説明

リードスルー活性を有する化合物及び該化合物を含む医薬組成物

【課題】リードスルー活性を有する新規化合物及び該誘導体を含むナンセンス突然変異型疾患の治療薬の提供。
【解決手段】以下の式(17)で表される化合物、及び該化合物を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードスルー活性を有する化合物に関する。また、本発明は、該化合物を含む、筋ジストロフィー、嚢胞性線維症、血友病、神経繊維腫症、水疱性疾患、ライソゾーム性蓄積症、ハーラー疾患、乳児神経セロイドリポフスチン沈着症等のナンセンス変異型疾患の治療薬及び該治療薬を用いたナンセンス変異型疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナンセンス変異型遺伝子疾患は、遺伝子上の点変異により生じる未熟終止コドンのためにタンパク質の発現が阻害されることに起因する疾患である。例えば、筋繊維鞘におけるジストロフィンタンパク質の欠如に起因する疾患であるデュシャンヌ型筋ジストロフィーにおいて、X染色体中に存在する筋ジストロフィー遺伝子上に変異が生じ、該変異により終止コドンが形成され(未熟終止コドン)、翻訳が前記変異部位で中断され終了してしまうことにより正常なジストロフィンおよびジストロフィン関連タンパク質の発現が阻害される。その結果、ジストロフィンタンパク質が欠如し、筋ジストロフィーが起こる。
【0003】
ナンセンス突然変異型疾患の治療のためにリードスルー活性を有する化合物を用いることが報告されている。ナンセンス変異により未熟終止コドンが生じ特定のタンパク質が欠如している患者に特定の化合物を投与した際に、当該化合物がリボソームに作用し、リボソームが終止コドンを読み越え翻訳を行う現象が見られる。この現象を、リードスルーという。リードスルーが生じる結果、野生型正常タンパク質が合成され疾患を治療することができる。このようなリードスルー活性を有する化合物としては、例えばアミノグリコシド系抗生物質であるゲンタマイシンが知られており、デュシャンヌ型筋ジストロフィー患者にゲンタマイシンを投与した場合に、ジストロフィンタンパク質が蓄積することが報告されている(非特許文献1を参照)。また、嚢胞性線維症患者の気道上皮にゲンタマイシンを局所投与することにより、典型的な電気生理学的異常を正常化できることも報告されている(非特許文献2を参照)。さらに、ジペプチド系抗生物質であるネガマイシンがリードスルー活性を有することも報告されており、ネガマイシンを筋ジストロフィーモデルマウスに投与した場合にジストロフィンの発現が回復することが報告されている(特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、これらの化合物の合成は容易ではなく、例えば、ネガマイシンの合成は多数の化学反応工程を要していた(非特許文献3及び4を参照)。
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO2002/102361号パンフレット
【非特許文献1】Acta.Myol., 22、p.15〜21 (2003)
【非特許文献2】N.Engl.J.Med., 349、p.1433〜1441 (2003)
【非特許文献3】Y.F.Wang et al., J.Am.Chem.Soc., 104, p.6465-6466 (1982)
【非特許文献4】H.lida et al., J.Am.Chem.Soc., 108, p.4647-4648 (1986)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リードスルー活性を有する新規化合物及び該誘導体を含むナンセンス突然変異型疾患の治療薬の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、リードスルー活性を有する新たな化合物、好ましくは従来知られている化合物よりも強力なリードスルー活性を有する化合物を得ようと鋭意検討を行った。本発
明者等は、ネガマイシンを基盤とし創薬化学的なアプローチにより、リードスルー活性の発現に重要な構造的因子を同定し、強いリードスルー活性発現能力を有する化合物の合成に成功し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 以下の式(2)で表わされる化合物又はその塩若しくは溶媒和物:
【化1】

[式中、R1及びR2は、互いに独立して水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルであり、R1及びR2はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介
して結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員としてO、N及びSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子
を含有していてもよく、さらに該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、C1-C6アルキル
、C2-C6アルケニル、又はC2-C6アルキニルで置換されていてもよく、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピラジン又はピロールであり;
R3は、水素、C1-C6アルキル又はC1-C6アシル(-RCO)であり;
Xは、-(CH2)n-CH2-、又は-(CH2)n=CH-(ここでnは1〜3の整数)であり;
R4は、ヒドロキシ又は以下の式(3)若しくは(4)
【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

で表され、
R5は、水素又はC1-C6アルキルであり、
R6は、以下の式(5)〜(8)
【0011】
【化4】

【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
【化7】

のいずれかで表され、
R7は、-(CH2)-若しくは-(CH2)2-であり、
R8は、水素、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、カルボ
キシル、アラルキル、メルカプト、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールであり、
R9は水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル(例えば、アリル)、C2-C6アルキニル、ア
リール若しくはアラルキルであり、
あるいは、R8はグリシン、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン及びプロリンからなる群から選択されるアミノ酸のR基、すなわち、-H、-CH3、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2COOH、-CH2CH2COOH、-CH2CONH2、-CH2CH2CONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-CH2SH、-(CH2)2SCH3、-CH2-Benz、-CH2-Benz-OH、 -CH2-Indole、-CH2-Imidazole、及び-NH-(CH2)3-からなる群から選択される基であってもよく、
あるいは、R5及びR6はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して
結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、カルボキシルで置換されていてもよい。]
【0015】
[2] 以下の式(9)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化8】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0016】
[3] 以下の式(10)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化9】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0017】
[4] 以下の式(11)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化10】

[式中、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0018】
[5] 以下の式(12)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化11】

[式中、R5及びR6は、[1]に定義された通りである。]
【0019】
[6] 以下の式(13)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化12】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0020】
[7] 以下の式(14)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化13】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0021】
[8] 以下の式(15)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【0022】
【化14】

[式中、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0023】
[9] 以下の式(16)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化15】

[式中、R5及びR6は、上記[1]に定義された通りである。]
【0024】
[10] 以下の式(17)〜(32)のいずれかの式で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化16】

【0025】
【化17】

【0026】
【化18】

【0027】
【化19】

【0028】
【化20】

【0029】
【化21】

【0030】
【化22】

【0031】
【化23】

【0032】
【化24】

【0033】
【化25】

【0034】
【化26】

【0035】
【化27】

【0036】
【化28】

【0037】
【化29】

【0038】
【化30】

【0039】
【化31】

【0040】
[11] 以下の式(17)で表される、[1]の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化32】

【0041】
[12] リードスルー活性を有する、[1]〜[11]のいずれかの化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[13] [1]〜[12]のいずれかの化合物又はその塩若しくは溶媒和物を含む、医薬組成物。
[14] ナンセンス変異に起因した疾患の治療用である、[13]の医薬組成物。
【0042】
[15] ナンセンス変異に起因した疾患が、筋ジストロフィー、デシャンヌ型筋ジストロフィー、乳児神経セロイドリポフスチン沈着症、多発性硬化症、アルツハイマー病、テイ−サックス病、神経組織変性、パーキンソン病、慢性関節リウマチ、対宿主性移植片病、関節炎、血友病、ヴォン ヴィレブラント病、毛細管拡張性運動失調、β-サラセミア、腎結石、骨形成不全、肝硬変、神経繊維腫症、水疱性疾患、ライソゾーム性蓄積症、ハーラー疾患、家族性高コレステロール血症、小脳運動失調、結節性硬化症、免疫不全、腎臓病、肺疾患、嚢胞性繊維症、家族性コレステロール血症、色素性網膜症、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満、ニーマン−ピック病及びマルファン症候群からなる群から選択される疾患である[14]の医薬組成物。
[16] ナンセンス変異に起因した疾患が、筋ジストロフィー、嚢胞性繊維症、ハーラー疾患及び乳児神経セロイドリポフスチン沈着症からなる群から選択される疾患である[1
5]の医薬組成物。
【発明の効果】
【0043】
本発明により、変異により形成される未熟終止コドンをリードスルーさせる化合物、該化合物からなるリードスルー剤、該化合物を含むナンセンス変異に起因する疾患の治療又は予防用医薬組成物を提供できる。また、本発明の化合物は、既存のネガマイシンの合成とは異なる方法で合成することができ、少ない反応数で、低コストで大量に合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を詳細に説明する。
ネガマイシン(メチルヒドラジノ酢酸結合δ-ヒドロキシ-β-リジン)は、以下の化学
式(1)で表される化合物である。
【0045】
【化33】

【0046】
エピマーである3-エピネガマイシンもリードスルー活性を有している。
本発明の化合物は、ネガマイシンを合成する際の、中間体((R)-tert-Butyl 5-[(E)-3-(tert-buthoxycarbonyl)allyl]-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate)などから合成することができるネガマイシンの誘導体である。
【0047】
本発明の化合物は、アミン構造に隣接する炭素原子上に酸素原子あるいはヒドロキシ基を有することを特徴とするアミノ酸を有し、かつそのカルボキシル基がアミド結合となっている化学的構造を特徴とする。また、本構造は詳しくはネガマイシン構造にみられるような、内部2級アミノ基を必要としない。
【0048】
本発明の化合物は、例えば、市販のBoc-Gly-Hから、図1に示す反応により得られた中
間体((R)-tert-Butyl 5-[(E)-3-(tert-buthoxycarbonyl)allyl]-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate)などから合成することができる。
本発明のリードスルー活性を有する化合物として以下のものが挙げられる。
【0049】
以下の式(2)で表される化合物:
【化34】

[式中、R1及びR2は、互いに独立して水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルであり、R1及びR2はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介
して結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員としてO、N及びSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子
を含有していてもよく、さらに該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、C1-C6アルキル
、C2-C6アルケニル、又はC2-C6アルキニルで置換されていてもよく、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピラジン又はピロールであり;
R3は、水素、C1-C6アルキル又はホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル等のC1-C6アシル(-RCO)であり、ここで-OR3はα配置であってもよく、β配置であってもよく、
また、それらの混合物であってもよい;
Xは、-(CH2)n-CH2-、又は-(CH2)n=CH-(ここでnは1〜3の整数)であり;
R4は、ヒドロキシ又は以下の式(3)若しくは(4)
【0050】
【化35】

【0051】
【化36】

で表され、
R5は、水素又はC1-C6アルキルであり、
R6は、以下の式(5)〜(8)
【0052】
【化37】

【0053】
【化38】

【0054】
【化39】

【0055】
【化40】

のいずれかで表され、
R7は、-(CH2)-若しくは-(CH2)2-であり、
R8は、水素、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、カルボ
キシル、アラルキル、メルカプト、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールであり、
R9は水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル(例えば、アリル)、C2-C6アルキニル、ア
リール若しくはアラルキルであり、
あるいは、R8はグリシン、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン及びプロリンからなる群から選択されるアミノ酸のR基、すなわち、-H、-CH3、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2COOH、-CH2CH2COOH、-CH2CONH2、-CH2CH2CONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-CH2SH、-(CH2)2SCH3、-CH2-Benz、-CH2-Benz-OH、 -CH2-Indole、-CH2-Imidazole、及び-NH-(CH2)3-からなる群から選択される基であってもよく、
あるいは、R5及びR6はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して
結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、カルボキシルで置換されていてもよい。]
【0056】
例えば、本発明の化合物は、以下の式(9)で表される。
【化41】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0057】
また、本発明の化合物は、例えば、以下の式(10)で表される。
【化42】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0058】
さらに、本発明の化合物は、例えば、以下の式(11)で表される。
【化43】

[式中、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0059】
さらに、本発明の化合物は、例えば、以下の式(12)で表される。
【化44】

[式中、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0060】
また、本発明の化合物は、例えば、以下の式(13)で表される。
【化45】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0061】
また、本発明の化合物は、例えば、以下の式(14)で表される。
【化46】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0062】
さらに、本発明の化合物は、例えば、以下の式(15)で表される。
【化47】

[式中、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0063】
さらに、本発明の化合物は、例えば、以下の式(16)で表される。
【化48】

[式中、R5及びR6は、上に定義された通りである。]
【0064】
本発明の化合物として、具体的には、以下の式(17)〜(32)で表される化合物が挙げられる。式の下に記載の記号は、各化合物名を示す。
N-3
【化49】

【0065】
N-4
【化50】

【0066】
TUP-01
【化51】

【0067】
TUP-02
【化52】

【0068】
TUP-03
【化53】

【0069】
TUP-04
【化54】

【0070】
TUP-05
【化55】

【0071】
TUP-06
【化56】

【0072】
TUP-07
【化57】

【0073】
TUP-08
【化58】

【0074】
TUP-09
【化59】

【0075】
TUP-10
【化60】

【0076】
TUP-11
【化61】

【0077】
TUP-12
【化62】

【0078】
TUP-13
【化63】

【0079】
TUP-14
【化64】

【0080】
本化合物の合成は、既に数多く報告されているネガマイシンの全合成を基本に、それらを改変することで容易に成し遂げられる。これらの全合成例は、古くは例えば、Y.-F. Wang, T. Izawa, S. Kobayashi and M. Ohno, J. Am. Chem. Soc., 1982, 104, 6465-6466.H. Iida, K. Kasahara and C. Kibayashi, J. Am. Chem. Soc., 1986, 108, 4647-4648などが挙げられるが、最近の例ではDavies, S. G. et al., Tetrahedron: Asymmetry 1996,
7, 1919-1922. Williams, R. M. et al., J. Org. Chem. 2002, 67, 6361-6365.などがその例である。また最近本発明者が報告した手法も有用である(Chem Commun 2008 , 2393-2484)。即ち、図1に記載のネガマイシン合成法が利用できる。
あるいは図1の鍵化合物Bの合成は図2に示す方法でも行うことができる。
【0081】
本発明の化合物は、この鍵化合物Bから、例えば図3に示す方法などで合成することができる。
【0082】
本発明は、上記化合物の塩も含む。塩としては、好ましくは医薬として使用され得る医薬として許容される塩が挙げられ、塩水和物も塩無水物も含まれ、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩及びアンモニウム塩が挙げられる。当該塩は、酸付加塩であってもよく、かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。
【0083】
更に、本発明の、上記化合物の水和物等の医薬として許容し得る各種溶媒和物や結晶多形等も含む。
【0084】
本発明の化合物は、ナンセンス変異により未熟停止コドンが生じ特定のタンパク質の産生ができなくなった状況において、リボソームに作用し、リボソームがナンセンス変異により生じた未熟停止コドンを読み越え翻訳を行い(リードスルーし)、その結果野生型正常タンパク質が産生されるようになる。本発明において、野生型正常タンパク質とは、変
異を有しない正常な野生型遺伝子がコードするアミノ酸配列からなるタンパク質をいう。野生型正常タンパク質には、前記アミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるタンパク質も包含される。実質的に同一なタンパク質とは、例えば、正常な野生型遺伝子がコードするアミノ酸配列において、1個又は複数のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、正常な野生型遺伝子がコードするタンパク質と同じ機能や活性を有するタンパク質をいう。ここで、1個又は複数とは、好ましくは1個又は数個をいい、具体的には1〜100個、好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1
〜10個、特に好ましくは1〜5、4、3若しくは2個をいう。さらに、前記実質的に同一なタンパク質は、正常な野生型遺伝子がコードするアミノ酸配列と、BLAST等(例えば、
デフォルトすなわち初期設定のパラメータ)を用いて計算したときに、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは96、97、98若しくは99%以上の配列同一性を有し、正常な野生型遺伝子がコードするタンパク質と同じ機能や活性を有するタンパク質をいう。
【0085】
本発明は、上記のリードスルー活性を有する化合物を含む医薬組成物を包含する。該医薬組成物は、ナンセンス突然変異型疾患の治療又は予防に用いることができる。ナンセンス突然変異型疾患とは、遺伝子上の点変異、欠失、挿入等により遺伝子の中途に終止コドン(未熟終止コドン)ができてしまい、そのため正常な機能を有するタンパク質の発現が抑制されたことにより起因する疾患をいう。さらに、ナンセンス突然変異型疾患は、未熟終止コドンを含むmRNAの分解に伴い、タンパク質の発現が阻害されることに起因する疾患をいう。ナンセンス突然変異型疾患は、筋ジストロフィー、デシャンヌ型筋ジストロフィー、乳児神経セロイドリポフスチン沈着症、多発性硬化症、アルツハイマー病、テイ−サックス病、神経組織変性、パーキンソン病等の中枢神経疾患;慢性関節リウマチ、対宿主性移植片病等の自己免疫疾患;関節炎等の炎症性疾患;血友病、ヴォン ヴィレブラント
病、毛細管拡張性運動失調、β-サラセミア、腎結石等の血液疾患;骨形成不全、肝硬変
等の膠原病が挙げられ、また、神経繊維腫症、水疱性疾患、ライソゾーム性蓄積症、ハーラー疾患、家族性高コレステロール血症、小脳運動失調、結節性硬化症、免疫不全、腎臓病、肺疾患、嚢胞性繊維症、家族性コレステロール血症、色素性網膜症、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満、ニーマン−ピック病、マルファン症候群等が挙げられ。さらに、癌も挙げられ、例えばp53遺伝子等のサプレッサー遺伝子のナンセンス変異が関与する癌として、肺
癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、腎癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、皮膚癌、脳腫瘍等が含まれる。この中でも、筋ジストロフィー、嚢胞性繊維症、ハーラー疾患及び乳児神経セロイドリポフスチン沈着症に対して好適に用いることができる。
該医薬組成物は、2種以上の上記化合物を含んでいても良い。
【0086】
本発明の化合物は、プロドラッグとして用いることもできる。すなわち、上記式(2)の化合物において、-OR3で表される基のR3がアシル(-RCO)の場合、又は-COOR9で表され
る化合物がエステルの場合、化合物の水溶性が減じ、脂溶性が増す。脂溶性が増した化合物は、体内吸収を促進すると共に、消化管などに存在するエステラーゼにより吸収されながら活性体になり、経腸吸収を増加せしめたり、あるいは生体内で作用すべき部位に到達し、そこで、臓器及び組織に存在するエステラーゼにより、カルボキシル基に転換され、到達した部位で作用し得る。この結果、最終的に生体内利用率が高くなる。本発明の化合物は、このようなプロドラッグの形態の化合物も含み、またプロドラッグでない形態の化合物も含む。
【0087】
本発明の医薬組成物の投与経路は限定されず、経口投与、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経鼻投与、口腔内投与、経粘膜投与等により投与することができる。また、剤形も限定されず、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、
エリキシル剤とすることができ、非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤等の注射剤;経皮投与又は貼付剤、軟膏又はローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;ならびに経鼻投与のためのエアゾール剤とすることができる。例えば、筋ジストロフィーの治療のためには、本発明の医薬組成物を注射剤(例えば、筋肉への直接投与のための筋肉内注射剤)として投与することができる。本発明の医薬組成物は、持続性又は徐放性剤形であってもよい。
【0088】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される、種々の成分を含み得る。例えば、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等が挙げられ、これらの複数を含んでいてもよい。
【0089】
本発明の医薬組成物の投与量は、限定されないが、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、投与する患者の体重、年齢、病状等の特性、あるいは医師の判断等に応じて適宜選択される。例えば患者の体重1kgあたり約0.01μg〜約100mg、好ま
しくは約0.1μg〜約1mg程度の範囲である。投与量は1日1〜数回に分けて投与するこ
とができ、数日又は数週間に1回の割合で間欠的に投与してもよい。
【0090】
本発明の化合物のリードスルー活性は、例えば、(i)プロモーター、(ii)上記のプロモ
ーターの下流に位置する第1の翻訳開始コドン及び第1のレポーター遺伝子、(iii)上記
の第1のレポーター遺伝子の下流に位置する第2の翻訳開始コドン及び第2のレポーター遺伝子、(iv)上記の第1のレポーター遺伝子及び第2の翻訳開始コドンの間に位置し、ナンセンス変異型疾患の原因遺伝子由来の未熟終止コドンを含む配列、並びに(v)上記の第
2のレポーター遺伝子の下流に位置する翻訳終止コドンを含むベクターを構築し、該ベクターを宿主細胞に導入し、又は動物に導入しトランスジェニック動物を作出し、該宿主細胞又はトランスジェニック動物を用いて行うことができる。すなわち、宿主細胞又はトランスジェニック動物に化合物を投与し、第1のレポーター遺伝子に対する第2のレポーター遺伝子の発現量の比を、試験化合物の添加時及び非添加時において比較する。第2のレポーター遺伝子の発現量が多いほど、リードスルー活性が大きいと判断することができる。この際、プロモーターとしては、例えば、CMVプロモーター,β−アクチンプロモータ
ー等を用いることができる。また、第1のレポーター遺伝子及び第2のレポーター遺伝子としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子、CAT(Chroramphenicol Acetyl Transferase)遺伝子等を用い
ることができる。また、ナンセンス型疾患の原因遺伝子由来の未熟終止コドンを含む配列は、リーディングフレーム中に終止コドン(TAA、TAG又はTGA)を含む配列を用いればよ
い。例えば、mdxマウスのジストロフィン遺伝子の未熟終止コドンを含む遺伝子を使用す
ればよい。
【実施例】
【0091】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 化合物の合成
図4に示すスキームに従って、化合物を合成した。以下の記載において、化合物A以外の化合物番号は、図4中の化合物番号を示す。
(R)-tert-Butyl 5-[(E)-3-(tert-buthoxycarbonyl)allyl]-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate
【0092】
【化65】

【0093】
図2に示す反応式中の化合物A(R)-tert-butyl 5-(formylmethyl)-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate(Chem Commun 2008, 2393-2484)(2.95g, 12.13mmol)をTHFに溶解
し、tert-buthoxycarbonylmethylenephenyl phosphorane (5.02g, 13.34mmol)を添加し、refluxで終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えてAcOEtで
抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane : AcOEt = 10 :
1)により精製し目的とする化合物c1を無色油状物質として得た(1.95 g)。収率: 2工程80%.
Rf= 0.36 (hexane : AcOEt = 5 : 1); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 6.82 (ddd, J = 16.0, 15.7, 14.4 Hz, 1H), 5.85 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 4.19-4.14 (m, 1H), 3.73-3.65 (m, 1H), 3.13-3.04 (m, 1H), 2.55-2.42 (m, 2H), 1.57 (br s, 3H), 1.54 (br s, 3H), 1.48 (s, 18H); 13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 165.5, 152.2, 141.9, 125.8, 93.7, 93.3,
80.4, 79.6, 72.2, 72.0, 50.5, 35.6, 28.4, 28.1, 27.2, 26.2, 25.3, 24.3; [D]D24.6-26.2o (c 1.06, CHCl3); HRMS (EI+) calculated for C18H31N1O5(M+) 341.2202, found 341.2200.
(R)-tert-butyl 5-[3-(tert-butoxycarbonyl)propyl]-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate
【0094】
【化66】

【0095】
化合物c1(1.05g, 3.08mmol)をMeOHに溶解し、Pd/C(200mg)を添加しH2気流下、室温で終夜撹拌した。反応液をセライト(登録商標)濾過、AcOEtで洗浄後、毋液を減圧留去し得
られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane : AcOEt = 10 : 1)により精製し目
的とする化合物c2を無色油状物質として得た(1.04g)。収率: 99%.
Rf= 0.43 (hexane : AcOEt = 5 : 1); 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) d 4.08-4.00 (m, 1H), 3.70 (br m, 1H), 3.05 (br m, 1H), 2.28-2.24 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 1.76-1.52 (m, 4H), 1.48 (s, 6H) 1.47 (s, 18H); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) d 172.6, 152.3, 151.8, 93.3, 92.8, 80.1, 79.9, 79.3, 73.4, 73.2, 50.8, 35.2, 32.5, 28.6, 27.8, 27.3, 26.2, 25.2, 24.2, 21.1; [a]D25.1 -22.2o (c 1.06, CHCl3), HRMS (CI+): calculated for C18H34N1O5(M++H) 344.2437, found 344.2429.
4-[(R)-3-(tert-butoxycarbonyl)-2,2-dimethyloxazolidin-5-yl]butanoic acid
【0096】
【化67】

【0097】
化合物c2(1.06g, 3.07mmol)を2M KOH in MeOHに溶解し、300W、100℃、10min条件でmicrowave reacterを用いてmicro波を照射させた。反応液に10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿
栓濾過後、毋液を減圧留去し目的とする化合物c3を無色油状物質として得た(1.03g)。こ
の後c3は、特に精製することなく、次の反応に用いた。
tert-butyl N-[4-[(R)-3-(tert-butoxycarbonyl)-2,2-dimethyloxazolidin-5-yl]butanoyl]-blycinate
【0098】
【化68】

【0099】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、tert-butyl 2-aminoacetate .HCl(513mg, 3.06mmol)、HOBtを無水CH2Cl2(15 mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3 : MeOH = 50 : 1)により精製
し目的とする化合物c4を無色油状物質として得た(388.4 mg)。収率: 63%.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 6.00 (s, 1H), 4.07-4.00 (m, 1H), 3.94-3.93 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 3.69-3.61 (br d, 1H), 3.05-3.02 (br d, 1H), 2.30-2.27 (t, J = 7.0 Hz,
2H), 1.71-1.68 (m, 2H), 1.56 (br s, 3H), 1.52 (br s, 3H), 1.48 (s, 18H); 13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 172.7, 169.4, 152.5, 152.1, 93.6, 93.1, 82.5, 80.2, 80.0, 73.8, 73.6, 51.1, 42.2, 36.2, 32.6, 28.7, 28.2, 27.5, 26.4, 25.4, 24.5, 22.0; [D]D24.9 -15.5o (c 1.09, CHCl3); HRMS (CI+) calculated for C20H37N2O6(M++H) 401.2651, found 401.2646.
Negamycin derivative N-3
【0100】
【化69】

【0101】
0℃で化合物c4(200.0mg, 0.50mmol)に 4M HCl/dioxane(4mL)加え、室温で2時間撹拌し
た。反応液を減圧留去し、残渣をH2O(1.0 mL)に溶解させ、0.5%アンモニア水を加えpHを
7付近にし、Amberlite CG50(NH4+form)(H2O → 1% NH4(OH))により精製し、溶媒を凍結
乾燥することで白色粉末として得た(60.7 mg)。収率:59%.
1H-NMR (400 MHz, D2O) d 3.89-3.82 (m, 1H), 3.14 (dd, J = 13.2, 2.9 Hz, 1H), 2.89
(dd, J = 13.1, 9.6 Hz, 1H), 2.37-2.34 (t, J = 7.3, 3H), 1.84-1.73 (m, 1H), 1.71-1.60 (m, 1H), 1.61-1.45 (m, 2H); [a]D23.5 -2.60o(c 0.66, H2O); HRMS (FAB+) calculated for C8H17N2O4 (M++H) 205.1186, found 205.1188.
TUP-004
【0102】
【化70】

【0103】
Ar気流下、化合物c3の光学異性体(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-Ala-OtBut(554mg, 3.06mmol)、HOBtを無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧
留去しHPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-004を無色粘性物質
として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 4.19-4.09 (m, 1H), 3.71-3.61 (m, 1H), 2.94 (dd, J = 13.1, 2.8 Hz, 1H), 2.69 (dd, J = 13.0, 9.8 Hz, 1H), 2.32 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 2.14 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 1.62-1.18 (m, 7H); HRMS (ESI) calculated for C9H19N2O4 (M++H) 219.1345, found 219.1334.
TUP-005
【0104】
【化71】

【0105】
Ar気流下、化合物c3の光学異性体(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-Sar-OtBut(554mg, 3.06mmol)、HOBtを無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧
留去しHPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-005を無色粘性物質
として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d4.06 and 3.95 (total 2H, in 1:2.7 ratio, each s), 3.73-3.61 (m, 1H), 3.01-2.89 (3H, m, including 2H, each s, at d2.95 and 1H), 2.79-2.64 (3H, m, including 1H, each s, at d2.76 and 2H), 2.35 and 2.21 (total 2H, in 2.6:1 ratio, each t), 1.65-1.29 (m, 4H); HRMS (ESI) calculated for C9H19N2O4(M++H) 2
19.1345, found 219.1333.
TUP-007
【0106】
【化72】

【0107】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-Gly-OEt(470mg, 3.06mmol)、HOBtを無
水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン
酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧留去しHPLCに
より精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-007を無色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 4.03 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.80 (s, 2H), 3.72-3.62 (m, 1H), 2.95 (dd, J = 13.1, 2.9 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 13.0, 9.8 Hz, 1H), 2.18 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.65-1.29 (m, 4H), 1.08 (t, J = 7.15 Hz, 3H); HRMS (ESI) calculated for C10H21N2O4 (M++H) 233.1501, found 233.1486.
TUP-008
【0108】
【化73】

【0109】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-Gly-NH2(337mg, 3.06mmol)、HOBtを無
水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン
酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧留去しHPLCに
より精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-008を無色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 3.77-3.64 (3H, m, including 1H, each s, at d 3.75 and 2H), 2.98 (dd, J = 13.3, 2.8 Hz, 1H), 2.73 (dd, J = 13.0, 9.7 Hz, 1H), 2.22 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.69-1.26 (m, 4H); HRMS (ESI) calculated for C8H18N3O3(M++H) 204.1348, found 204.1352.
TUP-009
【0110】
【化74】

【0111】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-βAla-OtBut(554mg, 3.06mmol)、HOBt
を無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC
. HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%ク
エン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧留去しHPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-009を無色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 3.70-3.60 (m, 1H), 3.27 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.94 (dd, J
= 13.2, 2.6 Hz, 1H), 2.69 (dd, J = 13.0, 9.9 Hz, 1H), 2.41 (t, J = 6.4 Hz, 2H),
2.09 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.63-1.19 (m, 4H);HRMS (ESI) calculated for C9H19N2O4(M++H) 219.1345, found 219.1365.
TUP-010
【0112】
【化75】

【0113】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、HCl-H-Pro-OtBut(634mg, 3.06mmol)、HOBtを
無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC .
HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエ
ン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧留去しHPLC
により精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-010を無色粘性物質として得た

1H-NMR (300 MHz, D2O) d 4.23 (dd, J = 8.5, 4.3 Hz, 1H), 3.72-3.62 (m, 1H), 3.46 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.95 (dd, J = 13.1, 2.7 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 12.9, 9.8. Hz, 1H), 2.29 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.22-2.01 (m, 2H), 1.90-1.71 (m, 2H), 1.61-1.30 (m, 4H); HRMS (ESI) calculated for C11H21N2O4 (M++H) 245.1501, found 245.1520.TUP-011
【0114】
【化76】

【0115】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)を、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を減圧留去しHPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-010をTUP-011を白色粉状物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 3.72-3.62 (m, 1H), 2.94 (dd, J = 13.3, 2.8 Hz, 1H), 2.70
(dd, J = 13.0, 9.8 Hz, 1H), 2.24 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 1.65-1.28 (m, 4H); HRMS (ESI) calculated for C6H14NO3 (M++H) 148.0974, found 148.0970.
TUP-012
【0116】
【化77】

【0117】
TUP-15のメタノール溶液に2N KOHを加え、4時間室温にて撹拌後に、溶媒を留去し、残渣に10%クエン酸を加え酸性(pH2.0)とし、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で3回洗浄後に、硫酸ナトリウムにて乾燥後に、溶媒を留去した。得られた残渣に、Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、tert-butyl 2-aminoacetate .HCl(513mg, 3.06mmol)、HOBtを無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下し
た後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去した、得られた残渣に4 M HCl/dioxaneを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧留去し、HPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-012を茶色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d6.60 (dt, J = 15.5, 7.5 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 15.5 Hz, 2H), 3.91-3.87 (3H, m, including 1H, each s, at d3.85 and 2H), 2.95 (dd, J = 13.2,
2.7 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 13.5, 11.3. Hz, 1H), 2.44-2.20 (m, 2H); HRMS (ESI) calculated for C8H15N2O4 (M++H) 203.1032, found 203.1020.
TUP-013
【0118】
【化78】

【0119】
Ar気流下、化合物c3を用いTUP-005の合成と同様の方法で、TUP-013を無色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d3.99 and 3.92 (total 2H, in 1:2.3 ratio, each s), 3.73-3.64 (m, 1H), 2.99-2.91 (3H, m, including 2H, each s, at d2.94 and 1H), 2.77-2.65 (3H, m, including 1H, each s, at d2.76 and 2H), 2.35 and 2.20 (total 2H, in 2.3:1 ratio, each t), 1.63-1.28 (m, 4H); HRMS (ESI) calculated for C9H19N2O4(M++H) 219.1345, found 219.1335.
TUP-014
【0120】
【化79】

【0121】
Ar気流下、化合物c3(441mg, 1.53mmol)、Isonipecotic acid tBuエステル塩酸塩(677mg, 3.06mmol)、HOBtを無水CH2Cl2(15mL)に溶解し、0℃でEt3N(640μL, 4.59mmol)をゆっくり滴下した後、EDC . HCl(469mg, 3.06mmol)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、10%クエン酸を加えpHを2付近にしAcOEtで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣へ、室温で4M HCl/dioxaneを加え、同温度で1時間撹拌した。反応
液を減圧留去しHPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥することで目的とするTUP-014を淡黄色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 4.17-4.06 (m, 1H), 3.89-3.62 (m, 2H), 3.11-2.91 (m, 2H),
2.76-2.62 (m, 2H), 2.58-2.45 (m, 1H), 2.36-2.26 (m, 2H), 1.88-1.74 (m, 2H), 1.61-1.31 (m, 6H); HRMS (ESI) calculated for C12H23N2O4 (M++H) 259.1658, found 259.1680.
(R)-tert-butyl 5-((E)-3-((benzyloxy)carbonyl)allyl)-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate
【0122】
【化80】

【0123】
図2に示す反応式中の化合物A(R)-tert-butyl 5-(formylmethyl)-2,2-dimethyloxazolidine-3-carboxylate(Chem Commun 2008 , 2393-2484)(0.96g, 3.95mmol)をTHFに溶解
し、benzyl(triphenylphosphoranylidene)acetate(1.70g, 4.15mmol)を添加し、refluxで終夜撹拌した。反応液を減圧留去し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えてAcOEtで抽出した
。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓濾過後、毋液を減圧留去し得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (hexane : AcOEt = 2 : 1)によ
り精製し目的とするTUP-15(1.0g, 67%)を無色粘性物質として得た。
1H-NMR (300 MHz, D2O) d 7.40-7.32 (m, 5H), 7.04-6.98 (m, 1H), 5.98 (d, J = 15.6,
1H), 5.18 (s, 2H), 4.27-4.12 (m, 1H), 3.75-3.57 (m, 1H), 3.15-2.98 (br m, 1H),
2.56-2.44 (m, 2H), 1.57 (br s, 3H), 1.54 (br s, 3H), 1.48 (s, 18H); RMS (ESI) calculated for C21H29NO5(M++ Na) 398.19, found 398.31.
【0124】
実施例2 合成した化合物のリードスルー活性の測定
国際公開第WO2008/004610号パンフレットに記載の方法で、レポーター遺伝子として、
ルシフェラーゼ遺伝子とβガラクトシダーゼ遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作出した。
【0125】
作出したトランスジェニックマウスに、実施例1で合成した化合物の生理食塩水溶液を、24時間毎に7日間連日腹部皮下に投与した。8日目にマウスの大腿直筋と腓腹・ヒラメ筋を摘出し、眼科用ハサミで細片化した後,湿重量の3倍量のReporter Lysis Buffer(Promega,米国)を加え、ヒスコトロン(日音理科器械製作所)により組織を破壊した。一
晩凍結し融解後、遠心上清を96穴プレートに入れ、Beta-Glo Assay System(Promega,米国)によりβ-ガラクトシダーゼ活性を測定し、さらに、Bright-Glo Assay System(Promega,米国)によりルシフェラーゼ活性を測定した。測定にはルミノメータ(ATTO)を用いた。β-ガラクトシダーゼ活性値でルシフェラーゼ活性値を割り、104を掛けた値をリードスルー効率とした。
【0126】
図5にゲンタマイシン、ネガマイシン、エピネガマイシン並びに本発明のN-3及びN-4のリードススルー活性の測定の結果を示す。本発明の化合物は、リードスルー活性が認められ、N-3はネガマイシンと比較しても高いリードスルー活性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】ネガマイシンの合成法を示すスキームである。
【図2】図1の鍵化合物Bの合成法を示す図である。
【図3】鍵化合物Bから本発明の化合物を合成する方法を示す図である。
【図4】実施例に記載の化合物の合成法を示す図である。
【図5】本発明の化合物のリードスルー活性の測定の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(2)で表わされる化合物又はその塩若しくは溶媒和物:
【化1】

[式中、R1及びR2は、互いに独立して水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルであり、R1及びR2はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介
して結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員としてO、N及びSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子
を含有していてもよく、さらに該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、C1-C6アルキル
、C2-C6アルケニル、又はC2-C6アルキニルで置換されていてもよく、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピラジン又はピロールであり;
R3は、水素、C1-C6アルキル又はC1-C6アシル(-RCO)であり;
Xは、-(CH2)n-CH2-、又は-(CH2)n=CH-(ここでnは1〜3の整数)であり;
R4は、ヒドロキシ又は以下の式(3)若しくは(4)
【化2】

【化3】

で表され、
R5は、水素又はC1-C6アルキルであり、
R6は、以下の式(5)〜(8)
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

のいずれかで表され、
R7は、-(CH2)-若しくは-(CH2)2-であり、
R8は、水素、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、カルボ
キシル、アラルキル、メルカプト、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールであり、
R9は水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル(例えば、アリル)、C2-C6アルキニル、ア
リール若しくはアラルキルであり、
あるいは、R8はグリシン、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン及びプロリンからなる群から選択されるアミノ酸のR基、すなわち、-H、-CH3、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2COOH、-CH2CH2COOH、-CH2CONH2、-CH2CH2CONH2、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(=NH)NH2、-CH2SH、-(CH2)2SCH3、-CH2-Benz、-CH2-Benz-OH、 -CH2-Indole、-CH2-Imidazole、及び-NH-(CH2)3-からなる群から選択される基であってもよく、
あるいは、R5及びR6はまた、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して
結合している5員又は6員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、カルボキシルで置換されていてもよい。]
【請求項2】
以下の式(9)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化8】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項3】
以下の式(10)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化9】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項4】
以下の式(11)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化10】

[式中、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項5】
以下の式(12)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化11】

[式中、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項6】
以下の式(13)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化12】

[式中、R1、R2、R3、X、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項7】
以下の式(14)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化13】

[式中、R1、R2、R3、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項8】
以下の式(15)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化14】

【請求項9】
以下の式(16)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化15】

[式中、R5及びR6は、請求項1に定義された通りである。]
【請求項10】
以下の式(17)〜(32)のいずれかの式で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【請求項11】
以下の式(17)で表される、請求項1記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【化32】

【請求項12】
リードスルー活性を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物を含む、医薬組成物。
【請求項14】
ナンセンス変異に起因した疾患の治療用である、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
ナンセンス変異に起因した疾患が、筋ジストロフィー、デシャンヌ型筋ジストロフィー、乳児神経セロイドリポフスチン沈着症、多発性硬化症、アルツハイマー病、テイ−サックス病、神経組織変性、パーキンソン病、慢性関節リウマチ、対宿主性移植片病、関節炎、血友病、ヴォン ヴィレブラント病、毛細管拡張性運動失調、β-サラセミア、腎結石、骨形成不全、肝硬変、神経繊維腫症、水疱性疾患、ライソゾーム性蓄積症、ハーラー疾患、家族性高コレステロール血症、小脳運動失調、結節性硬化症、免疫不全、腎臓病、肺疾患、嚢胞性繊維症、家族性コレステロール血症、色素性網膜症、アミロイドーシス、アテローム性動脈硬化症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、老化、肥満、ニーマン−ピック病及びマルファン症候群からなる群から選択される疾患である請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
ナンセンス変異に起因した疾患が、筋ジストロフィー、嚢胞性繊維症、ハーラー疾患及び乳児神経セロイドリポフスチン沈着症からなる群から選択される疾患である請求項15記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−138134(P2010−138134A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317710(P2008−317710)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、厚生労働省、精神・神経疾患研究委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの
【出願人】(592068200)学校法人東京薬科大学 (32)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】