説明

リーク検査装置

【課題】キャリア内に収容されて搬送される間に液体の充填およびキャッピングが行われた容器が、傷付きやピンホール等の欠陥があった場合に、キャリアごとリジェクトし、その位置に空のキャリアを補充する。
【解決手段】搬送コンベヤに等間隔で設けられたキャリア保持手段8に、キャリア2を保持させて搬送する。容器供給ポジションAでこれらキャリア2に空の容器6を供給し、液体の充填およびキャッピングを行った後、検査ポジションDで、キャリア2とヘッダー40とによって密閉空間42を形成して、この空間42内を真空ポンプ46で吸引し、圧力センサ48によって圧力を測定する。設定した圧力よりも高い圧力が検出されたときには、判定手段50が不良容器と判定して、リジェクトポジションEでキャリア2ごとリジェクトする。その後、補充ポジションFで空のキャリア2を補充する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体が充填されて密封された容器の、密封不良の有無を検査するリーク検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体を充填して密封した容器に傷やピンホールその他の密封不良の有無を検査する検査装置は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された密封容器の検査装置は、ロータリバルブの回転側(回動弁体4)に取り付けられ、開閉可能な蓋体によって密閉可能なチャンバー5を有しており、このチャンバー5内に検査対象品を挿入して密閉し、回転方向に順次設置されている第1脱気ポジションおよび第2脱気ポジションにおいて、第1真空ポンプおよび第2真空ポンプに順次接続して脱気を行うようにしている。
【0003】
チャンバー内の脱気を行った後、所定の放置時間、つまり検査対象品にピンホールなどの密封不良があればそこから内部のガスを漏出させチャンバー内の真空度を低下させるための時間をおいた下流側に検査ポジションを設け、前記検査対象品(容器)の密封不良の有無を検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−279029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載した装置では、容器に傷付きがあった場合には、リーク検査を行うためにチャンバー内を真空にすると、容器が破損してチャンバー内に液体が流れ出し付着してしまう場合がある。また、容器にピンホールがあった場合にも同様に液が漏出してしまう。高度なサニタリー性が要求される生産設備では、チャンバー内に漏れ出た液が付着した場合には、チャンバー内を洗浄する必要があった。ところが特許文献1に記載された発明の場合には、チャンバーがロータリバルブと一体の構成になっているので、装置全体を停止して洗浄等の処理を行わなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器を保持するキャリアと、このキャリアを搬送する搬送手段と、前記キャリアの搬送経路上に設けられ、キャリアとともに容器を収容する密閉空間を形成するヘッダーと、このヘッダーに接続されて前記密閉空間内を吸引する吸引手段と、この吸引手段によって吸引された前記密閉空間内の容器の良否を判定する判定手段とを備え、前記判定手段によって不良と判定された容器をキャリアごと搬送手段からリジェクトするリジェクト手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、搬送手段のリジェクトされたキャリアの位置に、別のキャリアを補充する補充手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリーク検査装置は、容器を収容するキャリアと上方に配置したヘッダーとによって、容器を収容した密閉空間を形成し、この空間内を真空引きした状態で判定手段によって容器の良否を判定して、不良容器をリジェクト手段によってキャリアごとリジェクトするようにしたので、不良容器からキャリア内に液漏れした場合でも、装置を停止して洗浄等を行う必要がなく、また、キャリアの洗浄も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の一実施例に係るリーク検査装置の平面図であり、図(a)はその上流部を、また、図(b)はその下流部を示している。(実施例1)
【図2】図2は充填位置、キャッピング位置および検査位置を示す図であり、図(a)は縦断面図、図(b)は平面図である。
【図3】図3は容器供給手段を示す図であり、図(a)は正面図、図(b)は側面図である。
【図4】図4は検査位置に設けられた検査を行うための装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多数のキャリア保持手段が等間隔で一列に設けられた搬送コンベヤに沿って、上流側から順に、キャリア内に容器を供給する容器供給ポジションと、前記容器に液体の充填を行う充填ポジションと、充填後の容器にキャッピングを行うキャッピングポジションと、前記キャリアとヘッダーとによって容器を収容する密閉空間を形成し、この空間の内部を真空引きして、圧力センサによって密閉空間内の圧力を検出することにより、容器の良否を判定する検査ポジションと、検査位置で不良容器と判定された容器を、リジェクト手段によってキャリアごとリジェクトするリジェクトポジションと、リジェクトされた容器入りのキャリアの代わりに、空のキャリアを補充するキャリア補充ポジションと、完成した製品を排出する排出ポジションとを備えており、不良容器が見つかった場合にはキャリアごと排出するようにしたので、不良容器からの液漏れ等による汚染を、装置を停止することなく洗浄するという目的を達成する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。このリーク検査装置は、キャリア2を搬送する搬送コンベヤ4に沿って各種の処理ポジションが設置されており、キャリア2内に収容された物品(この実施例では容器6)に、液体の充填、キャッピングおよびリーク検査等の処理を行うようになっている。この搬送コンベヤ4には、上流側(図1(a)の右側)から順に、容器供給ポジションA、充填ポジションB、キャッピングポジションC、検査ポジションD、リジェクトポジションE、キャリア補充ポジションFおよび製品排出ポジションGが配置されている。搬送コンベヤ4は、これら各ポジションA、B、C、D、E、F、Gを通過した後、垂直方向に循環して再び容器供給ポジションAに戻るようになっている。
【0012】
搬送コンベヤ4には、図2(a)、(b)に示すように、キャリア2を前後から挟んで保持するキャリア保持手段8が、一列に等間隔で設けられている。これら各キャリア保持手段8は、前後一対の保持部材8a、8bによってキャリア2を保持するようになっており、容器6を収容可能なキャリア2を1個ずつ保持して搬送する。この実施例では、前記各処理ポジション(供給ポジションA、充填ポジションB、キャッピングポジションC、検査ポジションDおよび製品排出ポジションG)で容器6を2個ずつ処理するようになっており、搬送コンベヤ4は、前記キャリア保持手段8が2個分ずつ前進するように間欠的に搬送する。
【0013】
搬送コンベヤ4の最も上流側に配置された第1処理位置である容器供給ポジションAには、搬送コンベヤ4と直交する方向に配置された容器供給コンベヤ10(図1参照)によって、空の容器6が2列で連続的に搬送される。容器供給コンベヤ10の下流端には、容器供給コンベヤ10上の容器6を2個ずつ、搬送コンベヤ4上のキャリア保持手段8に保持されて搬送されているキャリア2内に供給する容器供給手段12が設けられている。容器供給手段12は、図3に示すように、シリンダ14によって昇降するとともに、開閉して容器6を把持、解放可能な2個のメカチャック16を備えている。この実施例では、2個のメカチャック16が、水平な取り付けプレート18を介して、支柱20上に取り付けられている。この支柱20は、移動アクチュエータ22によって搬送コンベヤ4の搬送方向(図1および図2の矢印L参照)と直交する方向に進退動される。この容器供給手段12は、容器供給コンベヤ10によって2列で搬送されてきた容器6を、メカチャック16によって2個ずつ把持して搬送コンベヤ4上に設けられているキャリア保持手段8に保持されているキャリア2内に供給する。なお、この実施例では、容器供給手段12と同一の構成の物品移送手段を、後に説明するリジェクト手段24、キャリア補充手段26および製品排出手段28等でも、使用するようになっており、同一の図面(図3(a)、(b))により説明する。そのため図3(b)では、搬送コンベヤ4と直交する方向のコンベヤが各処理ポジションで異なるコンベヤを示している。
【0014】
前記容器供給ポジションAの次の第2処理位置は充填ポジションBであり、第3処理位置はキャッピングポジションCである。これら各ポジションB、Cには、それぞれ、搬送コンベヤ4のキャリア保持手段8が配置されている間隔と同じ間隔で2本の充填ノズル34と、2本のキャッピングヘッド36が配置されている。搬送コンベヤ4の走行により間欠的に搬送されている2個のキャリア2に収容されている容器6が、充填ポジションAに停止すると、上方に配置された2本の充填ノズル34により容器6内に液体の充填が行われる。液体の充填が行われた2個の容器6が、次のキャッピングポジションCに停止すると、上方に設置されているキャッピングヘッド36がキャップ38を保持して下降し、キャリア2に保持されている容器6にキャッピングを行う。
【0015】
キャッピングポジションCの次の第4処理位置は、検査ポジションDであり、液体が充填された容器6に傷が付いていたり、ピンホールがある等の欠陥の有無を検査する。この検査ポジションDの上方には、キャリア2との組み合わせにより内部に容器6を収容した密閉空間42を形成するヘッダー40が昇降可能に配置されている。前記キャリア2は、図2(a)、(b)に示すように、外形が円形であり、また、その内側の容器収容部も円形をしており、この容器収容部が容器6の本体部6a(小径の首部6bよりも下方の大径の部分)全体を収容可能な高さを有している。一方、ヘッダー40は、キャリア2の内外径とほぼ一致する内外径を有する円形のカップ状をしており、これを下降させてキャリア2上に重ね合わせることにより容器6を収容する空間42が形成される。ヘッダー40の下端面には全周に渡る環状のシール部材44が装着されており、このシール部材44を介してヘッダー40をキャリア2の上端面に密着させることにより、容器6を収容する空間42を密閉することができる(図4に示す状態)。なお、キャリア2およびヘッダー40の形状は、図示のものに限定されるものではなく、これらキャリア2とヘッダー40とにより内部に容器6を収容する密閉した空間42が形成できるものであればよい。
【0016】
図4に示すように、前記検査ポジションDに設けられているヘッダー40には、内外を貫通する吸引孔40aが形成され、この吸引孔40aに吸引手段としての真空ポンプ46が接続されている。この真空ポンプ46の作動によって、前記キャリア2とヘッダー40とにより構成される密閉空間42内を吸引して所定の圧力の真空度にすることができる。また、ヘッダー40には、密閉された空間42内の圧力を検出する圧力センサ48が設けられている。この圧力センサ48が検出した圧力が判定手段50に送られて、密閉空間42内に収容されている容器6が、不良容器であるか否かの判定を行う。
【0017】
第5番目の処理位置はリジェクトポジションEであり、前記検査ポジションDで検査された容器6が不良容器であった場合には、このリジェクトポジションEに設けられているリジェクト手段24によってリジェクトされる。リジェクト手段24は前記容器供給手段12と同様の構成を有しており、搬送コンベヤ4の走行方向と直交する方向に配置されたアクチュエータ22によって往復移動可能な2個のメカチャック16を備えており、不良容器と判定された容器6を、搬送コンベヤ4上でキャリア2ごと把持して、この搬送コンベヤと直交する方向に配置されたリジェクトコンベヤ52上にリジェクトする。
【0018】
リジェクトポジションEに続く第6番目の処理位置であるキャリア補充ポジションFは、前記リジェクトポジションEで不良容器6が排出された場合に、搬送コンベヤ4上のキャリア保持手段8がキャリア2の無い状態になっているので、このキャリア保持手段8内に空のキャリア2を補充する。このキャリア補充ポジションFには、図1に示すように、搬送コンベヤ4と直交する方向に配置された補充コンベヤ54(図1参照)によって空のキャリア2が搬送されてきており、前記容器供給手段12と同様の構成をしたキャリア補充手段26によって、空のキャリアを2保持して、搬送コンベヤ4上のキャリア保持部8内に挿入する。
【0019】
第7番目の処理位置は製品排出ポジションGであり、液体が充填され、キャッピングが行われた後、検査ポジションDでの検査で異常がないと判定された容器6(製品)を、キャリア2から取り出して搬送コンベヤ4と直交する方向に配置された排出コンベヤ56上に排出する。検査ポジションDで不良容器と判定された容器6は、リジェクトポジションEでキャリア2ごとリジェクトされ、このキャリア2が取り出されて空になっている搬送コンベヤ4のキャリア保持手段8には、キャリア補充ポジションFで空のキャリア2が補充されており、搬送コンベヤ4上のすべてのキャリア保持手段8にキャリア2が挿入された状態になっている。この製品排出ポジションGでは、すでにリジェクトされた容器6を除いて正常な容器6をすべてメカチャック16によって把持して取り出す。その結果、搬送コンベヤ4のこの製品排出ポジションGよりも下流側では、すべてのキャリア保持手段8に空のキャリア2が保持された状態になっている。
【0020】
以上の構成に係るリーク検査装置の作動について説明する。搬送コンベヤ4には一列で等間隔にキャリア保持手段8が設けられており、搬送コンベヤ4はこのキャリア保持手段8の2個分ずつ間欠的に走行し、各処理位置に停止する。まず、2個のキャリア保持手段8が第1処理位置である容器供給ポジションAに停止すると、容器供給コンベヤ10によって2列で搬送されてきた容器6が、容器供給手段12の2個のメカチャック16によって保持されてキャリア2内に挿入される。
【0021】
これら容器6を保持した2個のキャリア2が、第2処理位置の充填ポジションBに停止すると、上方に配置された2本の充填ノズル34によって容器6内に液体が充填される。これら容器6を収容したキャリア2が次の第3処理位置であるキャッピングポジションCに停止すると、キャップ38を保持している2本のキャッピングヘッド36が下降して、液体が充填された2個の容器6にキャッピングを行う。
【0022】
キャッピングが終了した2個の容器6は、次の第4処理位置の検査ポジションDに送られて停止する。検査ポジションDでは、ヘッダー40が下降して下方のキャリア2の上面に圧接される。ヘッダー40の下面には環状のシール部材44が取り付けられており、キャリア2とヘッダー40とによって密閉された空間42が形成される。この密閉空間42内を真空ポンプ46によって、設定された検査圧力まで吸引する。液体が充填され、キャッピングされて密封されている容器6に、傷付きやピンホール等があると、容器6内に充填されている液体や気体が漏れだし、密閉空間42内を所定の真空度に維持できなくなる。ヘッダー40の内面には圧力センサ48が設けられており、密閉空間42内の圧力変化を検出し、判定手段50が容器の良否を判定する。検査圧力が予め設定された基準圧力を超えるとリークがあったものと判定する。
【0023】
検査ポジションDでリーク検査が行われた容器6は、次の第5処理位置のリジェクトポジションEに到達する。前記検査ポジションDで良品と判定された容器6はそのまま次のポジションに送られるが、リークがあったと判定された容器6は、リジェクト手段24によってキャリア2ごとリジェクトコンベヤ52上に排出される。キャリア2ごと容器6がリジェクトされた部分は、キャリア保持手段8がキャリア2の無い空の状態になっているが、搬送コンベヤ4の次の間欠走行によって、そのまま次のキャリア補充ポジションFに移動する。
【0024】
第6番目の処理位置であるキャリア補充ポジションFには、搬送コンベヤ6と直交する方向に配置されたキャリア供給コンベヤ54が空のキャリア2を搬送してきており、この位置に設置されたキャリア補充手段26によって、空になっているキャリア保持手段8に空のキャリア2を挿入する。リークが発生する等の不良容器があってリジェクトされた場合でも、このキャリア補充ポジションFで、すべてのキャリア保持手段8にキャリア2が保持された状態になる。
【0025】
その後、第6処理位置のキャリア補充ポジションFから第7処理位置の製品排出ポジションGに到達すると、前記容器供給手段12等と同様の構成の製品排出手段28が設置されており、キャリア2内に収容されている容器6(液体が充填されキャッピングが行われて完成した製品)が、前記メカチャック16に把持されて取り出され、搬送コンベヤ4と直交する方向に配置された製品搬出コンベヤ56によって排出される。この製品排出ポジションGでキャリア2内に収容されているすべての製品が取り出されて排出される。この製品排出ポジションGに到達した時点では、不良容器としてリジェクトされた容器6およびキャリア2が保持されていたキャリア保持手段8には、容器6(製品)が無く空のキャリア2だけが保持されているが、この製品排出ポジションGで製品が排出されてすべてのキャリア2が空の状態になる。搬送コンベヤ4のキャリア保持手段8に保持されている空のキャリア2が、このまま循環して第1位置である容器供給ポジションAに戻って再度容器6が供給される。このように液漏れがあった容器6をキャリア2ごと排出するので、この装置を停止して作業を妨げることはなく、しかも、キャリア2を簡単に清掃することができる。
【符号の説明】
【0026】
2 キャリア
4 搬送手段(搬送コンベヤ)
6 容器
24 リジェクト手段
26 補充手段
40 ヘッダー
42 空間(密閉空間)
46 吸引手段(真空ポンプ)
50 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を保持するキャリアと、このキャリアを搬送する搬送手段と、前記キャリアの搬送経路上に設けられ、キャリアとともに容器を収容する密閉空間を形成するヘッダーと、このヘッダーに接続されて前記密閉空間内を吸引する吸引手段と、この吸引手段によって吸引された前記密閉空間内の容器の良否を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段によって不良と判定された容器をキャリアごと搬送手段からリジェクトするリジェクト手段とを設けたことを特徴とするリーク検査装置。
【請求項2】
搬送手段のリジェクトされたキャリアの位置に、別のキャリアを補充する補充手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−184046(P2012−184046A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46652(P2011−46652)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】