リン含有被膜形成材料及びリン含有コーティング組成物の製造方法

被膜形成材料は、共有結合したリン原子を有する樹脂を含み、このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。リン含有被膜形成樹脂は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、及びポリエステル樹脂を含み得る。被膜形成樹脂の製造方法は、様々なポリマーを反応させて、共有結合したリン原子を含むペンダント基を組み込む工程を含む。共有結合したリン原子を有する被膜形成材料であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する被膜形成材料を含むコーティング組成物を製造する方法。コーティング組成物を用いて、金属基材などの基材を、電解析出によってコーティングすることができる。被膜形成樹脂を含有する塗装されたコーティングを硬化させて、基板上に架橋被膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コーティング組成物は、基材の保護などの目的において様々な基材をコーティングし、後のコーティング層の接着性を向上させるためなど、様々な用途において用いられている。一般的なコーティングとしては、電解析出コーティング、プライマー、シーラー、ベースコート、クリアコート、及び1層トップコートなどが挙げられる。コーティング組成物は、ポリマー性、オリゴマー性、及び/又はモノマー性材料であってよい1種以上の樹脂を含有する被膜形成材料を含み、電解析出(すなわち電着塗装)、スプレーコーティング、ディップコーティング、ローラーコーティング、ナイフコーティング、及びカーテンコーティングなどの様々な方法によって基材に塗装される。本明細書で使用される場合、「樹脂」は、1種以上のポリマー性、オリゴマー性、及び/又はモノマー性の材料を意味し、ポリマーは、繰り返しモノマー単位を含み、オリゴマーは、少ない数(通常は10以下)の繰り返しモノマー単位を含むポリマーである。様々な種類の被膜形成材料が公知であり、例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、アミノプラスト樹脂、及びポリエステル樹脂が挙げられる。
【0002】
コーティング組成物は、顔料分散樹脂もしくは粉砕樹脂、及び、一般的にコーティング被膜の主要なポリマー性部分を構成する主要な樹脂を含み得る。粉砕樹脂は、通常、被膜形成材料を含み、顔料ペーストは、粉砕樹脂を顔料、賦形剤、及び触媒(例えば、金属触媒)と共に湿潤させることにより製造される。この場合、粉砕樹脂は、例えば、サンドミル、ボールミル、アトライタ、又は他の装置中で粉砕することによって他の材料とブレンド又は混合される。顔料ペーストは、主要な樹脂、及び、通常は硬化剤と組み合わされる。粉砕樹脂及び主要な樹脂は、様々な同一又は異なる被膜形成材料あるいはその混合物を含み得る。
【0003】
塗装したコーティング組成物による比較的柔らかい被膜は、コーティング組成物中に架橋剤又は硬化剤を組み込んで被膜を硬化又は架橋させることによって、硬くすることができる。架橋剤は、コーティング組成中のポリマー、オリゴマー、及び/又は樹脂のモノマー性化合物に対して化学的に反応可能であり、従って、被膜形成ユニットを一緒に共有結合させて被膜を架橋させることができる。典型的な架橋剤は、硬化工程において熱を用いて、及び/又は化学線に暴露することにより、活性化(例えば、非ブロック化)される。金属触媒などの触媒を用いて、架橋剤の熱活性化及び架橋剤と樹脂との反応を促進することができる。例えば、金属触媒などの触媒を加えることによって、必要な硬化温度を下げることができ、及び/又はより完璧な硬化を得ることができる。
【0004】
コーティング組成物は、粉末、有機溶媒ベース、又は水ベースであり得る。しかしながら、多くの場合、有機溶剤の放出を低減するために水性ベースのコーティング剤を用いることが望ましい。そのような水性コーティング組成物としては、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性樹脂のエマルジョン及び分散液が挙げられ、これらは、樹脂自身の分散特性、又は界面活性剤を添加することにより形成してもよい。
【0005】
エポキシベースのコーティング剤としては、エポキシ基を有する材料とカルボキシル基、ヒドロキシル基、及びアミン基などの官能基を有する材料との反応によって製造されたポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーが挙げられる。エポキシは、存在する官能基に応じて様々な架橋剤を用いることにより硬化又は架橋させて、硬いコーティングを形成することができる。例えば、ヒドロキシ官能性樹脂は、イソシアネート化合物を用いて硬化させることができる。このようなコーティング組成物は、例えば、米国特許第6,852,824号、同第5,817,733号、及び同第4,761,337号などの文献において公知である。
【0006】
電解析出法は、陽極又は陰極において実施することができ、通常、コーティングする物品を陰極にして処理を行う。電解析出法は、基材へのコーティング樹脂の転送効率が高く、並びに有機溶剤を用いた場合でも低濃度で済むことなどから、経済的にも環境面においても有利である。電着塗装組成物及び電着塗装法の別の利点は、基材の形状及び配置に関係なく、塗装されるコーティング組成物が、様々な金属性基材上に均一かつ連続した層を形成することである。これは、不規則な表面を有する基材、例えば自動車車体などに耐食性コーティングとして塗装する場合に特に有利である。金属性基材の全ての部分に対して平坦で連続的なコーティング層が形成されるため、最大の防食効果が得られる。
【0007】
電着塗装浴は、イオン安定性を有する被膜形成材料(例えば、エポキシ樹脂)の水性分散液又はエマルジョンを含み得る。分散液は、通常、連続液体媒体中(例えば、水、又は水と有機共溶剤との混合物)における1種以上の微粉砕固体、液体、又はそれらの組み合わせによる二相系である。エマルジョンは、液体媒体中、好ましくは、水中もしくは水と様々な共溶媒との混合物中における液体小滴の分散液である。従って、エマルジョンは、一種の分散液である。
【0008】
自動車又は工業用の用途では、電着塗装組成物は、架橋剤を含有させることにより硬化性組成物として配合される。電解析出処理中、イオン電荷を有する樹脂を分散させた電着塗装浴中に基材を浸漬し、基材と相対する極性の電極(例えば、ステンレス鋼の電極)との間に電位を印加することにより、イオン電荷を有する樹脂を含有するコーティング組成物を導電性の基材上に析出させる。電荷を有するコーティング粒子が、導電性基材上に付着又は析出する。次に、コーティングされた基材を加熱して、コーティングを硬化させる。
【0009】
コーティングされる一般的な基材としては、鉄鋼などの金属基材、亜鉛メッキ金属及び電気亜鉛メッキされた金属、亜鉛合金、並びにアルミニウム基材が挙げられる。この基材は、多くの場合、コーティング組成物を塗装する前に、表面を製造するために複数の工程において処理される。基材の製造は、クリーナー及びコンディショニングリンスによって処理する工程と、それに続いてこの基材をリン酸塩処理(リン酸処理またはパーカライジングとしても知られている)する工程を含み得る。例えば、鉄鋼基材は、任意の金属加工液または金属加工油剤を除去するために、クリーナー及びコンディショニングリンスを吹き付ける、又はそこに浸漬することによって洗浄し調整することができる。次いで、洗浄した基材を、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、及び/又はリン酸鉄の化成処理液に浸漬して処理する。リン酸塩によるコーティングによって、基材とその後の有機コーティング(例えば、エポキシベースの電着塗装組成物)との接着性が改善される。
【0010】
時間およびエネルギーの相当な量が、コーティング組成物の製造、基材表面の製造、及び基材へのコーティング組成物の塗装に関連している。コーティング処理の1つ以上の工程を削減する又は複数の工程を組み合わせることは、有利であろう。そのような変更は、時間及びエネルギーを節約することに加え、必要な装置の数を減らすことができるかもしれない。
【0011】
従って、被膜形成材料及び被膜形成材料を用いる工程において、例えば、工程の数を削減する及び/又は工程を組み合わせることによってコーティング工程を改良し簡素化することが求められている。
【0012】
本発明は、リン原子を含む少なくとも1つのペンダント基と、少なくとも1つの架橋性基とを有する樹脂を含む被膜形成材料を提供する。なお、このリン原子は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。架橋性基は、架橋剤に対して反応可能であるか、自己縮合性であるか、樹脂の他の基に対して反応可能であるか、あるいは付加重合性であり得る。いくつかの実施態様において、架橋剤に対して反応可能な基は、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、アミノアルカノール基、アミノアルキルエーテル基、アミド基、又はアミン基であり得る。樹脂は、任意の被膜形成樹脂、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂であり得、並びにホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0013】
ある特定の実施態様において、ペンダント基は、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、または有機ホスフィン酸塩を含む。さらに、典型的なペンダント基としては、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、有機ホスフィン酸塩が挙げられ、ここで、リン原子に共有結合した1つ以上の酸素原子は、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成している。アルキル基は、1〜約12個の炭素を含み、アリール基は、置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む。いくつかの実施態様において、ペンダント基は、エステル結合によって樹脂に結合でき、さらに、様々な実施態様において、ペンダント基はカルボン酸基を含む。
【0014】
さらなる実施態様は、被膜形成材料に対して反応可能な少なくとも2つの官能基と、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基とを有するアルキル化合物もしくは芳香族化合物を含む被膜形成材料を重合するための架橋剤を含む。被膜形成材料に対して反応可能な官能基としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ウレトジオン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、カルバメート基、アミノアルカノール基、アミノアルキルエーテル基、アミド基、又はアミン基が挙げられる。
【0015】
いくつかの実施態様において、被膜形成材料及び/又は架橋剤は、さらに、この被膜形成材料及び/又は架橋剤によって配位結合された金属もしくは金属化合物を含み得る。このような金属もしくは金属化合物としては、M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるものが挙げられ、ここで、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基または芳香族基あり、xは1〜6の整数である。様々な実施形態において、この金属もしくは金属化合物は、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む。
【0016】
他の様々な実施形態において、被膜形成材料は、少なくとも1つのペンダント型ヒドロキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とを反応させて、エステル基、カルボン酸基、及びエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成する工程(この場合、この樹脂は、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基を有する)、並びにこのグラフト化樹脂のエチレン性不飽和基と、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩とを反応させる工程を含む方法によって製造される。
【0017】
いくつかの実施態様において、コーティング組成物の製造方法は、被膜形成材料と架橋剤とを組み合わせる工程を包み、ここで、この被膜形成材料は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、当該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、少なくとも1つの架橋性基とを含む樹脂を含む。他の実施形態において、コーティング組成物の製造方法は、少なくとも1つのペンダント型ヒドロキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とを反応させて、エステル基、カルボン酸基、及びエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成する工程(この場合、この樹脂は、少なくとも1つの架橋性基を有する)、このグラフト化樹脂のエチレン性不飽和基を、リン原子を含有する化合物であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する化合物と反応させる工程、並びに架橋剤とこの被膜形成材料とを組み合わせる工程を含む方法によって被膜形成材料を形成する工程を含む。架橋剤としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ポリイソシアネート、及びそのオリゴマー、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
様々な他の実施態様において、コーティングされた基材の製造方法を提供する。そのような方法は、架橋剤と被膜形成材料とを組み合わせる工程(この被膜形成材料は樹脂を含み、この樹脂は、共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、当該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、少なくとも1つの架橋性基とを含む)と、このコーティング組成物を基材に塗装する工程とを含む。
【0019】
コーティングされた基材を製造するいくつかの実施形態は、少なくとも1つのペンダント型ヒドロキシル基を有する樹脂とエチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とを反応させて、エステル基、カルボン酸基、及びエチレン性不飽和基を有するグラフト化ポリマーを形成する工程を含む方法によって被膜形成樹脂を形成する工程を含み、ここで、樹脂は、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基を有する。グラフト化ポリマーのエチレン性不飽和基は、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩化合物と反応する。コーティング組成物は、架橋剤及び被膜形成樹脂を含有して製造され、基材に塗装される。コーティング組成物を塗装する方法としては、コーティング組成物を電着析出させる方法が挙げられ、いくつかの実施形態では、この塗装されたコーティング組成物を硬化させる。
【0020】
本発明は、従来の被膜形成樹脂に対して様々な恩恵を提供する。そのような恩恵としては、リン酸処理の金属結合特性を被膜形成樹脂に統合することが挙げられる。共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基を含有する被膜形成樹脂では、この樹脂によって得られるコーティングと金属基材との接着性が向上する。そのような樹脂は、前処理段階を簡素化及び/又は省いて、未処理の金属基材表面に塗装することができる。例えば、これらのコーティング組成物は、最初に基材をリン酸処理する必要なく、基材に塗装することができる。リン酸処理を省くことができれば、相当な処理時間及び処理エネルギーを節約することができ、さらには、リン酸塩浸漬タンク及び装置のための相当な床面積を節約することができる。
【0021】
また、本発明の被膜形成樹脂は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するリン酸原子を介して金属及び金属化合物に配位結合することができる。そのような金属としては、金属基材、基材の表面上の金属、及び/又は金属触媒の配位が挙げられる。この被膜形成樹脂は、さらに、金属及び金属化合物に配位結合するために役立つような他の金属配位結合基、例えば、カルボン酸基を含み得る。
【0022】
共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基を有する被膜形成樹脂は、金属基材へのより良い接着性及び/又はより良い腐食防止を提供し得る。理論によって束縛されることは望まないが、被膜形成樹脂におけるリン原子に共有結合した1個以上の酸素原子は、金属基材と相互作用して、金属基材表面へのポリマー性被膜の接着性を向上させ得ると考えられる。その上、本発明によるコーティング組成物は、ペンダント基の一部及び/又はさらなるカルボン酸基が金属触媒と配位結合してコーティングの硬化を高め、その一方で、他のペンダント基は束縛無く金属基材と相互作用して接着性を向上させるように配合することができる。
【0023】
金属触媒に配位結合できるで、別の利点が提供される。すなわち、金属触媒は、コーティング組成物の硬化に必要な温度を低くすることができ、及び/又はより完全な硬化を得ることができる。被膜形成樹脂に様々な量の金属触媒を混合することにより、樹脂のカルボン酸基及び/又はペンダント基を用いた様々な量の樹脂−金属錯体が得られる。例えば、本発明は、液体有機金属塩をコーティング組成物に直接添加して樹脂と金属触媒との錯体を形成することを可能にする。
【0024】
本明細書で使用される場合、「一つの("A"及び"an")」は、その要素の「少なくとも1つ」が存在することを示し、可能であれば複数のそのような要素が存在してもよい。「約("About")」は、値に対して使用される場合、計算又は測定が、その値において僅かな不正確さを許容することを示す(精密な値に対してある程度接近していること、値に対しておおよそ又は合理的に近いことを意味する。ほとんどの意味)。なんらかの理由から、「約」による不正確さが上記の通常の意味とは別の他の意味において当業者に理解されるのでなければ、本明細書で使用する場合、「約」は、通常の測定方法又はそのようなパラメーターの使用から生じ得る最小限の変化を示す。さらに、範囲の開示は、全ての値と、さらに全範囲内の分割された範囲との開示を含む。
【0025】
本発明の適用可能性と利点のさらなる領域は、以下の説明から明らかとなるであろう。この説明及び特定の実施例は、本発明の様々な実施形態の典型例を示すものである一方で、例示の目的を意図するものであって、発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0026】
本発明は、被膜形成材料、架橋剤、及び被膜形成材料の製造方法、コーティング組成物、コーティング組成物の製造方法、及びコーティングされた基材の製造方法を含む。本発明の実施形態は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基を含む。このリン原子は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。これらの酸素原子の1つ以上が、金属及び/又は金属化合物(例えば、金属基材及び/又は金属触媒)と配位結合することができる。
【0027】
被膜形成材料は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基を有する樹脂を含み得る。このリン原子は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する。また、この樹脂は、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合可能な基、及び化学線によって硬化可能な基から選択される少なくとも1種の架橋性基を含む。架橋剤に対して反応可能な基は、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基であり得る。
【0028】
一実施形態において、被膜形成材料は、共有結合したリン原子を有する少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの供給結合した酸素原子を有するペンダント基と、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基とを有する樹脂を含む。この樹脂は、1種以上のポリマー性、オリゴマー性、及び/又はモノマー性の材料を含み得る。この被膜形成材料は、様々な樹脂、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、及びポリエステル樹脂、並びにそれらの混合物を含み得る。本実施形態において、樹脂がポリマーの場合、このポリマーはホモポリマー又はコポリマーであり得る。なお、コポリマーは、2種類以上の繰り返し単位を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、共有結合したリン原子を含むペンダント基は、様々な結合によって樹脂に結合している。このペンダント基は、特に、エステル結合、リン酸エステル結合、炭素−リン結合、アミン結合、ウレタン結合、及びエーテル結合によって樹脂に共有結合できる。これらの結合を生じる官能基の反応例としては、エポキシドが酸と反応して生じるエステル結合、エポキシドがアミンと反応して生じるアミン結合、ヒドロキシルがイソシアネートと反応して生じるウレタン結合、ヒドロキシルが無水物と反応して生じるエステル結合、エポキシドがヒドロキシルと反応して生じるエーテル結合、エチレン性不飽和基がリンと反応して生じる炭素−リン結合、ヒドロキシルがリン酸塩と反応して生じるリン酸エステル結合、及びコーティング樹脂を形成する際に一般的に用いられる他の種類の結合などが挙げられる。
【0030】
共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基としては、特にリン酸基、有機リン酸基、ホスホン酸基、有機ホスホン酸基、ホスフィン酸基、及び有機ホスフィン酸基が挙げられる。ペンダント基の例としては、さらに、リン原子に共有結合した1個もしくは2個の酸素原子がアルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成している有機リン酸基、有機ホスホン酸基、及び有機ホスフィン酸基が挙げられる。アルキル基へのエステル結合は、1〜約12個の炭素を含んでもよく、アリール基は、これらに限定されないが、置換又は非置換のフェニル基及びベンジル基を含む。
【0031】
様々な実施形態において、任意の複数の反応を用いてこのペンダント基を樹脂に付加させることができる。一実施形態において、二段階工程を用いて、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基を有する樹脂を含む被膜形成材料を製造する。少なくとも1つのヒドロキシル基と、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基とを有する樹脂は、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物と反応して、カルボン酸基及びエチレン性不飽和基を有する基へのエステル結合を有するグラフト化樹脂を形成する。カルボン酸無水物の例としては、アコニット酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、メリト酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、又はテトラヒドロフタル酸無水物が挙げられる。グラフト化樹脂のエチレン性不飽和基の不飽和炭素−炭素結合は、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、有機ホスフィン酸塩などのリン含有化合物と反応して、このリン含有化合物を樹脂に共有結合させる。様々な実施形態において、リン酸基は、炭素−リン結合もしくはリン酸エステル結合によって樹脂に結合している。
【0032】
いくつかの実施形態において、共有結合したリン原子を含む被膜形成材料は、参考として本明細書で援用される、2006年3月30日に出願された米国特許出願第11/278,030号に記載されているような2段階グラフト化反応を部分的に適合させることによって形成でき。これらの反応は、様々な無水物と反応する様々な樹脂を含む。様々な無水物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する無水物などを含む。少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する樹脂−無水物反応生成物は、任意の1つ以上の様々なリン含有化合物と反応して、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する共有結合したリン原子を含むペンダント基を生成する。
【0033】
いくつかの実施形態において、被膜形成材料は、式(1):
【化1】

[式中、X1及びX2は、独立して、水素、ヒドロキシル、エポキシド、又はアミンの一価の官能基であり、各R1、R2、及びR3は、独立して、二価の有機基であり、各Yは、独立して、1〜約36個の炭素原子を有する三価の有機基であり、各Z1は、独立して、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、有機ホスフィン酸塩の一価の基であり、nは1〜約12の整数であり、mは0〜約12の整数であり、pは1〜約12の整数である]を有するエポキシ樹脂を含む。
【0034】
式(1)において、様々な値のm、n、及びpは、様々な繰り返しモノマー単位から形成された部分を有する樹脂に対応している。これらの値は、例えば、樹脂合成においてキャッピング基、連鎖停止基、又は連鎖成長基の量及び/又は濃度を変えることによって調整することができる。この場合、「キャッピング」とは、樹脂上の官能基が別の分子の官能基と反応してアミンがこの樹脂に共有結合することを意味する。さらに、樹脂合成は、段階式又はバッチ式において実施することができ、一般的には、その結果として、様々な値のn、m、及びpを有する樹脂分子の混合群が生じる。各R1、R2、及びR3によって示される二価の有機基は、同一又は異なる分子に由来し得る。また、式(1)に示されているように、mが0の場合は、mで囲まれた部分が存在しないので、R2も存在しない。この場合、R3は、X2に共有結合している。
【0035】
いくつかの実施形態において、R1、R2、及びR3によって示される二価の有機基は、二価の2,2−ジフェニルプロパン基である。さらに、n>1、m>1、及び/又はp>1の場合、2つ以上の2,2−ジフェニルプロピレン基が互いに共有結合できる。例えば、いくつかの実施形態において、樹脂のR1、R2、及び/又はR3は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(「G」)とビスフェノールA(「B」)との反応によって形成される生成物の一部を含むことができ、結果として式−G−B−の繰り返しを生じる。実施例はさらに、n及び/又はpが1〜約12の整数で、mが0〜約12の整数の場合、−G−B−G−、−G−B−G−B−、−G−B−G−B−G−などのような繰り返し単位を生じる順列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、X1及びX2は、独立して、水素、ヒドロキシル、エポキシド、又は一価のアミン官能基である。X1及び/又はX2が一価のアミン基である場合の樹脂の実施形態は、アミンでキャップされたエポキシ樹脂を含むことができ、この場合、「キャップされた」とは、エポキシ基などのような樹脂上の官能基がアミン含有化合物と反応して、このアミンが樹脂に共有結合していることを意味する。キャッピング化合物の例としては、アンモニア又はアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンのジケタミン誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。様々な実施形態において、例えば、陰極電着塗装組成物は、酸によって、(キャップされた)アミン含有樹脂の塩を形成し、それを水に分散させることによって形成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態、例えば、液体エポキシコーティング組成物において、被膜形成材料の全体的な分子量が、液体層の特性、例えばコーティング組成物の粘度などに影響を及ぼすことについて留意されたい。従って、樹脂の分子量(及び、それに対応する粘度)は、必要に応じて、上記の式のn、m、及びpの値を変えることにより樹脂中の繰り返し部分の数を変えて調整することができる。例えば、被膜形成材料は、nとpの両方によって示される1〜約12のユニットと、mによって示される0〜約12のユニットを含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、樹脂はアクリルポリマーなどのビニルポリマーである。アクリルポリマーは、硬化剤(すなわち、架橋剤)に対して反応可能な官能基であるヒドロキシル基、アミノ基、又はエポキシ基を有する。アクリルポリマーは、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートを用いて形成することができる。官能基は、アクリルモノマーのエステル部分に組み込むことができる。例えば、ヒドロキシル官能性アクリルコポリマーは、これに限定されないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、又はヒドロキシプロピルアクリレートなどの様々なアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを用いた重合によって形成することができ、アミノ官能性アクリルコポリマーは、t−ブチルアミノエチルメタクリレート及びt−ブチルアミノエチルアクリレートの重合によって形成することができ、並びにエポキシ官能性アクリルコポリマーは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、又はアリルグリシジルエーテルの反応によって形成することができる。
【0039】
反応性官能基を有するアクリルコポリマーを形成する場合に用いることのできる他のエチレン性不飽和モノマーとしては、3〜5個の炭素原子を有するα−,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸のエステルもしくはニトリルもしくはアミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、並びに芳香族及び複素環のビニル化合物が挙げられる。さらに、代表的な例としては、アクリル酸アミド及びメタクリル酸アミド及びアミノアルキルアミド、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル、例えば1〜20個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコール及び脂環式アルコールとのエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、イソブチル、イソプロピル、シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、及びイソボルニルアクリレート及びメタクリレート)、フマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸のエステル(例えば、マレイン酸ジメチルエステル及びマレイン酸モノヘキシルエステル)、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエチルエーテル、及びビニルエチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及び2−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0040】
アクリルコポリマーは、従来技術、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合、又はアニオン重合などを用いて、例えば、バッチ方式、半バッチ方式、又は連続供給方式により製造することができる。例えば、重合は、フリーラジカル発生源(例えば有機過酸化物又はアゾ化合物)並びに場合により連鎖移動剤の存在下にて、バッチ方式又は連続供給方式の反応器で、バルク中もしくは溶媒中においてエチレン性不飽和モノマーを加熱することによって実施してもよい。あるいは、半バッチ方式において、モノマー及び開始剤を制御された供給速度で加熱反応器中に供給してもよい。反応が溶液重合法において実施される場合、溶媒は、好ましくは重合の完了後に除去すべきである。好ましくは、重合は、溶媒の非存在下で実施される。
【0041】
一般的なフリーラジカル発生源としては、例えばジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、及びペルオキシケタールなどの有機過酸化物、並びに、例えば2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。典型的な連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−もしくはtert−ドデシルメルカプタン、チオサルチル酸、メルカプト酢酸、およびメルカプトエタノールなどのメルカプタン、ハロゲン化化合物、およびα−メチルスチレンの二量体が挙げられる。フリーラジカル重合は、通常、約20℃〜約250℃、好ましくは90℃〜170℃の温度で実施される。この反応は、従来法に従って実施され、固体アクリルコポリマーを生成する。
【0042】
アクリル樹脂は、約150〜950当量(−OH基1モル当量当たりの樹脂固体のグラム数)を有することができ、例えば約300〜約600当量、さらには約350〜550当量を有し得る。数平均分子量(Mn)は、高固体のために約5,000〜約10,000であり得る。一般的なアクリルポリマーは、ヒドロキシ官能性アクリルポリオールである。いくつかの実施形態において、アクリル樹脂を用いて電着塗装組成物を形成することができる。陰極性電着塗装組成物は、アミン−官能性のエチレン性不飽和モノマーを共重合することによって形成してもよい。このアミンを塩形成させて、水に分散させる。
【0043】
いくつかの実施形態において、樹脂はポリエステル樹脂である。多官能性の酸化合物もしくは無水化合物は、多官能性アルコールと反応してポリエステルを形成でき、並びにその例として、アルキル化合物、アルキレン化合物、アリールアルキレン化合物、及び芳香族化合物が挙げられる。典型的な化合物としては、ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物が挙げられるが、しかしながら、より高い官能価の酸及び無水物を使用してもよい。三官能性化合物又はより高い官能価の化合物を使用する場合、これらを、単官能性カルボン酸又はモノカルボン酸の無水物(例えば、バーサチック酸、脂肪酸、又はネオデカン酸)との混合物において使用してもよい。ポリエステル基を形成するために好適な酸官能性化合物もしくは無水官能性化合物又はそのような化合物の無水物の具体的な例としては、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、コハク酸、アゼライン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、クエン酸、及びトリメリト酸無水物が挙げられる。
【0044】
ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオール成分は、少なくとも2つのヒドロキシル官能価を有する。このポリオール成分は、単官能性、二官能性、及び三官能性アルコール、並びにより高い官能価のアルコールを含んでもよい。ジオールは、典型的なポリオール成分である。ポリエステルを部分的に分岐させたい場合、より高い官能価を有するアルコールを使用してもよく、ポリオール成分としてジオール及びトリオールの混合物を用いてもよい。しかしながら、例えば、流動性の減少などのコーティングへの影響や、耐衝撃性及び平滑性の低下などの硬化フィルムへの望ましくない影響から、高分岐したポリエステルが望ましくない場合もある。
【0045】
有用なポリオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、及びエトキシ化ビスフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ポリエステル樹脂を作製する方法は周知である。ポリエステルは、通常、反応を完了させるために副産物の水を除去しながら、触媒を用いて、又は用いずに、ポリオールと多官能性酸性成分とを一緒に加熱することによって形成する。共沸により水を除去するために、例えばトルエンなどの少量の溶媒を添加してもよい。そのような溶媒を添加した場合、通常は、コーティング剤を配合する前にそのような溶媒をポリエステル生成物から除去する。
【0047】
いくつかの実施形態において、樹脂はポリウレタン樹脂であり得る。ポリウレタンは、2つの成分から形成することができ、その場合、第一の成分は、イソシアネート付加反応のために少なくとも二官能性のヒドロキシル基を有する化合物などである。第二の成分は、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物などである。
【0048】
このポリオール成分は、重合反応のために少なくとも二官能性でなければならない。これらの化合物は、一般的に、約2〜8、好ましくは約2〜4の平均官能価を有する。また、これらの化合物は、一般的に、約60〜約10,000、好ましくは400〜約8,000の分子量を有する。しかしながら、分子量が400未満の低分子量の化合物を用いることも可能である。唯一の要件は、組成物を硬化させる場合に、そのための加熱条件下において、用いられる化合物が揮発性でないということである。
【0049】
イソシアネート−反応性水素原子を含有する好ましいマクロモノマー化合物は、公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリアクリレート、及びヒドロキシ基を含有するポリカーボネートである。これらのポリヒドロキシル化合物に加えて、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリエステルアミド、末端ヒドロキシル基もしくはスルフィドリル基を含有するポリチオエーテル、あるいは、アミノ基、チオール基、もしくはカルボキシル基を含有する少なくとも二官能性の化合物を使用することもできる。イソシアネート−反応性水素原子を含有する化合物の混合物を使用してもよい。他の例示的なヒドロキシル含有化合物は、参考として本明細書で援用される、1984年3月27日に発行された米国特許第4,439,593号に記載されている。
【0050】
様々な実施形態において、被膜形成材料は、式(2):
【化2】

[式中、R4は、2〜12個のモノマー単位を有する樹脂の一価の基、又は式(1)の被膜形成樹脂を含む一価の基であり、R5は、水素である一価の基、2〜12個のモノマー単位を有する樹脂、又は式(1)の被膜形成樹脂を含む基であり、Z2は、共有結合したリン原子を含む一価の基であり、このリン原子は少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する]を含む。様々な実施形態において、Z2によって表される1価の基としては、リン酸基、有機リン酸基、ホスホン酸基、有機ホスホン酸基、ホスフィン酸基、又は有機ホスフィン酸基が挙げられる。
【0051】
式(2)による被膜形成材料としては、さらに、R4及び/又はR5が、樹脂の一価の基であるものが挙げられる。この場合、この樹脂は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、当該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、少なくとも1つの架橋性基とを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、被膜形成材料は、アミン、アミノ有機リン酸塩、又はアミノ有機ホスホン酸によってキャップされている樹脂を含む。すなわち、この場合、樹脂上の官能基がアミン含有化合物と反応してアミンが樹脂に共有結合している。この樹脂は、記載されているような、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基とを有する樹脂などの任意の樹脂であってよい。リン原子を含まない樹脂、例えば、式(2)のR4及びR5がリン原子を含まないような樹脂などの他の樹脂をキャップすることができ、例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂などが挙げられる。さらなる実施形態は、式(1)及び(2)の樹脂をキャップする工程を含む。
【0053】
様々な樹脂のキャッピングに好適なアミノ有機ホスホン酸塩及びアミノ有機リン酸塩としては、
【化3】

[式中、各R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換もしくは非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは1〜約12の整数である]を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、被膜形成材料は、樹脂分子の混合群を含み得る。例えば、これらの反応から、異なる数の繰り返しモノマー単位を有する様々な被膜形成材料の部分から成る被膜形成材料生成物を得ることができる。これらの被膜形成材料は、樹脂を形成するために用いた反応において、連鎖成長及び連鎖停止の比率を変えることにより、及び/又は反応段階において様々な反応剤を加えることによって得ることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、被膜形成材料は、さらに、樹脂によって配位結合された1種以上の金属又は金属含有化合物を含む。樹脂は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する共有結合したリン原子を含むペンダント基を介して金属又は金属含有化合物に配位結合することができる。様々な実施形態において、ペンダント基はさらにカルボン酸基を含んでいてもよく、金属もしくは金属化合物は、少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するリン原子及び/又はこのカルボン酸基によって配位結合できる。少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する1個以上のリン原子は、この酸素原子を介して金属もしくは金属化合物に配位結合することができる。カルボン酸基も同様に、酸素原子を介して金属もしくは金属化合物に配位結合することができる。被膜形成材料による金属配位については、参考として本明細書で援用される、2006年10月26日に出願された米国特許出願第11/553,185号、同第11/553,195号、同第11/553,213号、並びに2006年3月30日に出願された同第11/278,030号にも記載されている。
【0056】
従って、金属基材、及び/又は被膜形成材料の硬化反応性を向上させる金属触媒などの1つ以上の金属もしくは金属化合物がコーティング組成物において用いられている場合、被膜形成材料は、それら金属もしくは金属化合物に配位結合できる。金属及び金属化合物は、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものを含むことができる。この場合、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である。いくつかの好ましい実施形態において、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される。金属触媒の例としては、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、被膜形成材料に対して反応可能な少なくとも2つの官能基と、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基とを有する有機化合物を含む被膜形成材料を重合するための架橋剤(すなわち硬化剤)を含有する。被膜形成樹脂に対して反応可能な官能基としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ウレトジオン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、カルバメート基、アミノアルカノール基、アミノアルキルエーテル基、アミド基、及びアミン基が挙げられる。実施形態は、本明細書の他の箇所で開示されているような様々な架橋剤を含むことができる。この場合、この架橋剤は、被膜形成材料に対して反応可能な少なくとも2つの官能基と、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基とを有する。様々な実施形態において、架橋剤のペンダント基は、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、有機ホスフィン酸塩を含むことができ、例として、本発明の被膜形成材料のために説明したような様々なペンダント基が挙げられる。さらに、いくつかの実施形態において、架橋剤は、ペンダント基を介して金属または金属化合物に配位結合し得る。
【0058】
その上、本発明の架橋剤を、本発明の被膜形成材料及び/又は他の樹脂と混合し、基材をコーティングするために用いることのできるコーティング組成物を形成することができる。例えば、コーティングされた基材を製造する方法は、架橋剤と被膜形成材料とを含むコーティング組成物を塗装する工程を包み、ここで、この架橋剤及び被膜形成材料の一方もしくは両方が、共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基を有する。このコーティング組成物は、基材上で硬化させることができる。
【0059】
例えば、本発明のコーティング組成物を硬化させる際、結果として得られる硬化被膜は、共有結合したリン原子を含むペンダント基を含む。このリン原子は、被膜形成材料から及び/又は架橋剤から組み込まれ、それぞれ少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有している。このペンダント基は、金属基材の接着性及び/又は金属基材の保護を向上させるために利用することができる。いくつかの実施形態において、コーティング組成物を形成する前に、ペンダント基を有する架橋剤と1種以上の金属触媒との錯体を形成することができ、あるいは、架橋剤を被膜形成材料と組み合わせた後で金属触媒を加えることもできる。
【0060】
本発明は、被膜形成材料を製造する様々な方法を提供する。一実施形態において、被膜形成材料は、少なくとも1つのペンダント型ヒドロキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とを反応させて、エステル基、カルボン酸基、及びエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成する工程(この場合、樹脂は、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基を有する)及び、このグラフト化樹脂のエチレン性不飽和基をリン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、もしくは有機ホスフィン酸塩と反応させる工程とを含む方法によって製造される。
【0061】
被膜形成材料を製造する方法は、さらに、他の反応剤、例えばキャッピング剤、連鎖成長剤もしくは連鎖停止剤、金属及び金属化合物、並びにそれらの組み合わせを含み得る。例示的な分子としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジオール、アミン、フェノール、及び金属もしくは金属触媒が挙げられる。
【0062】
共有結合したリン原子を含むペンダント基を樹脂に組み込む量は、特定の性能特性のために変更又は最適化することができる。いくつかの実施形態において、このペンダント基を被膜形成材料の主鎖全体に組み込む及び/又は架橋剤分子の大部分に共有結合したリン原子を含むペンダント基を持たせる必要はない。事実上、いくつかの実施形態では、ポリマーの主鎖及び/又は架橋剤分子の大部分は、これらのペンダント基を含まない。所望の接着特性が実現され、及び/又は十分な硬化及び/又はコーティング安定性が得られるように、共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基が、金属及び/又は金属化合物と配位結合するのに十分提供されるように、ペンダント基の量を調整することができる。例えば、エポキシ系樹脂の場合、5%〜15%のペンダント型ヒドロキシル基を無水物と反応させ、続いてリン含有化合物と反応させて、被膜形成材料を製造することができる。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、上述のような被膜形成材料及び/又は架橋剤を含む。基材のコーティング方法は、これらの被膜形成材料及び/又は架橋剤を含むコーティング組成物の塗装工程を含む。コーティングされた基材は、そのようなコーティング組成物から製造されたコーティングを有する。コーティング組成物は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、アミノプラスト樹脂、及び/又はポリエステル樹脂を用いて製造することができる。これらの様々な樹脂は、当該技術分野で公知であるような、樹脂結合を生成するために適切な官能基の反応によって形成することができる。そのような反応としては、エポキシドが酸と反応して生じるエステル結合、エポキシドがアミンと反応して生じるアミン結合、ヒドロキシルがイソシアネートと反応して生じるウレタン結合、ヒドロキシルが無水物と反応して生じるエステル結合、エポキシドがヒドロキシルと反応して生じるエーテル結合、並びにコーティング樹脂を形成する際に一般的に用いられる他の種類の結合などが挙げられる。結果として得られる被膜形成樹脂は、架橋剤に対して反応可能な基であり得る架橋性基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基を含む。被膜形成樹脂に対して反応可能な官能基の例としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ウレトジオン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、カルバメート基、アミノアルカノール基、アミノアルキルエーテル基、アミド基、アミノアルキルエーテル基、又はアミン基が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態において、被膜形成材料は、ビニル樹脂又はアクリル樹脂を含むことができ、ここで、このビニル樹脂は、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、架橋剤に対して反応可能な少なくとも1つの基とを有する。ビニル樹脂は、樹脂合成において、不飽和炭素結合及び共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基とを有する化合物を重合させることによって形成される。付加重合中の組み込みに好適な化合物としては、4−アリル−1,2−ジメトキシベンゼン、2−アリル−2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン、2−アリルオキシテトラヒドロピラン、アリルフェニルカーボネート、3−アリルロダニン、アリルトリメトキシシラン、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
コーティング組成物の製造についての様々な実施形態において、本発明の被膜形成材料は、単一の樹脂であってよく、又は樹脂群を形成していてもよく、あるいはさらなる樹脂と組み合わせてもよい。この被膜形成材料は、粉砕樹脂、主要樹脂、及び/又は架橋剤として使用することができる。顔料分散物及び主要樹脂の製造において、同一の樹脂を使用してもよく、あるいはコーティング組成物を形成するために様々な樹脂の混合物を使用してもよい。着色組成物においては、本発明に従って、被膜形成材料を含有するコーティング組成物の形成において粉砕樹脂及び主要樹脂を組み合わせてもよい。
【0066】
本発明の被膜形成材料と共に、さらなる樹脂が含まれていてもよい。例えば、好適なさらなる樹脂としては、エポキシオリゴマー及びエポキシポリマー、例えば、ビスフェノールAのような多価フェノールのポリグリシジルエーテルのポリマー及びオリゴマーが挙げられる。これらは、アルカリの存在下において、エピクロロヒドリンもしくはジクロロヒドリンなどのエピハロヒドリンもしくはジハロヒドリンによるポリフェノールのエーテル化によって製造ことができる。好適な多価フェノールとしては、ビス−2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどが挙げられる。ポリグリシジルエーテル及び多価フェノールは、一緒に縮合してオリゴマー又はポリマーを形成できる。他の有用な多官能性エポキシ化合物は、ノボラック樹脂又は同様のポリヒドロキシフェノール樹脂から作製されたものである。さらに、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテルも好適である。さらに、エピクロロヒドリンもしくは同様のエポキシ化合物と、コハク酸もしくはテレフタル酸などのような脂肪族もしくは芳香族のポリカルボン酸との反応によって製造されたポリカルボン酸のポリグリシジルエーテルも有用である。
【0067】
いくつかの実施形態において、これらのさらなる樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとビスフェノールAとの反応生成物である液体エポキシであり得る。例としては、約100〜1,200以上のエポキシ当量を有する改変された高級化エポキシ樹脂が挙げられる。好適な液体エポキシは、Huntsmanから市販されているGY2600や、Hexion Specialty Chemicals,Incから市販されているEpon(登録商標) 828である。例えば、エポキシ基含有化合物は、ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、ポリオール、又は置換ポリオールのようなヒドロキシル含有化合物と反応し得る。
【0068】
様々な実施形態において、コーティング組成物は、さらに、硬化剤に対して反応可能な基を有する樹脂化合物の混合物も含むことができる。この化合物の混合物としては、硬化剤に対して反応可能な基を有する2種以上の樹脂、1種以上のコモノマーを有する樹脂混合物、及び少なくとも1種のコモノマーを含む2種以上の樹脂が挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明は、金属もしくは金属化合物と被膜形成材料とを組み混み、樹脂と金属もしくは金属化合物との錯体を形成する工程をも含む。理論によって束縛されることは望まないが、1個以上の電子リッチ酸素原子、例えば、リン原子に結合した酸素原子や炭素原子に結合した酸素原子(例えば、カルボン酸基の酸素原子)は、一座配位もしくは多座配位の幾何学的配置によって、金属もしくは金属化合物に配位結合し得る。従って、被膜形成材料と会合金属は、会合錯体を形成できる。金属としては、既に言及されている様々な金属及び金属触媒が挙げられる。例えば、金属を被膜形成材料、架橋剤、又は被膜形成材料及び架橋剤両方に添加する。いくつかの実施形態では、樹脂と架橋剤の硬化前に金属触媒を組み込んで、硬化性コーティングを形成することができる。あるいは、金属触媒をコーティング組成物の副成分として被膜形成材料に組み込むこともできる。すなわち、例えば、金属触媒を、粉砕樹脂として使用する被膜形成材料に添加することもできる。
【0070】
さらに、金属触媒は、被膜形成材料の製造における他の様々な段階において組み込むこともできる。いくつかの実施形態において、金属触媒は、被膜形成材料を形成する段階、すなわち、被膜形成材料を本明細書に記載の様々な反応混合物によって形成する際に組み込まれる。あるいは、金属触媒は、樹脂が形成された後で、かつ樹脂と架橋剤とを反応させて硬化済みコーティングを形成する前に、被膜形成材料に組み込むこともできる。例えば、いくつかの実施形態において、樹脂と架橋剤とを反応させる工程(すなわち、硬化反応)の前に、顔料含有組成物を組み込むことができる。コーティング組成物には、一般的に、そのような顔料含有組成物が組み込まれている。金属触媒をこの顔料含有組成物に組み込んで、金属触媒と被膜形成材料との錯体を形成させることができる。
【0071】
本実施形態は、1種の金属触媒を含むことができるが、いくつかの実施形態では、金属触媒の組み合わせを用いることがでる。例えば、様々な金属酸化物などの金属触媒は、金属触媒を被膜形成材料又は配位子と効率的に組み合わせる目的において、金属触媒の粒径を小さくするためのさらなる粉砕を必要としないように、低粒径(例えば、20ミクロン未満、より一般的には10ミクロン未満)の粉砕された状態で供給してもよい。
【0072】
様々なコーティング組成物は、被膜形成材料と反応可能なポリイソシアネート架橋剤(すなわち、硬化剤)を含有する。ポリイソシアネート架橋剤は、脂肪族構造、脂環式構造、芳香脂肪族構造、及び/又は芳香族構造に結合した遊離イソシアネート基を有する任意の望ましい有機ポリイソシアネートを含むことができる。ポリイソシアネートは、1分子当たり2〜5個のイソシアネート基を有することができる。イソシアネートの例は、"Methoden der organischen Chemie"[Methods of Organic Chemistry],Houben−Weyl,volume 14/2,4th Edition,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1963,pages61 to 70,及びW.SiefkenによるLiebigs Ann.Chem.562,75〜136に記載されている。好適な例としては、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、2,2−及び2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(「イソホロンジイソシアネート」)、2,5−及び3,5−ビス(イソシアナトメチル)−8−メチル−1,4−メタノ−デカヒドロナフタレン、1,5−、2,5−、1,6−、及び2,6−ビス(イソシアナトメチル)−4,7−メタノヘキサヒドロインダン、1,5−、2,5−、1,6−、及び2,6−ビス(イソシアナト)−4,7−メチルヘキサヒドロインダン、ジシクロヘキシル−2,4’−及び−4,4−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジフェニルビフェニル、2,4’−及び4,4−ジイソシアナトジフェニルメタン、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例えば、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート)、N,N’−(4,4’−ジメチル−3,3’−ジイソシアナトジフェニル)ウレトジオン、m−キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、並びにトリイソシアネート(例えば、2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル)、4,4’,4’’−トリイソシアナトトリフェニルメタンが挙げられる。ポリイソシアネートは、さらに、イソシアヌレート基及び/又はビウレット基及び/又はアロファネート基及び/又はウレタン基及び/又は尿素基を含有できる。ウレタン基を含有するポリイソシアネートは、例えば、イソシアネート基の一部とポリオール(例えば、トリメチロールプロパン及びグリセロール)とを反応させて得られる。好適な架橋剤の例としては、非ブロック化ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物、例えば、自己ブロッキングウレトジオン化合物など、カプロラクタムブロック化ポリイソシアネート及びオキシム−ブロック化ポリイソシアネート、ジイソシアネートのイソシアヌレート、ポリオールで半ブロック化されたジイソシアネート、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
ポリイソシアネート架橋剤としては、さらに、ポリマー性MDI、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー、又はエチレングリコールエーテルもしくはプロピレングリコールエーテルでブロック化された他のポリイソシアネートが挙げられる。ウレタン基を含有するそのような架橋剤は、例えば、Lupranate(登録商標) M20S又は他の同様の市販の材料から製造することができる。ポリイソシアネート化合物は、特に、BASF AG、Degussa AG、及びBayer Polymers,LLCから市販されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、熱硬化としては、イソシアネート(遊離又はブロック化)と活性水素官能基(例えば、ヒドロキシル又は第一級もしくは第二級アミン)との反応、又はアミノプラストと活性水素物質(例えば、カルバメート基、尿素基、アミド基、又はヒドロキシル基)との反応、エポキシと活性水素物質(例えば、酸、フェノール、又はアミン)との反応、環状カーボネートと第一級もしくは第二級アミンなどの活性水素物質との反応、シラン(すなわち、Si−O−R、ここでR=H、アルキル基もしくは芳香族基、又はエステルである)と活性水素物質との反応(活性水素物質がSi−OHの場合を含む)、並びに、これらの架橋する組の混合が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物を製造する方法は、さらに、被膜形成材料上に塩形成部位を形成する工程を包み得る。さらに、この被膜形成材料をアミン含有化合物(例えば、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、又はジエチレントリアミンのジケタミン誘導体)と反応させることによって、陰極での電着塗装における使用のために、樹脂上に塩形成部位を生成すことができる。あるいは、第四級アンモニウム、スルホニウム、又はホスホニウム部位を組み込むこともできる。あるいは、被膜形成材料を酸性官能基と反応させて、陽極電着塗装組成物又はアニオン性の水性コーティング組成物を作製することもできる。
【0076】
次いで、これらの塩形成部位は、例えば電解析出性コーティング組成物又は他の水性コーティング組成物を形成する際の水性分散液の形成において、反応又は塩形成する。被膜形成材料は、陰極電着塗装組成物における使用のために、酸によって塩を形成する塩基性基を有し得る。この反応は、中和又は酸性塩形成と呼ばれ、特に、ペンダント型アミノ基もしくは第四級基と、樹脂に水分散性を付与するのに十分な量の塩基性アミノ基を中和する十分な量の酸性化合物との反応を意味する。酸性化合物の具体例としては、リン酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸、ギ酸、スルファミン酸、アルキルスルホン酸、及びクエン酸が挙げられる。あるいは、塩基によって酸性樹脂の塩を形成して、陽極電着塗装組成物を製造することもできる。例えば、アンモニア又はアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、アミノメチルプロパノール、メチルエタノールアミン、及びジエタノールアミンを用いて、陽極電着塗装組成物を形成することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、また少なくとも1種の添加剤を含み得る。多くの種類の添加剤が、電着塗装組成物などのコーティング組成物に有用であることは公知である。そのような添加剤としては、種々の有機溶媒、界面活性剤、分散剤、光沢を増したり減らしたりするための添加剤、触媒、顔料、賦形剤、及び塩析剤などが挙げられる。さらなる添加剤としては、さらに、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、接着促進剤、及び可塑剤が挙げられる。このような添加剤は公知であり、コーティング組成物に対して一般的に用いられる量において含まれていてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、水性コーティング組成物の製造方法において、被膜形成材料を用いることができる。コーティング組成物の水性媒体は、一般的に主として水であるが、少量の有機溶媒を使用することもできる。有用な溶媒の例としては、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、キシレン、N−メチルピロリドン、メチルイソブチルケトン、ミネラルスピリット、ブタノール、酢酸ブチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、コーティング工程から放出される有機揮発物を最小限にするために、有機溶媒の使用を避けることもできる。
【0079】
好適な界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸のジメチルエタノールアミン塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、エトキシ化ノニルフェノール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、界面活性剤のSurfynol(登録商標)シリーズ(Air Products and Chemicals、Inc.)、及びAmine−C(Huntsman)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、イオン性及び非イオン性両方の界面活性剤を一緒に用いてもよく、また、例えば、電着塗装組成物中の界面活性剤の量は、総固形分に対して0〜2%であってよい。界面活性剤の選択は、コーティング方法に応じても変わり得る。例えば、イオン性界面活性剤は、特定の電着塗装組成物に対して、それが陰極性又は陽極性であっても適合するはずである。
【0080】
コーティング組成物がプライマー組成物又は顔料添加トップコート組成物(例えば、ベースコート組成物)の場合、1種以上の顔料及び/又は賦形剤を含有していてもよい。顔料及び賦形剤は、コーティング組成物の総質量に対して、通常は40質量%までの量において用いてもよい。使用される顔料は、金属酸化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、リン酸塩及びケイ酸塩などの無機顔料であってよい。使用できる無機顔料及び賦形剤の例としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、黄土、シエナ土、アンバー、赤鉄鉱、褐鉄鉱、赤色酸化鉄、透明赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、例えばヒュームドシリカなど、炭酸カルシウム、タルク、バライト、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、及びマイカフレーク顔料が挙げられる。また、有機顔料を使用することもできる。有用な有機顔料の例としては、金属化及び非金属化アゾレッド、キナクリドンレッド及びキナクリドンバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルー及び銅フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリリドイエロー及びジアリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジなどが挙げられる。
【0081】
説明した方法に従って形成されたコーティング組成物は、当該技術分野において公知の任意の技術によって基材上にコーティングすることができる。これらの技術としては、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ローラーコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、コイルコーティングが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明のコーティング組成物は、電解析出可能であり、電解析出により基材上にコーティングすることができる。電解析出されたコーティング層又は塗装されたコーティング層は、樹脂と架橋剤を反応させることにより基材上で硬化させることができる。
【0082】
コーティング組成物は、当該技術分野において通常実施されているようにして電解析出させることができる。電解析出は、電気伝導性の物品を本発明のコーティング組成物を含む電着塗装浴に浸漬する工程、その物品を陰極又は陽極として(好ましくは陰極として)接続する工程、直流を用いてコーティング組成物被膜を物品上に析出させる工程、コーティングされた物品を電着塗装浴から取り出す工程、及び析出された電着塗装材料被膜に対してベーク処理など従来の熱硬化処理を施す工程を含む。
【0083】
さらに、本発明のコーティング組成物は、コイルコーティング剤としても有用である。コイルコーティング剤は、コイル状の薄板金属材(例えば、鉄鋼又はアルミニウム)に、経済的な高速の方法で塗装される。コイルコーティング法では、他のコーティング方法(例えば、コーティング組成物のスプレー塗装)と比較して、コーティング剤の浪費が少なく、有機物の放出をあまり生じさせずに、高品質で均一なコーティングが得られる。
【0084】
ポリエステル樹脂は、コイルコーティング組成物として用いることができ、分岐鎖状のポリエステル及び/又は実質的に直鎖状のポリエステル、並びに架橋剤を含み得る。共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、当該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基を、ポリエステル及び/又は架橋剤中に組み込むことができる。分岐鎖状ポリエステルは、ポリオール成分とポリ酸成分との縮合によって製造することができ、ポリオール成分及びポリ酸成分のいずれかは、さらに配位子を含み得るか又は配位子に対して反応可能であり得る。ポリエステル合成は、好適な公知の条件下において、例えば約150〜約250℃の温度において、触媒(例えば、酸化ジブチルスズ、塩化スズ、二水酸化ブチルクロロスズ、又はテトラブトキシチタン酸塩)を使用して、もしくは使用せずに、一般的に反応を完了へと進めるために副生成物の水を(例えば簡単な蒸留、共沸蒸留、真空蒸留によって)除去しながら実施してもよい。架橋剤は、ポリエステルのヒドロキシル官能基に対して反応可能な基を有し得る。好適な架橋剤としては、アミノプラスト及びイソシアネート架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。コイルコーティング組成物は、通常はさらに顔料を含み、並びに他の添加剤及び賦形剤を含み得る。
【0085】
コイルコーティングは、1つのコイルの終わりが後続のコイルの始まりに連結されている(例えば、ステープル留めされている)連続供給作業である。コイルは、最初にアキュムレーター塔へと送られ、コーティング剤は出口アキュムレーター塔へ送られる。この際、コイルの取り入れが遅れた場合でも)、アキュムレーター塔により、一定速度でコーティング作業を継続することが可能となる。例えば、1ロールが完了し、新規のロールを開始するために鉄鋼を切断する場合に、新規のロールの開始又は鉄鋼の巻き取りのために、コイル送りを遅らせることができる。コイルは、一般的に、オイル又は破片を除去するために清浄され、前処理され、両面をプライマーで下塗りされ、このプライマーを硬化させるためにベーク処理され、金属を冷却するために急冷され、次いで少なくとも片面をトップコートで被覆される。別個の裏材料又は異なるトップコートを他方の面に適用してよい。トップコートは、ベーク処理され、急冷されて、次いで出口アキュムレーター塔へと送られて、そこから再巻き取りされる。
【0086】
コーティング組成物は、例えば、未処理鉄鋼、リン酸処理鉄鋼、亜鉛メッキ鋼、金、又はアルミなどの金属基材、及び、例えば、プラスチック及び電気伝導性有機層を含む合成物などの非金属基材といった多くの様々な基材上に塗装することができる。電着塗装法(例えば、電解析出法)又はエレクトロスプレー法では、電気伝導性の基材にのみ使用することができる。さらに、基材は、既にその上に硬化された又は硬化されていない他のコーティングの層、例えば、電解析出されたプライマー、プライマーサーフェーサー、及び/又はベースコートの層を有する任意の材料であってよい。基材が金属製の場合、共有結合したリン原子を含むペンダント基であって、このリン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基を有する被膜形成材料は、基材への被膜の接着性を向上させるために機能し得る。硬化には様々な方法を用いることができるが、いくつかの実施形態では、熱硬化を用いることができる。一般的に、熱硬化は、反応剤(すなわち、被膜形成材料及び架橋剤)が不溶性の高分子網目構造を形成するのに十分な温度と期間で加熱することにより達成される。硬化温度は、電着塗装組成物に対して約150℃〜約200℃であってよく、また硬化時間は約15分間〜約60分であってよい。硬化温度は、より低い温度であってよく、例えば、いくつかの実施形態では、金属触媒が被膜形成材料のペンダント基と錯体を形成するために、140℃以下であってよい。従って、場合によっては、より低いベーク処理温度を用いることができる。トップコートでは、硬化温度は、約120℃〜約140℃であってよく、硬化時間は、約15分〜約30分であってよい。加熱処理は、赤外線式及び/又は対流式オーブンにおいて実施することができる。
【0087】
コイルコーティング組成物は、所定の最高メタル温度で硬化する。最高メタル温度は、オーブン温度が高い場合、より迅速に到達され得る。コイルコーティングのためのオーブン温度は、一般的に、180℃〜約250℃の間の最高メタル温度を得るために、約220℃〜約500℃の範囲であり、オーブンでの滞留時間は約15秒〜約80秒の範囲である。オーブン温度、最高メタル温度、及び滞留時間は、コーティング組成物、基材、及び所望の硬化レベルに従って調整される。コイルコーティング法の例は、参考として本明細書で援用される、米国特許第6,897,265号、同第5,380,816号、同第4,968,775号、及び同第4,734,467号において開示されている。
【0088】
本発明の被膜形成材料、コーティング組成物、及び方法は、いくつかの利点を提供する。例えば、本発明に従って製造されたコーティング組成物では接着性及び腐食性能が向上するため、リン酸処理などの金属表面の前処理を省くことができる。接着性が向上するのは、被膜形成材料に組み込まれたペンダント基と金属基材とが錯体を形成するためであり得る。鉄鋼基材をコーティングする際にリン酸処理段階を省くことによって、時間とコストを節約することができる。さらに、金属触媒が被膜形成材料と錯体を形成することにより、塗装されたコーティング組成物の硬化反応及び触媒効率が向上し得る。これらの向上は、架橋マトリックス中において、反応性官能基に金属触媒を近接させることにより達成され得る。
【0089】
本技術について、さらに以下の実施例において説明する。実施例は単なる例示であり、ここに記載され、特許請求される技術の範囲をいかなる方法においても限定するものではない。全ての部は、別記しない限り、質量部である。適用可能であれば、技術の実施形態を実施するのに好適な商標名化合物も含まれ得る。
【0090】
実施例1
リンを含有する被膜形成樹脂の合成
リンを含有する被膜形成樹脂は、4段階処理を用いて形成する。第一段階は、樹脂ポリマーの主鎖の合成である。ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、溶媒、フェノール、及び触媒を組み合わせて反応させることにより、モノマー単位結合が、両側にエーテル基の位置するヒドロキシル基を含有しているヒドロキシポリマーが得られる。第二段階は、このヒドロキシルポリマーをアミノ有機リン酸塩などの第一級アミンもしくは第二級アミンと反応させることによりアミンキャッピングしてリン酸基を組み込む工程である。第三段階は、キャッピングしたヒドロキシルポリマーと、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とのグラフト反応である。このカルボン酸無水物が、ポリマーのヒドロキシル基と反応して、元は無水物であったものとポリマーとの間にエーテル結合が形成される。グラフト化ポリマー生成物は、カルボン酸基及びエチレン性不飽和基を有する。第四段階は、エチレン性不飽和求核体とジアルキルリン酸基との反応であり、ホスホン酸塩を含有する被膜形成樹脂が得られる。
【0091】
リン含有被膜形成樹脂は、リン原子に共有結合した1個以上の酸素原子及び/又はカルボン酸基を介して金属に配位結合する。金属配位は、樹脂がコーティング被膜として塗装されている場合には基材表面からの金属と、コーティング被膜の硬化特性を向上させるためにコーティング組成物に添加される金属触媒の形態の金属とを含む。
【0092】
以下のように合成スキームを示す。
【0093】
【化4】

【0094】
この合成スキームにおいて、R1及びR2は、第二級アミンによるキャッピングによって組み込まれた有機基であり、R3は、アミノ有機ホスホン酸塩から組み込まれた有機基である。Mは、被膜形成材料を塗装した金属基材の金属であるか、又は金属触媒である。Mは、以下のような金属種、すなわち、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせを含み、ここで、Mは、Al、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択され、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である。
【0095】
本技術の説明は、本質的に単に例示的なものであり、従って、本発明の趣旨から逸脱しない変形は、本発明の範囲内であることが意図される。そのような変形は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものとして理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基と、
少なくとも1つの架橋性基とを有する樹脂を含む、被膜形成材料。
【請求項2】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂である、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項3】
前記架橋性基が、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基である、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項4】
前記架橋性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基である、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項5】
前記ペンダント基が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含む、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項6】
前記ペンダント基が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含み、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、アルキル基が1〜約12個の炭素原子を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項7】
前記ペンダント基が、エステル結合によって前記樹脂に結合している、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項8】
前記ペンダント基が、さらにカルボン酸基を含む、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項9】
さらに、前記被膜形成材料によって配位結合された金属もしくは金属化合物を含む、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項10】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項9に記載の被膜形成材料。
【請求項11】
前記金属もしくは金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項9に記載の被膜形成材料。
【請求項12】
前記樹脂が、構造:
【化1】

[式中、
1及びX2は、独立して、水素、ヒドロキシル、エポキシド、又はアミンの一価の官能基であり、
各R1、R2、及びR3は、独立して、二価の有機基であり、
各Y1は、独立して、1個〜約36個の炭素原子を有する三価の有機基であり、
各Z1は、独立して、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩の一価の基であり、
nは、1〜約12の整数であり、
mは、0〜約12の整数であり、
pは、1〜約12の整数である]
を含む、請求項1に記載の被膜形成材料。
【請求項13】
各Z1が、独立して、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩の一価の基であり、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、該アルキル基が1〜約12個の炭素を含み、該アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項12に記載の被膜形成材料。
【請求項14】
1、R2、及びR3が、2,2−ジフェニルプロパンの二価の基である、請求項12に記載の被膜形成材料。
【請求項15】
1及びX2の少なくとも1つが、ヒドロキシル又はエポキシドの一価の基である場合、前記被膜形成材料が、アミノ有機リン酸塩又はアミノ有機ホスホン酸塩でキャップされている、請求項12に記載の被膜形成材料。
【請求項16】
構造:
【化2】

[式中、
4は、2〜12個のモノマー単位を有する樹脂の一価の基であるか、又は請求項1に記載の被膜形成材料を含む一価の基であり、
5は、水素の一価の基、2〜12個のモノマー単位を有する樹脂、又は請求項1に記載の被膜形成樹脂を含む基であり、
2は、共有結合したリン原子を含む一価の基であって、該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する一価の基である]を含む被膜形成材料。
【請求項17】
2が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含む一価の基である、請求項16に記載の被膜形成材料。
【請求項18】
2が、
【化3】

[式中、R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは、1〜約12の整数である]を含む一価の基である、請求項16に記載の被膜形成材料。
【請求項19】
2が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含む一価の基であり、該リン原子に共有結合した1個もしくは2個の酸素原子がアルキル基もしくはアリール基へのエステル結合を形成し、かつアルキルが1〜約12個の炭素を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項16に記載の被膜形成材料。
【請求項20】
少なくとも1つのペンダント型ヒドロキシル基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸無水物とを反応させて、エステル基、カルボン酸基、及びエチレン性不飽和基を有するグラフト化樹脂を形成する工程であって、該樹脂が少なくとも1つの架橋性基を有する工程と、
該グラフト化樹脂のエチレン性不飽和基と、リン原子を含む化合物であって、該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有する化合物とを反応させる工程と、を含む方法によって製造される被膜形成材料。
【請求項21】
前記架橋性基が、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基である、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項22】
前記架橋性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基である、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項23】
前記樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとビスフェノールAとを含む反応の生成物である、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項24】
リン原子を含む前記化合物が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩である、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項25】
リン原子を含む化合物が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩であり、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子がアルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、アルキル基が1〜約12個の炭素を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項26】
少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、アミン、アミノ有機リン酸塩、又はアミノ有機ホスホン酸塩と反応させることによって該樹脂をキャッピングする工程
をさらに含む、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項27】
前記被膜形成材料を製造する前記方法が、さらに、
少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、
【化4】

[式中、各R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは、1〜約12の整数である]と反応させることによって該樹脂をキャッピングする工程を含む、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項28】
エチレン性不飽和基を有する前記カルボン酸無水物が4〜約36個の炭素原子を含む、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項29】
前記カルボン酸無水物が、アコニット酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、メリト酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、又はテトラヒドロフタル酸無水物である、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項30】
金属もしくは金属化合物を添加する工程であって、該金属もしくは金属化合物が前記被膜形成材料によって配位結合される工程をさらに含む、請求項20に記載の被膜形成材料。
【請求項31】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23、M(OH)n、RxMO、及びこれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項30に記載の被膜形成材料。
【請求項32】
前記金属又は金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項30に記載の被膜形成材料。
【請求項33】
架橋剤と請求項1に記載の被膜形成材料とを組み合わせる工程を含む、コーティング組成物の製造方法。
【請求項34】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記架橋性基が、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記架橋性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ペンダント基が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記ペンダント基が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含み、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、アルキル基が1〜約12個の炭素を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
さらに、少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、アミン、アミノ有機リン酸塩、又はアミノ有機ホスホン酸塩と反応させることによって該樹脂をキャッピングする工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
さらに、少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、
【化5】

[式中、各R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは、1〜約12の整数である]によってキャッピングする工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
さらに、前記被膜形成材料によって配位結合されている金属もしくは金属化合物を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記金属又は金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
架橋剤と、請求項20に記載の被膜形成材料とを組み合わせる工程
を含む、コーティング組成物を製造する方法。
【請求項45】
前記架橋性基が、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記架橋性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
リン原子を含む前記化合物が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩である、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
リン原子を含む前記化合物が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含み、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつアルキル基が1〜約12個の炭素を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとビスフェノールAとを含む反応の生成物である、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、アミン、アミノ有機リン酸塩、又はアミノ有機ホスホン酸塩と反応させることによって前記樹脂をキャッピングする工程
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
さらに、少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、
【化6】

[式中、各R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは、1〜約12の整数である]によってキャッピングする工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
エチレン性不飽和基を有する前記カルボン酸無水物が、4〜約36個の炭素原子を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記カルボン酸無水物が、アコニット酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、メリト酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、又はテトラヒドロフタル酸無水物である、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記架橋剤が、ブロック化ポリイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ポリイソシアネート及びそのオリゴマー、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記架橋剤が、被膜形成材料に対して反応可能な少なくとも2つの官能基と、共有結合したリン原子を含む少なくとも1つのペンダント基であって、該リン原子が少なくとも1つの共有結合した酸素原子を有するペンダント基とを有する、アルキル化合物もしくは芳香族化合物を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記被膜形成材料とアミンを反応させることにより前記被膜形成材料上に塩形成部位を形成する工程、第四級アンモニウム、スルホニウム、又はホスホニウム官能基を被膜形成材料に組み込む工程、又は、酸性官能基を組み込む工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記アミンが、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミンのジケタミン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記組み合わせる工程が、さらに、顔料、塩析剤、金属もしくは金属化合物、及びそれらの組み合わせから成る群の少なくとも1種の物質を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項60】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記金属又は金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
コーティングされた基材を製造する方法であって、
架橋剤と請求項1に記載の被膜形成材料とを組み合わせる工程と、
該コーティング組成物を該基材に塗装する工程と、を含む方法。
【請求項63】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記架橋性基が、架橋剤に対して反応可能な基、自己縮合性基、付加重合性基、又は化学線によって硬化可能な基である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記架橋性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基、又はアミン基である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記ペンダント基が、リン酸塩、有機リン酸塩、ホスホン酸塩、有機ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記ペンダント基が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含み、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、アルキル基が1〜約12個の炭素原子を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記ペンダント基がエステル結合によって前記樹脂に結合している、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記ペンダント基がさらにカルボン酸基を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
さらに、前記被膜形成材料によって配位結合されている金属もしくは金属化合物を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから成る群から選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
記金属又は金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
さらに、前記被膜形成材料とアミンを反応させることにより前記被膜形成材料上に塩形成部位を形成する工程、第四級アンモニウム、スルホニウム、又はホスホニウム官能基を被膜形成材料に組み込む工程、又は酸性官能基を組み込む工程、を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項74】
前記アミンが、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミンのジケタミン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記組み合わせる工程が、さらに、顔料、塩析剤、金属もしくは金属化合物、及びそれらの組み合わせから成る群の物質を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項76】
前記コーティング組成物を混合して分散液を形成する工程
を含む方法であって、
前記塗装工程が、金属基材である前記基材上に前記コーティング組成物を電解析出させる工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項77】
塗装された前記コーティング組成物を硬化させる工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項78】
前記硬化する工程が、加熱工程、化学線の放射工程、あるいは加熱工程及び化学線の放射工程を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
コーティングされた基材を製造する方法であって、
架橋剤と、請求項20に記載の被膜形成材料とを混合してコーティング組成物を形成する工程と、
該コーティング組成物を該基材上に塗装する工程と、を含む方法。
【請求項80】
リン原子を含む前記化合物が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、又は有機ホスフィン酸塩を含み、該リン原子に共有結合している1個もしくは2個の酸素原子が、アルキル基又はアリール基へのエステル結合を形成し、かつ、アルキル基が1〜約12個の炭素を含み、アリール基が置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノプラスト樹脂、又はポリエステル樹脂である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとビスフェノールAとを含む反応の生成物である、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
さらに、前記樹脂を、アミン、アミノ有機リン酸塩、又はアミノ有機ホスホン酸塩でキャッピングする工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
さらに、少なくとも1つの末端エポキシ基を有する前記樹脂を、
【化7】

[式中、各R6及びR7は、独立して、水素、1〜約12個の炭素を含むアルキル基、又は置換及び非置換のフェニル基及びベンジル基を含むアリール基であり、nは、1〜約12の整数である]でキャッピングする工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項85】
エチレン性不飽和基を有する前記カルボン酸無水物が4〜約36個の炭素原子を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記カルボン酸無水物が、アコニット酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、メリト酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、トリメリト酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、又はテトラヒドロフタル酸無水物である、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記架橋剤が、ブロック化ポリイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ポリイソシアネート及びそのオリゴマー、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項88】
前記被膜形成材料とアミンを反応させることにより前記被膜形成材料上に塩形成部位を形成する工程、第四級アンモニウム、スルホニウム、又はホスホニウム官能基を被膜形成材料に組み込む工程、又は酸性官能基を組み込む工程、をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項89】
前記アミンが、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミンのジケタミン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記組み合わせる工程が、さらに、顔料、塩析剤、金属もしくは金属化合物、及びそれらの組み合わせから成る群の物質を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項91】
前記金属もしくは金属化合物が、M、MO、M23,M(OH)n、RxMO、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され、Mは、Al、Au、Bi、Ce、Cu、Fe、Pb、Sn、Sb、Ti、Y、Zn、及びZrから選択される金属であり、nはMの原子価を満たす整数であり、Rはアルキル基又は芳香族基であり、xは1〜6の整数である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記金属又は金属化合物が、酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化銅、及びそれの組み合わせから成る群から選択される金属触媒を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
さらに、前記コーティング組成物を混合して分散液を形成する工程を含む方法であって、前記塗装工程が、金属基材である前記基材上に前記コーティング組成物を電解析出させる工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項94】
塗装された前記コーティング組成物を硬化させる工程をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項95】
前記硬化工程が、加熱工程、化学線の放射工程、あるいは加熱工程及び化学線の放射工程を含む、請求項94に記載の方法。

【公表番号】特表2010−518231(P2010−518231A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549150(P2009−549150)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/050359
【国際公開番号】WO2008/127744
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】