説明

リーダーテープの係止部構造

【課題】 リーダーテープの側方に突出する耳片を必要とすることなく、リーダーテープの端部をテープカートリッジのテープエンド引掛け部に係止することのできるリーダーテープの係止部構造を提供する。
【解決手段】 磁気テープの繰り出し側端部に接続するリーダーテープ10の先端部を、これの側方に突出する耳片を介することなくテープカートリッジのテープエンド引掛け部26に係止する係止部構造であって、リーダーテープ10の先端部に取り付けられた、リーダーテープ10に対して折れ曲がり可能に接合され、且つ上記引掛け部26への係止穴12を備えた、リーダーテープの幅以下の幅を有するフィルム板13からなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープの繰り出し側端部に接続するリーダーテープの先端部を、テープカートリッジのテープエンド引掛け部に係止する係止部構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】単一のリールに磁気テープが巻き取られたDLT等のテープカートリッジは、図3に示すように駆動装置30に装着されると、磁気テープ31の繰り出し側端部に取り付けられたリーダーテープ32(図4参照)に、ローディング機構によって駆動装置30の連結テープが係止接続して、磁気テープ31がカートリッジ33から駆動装置30に引き出される。引き出された磁気テープ31は、ガイドローラー34を経て磁気ヘッド35と接触しつつ通過し、磁気ヘッド35との間で情報の交換を行う。
【0003】情報の交換が終了した磁気テープ31は、テープカートリッジ33のリール36に巻き取られて、駆動装置30から取り外される。この際に、リーダーテープ32は、図4に示すように、その先端部に側方に突出する一対の耳片37を備えていて、この耳片37を、図5(a),(b)に示すテープカートリッジ33の引き出し開口39の両側に設けられた案内溝38に差し込んで案内させることにより、リーダーテープ32の係止穴40(図4参照)を、テープカートリッジ33のテープエンド引掛け部41に係止する。これによって、磁気テープ31は、テープカートリッジ33の引き出し開口39に、リーダーテープ32の先端係止部を構成する舌片部42を臨ませた状態で、テープカートリッジ33内に巻取り収容されることになる。
【0004】しかしながら、上記耳片37は、リーダーテープ32の幅よりも広く、リーダーテープ32の両側に突出しているため、リーダーテープ32が、駆動装置30のガイドローラー34を通過する際に、この耳片37は、当該ガイドローラ34に設けられた、両縁部から外側に突出するずれ止め用のフランジに乗り上げることになるので、複数のガイドローラー34を経て往復移動する際に、この耳片37が破損しやすいという課題がある。
【0005】本発明は、リーダーテープの側方に突出する耳片を必要とすることなく、リーダーテープの端部をテープカートリッジのテープエンド引掛け部に係止することのできるリーダーテープの係止部構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気テープの繰り出し側端部に接続するリーダーテープの先端部を、テープカートリッジのテープエンド引掛け部に係止する係止部構造であって、該リーダーテープの先端部に接合され、且つ上記引掛け部への係止穴を備えた上記リーダーテープの幅以下の幅を有するフィルム板からなるリーダーテープの係止部構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】なお、フィルム板の材質としては、各種のプラスチックスや金属があげられるが、加工容易性やコストを考慮すると、プラスチックスが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のリーダーテープの係止部構造を、その好ましい実施形態について説明する。図1(a)は、第1実施形態に係る係止部構造を示すもので、この第1実施形態によれば、係止部構造は、リーダーテープ10の先端部に取り付けられた、このリーダーテープ10に接合され、且つテープカートリッジ33のテープエンド引掛け部41(図5参照)への係止穴12を備え、リーダーテープ10の幅以下の幅を有するフィルム板13からなっている。
【0009】リーダーテープ10は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなり、磁気テープの繰り出し側端部にスプライシングテープを介して接続され、テープカートリッジを駆動装置に装着した際に、連結テープ14と係止接続して磁気テープを駆動装置側に引き出すもので、その先端部には、連結テープ14の先端係止部15と係止接続する連結開口16を備えた舌片部17が設けられている。
【0010】また、本実施形態によれば、リーダーテープ10の先端部分には、これの側方に突出する従来の耳片の相当するものは設けられておらず、上述のフィルム板13が取り付けられている。
【0011】フィルム板13は、リーダーテープ10と同様の材質である、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる柔らかい板状のフィルム部材であって、リーダーテープ10よりも小さな幅を有する矩形帯状の形状を備え、その長手方向をリーダーテープ10の延長方向に延長させるとともに、その一端部が、スプライシングテープ18を用いてリーダーテープ10に接合固定されている。そして、フィルム板13は、リーダーテープ10に接合されたー端縁部19を可撓軸として、リーダーテープ10に対して開閉するように折り曲げ可能となっており、リーダーテープ10をテ−プカートリッジに引き込む際に、フィルム板13を離間させて、その中央部分に設けられた係止穴12を、テープエンド引掛け部26(図2(b)参照)に、係止できるようになっている。
【0012】また、本実施形態によれば、テープカートリッジの内部には、図2(a)に示すように、円柱状の移動ガイドピン20が設けられており、磁気テープをテープカートリッジに引き込む際に、この移動ガイドピン20が、リーダーテープ10の一方の面を押し出すようにスライド移動して、他方の面に設けられたフィル板13を強制的に折り曲げさせ、係止穴12をテープエンド引掛け部26に係止できるようになっている。
【0013】さらに、図2(b)に示すように、フィルム板13の先端両側に突出片21を設けるとともに、テープカートリッジの内部には、くさび形状のガイド片22を設けておき、磁気テープをテープカートリッジに引き込む際に、突出片21をガイド片22の傾斜面23に引っ掛けるようにしてこれに沿って移動させれば、フィル板13は強制的に折り曲げられることになり、係止穴12をテープエンド引掛け部26に係止させることが可能になる。なお、突出片21は、リーダーテープ10の側方に突出するものではない。
【0014】図1(b)は、第2実施形態に係る係止部構造を示すもので、この実施形態によれば、リーダーテープ10の先端部には幅方向に延長する切欠き挿入穴24が形成されている。そして、端部所定幅を取り付け基端部11とし、この基端部11との境目25を可撓軸として折り曲げ可能なフィルム板13を、その折り曲げ可能な部分を切欠き挿入穴24を介してリーダーテープ10の一方の面側から他方の面側に挿入突出させるとともに、取り付け基端部11を一方の面側に残置してスプライステープ18により接合することにより、フィルム板13をリーダーテープ10の先端部に取り付けるようにしたものである。
【0015】そして、上記各実施形態によれば、リーダーテープ10より幅の狭いフィル板13を介して、リーダーテープ10の側方に突出する耳片を必要とすることなく、リーダーテープ10の端部をテープカートリッジのテープエンド引掛け部26に係止することができる。
【0016】本発明では、例えば、フィルム板は、必ずしもスプライシングテープを介してリーダーテープに接合しなくてもよい。また、フィルム板を強制的に折り曲げさせる手段はなくてもよく、巻き取り時に自然に折れ曲がるようにすることもできる。
【0017】
【発明の効果】本発明のリーダーテープの係止部構造によれば、リーダーテープの先端部に接合され、且つ上記引掛け部への係止穴を備えた上記リーダーテープの幅以下の幅を有するフィルム板からなるので、リーダーテープの側方に突出する耳片を必要とすることなく、リーダーテープの端部をテープカートリッジのテープエンド引掛け部に容易に係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、第1実施形態に係るリーダーテープの係止部構造を説明する斜視図、(b)は、第2実施形態に係るリーダーテープの係止部構造を説明する斜視図である。
【図2】(a)及び(b)は、フィルム板を折り曲げさせる状況を説明する斜視図である。
【図3】テープカートリッジを駆動装置に装着した状況を示す内部平面図である。
【図4】従来のリーダーテープの係止部構造を説明する斜視図である。
【図5】(a)は、従来のテープカートリッジにおけるリーダーテープの係止部構造を示す説明図、(b)は(a)をA−Aから視た側面図である。
【符号の説明】
10 リーダーテープ
11 取り付け基端部
12 係止穴
13 フィルム板
14 連結テープ
18 スプライシングテープ
20 移動ガイドピン
21 突出片
22 ガイド片
24 切欠き挿入穴
26 テープエンド引掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気テープの繰り出し側端部に接続するリーダーテープの先端部を、テープカートリッジのテープエンド引掛け部に係止する係止部構造であって、該リーダーテープの先端部に接合され、且つ上記引掛け部への係止穴を備えた上記リーダーテープの幅以下の幅を有するフィルム板からなるリーダーテープの係止部構造。
【請求項2】 上記フィルム板が スプライシングテープを介してリーダーテープの先端部に取り付けられている請求項1記載のリーダーテープの係止部構造。
【請求項3】 上記フィルム板が、リーダーテープの先端部に幅方向に延長形成された切欠き挿入穴を介して一方の面側から他方の面側に挿入突出する状態で、取り付け基端部を上記一方の面側に接合することにより、上記リーダーテープに取り付けられる請求項2記載のリーダーテープの係止部構造。
【請求項4】 上記フィルム板がその先端両側に突出片を備え、該突出片がテープカートリッジに設けられたガイド片に沿って移動しつつ、上記係止穴を上記引掛け部に案内する請求項1〜3のいずれかに記載のリーダーテープの係止部構造。
【請求項5】 上記フィルム板が、テープカートリッジに設けられた移動ガイドピンによりリーダーテープを押し出すことによって折り曲げられて、上記係止穴が上記引掛け部に案内される請求項1〜3のいずれかに記載のリーダーテープの係止部構造。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【公開番号】特開2000−100116(P2000−100116A)
【公開日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−263230
【出願日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)