説明

リング状食製品成形方法及び装置

【課題】並列して備えた第1、第2のノズルから並列して連続的に吐出される棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する方法及び装置を提供する。
【解決手段】棒状の食品生地をリング状の食製品に成形するリング状食製品成形方法であって、並列して備えた第1ノズル7A及び第2ノズル7Bからそれぞれ並列して連続的に吐出される第1、第2の棒状の食品生地13A、13Bの適宜間隔位置を、結着切断手段17によって互に接近させて結着し、かつ、この結着部分において切断することによってリング状の食製品15に成形する。リング状の前記食製品15を搬送する搬送手段21を備え、第1、第2のノズル7A、7Bから並列に吐出された第1、第2の棒状の食品生地13A、13Bをリング状の食製品15に成形する際、先行する結着部13Cが前記搬送手段21に支持された状態において後続する結着部13Dの結着及び切断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する方法及び装置に係り、さらに詳細には、並列して備えた第1,第2のノズルから連続して吐出される棒状の食品生地の一部を所望間隔で結着すると共に、当該結着部分において切断することを繰り返すことによって、リング状の食製品を連続的に成形する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばドーナツのごときリング状の食製品を作る場合、棒状に形成した食品生地の両端側を接合することや、食品生地をノズルの下端周縁部にリング状に吐出することが行われている(例えば特開昭51−136880号公報参照)。棒状食品生地の両端側を接合する場合、棒状食品生地を、リングの大きさに対応して予め所定長さに形成する必要があり、能率向上を図る上において問題がある。また、ノズルの下端周縁部に食品生地をリング状に吐出する構成においては、リングの大きさが一定であるという問題があると共に、内材を中央部に包み込むように外皮材をカーリングさせることが難しいという問題がある。
【0003】
なお、棒状の食品生地を連続的に吐出するノズルを並列に複数備えた先行例としては特許文献1,2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−97527号公報
【特許文献2】実開昭56−138584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2には、棒状の食品生地を連続的に吐出する第1、第2のノズルを並列して備えた構成が記載されているが、特許文献1、2に記載の構成は、第1、第2のノズルを並列して備えたノズル本体を回転することにより、第1のノズルから吐出された第1の棒状食品生地と第2のノズルから吐出された第2の棒状食品生地とをツイスト状に成形するものである。
【0006】
したがって、第1、第2のノズルから連続的に吐出される棒状の食品生地の一部分を結着すると共に、この結着部分において切断することを繰り返してリング状の食製品を連続的に作ることはできないものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、棒状の食品生地をリング状の食製品に成形するリング状食製品成形方法であって、並列して備えた第1ノズル及び第2ノズルからそれぞれ並列して連続的に吐出される第1、第2の棒状の食品生地の適宜間隔位置を、結着切断手段によって互に接近させて結着し、かつ、この結着部分において切断することによってリング状の食製品に成形することを特徴とするものである。
【0008】
また、前記リング状食製品成形方法において、リング状の前記食製品を搬送する搬送手段を備え、第1、第2のノズルから並列に吐出された第1、第2の棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する際、先行する結着部が前記搬送手段に支持された状態において後続する結着部の結着及び切断を行うことを特徴とするものである。
【0009】
また、前記リング状食品製品成形方法において、前記搬送手段は、前記第1、第2のノズルの並列方向に対して交差する方向へリング状の前記食製品を搬送すべく、前記第1、第2のノズルの下方位置に相対的に上下動可能に備えられており、前記第1、第2のノズルから吐出された第1、第2の棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する際、先行する結着部が前記搬送手段に支持された状態にあり、かつ上記結着部の上部における第1、第2の棒状の食品生地が互に離反する方向へ湾曲した状態にあるときに、後続する結着部の結着及び切断を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、棒状の食品生地をリング状の食製品に成形するリング状食製品成形装置であって、第1、第2の棒状の食品生地を連続的に吐出すべく並列して備えられた第1、第2のノズルと、前記第1,第2のノズルに対して食品生地を供給するための食品生地供給手段と、前記第1、第2のノズルから吐出された第1、第2の棒状の食品生地の一部の結着切断を行う結着切断手段と、前記結着切断手段によって一部が結着されることによりリング状に成形された食製品を搬送する搬送手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記リング状食製品成形装置において、前記第1、第2のノズルの並列方向と前記搬送手段の搬送方向は交差した方法であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1、第2のノズルから連続的に吐出される第1、第2の棒状の食品生地の一部を適宜間隔毎に結着し、この結着部分において切断することを繰り返すことにより、リング状の食製品を連続的に成形することができる。したがって、リング状の食製品の成形作業の能率向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るリング状食製品成形装置の全体的構成を概念的、概略的に示した正面説明図である。
【図2】リング状食製品成形装置に使用されるノズルユニットの構成を示した断面説明図である。
【図3】並列に備えたノズルから並列に吐出される棒状食品生地をリング状の食製品に形成する動作説明図である。
【図4】ノズルユニットの第2の形態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に概念的、概略的に示すように、本発明の実施形態に係るリング状食製品成形装置1は、複数のキャスタ3を下面に取付けた箱状のフレーム本体5を備えており、このフレーム本体5の前面上部には第1ノズル7Aと第2ノズル7B(図2参照)とを並列して備えたノズルユニット9が備えられている。さらに、前記フレーム本体5の上面には、前記第1、第2のノズル7A、7Bに対して食品生地を供給するための第1、第2の食品生地供給手段11A、11Bが備えられている。
【0015】
前記ノズルユニット9の下側において前記フレーム本体5の前面には、前記第1、第2のノズル7A、7Bから吐出された第1、第2の棒状の食品生地13A、13Bの一部を適宜間隔毎に互に接近させて結着し、かつこの結着部分において切断することによってリング状の食製品15に成形するための結着切断手段(シャッタ装置)17が、前記ノズルユニット9に対して相対的に上下動可能に備えられている。そして、前記結着切断手段17の下方位置であって、前記フレーム本体5の前面には、リング状の前記食製品15を次工程へ搬送するための搬送手段19としてのベルトコンベア21が備えられている。
【0016】
前記ノズルユニット9は、図2に示すように、第1の食品生地供給手段11Aから供給される第1の食品生地としての外皮材23を受け入れる受入口25を備えた外筒部材27を備えている。そして、前記外筒部材27内には、第2の食品生地供給手段11Bから供給される第2の食品生地としての内包材29を受け入れるための受入口31を備えた内筒部材33が嵌合してあり、この内筒部材33の上部に螺合したナット部材35によって前記外筒部材27と内筒部材33は一体的に締付け固定してある。
【0017】
前記外筒部材27における下部内周面と前記内筒部材33の下部外周面との間には、前記受入口25から受け入れた外皮材23を下方向へ流動する環状の流動路37が形成してある。そして、この流動路37の下部側には、正回転方向へ回転することにより、流動路37内の外皮材23に下方向への推力を付与し、逆回転方向に回転することにより、上方向への分力を外皮材23に付与する回転翼39が旋回自在に備えられている。なお、前記回転翼39を垂直に備えた場合には、流動路37内の外皮材23を撹拌することになるものである。
【0018】
前記回転翼39を前記流動路37内に備えるに当り、前記外筒部材27の下部側外周面の複数箇所には放射外方向へ張り出した鍔状部41が備えられており、この鍔状部41の下面には環状ハウジング43がロックリング45によって着脱可能に取付けてある。より詳細には、前記ロックリング45は前記鍔状部41に回動可能に支持されており、このロックリング45の内周面下部の複数箇所に内方向へ突出して備えた係止爪部45Aを、前記環状ハウジング43の上端外周面の複数箇所に外方向へ突出して備えた係止爪部43Aの下側に係合することによって、前記鍔状部41の下面に対して前記環状ハウジング43が着脱可能に取付けてある。
【0019】
前記環状ハウジング43に放射外方向へ突出して備えたフランジ部43Fの下面にはボルトなどのごとき複数の固定具(図示省略)を介してリング部材47が一体的に固定してあり、このリング部材47の内周面と前記環状ハウジング43との間にはOリングなどのごときシール部材49が介在してある。前記リング部材47の下面には第2のリング部材51が複数の固定具(図示省略)を介して一体的に取付けてある。そして、前記第2のリング部材51の下面に固定具を介して一体的に取付けた環状の支持フランジ53と前記環状ハウジング43との間には複数の上下の軸受55を介してリングギア57が回転自在に支持されている。
【0020】
前記リングギア57には、駆動モータ(図示省略)によって回転駆動される駆動ギア(図示省略)が噛合してある。そして、前記リングギア57の内周面にフランジ部59Fを一体的に固定した回転筒体59は、前記外筒部材27の下端部に備えた環状のシール部材61及び前記支持フランジ53に一体的に固定した筒状のノズルホルダ63の上部外周面に備えた環状のシール部材65に上部外周面及び下部内周面を回転自在に案内支持されている。
【0021】
前記回転筒体59の上部内周面及び前記ノズルホルダ63における上部内周面と前記内筒部材33における小径の下部外周面との間には、前記流動路37に連通した環状路67が形成してある。そして、この環状路67及び前記流動路37に亘る縦長の複数の前記回転翼39が当該環状路67内に配置してある。そして、各回転翼39は前記回転筒体59の内面に一体的に取付けてある。したがって、前記リングギア57を正回転すると、回転筒体59及び回転翼39が一体的に回転される。この際、前記回転翼39は傾斜してあるので、流動路37、環状路67内の外皮材23に対して下方向への推力を付与することになるものである。なお、前述したように、回転翼39を垂直に備えた場合には外皮材23を撹拌することになる。
【0022】
前記ノズルホルダ63が前記支持フランジ53から下方向へ突出した円筒部には、前記第1、第2のノズル7A、7Bを備えたノズル本体69が螺着してあり、このノズル本体69には、前記第1、第2のノズル7A、7Bが並列して備えられている。この第1、第2のノズル7A、7Bの並列方向は、前記ベルトコンベア21におけるコンベアベルト21Bの走向方向(左右方向)に対して交差する方向に並列してある。なお、図1においては、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが並列して垂直に吐出される状態を示すために、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを左右方向に並列して示してある。
【0023】
より詳細には、前記ノズル本体69内には、前記環状路67にそれぞれ連通した第1、第2の連通穴71A、71Bが備えられており、この第1、第2の連通穴71A、71Bにおける底の部分に、前記第1、第2のノズル7A、7Bを構成する第1、第2のノズル穴73A、73Bが備えられている。そして、前記内筒部材33の下端部には、下端部が前記第1、第2のノズル穴73A、73B内に挿入配置された第1、第2のノズル管75A、75Bを下方向へ突出して備えた底蓋部材77が螺着してある。なお、前記第1、第2のノズル穴73A、73Bの内周面と前記第1、第2のノズル管75A、75Bの外周面との間には、外皮材23が通過自在な環状の通路が形成してある。
【0024】
上記構成により、ノズルユニット9における外筒部材27の受入口25へ供給された外皮材23は、流動路37、環状路67及び第1、第2の連通穴71A、71Bを経て、第1、第2のノズル穴73A、73Bから管状に連続して吐出されることになる。そして、
内筒部材33の受入口31へ供給された内包材29は、前記第1、第2のノズル管75A、75Bを経て前記第1、第2のノズル穴73A、73Bの部分から棒状に連続して吐出されることになる。
【0025】
したがって、第1、第2のノズル7A、7Bから連続して吐出される第1、第2の棒状食品生地13A、13Bは、内包材29を外皮材23でもって被覆した棒状の食品生地となるものである。
【0026】
ところで、前記ノズルユニット9における外筒部材27の受入口25へ外皮材23を供給するための、また内筒部材33の受入口31へ内包材29を供給するための前記第1、第2の食品生地供給手段11A、11Bは、例えばアンパン等の包被食品を製造するための包被食品製造装置において概に周知の構成であるから、前記第1、第2の食品生地供給手段11A、11Bの詳細な構成、作用についての説明は省略する。
【0027】
また、ノズルユニット9における第1、第2のノズル7A、7Bから吐出された前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの一部を結着すると共に、この結着部分において切断するための前記結着切断手段17は、前記包被食品製造装置において包被切断を行うシャッタ装置と同様に複数のシャッタ片17Sを開閉可能に備えた構成であり、前記シャッタ装置として既に知られた構成であるから、前記結着切断手段17の構成、作用についての詳細な説明は省略する。
【0028】
さらに、搬送手段19としての前記ベルトコンベア21の構成は、前記包被食品製造装置におけるベルトコンベアと同様の構成であって周知の構成である。しかし、理解を容易にするために簡単に説明すると、ベルトコンベア21におけるエンドレス状のコンベアベルト21Bは、フレーム本体5に備えた駆動モータ78(図1参照)によって走向駆動される構成である。そして、コンベアベルト21Bが前記ノズルユニット9の下方位置に対応した一部分は、駆動モータ79によって作動されるリンク機構81によって上下動される構成である。なお、前記結着切断手段17の上下動も前記駆動モータ78によって作動されるリンク機構83によって行われるものである。すなわち、前記結着手段17の上下作動と前記ベルトコンベア21におけるコンベアベルト21Bの一部分の上下作動は互に関連して行われるものである。
【0029】
なお、前記結着切断手段17の上下動とコンベアベルト21Bにおける前記一部分の上下動との関連動作は、前記包被食品製造装置におけるシャッタ装置の上下動作とベルトコンベアにおけるコンベアベルトの一部分の上下動作との関連動作と同様であるから、前記結着手段17の上下動とコンベアベルト21Bの一部分の上下動作との関連動作についての詳細な説明は省略する。
【0030】
さて、前述したように、ノズルユニット9における外筒部材27の受入口25へ外皮材23を供給し、内筒部材33における受入口31へ内包材29を供給すると、当該ノズルユニット9における第1、第2のノズル7A、7Bから、内包材29を外皮材23で被覆した形態の第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが並列して連続的に下方向へ吐出される。そこで、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出速度に対応して、前記結着切断手段17を上昇位置から下降し、かつ結着切断手段17に開閉可能に備えた複数のシャッタ片17Sを閉動作すると、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bは互に接近するように中央部に寄せされる。
【0031】
そして、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが互に接触した後に、前記各シャッタ片17Sの閉動作をさらに続行し、各シャッタ片17Sの先端部を、各シャッタ片17Sによって囲繞された領域の中央部へ集合すると、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bは互に結着される。そして、この結着した部分において上下に切断されることになる。すなわち、ノズルユニット9における第1、第2のノズル7A、7Bから第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを連続的に吐出し、前記結着切断手段17の上下動作と結着切断手段17における各シャッタ片17Sの閉動作とを適宜に繰り返すことにより、下部側及び上部側を適宜間隔でもって結着した形態のリング状の食製品15が得られることとなる。
【0032】
ところで、図3(A)に示すように、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの下端部を結着した状態において、前記第1、第2のノズル7A、7Bから第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出が継続されているときに、前記結着切断手段17及び前記ベルトコンベア21におけるコンベアベルト21Bの一部分が上昇される。そして、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの下端部の結着部(先行する結着部)13Cが搬送手段である前記ベルトコンベア21に支持されて、図3(B)に示すように、前記結着部13Cの上部側における第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが互に離反する方向へ湾曲した状態になると、前記結着切断手段17における各シャッタ片17Sが閉動作して、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの結着を行うことになる。
【0033】
上述のように、結着切断手段17における各シャッタ片17Sを閉動作して第1、第2
の棒状食品生地13A、13Bの結着を行うと、この結着部は、図3(C)に示すように、各シャッタ片17Sの上下に切断されることになる。各シャッタ片17の下側に位置する結着部13Dは、リング状に形成された第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの上部側の結着部となるものであって、前記先行する結着部13Cに対して後続する結着部となるものである。そして、各シャッタ片17の上側に位置する結着部は、第1、第2のノズル7A、7Bから継続して吐出される第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの下端部を結着した形態となり、先行する結着部13Cとなるものである。
【0034】
前述したように、先行する結着部13Cと後続の結着部13Dとによってリング状に成形された食製品15は、ベルトコンベア21によって次工程へ搬送されるものである。この際、ノズルユニット9における第1、第2のノズル7A、7Bの並列方向は、前記ベルトコンベア21の搬送方向である左右方向に対して交差する方向であるから、前記ベルトコンベア21上に載置するときに第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが互に重なるようなことがなく、良好なリング状に保持されるものである。
【0035】
既に理解されるように、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bをリング状の食製品15に形成して、ベルトコンベア21上に載置するとき、当該ベルトコンベア21の搬送方向と前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bとの並列方向とがほぼ等しい場合には、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bが重なり合うこととなり、望ましいものではない。したがって、前記ベルトコンベア21上にリング状の食製品15を載置するときには、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bはベルトコンベア21の搬送方向に対して直交する方向に並列した状態にあることが望ましいものである。
【0036】
ところで、前記結着切断手段(シャッタ装置)17においては、シャッタ片17Sの枚数は3枚以上で必ずしも一定ではなく、また、各シャッタ片17Sが閉動作する形式においても、各シャッタ片17Sが揺動(回動)して開口部を次第に閉じる形式や各シャッタ片17Sを互に揺動可能に係合して開口部を次第に閉じる形式などがある。したがって、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを互に接近すべく中央部に寄せるとき、各シャッタ片17Sによって第1、第2の棒状食品生地13A、13Bに大きな捩り作用を付与することのないように、各シャッタ片17Sの閉動作方向と前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの並列方向との整合性を考慮することが望ましいものである。
【0037】
すなわち、前記シャッタ装置(結着手段)17の形式によっては、前記第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを吐出する第1、第2のノズル7A、7Bの水平方向の並列方向は、前記ベルトコンベア21の搬送方向に対して直交する方向や、ベルトコンベア21の搬送方向に対して適宜に傾斜した交差方向となるものである。なお、ベルトコンベア21の搬送方向に対して直交する方向も、前記搬送方向に対して交差する方向に含まれるものである。
【0038】
ところで、前記構成において、制御装置85(図1参照)の制御の下に、第1、第2ノズル7A、7Bからの第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出速度を一定に保持し、この第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出速度に対して、前記結着切断手段17を上下動して第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの結着を行う動作の周期を短くすること、又は周期を長くすることにより、リング状の食製品15の大きさを適宜に変更することが可能なものである。
【0039】
なお、前記説明においては、第1、第2のノズル7A、7Bから吐出される第1、第2の棒状食品生地13A、13Bとして、内包材29を外皮材23によって被覆した2重構造の場合について例示したが、内筒部材33や第1、第2のノズル管75A、75B等を省略して、例えば外皮材23のみの1重構造の第1、第2の棒状食品生地を吐出する構成とすることも可能である。また、既に理解されるように、第1、第2のノズル7A、7Bを3重構造とすることにより、3重構造の棒状食品生地を吐出する構成をすることができるものである。さらには、第1、第2のノズル7A、7Bに対してそれぞれ別個の食品生地を供給する構成として、リング状の食製品の半分が異なる食品生地とすることや、第1、第2のノズル7A、7Bの断面形状を異にして、リング状食製品における半分の断面形状が異なる構成とすることも可能である。すなわち、種々の変更を行うことにより、種々の形態のリング状食製品を成形することができるものである。
【0040】
図4は、ノズルユニット9Aの第2の実施形態を示すもので、前述したノズルユニット9における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0041】
この第2の実施形態に係るノズルユニット9Aにおいては、前記内筒部材33に相当する内筒部材33Aに、第2の外皮材23Aを供給し、かつ前記内筒部材33A内に、内包材29を、前記ノズル本体に相当するノズル本体69Aに備えた第1、第2のノズル7A、7Bへ供給する内包材供給管87を備えた構成である。
【0042】
より詳細には、前記内筒部材33には第2の外皮材23Aを受入れるために、前記受入口31と同一の受入口31Aを備えている。この受入口31Aは前記第2の食品生地供給手段11Bに接続してある。したがって、当該ノズルユニット9Aを使用する場合には、第2の食品生地供給手段11Bから第2の外皮材23Aを供給することになるものである。
【0043】
前記ノズル本体69Aを取付けたノズルホルダ63の内側には、前記内筒部材33Aに連通した外皮材案内筒部材89が配置してある。より詳細には、前記ノズルホルダ63の内側であって前記ノズル本体69Aには、複数の固定具91によって円筒形状の前記外皮材案内筒部材89が一体的に取付けてある。そして、この外皮材案内筒部材89における底部には、前記ノズル本体69Aにおける第2ノズル7Bのノズル穴73Bに連通した連通管93が備えられている。
【0044】
前記外皮材案内筒部材89の上部は、回転筒部材95と相対的に回転自在に嵌合してある。この回転筒部材95は、前記回転筒体59の内周面の複数箇所に備えた連結部材97に一体的に支持されている。そして、前記回転筒部材95の上部は、前記内筒部材33Aの下端部に回転自在に嵌入してある。前記内筒部材33Aの内周面と前記内包材供給管87の外周面との間の環状の流動路31R内には、前記回転翼39と同様の複数の回転翼99が備えられている。この回転翼99は、前記回転筒部材95の内周面に一体的に備えられているものである。
【0045】
したがって、前記内筒部材33A内へ供給された第2の外皮材23Aは、前記回転翼99の回転によって下方向への推力が付与されるものである。
【0046】
前記内包材供給管87は前記内筒部材33Aの上部を上下方向に貫通して備えられており、当該内包材供給管87の上部に備えたフランジ87Fをナット部材35によって前記内筒部材33Aの上面へ押圧固定することにより、前記内包材供給管87は前記内筒部材33Aに一体的に固定してある。そして、この内包材供給管87の上部には、内包材供給管87に対して内包材29を供給するための第3の食品生地供給手段(図示省略)が接続してある。
【0047】
前記内包材供給管87の下端部には二股に分岐した分岐管101が接続してあり、この分岐管101における一方の分岐路には、前記第1のノズル管75Aに相当する第1のノズル管103Aが接続してある。この第1のノズル管103Aは、前記外皮材案内筒部材89の底部を貫通しており、この第1のノズル管103Aの下端部は前記ノズル本体69Aに備えた第1のノズル穴73A内に嵌入配置してある。前記分岐管101の他方の分岐路には第2のノズル管103Bが接続してある。この第2のノズル管103Bは、前記連通管93内に嵌入配置してある。
【0048】
前記構成により、外筒部材27の受入口25内へ供給された第1の外皮材23は、流動路37、環状路67を経てノズル本体69Aの第1ノズル穴73Aから吐出されることとなる。そして、内筒部材33Aの受入口31A内へ供給された第2の外皮材23Aは、環状路31Rから外皮材案内筒部材89内及び連通管93内を経て第2のノズル穴73Bから吐出されることになる。そして、前記内包材供給管87内へ供給された内包材29は、第1、第2のノズル管103A、103Bを経て吐出されることになる。
【0049】
したがって、前記ノズル本体69Aの第1ノズル7Aからは、第1の外皮材23によって内皮材29を被覆した形態の棒状の食品生地13Aが吐出され、第2のノズル7Bからは、第2の外皮材23Aによって内皮材29を被覆した形態の棒状の食品生地13Eが吐出されることになる。すなわち、第1、第2のノズル7A、7Bからは、内包材29が同一であるが外皮材が異なる棒状の食品生地13A、13Eが吐出されることになる。
【0050】
したがって、前述したように、結着切断手段17によって棒状の食品生地13A、13Bをリング状に形成すると、内包材29は同一であっても、外皮材の半分が異なる外皮材23、23Aであるリング状の食製品が成形されることとなるものである。
【0051】
ところで、前記内包材供給管87内を複数の流動路に区分して、各流動路にそれぞれ異なる内包材を供給して、第1、第2のノズル管103A、103Bから異なる内包材を吐出する構成とすることも可能である。この場合、第1、第2のノズル7A、7Bからは内包材及び外皮材がそれぞれ異なる棒状の食品生地がそれぞれ吐出されることとなるものである。したがって、例えば半分で味覚の異なるリング状の食製品を形成することも可能なものである。
【0052】
以上のごとき説明より理解されるように、並列して備えた第1、第2のノズル7A、7Bから連続的に吐出される第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの適宜間隔位置を結着切断手段17によって結着し切断することを繰り返すことによってリング状の食製品15が成形されるものである。したがって、リング状の食製品15の成形を容易に行い得るものである。
【0053】
そして、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出速度に対して結着切断手段17による結着周期を変更すること、又は結着切断手段17による結着周期に対して第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの吐出速度を変更すること等によりリング状の食製品15の大きさを適宜に変えることができる。
【0054】
また、前記第1、第2のノズル7A、7Bから連続的に吐出される第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの形態を、例えば外皮材のみの構成、外皮材23によって内包材29を被覆した構成であっても、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bの形態が同一の形態や、第1、第2の棒状食品生地13A、13Bにおける外皮材23及び/又は内包材29が異なる形態など、第1、第2の棒状食品生地13A、13bの形態を種々の形態として第1、第2のノズル7A、7Bから吐出可能なものである。
【0055】
また、第1、第2のノズル7A、7B内にノズル管を複重に配置した構成とすることにより、内包材を複重構成とした棒状食品生地を吐出することも可能なものである。
【0056】
なお、前記説明においては、第1、第2のノズル7A、7Bから第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを垂直下方向へ吐出する場合について説明した。しかし、前記ベルトコンベア21の搬送方向と等しい方向へ第1、第2の棒状食品生地13A、13Bを吐出する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 リング状食製品成形装置
7A 第1ノズル
7B 第2ノズル
9 ノズルユニット
9A ノズルユニット
13A 第1の棒状の食品生地
13B 第2の棒状の食品生地
15 リング状の食製品
17 結着切断手段(シャッタ装置)
19 搬送手段
21 ベルトコンベア
23、23A 外皮材
25 受入口
27 外筒部材
29 内包材
31、31A 受入口
33、33A 内筒部材
37 流動路
39 回転翼
47 リング部材
51 第2のリング部材
57 リングギア
59 回転筒体
63 ノズルホルダ
69、69A ノズル本体
73A、B 第1、第2のノズル穴
75A、B 第1、第2のノズル管
87 内包材供給管
89 外皮材案内筒部材
95 回転筒部材
99 回転翼
101 分岐管
103A、B 第1、第2のノズル管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の食品生地をリング状の食製品に成形するリング状食製品成形方法であって、並列して備えた第1ノズル及び第2ノズルからそれぞれ並列して連続的に吐出される第1、第2の棒状の食品生地の適宜間隔位置を、結着切断手段によって互に接近させて結着し、かつ、この結着部分において切断することによってリング状の食製品に成形することを特徴とするリング状食製品成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリング状食製品成形方法において、リング状の前記食製品を搬送する搬送手段を備え、第1、第2のノズルから並列に吐出された第1、第2の棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する際、先行する結着部が前記搬送手段に支持された状態において後続する結着部の結着及び切断を行うことを特徴とするリング状食製品成形方法。
【請求項3】
請求項2に記載のリング状食製品成形方法において、前記搬送手段は、前記第1、第2のノズルの並列方向に対して交差する方向へリング状の前記食製品を搬送すべく、前記第1、第2のノズルの下方位置に相対的に上下動可能に備えられており、前記第1、第2のノズルから吐出された第1、第2の棒状の食品生地をリング状の食製品に成形する際、先行する結着部が前記搬送手段に支持された状態にあり、かつ上記結着部の上部における第1、第2の棒状の食品生地が互に離反する方向へ湾曲した状態にあるときに、後続する結着部の結着及び切断を行うことを特徴とするリング状食製品成形方法。
【請求項4】
棒状の食品生地をリング状の食製品に成形するリング状食製品成形装置であって、第1、第2の棒状の食品生地を連続的に吐出すべく並列して備えられた第1、第2のノズルと、前記第1,第2のノズルに対して食品生地を供給するための食品生地供給手段と、前記第1、第2のノズルから吐出された第1、第2の棒状の食品生地の一部の結着切断を行う結着切断手段と、前記結着切断手段によって一部が結着されることによりリング状に成形された食製品を搬送する搬送手段と、を備えていることを特徴とするリング状食製品成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリング状食製品成形装置において、前記第1、第2のノズルの並列方向と前記搬送手段の搬送方向は交差した方法であることを特徴とするリング状食製品成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51905(P2013−51905A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191398(P2011−191398)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】