説明

リングレーザジャイロ

【課題】測定精度を高めることが可能な新規なリングレーザジャイロを提供する。
【解決手段】本発明のジャイロは、周回光路10、ファラデー回転子13、周回光路10を互いに逆方向に進行する第1および第2のレーザ光を発生させるための光増幅手段、光取り出し手段(光結合器15)、受光素子(フォトダイオード20)、および、周回光路10を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるための手段(光路切り替えスイッチ18)を備える。周回光路10は、環状の第1の光路11と環状の第2の光路12とを含む。第1の状態では、第1のレーザ光が第1および第2の光路11および12を時計回りに進行する。第2の状態では、第1のレーザ光が第1の光路11を時計回りに進行し、且つ、第2の光路12を反時計回りに進行する。第2の状態におけるフォトダイオード20の出力を用いて、第1の状態における回転角速度の検出が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングレーザジャイロに関する。
【背景技術】
【0002】
回転する物体の回転角速度を検出するためのジャイロの中でも、リングレーザジャイロは精度が高いという特徴を有する。従来のリングレーザジャイロの一例では、多角環状の光路を互いに逆方向に進む2つのレーザ光の周波数差を用いて角速度の検出が行われる。このようなジャイロとして、希ガスレーザを用いたジャイロが提案されている(たとえば特許文献1参照)。このジャイロでは、環状の光路を互いに逆方向に周回するレーザ光を取り出して干渉縞を形成させる。また、光ファイバを用いたリングレーザジャイロも提案されている(たとえば特許文献2および3参照)。環状の光路を逆方向に進行する2つのレーザ光の周波数差Δfは、以下の式で表される。
【0003】
【数1】

【0004】
式中、Lは光路の周回長であり、Aは光路の内側の面積であり、λはレーザ光の波長であり、nは光路の屈折率であり、Ωは回転角速度である。
【0005】
しかし、リングレーザジャイロでは、回転角速度が小さいときにロックイン現象が生じて回転角速度を検出できなくなるという問題があった。このような問題を解決するために、ジャイロに機械的な振動を与える方式が提案されている。しかし、機械的に振動を与える方式は、ランダムノイズの発生や、装置の大型化や消費電力の増大といった問題があった。
【0006】
上記問題に対応するため、光路の途中にファラデー素子を配置したジャイロが提案されている(たとえば非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−351881号公報
【特許文献2】特開平7−218271号公報
【特許文献3】特開2007−212247号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】レビューズ・オブ・モダン・フィジックス(Reviews of Modern Physics)、Vol.57、No.1、1985年、77〜78ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ファラデー素子を用いた場合、ファラデー素子によって導入された固定バイアスの揺らぎが大きいという問題がある。そのため、その揺らぎによって測定精度が低下してしまう。
【0010】
このような状況において、本発明は、測定精度を高めることが可能な新規なリングレーザジャイロを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために検討した結果、本件発明者らは、周回光路の形状を可変にするという従来にはない新規な発想によって固定バイアスの揺らぎの影響を低減できることを見出した。このような知見は従来全く知られておらず、本件発明はこの新たな知見に基づく発明である。
【0012】
すなわち、本発明のリングレーザジャイロは、回転角速度を検出するリングレーザジャイロであって、周回光路と、前記周回光路の途中に配置されたファラデー回転子と、前記周回光路を互いに逆方向に進行する第1および第2のレーザ光を発生させるための光増幅手段と、前記第1および第2のレーザ光の一部を前記周回光路から取り出す光取り出し手段と、前記周回光路から取り出された前記第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子と、前記周回光路を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるための切り替え手段とを備える。前記周回光路は、環状の第1の光路と環状の第2の光路とを含む。前記第1の状態では、前記第1のレーザ光が前記第1および前記第2の光路を時計回りに進行する。前記第2の状態では、前記第1のレーザ光が前記第1の光路を時計回りに進行し、且つ、前記第1のレーザ光が前記第2の光路を反時計回りに進行する。前記第2の状態における前記少なくとも1つの受光素子の出力を用いて、前記第1の状態における回転角速度の検出が校正される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロックイン現象の影響が小さいリングレーザジャイロが得られる。そのため、本発明によれば、回転角速度が低い領域における測定精度が高いリングレーザジャイロが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のジャイロの一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示したジャイロの周回光路の配置を模式的に示す斜視図である。
【図3】図1に示したジャイロの周回光路の配置を模式的に示す平面図である。
【図4A】図1に示したジャイロの機能を示す図である。
【図4B】図1に示したジャイロの機能を示す図である。
【図5】図1に示したジャイロの機能を示す図である。
【図6】本発明のジャイロの他の一例の構成を模式的に示す図である。
【図7】図6に示したジャイロの機能を示す図である。
【図8】図6に示したジャイロの機能を示す図である。
【図9】本発明のジャイロのその他の一例の構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明のジャイロのその他の一例の構成を模式的に示す図である。
【図11】図10に示したジャイロの機能を示す図である。
【図12】図10に示したジャイロの機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について例を挙げて説明する。ただし、本発明は以下で述べる例には限定されない。以下の説明において特定の材料や特定の数値を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の材料や他の数値を適用してもよい。
【0016】
[リングレーザジャイロ(リングレーザジャイロ素子)]
本発明のジャイロは、1つの平面(以下、「平面(P)」という)内における回転角速度を検出(センシング)できるリングレーザジャイロである。このジャイロは、周回光路と、ファラデー回転子と、光増幅手段と、光取り出し手段と、少なくとも1つの受光素子と、切り替え手段とを備える。このジャイロは、必要に応じて、受光素子の出力を処理して回転角速度を算出する演算処理装置をさらに備えてもよい。なお、そのような演算処理装置は、本発明のジャイロ素子が実装される外部装置の一部であってもよい。また、このジャイロは、受光素子から出力された信号を解析するためのスペクトラムアナライザなどを備えてもよい。
【0017】
周回光路は、閉じた光路である。周回光路が後述する第1の状態または第2の状態のいずれかにあるとき、周回光路を一方向に進む光はその周回光路を周回する。
【0018】
光増幅手段(光増幅器)は、周回光路を互いに逆方向に進行する第1および第2のレーザ光を発生させるために用いられる。光増幅手段は、半導体光増幅器(SOA)であってもよい。この場合には、半導体光増幅器に電流が注入されることによって第1および第2のレーザ光が発振される。また、光増幅手段は、光ファイバアンプであってもよい。この場合には、光ファイバアンプに励起用のレーザ光が入力されることによって第1および第2のレーザ光が発振される。光ファイバアンプの一例には、エルビウム、ツリウムおよびプラセオジムなどの希土類元素のイオンがドープされた光ファイバを用いることができる。光増幅手段と周回光路(共振器)とは、第1および第2のレーザ光を発生させるレーザ光発生手段の少なくとも一部として機能する。
【0019】
ファラデー回転子は、周回光路の途中に配置される。ファラデー回転子は、たとえば、第1の光路および/または第2の光路の途中に配置される。本発明のジャイロに含まれるファラデー回転子の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本発明の効果が得られる限りファラデー回転子の回転角に限定はなく、たとえば、45°、60°、または90°であってもよい。ファラデー回転子の周囲には、必要に応じて、ファラデー回転子に磁界を印加するための磁石が配置される。
【0020】
ファラデー回転子を周回光路中に配置することによって、第1のレーザ光に対する周回光路の光路長と、第2のレーザ光に対する周回光路の光路長との間に差が生じる。その結果、第1のレーザ光の周波数と第2のレーザ光の周波数との差Δfは、ジャイロの回転に基づく周波数差(サニャック効果に基づく周波数差)と、ファラデー回転子による一定の周波数差(固定バイアス)とを含むものとなる。ジャイロが低速で回転しているとき、すなわち、ジャイロの回転に基づく周波数差が小さいときでも、周波数差Δfは、ファラデー回転子による周波数差を含む。そのため、本発明のジャイロでは、ロックイン現象の影響を抑制できる。
【0021】
光取り出し手段は、第1および第2のレーザ光の一部を周回光路から取り出す。一例の光取り出し手段は、光結合器を含む。周回光路が光ファイバで構成される場合には、市販の光結合器を用いることができる。周回光路が光導波路で構成される場合には、2本の光導波路を近接させて光結合器として機能させることが可能である。
【0022】
本発明のジャイロは、周回光路から取り出された第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子を含む。受光素子の例には、フォトダイオードやフォトトランジスタが含まれる。受光素子の出力から、第1のレーザ光の周波数と、第2のレーザ光の周波数との差が求められる。この周波数差から、回転角速度が算出される。
【0023】
本発明のジャイロは、周回光路から取り出された第1および第2のレーザ光を重ね合わせるための重ね合わせ手段を含んでもよい。そのような重ね合わせ手段の一例は、光結合器を含む。また、そのような重ね合わせ手段の他の一例は、プリズムを含む。第1および第2のレーザ光を重ね合わせることによって、両者の周波数差に対応するビート信号が発生する。このビート信号を検出することによって両者の周波数差を求めることができ、その周波数差から回転角速度を算出できる。
【0024】
切り替え手段は、周回光路を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。切り替え手段には、市販の光スイッチを用いることが可能である。たとえば、アジレント社製の81594B、IO Tech社製の「eol 2x2」、EO Space社製の「Ultra−High−Speed 2x2 Optical Switches」などを用いることができる。
【0025】
周回光路は、環状の第1の光路と環状の第2の光路とを含む。ここで、「環状」には、円環状の形状に加えて、楕円環状や多角環状の形状も含まれる。第1の光路は閉じた光路ではないが、第1の光路の両端は近接しているため、環状であるとみなすことができる。同様に、第2の光路も環状であるとみなすことができる。
【0026】
基本的に、第1および第2の光路は、平面(P)と平行な面に沿って形成されている。ここで、「平面(P)と平行な面に沿って」とは、たとえば、平面(P)と平行な面となす角度が0°〜20°の範囲(たとえば0°〜10°の範囲や0°〜5°の範囲)に光路があることを意味する。本発明の効果が得られる限り、周回光路は、平面(P)と実質的に平行ではない部分を一部に含んでもよい。
【0027】
第1の状態では、第1のレーザ光は、第1および第2の光路を時計回りに進行する。第2のレーザ光は第1のレーザ光に対して逆方向に進行するため、第1の状態における第2のレーザ光は、第1および第2の光路を反時計回りに進行する。一方、第2の状態では、第1のレーザ光は、第1の光路を時計回りに進行し、且つ、第2の光路を反時計回りに進行する。第2のレーザ光は第1のレーザ光に対して逆方向に進行するため、第2の状態における第2のレーザ光は、第1の光路を反時計回りに進行し、且つ、第2の光路を時計回りに進行する。これらの関係をまとめると、以下の表1のようになる。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明のジャイロでは、第2の状態における上記少なくとも1つの受光素子の出力を用いて、第1の状態において検出(センシング)された回転角速度が校正される。ファラデー回転子を周回光路に導入した場合、ファラデー回転子による固定バイアスが、レーザ光L1およびL2の周波数差に加わる。しかし、その固定バイアスは、光導波路の温度や光導波路に加わる外圧などによる偏波状態の変化に起因する揺らぎが大きいという問題がある。そのため、単にファラデー回転子を導入しただけでは、ロックイン現象を回避できても高精度の測定は依然として難しいという問題があった。そのような問題を解決するため、本発明のジャイロでは、固定バイアスの揺らぎを校正する。
【0030】
固定バイアスの揺らぎを校正するためには、第2の状態においてファラデー回転子による周波数差(またはそれに近い値)を求め、その値を用いて第1の状態における回転角速度の算出を校正すればよい。そのためには、第2の状態において、サニャック効果による周波数差が小さくなる構成にすればよい。以下、第1の状態における第1のレーザ光と第2のレーザ光との周波数差を「Δf1」といい、第2の状態における第1のレーザ光と第2のレーザ光との周波数差を「Δf2」という場合がある。
【0031】
第1の状態において第1のレーザ光が周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積と第1のレーザ光が周回光路を反時計回りに進行する経路の内側の面積との差を面積S1とする。また、第2の状態において第1のレーザ光が周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積と第1のレーザ光が周回光路を反時計回りに進行する経路の内側の面積との差の絶対値を面積S2とする。本発明のジャイロでは、[面積S2]/[面積S1]の比が1未満である。[面積S2]/[面積S1]の比は、0.1以下(たとえば0〜0.01の範囲)にあることが好ましく、0であることがより好ましい。上述した式(1)に示されるように、面積S1が大きいほど、第1の状態における周波数差Δf1が大きくなって測定精度を高くできる。一方、面積S2が小さいほど、サニャック効果による周波数差が第2の状態における周波数差Δf2に占める割合を小さくでき、固定バイアスの揺らぎの校正の精度が高まる。そのため、[面積S2]/[面積S1]の比は小さいほど好ましい。なお、正確には、面積S1および面積S2は、それぞれ平面(P)への投影面積である。
【0032】
第1の状態において第1のレーザ光が周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積は、第1の光路の内側の面積と第2の光路の内側の面積との合計で近似できる。ここで、第1の光路の内側の面積は、第1の光路の2つの端面を直線で結んだときに、第1の光路とその直線とで形成される環の内側の面積で近似できる。同様に、第2の光路の内側の面積は、第2の光路の2つの端面を直線で結んだときに、第2の光路とその直線とで形成される環の内側の面積で近似できる。第2の状態における面積S2も同様に近似される。
【0033】
本発明の効果が得られる限り、面積S1の大きさに限定はない。一例では、面積S1は、1mm2〜1km2の範囲にあってもよい。
【0034】
第1および第2の光路の一方が他方の内側に存在する場合、上記面積S2は、周回光路によって囲まれる部分の面積と実質的に等しい。この場合も、[面積S2]/[面積S1]の比は、上述した範囲にあることが好ましい。
【0035】
上記第1の状態では、第1の光路の第1の端面と第2の光路の第1の端面とが接続され、且つ、第1の光路の第2の端面と第2の光路の第2の端面とが接続されてもよい。また、上記第2の状態では、第1の光路の第1の端面と第2の光路の第2の端面とが接続され、且つ、第1の光路の第2の端面と第2の光路の第1の端面とが接続されてもよい。
【0036】
本発明のジャイロでは、第1の光路の途中に、第3の光路が接続されていてもよい。その第3の光路は、基本的に、平面(P)と平行な面に沿って形成されている。そして、第1の状態において、第1のレーザ光は第3の光路を反時計回りに進行する。また、第1の状態において第2のレーザ光は第3の光路を時計回りに進行する。一方、第2の状態において第1のレーザ光は第3の光路を時計回りに進行する。また、第2の状態において第2のレーザ光は第3の光路を反時計回りに進行する。第1の光路および第2の光路で周回光路を構成した場合、上述した面積S2をゼロとすることが難しい場合がある。たとえば、第1および第2の光路のいずれか一方を他方の内側に形成する場合には、上述した面積S2をゼロとすることが難しい。その場合、第3の光路を接続することによって面積S2をゼロまたはゼロに近い値とすることができる。第3の光路が接続される第1の光路は、通常、第2の光路の外側に形成されている。第3の光路は、たとえば光ファイバや光導波路によって構成できる。
【0037】
第1および第2の光路は、光ファイバによって構成されていてもよい。光ファイバは、シングルモードファイバであってもよい。また、光ファイバは、偏波面保存ファイバであってもよい。また、第1および第2の光路が、1つの基板上に形成された光導波路によって構成されていてもよい。
【0038】
本発明のジャイロは、公知の方法で製造できる。たとえば、公知の光ファイバや公知の光学素子を組み合わせることによって構成できる。また、光導波路や半導体光増幅器は、半導体製造プロセスにおいて一般的に用いられる製造方法によって形成できる。
【0039】
以下、本発明のジャイロについて図を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明では、同一の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
【0040】
[実施形態1]
実施形態1では、光ファイバを用いて第1および第2の光路を構成したジャイロの一例について説明する。
【0041】
実施形態1のジャイロ100の構成を、図1に模式的に示す。ジャイロ100は、第1の光路11、第2の光路12、ファラデー回転子13、WDMカプラ14、光結合器15、光結合器16、半導体レーザ素子17a、光路17b、光路切り替えスイッチ18、光路19、フォトダイオード20、およびコントローラ21を備える。コントローラ21は、光路切り替えスイッチ18およびフォトダイオード20に接続されている。なお、コントローラ21は半導体レーザ素子17aなどにも接続されているが、それらの接続の図示は省略する。
【0042】
第1の光路11、第2の光路12および光路切り替えスイッチ18によって、周回光路10が構成される。第1の光路11、第2の光路12、光路17b、および光路19は、光ファイバによって構成される。なお、図1では、第1の光路11の大きさと第2の光路12の大きさが異なっているが、図2および図3に示すように、実際にはそれらは同じ大きさで且つ重なっている。
【0043】
第1の光路11の一部または全部は、エルビウムなどの希土類元素のイオンがドープされた光アンプ部となっている。ファラデー回転子13およびWDMカプラ14は、第1の光路11上に配置されている。なお、光アンプ部およびWDMカプラ14は第2の光路に形成されてもよい。また、ファラデー回転子13は第2の光路12上に配置されてもよい。
【0044】
第1の光路11、第2の光路12、および光路切り替えスイッチ18の配置を示す斜視図を、図2に模式的に示す。第1の光路11および12は、それぞれ、仮想の円柱21を囲むように配置されている。また、第1の光路11および12は、それぞれ、1つの平面(たとえば円柱21の底面22)に平行に配置されている。ジャイロ100によって、平面22の面内における回転運動の角速度を求めることができる。第1の光路11、第2の光路12および光路切り替えスイッチ18を、底面22と平行な面に投影したときのそれらの配置を、図3に模式的に示す。第1の光路11と第2の光路12とは重なっている。第1の光路11の内側の面積および第2の光路12の内側の面積は等しい。第1の光路11の内側の面積と第2の光路12の内側の面積との差はゼロである。
【0045】
なお、実施形態1では第1の光路11および第2の光路12が仮想の円柱21を1周する場合について示しているが、第1の光路11および第2の光路12は、それぞれ、仮想の円柱21の周りにコイル状に複数回巻かれていてもよい。第1の光路11および第2の光路12がそれぞれn回巻かれている場合の面積S1は、第1の光路11および第2の光路12がそれぞれ1回だけ巻かれている場合の面積S1のn倍となる。面積S2においても同様である。
【0046】
ジャイロ100の機能について以下に説明する。励起用の半導体レーザ素子17aを駆動することによって、励起用のレーザ光がWDMカプラ14に入力される。WDMカプラ14は、入力された励起用のレーザ光を第1の光路11に伝播させる。WDMカプラ14は、励起用のレーザ光のほとんどが周回光路10に伝播し、且つレーザ光L1およびL2があまり光路17bに伝播しないように選択される。励起用のレーザ光が光アンプ部に入力されることによって、第1の光路11を時計回りに周回する第1のレーザ光L1と、第1の光路11を反時計回りに周回する第2のレーザ光L2とが発振される。半導体レーザ素子17aの種類および光アンプ部の種類は、レーザ光L1およびL2が発振されるように選択される。一例では、エルビウムイオンがドープされた光アンプ部を、波長が980
nmや1480nmのレーザ光によって励起する。
【0047】
周回光路10は、光路切り替えスイッチ18によって第1の状態と第2の状態との間で切り替えられる。すなわち、光路切り替えスイッチは切り換え手段として機能する。以下では、第1の状態にあるときの周回光路10を「周回光路10a」といい、第2の状態にあるときの周回光路10を「周回光路10b」という場合がある。
【0048】
[第1の状態]
第1の状態にある周回光路10aを、図4Aに模式的に示す。周回光路10aでは、第1の光路11の第1の端面11aと第2の光路12の第1の端面12aとが接続され、第1の光路11の第2の端面11bと第2の光路12の第2の端面12bとが接続される。その結果、レーザ光L1は第1の光路11および第2の光路12を時計回りに周回する。一方、レーザ光L2は第1の光路11および第2の光路12を反時計回りに周回する。第1の状態においてレーザ光L1が周回光路10aを時計回りに進行する経路の内側の面積とレーザ光L1が周回光路10aを反時計回りに進行する経路の内側の面積との差を面積S1とすると、面積S1は、第1の光路11の内側の面積の2倍に等しい。
【0049】
レーザ光L1の一部およびレーザ光L2の一部は、それぞれ、光結合器15によって光路19に伝播される。すなわち、光結合器15は、光取り出し手段として機能する。一例では、光結合器15は、レーザ光L1およびL2の0.01%〜10%程度を光路19に伝播させる。光路19に伝播したレーザ光L1およびL2は、さらに光結合器16(重ね合わせ手段)によって重ね合わされた後、フォトダイオード20によって受光される。レーザ光L1およびL2が重ね合わされてフォトダイオード20に入力される状態を、図4Bに模式的に示す。
【0050】
第1の状態において、平面22の面内方向におけるジャイロ100の回転成分がゼロである場合、たとえば、ジャイロ100が平面22の面内方向において回転していない場合について考える。この場合、レーザ光L1の周波数とレーザ光L2の周波数との差Δf1は、ファラデー回転子13によって導入された固定バイアスに基づく周波数差となる。一方、ジャイロ100が平面22の面内方向において回転すると、レーザ光L1の周波数とレーザ光L2の周波数との間には、サニャック効果に基づく差が生じる。そのため、周波数差Δf1は、固定バイアスに基づく成分と、サニャック効果に基づく成分とを含む。周波数差Δf1は、ビート信号としてフォトダイオード20によって検出される。
【0051】
[第2の状態]
第2の状態にある周回光路10bを、図5に模式的に示す。周回光路10bでは、第1の光路11の第1の端面11aと第2の光路12の第2の端面12bとが接続され、第1の光路11の第2の端面11bと第2の光路12の第1の端面12aとが接続される。その結果、レーザ光L1は、第1の光路11を時計回りに周回し、第2の光路12を反時計回りに周回する。また、レーザ光L2は、第1の光路11を反時計回りに周回し、第2の光路12を時計回りに周回する。第2の状態においてレーザ光L1が周回光路10bを時計回りに進行する経路の内側の面積とレーザ光L1が周回光路10bを反時計回りに進行する経路の内側の面積との差の絶対値を面積S2とすると、面積S2はゼロである。そのため、[面積S2]/[面積S1]=0となる。
【0052】
レーザ光L1の一部およびレーザ光L2の一部は、第1の状態と同様に、重ね合わされた後にフォトダイオード20によって受光される。
【0053】
第2の状態において、ジャイロ100が平面22の面内方向において回転していない場合、レーザ光L1の周波数とレーザ光L2の周波数との差Δf2は、ファラデー回転子によって導入された固定バイアスに基づく周波数差となる。また、第2の状態においてジャイロ100が平面22の面内方向において回転していても、周波数差Δf2は、ファラデー回転子によって導入された固定バイアスに基づく周波数差となる。それは、第2の状態では上述した式(1)の面積Aがゼロであり、サニャック効果に基づく周波数差が発生しないためである。
【0054】
[回転角速度の校正]
ジャイロ100では、第1の状態と第2の状態とを必要に応じて切り替え、第2の状態における周波数差Δf2を用いて第1の状態における周波数差Δf1を校正する。たとえば、第1の状態と第2の状態とを一定時間ごとに切り替えて校正を行う。固定バイアスの揺らぎの変化速度に対して切り替え時間を充分に短くすることによって、固定バイアスの揺らぎによる測定誤差を低減できる。本発明の効果が得られる限り、切り換え時間(1つの状態に保持する時間)に限定はない。一例では、切り換え時間を0.01ナノ秒〜1秒の範囲としてもよい。
【0055】
たとえば、固定バイアスによる周波数差Δf0が熱などによって揺らいでΔf0’になったと仮定する。このとき、校正を行わない場合には固定バイアスによる周波数差がΔf0であるとして回転角速度を算出するため、|Δf0−Δf0’|に対応する誤差が発生する。一方、本発明のジャイロでは、第2の状態における周波数差を測定することによって、測定時における固定バイアスによる周波数差がΔf0’であることが分かる。第2の状態で求められた固定バイアスによる周波数差を用いて第1の状態における回転角速度を校正することによって、固定バイアスの揺らぎに基づく誤差を抑制できる。
【0056】
光路の切り替えおよび回転角速度の算出は、演算処理装置を含むコントローラ21によって行われる。演算処理装置の内部または外部の記憶装置には、光路の切り換えおよび回転速度の算出を行うためのプログラムが記録される。第2の状態において測定された周波数差Δf2を用いて校正を行うことを除いて、回転角速度の算出は公知の方法で行うことができる。
【0057】
[実施形態2]
実施形態2では、光導波路を用いて第1および第2の光路を構成したジャイロの一例について説明する。
【0058】
実施形態2のジャイロ200の構成を、図6に模式的に示す。ジャイロ200は、第1の光路61、第2の光路62、ファラデー回転子13、光結合器65、光結合器66、半導体光増幅器67、光路切り替えスイッチ18、光路69、フォトダイオード20、およびコントローラ21を備える。
【0059】
第1の光路61、第2の光路62、および光路切り替えスイッチ18によって、周回光路10が構成される。第1の光路61、第2の光路62、および光路69は、基板70上に形成された光導波路によって構成される。光導波路の一例は、コア層と、コア層の周囲に配置され屈折率がコア層よりも小さいクラッド層とを含む。コア層およびクラッド層は、たとえば、III−V族化合物半導体や、ドープまたはノンドープの二酸化ケイ素で形成できる。
【0060】
光結合器65は、光路61を構成する光導波路と光路69を構成する光導波路とを近接させることによって構成できる。同様に、光結合器66は、光路69を構成する光導波路同士を近接させることによって構成できる。そのような光結合器は公知である。
【0061】
第1の光路61の途中には、ファラデー回転子13、光結合器65、および半導体光増幅器67が配置されている。それらは、第2の光路62の途中に配置されてもよい。
【0062】
半導体光増幅器67に電流を注入することによって、周回光路10を互いに逆方向に進行する第1および第2のレーザ光L1およびL2が発振される。
【0063】
第2の光路62は、第1の光路61の内側に形成されている。また、第1の光路61および62は、それぞれ、基板70の表面と平行に形成されている。すなわち、第1の光路61および62は、1つの平面に平行に配置されている。ジャイロ200によって、基板70の表面と平行な面内における回転運動の角速度を求めることができる。
【0064】
ジャイロ200の機能について以下に説明する。半導体光増幅器67に電流を注入することによって第1の光路11を時計回りに周回する第1のレーザ光L1と、第1の光路11を反時計回りに周回する第2のレーザ光L2が発振される。周回光路10は、光路切り替えスイッチ18によって第1の状態(周回光路10a)と第2の状態(周回光路10b)との間で切り替えられる。
【0065】
[第1の状態]
第1の状態にある周回光路10aを、図7に模式的に示す。周回光路10aでは、レーザ光L1は第1の光路61および第2の光路62を時計回りに周回する。一方、レーザ光L2は第1の光路61および第2の光路62を反時計回りに周回する。
【0066】
レーザ光L1の一部およびレーザ光L2の一部は、それぞれ、光結合器65によって光路69に伝播される。それらのレーザ光L1およびL2は、さらに光結合器66によって重ね合わされた後、フォトダイオード20によって受光される。
【0067】
[第2の状態]
第2の状態にある周回光路10bを、図8に模式的に示す。周回光路10bでは、レーザ光L1は、第1の光路61を時計回りに周回し、第2の光路62を反時計回りに周回する。また、レーザ光L2は、第1の光路61を反時計回りに周回し、第2の光路62を時計回りに周回する。レーザ光L1の一部およびレーザ光L2の一部は、第1の状態と同様に、重ね合わされた後にフォトダイオード20によって受光される。
【0068】
[回転角速度の校正]
第1の状態においてレーザ光L1が周回光路10aを時計回りに進行する経路の内側の面積とレーザ光L1が周回光路10aを反時計回りに進行する経路の内側の面積との差を面積S1とすると、面積S1は、第1の光路61の内側の面積と第2の光路62の内側の面積との合計となる。一方、第2の状態においてレーザ光L1が周回光路10bを時計回りに進行する経路の内側の面積とレーザ光L1が周回光路10bを反時計回りに進行する経路の内側の面積との差の絶対値を面積S2とすると、面積S2は面積S1よりもずっと小さくなる。面積S2は、第1の光路61と第2の光路62とによって囲まれた面積、すなわち、周回光路10bの内側の面積と実質的に等しい。周回光路10bの内側の部分(面積S2)を、図8においてハッチングによって示す。
【0069】
ジャイロ200の第2の状態においては、面積S2が小さいため、上述した式(1)で記述されるサニャック効果に基づく周波数差が小さい。面積S2が充分に小さければ、第2の状態において測定される周波数差Δf2は、実質的にファラデー回転子13によってもたらされる固定バイアス値に等しいとみなすことが可能である。そのため、ジャイロ200においても、ジャイロ100と同様に、第1の状態において測定された周波数差Δf1を、第2の状態において測定された周波数差Δf2に基づいて校正することが可能である。
【0070】
なお、光ファイバとは異なり、光導波路では第1の光路61と第2の光路62とを重ね合わせることが容易ではない。そのため、光導波路で周回光路を構成する場合には、第1の光路61の内側に第2の光路62を形成することが、生産性の点で好ましい。しかし、その場合には面積S2を完全にゼロにすることは困難である。そのような問題に対処するため、第1の光路61の途中に第3の光路を接続してもよい。第3の光路を備えるジャイロ200aを、図9に示す。
【0071】
ジャイロ200aは、第3の光路93を備える点のみがジャイロ200とは異なる。ジャイロ200aの周回光路10は、第1の光路61、第2の光路62、第3の光路93、および光路切り替えスイッチ18によって構成される。第3の光路93は、基板70の表面と実質的に平行に形成されている。第3の光路93は、第1の光路61を時計回りに進行する第1のレーザ光L1が、反時計回りに進行するように形成される。具体的には、第1の光路61と第3の光路93とによって構成される光路が8の字状になるように、第1の光路61と第3の光路93とが接続される。なお、第1の光路61と第3の光路93とは、光導波路の一部を交差させるようにして接続してもよいし、光結合器を用いて接続してもよい。
【0072】
第3の光路93は、第3の光路93の内側の面積が、第1の光路61と第2の光路62とによって囲まれた面積と実質的に等しくなるように構成される。そのように構成することによって、第2の状態においてレーザ光L1が周回光路10bを時計回りに進行する経路の内側の面積とレーザ光L1が周回光路10bを反時計回りに進行する経路の内側の面積との差の絶対値S2を実質的にゼロまたはゼロに近い値とすることができる。その結果、より高い精度で校正を行うことが可能となる。
【0073】
[実施形態3]
実施形態3では、実施形態1および2のジャイロとは周回光路の形状が異なるジャイロの一例について説明する。
【0074】
実施形態3のジャイロ300の構成を、図10に模式的に示す。なお、ジャイロ300は、第1および第2の光路61および62の配置が異なることを除いてジャイロ200と同様であるため、重複する説明は省略する。第1の光路61、第2の光路62、および光路切り替えスイッチ18によって、周回光路10が構成される。第1の光路61、第2の光路62、および光路69は、基板70上に形成された光導波路によって構成される。これらの光路は、光ファイバによって構成されてもよい。第1の光路61と第2の光路62とは、それぞれの内側の部分が重ならないように配置される。第1の光路61の内側の面積と、第2の光路62の内側の面積とは同じである。
【0075】
第1の状態にあるジャイロ300の周回光路10aを図11に示す。周回光路10aは交差部分を含まない。その結果、レーザ光L1は第1の光路61および第2の光路62を時計回りに周回する。一方、レーザ光L2は第1の光路61および第2の光路62を反時計回りに周回する。
【0076】
第2の状態にあるジャイロ300の周回光路10bを図12に示す。周回光路10bは、光路切り替えスイッチ18の部分で交差する。その結果、レーザ光L1は、第1の光路61を時計回りに周回し、第2の光路62を反時計回りに周回する。また、レーザ光L2は、第1の光路61を反時計回りに周回し、第2の光路62を時計回りに周回する。
【0077】
第1の光路61の内側の面積と第2の光路62の内側の面積とは同じである。そのため、第2の状態においては、レーザ光L1およびL2はサニャック効果による影響を実質的に受けない。その結果、第2の状態におけるレーザ光L1とレーザ光L2との周波数差Δf2は、実質的に、ファラデー回転子によってもたらされる周波数差のみを反映することとなる。一方、第1の状態におけるレーザ光L1とレーザ光L2との周波数差Δf1は、サニャック効果による周波数差と、ファラデー回転子によってもたらされる周波数差とを含む。
【0078】
第1の状態と第2の状態とを交互に切り替え、周波数差Δf1から回転角速度を求める際にΔf2の値を用いて校正することによって、ファラデー回転子によってもたらされる周波数差のゆらぎの影響を抑制できる。
【0079】
なお、実施形態2のジャイロ200と実施形態3のジャイロ300とを比較すると、実施形態2のジャイロは素子のサイズを小さくできるという利点を有する。一方、実施形態3のジャイロ300は、光導波路の形成が容易であるという利点を有する。
【0080】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づいて他の実施形態に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のリングレーザジャイロは、物体の回転の検出が必要な様々な機器に適用できる。代表的な例としては、姿勢制御装置やナビゲーション装置、手ぶれ補正装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0082】
100、200、200a、300 ジャイロ
10 周回光路
11、61 第1の光路
12、62 第2の光路
13 ファラデー回転子
14 WDMカプラ
15、65 光結合器(光取り出し手段)
16、66 光結合器(重ね合わせ手段)
17a 半導体レーザ素子
17b、19、69 光路
18 光路切り替えスイッチ(切り換え手段)
20 フォトダイオード
21 コントローラ
67 半導体光増幅器
70 基板
93 第3の光路
L1 第1のレーザ光
L2 第2のレーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角速度を検出するリングレーザジャイロであって、
周回光路と、
前記周回光路の途中に配置されたファラデー回転子と、
前記周回光路を互いに逆方向に進行する第1および第2のレーザ光を発生させるための光増幅手段と、
前記第1および第2のレーザ光の一部を前記周回光路から取り出す光取り出し手段と、
前記周回光路から取り出された前記第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子と、
前記周回光路を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるための切り替え手段とを備え、
前記周回光路は、環状の第1の光路と環状の第2の光路とを含み、
前記第1の状態では、前記第1のレーザ光が前記第1および前記第2の光路を時計回りに進行し、
前記第2の状態では、前記第1のレーザ光が前記第1の光路を時計回りに進行し、且つ、前記第1のレーザ光が前記第2の光路を反時計回りに進行し、
前記第2の状態における前記少なくとも1つの受光素子の出力を用いて、前記第1の状態における回転角速度の検出を校正する、リングレーザジャイロ。
【請求項2】
前記第1の状態において前記第1のレーザ光が前記周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積と前記第1のレーザ光が前記周回光路を反時計回りに進行する経路の内側の面積との差を面積S1とし、前記第2の状態において前記第1のレーザ光が前記周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積と前記第1のレーザ光が前記周回光路を反時計回りに進行する経路の内側の面積との差の絶対値を面積S2としたときに、[面積S2]/[面積S1]の比が0.1以下である、請求項1に記載のリングレーザジャイロ。
【請求項3】
前記第1の状態において前記第1のレーザ光が前記周回光路を時計回りに進行する経路の内側の面積と前記第1のレーザ光が前記周回光路を反時計回りに進行する経路の内側の面積との差を面積S1とし、前記第2の状態において前記周回光路によって囲まれる部分の面積をS2としたときに、[面積S2]/[面積S1]の比が0.1以下である、請求項1に記載のリングレーザジャイロ。
【請求項4】
前記第1の状態では、前記第1の光路の第1の端面と前記第2の光路の第1の端面とが接続され、且つ、前記第1の光路の第2の端面と前記第2の光路の第2の端面とが接続され、
前記第2の状態では、前記第1の光路の前記第1の端面と前記第2の光路の前記第2の端面とが接続され、且つ、前記第1の光路の前記第2の端面と前記第2の光路の前記第1の端面とが接続される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリングレーザジャイロ。
【請求項5】
前記第1の光路の途中に第3の光路が接続されており、
前記第1の状態において前記第1のレーザ光は前記第3の光路を反時計回りに進行する、請求項1に記載のリングレーザジャイロ。
【請求項6】
前記第1および第2の光路が、光ファイバによって構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のリングレーザジャイロ。
【請求項7】
前記第1および第2の光路が、1つの基板上に形成された光導波路によって構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリングレーザジャイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−230476(P2010−230476A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78229(P2009−78229)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「シームレスな位置情報検出を実現する高精度角速度センサチップの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】