説明

リン酸カルシウム配合骨セメントを用いる脊椎骨の最小侵襲治療(MITV)

生体適合性で、注入可能で、自己硬化型で、粘着性で、骨結合性で、かつリモデリング性のリン酸カルシウムコンポジット材料、ならびにたとえば椎体形成術の強化および椎骨形成術(kyphoplasty)において欠損骨を修復する方法におけるその使用を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
天然に存在する骨は、約70%のミネラル(ナノメートルサイズのカルシウム欠損ヒドロキシアパタイト)と、約30%の有機マトリクス(コラーゲン、タンパク質等)からなる。骨の喪失は、骨形成に対して骨破壊(破骨活性による吸収)が増加した結果(加齢または疾患による)として起こる。骨吸収および骨形成はいずれも、正常な骨格機能の一部として骨格において持続的に起こっている。このプロセスの際に、大量の骨が、リモデリングと呼ばれるプロセスにおいて破壊されてリモデリングされる。
【0002】
骨粗鬆症は、低い骨量を特徴とする疾患であり、これは低エネルギー骨折の頻度を増加させる。骨粗鬆症は、正常な骨密度の喪失と脆弱骨とを特徴とする疾患であることが知られている。これによって、密(たとえば煉瓦)というより圧縮性(たとえばスポンジ)である、文字通り異常な多孔性の骨を生じる。この骨格障害は骨を弱くして、骨破壊(骨折)リスクの増加をもたらす。
【0003】
骨粗鬆症に罹患した骨は、正常であれば骨折を引き起こさないであろうごく軽微な転倒または傷害によって骨折しうる。骨折は亀裂(股関節骨折の場合のように)または崩壊(脊椎骨の圧迫骨折の場合のように)の形態でありうる。脊椎、股関節、および手首は、骨粗鬆症関連骨折の一般的な領域であるが、骨粗鬆症関連骨折は同じくほぼ全ての骨格骨領域において起こりうる。
【0004】
骨粗鬆症で起こる骨折の中でも脊椎骨折は、頻繁であり(閉経後女性の約16%)、背部痛、後遺障害、および身長の減少をもたらすことから、考慮されなければならない。
【0005】
酸素原子の代わりに炭素を含有する、天然に存在するピロリン酸塩の類似体であるビスホスホネートは、破骨性の骨吸収を阻害するために、骨粗鬆症の治療において広く用いられている。ビスホスホネートは、活発にリモデリングを受けている領域において骨塩に選択的に結合することが観察されている。骨において脱着された後、ビスホスホネートは、骨が吸収される(破骨細胞によって)場合に限って再度遊離する。ビスホスホネート治療の最も一般的な副作用は、たとえば腹痛、下痢、および腹部不快感が含まれる消化管障害である。骨粗鬆症の治療が典型的に長期間であると仮定すると、コンプライアンスおよび認容性(副作用がないこと)は重要である。
【0006】
従来のアプローチ(ほとんどが予防的手段としての非外科的治療に基づいている)は、疼痛の軽減および脊柱変形の矯正にとって無効であることが示されているという事実にもかかわらず、脊椎圧迫骨折(VCF)の最小侵襲治療はなおも開発が不十分である。現在、椎体形成術は、蛍光顕微鏡および/またはコンピューター断層撮影による誘導下で椎体に骨代用材料(BSM)を経皮的に(最小侵襲手術(MIS)によって)注入することによって行われる。関連する治療である椎骨形成術(kyphoplasty)には、BSMを注射する前に膨張可能なバルーンによって椎骨を拡大させる試みが含まれる。椎骨形成術は、痛みを伴う骨粗鬆症の圧迫骨折の有効な治療であるが、椎骨形成術手技を受ける患者には、その後60日間にわたって直前レベルの骨折リスクが有意に存在することを知らせるべきである。この関連の理由は不明であるが、1つの椎骨レベルでのセメント増強が隣接レベルに対してさらなる応力を及ぼすために起こる可能性がある。
【0007】
典型的に、MIS技術によって、従来の(解放)手術と同じ転帰が得られるが、追加の恩典には、たとえば閉鎖手術(小さい切開部)または局所手術の採用による開放侵襲手術の回避、手術の合併症の低減(筋層切除、出血等)、手術外傷の低減(軟組織保存による)による術後疼痛の低減、患者の入院期間の低減、およびそれによる、日常活動への機能復帰速度の増加、より短い回復期間(1年のかわりに数ヶ月)、ならびに、1つの大きな瘢痕に代わるいくつかの美容上小さな瘢痕が含まれる。
【0008】
全米骨粗鬆症財団によれば、毎年、骨粗鬆症による椎骨骨折は800,000例であると推定され、これらのうち約200,000例が外科的に治療される。椎骨圧迫骨折の市場は1億6千万ドル(2007年)であると推定され、この状態の標準的治療として手術が拡大し続けると7億5千万ドルに達する可能性がある。2004年において、椎骨形成術および経皮椎体形成術(PV)が含まれる最小侵襲VCF治療の地球全体の市場は、2億5千万ドルより多いと見積もられた。
【0009】
椎体形成術適用のために今日の市場において現在用いられている製品は数十年前のもので、非生体吸収性であり、かつ非リモデリング性であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)セメントであり、これが疼痛軽減のためおよび弱くなった椎骨を強化するために椎体に注射される。PMMAセメントは極めて強く、経時的に劣化せず、さらに骨に組み込まれない。その上、PMMAの高い圧縮強度は、隣で起こる隣接骨の骨折に対して高い非弾性力を発揮することによって、隣接する椎体の骨折を引き起こしうる。
【0010】
2007年に、カナダ保健省は、椎体形成術および椎骨形成術手技におけるPMMAセメントの使用に関連する重篤な合併症に関連する情報を公表した。これらの合併症の中には、以下が含まれる:PMMA単量体の血管系への放出(漏出効果)に関連する可能性がある突然の血圧下降による死亡、脊髄および/または神経根の圧迫による神経欠損に至る脊柱管へのPMMA浸出、隣接する非増強脊椎骨に通常は起こる新たな骨折、ならびにPMMAによる肺動脈塞栓症。
【0011】
PMMAとは異なり、リン酸カルシウムセメント(CPC)は、骨に送達された場合、残留柱状骨における骨芽細胞および破骨細胞による作用を受けて、骨にリモデリングされうる。圧縮強度がより低いため、CPCはまた、椎体をより低剛性にする。CPCはまた、柱状骨構造に組み込まれて、骨の回復を促進することができる。
【0012】
PMMAセメント組成物に関連する合併症を回避する、椎骨形成術および椎体形成術適用において用いることができる組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、生体適合性で、注射可能で、自己硬化型で、粘着性で、骨結合性で、かつリモデリング性のリン酸カルシウムコンポジット材料、ならびに椎体形成術強化のための方法におけるその使用を特徴とする。好ましい態様において、CaP材料は、ナノ結晶アパタイト(NCA)またはナノ低結晶アパタイト(NLCA)であり、これらはたとえば低温複分解技術または高エネルギー粉砕技術を用いて合成されうる。本発明のCaP材料にはまた、ポリ乳酸(PLA)およびヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)単量体などのポリマーまたは他の化学結合物質が含まれてもよい。PMMA含有セメントとは異なり、本発明のCaP材料は、インビボでリモデリングされることができ、患者の体内に「漏出」しうる揮発性の単量体を含有しない。
【0014】
第一の局面において、本発明は、哺乳動物(たとえば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)の少なくとも1つの椎体に流動可能な骨セメントを(たとえば、16ゲージ以下の針、たとえば11ゲージ針を通して)注入する段階(たとえば、椎体に直接注入することによって、または空隙を作製した後に椎体に注入することによって)、および流動可能な骨セメントを硬化させる段階によって、椎体に椎体形成術を行うための方法を特徴とする。流動可能な骨セメントには、該流動可能な骨セメントを産生するために十分な量の、リン酸カルシウム材料(たとえば、NCAおよびNLCAなどのナノ結晶アパタイトリン酸カルシウム)、放射線不透過物質、および薬学的に許容される液体が含まれる。リン酸カルシウムは、非晶質リン酸カルシウム、低結晶リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト(カルシウム欠損ヒドロキシアパタイト)、リン酸一カルシウム、メタリン酸カルシウム、リン酸七カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ピロリン酸カルシウム、およびリン酸三カルシウム、またはこれらの混合物から選択されうる。硬化した場合、流動可能な骨セメントは、圧縮強度1 mPaまたはそれ以上を有し、インビボで吸収可能である。1つの態様において、流動可能な骨セメントは、骨成長を促進するまたは骨吸収を阻害する少なくとも1つの物質、脱灰骨基質、および1つもしくは複数の結晶成長阻害剤のうち1つまたは複数をさらに含むか、あるいは、過酸化ベンゾイル粉末、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、およびジメチル-p-トルイジンの1つまたは複数を用いて形成される。他の態様において、リン酸カルシウム材料は、ポリマー(たとえば、ポリ乳酸)、または他の化学結合物質(たとえば、HEMA)と化学結合する。
【0015】
他の態様において、流動可能な骨セメントには、粘着物質、骨形成物質、または医用物質がさらに含まれる。粘着物質は、以下からなる群より選択されうる:
(a)多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択される1つまたは複数のポリマー;
(b)アクロレインカリウム、メタクリルアミド、メタクリル酸およびその塩、メタクリレート、アクリロニトリル、エチレン、エチレングリコール、エチレンイミン、エチレンオキサイド、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、およびビニルピロリドンからなる群より選択される1つまたは複数の単量体を有するホモポリマーまたはコポリマー;
(c)ガロタンニン、エラジタンニン、タラガロタンニン、カフェタンニン、プロアントシアニジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、およびアルブチンから選択されるポリフェノール複合物質;または
(d)アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物から選択される物質。
【0016】
本発明の第一の局面の他の態様において、骨形成物質は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、アクチビン、インヒビン、および骨形態形成タンパク質(BMP)からなる群より選択されるが、医用物質は、抗生物質、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、筋弛緩剤、鎮痙剤、鎮痛剤、プロスタグランジン、抗うつ剤、栄養因子、およびホルモンからなる群より選択される。
【0017】
本発明の第一の局面のさらに他の態様において、薬学的に許容される液体は、水、生理食塩液、リン酸緩衝液、生物学的液体、特に血液または血液成分を含む液体、およびグリセロールから選択される。本方法にはまた、流動可能な骨セメントを2つ以上の椎体に注入する段階が含まれる。加えて、椎体は、骨折した骨または骨粗鬆症の骨であってもよい。他の態様において、リン酸カルシウム材料は30〜80 nm(たとえば、30〜50 nm)の範囲内の結晶を有するか、またはヒドロキシアパタイトと比較して60%未満(好ましくは50%未満、およびより好ましくは40%未満)の結晶度指数値を有する。
【0018】
他の態様において、本方法は、切開部を通して椎体部位にシリンジ針を挿入することができる1つまたは複数の小さい(2インチ未満、より好ましくは1インチ未満)切開部の形成を必要とする最小侵襲手術を伴う。流動可能な骨セメントをシリンジを通して投与することにより、患者に大きい入口を作製する必要性がなくなる。本方法は、手術による合併症を低減させて(たとえば、筋層切除、出血等)、手術による外傷(たとえば、軟組織を保存することによって)および術後疼痛を低減させて、患者の入院期間を低減させて、機能回復速度を増加させて回復時間を減少させ(たとえば、1年またはそれより長い期間を数ヶ月に減少)、かつ1つの大きな瘢痕の代わりにいくつかの小さな瘢痕を残す。
【0019】
本発明の第二の局面は、リン酸カルシウム材料(たとえば低温複分解技術または高エネルギー粉砕技術を用いて合成されうる、たとえば、ナノ結晶アパタイト(NCA)、またはナノ-低結晶アパタイト(NLCA))、および薬学的に許容される液体(たとえば、水、生理食塩液、リン酸緩衝液、生物学的液体、特に、血液、または血液成分を含む液体、およびグリセロール)が含まれる流動可能な骨セメントを特徴とし、流動可能な骨セメントは(たとえば、少なくとも16ゲージ以下(たとえば、11ゲージ以下)のサイズを有する針を通して)注入可能であり、37℃において1時間未満で硬化し、硬化後1 mPa以上の圧縮強度を有し、インビボで吸収可能である。1つの態様において、流動可能な骨セメントには、放射線不透過物質または補助物質(たとえば、粘着物質、骨形成物質、および医用物質)が含まれる。他の態様において、リン酸カルシウム材料は、ポリマー(たとえば、ポリ乳酸)または他の化学結合物質(たとえば、HEMA)と化学結合する。他の態様において、リン酸カルシウムは、非晶質リン酸カルシウム、低結晶リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト(カルシウム欠損ヒドロキシアパタイト)、リン酸一カルシウム、メタリン酸カルシウム、リン酸七カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ピロリン酸カルシウム、およびリン酸三カルシウム、またはこれらの混合物から選択される。さらに他の態様において、流動可能な骨セメントは、孔形成物質、たとえば発泡剤、骨成長を促進するもしくは骨吸収を阻害する少なくとも1つの物質、脱灰骨基質、または1つもしくは複数の結晶成長阻害剤をさらに含むか、または過酸化ベンゾイル粉末もしくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびジメチル-p-トルイジンを用いて形成される。
【0020】
本発明の第二の局面のさらに他の態様において、リン酸カルシウムは、30〜80 nm(たとえば、30〜50 nm)の範囲内で結晶を有するか、またはヒドロキシアパタイトと比較して60%未満(好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満)の結晶度指数値を有する。
【0021】
本発明の第三の局面は、本発明の第二の局面の流動可能な骨セメントと、流動可能な骨セメントを送達するためのシリンジとが含まれるキットを特徴とする。
【0022】
本発明の第四の局面は、低温複分解技術または高エネルギー粉砕技術を用いてナノ結晶アパタイト(NCA)およびナノ低結晶アパタイト(NLCA)のCaP材料を作製して、粘着物質を加えるか、またはポリマー(たとえば、ポリ乳酸)もしくはたとえばHEMAを用いてCaP材料を化学結合させることによる、37℃で2時間未満、好ましくは1時間未満、より好ましくは30分未満、および最も好ましくは10分〜30分のあいだで硬化可能であり、かつ硬化前に16ゲージ以下の針(たとえば、11ゲージ針)を用いて注入可能である、流動可能な骨セメントを形成する方法を特徴とする。硬化した後、材料は、1 mPaまたはそれより大きい圧縮強度(たとえば、約1 MPa〜約150 MPaの範囲の圧縮強度(たとえば、2、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、もしくは120 MPaまたはそれより大きい))を有する。
【0023】
本明細書において用いられる「約」という用語は、引用された値の±10%を意味する。
【0024】
本明細書において用いられる「生体適合性」の物質は、レシピエントにおいて許容されないまたは望ましくない生理的応答、たとえば免疫応答を生じない物質である。
【0025】
本明細書において用いられかつ本発明のCaPコンポジットに適用される「粘着性」という用語は、質量を失うことなくCaPコンポジットがその形状を維持することができることを意味する。コンポジットは、水性環境での少なくとも10分間インキュベーション後にその当初質量および体積の90%より多くがその当初形状寸法内で保持される場合に粘着性であるとみなされる。
【0026】
「生体吸収性」とは、体によってインビボで分解または代謝され、かつ体の正常な排出経路によって吸収および/または排出されうることを意味する。そのような代謝物または切断産物は、体に対して実質的に非毒性であるべきである。
【0027】
本明細書において用いられる「粘着物質」とは、本発明のCaPコンポジットに含まれる場合に、CaPコンポジットの粘着性を維持する能力を向上させる添加剤を意味する。好ましい粘着物質には、多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択されるポリマーが含まれる。好ましい粘着物質にはまた、アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン(たとえば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、またはデキストラン硫酸ナトリウム)、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース(たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロース)、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン(たとえば、ヒドロキシエチルデンプンまたは可溶性デンプン)、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明を以下の図面を参照して記述するが、これらは説明する目的に限って提示され、本発明を制限すると意図されない。
【図1】本発明のリン酸カルシウム材料(放射線不透過物質を含有する;底部は針)のヒト椎体への注入を示すX線画像である。
【図2】注入後の椎体(底部針)へのリン酸カルシウム材料の分散を示すX線画像である。
【図3】ヒト椎体へのリン酸カルシウム材料の注入の際の外面図を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、椎体形成術強化および椎骨形成術のために用いることができる、生体適合性で、注射可能で、自己硬化型で、粘着性で、骨結合性で、かつリモデリング性のリン酸カルシウムコンポジット(CaPコンポジット)を特徴とする。
【0030】
本発明は、接着剤(たとえば、ポリマー)とCaP材料とのあいだで化学結合を作製することによって調製されたいくつかのCaP配合物を特徴とする。CaP成分は、接着剤と単に物理的に混合されるのではなく、たとえば低温複分解湿式化学プロセス(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,783,217号を参照されたい)、高エネルギー粉砕プロセス(たとえば、その双方が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号および第6,840,961号を参照されたい)、またはその両方を用いることによって化学結合される。1つの態様において、CaP材料はナノ結晶アパタイト(NCA)またはナノ低結晶アパタイト(NLCA)として配合される。これらのアパタイトは、たとえば先に考察した低温複分解技術を用いることによって合成される。
【0031】
本発明のCaPコンポジットはまた、たとえば物理的固定によってCaPと共に重合化するポリ乳酸(PLA)が含まれる1つまたは複数のポリマーを用いて調製されうる。
【0032】
本発明のCaPコンポジットはまた、たとえば、化学的連結を用いてCaPを重合化(CaP共重合(共有結合))するために用いられるヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)単量体を含む1つまたは複数のポリマーを用いて調製されうる。化学結合は、アパタイトのヒドロキシルイオンを部分的に交換する可能性があるリン酸イオンを通して形成されてもよい。
【0033】
PMMAセメントとは異なり、本発明のCaPコンポジットは、骨にリモデリングされうる。その上、本発明のCaPコンポジットは、移植部位(たとえば、椎体形成術または椎骨形成術適用における)に適用された後、コンポジットから「漏出」しうる揮発性の単量体を含有せず、したがって、本発明のCaPコンポジットは、PMMA適用において観察された有意な副作用の可能性を実質的に低減させることができる。
【0034】
その上、本発明のCaPコンポジットは、注入用に配合可能であり(注射可能であり)、成形可能な材料として配合可能であり、これは埋め込み前にまたは埋め込み部位で所望の(たとえば、形成可能な)形状に成型されることができ、かつ生分解性である。その上、本発明のCaPコンポジットは、治療用途において(たとえば、脊椎圧迫骨折の治療)、または予防的用途(たとえば、骨粗鬆症の骨(たとえば、脊椎)などの骨の増強)のために用いられうる。たとえば、骨粗鬆症椎体への本発明のCaPコンポジットの経皮的注入は、その骨折強度および剛性を実質的に増加させることができる。その上、本発明のCaPコンポジットの椎体圧迫骨折への注入は、PMMAの使用に関連する潜在的問題を回避しながら、脊椎の高さを部分的に回復させ、かつさらなる椎体崩壊を実質的に防止することができる。
【0035】
本発明のCaPコンポジットはまた、骨粗鬆症ヒト椎骨への椎弓根スクリューの埋め込みを増強するためにも用いられうる。本発明のCaPコンポジットは、他の固定組成物と比較して引き抜きおよび回転負荷の双方に関する骨粗鬆症ヒト椎骨における椎弓根スクリューの安定性の向上を提供する。
【0036】
1つの態様において、本発明のCaPコンポジットには、生体適合性の粘着物質が含まれる。好ましい態様において、粘着物質には、多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択される1つまたは複数のポリマーが含まれる。粘着物質はまた、ポリ(アミノ酸)、特にポリプロリン、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(L-リジン)、ポリサルコシン、ポリ(L-ヒドロキシプロリン)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(S-カルボキシメチル-L-システイン)、およびポリ(アスパラギン酸);アクロレインカリウム、メタクリルアミド、メタクリル酸およびその塩、メタクリレート(たとえば、メタクリル酸ヒドロキシル(HEMA)、アクリロニトリル、エチレン、エチレングリコール、エチレンイミン、エチレンオキサイド、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、およびビニルピロリドン)からなる群より選択される1つまたは複数の単量体が含まれるホモポリマーまたはコポリマー;またはポリフェノール複合物質(たとえば、ガロタンニン、エラジタンニン、タラガロタンニン、カフェタンニン、プロアントシアニジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、およびアルブチンから選択される物質)でありうる。
【0037】
好ましい粘着物質にはまた、アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン(たとえば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、またはデキストラン硫酸ナトリウム)、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース(たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロース)、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン(たとえば、ヒドロキシエチルデンプンまたは可溶性デンプン)、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物が含まれる。なおもう1つの好ましい態様において、生体適合性の粘着物質は、本発明の組成物において、約0.5重量%〜約20重量%(たとえば、約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満、および最も好ましくは約1重量%未満)の範囲の量で存在する。
【0038】
加えて、CaPコンポジットはまた、組成物の乾燥成分に加えられた場合に、自己硬化ペーストまたはパテを生じる(たとえば、ペーストまたはパテは、約10分〜約2時間で、好ましくは約10分〜約1時間で、より好ましくは約10分〜約30分で硬化する)生理的に許容される液体を含んでもよい。本発明のいくつかの態様において、適した生理的に許容される液体には、水、生理食塩液、グリセロール、およびリン酸緩衝液が含まれるがこれらに限定されるわけではない。他の態様において、液体は、生物学的液体、たとえば、生きている生物に関連する任意の処置または無処置の液体(懸濁液が含まれる)、特に全血が含まれる血液、温血液または冷血液、保存血液または新鮮血液;生理食塩液、栄養剤、および/または抗凝固液が含まれるがこれらに限定されるわけではない少なくとも1つの生理的溶液によって希釈された血液などの、処置血液;血小板濃縮物(PC)、アフェレーシス血小板、多血小板血漿(PRP)、少血小板血漿(PPP)、血小板非含有血漿、血漿、血清、新鮮凍結血漿(FFP)などの血液成分、血漿、濃縮赤血球(PRC)、バフィーコート(BC)から得られた成分;血液もしくは血液成分に由来する、または骨髄に由来する血液製剤、血漿から分離されて生理的液体中に浮遊させた赤血球、および血漿から分離されて生理的液体中に浮遊させた血小板でありうる。
【0039】
本発明のCaPコンポジットは、水和されるとペーストまたはパテを形成して、それらを容易に注射することができる流動特徴を示す。所望の特徴を有するペーストを産生するために、様々な量の液体をCaPコンポジットの乾燥成分に加えてもよい。たとえば、少なくともいくつかの態様において、粉末1グラムあたり液体0.5〜2.0 ccを用いて、形成可能な、すなわち成型されてその形状を保持することができるペーストを調製する。少なくともいくつかの態様において、ペーストは注入可能であり、すなわち16〜18ゲージ針の中を通過することができる。ペーストはまた、カテーテル(たとえば、7〜15ゲージ針、より好ましくは7、8、9、10、11、12、13、14、または15ゲージ針を有するカテーテル)を通して送達するために調製されうる。注入されると、CaPコンポジットはその形状および位置を保持する。
【0040】
もう1つの局面において、CaPコンポジットは水和されると、インビボで埋め込み部位に適用された場合に、成型可能で粘着性である形成可能な自己硬化ペーストを産生するか、または骨修復部位(たとえば、椎体)に注入されうる注入可能な自己硬化組成物を産生するが、形成可能なおよび注射可能な組成物はいずれも埋め込み部位で硬化することができる。この場合も、組成物は、注入されると、その形状および位置を保持する。少なくともいくつかの態様において、ペーストは硬化して、有意な圧縮強度を有するCaPコンポジット(たとえば、NCAまたはNCLA)を形成する。CaPコンポジットは、ペースト型で、または硬化したCaPコンポジット(たとえば、交換される骨欠損部の形状などの所望の形状に成型される)としてインビボで埋め込まれるまたは注入されてもよい。本発明のCaPコンポジットは、骨を修復するために、たとえば損傷した椎骨などの損傷した骨を修復するために用いられうる。
【0041】
いくつかの態様に従って、CaPコンポジットには加えて生物活性物質が含まれる。本明細書において記述される組成物および方法において用いられうる生物活性物質には、抗体、抗生物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質(たとえば、骨形成タンパク質)、抗癌剤、増殖因子、およびワクチンが含まれるがこれらに限定されるわけではない。骨形成タンパク質には、BMP-2、BMP-3、BMP-3b、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14、BMP-15、BMP-16、BMP-17、およびBMP-18が含まれるがこれらに限定されるわけではない。抗癌剤には、アルキル化剤、白金製剤、抗代謝剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、アロマターゼ阻害剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、DNAアンタゴニスト、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ポンプ阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、メタロプロテナーゼ阻害剤、リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、TNFαアゴニスト、TNFαアンタゴニスト、エンドセリンA受容体アンタゴニスト、レチン酸受容体アゴニスト、免疫モジュレータ、ホルモン剤、抗ホルモン剤、光力学剤、およびチロシンキナーゼ阻害剤が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0042】
もう1つの好ましい態様において、CaPコンポジットには、脱灰骨基質(DBM)が含まれる。好ましい態様において、DBMは、53〜850μmの範囲の粒子サイズを有する。他の態様において、DBMは53〜125μm(すなわち、微細)または125〜850μm(すなわち完全な範囲のDBM粒子)の範囲の粒子サイズを有する。さらに他の態様において、DBMは約250μm〜約2 mmの範囲の繊維長を有する繊維として提供される。
【0043】
他の態様において、CaPコンポジットには、造影剤(たとえば、バリウムアパタイト造影剤、たとえば参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2005/0257714号を参照されたい)が含まれる。
【0044】
他の態様において、CaPコンポジットには、1.67未満のCa/P比を有するリン酸カルシウム成分が含まれる。特に好ましい態様において、CaPコンポジットは硬化して1.0〜1.67の、好ましくは1.3〜1.65の、より好ましくは1.4〜1.6の、および最も好ましくは天然に存在する骨の値に近い、すなわち1.45〜1.67の範囲の総Ca/P比を有する組成物を形成する。好ましい態様において、CaPコンポジットは約1.5に等しいまたはそれ未満のCa/P比を有する。
【0045】
さらに他の態様において、本発明のCaPコンポジットは、約1または2 MPaに等しいまたはそれより大きい圧縮強度を示す。他の好ましい態様において、圧縮強度は、約1 MPa〜約150 MPaの範囲(たとえば、20、30、40、50、60、70、80、90、または100 MPa)である。さらに他の好ましい態様において、圧縮強度は120 MPaまたはそれより大きい(たとえば、120〜150 MPa)。
【0046】
他の態様において、CaPコンポジットのCaP成分は、100 nm未満の平均結晶ドメインサイズ(たとえば、約1 nm〜約99 nmの範囲、好ましくは50 nmまたはそれ未満、より好ましくは40、30、20、10 nmまたはそれ未満)を有する。
【0047】
結晶の引張強度はコンポジットの強度を向上させ、(CaPの)結晶が小さいほど高くなる。臨界サイズ(30ナノメートル前後)より小さい粒子の場合、亀裂のある結晶が欠損のない結晶と同じ骨折強度を有する。
【0048】
さらに他の態様において、CaPコンポジットには、放射線不透過物質が含まれる。放射線不透過物質の非制限的な例には、バリウム(たとえば、炭酸バリウムおよび硫酸バリウム)、ヨウ素(たとえば、メタクリル酸メチル、2-(2'-ヨードベンゾイル)-メタクリル酸エチル)、酸化ランタン、および二酸化ジルコニウムが含まれる。他の態様において、放射線不透過物質は、CaPコンポジットにおいて20重量%またはそれ未満、好ましくは5重量%またはそれ未満、およびより好ましくは1重量%またはそれ未満で存在する。
【0049】
本発明のCaPコンポジットにおいて用いるための生体適合性の粘着物質
本発明のCaPコンポジットには、生体適合性の粘着物質が含まれてもよい。適した生体適合性の粘着物質の非制限的な例には、多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択されるポリマーが含まれる。好ましい粘着物質にはまた、アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン(たとえば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、またはデキストラン硫酸ナトリウム)、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース(たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシエチルセルロース)、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン(たとえば、ヒドロキシエチルデンプンまたは可溶性デンプン)、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物が含まれる。いくつかの態様において、生体適合性の粘着物質は水溶性である。水溶性の粘着物質は、インビボで埋め込まれた直後にインプラント材料から溶解して、それによって骨インプラント材料にマクロ孔が導入される。このマクロ孔は、近づきやすくなることによって骨インプラント材料の骨伝導性を増加させて、その結果埋め込み部位での破骨細胞および骨芽細胞のリモデリング活性を強化する。
【0050】
生体適合性の粘着物質を、様々な量でおよび粉末成分の産生の際の様々な段階で本発明のCaPコンポジットに加えてもよい。生体適合性の粘着物質は、約1〜50重量%の範囲で存在する。本発明のいくつかの態様において、生体適合性の粘着物質は、粉末成分の40重量%未満またはそれに等しい量で、好ましくは30重量%未満またはそれに等しい、より好ましくは20重量%未満またはそれに等しい、および最も好ましくは10重量%未満またはそれに等しい量で存在する。好ましい態様において、生体適合性の粘着物質は、約5重量%の量で存在する。
【0051】
本発明の態様において、CaPコンポジットにはDBMが含まれる。いくつかの例において、骨インプラント材料のDBM含有量は非常に高いので、コンポジットのリン酸カルシウム成分によって形成性および粘着性が提供されるにもかかわらず、粘着物質が埋め込み時の骨インプラント材料の力学的強度をさらに増強することが望ましい。特定の態様において、生体適合性の粘着物質は、粉末成分の約10重量%の量で存在する。好ましい態様において、リン酸カルシウム組成物には、成分の全ての組み合わせが全体で100重量%となるように、約40〜50重量%の量でのDBM、約35〜45重量%の量でのリン酸カルシウム成分、約5〜10重量%での粘着物質、および約5〜10重量%の量での発泡剤が含まれる。生体適合性の粘着物質は、溶液としてDBM粒子に加えられてもよく、たとえば粘着物質はDBM粒子をコーティングすることができる。生体適合性の粘着物質は、DBM粒子およびリン酸カルシウム粉末を含む、組成物の粉末成分に加えられてもよい。当業者は、所定の用途にとって必要な粘着物質の量および封入法を決定することができるであろう。
【0052】
生物活性物質
本発明のCaPコンポジットにはまた、生物活性物質が含まれうる。一般的に、生物活性物質は、CaPコンポジットの製造の際にペースト内で活性であり続けなければならない、またはCaPコンポジットの製造後に活性化もしくは再活性化されることができなければならない。または、生物活性物質は、宿主へのCaPコンポジットの埋め込み時に(成型可能なもしくは注入可能なペーストとしてまたは硬化したセメントとして)または水性環境で37℃で硬化した後に添加されうる。
【0053】
本発明のCaPコンポジットに組み入れられうる生物活性物質には、有機分子、無機材料、タンパク質、ペプチド、核酸(たとえば、遺伝子、遺伝子断片、遺伝子調節配列、およびアンチセンス分子)、ヌクレオタンパク質、多糖類、糖タンパク質、およびリポタンパク質が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明の組成物に組み入れることができる生物活性化合物のクラスには、抗癌剤、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、鎮痙剤、ホルモン、筋弛緩剤、鎮痙剤、眼科用剤、プロスタグランジン、抗うつ剤、抗精神病物質、栄養因子、骨誘導タンパク質、増殖因子、およびワクチンが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0054】
抗癌剤には、アルキル化剤、白金製剤(たとえば、シスプラチン)、抗代謝剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、アロマターゼ阻害剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、DNAアンタゴニスト、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ポンプ阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、メタロプロテナーゼ阻害剤、リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、TNFαアゴニスト/アンタゴニスト、エンドセリンA受容体アンタゴニスト、レチン酸受容体アゴニスト、免疫モジュレータ、ホルモン剤および抗ホルモン剤、光力学剤、ならびにチロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。
【0055】
表1において記載される生物活性物質のいずれも用いることができる。
【0056】
【表1】




【0057】
CaPコンポジットにはまた、医用物質、たとえばアミノグリコシド(たとえば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、アミカシン、ネオマイシン)、バシトラシン、コルバペネム(corbapenem)(たとえば、イミペネム/シスラスタチン)、セファロスポリン、コリスチン、メテナミン、モノバクタム(たとえば、アズトレオナム)、ペニシリン(たとえば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナトシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、ピペラシリン、メズロシリン、アズロシリン)、ポリミキシンB、キノロン、およびバンコマイシンなどの抗生物質、ならびにクロラムフェニコール、クリンダマイシン、マクロライド(たとえば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、リンコマイシン、ニトロフラントイン、スルホンアミド、テトラサイクリン(たとえば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン)、およびトリメトプリムなどの静菌剤が含まれうる。同様にメトロニダゾール、フルオロキノロン、およびリタンピンも含まれる。
【0058】
酵素阻害剤は、酵素反応を阻害する物質である。本発明のCaPコンポジットに含まれうる酵素阻害剤の例には、たとえば、塩化エドロフォニウム、N-メチルフィソスチグミン、臭化ネオスチグミン、硫酸フィソスチグミン、タクリン、タクリン、1-ヒドロキシマレイン酸、ヨードツベルシジン、p-ブロモテトラミソール、10-(α-ジエチルアミノプロピオニル)-フェノチアジン塩酸塩、塩化カルミダゾリウム、ヘミコリニウム-3、3,5-ジニトロカテコール、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤I、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤II、3-フェニルプロパルジルアミン、酢酸N6-モノメチル-L-アルギニン、カルビドーパ、3-ヒドロキシベンジルヒドラジン、ヒドララジン、クロルジリン、デプレニル、ヒドロキシルアミン、リン酸イプロニアジド、6-MeO-テラヒドロ-9H-ピリド-インドール、ニアラミド、パージリン、キナクリン、セミカルバジド、トラニルシプロミン、N,N-ジエチルアミノエチル-2,2-ジフェニル吉草酸塩酸塩、3-イソブチル-1-メチルキサンチン、パパベリン、インドメタシン、2-シクロオクチル-2-ヒドロキシエチルアミン塩酸塩、2,3-ジクロロ-a-メチルベンジルアミン(DCMB)、8,9-ジクロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンズアゼピン塩酸塩、p-アミノグルテチミド、酒石酸p-アミノグルテチミド、3-ヨードチロシン、α-メチルチロシン、アセタゾラミド、ジクロロフェナミド、6-ヒドロキシ-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド、およびアロプリノールが含まれる。
【0059】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる抗ヒスタミン剤には、中でも、たとえばピリルアミン、クロルフェニラミン、およびテトラヒドラゾリンが含まれる。
【0060】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる抗炎症剤には、たとえばコルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症剤(たとえば、アスピリン、フェニルブタゾン、インドメタシン、サリンダック、トルメチン、イブプロフェン、ピロキシカム、およびフェナメート)、アセトアミノフェン、フェナセチン、金塩、クロロキン、D-ペニシラミン、メトトレキサート、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、およびスルフィンピラゾンが含まれる。
【0061】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる筋弛緩剤には、たとえばメフェネシン、メトカルボマール(methocarbomal)、シクロベンザプリン塩酸塩、トリヘキシルフェニジル塩酸塩、レボドーパ/カルビドーパ、およびビペリデンが含まれる。
【0062】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる鎮痙剤には、たとえばアトロピン、スコポラミン、オキシフェノニウム、およびパパベリンが含まれる。
【0063】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる鎮痛剤には、たとえば、アスピリン、フェニルブタゾン、インドメタシン、サリンダック、トルメチク、イブプロフェン、ピロキシカム、フェナメート、アセトアミノフェン、フェナセチン、硫酸モルヒネ、硫酸コデイン、メペリジン、ナロルフィン、オピオイド(たとえば、硫酸コデイン、クエン酸フェンタニル、二酒石酸ハイドロコドン、ロペラミド、硫酸モルヒネ、ノスカピン、ノルコデイン、ノルモルフィン、テバイン、ノル-ビナルトルフィミン、ブプレノルフィン、クロルナルトレキサミン、フナルトレキサミオン、ナルブフィン、ナロルフィン、ナロキサン、ナロキソナジン、ナルトレキソン、およびナルトリンドール)、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、およびジブカインが含まれる。
【0064】
本発明のCaPコンポジットに含まれうる眼科用剤には、たとえば、フルオレセインナトリウム、ローズベンガル、メタコリン、アドレナリン、コカイン、アトロピン、α-キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、ベタキサロール、ピロカルピン、チモロール、チモロール塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
多様な生物学的効果を有する天然に存在する化学的に関連する長鎖ヒドロキシ脂肪酸のクラスとして当技術分野において認識されるプロスタグランジンも同様に、本発明のCaPコンポジットに含まれうる。
【0066】
抗うつ剤は、うつ病を予防または軽減することができる物質である。本発明のCaPコンポジットに含まれうる抗うつ剤の例には、たとえば、イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、アモキサピン、ドキセピン、マプロチリン、トラニルシプロミン、フェネルジン、およびイソカルボキサジドが含まれる。
【0067】
栄養因子は、その持続的な存在により細胞の生存率または寿命を向上させる因子である。本発明のCaPコンポジットにおいて用いられうる栄養因子には、血小板由来増殖因子(PDGP)、好中球活性化タンパク質、単球化学誘引タンパク質、マクロファージ-炎症タンパク質、血小板因子、血小板塩基性タンパク質、および黒色腫増殖刺激活性;上皮細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子(α)、線維芽細胞増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、グリア由来増殖神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、神経成長因子、骨増殖/軟骨誘導因子(αおよびβ)、骨形態形成タンパク質、インターロイキン(たとえば、インターロイキン1〜インターロイキン10が含まれる、インターロイキン阻害剤またはインターロイキン受容体)、インターフェロン(たとえば、インターフェロンα、β、およびγ)、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子が含まれる造血因子;腫瘍壊死因子、β-1、β-2、β-3が含まれるトランスフォーミング増殖因子(β)、インヒビン、およびアクチビン;ならびにOP-1、BMP-2、およびBMP-7などの骨形態形成タンパク質が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0068】
本発明のCaPコンポジットに含まれうるホルモンには、たとえばエストロゲン(たとえば、エストラジオール、エストロン、エストリオール、ジエチルスチルベストロール、キネストロール、クロロトリアニセン、エチニルエストラジオール、メストラノール)、抗エストロゲン(たとえば、クロミフェン、タモキシフェン)、プロゲスチン(たとえば、メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、ヒドロキシプロゲステロン、ノルゲストレル)、抗プロゲスチン(ミフェプリストン)、アンドロゲン(たとえば、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、ダナゾール、テストラクトン)、抗アンドロゲン(たとえば、酢酸シプロテロン、フルタミド)、甲状腺ホルモン(たとえば、トリヨードチロニン、チロキシン、プロピルチオウラシル、メチマゾールおよびイオジキソード(iodixode))、ならびに下垂体ホルモン(たとえば、コルチコトロピン、スムトトロピン、オキシトシン、およびバソプレッシン)が含まれる。ホルモンは、ホルモン補充療法においておよび/または産児制限目的のために一般的に用いられる。免疫抑制剤および抗炎症剤としても用いられるプレドニゾンなどのステロイドホルモンは、本発明のCaPコンポジットに含まれうる。
【0069】
骨形成タンパク質
生物活性物質は、望ましくはアクチビン、インヒビン、および骨形態形成タンパク質(BMP)が含まれるトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリータンパク質として公知であるタンパク質ファミリーから選択される。最も好ましくは、活性物質には、骨形成活性、ならびに他の増殖および分化型活性を有することが開示されているBMPとして一般的に知られるタンパク質のサブクラスから選択される少なくとも1つのタンパク質が含まれる。これらのBMPには、例として米国特許第5,108,922号、第5,013,649号、第5,116,738号、第5,106,748号、第5,187,076号、および第5,141,905号において開示されるBMPタンパク質BMP-2、BMP-3、BMP-3b、BMP-4、BMP-5、BMP-6、およびBMP-7;PCT出願WO 91/18098において開示されるBMP-8;PCT出願WO 93/00432において開示されるBMP-9、PCT出願WO 94/26893において開示されるBMP-10;PCT出願WO 94/26892において開示されるBMP-11、またはPCT出願WO 95/16035において開示されるBMP-12もしくはBMP-13;BMP-14;米国特許第5,635,372号において開示されるBMP-15;または米国特許第5,965,403号において開示されるBMP-16が含まれる。他のBMPには、BMP-17およびBMP-18が含まれる。
【0070】
本発明のCaPコンポジットにおいて活性物質として有用である可能性がある他のTGF-βタンパク質には、たとえば、Vgr-2、Jones et al., Mol Endocrinol. 6:1961 (1992)、およびPCT出願WO 94/15965、WO 94/15949、WO 95/01801、WO 95/01802、WO 94/21681、WO 94/15966、WO 95/10539、WO 96/01845、WO 96/02559およびその他において記述される因子が含まれる任意の増殖および分化因子(GDF)が含まれる。同様に、WO 94/01557において開示されるBIP、日本国特許出願公開第7-250688号において開示されるHP00269、およびPCT出願WO 93/16099において開示されるMP52も本発明において有用である可能性がある。上記の出願の全ての開示は参照により本明細書に組み入れられる。本発明において用いるために現在好ましいBMPのサブセットには、BMP-2、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-10、BMP-12、BMP-13、BMP-14、およびMP52が含まれる。活性物質は、最も好ましくはBMP-2であり、その配列は、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,013,649号において開示される。中でもテリパラチド(Forteo(商標))、Chrysalin(登録商標)、プロスタグランジンE2、またはLIMタンパク質などの当技術分野において公知の他の骨形成物質も同様に用いることができる。
【0071】
生物活性物質は、組み換えによって産生されてもよく、またはタンパク質組成物から精製されてもよい。活性物質、例えばBMPなどのTGF-β、もしくは他の二量体タンパク質はホモ二量体であってもよく、または他のBMP(たとえば、BMP-2およびBMP-6の各々の1つの単量体から構成されるヘテロ二量体)もしくはアクチビン、インヒビン、およびTGF-β1などのTGF-βスーパーファミリーの他のメンバー(たとえば、BMPの各々の1つの単量体と、TGF-βスーパーファミリーの関連するメンバーとで構成されるヘテロ二量体)とのヘテロ二量体であってもよい。そのようなヘテロ二量体タンパク質の例は、たとえばその明細書が参照により本明細書に組み入れられる、公開されたPCT特許出願WO 93/09229において記述される。
【0072】
生物活性物質には、Hedgehog、Frazzled、Chordin、Noggin、Cerberus、およびFollistatinタンパク質などの追加の物質がさらに含まれてもよい。これらのタンパク質ファミリーは一般的に、Sasai et al., Cell 79:779-790 (1994)(Chordin)、PCT特許出願公開WO 94/05800(Noggin)、およびFukui et al., Devel Biol 159 131 (1993)(Follistatin)において記述される。Hedgehogタンパク質は、WO 96/16668、WO 96/17924、およびWO 95/18856において記述される。Frazzledタンパク質ファミリーは、Frizzledとして知られる受容体タンパク質ファミリーの細胞外結合ドメインに対して高い相同性を有する最近発見されたタンパク質ファミリーである。遺伝子およびタンパク質のFrizzledファミリーは、Wang et al., J Biol Chem 271: 4468-4476 (1996)において記述されている。活性物質にはまた、PCT特許出願公開WO 95/07982において開示される切断型可溶性受容体などの他の可溶性受容体も含まれる。WO 95/07982の教示から、当業者は、多数の他の受容体タンパク質に関して切断型可溶性受容体を調製することができることを認識するであろう。上記の刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。存在するまたは浸潤性の前駆細胞または他の細胞の骨形成活性上昇を刺激するのに有効な骨形成タンパク質の量は、治療される欠損の大きさおよび性質のみならず、使用される担体にも依存するであろう。
【0073】
一般的に、CaPコンポジットが骨再生と組み合わせて用いられる場合、生物活性物質は、骨欠損または損傷(たとえば、椎体欠損または損傷)を治療または改善するのに十分な量でCaPコンポジット中に含まれる。「十分量」とは、臨床的に意味のある効果を促進するためにCaPコンポジットにおいて必要な生物活性物質の量を意味する。治療目的のために本発明を実施するために用いられる生物活性化合物の十分量とは、投与様式、患者の年齢、体重、および全般的健康に依存して変化する。最終的に、医師が、適切な量および投与養生法を決定するであろう。本明細書において記述される任意の単剤療法または併用療法の適切な量は、動物モデル、インビトロアッセイ、および/または臨床試験から決定されうる。
【0074】
例として、CaPコンポジットに含まれる生物活性物質の量は、約0.1 ng〜約10.0 g/kg、好ましくは約1.0μg〜約1000.0 mg/kg、最も好ましくは約10.0μg〜約10.0 mg/kgの範囲でありうる。
【0075】
生物活性物質は、その形成の最中または形成後に本発明のCaPコンポジットに導入されうる。該物質は、硬化前に組成物内へと簡便に混合してもよい。または、CaPコンポジットを成形させて硬化し、その後、溶液中の治療物質に曝露させてもよい。この特定のアプローチは、アパタイト材料に対して親和性を有することが知られているタンパク質に関して特に良好に適している。水のかわりに、自己硬化ペーストがたとえば埋め込み前に灌流される水溶液として、生物活性物質を含有する緩衝液を使用してもよい。緩衝液は任意のpH範囲で用いられてもよいが、最も多くは5.0〜8.0の範囲で用いられる。好ましい態様において、pHは所望の治療物質の持続的な安定性および効能に適合しており、最も好ましい態様において、5.5〜7.4の範囲であろう。適した緩衝液には、炭酸、リン酸(たとえば、リン酸緩衝生理食塩液)、ならびにトリス、HEPES、およびMOPSなどの有機緩衝液が含まれるがこれらに限定されるわけではない。緩衝液は、宿主組織とのその生物学的適合性、および治療物質とのその適合性に関して選択されることが最も多い。核酸、ペプチド、または抗生物質の用途の大部分に関しては、単純なリン酸緩衝生理食塩液で十分であろう。
【0076】
脱灰骨基質
好ましい態様において、生物活性物質はDBMである。DBMは、酸処置によって脱灰された長骨片から最も一般的に得られる有機骨誘導材料である。酸処置は、骨における無機ミネラル成分および酸可溶性タンパク質を溶解させ、コラーゲンマトリクスならびに酸不溶性のタンパク質および増殖因子を残す(たとえば、Glowacki et al. (1985) Clin Plast Surg 12(2):233-241;Covey et al. (1989) Orthop Rev 17(8):857-863を参照されたい)。残留した酸不溶性タンパク質および増殖因子は、骨形態形成タンパク質(BMP)およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)などの骨誘導因子である。このように、DBMは、骨誘導性で、十分な吸収性を有し、本明細書において記述されるCaPコンポジットのリン酸カルシウム成分と組み合わせて用いられる場合、それらが天然の骨の化学組成を厳密に模倣することから、生体適合性の高い骨インプラント材料を生じる。都合がよいことに、DBMは、単離されたBMPなどの多くの他の市販の有機骨組成物添加剤より安価である。
【0077】
本発明のCaPコンポジットにおいて使用されるDBMは、好ましくは自己起源または同種異系起源に由来する。先に考察したように、DBMは、当業者に周知のプロセスである長骨片の酸処置によって得られてもよい。または、市販のDBMを用いてもよい(たとえば、Allosource、American Red Cross、Musculoskeletal Transplant Foundation、Regeneration Technologies, Inc.、およびOsteotech, Inc.から入手可能なDBM)。
【0078】
少なくともいくつかの態様において、骨インプラント材料におけるDBMは、粉末成分の約10〜約70重量%の量で存在する。特定の態様において、DBMは、粉末成分の約60重量%に等しい量で存在する。他の態様において、DBMは、粉末成分の約1〜約50重量%の量で存在する。さらに他の態様において、DBMは、粉末成分の約20重量%未満またはそれに等しい量で存在する。好ましくは、DBMは、粉末成分の約15重量%未満またはそれに等しい量で存在する。
【0079】
所定の組成物におけるDBMの量は、生体適合性の粘着物質の量のみならず、CaPコンポジットの意図される使用および望ましい特徴に応じて変化するであろう。特定の態様において、粘着物質およびDBMは、CaPコンポジットにおいて約1:1(たとえば、粉末成分の約0.5〜約20重量%の範囲の量で)、好ましくは約1:5、より好ましくは約1:10、および最も好ましくは約1:20の比率で存在する。好ましい態様において、粘着物質は、約5重量%またはそれ未満の量で存在する。
【0080】
当業者は、生物活性物質(たとえば、DBM)、リン酸カルシウム、粘着物質、および特定の用途にとって必要な他の物質の量を決定することができるであろう。たとえば、好ましいリン酸カルシウム粉末組成物には、約15重量%のDBM、ならびに約1〜約10重量%の粘着物質および発泡剤を有する約85重量%のリン酸カルシウム粉末が含まれる。もう1つの好ましいリン酸カルシウム粉末組成物には、約45重量%のDBM、約45重量%のリン酸カルシウム粉末、および約10重量%の生体適合性の粘着物質が含まれる。
【0081】
DBM粒子は様々な大きさおよび物理的形状の粒子であってもよい。DBMの量と同様、DBM粒子の大きさおよび形状は、骨インプラント材料の意図される使用に応じて変化するであろう。いくつかの態様において、DBM粒子は、約35μm〜約850μmのあいだであると測定される長径を有し、さらに約5未満の縦横比を有してもよい。他の態様において、DBM粒子は本質的に繊維様である。いくつかの態様において、これらのDBM繊維は長さ約50μm〜約3 mmを有する。他の態様において、DBM繊維は、長さ約250μm〜約2 mmを有する。いくつかの態様において、これらのDBM繊維の縦横比は4より大きい。他の態様において、これらのDBM繊維の縦横比は、10より大きい。DBM繊維は、幅の平均値対厚さの平均値の比が5未満である針状であってもよい。様々な大きさのDBM粒子を産生する方法は、当業者に周知であり、たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2004/0097612号において開示されている。特に、長骨片または削りくずから得られた針様、繊維状のDBMは、粉砕骨から得られたDBMとは異なり、本発明のリン酸カルシウム組成物に組み入れられた場合に増加した粘着性を提供する。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明を説明するためである。それらは本発明をいかなるようにも制限することを意味しない。
【0083】
実施例1
結晶成長阻害剤を有しないナノ結晶アパタイト(NCA)の調製
蒸留水1000 mlにNa2HPO4・7H2O 100 gを加えて、0.37 M溶液(溶液1)を調製する。蒸留水300 mlにCa(NO3)2・4H2O 35 gを加えて、0.49 M溶液(溶液2)を調製する。
【0084】
溶液2を溶液1に急速に加えて、室温で5分間激しく撹拌すると、スラリーを生じる。濾過して洗浄し、凍結乾燥(液体窒素を湿潤ケークに加えることによって)すると、NCAナノ粒子が得られる。過剰量の水分(約3〜10%)を除去することによってNCA粉末を活性化する(120℃で2時間)。
【0085】
本実施例において、産生されたNCAの結晶度指数は、ナノサイズ結晶範囲30〜80 nmでおよそ60%であると推定される(ヒドロキシアパタイトと比較することによって)。
【0086】
実施例2
1つの結晶成長阻害剤(CO32-イオン)によるナノ低結晶アパタイト(NLCA)の調製
蒸留水1000 mlにNa2HPO4・7H2O 100 gを加えて、0.37 M溶液を調製する。溶解後、NaHCO3 40 gを加えて撹拌して溶解する(溶液1)。
【0087】
蒸留水300 mlにCa(NO3)2・4H2O 35 gを加えて、0.49 M溶液(溶液2)を調製する。
【0088】
溶液2を溶液1に急速に加えて、室温で5分間激しく撹拌すると、スラリーを生じる。濾過して洗浄し、凍結乾燥(液体窒素を湿潤ケークに加えることによって)すると、NLCAナノ粒子が得られる。過剰量の水分(約3〜10%)を除去することによってNLCA粉末を活性化する(120℃で2時間)。
【0089】
本実施例において、産生されたNLCAの結晶度指数は、ナノサイズ結晶範囲30〜50 nmでおよそ50%であると推定される(ヒドロキシアパタイトと比較することによって)。
【0090】
実施例3
2つの結晶成長阻害剤(CO32-イオンとP2O74-イオン)によるナノ低結晶アパタイト(NLCA)の調製
蒸留水1000 mlにNa2HPO4・7H2O 100 gを加えて、0.37 M溶液を調製する。溶解後、NaHCO3 40 gを加えて撹拌して溶解する。全て溶解後、0.5 Na4P2O7・10 H2Oを加えて撹拌して溶解する(溶液1)。
【0091】
蒸留水300 mlにCa(NO3)2・4H2O 35 gを加えて、0.49 M溶液(溶液2)を調製する。
【0092】
溶液2を溶液1に急速に加えて、室温で5分間激しく撹拌すると、スラリーを生じる。濾過して洗浄し、凍結乾燥(液体窒素を湿潤ケークに加えることによって)すると、NLCAナノ粒子が得られる。過剰量の水分(約3〜10%)を除去することによってNLCA粉末を活性化する(120℃で2時間)。
【0093】
本実施例において、産生されたNLCAの結晶度指数は、ナノサイズ結晶範囲30〜50 nmでおよそ40%であると推定される(ヒドロキシアパタイトと比較することによって)。
【0094】
実施例4
3つの結晶成長阻害剤(CO32-、P2O74-、およびMg2+イオン)によるナノ低結晶アパタイト(NLCA)の調製
蒸留水1000 mlにNa2HPO4・7H2O 100 gを加えて、0.37 M溶液を調製する。溶解後、NaHCO3 40 gを加えて撹拌して溶解する。全て溶解後、0.5 Na4P2O7・10 H2Oを加えて撹拌して溶解する(溶液1)。
【0095】
蒸留水300 mlにCa(NO3)2・4H2O 35 gを加えて、0.49 M溶液を調製する。溶解後、MgCl2・6H2O 0.5 gを加える(溶液2)。
【0096】
溶液2を溶液1に急速に加えて、室温で5分間激しく撹拌すると、スラリーを生じる。濾過して洗浄し、凍結乾燥(液体窒素を湿潤ケークに加えることによって)すると、NLCAナノ粒子が得られる。過剰量の水分(約3〜10%)を除去することによってNLCA粉末を活性化する(120℃で2時間)。
【0097】
本実施例において、産生されたNLCAの結晶度指数は、ナノサイズ結晶範囲30〜50 nmでおよそ40%であると推定される(ヒドロキシアパタイトと比較することによって)。
【0098】
実施例5
共重合化(CaPポリマーの物理的固定)
実施例1、2、3または4に従ってアパタイト(NCAおよび/またはNLCA)粉末を調製する。
【0099】
PLA(ポリ乳酸)約25 gを溶媒(たとえば、アセトン)に溶解して均一な液体を得る。
【0100】
アパタイト粉末をPLA溶液と混合する(PLAの比率約25%w/wで)。エマルジョンを調製するために2時間激しく撹拌する(室温で)。残留溶媒を除去する(蒸発によって)ためにおよび乾燥粉末を産生するために、100℃で2時間のあいだエマルジョンを真空乾燥させる。
【0101】
材料の密度を高めるために、高エネルギードライボールミルプロセスにおいて粉末を1〜5時間粉砕する。高エネルギー粉砕プロセスでの滞留時間によってまず粒子サイズを低減させた後、材料を部分的に非晶質にする。滞留時間を変化させることによって、異なる力学的性能を有する材料を調製することができる。
【0102】
実施例6
CaP材料の共重合化(化学的連結、共有結合)
実施例1、2、3、または4に従ってアパタイト(NCAおよび/またはNLCA)粉末を調製する。
【0103】
アパタイト粉末約20 gを過酸化ベンゾイル粉末1.2 gと混合することによって、均一な粉末(粉末1)を調製する。
【0104】
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20 gにジメチル-p-トルイジン約0.8 mlを加えて、撹拌して溶液(溶液1)を調製する。
【0105】
溶液1の全てを粉末1に加えた後、室温で激しく撹拌すると、アパタイト-HEMAのエマルジョンが得られる。エマルジョンを80℃で4時間真空乾燥させて、蒸発プロセスによって残留溶媒を全て除去する。
【0106】
アパタイト-HEMAのエチレン結合間の非可逆的な連結により親水性材料が産生され、これは水和媒体(たとえば、水または本明細書において記述される他の任意の薬学的に許容される液体)と混合した場合にコロイド様材料を形成する。
【0107】
ドライボールミルにおいて粉末を様々な条件(媒体-粉末比、滞留時間、RPM)で粉砕することおよび粉末の圧縮/濃密化(densification)によって、様々な自己硬化CaP-ポリマーセメントが産生される。
【0108】
実施例7
成人死体脊椎に注入したCaPペーストの撮像能
CaP材料を以前に開発された配合に従って作製した(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号を参照されたい)。
【0109】
CaPセメント粉末を5%(w/w)アルギン酸ナトリウム粉末と混合した。
【0110】
CaP材料を2例の成人死体椎体に注入して、蛍光顕微鏡下でペーストの撮像能(放射線不透過性)を査定した。
【0111】
水和媒体は、放射線不透過能を増加させるための20%Renografin-60(有機結合ヨウ素)溶液を有する生理食塩液であった。
【0112】
2例の成人死体脊椎を用いた。各々の椎体の2つの椎弓根(全体で脊椎6レベル)を通してCaPセメント約4 ccを注入した(12G長針を用いて)。各々の椎弓根に個別に注入した。
【0113】
注入プロセスは、椎体を通じてCaP-アルギン酸ペーストを明確に可視化しながら成功裏に行われた。
【0114】
実施例8
粘着物質(CA)を有するCaP基質
CaP材料を以前に開発された配合に従って作製した(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号を参照されたい)。
【0115】
用いたCAは、1〜20 w/w%の割合のアルギン酸ナトリウムである。
【0116】
CaP-アルギネート(2 w/w%)をヒツジ腰椎(L3-L4)椎骨に予め注入した(欠損を行った後)。6ヶ月の時点で、急性または慢性炎症の徴候は観察されなかった。染色切片およびマイクロラジオグラフの双方におけるリモデリングおよび骨結合が、組織学分析により確認された。より大量の新しい骨が存在し、同心円の層状パターンで構成された。
【0117】
実施例9
骨誘導物質(OI)を有するCaP基質:
CaP材料を以前に開発された配合に従って作製した(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号を参照されたい)。
【0118】
用いたOIは、様々な比率の、たとえば1:1リン酸カルシウム材料(CaP):DBM;2:1(CaP:DBM);3:1(CaP:DBM);4:1(CaP:DBM);5:1(CaP:DBM);および10:1(CaP:DBM)の脱灰骨基質(DBM)である。
【0119】
CaP/DBMコンポジットを、ヒツジ腰椎(L3-L4)椎骨に注入する(欠損を行った後)。6ヶ月の時点で、注入部位を急性または慢性炎症の徴候に関して調べる。たとえば染色切片およびマイクロラジオグラフを用いる組織学分析を行って、リモデリングおよび骨結合が起こったことを確認する。
【0120】
実施例10
医用物質(MA)を有するCaP基質:
CaP材料を以前に開発された配合に従って作製した(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号を参照されたい)。
【0121】
用いたMAは、様々な比率(たとえば、2:1(CaP:MA)、10:1(CaP:MA)、20:1(CaP:MA)、および50:1(CaP:MA))の様々な種類の抗生物質である。
【0122】
試験した3つの一般的な医用物質(ゲンタマイシン、トブラマイシン、およびバンコマイシン)は、CaPコンポジットの性能(たとえば、硬化時間および圧縮強度)に有害な影響を及ぼさなかった。
【0123】
トブラマイシンを用いた追加の試験により、100 mg/gmより大きい用量では、硬化が阻害されることが示された。60 mg/gmまたはそれ未満では、CaP-トブラマイシンは正常に硬化した。
【0124】
実施例11
複合コンポジット:
CaP材料を以前に開発された配合に従って作製した(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,318,841号を参照されたい)。
【0125】
これらの工学操作された配合物において、異なるCaP基質、CA、OI、およびMAを用いて様々な複合材料を提唱する。
【0126】
骨粗鬆症の骨の治療のために、生物吸収性で、生体適合性で、注入可能で、自己硬化性で、強度が高い、骨結合性のリン酸カルシウム配合骨移植材料(すなわち、CaPコンポジット)を産生する。
【0127】
実施例12
ヒト死体モデルにおける椎体形成術の適用可能性に関して、CaPコンポジットの多数の配合物を試験した。CaPコンポジットは、強度が高くかつ急速に硬化するリン酸カルシウム、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)の乾燥粉末を混合することによって調製された。乾燥粉末を水和させて、なめらかなペーストが形成されるまで、ヨウ素ベースの造影剤ISOVUE(Bracco Diagnostics)と混合した。異なるCPC配合物を作製するために、CMCの百分率、CMCの分子量、および水和容積を変化させた。
【0128】
各CaPコンポジット配合物を、11ゲージ椎体形成術用針に取り付けた送達シリンジにロードして、蛍光顕微鏡下で異なる椎体に送達した。CaPコンポジットを、可視化の容易さ、送達の容易さ、および分散に関して評価した。椎体形成術で用いるために設計されたPMMA(Cook)を参照として用いた。
【0129】
CaPコンポジットは全て、蛍光顕微鏡下で容易に可視化された。CaPコンポジットにおけるより高濃度のCMC、高分子量CMCの使用、およびより低い水和容積の各々が、注入部位からのCaPコンポジット材料の分散および漏出の減少に寄与し、かつまた各々が高い送達力に関連した。10%高分子量CMCを用いて調製し、粉末比0.5〜0.6 mL/gとなるように水和剤と水和させたCaPコンポジットは、分散または漏出の問題を全く示さず、標準的な送達デバイスによって容易に注入された。
【0130】
実施例13
椎体形成術は、脊椎骨を強化するために、弱くなった脊椎における小さな穴に本発明の骨セメントを注入する段階を伴い、これによって、再び骨折する可能性を低下させかつ疼痛の低減を提供する。画像誘導を用いて、トロッカーと呼ばれる中空針を、皮膚を通して脊椎骨の中に通して、本発明の骨セメントを脊椎に注入する。
【0131】
椎骨形成術は、痛みを伴う進行性の脊椎圧迫骨折(VCF)を治療するために用いられる最小侵襲脊椎手術技法である。VCFは椎体の骨折であり、これは椎体の崩壊を引き起こす。次に、これによってその上の脊柱管に異常な前方湾曲が発生する。VCFは骨粗鬆症(加齢に関連する骨軟化)または椎体に対する腫瘍の広がりによって引き起こされる可能性がある。ある種の癌も同様に骨を弱くして同じ問題を引き起こしうる。
【0132】
椎骨形成術において、バルーンをまず、骨折した椎骨の椎体へとチューブを通じて挿入して、ここで膨張させ、椎体の高さおよび形状を回復させる。次にバルーンを除去する。この後、椎骨を強化するために、バルーンによって形成された空隙の中に本発明の骨セメントを注入する。技法は、患者を手術室の台の上にうつぶせにして、静脈内に鎮静剤を注射して行われてもよい。X線撮像機器(たとえば、1つ、2つ、またはそれより多くを同時に用いる)を用いて、崩壊した骨を示すことができる。外科医は背部に2カ所の小さい切開部(3 mm未満)を作出する。チューブを椎体の中央に挿入して、骨折した骨の部位まですすめる。バルーンタンポンをチューブの下まで挿入して膨張させる。これによって、骨はその正常な高さおよび形状まで戻る。バルーンの膨張により椎体内に空隙が形成され、外科医はこれに本発明の骨セメントを充填する。セメントが硬化したら、チューブを除去する。切開部は外科的縫合によって閉鎖されうる。
【0133】
椎骨形成術は、椎体の高さおよび大きさを最善に回復するために、VCFが起こった直後に行うことが推奨される。椎骨形成術後、重度の骨粗鬆症は脊椎の他のレベルで他の骨折を引き起こす可能性がある。患者は、治療の際に骨を強化する薬物を服用することができる。さらなる椎骨が崩壊する場合、本発明の骨セメントを用いる椎骨形成術をそれらの他のレベルで行うことができる。椎骨形成術は、その本来の直立位置で脊椎を整列させ続けることによって追加の骨折を防止するのに役立つ傾向がある。
【0134】
他の態様
本発明をその特異的態様に関連して記述してきたが、さらなる改変を行うことができ、本出願は、一般的に本発明の原理に従う本発明の任意の変更、使用、または適応を範囲に含めると意図され、および本発明が属する当業者の公知のまたは慣例的な実践の範囲内である本開示からのそのような逸脱が含まれると意図され、および本明細書においてこれまで記載された本質的な特徴に当てはまる可能性があると理解されるであろう。
【0135】
本明細書において言及された刊行物および特許出願は全て、各々の独立した刊行物または特許出願が具体的におよび個々にその全内容物が参照により本明細書に組み入れられることが示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、椎体において椎体形成術を行うための方法:
(a)流動可能な骨セメントを産生するために十分な量の、ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウム、放射線不透過物質、および薬学的に許容される液体を含む該流動可能な骨セメントを、少なくとも1つの該椎体に注入する段階;ならびに
(b)硬化した場合に1 mPaまたはそれより大きい圧縮強度を有しかつインビボで吸収可能である該流動可能な骨セメントを、硬化させる段階。
【請求項2】
前記流動可能な骨セメントが、骨増殖を促進するかまたは骨吸収を阻害する少なくとも1つの物質をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記流動可能な骨セメントが、脱灰骨基質をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記薬学的に許容される液体が、水、生理食塩液、リン酸緩衝液、生物学的液体、特に血液または血液成分を含む液体、およびグリセロールから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記椎体が非ヒト哺乳動物に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記椎体がヒトに存在する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
2つ以上の椎体内に前記流動可能な骨セメントを注入する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記椎体が骨折した骨または骨粗鬆症の骨を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが30〜80 nmの範囲の結晶を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが30〜50 nmの範囲の結晶を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトと比較して60%未満の結晶度指数値を有する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトと比較して50%未満の結晶度指数値を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトと比較して40%未満の結晶度指数値を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記流動可能な骨セメントが、1つまたは複数の結晶成長阻害剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記流動可能な骨セメントが、過酸化ベンゾイル粉末をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記流動可能な骨セメントが、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記流動可能なリン酸カルシウムセメントが、粘着物質、骨形成物質、または医用物質をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記粘着物質が以下からなる群より選択される、請求項17記載の方法:
(a)多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択される1つまたは複数のポリマー;
(b)アクロレインカリウム、メタクリルアミド、メタクリル酸およびその塩、メタクリレート、アクリロニトリル、エチレン、エチレングリコール、エチレンイミン、エチレンオキサイド、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、およびビニルピロリドンからなる群より選択される1つまたは複数の単量体を有するホモポリマーまたはコポリマー;
(c)ガロタンニン、エラジタンニン、タラガロタンニン、カフェタンニン、プロアントシアニジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、およびアルブチンから選択されるポリフェノール複合物質;または
(d)アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース、特にカルボキシメチルセルロース、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物から選択される物質。
【請求項19】
前記骨形成物質が、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、アクチビン、インヒビン、および骨形態形成タンパク質(BMP)からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記医用物質が、抗生物質、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、筋弛緩剤、鎮痙剤、鎮痛剤、プロスタグランジン、抗うつ剤、栄養因子、およびホルモンからなる群より選択される、請求項17記載の方法。
【請求項21】
16ゲージ以下のサイズを有する針を用いて前記流動可能な骨セメントを前記椎体に注入する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記針が11ゲージ針である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記椎体内に空隙を作製する段階、および前記流動可能な骨セメントを該空隙に注入する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが、非晶質リン酸カルシウム、低結晶リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト(カルシウム欠損ヒドロキシアパタイト)、リン酸一カルシウム、メタリン酸カルシウム、リン酸七カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ピロリン酸カルシウム、およびリン酸三カルシウム、またはこれらの混合物から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウム材料、放射線不透過物質、補助材料、および薬学的に許容される液体を含む、流動可能な骨セメントであって、37℃において1時間未満で硬化し、硬化後1 mPa以上の圧縮強度を有し、かつインビボで吸収可能である、該流動可能な骨セメント。
【請求項26】
前記補助材料が、粘着物質、骨形成物質、および医用物質からなる群より選択される、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項27】
前記粘着物質が以下からなる群より選択される、請求項26記載の流動可能な骨セメント:
(a)多糖類、核酸、糖質、タンパク質、ポリペプチド、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(酸無水物-コ-イミド)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(α-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリ(エチレンイミン)、フマル酸ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、炭素繊維、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキサイド)-コ-ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリアミド、およびこれらのコポリマーから選択される1つまたは複数のポリマー;
(b)アクロレインカリウム、メタクリルアミド、メタクリル酸およびその塩、メタクリレート、アクリロニトリル、エチレン、エチレングリコール、エチレンイミン、エチレンオキサイド、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、およびビニルピロリドンからなる群より選択される1つまたは複数の単量体を有するホモポリマーまたはコポリマー;
(c)ガロタンニン、エラジタンニン、タラガロタンニン、カフェタンニン、プロアントシアニジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、およびアルブチンから選択されるポリフェノール複合物質;または
(d)アルギン酸、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、キチン、キトサン、酢酸キトサン、乳酸キトサン、コンドロイチン硫酸、N,O-カルボキシメチルキトサン、デキストラン、フィブリン糊、グリセロール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セルロース、特にカルボキシメチルセルロース、グルコサミン、プロテオグリカン、デンプン、乳酸、プルロニック、グリセロリン酸ナトリウム、コラーゲン、グリコーゲン、ケラチン、絹、およびこれらの混合物から選択される物質。
【請求項28】
前記骨形成物質が、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、アクチビン、インヒビン、および骨形態形成タンパク質(BMP)からなる群より選択される、請求項26記載の流動可能な骨セメント。
【請求項29】
前記医用物質が、抗生物質、酵素阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、筋弛緩剤、鎮痙剤、鎮痛剤、プロスタグランジン、抗うつ剤、栄養因子、およびホルモンからなる群より選択される、請求項26記載の流動可能な骨セメント。
【請求項30】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが、非晶質リン酸カルシウム、低結晶リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸アパタイト(カルシウム欠損ヒドロキシアパタイト)、リン酸一カルシウム、メタリン酸カルシウム、リン酸七カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ピロリン酸カルシウム、およびリン酸三カルシウム、またはこれらの混合物から選択される、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項31】
発泡剤をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項32】
骨成長を促進するかまたは骨吸収を阻害する少なくとも1つの物質をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項33】
脱灰骨基質をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項34】
前記薬学的に許容される液体が、水、生理食塩液、リン酸緩衝液、生物学的液体、特に血液または血液成分を含む液体、およびグリセロールから選択される、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項35】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが30〜80 nmの範囲内の結晶を含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項36】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムが30〜50 nmの範囲内の結晶を含む、請求項35記載の流動可能な骨セメント。
【請求項37】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムがヒドロキシアパタイトと比較して60%未満の結晶度指数値を有する、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項38】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムがヒドロキシアパタイトと比較して50%未満の結晶度指数値を有する、請求項37記載の流動可能な骨セメント。
【請求項39】
前記ナノ結晶アパタイトリン酸カルシウムがヒドロキシアパタイトと比較して40%未満の結晶度指数値を有する、請求項38記載の流動可能な骨セメント。
【請求項40】
1つまたは複数の結晶成長阻害剤をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項41】
過酸化ベンゾイル粉末をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項42】
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)をさらに含む、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項43】
前記流動可能な骨セメントが、16ゲージ以下のサイズを有する針を通して注入されうる、請求項25記載の流動可能な骨セメント。
【請求項44】
前記針が11ゲージ針である、請求項43記載の流動可能な骨セメント。
【請求項45】
請求項25記載の流動可能な骨セメントと、該流動可能な骨セメントを送達するためのシリンジとを含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−523853(P2012−523853A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505170(P2011−505170)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/040680
【国際公開番号】WO2009/129316
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(504238046)エテックス コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】