説明

リン含有架橋剤

共有結合したリン原子を有する架橋剤であり、このリン原子は少なくとも1個の共有結合した酸素原子を有する。架橋剤はエポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリビニル、ポリエーテル、アミノプラスト、およびポリエステル樹脂などの樹脂とともに使用できる。架橋剤を製造するための方法は、共有結合したリン原子を含むペンデント基を組み入れることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コーティング組成物は様々な用途で、様々な基体をコーティングするため、しばしば基体を保護するため、またはその次のコーティング層の接着性を改善するために用いられる。典型的なコーティングは、電着塗装、プライマー、シーラー、ベースコート、クリアコート、およびワンコートトップコートが挙げられる。コーティング組成物としては、電着(すなわちエレクトロコーティング)、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、およびカーテンコーティングをはじめとする様々な方法により基体に施用されるポリマー、オリゴマー、および/またはモノマー材料であってよい1以上の樹脂を含むフィルム形成材料が包含される。本明細書において用いられる場合、「樹脂」は、1以上のポリマー、オリゴマー、および/またはモノマー材料をさし;ポリマーは繰り返しモノマー単位を含み;オリゴマーは数個、典型的には10個以下の繰り返しモノマー単位を含むポリマーである。様々な種類のフィルム形成材料が既知であり、エポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アミノプラスト、およびポリエステル樹脂が挙げられる。
【0002】
コーティング組成物は、顔料分散樹脂または粉砕樹脂および概してコーティングフィルムの主要ポリマー部分を構成する主たる樹脂を含み得る。粉砕樹脂は通常、フィルム形成材料を含み、このフィルム形成材料を用いて、顔料、フィラー、および触媒、例えば金属触媒を浸潤することにより顔料ペーストを製造するが、この場合、例えばサンドミル、ボールミル、摩擦粉砕機、または他の装置で粉砕することにより粉砕樹脂を他の材料と混合する。顔料ペーストを主たる樹脂および、典型的には硬化剤と組み合わせる。粉砕樹脂および主たる樹脂は同じまたは異なるフィルム形成材料、もしくは様々なフィルム形成材料の混合物を含み得る。
【0003】
施用されるコーティング組成物の比較的柔軟なフィルムは、架橋剤または硬化剤をコーティング組成物中に組み入れることによりフィルムを硬化または架橋させることによって硬化させることができる。架橋剤はコーティング組成物中の樹脂のポリマー、オリゴマー、および/またはモノマー化合物に対して化学的に反応性であり、これによりフィルム形成単位を架橋フィルム中に共有結合させる。典型的な架橋剤を、硬化ステップ中の熱の使用および/または化学線への暴露により活性化(例えば非ブロック化)する。触媒、例えば金属触媒を用いて、架橋剤の熱活性化および架橋剤と樹脂との反応を促進できる。例えば、触媒、例えば金属触媒を含めることにより、必要な硬化温度の低下および/またはより完全な硬化をもたらすことができる。
【0004】
コーティング組成物は粉末、有機溶媒系、または水性であり得る。しかし、有機物放出を軽減するために、水性コーティングを使用することが望ましい場合が多い。このような水性コーティング組成物としては、カチオン性、アニオン性、または非イオン性樹脂のエマルジョンおよび分散液が挙げられ、これらは、樹脂自体の分散特性によるか、または外部界面活性剤を活用して形成できる。
【0005】
エポキシ系コーティングとしては、エポキシド基を有する物質を、カルボキシル、ヒドロキシル、およびアミン基などの官能基を有する物質と反応させることにより製造されるポリマー、オリゴマー、および/またはモノマーが挙げられる。存在する官能基に応じて様々な架橋剤を用いることによりエポキシを硬化または架橋させて硬化コーティングを形成することができる。例えば、イソシアネート化合物を用いてヒドロキシ官能性樹脂を硬化させることができる。このようなコーティング組成物は例えば米国特許第6,852,824号;第5,817,733号;および第4,761,337号で当該技術分野において既知である。
【0006】
電着プロセスは陽極または陰極電着であり;典型的にはコーティングされる物品は陰極の役割を果たす。電着プロセスは、基体への樹脂コーティングの移動効率が高く、たとえ使用するとしても有機溶媒の使用量が少ないため、経済的にも環境的にも有利である。エレクトロコート組成物および方法のもう1つの利点は、施用されたコーティング組成物が、形状または構造に関係なく様々な金属基体上に均一かつ連続した層を形成することである。このことは、自動車の車体などの一様でない表面を有する基体上にさび止め塗装としてコーティングを施す場合に特に有利である。金属基体のあらゆる部分上に形成される均一かつ連続したコーティング層は、最大の防食有効性をもたらす。
【0007】
エレクトロコート浴は、エポキシ樹脂などの、イオン安定化を有するフィルム形成材料の水分散液または水性乳液を含み得る。分散液は典型的には、1以上の微粉砕された固体、液体、またはこれらの組み合わせの、連続液体媒体、例えば水または水と有機共溶媒との混合物中の二相系である。エマルジョンは液体媒体、好ましくは水または水と様々な共溶媒との混合物中の液滴の分散液である。したがって、エマルジョンは分散液の一種である。
【0008】
自動車用途または工業用途に対して、架橋剤を含めることによりエレクトロコート組成物を硬化性組成物にする。電着中、帯電した樹脂がその中に分散したエレクトロコート浴中に導電性基体を浸漬し、その後、基体と、対立する電荷の極、例えばステンレス鋼電極との間に電位を適用することにより、この基体上にイオン的に帯電した樹脂を含むコーティング組成物を堆積させる。帯電したコーティング粒子を導電性基体上にメッキまたは堆積させる。次いで、コーティングされた基体を加熱しコーティングを硬化させる。
【0009】
コーティングされる典型的な基体としては、金属基体、例えばスチール、亜鉛メッキ金属および電気亜鉛メッキ金属、亜鉛合金、ならびにアルミニウム基体が挙げられる。基体をしばしば多段プロセスで処理して、コーティング組成物の施用前に表面を下処理する。基体前処理は、洗浄剤およびコンディショニングリンスでの処理と、それに続く基体のリン酸塩処理(ホスファタイジングまたはパーカライジングとしても知られる)を含み得る。例えば、スチール基体を洗浄、調整して、洗浄剤およびコンディショニングリンスを噴霧するか、または洗浄剤およびコンディショニングリンス中に浸漬することにより、金属加工液または油を除去できる。洗浄された基体を次に浸漬によりリン酸亜鉛、リン酸マンガン、および/またはリン酸鉄化成コーティングで処理する。ホスフェートコーティングは、基体と次の有機コーティング、例えばエポキシ系エレクトロコーティング組成物との間の接着性を改善する働きをする。
【0010】
コーティング組成物の前処理、基体表面の前処理、およびコーティング組成物の基体への施用には相当量の時間およびエネルギーを伴う。コーティング方法において1以上のステップまたは複数のステップの組み合わせを削減することが有利である。このような変更により、時間およびエネルギーの節約に加えて、必要な装置の総数を減らすことができる。
【0011】
したがって、例えば関与するステップ数の削減および/またはステップの組み合わせにより、コーティング方法を改善し、簡素化するフィルム形成材料ならびにフィルム形成材料を用いる方法が必要とされている。
【0012】
本発明は樹脂を含むフィルム形成材料を提供し、この樹脂は、リン原子を含む少なくとも1つのペンデント基および少なくとも1つの架橋性基を含む。リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。架橋性基は架橋剤と反応性であるか、自己縮合性であるか、樹脂上の別の基と反応性であるか、または付加重合性である。いくつかの実施形態において、架橋剤と反応性である基は、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、カルバメート、アミノアルカノール、アミノアルキルエーテル、アミド、またはアミン基であり得る。樹脂は任意のフィルム形成樹脂、例えばエポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アミノプラスト、またはポリエステル樹脂であり得、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0013】
ある実施形態において、ペンデント基は、ホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートを含む。ペンデント基の例としては、さらにオルガノホスフェート、オルガノホスホネート、およびオルガノホスフィネートが挙げられ、この場合、リン原子と共有結合した1個または2個の酸素原子がアルキルまたはアリール基とエステル結合を形成する。アルキル基は1〜約12個の炭素を含み、アリール基は置換および非置換フェニルおよびベンジル基を含む。いくつかの実施形態において、ペンデント基はエステル結合により樹脂と結合でき、様々な実施形態において、ペンデント基はカルボン酸基をさらに含む。
【0014】
さらなる実施形態は、フィルム形成材料と反応性である少なくとも2個の官能基および、1つの共有結合したリン原子(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を含む少なくとも1つのペンデント基を含むアルキルまたは芳香族化合物を含むフィルム形成材料を重合するための架橋剤を包含する。フィルム形成材料と反応性である官能基としては、イソシアネート、ブロックされたイソシアネート、ウレトジオン、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、エーテル、カルバメート、アミノアルカノール、アミノアルキルエーテル、アミド、またはアミン基が挙げられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料および/または架橋剤はさらに、フィルム形成材料および/または架橋剤によって配位された金属または金属化合物を含み得る。金属または金属化合物は、M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含み;ここで、MはAl、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、およびZrからなる群から選択される金属であり;nはMの価数を満たす整数であり;Rはアルキルまたは芳香族基であり;xは1から6の整数である。様々な実施形態において、金属または金属化合物は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属触媒を含む。
【0016】
様々な他の実施形態において、少なくとも1つのペンデントヒドロキシル基を有する樹脂を、エチレン性不飽和基を有する無水カルボン酸と反応させて、エステル基、カルボン酸基、およびエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成し(この場合、樹脂は架橋剤と反応性の少なくとも1つの基を有する);グラフト化樹脂のエチレン性不飽和基をホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートと反応させることを含む方法によりフィルム形成材料を製造する。
【0017】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物の製造法は、フィルム形成材料および架橋剤を組み合わせることを含み、ここで、フィルム形成材料は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(前期リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する);および少なくとも1つの架橋性基を有する樹脂を含む。他の実施形態において、コーティング組成物の製造法は:少なくとも1つのペンデントヒドロキシル基を有する樹脂を、エチレン性不飽和基を有する無水カルボン酸と反応させて、エステル基、カルボン酸基、およびエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成し(ここで、樹脂は少なくとも1つの架橋性基を有する);そしてグラフト化樹脂のエチレン性不飽和基を、リン原子を含む化合物と反応させ(このリン原子は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する);そして架橋剤およびフィルム形成材料を組み合わせることを含む方法によりフィルム形成材料を形成することを含む。架橋剤は、ブロックされたポリイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ポリイソシアネートおよびこれらのオリゴマー、ならびにこれらの組み合わせを含み得る。
【0018】
様々な他の実施形態において、コーティングされた基体の製造法を提供する。方法は、架橋剤およびフィルム形成材料を組み合わせ(このフィルム形成材料は樹脂を含み、この樹脂は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(前記リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する);および少なくとも1つの架橋性基を含む);そしてコーティング組成物を基体に施用することを含む。
【0019】
コーティングされた基体を製造するいくつかの実施形態は、少なくとも1つのペンデントヒドロキシル基を有する樹脂を、エチレン性不飽和基を有する無水カルボン酸と反応させて、エステル基、カルボン酸基、およびエチレン性不飽和を有するグラフト化ポリマーを形成することを含む方法により、フィルム形成樹脂を形成することを含み、ここで樹脂は架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を有する。グラフト化ポリマーのエチレン性不飽和基をホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネート化合物と反応させる。架橋剤およびフィルム形成樹脂を含むコーティング組成物を製造し、このコーティング組成物を基体に施用する。コーティング組成物の施用は、コーティング組成物を電着することを含み得、いくつかの実施形態においては、施用されたコーティング組成物を硬化させる。
【0020】
本発明は従来のフィルム形成樹脂よりも優れた様々な利益をもたらす。このような利益としては、リン酸塩処理の金属結合特性をフィルム形成樹脂に組み入れることが挙げられる。共有結合したリン原子(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を含む少なくとも1つのペンデント基を含有するフィルム形成樹脂は、結果として得られるコーティングと金属基体との間で改善された接着性を示す。このような樹脂を未処理金属基体表面に施用して、前処理ステップを簡素化および/または除くことができる。例えば、これらのコーティング組成物は、まずリン酸塩処理する必要なしに基体に施用できる。リン酸塩処理に先行して、相当なプロセス所用時間およびエネルギーを節約し、リン酸塩処理浸漬タンクおよび装置に必要な相当な床面積をさらに節約することができる。
【0021】
本発明のフィルム形成樹脂はまた、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するリン原子により金属および金属化合物に配位できる。このような金属としては、金属基体、基体表面上の金属、および/または金属触媒の配位が挙げられる。フィルム形成樹脂はさらに、他の金属配位基、例えばカルボン酸基も含むことができ、これらも金属および金属化合物を配位させる働きができる。
【0022】
共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基を含むフィルム形成樹脂は、金属基体に対するさらに良好な接着性および/またはさらに良好な腐食防止をもたらすことができる。理論により拘束されることを望まないが、フィルム形成樹脂におけるリン原子と共有結合した1以上の酸素原子は金属基体と相互作用して、ポリマーフィルムの基体に対する接着性を向上させることができると考えられる。さらに、ペンデント基および/またはさらなるカルボン酸基の一部が金属触媒と配位して、コーティングの硬化を向上させることができ、一方、他のペンデント基は金属基体と自由に相互作用して、接着性を向上させることができるように、本発明のコーティング組成物を処方できる。
【0023】
金属触媒の配位が可能であることにより、金属触媒がコーティング組成物の必要な硬化温度の低下および/またはさらに完全な硬化をもたらすことができるという別の利点が得られる。樹脂由来のカルボン酸基および/またはペンデント基を用いて、フィルム形成樹脂を様々な量の金属触媒と混合し、様々な量の樹脂−金属複合体を得ることができる。例えば、本発明により液体有機金属塩をコーティング組成物に直接添加して、樹脂および金属触媒複合体を形成することが可能になる。
【0024】
本明細書において用いられる「a」および「an」は、「少なくとも1つの」物が存在することを示し;可能ならば、複数のこのような物が存在してもよい。「約」は数値に適用される場合、計算または測定ではその値に若干の誤差が許容される(正確な値に若干近似、即ち値にほぼまたはかなり近い、すなわち近い)ことを示す。いくつかの理由から、もし何らかの理由で「約」により示される不正確さが、当該技術分野においてこの本来の意味で理解されないならば、本明細書において用いられる「約」は、少なくともこのようなパラメータの通常の測定法または使用法から生じ得る変動を示す。加えて、範囲の開示は、全ての値の開示を包含し、さらに全範囲内の分割された範囲も含む。
【0025】
適用性および利点のさらなる分野は以下の説明から明らかになるであろう。説明および具体例は、本発明の様々な実施形態を例示するものであるが、例示目的を意図し、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0026】
本発明は、フィルム形成材料、架橋剤、フィルム形成材料を製造する方法、コーティング組成物、コーティング組成物を製造する方法、およびコーティングされた基体を製造する方法を包含する。本発明の実施形態は共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基を含む。このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。これらの酸素原子の1個以上は金属および/または金属化合物、例えば金属基体および/または金属触媒に配位できる。
【0027】
フィルム形成材料は樹脂を含むことができ、この樹脂は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基を含む。このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。樹脂はまた、架橋剤、自己縮合基、付加重合性基および化学線で硬化できる基から選択される少なくとも1つの架橋性基も含む。架橋剤と反応性の基は、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、カルバメート、またはアミン基であり得る。
【0028】
一実施形態において、フィルム形成材料は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(ここで、このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)、および架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を含む樹脂を含む。樹脂は1以上のポリマー、オリゴマー、および/またはモノマー材料を含み得る。フィルム形成材料は、様々な樹脂、例えばエポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリビニル、ポリエーテル、アミノプラスト、およびポリエステル樹脂を含むことができ、これらの混合物を含むことができる。樹脂がポリマーである実施形態において、これはホモポリマーまたはコポリマーであり得る。コポリマーは2種以上の繰り返し単位の型を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、共有結合したリン原子を含むペンデント基は様々な結合により樹脂と結合する。このペンデント基は特に、エステル、ホスホエステル、炭素−リン、アミン、ウレタン、およびエーテル結合により樹脂と共有結合できる。これらの結合を生じる官能基の反応例としては以下のものが挙げられる:エポキシドを酸と反応させてエステル結合を得る;エポキシドをアミンと反応させてアミン結合を得る;ヒドロキシルをイソシアネートと反応させてウレタン結合を得る;ヒドロキシルを無水物と反応させてエステル結合を得る;エポキシドをヒドロキシルと反応させてエーテル結合を得る);エチレン性不飽和基をリンと反応させて炭素−リン結合を得る;ヒドロキシルをホスフェートと反応させてホスホエステル結合を得る;およびコーティング樹脂の形成において一般的に使用される他の種類の結合。
【0030】
共有結合したリン原子を含むペンデント基(ここで、リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)としては、特に、ホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、およびオルガノホスフィネート基が挙げられる。ペンデント基の例としては、さらに、オルガノホスフェート、オルガノホスホネート、およびオルガノホスフィネートが挙げられ、ここでリン原子に共有結合した1または2個の酸素原子は、アルキルまたはアリール基に対するエステル結合を形成する。アルキル基に対するエステル結合は1〜約12個の炭素を含み、アリール基は、制限なく飽和または不飽和のフェニルおよびベンジル基を含む。
【0031】
様々な実施形態において、複数の反応のいずれかを用いてペンデント基を樹脂に添加できる。一実施形態において、2段プロセスを用いて、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基を有する樹脂を含むフィルム形成材料を製造する。少なくとも1つのヒドロキシル基および架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を有する樹脂を、エチレン性不飽和基を有する無水カルボン酸と反応させて、カルボン酸基およびエチレン性不飽和基を含む基に対するエステル結合を有するグラフト化樹脂を形成する。無水カルボン酸の例としては、無水アコニット酸、無水クロロマレイン酸、無水シトラコン酸、無水エチルマレイン酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水メリト酸、無水メトキシマレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリト酸、無水トリメリト酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、または無水テトラヒドロフタル酸が挙げられる。グラフト化樹脂のエチレン性不飽和基の不飽和炭素−炭素結合を次にリン含有化合物、例えばホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートと反応させて、リン含有化合物を樹脂と共有結合させる。様々な実施形態において、リン基を炭素−リン結合またはホスホエステル結合により樹脂と結合させる。
【0032】
いくつかの実施形態において、共有結合したリン原子を含むフィルム形成材料は、本明細書において参考として援用される、2006年3月30日に出願された米国特許出願第11/278,030号で見られる2段グラフト化反応を一部採用することにより形成できる。これらの反応は、様々な無水物と反応する様々な樹脂を含む。様々な無水物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する無水物を包含する。少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する樹脂−無水物反応生成物を様々なリン含有化合物のいずれか1以上と反応させて、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する共有結合したリン原子を含むペンデント基を得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料は、式(1):
【化1】

[式中、X1およびX2は独立して、水素、ヒドロキシル、エポキシド、またはアミン官能性の一価の基であり;R1、R2、およびR3のそれぞれは独立して有機の二価の基であり;各Yは独立して、1個の炭素原子から約36個の炭素原子を有する有機の三価の基であり;各Z1は独立してホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートの一価の基であり;nは1〜約12の整数であり;mは0〜約12の整数であり;そしてpは1〜約12の整数である]を含むエポキシ樹脂を含む。
【0034】
式(1)中、m、n、およびpの様々な値は、様々な繰り返しモノマー単位から形成される部分を有する樹脂に対応する。例えば、樹脂合成においてキャッピング基、連鎖停止基、または連鎖成長基の量および/または濃度を変えることにより、これらの値を調節でき;ここで、「キャッピング」とは、樹脂上の官能基を別の分子の官能基と反応させて、アミンを樹脂と共有結合させることを意味する。さらに、樹脂合成は、段階的またはバッチ方式で実施でき、典型的には結果として、n、m、およびpの様々な値を有する樹脂分子の混合集団を得る。各R1、R2、およびR3により示される有機の二価の基は、同じ分子由来であるか、または異なる分子由来であり得る。さらに、式(1)で示すように、mが0である場合、mの括弧で囲まれた部分は存在しないので、R2基はない。この場合、R3がX2と共有結合する。
【0035】
いくつかの実施形態において、R1、R2、およびR3により示される有機の二価の基は、2,2−ジフェニルプロパンの二価の基である。さらに、n>1、m>1、および/またはp>1である場合、2以上の2,2−ジフェニルプロピレンの基を互いに結合させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、樹脂のR1、R2、および/またはR3は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(「G」)およびビスフェノールA(「B」)の反応(この結果、式−G−B−の繰り返しが得られる)により形成される生成物の一部を含み得る。実施形態はさらに、nおよびpが1〜約12の整数であり、mが0〜約12の整数である置換を含み、その結果、繰り返し単位、例えば−G−B−G−、−G−B−G−B−、−G−B−G−B−G−などを得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、X1およびX2は独立して水素、ヒドロキシル、エポキシド、またはアミン官能性の一価の基である。X1および/またはX2がアミンの一価の基である樹脂の実施形態は、アミンでキャップされたエポキシ樹脂を包含し得、ここで、「キャップされた」とは、樹脂上の官能基、例えばエポキシド基を、アミン含有化合物と反応させて、アミンを樹脂と共有結合させることを意味する。キャッピング化合物の例としては、アンモニアまたはアミン、例えばジメチルエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンのジケタミン誘導体、およびこれらの混合物が挙げられる。様々な実施形態において、例えば、(キャップされた)アミン含有樹脂を酸で塩にし、水中に分散させることにより、陰極エレクトロコーティング組成物を形成できる。
【0037】
例えば液体エポキシコーティング組成物などのいくつかの実施形態において、フィルム形成材料の全分子量は液相特性、例えばコーティング組成物の粘度に影響を及ぼすことに注目すべきである。したがって、樹脂の分子量(および対応する粘度)は、前記式中のn、m、およびpの値を変えることにより樹脂中の繰り返し部分の数を変えることによって必要に応じて調節できる。例えば、フィルム形成材料は、nおよびpの両方で示される1〜約12の単位ならびにmにより示される0〜約12の単位を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、樹脂は、アクリルポリマーをはじめとするビニルポリマーである。アクリルポリマーは、硬化剤(すなわち、架橋剤)と反応性であるヒドロキシル、アミノまたはエポキシ基である官能基を含む。アクリルポリマーはメチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびシクロヘキシルメタクリレートを用いて形成できる。官能基をアクリルモノマーのエステル部分中に組み入れることができる。例えば、ヒドロキシル−官能性アクリルコポリマーは、様々なアクリレートおよびメタクリレートモノマー、例えばこれらに限定されないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、またはヒドロキシプロピルアクリレートを用いた重合により形成でき;アミノ−官能性アクリルコポリマーは、t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびt−ブチルアミノエチルアクリレートとの重合により形成でき;エポキシ−官能性アクリルコポリマーはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、またはアリルグリシジルエーテルとの反応により形成できる。
【0039】
反応性官能基を有するアクリルコポリマーの形成で使用できる他のエチレン性不飽和モノマーとしては、3〜5個の炭素原子を含むアルファ−、ベータ−エチレン性不飽和モノカルボン酸のエステルまたはニトリルまたはアミド;芳香族および複素環のビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、およびビニル化合物が挙げられる。代表例としてはさらに、アクリルおよびメタクリル酸アミドおよびアミノアルキルアミド;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル;アクリルおよびメタクリル酸のエステル、例えば1〜20個の炭素原子を含む飽和脂肪族および脂環式アルコールとのエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、イソブチル、イソプロピル、シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、およびイソボルニルアクリレートおよびメタクリレート;フマル酸、マレイン酸、およびイタコン酸のエステル、例えばマレイン酸ジメチルエステルおよびマレイン酸モノヘキシルエステル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルエーテル、およびビニルエチルケトン;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、および2−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0040】
アクリルコポリマーは、バッチプロセス、半バッチプロセスまたは連続供給プロセスで通常の技法、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合、またはアニオン重合を使用することにより製造できる。例えば、重合はエチレン性不飽和モノマーをバルクで、または溶液中、フリーラジカル源、例えば有機ペルオキシドまたはアゾ化合物および、場合により連鎖移動剤の存在下で、バッチまたは連続供給反応器中で加熱することにより行うことができる。別法として、モノマーおよび開始剤を、半バッチプロセスにおいて制御された速度で加熱された反応器中に供給できる。反応が溶液重合プロセスで行われる場合、溶媒は重合が完了した後に除去しなくてはならない。重合は溶媒の非存在下で行うのが好ましい。
【0041】
典型的なフリーラジカル源は有機ペルオキシド、例えばジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、およびペルオキシケタール;ならびにアゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)である。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン、例えばオクチルメルカプタン、n−またはtert−ドデシルメルカプタン、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、およびメルカプトエタノール;ハロゲン化化合物、および二量体アルファ−メチルスチレンである。フリーラジカル重合は通常、約20℃〜約250℃、好ましくは90℃〜170℃の温度で実施される。反応は通常の方法にしたがって実施され、固体アクリルコポリマーを得る。
【0042】
アクリル樹脂は約150〜950、例えば約300〜約600、さらには約350〜約550の当量(−OH基1モル当量あたりの樹脂固体のグラム数)を有し得る。高固形分に関して数平均分子量(Mn)は約5,000〜約10,000であり得る。典型的なアクリルポリマーはヒドロキシ官能性アクリルポリオールである。いくつかの実施形態において、アクリル樹脂を用いてエレクトロコーティング組成物を形成できる。陰極エレクトロコーティング組成物は、アミン官能性エチレン性不飽和モノマーを共重合させることにより形成できる。アミンを塩にし、水中に分散させる。
【0043】
いくつかの実施形態において、樹脂はポリエステル樹脂である。多官能性酸または無水化合物を多官能性アルコールと反応させてポリエステルを形成することができ、これらはアルキル、アルキレン、アリールアルキレン、および芳香族化合物を包含し得る。典型的な化合物としては、ジカルボン酸および無水物が挙げられるが;さらに高い官能価を有する酸または無水物も使用できる。三官能性化合物またはさらに高次の官能価を有する化合物を使用するならば、これらは一官能性カルボン酸またはモノカルボン酸の無水物、例えばバーサチック酸、脂肪酸、またはネオデカン酸との混合物で使用できる。ポリエステル基またはかかる化合物の無水物を形成するのに適した酸または無水物官能性化合物の例としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリト酸、コハク酸、アゼライン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、クエン酸、および無水トリメリト酸が挙げられる。
【0044】
ポリエステル樹脂を形成するために使用されるポリオール成分は少なくとも2のヒドロキシル官能価を有する。ポリオール成分は一官能性アルコール、二官能性アルコール、および三官能性アルコール、ならびにさらに高次官能性のアルコールを含み得る。ジオールは典型的なポリオール成分である。ポリエステルのある程度の分岐が望ましい場合、さらに高次の官能価を有するアルコールを使用でき、ジオールおよびトリオールの混合物をポリオール成分として使用できる。しかし、いくつかの場合、高分岐ポリエステルは、コーティングに対する影響、例えば流量の減少、および硬化フィルムに対する望ましくない影響、例えばチップ耐性および平滑性の低下のために望ましくない。
【0045】
有用なポリオールの例としては、これらに限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、およびエトキシル化ビスフェノールが挙げられる。
【0046】
ポリエステル樹脂を形成する方法は周知である。ポリエステルは典型的にはポリオールおよび多官能性酸成分をあわせて、触媒とともに、または触媒なしで、反応を完了させるために水の副生成物を除去しながら加熱することにより形成される。少量の溶媒、例えばトルエンを添加して、水を共沸的に除去できる。添加されるならば、このような溶媒を、典型的にはコーティング配合開始前にポリエステル生成物から除去する。
【0047】
いくつかの実施形態において、樹脂はポリウレタン樹脂であり得る。ポリウレタンは2つの成分から形成でき、ここで第1のものは、イソシアネート付加反応のために少なくとも二官能性であるヒドロキシル基を含む化合物を包含する。第2の成分は少なくとも1つのポリイソシアネート化合物を含む。
【0048】
ポリオール成分は重合反応のために少なくとも二官能性でなければならない。これらの化合物は一般に約2〜8、好ましくは約2〜4の平均官能価を有する。これらの化合物は一般的に約60〜約10,000、好ましくは400〜約8,000の分子量を有する。しかし、400より低い分子量を有する低分子量化合物を使用することも可能である。組成物硬化のために使用されるならば、加熱条件下で使用される化合物が揮発性であることが唯一の要件である。
【0049】
イソシアネート反応性水素原子を含む好適なマクロモノマー化合物は既知ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリアクリレートおよびヒドロキシル基を含むポリカーボネートである。これらのポリヒドロキシル化合物に加えて、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリエステルアミド、末端ヒドロキシル基もしくはスルフヒドリル基を含むポリチオエーテル、またはアミノ基、チオール基もしくはカルボキシル基を含む少なくとも二官能性の化合物を使用することも可能である。イソシアネート反応性水素原子を含む化合物の混合物も使用できる。ヒドロキシル含有化合物の他の例は、本明細書において参考として援用される、1984年3月27日に発行された米国特許第4,439,593号に見られる。
【0050】
様々な実施形態において、フィルム形成材料は式(2):
【化2】

[式中、R4は2〜12個のモノマー単位を有する樹脂の一価の基または式(1)のフィルム形成樹脂を含有する一価の基であり;R5は、水素の一価の基、2〜12個のモノマー単位を有する樹脂、または式(1)のフィルム形成樹脂を含有する基であり;Z2は共有結合したリン原子を含む一価の基であり、このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する]を含む。様々な実施形態において、Z2により表される一価の基としては、ホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートが挙げられる。
【0051】
式(2)のフィルム形成材料は、R4および/またはR5が樹脂の一価の基(ここで樹脂は共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基含み、前記リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する);および少なくとも1つの架橋性基であるものをさらに包含する。
【0052】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料はアミン、アミノオルガノホスフェート、またはアミノオルガノホスホネートでキャップされた樹脂を包含し;すなわちこの場合、樹脂上の官能基をアミン含有化合物と反応させて、アミンを樹脂と共有結合させる。樹脂は記載される任意の樹脂、例えば共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)、および架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を含む樹脂であり得る。リン原子を有さないもの、例えば式(2)中のR4およびR5がリン原子を有さないものをはじめとする他の樹脂をキャップすることができ、これらとしては、エポキシ、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アミノプラスト、またはポリエステル樹脂が挙げられる。さらなる実施形態は式(1)および(2)のキャッピング樹脂を包含する。
【0053】
様々な樹脂をキャップするために適したアミノオルガノホスホネートおよびアミノオルガノホスフェートは:
【化3】

[式中、各R6およびR7は独立して水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、または置換および非置換フェニルおよびベンジル基をはじめとするアリール基であり;nは1〜約12の整数である]を包含する。
【0054】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料は樹脂分子の混合集団を含み得る。例えば、これらの反応により、異なる数の繰り返しモノマー単位を有する様々なフィルム形成材料のフラクションからなるフィルム形成材料生成物を得ることができる。これらのフィルム形成材料は、樹脂を形成するために使用される反応における成長および停止事象の速度の変動の結果および/または様々な反応物質を段階的に添加することにより得られる。
【0055】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料は、樹脂が配位した1以上の金属または金属含有化合物をさらに含む。樹脂は、金属または金属含有化合物に、少なくとも1つの共有結合した酸素を有する共有結合したリン原子を含むペンデント基により配位できる。様々な実施形態において、ペンデント基はカルボン酸基をさらに含むことができ、金属または金属化合物に少なくとも1つの共有結合した酸素を有するリン原子および/またはカルボン酸基が配位することが可能になる。少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する1以上のリン原子は酸素原子により金属または金属化合物に配位できる。カルボン酸基は同様に酸素原子により金属または金属化合物に配位できる。フィルム形成材料による金属配位は、本明細書において参考として援用される、2006年10月26日に出願された米国特許出願第11/553,185号;11/553,195号;11/553,213号;および2006年3月30日に出願された第11/278,030号にも記載されている。
【0056】
フィルム形成材料はしたがって、コーティング組成物において使用される場合にフィルム形成材料の硬化反応を改善する金属基体および/または金属触媒をはじめとする1以上の金属または金属化合物に配位できる。金属および金属化合物はM、MO、M23、M(OH)n、RxMO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものを包含することができ;式中、nはMの価数を満たす整数であり;Rはアルキルまたは芳香族基であり;xは1〜6の整数である。いくつかの好適な実施形態において、MはAl、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、およびZrからなる群から選択される。金属触媒の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料を重合するための架橋剤(すなわち硬化剤)を含むコーティング組成物は、フィルム形成材料と反応性である少なくとも2つの官能基および共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を含む有機化合物を含む。フィルム形成樹脂と反応性である官能基としては、イソシアネート、ブロックされたイソシアネート、ウレトジオン、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、エーテル、カルバメート、アミノアルカノール、アミノアルキルエーテル、アミド、またはアミン基が挙げられる。実施形態は、本明細書の他の場所で開示されている様々な架橋剤を包含し、ここでこの架橋剤はフィルム形成材料と反応性である少なくとも2つの官能基および共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を有し得る。様々な実施形態において、架橋剤のペンデント基は例えばホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートを含むことができ、本発明のフィルム形成材料について記載されるような様々なペンデント基を含むことができる。いくつかの実施形態において、架橋剤は金属または金属化合物にペンデント基により配位することもできる。
【0058】
加えて、本発明の架橋剤を本発明のフィルム形成材料および/または他の樹脂と混合して、基体をコーティングするために使用できるコーティング組成物を形成できる。例えば、コーティングされた基体を製造する方法は、架橋剤およびフィルム形成材料を含むコーティング組成物の施用を含み、ここで架橋剤およびフィルム形成材料の一方または両方は、共有結合したリン原子を含むペンデント基を含み、このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。コーティング組成物を基体上で硬化させることができる。
【0059】
例えば、本発明のコーティング組成物を硬化させると、結果として得られる硬化したフィルムは、共有結合したリン原子を含むペンデント基を含み、このリン原子はそれぞれ少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有し、ここでリン原子はフィルム形成材料および/または架橋剤から取り込まれる。ペンデント基を使用して、金属基体に対する接着性および/または保護を改善することができる。いくつかの実施形態において、ペンデント基を含む架橋剤は、コーティング組成物を形成する前に1以上の金属触媒と錯体形成できるか、または架橋剤をフィルム形成材料と組み合わせた後に金属触媒を添加できる。
【0060】
本発明はフィルム形成材料を製造する様々な方法を提供する。一実施形態において、少なくとも1つのペンデントヒドロキシル基を有する樹脂を、エチレン性不飽和基を有する無水カルボン酸と反応させて、エステル基、カルボン酸基、およびエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成し(ここで、樹脂は架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を有する);そしてグラフト化樹脂のエチレン性不飽和基をホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートと反応させることを含む方法により、フィルム形成材料を製造する。
【0061】
フィルム形成材料を製造する方法は、他の反応物質、例えばキャッピング剤、鎖成長剤または連鎖停止剤、金属および金属化合物、ならびにこれらの組み合わせをさらに含むことができる。分子の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジオール、アミン、フェノール、ならびに金属および金属触媒が挙げられる。
【0062】
樹脂中に組み入れられた、共有結合したリン原子を含むペンデント基の量は、特定の性能特性について変化し、最適化させることができる。いくつかの実施形態において、かならずしもフィルム形成材料の骨格全体にわたってペンデント基を組み入れる必要および/または大部分の架橋剤分子が共有結合したリン原子を含むペンデント基を有する必要はない。実際、いくつかの実施形態において、ポリマー骨格および/または架橋剤分子の大部分はこれらのペンデント基を含まない。ペンデント基の量を調節して、金属および/または金属化合物と配位するために十分な、共有結合したリン原子を含むペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を提供することが可能なため、所望の接着性および/または十分な硬化および/またはコーティング安定性結果が実現される。例えば、エポキシ系樹脂の場合、ペンデントヒドロキシル基の5%〜15%を無水物と反応させ、続いてリン含有化合物と反応させて、フィルム形成材料を製造することができる。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、前述のようなフィルム形成材料および/または架橋剤を含む。基体をコーティングする方法は、これらのフィルム形成材料および/または架橋剤を有するコーティング組成物の施用を含む。コーティングされた基体は、このようなコーティング組成物から製造されたコーティングを有する。コーティング組成物は、例えばエポキシド、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アミノプラスト、および/またはポリエステル樹脂を用いて製造できる。これらの様々な樹脂は、当該技術分野において既知のように、適切な官能基の反応により形成でき、樹脂結合を得る。このような反応は:エポキシドを酸と反応させて、エステル結合を得る;エポキシドをアミンと反応させてアミン結合を得る;ヒドロキシルをイソシアネートと反応させてウレタン結合を得る;ヒドロキシルを無水物と反応させてエステル結合を得る;エポキシドをヒドロキシルと反応させてエーテル結合を得る;およびコーティング樹脂の形成で一般的に使用される他の種類の結合を含む。結果として得られるフィルム形成樹脂は架橋剤、自己縮合基、付加重合性基、または化学線で硬化可能な基と反応性であり得る架橋性基を含む。フィルム形成樹脂と反応性である官能基の例としては、イソシアネート、ブロックされたイソシアネート、ウレトジオン、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、エーテル、カルバメート、アミノアルカノール、アミノアルキルエーテル、アミド、アミノアルキルエーテル、またはアミン基が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料はビニルまたはアクリル樹脂を含むことができ、ここで、ビニル樹脂は共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)、および架橋剤と反応性である少なくとも1つの基を有する。不飽和炭素結合および共有結合したリン原子を含むペンデント基(このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を有する化合物を樹脂合成において重合することにより形成されたビニル樹脂。付加重合中の組み入れるのに適した化合物としては次のものが挙げられる:4−アリル−1,2−ジメトキシベンゼン;2−アリル−2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン;2−アリルオキシテトラヒドロピラン;アリルフェニルカーボネート;3−アリルロダニン;アリルトリメトキシシラン;無水イタコン酸;無水マレイン酸;およびこれらの組み合わせ。
【0065】
コーティング組成物製造の様々な実施形態において、本発明のフィルム形成材料は唯一のフィルム形成樹脂であり得、樹脂の集団を形成でき、またはさらなる樹脂と組み合わせることができる。フィルム形成材料を粉砕樹脂、主たる樹脂、および/または架橋剤として使用できる。同樹脂をペースト顔料および主たる樹脂の製造で使用でき、または様々な樹脂の混合物を用いてコーティング組成物を形成できる。着色された組成物において、粉砕樹脂および主たる樹脂を、本発明のコーティング組成物含有フィルム形成材料の形成において組み合わせることができる。
【0066】
さらなる樹脂を本発明のフィルム形成材に含めることができる。例えば、好適なさらなる樹脂としては、エポキシオリゴマーおよびポリマー、例えばビスフェノールAなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテルのポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。エピハロヒドリンまたはジハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリンをアルカリの存在下で用いてポリフェノールをエーテル化することにより、これらを製造できる。好適な多価フェノールとしては、ビス−2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどが挙げられる。ポリグリシジルエーテルおよび多価フェノールを合わせて縮合し、オリゴマーまたはポリマーを形成できる。他の有用な多官能性エポキシド化合物はノボラック樹脂または類似のポリヒドロキシフェノール樹脂から製造されるものである。エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテルも好適である。エピクロロヒドリンまたは類似のエポキシ化合物と、脂肪族または芳香族ポリカルボン酸、例えばコハク酸またはテレフタル酸との反応により製造されるポリカルボン酸のポリグリシジルエステルも有用である。
【0067】
いくつかの実施形態において、これらのさらなる樹脂はビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAの反応生成物である液状エポキシであり得る。例としては、約100〜1200以上のエポキシ当量を有する修飾改良エポキシ樹脂が挙げられる。好適な液状エポキシは、Huntsmanから市販されているGY2600、およびHexion Specialty Chemicals,Inc.から市販されているEpon(登録商標)828である。例えば、エポキシ含有化合物をヒドロキシル含有化合物、例えばビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールA、フェノール、ポリオール、または置換ポリオールと反応させることができる。
【0068】
様々な実施形態において、コーティング組成物は、硬化剤と反応性である基を有する樹脂化合物の混合物も含み得る。化合物の混合物は、架橋剤と反応性である基を有する2種以上の樹脂、1以上のコモノマーとの樹脂混合物、および少なくとも1つのコモノマーを有する2以上の樹脂を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明は、金属または金属化合物をフィルム形成材料と合わせて、金属または金属化合物の樹脂との複合体を形成することを含む。理論により拘束されることを望まないが、1以上の電子豊富な酸素原子、例えばリン原子と結合した酸素原子または炭素原子と結合した酸素原子(例えばカルボン酸基中の酸素原子)をモノデンテートまたはポリデンテート形状により金属または金属化合物に配位させることができる。このように、フィルム形成材料および結合した金属は結合複合体を形成できる。金属は、すでに記載した様々な金属および金属触媒を含む。金属を例えばフィルム形成材料、架橋剤、またはフィルム形成材料および架橋剤の両方に添加できる。いくつかの実施形態において、金属触媒を樹脂および架橋剤の硬化前に組み入れて、硬化したコーティングを形成できる。別法として、金属触媒をコーティング組成物のサブパートとしてのフィルム形成材料と合わせることができ;例えば、金属触媒を粉砕樹脂として使用されるフィルム形成材料に添加できる。
【0070】
金属触媒は、フィルム形成材料の製造における他の様々なステップで組み入れることもできる。いくつかの実施形態において、フィルム形成材料を形成するステップ中に、即ち、本明細書において記載する様々な反応混合物によりフィルム形成材料を形成する際に、金属触媒を組み入れる。別法として、樹脂が形成された後で、樹脂および架橋剤を反応させて硬化したコーティングを形成する前に、金属触媒をフィルム形成材料と合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、樹脂および架橋剤を反応(即ち硬化)させるステップの前に、顔料含有組成物を組み入れることができる。コーティング組成物は一般的にこのような顔料含有組成物を組み入れる。金属触媒を顔料含有組成物中に組み入れて、金属触媒をフィルム形成材料と複合体形成させることができる。
【0071】
実施形態は1つの金属触媒を含み得るか、またはいくつかの実施形態において、金属触媒の組み合わせを用いることができる。金属触媒、例えば、様々な金属酸化物を、低粒子サイズ(例えば20ミクロン未満、さらに典型的には10ミクロン未満)を有する粉砕された形態で供給し、金属触媒をフィルム形成材料またはリガンドと有効に合わせるために金属触媒の粒子サイズを縮小させるためにさらに粉砕する必要がないようにすることができる。
【0072】
様々なコーティング組成物は、フィルム形成材料と反応できるポリイソシアネート架橋剤(すなわち硬化剤)を包含する。ポリイソシアネート架橋剤は脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族構造と結合した遊離イソシアネート基を有する所望の有機ポリイソシアネートを含み得る。ポリイソシアネートは1分子あたり2〜5個のイソシアネート基を有し得る。イソシアネートの例は、"Methoden der organischen Chemie"[Methods of Organic Chemistry]、Houben−Weyl、volume 14/2、4th Edition、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1963、pages 61 to 70、およびW.Siefken、Liebigs Ann.Chem.562、75 to 136に記載されている。好適な例としては、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、オメガ,オメガ’−ジイソシアナートジプロピルエーテル、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアネート、2,2−および2,6−ジイソシアナート−1−メチルシクロヘキサン、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(「イソホロンジイソシアネート」)、2,5−および3,5−ビス(イソシアナートメチル)−8−メチル−1,4−メタノ−デカヒドロナフタレン、1,5−、2,5−、1,6−および2,6−ビス(イソシアナートメチル)−4,7−メタノヘキサヒドロインダン、1,5−、2,5−、1,6−および2,6−ビス(イソシアナート)−4,7−メチルヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル2,4’−および4,4’−ジイソシアネート、2,4−および2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、パーヒドロ2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、オメガ,オメガ’−ジイソシアナート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナートビフェニル、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジフェニルビフェニル、2,4’−および4,4’−ジイソシアナートジフェニルメタン、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、例えば2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、N,N’−(4,4’−ジメチル−3,3’−ジイソシアナートジフェニル)ウレトジオン、m−キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、さらにはトリイソシアネート、例えば2,4,4’−トリイソシアナートジフェニルエーテル、4,4’,4"−トリイソシアナートトリフェニルメタンが挙げられる。ポリイソシアネートはイソシアヌレート基および/またはビウレット基および/またはアロファネート基および/またはウレタン基および/または尿素基も含むことができる。例えばウレタン基を含むポリイソシアネートは、いくつかのイソシアネート基とポリオール、例えばトリメチロールプロパンおよびグリセロールを反応させることにより得られる。好適な架橋剤の例としては:非ブロック化およびブロック化ポリイソシアネート化合物、例えば自己ブロック化ウレトジオン化合物;カプロラクタム−およびオキシム−ブロック化ポリイソシアネート;ジイソシアネートのイソシアヌレート;ポリオールで半ブロック化されたジイソシアネート;およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
ポリイソシアネート架橋剤はさらにポリマーMDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー、またはエチレングリコールエーテルもしくはプロピレングリコールエーテルでブロックされた他のポリイソシアネートを含み得る。ウレタン基を含むこのような架橋剤は、例えばLupranate(登録商標)M20S、または他の類似した市販の物質から製造できる。ポリイソシアネート化合物は特に、BASF AG、Degussa AG、およびBayer Polymers,LLC.から市販されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、熱硬化は、イソシアネート(遊離またはブロック化)と活性水素官能基、例えばヒドロキシルまたは第1および第2アミンとの反応;またはアミノプラストと活性水素物質、例えばカルバメート、尿素、アミドまたはヒドロキシル基との反応;エポキシと活性水素物質、例えば酸、フェノール、またはアミンとの反応;環状カーボネートと活性水素物質、例えば第1および第2アミンとの反応;シラン(すなわち、Si−O−R(式中、R=H、アルキルまたは芳香族基、もしくはエステル))と活性水素物質(活性水素物質がSi−OHである場合を含む)、ならびにこれらの架橋性対の混合物との反応を包含し得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物を製造する方法は、フィルム形成材料上に塩形成部位を形成することをさらに含み得る。フィルム形成材料を、アミン含有化合物、例えばメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、またはジエチレントリアミンのジケタミン誘導体とさらに反応させて、陰極エレクトロコーティングで使用される樹脂上に塩形成部位を提供できる。別法として、クアテルニウムアンモニウム、スルホニウム、またはホスホニウム部位を組み入れることができる。あるいは、陽極エレクトロコーティング組成物またはアニオン性水性コーティング組成物を形成するために、フィルム形成材料を酸官能基と反応させることができる。
【0076】
例えば電着性または他の水性コーティング組成物の形成において、水性分散液を形成する際に、これらの塩形成部位を次に反応させるか、または塩形成させる。フィルム形成材料は、陰極エレクトロコーティング組成物において使用するために酸と塩を形成した塩基性基を有し得る。この反応は、中和または酸塩形成と称し、特に、樹脂に水分散性を付与するために十分な塩基性アミノ基を中和するために十分な量でペンデントアミノまたは第4基と酸性化合物とを反応させることをいう。酸化合物の例としては、リン酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸、ギ酸、スルファミン酸、アルキルスルホン酸、およびクエン酸が挙げられる。あるいは、酸性樹脂を塩基と塩形成させて、陽極エレクトロコーティング組成物を形成することができる。例えば、アンモニアまたはアミン、例えばジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、アミノメチルプロパノール、メチルエタノールアミン、およびジエタノールアミンを用いて、陽極エレクトロコーティング組成物を形成できる。
【0077】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物は少なくとも1つの添加剤も含み得る。多くの種類の添加剤がコーティング組成物、例えばエレクトロコーティング組成物において有用であることが知られている。このような添加剤としては、様々な有機溶媒、界面活性剤、分散剤、光沢を増加または減少させる添加剤、触媒、顔料、フィラー、および塩形成剤が挙げられる。さらなる添加剤としてはさらに、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線光吸収剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー調節剤、接着促進剤、および可塑剤が挙げられる。このような添加剤は周知であり、コーティング組成物に典型的に使用される量で含めることができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、フィルム形成材料を水性コーティング組成物の製造法において使用できる。コーティング組成物の水性媒体は一般的に主に水であるが、少量の有機溶媒を使用できる。有用な溶媒の例としては、制限なく、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、メチルイソブチルケトン、石油スピリット、ブタノール、ブチルアセテート、トリブチルホスフェート、ジブチルフタレートなどが挙げられる。しかし、有機溶媒を避けて、コーティング方法からの有機揮発性物質の放出を最小限に抑えることができる。
【0079】
好適な界面活性剤の例としては、制限なく、ドデシルベンゼンスルホン酸のジメチルエタノールアミン塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、エトキシル化ノニルフェノール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、Surfynol(登録商標)シリーズの界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc.)、およびAmine−C(Huntsman)が挙げられる。一般的に、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤の両方を合わせて使用でき、例えばエレクトロコート組成物中の界面活性剤の量は、全固体基準で0〜2%であってよい。界面活性剤の選択は、コーティング法にも依存する。例えば、イオン性界面活性剤は、陰極であるか陽極であるかに関わらず、特定のエレクトロコーティング組成物と適合性であるべきである。
【0080】
コーティング組成物をプライマー組成物または着色されたトップコート組成物、例えばベースコート組成物として用いる場合、1以上の顔料および/またはフィラーを含めることができる。顔料およびフィラーを典型的にはコーティング組成物の合計質量基準で最高40質量%までの量で使用できる。使用される顔料は金属酸化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、リン酸塩およびケイ酸塩をはじめとする有機顔料であってよい。使用できる無機顔料およびフィラーは、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、オーカー、シエナ土、アンバー、ヘマタイト、リモナイト、赤色酸化鉄、透明赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、例えばヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、タルク、バライト粉、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、および雲母片顔料である。有機顔料も使用できる。有用な有機顔料の例は、金属化および非金属化アゾレッド、キナクリドンレッドおよびバイオレット、ペリレンレッド、フタロシアン化銅ブルーおよびグリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリリドおよびジアリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジなどである。
【0081】
記載される方法にしたがって形成されるコーティング組成物を当該技術分野において周知の多くの技法のいずれかにより基体上にコーティングすることができる。これらとしては、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、コイルコーティングなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明のコーティング組成物は電着可能であり、電着により基体上にコーティングすることができる。電着または施用されたコーティング層を樹脂および架橋剤の反応により基体上で硬化させることができる。
【0082】
コーティング組成物を当該技術分野において通常実施されているように電着することができる。電着は、本発明のコーティング組成物を含むエレクトロコーティング浴中に導電性物品を浸漬し、物品を陰極または陽極、好ましくは陰極として接続し、直流電流を用いてコーティング組成物フィルムを物品上に堆積し、コーティングされた物品をエレクトロコーティング浴から取り出し、堆積され、エレクトロコーティングされた物質フィルムを通常の熱硬化、例えば焼成に付すことを含む。
【0083】
本発明のコーティング組成物はコイルコーティングとしても有用である。コイルコーティングをコイル化シート金属材料、例えばスチールまたはアルミニウムに、経済的な高速方法で施用する。コイルコーティング方法の結果、他のコーティング法、例えばコーティング組成物の噴霧用と比較して、コーティングの廃棄物が少なく、有機排出物が少ない高品質の均一コーティングが得られる。
【0084】
ポリエステル樹脂はコイルコーティング組成物として使用でき、分岐ポリエステルおよび/または基本的に直線状のポリエステルおよび架橋剤を含み得る。共有結合したリン原子を含むペンデント基(前記リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)をポリエステルおよび/または架橋剤中に組み入れることができる。分岐ポリエステルを、ポリオール成分およびポリ酸成分(そのいずれかは、リガンドをさらに含み得るか、またはリガンドと反応性である)の縮合により製造できる。ポリエステル合成は、好適な周知条件下、例えば約150℃〜約250℃の温度で、触媒(例えば、ジブチルスズオキシド、塩化スズ、ブチルクロロスズジヒドロキシド、またはテトラブチルオキシチタネート)を用いてまたは用いずに、典型的には副生成物の水を除去しながら(例えば単蒸留、共沸蒸留、真空蒸留による)、反応を完了するまで行うことができる。架橋剤は、ポリエステルのヒドロキシル官能基と反応性である基を有し得る。好適な架橋剤としては、制限なく、アミノプラストおよびイソシアネート架橋剤が挙げられる。コイルコーティング組成物は、典型的には顔料をさらに含み、他の添加剤およびフィラーを含み得る。
【0085】
コイルコーティングは、連続供給操作であり、一方のコイルの端を典型的には別のコイルの始まりに連結(例えばステープルで固定)する。コイルをまずアキュムレータータワー中に供給し、コーティングを出口アキュムレータータワーに供給し、このアキュムレータータワーによりコイルの取り込みが遅れた場合でもコーティング操作を一定速度で続けることが可能になる。例えば、新しいロールを開始するか、または例えばスチールの巻き取りの場合は、1つのロールを終わらせるためにスチールを切断し、新しいロールを開始するために、コイルの進行を遅らせることができる。コイルを一般的に清浄化して、油またはデブリスを除去し、前処理し、両面でプライマーを用いてプライム処理し、焼成してプライマーを硬化させ、急冷して金属を冷却し、その後、トップコートを用いて少なくとも片面上にコーティングする。別のバッカーまたは異なるトップコートをもう一方の面上に施用することができる。トップコートを焼成し、急冷し、次いで出口アキュムレータータワー中に供給し、ここから再度回転させる。
【0086】
コーティング組成物を、金属基体、例えばベアスチール、リン酸処理スチール、亜鉛メッキスチール、金、またはアルミニウム;および非金属基体、例えばプラスチックおよび導電性有機層を含む複合材料をはじめとする多くの様々な基体上に施用できる。エレクトロコーティング(例えば電着)またはエレクトロスプレーにおいては、導電性基体のみを使用する。基体は、別のコーティング層、例えば電着プライマー、プライマーサーフェーサー、および/またはベースコート(硬化または未硬化のいずれか)の層がその上ですでに硬化している、これらの材料のいずれかであってもよい。基体が金属である場合、共有結合したリン原子を含むペンデント基(リン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する)を有するフィルム形成材料は、基体に対するフィルム接着性を改善する働きをすることができる。様々な硬化法を使用できるが、いくつかの実施形態においては、熱硬化を使用できる。一般的に、熱硬化は、反応物質(すなわち、フィルム形成材料および架橋剤)に不溶性ポリマーネットワークを形成させるために十分な温度および十分な長さの時間で加熱することにより実施される。硬化温度はエレクトロコーティング組成物について約150℃〜約200℃であり、硬化の長さは約15分〜約60分であり得る。硬化温度は例えばさらに低くてもよく、いくつかの実施形態において、フィルム形成材料中のペンデント基と錯体形成した金属触媒により140℃以下に低下させることができる。したがって、数例においてはさらに低いベーク温度を使用できる。トップコートに関して、硬化温度は約120℃〜約140℃であり得、硬化時間は約15分〜約30分であり得る。赤外および/または対流式オーブン中で加熱を実施できる。
【0087】
コイルコーティング組成物は所定のピーク金属温度で硬化する。オーブン温度が高ければ、より迅速にピーク金属温度に到達することができる。180℃から約250℃の間のピーク金属温度を得るためには、コイルコーティングのオーブン温度は一般的に約220℃〜約500℃の範囲であり、滞留時間は一般的に約15秒から約80秒の範囲である。オーブン温度、ピーク金属温度および滞留時間をコーティング組成物、基体および所望の硬化の程度にしたがって調節する。コイルコーティング法の例は、本明細書において参考として援用される、米国特許第6,897,265号;第5,380,816号;第4,968,775号;および第4,734,467号に開示されている。
【0088】
本発明のフィルム形成材料、コーティング組成物、および方法は、いくつかの利点をもたらす。例えば、本発明により形成されたコーティング組成物の増大した接着性および耐食性能により、金属表面の前処理、例えばリン酸塩処理を除くことができる。増大した接着性は、フィルム形成材料中に組み入れられたペンデント基と金属基体との間に形成された複合体のためであり得る。スチール基体のコーティングにおけるリン酸処理ステップを除くことにより、時間および費用を節約できる。さらに、金属触媒をフィルム形成材料と複合体形成させることにより、施用されたコーティング組成物の硬化反応および触媒有効性を改善できる。これらの改善は、架橋マトリックス中の反応性官能基への金属錯体の接近によって達成できる。
【0089】
本発明の技術を下記実施例においてさらに説明する。実施例は単に例示的であり、記載し、主張する技術の範囲をなんら限定しない。特に記載しない限り記載した全ての部は質量部である。技術の実施形態を実施するために適した商品名の化合物も適用可能ならば含まれる。
【0090】
実施例
実施例1 リンを含むフィルム形成樹脂の合成
4ステッププロセスを用いてリンを含むフィルム形成樹脂を形成する。第1ステップは樹脂ポリマーの骨格合成である。ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、溶媒、フェノール、および触媒を組み合わせ、反応させて、エーテルが両側にあるヒドロキシル基を含むモノマー単位結合を含有するヒドロキシポリマーを得る。第2ステップは、ヒドロキシルポリマーを、アミノオルガノホスフェートを含む第1または第2アミンと反応させてホスフェート基を組み入れることによるアミンキャッピングである。第3ステップは、キャップされたヒドロキシルポリマーと無水カルボン酸とのグラフト反応を含み、この場合、無水カルボン酸はエチレン性不飽和基を有する。無水カルボン酸はポリマーのヒドロキシル基と反応して、前者の無水物とポリマーとの間にエステル結合をもたらす。グラフト化ポリマー生成物は、カルボン酸基およびエチレン性不飽和基を含む。第4ステップは、エチレン性不飽和求核試薬をジアルキルホスホネート基と反応させて、ホスホネートを含むフィルム形成樹脂を形成する。
【0091】
リンを含有するフィルム形成樹脂は、リン原子および/またはカルボン酸基と共有結合した1以上の酸素原子により金属に配位する。金属配位は、コーティングフィルムとして樹脂を施用する場合の基体表面からの金属、およびコーティングフィルムの硬化特性を向上させるためにコーティング組成物に添加される金属触媒の形態の金属を含む。
【0092】
合成スキームを以下に示す:
【化4】

【0093】
合成スキームにおいて、R1およびR2は第2アミンでキャップすることにより組み入れられた有機基であり、R3はアミノオルガノホスホネートから組み入れられた有機基である。Mは、フィルム形成材料が施用される金属基体由来の金属であるか、またはMは金属触媒である。Mとしては以下の金属種が挙げられる:M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、およびこれらの組み合わせ;ここで、Mは、Al、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、およびZrからなる群から選択される金属であり;nはMの価数を満たす整数であり;Rはアルキルまたは芳香族基であり;xは1〜6の整数である。
【0094】
技術の記載は事実上単なる例示であり、したがって本発明の趣旨から逸脱しない変更は本発明の範囲内に含まれることが意図される。このような変更は本発明の精神および範囲から逸脱するとは見なされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形成材料を重合させるための架橋剤であって:
フィルム形成材料と反応性である少なくとも2個の官能基および共有結合したリン原子を含む少なくとも1個のペンデント基を含む有機化合物を含み、前記リン原子が少なくとも1個の共有結合した酸素原子を有する、架橋剤。
【請求項2】
前記フィルム形成材料と反応性である少なくとも2個の官能基が、イソシアネート、ブロックされたイソシアネート、ウレトジオン、エポキシド、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、エーテル、カルバメート、アミノアルカノール、アミノアルキルエーテル、アミド、またはアミン基を包含する、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項3】
前記ペンデント基が、ホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートを含む、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項4】
前記ペンデント基が、オルガノホスフェート、オルガノホスホネート、またはオルガノホスフィネートを含み、ここでリン原子と共有結合した1または2個の酸素原子がアルキルまたはアリール基に対するエステル結合を形成し、アルキル基が1〜約12個の炭素原子を含み、アリール基が置換および非置換フェニルおよびベンジル基を含む、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項5】
前記架橋剤によって配位された金属または金属化合物をさらに含む、請求項1に記載の架橋剤。
【請求項6】
前記金属または金属化合物が、M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され;ここで、MがAl、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、およびZrからなる群から選択され;nがMの価数を満たす整数であり;Rがアルキルまたは芳香族基であり;xが1〜6の整数である、請求項5に記載の架橋剤。
【請求項7】
前記金属または金属化合物が、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属触媒を含む、請求項5に記載の架橋剤。
【請求項8】
構造:
【化1】

[式中、
3およびX4は独立して、ヒドロキシル、エポキシド、イソシアネート、ブロックされたイソシアネート、またはアミン官能性の一価の基であり;
8およびR9は独立して有機の二価の基であり;
2は1個の炭素原子から約36個の炭素原子を有する有機の三価の基であり;
3はホスフェート、オルガノホスフェート、ホスホネート、オルガノホスホネート、ホスフィネート、またはオルガノホスフィネートの一価の基である]を含むフィルム形成材料を重合するための架橋剤。
【請求項9】
3が独立してオルガノホスフェート、オルガノホスホネート、またはオルガノホスフィネートの一価の基であり、リン原子と共有結合した1または2個の酸素原子がアルキルまたはアリール基に対するエステル結合を形成し、前記アルキル基が1〜約12個の炭素原子を含み、前記アリール基が置換および非置換フェニルおよびベンジル基を含む、請求項8に記載の架橋剤。
【請求項10】
8およびR9が2,2−ジフェニルプロパンの二価の基である、請求項8に記載の架橋剤。

【公表番号】特表2010−518098(P2010−518098A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549149(P2009−549149)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/050357
【国際公開番号】WO2008/097674
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】