説明

リーダ/ライタ、プログラム、非接触通信システム及び非接触通信装置

【課題】非接触通信装置のハードウェア属性や通信状況に応じて、リーダ/ライタと非接触通信装置との間の通信方式を適切に切り替えること。
【解決手段】本発明のリーダ/ライタ3は、電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置1と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置1に電力を供給可能な無線通信部33と、発光部35及び受光部36を用いて前記非接触通信装置1と光通信する光通信部37と、前記非接触ICカード1が光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置1との間の非接触通信方式を、前記無線通信部33による無線通信から前記光通信部37による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置1との間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部38とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダ/ライタ、プログラム、非接触通信システム及び非接触通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンテナコイルとICチップとを内蔵した非接触ICカードを用いたサービスが、日常社会において急速に普及してきている。この非接触ICカードは、ホスト装置のリーダ/ライタにかざすだけで、データ通信可能であるので、利便性が高い。このため、かかる非接触ICカードは、例えば、電子マネー、交通機関の乗車券、会員証や社員証、店舗での代金決済用のカードとして、種々のサービスを提供するICカードシステムに応用されている。また、このような非接触ICカード機能を搭載した携帯電話などの携帯端末も普及している。
【0003】
非接触ICカードとリーダ/ライタと間の通信方式としては、所定の周波数帯域の電磁波を用いて情報を無線通信する方式(以下「RF通信」という。)が一般的であった。以下では、この通信方式をRF(Radio Frequency:無線周波数)通信と称する。ところが、近年では、このRF通信と光通信の双方に対応した複合式の非接触ICカード(ハイブリッドカード)とリーダ/ライタも開発されている。例えば、特許文献1には、クレジットカード等の情報記録媒体と電磁誘導により情報を通信する非接触通信アンテナと、当該情報記録媒体内に記録された情報を光学的に読み取るイメージセンサとを具備したリーダ/ライタが開示されている。
【0004】
また、非接触ICカードの電源としては、非接触ICカードが、アンテナによりリーダ/ライタから受信した電磁波を用いて、電磁誘導により電力を生成して、ICカード用電源(RF電源)として利用する方式が一般的である。さらに、近年では、このようなRF電源と、リーダ/ライタから受光した光を用いて発電した光電源とを切り替え可能な非接触ICカードも提案されている。例えば、特許文献2には、非接触ICカード機能を備えた携帯端末が、リーダ/ライタの発光部からの光を受光して発電する光センサを備え、当該光から発電した電力を光電源として利用して、RF通信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−220001号公報
【特許文献2】特開2006−109358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の技術は、光通信とRF通信で送受信される情報は異種の情報であり、同種の情報を通信するために光通信とRF通信を使い分けるものではない。このため、特許文献1の技術では、非接触ICカードとリーダ/ライタとの間の通信状況に応じて、光通信とRF通信を適切に切り替えて同種の情報を通信することができなかった。また、特許文献1のリーダ/ライタは、非接触ICカードのハードウェア属性(例えば、非接触ICカードがハードウェア的に光通信に対応しているか否か)に応じて、通信方式を切り替えることもできなかった。このため、光通信対応カードと非対応カードが混在する場合に、対処できなかった。
【0007】
また、特許文献2の技術では、非接触ICカード機能を有する携帯端末は、RF電源を光電源に切り替えてRF通信することはできても、リーダ/ライタとの間で情報を光通信することはできない。このため、両者の間の通信状況に応じて、光通信とRF通信を切り替えることはできなかった。また、特許文献2のリーダ/ライタは、非接触ICカードのハードウェア属性(例えば、非接触ICカードがハードウェア的に光電源に対応しているか否か)に応じて、電力供給方式を切り替えることもできなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、非接触通信装置のハードウェア属性や通信状況に応じて、リーダ/ライタと非接触通信装置との間の通信方式や電力供給方式を適切に切り替えることが可能な、新規かつ改良されたリーダ/ライタ、プログラム、非接触通信システム及び非接触通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、発光部及び受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する光通信部と、前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、を備える、リーダ/ライタが提供される。
【0010】
前記制御部は、前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光通信に対応可能であるか否かを判定し、前記非接触通信装置が前記光通信に対応可能である場合に、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記無線通信から前記光通信に切り替え、前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記光通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記光通信の通信状況を判定し、前記光通信の通信状況に応じて前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記光通信から前記無線通信に戻すようにしてもよい。
【0011】
前記光通信部は、前記発光部が発光する光により前記非接触通信装置に電力を供給可能であり、前記制御部は、前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替えるとともに、前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻すようにしてもよい。
【0012】
前記制御部は、前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光通信及び前記光による電力供給に対応可能であるか否かを判定し、前記非接触通信装置が前記光通信及び前記光による電力供給に対応可能である場合に、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記無線通信から前記光通信に切り替えるとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記光通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記光通信の通信状況を判定し、前記光通信の通信状況に応じて、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻すようにしてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、発光部及び受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する光通信部とを備えたリーダ/ライタの制御部に、前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替えるステップと、前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、非接触通信装置と、前記非接触通信装置と非接触通信するリーダ/ライタと、からなり、前記リーダ/ライタは、電磁波を発信する第1アンテナを用いて前記非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、第1発光部及び第1受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する第1光通信部と、前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記第1無線通信部による無線通信から前記第1光通信部による光通信に切り替え、前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、を備え、前記非接触通信装置は、前記電磁波を受信する第2アンテナを用いて前記リーダ/ライタと無線通信するとともに、前記第2アンテナで受信した電磁波を用いて電力を生成する第2無線通信部と、第2発光部及び第2受光部を用いて前記リーダ/ライタと光通信する第2光通信部と、前記第2無線通信部により生成される電力を用いて前記第2光通信部を起動させ、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記第2無線通信部による無線通信から前記第2光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す第2制御部と、を備える、非接触通信システムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電磁波を受信するアンテナを用いてリーダ/ライタと無線通信するとともに、前記アンテナで受信した電磁波を用いて電力を生成する無線通信部と、発光部及び受光部を用いて前記リーダ/ライタと光通信する光通信部と、前記無線通信部により生成される電力を用いて前記光通信部を起動させ、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、を備える、非接触通信装置が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部と、前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す制御部と、を備える、リーダ/ライタが提供される。
【0017】
前記制御部は、前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光による電力供給に対応可能であるか否かを判定し、前記非接触通信装置が前記光による電力供給に対応可能である場合に、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記無線通信の通信状況を判定し、前記無線通信の通信状況に応じて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻すようにしてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部とを備えたリーダ/ライタの制御部に、前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替えるステップと、前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻すステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、非接触通信装置と、前記非接触通信装置と非接触通信するリーダ/ライタと、からなり、前記リーダ/ライタは、電磁波を発信する第1アンテナを用いて前記非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な第1無線通信部と、前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部と、前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記第1無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す制御部と、を備え、前記非接触通信装置は、前記電磁波を受信する第2アンテナを用いて前記リーダ/ライタと無線通信するとともに、前記第2アンテナで受信された前記電磁波から電力を生成する第2無線通信部と、前記リーダ/ライタから前記光を受光する受光部と、前記受光部により受光された前記光から電力を生成する光電源生成部と、前記非接触ICカードの電源を、前記電磁波により生成される電力から、前記光により生成される電力に切り替え、前記第2無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触ICカードの電源を、前記光により生成される電力から前記電磁波により生成される電力に戻す第2制御部と、を備える、非接触通信システムが提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電磁波を受信するアンテナを用いてリーダ/ライタと無線通信するとともに、前記アンテナで受信された前記電磁波から電力を生成する無線通信部と、前記リーダ/ライタから前記光を受光する受光部と、前記受光部により受光された前記光から電力を生成する光電源生成部と、前記非接触ICカードの電源を、前記電磁波により生成される電力から、前記光により生成される電力に切り替え、前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触ICカードの電源を、前記光により生成される電力から前記電磁波により生成される電力に戻す制御部と、を備える、非接触通信装置が提供される。
【0021】
上記構成により、リーダ/ライタにおいて、非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、非接触通信装置との間の非接触通信方式が、無線通信部による無線通信から光通信部による光通信に切り替えられ、当該光通信の通信状況に基づいて、非接触通信装置との間の非接触通信方式が、光通信から前記無線通信に戻される。
【0022】
また、上記構成により、リーダ/ライタにおいて、非接触ICカードが光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、非接触通信装置に対する電力供給方式が電磁波による電力供給から光による電力供給に切り替えられ、無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、非接触通信装置に対する電力供給方式が光による電力供給から電磁波による電力供給に戻される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、非接触通信装置のハードウェア属性や通信状況に応じて、リーダ/ライタと非接触通信装置との間の通信方式や電力供給方式を適切に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触通信システムの構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態に係るリーダ/ライタの構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る非接触ICカードの構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態に係るリーダ/ライタの通信動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る非接触ICカードの構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態に係るリーダ/ライタの通信動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係るリーダ/ライタの通信動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施の形態(RF電源及びRF通信からRF電源及び光通信への切り替え)
2.第2の実施の形態(RF電源及びRF通信から光電源及び光通信への切り替え)
3.第3の実施の形態(RF電源及びRF通信から光電源及びRF通信への切り替え)
【0027】
<1.第1の実施形態>
[1.1.システム構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る非接触通信システムの概要について説明する。図1は、本実施形態に係る非接触通信システムの構成を示す概略図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る非接触通信システムは、非接触ICカード1と、ホスト装置2に接続されたリーダ/ライタ3とからなる。非接触ICカード1は、本発明の非接触通信装置の一例であり、リーダ/ライタ3は本発明のリーダ/ライタ(Reader Writer:情報読み取り・書き込み装置)の一例である。
【0029】
非接触ICカード1は、薄型のカード外装内に、ホスト装置のリーダ/ライタ3と非接触通信するためのアンテナ11と、所定の演算処理を実行可能な集積回路(IC)が搭載されたICチップ12とを備えている。これにより、非接触ICカード1は、ホスト装置2のリーダ/ライタ3との間で、電磁波を用いて非接触方式で無線通信(以下、「RF通信」という。)することが可能である。従って、非接触ICカード1を、リーダ/ライタ3が発する電磁波の有効範囲内に位置づけるだけで(即ち、非接触ICカード1をリーダ/ライタにかざすだけで)、非接触ICカード1内のデータを読み書きすることができる。よって、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3に対して抜き差しする必要がないため使い易く、迅速にデータを送受信でき、改造・変造しにくいため安全性が高く、データを書き換えることでカード自体を何度も再利用可能であるといった利点がある。よって、非接触ICカード1は、ユーザにとって利便性が高い。
【0030】
かかる利便性により、非接触ICカード1は、各種のサービスを提供するICカードシステムに適用されており、例えば、次の各種の用途(1)〜(6)などに用いられる。また、1枚の非接触ICカード1でこれら複数の機能を併せ持ったマルチアプリケーションタイプのカードも開発されており、非接触ICカード1の種類は多様化している。
【0031】
(1)電子マネーを記憶した電子マネーカード
(2)電車、バス、高速道路等の交通機関の乗車券、プリペイド式の運賃などを記憶した交通機関カード
(3)社員証、学生証等の身分証として用いられる個人認証用カード
(4)各種の店舗や施設の会員証、ポイントカード、クーポンカード
(5)映画館、コンサート会場、スポーツ競技場、アミューズメント施設等の電子チケットデータを記憶した電子チケットカード、
(6)インターネット上でのショッピングや、動画・音楽コンテンツの配信、有価証券・預金等の金融商品の売買などといった電子商取引に用いる電子決済カード
【0032】
また、リーダ/ライタ3は、上記非接触ICカード1と情報を非接触方式で通信するための情報読み書き装置である。このリーダ/ライタ3は、ホスト装置2に内蔵又は外付けされる。ホスト装置2は、例えば、自動改札機、店舗に設置される会計装置、パーソナルコンピュータ、情報家電などのユーザ端末、各種の商品や乗車券用の自動販売機、POS端末、キオスク端末、金融機関のATMなど、任意の電子機器に適用できる。図1の例では、リーダ/ライタ3が設けられるホスト装置2として、交通機関で用いられる自動改札機の例を挙げているが、本発明はかかる例に限定されない。
【0033】
ここで、上記のような非接触ICカード1とリーダ/ライタ3からなる非接触通信システムにおける通信方式の概要について説明する。
【0034】
図1に示すように、非接触通信システムでは、リーダ/ライタ3が、アンテナ31から電磁波であるRF信号を発信して、RF動作磁界を発生することによって、非接触ICカード1へ電力を伝送し、このRF動作磁界をコマンドやデータなどで変調する。非接触ICカード1は、RF通信用のアンテナ11と、非接触ICカード機能部としてのICチップ12とを備えている。非接触ICカード1は、例えば、電池を内蔵していない電池無しタイプの非接触ICカードで構成される。かかる電池無しタイプの非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3のアンテナ31から発信された電磁波をアンテナ11で受信すると、電磁誘導により電力を生成し、この電力を電源(RF電源)として用いて、ICチップ12を起動させる。そして、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3から所定の周波数で送信される電磁波(RF信号)をアンテナ11で受信し、リーダ/ライタ3と近接した状態であることを検知した場合に、リーダ/ライタ3と双方向の無線通信(即ち、RF通信)を行う。
【0035】
このRF通信は、例えば数cm程度の近接した距離での無線通信である。かかるRF通信は、例えば、搬送波として所定周波数(例えば13.56MHz)の周波数帯を利用し、212kbpsの通信速度で行われ、副搬送波を使用しない「対称通信」である。また、変調方式としてはASK(Amplitude Shift Keying)変調方式、符号化方式としてはマンチェスター符号化方式を使用できる。本実施形態に係るRF通信では、ホスト装置2のリーダ/ライタ3が非接触ICカード1に対して各種のコマンドを発行し、非接触ICカード1がこのコマンドに対して応答する方式で、トランザクションを繰り替えし、所定のサービスに関する情報を送受信する。
【0036】
一方、本実施形態に係る非接触ICカード1とリーダ/ライタ3は、上記RF通信のみならず、光(例えば、可視光、赤外光など)を用いて情報を非接触方式で通信することもできる。このように光を用いた非接触通信を「光通信」と称する。この光通信を行うために、非接触ICカード1は発光部15と受光部16を備え、リーダ/ライタ3も発光部35と受光部36を備える。これにより、非接触ICカード1とリーダ/ライタ3は相互に、発光部15、35から発光された光(光信号)を受光部36、16で受光することで、各種の情報を、光を用いて非接触通信(光通信)することができる。
【0037】
[1.2.リーダ/ライタと非接触ICカードの構成]
次に、図2及び図3を参照して、上述したRF通信と光通信を行うためのリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るリーダ/ライタ3の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態に係る非接触ICカード1の構成を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、リーダ/ライタ3は、アンテナ31と、RF通信部33と、変・復調部34と、発光部35と、受光部36と、光通信部37と、制御部38と、記憶部39とを備える。RF通信部33は、本発明のリーダ/ライタの無線通信部に相当する。かかるリーダ/ライタ3は、例えばホスト装置2のコンピュータからの送信命令に応じて、コマンドとしてRF信号を含む搬送波(電磁波)を非接触ICカード1に送信し、このレスポンスとしてのRF信号を非接触ICカード1から受信する。以下に各部について詳述する。
【0039】
アンテナ31は、RF通信用のアンテナであり、例えば、所定のインダクタンスを有するコイルと、所定の静電容量を有するキャパシタとからなる共振回路で構成される。該コイルは、リーダ/ライタ3の通信面に配置され、RF通信部33に接続されている。
【0040】
RF通信部33は、電磁波を送受信するためのアンテナ31を用いて、リーダ/ライタ3と非接触通信(RF通信)するとともに、この電磁波の送信によりリーダ/ライタ3に電力(RF電源)を供給する機能を有する。詳細には、RF通信部33は、アンテナ31から、所定の周波数帯域(例えば13.56MHz)の搬送波(電磁波)を発信することで、RF動作磁界を発生し、このRF動作磁界によって非接触ICカード1に電力を伝送する。また、変・復調部34は、制御部38の指示により、当該搬送波を所定のコマンドやデータに応じて変調するが、RF通信部33は、当該変・復調部34により変調された搬送波を、アンテナ31を用いて非接触ICカード1に送信する。また、RF通信部33は、アンテナ31を用いて非接触ICカード1から応答信号(RF信号)の電磁波を受信して、変・復調部34に出力する。すると、変・復調部34は、かかる応答信号を復調して、非接触ICカード1から送信されたコマンドやデータを取得し、制御部38に出力する。例えば、変・復調部34は、アンテナ31端部における電圧の振幅変化を包絡線検波し、検波した信号を2値化することによって、非接触ICカード1からの応答信号を復調する。
【0041】
以上の構成により、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1と、電磁波を用いて無線通信(RF通信)することができる。一方、発光部35、受光部36、光通信部37は、リーダ/ライタ3が非接触ICカード1と光通信するための構成要素である。
【0042】
発光部35は、可視光又は赤外光などの光を発光する発光デバイスである。この発光部35は、リーダ/ライタ3のデータ通信面に設けられ、リーダ/ライタ3に近接配置された非接触ICカード1に向けて適切な光量の光を照射する。この発光部35は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を使用できるが、かかる例に限定されず、例えば蛍光灯その他の発光デバイスを用いてもよい。かかる発光部35は、常時発光してもよいし、点滅発光してもよい。
【0043】
受光部36は、可視光又は赤外光などの光を受光する受光デバイスである。この受光部36も、リーダ/ライタ3のデータ通信面に設けられ、リーダ/ライタ3に近接配置された非接触ICカード1の発光部15が発した光を受光する。この受光部36は、例えば、フォトディテクタを使用できるが、かかる例に限定されず、例えばイメージセンサなどの各種の光センサ、受光素子を用いてもよい。
【0044】
光通信部37は、上記発光部35及び受光部36を用いて、非接触ICカード1との間で光を用いて非接触通信(光通信)する機能を有する。例えば、光通信部37は、変・復調部34により変調された電気信号に応じて発光部35(LED等)を駆動する駆動回路と、受光部36で受光された光信号を増幅して変・復調部34に出力する増幅回路などを備える。光通信は、可視光、赤外光などの光を利用して情報を伝達する通信技術であり、例えば、可視光を利用して情報を伝達する可視光通信、赤外光を利用して情報を伝達する赤外光通信などである。かかる光通信では、上記発光部が発する光の周波数を変調したり、点滅させたりすることにより、光を介して情報を送信できる。
【0045】
本実施形態では、リーダ/ライタ3から非接触ICカード1への情報送信時には、変・復調部34により送信対象情報(コマンドやデータ等)に応じて電気信号を振幅変調し、当該変調された電気信号を光通信部37により光に変換して、発光部35から送信する。一方、非接触ICカード1から情報を受信するときには、非接触ICカード1の発光部15からの光を受光部36により受光して、光通信部37により電気信号に変換し、その電気信号を変・復調部34により復調する。このように本実施形態に係る光通信では、所望の情報に応じて変調/復調した電気信号を光に変換して送受信する方式であるが、かかる例に限定されない。例えば、所望の情報に応じて光の点滅を制御することにより情報を送受信するようにしてもよい。
【0046】
制御部38は、マイクロプロセッサ等で構成され、リーダ/ライタ3内の各部を制御するとともに、所定の演算処理を行う。かかる制御部38は、記憶部39に記憶されたプログラムに従って動作し、所定のサービスに関する演算処理や、コマンド生成、各種情報の送受信の制御などを実行する。これにより、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1に対するカード検出(ポーリング)、相互認証、データの読み書きなどを実行できる。
【0047】
記憶部39は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置で構成され、各種の情報を永続的又は一時的に記憶する。例えば、記憶部39は、非接触通信により所定のサービスを提供するために制御部38を動作させるためのプログラム、非接触ICカード1から取得したデータ、制御部38により演算されたデータなどといった各種データを記憶する。
【0048】
次に、図3を参照して本実施形態に係る非接触ICカード1の構成を説明する。図3に示すように、非接触ICカード1は、アンテナ11と、RF通信部13(本発明の無線通信部に相当する。)と、変・復調部14と、発光部15と、受光部16と、光通信部17と、制御部18と、記憶部19とを備える。このうち、RF通信部13、変・復調部14、光通信部17、制御部18及び記憶部19は、ICチップ12に搭載される。かかる非接触ICカード1は、アンテナ11により、リーダ/ライタ3からの電磁波(搬送波)を受信し、ICチップ12により、受信した電磁波に含まれるRF信号(搬送波信号)を復調して処理し、負荷変調により応答信号をリーダ/ライタ3に送信する。以下に各部について詳述する。
【0049】
アンテナ11は、RF通信用のアンテナであり、例えば、所定のインダクタンスを有するコイルと、所定の静電容量を有するキャパシタとからなる共振回路で構成される。該コイルは、非接触ICカード1の表面又は裏面に配置され、ICチップ12のRF通信部13に接続されている。かかるアンテナ11は、リーダ/ライタ3からの電磁波を受信すると、電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、アンテナ11は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧をRF通信部13に出力する。ここで、通信アンテナ11における共振周波数は、搬送波の周波数(例えば13.56MHz)に合わせて設定される。
【0050】
RF通信部13は、電磁波を送受信するアンテナ11を用いて、リーダ/ライタ3と非接触通信(RF通信)するとともに、受信した電磁波を用いて電力を生成する機能を有する。RF通信部13は、アンテナ11を用いて、リーダ/ライタ3からRF信号(コマンド)を含む搬送波(電磁波)を受信する。そして、RF通信部13は、変・復調部14が行う負荷変調によって、上記コマンドに対するレスポンスとしての応答信号(RF信号)をリーダ/ライタ3に送信する。
【0051】
詳細には、RF通信部13は、アンテナ11から出力される受信電圧を整流する整流回路(図示せず。)と、該整流された受信電圧を平滑、定電圧化し、制御部18に駆動電圧を出力するレギュレータ(図示せず。)を備える。これにより、RF通信部13は、アンテナ11による電磁波の受信に応じて、制御部18を駆動させるための電力(駆動電圧)を生成し、当該電力をRF電源として制御部18に供給する。また、RF通信部13は、当該搬送波を分周して、ICチップ12を駆動させるためのクロックを再生する。
【0052】
また、変・復調部14は、アンテナ11を用いてRF通信部13により受信された搬送波信号を復調し、搬送波に含まれるRF信号を出力する。RF信号は、例えば、ハイレベルとローレベルとの2値化されたデータ信号であり、リーダ/ライタ3から送信されたコマンド、データ等を表す。
【0053】
制御部18は、RF通信部13から出力される駆動電圧をRF電源として駆動し、変・復調部14において復調されたコマンド、データに関する処理を行い、リーダ/ライタ3に返信するコマンド、データ等を生成する。また、制御部18は、このコマンド、データ等に応じて、変・復調部14に対して選択的に負荷変調を制御するための制御信号を送る。変・復調部14は、例えば、負荷Z(抵抗)とスイッチとを備え、制御部18から伝達される制御信号に基づいて、負荷Zを選択的に接続することによって負荷変調を行う。変・復調部14により負荷変調が行われることにより、リーダ/ライタ3からみた非接触ICカード1のインピーダンスが変化する。リーダ/ライタ3は、上記インピーダンスの変化を、例えば、アンテナ31の端部における電圧の振幅変化を利用して検出することによって、非接触ICカード1がリーダ/ライタ3に送信した応答信号を復調する。
【0054】
上記のようにして、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3から送信される搬送波を受信して、RF信号をデータ処理し、処理結果に応じて選択的に負荷変調を行うことで、応答信号をリーダ/ライタ3へ送信できる。このようにして、非接触ICカード1とリーダ/ライタ3との間でRF通信が実行される。一方、発光部15、受光部16、光通信部17は、非接触ICカード1がリーダ/ライタ3と光通信するための構成要素である。
【0055】
発光部15は、可視光又は赤外光などの光を発光する発光デバイスである。この発光部15は、非接触ICカード1のデータ通信面に設けられ、リーダ/ライタ3に向けて適切な光量の光を照射する。この発光部15も、上記発光部35と同様に、LED等の発光素子で構成される。
【0056】
受光部16は、可視光又は赤外光などの光を受光する受光デバイスである。この受光部16も、非接触ICカード1のデータ通信面に設けられ、リーダ/ライタ3の発光部35が発した光を受光する。この受光部16も、上記受光部36と同様に、フォトディテクタ等の受光素子で構成される。
【0057】
光通信部17は、上記発光部15及び受光部16を用いて、リーダ/ライタ3との間で光を用いて非接触通信(光通信)する機能を有する。この光通信部17は、上記光通信部37と同様の機能構成を有し、非接触ICカード1との間で可視光通信又は赤外線通信等を実行する。
【0058】
本実施形態では、非接触ICカード1からリーダ/ライタ3への情報送信時には、変・復調部14により送信対象情報(コマンドやデータ等)に応じて電気信号を変調し、当該変調された電気信号を光通信部17により光に変換して、発光部15から送信する。一方、リーダ/ライタ3から情報を受信するときには、リーダ/ライタ3の発光部35からの光を受光部16により受光して、光通信部17により電気信号に変換し、その電気信号を変・復調部14により復調する。
【0059】
制御部18は、マイクロプロセッサ等で構成され、非接触ICカード1内の各部を制御するとともに、所定の演算処理を行う。かかる制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムに従って動作し、所定のサービスに関する演算処理や、コマンドやレスポンスの生成、各種情報の送受信の制御などを実行する。これにより、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3からのコマンドに対する応答や、記憶部19に対するデータの読み書きなどを実行できる。
【0060】
記憶部19は、例えば、ROM、RAM等の半導体メモリで構成され、各種の情報を記憶する。例えば、記憶部19は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、フラッシュメモリ、又はFeRAM(Ferroelectric RAM)等の不揮発性メモリで構成できる。この記憶部19は、例えば、非接触通信により所定のサービスを提供するために制御部18を動作させるためのアプリケーションプログラム、非接触ICカード1を一意に識別するためのカードID、サービスデータ(電子バリュー等)などの各種データを記憶する。
【0061】
以上、図2及び図3を参照して、本実施形態に係るリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の構成を説明した。上記構成により、ホスト装置2のリーダ/ライタ3と非接触ICカード1との間で非接触通信(RF通信又は光通信)を行うことで、非接触ICカード1を用いた各種のサービスをユーザに提供できる。例えば、非接触ICカード1が電子マネーサービスに対応している場合、当該非接触ICカード1内に記憶された電子バリューを電子マネーとして利用して、商品の購入代金などをホスト装置2に対して支払うことができる。
【0062】
[1.3.非接触通信方式の切り替え制御]
次に、本実施形態に係るリーダ/ライタ3による非接触通信方式の切り替え制御について説明する。
【0063】
本実施形態に係るリーダ/ライタ3の制御部38は、非接触ICカード1との間の非接触通信方式や、非接触ICカード1に対する電力供給方式を切り替えるための制御を行う。非接触通信方式の切り替え制御では、制御部38は、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1との通信状況や、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、RF通信と光通信を適切に切り替える。
【0064】
例えば、制御部38は、RF通信中に非接触ICカード1から受信したコマンドに基づいて、非接触ICカード1のハードウェア属性が光通信に対応可能か否かを判定し、対応している場合には、RF通信から光通信に切り替える。非接触ICカード1が上述した発光部15、受光部16及び光通信部17等の光通信用のハードウェアを具備していれば、非接触ICカード1のハードウェア構成が光通信に対応可能であることになる。RF通信から光通信に切り替えるために、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等の光通信機能部を起動させ、その光通信機能を有効化する。
【0065】
このように非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて非接触通信方式を切り替えることにより、RF通信状況が悪い環境であっても、非接触ICカード1が光通信に対応可能であれば、RF通信から光通信に切り替えて好適に通信可能となる。
【0066】
また、制御部38は、上記切り替え後の光通信中には、非接触ICカード1とリーダ/ライタ3との間の光通信の通信状況(以下「光通信状況」という。)に応じて、光通信からRF通信に切り替える。光通信状況は、リーダ/ライタ3が非接触ICカード1から受信する光コマンドの受信状態で判断できる。光コマンドの受信状態が良好でない場合とは、例えば、次の(A)及び(B)を例示できる。
【0067】
(A)リーダ/ライタ3の受光部36で受光した光から得られる返答コマンドがエラーとなる、つまり、当該返答コマンドの内容が意味をなさない場合(例えば全ての返答コマンドのデータが“0000”や“FFFF”になる場合)。
(B)リーダ/ライタ3が光コマンドを非接触ICカード1に送信してから所定期間内に、非接触ICカード1からレスポンスコマンドを受信しなかった場合。
【0068】
これら(A)及び(B)のように非接触ICカード1からの光コマンドの受信状態が良好でない場合には、光通信状況が悪く、光通信を行うことは適切でないと判断できる。なお、光コマンドは、非接触ICカード1とリーダ/ライタ3の間の光通信で送受信されるコマンドを意味する。
【0069】
ここで、光通信の障害原因としては、例えば、以下の(a)及び(b)を例示できる。
(a)非接触ICカード1とリーダ/ライタ3の物理的位置関係
光通信が例えば赤外線通信である場合、発光部15、35と受光部36、16の対向位置や距離によって、好適に光通信できない場合がある。
(b)外部機器からのノイズ
プラズマディスプレイ等の赤外線を放射する機器が近くに存在する場合に、当該機器から放射される光によってノイズが生じることで、好適に光通信できない場合がある。
【0070】
上記のような障害原因によって光通信を適切に実行できなくなった場合、上述した(A)及び(B)のように、非接触ICカード1からの光コマンドの受信状態が良好でなくなる。そこで、本実施形態に係るリーダ/ライタ3の制御部38は、非接触ICカード1からの光コマンドの受信状態の良否、例えば、上記(A)及び(B)の受信状態に該当するか否かを判定基準として、光通信状況の良否を判定する。
【0071】
なお、上記の光通信の障害原因が起こりうるタイミングとして、例えば、以下の3つの態様があり得る。
(1)リーダ/ライタ3から非接触ICカード1への光コマンド送信時に障害がある場合。
(2)リーダ/ライタ3から非接触ICカード1への光電源送信時に障害がある場合。例えば、光による電力供給が不能となった場合、又は、光による供給電力(受光量)がICチップ12の起動に必要な電力よりも不足する場合。
(3)リーダ/ライタ3から非接触ICカード1への光コマンド送信は問題ないが、非接触ICカード1からリーダ/ライタ3への光コマンド(レスポンス)の返信時に障害がある場合。
【0072】
リーダ/ライタ3は、上記(1)〜(3)の障害の全ケースを含めて、光通信状況の良否を判断する必要がある。そこで、リーダ/ライタ3の制御部38は、上記(A)または(B)に該当し、非接触ICカード1からの光コマンドの受信状態が悪い場合に、光通信における上記(a)〜(c)のいずれかの態様で障害があったものとして、光通信状況が良好でないと判定する。
【0073】
上記のようにして光通信状況が良好でないと判定した場合には、制御部38は、非接触通信方式を、現在行っている光通信から、元のRF通信に切り替える。光通信からRF通信に切り替えるために、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等の光通信機能部を動作停止させて、その光通信機能を無効化するとともに、RF通信部33等のRF通信機能部を起動させて、そのRF通信機能を有効化する。
【0074】
以上のように光通信状況に応じて非接触通信方式を切り替えることで、上記(1)〜(3)のように光通信に障害がある場合でも、光通信から元のRF通信に戻して、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1間で非接触通信を好適に継続することが可能となる。
【0075】
なお、上記では非接触通信方式の切り替え動作は、リーダ/ライタ3の制御部38及び非接触ICカード1の制御部18の制御により、ソフトウェア的に実行されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、リーダ/ライタ3において、上記光通信機能部とRF通信機能部を切り替えるためのスイッチ回路を設けるなどして、ハードウェア的に非接触通信方式を切り替えてもよい。
【0076】
[1.4.通信方法]
次に、図4を参照して、上記構成のリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の通信方法について説明する。図4は、本実施形態に係るリーダ/ライタ3の通信動作を示すフローチャートである。
【0077】
図4に示すように、本実施形態に係る通信方法では、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1の間で、非接触通信方式を切り替える。このとき、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、非接触通信方式をRF通信から光通信に切り替えた後に、光通信の通信状況に応じて、非接触通信方式を光通信からRF通信に戻すことを特徴としている。以下にこの通信方法について詳述する。
【0078】
図4に示すように、まず、リーダ/ライタ3は、RF通信部33によりアンテナ31から所定数周波数の搬送波(電磁波)を発信することで、非接触ICカード1にRF電源を供給し、非接触ICカード1内のICチップ12を起動させる(S10)。非接触ICカード1は、アンテナ11にて当該搬送波を受信することで、電磁誘導により駆動電圧を得て、この駆動電圧でICチップ12を起動させる。
【0079】
次いで、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1とRF通信を行い、非接触ICカード1にRFコマンドを送信し(S12)、リーダ/ライタ3から応答コマンド(レスポンス)を受信する(S14)。
【0080】
具体的には、リーダ/ライタ3は、上記電磁波を発信することで、相手先の非接触ICカードにRF電源を供給するとともに、ポーリングコマンドを送信し続けている。非接触ICカード1のICチップ12内の制御部18は、ポーリングコマンドに対するレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。リーダ/ライタ3は、当該レスポンスを受信した後、非接触ICカード1に対して光通信可能か否かを求める光通信要求コマンドを送信する。非接触ICカード1は、発光部15、受光部16及び光通信部17等からなる光通信機能部としてのハードウェアを具備しており、制御部18が当該光通信機能部を制御している場合には、光通信に対応可能であり、そうでない場合は、光通信に対応不能である。光通信に対応可能である場合、非接触ICカード1は、上記光通信要求コマンドに対するレスポンスとして、光通信可能であることを示すレスポンス(返答コマンド)をリーダ/ライタ3に返信する。一方、非接触ICカード1が上記光通信機能部のハードウェアを具備していない場合や、非接触ICカード1の制御部38が光通信機能部を制御していない場合は、非接触ICカード1は、光通信不可であることを示すレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。
【0081】
次いで、リーダ/ライタ3の制御部38は、現在RF通信を行っている相手先の非接触ICカード1のハードウェア属性を判定、即ち、当該非接触ICカード1が光通信に対応可能であるか否かを判定する(S16)。詳細には、リーダ/ライタ3の制御部38は、上記S14にて光通信要求コマンドに対するレスポンスを受信することで、そのレスポンスに基づき、非接触ICカード1が光通信に対応可能であるか否かを判定する。この結果、非接触ICカード1が光通信に対応不能である場合には、S26に進み、光通信に切り替えることなく、RF通信を継続する(S26)。
【0082】
一方、非接触ICカード1が光通信に対応可能である場合には、S18に進み、リーダ/ライタ3の制御部38は、非接触通信方式を、これまで行っていたRF通信から、光通信に切り替える(S18)。具体的には、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等の光通信機能部を起動させ、その光通信機能を有効化する。一方、非接触ICカード1は、光通信可能であることを表すレスポンス(S14)をリーダ/ライタ3に返信した後に、RF電源を用いて発光部15、受光部16及び光通信部17等の光通信機能部を起動させ、その光通信機能を有効化している。このため、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3の発光部35から光コマンドが送信されれば、その光コマンドを受光部16により受信可能である。なお、非接触ICカード1は、S10の段階において、RF電源を用いてICチップ12とともに光通信機能部を起動させて、その光通信機能を有効化しておいてもよい。
【0083】
このようにして、リーダ/ライタ3及び非接触ICカード1において、各々の光通信機能部を起動させることで、両者間で光コマンドを用いた光通信を実行可能な状態となる。その後、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1は、発光部35、15及び受光部36、16を用いて相互に光を発光及び受光して、光コマンドとそのレスポンスを送受信することで、光通信を実行し、所定のサービスに関する処理を遂行する(S20)。
【0084】
上記のように、本実施形態では、リーダ/ライタ3は、光通信要求コマンドに対するレスポンス(S14)により、非接触ICカード1のハードウェア構成が光通信に対応可能であることが確認できた後に(S16)、RF通信から光通信に切り替える(S18)。従って、S18の後にリーダ/ライタ3から非接触ICカード1に送信するコマンドは、光通信部37の発光部35から発光される光コマンドと用いることができる。しかし、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、非接触ICカード1の光通信対応可否の確認後に(S16)、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1に光通信への切り替えを指示する制御コマンドを送信し、非接触ICカード1から該制御コマンドに対するレスポンスを受信したことを契機として、通信方式を切り替えてもよい。これにより、光通信の安全性を向上できる。
【0085】
なお、上記の光通信中にも、リーダ/ライタ3のアンテナ11から電磁波が発信され続けており、非接触ICカード1にRF電源が供給されており、非接触ICカード1はRF電源により動作する。しかし、非接触ICカード1からリーダ/ライタ3には、電磁波によるRFコマンドは送信されておらず、光コマンドのみが送信される。また、上記の光通信により、光通信状況が悪化することなく、上記所定のサービスに関する処理が全て終了したときには(S20)、図4の処理が全て終了する。
【0086】
また、上記光通信中は、リーダ/ライタ3の制御部38は、非接触ICカード1からの返答コマンドの受信状態に基づいて、光通信状況が良好であるか否かを判定し続ける(S22)。詳細には、制御部38は、非接触ICカード1からの返答コマンドの受信状態が所定の条件に該当する場合には、光通信状況が良好でないと判定し、当該所定の条件に該当しない場合には、光通信状況が良好であると判定する。例えば、上述したように(A)リーダ/ライタ3の受光部36で受光した光から得られる返答コマンドがエラーとなる場合や、(B)リーダ/ライタ3が光コマンドを非接触ICカード1に送信してから所定期間内に非接触ICカード1からレスポンスコマンドを受信しなかった場合には、制御部38は、光通信状況が良好でないと判定する。
【0087】
S22での判定の結果、光通信状況が良好でない場合には、制御部38は、非接触通信方式を、光通信から元のRF通信に切り替える(S24)。具体的には、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等の光通信機能部を動作停止させ、その光通信機能を無効化するとともに、RF通信部33等のRF通信機能部を動作させて、そのRF通信機能を有効化する。また、非接触ICカード1の制御部18は、発光部15、受光部16及び光通信部17等の光通信機能部を動作停止させ、その光通信機能を無効化するとともに、RF通信部13等のRF通信機能部を起動させて、そのRF通信機能を有効化する。かかる非接触通信方式の切り替えにより、通信状況が良好ではない光通信から、良好に通信できる可能性のあるRF通信に切り替えられる。
【0088】
その後は、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1との間でRF通信を実行して、電磁波を用いてRFコマンドを非接触ICカード1に送信し、また、そのレスポンスを非接触ICカード1から受信する(S26)。
【0089】
以上、本実施形態に係る通信方法について説明した。本実施形態によれば、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、非接触通信方式をRF通信から光通信に切り替えた後に、光通信状況に応じて、非接触通信方式を光通信からRF通信に戻す。
【0090】
これにより、非接触ICカード1が光通信可能である場合には、非接触通信方式をRF通信から光通信に自動的に切り替えることができるので、RF通信状況が悪い環境であっても、光通信により好適に通信できる。また、非接触ICカード1が光通信不能である場合には、光通信に切り替えないようにして、RF通信を維持できる。
【0091】
また、光通信を行っている最中に光通信状況の良否を判定して、光通信状況が良好でない場合には、光通信から元のRF通信に自動的に戻すことができる。従って、通信遮断を生じさせることなく、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1間での非接触通信を好適に継続できる。
【0092】
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1の間で、非接触通信方式と、非接触ICカード1に対する電力供給方式の双方を切り替える。このとき、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、非接触通信方式をRF通信から光通信に切り替えるとともに、電力供給方式をRF電源から光電源に切り替えた後に、光通信の通信状況に応じて、非接触通信方式を光通信からRF通信に戻すととともに、電力供給方式を光電源からRF電源に戻すことを特徴としている。
【0093】
なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて、非接触通信方式を切り替えるとともに、非接触ICカード1に対する電力供給方式をRF電源と光電源とで切り替える点で相違し、その他の機能構成は、第1の実施形態と略同一であるので詳細説明は省略する。
【0094】
[2.1.リーダ/ライタと非接触ICカードの構成]
まず、図2及び図5を参照して、第2の実施形態に係るリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の構成について説明する。図5は、第2の実施形態に係る非接触ICカード1の構成を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係るリーダ/ライタ3は、上記第1の実施形態に係るリーダ/ライタ3(図2参照。)の構成と略同一であるので、詳細説明は省略する。
【0095】
図5に示すように、本実施形態に係る非接触ICカード1は、図3で示した構成要素に加えて、光電源生成部20をさらに備える。光電源生成部20は、受光部16で受光した光を用いて、ICチップ12を駆動させるための電力(光電源)を生成する機能を有する。この光電源生成部20は、例えば、ソーラーセル等の光電変化素子で構成され、受光部16と制御部18に接続されている。かかる光電源生成部20は、受光部16で受光した光を用いて発電し、その電力を光電源として制御部18に印加する。
【0096】
一方、非接触ICカード1は、第1実施形態と同様に、RF通信部13により、アンテナ11での電磁波受信により生じる電磁誘導によって電力(RF電源)を生成できる。従って、本実施形態に係る非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3から送信される電磁波を利用したRF電源のみならず、リーダ/ライタ3から発光される光を利用した光電源を生成でき、これらRF電源と光電源をICチップ12の電源として使用できる。このように、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3の発光部35が発した光を受光部16により受光し、この受光した光を用いて発電した電力でICチップ12を起動させて動作することもできる。
【0097】
[2.2.非接触通信方式及び電源供給方式の切り替え制御]
次に、第2の実施形態に係るリーダ/ライタ3による非接触通信方式及び電源供給方式の切り替え制御について説明する。
【0098】
第2に実施形態に係るリーダ/ライタ3の制御部38は、第1の実施形態と同様にして非接触ICカード1との間の非接触通信方式を切り替えるための制御を行うとともに、さらに、リーダ/ライタ3に対する電力供給方式を切り替えるための制御を行う。電力供給方式の切り替え制御では、制御部38は、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1との通信状況や、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、RF電源と光電源を適切に切り替える。
【0099】
例えば、制御部38は、RF通信中に非接触ICカード1から受信したコマンドに基づいて、非接触ICカード1のハードウェア構成が光による電力供給に対応可能か否か(つまり、非接触ICカード1が受光した光を用いて光電源を生成可能か)を判定する。そして、光電源に対応している場合には、制御部38は、リーダ/ライタ3から非接触ICカード1に対する電力供給方式を、電磁波による電力供給から光による電力供給に切り替える。これにより、非接触ICカード1は、RF電源から光電源に切り替えて、ICチップ12を駆動させる。
【0100】
非接触ICカード1が上述した発光部15、受光部16及び光電源生成部20等の光電源生成用のハードウェアを具備していれば、非接触ICカード1のハードウェア属性が光電源に対応可能であることになる。RF電源から光電源に切り替えるために、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35及び光通信部37等の光電源供給機能部を起動させ、その光電源供給機能を有効化する。
【0101】
このように非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて電力供給方式を切り替えることにより、RF通信状況が悪い環境であっても、非接触ICカード1が光電源に対応可能であれば、RF電源から光電源に切り替えて好適に通信可能となる。
【0102】
また、制御部38は、光通信中には、非接触ICカード1とリーダ/ライタ3との間の光通信状況に応じて、電力供給方式を、光による電力供給(光電源)から電磁波による電力供給(RF電源)に切り替える。光通信状況は、第1の実施形態と同様にリーダ/ライタ3が非接触ICカード1から受信する光コマンドの受信状態で判断できる。そこで、制御部38は、例えば、上記(A)及び(B)の受信状態に該当するか否かを判定基準として、光通信状況の良否を判定する。
【0103】
この結果、光通信状況が良好でないと判定した場合には、制御部38は、電力供給方式を、現在の光電源から、元のRF電源に切り替える。このために、リーダ/ライタ3の制御部38は、受光部36及び光電源生成部20等の光電源供給機能部を動作停止させて、光を発光しないようにして、光電源供給機能を無効化するとともに、RF通信部33等のRF電源供給機能部を起動させて、そのRF電源供給機能を有効化する。
【0104】
以上のようにして、光通信状況に応じて電力供給方式を切り替えることで、上記(1)〜(3)のように光通信に障害があり、光を用いて十分な電力を供給できない場合であっても、光電源から元のRF電源に戻して、非接触通信を好適に継続可能となる。
【0105】
なお、上記では非接触通信方式の切り替え動作は、リーダ/ライタ3の制御部38及び非接触ICカード1の制御部18の制御により、ソフトウェア的に実行されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、リーダ/ライタ3において、上記光電源供給機能部とRF電源供給機能部を切り替えるためのスイッチ回路を設けるなどして、ハードウェア的に電力供給方式を切り替えてもよい。
【0106】
[2.3.通信方法]
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係るリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の通信方法について説明する。図6は、第2の実施形態に係るリーダ/ライタ3の通信動作を示すフローチャートである。
【0107】
図6に示すように、まず、リーダ/ライタ3は、RF通信部33によりアンテナ31から所定数周波数の搬送波(電磁波)を発信することで、非接触ICカード1にRF電源を供給する(S110)。これにより、リーダ/ライタ3は、RF電源により、非接触ICカード1内のICチップ12を起動させる。なお、このS110の段階では、リーダ/ライタ3の制御部38は、アンテナ31及びRF通信部33等からなるRF通信及びRF電源供給機能部を起動させており、そのRF通信及びRF電源供給機能が有効化されている。
【0108】
次いで、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1とRF通信を行い、アンテナ31から非接触ICカード1にRFコマンドを送信し(S112)、リーダ/ライタ3から返信コマンドを受信する(S114)。
【0109】
具体的には、リーダ/ライタ3は、上記電磁波を発信することで、相手先の非接触ICカードにRF電源を供給するとともに、ポーリングコマンドを送信し続けている。非接触ICカード1のICチップ12内の制御部18は、ポーリングコマンドに対するレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。リーダ/ライタ3は、当該レスポンスを受信した後、非接触ICカード1に対して光通信及び光電源に対応可能か否かを求める光通信要求コマンドを送信する。
【0110】
上記のように、第2の実施形態に係る非接触ICカード1は、発光部15、受光部16、光通信部17及び光電源生成部20等からなる光通信及び光電源生成機能部としてのハードウェアを具備している。このため、非接触ICカード1の制御部18が当該光通信及び光電源生成機能部を制御している場合には、光通信及び光電源に対応可能であり、そうでない場合は、光通信及び光電源に対応不能である。光通信及び光電源に対応可能である場合、非接触ICカード1は、上記光通信要求コマンドに対するレスポンスとして、光通信及び光電源に対応可能であることを示すレスポンス(返答コマンド)をリーダ/ライタ3に返信する。一方、非接触ICカード1が上記光通信及び光電源用のハードウェアを具備していない場合や、非接触ICカード1の制御部38が光通信及び光電源生成機能部を制御していない場合は、非接触ICカード1は、光通信及び光電源に対応不可であることを示すレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。
【0111】
次いで、リーダ/ライタ3の制御部38は、現在RF通信を行っている相手先の非接触ICカード1のハードウェア属性を判定、即ち、当該非接触ICカード1が光通信及び光電源に対応可能であるか否かを判定する(S116)。詳細には、リーダ/ライタ3の制御部38は、上記S114にて光通信要求コマンドに対するレスポンスを受信することで、そのレスポンスに基づき、非接触ICカード1が光通信及び光電源に対応可能であるか否かを判定する。この結果、非接触ICカード1が光通信及び光電源に対応不能である場合には、S126に進み、光通信及び光電源に切り替えることなく、RF電源によるRF通信を継続する(S126)。
【0112】
一方、非接触ICカード1が光通信及び光電源に対応可能である場合には、S118に進む。S118では、リーダ/ライタ3の制御部38は、非接触通信方式を、これまでのRF通信から光通信に切り替えるとともに、非接触ICカード1に対する電力供給方式も、これまでのRF電源から光電源に切り替える(S118)。詳細には、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等からなる光通信及び光電源供給機能部を起動させ、光通信部37により発光部35から光(可視光、赤外光等)を発光開始する。これにより、リーダ/ライタ3は、当該発光部35からの光を用いて、非接触ICカード1に光電源を供給開始するとともに光コマンドを送信して、非接触ICカード1との光通信を開始する。その後、リーダ/ライタ3の制御部38は、アンテナ11からの電磁波の発信を停止することで、RF通信を停止するとともに、RF電源の供給を停止する。これにより、非接触通信方式がRF通信から光通信に切り替えられるとともに、電力供給方式がRF電源から光電源に切り替えられる(S118)。
【0113】
また、非接触ICカード1は、S114での光通信可能であることを表すレスポンスの返信後に、RF電源を用いて、発光部15、受光部16、光通信部17及び光電源生成部20等からなる光通信及び光電源生成機能部を起動させ、非接触ICカード1の光通信機能及び光電源生成機能を有効化している。このため、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3の発光部35から送信された光コマンドを受光部16により受信可能であり、受光部16で受光した光を用いて光電源を生成可能である。なお、非接触ICカード1は、S110の段階において、RF電源を用いてICチップ12とともに光通信及び光電源生成機能部を起動させて、その光通信機能及び光電源生成機能を有効化しておいてもよい。
【0114】
このようにS118にて、非接触通信方式がRF通信から光通信に切り替えられるとともに、非接触ICカード1に対する電力供給方式がRF電源から光電源に切り替えられる。なお、かかる切り替え方法は、図示の例(S110でのRF電源の供給→S118でのRF電源から光電源への切り替え、S112でのRFコマンドの送信→S118でのRFコマンドから光コマンドへの切り替え)に限定されない。例えば、S110にてRF電源及び光電源の双方を供給開始しておき、S118にてRF電源のみを供給停止することで、結果的に、RF電源から光電源に切り替えるようにしてもよい。また、S112でのRFコマンド及び光コマンドの双方を送信開始しておき、S118にてRFコマンドのみを送信停止することで、結果的に、RF通信から光通信に切り替えるようにしてもよい。
【0115】
その後、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1は、発光部35、15及び受光部36、16を用いて相互に光を発光及び受光して、光コマンドとそのレスポンスを送受信して、光通信を実行し、所定のサービスに関する処理を遂行する(S120)。この光通信では、非接触ICカード1のICチップ12は、光電源生成部20により生成された光電源を用いて駆動する。また、上記の光通信により、光通信状況が悪化することなく、上記所定のサービスに関する処理が全て終了したときには(S120)、図6の処理が全て終了する。
【0116】
また、上記光通信中は、リーダ/ライタ3の制御部38は、非接触ICカード1からの返答コマンドの受信状態に基づいて、光通信状況が良好であるか否かを判定し続ける(S122)。このS122の処理は、図4のS22の処理と同様であるので、その詳述は省略する。
【0117】
S122での判定の結果、光通信状況が良好でない場合には、制御部38は、非接触通信方式を、光通信から元のRF通信に切り替えるともに、電力供給方式を、光電源から元のRF電源に切り替える(S124)。具体的には、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35、受光部36及び光通信部37等の光通信及び光電源供給機能部を動作停止させ、その光通信機能及び光電源供給機能を無効化する。これとともに、制御部38は、RF通信部33等のRF通信及びRF電源供給機能部を起動させて、そのRF通信機能及びRF電源供給機能を有効化する。また、非接触ICカード1の制御部18は、発光部15、受光部16、光通信部17及び光電源生成部20等の光通信及び光電源生成機能部を動作停止させ、その光通信機能及び光電源生成機能を無効化する。これとともに、制御部18は、RF通信部13等のRF通信及びRF電源供給機能部を起動させて、そのRF通信機能及びRF電源生成機能を有効化する。かかる非接触通信方式の切り替えにより、通信状況が良好ではない光通信から、良好に通信できる可能性のあるRF通信に切り替えられ、電源供給方式も、供給状況が良好ではない光電源から、良好に供給できる可能性のあるRF電源に切り替えられる。
【0118】
その後は、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1にRF電源を供給しながら、非接触ICカード1との間でRF通信を実行する(S126)。即ち、リーダ/ライタ3は、電磁波を用いたRF通信により、RFコマンドを非接触ICカード1に送信し、また、そのレスポンスを非接触ICカード1から受信する。
【0119】
以上、第2の実施形態に係る通信方法について説明した。第2の実施形態によれば、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、非接触通信方式をRF通信から光通信に切り替えるとともに、電力供給方式をRF電源から光電源に切り替える。その後、リーダ/ライタ3は、光通信状況に応じて、光通信からRF通信に戻すととともに、光電源からRF電源に戻す。これにより、第2の実施形態は、上述した第1の実施形態の効果に加え、以下の効果がある。
【0120】
第2実施形態によれば、非接触ICカード1が光電源に対応可能である場合には、電力供給方式をRF電源から光電源に自動的に切り替えることができるので、RF電源の供給が悪い環境であっても、光電源により好適に電力供給できる。また、非接触ICカード1が光電源に対応不能である場合には、光電源に切り替えないようにして、RF電源の供給を維持できる。
【0121】
また、光通信を行っている最中に光通信状況の良否を判定して、光通信状況が良好でない場合には、光電源から元のRF電源に自動的に戻すことができる。従って、電力供給の遮断を生じさせることなく、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1間での非接触通信を好適に継続できる。
【0122】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1の間で、非接触ICカード1に対する電力供給方式を切り替える。このとき、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、電力供給方式をRF電源から光電源に切り替えた後に、光通信の通信状況に応じて、電力供給方式を光電源からRF電源に戻すことを特徴としている。
【0123】
なお、第3の実施形態は、第2の実施形態と比べて、非接触通信方式を切り替えずに、非接触ICカード1に対する電力供給方式のみを切り替える点で相違し、その他の機能構成は、第2の実施形態と略同一であるので詳細説明は省略する。
【0124】
[3.1.リーダ/ライタと非接触ICカードの構成]
第3の実施形態に係るリーダ/ライタ3は、上記第1の実施形態に係るリーダ/ライタ3(図2参照。)の構成と略同一である。また、第3の実施形態に係る非接触ICカード1は、上記第2の実施形態に係る非接触ICカード1(図5参照。)の構成と略同一である。
【0125】
図2及び図5に示したように、リーダ/ライタ3は、光通信部37、発光部35、受光部36を備えているので、非接触ICカード1に光電源を供給可能である。また、非接触ICカード1は、光通信部17、発光部15、受光部16及び光電源生成部20を備えているので、リーダ/ライタ3から受光した光を用いて電力(光電源)を生成可能である。なお、本実施形態では光通信を行わないので、リーダ/ライタ3は受光部36を具備せず、非接触ICカード1は発光部15を具備しないように構成することもできる。
【0126】
[3.2.電源供給方式の切り替え制御]
次に、第3の実施形態に係るリーダ/ライタ3による電源供給方式の切り替え制御について説明する。
【0127】
第3に実施形態に係るリーダ/ライタ3の制御部38は、第2の実施形態と同様にして、リーダ/ライタ3に対する電力供給方式を切り替えるための制御を行う。電力供給方式の切り替え制御では、制御部38は、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1との通信状況や、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、RF電源と光電源を適切に切り替える。第3の実施形態に係る電源供給方式の切り替え制御は、第2の実施形態に係る電源供給方式の切り替え制御と略同一であるので詳細説明は省略する。
【0128】
[3.3.通信方法]
次に、図7を参照して、第3の実施形態に係るリーダ/ライタ3と非接触ICカード1の通信方法について説明する。図7は、第3の実施形態に係るリーダ/ライタ3の通信動作を示すフローチャートである。
【0129】
図7に示すように、まず、リーダ/ライタ3は、RF通信部33によりアンテナ31から所定数周波数の搬送波(電磁波)を発信することで、非接触ICカード1にRF電源を供給し、非接触ICカード1内のICチップ12を起動させる(S210)。非接触ICカード1は、アンテナ11にて当該搬送波を受信することで、電磁誘導により駆動電圧を得て、この駆動電圧でICチップ12を起動させる。
【0130】
次いで、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1とRF通信を行い、非接触ICカード1にRFコマンドを送信し(S212)、リーダ/ライタ3から応答コマンド(レスポンス)を受信する(S214)。
【0131】
具体的には、リーダ/ライタ3は、上記電磁波を発信することで、相手先の非接触ICカードにRF電源を供給するとともに、ポーリングコマンドを送信し続けている。非接触ICカード1のICチップ12内の制御部18は、ポーリングコマンドに対するレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。リーダ/ライタ3は、当該レスポンスを受信した後、非接触ICカード1に対して光電源に対応可能か否かを求める光電源要求コマンドを送信する。非接触ICカード1は、受光部16及び光電源生成部20等からなる光電源生成機能部としてのハードウェアを具備しており、制御部18が当該光電源生成機能部を制御している場合には、光電源に対応可能であり、そうでない場合は、光電源に対応不能である。光電源に対応可能である場合、非接触ICカード1は、上記光電源要求コマンドに対するレスポンスとして、光電源に対応可能であることを示すレスポンス(返答コマンド)をリーダ/ライタ3に返信する。一方、非接触ICカード1が上記光電源生成機能部のハードウェアを具備していない場合や、非接触ICカード1の制御部38が光電源生成機能部を制御していない場合は、非接触ICカード1は、光電源に対応不可であることを示すレスポンスをリーダ/ライタ3に返信する。
【0132】
次いで、リーダ/ライタ3の制御部38は、現在RF通信を行っている相手先の非接触ICカード1のハードウェア属性を判定、即ち、当該非接触ICカード1が光電源に対応可能であるか否かを判定する(S216)。詳細には、リーダ/ライタ3の制御部38は、上記S214にて光電源要求コマンドに対するレスポンスを受信することで、そのレスポンスに基づき、非接触ICカード1が光電源に対応可能であるか否かを判定する。この結果、非接触ICカード1が光電源に対応不能である場合には、S226に進み、光電源に切り替えることなく、RF通信を継続する(S226)。
【0133】
一方、非接触ICカード1が光電源に対応可能である場合には、S218に進み、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35から光(可視光又は赤外光など)を発光開始して、光電源をリーダ/ライタ3に供給する(S218)。これにより、非接触ICカード1は、受光部16にて光を受光すると、光電源生成部20によりその受光量に応じた電力を生成して、光電源として、ICチップ12の制御部18に供給する。このようにして、非接触ICカード1に対する電力供給方式がRF電源から光電源に切り替えられる(S218)。
【0134】
また、非接触ICカード1は、S214にて光電源に対応可能であることを表すレスポンスの返信後に、RF電源を用いて、受光部16及び光電源生成部20等からなる光電源生成機能部を起動させ、非接触ICカード1の光電源生成機能を有効化している。このため、非接触ICカード1は、リーダ/ライタ3の発光部35からの光を受光部16により受光可能であるとともに、受光部16で受光した光を用いて光電源を生成可能である。なお、非接触ICカード1は、S210の段階において、RF電源を用いてICチップ12とともに光電源生成機能部を起動させて、その光電源生成機能を有効化しておいてもよい。
【0135】
このようにS218にて、リーダ/ライタ3が光電源の供給を開始することで、非接触ICカード1に対する電力供給方式がRF電源から光電源に切り替えられる。つまり、リーダ/ライタ3は、発光部35から非接触ICカード1に対して光を照射し、非接触ICカード1は、光電源生成部20により、受光部16で受けた光に基づいて光電源を生成する。そして、その光電源で非接触ICカード1内のICチップ12を起動し、起動したICチップ12は、リーダ/ライタ3に対してRFコマンドによるRF通信を行うことが可能となる。
ここで、一般的には、非接触ICカード1のICチップ12がリーダ/ライタ3に返答する際は、リーダ/ライタ3が発した電磁波の電磁誘導により、ICチップ12を起動した後、リーダ/ライタ3からICチップ12に、振幅変調でコマンドを送信する。一方、ICチップ12からリーダ/ライタ3には、ICチップ12内の回路のインピーダンスを変化させ、この変化によってレスポンスを返信する負荷変調処理を行う。
本実施形態に係るICチップ12は、受光部16で受光した光に基づいて光電源生成部20が生成した電力により起動する。しかし、リーダ/ライタ3とRFコマンドにより通信するためには、リーダ/ライタ3とICチップ12とが電気的に接続している必要がある。このため、S218では、リーダ/ライタ3からICチップ12の電源として光電源を供給開始するものの、RF電源も供給し続けている。従って、S218では、電源を排他的に切り替えるのではなく、非接触ICカード1のICチップ12が、受光部16での受光により生成した光電源を、新たに追加で利用するようにとなる。
【0136】
その後、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1は相互に、RFコマンドとレスポンスを送受信して、RF通信を実行し、所定のサービスに関する処理を遂行する(S220)。このRF通信では、非接触ICカード1のICチップ12は、光電源生成部20により生成された光電源を用いて駆動する。また、上記のRF通信により、光電源供給状況が悪化することなく、上記所定のサービスに関する処理が全て終了したときには(S220)、図7の処理が全て終了する。
【0137】
また、上記RF通信中は、リーダ/ライタ3の制御部38は、非接触ICカード1からの返答コマンドの受信状態に基づいて、光電源供給状況が良好であるか否かを判定し続ける(S222)。
【0138】
このS222の光電源供給状況の判定処理では、RF通信状況(RFコマンドの受信状態)の良否に基づいて判定が行われる。RF通信状況の良否判定では、例えば、上述した(A)及び(B)と同様に、(A’)リーダ/ライタ3から非接触ICカード1へのRFコマンドがエラーとなる場合、または、(B’)リーダ/ライタ3が所定時間内にRF通信の返答コマンドを受信不可の場合に、光通信状況が良好でないと判定する。もちろん、他の理由によって光通信不可となっている可能性もあるが、原因究明のために、まずは光電源生成に障害があるものと仮定して、「光電源供給状況が良好でない」と判断する。
【0139】
S222での判定の結果、光電源供給状況(即ち、光通信状況)が良好でない場合には、制御部38は、発光部35からの発光を停止して、光電源の提供を停止する(S224)。これにより、非接触ICカード1に対する電力供給方式が光電源から元のRF電源に切り替えられ。具体的には、リーダ/ライタ3の制御部38は、発光部35及び光通信部37等の光電源供給機能部を動作停止させ、その光電源供給機能を無効化するとともに、RF通信部33等のRF電源供給機能部を起動させて、そのRF電源供給機能を有効化する。また、非接触ICカード1の制御部18は、受光部16及び光電源生成部20等の光電源生成機能部を動作停止させ、その光電源生成機能を無効化するとともに、RF通信部13等のRF電源供給機能部を起動させて、そのRF電源生成機能を有効化する。これにより、電源供給方式が、供給状況が良好ではない光電源から、良好に供給できる可能性のあるRF電源に切り替えられる。
【0140】
その後は、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1にRF電源を供給しながら、非接触ICカード1との間でRF通信を実行する(S226)。即ち、リーダ/ライタ3は、電磁波を用いたRF通信により、RFコマンドを非接触ICカード1に送信し、また、そのレスポンスを非接触ICカード1から受信する。
【0141】
このS226では、非接触ICカード1は、ハードウェアの機能としてはRF通信と光通信の双方の通信機能を持っているものの、何らかの理由で光通信ができないと判断した後の通信状態になるので、光電源供給、光通信のいずれも動作しない。具体的には、リーダ/ライタ3側では、制御部38が光通信機能部の機能を無効化し、非接触ICカード1側では、ICチップ12の制御部18が、光通信機能部と光電源生成機能部の機能を無効化する。
【0142】
以上、第3の実施形態に係る通信方法について説明した。第2の実施形態によれば、リーダ/ライタ3は、非接触ICカード1のハードウェア属性に応じて、電力供給方式をRF電源から光電源に切り替えた後に、光電源供給状況に応じて、光電源からRF電源に戻す。これにより、第3の実施形態は、以下の効果がある。
【0143】
第3実施形態によれば、非接触ICカード1が光電源に対応可能である場合には、電力供給方式をRF電源から光電源に自動的に切り替えることができるので、RF電源の供給が悪い環境であっても、光電源により好適に電力供給できる。また、非接触ICカード1が光電源に対応不能である場合には、光電源に切り替えないようにして、RF電源の供給を維持できる。
【0144】
また、光電源を用いてRF通信を行っている最中に光電源供給状況の良否を判定して、光電源供給状況が良好でない場合には、光電源から元のRF電源に自動的に戻すことができる。従って、電力供給の遮断を生じさせることなく、リーダ/ライタ3と非接触ICカード1間でのRF通信を好適に継続できる。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、上記実施形態では、非接触通信装置として非接触ICカード1の例を挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、非接触通信装置は、非接触通信機能を有する装置であれば、携帯電話などといった携帯端末や、メモリカード等の情報記憶媒体など、任意の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 非接触ICカード
2 ホスト装置
3 リーダ/ライタ
11、31 アンテナ
12 ICチップ
13、33 RF通信部
14、34 変・復調部
15、35 発光部
16、36 受光部
17、37 光通信部
18、38 制御部
19、39 記憶部
20 光電源生成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、
発光部及び受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する光通信部と、
前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、
を備える、リーダ/ライタ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光通信に対応可能であるか否かを判定し、
前記非接触通信装置が前記光通信に対応可能である場合に、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記無線通信から前記光通信に切り替え、
前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記光通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記光通信の通信状況を判定し、前記光通信の通信状況に応じて前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記光通信から前記無線通信に戻す、請求項1に記載のリーダ/ライタ。
【請求項3】
前記光通信部は、前記発光部が発光する光により前記非接触通信装置に電力を供給可能であり、
前記制御部は、
前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替えるとともに、前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、
前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す、請求項1又は2に記載のリーダ/ライタ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光通信及び前記光による電力供給に対応可能であるか否かを判定し、
前記非接触通信装置が前記光通信及び前記光による電力供給に対応可能である場合に、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を前記無線通信から前記光通信に切り替えるとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、
前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記光通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記光通信の通信状況を判定し、前記光通信の通信状況に応じて、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すとともに、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す、請求項3に記載のリーダ/ライタ。
【請求項5】
電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、発光部及び受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する光通信部とを備えたリーダ/ライタの制御部に、
前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替えるステップと、
前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信部による光通信から前記無線通信部による無線通信に戻すステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
非接触通信装置と、
前記非接触通信装置と非接触通信するリーダ/ライタと、
からなり、
前記リーダ/ライタは、
電磁波を発信する第1アンテナを用いて前記非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、
第1発光部及び第1受光部を用いて前記非接触通信装置と光通信する第1光通信部と、
前記非接触ICカードが光通信に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記第1無線通信部による無線通信から前記第1光通信部による光通信に切り替え、前記光通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置との間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、
を備え、
前記非接触通信装置は、
前記電磁波を受信する第2アンテナを用いて前記リーダ/ライタと無線通信するとともに、前記第2アンテナで受信した電磁波を用いて電力を生成する第2無線通信部と、
第2発光部及び第2受光部を用いて前記リーダ/ライタと光通信する第2光通信部と、
前記第2無線通信部により生成される電力を用いて前記第2光通信部を起動させ、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記第2無線通信部による無線通信から前記第2光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す第2制御部と、
を備える、非接触通信システム。
【請求項7】
電磁波を受信するアンテナを用いてリーダ/ライタと無線通信するとともに、前記アンテナで受信した電磁波を用いて電力を生成する無線通信部と、
発光部及び受光部を用いて前記リーダ/ライタと光通信する光通信部と、
前記無線通信部により生成される電力を用いて前記光通信部を起動させ、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記無線通信部による無線通信から前記光通信部による光通信に切り替え、当該光通信の通信状況に基づいて、前記リーダ/ライタとの間の非接触通信方式を、前記光通信から前記無線通信に戻す制御部と、
を備える、非接触通信装置。
【請求項8】
電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、
前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部と、
前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す制御部と、
を備える、リーダ/ライタ。
【請求項9】
前記制御部は、
前記電磁波により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードから受信したコマンドに基づいて、前記非接触通信装置が前記光による電力供給に対応可能であるか否かを判定し、
前記非接触通信装置が前記光による電力供給に対応可能である場合に、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、
前記光により前記非接触ICカードに電力供給しながら前記非接触通信装置と前記無線通信を行っているときに、前記非接触ICカードからのコマンドの受信状態に基づいて前記無線通信の通信状況を判定し、前記無線通信の通信状況に応じて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す、請求項8に記載のリーダ/ライタ。
【請求項10】
電磁波を発信するアンテナを用いて非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な無線通信部と、前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部とを備えたリーダ/ライタの制御部に、
前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替えるステップと、
前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻すステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
非接触通信装置と、
前記非接触通信装置と非接触通信するリーダ/ライタと、
からなり、
前記リーダ/ライタは、
電磁波を発信する第1アンテナを用いて前記非接触通信装置と無線通信するとともに、前記電磁波により前記非接触通信装置に電力を供給可能な第1無線通信部と、
前記非接触通信装置に電力を供給するための光を発光する発光部と、
前記非接触ICカードが前記光による電力供給に対応可能であるか否かに基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記電磁波による電力供給から前記光による電力供給に切り替え、前記第1無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触通信装置に対する電力供給方式を前記光による電力供給から前記電磁波による電力供給に戻す制御部と、
を備え、
前記非接触通信装置は、
前記電磁波を受信する第2アンテナを用いて前記リーダ/ライタと無線通信するとともに、前記第2アンテナで受信された前記電磁波から電力を生成する第2無線通信部と、
前記リーダ/ライタから前記光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された前記光から電力を生成する光電源生成部と、
前記非接触ICカードの電源を、前記電磁波により生成される電力から、前記光により生成される電力に切り替え、前記第2無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触ICカードの電源を、前記光により生成される電力から前記電磁波により生成される電力に戻す第2制御部と、
を備える、非接触通信システム。
【請求項12】
電磁波を受信するアンテナを用いてリーダ/ライタと無線通信するとともに、前記アンテナで受信された前記電磁波から電力を生成する無線通信部と、
前記リーダ/ライタから前記光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された前記光から電力を生成する光電源生成部と、
前記非接触ICカードの電源を、前記電磁波により生成される電力から、前記光により生成される電力に切り替え、前記無線通信部による無線通信の通信状況に基づいて、前記非接触ICカードの電源を、前記光により生成される電力から前記電磁波により生成される電力に戻す制御部と、
を備える、非接触通信装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−178205(P2010−178205A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20642(P2009−20642)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】