説明

リン酸塩系レーザーガラスにおける希土類イオン発光帯域幅の拡大

【課題】固体レーザー利得媒質としてのリン酸塩系ガラスの使用の開示。
【解決手段】リン酸レーザーガラスであって、P35〜65、SiO0〜20、B0〜15、Al>0〜10、Nb0〜10、TeO0〜5、GeO0〜5、WO0〜5、Bi0〜5、La0〜5、Ln>0〜10(Ln=周期表の元素58〜71のレーザー発振イオン)、RO10〜30(R=Li、Na、K、Rb、Cs)、MO10〜30(M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)、Sb0〜5の組成(mol%)を有し、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOが各々、>0mol%〜約15mol%で存在し、それらの合計が少なくとも1mol%である、リン酸レーザーガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体レーザー利得媒質としてのリン酸塩をベースとしたガラスの使用に関する。とりわけ、本発明は、リン酸塩をベースとしたガラス組成物においてレーザー発振イオン(lasing ions)として用いられる希土類イオンの発光帯域幅を拡大することに関する。発光帯域幅を拡大することは、ガラス網目構造中のハイブリダイゼーションによって達成されると考えられる。
【背景技術】
【0002】
リン酸レーザーガラスは、高平均パワー及び高ピークエネルギーのレーザーシステムのためのホストマトリックスとして使用されるものとして知られている。例えば、広い発光帯域幅を有するものとして記載される、Ndでドープされたリン酸レーザーガラスの使用を開示しているPayne et al.(特許文献1)を参照されたい。Hayden et al.(特許文献2)も、Ndでドープされたリン酸レーザーガラスを開示している。この場合、レーザーガラスは、抽出効率(extraction efficiency)を改善させる狭い発光帯域幅(26nm未満)を有することが望ましいといわれている。この典型的なタイプのレーザーにおいては、レーザーの発光はその発光帯域幅に比して狭いため、レーザーが機能する狭い帯域の外側の波長で放射された光が事実上無駄になってしまう。この理由から、狭い発光帯域幅が望ましいとされてきた。
【0003】
固体レーザーにおける一般的な傾向の一つとしては、パルスのパワーを極めて高い数値とするより短いパルス幅で、高エネルギーレーザーを発生させることである。例えば、10ナノ秒のパルス幅での10キロジュールのレーザーは、1TW(1TW=10ナノ秒当たり10000J)のパワーを放出する。しかしながら、超短パルスを用いた高強度レーザー(high peak power lasers)(100未満のフェムト秒パルス)では、既知のリン酸レーザーガラスによりもたらされる発光帯域幅が、要求されるものと比して狭すぎる。この問題に対処するために、いわゆる「混合」レーザーガラスレーザー設計(“mixed” laser glass laser designs)が使用される。リン酸ガラス及びケイ酸ガラスを連続して使用すると、現行のペタワットレーザーシステムに必要な総帯域幅が達成される。しかし、混合ガラスを使用する技術は、将来のエクサワットレーザーシステムにとって不十分なものである。連続してケイ酸ガラスを使用しているか否かに関わらず、新たなより広い帯域のリン酸ガラスが要求されると考えられる。
【0004】
より短いパルス幅での高エネルギーレーザーの使用に向けた動きは、非特許文献1に記載されている。これらのレーザーは、チャープパルス増幅(CPA)と称される技法を使用して、超短レーザーパルスを発生させる。効率的に作用させるために、この技法は、可能な限り大きな発光帯域幅を有する利得媒質を必要とする。表1で、M.D. Perry及びG. Mourouは、幾つかの典型的な固体レーザーシステムについて、パルス幅及び理論ピーク値と共に発光帯域幅を記載している。
【0005】
一態様において、ここに開示されるガラスは、100フェムト秒未満のパルス幅、及び100kJを超える出力エネルギーを達成するのに好適なものである。
【0006】
パルスを短くする手がかりは、レーザー遷移のための広い発光帯域幅を有する利得材料を見つけることである。発光帯域幅とパルス幅との関係は、帯域幅×パルス時間≧0.44である。さらに短いパルス時間を達成するためには、広い発光帯域幅を有するガラスを特定することが望ましいことが明らかである。
【0007】
遷移金属でドープされた結晶は、広い発光帯域幅をもたらす。例えば、非特許文献2に記載されているHerculesレーザーは、Tiでドープされたサファイア結晶を使用する。
【0008】
超短パルス幅レーザーを発生させる別の方法は、希土類でドープされたガラスによるものである。結晶を超えるこのようなガラスの利点としては、(高光学品質のガラスが大きなサイズで製造され得るのに対し、Tiでドープされたサファイアは一定のサイズに限定されるため)より低いコスト、より高い有効エネルギーが挙げられ、また、ガラスによるアプローチが、フラッシュランプ(閃光灯)により誘起され得る(Tiでドープされたサファイアの短パルスレーザーは、フラッシュランプによりさらに励起されるガラスレーザーにより励起され、ガラスによるアプローチは、初めにポンプレーザーを構築するものを必要としない)ため、より単純な設計を実現することができる。
【0009】
特許文献1は広帯域ガラスの有用性を正当に評価している。この開示は、Schott North America, Inc.により販売されているリン酸ガラスAPG−2の製造に帰着するものであった。APG−2は、短パルスレーザーへのアプローチの可能性をもたらす。しかしながら、APG−2は、高収率で作製することが難しく、さらに大きな発光帯域幅を有する材料に対する需要が依然として存在している。
【0010】
広い発光帯域を有するさらに有用な商業用ガラスは、同様にSchott North America, Inc.によって販売されているリン酸ガラスAPG−1である。また、。この理由から、APG−1ガラスは、新たな広帯域の利得材料の開発段階における比較例としての役割を果たし得る。さらに、狭い帯域幅の発光曲線を有する従来のリン酸ガラスである商業用ガラスIOG−1も、比較目的で利用することができる。Nd及び/又はYbでドープされるAPG−1、APG−2及びIOG−1は、Schott North America, Inc.によって販売されている商業用レーザーガラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,663,972号
【特許文献2】米国特許第5,526,369号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“Terrawatt to pettawatt subpicosecond lasers”, M.D. Perry and G. Mourou, Science, Vol 264, 917-924 (1994)
【非特許文献2】Laser Focus World, April 2008, pp. 19-20
【発明の概要】
【0013】
レーザー発振イオンに関して、本発明者らは、YbがNdよりも広い発光帯域幅を有し、このため、Ybがエクサワットレーザーにおける最適なレーザー発振イオンであり得ることを突き止めた。例えば、Ybを添加することにより、本発明のガラスの非線形屈折率が下がり(実施例1/Yb〜実施例17/Yb、及び対応する実施例1/Nd〜実施例17/Ndを参照。YbをNdと比較したところ、17個全ての実施例で、非線形屈折率が下がった)、本発明のガラスの線熱膨張係数が下がった(実施例1/Yb〜実施例17/Yb、及び対応する実施例1/Nd〜実施例17/Ndを参照。YbをNdと比較したところ、17個の実施例のうち15個で、線熱膨張係数が下がった)ことがさらに見出された。このように、本発明はまた、Ndの少なくとも幾つかをYbと置き換えること、及び任意にLaの少なくとも幾つかをYbとさらに置き換えること、及び任意にさらなるYbを添加することにより、希土類ドーパントとしてNdを含有する本明細書中に開示されるガラスの非線形屈折率を下げ、かつ/又は熱膨張を下げる方法に関する。Laの少なくとも一部をYbとさらに置き換え得る理由は、レーザー活性を示さないイオンであるLaの使用を通じて、ネオジムでドープされたレーザーガラス中のレーザー発振イオン含有率を調節することが一般的な方法であるためである。より詳細には、NdとLaとの合計を一定にすることにより、Nd含有率を特定の用途によって変更し、置換イオンとしてLaを使用することにより、あらゆる光学的性質及び物理学的性質に対する影響が最小限に抑えられる(ランタニドは全てガラス構造内で同様の挙動を示す)。
【0014】
より小さな非線形指数(n)は、レーザーガラス及びレーザーシステム内の他の光学部品にレーザービームによる損傷を与えることなく高いレーザーエネルギーが実現可能であることを意味する。これは、レーザービームの強さの準位に伴い増大するガラスの屈折率によるものである。その結果、レーザービームがガラスを通過する場合、非線形指数の値の増大に応じた増加量により、レーザービームがガラス内で自己収束する。収束したレーザー光に関連する電場がガラスの絶電破壊を凌駕し、レーザーガラス内と、レーザーシステム内のレーザーガラス位置の下流にある光学部品との両方に針状の形跡がもたらされる場合に、損傷が起こる。
【0015】
より低い熱膨張は、レーザーの繰返し周波数が、熱衝撃によりガラスを破損することなくより高くなり得ることを意味する。使用中、励起エネルギーの一部がガラス内で熱に変換するため、レーザーガラスの温度が上昇する。この温度の上昇は、利得媒質の温度がより高くなるにつれて一般にレーザーの利得量が減少する(例えば、レーザーガラスは、レーザー強さの増加量を吸収する)という事実を含む様々な理由から望ましくない。外表面は、空気又は液体クーラントによって冷却することができるが、ガラスが熱伝導率の低い熱導体であるため、内側は熱いままであり、ガラスの中心と冷却面との間に熱勾配がもたらされる。その結果、ガラス表面は引張応力を受け、故に、ガラスが損傷を受け、例えば、熱衝撃によるガラスの破損がもたらされるおそれがある。引張応力は、熱膨張係数が低くなるにつれて小さくなる。そのため、より小さい膨張を有するガラスが損傷を受けにくい。
【0016】
しかしながら、Ndはまた、多くの利点を有し、例えば、Ndが4準位レーザーであるのに対し、Ybは、Ybでドープされた利得媒体におけるレーザー作用の実現をより困難にする2準位レーザーである(これらのエネルギー準位の幅のために、Ybは幾分、4準位レーザーのように作用し得る)。加えて、スペクトルの可視部分におけるその多くの吸収帯のために、Ndは、(Ybがスペクトルの赤外部分における単一の吸収特質しかを有しないため)Ybよりも(同様のスペクトル領域で発光する)フラッシュランプによって効率的に励起される。しかしながら、この問題についての一方法は、スペクトルの可視部分で吸収帯を有し、かつ吸収したフラッシュランプエネルギーを利得媒体においてYbに移行することができるCr等の遷移金属でYbを高感度化することである。
【0017】
Ndに関するレーザー特性は、ジャッド・オーフェルト(Judd−Ofelt)理論を用いて、又はFuchtbauer−Ladenburg理論と称される類似の技法によって、発光曲線から評価される。両技法についての考察は、E. Desurvire, Erbium Doped Fiber Amplifiers, John Wiley and Sons (1994)に見ることができる。もたらされる特性としては、発光断面積(σem)、ピーク発光波長(λPeak)、及び放射寿命(τRad)が挙げられる。この解析をYbにも利用することができるが、上述のYbレーザーシステムの2準位の性質のために、Ybはその放出光自体を吸収及びトラップし、精密測定を極めて困難なものとする(Ybレーザー特性結果がこの自己吸収及び関連する放射トラッピングからの影響を常に幾らか有するため、実際には事実上不可能である)。
【0018】
マッカンバー(McCumber)法は、例えば、Miniscalco and Quimby, Optics Letters 16(4) pp 258-266 (1991)に論じられているように、ガラスの吸収曲線のみを使用する、レーザー特性を得るのに用いられる別の認識技法である。マッカンバー技法の欠点は、ガラスが吸収をほとんど又は全く開始しない場合、明確な結果を得られず、Ybの場合、これが発光曲線の長波長端で起こることである(Ndは正味1μmの対象とされる主な発光帯内のいずれの波長でも有意な吸収を有しないため、マッカンバー解析がNdに利用可能でないと述べることは付随的な点である)。
【0019】
ジャッド・オーフェルト解析は好ましい方法であり、レーザー材料業界において認められているが、(Ybについては)この自己吸収/放射トラッピングの弊害を受ける。しかしながら、ジャッド・オーフェルトの結果をマッカンバーと比較することにより、ジャッド・オーフェルト結果の信頼性の指標が得られると考えられる。これは、L.R.P. Kassab et al., Journal of Non-Crystalline Solids 348 (2004) 103-107に記載されている。ジャッド・オーフェルト等の技法を用いた完全な発光曲線解析、並びにマッカンバー法及び吸収曲線を用いた第2の解析によるレーザー特性の評価後、放射トラッピング係数(rtc)を算出する。0に近い値は、ジャッド・オーフェルト解析が自己吸収及び放射トラッピングによる影響を強く受けないという指標である。この理由から、2セットのレーザー特性が、Ybを含有するガラスに関するデータ表に示される。
【0020】
発光帯域幅に関して、測定された発光曲線(例えば、ジャッド・オーフェルト解析又はFuchtbauer−Ladenburg解析により集められたもの)、又は算出された発光曲線(マッカンバー解析により)があれば、2つの方法で発光帯域幅を得ることができる。第1の方法は、最大値の半値幅(いわゆる発光帯域幅の半値全幅、すなわちΔλFWHM=λupper−λlower、ここで、λupper及びλlowerは、発光強度が発光曲線のどちらの側でもそのピーク値の半分にある波長である)を単に測定することである。
【0021】
Ybに関する典型的な発光曲線を図4に示す。約980nmに1つの狭い特質を直ちに見ることができる。この特質が顕著なものであれば、ΔλFWHM値は、この1つの特質の幅を反映しているに過ぎず、曲線の残りは役に立たないと考えられる。実施例の表では、YbのΔλFWHM値が、約10nm又は約60nmであることに留意されたい。この場合980nmピークが主要なものであれば、正確には値は小さくなり、この980nmピークが主要なものでなければ、値は大きくなる。その結果、ΔλFWHM値が常に、Ybに関する発光帯域幅の信頼できる指標となるわけはない。図5の典型的なNd発光曲線に見ることができるように、Ndはこの問題を有しない。
【0022】
第2の方法は、発光曲線上のあらゆる点を曲線下の全面積で除算するものである。線幅関数(linewidth function)と称される結果は、有効帯域幅(Δλeff)の逆数として定義されるピーク値を有すると考えられる。この方法によって、発光曲線全体が常に発光帯域幅の結果に寄与する。この数値が、発光帯域幅の最良の指標として、解析において本明細書中で使用される。
【0023】
リン酸塩の主要網目構造における多価酸化物(multi-oxide)網目構造形成剤、例えば、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOの導入は、(配位子場の非対称度及び共有結合度の観点から)レーザー発振イオン(例えばYb3+又はNd3+)の局在的な化学環境の分布(distribution)を制御又は拡大することができる。本発明者らは、網目構造のハイブリダイゼーションが、希土類レーザー発振イオンの発光帯域幅の拡大をもたらすことを見出した。
【0024】
従来技術のガラスAPG−2はリン酸塩網目構造を有する。本発明者らは、リン酸塩の主要網目構造中へ1つ又は複数の酸化物網目構造を形成する酸化物(SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeO)を、少なくとも1mol%以上、例えば2mol%以上の量で導入することにより、(配位子場の非対称度及び共有結合度の観点から)ガラス中のレーザー発振イオン(例えばYb3+又はNd3+)の局在的な化学環境を拡大するか、又は局在的な化学環境のより広い分布を少なくとももたらすことを見出した。その結果、P−O−P網目構造が、Si−O−Si、B−O−B、Te−O−Te等とハイブリダイズされ、レーザー発振イオンは、溶融ガラス中に溶解し、種々の網目構造形成剤との結合を形成することによって安定化される。さらに、種々の網目構造環境に由来する、レーザー発振イオンの周りの配位子場が変化する。その結果、入射光源の励起を受けて、レーザー発振イオンの発光スペクトルが、純粋なリン酸塩の網目構造ガラスと比べて拡大される。
【0025】
“Mixed Former Effects: A Kind of Compositions Adjusting Method of Er-doped glass for broadband amplification,” Chin. Phys. Lett. 19[10] (2002) 1516-1518という論文において、J.H. Yang, et al.は、より短い帯域幅を有するケイ酸塩及びリン酸塩をベースとしたガラスに比して帯域の拡大を示す、SiO又はBの添加を伴う、TeO系及びBi系をベースとしたガラスを開示している。該論文において、SiO又はBを添加することによって、TeO及びBiをベースとしたガラスにおける発光帯域幅を拡大する方法の見通しは、独立に示されていない。
【0026】
米国特許出願第6,859,606号(2005年2月22日)には、B、GeO及びWOの有無に関わらずErでドープされたTeOをベースとしたガラスが開示されている。帯域幅の変化は何の説明もなく示されている。
【0027】
米国特許出願第6,194,334号(2001年2月27日)には、P又はBの有無に関わらずErでドープされたTeO−WOをベースとしたガラスが開示されている。それは、ドーパントイオン(この場合、Er3+)を組み込むような構造部位のより大きな多様性をもたらす多くの構造モチーフの存在の観点から、帯域幅の拡大について検討している。この結果は、有効なEr3+イオンの溶解の改善及びEr3+発光スペクトルの拡大である。このガラス系は、リン酸塩系に適用可能でない。さらに、TeOをベースとしたガラスに対するBとPとを組み合わせた改質の、帯域幅を拡大させる効果は、検討されていない。
【0028】
米国特許出願第6,656,859号(2003年12月2日)には、Nb又はBの有無に関わらずErでドープされたTeO−Taをベースとしたガラスが開示されている。このガラス系は、リン酸塩系に適用可能でない。さらに、TeOをベースとしたガラスに対するBとNbとを組み合わせた改質の、帯域幅を拡大させる効果は、検討されていない。
【0029】
一態様において、本発明によるレーザーガラス組成物は、リン酸塩をベースとしたガラス、例えば、35mol%〜約65mol%、好ましくは約45mol%〜約60mol%のPを含有するガラスに関し、該ガラスは、少なくとも1つ、任意に2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の非リン酸塩の酸化物網目構造形成剤、すなわち、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOの添加によってハイブリダイズされ、周期表の1つ又は複数のレーザー発振用の希土類元素58〜71、例えば、Yb、Nd、Er、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho及びTm等、好ましくは、Yb、Nd、Er及びPr、より好ましくはYb及びNdでドープされる。これらの希土類元素は、1つ又は複数の種々のイオン単独で又は組み合わせて使用することができる。1つ又は複数の非リン酸塩の網目構造形成剤の合計は、少なくとも1mol%、好ましくは1.4mol%〜35mol%、より好ましくは、2.0mol%〜28mol%である。1つ又は複数のレーザー発振用の希土類元素は、好ましくは約0.25mol%〜約5mol%で存在する。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、
35〜65
SiO 0〜20
0〜15
Al >0〜10
Nb 0〜10
TeO 0〜 5
GeO 0〜 5
WO 0〜 5
Bi 0〜 5
La 0〜 5
Ln >0〜10(Ln=周期表の元素58〜71のレーザー発振イオン)
O 10〜30(R=Li、Na、K、Rb、Cs)
MO 10〜30(M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)
Sb 0〜 5
の組成(mol%)を有するガラスに関し、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOの量の合計は、少なくとも1mol%、例えば2mol%〜35mol%、より好ましくは、3mol%〜25mol%であり、好ましくは、SiO、B、TeO及び/又はNbの1つ又は複数を含有し、このようなガラスは、ジャッド・オーフェルト解析において線形関数法により評価されるような、例えば、Ndに関して32nmを超え、例えばNdに関して33nmを超え、例えば、Ybに関して38nmを超え、例えばYbに関して40nmを超え、又はYbに関して41nmを超える、有効発光帯域幅を有する。
【0031】
好ましくは、Sb含有率は、>0mol%〜1mol%、より好ましくは0.3mol%〜0.4mol%である。Al含有率に関する好ましい範囲は、3.5mol%〜6.0mol%、好ましくは3.5mol%〜5.0mol%である。また、1.0mol%〜4.0mol%のLa含有率が好ましい。
【0032】
さらなる実施の形態では、リン酸レーザーガラス組成物が、上記に規定した希土類元素、例えば、Nd及び/又はYbでドープされており、(mol%で):
40.00〜65.00
SiO 0.00〜18.00
0.00〜12.00
Al 2.00〜 8.00
LiO 0.00〜20.00
O 0.00〜20.00
NaO 0.00〜20.00
MgO 0.00〜15.00
CaO 0.00〜 5.00
BaO 0.00〜15.00
TeO 0.00〜 5.00
Nd 0.50〜 3.00
及び/又は
Yb
La 0.00〜 5.00
Nb 0.00〜 5.00
Sb 0.00〜 2.00
を含み、本組成物は、少なくとも1.00mol%の非リン酸塩の網目構造形成剤、例えば、少なくとも1.00mol%のTeO、少なくとも1.00mol%のSiO、少なくとも1.00mol%のB、又は少なくとも1.00mol%のNbを含有する。より好ましくは、本組成物は、少なくとも2.00mol%、例えば少なくとも3.00mol%の非リン酸塩の網目構造形成剤を含有する。Nd又はYbは、本明細書中に既に記載したように、他の希土類元素(複数可)で置換されていてもよい。
【0033】
さらなる実施の形態では、リン酸レーザーガラス組成物が、Ybでドープされており、(mol%で):
49.00〜57.00
SiO 0.00〜10.00
0.00〜 5.00
Al 2.00〜 6.00
LiO 1.00〜18.00
O 1.00〜18.00
NaO 0.00〜10.00
MgO 1.00〜12.00
CaO 0.00〜 3.00
BaO 1.00〜12.00
TeO 0.00〜 4.00
Yb 1.00〜 2.50
La 0.50〜 3.00
Nb 0.00〜 4.00
Sb 0.20〜 0.50
を含み、本組成物は、少なくとも1.00mol%の非リン酸塩の網目構造形成剤、例えば、少なくとも1.00mol%のTeO、少なくとも1.00mol%のSiO、少なくとも1.00mol%のB、又は少なくとも1.00mol%のNbを含有する。より好ましくは、本組成物は、少なくとも2.00mol%、例えば少なくとも3.00mol%の非リン酸塩の網目構造形成剤を含有する。Ybは、本明細書中に既に記載したように、他の希土類元素(複数可)で置換されていてもよい。
【0034】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、1.00mol%〜18.00mol%のSiO、例えば、1.20mol%〜15.00mol%のSiO、又は、1.25mol%〜10.00mol%のSiOを含有する。
【0035】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、1.10mol%〜12.00mol%のSiO及び1.10mol%〜12.00mol%のB、例えば、1.20mol%〜11.00mol%のSiO及び1.20mol%〜10.00mol%のB、又は、1.25mol%〜10.00mol%のSiO及び1.25mol%〜8.00mol%のBを含有する。
【0036】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、1.50mol%〜8.00mol%のNb、例えば、1.60mol%〜6.50mol%のNb、又は、1.70mol%〜5.50mol%のNbを含有する。
【0037】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、1.50mol%〜7.00mol%のNb及び1.10mol%〜18.00mol%のSiO、例えば、1.60mol%〜6.00mol%のNb及び1.20mol%〜15.00mol%のSiO、又は、1.70mol%〜4.50mol%のNb及び1.25mol%〜12.00mol%のSiOを含有する。
【0038】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、1.50mol%〜3.70mol%のNb、1.10mol%〜18.00mol%のSiO及び1.10mol%〜12.00mol%のB、例えば、1.60mol%〜3.60mol%のNb、1.20mol%〜15.00mol%のSiO及び1.20mol%〜11.00mol%のB、又は、1.70mol%〜3.55mol%のNb、1.25mol%〜12.00mol%のSiO及び1.25mol%〜10.00mol%のBを含有する。
【0039】
さらなる態様において、ガラス組成物は、結晶化をもたらす可能性がある構成要素を含有しないものとし、例えば、約1mol%を超えるTaのレベルが、Ta−P相の結晶化をもたらす可能性があると分かれば、ガラスには高レベルのTaを避けるべきである。
【0040】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、少なくとも39.50nm、例えば40.00nm〜54.00nm、又は42.00nm〜54.00nm、又は42.40nm〜53.50nmのYb3+に関する有効発光帯域幅(Δλeff)、及び少なくとも32.00nm、例えば32.00nm〜36.50nm、又は33nm〜35nmのNd3+に関する有効発光帯域幅(Δλeff)を示す。
【0041】
別の態様によれば、本発明によるリン酸レーザーガラス組成物は、少なくとも39.50nm、例えば>40.00nm、又は>47.00nm、又は>52.00nmのYb3+に関する有効発光帯域幅(Δλeff)、及び少なくとも32.00nm、例えば>34.00nm、又は36.00nmのNd3+に関する有効発光帯域幅(Δλeff)を示す。
【0042】
さらなる実施の形態では、開示したガラスのいずれかを、Cr等の遷移金属、例えばCrでさらに高感度化してもよい。幾つかの例では、これによって、ガラスが、フラッシュランプにより励起されたレーザーシステムでより使用に適したものとなる。
【0043】
付加的な構成成分に関して、ガラスは、最大4重量パーセント、とりわけ最大2重量パーセントの従来の添加剤又は不純物、例えば、清澄剤(例えば、As及びSb)及びアンチソーラーラント(antisolarants)(例えば、Nb)を含有する。加えて、ガラス組成物は、溶融物又は残留水を乾燥させるのを助け、またガラスの清澄を助けるハロゲン化物を含有していてもよい。例えば、ガラス組成物は、9wt%まで、好ましくは5wt%以下のF、及び5wt%までのClを含有していてもよいが、ClはFよりも好ましくない。
【0044】
また、本発明によるガラスは、レーザー発振イオンを含まずに調製することができる。例えば、レーザー発振イオンを含まずに調製された本発明によるガラスは、レーザー導波装置におけるクラッディングガラスとして使用することができる。付加的に、本発明によるガラスを、レーザー発振波長における吸収を誘導する1つ又は複数の遷移金属でドープすることによって、遷移金属でドープされた得られるガラスは、或る特定のレーザーシステム設計において端面クラッディングガラスとしての役割を果たし得る。
【0045】
本発明及び本発明のさらなる詳細、例えば、特質及び付随的な利点を、図面に図式的に描かれる例示的な実施形態に基づき以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるEXL−7/Ybのリン酸レーザーガラス組成物に関する、実験によるYb3+発光スペクトル(波長の関数としての強度)、並びにカーブフィッティングに由来するスペクトルを示す図である。
【図2】リン酸レーザーガラス組成物のYb3+発光スペクトルを示す図である。
【図3】本発明によるリン酸レーザーガラス組成物及び従来技術のリン酸レーザーガラス組成物のYb3+発光の有効帯域幅を示す図である。
【図4】Ybに関する典型的な発光断面積の曲線を示す図である。
【図5】Ndに関する典型的な発光断面積の曲線を示す図である。
【図6】ネオジムでドープされたAPG−1、APG−2及びIOG−1レーザーガラスと比較した、EXL Ndレーザーガラスの発光の有効帯域幅(Δλeff)(ジャッド・オーフェルト結果)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図2には、選択的レーザーガラスのYb3+発光スペクトルを示す。比較の目的で、APG−1/Yb及びAPG−2/Ybの発光スペクトルを、典型的なリン酸レーザーガラスの代表例として表す。(大半のデータセットにおいて)一番上のデータ線から下のデータ線に向かって、EXL−2/Yb、EXL−13/Yb、YbでドープされるAPG−1(Yb:APG−1)、及びYbでドープされるAPG−2(Yb:APG−2)の順である。
【0048】
表1a及び表4aの実施例において、ガラスは全て、レーザーグレードの成分を用いて作製し、乾燥酸素環境下で、Pt撹拌機を用いてより均質になるように撹拌動作を行いながら溶融した。表3a、表5a、表6a及び表7aに関する実施例は、乾燥酸素雰囲気下でなくまた撹拌もしていない小さな(100cm未満)の溶融物に調製され、多くの場合、全特性の特性決定を可能にするには不十分な品質しか有していなかった。特性を測定することができなかった場合、表中の記載は「NA」とする。ガラスは全てモールドに鋳造し、適宜、焼鈍して応力を取り除く。Ybでドープされたガラスをその後、タングステンカーバイド粉砕セルを用いて微粉に粉砕した。Ndでドープされたガラスは、少なくとも公称10mm×10mm×40mmサイズのバルクキュベットサンプルとして調製した。Ybでドープされた各ガラスの粉末サンプル及びNdでドープされた各ガラスのキュベットサンプルは、発光スペクトルを測定するのに使用し、これから、有効発光帯域幅(Δλeff)を式(1)に従って求めた:
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、Ybに関しては925nm〜1100nm、Ndに関しては1000nm〜1200nmの発光スペクトルの積分面積がだされ、最大発光強度(Imax)は、Ybに関しては図4に示されるように975nmに近い波長、Ndに関しては図5に示されるように1055nmに近い波長(例えば、λPeak)に見られる。計算のために、未処理の発光スペクトルを使用して、初めにスプライン関数を用いてカーブフィッティングし、ノイズレベルを減少させた。
【0051】
表2及び図3は、Ybでドープされたガラスに関する有効帯域幅の結果をまとめたものである。表2に挙げられる相対帯域幅の拡大は、38nmの帯域幅、すなわち、APG−1及びAPG−2に関する帯域幅の平均値との比較に基づくものである。APG−1及びAPG−2のΔλeffと比べ、新たに設計されたEXLガラスは、帯域の拡大に関して有意な改善を示した。すなわち、多くのEXLガラスは、APG−1ガラス及びAPG−2ガラスよりも10nm超広い帯域幅を実証している。
【0052】
図3に表されるデータを見て分かるように、本発明による網目構造ハイブリダイゼーションアプローチは、Yb帯域幅のはっきりとした有意な改善をもたらす。図3に表される帯域幅は、ジャッド・オーフェルト解析を用いることによって求められる。図3に示されるEXLガラスは全て、約40nm以上の有効発光帯域幅を有する。
【0053】
上記と同様のガラスをYbではなくNdでドープする場合、ガラスによっては帯域幅の改善が示された。しかし、改善は全てのガラスで起こったわけではなかった。
【0054】
Ndでドープされた実施例によっては、P(Yb及びNdを有する全実施例における主要なガラス形成剤)の量を減少させるというアプローチを用いた。特定の理論に何ら縛られるものではないが、これらのデータに基づき、NdはPの近くのガラス構造に優先的に局在化するため、網目構造ハイブリダイゼーションがあっても、Nd付近の局在環境は大きく変わらないと考えられる。よって、ガラス中のP含有率を下げることは、より広い発光帯域を有する、Ndでドープされたガラスを作製するための魅力的な道筋である。
【0055】
2つのガラス(21及び17)は、何が発光帯域幅をより広くするのかのより良い理解を得るために、2つの異なる希土類(Er及びPr)でドープしたものである。TeOを有する後者のガラス(17)は、濃い色がついており、レーザー特性については解析することができなかった。しかし、(21)については、(ジャッド・オーフェルト法及びマッカンバー法によって)少なくとも発光帯域幅の評価が可能であり、Prが、(PrでドープされたIOG−1(Pr:IOG−1)に比べて)より広くなり、Erが、(同様に、ErでドープされたIOG−1(Er:IOG−1)に比べて)より狭くなったことが見出された。
【0056】
しかしながら、より低いP範囲を有するものの、Ndでドープされた材料についての改善された結果は、網目構造ハイブリダイゼーションアプローチを用いるものであると思われる。好ましくは、本明細書中に開示したような、Ndでドープされたガラスに関して、P範囲は、35mol%〜55mol%、好ましくは40mol%〜50mol%、より好ましくは40mol%〜48mol%である。任意に、これらのガラス中のSiO含有率は、より大きく、例えば8mol%〜20mol%、好ましくは10mol%〜15mol%である。さらに任意に、より大きい量、例えば、約8mol%〜12mol%、例えば10mol%のBが使用される。
【0057】
表1a、表3a及び表4aにおける実施例が、他のガラス形成剤としてSiO、B、Nb及び/又はTeOを使用するとはいえ、他の金属酸化物、例えば、Bi、GeO及び/若しくはWO、Ln(Ln=La、Nd、Yb、Er又はPr)、Al、並びに/又はさらにはSbをガラス形成剤として使用してもよい。表5aで選択される特定の組成物は、Ndでドープされるもののみであり、発光帯域幅の結果は特に広くなかった。しかしながら、これらのデータに基づき、Ybでドープされるこれらの同様のガラスが、広い発光帯域幅をもたらすであろうことは十分に予想される。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
【表7】

【0065】
【表8】

【0066】
【表9】

【0067】
【表10】

【0068】
【表11】

【0069】
【表12】

【0070】
【表13】

【0071】
【表14】

【0072】
【表15】

【0073】
【表16】

【0074】
【表17】

【0075】
【表18】

【0076】
【表19】

【0077】
【表20】

【0078】
【表21】

【0079】
【表22】

【0080】
【表23】

【0081】
【表24】

【0082】
【表25】

【0083】
【表26】

【0084】
本明細書中に引用される全ての出願、特許及び刊行物の開示は全体として、参照により本明細書中に援用される。
【0085】
これまでの実施例で使用したものの代わりに、包括的又は詳細に記載した本発明の反応物質及び/又は操作条件を使用することによって、これまでの実施例を同様に首尾よく繰り返すことができる。
【0086】
上述の記載から、当業者は、本発明の不可欠な特徴を容易に見極めることができ、その精神及び範囲を逸脱することなく、その特徴が様々な用法及び条件に適応するように本発明の様々な変更及び改良を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸レーザーガラスであって、
35〜65
SiO 0〜20
0〜15
Al >0〜10
Nb 0〜10
TeO 0〜 5
GeO 0〜 5
WO 0〜 5
Bi 0〜 5
La 0〜 5
Ln >0〜10(Ln=周期表の元素58〜71のレーザー発振イオン)
O 10〜30(R=Li、Na、K、Rb、Cs)
MO 10〜30(M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)
Sb 0〜 5
の組成(mol%)を有し、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOが各々、>0mol%〜約15mol%で存在し、それらの合計が少なくとも1mol%である、リン酸レーザーガラス。
【請求項2】
40.00〜65.00
SiO 0.00〜18.00
0.00〜12.00
Al 2.00〜 8.00
LiO 0.00〜20.00
O 0.00〜20.00
NaO 0.00〜20.00
MgO 0.00〜15.00
CaO 0.00〜 5.00
BaO 0.00〜15.00
TeO 0.00〜 5.00
Nd 0.50〜 3.00
及び/又は
Yb
La 0.00〜 5.00
Nb 0.00〜 5.00
Sb 0.00〜 2.00
の組成(mol%)を有し、TeO、SiO、B若しくはNb、又はそれらの組合せを少なくとも1.00mol%含有する、請求項1に記載のリン酸レーザーガラス。
【請求項3】
49.00〜57.00
SiO 0.00〜10.00
0.00〜 5.00
Al 2.00〜 6.00
LiO 1.00〜18.00
O 1.00〜18.00
NaO 0.00〜10.00
MgO 1.00〜12.00
CaO 0.00〜 3.00
BaO 1.00〜12.00
TeO 0.00〜 4.00
Yb 1.00〜 2.50
La 0.50〜 3.00
Nb 0.00〜 4.00
Sb 0.20〜 0.50
の組成(mol%)を有し、TeO、SiO、B若しくはNb、又はそれらの組合せを少なくとも1.00mol%含有する、請求項1に記載のリン酸レーザーガラス。
【請求項4】
SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO、及び/又はGeOが存在しないこと以外、前記ガラスと他の点では同じガラスのΔλeffよりも高いΔλeffを有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項5】
希土類ドーパントとしてYbのみを含有し、ジャッド・オーフェルト解析において線形関数法により評価される、少なくとも38nmであるΔλeffを有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項6】
希土類ドーパントとしてYbのみを含有し、ジャッド・オーフェルト解析において線形関数法により評価される、40.0nmから54.00nmであるΔλeffを有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項7】
希土類ドーパントとしてNdのみを含有し、ジャッド・オーフェルト解析において線形関数法により評価される、少なくとも32nmであるΔλeffを有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項8】
45mol%〜50mol%のPを含有する、請求項7に記載のガラス。
【請求項9】
希土類ドーパントとしてNdのみを含有し、ジャッド・オーフェルト解析において線形関数法により評価される、32.00nmから36.50nmであるΔλeffを有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項10】
1つ又は複数の添加剤、不純物、清澄剤、アンチソーラーラント、及び/又はハロゲン化物をさらに含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項11】
希土類ドーパントとしてPrを含有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項12】
固体利得媒質と励起源とを含む固体レーザーシステムにおいて、その改良点が前記固体利得媒質が、請求項1に記載の組成を有するガラスであることである、固体レーザーシステム。
【請求項13】
システムのパワー出力が、少なくとも1ペタワット以上である、請求項12に記載のレーザシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のガラスをフラッシュランプにより励起させること又はダイオードにより励起させることを含む、レーザービームを発生させる方法。
【請求項15】
希土類ドーパントとしてNdを含有する請求項1に記載のガラスの非線形屈折率を下げ、かつ/又はその熱膨張を下げる方法であって、前記Ndの少なくともいくらかをYbと置き換えること、及び任意に、Laの少なくともいくらかをYbとさらに置き換えること、及び任意に、さらなるYbを添加することを含む、非線形屈折率を下げ、かつ/又は熱膨張を下げる方法。
【請求項16】
希土類イオンでドープされるアルミノリン酸レーザーガラスの発光帯域幅を拡大する方法であって、少なくとも2mol%の1つ又は複数の非リン酸塩網目構造形成剤を前記ガラス中に導入することを含み、前記網目構造形成剤が、SiO、B、TeO、Nb、Bi、WO及び/又はGeOからなる群より選択される、希土類イオンでドープされるアルミノリン酸レーザーガラスの発光帯域幅を拡大する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66996(P2012−66996A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−171648(P2011−171648)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(511189403)ショット コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】