説明

リン含有熱安定性難燃剤集塊物における安定剤の使用

【課題】バインダーを含みそして加熱時の変色に実質的により耐性のある、リン含有熱安定性難燃剤集塊物を提供する。
【解決手段】リン含有熱安定性難燃剤集塊物に安定化剤を使用する方法に関する。リン化合物としてはホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩が好ましい。また、安定化剤としては第二主遷移族および第三主族の元素の化合物である。具体的な元素は、ホウ素、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛元素の化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年3月26日に出願された優先権主張の基礎となるドイツ特許出願第102005013958.2号明細書に記載された発明である。なお、このドイツ特許出願明細書の内容は、全て本明細書に掲載されたものとする。
【0002】
本発明は、リン含有熱安定性難燃剤集塊物中において、加熱時のそれらの変色を防ぐために安定化剤を使用することに関する。上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物は、ホスフィン酸塩及び/またはジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーの凝集体及び/または一次粒子を含んでなり、そしてバインダーの助けによって結合(cohere)しているものである。また本発明は、これらのリン含有熱安定性難燃剤集塊物の製造方法、並びにこれらをポリマー中の難燃剤として使用する方法に関する。
【0003】
従来技術では、噴霧集塊法によってリン含有難燃剤を製造することに成功している(DE-A-103 47 012)。この場合には、集塊物を機械的に安定化させることを意図してバインダーが使用されている。
【0004】
従来技術に記載された集塊物は、加熱時に変色するところに欠点がある。この加熱は、難燃性成形材料もしくは難燃性成形体を得るための集塊物の意図された加工の際に行われるために、不利な変色はこれらの製造物においても発生する。
【0005】
本発明の課題の一つは、バインダーを含みそして加熱時の変色に実質的により耐性のある、リン含有熱安定性難燃剤集塊物を提供することである。
【0006】
この課題は、リン含有熱安定性難燃剤集塊物に安定化剤を使用することによって達成される。
【0007】
驚くべきことに、リン含有熱安定性難燃剤集塊物の加熱時に他の場合には通常生ずる変色を実質的に避け得ることが見出された。
【0008】
それゆえ、本発明は、リン含有熱安定性難燃剤集塊物に安定化剤を使用する方法を提供する。
【0009】
安定化剤が、元素周期律表の第二主遷移族及び第三主族の元素の化合物であることが好ましい。
【0010】
安定化剤が、ホウ素、カルシウム、マグネシウム及び/または亜鉛元素の化合物であることが好ましい。
【0011】
安定化剤がリン酸ホウ素であることが好ましい。
【0012】
安定化剤が、ホウ酸カルシウム、ピロホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム類、リン酸水素カルシウム類、及び/またはピロリン酸カルシウムであることが好ましい。
【0013】
安定化剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化酸化マグネシウム類(magnesium oxide hydroxides)、ハイドロタルサイト類、ジハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム類、炭酸水酸化マグネシウム類(magnesium hydroxide carbonates)、炭酸カルシウムマグネシウム類(magnesium calcium carbonates)、リン酸マグネシウム類、リン酸水素マグネシウム類、ピロリン酸マグネシウム、及び/またはホウ酸マグネシウムであることが好ましい。
【0014】
安定化剤が、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物; 炭酸亜鉛類、炭酸水酸化亜鉛、炭酸亜鉛水和物、ケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛六水和物、スズ酸亜鉛、炭酸水酸化アルミニウムマグネシウム亜鉛; ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、ピロリン酸亜鉛; 水酸化クロム酸(VI)亜鉛(zinc chromate(VI) hydroxide)、亜鉛クロマイト、モリブデン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウムモリブデン酸亜鉛(zinc molybdate magnesium silicate); 蟻酸亜鉛類、酢酸亜鉛類、トリフルオロ酢酸亜鉛類、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、亜鉛ネンゾエート(zinc nenzoate)、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、亜鉛フェノレート、フェノールスルホン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、タンニン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛; リン化亜鉛類、硫化亜鉛類、セレン化亜鉛類、及びテルル化亜鉛であることが好ましい。
【0015】
安定化剤が、リン酸ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、及び/またはピロリン酸亜鉛であることが特に好ましい。
【0016】
上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物が、
a) 次式(I)のホスフィン酸塩及び/または次式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーから組成される凝集物及び/または一次粒子60〜99.89重量%
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
1及びR2は、同一かもしくは異なり、線状もしくは分枝状C1〜C6アルキル、及び/またはアリールであり、
3は、線状もしくは分枝状C1〜C10アルキレン、C6〜C10アリーレン、C6〜C10アルキルアリーレン、またはC6〜C10アリールアルキレンであり、
Mは、Mg、Ca、Al、Zn、Sb、Sn、Ge、Zn、Ti、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び/またはプロトン化された窒素塩基であり、
mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である]
b)バインダー0.01〜20重量%、
c)請求項3〜8に記載の安定化剤0.1〜20重量%、
を含む組成物であることが好ましい。
【0019】
上記リン含有熱安定性難燃性集塊物が、
a) 上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマー、及び少なくとも一種の相乗剤から組成される凝集物及び/または一次粒子60〜99.89重量%、及び
b) バインダー0.01〜20重量%、
c) 安定化剤1〜20重量%、
を含む組成物であることが特に好ましい。
【0020】
熱処理後の上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物のL色値は81〜99.9、好ましくは85〜98であることが好ましい。
【0021】
上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物のa色値は−2〜+2、好ましくは−1〜+1.5であることが好ましい。
【0022】
上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物のb色値は−2〜+8、好ましくは−1〜+7であることが好ましい。
【0023】
本発明の使用法では、上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物は少なくとも一種の相乗剤も含む。この相乗剤には、窒素化合物、リン化合物またはリン−窒素化合物が存在する。
【0024】
上記相乗剤は、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ポリリン酸メロン、シアヌル酸メラミン、メラミン、メラム、メレム、及び/またはメロンであることが好ましい。
【0025】
上記バインダーは、次の群から選択される少なくとも一種のモノマーに基づくホモポリマーもしくはコポリマーであることが好ましい: 1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、アクリル酸2−エチルヘキシル、分解デンプン(degraded starch)、アクロレイン、アクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンホスホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートスルフェート類、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル酸、アルデヒドデンプン、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシエチルセルロース(アルキルは好ましくはメチルである)、アリルアルコールホスフェート類、アリルアルコールスルフェート類、アリル酢酸、アリルホスホン酸、アミド類、アスパラギン酸、カプロラクタム、カルボキシアルキルセルロース(Na−塩)、クロトン酸、ジ−もしくはオリゴサッカライド、マレイン酸ジブチル、ジメチルアクリル酸、エポキシド、エステル、アクリル酸エチル、エチルアクリル酸、エチレン、エチレングリコール、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、フマル酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、イタコン酸、アクリル酸ラウリル、マレイン酸、無水マレイン酸、メタアリルスルホン酸、メタアクリルアミド、メタクリレート、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メチルスチレン、乳酸、モノナトリウムカルボキシメチルセルロース、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリル酸n−プロピル、N−ビニルピロリドン、オレフィン、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、プロピレン、アクリル酸sec−ブチル、ステアレート、スチレン、スチレンスルホン酸、アクリル酸tert−ブチル、塩化tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、ウレタン、酢酸ビニル、ビニルアルコール誘導体、ビニルカプロラクタム、塩化ビニル、ビニル酢酸、ビニルエステル、ビニルエーテル、塩化ビニリデン、ラウリン酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、糖カルボン酸、及び/またはこれらの混合物。
【0026】
上記バインダーは、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカルボキシレート、アクリル酸−マレイン酸コポリマー、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸−無水マレイン酸コポリマー、水ガラス、ビニルアセテートポリマー、ポリアクリレート/ポリアクリル酸、ポリ乳酸、デンプン、及び/またはセルロース誘導体であることが好ましい。
【0027】
また本発明は、難燃性ポリマー成形材料中に並びに難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメント及び難燃性ポリマー繊維中に、請求項9〜15の一つまたはそれ以上に記載の安定化剤含有リン含有難燃剤集塊物を使用する方法も提供する。
【0028】
上記難燃性ポリマー成形材料は、好ましくは、
・請求項9〜15の一つもしくはそれ以上に記載のリン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
・ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
・添加剤0〜60重量%、
・フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含む。
【0029】
上記難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメント、及び難燃性ポリマー繊維が
・請求項9〜15の一つもしくはそれ以上に記載のリン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
・ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
・添加剤0〜60重量%、
・フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含むことが好ましい。
【0030】
本発明においては、“リン含有熱安定性難燃剤集塊物”という表現は、上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーの一次粒子及び/または凝集物から組成され、そして安定化剤を含み、バインダーを介して互いに結合されたリン含有熱安定性難燃剤組成物の粒子を意味する。
【0031】
上記リン含有熱安定性難燃剤集塊物は、
a)上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーから組成される凝集物及び/または一次粒子98.9〜85重量%、及び
b)バインダー0.1〜5重量%、及び
c)安定化剤1〜10重量%、
も含むことが好ましい。
【0032】
前段落に記載のリン含有熱安定性難燃剤集塊物は、
a)上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマー、及び少なくとも一種の相乗剤から組成される凝集物及び/または一次粒子98.9〜85重量%、及び
b)バインダー0.1〜5重量%、及び
c)安定化剤1〜10重量%、
を含むことが好ましい。
【0033】
該リン含有熱安定性難燃剤集塊物の平均粒度は0.1〜3000μm、好ましくは100〜3000μm、特に好ましくは200〜2000μmであることが好ましい。粒度がこれより小さいとダストが無くならない。粒度がこれより大きいと、大きい摩耗値及び非常に低い嵩密度を有する材料を与える。
【0034】
該リン含有熱安定性難燃剤集塊物の嵩密度は、80〜1500g/l、好ましくは80〜800g/l、特に好ましくは200〜600g/lであることが好ましい。嵩密度がこれより小さいと、空気の含量が大きくなるため、押出機を用いて材料をポリマー中に配合して難燃性ポリマー成形材料を得ることがより困難になる。これより大きい嵩密度は、集塊化を介しては製造することが不可能であるか、困難である。
【0035】
使用されるホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物の残留水分は、0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜5重量%であることが好ましい。残留含水量がこれより多いホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物は、塊(clump)をつくりやすいために取り扱いが不可能となる。残留含水量が上記より少ないホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物は、工業的に製造することが困難である。
【0036】
使用されるホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物の平均粒径は0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmであることが好ましい。
【0037】
これより大きい平均粒径を有するホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物は、難燃性ポリマー成形体に不均一さを招く。これより小さい平均粒径を有するホスフィン酸塩凝集物または相乗剤凝集物は、工業的に製造することが難しい。
【0038】
本発明のホスフィン酸塩凝集物または本発明の相乗剤凝集物は、ホスフィン酸塩一次粒子または相乗剤一次粒子から組成される。
【0039】
ホスフィン酸塩一次粒子または相乗剤一次粒子の平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜10μmであることが好ましい。
【0040】
色値は、ハンターシステム(CIE−LABシステム、国際照明委員会)で表される。L色値は0(黒)〜100(白)であり、a色値は−a(緑)〜+a(赤)であり、そしてb色値は−b(青)〜+b(黄色)である。
【0041】
本発明の範囲より小さいL色値を有するリン含有熱安定性難燃剤集塊物(実施例参照)は、白色顔料をより多量に必要とする。aまたはb色値が本発明の範囲を外れるジオルガニルホスフィン酸塩は、白色顔料をより多量に必要とする。これは、ポリマー成形体の機械的安定性(例えば、弾性率、切り欠き耐衝撃性、破断時引張ひずみ、及び/または引張強さ)を損ねる。
【0042】
該リン含有熱安定性難燃剤集塊物の摩耗値は30〜95%、特に40〜80%であることが好ましい。より大きい摩耗値を有するリン含有熱安定性難燃剤集塊物は低ダスト要件を満たさず、そして摩耗値がこれより低いものは、難燃性ポリマー成形体に不均一さをまねく。
【0043】
該リン含有熱安定性難燃性集塊物の残留水分は、0.05〜2重量%、特に0.1〜1重量%であることが好ましい。本発明において好ましい範囲を外れる残留水分は、ポリマーとの相容性を損ねる。これは、難燃性ポリマー成形材料及び難燃性ポリマー成形体にとって、劣った強度値及び弾性値を意味する。
【0044】
本発明においては、リン含有熱安定性難燃剤集塊物という表現は、上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマー、及び少なくとも一種の相乗剤の一次粒子及び/またはこれらの凝集物/一次粒子から組成され、そしてバインダーによって互いに結合された、リン含有安定性難燃剤組成物の粒子も包含する。
【0045】
成分a)は、好ましくは、上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーを10〜95重量%の量で、及び少なくとも一種の相乗剤を95〜10重量%の割合で含む。
【0046】
成分a)が、上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーを25〜75重量%の量で、及び少なくとも一種の相乗剤を25〜75重量%の量で含むことが好ましい。
【0047】
好ましい態様の一つでは、成分a)は、上記式(I)のホスフィン酸の亜鉛及び/またはアルミニウム及び/またはチタン及び/またはジルコニウム及び/または鉄塩、及び/または上記式(II)のジホスフィン酸の亜鉛及び/またはアルミニウム及び/またはチタン及び/またはジルコニウム及び/または鉄塩、及び/またはこれらのポリマーを10〜90重量%の量で、及び次のもの、すなわち
b)リン酸とメラミンとの塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
c)リン酸とメラミンの縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
d)リン酸とメラミンの加水分解生成物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
e)メラミンとリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
f)メラミンの縮合物とリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
g)メラミンの加水分解生成物とリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、
の群の少なくとも一つから選択される少なくとも一種の相乗剤を10〜90重量%の量で含む。
【0048】
他の態様の一つでは、成分a)は、上記式(I)のホスフィン酸の亜鉛及び/またはアルミニウム及び/またはチタン及び/またはジルコニウム及び/または鉄塩、及び/または上記式(II)のジホスフィン酸の亜鉛及び/またはアルミニウム及び/またはチタン及び/またはジルコニウム及び/または鉄塩、及び/またはこれらのポリマーを30〜80重量%の量で、及び次のもの、すなわち
b)リン酸とメラミンとの塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
c)リン酸とメラミンの縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
d)リン酸とメラミンの加水分解生成物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
e)メラミンとリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
f)メラミンの縮合物とリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩、及び/または
g)メラミンの加水分解生成物とリン酸の縮合物との塩、及びこれらを熱処理して得ることができる材料の塩
の群の少なくとも一つから選択される少なくとも一種の相乗剤を20〜70重量%の量、及び
少なくとも一種の安定化剤(特に、リン酸ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、及び/またはピロリン酸亜鉛)を1〜50重量%の量で含む。
【0049】
式(I)及び(II)中のMがカルシウム、アルミニウム、チタンまたは亜鉛であることが好ましい。
【0050】
プロトン化された窒素塩基は、好ましくは、アンモニア、メラミン、トリエタノールアミンのプロトン化された塩基、特にNH4+である。
【0051】
1及びR2が、同一かもしくは異なり、線状もしくは分枝状C1〜C6アルキル、及び/またはフェニルであることが好ましい。
【0052】
1及びR2が、同一かもしくは異なり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、及び/またはフェニルであることが特に好ましい。
【0053】
3が、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレン、もしくはn−ドデシレン; フェニレンもしくはナフチレン; メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、もしくはtert−ブチルナフチレン; フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、もしくはフェニルブチレンであることが好ましい。
相乗剤:
相乗剤は、好ましくは、窒素化合物、リン化合物、またはリン−窒素化合物が存在する相乗剤である。
【0054】
適当な相乗剤は、リン酸メラミン(例えば、Ciba-DSM Melapur製の(R)Melapur MPH,、(R)Melapur MP)、酢酸メラミン、リン酸ジメラミン、三リン酸五メラミン、二リン酸三メラミン、三リン酸テトラキスメラミン、五リン酸ヘキサキスメラミン、二リン酸メラミン、四リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン(例えばBudenheim製の(R)Budit 311、Sanwa Chemicals製の(R)MPP-B)、ポリリン酸メラミン類、ポリリン酸メラム類、ポリリン酸メレム類、及び/またはポリリン酸メロン類である。特に好ましいものは、ポリリン酸メラミン類、例えばCiba-DSM Melapur製の(R)Melapur 200/70、(R)Melapur CGX FR231、Hummel Croton製の(R)Budit 3141、3141 CA及び3141 CB、及び品質等級13-1100、13-1105、13-1115、MPP02-244のポリリン酸メラミン/ピロリン酸メラミン、及び日本国在の日産化学工業株式会社製のPMP-100(R)もしくはPMP-200である。他の適当な製品は、(R)Melapur MC 25、(R)Melapur MCもしくは(R)Melapur MC XL(いずれもCiba-DSM Melapur製); 及びポリリン酸アンモニウムメラミン類(melamine ammonium polyphosphates)である。
【0055】
他の態様では、本発明のポリリン酸メラミン類が、メラミンの縮合物、またはメラミンとリン酸との反応生成物、またはメラミンの縮合物とリン酸との反応生成物、あるいは上記の物質の混合物であることが好ましい。メラミンの縮合物の例は、メレム、メラム、もしくはメロン、または縮合度がより大きいこの種の化合物、並びにこれらの混合物である。
【0056】
リン酸との反応生成物は、メラミンもしくは縮合メラミン化合物、例えばメラム、メレムもしくはメロンなどと、リン酸との反応を介して製造される化合物である。
【0057】
これらの例は、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム(日産化学工業株式会社製のPMP-200TM)、及びポリリン酸メレム(日産化学工業株式会社製のPMP-300TM)、または混合ポリ塩である。上記の化合物は、従前文献に開示されたものであり、そしてリン酸と直接反応させる以外の方法を介しても製造することができる。例を挙げると、ポリリン酸メラミンは、ポリリン酸とメラミンとの反応を介して、またはリン酸メラミンもしくはピロリン酸メラミンの縮合を介して製造することができる。
【0058】
他の態様の一つでは、本発明のポリリン酸メラミン類は、メラミン及び/またはメラミン縮合物とリン酸との反応生成物の熱後処理を介して得られる生成物であることが好ましい。
【0059】
本発明では、更に別の好ましい相乗剤は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマー性エステル、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、メラミン縮合物、例えばメラム、メレム及び/またはメロン、シアヌル酸メラミン(例えばCiba-DSM Melapur製の(R)Melapur MCもしくは(R)Melapur MC XL)、ジシアンジアミド及び/またはグアニジンである。
【0060】
本発明では、更に別の好ましい相乗剤は、式(NH4)yH3-yPO4または(NH4PO3)z(yは1〜3であり、そしてzは1〜10000である)で表される窒素含有リン酸塩である。
【0061】
本発明では、好ましい相乗剤は、窒素化合物、例えばアラントイン、メラミン、シアヌル酸、グリコールウリル、及びこれらの誘導体、例えば次式(III)〜(VIII)で表されるもの、あるいはこれらの混合物である。
【0062】
【化2】

【0063】
上記式中、
5〜R7は、水素、C1〜C8アルキル、C5〜C16シクロアルキルまたはC5〜C16アルキルシクロアルキル(これらは、適当ならば、ヒドロキシ官能基もしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル官能基によって置換されている)、C2〜C8アルケニル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アシル、C1〜C8アシルオキシ、C6〜C12アリールまたはC6〜C12アリールアルキル、−OR8、及び−N(R8)R9(これには、N−脂環式もしくはN−芳香族の系も含まれる)であり、
8は、水素、C1〜C8アルキル、C5〜C16シクロアルキルまたはC5〜C16アルキルシクロアルキル(これらは適当ならばヒドロキシ官能基もしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル官能基によって置換されている)、C2〜C8アルケニル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アシル、C1〜C8アシルオキシ、またはC6〜C12アリールもしくはC6〜C12アリールアルキルであり、
9〜R13は、R8の定義と同じであるか、または−O−R8であり、
m及びnは、互いに独立して、1、2、3または4であり、そして
Xは、トリアジン化合物(III)と付加物を形成することができる酸である。
【0064】
第三主族の元素の化合物、特に好ましくはアルミニウムの化合物が好ましい相乗剤である。
【0065】
アルミニウム化合物、例えば酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム(ベーマイト、ダイアスポア)、水酸化アルミニウム(バイヤライト、ギブス石、ハイドラルギライト(hydrargillite))またはリン酸アルミニウムが好ましい相乗剤である。
【0066】
スズ化合物、例えば酸化スズ、酸化スズ水和物、第一スズ水酸化物、硫化スズが好ましい相乗剤である。
【0067】
他の好ましい相乗剤は、カルボジイミド類(例えば、Rhein Chemie製の(R)Stabaxol 1、(R)Stabaxol P、Stabaxol KE 9193)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び/またはポリイソシアヌレート(例えば(R)Basonat HI 100または(R)Vestanat T 1890/100)、カルボニルビスカプロラクタム(Allinco)、またはスチレン−アクリル酸ポリマー(Johnson製の(R)Joncryl ADR-4357); 立体障害性フェノール(例えば(R)Hostanox OSP 1)、立体障害性アミン及び光安定化剤(例えば(R)Chimasorb 944、(R)Hostavinグレード品)、ホスホニット類及び酸化防止剤(例えばClariant製のSandostab(R))、及びリリース剤(Clariant製の(R)Locomontグレード品)である。
【0068】
第二主遷移族及び第三主族の元素の化合物が好ましい安定化剤である。特に好ましいものは、ホウ素、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛元素の化合物である。
【0069】
ホウ素化合物、例えばリン酸ホウ素(Budenheim製のBudit 1304)が好ましい安定化剤である。
【0070】
マグネシウム化合物の中では、好ましい安定化剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム(例えばAlbermarle製の(R)Magnifin H5)、水酸化酸化マグネシウム類、ハイドロタルサイト類、ジハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム類、炭酸水酸化マグネシウム類、炭酸カルシウムマグネシウム類、一塩基性、二塩基性もしくは三塩基性リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、またはホウ酸マグネシウム(Storey製の(R)Storflam MGB 11)である。
【0071】
カルシウム化合物の中では、好ましい安定化剤は、ホウ酸カルシウム、ピロホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、一塩基性、二塩基性もしくは三塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、及びピロリン酸カルシウムである。
【0072】
亜鉛化合物は好ましい安定化剤である。これらは、例えば、酸化亜鉛(例えば、Zinkoxid aktiv,Rhein Chemie、Brueggemann KG製)、ジンサイトもしくはカラミン; Grillo-Werke AG製の標準酸化亜鉛、G6亜鉛白、2011酸化亜鉛、F−80酸化亜鉛、Pharma8亜鉛白、Pharma A 亜鉛白、Rotsiegel亜鉛白、Weissiegel亜鉛白)、水酸化亜鉛、及び/または酸化亜鉛水和物である。
【0073】
第四主族のオキソ酸の亜鉛塩は、好ましい安定化剤である(無水炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛水和物、(塩基性)ケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛六水和物、スズ酸亜鉛、及び/または炭酸水酸化アルミニウムマグネシウム亜鉛(zinc magnesium aluminum hydroxide carbonate))。
【0074】
第三主族のオキソ酸の亜鉛塩は、好ましい安定化剤である(ホウ酸亜鉛、例えばBorax製の(R)Firebrake ZB、(R)Firebrake 415)。
【0075】
第五主族のオキソ酸の亜鉛塩は、好ましい安定化剤である(リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、ピロリン酸亜鉛)。
【0076】
遷移金属のオキソ酸の亜鉛塩は、好ましい安定化剤である(水酸化クロム酸(VI)亜鉛(亜鉛黄)、亜鉛クロマイト、モリブデン酸亜鉛、例えば(R)Kemgard 911B、過マンガン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウムモリブデン酸亜鉛(zinc molybdate magnesium silicate)、例えばKemgard 911 C(Sherwin-Williams Company製)、過マンガン酸亜鉛)。
【0077】
安定化剤として好ましい他の亜鉛塩は、有機アニオンを有するもの、例えばモノ−、ジ−、オリゴ−もしくはポリカルボン酸の亜鉛塩(蟻酸塩(蟻酸亜鉛)、酢酸塩(酢酸亜鉛類、酢酸亜鉛二水和物、ガルジン(Galzin))、トリフルオロ酢酸の亜鉛塩(トリフルオロ酢酸亜鉛水和物)、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛(Greven Fett-Chemie製の(R)Liga 101)、シュウ酸の亜鉛塩(シュウ酸亜鉛)、酒石酸の亜鉛塩(酒石酸亜鉛)、クエン酸の亜鉛塩(三塩基性クエン酸亜鉛二水和物)、安息香酸の亜鉛塩(安息香酸塩)、サリチル酸亜鉛、乳酸の亜鉛塩(乳酸亜鉛、乳酸亜鉛三水和物)、アクリル酸の亜鉛塩、マレイン酸の亜鉛塩、コハク酸の亜鉛塩、アミノ酸の亜鉛塩(グリシン)、酸性ヒドロキシ官能価の亜鉛塩(亜鉛フェノレートなど)、パラフェノールスルホン酸亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛水和物、亜鉛アセチルアセトネート水和物、タンニン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、及び/またはトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛である。
【0078】
他の好ましい安定化剤は、リン化亜鉛類、硫化亜鉛類、セレン化亜鉛類、及びテルル化亜鉛類である。
【0079】
使用される安定化剤の平均粒径が0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmであることが好ましい。
【0080】
使用される安定化剤の平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜10μmであることが好ましい。
【0081】
これより大きい平均粒径を有する安定化剤は、難燃性ポリマー成形体に不均一さをまねく。これより小さい平均粒径を有する安定化剤は工業的に製造することが難しい。
【0082】
バインダーは、該集塊物が、ポリマー配合時に破壊されて、平均粒径が0.1〜500μmの個々に分かれた凝集物及び/または一次粒子を与えるように選択された。
【0083】
バインダーは、凝集物及び一次粒子を互いに結合させるが、その結合力は、これらがポリマー中に再分散できなくなるほど強いものではない。これは、リン含有熱安定性難燃剤をポリマーに配合させるために意図した方法及び/または方法条件に応じて異なるバインダーを選択しなければならないことを意味する。
【0084】
分子量が5000〜2000000、好ましくは5000〜200000のポリビニルピロリドンが、バインダーとして使用するのに好ましい。
【0085】
ポリビニルピロリドンは、(R)Luviskol(BASF, ドイツ)の形で様々な分子量を有するものを商業的に入手することができる。例えば、Luviskol(R) K90(分子量=1200000〜2000000)、Luviskol(R) K30(分子量=45000〜55000)、Luviskol(R) K17(分子量=7000〜11000)などがある。
【0086】
好ましいバインダーは、ポリビニルアルコール(クラレ社製の(R) Mowiol 8-88、Mowiol 40-88)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルカプロラクタムである。
【0087】
加水分解度が85〜95モル%でありそしてエステル価が80〜220mgKOH/gであり、更に粘度が4重量%水性分散液で20℃で測定して2.5〜49mPasである部分的に加水分解されたポリビニルアルコールは好ましいバインダーである。
【0088】
他の好ましいバインダーは、加水分解度が97〜100モル%であり、エステル価が3〜40mgKOH/gであり、そして粘度が4重量%水性分散液で20℃で測定して2.8〜60mPasである完全に加水分解されたポリビニルアルコールである。
【0089】
アクリル酸、アミド、セルロース誘導体、エポキシド、エステル、ヒドロキシアクリル酸、メタクリル酸、オレフィン、ステアレート、ウレタン、酢酸ビニル、ビニルアルコール誘導体、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、またはこれらの混合物の群からの少なくとも一種のモノマーに基づくホモポリマーまたはコポリマーは好ましいバインダーである。
【0090】
他の好ましいバインダーはポリカルボキシレートである。
【0091】
次のモノマー、すなわちポリアクリレート、ポリヒドロキシアクリレート、ポリマレエート、ポリメタクリレートまたはこれらの混合物の少なくとも一種に基づくポリマーは好ましいポリカルボキシレートである。
【0092】
適当なポリカルボキシレートの例は、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のナトリウム塩、例えば相対分子量が800〜150000(酸に基づく値)であるものである。
【0093】
適当なコポリマー性ポリカルボキシレートは、特に、アクリル酸とメタクリル酸、アクロレイン、酢酸ビニルとのコポリマー性ポリカルボキシレート、並びにアクリル酸もしくはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマー性ポリカルボキシレートである。アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーは、これらがアクリル酸50〜90重量%及びマレイン酸50〜10重量%からなる場合に特に好適であることが判明した。これらのコポリマーにおけるアクリレート単位とマレエート単位との比率は、好ましくは30:1〜約1:1、特に好ましくは約10:1〜2:1であることができる。遊離の酸に基づくそれらの相対分子量は、一般的に2000〜200000、好ましくは10000〜120000、特に50000〜100000である。商業的に入手可能な製品の例は、BASF製の(R)Sokalan CP 5、PA 30及びCP45、Alco製の(R)Alcosperse 175または177、NorsoHAAS製のLMW 45である。
【0094】
他の好ましいバインダーは、二種を超える異なるモノマー単位を有する生分解性ポリマー、例えば存在するモノマーが、アクリル酸の塩及びマレイン酸の塩からなるもの、またはビニルアルコールもしくはビニルアルコール誘導体からなるもの、あるいは存在するモノマーがアクリル酸の塩及び2−アルキルアリルスルホン酸の塩からなるもの、または糖誘導体からなるものである。
【0095】
アクリル酸もしくはメタクリル酸とビニルエーテル(例えばビニルメチルエーテル類)、ビニルエステル、エチレン、プロピレン及びスチレンとのコポリマーは、酸の含有率が少なくとも50重量%である場合に好ましいバインダーである。
【0096】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ポリアスパラギン酸、糖カルボン酸、及び/または他のモノマーから組成される中和されていないかまたは部分的にのみ中和されたホモポリマー及び/またはコポリマーは好ましいバインダーである。
【0097】
アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはこれらと他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーは好ましいバインダーである。前記の他のエチレン性不飽和モノマーの例は、アクロレイン、ジメチルアクリル酸、エチルアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、並びにリン酸類基を含むモノマー、例えばビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、及びアクリルアミドメチルプロパンホスホン酸、及びこれらの塩、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレートスルフェート類、アリルアルコールスルフェート類、及びアリルアルコールホスフェート類である。
【0098】
好ましいポリカルボキシレートは、それらの水溶性塩、特にアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及び/またはカリウム塩の形で使用することができる。
【0099】
ターポリマーは他の好ましいポリカルボキシレートである。好ましいターポリマーは、(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリレート、特に好ましくはアクリル酸もしくはアクリレート、及びマレイン酸もしくはマレエートを60〜95重量%、特に70〜90重量%の量で、及びビニルアルコール及び/または酢酸ビニルを5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の量で含む。非常に特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリレートとマレイン酸もしくはマレエートとの重量比が1:1〜4:1、好ましくは2:1〜3:1、特に2.1〜2.5:1であるターポリマーである。ここで量及び重量比は酸に基づく値である。
【0100】
(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリレート、特に好ましくはアクリル酸もしくはアクリレートを40〜60重量%、特に45〜55重量%、メタアリルスルホン酸もしくはメタアリルスルホネートを10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%、及び第三成分として炭水化物を40重量%までの量、好ましくは20〜40重量%の量で含むターポリマーがここで好ましいポリカルボキシレートである。前記炭水化物は、例えば、モノ−、ジ−、オリゴ−もしくはポリサッカライドであることができ、好ましいものはモノ−、ジ−もしくはオリゴサッカライドであり、そして特に好ましいものはスクロースである。
【0101】
相対分子量が1000〜200000、好ましくは200〜50000、特に3000〜10000であるターポリマーが好ましいポリカルボキシレートである。
【0102】
完全にもしくは少なくとも部分的に中和されたターポリマー、特に存在するカルボキシ基に基づいて50%を超える程度で中和されたターポリマーは好ましいポリカルボキシレートである。ここで特に好ましいものは、それ故モノマー性酸の塩、特にモノマー性酸のナトリウムもしくはカリウム塩、及びビニルアルコールもしくは炭水化物から組成される完全に中和されたターポリマーである。
【0103】
粉末または水溶液の形のいずれかで使用できるポリカルボキシレートは好ましいバインダーであり、好ましいものは、20〜55重量%の濃度の水溶液である。
【0104】
他の好ましいバインダーは、次のモノマーもしくはこれらの混合物、すなわちマレイン酸、無水マレイン酸、メチルスチレン、スチレン、スチレンスルホン酸の少なくとも一種に基づくポリマーである。
【0105】
ポリスチレンスルホン酸のホモポリマー及びコポリマーは特に好ましい。分子量が10000〜1200000であるポリスチレンスルホン酸ホモポリマーが好ましい。
【0106】
活性物質を20〜50重量%で含む水溶液の形のポリスチレンスルホン酸ホモポリマーが好ましい。
【0107】
粘度が5〜1600mPa*sの水溶液の形のポリスチレンスルホン酸ホモポリマーが好ましい。
【0108】
pH値が7〜11の水溶液の形のポリスチレンスルホン酸ホモポリマーが好ましい。
【0109】
分子量が10000〜1200000のポリスチレンスルホン酸−無水マレイン酸コポリマーが好ましい。
【0110】
スチレンスルホン酸:マレイン酸モル比が1:1〜4:1のポリスチレンスルホン酸コポリマーが好ましい。
水ガラス
好ましいものは、二酸化ケイ素/酸化ナトリウムのモル比が1:2〜4:1であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液である。この溶液の活性物質含有率は特に好ましくは5〜50重量%である。
酢酸ビニルポリマー
好ましいものは、次のモノマーまたはこれらの混合物、すなわち酢酸ビニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクロレイン、アクリル酸エステル、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸ジブチル、エチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレン、塩化tert−ブチル、塩化ビニル、ラウリル酸ビニル、プロピオン酸ビニルの少なくとも一つに基づくポリマーである。好ましい代表的なモノマーは、Air Products製のTMAirflex EP3360、EP16、EAF375、及びクラレ社製のTMMowilith LDMである。
アクリレート
好ましいものは、次のモノマーもしくはこれらの混合物、すなわちメタクリレート、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ラウリル、及び/またはメタクリル酸メチル、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸sec−ブチル、スチレン、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、プロピオン酸ビニルの少なくとも一つに基づくポリマーである。好ましい代表的なモノマーは、BASF製の(R)Acronal 18Dである。
ポリ乳酸
更に別の好ましいものは、乳酸ホモポリマー(ポリラクチド類)またはポリ(ラクチド−カプロラクトン)コポリマー、ポリ(ラクチド−グリコライド)コポリマー、ポリ(ラクチド−カプロラクトン−グリコライド)ターポリマー、ポリ(ラクチド−グリコライド−エチレングリコール)ターポリマーである。好ましい分子量は5000〜150000である。
デンプン及びセルロース
上記以外の可溶性デンプン調合物及びデンプン製品、例えば分解デンプン、アルデヒドデンプンなどや、カルボキシアルキルセルロース(Na塩)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシエチルセルロース(アルキルは好ましくはメチルである)、及びナトリウムカルボキシメチルセルロースも使用することができる。
【0111】
好ましいバインダーは成膜性バインダーである。
【0112】
他の好ましいバインダーは、酢酸ビニルに基づくホモポリマー、酢酸ビニル、エチレン及び塩化ビニルに基づくコポリマー、酢酸ビニル及び長鎖分枝状カルボン酸のビニルエステルに基づくコポリマー、酢酸ビニル及びマレイン酸ジ−n−ブチルに基づくコポリマー、酢酸ビニル及びアクリル酸エステルに基づくコポリマー、スチレン及びアクリル酸エステルに基づくコポリマー、アクリレート/ビニルトルエンに基づくコポリマー、アクリレート/スチレンに基づくコポリマー、アクリレート/ビニルに基づくコポリマー、及び/または自己架橋性ポリウレタン分散物である。
集塊物の製造方法
本発明は、リン含有熱安定性難燃剤集塊物の製造方法であって、
a)次式(I)で表されるホスフィン酸塩及び/または次式(II)で表されるジホスフィン酸及び/またはこれらのポリマー、
b)安定化剤、及び
c)場合によっては少なくとも一種の相乗剤、
から組成される凝集物及び/または一次粒子を、
d)バインダー、及び
e)場合によっては、造粒助剤
の存在下に集塊化し、
そして場合によっては、エージング段階を行い、
そして場合によっては、造粒助剤を除去し、
そして場合によっては、適当な大きさの集塊物を単離し、
そして場合によっては、不適当な大きさの集塊物を処理してそしてこれらを集塊化工程に戻す、
ことを含む上記方法も提供する。
【0113】
成分a)〜e)は、一つの作業で、または任意の順序の様々な別個の作業で混合、集塊化することができる。
【0114】
集塊化工程の間の比エネルギー入力量は0.0014〜1kWh/kg、特に好ましくは0.05〜0.5kWh/kgであることが好ましい。
【0115】
集塊化工程は、好ましくは、10〜100000000Paの圧力で、0.01〜100時間の間及び−20〜+500℃、特に好ましくは50〜350℃の温度において行われる。
【0116】
エージング工程は、10〜100000000Paの圧力で、0.01〜1000時間の間及び−20〜+500℃、特に好ましくは50〜350℃の温度において行うことが好ましい。
【0117】
造粒助剤は、一つの段階でまたは二つもしくはそれ以上の段階において、好ましくは10〜100000000Paの圧力で、0.01〜1000時間の間及び−20〜+500℃、特に好ましくは50〜350℃の温度で除去される。
【0118】
造粒助剤は、好ましくは、アルコール、エステル、ケトン、炭化水素、水の群から選択される少なくとも一つである。
【0119】
乾質固形物を基準にして造粒助剤を5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%の量で加えることが好ましい。
【0120】
集塊化工程は、好ましくは次のタイプのミキサー中で行われる: TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHのダブルコーンミキサー、Eirich社のツウィンシャフトパドルミキサー、Schugi社のフレキソミックス(Flexomix)ミキサー、TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHの流動床ミキサー、Thyssen Henschel Industrietechnik GmbHのフルイドミキサー、TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHのフリーフォールミキサー(WPA6)またはHauf社のフリーフォールミキサー、Eirich社のインテンシブミキサー−ミキサー(例えばR02、R 12、DE 18、Evactherm)、アルキメデスの原理を用いて混合物をスクリューによって循環するNauta社のコニカルスクリューミキサー、Papenmeier社またはThyssen Henschel Industrietechnik GmbHのクーリングミキサー、TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHのエアジェットミキサー、Loege社のプローシェアミキサー(M5もしくはM20), TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHのプローシェアミキサーまたはMinox 社のプローシェアミキサー(PSM 10〜10 000)、Hobart社のプラネタリーミキサー、Loedige社のアニュラーギャップ及びアニュラーレイヤーミキサー(例えばCB30、CB Konti-Mischer)、Niro社のアニュラーギャップ及びアニュラーレイヤーミキサー(HEC)、Drais/Mannheim社のアニュラーギャップ及びアニュラーレイヤーミキサー(例えばK-TTE4)、TELSCHIG Verfahrenstechnik GmbHのスプレーミキサー、タンブリングもしくはコンテナミキサー、例えばThyssen Henschel Industrietechnik GmbHのこの種のミキサー、Niro社のジグザグミキサー。
【0121】
本発明の方法は、高強度ミキサーまたは低速ミキサーのいずれかで行うことができる。
【0122】
高強度ミキサーは、本方法の最初の段階で低速度で稼働させることができ、そして低速ミキサーを使用する場合は、本方法の第二段階に必要なエネルギー入力は、追加のアッセンブリー、例えばナイフリングを介して供給することができる。
【0123】
高速ミキサーの例は、LoedigeTM CB 30リサイクラー、SchugiTMグラニュレーター、SchugiTMフレキソミックス、EirichTMRミキサー、またはDraisTM K-TTP 80である。
【0124】
低速度ミキサー−グラニュレーターの例は、DraisTM K-T 160及びLoedigeTM KM 300である。後者は、しばしば、レーディゲ(Loedige)プローシェアミキサーとも呼ばれる。適当なプローシェアミキサーにおける混合ユニットの好ましい周速は2〜7m/sであり、他方、他の好適な混合機の周速は3〜50m/s、特に5〜20m/sである。
【0125】
ディッシュグラニュレーター(Dish granulators)も本発明に適している。
【0126】
造粒助剤は、乾燥によって除去することが好ましい。乾燥温度は50〜350℃であることが好ましい。
【0127】
乾燥する材料上に乾燥剤を流す対流式乾燥器が好ましい。例えば、チャンバ乾燥器、ダクト乾燥器、ベルト乾燥器、混合乾燥器(ディスク乾燥器、ドラム乾燥器、パドル乾燥器)などがある。
【0128】
乾燥する材料中に乾燥剤を流す対流式乾燥器が好ましい。例えば窯炉(ロースター乾燥器)、チャンバトレー乾燥器、パドル乾燥器(遠心乾燥機)、ミル乾燥器(mill driers)などがある。
【0129】
乾燥する材料の周りに乾燥剤を流す対流式乾燥器が好ましい。例えば浮遊式乾燥器(空気式乾燥器、流動床乾燥器、サイクロン乾燥器、噴霧乾燥器)、球形床乾燥器(球形基質(spherical-substrate)乾燥器)などがある。
【0130】
接触式乾燥器(Contact dryers)が好ましい。例えば乾燥室、薄膜乾燥器(螺旋管空気式乾燥器、シリンダ乾燥器、スクリュー蒸発器)、ミキサー乾燥器(多管回転乾燥器、ディスクドラム乾燥器、パドル乾燥器)などがある。
【0131】
減圧乾燥器が好ましい。例えば減圧乾燥室、減圧シリンダ乾燥器、減圧パドル乾燥器などがある。
【0132】
乾燥器へのガス入口の温度は50〜320℃、好ましくは60〜250℃であり、そして出口温度は好ましくは25〜180℃である。
【0133】
適当な大きさの集塊物は、従来技術の分級方法(篩分け、シフティング(sifting)など)で抜き出される。
【0134】
不適当な粒度の集塊物の処理に好ましい方法はミリングである。
【0135】
本発明は、本発明のリン含有熱安定性難燃剤集塊物を含む難燃性ポリマー成形材料にも関する。
【0136】
上記難燃性ポリマー成形材料は、好ましくは、
リン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
添加剤0〜60重量%、
フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含む。
【0137】
上記難燃性ポリマー成形材料は、特に好ましくは、
リン含有熱安定性難燃剤集塊物5〜30重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物5〜90重量%、
添加剤5〜40重量%、
フィラー及び/または強化剤5〜40重量%、
を含む。
【0138】
ポリマーは、好ましくは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーである。
【0139】
熱硬化性ポリマーは、好ましくはホルムアルデヒドポリマー、エポキシポリマー、メラミン−フェノール樹脂ポリマー、及び/またはポリウレタンである。
【0140】
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、並びにABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)で表されるタイプのブレンドまたはポリブレンドである。
【0141】
熱可塑性ポリマーは、特にポリアミド、ポリエステルまたはABSである。
【0142】
本発明は、本発明のリン含有熱安定性難燃剤集塊物及び/または本発明の難燃性ポリマー成形材料を含む、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマーフィラメント及びポリマー繊維も提供する。
【0143】
上記ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマーフィラメント及びポリマー繊維は、好ましくは、
リン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
添加剤0〜60重量%、
フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含む。
【0144】
上記ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマーフィラメント及びポリマー繊維は、特に好ましくは、
リン含有熱安定性難燃剤集塊物5〜30重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物5〜90重量%、
添加剤5〜40重量%、
フィラー及び/または強化剤5〜40重量%、
を含む。
篩分析による粒度分布の測定
適当な篩を有する装入物を、レッチェ(Retsch)篩機に使用する。これらの篩のメッシュ幅は、上から下に向かうほど小さいものにする。試験する粉末50gを、最も幅広い篩の上に載せる。篩機が振動することにより、粉末状材料が種々の篩を通って移動する。各々の篩上に残った残渣の重量を計り、そしてこれらの重量を、使用した材料の重量に相対させて計算する。得られた値から、d50値(平均粒径)及びd90値を計算することができる。
熱処理及び色値の測定
試験する粒状材料を、マッフル炉で15分間280℃で熱処理する。次いで、Dr.Lange製の(R)Luci 100 測色計を使用して白色度を求める。記載する色値は、ハンターシステム(CIE−LABシステム)値である。L値の範囲は、0(黒)〜100(白)であり、a色値は−a(緑)〜+a(赤)であり、そしてb色値は−b(青)〜+b(黄色)である。b値の負の値が大きいほど、試験材料はより強い青色である。
摩耗値
試料を、0.2mmの篩によって、レッチェ製のVE1000バイブレータを中断無しで2mmの振幅で2分間用いて篩い分けする。試料の量は、篩分け後に200μmより粗い材料が少なくとも50g存在するように選択するのがよい。200μmより粗いこの画分50gを、0.1gの精度で篩セットの底部に秤量する。18個の鋼球(直径10mm、全重量72.8g)を加え、次いで篩機を中断無しで2mmの振幅で5分間始動した。このミリング工程の後、上記鋼球を取り除き、そして試料全体を200μm篩に載せ、そして再び中断無しで2mmの振幅で2分間篩い分けする。200μmよりも細かい材料の百分率を摩耗値とする。
【実施例】
【0145】
例1(比較例)
ホスフィン酸アルミニウム3.920gを、レーディゲ社製の20Lプローシェアミキサーへの初期装入物として使用する。水1.333kg中に溶解したPVA0.080gを、室温で15分間噴霧することによって吹き付ける。これは、規定の回転速度(約230rpm)で連続的に混合し、かつナイフヘッドを稼働させながら行う。次いで混合を5分間続ける。材料を、レッチェ製のラボラトリー乾燥器中で、120℃の空気入口温度で60分間乾燥し、次いで二つの篩(200μm及び1700μm)を通して篩い分けする。200μmを超え、但し1700μm未満の粒度の画分が望ましい材料である。
例2
水1.333kg中に溶解したPVA0.080kgを噴霧することによって吹き付けし、そして混合、乾燥及び篩い分けすることによって、ホスフィン酸アルミニウム約94.9%及び安定化剤約5.1%から組成される混合物3.920gから例1と同様にして集塊物を製造する。
例3
水2.154kg中に溶解したPVA0.020kgを噴霧することによって吹き付けし、そして混合、乾燥及び篩い分けすることによって、ホスフィン酸アルミニウム約98.5%及び安定化剤約1%から組成される混合物3.980gから例1と同様にして集塊物を製造する。
例4
ホスフィン酸アルミニウム3.400g及び安定化剤0.400gから例1と同様にして混合物を調製する。次いで、水1.714kg中に溶解したPVA0.200kgを噴霧することによって吹き付け、そして混合、乾燥及び篩い分けを介して集塊物を製造する。
例5
水1.000kg中に溶解したPVA0.200kgを噴霧することによって吹き付けし、そして混合、乾燥及び篩い分けすることによって、ホスフィン酸アルミニウム約98.9%及び安定化剤約1.1%から組成される混合物3.800gから例1と同様にして集塊物を製造する。
例6(比較例)
ホスフィン酸アルミニウム67重量%及び相乗剤33重量%から組成される混合物1470kgを、下流にバッチ式流動床を備えたシュージ(Schugi)社製の混合機(フレキソミックス160)中で、水448kg中に溶解したPVA30kgの溶液と1時間混合し、そして所望の水含有率となるまで後乾燥する(空気入口温度150℃)。得られた材料を、オールガイヤー(Allgaier)篩を用いて、800μm篩及び200μm篩に通して篩い分けして分離する。
例7
ホスフィン酸アルミニウム63.2重量%、相乗剤31.6重量%及び安定化剤5.1重量%から組成される混合物1470kg、及び水448kg中にPVA30kgを溶解した溶液から、混合、乾燥及び篩い分けを介して例6と同様にして集塊物を製造する。
例8
ホスフィン酸アルミニウム2.820kg、相乗剤0.960kg及び安定化剤0.200kgから例1と同様にして混合物を調製する。次いで、先ず水1.690kgを噴霧することによって吹き付けし、次いでPCA0.044kgを吹き付け、そして混合、乾燥及び篩い分けして集塊物を製造する。
例9
ホスフィン酸アルミニウム約49.5重量%、相乗剤約49.5重量%及び安定化剤約1%から組成される混合物0.396kgを、直径約70cmのディッシュグラニュレーターで初期装入物として使用し、そして先ず水0.266kg、次いでPAS0.010kgを噴霧吹き付けして造粒化する。ディッシュの回転速度は70rpmであり、傾斜角は70〜75°であり、そして温度は室温である。得られた材料を、120℃の空気入口温度を用いてレッチェラボラトリー乾燥器で60分間乾燥し、次いで二種の篩(300μm及び3000μm)を通して篩分けする。300μm〜3000μmの粒度の画分が望ましい材料である。
例10
ホスフィン酸アルミニウム約22.2重量%、相乗剤約67.7重量%及び安定化剤約10.1%から組成される混合物0.396kg、並びに水0.266kg中に溶解したEVA0.008kgの溶液から、噴霧吹き付け、混合、乾燥及び篩い分けを介して集塊物を例9と同様にして製造する。
【0146】
使用した化学品
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

【0149】
驚くべきことに、本発明の安定化剤を選択することによって、リン含有熱安定性難燃剤集塊物の加熱時の変色を実質的に防止できることが確認された。
【0150】
このことは先ず、比較例1の色値を本発明の例2〜5と比較すると相乗剤不含の集塊物に明らかである。
【0151】
上記比較例では、L、a及びb色値は本発明の範囲(L:88〜99.9、a:−2〜+2、b:−2〜+8)外にあるが、これらの値は本発明の上記例ではこれらの範囲内にある。
【0152】
相乗剤含有集塊物における驚くべき安定化効果は、比較例6と本発明の例7との比較から明らかである。
【0153】
上記比較例では、L、a及びb色値は本発明の範囲(L:88〜99.9、a:−2〜+2、b:−2〜+8)外であり、これらの値は、本発明の上記例ではこれらの範囲内にある。
【0154】
更に、例7、8、9及び10から示されるように、該安定剤系は様々なバインダーとの組み合わせにおいても活性であることは驚くべきことである。
【0155】
これらの本発明の例では、L、a及びb色値は本発明の範囲(L:88〜99.9、a:−2〜+2、b:−2〜+8)内である。
【0156】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物における安定化剤の使用。
【請求項2】
安定化剤が、第二主遷移族及び第三主族の元素の化合物である、請求項1の使用。
【請求項3】
安定化剤が、ホウ素、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛元素の化合物である、請求項1または2の使用。
【請求項4】
安定化剤がリン酸ホウ素である、請求項3の使用。
【請求項5】
安定化剤が、ホウ酸カルシウム、ピロホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム類、リン酸水素カルシウム類、及び/またはピロリン酸カルシウムである、請求項3の使用。
【請求項6】
安定化剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化酸化マグネシウム類、ハイドロタルサイト類、ジハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム類、炭酸水酸化マグネシウム類、炭酸カルシウムマグネシウム類、リン酸マグネシウム類、リン酸水素マグネシウム類、ピロリン酸マグネシウム、及び/またはホウ酸マグネシウムである、請求項3の使用。
【請求項7】
安定化剤が、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物; 炭酸亜鉛類、炭酸水酸化亜鉛、炭酸亜鉛水和物、ケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛六水和物、スズ酸亜鉛、炭酸水酸化アルミニウムマグネシウム亜鉛; ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、ピロリン酸亜鉛; 水酸化クロム酸(VI)亜鉛、亜鉛クロマイト、モリブデン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウムモリブデン酸亜鉛; 蟻酸亜鉛類、酢酸亜鉛類、トリフルオロ酢酸亜鉛類、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、亜鉛ネンゾエート、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、亜鉛フェノレート、フェノールスルホン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、タンニン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛; リン化亜鉛類、硫化亜鉛類、セレン化亜鉛類、及びテルル化亜鉛類である、請求項3の使用。
【請求項8】
安定化剤が、リン酸ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛及び/またはピロリン酸亜鉛である、請求項1〜7のいずれか一つの使用。
【請求項9】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物が、
a)次式(I)のホスフィン酸塩及び/または次式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーから組成される凝集物及び/または一次粒子6〜99.89重量%
【化1】

[式中、
1及びR2は、同一かもしくは異なり、線状もしくは分枝状C1〜C6アルキル、及び/またはアリールであり、
3は、線状もしくは分枝状C1〜C10アルキレン、C6〜C10アリーレン、C6〜C10アルキルアリーレン、またはC6〜C10アリールアルキレンであり、
Mは、Mg、Ca、Al、Zn、Sb、Sn、Ge、Zn、Ti、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び/またはプロトン化された窒素塩基であり、
mは、1〜4であり、nは、1〜4であり、xは1〜4である]
b)バインダー0.01〜20重量%、及び
c)請求項3〜8に記載の安定化剤0.1〜20重量%、
を含む組成物である、請求項1〜8のいずれか一つの使用。
【請求項10】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物が、
a)上記式(I)のホスフィン酸塩及び/または上記式(II)のジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマー、及び少なくとも一種の相乗剤から組成される凝集物及び/または一次粒子6〜99.89重量%、
b)バインダー0.01〜20重量%、及び
c)安定化剤1〜20重量%、
を含む組成物である、請求項1〜9のいずれか一つの使用。
【請求項11】
熱処理後のリン含有熱安定性難燃剤集塊物のL色値が81〜99.9、好ましくは85〜98である、請求項1〜10のいずれか一つの使用。
【請求項12】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物のa色値が−2〜+2、好ましくは−1〜+1.5である、請求項1〜11のいずれか一つの使用。
【請求項13】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物のb色値が−2〜+8、好ましくは−1〜+7である、請求項1〜12のいずれか一つの使用。
【請求項14】
リン含有熱安定性難燃剤集塊物が、窒素化合物、リン化合物またはリン−窒素化合物が存在する少なくとも一種の相乗剤も含む、請求項1〜13のいずれか一つの使用。
【請求項15】
相乗剤が、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ポリリン酸メロン、シアヌル酸メラミン、メラミン、メラム、メレム、及び/またはメロンである、請求項14の使用。
【請求項16】
バインダーが、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、アクリル酸2−エチルヘキシル、分解デンプン、アクロレイン、アクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンホスホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートスルフェート類、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル酸、アルデヒドデンプン、アルキルセルロース、アルキルヒドロキシエチルセルロース(アルキルは好ましくはメチルである)、アリルアルコールホスフェート類、アリルアルコールスルフェート類、アリル酢酸、アリルホスホン酸、アミド、アスパラギン酸、カプロラクタム、カルボキシアルキルセルロース(Na塩)、クロトン酸、ジ−もしくはオリゴサッカライド、マレイン酸ジブチル、ジメチルアクリル酸、エポキシド、エステル、アクリル酸エチル、エチルアクリル酸、エチレン、エチレングリコール、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、フマル酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、イタコン酸、アクリル酸ラウリル、マレイン酸、無水マレイン酸、メタアリルスルホン酸、メタクリルアミド、メタクリレート、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メチルスチレン、乳酸、モノナトリウムカルボキシメチルセルロース、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリル酸n−プロピル、N−ビニルピロリドン、オレフィン、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、プロピレン、アクリル酸sec−ブチル、ステアレート、スチレン、スチレンスルホン酸、アクリル酸tert−ブチル、塩化tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、ウレタン、酢酸ビニル、ビニルアルコール誘導体、ビニルカプロラクタム、塩化ビニル、ビニル酢酸、ビニルエステル、ビニルエーテル、塩化ビニリデン、ラウリン酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、糖カルボン酸、またはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーに基づくホモポリマーまたはコポリマーである、請求項9〜15のいずれか一つの使用。
【請求項17】
バインダーが、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカルボキシレート、アクリル酸−マレイン酸コポリマー、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸−無水マレイン酸コポリマー、水ガラス、酢酸ビニルポリマー、ポリアクリレート/ポリアクリル酸、ポリ乳酸、デンプン、及びセルロース誘導体である、請求項9〜15のいずれか一つの使用。
【請求項18】
難燃性ポリマー成形材料、あるいは難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメントまたは難燃性ポリマー繊維における、請求項9〜15のいずれか一つの安定剤含有及びリン含有熱安定性難燃剤集塊物の使用。
【請求項19】
難燃性ポリマー成形材料が、
請求項9〜15のいずれか一つに記載のリン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
添加剤0〜60重量%、及び
フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含む、請求項18の使用。
【請求項20】
難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメント、及び難燃性ポリマー繊維が、
請求項9〜15のいずれか一つに記載のリン含有熱安定性難燃剤集塊物1〜50重量%、
ポリマーまたはポリマー混合物1〜99重量%、
添加剤0〜60重量%、
フィラー及び/または強化剤0〜60重量%、
を含む、請求項18の使用。

【公開番号】特開2006−274262(P2006−274262A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81833(P2006−81833)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(597109656)クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】