説明

リン酸ジエステルアミド

本発明は、脂質類似のリン酸エステル化合物および殊にリン酸トリエステル、リン酸ジエステルアミドならびにリン酸ジエステルに関する。有利には、好ましくは少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有するカチオン性リン脂質に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質類似のリン酸化合物および殊にリン酸トリエステル、リン酸ジエステルアミドならびにリン酸ジエステルに関する。有利には、好ましくは少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有するカチオン性リン脂質に関する。
【0002】
リン脂質はきわめて興味深い化合物であり、それは非常に様々の使用目的において使用されうる。リン脂質は、例えばリポソーム構成成分として使用される。しかし、それ自体でも活性作用物質になりえ、かつ病気の治療または遺伝子導入にも使用されうる。それゆえ本発明の課題は、好適な特性を有する、さらなるリン脂質構造を提供することであった。この課題は、本発明により、式(I)
【化1】

[式中、
は、無極性基であり、
は、−(CH−N(Rであり、その際、
x=1〜10、殊に2または3、
は、それぞれの出現において、互いに無関係に、H、場合によっては置換されていてよくまたはヘテロ原子を含有してよいアルキル、またはRに関して挙げられた意味を有し、かつ
Xは、−O−R、−NR−RおよびOから選択され、
その際、
は、場合によっては置換されていてよくかつ/またはヘテロ原子を有してよいアルキル基であり、またはRに関して挙げられた意味を有し、かつ
は、そのつど無関係に、水素、アルキル、OH、または置換されているかもしくはヘテロ原子を含有してよいアルキルである]
の化合物によって解決される。
【0003】
本発明による化合物は、脂質類似のリン酸化合物、および殊に全体で正に帯電している化合物である。該化合物は、好ましくは少なくとも1つの正の過剰電荷を有する。その際、該正電荷は、負電荷の過補償または負電荷の除去によって得られる。負電荷の過補償は、例えば正に帯電している第四級窒素元素の分子中への導入によって得られる。負電荷の除去は、例えばエステルまたはアミド形成によって行われうる。
【0004】
本発明による化合物は、好ましくは1分子当たり少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基、殊に1分子当たり少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基、さらに有利には1分子当たり少なくとも3個の遊離ヒドロキシル基およびそれより有利には1分子当たり少なくとも4個の遊離ヒドロキシル基を含有する。遊離ヒドロキシル基によって、生物体(リポソーム)中での殊に長い循環時間もしくは遺伝子導入のための安定した錯体が得られる。
【0005】
本発明によるリン酸化合物は、殊に無極性脂質構造である無極性基Rを包含する。分子の疎水性部分を形成するこの基Rは、当業者に公知の無極性基から選択されうる。有利にはRは、ジアシルグリセリン基、ジアルキルグリセリン基またはアシルアルキルグリセリン基であり、その際、アシル基もしくはアルキル基は、好ましくはC原子10〜30個、さらに有利には12〜28個および殊に14〜24個を有する。ジアシル鎖または/およびアルキル鎖は、飽和またはポリ不飽和であってよい。一実施態様において、天然に存在する脂肪酸基を用いることが有利である。その他の一実施態様においては、天然には存在しない位置にそれらの不飽和が存在するアシル基またはアルキル基が用いられる。とりわけ有利なアシル基は、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸の基であり、とりわけ有利なアルキル基は、オクタデセニル基、オクタデカンジエニル基ならびにオクタデカントリエニル基である。
【0006】
とりわけ重要な一実施態様は、Rが単にアルキル基、殊にC〜C30アルキル、有利にはC〜C28アルキル、それよりさらに有利にはC12〜C26アルキル、最も有利にはC14〜C24アルキルの時である。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状かつ飽和または不飽和であってよく、殊に1個または2個の二重結合を有してよい。該アルキル基は、例えばテトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基または有利にはオレイル基、リノレイル基、またはリノレニル基であってよい。この場合、該アルキル基は直接にリン酸エステルでエステル化され、すなわち架橋分子としてのグリセリンが失われる。この実施態様においては、直接に薬剤作用を有し、かつ癌および寄生虫病に対して使用されうる化合物群が生じる。
【0007】
基Rは、本発明により原子団−(CH−N(Rを表す。この基によって、少なくとも1個の正電荷が分子中に導入される。xは、好ましくは1〜10、殊に1〜6の整数およびとりわけ有利には2または3である。Rは、それぞれの出現において、互いに無関係に、水素またはアルキル基を意味し、その際、該アルキル基は、場合によっては置換されていてよいかまたはヘテロ原子を含有してよい。有利には、それはC〜C10−アルキル基、殊にC〜C−アルキル基、それよりさらに有利にはC〜C−アルキル基、殊にメチルである。該アルキル基は、殊に酸素、窒素および硫黄、有利には酸素から選択された1つ以上のヘテロ原子を含有してよい。さらにRは、置換基で、殊に1個以上のOH基で置換されていてよい。有利にはRは、少なくとも2個、それよりさらに有利には少なくとも3個のOH基を有する。RがOH基を有するような化合物は、新規の化合物群である。さらにRは、Rに関して挙げられた意味を有し、そのことによって−(CH−N(R−(CH−N(Rの種の基がもたらされうる。これらの基は2つ以上の正電荷を含有し、ひいてはリン酸基の負電荷が過補償されることになる。そのような原子団は、x=2においてはエチレンジアミンから出発して、x=3においてはプロピレンジアミンから出発して、x=4においてはブチレンジアミン等から出発して得られる。
【0008】
本発明の有利な一実施態様において、Xは−NR−Rである。この場合、リン酸ジエステルアミドの化合物が重要である。好ましくはRは、ヘテロ原子を含有してよく、かつ場合によっては置換されていてよいアルキル基である。適した基Rに関する例は、例えばメチル、エチル等である。さらなる有利な一実施態様においてRは、Rに関して挙げられた意味を持つ。有利にはRは、少なくとも1個のOH基で、さらに有利には少なくとも2個のOH基で置換されているアルキル基であり、その際、該アルキル基は鎖中にヘテロ原子、殊に窒素または酸素、有利には酸素を含有してよい。該アルキル基は、好ましくはC原子1〜10個、殊に2〜6個を含有する。とりわけ有利にはRは、−(CR−[O−(CR−(CR)であり、その際、Rは、そのつど無関係に、水素、OH、アルキル、殊にC〜C10−アルキル、さらに有利にはC〜C−アルキルおよびとりわけ有利にはC〜C−アルキルであり、それは場合によっては、殊にOHで置換されており、yは1から10の間の整数、殊に1〜6の整数およびとりわけ有利には2または3であり、zは0〜6の整数、殊に2または3であり、かつpは0〜10の整数、殊に1〜5の整数である。
【0009】
さらなる有利な一実施態様において、Xは−O−Rである。この場合、リン酸トリエステルの化合物が重要である。そのような化合物は、好ましくは少なくとも1個の基Rを有し、該基は少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を含有する。
【0010】
さらなる有利な一実施態様において、XはOである。この場合、少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有する化合物が有利である。
【0011】
本発明による化合物は、殊にリポソーム構成成分として使用されうる。殊に、該リポソーム構成成分は、過剰の正電荷を有するリポソーム(肝臓での速い集積)の製造のために使用されうる。
【0012】
しかし、該リポソーム構成成分は、それ自体も活性作用物質として、殊に薬剤として使用されうる。殊にR=C原子14〜24個を有するアルキルにおいて、その物質は、薬剤として使用される活性作用物質である。本発明による化合物の使用は、癌および寄生虫病、例えばリーシュマニア症の治療に際しての薬剤として、とりわけ重要である。
【0013】
さらに本発明による化合物は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)錯体およびプラスミド(DNA)錯体の製造のために使用されえ、該化合物は、他方でトランスフェクションのために使用されうる。該化合物は、治療目的で、発現可能な核酸(遺伝子)または発現可能でない核酸(オリゴデオキシヌクレオチド、リボザイム)を体細胞に導入するのに適している。
【0014】
殊に確かめられたのは、従来技術の慣例の化合物の場合、血清が合間に除去されなければならない一方で、遊離OH基を包含する本発明による化合物では血清中での遺伝子導入が可能なことである。
【0015】
さらに本発明は、式(I)に従う化合物の製造法に関し、該製造法は、以下の工程:
(i)O=PClを準備する工程、
(ii)O=PClを無極性化合物と、殊にジアシルグリセリン、ジアルキルグリセリンまたはアシルアルキルグリセリンと反応させる工程、
(iii)化合物OH−Rと反応させる工程であって、その際、Rに存在する遊離アミノ基は保護基を有している、
(iv)HXと反応させる工程および
(v)場合によっては該保護基を除去する工程、
を含有し、その際、RおよびXは、請求項2で挙げられた意味を有する。
【0016】
適した保護基は、例えばBOC保護基である。3番目の塩素原子は、O=PClと2個のアルコール官能基との反応後、非常に低反応性であるため、アミノアルコールの使用によってアミンと実質的に定量的な反応を行ってよい。それというのもアミンは、アルコール基より約1000〜10000倍速く反応するからである。また複数の遊離ヒドロキシル基を包含するアミン(例えば、NH−CH−CH(OH)−CH(OH))の使用によって、問題なく、任意の所望された数の遊離ヒドロキシル基が本発明による化合物中に導入されうる。
【0017】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【0018】
実施例1
2個のN原子によるリン酸の負電荷の過補償
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
実施例2
トリエステル形成下でのリン酸の負電荷の除去
【化4】

【0021】
実施例3
ジエステル−アミド形成によるリン酸の負電荷の除去
【化5】

【0022】
実施例4
【化6】

【0023】
実施例5
遺伝子導入において使用するための負電荷が過補償された有利な化合物
1)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N',N'−トリメチル−エチルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド、
4082ClNP(785.5)
1,2−ジパルミトイル誘導体とのDC(薄層クロマトグラフィー)比較による検出(物質2を参照のこと)
2)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N',N'−トリメチル−エチルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド、
4490ClNP(841.6)
計算された(%):C,62.79;H,10.78;N,3.33;P.3.68
測定された(%): 62.54; 10.71; 3.21; 3.67
3)1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N',N'−トリメチル−エチルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド、
4898ClNP(897.8)
1,2−ジパルミトイル誘導体とのDC比較による検出(物質2を参照のこと)
4)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N'−ジメチル−エチルアンモニオ]−エチルアンモニウム、
4387P(791.2)
計算された(%):C,65.28;H,11.09;N,3.54;P.3.92
測定された(%): 65.11; 11.02; 3.47; 3.88
5)1,2−ジオレイル−rac−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N',N'−トリメチル−エチルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド、
4898ClNP(865.8)
計算された(%):C,66.59;H,11.41;N,3.24;P.3.58
測定された(%): 66.41; 11.35; 3.19; 3.45
【0024】
実施例6
遺伝子導入において使用するための、かつ正の過剰電荷を有するリポソームを製造するための、負電荷の過補償をともなう有利な新規の化合物。
【0025】
例えば、1,3−ジアミノ−2−プロパノールの使用によって
6)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N−[N',N'−ジメチル−N'−ヒドロキシプロピルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド)
4184ClNP(815.60)が
または1,4−ジアミノ−ブタンジオール−2,3により
7)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−(N,N−ジメチル−N[N',N'−ジメチル−N'−2,3−ジヒドロキシプロピルアンモニオ]−エチルアンモニウムクロリド)
4285ClN10P(845.80)が生じる。
【0026】
実施例7
トリエステル形成によるリン酸の負電荷の除去による正の過剰電荷。
【0027】
A)遺伝子導入においておよび正の過剰電荷を有するリポソームの製造のため
8)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
3877ClNOP(758.46)
9)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
3979ClNO10P(788.49)
10)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4081ClNO10P(802.51)
11)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
4285ClNOP(814.57)
12)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
4387ClNO10P(844.59)
13)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4489ClNO10P(858.62)
14)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
3877ClNOP(758.46)
15)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
3979ClNO10P(788.49)
16)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4081ClNO10P(802.51)
【0028】
B)癌および寄生虫病に対する作用物質として
17)オクタデシル−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
2555ClNOP(516.14)
18)オクタデシル−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
2657ClNOP(546.17)
19)オクタデシル−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
2759ClNOP(560.20)
20)オレイル−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
2553ClNOP(514.00)
21)オレイル−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
2655ClNOP(544.03)
22)オレイル−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
2757ClNOP(558.06)
23)エルシル−ホスホ−エチレングリコール−コリンエステルクロリド
2961ClNOP(570.24)
24)エルシル−ホスホ−グリセロール−コリンエステルクロリド
3063ClNOP(600.27)
25)エルシル−ホスホ−グリセロール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
3165ClNOP(614.30)
【0029】
実施例8
アミド形成によるリン酸の負電荷の除去による正の過剰電荷。
【0030】
A)遺伝子のトランスフェションに関しておよび正の過剰電荷を有するリポソームの製造のため
26)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
3878ClNP(757.48)
27)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
3980ClNP(787.46)
28)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4082ClNP(801.49)
29)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
4286ClNP(813.55)
30)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
4388ClNP(843.57)
31)1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4388ClNP(857.60)
32)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
3878ClNP(757.48)
33)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
3980ClNP(787.46)
34)1−パルミトイル−2−ラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
4082ClNP(801.49)
【0031】
A)癌および寄生虫病に対する作用物質として
35)オクタデシル−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
2556ClNP(515.12)
36)オクタデイル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
2658ClNP(545.15)
37)オクタデイル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
2760ClNP(559.18)
38)オレイル−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
2554ClNP(512.98)
39)オレイル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
2656ClNP(543.11)
40)オレイル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
2758ClNP(557.04)
41)エルシル−ホスホ−エタノールアミド−コリンエステルクロリド
2962ClNP(569.22)
42)エルシル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−コリンエステルクロリド
3064ClNP(599.25)
43)エルシル−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N,N−トリメチル)−プロピルアンモニウムクロリド
3166ClNP(613.28)
【0032】
実施例9
窒素を有する基に遊離ヒドロキシル基を持つ化合物;遺伝子導入のためのおよび正の過剰電荷を有するリポソームの製造のための使用。
【0033】
A)トリエステルとして
44)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリセリン−(N,N−ジメチル−N−ジヒドロキシプロピル)−エチルアンモニウムクロリド
4183ClNO12P(848.54)
45)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリコール−(N,N−ジメチル−N−ジヒドロキシプロピル)−エチルアンモニウムクロリド
4081ClNO11P(818.50)
B)アミドとして
46)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−3−アミド−1,2−プロパンジオール−(N,N−ジメチル−N−ジヒドロキシプロピル)−エチルアンモニウムクロリド
4184ClN11P(847.52)
47)1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−グリコール−(N,N−ジメチル−N−ジヒドロキシプロピル)−エチルアンモニウムクロリド
4082ClN10P(817.49)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、無極性基であり、
は、−(CH−N(Rであり、その際、
x=1〜10、殊に2または3、
は、それぞれの出現において、互いに無関係に、H、置換または非置換であってよくまたはヘテロ原子を含有してよいアルキル、またはRに関して挙げられた意味を有し、かつ
Xは、−O−R、−NR−RおよびOから選択され、
その際、
は、置換または非置換であってよくかつ/またはヘテロ原子を有してよいアルキル基であり、またはRに関して挙げられた意味を有し、かつ
は、そのつど無関係に、水素、アルキル、OH、または置換されているかもしくはヘテロ原子を含有してよいアルキルである]
の化合物。
【請求項2】
が、基−(CR−[O−(CR−(CR)であり、その際、Rは、そのつど互いに無関係に、H、アルキル、OHまたは1個以上のOH基で置換されたアルキルであり、
yは1〜10の、殊に1〜6の整数であり、
zは0〜10の、殊に0〜6の整数でありかつ
pは0〜10の、殊に1〜3の整数である
ことを特徴とする式(I)に従う化合物。
【請求項3】
該化合物が、全体で正電荷を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
該化合物が、少なくとも1個の、殊に少なくとも2個の、有利には少なくとも3個の遊離ヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が、ジアシルグリセリン基、ジアルキルグリセリン基またはアシルアルキルグリセリン基であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
XがNR−Rである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが−O−Rであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1個の基Rが、少なくとも1個のOH基を含有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
XがOである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
該化合物が少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
少なくとも1個の基Rが、Rに関して挙げられた意味を有する、請求項9または10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物を含有するリポソーム。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物または請求項12に記載のリポソーム含有する薬剤。
【請求項14】
癌の治療のための薬剤を製造するための、請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物または請求項12に記載のリポソームの使用。
【請求項15】
遺伝子導入のための、請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物または請求項12に記載のリポソームの使用。
【請求項16】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物の製造法であって、以下の工程:
(i)O=PClを準備する工程、
(ii)O=PClを無極性化合物と、殊にジアシルグリセリン、ジアルキルグリセリンまたはアシルアルキルグリセリンと反応させる工程、
(iii)化合物HO−Rと反応させる工程であって、その際、Rに存在する遊離アミノ基が保護基を有している、
(iv)HXと反応させる工程および
(v)場合によっては該保護基を除去する工程、
を包含し、その際、RおよびXは、請求項1で挙げられた意味を有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の化合物の製造法。

【公表番号】特表2010−531291(P2010−531291A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516967(P2009−516967)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005615
【国際公開番号】WO2007/147644
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390040420)マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ (54)
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V.
【住所又は居所原語表記】Berlin, Germany
【Fターム(参考)】