第1のリング部材101、第2のリング部材103から着脱可能である。
【0026】
したがって、厚さ、及び内径の少なくとも一方が異なるスペーサを複数用意しておき、それらを交換することで、スリット105の幅、及び絞り部115の流路幅115−aを独立に調整することができる。その結果、特性の異なる塗布液や気体を用いて塗布条件や乾燥条件の最適化を検討に容易に対応することができる。
【0027】
図1(c)において、103−1は、第2のリング部材103の一部として設けられている位置決め用のピンである。
【0028】
そして、第1のリング部材101には、ピン103−1に対応する位置に、ピン103−1と係合可能な孔部101−1が設けられている。また、スペーサ113には、ピン103−1に対応する位置に、孔部113−1が設けられている。これにより、第1のリング部材101、第2のリング部材103及びスペーサ113を同心となるように組み立てることができる。
【0029】
尚、図2(a)、(b)及び(c)は、図1に示した第1のリング部材101、スペーサ113及び第2のリング部材103の断面図である。
【0030】
また、図3は(a)、(b)及び(c)は、図1に示した第1のリング部材101、スペーサ113及び第2のリング部材103の平面図である。
【0031】
本発明に係るリングヘッドを構成する第1のリング部材101とスペーサ113との間、及び第2のリング部材103とスペーサ113との間で流体が漏出しないように、各部材間には、Oリング等でシールしておくことが好ましい。
【0032】
第1のリング部材、第2のリング部材の材質としては、加工精度の高いステンレス等の鋼材を用いることが好ましい。また、アルミニウムや樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)を用いてもよい。
【0033】
(第2の態様)
図4は、本発明の第2の実施態様に係るリングヘッド2の概略図である。
【0034】
図4(a)は、該リングヘッド2の平面図、図4(b)、(c)は、図4(a)のA−A´線、B−B´線における断面図である。
【0035】
図1に示した第1の態様に係るリングヘッド1においては、スペーサ113の厚みによって、スリット105の幅だけでなく流体流路の絞り部115の長さ115−bが自ずから規定される。
【0036】
これに対して、本実施態様に係るリングヘッド2においては、絞り部115の流路幅115−a、及び絞り部の長さ115−bが、ドーナツ形状のリングヘッド113の中心孔の径によって規定される。つまり、絞り部115の構成を、スリット105の幅とは独立して調整できる点が実施態様1とは異なる。
【0037】
スリット105の幅を一定として、絞り部115の構成を調整して塗布、乾燥に最適な条件を検討する場合には、本実施態様に係るリングヘッド2は、好ましい構成と言える。
【0038】
[ローラ部材の製造方法]
次に、本発明に係るリングヘッドを用いたローラ部材の製造方法を説明する。
【0039】
本発明に係るリングヘッドを、軸芯体の周面に形成した塗膜の乾燥工程に適用したローら部材の製造方法について図5を用いて説明する。
【0040】
図5において、1は、本発明に係るリングヘッド、501は、軸芯体503の周面に弾性層505が形成されているゴムローラである。また、507は、弾性層505の周面に形成された塗膜である。また、509は、ゴムローラ501を把持し、リングヘッド1に対して移動させるゴムローラ搬送手段である。
【0041】
ゴムローラ501は、リングヘッド1と同心となるように配置する。また、ゴムローラ501は、ゴムローラの保持部材509に固定して垂直状態に保持する。更に、ゴムローラ501とスリット105は所定の間隔をなすよう配置されている。
【0042】
リングヘッド1の外部に配置した気体の供給側圧力ライン(不図示)から精密レギュレーターにより圧力設定されて2箇所の流体供給口109に乾燥用の気体を供給する。リングヘッド1内の1箇所以上の気体の分配室107にて当該気体を合流させる。当該気体は、分配室107からスリット105に向けて流れる過程において、絞り部115にて流速が上げられ、リングヘッド1周方向における気体の流速が均一化される。
【0043】
そして、気体は、スリット105から塗膜に向けて吐出される。
【0044】
ゴムローラ501表面への気体の吹きつけは、ゴムローラ501とリングヘッド1とを所定の速度で相対的に移動させながら、気体を吹きつけることにより行うことができる。
【0045】
乾燥用の気体としては化学的に不活性で安定な気体が好適である。これらの気体の具体例は、空気、窒素、ヘリウム、アルゴンなどを含む。
【0046】
また気体の温度、湿度は、乾燥速度に応じて適宜設定すればよい。
【0047】
更に、供給側圧力ラインのドレンやゴミなどの滞留を防止するために、供給側圧力ラインと精密レギュレーターの間にエアーフィルタ、ミストセパレイタを入れることが好ましい。
【0048】
精密レギュレーターで設定される圧力については、0.005〜0.6MPaの間で調整するのが好ましい。この数値範囲とすることで、塗膜の乾燥を促進させることができる。また、塗膜の表面形状に乱れ(はじき、ムラ)が生じることも有効に抑制できる。ここで、塗膜507の表面に吹きつける気体の圧力とゴムローラ501の保持部材509の表面に吹きつける気体の圧力をかえて制御しても良い。
【0049】
塗膜の乾燥に用いるリングヘッドにおいて、スリット105の幅は、0.01mm以上1.0mm以下の範囲が好ましい。前記範囲内では、ゴムローラ501表面の塗膜507の液面形状に乱れ(はじき、ムラ)が生じにくい。
【0050】
また、乾燥対象たる塗膜507に対するスリット105の角度(図5におけるθ)は、0〜60度とすることが好ましい。前記範囲内では、ゴムローラ501表面の塗膜507の乾燥を促進させる効果が高い。
【0051】
このようなリングヘッドを用いた乾燥方法によれば、スリットからの乾燥用の気体の吐出をその周方向にわたって極めて均一化することができる。
【0052】
また、スペーサが着脱可能に構成されているため、厚さ及び内径の少なくとも一方が互いに異なっている複数のスペーサを用意しておくことにより、スリットからの乾燥用の気体の吐出を容易に微調整することが可能である。
【0053】
これにより、被乾燥対象である塗膜の材料を変更した場合にも、当該塗膜の乾燥条件の最適化を容易に行うことができる。その結果、乾燥ムラ等のない、高品位な表面層を弾性層表面に有するローラ部材を得ることができる。
【0054】
尚、上述のゴムローラ501は、例えば以下のようにして製造される。
【0055】
まず、軸芯体503上に弾性層505が設けられたゴムローラの成形方法として、以下の方法が挙げられる。
【0056】
(1)中空の円筒金型の内部に、軸芯体503を2つの円筒駒を用いて同心に配置する。当該円筒金型内に、弾性層の原料であるゴム組成物を注入する。その後、当該金型を加熱してゴム組成物を硬化させて軸芯体503の周面に弾性層505を形成する。
【0057】
(2)軸芯体とゴム組成物とをクロスヘッドを用いて一体に押出して軸芯体の周面をゴム組成物で被覆し、その後ゴム組成物を硬化させて軸芯体503の周面に弾性層505を形成する。
【0058】
製造時間の短縮を考えると、上記(2)の方法が好適に用いられる。
【0059】
軸芯体としては、例えば、ニッケルメッキしたSUM材等の鋼材を含むステンレススチール棒、リン青銅棒、アルミニウム棒、耐熱樹脂棒が好ましい。
【0060】
また、弾性層505は、例えば、導電性の弾性層である。このような弾性層を構成するゴムの材料の例は以下のものを含む。天然ゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴム、熱可塑エラストマー等。
【0061】
弾性層中に分散させる導電剤の例は、カーボンブラック、導電性カーボン等のカーボン類、金属粉、導電性の繊維、酸化スズ等の半導電性金属酸化物粉体、更にはこれらの混合物等を含む。
【0062】
次に、本発明に係るリングヘッドを、ローラ部材を構成する、軸芯体の周面等に形成されてなる被膜の形成工程に用いた、ローラ部材の製造方法の一態様を、図6を用いて説明する。
【0063】
図6において、図5と共通の部材については同一の図番を付した。
【0064】
本態様においては、リングヘッド2の外部にある、不図示の液供給手段(シリンジポンプ、不図示)から、流体導入口109に塗料を供給する。
【0065】
供給された塗料は、流体分配室107の全周にわたって、ほぼ充填される。その後、スリット105に向けて流動するが、絞り部115を通過することで、流速が上昇し、周方向の樹脂量のより一層の均一化が図られる。そして、スリット105から、弾性層505の表面に吐出される。
【0066】
ゴムローラ501表面への塗料の吐出量は、塗膜507の厚さ、塗料の固形分の比率、塗料の粘度、塗布速度(ゴムローラ501とリングヘッド2との相対移動速度)を考慮して適宜設定する。
【0067】
また、ゴムローラの保持部材509表面への吐出量とゴムローラ501表面への吐出量を変化させても良い。
【0068】
例えばゴムローラ501の弾性層505表面への吐出量を所望の塗布膜厚等より算出し、これよりも少ない吐出量でゴムローラの保持部材509表面に塗布する。これにより、ゴムローラの保持部材509から塗料がゴムローラ501の表面に垂れるのを有効に抑えられる。
【0069】
本態様に示したように、塗膜の形成に発明に係るリングヘッドを用いる場合において、スリット105の幅は0.01mm以上1.0mm以下が好ましい。具体的には、塗料の粘度、塗料中の添加材料によって適宜選択、決定される。
【0070】
塗膜の構成材料の例は、シリコーン系、フッ素系、ウレタン系、アクリル系、ウレタン変性アクリル系、シリコーン変性ウレタン系材料が挙げられる。特にフッ化アルキル基及びオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する材料が好ましい。
【0071】
上記塗料には、塗布性向上のために、適当な溶剤を添加してもよい。溶剤としては、例えば、エタノール、2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチル、メチルエチルケトンなど、或いは、これらを混合したものが挙げられる。塗料の粘度は特に限定しないが、10nm以上1000nm未満の表面層を形成するためには低粘度の方が好ましい。具体的には、B型粘度計の値で0.5〜2.0mPa・sが好ましい。また、速乾性のある溶剤希釈系を用いると乾燥が速まり、塗布ムラや液ダレを抑えることができるため、より好ましい。
【0072】
前記リングヘッドを用いた塗布方法により、ゴムローラ501の弾性層505の表面に塗料を塗布した直後に、上述したように、ゴムローラ表面に対して所定の間隔をなす距離に配置した本発明に係るリングヘッドを用いて乾燥させてもよい。
【0073】
本発明の塗布用のリングヘッドを用いたリングヘッド塗布方法又は本発明の乾燥用のリングヘッドを用いたリングヘッド乾燥方法における、ゴムローラ501とリングヘッドの相対移動速度は、1〜200mm/sが好ましい。前記範囲内では、ゴムローラ表面への円周方向の塗布の均一性又は乾燥の均一性が高い。
【0074】
[ローラ部材製法]
次に、ゴムローラ501の弾性層505の表面に塗料を吐出して形成した塗膜507の硬化方法について説明する。
【0075】
塗膜507は加熱硬化させても良い。この場合は、熱風炉、熱盤、遠・近赤外線による加熱、誘導加熱等のいずれの方法でも良い。これらの加熱方法を併用しても良い。
【0076】
また、活性エネルギー線を照射して硬化させても良く、この場合は短時間での硬化が可能になる。活性エネルギー線は紫外線でも電子線でも良い。
【0077】
また、表面層に活性エネルギー線を照射する場合はゴム層も同時に改質・硬化される。特に、ゴム層が二重結合を有するゴムを含むとき、活性エネルギー線での照射による改質・硬化の効果が大きいため好ましい。
【0078】
本発明に係る方法により得られたローラ部材は、例えば、LBP(Laser Beam Printer)、複写機及びファクシミリ等の画像形成装置の電子写真用部材として用いられる。ここでは、前記ローラ部材を帯電ゴムローラとして用いた場合の使用形態を図7に示した。画像形成装置は、回転ドラム型・転写方式の電子写真装置であって、19は像担持体としての電子写真感光体(感光ドラム)であり、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。感光ドラム19は、その回転過程で帯電手段としての電源E1から帯電バイアスを印加した帯電ゴムローラ20により周面が所定の極性・電位(本実施例では−600V)に一様帯電処理される。次いで露光系21により目的の画像情報に対応したネガ画像露光(原稿像のアナログ露光、デジタル走査露光)を受けて周面に目的画像情報の静電潜像が形成される。その後、静電潜像がマイナストナーによる反転現像方式のトナー現像ローラ22によりトナー画像として現像される。そしてトナー画像が感光ドラム19と転写手段としての転写ローラ23との間の転写部に不図示の給紙手段から所定のタイミングで転写材が給送される。転写ローラ23に対して電源E2から約+2〜3KVの転写バイアスが印加され、感光ドラム19面の反転現像されたトナー像が転写材に対して順次転写されていく。トナー画像の転写を受けた転写材は、感光ドラム19面から分離されて不図示の定着手段へ導入されて像定着処理を受ける。トナー画像転写後の感光ドラム19面は、クリーニング手段24で転写残りトナー等の付着汚染物の除去処理を受けて清浄面化されて繰り返して作像に供される。
【0079】
以上説明したように、本発明のリングヘッドをローラ部材の製造において用いることで、膜厚ムラ及び塗布・乾燥欠陥を抑えることが可能になる。特に、特性の異なる塗布液や気体を使用する場合にも対応が容易でありかつリングヘッドのコストを抑えることで、量産性にも優れ低コストで高品質な弾性ローラを安定して製造できる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、各実施例及び比較例において形成したローラ部材表面層の塗布工程に起因する外観上の欠陥(塗布ムラ、液ダレ等)や、表面層乾燥工程に起因する欠陥(乾燥オビ、乾燥スジ等)については、ローラ部材表面層を目視により下記の基準に基づいて評価した。
【0081】
評価は、
◎:塗布・乾燥の欠陥が全く見られないもの、
○:塗布・乾燥の欠陥が数箇所しか見られないもの、
×:塗布・乾燥の欠陥が多数の箇所に見られるもの、と判定した。
【0082】
また、本発明における膜厚測定、膜厚ムラについてはESCAにて深さ方向分析を行った。ESCAは製品名「Quantum2000」(アルバックファイ社製)を用いた。X線発生条件としてモノクロAl kα線 25W、15kVの条件で、φ100μmの領域についてtilt 45°にてSi 2Pピークをパスエネルギー23.5eV、ステップ幅0.1eV、スキャン回数5回で取り込む。
【0083】
スパッタ時間6秒の繰り返しスパッタにてSi 2Pピーク強度が一定になるまで測定した。
【0084】
スパッタはArイオンを用い、スパッタ条件は加速電圧4kV、スパッタ領域は2×2mm2とした。
【0085】
ここでSi 2Pピーク強度が一定になるまでに要した合計スパッタ時間を、あらかじめ求めておいたスパッタ率にて膜厚に換算した。
【0086】
この時のスパッタ率は30nm/minであった。スパッタ率は膜厚をSEMやTEM等で測定したものと同等の試料をESCAにて深さ方向分析を行うことで決定した。
【0087】
なおESCAの測定サンプルはローラ部材の表面から表面層が5×5mm2の大きさになるように切り出した。表面層の平均膜厚はローラ部材上の長手方向3箇所、周方向4箇所(0°、90°、180°、270°)を測定した値を平均して算出した。また膜厚ムラについては、周方向4箇所の((最大値−最小値)/平均値)*100(%)で算出した。
【0088】
[実施例1]
<リングヘッド>
図1に示したリングヘッドを2つ(塗料の塗布用、及び塗膜の乾燥用)作製した。当該リングヘッドを構成する各部材のサイズは以下の通りとした。
第1のリング部材101:外径30mm、内径10mm。
第2のリング部材103:外径30mm、内径10mm。
スペーサ113:厚さ0.5mm(=絞り長さ115−b)、内径14.7mm。
スリット105の幅:0.5mm。
絞り部115の流路幅(115−a):0.2mm。
第2のリング部材の流体分配室107:外径20.5mm、内径14.5mm。
【0089】
<ゴムローラの作製>
以下の原料を加圧式ニーダーで15分間混練した。
・NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム) 100質量部
(商品名「Nipol DN219」:日本ゼオン(株)製)
・カーボンブラック1 14質量部
(商品名「旭HS−500」:旭カーボン(株)製)
・カーボンブラック2 4質量部
(商品名「ケッチェンブラックEC600JD」:ライオン(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 1質量部
・酸化亜鉛 5質量部
・炭酸カルシウム 30質量部
(商品名「ナノックス#30」:丸尾カルシウム(株)製)
更に、加硫促進剤(DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)1質量部、加硫促進剤(TBzTD:テトラベンジルチウラムジスルフィド)3質量部及び加硫剤(イオウ)1.2質量部を加え、15分間オープンロールで混練し未加硫ゴム組成物を作製した。次いで、外径φ6mm、長さ252mmのステンレス棒の芯金を用意した。ここで、クロスヘッド押出機を用いて前記芯金と未加硫ゴム組成物とを一体に押出してゴムローラを成形した。その後160℃、1時間加熱加硫を行い、更に回転砥石を用いた乾式研磨、端部の切断・除去処理により、厚み1.25mm、長さ232mmのゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0090】
<表面層の形成方法>
下記原料を用意した。
・グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES):27.84g(0.100mol)
・メチルトリエトキシシラン(MTES):17.83g(0.100mol)
・トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオロアルキル基の炭素数6):7.68g(0.0151mol)(加水分解性シラン化合物総量に対して7mol%相当)
・水:17.43g
・エタノール:37.88g
上記原料を混合した後、室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物を加水分解、縮合して加水分解性縮合物を得た。この加水分解性縮合物を2−ブタノール/エタノールの混合溶剤(2−ブタノール/エタノール=10 /65(質量比))に添加することによって、固形分7.0質量%の加水分解性縮合物含有アルコール溶液を調製した。この加水分解性縮合物含有アルコール溶液100gに対して、0.35gの光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩(商品名:「アデカオプトマーSP−150」、ADEKA(株)製)を添加した。更に固形分2.0質量%となるようにエタノールで希釈して表面層用の塗料を調製した。
【0091】
先に作製したゴムローラを、先に作製したリングヘッドの1つと同心となるように配置し、リングヘッドの供給口109に、先に調製した塗料を供給して、ゴムローラ501の弾性層505の周面に塗膜507を形成した。ゴムローラ501の表面に対してリングヘッドを85mm/sの一定の速度で垂直移動すると同時に前記塗料を0.023mL/sの吐出速度で塗布した。
【0092】
その後、先に調製した2つのうちの他のリングヘッドを用いて、図5に示した方法により塗膜を乾燥させた。
【0093】
具体的には、乾燥気体としての空気の供給側圧力ラインから供給される空気圧を、精密レギュレーターにより0.01MPaに設定し、リングヘッドに具備された2箇所の供給口109に供給した。
【0094】
リングヘッドをゴムローラ周面の塗膜表面に対して85mm/sの一定の速度で垂直移動すると同時に圧力0.01MPaの空気を吹きつけて塗膜の乾燥を行った。
【0095】
その後、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)による紫外線照射を5分間行った。紫外線照射に関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で行い、この時の紫外線積算光量は約10000mJ/cm2であった(紫外線強度は35mW/cm2)。
【0096】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥が数箇所しか観察されなかった(評価:○)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は23nmで周方向4箇所の膜厚ムラは15%であった。
【0097】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2]
<ゴムローラの作製>
前記の実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0099】
<表面層の形成方法>
実施例1の乾燥用のリングヘッドを構成するスペーサを交換することで、スリット105の幅を0.5mm、絞り部115の流路幅(115−a)を0.1mmに規定した。前記事項以外は実施例1と同様のリングヘッド乾燥方法で塗料塗布後のゴムローラの乾燥を行い、紫外線照射による硬化を行った。
【0100】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥は全く観察されなかった(評価:◎)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は19nmで周方向4箇所の膜厚ムラは10%であった。
【0101】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0102】
[実施例3]
<ゴムローラの作製>
実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0103】
<表面層の形成方法>
表面層用の塗料を固形分3.0質量%となるようにエタノールで希釈して調製したこと以外は実施例2と同様のリングヘッド乾燥方法で塗料塗布後のゴムローラの乾燥を行い、紫外線照射による硬化を行った。
【0104】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥は数箇所しか観察されなかった(評価:○)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は31nmで周方向4箇所の膜厚ムラは19%であった。
【0105】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0106】
[実施例4]
<ゴムローラの作製>
前記の実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0107】
<表面層の形成方法>
前記実施例1の乾燥用のリングヘッドを構成するスペーサを交換することで、スリット105の幅を0.4mm、絞り部115の流路幅(115−a)を0.1mmに規定した。それ以外は前記の実施例1と同様のリングヘッド乾燥方法でローラ部材の塗布後の乾燥を行い、紫外線照射による硬化を行った。
【0108】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥は全く観察されなかった(評価:◎)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は27nmで周方向4箇所の膜厚ムラは11%であった。
【0109】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0110】
[比較例]
<ゴムローラの作製>
前記の実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0111】
<表面層の形成方法>
前記実施例1のスペーサを使用せず第1のリング部材、第2のリング部材だけで乾燥用のリングヘッドを構成し、スリット105の幅だけを0.5mmに規定して絞り部115を設けなかった。それ以外は前記の実施例1と同様のリングヘッド乾燥方法でゴムローラの塗布後の乾燥を行い、紫外線照射による硬化を行った。
【0112】
本比較例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥が多数の箇所で観察された(評価:×)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は24nmで周方向4箇所の膜厚ムラは27%であった。
【0113】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本比較例のローラ部材は乾燥オビ、乾燥スジ等の乾燥欠陥が原因と考えられる画像不良が確認された。結果を表1に示す。
【0114】
[実施例5]
<リングヘッド>
図4に示したリングヘッドを作製した。当該リングヘッドを構成する各部材のサイズは以下の通りとした。
第1のリング部材101:外径60mm、内径10mm。
第2のリング部材103:外径60mm、内径8.7mm、絞り流路幅部内径20mm。
スペーサ113:厚さ10.05mm、内径20.2mm。
絞り長さ115−b:9.9mm。
スリット105の幅:0.05mm。
絞り部115の流路幅(115−a):0.1mm。
第2のリング部材の流体分配室107:外径50mm、内径40mm。
【0115】
<ゴムローラの作製>
前記実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0116】
<表面層の形成方法>
前記実施例1と同様の表面層用の塗料を固形分1.0質量%となるようにエタノールで希釈して本実施例の塗料を調製した。
【0117】
先に作製したゴムローラを、図6に示したように、先に作製したリングヘッドと同心となるように配置した。リングヘッドの供給口109に、先に調製した塗料を供給して、ゴムローラ501の弾性層505の周面に塗膜507を形成した。ゴムローラ501の表面に対してリングヘッドを85mm/sの一定の速度で垂直移動すると同時に前記塗料を0.023mL/sの吐出速度で塗布した。
【0118】
塗料を自然乾燥後、低圧水銀ランプ(ハリソン東芝ライティング製)による紫外線照射を5分間行った。紫外線照射に関しては、主に254nmの波長を代表とする紫外線で行い、この時の紫外線積算光量は約10000mJ/cm2であった(紫外線強度は35mW/cm2)。
【0119】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には塗布ムラ、液ダレ等の塗布欠陥は全く観察されなかった(評価:◎)。また、ESCAによる膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は17nmで周方向4箇所の膜厚ムラは9%であった。
【0120】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。この評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0121】
[実施例6]
<ゴムローラの作製>
前記実施例1と同様の方法でゴムローラを得た(ゴムローラ外径φ8.5mm)。
【0122】
<表面層の形成方法>
表面層用の塗料を以下のように調製した。
【0123】
ウレタン樹脂(商品名:「ニッポランN5033」、日本ポリウレタン社製)のメチルイソブチルケトン溶液(固形分濃度:約20%)の溶液を調製した。当該溶液に、導電性カーボン(商品名:「MA100」、三菱化学製)及び平均粒径5μmのアクリル樹脂粒子(商品名:「MBX−5」、積水化成品工業製)を添加して十分に攪拌分散した。上記導電性カーボン及びアクリル樹脂粒子の添加量は、各々ウレタン樹脂成分100質量部に対して55質量部(導電性カーボン)、30質量部(アクリル樹脂粒子)とした。
【0124】
また本実施例に用いたリングヘッドは、実施例5で使用したリングヘッドのスペーサを交換して、スリット105の幅を0.1mm、絞り部115の流路幅(115−a)を0.1mmに調整した。
【0125】
上記塗料及びリングヘッドを用いて、ゴムローラ表面に対して30mm/sの一定の速度で垂直移動すると同時に塗料を0.008mL/sの吐出速度で全周均一に塗布を行った。
【0126】
その後、ゴムローラを室温で30分風乾して、更に熱風循環乾燥機中で温度160℃、1時間の乾燥・硬化を行った。
【0127】
本実施例のローラ部材表面を目視で観察・評価した結果、ローラ部材表面には塗布ムラ、液ダレ等の塗布欠陥は数箇所しか観察されなかった(評価:○)。また、SEMによるローラ部材断面観察による膜厚測定の結果、表面層の平均膜厚は8μmで周方向4箇所の膜厚ムラは13%であった。
【0128】
更に、前記ローラ部材を図7に示す電子写真方式の画像形成装置に帯電ゴムローラとして組込み、感光ドラムの両端に500gずつの荷重を負荷した状態で圧接し、23.5℃/60%の環境でハーフトーン画像による初期画像評価を行った。本評価において、本実施例のローラ部材は良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0129】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】リングヘッド1の模式図(a)上部図(b)A-A´断面図(c)B-B´断面図
【図2】リングヘッド1のバラシ構造の断面模式図(a)第1のリング部材(b)第2のリング部材(c)スペーサ
【図3】リングヘッド1のバラシ構造の各部材の上部模式図(a)第1のリング部材(b)第2のリング部材(c)スペーサ
【図4】リングヘッド2の模式図(a)上部図(b)A-A´断面(c)B-B´断面
【図5】リングヘッド乾燥方法の模式図(断面図)
【図6】リングヘッド塗布方法の模式図(断面図)
【図7】画像形成装置の概略を示す構成図
【符号の説明】
【0131】
1 リングヘッド1(乾燥)
2 リングヘッド2(塗布)
19 電子写真感光体(感光ドラム)
20 帯電ゴムローラ(帯電手段)
21 露光系
22 現像ローラ(現像手段)
23 転写ローラ(転写手段)
24 クリーニング手段
101 第1のリング部材
101−1 位置決め用のピンと係合可能な孔部
103 第2のリング部材
103−1 位置決め用のピン
105 スリット
107 流体分配室
109 流体導入口
111 環状流路
113 スペーサ
113−1 位置決め用のピンに対応する孔部
115 絞り部
115−a 流路幅
115−b 絞り長さ
117 ボルト
501 ゴムローラ
503 軸芯体
505 弾性層
507 塗膜
509 ゴムローラ搬送手段(ゴムローラの保持部材)
E1、E2、E3 バイアス印加用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に環状の流体分配室を備え、
第1のリング部材と第2のリング部材との間隙によって構成されてなる、内周面の全周にわたって開口している流体を吐出するためのスリットと、
該流体分配室に流体を導入する流体導入口と、
該流体分配室と該スリットとを連結する環状流路と、を有しているリングヘッドであって、
該第1のリング部材と該第2のリング部材との間には、該スリットの幅を規定する所定の厚みを有するスペーサが配置されており、該流体分配室から該環状流路を経て該スリットに至る流体の流路は、該スペーサにより該スリットに向けて流れる流体の流速が上昇するように絞られている絞り部を有し、
更に該スペーサは、該第1のリング部材及び該第2のリング部材から着脱可能であることを特徴とするリングヘッド。
【請求項2】
軸芯体の周面に塗膜を有するローラ部材の製造方法であって、
請求項1に記載のリングヘッドのスリットから塗料を該軸芯体の周面に供給して塗膜を形成する工程を有することを特徴とするローラ部材の製造方法。
【請求項3】
軸芯体の周面に塗膜を有するローラ部材の製造方法であって、
軸芯体の周面に塗料を塗布する工程と、
請求項1に記載のリングヘッドのスリットから乾燥用の気体を該軸芯体の周面に塗布された塗料に吹き付けて該塗料を乾燥させる工程と、を有することを特徴とするローラ部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−66507(P2009−66507A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236805(P2007−236805)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】