説明

リン酸化脂肪酸シンターゼ及び癌

開示する発明は、癌の識別及び治療における、診断及び成分としての、リン酸化脂肪酸シンターゼの検出に関する。当該開示の方法により、より有効な療法ができ、患者の生存率及び生活の質を向上させる、早期の及び正確な癌の診断が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、より有効な治療、及び患者の生存率及び生活の質を向上させることが可能な、癌の早期の及び正確な診断に関する。本開示は、特にリン酸化状態の脂肪酸シンターゼ(FAS)の確認に基づく癌のためのアッセイを提供し、癌の存在、経過、及び治療のための検出方法を改善する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、2008年11月13日に出願した、米国特許仮出願第60/987,763号による優先権の利益を請求し、参照によりこれが全て記載されているのと同じように本明細書に組み込まれる。
【0003】
この10年間、ヒト癌のための潜在的診断及び治療の標的として、脂肪酸シンターゼ(FAS)に対する関心が高まっている。これらの意向は、2つの観察、つまりFASがほとんどのヒト癌において高度に発現し、且つFASの薬学的阻害は、インビトロ(in vitro)及びインビボ(in vivo)にヒト癌細胞のアポトーシスをもたらすことに基づいている。
例えば、表1は、多数のヒト癌におけるFASの発現を例示する。
【0004】
【表1】

【0005】
FASは、複雑で、多機能な酵素であり、7つの触媒ドメイン及びシグナルポリペプチド上の4'−ホスホパンテテイン接合団を含有し、約270 kDaの相対分子量を有する(56,57)。当該ヒトFASアミノ酸配列は既知であり、受託番号AAA73576(長さ2509アミノ酸残基)及びNP_004095(長さ2511アミノ酸残基)で寄託されている。
【0006】
FASは、マロニル−CoA及びアセチル−CoAのNADPH依存的縮合を触媒し、16炭素飽和型の遊離脂肪酸パルミテートを作製する、唯一の哺乳類酵素である(図1参照)。FASは、炭水化物から脂肪酸の新規な合成を行うが、当該経路における非常に近位の酵素、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)は、脂肪酸シンターゼの律速酵素である(58)。
【0007】
本明細書で引用する文献は、任意の明らかな従来技術であると認めることを示すと解されるべきではない。さらに、その引用は明らかな開示のための調査の示唆ではない。当該文献の(1又は複数の)データ又は内容に関する全ての言及は、利用可能な情報に基づくものであり、その的確さ、又は正確さに関して認めるものではない。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、対象における癌の存在の指標、又はマーカーとしてのリン酸化脂肪酸シンターゼ(FAS)の発現の検出又は測定に関する。この開示は、FASが、最も一般的な癌、例えば、結腸、肺、前立腺及び胸の癌等において、高い(通常以上の)レベルで観察されているという観察に部分的に基づく。この開示は、非癌、又は正常な細胞により産生される非リン酸化FASとの比較で、癌細胞により産生されるリン酸化FASを検出することにも部分的に基づく。
【0009】
第一の態様によれば、本開示は、(1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含んでなる)リン酸化FASポリペプチド、又は1又は複数のリン酸化残基を含んでなる当該FASポリペプチドの断片の発現の検出又は測定のための方法及び組成物を提供する。ある実施態様によれば、当該方法及び組成物には、リン酸化FASポリペプチド、そのリン酸化断片を、特異的に結合させ、検出可能な複合を形成させる、結合剤を含んでなる複合体が含まれる。結合剤の特異性は、当該剤が、リン酸FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片に検出可能な状態で結合し、対応する非リン酸化ポリペプチド又はその断片を排斥するようなものでもよい。ある場合においては、当該結合剤は、モノクローナル抗体等の抗体である。
【0010】
第二の態様によれば、本開示は、対象由来の生体サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片の存在に基づき、対象における癌の存在を確認する方法を提供する。当該方法は、リン酸化FASポリペプチド、又は当該ポリペプチドのリン酸化断片の存在を検出及び測定することを含んでもよい。ある実施態様によれば、当該方法は、癌に罹患する個体を確認するためのスクリーニング方法又はアッセイとして使用してもよい。その他の実施態様によれば、当該方法は、1又は複数の診断の方法又はプロトコルとの組み合わせ等の、癌の存在の診断の確認のために使用してもよい。
【0011】
さらなる態様によれば、本開示は、FAS標的療法での治療のための、リン酸化FASを有する対象を選択する方法を提供する。ある実施態様によれば、当該方法は、リン酸化FASを発現する腫瘍細胞を有するような対象を選択又は確認するために使用してよく、その後、任意に腫瘍細胞に対するその他の1又は複数の治療との組み合わせで、当該対象にFAS標的治療を施す。ある実施態様によれば、当該方法は、対象から得られる生体サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片の存在を検出すること、及び当該対象にFAS阻害剤を投与することを含んでもよい。
【0012】
さらなる態様によれば、本開示は、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片の発現に基づき、疾患の進行、又は治療の有効性を検出又は測定する方法を提供する。当該方法は、対象由来の生体サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片を測定すること;及び経時での当該測定を反復することを含んでもよい。経時での発現レベルの増加又は減少は、各々、腫瘍細胞、又は腫瘍細胞活性の増加又は減少を示す。ある実施態様によれば、当該方法は、癌又は腫瘍細胞量を観測するために使用してもよい。任意に、当該経時での測定は、対象のための治療の経過及び結果を観測する療法の前、その途中及び/又はその後になされる。
【0013】
ある実施態様によれば、当該開示の方法及び組成物結は、腸、肺、前立腺、卵巣及び胸の癌等の特定の癌との関連で行われる。さらなる実施態様によれば、当該方法及び組成物は、ヒト対象及び患者との関連で行われる。
【0014】
さらなる実施態様によれば、本開示の方法及び組成物は、血液、血清、又は腫瘍細胞含有サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片の検出に基づく。多数のリン酸化血清タンパク質がヒトにおいて報告されているが、リン酸化FASはその中にはない。ヒトフェチュイン(α2−ヘレマンス−シュミッド(Heremans-Schmid)タンパク質)は、セリン上でリン酸化されており、これはインスリンシグナル伝達に影響を及ぼす可能性がある(81)。C3は、血小板から放出されるカゼインキナーゼによりリン酸化され、補体受容体への結合を促進する(82)。他の既報の循環リンタンパク質には、循環トロポニンI及びT(83)、腫瘍型M2ピルビン酸キナーゼ(84)、補体C3c(85)、ヒトプロラクチン(86)、及びELAISAアッセイのためのニューロフィラメントNF−Hが軸策障害の観測のために開発された(87)。
【0015】
本開示のさらなる態様は、リン酸化FASポリペプチド、又は当該ポリペプチドのリン酸化断片、及び結合剤を含んでなる検出可能な複合体である。ある実施態様によれば、当該結合剤は、非リン酸化ポリペプチド、又はその断片と異なり、リン酸化ポリペプチドに特異的である。ある実施態様によれば、当該複合体には、約270キロダルトン(kDa)の相対分子量(MW)のリン酸化FASポリペプチドがある。場合により、当該複合体には、2509又は2511アミノ酸残基の長さのポリペプチドがある。その他の実施態様によれば、当該ポリペプチドは、同じ相対MWでもよいが、FASポリペプチドの一端又は両端から1又は数個のアミノ酸残基のトランケーション又は損失等により、2509又は2511より短い長さであってもよい。ある実施態様によれば、2509又は2511残基のポリペプチドは、本明細書に記載の、それぞれ配列番号1又は2により表される。
【0016】
別の実施態様によれば、当該複合体には、リン酸化FASポリペプチドのリン酸化断片がある。結合剤としての抗体を伴う実施態様によれば、当該断片は、当該抗体による認識のために十分なエピトープを提示する、少なくとも5、又は約5のアミノ酸残基長でもよい。当然、当該断片、少なくとも1つのリン酸化残基を含有する限り、5残基以上で、FASポリペプチドの全長以下であってもよい。
【0017】
本開示の実施態様には、リン酸化FASポリペプチド、そのリン酸化断片が、少なくとも1つのリン酸化スレオニン残基、少なくとも1つのリン酸化セリン残基、及び/又は少なくとも1つのリン酸化チロシン残基を含有するものがある。
【0018】
本開示は主にヒトの癌の関連で記載されるが、任意の動物の癌の関連で行われてもよい。本開示の応用のための好ましい動物は、哺乳類、特に農業的応用において重要なもの(限定するものではないが、例えば、ウシ、ヒツジ、ウマ、その他の「家畜」等)、癌の動物モデル、及びヒト仲間としての動物(限定するものではないが、イヌ及びネコ等)である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、脂肪酸合成経路のスキームである。
【図2】図2は、前立腺(A)、結腸(B)、及び乳癌(C)におけるFAS発現を示す。
【図3】図3は、ヒトFASでの代表的なFAS ELISA標準曲線を示す。
【図4】図4は、癌及び正常な対象におけるFASレベルを示す。
【図5】図5は、正常なヒト及びヒト癌細胞系におけるFAS発現を示す。
【図6】図6のA及びBは、Thr/Pro上でリン酸化されるヒト癌細胞由来のFASを示す。
【図7】図7のA及びBは、オカダ酸処理(A部分)に伴って、リン酸化FASが増加し、一方FASタンパク質が減少する(B部分)ことを示す。
【図8】図8は、2509アミノ酸残基の配列番号1の配列、及び827、976、1406、1982、2202、2354、又は2432位置での7スレオニン−プロリン二量体を示す。1つの二量体は、残基2117〜2205から伸びるFASのアシル−担体タンパク質ドメイン内である(92)。さらに、2154位置のセリンは、4'−ホスホパンテテイン接合団の部分であり(92)、これは本明細書で使用される用語のような「リン酸化残基」ではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般論
FASは、食餌性炭水化物からの脂肪酸のデノボ合成を主に触媒する酵素である。ヒト癌におけるその発現に加えて、FASが、結腸、胸、肺、卵巣、及び前立腺癌患者の血液中に、正常(癌ではない)対象と比較して、高い(通常以上)レベルでFASが循環することが観察されている。さらに、増加したFAS発現は、胸、前立腺、卵巣、子宮内膜、膀胱、小児悪性腫瘍、及び軟組織の肉腫における侵攻性疾患に関連する。図2は、前立腺、結腸、及び胸の腫瘍における高レベルのFAS発現を、免疫組織染色で示す。
【0021】
反対に、正常なヒト組織は、迅速な脂質生成を受けず(59)、FAS発現は増殖期の子宮内膜(45)、脱落膜(60)、授乳中の胸(61、62)、II型肺細胞(63)及び神経細胞(64、65)に大部分は限定される。FASは、分泌タンパク質に共通する炭素末端のジ−リジンモチーフ(KKXX又はKXKXX)を含まないが(66、67)、FASは、乳脂肪球状複合体の一部として乳中に分泌される(68)。
【0022】
FASは、胸、前立腺、結腸、及び卵巣癌患者において、正常対象より顕著に高いレベルで循環する(12、13)。25人の健常な正常対象の血清FASレベル(15人の女性及び10人の男性、年齢28〜60歳)と、乳癌(N=30)、前立腺癌(N=29)、卵巣癌(N=30)、及び結腸癌(N=30)との比較は、患者血清におけるFASに濃度が、健常なコントロールのものよりも顕著に高かった(各々の腫瘍タイプでp<0.01)ことが観察されたことが報告されている(13)。健常コントロール+2SD(標準偏差)の平均濃度と同じカットオフ濃度が選択された(すなわち、およそ95%の特異性の)場合、陽性検出比率は、83%(胸)、53%(前立腺)、90%(結腸)及び40%(卵巣)であった。使用されるFASアッセイは、>92.4%回復する、ラン内及びラン差のCV(変動係数)は10%未満であった(13)。
【0023】
同様の結果は、乳癌患者におけるFASが上昇し、乳癌マーカーCA27.29と相関しない、モノクローナル/モノクローナルFASアッセイで報告された(14、15)。さらに、乳癌患者において、循環FASレベルは、腫瘍段階と正に相関した(12)。
【0024】
さらに、腫瘍細胞系由来のFASは、スレオニン残基上でリン酸化されるが、非形質転換細胞由来のFASはリン酸化されない。さらに、齧歯類ポリオーマ(Py)か、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)のいずれかにより誘導されたマウス乳腺腫瘍と比較した、正常マウス乳腺細胞におけるFAS発現及び活性の研究では、腫瘍細胞系中の特定のFAS活性に違いが報告された(69)。腫瘍細胞系におけるFASのリン酸化は、酵素活性における違いの潜在的要因として調べられた。抗FASを用いる免疫沈降法、その後の抗リン酸化セリン及び抗リン酸化スレオニン抗体での免疫ブロットを用い、FASのセリン及びスレオニンの両残基上のリン酸化を、乳腺腫瘍細胞系に限定した。正常マウス乳腺細胞由来のFASは、リン酸化しなかった。
【0025】
SKBR3ヒト乳癌細胞も、セリン、スレオニン及びチロシン残基上でリン酸化することが研究され報告された。反対に、正常組織の前の報告では、ラット肝臓から精製されたFAS及び脂肪組織が、リン酸化されないことを実証した(70、71)。これは、脂肪酸合成経路活性は、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)のリン酸化により調整され、FASのリン酸化により調整されないという肝臓での報告と一致した(58)。
【0026】
部分的にこれらの観察は、リン酸化FASに基づく方法及び組成物のすぐに利用できる開示の記載となった。
【0027】
方法とアッセイ
本明細書で記載の通り、本開示には、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の発現レベルを検出又は測定する方法及び組成物があり、ここで当該ポリペプチド又は断片は、FASポリペプチド上の4'−ホスホパンテテイン接合団とは異なる1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含む。当該開示の実施態様には、1又は複数のリン酸化スレオニン、リン酸化セリン、又はリン酸化チロシン残基を含有するFASポリペプチド、又はその断片がある。より具体的には、当該開示には、ヒト患者等の対象に存在してもよい、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の検出又は測定がある。多くの実施態様によれば、当該検出又は測定は、肥満の対象において観察されるような、FASレベルの上昇の際に使用される。
【0028】
ある実施態様によれば、本開示の方法は、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の存在を定性的に検出するために使用してもよい。場合により、当該方法を、ポリペプチド又は断片が存在するか否かを決定するために使用してもよい。その他の実施態様によれば、方法は、ポリペプチド又は断片の量を定性的に測定するために使用してもよい。ある実施例によれば、当該方法を、ポリペプチド又は断片の発現レベルを決定するために使用してもよく、任意に容量1ミリリットル当たりナノグラムのポリペプチド又は断片などの、容量当たりの量の状態で測定値を提供する。あるいは、測定値は、モル濃度の単位で表現されるもののような、容量当たりの分子数に基づいてもよい。
【0029】
多くの実施態様によれば、当該開示の方法は、体液又はヒト患者由来のサンプル含有細胞等の、対象由来の生体サンプルを使用して行う。場合により、当該体液サンプルは、血液、血漿、又は血清サンプルであってよい。当該開示の非限定的な方法には、4 ng/mL超又は10 ng/mL超等のng/mLに基づく量で、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の決定がある。
【0030】
他の実施態様によれば、対象から得られたサンプル含有細胞、又はその抽出物を使用して行ってもよい。場合により、当該サンプルは、腫瘍細胞を含有してもよく、当該開示の方法における当該サンプルの使用は、腫瘍細胞又は癌の存在の決定を確認するために使用してもよい。他の場合においては、当該サンプルは、癌に罹患する疑いのある対象由来でもよいので、当該サンプルは、腫瘍細胞を含有する可能性がある。
【0031】
サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の検出又は測定は、直接的又は間接的になされてもよい。直接的方法の非限定的例は、プロ−Q(登録商標)ダイアモンドゲルステイン(Molecular Probes製)及びTyphoon 940レーザースキャナーを用いる解析で行う方法である。多くの実施態様によれば、間接的方法が用いられ、例えば、ポリペプチド又は断片を特異的に認識する結合剤と結合したポリペプチド又は断片を含有する複合体の検出又は測定等である。すなわち、当該結合剤は、非リン酸化ではないが、リン酸化されたポリペプチド又は断片の状態に結合するので、検出剤と呼ばれてもよい。
【0032】
多くの実施態様によれば、結合剤は、抗体又はその抗原結合断片である。非限定的な例には、本明細書に記載のリン酸FASポリペプチド又は断片に特異的に結合する抗体の使用、及びそのFv又はFabがある。場合により、当該抗体は、FASポリペプチド又はその断片におけるリン酸化残基に部分的に結合するモノクローナル抗体である。すなわち、当該抗体は、検出抗体と呼ばれてもよい。他の実施態様によれば、ポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体の組み合わせを使用してよい。多くの実施態様によれば、当該結合剤は、リン酸化FASポリペプチド又はその断片の検出を促進する、検出可能な標識である。
【0033】
当該検出抗体は、それ自体が未標識の「一次抗体」であって、当該一次抗体を認識する、1又は複数の検出可能に標識された二次抗体の結合により検出されてもよい。ある実施態様によれば、当該標識は、基質との反応を触媒することにより検出可能なシグナルを作り出す酵素である。非限定的な例には、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(AP)の使用がある。
【0034】
本明細書で記載される通り、本開示の複合体は、検出剤と、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片とを含んでなる。ある実施態様によれば、当該複合体は、検出剤又はリン酸化FASポリペプチドのいずれかを固定化もしくは捕獲する追加の結合剤をさらに含んでなる。当該固定化もしくは捕獲は、非限定的例として、プラスティックもしくはガラスもしくはビーズの表面等の、固相基材上の追加の結合剤の固定化により媒介されてもよい。
【0035】
場合により、当該追加の結合剤は、検出剤と、ポリペプチドもしくはその断片との間の(1又は複数の)相互作用を干渉しない手法で、FASポリペプチド、又はその断片に結合する、捕獲抗体と呼ばれる抗体でもある。当該開示の捕獲抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体であってもよい。あるいは、それはモノクローナル抗体の組み合わせ、又はカクテルであってもよい。多くの場合において、捕獲抗体は、分子のその他の領域における配列を有するFASポリペプチドに存在する、保存もしくはコンセンサス配列に基づいて、FASポリペプチドを認識する。リン酸化FASポリペプチド、又はその断片を有する、検出及び捕獲抗体の組み合わせは、方法又はプロセスが、「サンドイッチ」複合体の形成及び/又は検出を含むので、「サンドイッチ」と呼ばれてもよい。「サンドイッチ」構成の代替的構成には、開示された方法及びプロセスにおいて使用されてよい、競合的構成が含まれる。
【0036】
開示方法の実施態様には、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)等の診断アッセイがある。場合により、当該アッセイは、FASリン酸化に基づくヒト癌を診断するために使用される。当該アッセイは、肝臓等の正常組織由来の正常FAS存在から、対象由来の生体サンプルにおけるリン酸化FASにより提供される、指標を区別する特徴がある。当該区別は、非リン酸化FASからの、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片の区別であってもよい。ある実施態様によれば、当該区別の能力は、肥満対象において観察されるような、FASレベルの上昇の場合に適用される。
【0037】
当然、ELISAを、「サンドイッチ」で使用しても競合的構成で使用してもよい。あるいは、競合放射性免疫吸着アッセイ(RIA)を使用してもよい。
【0038】
本開示の方法及びアッセイを、対象由来の生体サンプルにおける、リン酸化FASポリペプチド、又はそのリン酸化断片の、存在もしくは不存在に基づいて、対象における癌(又はリン酸化FASを発現する腫瘍細胞)の存在もしくは不存在を確認するために使用してもよい。場合により、当該方法又はアッセイは、任意に無症候性の個体をクスリーニングし、癌又はリン酸化FASを発現する腫瘍細胞に罹患するもの、又は罹患しないものを確認する。他の場合においては、当該方法又はアッセイを、1又は複数の他の診断方法もしくはプロトコルとの組み合わせ等で、癌の存在の診断を確認するために使用してもよい。さらなる場合において、当該方法又はアッセイを、癌もしくはリン酸化FASを発現する腫瘍細胞の不存在の診断を確認するために使用する。さらに追加の場合において、当該癌は、初期段階及び/又は腫瘍性病変前が特徴であるものであってもよい。
【0039】
癌又はその腫瘍細胞の非限定的な例には、胸、前立腺、結腸、胃、肺、中皮(中皮腫)、口腔、食道、頭及び首(鱗状癌)、卵巣、膵臓、子宮内膜、甲状腺、副甲状腺、腎臓、又は膀胱の癌;又は網膜芽種、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、又は軟部組織の肉腫から選択される癌がある。
【0040】
他の実施態様によれば、癌、又は上記の腫瘍細胞を有すると確認された対象は、FAS発現表現型に基づき治療を選択してもよい。方法は、癌もしくは腫瘍細胞を有すると確認された対象を選択すること、リン酸化FASを発現すること、任意に癌もしくは腫瘍細胞に対する1又は複数の他の治療と組み合わせて、FAS標的治療を対象に施すことを含む。他の治療の非限定的な例には、外科的、放射千、及び/又は化学療法がある。場合により、当該方法は、対象にFAS阻害剤を投与することを含んでもよい。FAS阻害剤の非限定的例には、C75及びC247がある。
【0041】
本開示の追加の実施態様には、リン酸化脂肪酸シンターゼ(FAS)ポリペプチド、又はそのリン酸化断片の発現に基づき、経時で、疾患の進行、もしくは治療の有効性を検出もしくは測定するための、方法又はアッセイがある。多くの場合において、当該方法又はアッセイには、比較の目的で、経時での1又は複数の検出又は測定があり、これにより経時での発現レベルの増加もしくは減少が、それぞれ腫瘍細胞、又は腫瘍細胞活性、又は癌活性の増加又もしくは減少を示す。ある実施態様によれば、当該方法又はアッセイは、FAS標的療法又の他の抗癌又は抗腫瘍療法(本明細書で記載のもの)が対象に適用される場合、治療進行又は有効性を観測するために使用してもよい。つまり、経時での検出又は測定は、対象のための治療の経過及び結果を観測するために、治療の前、途中及び/又は後になされてもよい。
【0042】
さらに追加の実施態様によれば、当該開示には、免疫組織染色(IHC)によるFASリン酸化の検出又は測定に基づく方法又はプロセスがある。場合により、当該方法は、リン酸化FASポリペプチド、又はその断片に特異的な抗体の使用を含み、細胞含有サンプルにおけるリン酸化状態の発現の検出及び測定をしてもよい。
【0043】
リン酸化FASポリペプチド及びそのリン酸化断片
本明細書で記載の通り、本開示には、相対MWが約270 kDaで、1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を有するもの等の、全長FASタンパク質の検出又は測定がある。非限定的な例のような全長配列のサイズ等、配列における変動を有するFASポリペプチドは、ポリペプチドにおける(1又は複数の)リン酸化アミノ酸残基で検出又は測定されてもよい。同様に、非限定的例として、多型による配列変異等の、他の配列変異を有するポリペプチドも、当該リン酸化アミノ酸残基に基づいて検出又は測定されてもよい。ある実施態様によれば、全長FAS配列は、2509又は2511アミノ酸長であってよい。あるいは、その長さは対象に存在すするような全長FASポリペプチドのサイズに基づき、2509又は2511残基より長くても、短くてもよい。
【0044】
当該ポリペプチドの断片の実施態様によれば、サイズは、全長より短い必要があり、非限定的例には、本明細書に記載される2509又は2511未満の断片がある。場合により、当該断片は、本明細書に記載の配列番号1又は2の断片となる。これらの記載される配列の様々な断片は、当業界における知識に基づいて当業者により理解される。他の場合において、当該断片は、FASポリペプチドの一端又は両端由来の1又は数個のアミノ酸残基の単なるトランケーションとなる。多くの例において、当該断片は、約270 kDaの相対分子量を維持することになる。
【0045】
FASポリペプチドの他の断片は、本明細書に開示されるか、当業者に容易に知られる。例えば、配列番号1及び2の配列は、リジン又はアルギニン残基の存在をスキャンし、FASポリペプチドの断片のトリプシン消化を容易に選択することができる。当該消化は、より大きな断片を作製する部分的なものでも、完全なものでもよく、ここで全ての7つのスレオニン−プロリン部位と4'−ホスホパンテテイン接合団が、分離し区別されるペプチドになるはずである。7つのスレオニン部位は、配列番号1の残基827、976、1406、1982、2202、2354、又は2432であるか、配列番号2の残基827、976、1407、1984、2204、2356、又は2434のスレオニン部位である。
【0046】
別の実施態様によれば、FAS断片をV8プロテアーゼ、キモトリプシン、サブチリシン、クロストリペイン(clostripain)、エンドプロテアーゼLys−C、エンドプロテアーゼGlu−C、エンドプロテアーゼAsp−N、及びサーモライシンを、本明細書に開示の方法及びアッセイにより検出できる追加の断片を作るために使用してもよい。当然、これらの断片は、開裂部位の配置及び残基の(1又は複数の)位置に基づきFASの1又は複数のリン酸化残基を含むことになるはずである。
【0047】
まとめて、当該断片は、本開示のFASリン酸化ペプチドと呼ばれてもよく、これは、(FASポリペプチドにおいて必須とわかっているような)長さで少なくとも5つ(5)のアミノ酸残基であり、本明細書に記載の結合剤により認識されるエピトープを規定する。当業者に理解されるように、当該エピトープは、5以上の連続する残基により作製される必要はなく、むしろ非連続残基由来のエピトープを形成するタンパク質フォールディングの結果であってよい。追加の実施態様には、FASポリペプチドの連続残基の少なくとも10又は約10、少なくとも15又は約15、少なくとも20又は約20、少なくとも25又は約25、少なくとも30又は約30、少なくとも35又は約35、少なくとも40又は約40、少なくとも45又は約45、少なくとも50又は約50、少なくとも75又は約75、少なくとも100又は約100、少なくとも200又は約200、少なくとも300又は約300、少なくとも400又は約400、少なくとも500又は約500、少なくとも750又は約750、少なくとも1000又は約1000、少なくとも1250又は約1250、少なくとも1500又は約1500、少なくとも1750又は約1750、少なくとも2000又は約2000、少なくとも2250又は約2250、少なくとも2500又は約2500の断片がある。当然、断片は、開示された方法及びアッセイにおける使用のための1又は複数のリン酸化残基を含まなければならない。リン酸化残基の非限定的な例には、リン酸化スレオニン残基、リン酸化セリン残基、及び少なくとも1つのリン酸化チロシン残基がある。本開示の追加のFASリン酸化ペプチドは、ヒト患者等の対象の生体サンプルにおいて見出されるものである。
【0048】
本明細書で記載の通り、リン酸化FASポリペプチド又はその断片は、本明細書に記載の「サンドイッチ」複合体等の複合体に存在してもよい。場合により、当該複合体は、本明細書に記載の固相基材に固定化される。他の実施態様によれば、当該複合体は、他の血液、血清、又は血漿成分、又は複合化FASポリペプチド又はその断片を含む生体サンプルに存在する他の細胞成分との組み合わせで存在する。
【0049】
追加の実施態様
本開示の方法及びアッセイでの使用される物質は、理想的には、周知の方法に従って作製されるキットの調製に適する。すなわち当該開示は、開示されたリン酸化FASポリペプチド及び断片の発現の検出のための剤を含んでなるキットを提供する。当該キットは、本開示の方法及びアッセイにおけるそれらの使用に関連する確認記載又は表示又は指示書と一緒に、(1又は複数の)剤を任意に含んでなる。当該キットは、当該方法及びアッセイにおいて活用される、1又は複数の様々な試薬の各々(典型的には、濃縮形態で)、例えば、抗体、緩衝剤、洗浄溶液等と一緒に、容器を含んでもよい。典型的に指示書のセットを含んでもよい。
【0050】
開示がここで一般的に提供されるので、例示の方法により提供され、特定することなく、当該開示を限定する意図のない、以下の実施例の参照を通して、同等物がより容易に理解されるはずである。
【実施例】
【0051】
実施例1:FAS結合抗体及び代表的ELISA構成
ヒトZR−75−1ヒト乳癌細胞から精製されたFASを、精製ヒトFASに対する反応性のためのハイブリドーマを作製する免疫源として使用した。他のヒト又は動物源由来のFASを使用してもよい。
【0052】
2つのIgG1作製クローンは、FASエピトープマッピングを通して、モノクローナル/モノクローナルELISAアッセイのための捕獲及び検出抗体として選択された。図3は、精製FASでのプレート内の標準曲線をまとめた代表的標準曲線である。このアッセイは、1.6〜50 ng/mLのFAS濃度にわたってCVが3%の直線である。8アッセイで2週間にわたる日々の変動性は、CVが5.9%±1.9%であった。分析感度は、EP評価ソフトウェアを用いて95%以内の信頼性で、0.301 ng/mLである。
【0053】
実施例2:癌患者血清における上昇したFASレベル
FAS ELISAアッセイを、癌患者におけるFASの血清学試験を確認するために使用した。最も一般的なヒト癌タイプを提示する活動性疾患に罹患する79人の患者における血清FASレベルを測定し、30人の男性及び女性コントロール対象(これは臨床学的に癌ではなかった)と比較した。結果を図4に示す。
【0054】
平均FASレベルは、乳癌患者における5倍超の上昇から膵臓癌患者における67倍超の上昇の範囲であった。全ての癌の検出に対する感受性は、86.7%の特異性で、88.6%であった。前立腺、結腸、及び膵臓癌に罹患する全ての患者は、標準的な平均±2の標準偏差に基づく正のFAS値を有した。13人の卵巣癌患者中12人、12人の乳癌患者中10人、及び11人の肺癌患者中6人が、正のFAS値を有した。すなわち、血清FASレベルは、一般的な固形腫瘍を有する患者において、高度に、及び顕著に上昇する。
【0055】
実施例3:FASは、癌細胞系においてリン酸化されるが、正常細胞系ではリン酸化されない。
FASリン酸化と癌との間の関係を、以下のヒト不死化非形質転換細胞系のパネルで調べた。IMR−90胎児肺、hPSヒト前立腺、及びヒト癌細胞系:HCT−116結腸、PPC−I前立腺、及びSKBr3胸。FAS発現を、図5に示すような免疫ブロットにより定量した。FAS酵素レベル(総細胞タンパク質に調整した)を免疫ブロットにより定量し、IMR−90について標準化した。IMR−90及びhPS両方の非形質転換細胞系は、癌細胞系と比較して比較的低レベルのFAS発現でありIMR−90細胞と比較して4.3〜22倍の上昇範囲であった。SKBr3細胞におけるこの高レベルのFASは、細胞性タンパク質の28%がFASであるという観察と一致する(88)。
【0056】
細胞のこのパネルにおけるFAS発現レベルがインビボ(in vivo)でなされた観察と一致するため、これらの細胞において異なるFASリン酸化の可能性が調べられた。図6のA部分は、細胞成分を細胞系から抗FASで免疫沈降し、その後、抗FAS(上パネル)又は抗リン酸化スレオニン−プロリン(下パネル)で免疫沈降物の免疫ブロッティングした結果を示し、ここでリン酸化スレオニンは、抗体反応性(細胞シグナリング)のためにプロリンと隣接することが必要である。3つ全ての腫瘍細胞系はFASリン酸化の証拠を示し、一方、2つの非形質転換細胞系はネガティブである。抗−リン酸化チロシン又は抗−リン酸化セリン抗体で免疫反応性は検出されなかったが、追加の抗体及びFASタンパク質は試験しなかった。追加のヒト癌細胞系、例えばLnCAP、OVCAR−3、SKOV3(卵巣)、RKO(結腸)、H460、LX7(肺)、CAPAN−I、及びPANC−I(膵臓)等も、上記の通り異なるFASリン酸化について評価することができる。
【0057】
上記のものに類似する観察は、リン酸未含有培地における32Pで、短時間(2時間)標識することにより得られた。パルス標識は、CoAプールを介するFAS上での4'−ホスホパンテテイン接合団の32P標識の組み込みに対して有利に働かない(データは示さない)。
【0058】
図6のB部分は、部分Aにおいて示したリン酸化スレオニン反応性を確認する、抗−リン酸化セリン/スレオニン抗体調製物で免疫ブロットした(標識した)SKBr3細胞物質の結果を示す。抗体産生のための免疫源として使用されるZR−75−1乳癌細胞由来の精製FASも、抗体調製により免疫標識される。
【0059】
実施例4:FASリン酸化の確認
またFASリン酸化は、Pro−Q(登録商標)ダイアモンドゲルステイン(Molecular Probes)を用いることにより確認され、代表的な装置としてTyphoon 940レーザースキャナーを用いて解析される。この代替法によるFASリン酸化の決定は、FASリン酸化を検出もしくは測定する抗体依存的手法を提供する。さらに、FASの4'−ホスホパンテテイン化により、FASリン酸化を評価する、32Pでの代謝標識の使用を排除することができる。
【0060】
FASリン酸化を検出するさらなる手法は、リン酸基を除去するために脱リン酸化を用いることによる。脱リン酸化ポリペプチドは、本明細書に記載の抗体に基づく方法により認識されないので、反応性(又はシグナル)の減少により、FAS分子におけるもとのリン酸化状態を確認する。
【0061】
さらに、脱リン酸化FASポリペプチド及びその断片は、非リン酸化ポリペプチド又はその断片と比較して、リン酸化ポリペプチド又は断片に特異的な抗体をスクリーニング及び/又は産生するために使用してよい。
【0062】
実施例5:FASリン酸化の増加
オカダ酸、タンパク質ホスファターゼ2A阻害剤の、FASリン酸化における影響を研究した。図7の部分Aは、タンパク質ホスファターゼ2A阻害に特異的な濃度である(89)、100 nMのオカダ酸での短時間の処理が、総FASに対するリン酸化FASの比率が、PPC−I及びHCT−116細胞系の両方において実質的に増加する。図7の部分Bは、FASのリン酸化が、総細胞性FASを低減させたことを示す。
【0063】
従って、FASリン酸化が2つの方法のうちの1つ:つまり、FASの直接的脱リン酸化、又はFASをリン酸化する(1又は複数の)キナーゼのインキュベーションにより、その分解と結び付けられる可能性がある。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
本明細書に引用される、特許、特許出願、及び発行物等の全ての文献は、これより以前に具体的に組み込まれていたか否かに関わらず、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0070】
本発明の主題をここで十分に記載したので、同等物が、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、そして過度の実験をすることなく、同等のパラメータ、濃度、及び条件の幅広い範囲で行うことができることは、当業者にとって明らかであるはずである。
【0071】
本開示は、その特定の実施態様との関連で記載されているが、さらなる変更が可能であることが理解されるはずである。この出願は、一般的に開示の原理に従い、且つ当該開示が属する技術分野の範囲内でほとんど既知であるか慣行であるような、そして上述の必須の特徴に適用できるような本開示からの逸脱を含む、任意の変更、使用、又は適用を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生体サンプルにおける、1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含んでなる脂肪酸シンターゼ(FAS)ポリペプチド、又は1又は複数のリン酸化残基を含んでなる当該ポリペプチドの断片の存在を検出することを含んでなる、前記対象における癌の存在を確認する方法。
【請求項2】
対象由来の生体サンプルにおける、1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含んでなる脂肪酸シンターゼ(FAS)ポリペプチド、又は1又は複数のリン酸化残基を含んでなる当該ポリペプチドの断片の存在を検出すること、及び
当該対象にFAS阻害剤を投与すること、
を含んでなるFAS阻害剤で対象を治療する方法。
【請求項3】
対象由来の生体サンプルにおける、1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含んでなる脂肪酸シンターゼ(FAS)ポリペプチド、又は1又は複数のリン酸化残基を含んでなる当該ポリペプチドの断片のレベルを測定すること;及び
経時で当該測定を反復することを含んでなり、ここで経時での当該レベルの増加又は減少は、それぞれ癌の量(burden)の増加又は減少を示す、対象における癌の量を観測する方法。
【請求項4】
前記1又は複数のリン酸化アミノ酸残基を含んでなるFASポリペプチドが、約270 kDaの相対分子量、及び2509アミノ酸残基以下、又は2511アミノ酸残基以下の長さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記FASポリペプチドが、少なくとも1つのリン酸化スレオニン残基、少なくとも1つのリン酸化セリン残基、又は少なくとも1つのリン酸化チロシン残基を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリン酸化スレオニン残基が、配列番号1の残基827、976、1406、1982、2202、2354、又は2432により表されるスレオニンであるか、又は配列番号2の残基827、976、1407、1984、2204、2356、又は2434により表されるスレオニンから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記FASポリペプチド断片が、少なくとも1つのリン酸化残基を含んでなる、少なくとも5つのアミノ酸残基長を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記FASポリペプチド断片が、少なくとも1つのリン酸化スレオニン残基、少なくとも1つのリン酸化セリン残基、又は少なくとも1つのリン酸化チロシン残基を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリン酸化スレオニン残基が、配列番号1の残基827、976、1406、1982、2202、2354、又は2432により表されるチロシンであるか、又は配列番号2の残基827、976、1407、1984、2204、2356、又は2434により表されるチロシンから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体サンプルが、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル又は腫瘍細胞含有サンプルから選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が、胸、前立腺、結腸、胃、肺、中皮(中皮腫)、口腔、食道、頭及び首(鱗状癌)、卵巣、膵臓、子宮内膜、甲状腺、副甲状腺、腎臓、又は膀胱の癌;又は網膜芽種、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、又は軟部組織の肉腫から選択される癌である、請求項1又は3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−503620(P2011−503620A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534187(P2010−534187)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/083456
【国際公開番号】WO2009/064927
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(509241959)ファスゲン ダイアグノスティクス,リミティド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】