リンパ球活性化抗原HB15:免疫グロブリン上科の一種
【課題】活性化リンパ球によって発現される新規な細胞表面糖蛋白(HB15と称する)を提供する。
【解決手段】リンパ球活性化抗原HB15、並びにHB15をコードするヒトcDNAおよび遺伝子配列が開示される。HB15は検出可能なレベルでは循環白血球によって発現されないが、組織間では固有の発現パターンを有する。HB15は皮膚のランゲルハン氏細胞および他の樹状突起細胞(dendritic cells)の亜集団によって専ら発現される。さらにまた、HB15と反応する抗体、および抗HB15抗体またはHB15機能に対する他の拮抗物質を免疫疾患、疾病または症候群の治療に用いる方法が開示される。
【解決手段】リンパ球活性化抗原HB15、並びにHB15をコードするヒトcDNAおよび遺伝子配列が開示される。HB15は検出可能なレベルでは循環白血球によって発現されないが、組織間では固有の発現パターンを有する。HB15は皮膚のランゲルハン氏細胞および他の樹状突起細胞(dendritic cells)の亜集団によって専ら発現される。さらにまた、HB15と反応する抗体、および抗HB15抗体またはHB15機能に対する他の拮抗物質を免疫疾患、疾病または症候群の治療に用いる方法が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒトリンパ球活性化抗原をコードする核酸配列、特にリンパ球活性化抗原HB15をコードする配列およびこれらの配列によってコードされる蛋白およびポリペプチドに関する。
【0002】
本発明の基となった研究の一部分は合衆国政府の基金によって行われた。したがって合衆国政府は本発明について一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
免疫応答を調節する多くの細胞表面分子は、免疫グロブリン(Ig)で見出される保存構造の特徴と類似するものを含む。これらの分子は、共通の前駆体から進化したように思われ、したがって大きな上科(スパーファミリー)のメンバーである遺伝子によってコードされる(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。Ig上科の仲間の多くは、細胞−細胞粘着およびシグナル誘発に関与する。この種類の殆どのものが多数の直線的に集合したIg様のドメインを含むが、一方、いくつかの蛋白は単一のIg様ドメインを含むことが認識された。細胞−細胞粘着に関与することが分かっている、または推定される単一のIg様ドメイン蛋白は、CD8α(Littmanら、Cell 40:237(1985))、CD8β(Johnsonら、Nature 323:74(1986))、CD7(Aruffo ら、EMBO J.6:3313(1987))、Thy−1(Williams ら、Science 216:696(1982))、CD28(Aruffo ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 84:8573(1987))、CTLA−4(Brunetら、Nature 328:267(1987))および末梢ミエリン鞘の構造蛋白であるPo(Lemke ら、Cell 40:501(1985))を含む。さらに、他のものは多分子集合シグナル誘発複合体を形成するBおよびTリンパ球の抗原受容体(レセプター)と関係するが、これらは、CD3γ、δおよびε鎖(Goldら、Nature 321:431-434(1986);van den Elsenら、Nature 312:413-418(1984))、B29(Hermansonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:6890(1988))およびmB1(Sakaguchiら、EMBO J.7:3457-3464(1988))を含む。
【0004】
リンパ球に見出される蛋白を含む2種のIg様ドメインは専ら細胞の活性化に関係し、細胞−細胞相互反応の仲介に関与することが分かっている。CD28は非活性化TおよびBリンパ球よりも活性化されたそれらでより多く発現され(Turkaら、J.Immunol.144:1646(1990))、CTLA−4は、全てではないにしても殆ど活性化TおよびBリンパ球によって発現される(Brunetら、Nature328:267(1987);Harper ら、J.Immunol.147:1037-1044(1991))。活性化B細胞によって発現されるB7分子のためのT細胞レセプターとしてのCD28の役割は、CTLA−4と同様(Linsley ら、J.Exp.Med.,174:561-569(1991))であることが最近確認された(Linsleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 87:5031-503(199);Freeman ら、J.Immunol.143:2714-2722(1989))。CD28およびB7同様、殆どのIg様ドメイン含有レセプターは他の細胞上に存在するIg上科の他の種類と相互に作用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒトリンパ球ライブラリーからクローニングされたcDNAを分析し、活性化リンパ球によって発現される新規な細胞表面糖蛋白(HB15と称する)をコードすることを示す。cDNAによってコードされる成熟186アミノ酸蛋白は、単一の細胞外V型免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、膜貫通(トランスメンブレン)ドメインおよび39アミノ酸細胞質ドメインを含んでいた。ノザンブロット分析によって、HB15は、類リンパ芽球細胞株によって発現される〜1.7、2.0および2.5kbの3種のmRNA転写物に由来することが明らかにされた。HB15と反応するモノクローナル抗体(単クローン性抗体)を製造し、HB15が単一鎖のMr45000の細胞表面糖蛋白として発現されることを示すために用いた。HB15発現は、類リンパ芽球細胞株および有糸分裂促進剤(ミトゲン)活性化リンパ球に特異的であった。HB15は循環白血球では検出可能な程度には発現されなかった。免疫組織学的な分析によって、HB15は組織間で固有の発現パターンを有することが明らかにされたが、発現は専ら造血組織で見出され、小胞間細胞(innterfollicular cells)では分散的に、さらに被膜帯(mantle zone)および胚中心細胞では弱く発現される。特有なことには、HB15はまた皮膚内のランゲルハン氏細胞(Langerhan's cells)および循環樹状突起細胞(dendritic cells)によっても発現される。したがって、HB15糖蛋白はIg上科の新種の典型である。
【0006】
HB15蛋白またはその部分(その特異的なドメイン、リガンド結合フラグメントもしくは免疫特異的フラグメントの何れかを含む)をコードするcDNA配列を複製可能な発現ベクターに組み込み、適切な宿主(例えば細菌、酵母、または真核細胞培養)をこのベクターで核酸感染(トランスフェクト)させることができる。また別に、HB15蛋白またはその部分をコードするゲノムDNAフラグメントをその場で(in situ)利用することができる。発現蛋白もしくはポリペプチド、またはそれの拮抗物質は哺乳類の免疫機能を調節するために用いることができる。また、発現生成物は、HB15または、その特異的ドメインもしくはそのフラグメントのいずれかを含む部分に対する抗体を産生させるために免疫原として用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、一般にリンパ球活性化抗原(HB15)、またはその特異的ドメイン、リガンド結合フラグメントもしくは免疫特異的フラグメントのいずれかを含む該蛋白の部分をコードする核酸分離物;コードされたHB15蛋白または、その特異的ドメイン、リガンド結合フラグメントおよび免疫特異的フラグメントを含む該蛋白の部分;HB15またはHB15リガンドの存在を検出する方法;HB15またはHB15リガンド機能に対する拮抗物質を同定または開発する方法;免疫疾患に罹患している患者の診断または治療方法;HB15またはそのフラグメントを発現している細胞およびHB15またはそのフラグメントと反応する抗体を同定または分離する方法を特徴とする。
【0008】
また別の特徴は、天然には見出しえない種々のアミノ酸配列もしくは糖付加を有するHB15誘導体、そのような誘導体をコードする核酸分離物、および厳しい条件下でHB15遺伝子とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブである。
【0009】
本明細書で用いられるように、”HB15に対する拮抗物質”という用語は、HB15と相互作用し、さらにその機能と干渉する物質(例えばHB15と反応する抗体)、またはHB15と結合するリガンドを含む。”同定する”という用語は、物質の確認を必要とする他の行為、例えば分離または精製を含むことを意図している。”分離”または”実質的に精製された”という用語は、それが調製されまたは天然に生じた環境から分離されまたは単離された核酸または蛋白配列を指す。そのような核酸または蛋白配列はキメラハイブリッドの形であってもよい。このキメラハイブリッドは本発明の核酸配列または蛋白配列の機能を他の種と結合させるために役立つ。”免疫特異的フラグメント”という用語は、提示蛋白の決定基に対して特異的な抗体と反応する提示蛋白のフラグメントを指す。
【0010】
HB15蛋白、免疫特異的もしくはリガンド結合フラグメントまたは、該蛋白の特異的ドメイン、またはHB15機能と干渉するHB15に対する他の拮抗物質は、免疫反応もしくは細胞相互反応の発生もしくは進行を修飾もしくは抑制するために治療的に、またはHB15を発現している細胞に薬剤、毒素もしくは画像化剤を送達するために用いることができる。HB15cDNAは、これらの蛋白もしくはペプチドを製造するために;関連蛋白もしくはポリペプチド(例えば、関連動物種からの同種ポリペプチドおよび同一種からの異種分子)をコードする核酸分子を同定するために;または形質転換細胞もしくは非細胞系のいずれかで同様な機能を有する他の新規なキメラ分子を構築するために用いることができる。さらに、HB15cDNAは、HB15蛋白の発現を抑制するために逆方向(アンチセンス)オリゴヌクレオチドを合成するために用いることができる。細胞によるHB15の機能、産生またな発現の検定は、選択的にHB15蛋白と反応する単クローン性抗体の開発によって可能になる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施例の記載および請求の範囲から明らかとなろう。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、HB15cDNAクローンの構造および制限部位の位置を示す。
図2は、HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
図3は、HB15の細胞外ドメインの構造の仮説モデルを示す。
図4Aおよび図4Bは、HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す。
図5A−図5Fは、HB15発現の免疫組織化学分析を示す。
【発明の効果】
【0012】
HB15蛋白、免疫特異的もしくはリガンド結合フラグメントまたは、該蛋白の特異的ドメイン、またはHB15機能と干渉するHB15に対する他の拮抗物質は、免疫反応もしくは細胞相互反応の発生もしくは進行を修飾もしくは抑制するために治療的に、またはHB15を発現している細胞に薬剤、毒素もしくは画像化剤を送達するために用いることができる。HB15cDNAは、これらの蛋白もしくはペプチドを製造するために;関連蛋白もしくはポリペプチド(例えば、関連動物種からの同種ポリペプチドおよび同一種からの異種分子)をコードする核酸分子を同定するために;または形質転換細胞もしくは非細胞系のいずれかで同様な機能を有する他の新規なキメラ分子を構築するために用いることができる。さらに、HB15cDNAは、HB15蛋白の発現を抑制するために逆方向(アンチセンス)オリゴヌクレオチドを合成するために用いることができる。細胞によるHB15の機能、産生またな発現の検定は、選択的にHB15蛋白と反応する単クローン性抗体の開発によって可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好ましい実施例の説明
リンパ球活性化抗原、HB15は、類リンパ組織および皮膚ランゲルハン氏細胞で専ら発現する。図1を参考にして、多数のcDNAクローンに由来するヌクレオチド配列から推定されるHB15蛋白の構造的特徴は、それがIg上科の新規な種類であることを明瞭に示している。HB15の予測構造は、ただ1個の細胞外Ig様ドメイン、トランスメンブレンドメインおよびほぼ40個のアミノ酸の細胞質ドメインをもつ典型的な膜糖蛋白のそれである。pHB15cDNAによる細胞株のトランスフェクションで該蛋白の細胞表面発現が生じ、免疫沈降させた蛋白のMrはcDNAトランスフェクト細胞(〜45000)とHB15+Raji細胞(〜40000)の両方で同じであったので、HB15の完全なコード領域が認識された可能性が高い。さらにまた、HB15は単一鎖分子として発現され、しかもその測定Mrがコアー蛋白の予測サイズの2倍であったので、HB15は顕著な翻訳後プロセッシングを受ける可能性が高い。HB15はまたCOS細胞、CHO細胞、マウス前−B細胞株およびヒト赤白血病株を含むcDNAトランスフェクト細胞の表面に発現されたので、表面発現は、TおよびB細胞抗原レセプターに付随するIg様蛋白とともに生じる分子複合体の他の成分の発現に左右されない蓋然性が高い。
【0014】
HB15アミノ酸配列と先に同定された蛋白との比較では、細胞外Ig様ドメインとIg上科の他の種類との類似性を除いて、顕著な同種性は明らかではなかった。HB15Ig様ドメインは、図2に示すようにドメインのVセットで認められる多くの保存された特徴を含んでいた(Williamsら、Ann.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。Igドメインの同種性に基づき、HB15はCys16とCys88を連結するジスルフィド結合を持っている可能性が高い。したがって、2個のCys残基の間に71個のアミノ酸が存在し、これはV関連ドメインにとって適切なサイズであろう(Williamsら、上掲書)。8、81および110位の残基の間にもさらにジスルフィド結合形成の可能性がある。なぜならば、これらCysは同様に細胞外ドメインに存在するからである。さらに、HB15は予測される膜上ドメイン内の144位に位置するCys残基を有する。Cys残基はまた、CD3δおよびCD7の同一の位置にも存在するが、このことは幾つかの機能的な重要性、おそらく脂肪質アシル化のための部位としての重要性を提唱する(Kaufman ら、J.Biol.Chem.259:7230-7238(1984);Roseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:2050-2054(1984))。HB15細胞質尾部はCD7のそれと大きさが同じであるが(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987))、既知蛋白とアミノ酸配列の類似性は共有していない。しかしながら、このドメイン内の5個のSer/Thr残基は燐酸化の潜在的部位として機能する。したがって、HB15は、先に報告された構造と明白な関連性を共有しない新規なリンパ球細胞表面抗原であるように思える。
【0015】
HB15細胞外ドメインは、少なくとも2つのエクソンによってコードされるものの典型的なIg様ドメインとは異なる。部分的なゲノムDNA配列の分析によって、Ig様ドメインの半分は単一のエクソンによってコードされ、推定膜上ドメインもまた別個のエクソンによってコードされるということが明らかにされた(図2)。Ig様ドメインが1つ以上のエクソンによってコードされえることは、Ig上科のいくつかの種類で認められている。これらにはPo蛋白(Lemke ら、Neuron,1:73-83(1988))、CD4(Littmanら、Nature,325:453-455(1987))およびN−CAM(Owensら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:294-298(1887))が含まれる。この発見は、Igドメインは複製とその後に起こる結合によって進化した原型ハーフドメインから生じたのであろうという構造分析を支持する。しかしながら、上記遺伝子およびHB15遺伝子の各々は、ジスルフィド結合の保存Cys残基をコードする配列の間の異なる位置にイントロンを含んでいる(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。この発見は、イントロンはその後で挿入され、これらドメインの各々の進化のより新しい時点で原型Ig様ドメインを遮断したのであろうという考えを支持する。
【0016】
HB15と反応する2種の単クローン性抗体は他の殆どの造血細胞上のHB15を検出することができなかったので、HB15の発現は一般にリンパ球に制限されるらしい。殆どの胸腺細胞および循環リンパ球は検出可能な細胞表面HB15を発現しないので、HB15発現はリンパ球発生において後期の事象であるかもしれない。しかしながら、ミトゲンによって活性化された後、末梢リンパ球は、3日目から5日目(増殖が最大となる期間)に最高レベルの細胞表面HB15を発現した。HB15は、特に培養または活性化後に単球によって低レベルで発現されるかもしれないが、発現のレベルは低く、Fcレセプター仲介抗体結合の結果生じるのかもしれない。多くのTおよびB細胞株もまたHB15を発現するが、発現は一般に低レベルである。興味深いことには、細胞株による細胞表面HB15発現は、最高増殖期間(例えば培養に栄養補給が行われた後一日目)に最高になる。これらの結果は、HB15は類リンパ球の最大増殖のために重要であるか、または細胞の最大増殖はこの抗原の発現に必須であるということを示している。これは、HB15は造血組織の胚中心細胞によって発現されるという観察と一致している。にもかかわらず、22種類の異なる組織の免疫組織学的な分析によって、HB15発現は類リンパ球に限定されているように見える。ただ1つの例外は、皮膚ランゲルハン氏細胞がHB15を発現するという発見であった。この制限的発現のユニークな型式は、この蛋白の構造分析と相まってHB15は新規に同定されたリンパ球活性化抗原であることを示唆する。
【0017】
Ig上科の他の種類とのHB15の構造類似性は、Ig様ドメインは免疫系および神経系でしばしば種々の同型および異型の相互反応に関与するので、HB15は細胞性反応に関与するかもしれないことを示唆する。これらの相互反応は、その後の細胞表面下の事象の引き金となる結合機能または粘着を含む。重要な機能的特徴は、通常同種好性または異種好性結合がIg関連分子間で生じるということで、これは向かい合う膜表面の分子間でしばしば生じる。これら他の蛋白に対するHB15の構造的関連性は、活性化後のリンパ球または他のHB15+細胞型の同型または異型相互作用のいずれかにおけるこのリンパ球活性化蛋白の役割を示唆しているのかもしれない。
【0018】
図2に開示する特定のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は対応物の代表例で、本発明の開示に従うことによって直接さらに簡便に得られる関連ヒト遺伝子の代表例である。例えば、開示した核酸配列とヒト細胞からの遺伝的物質との厳格な条件下での交差ハイブリダイゼーションは容易に実施でき、同等なヒトの配列をえることができる。同様な態様で、変性オリゴヌクレオチドも開示したアミノ酸配列またはその部分から容易に合成することができ、周知の増幅技術のいずれか、例えばポリメラーゼ・チェーン・リアクションを用いて増幅し、ヒトの同等な配列と結合するプローブを得ることができる。同等な配列によってコードされる蛋白またはポリペプチドが製造できる。開示した蛋白またはペプチドに対する抗体もまた作製でき、同様なエピトープを有するヒトおよび他の哺乳類のペプチドと交差反応させるために用いることができる。このように分離した、開示蛋白またはペプチドのそれと同様な抗体反応性パターンを有するこれらペプチドは、開示した蛋白またはペプチドの同等物であると考えられる。
【0019】
以下の実施例は、本発明の利点を詳述し、さらに、同一物を製造し用いるにつき通常の技術を有する者を補助するために提供される。これらの実施例は本開示の範囲を制限することをあらゆる面において意図するものではない。
【実施例1】
【0020】
HB15cDNAクローンの分離と性状およびHB15蛋白の性状
B類リンパ芽球細胞株RajiおよびT細胞株H−SB2の標識cDNAを用いて、ヒト扁桃腺cDNAライブラリーを種々のハイブリダイゼーションでスクリーニングした。分離された261個のRAJI+H−SB2−cDNAクローンのうちの2つ、pB10(〜2.5kb)およびpB123(〜1.2kb)は互いにハイブリダイズしたが、既知のB細胞表面抗原をコードするcDNA(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))とはハイブリダイズしなかった。このmRNAの発現を、B細胞株(NALM-6,Namalwa,Daudi,SBおよびRaji)、T細胞株(Hut-78,H-SB2およびMOLT-3)および赤白血病株(K562)から分離したポリ(A)+RNAを用いたノザンブロット分析によって調べた。pB123cDNAは、SBおよびRajiの〜1.7、〜2.0および〜2.5kbの3種類のmRNAと強力にハイブリダイズした。DaudiおよびNamalwa細胞はこのmRNAを低レベルで発現した。さらにこのブロットのオートラジオグラフィー(7日間)によって、NALM−6、Hut−78およびMOLT−3細胞はまたこれら3種のmRNAを発現するがその程度はずっと低く、さらにH−SB2RNAとの微かなハイブリダイゼーションが検出されるということが明らかにされた。これらの結果は、白血球亜集団内のこの遺伝子の段階的発現を示唆している。
【0021】
これらcDNAについての制限地図を作製し、それらのヌクレオチド配列を求めた。両方のcDNAは重なり合い、最も長い5’配列を有するpB123cDNAともに、その5’末端に開放読み枠を含んでいた。いずれのクローンも翻訳開始部位を含まないので、pB10cDNA挿入物をさらに13個の交差ハイブリダイズcDNAをヒト扁桃腺ライブラリーから分離するために用いた。制限地図とヌクレオチド配列決定によって、このcDNAのうち12個がオーバーラップし、1個のcDNAは最長の5’配列を含んでいた。このクローン(pHB15と呼ぶ)の制限地図およびヌクレオチド配列は図1に示す。完全な長さのcDNAクローンは、EcoRI消化およびサブクローニングによって除去される3’末端の〜500bpを含む可能性が高い。他の別個のcDNAの8クローンは同じEcoRI生成フラグメントを有し、EcoRI部位は、配列決定されたすべてのcDNAにおいて同一のヌクレオチド部位に位置していた。
【0022】
pHB15cDNAは625bpの開放読み枠を、非翻訳配列を表す主要なcDNA部分とともに含んでいた。HB15の決定ヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列は図2に示す。成熟蛋白を生成するための予測切断部位は縦矢印で示す。アミノ酸配列の上に示した数字は推定成熟蛋白のアミノ酸残基部位を示し、右側の数字はヌクレオチド部位を示す。アミノ酸は、単一文字コードで表し、*は終了コドンを表す。疎水性特性を有するヌクレオチド表記翻訳領域には下線を施してある。潜在的N−結合糖化反応結合部位を示すアミノ酸には下線を施してある。ポリ(A)付加シグナル配列は波線で示す。Cys残基は円で囲み、Ig様ドメインでしばしば保存されるアミノ酸は(+)で示す。ヌクレオチド配列の下の矢尻は、別のDNAクローンで確認されたエクソン/イントロン境界を示す。
【0023】
最初に示されたATGは、提唱されている翻訳開始コンセンサス配列、(A/G)CCAUGと一致するので(Kozakら、Cell 44:283-292(1986))、おそらく翻訳の開始コドンであろう。異なるmRNA種は特質的なポリ(A)付加部位、AATAAAの使用によって生じる可能性が高い。なぜならば、1つは、3’非翻訳領域の中央のヌクレオチド1248位に見出されたからである(図2)。このポリ(A)付加部位はpB123cDNAで機能を有する。なぜならばそれはポリ(A)テールを伴っていたからである。ポリ(A)付加部位またはテールは、pHB15cDNAのおそらく3’末端を表している〜550bpEcoRIフラグメントには認められなかった。
【0024】
cDNAライブラリー(長さが〜3.0kb)から分離された、pB123cDNAとハイブリダイズする1クローンは、他のcDNAで認められたものと同一の229bpおよび107bpのセグメントを有する固有の配列をもっていた。これらの領域は、エクソン境界を区切るコンセンサス5’および3’スプライス配列(Aebiら、Trends Genet.3:102-107(1987))に対応する隣接配列を有するが、これは、この変種cDNAはイントロンと2つのエクソンを含んでいるということを示している。このクローンによって認識された3つのスプライス結合部位は図2に示す。
【0025】
HB15蛋白の予測される長さは205アミノ酸であった(図2)。しかしながら、pB123cDNAはヌクレオチド500位でコドンAAGを失っていた。したがって、この蛋白はいくつかの場合においてアミノ酸1個分短いであろう。これは、このコドンが潜在的なスプライス部位と接しているので、1個のコドンを含んだりまたは失ったりすることになる特異的なエクソン/イントロン境界におけるスプライシングにより生じるかもしれない。同様な現象は、Ig上科の1種をコードするCD19においてもまた認められた(Zhouら、Immunogenetics,35:102-111(1992))。カイトらの方法(Kyteら、J.Mol.Biol.157:105-(1982))によるアミノ酸配列のハイドロパシー分析によって、強い疎水性の2つの領域が明らかになった。19アミノ酸の第一の疎水性部分は、この蛋白のアミノ末端の典型的なシグナルペプチドを表している。フォンヘインのアルゴリズム(von Heijne、Nucleic Acids Res.14:4683-4690(1986))によって、もっとも可能性が高い成熟蛋白のアミノ末端は、アミノ酸19に続くThrであろうと予測される。22アミノ酸の第二の疎水性領域は、おそらくトランスメンブレン領域を表している。3つの潜在的なN−結合糖化結合部位(N−X−S/T)は細胞外ドメインに見出された。したがって、コアー蛋白の予測される分子量は〜20500であろう。
【0026】
6個のCys残基はHB15の細胞外ドメインに見出され、1個は推定膜部分ドメインに認められた。16位および88位のこれらの残基の1対はIg様ドメインを表している(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。このドメインは、Ig様ドメインのVセットの証明となる特徴的なアミノ酸の多くを含んでいた。蛋白同定源蛋白配列データベース(Protein Identification Resource Protein Sequence Database)を用いた蛋白配列のコンピューター検索によって、いずれの蛋白もIg上科の幾つかの種類以外とはHB15と顕著な配列相同性を共有しないことが示された。
【0027】
Ig重鎖Vドメインのβ型折り畳みシートの提唱配列に基づいて、HB15の細胞外ドメイン構造の仮説モデルが与えられる(参照)。Cys残基は黒丸で表され、異なるエクソンによってコードされるアミノ酸は別々に斜線を施した円で示されている。数字は図2の場合のように予想されるアミノ酸残基位を表している。
【実施例2】
【0028】
HB15と反応する単クローン性抗体の製造
NS−1ミエローマ細胞とpHB15cDNAトランスフェクトCOS細胞免疫マウス由来の脾細胞との融合によってハイブリドーマを生成した。HB15mRNA陽性細胞株と間接免疫蛍光分析で反応するが、HB15陰性細胞株とは反応しない単クローン性抗体を分離した。これらの抗体のうち2種、抗HB15a(IgG2b)および抗HB15b(IgG3)はまた、pHB15cDNAをトランスフェクトしたCOS細胞と反応したが、CD19cDNAをトランスフェクトした細胞(Tedderら、J.Immunol.143:712-717(1989))または発現ベクターのみでトランスフェクトした細胞とは反応しなかった。さらに、これらの抗体はヒト赤白血病細胞株(K562)およびマウス前B細胞株(300.19、pHB15cDNAで安定的にトランスフェクトされている)とは反応した。この抗体は、未トランスフェクト親細胞株、ベクターのみでトランスフェクトした細胞;またはCD19、CD20(Tedderraら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))もしくはLAM-1(Tedderら、J.Exp.Med.,170:123-133(1989))cDNAトランスフェクト細胞とは反応しなかった。すべての場合に、抗HB15aおよび抗HB15bの反応性は同一であった。
【実施例3】
【0029】
HB15発現の検出
細胞表面HB15の免疫沈降反応 抗HB15a単クローン性抗体を精製しビーズに結合させ、表面をヨウ素化した細胞株の洗剤可溶化抽出物からHB15を免疫沈降させるために用いた。他の細胞株よりHB15の発現レベルが高いので、至適結果は、K562−HB15細胞株(pHB15cDNAをトランスフェクトしたK562細胞)を用いて得られた。抗HB15a単クローン性抗体は、〜45000Mr.の単一の広いバンドとして移動する蛋白を特異的に免疫沈降させた。免疫沈降物質を還元または非還元条件下で移動させたとき、同様な結果が得られた。同様な蛋白がRaji細胞株から免疫沈降したが、Mrは〜40000であった。したがって、HB15は、細胞表面に非共有結合的に結合した単一鎖分子として発現されていた。HB15は活性化リンパ球によって発現された。
【0030】
フローサイトメトリー分析を用いて間接免疫蛍光染色でHB15表面抗原の組織分布を調べた。HB15メッセージを発現していなかった2つの細胞株を、レトロウイルスベクターpZipNeoSV(X)のBamH1部位でサブクローニングしたpHB15cDNAでトランスフェクトした。図4A、Bを参考に、HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す。無地のヒストグラムは細胞のHB15a抗体との反応性を示し、斜線付きのヒストグラムは、非反応性コントロール抗体で得られた免疫蛍光染色のバックグラウンドレベルを示している。調べた33の細胞株の間では、HB15は、B細胞株(Raji、Daudi.Namalwa、Arent、BJAB、SB、Jijoy、AkataおよびSLAを含む)およびT細胞株(Jurkat、H-9、Rex、H-SB2およびHut-78を含む)によって検出可能なレベルで発現していた。しかしながら、HB15発現は一般に低くさらに一定ではなかった。最も高い細胞表面発現レベルは、細胞を分割し、したがって最大限に増殖させた場合に得られた。検出可能なレベルのHB15を発現しなかった細胞株は、K562;B細胞株(NALM-6およびRamos);T細胞株(MOLT-3、RPM18405、PEER、MOLT-14、CEMおよびHPB-ALL;骨髄単球細胞株(HL60);天然キラー細胞株(YT);大腸癌株(Colo-205およびHT29);肺細胞株(NCI-H69およびNCI-H82);前立腺株(PC3);メラノーマ株(MEWO);および乳癌細胞株(ZRT5.1、MCF7およびBT20)を含む。
【0031】
正常な血液白血球によるHB15の発現もまた調べた。しかしながら、HB15の細胞表面発現は、15例の血液サンプルの循環リンパ球、天然キラー細胞または単球では顕著なレベルでは検出されなかった。したがって、HB15は細胞活性化後に発現されるという可能性を、有糸分裂促進剤のコンカナバリンA(ConA)、アメリカヤマゴボウミトゲン、フィトヘマグルチニン−Pまたはフォルボールエステル(PMA)を用いてTリンパ球増殖を誘発することによって調べた。HB15の発現は、培養開始後2、8、12、24、48、72、120および240時間で調べた。HB15発現の出現は細胞増殖と並行していたが、最適発現は培養開始後3日目から5日目であった。また、誘発されたHB15発現量は、いずれの特定の有糸分裂促進剤とも相関していなかったが、有糸分裂シグナルの強さとより相関していた。すなわち細胞表面発現はより大型の芽細胞で専ら認められた。したがって、HB15は活性化後のリンパ球で発現した。
【0032】
HB15発現の免疫組織分析
HB15のリンパ球特異性および組織分布もまたヒトの種々の組織の免疫組織分析によって調べた。基本的には、抗HB1a単クローン性抗体を胸腺、扁桃腺、脾臓、リンパ節、腎臓、腎孟および尿管、ファロピウス管、肝臓、膵臓、胃、乳房、肺臓、食道、骨格筋、皮膚、子宮、唾液腺、甲状腺、副腎腺、心臓、虫垂、結腸を染色するために用いた。殆どの場合、HB15発現はリンパ球特異的のようで、非リンパ球組織では顕著な反応は認められなかった(図5A−5Fを参照)。扁桃腺およびリンパ節では(図5A)、HB15は小胞内領域の分散細胞(T細胞帯)によって相応に強く発現した(図5C)。これらの細胞の幾つかはリンパ芽球であったかもしれないが、それらは休止リンパ球より大型のようであり、さらにCD1表面分子を発現していたので(図5D)、殆どは有指状突起細網細胞(interdigitating reticulum cells)(樹状突起細胞の亜集団)であった。また、胚中心(GC;図5Aおよび5B)および小胞被膜帯(FM;図5A)内の幾つかの細胞(50−80%)はリンパ球の形態を有し、弱くHB15+であった。脾臓では、HB15+細胞は専ら白髄に限られ、一方赤髄は殆ど陰性のままであった。さらにまた、白髄中のこれら大型の分散した陽性細胞は有指状突起細網細胞またはリンパ芽球である可能性が高い。胸腺皮質はHB15陰性で、一方、髄質細胞の小細胞亜集団(おそらく胸腺細胞)は陽性であった(図5E)。他の非造血組織と異なり、皮膚の分析によって、ランゲルハン氏細胞(樹状突起細胞の亜集団)の特徴的な分散枝状形態を有するいくつかの細胞がHB15を検出可能レベルで発現することを明らかにした。すべての非造血組織間(ここでは炎症浸潤が明瞭であった)では、少しの分散リンパ球がHB15を発現していることが認められた。循環樹状突起細胞はまたHB15+であるが、頻度が低いので容易には検出されない可能性が高い。同様に、樹状突起細胞の悪性対応物はまたHB15を発現する可能性が高く、ホジキン症由来の悪性細胞株で有指状突起細網細胞の典型である可能性が高い(Schaadtら、Int.J.Cancer,26:723-731(1980))L428細胞株はHB15陽性であるので、この分子は悪性細胞の診断マーカーとして用いることができる可能性がある。
【0033】
実験手順
cDNAクローンの分離
特異的なハイブリダイゼーションによるcDNAクローンの分離は既に報告された(Tedderら、Mol.Immunol.25:1321-1330(1988))。1つのクローン、pB123を精製し、ニックトランスレーションで標識し(Rigdyら、J.Mol.Biol.113:237-251(1977))、さらに報告(Zhouら、Immunogenetics,35:102-111(1992))のようにλgt11(Weisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:5639-5643(1986))で同じヒト扁桃腺cDNAライブラリーをもう一度スクリーニングすることによって同種のcDNAを分離するために用いた。陽性プラークを分離しクローニングして、さらにEcoRIによって挿入物を除去し、pSP65(Meltonら、Nucleic Acids Res.,12:7035-7056(1984))でサブクローニングした。制限地図をマニアーティスらの報告(Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982))のように作製し、サンガーらの方法(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74:5463-5467(1977))を用いてヌクレオチド配列を決定した。
【0034】
ヌクレオチドおよび蛋白配列のコンピューター検索は、蛋白同定リソースデータ(Protein Identification Resource Data(GenBank release 66 & Swiss-Prot-16))を用いて実施した。−1のギャップペナルティーは、1ギャップまたは欠失が生じた配列の各ヌクレオチドまたはアミノ酸についての配列相同性分析で調べた。
【0035】
RNAブロット分析
報告(Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982))のようにポリ(A)+RNAを分離した。ノザンブロット分析では、2μgのポリ(A)+RNAをグリオキサールで変性させ、1.1%のアガロースゲルの電気泳動で分画し、ニトロセルロースに移した(Thomas、Methods Enzymol.,100:255(1983))。プローブとして用いたpB123cDNA挿入物を分離し、ニックトランスレーション(Rigbyら、J.Mol.Biol.113:237-251(1977))を行い、報告(Wahlら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:3683-3687(1979))のようにフィルターを用いてハイブリダイズさせた。非常に厳しい条件のハイブリダイゼーションでは、50%(v/v)ホルムアルデヒド、4×SSC、10%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム、42℃を用いた。フィルターは、0.2×SSC、0.1%SDSで65℃で洗浄した。RNAサイズは、標準物として同一ゲルで流した28Sおよび18SリボソームRNAとの比較によって決定した。同じブロットをまた、身元不詳であるが全mRNAが無傷でさらにこの発現mRNAと同じ量であることが明らかなハウスキーピングmRNAとハイブリダイズさせた。ゆるやかな厳格度のハイブリダイゼーションの条件は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMNaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mM燐酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストランおよび20μg/mlの変性分断サケ精子DNAを含む溶液中で一晩の反応であった。
【0036】
細胞
ヒューマン・プロテクション・コミッティー・オブ・ダナファーバー・キャンサー・インスティテュート(Human Protection Committee of Dana-Farber Cancer Institute)によって承認されたプロトコルによってヒト血液を得、フィコールハイパーク濃度勾配遠心で単核球を分離した。完全培地(15%ウシ胎児血清、抗生物質およびグルタミン補充RPMI−1640)中の単核球(106/ml)をフィトヘマグルチニン−P(2μg/ml、Difco、デトロイト、ミシガン)、ConA(10μg/ml、Gibco/BRL、ベセスダ、メリーランド)またはフォーボルミリステート13−アセテート(PMA)(10ng/ml、シグマ、セントルイス、ミズーリー)で、報告(Tedderら、J.Immunol.144:532-540(1990))のように刺激した。表示時間でリンパ球を採集し、完全培地で1回洗浄し、下記のように直ちに免疫蛍光染色用に部分標本を採取した。
【0037】
修飾CDM8ベクター(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987);Tedderら、J.Immunol.143:712-717(1989))にサブクローニングしたpHB15cDNA挿入物で、報告されたようにDEAE−デキストラン法(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987))を用いてCOS細胞をトランスフェクトした。細胞表面発現は、48時間後に間接免疫蛍光で調べた。レトロウイルスベクターpZipNeoSV(X)(Cepkoら、Cell,37:1053-1062(1984))のBamH1部位に正確な方向性でクローニングされたpHB15cDNAを用いて、安定なcDNAトランスフェクト細胞が産生された。エレクトロポレーションによってネズミ前−B細胞株(300.19)およびヒト赤白血病細胞株(K562)をこのベクターでトランスフェクトし、その後G418(Gibco/BRL)を用いて安定な核酸感染体(トランスフェクタント)を選別した。HB15を発現している細胞を単クローン性抗体と反応させ、続いて抗マウスIg被覆プレート上で選り分けることによって、さらにHB15発現細胞を多くした。
【0038】
10%ウシ胎児血清および抗生物質含有RPMI1640で細胞株を増殖させた。すべての細胞株培養を分析前日に分割し、対数増殖期にした。
【0039】
mAb製造
NS−1ミエローマ細胞と、HB15cDNAでトランスフェクトしたCOS細胞で繰り返し免疫したBALB/cマウスの脾細胞とを融合させて、報告(Tedderら、J.Immunol.144:532-540(1990))のように抗HB15単クローン性抗体を生成した。各ハイブリドーマを2回クローニングし、腹水液を生成するために用いた。mAbのアイソタイプはアマーシャム社(アーリントンハイツ、イリノイ)製マウス単クローン性抗体アイソタイピングキットを用いて決定した。
【0040】
免疫蛍光分析
細胞を4℃に保ち分離後直ちに調べた。生細胞の間接免疫蛍光分析を細胞を3回洗浄した後実施した。続いて細胞を免疫染色用の至適濃度に希釈した腹水液としての各mAbとともに氷上で20分保温した。ヒト白血球と反応しないアイソタイプ適合ネズミ抗体を陰性コントロールとして用いた。洗浄後、フルオレセインイソチオシアネート結合ヤギ抗マウスIg抗体(Southern Biotechnology Associates、バーミンガム、アラバマ)で、細胞を4℃20分処理した。エピックスプロフィル(Epics Profile)フローサイトメトリー(コールターエレクトリクス、ハイアレー、フロリダ)によって単色免疫蛍光分析を実施した。各サンプルに付き1万個の細胞を調べた。
【0041】
免疫沈降分析
細胞を2回洗浄し、食塩水に再浮遊させ、報告のように(Thompsonら、Biochem.,26:743-750(1987))ヨードゲン(iodogen)法によって標識した。洗浄後、1%(v/v)トリトンX−100およびプロテアーゼインヒビター含有緩衝液1ml中で記載(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))の通り細胞を溶解した。製造元の支持に従い、直接アフィゲル(Affigel)(バイオラッド、リッチモンド、バージニア)にゲル1mlにつき2mgのmAbの割合で直接結合させた抗HB15a単クローン性抗体またはマウスIg(陰性コントロールとして)を用いて、免疫沈降を実施した。細胞溶解物は、50μl(50%v/v)のネズミIg被覆ビーズを用いて4℃で2時間2回予備沈降させた。細胞溶解物はさらに一晩予備沈降させた。その後、予備沈降させた溶解物の半分を25μlの抗HB15a単クローン性抗体被覆ビーズまたはネズミIg被覆ビーズとともに4℃18時間一定の撹拌で保温した。免疫沈降物を洗浄し、記載(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))の通りSDS−PAGE(サンプルの半分は5%の2−メルカプトエタノールの存在下(還元状態))で分析した。Mrは予め染色された標準分子量マーカー(Gibco/BTRL)を用いて決定した。
【0042】
免疫組織化学
コーデルら(Cordellら、J.Histochem.Cytochem.31:219-229(1984))の記載のように修飾APAAP法を用いて、全組織を染色した。基本的には、スライドをまず単クローン性抗体で保温し、続いてウサギ抗マウス(架橋)抗体による保温工程を行った。その後、アルカリホスファターゼで予備保温した、アルカリホスファターゼに対する単クローン性抗体で処理した。この方法の感度を高めるために、表面のホスファターゼ分子の数を1層または2層の架橋抗体および抗ホスファターゼ抗体を用いることによって増加させた。結合ホスファターゼ分子を基質として新フクシンを用いて可視化した(Cordellら、J.Histochem.Cytochem.31:219-229(1984))。
【0043】
用途
HB15蛋白もしくはその免疫特異的フラグメント、またはその抗体もしくはHB15機能に対する他の拮抗物質は、種々の免疫疾患、疾病または症候群の診断または治療に用いることができる。そのような目的のために、可溶性外部ドメインがしばしば用いられるであろう。これは典型的には(しかし必ずしも必然的ではないが)、例えばデキストランもしくはポリアミノ酸担体またはHB15フラグメント融合蛋白および担体分子を用いて多価状態で重合化されているであろう。また別にリポゾームを治療用賦形剤として用いることができ、その場合には、トランスメンブレンドメインおよび、好ましくは細胞質ドメインの少なくとも幾らかがまた含まれるであろう。例えば、ランゲルハン氏細胞は、皮膚の第一次免疫応答細胞で、T細胞に抗原を提示し、接触過敏を誘導する役割を果たすので、さらに、HB15はランゲルハン氏細胞によって発現され、抗原提示に関与するので、ヒトの皮膚疾患、例えば乾癬、自己免疫疾患。臓器移植およびエイズの病理発生に関与する可能性が高い。
【0044】
したがって、HB15機能の拮抗物質は、これら疾患の治療について重要な治療剤を提供することができる。同様に、HB15はリンパ球活性化のための付随分子として機能する可能性があるので、HB15抗原、そのフラグメントまたはドメインは、免疫反応を増大させる作用薬として用いることができる。
【0045】
より具体的には、樹状突起細胞はヒト免疫不全ウイルス(エイズの原因微生物)の一次標的である。インビボではエイズウイルスの80%は樹状突起細胞、特にランゲルハン氏細胞、循環樹状突起細胞および有指状突起細網細胞によって産生されることが最近提唱された(Langhoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7998-8002(1991))。また、殆どの感染は粘膜表面を介して生じるが、その場合、樹状突起細胞がまず感染すると考えられる。したがって、本試薬は、エイズまたはエイズ関連疾患の有望な予防または治療のための重要な手段を提供する。
【0046】
一定の病的状態のモニターのために、患者の血液血清中の内因性可溶性HB15量を定量することが推奨できるであろう。正常状態または病的な状態でいくつかのレセプターが放出されることが知られていることに基づいて、HB15もまた細胞表面から酵素的過程によって失われるという可能性がある。また、定量的な検出は、白血球の活性化もしくは白血球機能の変化の診断および/または検出のために、HB15の異常発現または発現低下について白血球を識別する方法において有用であろう。さらに、組換え体治療剤の製造中に産生されるレセプターまたはそのフラグメントの量を定量する能力も利点であろう。HB15レベルの定量は当業者に既知の多数の分析方法を用いて実施できるが、これらの方法は、HB15に対して作製した単クローン性抗体を用いる酵素結合免疫検定を含む。
【0047】
同様に、一定の臨床状態の治療では、内因性可溶性HB15またはHB15+細胞を患者の血液から除去することが推奨されるであろう。これは、開示したHB15の外部ドメインに対して作製された抗体または他の結合剤を含む免疫選別カラムを用いることによって、現存のオンラインおよびオフライン技術を用いて実施できる。
【0048】
現時点では、ヒトの非小胞性樹状突起細胞のための特異的なマーカーは存在しない。HB15単クローン性抗体をHB15+細胞の識別のために使用することによって、この蛋白を発現している細胞を非関連細胞集団から分離および精製することが可能になった。
【0049】
HB15単クローン性抗体は、有指状突起細胞肉腫またはこの抗原を発現する他の悪性細胞型の評価および診断にもまた有用であろう。したがって、HB15基剤薬は免疫治療または免疫画像化について適切であろう。
【0050】
さらに、HB15機能の分析は、このレセプターの生理学的役割におけるさらに進んだ研究で用いることができる。例えば、予備実験では、混合リンパ球反応におけるT細胞増殖(T細胞活性化検定)は、抗HB15単クローン性抗体の存在によって部分的に抑制される。この機能分析は、T細胞機能の開始における樹状突起細胞または単球のHB15分子の役割を提示する。
【0051】
これまで本発明を好ましい実施例と合わせて記載したが、前述の記載の読後、当業者は種々の変更、同等物の置き換え、並びに前述の組成および方法に対するその他の変更を実施することができるであろう。したがって、本発明に対するレターズパテントによって付与される保護は、添付の請求の範囲およびその同等物に含まれる範囲によってのみ制限されるであろう。
【0052】
寄託
以下のハイブリドーマは1992年3月17日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。
性状 ATCC番号
抗HB15aハイブリドーマ細胞株、HB15a HB10987
抗HB15bハイブリドーマ細胞株、HB15b HB10988
【0053】
出願人の譲受け人、Dana−Farber Cancer Institute,Inc.,はATCCが該寄託の永久に保存できる寄託所であり、特許が付与された場合、公衆がそれを容易に入手できることを明言する。このように寄託した物質の公衆の入手に関する全ての制限は、特許付与の際に完全に取り除かれる。特許出願中に、37CFR1.14および35USC122の下にそれに対して権利を有すると長官が認めた者は、該物質を入手することができる。該寄託物質は、そのサンプルの最も最近の供給の要請後少なくとも5年間、さらにいずれの場合においても寄託の日から少なくとも30年間または特許の有効期間の間(いずれか期間の長い方)は、活力を保持し、かつ汚染されないよう必要な全ての注意をもって維持されるであろう。出願人の譲り受け人は、該寄託所が、要請時に該寄託物の条件のためにサンプルを供給できない場合は、該寄託物を置き換える義務を負うことを承認する。
【0054】
[配列表]
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】HB15cDNAクローンの構造および制限部位の位置を示す図。
【図2A】HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図。
【図2B】HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す別の図。
【図3】HB15の細胞外ドメインの構造の仮説モデルを示す図。
【図4A】HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す図。
【図4B】HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す別の図。
【図5A】HB15発現の免疫組織化学分析を示す図。
【図5B】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5C】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5D】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5E】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5F】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒトリンパ球活性化抗原をコードする核酸配列、特にリンパ球活性化抗原HB15をコードする配列およびこれらの配列によってコードされる蛋白およびポリペプチドに関する。
【0002】
本発明の基となった研究の一部分は合衆国政府の基金によって行われた。したがって合衆国政府は本発明について一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
免疫応答を調節する多くの細胞表面分子は、免疫グロブリン(Ig)で見出される保存構造の特徴と類似するものを含む。これらの分子は、共通の前駆体から進化したように思われ、したがって大きな上科(スパーファミリー)のメンバーである遺伝子によってコードされる(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。Ig上科の仲間の多くは、細胞−細胞粘着およびシグナル誘発に関与する。この種類の殆どのものが多数の直線的に集合したIg様のドメインを含むが、一方、いくつかの蛋白は単一のIg様ドメインを含むことが認識された。細胞−細胞粘着に関与することが分かっている、または推定される単一のIg様ドメイン蛋白は、CD8α(Littmanら、Cell 40:237(1985))、CD8β(Johnsonら、Nature 323:74(1986))、CD7(Aruffo ら、EMBO J.6:3313(1987))、Thy−1(Williams ら、Science 216:696(1982))、CD28(Aruffo ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 84:8573(1987))、CTLA−4(Brunetら、Nature 328:267(1987))および末梢ミエリン鞘の構造蛋白であるPo(Lemke ら、Cell 40:501(1985))を含む。さらに、他のものは多分子集合シグナル誘発複合体を形成するBおよびTリンパ球の抗原受容体(レセプター)と関係するが、これらは、CD3γ、δおよびε鎖(Goldら、Nature 321:431-434(1986);van den Elsenら、Nature 312:413-418(1984))、B29(Hermansonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:6890(1988))およびmB1(Sakaguchiら、EMBO J.7:3457-3464(1988))を含む。
【0004】
リンパ球に見出される蛋白を含む2種のIg様ドメインは専ら細胞の活性化に関係し、細胞−細胞相互反応の仲介に関与することが分かっている。CD28は非活性化TおよびBリンパ球よりも活性化されたそれらでより多く発現され(Turkaら、J.Immunol.144:1646(1990))、CTLA−4は、全てではないにしても殆ど活性化TおよびBリンパ球によって発現される(Brunetら、Nature328:267(1987);Harper ら、J.Immunol.147:1037-1044(1991))。活性化B細胞によって発現されるB7分子のためのT細胞レセプターとしてのCD28の役割は、CTLA−4と同様(Linsley ら、J.Exp.Med.,174:561-569(1991))であることが最近確認された(Linsleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 87:5031-503(199);Freeman ら、J.Immunol.143:2714-2722(1989))。CD28およびB7同様、殆どのIg様ドメイン含有レセプターは他の細胞上に存在するIg上科の他の種類と相互に作用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒトリンパ球ライブラリーからクローニングされたcDNAを分析し、活性化リンパ球によって発現される新規な細胞表面糖蛋白(HB15と称する)をコードすることを示す。cDNAによってコードされる成熟186アミノ酸蛋白は、単一の細胞外V型免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、膜貫通(トランスメンブレン)ドメインおよび39アミノ酸細胞質ドメインを含んでいた。ノザンブロット分析によって、HB15は、類リンパ芽球細胞株によって発現される〜1.7、2.0および2.5kbの3種のmRNA転写物に由来することが明らかにされた。HB15と反応するモノクローナル抗体(単クローン性抗体)を製造し、HB15が単一鎖のMr45000の細胞表面糖蛋白として発現されることを示すために用いた。HB15発現は、類リンパ芽球細胞株および有糸分裂促進剤(ミトゲン)活性化リンパ球に特異的であった。HB15は循環白血球では検出可能な程度には発現されなかった。免疫組織学的な分析によって、HB15は組織間で固有の発現パターンを有することが明らかにされたが、発現は専ら造血組織で見出され、小胞間細胞(innterfollicular cells)では分散的に、さらに被膜帯(mantle zone)および胚中心細胞では弱く発現される。特有なことには、HB15はまた皮膚内のランゲルハン氏細胞(Langerhan's cells)および循環樹状突起細胞(dendritic cells)によっても発現される。したがって、HB15糖蛋白はIg上科の新種の典型である。
【0006】
HB15蛋白またはその部分(その特異的なドメイン、リガンド結合フラグメントもしくは免疫特異的フラグメントの何れかを含む)をコードするcDNA配列を複製可能な発現ベクターに組み込み、適切な宿主(例えば細菌、酵母、または真核細胞培養)をこのベクターで核酸感染(トランスフェクト)させることができる。また別に、HB15蛋白またはその部分をコードするゲノムDNAフラグメントをその場で(in situ)利用することができる。発現蛋白もしくはポリペプチド、またはそれの拮抗物質は哺乳類の免疫機能を調節するために用いることができる。また、発現生成物は、HB15または、その特異的ドメインもしくはそのフラグメントのいずれかを含む部分に対する抗体を産生させるために免疫原として用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、一般にリンパ球活性化抗原(HB15)、またはその特異的ドメイン、リガンド結合フラグメントもしくは免疫特異的フラグメントのいずれかを含む該蛋白の部分をコードする核酸分離物;コードされたHB15蛋白または、その特異的ドメイン、リガンド結合フラグメントおよび免疫特異的フラグメントを含む該蛋白の部分;HB15またはHB15リガンドの存在を検出する方法;HB15またはHB15リガンド機能に対する拮抗物質を同定または開発する方法;免疫疾患に罹患している患者の診断または治療方法;HB15またはそのフラグメントを発現している細胞およびHB15またはそのフラグメントと反応する抗体を同定または分離する方法を特徴とする。
【0008】
また別の特徴は、天然には見出しえない種々のアミノ酸配列もしくは糖付加を有するHB15誘導体、そのような誘導体をコードする核酸分離物、および厳しい条件下でHB15遺伝子とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブである。
【0009】
本明細書で用いられるように、”HB15に対する拮抗物質”という用語は、HB15と相互作用し、さらにその機能と干渉する物質(例えばHB15と反応する抗体)、またはHB15と結合するリガンドを含む。”同定する”という用語は、物質の確認を必要とする他の行為、例えば分離または精製を含むことを意図している。”分離”または”実質的に精製された”という用語は、それが調製されまたは天然に生じた環境から分離されまたは単離された核酸または蛋白配列を指す。そのような核酸または蛋白配列はキメラハイブリッドの形であってもよい。このキメラハイブリッドは本発明の核酸配列または蛋白配列の機能を他の種と結合させるために役立つ。”免疫特異的フラグメント”という用語は、提示蛋白の決定基に対して特異的な抗体と反応する提示蛋白のフラグメントを指す。
【0010】
HB15蛋白、免疫特異的もしくはリガンド結合フラグメントまたは、該蛋白の特異的ドメイン、またはHB15機能と干渉するHB15に対する他の拮抗物質は、免疫反応もしくは細胞相互反応の発生もしくは進行を修飾もしくは抑制するために治療的に、またはHB15を発現している細胞に薬剤、毒素もしくは画像化剤を送達するために用いることができる。HB15cDNAは、これらの蛋白もしくはペプチドを製造するために;関連蛋白もしくはポリペプチド(例えば、関連動物種からの同種ポリペプチドおよび同一種からの異種分子)をコードする核酸分子を同定するために;または形質転換細胞もしくは非細胞系のいずれかで同様な機能を有する他の新規なキメラ分子を構築するために用いることができる。さらに、HB15cDNAは、HB15蛋白の発現を抑制するために逆方向(アンチセンス)オリゴヌクレオチドを合成するために用いることができる。細胞によるHB15の機能、産生またな発現の検定は、選択的にHB15蛋白と反応する単クローン性抗体の開発によって可能になる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施例の記載および請求の範囲から明らかとなろう。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、HB15cDNAクローンの構造および制限部位の位置を示す。
図2は、HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
図3は、HB15の細胞外ドメインの構造の仮説モデルを示す。
図4Aおよび図4Bは、HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す。
図5A−図5Fは、HB15発現の免疫組織化学分析を示す。
【発明の効果】
【0012】
HB15蛋白、免疫特異的もしくはリガンド結合フラグメントまたは、該蛋白の特異的ドメイン、またはHB15機能と干渉するHB15に対する他の拮抗物質は、免疫反応もしくは細胞相互反応の発生もしくは進行を修飾もしくは抑制するために治療的に、またはHB15を発現している細胞に薬剤、毒素もしくは画像化剤を送達するために用いることができる。HB15cDNAは、これらの蛋白もしくはペプチドを製造するために;関連蛋白もしくはポリペプチド(例えば、関連動物種からの同種ポリペプチドおよび同一種からの異種分子)をコードする核酸分子を同定するために;または形質転換細胞もしくは非細胞系のいずれかで同様な機能を有する他の新規なキメラ分子を構築するために用いることができる。さらに、HB15cDNAは、HB15蛋白の発現を抑制するために逆方向(アンチセンス)オリゴヌクレオチドを合成するために用いることができる。細胞によるHB15の機能、産生またな発現の検定は、選択的にHB15蛋白と反応する単クローン性抗体の開発によって可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好ましい実施例の説明
リンパ球活性化抗原、HB15は、類リンパ組織および皮膚ランゲルハン氏細胞で専ら発現する。図1を参考にして、多数のcDNAクローンに由来するヌクレオチド配列から推定されるHB15蛋白の構造的特徴は、それがIg上科の新規な種類であることを明瞭に示している。HB15の予測構造は、ただ1個の細胞外Ig様ドメイン、トランスメンブレンドメインおよびほぼ40個のアミノ酸の細胞質ドメインをもつ典型的な膜糖蛋白のそれである。pHB15cDNAによる細胞株のトランスフェクションで該蛋白の細胞表面発現が生じ、免疫沈降させた蛋白のMrはcDNAトランスフェクト細胞(〜45000)とHB15+Raji細胞(〜40000)の両方で同じであったので、HB15の完全なコード領域が認識された可能性が高い。さらにまた、HB15は単一鎖分子として発現され、しかもその測定Mrがコアー蛋白の予測サイズの2倍であったので、HB15は顕著な翻訳後プロセッシングを受ける可能性が高い。HB15はまたCOS細胞、CHO細胞、マウス前−B細胞株およびヒト赤白血病株を含むcDNAトランスフェクト細胞の表面に発現されたので、表面発現は、TおよびB細胞抗原レセプターに付随するIg様蛋白とともに生じる分子複合体の他の成分の発現に左右されない蓋然性が高い。
【0014】
HB15アミノ酸配列と先に同定された蛋白との比較では、細胞外Ig様ドメインとIg上科の他の種類との類似性を除いて、顕著な同種性は明らかではなかった。HB15Ig様ドメインは、図2に示すようにドメインのVセットで認められる多くの保存された特徴を含んでいた(Williamsら、Ann.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。Igドメインの同種性に基づき、HB15はCys16とCys88を連結するジスルフィド結合を持っている可能性が高い。したがって、2個のCys残基の間に71個のアミノ酸が存在し、これはV関連ドメインにとって適切なサイズであろう(Williamsら、上掲書)。8、81および110位の残基の間にもさらにジスルフィド結合形成の可能性がある。なぜならば、これらCysは同様に細胞外ドメインに存在するからである。さらに、HB15は予測される膜上ドメイン内の144位に位置するCys残基を有する。Cys残基はまた、CD3δおよびCD7の同一の位置にも存在するが、このことは幾つかの機能的な重要性、おそらく脂肪質アシル化のための部位としての重要性を提唱する(Kaufman ら、J.Biol.Chem.259:7230-7238(1984);Roseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:2050-2054(1984))。HB15細胞質尾部はCD7のそれと大きさが同じであるが(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987))、既知蛋白とアミノ酸配列の類似性は共有していない。しかしながら、このドメイン内の5個のSer/Thr残基は燐酸化の潜在的部位として機能する。したがって、HB15は、先に報告された構造と明白な関連性を共有しない新規なリンパ球細胞表面抗原であるように思える。
【0015】
HB15細胞外ドメインは、少なくとも2つのエクソンによってコードされるものの典型的なIg様ドメインとは異なる。部分的なゲノムDNA配列の分析によって、Ig様ドメインの半分は単一のエクソンによってコードされ、推定膜上ドメインもまた別個のエクソンによってコードされるということが明らかにされた(図2)。Ig様ドメインが1つ以上のエクソンによってコードされえることは、Ig上科のいくつかの種類で認められている。これらにはPo蛋白(Lemke ら、Neuron,1:73-83(1988))、CD4(Littmanら、Nature,325:453-455(1987))およびN−CAM(Owensら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:294-298(1887))が含まれる。この発見は、Igドメインは複製とその後に起こる結合によって進化した原型ハーフドメインから生じたのであろうという構造分析を支持する。しかしながら、上記遺伝子およびHB15遺伝子の各々は、ジスルフィド結合の保存Cys残基をコードする配列の間の異なる位置にイントロンを含んでいる(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。この発見は、イントロンはその後で挿入され、これらドメインの各々の進化のより新しい時点で原型Ig様ドメインを遮断したのであろうという考えを支持する。
【0016】
HB15と反応する2種の単クローン性抗体は他の殆どの造血細胞上のHB15を検出することができなかったので、HB15の発現は一般にリンパ球に制限されるらしい。殆どの胸腺細胞および循環リンパ球は検出可能な細胞表面HB15を発現しないので、HB15発現はリンパ球発生において後期の事象であるかもしれない。しかしながら、ミトゲンによって活性化された後、末梢リンパ球は、3日目から5日目(増殖が最大となる期間)に最高レベルの細胞表面HB15を発現した。HB15は、特に培養または活性化後に単球によって低レベルで発現されるかもしれないが、発現のレベルは低く、Fcレセプター仲介抗体結合の結果生じるのかもしれない。多くのTおよびB細胞株もまたHB15を発現するが、発現は一般に低レベルである。興味深いことには、細胞株による細胞表面HB15発現は、最高増殖期間(例えば培養に栄養補給が行われた後一日目)に最高になる。これらの結果は、HB15は類リンパ球の最大増殖のために重要であるか、または細胞の最大増殖はこの抗原の発現に必須であるということを示している。これは、HB15は造血組織の胚中心細胞によって発現されるという観察と一致している。にもかかわらず、22種類の異なる組織の免疫組織学的な分析によって、HB15発現は類リンパ球に限定されているように見える。ただ1つの例外は、皮膚ランゲルハン氏細胞がHB15を発現するという発見であった。この制限的発現のユニークな型式は、この蛋白の構造分析と相まってHB15は新規に同定されたリンパ球活性化抗原であることを示唆する。
【0017】
Ig上科の他の種類とのHB15の構造類似性は、Ig様ドメインは免疫系および神経系でしばしば種々の同型および異型の相互反応に関与するので、HB15は細胞性反応に関与するかもしれないことを示唆する。これらの相互反応は、その後の細胞表面下の事象の引き金となる結合機能または粘着を含む。重要な機能的特徴は、通常同種好性または異種好性結合がIg関連分子間で生じるということで、これは向かい合う膜表面の分子間でしばしば生じる。これら他の蛋白に対するHB15の構造的関連性は、活性化後のリンパ球または他のHB15+細胞型の同型または異型相互作用のいずれかにおけるこのリンパ球活性化蛋白の役割を示唆しているのかもしれない。
【0018】
図2に開示する特定のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は対応物の代表例で、本発明の開示に従うことによって直接さらに簡便に得られる関連ヒト遺伝子の代表例である。例えば、開示した核酸配列とヒト細胞からの遺伝的物質との厳格な条件下での交差ハイブリダイゼーションは容易に実施でき、同等なヒトの配列をえることができる。同様な態様で、変性オリゴヌクレオチドも開示したアミノ酸配列またはその部分から容易に合成することができ、周知の増幅技術のいずれか、例えばポリメラーゼ・チェーン・リアクションを用いて増幅し、ヒトの同等な配列と結合するプローブを得ることができる。同等な配列によってコードされる蛋白またはポリペプチドが製造できる。開示した蛋白またはペプチドに対する抗体もまた作製でき、同様なエピトープを有するヒトおよび他の哺乳類のペプチドと交差反応させるために用いることができる。このように分離した、開示蛋白またはペプチドのそれと同様な抗体反応性パターンを有するこれらペプチドは、開示した蛋白またはペプチドの同等物であると考えられる。
【0019】
以下の実施例は、本発明の利点を詳述し、さらに、同一物を製造し用いるにつき通常の技術を有する者を補助するために提供される。これらの実施例は本開示の範囲を制限することをあらゆる面において意図するものではない。
【実施例1】
【0020】
HB15cDNAクローンの分離と性状およびHB15蛋白の性状
B類リンパ芽球細胞株RajiおよびT細胞株H−SB2の標識cDNAを用いて、ヒト扁桃腺cDNAライブラリーを種々のハイブリダイゼーションでスクリーニングした。分離された261個のRAJI+H−SB2−cDNAクローンのうちの2つ、pB10(〜2.5kb)およびpB123(〜1.2kb)は互いにハイブリダイズしたが、既知のB細胞表面抗原をコードするcDNA(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))とはハイブリダイズしなかった。このmRNAの発現を、B細胞株(NALM-6,Namalwa,Daudi,SBおよびRaji)、T細胞株(Hut-78,H-SB2およびMOLT-3)および赤白血病株(K562)から分離したポリ(A)+RNAを用いたノザンブロット分析によって調べた。pB123cDNAは、SBおよびRajiの〜1.7、〜2.0および〜2.5kbの3種類のmRNAと強力にハイブリダイズした。DaudiおよびNamalwa細胞はこのmRNAを低レベルで発現した。さらにこのブロットのオートラジオグラフィー(7日間)によって、NALM−6、Hut−78およびMOLT−3細胞はまたこれら3種のmRNAを発現するがその程度はずっと低く、さらにH−SB2RNAとの微かなハイブリダイゼーションが検出されるということが明らかにされた。これらの結果は、白血球亜集団内のこの遺伝子の段階的発現を示唆している。
【0021】
これらcDNAについての制限地図を作製し、それらのヌクレオチド配列を求めた。両方のcDNAは重なり合い、最も長い5’配列を有するpB123cDNAともに、その5’末端に開放読み枠を含んでいた。いずれのクローンも翻訳開始部位を含まないので、pB10cDNA挿入物をさらに13個の交差ハイブリダイズcDNAをヒト扁桃腺ライブラリーから分離するために用いた。制限地図とヌクレオチド配列決定によって、このcDNAのうち12個がオーバーラップし、1個のcDNAは最長の5’配列を含んでいた。このクローン(pHB15と呼ぶ)の制限地図およびヌクレオチド配列は図1に示す。完全な長さのcDNAクローンは、EcoRI消化およびサブクローニングによって除去される3’末端の〜500bpを含む可能性が高い。他の別個のcDNAの8クローンは同じEcoRI生成フラグメントを有し、EcoRI部位は、配列決定されたすべてのcDNAにおいて同一のヌクレオチド部位に位置していた。
【0022】
pHB15cDNAは625bpの開放読み枠を、非翻訳配列を表す主要なcDNA部分とともに含んでいた。HB15の決定ヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列は図2に示す。成熟蛋白を生成するための予測切断部位は縦矢印で示す。アミノ酸配列の上に示した数字は推定成熟蛋白のアミノ酸残基部位を示し、右側の数字はヌクレオチド部位を示す。アミノ酸は、単一文字コードで表し、*は終了コドンを表す。疎水性特性を有するヌクレオチド表記翻訳領域には下線を施してある。潜在的N−結合糖化反応結合部位を示すアミノ酸には下線を施してある。ポリ(A)付加シグナル配列は波線で示す。Cys残基は円で囲み、Ig様ドメインでしばしば保存されるアミノ酸は(+)で示す。ヌクレオチド配列の下の矢尻は、別のDNAクローンで確認されたエクソン/イントロン境界を示す。
【0023】
最初に示されたATGは、提唱されている翻訳開始コンセンサス配列、(A/G)CCAUGと一致するので(Kozakら、Cell 44:283-292(1986))、おそらく翻訳の開始コドンであろう。異なるmRNA種は特質的なポリ(A)付加部位、AATAAAの使用によって生じる可能性が高い。なぜならば、1つは、3’非翻訳領域の中央のヌクレオチド1248位に見出されたからである(図2)。このポリ(A)付加部位はpB123cDNAで機能を有する。なぜならばそれはポリ(A)テールを伴っていたからである。ポリ(A)付加部位またはテールは、pHB15cDNAのおそらく3’末端を表している〜550bpEcoRIフラグメントには認められなかった。
【0024】
cDNAライブラリー(長さが〜3.0kb)から分離された、pB123cDNAとハイブリダイズする1クローンは、他のcDNAで認められたものと同一の229bpおよび107bpのセグメントを有する固有の配列をもっていた。これらの領域は、エクソン境界を区切るコンセンサス5’および3’スプライス配列(Aebiら、Trends Genet.3:102-107(1987))に対応する隣接配列を有するが、これは、この変種cDNAはイントロンと2つのエクソンを含んでいるということを示している。このクローンによって認識された3つのスプライス結合部位は図2に示す。
【0025】
HB15蛋白の予測される長さは205アミノ酸であった(図2)。しかしながら、pB123cDNAはヌクレオチド500位でコドンAAGを失っていた。したがって、この蛋白はいくつかの場合においてアミノ酸1個分短いであろう。これは、このコドンが潜在的なスプライス部位と接しているので、1個のコドンを含んだりまたは失ったりすることになる特異的なエクソン/イントロン境界におけるスプライシングにより生じるかもしれない。同様な現象は、Ig上科の1種をコードするCD19においてもまた認められた(Zhouら、Immunogenetics,35:102-111(1992))。カイトらの方法(Kyteら、J.Mol.Biol.157:105-(1982))によるアミノ酸配列のハイドロパシー分析によって、強い疎水性の2つの領域が明らかになった。19アミノ酸の第一の疎水性部分は、この蛋白のアミノ末端の典型的なシグナルペプチドを表している。フォンヘインのアルゴリズム(von Heijne、Nucleic Acids Res.14:4683-4690(1986))によって、もっとも可能性が高い成熟蛋白のアミノ末端は、アミノ酸19に続くThrであろうと予測される。22アミノ酸の第二の疎水性領域は、おそらくトランスメンブレン領域を表している。3つの潜在的なN−結合糖化結合部位(N−X−S/T)は細胞外ドメインに見出された。したがって、コアー蛋白の予測される分子量は〜20500であろう。
【0026】
6個のCys残基はHB15の細胞外ドメインに見出され、1個は推定膜部分ドメインに認められた。16位および88位のこれらの残基の1対はIg様ドメインを表している(Williamsら、Annu.Rev.Immunol.88:381-405(1988))。このドメインは、Ig様ドメインのVセットの証明となる特徴的なアミノ酸の多くを含んでいた。蛋白同定源蛋白配列データベース(Protein Identification Resource Protein Sequence Database)を用いた蛋白配列のコンピューター検索によって、いずれの蛋白もIg上科の幾つかの種類以外とはHB15と顕著な配列相同性を共有しないことが示された。
【0027】
Ig重鎖Vドメインのβ型折り畳みシートの提唱配列に基づいて、HB15の細胞外ドメイン構造の仮説モデルが与えられる(参照)。Cys残基は黒丸で表され、異なるエクソンによってコードされるアミノ酸は別々に斜線を施した円で示されている。数字は図2の場合のように予想されるアミノ酸残基位を表している。
【実施例2】
【0028】
HB15と反応する単クローン性抗体の製造
NS−1ミエローマ細胞とpHB15cDNAトランスフェクトCOS細胞免疫マウス由来の脾細胞との融合によってハイブリドーマを生成した。HB15mRNA陽性細胞株と間接免疫蛍光分析で反応するが、HB15陰性細胞株とは反応しない単クローン性抗体を分離した。これらの抗体のうち2種、抗HB15a(IgG2b)および抗HB15b(IgG3)はまた、pHB15cDNAをトランスフェクトしたCOS細胞と反応したが、CD19cDNAをトランスフェクトした細胞(Tedderら、J.Immunol.143:712-717(1989))または発現ベクターのみでトランスフェクトした細胞とは反応しなかった。さらに、これらの抗体はヒト赤白血病細胞株(K562)およびマウス前B細胞株(300.19、pHB15cDNAで安定的にトランスフェクトされている)とは反応した。この抗体は、未トランスフェクト親細胞株、ベクターのみでトランスフェクトした細胞;またはCD19、CD20(Tedderraら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))もしくはLAM-1(Tedderら、J.Exp.Med.,170:123-133(1989))cDNAトランスフェクト細胞とは反応しなかった。すべての場合に、抗HB15aおよび抗HB15bの反応性は同一であった。
【実施例3】
【0029】
HB15発現の検出
細胞表面HB15の免疫沈降反応 抗HB15a単クローン性抗体を精製しビーズに結合させ、表面をヨウ素化した細胞株の洗剤可溶化抽出物からHB15を免疫沈降させるために用いた。他の細胞株よりHB15の発現レベルが高いので、至適結果は、K562−HB15細胞株(pHB15cDNAをトランスフェクトしたK562細胞)を用いて得られた。抗HB15a単クローン性抗体は、〜45000Mr.の単一の広いバンドとして移動する蛋白を特異的に免疫沈降させた。免疫沈降物質を還元または非還元条件下で移動させたとき、同様な結果が得られた。同様な蛋白がRaji細胞株から免疫沈降したが、Mrは〜40000であった。したがって、HB15は、細胞表面に非共有結合的に結合した単一鎖分子として発現されていた。HB15は活性化リンパ球によって発現された。
【0030】
フローサイトメトリー分析を用いて間接免疫蛍光染色でHB15表面抗原の組織分布を調べた。HB15メッセージを発現していなかった2つの細胞株を、レトロウイルスベクターpZipNeoSV(X)のBamH1部位でサブクローニングしたpHB15cDNAでトランスフェクトした。図4A、Bを参考に、HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す。無地のヒストグラムは細胞のHB15a抗体との反応性を示し、斜線付きのヒストグラムは、非反応性コントロール抗体で得られた免疫蛍光染色のバックグラウンドレベルを示している。調べた33の細胞株の間では、HB15は、B細胞株(Raji、Daudi.Namalwa、Arent、BJAB、SB、Jijoy、AkataおよびSLAを含む)およびT細胞株(Jurkat、H-9、Rex、H-SB2およびHut-78を含む)によって検出可能なレベルで発現していた。しかしながら、HB15発現は一般に低くさらに一定ではなかった。最も高い細胞表面発現レベルは、細胞を分割し、したがって最大限に増殖させた場合に得られた。検出可能なレベルのHB15を発現しなかった細胞株は、K562;B細胞株(NALM-6およびRamos);T細胞株(MOLT-3、RPM18405、PEER、MOLT-14、CEMおよびHPB-ALL;骨髄単球細胞株(HL60);天然キラー細胞株(YT);大腸癌株(Colo-205およびHT29);肺細胞株(NCI-H69およびNCI-H82);前立腺株(PC3);メラノーマ株(MEWO);および乳癌細胞株(ZRT5.1、MCF7およびBT20)を含む。
【0031】
正常な血液白血球によるHB15の発現もまた調べた。しかしながら、HB15の細胞表面発現は、15例の血液サンプルの循環リンパ球、天然キラー細胞または単球では顕著なレベルでは検出されなかった。したがって、HB15は細胞活性化後に発現されるという可能性を、有糸分裂促進剤のコンカナバリンA(ConA)、アメリカヤマゴボウミトゲン、フィトヘマグルチニン−Pまたはフォルボールエステル(PMA)を用いてTリンパ球増殖を誘発することによって調べた。HB15の発現は、培養開始後2、8、12、24、48、72、120および240時間で調べた。HB15発現の出現は細胞増殖と並行していたが、最適発現は培養開始後3日目から5日目であった。また、誘発されたHB15発現量は、いずれの特定の有糸分裂促進剤とも相関していなかったが、有糸分裂シグナルの強さとより相関していた。すなわち細胞表面発現はより大型の芽細胞で専ら認められた。したがって、HB15は活性化後のリンパ球で発現した。
【0032】
HB15発現の免疫組織分析
HB15のリンパ球特異性および組織分布もまたヒトの種々の組織の免疫組織分析によって調べた。基本的には、抗HB1a単クローン性抗体を胸腺、扁桃腺、脾臓、リンパ節、腎臓、腎孟および尿管、ファロピウス管、肝臓、膵臓、胃、乳房、肺臓、食道、骨格筋、皮膚、子宮、唾液腺、甲状腺、副腎腺、心臓、虫垂、結腸を染色するために用いた。殆どの場合、HB15発現はリンパ球特異的のようで、非リンパ球組織では顕著な反応は認められなかった(図5A−5Fを参照)。扁桃腺およびリンパ節では(図5A)、HB15は小胞内領域の分散細胞(T細胞帯)によって相応に強く発現した(図5C)。これらの細胞の幾つかはリンパ芽球であったかもしれないが、それらは休止リンパ球より大型のようであり、さらにCD1表面分子を発現していたので(図5D)、殆どは有指状突起細網細胞(interdigitating reticulum cells)(樹状突起細胞の亜集団)であった。また、胚中心(GC;図5Aおよび5B)および小胞被膜帯(FM;図5A)内の幾つかの細胞(50−80%)はリンパ球の形態を有し、弱くHB15+であった。脾臓では、HB15+細胞は専ら白髄に限られ、一方赤髄は殆ど陰性のままであった。さらにまた、白髄中のこれら大型の分散した陽性細胞は有指状突起細網細胞またはリンパ芽球である可能性が高い。胸腺皮質はHB15陰性で、一方、髄質細胞の小細胞亜集団(おそらく胸腺細胞)は陽性であった(図5E)。他の非造血組織と異なり、皮膚の分析によって、ランゲルハン氏細胞(樹状突起細胞の亜集団)の特徴的な分散枝状形態を有するいくつかの細胞がHB15を検出可能レベルで発現することを明らかにした。すべての非造血組織間(ここでは炎症浸潤が明瞭であった)では、少しの分散リンパ球がHB15を発現していることが認められた。循環樹状突起細胞はまたHB15+であるが、頻度が低いので容易には検出されない可能性が高い。同様に、樹状突起細胞の悪性対応物はまたHB15を発現する可能性が高く、ホジキン症由来の悪性細胞株で有指状突起細網細胞の典型である可能性が高い(Schaadtら、Int.J.Cancer,26:723-731(1980))L428細胞株はHB15陽性であるので、この分子は悪性細胞の診断マーカーとして用いることができる可能性がある。
【0033】
実験手順
cDNAクローンの分離
特異的なハイブリダイゼーションによるcDNAクローンの分離は既に報告された(Tedderら、Mol.Immunol.25:1321-1330(1988))。1つのクローン、pB123を精製し、ニックトランスレーションで標識し(Rigdyら、J.Mol.Biol.113:237-251(1977))、さらに報告(Zhouら、Immunogenetics,35:102-111(1992))のようにλgt11(Weisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:5639-5643(1986))で同じヒト扁桃腺cDNAライブラリーをもう一度スクリーニングすることによって同種のcDNAを分離するために用いた。陽性プラークを分離しクローニングして、さらにEcoRIによって挿入物を除去し、pSP65(Meltonら、Nucleic Acids Res.,12:7035-7056(1984))でサブクローニングした。制限地図をマニアーティスらの報告(Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982))のように作製し、サンガーらの方法(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74:5463-5467(1977))を用いてヌクレオチド配列を決定した。
【0034】
ヌクレオチドおよび蛋白配列のコンピューター検索は、蛋白同定リソースデータ(Protein Identification Resource Data(GenBank release 66 & Swiss-Prot-16))を用いて実施した。−1のギャップペナルティーは、1ギャップまたは欠失が生じた配列の各ヌクレオチドまたはアミノ酸についての配列相同性分析で調べた。
【0035】
RNAブロット分析
報告(Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982))のようにポリ(A)+RNAを分離した。ノザンブロット分析では、2μgのポリ(A)+RNAをグリオキサールで変性させ、1.1%のアガロースゲルの電気泳動で分画し、ニトロセルロースに移した(Thomas、Methods Enzymol.,100:255(1983))。プローブとして用いたpB123cDNA挿入物を分離し、ニックトランスレーション(Rigbyら、J.Mol.Biol.113:237-251(1977))を行い、報告(Wahlら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:3683-3687(1979))のようにフィルターを用いてハイブリダイズさせた。非常に厳しい条件のハイブリダイゼーションでは、50%(v/v)ホルムアルデヒド、4×SSC、10%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム、42℃を用いた。フィルターは、0.2×SSC、0.1%SDSで65℃で洗浄した。RNAサイズは、標準物として同一ゲルで流した28Sおよび18SリボソームRNAとの比較によって決定した。同じブロットをまた、身元不詳であるが全mRNAが無傷でさらにこの発現mRNAと同じ量であることが明らかなハウスキーピングmRNAとハイブリダイズさせた。ゆるやかな厳格度のハイブリダイゼーションの条件は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMNaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mM燐酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストランおよび20μg/mlの変性分断サケ精子DNAを含む溶液中で一晩の反応であった。
【0036】
細胞
ヒューマン・プロテクション・コミッティー・オブ・ダナファーバー・キャンサー・インスティテュート(Human Protection Committee of Dana-Farber Cancer Institute)によって承認されたプロトコルによってヒト血液を得、フィコールハイパーク濃度勾配遠心で単核球を分離した。完全培地(15%ウシ胎児血清、抗生物質およびグルタミン補充RPMI−1640)中の単核球(106/ml)をフィトヘマグルチニン−P(2μg/ml、Difco、デトロイト、ミシガン)、ConA(10μg/ml、Gibco/BRL、ベセスダ、メリーランド)またはフォーボルミリステート13−アセテート(PMA)(10ng/ml、シグマ、セントルイス、ミズーリー)で、報告(Tedderら、J.Immunol.144:532-540(1990))のように刺激した。表示時間でリンパ球を採集し、完全培地で1回洗浄し、下記のように直ちに免疫蛍光染色用に部分標本を採取した。
【0037】
修飾CDM8ベクター(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987);Tedderら、J.Immunol.143:712-717(1989))にサブクローニングしたpHB15cDNA挿入物で、報告されたようにDEAE−デキストラン法(Aruffoら、EMBO J.6:3313(1987))を用いてCOS細胞をトランスフェクトした。細胞表面発現は、48時間後に間接免疫蛍光で調べた。レトロウイルスベクターpZipNeoSV(X)(Cepkoら、Cell,37:1053-1062(1984))のBamH1部位に正確な方向性でクローニングされたpHB15cDNAを用いて、安定なcDNAトランスフェクト細胞が産生された。エレクトロポレーションによってネズミ前−B細胞株(300.19)およびヒト赤白血病細胞株(K562)をこのベクターでトランスフェクトし、その後G418(Gibco/BRL)を用いて安定な核酸感染体(トランスフェクタント)を選別した。HB15を発現している細胞を単クローン性抗体と反応させ、続いて抗マウスIg被覆プレート上で選り分けることによって、さらにHB15発現細胞を多くした。
【0038】
10%ウシ胎児血清および抗生物質含有RPMI1640で細胞株を増殖させた。すべての細胞株培養を分析前日に分割し、対数増殖期にした。
【0039】
mAb製造
NS−1ミエローマ細胞と、HB15cDNAでトランスフェクトしたCOS細胞で繰り返し免疫したBALB/cマウスの脾細胞とを融合させて、報告(Tedderら、J.Immunol.144:532-540(1990))のように抗HB15単クローン性抗体を生成した。各ハイブリドーマを2回クローニングし、腹水液を生成するために用いた。mAbのアイソタイプはアマーシャム社(アーリントンハイツ、イリノイ)製マウス単クローン性抗体アイソタイピングキットを用いて決定した。
【0040】
免疫蛍光分析
細胞を4℃に保ち分離後直ちに調べた。生細胞の間接免疫蛍光分析を細胞を3回洗浄した後実施した。続いて細胞を免疫染色用の至適濃度に希釈した腹水液としての各mAbとともに氷上で20分保温した。ヒト白血球と反応しないアイソタイプ適合ネズミ抗体を陰性コントロールとして用いた。洗浄後、フルオレセインイソチオシアネート結合ヤギ抗マウスIg抗体(Southern Biotechnology Associates、バーミンガム、アラバマ)で、細胞を4℃20分処理した。エピックスプロフィル(Epics Profile)フローサイトメトリー(コールターエレクトリクス、ハイアレー、フロリダ)によって単色免疫蛍光分析を実施した。各サンプルに付き1万個の細胞を調べた。
【0041】
免疫沈降分析
細胞を2回洗浄し、食塩水に再浮遊させ、報告のように(Thompsonら、Biochem.,26:743-750(1987))ヨードゲン(iodogen)法によって標識した。洗浄後、1%(v/v)トリトンX−100およびプロテアーゼインヒビター含有緩衝液1ml中で記載(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))の通り細胞を溶解した。製造元の支持に従い、直接アフィゲル(Affigel)(バイオラッド、リッチモンド、バージニア)にゲル1mlにつき2mgのmAbの割合で直接結合させた抗HB15a単クローン性抗体またはマウスIg(陰性コントロールとして)を用いて、免疫沈降を実施した。細胞溶解物は、50μl(50%v/v)のネズミIg被覆ビーズを用いて4℃で2時間2回予備沈降させた。細胞溶解物はさらに一晩予備沈降させた。その後、予備沈降させた溶解物の半分を25μlの抗HB15a単クローン性抗体被覆ビーズまたはネズミIg被覆ビーズとともに4℃18時間一定の撹拌で保温した。免疫沈降物を洗浄し、記載(Tedderら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:208(1988))の通りSDS−PAGE(サンプルの半分は5%の2−メルカプトエタノールの存在下(還元状態))で分析した。Mrは予め染色された標準分子量マーカー(Gibco/BTRL)を用いて決定した。
【0042】
免疫組織化学
コーデルら(Cordellら、J.Histochem.Cytochem.31:219-229(1984))の記載のように修飾APAAP法を用いて、全組織を染色した。基本的には、スライドをまず単クローン性抗体で保温し、続いてウサギ抗マウス(架橋)抗体による保温工程を行った。その後、アルカリホスファターゼで予備保温した、アルカリホスファターゼに対する単クローン性抗体で処理した。この方法の感度を高めるために、表面のホスファターゼ分子の数を1層または2層の架橋抗体および抗ホスファターゼ抗体を用いることによって増加させた。結合ホスファターゼ分子を基質として新フクシンを用いて可視化した(Cordellら、J.Histochem.Cytochem.31:219-229(1984))。
【0043】
用途
HB15蛋白もしくはその免疫特異的フラグメント、またはその抗体もしくはHB15機能に対する他の拮抗物質は、種々の免疫疾患、疾病または症候群の診断または治療に用いることができる。そのような目的のために、可溶性外部ドメインがしばしば用いられるであろう。これは典型的には(しかし必ずしも必然的ではないが)、例えばデキストランもしくはポリアミノ酸担体またはHB15フラグメント融合蛋白および担体分子を用いて多価状態で重合化されているであろう。また別にリポゾームを治療用賦形剤として用いることができ、その場合には、トランスメンブレンドメインおよび、好ましくは細胞質ドメインの少なくとも幾らかがまた含まれるであろう。例えば、ランゲルハン氏細胞は、皮膚の第一次免疫応答細胞で、T細胞に抗原を提示し、接触過敏を誘導する役割を果たすので、さらに、HB15はランゲルハン氏細胞によって発現され、抗原提示に関与するので、ヒトの皮膚疾患、例えば乾癬、自己免疫疾患。臓器移植およびエイズの病理発生に関与する可能性が高い。
【0044】
したがって、HB15機能の拮抗物質は、これら疾患の治療について重要な治療剤を提供することができる。同様に、HB15はリンパ球活性化のための付随分子として機能する可能性があるので、HB15抗原、そのフラグメントまたはドメインは、免疫反応を増大させる作用薬として用いることができる。
【0045】
より具体的には、樹状突起細胞はヒト免疫不全ウイルス(エイズの原因微生物)の一次標的である。インビボではエイズウイルスの80%は樹状突起細胞、特にランゲルハン氏細胞、循環樹状突起細胞および有指状突起細網細胞によって産生されることが最近提唱された(Langhoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7998-8002(1991))。また、殆どの感染は粘膜表面を介して生じるが、その場合、樹状突起細胞がまず感染すると考えられる。したがって、本試薬は、エイズまたはエイズ関連疾患の有望な予防または治療のための重要な手段を提供する。
【0046】
一定の病的状態のモニターのために、患者の血液血清中の内因性可溶性HB15量を定量することが推奨できるであろう。正常状態または病的な状態でいくつかのレセプターが放出されることが知られていることに基づいて、HB15もまた細胞表面から酵素的過程によって失われるという可能性がある。また、定量的な検出は、白血球の活性化もしくは白血球機能の変化の診断および/または検出のために、HB15の異常発現または発現低下について白血球を識別する方法において有用であろう。さらに、組換え体治療剤の製造中に産生されるレセプターまたはそのフラグメントの量を定量する能力も利点であろう。HB15レベルの定量は当業者に既知の多数の分析方法を用いて実施できるが、これらの方法は、HB15に対して作製した単クローン性抗体を用いる酵素結合免疫検定を含む。
【0047】
同様に、一定の臨床状態の治療では、内因性可溶性HB15またはHB15+細胞を患者の血液から除去することが推奨されるであろう。これは、開示したHB15の外部ドメインに対して作製された抗体または他の結合剤を含む免疫選別カラムを用いることによって、現存のオンラインおよびオフライン技術を用いて実施できる。
【0048】
現時点では、ヒトの非小胞性樹状突起細胞のための特異的なマーカーは存在しない。HB15単クローン性抗体をHB15+細胞の識別のために使用することによって、この蛋白を発現している細胞を非関連細胞集団から分離および精製することが可能になった。
【0049】
HB15単クローン性抗体は、有指状突起細胞肉腫またはこの抗原を発現する他の悪性細胞型の評価および診断にもまた有用であろう。したがって、HB15基剤薬は免疫治療または免疫画像化について適切であろう。
【0050】
さらに、HB15機能の分析は、このレセプターの生理学的役割におけるさらに進んだ研究で用いることができる。例えば、予備実験では、混合リンパ球反応におけるT細胞増殖(T細胞活性化検定)は、抗HB15単クローン性抗体の存在によって部分的に抑制される。この機能分析は、T細胞機能の開始における樹状突起細胞または単球のHB15分子の役割を提示する。
【0051】
これまで本発明を好ましい実施例と合わせて記載したが、前述の記載の読後、当業者は種々の変更、同等物の置き換え、並びに前述の組成および方法に対するその他の変更を実施することができるであろう。したがって、本発明に対するレターズパテントによって付与される保護は、添付の請求の範囲およびその同等物に含まれる範囲によってのみ制限されるであろう。
【0052】
寄託
以下のハイブリドーマは1992年3月17日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。
性状 ATCC番号
抗HB15aハイブリドーマ細胞株、HB15a HB10987
抗HB15bハイブリドーマ細胞株、HB15b HB10988
【0053】
出願人の譲受け人、Dana−Farber Cancer Institute,Inc.,はATCCが該寄託の永久に保存できる寄託所であり、特許が付与された場合、公衆がそれを容易に入手できることを明言する。このように寄託した物質の公衆の入手に関する全ての制限は、特許付与の際に完全に取り除かれる。特許出願中に、37CFR1.14および35USC122の下にそれに対して権利を有すると長官が認めた者は、該物質を入手することができる。該寄託物質は、そのサンプルの最も最近の供給の要請後少なくとも5年間、さらにいずれの場合においても寄託の日から少なくとも30年間または特許の有効期間の間(いずれか期間の長い方)は、活力を保持し、かつ汚染されないよう必要な全ての注意をもって維持されるであろう。出願人の譲り受け人は、該寄託所が、要請時に該寄託物の条件のためにサンプルを供給できない場合は、該寄託物を置き換える義務を負うことを承認する。
【0054】
[配列表]
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】HB15cDNAクローンの構造および制限部位の位置を示す図。
【図2A】HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図。
【図2B】HB15のcDNAヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す別の図。
【図3】HB15の細胞外ドメインの構造の仮説モデルを示す図。
【図4A】HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す図。
【図4B】HB15を発現している3つの類リンパ芽球細胞株で得られた免疫蛍光の結果を示す別の図。
【図5A】HB15発現の免疫組織化学分析を示す図。
【図5B】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5C】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5D】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5E】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【図5F】HB15発現の免疫組織化学分析を示す別の図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:2で表されるHB15蛋白の細胞外ドメイン、膜貫通(transmembrain)ドメインまたは細胞質ドメインをコードする配列からなる分離核酸。
【請求項2】
配列番号:2に示した全HB15配列をコードする配列を含む、請求項1の核酸。
【請求項3】
配列番号:2で表されるHB15人蛋白の哺乳類相同体をコードする配列からなる分離核酸であって、当該相同体をコードする当該配列が配列番号:1で示されるコーディング配列からなるDNAプローブとストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリダイズすることができ、そしてさらに当該相同体が配列番号:2で表される人蛋白HB15で観察される組織分布を有する分離核酸。
【請求項4】
当該相同物の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインをコードする請求項3の核酸の部分からなる分離核酸。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの核酸からなる組換えベクター。
【請求項6】
請求項5のベクターでトランスフェクションされた培養細胞。
【請求項7】
HB15蛋白の産生を可能とする条件下で請求項6の培養細胞を培養し、そして細胞培養からHB15蛋白を回収することからなる配列番号:2で表される人HB15蛋白お製造方法。
【請求項8】
20ヌクレオチドよりも大きい分離核酸プローブであって、当該プローブはストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号:1のヌクレオチド配列のコーディング部分とハイブリダイズすることができるプローブ。
【請求項9】
ストリンジェントなハイブリッド形成条件下に配列番号:2で表されるHB15蛋白をコードする配列番号:1で与えられる核酸配列と相補的な配列を有する核酸とハイブリッドすることが可能である、長さが20ヌクレオチドよりも長いポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9のポリヌクレオチドからなる組換えベクター。
【請求項11】
請求項10のベクターでトランスフェクションされた培養細胞。
【請求項12】
当該ポリペプチドの産生を有効にする条件下請求項11の細胞を培養し、そして細胞培養から当該ポリペプチドを回収することからなる、請求項9記載のポリヌクレオチドでコードされたポリププチドを製造する方法。
【請求項13】
請求項1,2,3,4または9のいずれかの核酸によりコードされるポリペプチド。
【請求項14】
請求項13のポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項15】
配列番号:2で開示されるHB15蛋白アミノ酸配列の部分の配列を有する免疫原性ポリペプチドを特異的に認識する抗体。
【請求項1】
配列番号:2で表されるHB15蛋白の細胞外ドメイン、膜貫通(transmembrain)ドメインまたは細胞質ドメインをコードする配列からなる分離核酸。
【請求項2】
配列番号:2に示した全HB15配列をコードする配列を含む、請求項1の核酸。
【請求項3】
配列番号:2で表されるHB15人蛋白の哺乳類相同体をコードする配列からなる分離核酸であって、当該相同体をコードする当該配列が配列番号:1で示されるコーディング配列からなるDNAプローブとストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリダイズすることができ、そしてさらに当該相同体が配列番号:2で表される人蛋白HB15で観察される組織分布を有する分離核酸。
【請求項4】
当該相同物の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインをコードする請求項3の核酸の部分からなる分離核酸。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの核酸からなる組換えベクター。
【請求項6】
請求項5のベクターでトランスフェクションされた培養細胞。
【請求項7】
HB15蛋白の産生を可能とする条件下で請求項6の培養細胞を培養し、そして細胞培養からHB15蛋白を回収することからなる配列番号:2で表される人HB15蛋白お製造方法。
【請求項8】
20ヌクレオチドよりも大きい分離核酸プローブであって、当該プローブはストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号:1のヌクレオチド配列のコーディング部分とハイブリダイズすることができるプローブ。
【請求項9】
ストリンジェントなハイブリッド形成条件下に配列番号:2で表されるHB15蛋白をコードする配列番号:1で与えられる核酸配列と相補的な配列を有する核酸とハイブリッドすることが可能である、長さが20ヌクレオチドよりも長いポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9のポリヌクレオチドからなる組換えベクター。
【請求項11】
請求項10のベクターでトランスフェクションされた培養細胞。
【請求項12】
当該ポリペプチドの産生を有効にする条件下請求項11の細胞を培養し、そして細胞培養から当該ポリペプチドを回収することからなる、請求項9記載のポリヌクレオチドでコードされたポリププチドを製造する方法。
【請求項13】
請求項1,2,3,4または9のいずれかの核酸によりコードされるポリペプチド。
【請求項14】
請求項13のポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項15】
配列番号:2で開示されるHB15蛋白アミノ酸配列の部分の配列を有する免疫原性ポリペプチドを特異的に認識する抗体。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【公開番号】特開2007−159580(P2007−159580A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330466(P2006−330466)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【分割の表示】特願平5−518620の分割
【原出願日】平成5年4月14日(1993.4.14)
【出願人】(503235972)ダナ−ファーバー キャンサー インステテュート インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【分割の表示】特願平5−518620の分割
【原出願日】平成5年4月14日(1993.4.14)
【出願人】(503235972)ダナ−ファーバー キャンサー インステテュート インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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