リードタイプの電子部品及びリードフレーム
【課題】リードタイプの電子部品を配線基板に実装する際の熱によって電子部品の電気的な特性が劣化してしまうことを防止できるリードタイプの電子部品及びリードフレームを提供する。
【解決手段】隣接して配されたパッド部7、パッド部8及びパッド部9と、パッド部7、パッド部8及びパッド部9からそれぞれ同一方向に延設されたリード端子1、リード端子2及びリード端子3とを備えており、リード端子1、リード端子2及びリード端子3は、隣り合うリード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位(図中、領域D1で示す部位)と、隣り合うリード端子間のピッチが広い広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)とをそれぞれ備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりもパッド部7、パッド部8及びパッド部9側に配され、リード端子1、リード端子2及びリード端子3のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片12,12を備えた。
【解決手段】隣接して配されたパッド部7、パッド部8及びパッド部9と、パッド部7、パッド部8及びパッド部9からそれぞれ同一方向に延設されたリード端子1、リード端子2及びリード端子3とを備えており、リード端子1、リード端子2及びリード端子3は、隣り合うリード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位(図中、領域D1で示す部位)と、隣り合うリード端子間のピッチが広い広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)とをそれぞれ備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりもパッド部7、パッド部8及びパッド部9側に配され、リード端子1、リード端子2及びリード端子3のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片12,12を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパッド部と各パッド部から延設された複数のリード端子とを備えたリードタイプの電子部品及びリードフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リードタイプの電子部品は、例えば配線基板のスルーホールに電子部品のリード端子を挿入した状態でスルーホールとリード端子との間を半田により電気的に接続することによって、配線基板に実装される。
【0003】
このような手順で、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する方法の一例として、下記特許文献1の特開2005−26457号公報に開示されている電子部品実装方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−26457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する際には、スルーホールとリード端子との間を半田により電気的に接続するために、リード端子とスルーホールとの接合部位に溶融させた状態で半田を供給するか、またはリード端子とスルーホールとの接合部位に供給した半田を溶融する必要がある。このスルーホールへのリード端子の接合の際、リード端子及び配線基板が加熱される。リード端子に加わった熱はリード端子全体に拡がり、さらにこの熱はリード端子に連なる(接続された)部位や部材にまで及ぶ。そのため、この熱が原因となって、リードタイプの電子部品の電気的な特性が劣化してしまう場合があるといった問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する際の熱によってリードタイプの電子部品の電気的な特性が劣化してしまうことを防止できるリードタイプの電子部品及びリードフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るリードタイプの電子部品(以下、電子部品とする)は、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子とを備え、前記複数のリード端子は隣接して配され、前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とをそれぞれ備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりも前記複数のパッド部側に配され、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片を備えた構成となっている。
【0008】
本発明に係る電子部品によれば、このような構成を備えていることにより、前記第1突出片によって前記リード端子から前記パッド部への熱伝導を抑制することができ、前記パッド部が過度に加熱されることを防止できる。その結果、前記電子部品を配線基板に実装する際の熱によって前記電子部品の電気的な特性が劣化するのを防止できる。さらに、前記広ピッチ部位に前記第1突出片を備えたので、前記第1突出片を備えた前記リード端子に隣接して配された前記リード端子と、前記第1突出片とが接触することを防止できる。また、例えば前記狭ピッチ部位に前記第1突出片を備えた場合と比較して、前記第1突出片から前記パッド部までの距離を長くすることができるため、前記第1突出片をより大きく(幅広に)形成することや、前記パッド部への熱伝導をより確実に抑制することもできる。
【0009】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出片は前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であってもよい。
【0010】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に前記第1突出片を前記配線基板のスルーホールに圧入することにより、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができ、前記配線基板から本発明に係る電子部品が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや前記配線基板に対して本発明に係る電子部品が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0011】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出部を備えた前記リード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、前記第1突出片は前記第2突出片よりも前記パッド部側に配された構成であってもよい。
【0012】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に前記リード端子に加えられた(発生した)熱の一部を前記第1突出片及び前記第2突出片に留めることにより、前記パッド部への熱伝導を抑制することができる。さらに、本発明に係る電子部品を前記配線基板に実装する際にテーパ形状の前記第2突出片を前記配線基板のスルーホールに圧入することによって、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができ、前記配線基板から本発明に係る電子部品が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや前記配線基板に対して本発明に係る電子部品が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも突出した構成であってもよい。具体的に、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも前記リード端子の幅方向に突出した構成であってもよい。
【0014】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に、前記第2突出片をスルーホールに圧入して、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができる。さらに、前記第1突出片の前記第2突出片よりも突出した部位を前記配線基板に当接させることができ、前記配線基板に対する本発明に係る電子部品を高さ方向(前記リード端子の延設方向である前記リード端子の長さ方向)の位置を、所望の位置とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る電子部品において、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子の前記広ピッチ部位を連結したタイバー部とを備えたリードフレームを用いて前記パッド部と前記リード端子とが形成され、前記第1突出片は、前記タイバー部をカットして複数のリード端子を個別に分けるタイバーカット時に前記タイバー部の一部分を残すことによって形成された構成であってもよい。
【0016】
このような構成により、前記リードフレームに新たな部位を追加することなく前記第1突出片を設けることができる。
【0017】
また、本発明に係る電子部品では、前記複数のパッド部の体積は互いに異なり、前記複数のリード端子のうちの少なくとも2つの前記リード端子は前記第1突出片をそれぞれ備え、体積の小さい前記パッド部を備えた前記リード端子の前記第1突出片の体積は、他の前記リード端子の前記第1突出片の体積よりも大きい構成とされてもよい。
【0018】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に体積の小さい前記パッド部が他の前記パッド部よりも過度に加熱されることを防止できる。なお、1本の前記リード端子に対して複数の前記第1突出片が設けられている場合、全ての前記第1突出片の体積の合計を前記1本のリード端子の前記第1突出片の体積とする。
【0019】
本発明に係るリードフレームは、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子を連結したタイバー部とを備え、前記複数のリード端子は隣接して配され、前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とを備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位に対して前記パッド部側に配され、前記タイバー部は、前記広ピッチ部位を連結したものである。
【0020】
本発明によれば、前記第1突出片の突出形状を残した状態で前記タイバー部をタイバーカットすることにより、前記第1突出片を備えた本発明に係る電子部品を製造することができる。しかも、前記タイバー部で広ピッチ部位を連結したので、タイバーカット時に用いる金型の精度を緩和しても前記リード端子の一部を誤って切断してしまうことがない。
【0021】
また、本発明に係るリードフレームでは、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となったテーパ形状である第2突出片をさらに備え、前記タイバー部は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたものであってもよい。これにより、前記第2突出片を備えたリード端子に対して前記第1突出片の突出形状を残した状態で前記タイバー部をタイバーカットすることにより、前記第1突出片及び前記第2突出片を備えた本発明に係る電子部品を製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子部品によれば、本発明の電子部品を配線基板に実装する際の熱によって本発明の電子部品の電気的な特性が劣化してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品を配線基板に実装した状態を示した概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子デバイスの概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るリードフレームの一部概略構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパッド部の概略平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例1の一部概略平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例2の一部概略平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例3の一部概略平面図である。
【図9】図8に示すリード端子を備える電子部品を配線基板に実装した状態を示した概略構成図である。
【図10】本発明の一実施形態の他の形態に係るリードフレームの一部概略構成図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例4の一部概略平面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例5の一部概略平面図である。
【図13】図12に示すリード端子を備える電子部品を配線基板に実装した状態を示した一部概略構成図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例1の概略平面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例2の概略構成図である。
【図16】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例3の概略平面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例4の概略平面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例5の概略構成図である。
【図19】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例6の概略平面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例7の概略平面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例8の概略平面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例9の概略平面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例10の概略断面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例11の概略平面図である。
【図25】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例12の概略側面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例1の概略斜視図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例2の概略斜視図である。
【図28】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例3の概略斜視図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例4の概略斜視図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例5の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る電子部品及びリードフレームの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
まず初めに、本発明に係る電子部品の一実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品100を配線基板6に実装した状態を示した概略構成図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品100の概略構成図である。
【0027】
電子部品100はリードタイプの電子部品であり、図1に示すように、電子部品100は、配線基板6に半田(図示省略)を用いて実装される。
【0028】
図1に示す配線基板6には、配線パターン(不図示)と、スルーホール61、スルーホール62及びスルーホール63(スルーホール61〜63)とが形成されている。スルーホール61〜63は、内壁にめっき層(不図示)が設けられ、配線基板6の両主面を貫通する貫通孔である。
【0029】
電子部品100は、図2に示すように、複数のパッド部としての第1パッド部7、第2パッド部8及び第3パッド部9(以下、パッド部7〜9とする)と、パッド部7〜9からそれぞれ同一方向(本実施形態では−Y軸方向)に延設された複数のリード端子としての第1リード端子1、第2リード端子2及び第3リード端子3(以下、リード端子1〜3とする)を備えている。パッド部7〜9それぞれの搭載面(本実施形態では、搭載面をX軸とX軸に直交したY軸とからなるX−Y平面とする)には、電子デバイス4が搭載され、パッド部7〜9と電子デバイス4とが電気的に接続されている。
【0030】
なお、本実施形態では、リード端子1の両端のうち、パッド部7側の一端を基端とし、他端を先端とする。リード端子2の両端のうち、パッド部8側の一端を基端とし、他端を先端とする。リード端子3の両端のうち、パッド部9側の一端を基端とし、他端を先端とする。なお、本実施形態では、リード端子の母材としてCu(銅)や42アロイ(Ni(ニッケル)合金)等が用いられ、前記母材の表面には、Ni等の下地めっきが施された後、さらにAg(銀)めっきやAu(金)めっき等が施されている。
【0031】
また、パッド部7〜9は、電子デバイス4が接合される部位及びその周辺の部位であり(領域D0で示す部位)、パッド部7〜9における幅(X軸方向(+X軸方向及び−X軸方向)における寸法)は、リード端子1〜3の幅(X軸方向(+X軸方向及び−X軸方向)における寸法)W0よりも広い。
【0032】
この電子部品100では、パッド部7〜9及び電子デバイス4が、絶縁性樹脂を用いて形成された樹脂パッケージ部5により樹脂封止されている。ここでは、リード端子1〜3それぞれの基端側の一部分も樹脂パッケージ部5により樹脂封止されている。
【0033】
リード端子1〜3は、+X軸方向に沿って順に隣接して配置されている。リード端子1はパッド部7から−Y軸方向に延設され、リード端子2はパッド部8から−Y軸方向に延設され、リード端子3はパッド部9から−Y軸方向に延設されている。すなわち、これらリード端子1〜3は、パッド部7〜9から同一方向である−Y軸方向へ延設されている。なお、本実施形態では、リード端子1は電源電圧を入力するための(Vdd用の)リード端子であり、リード端子2はGND(接地)用のアース端子であり、リード端子3は出力を取り出すための(Output用の)リード端子である。なお、本実施形態に示すリード端子1〜3とパッド部7〜9との組み合わせ(延設状態)は一例に過ぎず、電子部品100の仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0034】
また、スルーホール61〜63内壁のめっき層とリード端子1〜3とは、図示していないが、半田等を用いてそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
電子デバイス4は、例えば表面実装型の圧電振動デバイスであり、水晶発振器、水晶振動子、水晶フィルタ、または弾性表面波デバイス等からなる。このような表面実装型の電子デバイスを電子デバイス4として用いた場合、表面実装型の電子デバイスをリードタイプの電子部品として汎用することができ、電子部品の製造コストを削減することができる。
【0036】
本実施形態では、電子デバイス4として水晶発振器を用いた場合について説明を行う。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス4の一実施例を示す断面図である。
【0038】
電子デバイス4は、図3に示すように、セラミック多層基板からなる絶縁性のベース34と、段付き凹部341の開口部位を覆う蓋24とから構成された筐体14を備えている。
【0039】
この電子デバイス4では、ベース34と蓋24との当接部位(外周縁部)は、封止用接合材(不図示)によって接合され、この接合により筐体14内部(キャビティ)が気密封止されている。
【0040】
蓋24は、金属等の導電性を有する材料を用いて形成され、GND用のリード端子2に一体形成されたパッド部8に電気的に接続され、ノイズを除去することができる。なお、蓋24は導電性を有する材料に限らずセラミック等の絶縁性を有する材料を用いて形成されていてもよい。また、蓋24とパッド部8とは、図示していないが、筐体14に形成された配線パターンまたはワイヤ等を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0041】
ベース34には、一表面(紙面上側(以下、上側とする)の表面)にキャビティとしての段付き凹部341が設けられている。
【0042】
段付き凹部341内には、2段の段差が設けられている。段付き凹部341の上段部(段付き凹部341の開口部位に最も近い側の段差部)342には、両主面に一対の励振電極(不図示)が形成された水晶振動片54が載置され、水晶振動片54の端部は上段部342の少なくとも一部に支持されている。
【0043】
段付き凹部341の上段部342に複数の電極パッド(不図示)が設けられ、複数の電極パッドに、水晶振動片54の各励振電極が導電性接合材741及び導電性接合材742を用いて接合されている。なお、2つの導電性接合材741,742は、図3に示す断面視同一位置に配置され、紙面手前側(以下、手前側とする)と紙面奥側(以下、奥側とする)とに配されている。なお、導電性接合材741,742として、樹脂性接着剤、金属バンプ、またはめっきバンプ等を用いてもよい。
【0044】
段付き凹部341の底面343には、増幅回路を含む集積回路素子64が載置されている。集積回路素子64は複数の外部電極(不図示)を備えており、集積回路素子64の前記複数の外部電極は、段付き凹部341の下段部(前記上段部342よりも底面343側に設けられた段差部)344に設けられた複数の電極パッド(不図示)に、複数のワイヤ84を介してそれぞれワイヤボンドされている。なお、ワイヤ84を用いたワイヤボンドの代わりに、金属バンプによるフリップチップ接合(Flip Chip Bonding(FCB))を用いてもよい。
【0045】
なお、図3に示す電子デバイス4は、複数の外部電極としての、第1外部電極41、第2外部電極42、第3外部電極43及び第4外部電極44(以下、外部電極41〜44とする)を備えている(図2参照)。これら外部電極41〜44は、ベース34の外側(紙面下側(以下、下側とする))の表面に形成されている。例えば、外部電極41は、集積回路素子64のVdd用の(電源電圧を入力するための)外部電極に電気的に接続され、外部電極42は、集積回路素子64のOE用の(集積回路素子64の出力をコントロールするための)外部電極に電気的に接続され、外部電極43は、水晶振動片54のGND用の励振電極と集積回路素子64のGND用の外部電極とに電気的に接続され、外部電極44は、集積回路素子64のOutput用の(集積回路素子64の出力を取り出すための)外部電極に電気的に接続されている。なお、図3において、外部電極41及び外部電極42は手前側と奥側とで重なりあった状態で図示され、外部電極43及び外部電極44は手前側と奥側とで重なりあった状態で図示されている。
【0046】
上記した段付き凹部341の上段部342に載置された水晶振動片54の前記励振電極の少なくとも一部と、段付き凹部341の下段部343に載置された集積回路素子64の前記外部電極の少なくとも一部とは、電子デバイス4の仕様に応じた電気的接続がされている。
【0047】
図2に示す電子部品100では、パッド部7〜9の搭載面に対して電子デバイス4の外部電極41〜44が対面(対向)した状態で搭載されている。このような状態において、電子部品100では、パッド部7表面に外部電極41及び外部電極42が、パッド部8表面に外部電極43が、パッド部9に外部電極44が、半田(不図示)を用いてそれぞれ固定され接続されている。なお、図1に示す電子部品100では、電源電圧入力時に電子デバイス4を常にオン状態にする目的で、パッド部7表面に外部電極41のみならず外部電極42も接続して外部電極42にも電源電圧を入力している。但し、本発明において、前記パッド部の数、前記リード端子の数、及びパッド部7〜9と外部電極41〜44との間の接続状態は、図2に示すものに限定されず、電子部品100の仕様に応じて適宜変更可能である。また、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続には、前記半田の代わりに、導電性接着剤を用いてもよく、Auバンプを用いたFCBであってもよい。また、電子デバイス4は、パッド部7〜9の搭載面に対して電子デバイス4の外部電極41〜44が背向した状態で搭載されていてもよく、この場合には前記半田の代わりにワイヤを用いた接続を行う。
【0048】
リード端子1〜3は、図2に示すように、隣り合うリード端子間のピッチP1が狭い狭ピッチ部位(図中、領域D1で示す部位)と、隣り合うリード端子間のピッチP2が広い広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)とをそれぞれ備えている。前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりもリード端子1〜3それぞれの基端側(パッド部7〜9側)に配されている。図1に示す電子部品100では、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位とを設けるために、リード端子1及びリード端子3において、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位との間に配された部位(図中、領域D2で示す部位)が、基端側から先端側へ向かうに従ってそれぞれリード端子2から離間する斜行部で構成されている。
【0049】
なお、リード端子1〜3のピッチ(X軸方向におけるリード端子1〜3間の間隙部の寸法)は、パッド部7〜9に搭載される電子デバイス4の仕様(例えば、外形や外部電極等の寸法)や、配線基板6の仕様(例えば、各スルーホール61〜63間の間隔等)に従って、適宜設定される。
【0050】
図2に示す電子部品100では、リード端子2の広ピッチ部位に、2つの第1突出片12,12を備えている。
【0051】
2つの第1突出片12,12のうち、一方の第1突出片12は、リード端子2のリード端子1側の端面に設けられ、この端面からリード端子1に近接する方向(リード端子2の幅方向である−X軸方向)に突出しており、他方の第1突出片12は、リード端子2のリード端子3側の端面に設けられ、この端面からリード端子3に近接する方向(リード端子2の幅方向である+X軸方向)に突出している。
【0052】
各第1突出片12,12の幅(X軸方向(突出方向)における寸法)W1とリード端子2の幅W0との合計寸法(W1+W1+W0)は、図1に示す配線基板6のスルーホール62の直径より大きいため、配線基板6へ電子部品100を実装する際、第1突出片12,12は、スルーホール62に挿入されず、配線基板6の実装面(図1では上側の表面)60に当接する。そのため、第1突出片12,12によって、配線基板6に対する電子部品100の高さ方向(Y軸方向(+Y軸方向及び−Y軸方向))の位置を所望の位置とする位置決めを行うことができる。
【0053】
なお、図2ではリード端子2と第1突出片12,12との境界が二点鎖線で示されているが、実際には、リード端子2と第1突出片12,12とは一体形成されている。また、図2に示す電子部品100ではリード端子2に矩形の第1突出片12,12が2つ設けられているが、第1突出片を設けるリード端子はリード端子2に限定されず、形状も矩形に限定されず、第1突出片の数も2つに限定されない。
【0054】
次に、図2に示す電子部品100を製造する際に用いられるリードフレームについて図面を参照しつつ説明する。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態に係るリードフレーム10の一部概略構成図である。
【0056】
本実施形態では、複数の電子部品100を同時に製造することが可能なリードフレーム10を用いて説明をし、図4にはリードフレーム10のうち電子部品1つ分に相当する領域のみを示す。
【0057】
リードフレーム10は、金属の板材を、例えば、エッチング加工または金型を用いた打ち抜き加工等を用いてパターンニングすることによって形成されたものである。
【0058】
リードフレーム10は、パッド部7〜9と、これらパッド部7〜9から−Y軸方向に延設されたリード端子1〜3と、X軸方向に延びる2本の支持フレーム20,20と、各支持フレーム20,20間に架橋するように渡されたY軸方向に延びる2本の桟フレーム30,30と、両端が2本の桟フレーム30,30にそれぞれ接続されたX軸方向に延びるタイバー部40とを備えている。図4では、2本の支持フレーム20が上側と下側とに示され、2本の桟フレーム30,30が紙面左側(以下、左側とする)と紙面右側(以下、右側とする)に示されている。支持フレーム20,20及びタイバー部40の長さ方向はX軸方向であり、桟フレーム30,30の長さ方向はY軸方向である。桟フレーム30,30それぞれの一端は上側の支持フレーム20に接続され、桟フレーム30それぞれの他端は下側の支持フレーム20に接続されている。
【0059】
リード端子1〜3の各先端は、下側の支持フレーム20に接続され、前記各リード端子の前記広ピッチ部位は、タイバー部40により連結されている。
【0060】
パッド部7,9は、図5に示すように、搭載面70,90(X−Y平面)において電子デバイス4を搭載する位置(搭載位置)を決定するための位置決め部を備えている。図5は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の概略平面図である。なお、図5には二点鎖線を用いて電子デバイス4の搭載位置も示す。
【0061】
前記位置決め部は、図5に示すように、パッド部7に設けられた切り欠き部71と、パッド部9に設けられた切り欠き部91とである。
【0062】
切り欠き部71は、パッド部7の紙面左上隅部(不図示)を切り欠くことにより形成され、パッド部7の紙面上端面(X軸方向の上端面)と紙面左端面(Y軸方向の左端面)との間をつなぐ斜面(X軸方向及びY軸方向に対して予め設定された角度に傾いた面)である。切り欠き部91は、パッド部9の紙面右上隅部(不図示)を切り欠くことにより形成され、パッド部9の紙面上端面(X軸方向の上端面)と紙面右端面(Y軸方向の右端面)との間をつなぐ斜面である。
【0063】
パッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際、まず、撮像装置等を用いてパッド部7〜9の画像データを取得し、演算処理装置等で前記画像データを画像処理することにより、X−Y平面での電子デバイス4の搭載位置を決定するための基準線Lを得る。この基準線Lは、切り欠き部71の予め設定された部位である基準点711(ここでは左側の一端)と切り欠き部91の予め設定された部位である基準点911(ここでは右側の一端)とを通る仮想線である。パッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際、基準点711または基準点911に基づいてX軸方向における搭載位置を決定し、基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。なお、前記X軸方向における搭載位置及び前記Y軸方向における搭載位置のうちのいずれか一方のみを決定して電子デバイス4を搬送してもよい。
【0064】
なお、図5では、基準線Lをより明確に示すために、電子デバイス4を基準線Lから離間させた状態で図示しているが、基準線Lに電子デバイス4の上側端面が重なるように位置決めしてもよく、図示しているように基準線Lと電子デバイス4との間を予め設定された距離分だけ離間させた状態で位置決めしてもよい。
【0065】
前記位置決め部を備えている場合、樹脂パッケージ部5とパッド部7,9との接触面積を増加させることができる。これにより、樹脂パッケージ部5からパッド部7,9を含むリード端子1,3が脱落してしまう(抜け落ちてしまう)ことを防止できる。
【0066】
上記したように、本実施形態にかかる電子部品100によれば、電子デバイス4をパッド部7〜9に搭載する際に搭載位置を高精度に決定することができ、そのため、電子デバイス4とパッド部7〜9との間の電気接続の信頼性を高めることができる。また、前記位置決め部は、パット部7〜9における搭載面(前記X−Y平面)での電子デバイス4の搭載位置を示すものであり、このような位置決め部をパッド部7〜9に備えることにより、電子デバイス4を搭載面の予め設定された位置に精度よく配することができる。
【0067】
次いで、リードフレーム10を用いて電子部品100を製造する手順について説明する。
【0068】
図2に示す電子部品100を形成する際、まず初めに、図4に示すリードフレーム10のパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する(デバイス搭載工程)。前記デバイス搭載工程では、まず、前述した手順によって電子デバイス4のパッド部4〜9における搭載位置を決定した後、パッド部7〜9のうち後に外部電極41〜44が接合される領域に、スクリーン印刷等を行ってクリーム半田を塗布する。このクリーム半田を塗布した後、電子デバイス4を搬送して前記搭載位置に載置し、リフロー半田付け装置等によりクリーム半田を溶融してパッド部7〜9に外部電極41〜44を加熱溶着し、パッド部7〜9に外部電極41〜44を電気的機械的に接続する。前記クリーム半田としては、鉛フリー半田等を含有する鉛フリーのクリーム半田が用いられる。前記鉛フリー半田は、搭載後の再溶融を防止するために融点が高いものがより好ましく、例えば、Sn(錫)及びAgを含むSnAg系の半田(融点は約221度)、Sn及びCuを含むSnCu系の半田(融点は約227度)、Sn、Ag及びCuを含むSnAgCu系の半田(融点は約217度〜約220度)、並びにSn及びアンチモン(Sb)を含むSnSb系の半田(融点は約245度〜約250度)がある。
【0069】
前記デバイス搭載工程を行った後、パッド部7〜9及び電子デバイス4を樹脂封止する樹脂パッケージ部5を形成する(樹脂モールド工程)。ここでは、図2に示すように、リード端子1〜3それぞれの基端側の一部分も樹脂パッケージ部により樹脂封止してもよい。
【0070】
前記樹脂モールド工程を行った後、タイバーカットダイ(抜き型)及びタイバーカットパンチ(抜き刃)を備えたタイバー切断装置等を用いて、タイバー部40を切断する(タイバーカット工程)。本実施形態においては、このタイバーカット工程において、タイバー部40のうち、リード端子1とリード端子2との間を連結する部位とリード端子2とリード端子3との間を連結する部位とを、リード端子2に接続した部位を残すようにタイバーカットすることによって、第1突出片12,12を形成する。具体的には、タイバー部40の、図4中にLcut1で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断する。一般に、タイバー切断装置でタイバー部40を切断する際、切断位置がずれてリード端子1及びリード端子3の一部を誤って切断してしまうことを防止するために、実際には、リード端子1及びリード端子3とタイバー部40との各境界よりも多少タイバー部側の位置(リード端子1及びリード端子3から離れた位置)を切断する。本実施形態においては、タイバー部40はリード端子1〜3の前記広ピッチ部位を連結しているため、リード端子1〜3の前記狭ピッチ部位を連結した場合と比較してリード端子1〜3からさらに離れた位置を切断しても各リード端子1〜3間を確実に分離することができる。これにより、タイバー切断装置の切断位置に係る精度を緩和することができる。
【0071】
前記タイバーカット工程を行った後、支持フレーム20からリード端子1〜3を切断することにより電子部品100を個々に分離し(トリミング工程)、図1に示す電子部品100を得る。
【0072】
なお、樹脂パッケージ部5を形成する際に生じたバリを除去したり、リード端子1〜3の形を整えたりするためのフォーミング工程を、必要に応じて前述した手順に追加してもよい。
【0073】
上記した製造工程により製造した電子部品100を配線基板6に実装する際、まず、リード端子1をスルーホール61に、リード端子2をスルーホール62に、リード端子3をスルーホール63にそれぞれ挿入して、配線基板6に電子部品100を配置する。このように配置した後、配線基板6をディップ槽に投入して半田をディップする。前記半田の具体例としては、鉛フリー半田である、例えば、Sn及びAgを含むSnAg系の半田、Sn及びCuを含むSnCu系の半田、Sn、Ag及びCuを含むSnAgCu系の半田、並びにSn及びアンチモンを含むSnSb系の半田がある。
【0074】
一般的に、これらの鉛フリー半田は鉛を含有する半田と比較して融点が高い。そのため、電子部品100を配線基板6に実装する際にリード端子1〜3に加えた熱がパッド部7〜9にも伝わり、パッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)が過度に加熱されてしまうことにより、電子デバイス4に含まれる素子(例えば集積回路素子64)が熱で破壊され電子部品100が破壊されてしまうことが懸念される。また、パッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)が過度に加熱されてしまうことにより、電子デバイス4とパッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)との間の半田が再溶融して、電子デバイス4の外部電極41〜44とパッド部7〜9との間の電気接続が低下し電子部品100の電気的特性が劣化してしまうことも懸念される。
【0075】
これに対して、本実施形態にかかる電子部品100は、図1,2に示すように、体積の小さいパッド部8から延設されたリード端子2に第1突出片12,12を備えており、第1突出片12,12に熱の一部を留めることができるため、パッド部8への熱伝導を抑制することができ、パッド部8が過度に熱くなることを防止できる。そのため、電子部品100を配線基板6に実装する際に、集積回路素子64が破壊されてしまうことや、パッド部8と外部電極43との間の半田等が再溶融してしまうことを防止できる。その結果、実装時の熱によって、電子部品100が破壊されてしまったり、電子部品100の電気的な特性が劣化してしまったりすることを防止できる。
【0076】
また、パッド部7〜9と外部電極41〜44との間の半田等の再溶融をより確実に防止するためには、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続に用いる半田の融点が、電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田の融点と同じであるか、または電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田の融点よりも高いことが好ましい。具体的に、電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田としてSnAgCu系の半田を用いた場合、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続に用いる半田としては、SnAg系の半田、SnCu系の半田またはSnSb系の半田を用いることが好ましく、最も融点が高いためSnSb系の半田を用いることがより好ましい。
【0077】
なお、上記した第1突出片の大きさ(体積)、配置、及びリード端子1〜3ごとの数は一例であり、パッド部7〜9の大きさ等に従って適宜変更可能である。例えば、パッド部8がパッド部7,9と比較して大きなパッド部であった場合には、リード端子2には前記第1突出片を設けずに、リード端子1,3に前記第1突出片を設けてもよい。
【0078】
また、上記した第1突出片の形状は一例であり、適宜変更可能である。また、リード端子2の第1突出片12,12の突出方向(X軸方向)の寸法(幅の寸法)は、図1,2に示す寸法に限定されるものではなく、任意に設定可能である。具体的に、リード端子1,3に第1突出片を備え、リード端子2の第1突出片12,12の突出方向(X軸方向)の寸法(幅の寸法)をかえた形態を図6に示す。
【0079】
図6は、本発明の一実施形態に係るリード端子1〜3の変形例1の概略構成図である。なお、図6には、リード端子のうち第1突出片とその周辺の部位とのみを示す。
【0080】
図6に示すリード端子1〜3は、図2に示す第1突出片12,12の代わりに、パッド部7〜9それぞれの体積に応じて体積の異なる第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13を備えている。具体的には、リード端子1は第1突出片11,11を、リード端子2は第1突出片12,12を、リード端子3は第1突出片13,13をそれぞれ備えている。
【0081】
また、図2に示すように、パッド部8の体積がパッド部7及びパッド部9それぞれの体積と比較して非常に小さい。そのため、第1突出片12,12それぞれの体積の合計が、第1突出片11,11それぞれの体積の合計や第1突出片13,13それぞれの体積の合計よりも充分に大きくなるように、第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13それぞれの体積が設定されている。
【0082】
第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13は、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0083】
また、上記した図2に示す第1突出片12や図6に示す第1突出片11〜13は、平面視矩形に成形されているが、第1突出片の平面視形状はこれに限定されるものではなく、例えば図7,8に示すように、第1突出片がパッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であってもよい。また、第1突出片11〜13の形状は、パッド部7〜9から離間するに従って幅狭となった台形であってもよい。
【0084】
図7,8は、本発明の一実施形態に係るリード端子1〜3の変形例2,3の概略構成図である。なお、図7,8には、リード端子のうち第1突出片とその周辺の部位とのみを示す。
【0085】
図7に示すリード端子1〜3では、図2に示す矩形の第1突出片12,12の代わりに、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状の第1突出片12,12をリード端子2に備えている。詳しくは、第1突出片12,12は、リード端子2の先端側(以下、リード端子先端側とする)に向かうに従って先細りした形状となっている。この図7に示す第1突出片12,12は、そのリード端子先端側の寸法が小さく、配線基板6のスルーホール62に挿入しやすい形状となっている。
【0086】
2つ設けられた第1突出片12,12それぞれの最大となる幅(最大幅)の寸法(突出方向(X軸方向)の寸法)とリード端子2の幅の寸法との合計は、スルーホール62の直径よりもやや大きい。
【0087】
なお、本実施形態においては、少なくとも第1突出片がリード端子先端側に向かうに従って幅狭となる構成を有する場合、その第1突出片12,12の幅狭となる形状をテーパ形状と称する。また、本実施形態において、第1突出片の幅とはX軸方向における寸法である。
【0088】
第1突出片12,12は、テーパ形状であるため、スルーホール62に圧入することができる。これにより、電子部品100を配線基板6により強く固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0089】
第1突出片12,12は、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0090】
図8に示すリード端子1〜3では、図7に示すリード端子2を用い、さらにリード端子1,3に、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状の第1突出片11、13をそれぞれ備えている。また、リード端子1の第1突出片11は、リード端子1の左側端面(隣り合うリード端子がない側の端面)に設けられている。また、リード端子3の第1突出片13は、リード端子3の右側端面(隣り合うリード端子がない側の端面)に設けられている。これら第1突出片11、13は、リード端子1〜7のリード端子先端側に向かうに従って先細りした形状となっており、リード端子先端側の寸法が小さく、配線基板6のスルーホール61〜63に挿入しやすい形状となっている(図9参照)。
【0091】
また、リード端子1の幅の寸法と第1突出片11の最大幅の寸法との合計は、スルーホール61の直径よりもやや大きい。リード端子3の幅の寸法と第1突出片13の最大幅の寸法との合計は、スルーホール61の直径よりもやや大きい。
【0092】
第1突出片11と第1突出片13は、第1突出片12,12と同様に、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0093】
なお、図9では、第1突出片11、第1突出片12,12及び第1突出片13の全体がスルーホール61〜63内に完全に挿入されているが、第1突出片11、第1突出片12,12及び第1突出片13の最大幅を変更してその一部分(リード端子先端側の一部分)のみをスルーホール61,63内に挿入してもよい。
【0094】
なお、本実施形態では、図4に示すリードフレーム10を用いているが、これに限定されるものではなく、図10に示すリードフレーム10を用いてもよい。
【0095】
図10に示すリードフレーム10は、図4に示すリードフレーム10に、2つの第2突出片22,22を追加した構成となっている。そのため、ここでは、第2突出片22,22に関する内容を述べ、他の構成についてはその説明を省略する。
【0096】
第2突出片22,22は、リード端子2の前記広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)に設けられ、タイバー部40よりもリード端子先端側に配されている。第2突出片22,22の形状は、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状である。
【0097】
なお、図10では、リード端子2、タイバー部40及び第2突出片22,22それぞれの境界が二点鎖線で示されているが、実際には、リード端子2、タイバー部40及び第2突出片22,22は一体形成されている。具体的には、第2突出片22,22のうち、リード端子1側(左側)に設けられた第2突出片22は、その上側端面がタイバー部40の下側端面に一体形成され、その右側端面がリード端子2の左側端面に一体形成されている。また、リード端子2側(右側)に設けられた第2突出片22は、その上側端面がタイバー部40の下側端面に一体形成され、その左側端面がリード端子2の右側端面に一体形成されている。なお、図10に示す実施形態では、タイバー部40と第2突出片22,22とが一体形成されているが、これに限定されるものではなく、タイバー部40と第2突出片22,22とは一体形成されていなくてもよい。例えば、第2突出片22,22をタイバー部40からリード端子先端側に離間させてもよい。
【0098】
この図10に示すリードフレームを用いて上記した製造方法によりリード端子2を製造した場合、図11,12に示すリード端子2が成形される。
【0099】
図11に示すリード端子2の変形例4では、図2に示すリード端子2に第2突出片22,22が追加形成されている。
【0100】
図11に示すリード端子1〜3は、製造工程の前記タイバーカット工程において、図10に示すリードフレーム10のタイバー部40の、Lcut2で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断することによって得られる。なお、このタイバーカット工程では、第1突出片12,12の幅が第2突出片22,22の最大幅と同じになるように、Lcut2が設定されている。
【0101】
2つ設けられた第2突出片22,22それぞれの最大幅(リード端子基端側の幅)W3の寸法とリード端子2の幅W0の寸法との合計(W3+W3+W0)は、スルーホール62の直径よりもやや大きい。なお、本実施形態において、第2突出片の幅とはX軸方向における寸法である。
【0102】
図11に示すリード端子1〜3は、リード端子1〜3に加えられた熱の一部を第1突出片12,12及び第2突出片22,22に留めることができる。これによって、パッド部8への熱伝導をより確実に抑制することができる。
【0103】
また、リード端子1〜3をスルーホール61〜63にそれぞれ挿入し、第2突出片22,22をスルーホール62に圧入すると、第2突出片22がスルーホール62の内壁に押し付けられ圧接した状態になる。これにより、配線基板6に対して電子部品100を強固に固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0104】
図12に示すリード端子2の変形例5では、図11に示す第1突出片12,12の幅W3が幅W2(W3<W2)に変更されている。
【0105】
図12に示すリード端子1〜3は、製造工程の前記タイバーカット工程において、図10に示すリードフレーム10のタイバー部40の、Lcut3で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断することによって得られる。なお、このタイバーカット工程では、第1突出片12,12の幅W2が、第2突出片22,22の最大幅W3よりも充分大きくなり、かつ、第1突出片12,12と第2突出片22,22との境界部分E1には段差が形成されるように、Lcut3が設定されている。
【0106】
図12に示すリード端子1〜3は、リード端子1〜3に加えられた熱の一部を第1突出片12,12及び第2突出片22,22に留めることができる。これによって、パッド部8への熱伝導をより確実に抑制することができる。
【0107】
また、リード端子1〜3をスルーホール61〜63にそれぞれ挿入し、図13に示すように、第2突出片22,22をスルーホール62に圧入すると、第2突出片22,22がスルーホール62の内壁に押し付けられ圧接した状態になる。これにより、配線基板6に対して電子部品100を強く固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。また、第1突出片12,12は、スルーホール62に挿入させずに、第1突出片12,12の第2突出片22,22よりも突出した部位を配線基板6の実装面(図13では、上側の表面)60と当接させることができる。これにより、第1突出片12,12によって、配線基板6に対する電子部品100の高さ方向(Y軸方向)の位置決めを行うことができる。
【0108】
なお、本実施形態では、テーパ形状の第1突出片11,12,13及び第2突出片22,22は、それぞれのリード端子基端側の端面がX軸方向に対して平行となっているがこれに限定されず、X軸方向に対するリード端子基端側の端辺の角度が90度より小さくてもよく、また大きくてもよく、適宜変更可能である。
【0109】
また、本実施形態では、前記位置決め部として、パッド部7,9に切り欠き部71、切り欠き部91を設けているが、これに限定されるものではなく、図14〜21に示す形態であってもよい。
【0110】
図14に示す変形例1において、前記位置決め部として、切り欠き部71と切り欠き部91を適用している。
【0111】
切り欠き部71は、パッド部7の左側端部から+X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成され、切り欠き部91は、パッド部9の右側端部から−X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成されている。
【0112】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711と基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0113】
なお、この変形例では、基準点711を切り欠き部71とパッド部7の外周端部との角部とし、基準点911を切り欠き部91とパッド部9の外周端部との角部としたが、基準点711及び基準点911の位置はこれに限定されず、例えば切り欠き部71または切り欠き部91のいずれかの角部であればよい。
【0114】
また、切り欠き部71及び切り欠き部91は、+X軸方向または−X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成されているが、これに限定されるものではなく、基準点を設けることができれば他の形状であってもよい。具体的に、パッド部7及びパッド部9の外周方向に対して斜めに切り欠いたものであってもよく、前記外周方向に沿って(平行に)切り欠いたものであってもよい。切り欠き部71及び切り欠き部91の形状は、前述したような矩形(長方形または正方形)であってもよく、三角形であってもよい。さらに、切り欠き部71及び切り欠き部91は、パッド部7及びパッド部9の外周端を構成する複数の辺のうちの1つの辺に設けられていてもよく、複数の辺に設けられていてもよい。
【0115】
図15は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の変形例2を示す説明図であり、図15は図15(a)、図15(b)、図15(c)、図15(d)、図15(e)及び図15(f)からなる。図15(a)及び図15(b)にはパッド部の搭載面を示し、図15(c)、図15(d)、図15(e)及び図15(f)には図15(a)のA−A線断面を示す。また、図15(a)にはパッド部のみを示し、図15(b)には二点鎖線を用いて電子デバイスの搭載位置も示し、図15(c)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凹部である場合の一例を示し、図15(d)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が貫通孔である場合の一例を示し、図15(e)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)がマーキングである場合の一例を示し、図15(f)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凸部である場合の一例を示す。
【0116】
図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用している。
【0117】
位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、パッド部7の搭載面70及びパッド部9の搭載面90において、電子デバイス4が搭載される領域(前記搭載位置)の周辺に設けられている。位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、電子デバイス4が搭載される矩形(長方形または正方形)の領域の少なくとも二つの角部に沿うように(ここでは、三辺で構成される二つの角部に沿うように)形成された平面視L字状のマークである。位置決めマーク171の平面視形状は、L字を時計回りに90度回転させた形状であり、位置決めマーク191の平面視形状は、L字を時計回りに180度回転させた形状である。
【0118】
なお、ここでいう位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、図15(c)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、図15(d)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよく、図15(e)に示すようなパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、図15(f)に示すような、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0119】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711または基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0120】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図15に示す位置に限定されるものではない。位置決めマーク171及び位置決めマーク191が前記凹部または前記貫通孔であった場合、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を前記搭載位置よりもリード端子1〜3側(リード端子1〜3とパッド部7〜9との境界部位側)に形成することや、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を電子デバイス4の外部電極41〜44が接合される部位を囲むように形成することにより、
位置決めマーク171及び位置決めマーク191によって外部電極41〜44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができる。これにより、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0121】
なお、上記した図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用しているが、これは好適な例であり、図16に示すように位置決めマーク171だけであっても前述したような効果が得られる。
【0122】
また、上記した図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用しているが、図17に示すように、さらに位置決めマーク175を備えてもよい。
【0123】
位置決めマーク175は、平面視矩形状であり、パッド部7において、電子デバイス4の隣り合う外部電極である外部電極41と外部電極42とが個々に接続される各部位の間に設けられている。この位置決めマーク175は、パッド部7を貫通しない凹部であっても、パッド部7を貫通する貫通孔であってもよい。
【0124】
図17に示す変形例4によれば、前記位置決め部は、位置決めマーク171及び位置決めマーク191に加えて位置決めマーク175も備えているため、電子デバイス4の搭載位置をより高精度に決定することができる。
【0125】
ところで、一般に、半田は、リフロー装置により溶融されたときに電子デバイスの外部電極とパッド部との隙間に沿って拡がり、塗布された領域の周囲に流れ出してしまう場合がある。この場合、外部電極とパッド部との間の半田の量が不足し、外部電極とパッド部との間の電気的な接続が低下してしまうことが懸念される。
【0126】
これに対して、図17に示す前記位置決め部によれば、位置決めマーク175によって半田の拡がりを防止することができ、電子デバイス4とパッド部7との間の電気的な接続に係る信頼性を維持することができる。
【0127】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図17に示す位置に限定されるものではない。例えば、パッド部7において、位置決めマーク171、175に加えて、図17中に破線で示すように、前記搭載位置よりもリード端子1側(リード端子1とパッド部7との境界部位側)に位置決めマーク176を形成してもよい。ここでは、位置決めマーク176の平面視形状はL字形状である。このような位置に位置決めマーク176を形成することにより、位置決めマーク176によって外部電極42が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができ、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0128】
図18は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の変形例5を示す説明図であり、図18は図18(a)、図18(b)、図18(c)、図18(d)、図18(e)及び図18(f)からなる。図18(a)及び図18(b)にはパッド部の搭載面を示し、図18(c)、図18(d)、図18(e)及び図18(f)には図18(a)のB−B線断面を示す。また、図18(a)にはパッド部のみを示し、図18(b)には二点鎖線を用いて電子デバイスの搭載位置も示し、図18(c)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凹部である場合の一例を示し、図18(d)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が貫通孔である場合の一例を示し、図18(e)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)がマーキングである場合の一例を示し、図18(f)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凸部である場合の一例を示す。
【0129】
図18に示す変形例5では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用している。
【0130】
位置決めマーク171は、電子デバイス4を搭載する領域(電子デバイス4の外形と一致する領域)の紙面左上隅近傍に設けられ、位置決めマーク191は、電子デバイス4を搭載する領域(電子デバイス4の外形と一致する領域)の紙面右上隅近傍に設けられている。位置決めマーク171及び位置決めマーク191の平面視形状は円形である。
【0131】
なお、ここでいう位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、図18(c)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、図18(d)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよく、図18(e)に示すようなパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、図18(f)に示すような、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0132】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711または基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0133】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図18に示す位置に限定されるものではない。位置決めマーク171及び位置決めマーク191が前記凹部または前記貫通孔であった場合、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を前記搭載位置よりもリード端子1〜3側(リード端子1〜3とパッド部7〜9との境界部位側)に形成することや、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を電子デバイス4の外部電極41〜44が接合される部位を囲むように形成することにより、
位置決めマーク171及び位置決めマーク191によって外部電極41〜44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができる。これにより、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0134】
上記した図18に示す前記位置決め部では、パッド部8に設けた平面視円形の位置決めマーク171と、パッド部9に設けた平面視円形の位置決めマーク191を用いているが、その数は、1つに限定されるものではなく、図19に示すような複数個であってもよい。
【0135】
図19に示す変形例6では、前記位置決め部として、位置決めマーク171〜173と、位置決めマーク191〜193とを適用している。
【0136】
位置決めマーク171〜173に関して、パッド部7において図18の位置決めマーク171と同様の位置に位置決めマーク171が設けられ、この位置決めマーク171から−Y軸方向上の任意の位置に位置決めマーク172が設けられ、位置決めマーク171から+X軸方向上の任意の位置に位置決めマーク173が設けられる。そして、これら位置決めマーク171,173を通る仮想線と、位置決めマーク171,172を通る仮想線とからL字の仮想線を作成する。
【0137】
同様に、位置決めマーク191〜193に関して、パッド部9において図18の位置決めマーク191と同様の位置に位置決めマーク191が設けられ、この位置決めマーク191から−Y軸方向上の任意の位置に位置決めマーク192が設けられ、位置決めマーク191から−X軸方向上の任意の位置に位置決めマーク193が設けられる。そして、これら位置決めマーク191,192を通る仮想線と、位置決めマーク191,193を通る仮想線とからL字の仮想線を作成する。
【0138】
そして、このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、位置決めマーク171〜173により作成したL字の仮想線と、位置決めマーク191〜193により作成したL字の仮想線とからX軸方向及びY軸方向における電子デバイス4の搭載位置の位置決めを行う。
【0139】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図19に示す位置に限定されるものではない。例えば、パッド部7において、位置決めマーク171〜173に加えて、図19中に破線で示すように、電子デバイス4の外部電極41,42が接合される部位を囲むように位置決めマーク177を複数形成し、パッド部9において、位置決めマーク191〜193に加えて、図19中に破線で示すように、電子デバイス4の外部電極44が接合される部位を囲むように位置決めマーク197を複数形成してもよい。ここでは、位置決めマーク177,197の平面視形状は円形である。このような位置に位置決めマーク177,197を形成することにより、位置決めマーク177,197によって外部電極41,42,44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができ、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0140】
また、前記位置決め部では、上記した実施形態だけでなく、図20に示すような実施形態であってもよい。
【0141】
図20に示す変形例7では、前記位置決め部として、位置決めマーク172,173と、位置決めマーク192,193とを適用している。
【0142】
位置決めマーク172,173は、パッド部7の搭載面に平面視長方形の矩形に形成されている。位置決めマーク172は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面左上隅にその長手方向がY軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク172は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちX軸方向の位置決めに用いる。また、位置決めマーク173は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面左上隅にその長手方向がX軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク173は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちY軸方向の位置決めに用いる。これら位置決めマーク172,173の長辺に沿った延長線の交点が、基準点711とされている。
【0143】
また、位置決めマーク192,193は、パッド部7の搭載面に平面視長方形の矩形に形成されている。位置決めマーク192は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面右上隅にその長手方向がY軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク192は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちX軸方向の位置決めに用いる。また、位置決めマーク193は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面右上隅にその長手方向がX軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク193は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちY軸方向の位置決めに用いる。これら位置決めマーク192,193の長辺に沿った延長線の交点が、基準点911とされている。
【0144】
位置決めマーク172,173,192,193は、パッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、パッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよくパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0145】
これら位置決めマーク172,173,192,193を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711,911を通る仮想線Lに基づいて電子デバイス4の搭載位置のY軸方向における搭載位置を決定する。
【0146】
また、本実施形態では、前記位置決め部として、図5,14〜20に示す形態を示しているが、これらの形態はそれぞれ単独で用いてもよいが、図21に示すように組み合わせて用いてもよい。なお、図21は、図5に示す切り欠き部71,91と、図19に示す位置決めマーク171〜173と、位置決めマーク191〜193とを組み合わせた変形例8を示す。
【0147】
上記したように、前記位置決めマークがマーキングであった場合、印刷等により比較的安価で形成することができる。
【0148】
前記位置決めマークが凹部、凸部及び貫通孔のうちのいずれか1つを含む場合、樹脂パッケージ部5とパッド部7〜9との接触面積を増加させることができる。これにより、樹脂パッケージ部5から、パッド部7〜9を含むリード端子1〜3が脱落してしまう(抜け落ちてしまう)ことを防止できる。また、前記位置決めマークによって前記熱伝導をより確実に妨げることができるため、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。特に、前記位置決めマークが凹部または凸部であった場合、パッド部7〜9の強度を保つことができ、前記位置決めマークが貫通孔であった場合、画像処理時に前記位置決めマークをより確実に検出することができる。
【0149】
なお、本実施形態では、例えば図5に示すパッド部7〜9を用いているが、パッド部7〜9の形状は、これに限定されるものではなく、電子デバイス4を搭載可能であれば任意に設定可能であり、図22に示すパッド部7〜9の変形例9であってもよい。
【0150】
図22に示す変形例9では、左側から順に、パッド部9、パッド部7、パッド部8を配している。このパッド部7〜9の配置は、搭載する電子デバイス4の外部電極41〜44の位置に関係している。なお、この図22に示すパッド部7〜9では、パッド部8,9の体積が同一であり、パッド部7の体積がパッド部8,9の体積より小さい。
【0151】
また、このパッド部7〜9では、図2に示す形態の前記位置決め部(切り欠き部71,91)に代わる前記位置決め部(切り欠き部91,81)が、パッド部8,9に形成されている。
【0152】
また、パッド部7〜9の変形例は、上記した形態に限定されるものではなく、下記する図23〜図25に示す変形例10〜12であってもよい。
【0153】
変形例10について、図23に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例10では、パッド部7の外周縁に、搭載面70に対して垂直な方向に突出する突起部75が備えられている。なお、図23ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が備えられている。
【0154】
このように、パッド部7に突起部75が備えられることにより、突起部75が堤部の役割を果たし、半田等がパッド部7の搭載面からはみ出してしまう(オーバフローしてしまう)ことを防止することもできる。
【0155】
なお、パッド部7(リードフレーム10)が、金属の板材を、金型を用いた打ち抜き加工等を用いてパターンニングすることによって形成されたものである場合、前記突起部75は、打ち抜き加工時にパッド部7(リードフレーム10)を金型から取り出す際に形成された打ち抜きバリであってもよい。
【0156】
この場合には、金属の板材に打ち抜き加工を施してリードフレーム10を形成する際に、突起部も同時に形成することができ、より安価で簡単に突起部75を形成することができる。
【0157】
また、パッド部7を作業台に載置した状態で電子デバイス4をパッド部7に搭載する際には、前記打ち抜きバリが前記作業台に接触してパッド部7の搭載面70が前記作業台に対して傾いた状態になることが懸念される。
【0158】
しかしながら、本実施形態によれば、前記打ち抜きバリを突起部75とするので、パッド部7の平坦な面(突起部75が形成されておらず平坦な面)が前記作業台に接触し、パッド部7の搭載面70が前記作業台に対して傾いた状態になることを防止できる。これにより、搭載後の電子デバイス4とパッド部7との間の電気的機械的な接続の安定度を向上させることができ、接続不良が発生することを防止できる。これにより、電子デバイス4とパッド部7との間の電気的な接続に係る信頼性を向上することができる。なお、電子デバイス4の外部電極41〜44とパッド部7〜9との間は、ワイヤボンドまたはFCBによって電気的に接続されていることが好ましい。
【0159】
変形例11について、図24に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例11にかかるパッド部7では、リード端子1との境界部位に隣接する端面(下側端面)76がジグザグ状に成型されている。なお、図24ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が形成されている。本実施形態において、ジグザグ状とは、端面に凹凸形状が形成され、凸部の突起及び凹部の窪みが鋭角を成している形状(楔形状)を示す。
【0160】
このように端面をジグザグ状に成型することによって、パッド部7と樹脂パッケージ部5との間の接触面積を増加させることができるため、樹脂パッケージ部5からパッド部7ごとリード端子1が脱落してしまうことを防止できる。
【0161】
なお、ジグザグ状に成型する部位(端面)は図24に示す部位(端面76)に限定されるものではなく、パッド部7〜9の全ての端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されてもよい。例えば、パッド部7の左側端面や右側端面をジグザグ状に成型してもよく、この場合には、ジグザグ状に成型された部位が樹脂パッケージ部5内部に引掛かるため、リード端子1が脱落してしまうことをより確実に防止できる。
【0162】
また、前記端面をジグザグ状に成型するために、凹部内面にジグザグ形状が予め設けられている金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成してもよい。また、金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成し、金型からリード端子1(リードフレーム10)を取り出した後で、エッチング、打ち抜き加工または切削加工によって前記端面をジグザグ状に成型してもよい。
【0163】
変形例12について、図25に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例12にかかるパッド部7では、電子デバイス4の搭載面70の外周縁(特に、リード端子1と隣接する部位)に、搭載面70(X−Y平面)に対して垂直な方向に突出する堤部77が備えられている。なお、図25ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が形成されている。
【0164】
このようにパッド部7に堤部77が備えられていることによって、パッド部7と樹脂パッケージ部5との間の接触面積を増加させることができるとともに、堤部77が樹脂パッケージ部5内部に引掛かるため、樹脂パッケージ部5からパッド部7ごとリード端子1が脱落してしまうことを防止できる。
【0165】
なお、堤部77を形成する部位は、図25に示す部位が好適であるが、これに限定されるものではなく、パッド部7の全ての端部の少なくとも一部分に堤部が形成されていても、同様の効果を有する。
【0166】
また、堤部77は、金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成する際に、リード端子1の端部から後に堤部77となる部材を予め延設しておき、リード端子1(リードフレーム10)を金型から取り出した後に、前記端部と延設されている部材との境界部位に折り曲げ加工を施すことによって形成してもよい。
【0167】
なお、上記した本実施形態では、樹脂パッケージ部5の形状を直方体としているが、これに限定されるものではなく、パッド部7〜9と電子デバイス4とを樹脂封止できれば、他の形態であってもよい。具体的に、図26〜30に示すような樹脂パッケージ部の変形例1〜5であってもよい。図26〜30は、樹脂パッケージ部5の変形例1〜5を示す概略斜視図である。
【0168】
図26に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面半円形の柱形状である。ここでいう前記断面半円形の柱形状とは、円柱形を高さ方向に沿って切断した形状である。
【0169】
図27に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面略半円形の柱形状である。ここでいう前記断面略半円形の柱形状とは、断面の外周が円形と直線とからなる柱形状である。
【0170】
図28に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面半円形の先細りの柱形状である。ここでいう前記断面半円形の先細りの柱形状とは、円錐台形を高さ方向に沿って切断した形状である。
【0171】
図29に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、半球形状である。ここでいう前記半球形状とは、球形状の一部分を切断して除去した凸レンズ形状である。
【0172】
図30に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、略半球形状である。ここでいう前記略半球形状とは、筐体が半球形状のものと直方体形状のものが平面で一体形成されたものである。
【0173】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0174】
10 リードフレーム
1 第1リード端子
11 第1突出片
2 第2リード端子
12 第1突出片
22 第2突出片
3 第3リード端子
13 第1突出片
4 電子デバイス
41 第1外部電極
42 第2外部電極
43 第3外部電極
44 第4外部電極
5 樹脂パッケージ部
6 配線基板
7 第1パッド部
71 切り欠き部
171,172,173,175 位置決めマーク
8 第2パッド部
9 第3パッド部
91 切り欠き部
191,192,193 位置決めマーク
100 電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパッド部と各パッド部から延設された複数のリード端子とを備えたリードタイプの電子部品及びリードフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リードタイプの電子部品は、例えば配線基板のスルーホールに電子部品のリード端子を挿入した状態でスルーホールとリード端子との間を半田により電気的に接続することによって、配線基板に実装される。
【0003】
このような手順で、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する方法の一例として、下記特許文献1の特開2005−26457号公報に開示されている電子部品実装方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−26457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する際には、スルーホールとリード端子との間を半田により電気的に接続するために、リード端子とスルーホールとの接合部位に溶融させた状態で半田を供給するか、またはリード端子とスルーホールとの接合部位に供給した半田を溶融する必要がある。このスルーホールへのリード端子の接合の際、リード端子及び配線基板が加熱される。リード端子に加わった熱はリード端子全体に拡がり、さらにこの熱はリード端子に連なる(接続された)部位や部材にまで及ぶ。そのため、この熱が原因となって、リードタイプの電子部品の電気的な特性が劣化してしまう場合があるといった問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、リードタイプの電子部品を配線基板に実装する際の熱によってリードタイプの電子部品の電気的な特性が劣化してしまうことを防止できるリードタイプの電子部品及びリードフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るリードタイプの電子部品(以下、電子部品とする)は、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子とを備え、前記複数のリード端子は隣接して配され、前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とをそれぞれ備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりも前記複数のパッド部側に配され、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片を備えた構成となっている。
【0008】
本発明に係る電子部品によれば、このような構成を備えていることにより、前記第1突出片によって前記リード端子から前記パッド部への熱伝導を抑制することができ、前記パッド部が過度に加熱されることを防止できる。その結果、前記電子部品を配線基板に実装する際の熱によって前記電子部品の電気的な特性が劣化するのを防止できる。さらに、前記広ピッチ部位に前記第1突出片を備えたので、前記第1突出片を備えた前記リード端子に隣接して配された前記リード端子と、前記第1突出片とが接触することを防止できる。また、例えば前記狭ピッチ部位に前記第1突出片を備えた場合と比較して、前記第1突出片から前記パッド部までの距離を長くすることができるため、前記第1突出片をより大きく(幅広に)形成することや、前記パッド部への熱伝導をより確実に抑制することもできる。
【0009】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出片は前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であってもよい。
【0010】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に前記第1突出片を前記配線基板のスルーホールに圧入することにより、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができ、前記配線基板から本発明に係る電子部品が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや前記配線基板に対して本発明に係る電子部品が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0011】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出部を備えた前記リード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、前記第1突出片は前記第2突出片よりも前記パッド部側に配された構成であってもよい。
【0012】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に前記リード端子に加えられた(発生した)熱の一部を前記第1突出片及び前記第2突出片に留めることにより、前記パッド部への熱伝導を抑制することができる。さらに、本発明に係る電子部品を前記配線基板に実装する際にテーパ形状の前記第2突出片を前記配線基板のスルーホールに圧入することによって、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができ、前記配線基板から本発明に係る電子部品が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや前記配線基板に対して本発明に係る電子部品が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る電子部品において、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも突出した構成であってもよい。具体的に、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも前記リード端子の幅方向に突出した構成であってもよい。
【0014】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に、前記第2突出片をスルーホールに圧入して、本発明に係る電子部品を前記配線基板により強く固定することができる。さらに、前記第1突出片の前記第2突出片よりも突出した部位を前記配線基板に当接させることができ、前記配線基板に対する本発明に係る電子部品を高さ方向(前記リード端子の延設方向である前記リード端子の長さ方向)の位置を、所望の位置とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る電子部品において、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子の前記広ピッチ部位を連結したタイバー部とを備えたリードフレームを用いて前記パッド部と前記リード端子とが形成され、前記第1突出片は、前記タイバー部をカットして複数のリード端子を個別に分けるタイバーカット時に前記タイバー部の一部分を残すことによって形成された構成であってもよい。
【0016】
このような構成により、前記リードフレームに新たな部位を追加することなく前記第1突出片を設けることができる。
【0017】
また、本発明に係る電子部品では、前記複数のパッド部の体積は互いに異なり、前記複数のリード端子のうちの少なくとも2つの前記リード端子は前記第1突出片をそれぞれ備え、体積の小さい前記パッド部を備えた前記リード端子の前記第1突出片の体積は、他の前記リード端子の前記第1突出片の体積よりも大きい構成とされてもよい。
【0018】
このような構成により、本発明に係る電子部品を配線基板に実装する際に体積の小さい前記パッド部が他の前記パッド部よりも過度に加熱されることを防止できる。なお、1本の前記リード端子に対して複数の前記第1突出片が設けられている場合、全ての前記第1突出片の体積の合計を前記1本のリード端子の前記第1突出片の体積とする。
【0019】
本発明に係るリードフレームは、複数のパッド部と、各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子を連結したタイバー部とを備え、前記複数のリード端子は隣接して配され、前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とを備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位に対して前記パッド部側に配され、前記タイバー部は、前記広ピッチ部位を連結したものである。
【0020】
本発明によれば、前記第1突出片の突出形状を残した状態で前記タイバー部をタイバーカットすることにより、前記第1突出片を備えた本発明に係る電子部品を製造することができる。しかも、前記タイバー部で広ピッチ部位を連結したので、タイバーカット時に用いる金型の精度を緩和しても前記リード端子の一部を誤って切断してしまうことがない。
【0021】
また、本発明に係るリードフレームでは、前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となったテーパ形状である第2突出片をさらに備え、前記タイバー部は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたものであってもよい。これにより、前記第2突出片を備えたリード端子に対して前記第1突出片の突出形状を残した状態で前記タイバー部をタイバーカットすることにより、前記第1突出片及び前記第2突出片を備えた本発明に係る電子部品を製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子部品によれば、本発明の電子部品を配線基板に実装する際の熱によって本発明の電子部品の電気的な特性が劣化してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品を配線基板に実装した状態を示した概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子デバイスの概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るリードフレームの一部概略構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパッド部の概略平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例1の一部概略平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例2の一部概略平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例3の一部概略平面図である。
【図9】図8に示すリード端子を備える電子部品を配線基板に実装した状態を示した概略構成図である。
【図10】本発明の一実施形態の他の形態に係るリードフレームの一部概略構成図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例4の一部概略平面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るリード端子の変形例5の一部概略平面図である。
【図13】図12に示すリード端子を備える電子部品を配線基板に実装した状態を示した一部概略構成図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例1の概略平面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例2の概略構成図である。
【図16】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例3の概略平面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例4の概略平面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例5の概略構成図である。
【図19】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例6の概略平面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例7の概略平面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例8の概略平面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例9の概略平面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例10の概略断面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例11の概略平面図である。
【図25】本発明の一実施形態に係るパッド部の変形例12の概略側面図である。
【図26】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例1の概略斜視図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例2の概略斜視図である。
【図28】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例3の概略斜視図である。
【図29】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例4の概略斜視図である。
【図30】本発明の一実施形態に係る樹脂パッケージ部の変形例5の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る電子部品及びリードフレームの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
まず初めに、本発明に係る電子部品の一実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品100を配線基板6に実装した状態を示した概略構成図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品100の概略構成図である。
【0027】
電子部品100はリードタイプの電子部品であり、図1に示すように、電子部品100は、配線基板6に半田(図示省略)を用いて実装される。
【0028】
図1に示す配線基板6には、配線パターン(不図示)と、スルーホール61、スルーホール62及びスルーホール63(スルーホール61〜63)とが形成されている。スルーホール61〜63は、内壁にめっき層(不図示)が設けられ、配線基板6の両主面を貫通する貫通孔である。
【0029】
電子部品100は、図2に示すように、複数のパッド部としての第1パッド部7、第2パッド部8及び第3パッド部9(以下、パッド部7〜9とする)と、パッド部7〜9からそれぞれ同一方向(本実施形態では−Y軸方向)に延設された複数のリード端子としての第1リード端子1、第2リード端子2及び第3リード端子3(以下、リード端子1〜3とする)を備えている。パッド部7〜9それぞれの搭載面(本実施形態では、搭載面をX軸とX軸に直交したY軸とからなるX−Y平面とする)には、電子デバイス4が搭載され、パッド部7〜9と電子デバイス4とが電気的に接続されている。
【0030】
なお、本実施形態では、リード端子1の両端のうち、パッド部7側の一端を基端とし、他端を先端とする。リード端子2の両端のうち、パッド部8側の一端を基端とし、他端を先端とする。リード端子3の両端のうち、パッド部9側の一端を基端とし、他端を先端とする。なお、本実施形態では、リード端子の母材としてCu(銅)や42アロイ(Ni(ニッケル)合金)等が用いられ、前記母材の表面には、Ni等の下地めっきが施された後、さらにAg(銀)めっきやAu(金)めっき等が施されている。
【0031】
また、パッド部7〜9は、電子デバイス4が接合される部位及びその周辺の部位であり(領域D0で示す部位)、パッド部7〜9における幅(X軸方向(+X軸方向及び−X軸方向)における寸法)は、リード端子1〜3の幅(X軸方向(+X軸方向及び−X軸方向)における寸法)W0よりも広い。
【0032】
この電子部品100では、パッド部7〜9及び電子デバイス4が、絶縁性樹脂を用いて形成された樹脂パッケージ部5により樹脂封止されている。ここでは、リード端子1〜3それぞれの基端側の一部分も樹脂パッケージ部5により樹脂封止されている。
【0033】
リード端子1〜3は、+X軸方向に沿って順に隣接して配置されている。リード端子1はパッド部7から−Y軸方向に延設され、リード端子2はパッド部8から−Y軸方向に延設され、リード端子3はパッド部9から−Y軸方向に延設されている。すなわち、これらリード端子1〜3は、パッド部7〜9から同一方向である−Y軸方向へ延設されている。なお、本実施形態では、リード端子1は電源電圧を入力するための(Vdd用の)リード端子であり、リード端子2はGND(接地)用のアース端子であり、リード端子3は出力を取り出すための(Output用の)リード端子である。なお、本実施形態に示すリード端子1〜3とパッド部7〜9との組み合わせ(延設状態)は一例に過ぎず、電子部品100の仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0034】
また、スルーホール61〜63内壁のめっき層とリード端子1〜3とは、図示していないが、半田等を用いてそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
電子デバイス4は、例えば表面実装型の圧電振動デバイスであり、水晶発振器、水晶振動子、水晶フィルタ、または弾性表面波デバイス等からなる。このような表面実装型の電子デバイスを電子デバイス4として用いた場合、表面実装型の電子デバイスをリードタイプの電子部品として汎用することができ、電子部品の製造コストを削減することができる。
【0036】
本実施形態では、電子デバイス4として水晶発振器を用いた場合について説明を行う。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス4の一実施例を示す断面図である。
【0038】
電子デバイス4は、図3に示すように、セラミック多層基板からなる絶縁性のベース34と、段付き凹部341の開口部位を覆う蓋24とから構成された筐体14を備えている。
【0039】
この電子デバイス4では、ベース34と蓋24との当接部位(外周縁部)は、封止用接合材(不図示)によって接合され、この接合により筐体14内部(キャビティ)が気密封止されている。
【0040】
蓋24は、金属等の導電性を有する材料を用いて形成され、GND用のリード端子2に一体形成されたパッド部8に電気的に接続され、ノイズを除去することができる。なお、蓋24は導電性を有する材料に限らずセラミック等の絶縁性を有する材料を用いて形成されていてもよい。また、蓋24とパッド部8とは、図示していないが、筐体14に形成された配線パターンまたはワイヤ等を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0041】
ベース34には、一表面(紙面上側(以下、上側とする)の表面)にキャビティとしての段付き凹部341が設けられている。
【0042】
段付き凹部341内には、2段の段差が設けられている。段付き凹部341の上段部(段付き凹部341の開口部位に最も近い側の段差部)342には、両主面に一対の励振電極(不図示)が形成された水晶振動片54が載置され、水晶振動片54の端部は上段部342の少なくとも一部に支持されている。
【0043】
段付き凹部341の上段部342に複数の電極パッド(不図示)が設けられ、複数の電極パッドに、水晶振動片54の各励振電極が導電性接合材741及び導電性接合材742を用いて接合されている。なお、2つの導電性接合材741,742は、図3に示す断面視同一位置に配置され、紙面手前側(以下、手前側とする)と紙面奥側(以下、奥側とする)とに配されている。なお、導電性接合材741,742として、樹脂性接着剤、金属バンプ、またはめっきバンプ等を用いてもよい。
【0044】
段付き凹部341の底面343には、増幅回路を含む集積回路素子64が載置されている。集積回路素子64は複数の外部電極(不図示)を備えており、集積回路素子64の前記複数の外部電極は、段付き凹部341の下段部(前記上段部342よりも底面343側に設けられた段差部)344に設けられた複数の電極パッド(不図示)に、複数のワイヤ84を介してそれぞれワイヤボンドされている。なお、ワイヤ84を用いたワイヤボンドの代わりに、金属バンプによるフリップチップ接合(Flip Chip Bonding(FCB))を用いてもよい。
【0045】
なお、図3に示す電子デバイス4は、複数の外部電極としての、第1外部電極41、第2外部電極42、第3外部電極43及び第4外部電極44(以下、外部電極41〜44とする)を備えている(図2参照)。これら外部電極41〜44は、ベース34の外側(紙面下側(以下、下側とする))の表面に形成されている。例えば、外部電極41は、集積回路素子64のVdd用の(電源電圧を入力するための)外部電極に電気的に接続され、外部電極42は、集積回路素子64のOE用の(集積回路素子64の出力をコントロールするための)外部電極に電気的に接続され、外部電極43は、水晶振動片54のGND用の励振電極と集積回路素子64のGND用の外部電極とに電気的に接続され、外部電極44は、集積回路素子64のOutput用の(集積回路素子64の出力を取り出すための)外部電極に電気的に接続されている。なお、図3において、外部電極41及び外部電極42は手前側と奥側とで重なりあった状態で図示され、外部電極43及び外部電極44は手前側と奥側とで重なりあった状態で図示されている。
【0046】
上記した段付き凹部341の上段部342に載置された水晶振動片54の前記励振電極の少なくとも一部と、段付き凹部341の下段部343に載置された集積回路素子64の前記外部電極の少なくとも一部とは、電子デバイス4の仕様に応じた電気的接続がされている。
【0047】
図2に示す電子部品100では、パッド部7〜9の搭載面に対して電子デバイス4の外部電極41〜44が対面(対向)した状態で搭載されている。このような状態において、電子部品100では、パッド部7表面に外部電極41及び外部電極42が、パッド部8表面に外部電極43が、パッド部9に外部電極44が、半田(不図示)を用いてそれぞれ固定され接続されている。なお、図1に示す電子部品100では、電源電圧入力時に電子デバイス4を常にオン状態にする目的で、パッド部7表面に外部電極41のみならず外部電極42も接続して外部電極42にも電源電圧を入力している。但し、本発明において、前記パッド部の数、前記リード端子の数、及びパッド部7〜9と外部電極41〜44との間の接続状態は、図2に示すものに限定されず、電子部品100の仕様に応じて適宜変更可能である。また、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続には、前記半田の代わりに、導電性接着剤を用いてもよく、Auバンプを用いたFCBであってもよい。また、電子デバイス4は、パッド部7〜9の搭載面に対して電子デバイス4の外部電極41〜44が背向した状態で搭載されていてもよく、この場合には前記半田の代わりにワイヤを用いた接続を行う。
【0048】
リード端子1〜3は、図2に示すように、隣り合うリード端子間のピッチP1が狭い狭ピッチ部位(図中、領域D1で示す部位)と、隣り合うリード端子間のピッチP2が広い広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)とをそれぞれ備えている。前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりもリード端子1〜3それぞれの基端側(パッド部7〜9側)に配されている。図1に示す電子部品100では、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位とを設けるために、リード端子1及びリード端子3において、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位との間に配された部位(図中、領域D2で示す部位)が、基端側から先端側へ向かうに従ってそれぞれリード端子2から離間する斜行部で構成されている。
【0049】
なお、リード端子1〜3のピッチ(X軸方向におけるリード端子1〜3間の間隙部の寸法)は、パッド部7〜9に搭載される電子デバイス4の仕様(例えば、外形や外部電極等の寸法)や、配線基板6の仕様(例えば、各スルーホール61〜63間の間隔等)に従って、適宜設定される。
【0050】
図2に示す電子部品100では、リード端子2の広ピッチ部位に、2つの第1突出片12,12を備えている。
【0051】
2つの第1突出片12,12のうち、一方の第1突出片12は、リード端子2のリード端子1側の端面に設けられ、この端面からリード端子1に近接する方向(リード端子2の幅方向である−X軸方向)に突出しており、他方の第1突出片12は、リード端子2のリード端子3側の端面に設けられ、この端面からリード端子3に近接する方向(リード端子2の幅方向である+X軸方向)に突出している。
【0052】
各第1突出片12,12の幅(X軸方向(突出方向)における寸法)W1とリード端子2の幅W0との合計寸法(W1+W1+W0)は、図1に示す配線基板6のスルーホール62の直径より大きいため、配線基板6へ電子部品100を実装する際、第1突出片12,12は、スルーホール62に挿入されず、配線基板6の実装面(図1では上側の表面)60に当接する。そのため、第1突出片12,12によって、配線基板6に対する電子部品100の高さ方向(Y軸方向(+Y軸方向及び−Y軸方向))の位置を所望の位置とする位置決めを行うことができる。
【0053】
なお、図2ではリード端子2と第1突出片12,12との境界が二点鎖線で示されているが、実際には、リード端子2と第1突出片12,12とは一体形成されている。また、図2に示す電子部品100ではリード端子2に矩形の第1突出片12,12が2つ設けられているが、第1突出片を設けるリード端子はリード端子2に限定されず、形状も矩形に限定されず、第1突出片の数も2つに限定されない。
【0054】
次に、図2に示す電子部品100を製造する際に用いられるリードフレームについて図面を参照しつつ説明する。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態に係るリードフレーム10の一部概略構成図である。
【0056】
本実施形態では、複数の電子部品100を同時に製造することが可能なリードフレーム10を用いて説明をし、図4にはリードフレーム10のうち電子部品1つ分に相当する領域のみを示す。
【0057】
リードフレーム10は、金属の板材を、例えば、エッチング加工または金型を用いた打ち抜き加工等を用いてパターンニングすることによって形成されたものである。
【0058】
リードフレーム10は、パッド部7〜9と、これらパッド部7〜9から−Y軸方向に延設されたリード端子1〜3と、X軸方向に延びる2本の支持フレーム20,20と、各支持フレーム20,20間に架橋するように渡されたY軸方向に延びる2本の桟フレーム30,30と、両端が2本の桟フレーム30,30にそれぞれ接続されたX軸方向に延びるタイバー部40とを備えている。図4では、2本の支持フレーム20が上側と下側とに示され、2本の桟フレーム30,30が紙面左側(以下、左側とする)と紙面右側(以下、右側とする)に示されている。支持フレーム20,20及びタイバー部40の長さ方向はX軸方向であり、桟フレーム30,30の長さ方向はY軸方向である。桟フレーム30,30それぞれの一端は上側の支持フレーム20に接続され、桟フレーム30それぞれの他端は下側の支持フレーム20に接続されている。
【0059】
リード端子1〜3の各先端は、下側の支持フレーム20に接続され、前記各リード端子の前記広ピッチ部位は、タイバー部40により連結されている。
【0060】
パッド部7,9は、図5に示すように、搭載面70,90(X−Y平面)において電子デバイス4を搭載する位置(搭載位置)を決定するための位置決め部を備えている。図5は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の概略平面図である。なお、図5には二点鎖線を用いて電子デバイス4の搭載位置も示す。
【0061】
前記位置決め部は、図5に示すように、パッド部7に設けられた切り欠き部71と、パッド部9に設けられた切り欠き部91とである。
【0062】
切り欠き部71は、パッド部7の紙面左上隅部(不図示)を切り欠くことにより形成され、パッド部7の紙面上端面(X軸方向の上端面)と紙面左端面(Y軸方向の左端面)との間をつなぐ斜面(X軸方向及びY軸方向に対して予め設定された角度に傾いた面)である。切り欠き部91は、パッド部9の紙面右上隅部(不図示)を切り欠くことにより形成され、パッド部9の紙面上端面(X軸方向の上端面)と紙面右端面(Y軸方向の右端面)との間をつなぐ斜面である。
【0063】
パッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際、まず、撮像装置等を用いてパッド部7〜9の画像データを取得し、演算処理装置等で前記画像データを画像処理することにより、X−Y平面での電子デバイス4の搭載位置を決定するための基準線Lを得る。この基準線Lは、切り欠き部71の予め設定された部位である基準点711(ここでは左側の一端)と切り欠き部91の予め設定された部位である基準点911(ここでは右側の一端)とを通る仮想線である。パッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際、基準点711または基準点911に基づいてX軸方向における搭載位置を決定し、基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。なお、前記X軸方向における搭載位置及び前記Y軸方向における搭載位置のうちのいずれか一方のみを決定して電子デバイス4を搬送してもよい。
【0064】
なお、図5では、基準線Lをより明確に示すために、電子デバイス4を基準線Lから離間させた状態で図示しているが、基準線Lに電子デバイス4の上側端面が重なるように位置決めしてもよく、図示しているように基準線Lと電子デバイス4との間を予め設定された距離分だけ離間させた状態で位置決めしてもよい。
【0065】
前記位置決め部を備えている場合、樹脂パッケージ部5とパッド部7,9との接触面積を増加させることができる。これにより、樹脂パッケージ部5からパッド部7,9を含むリード端子1,3が脱落してしまう(抜け落ちてしまう)ことを防止できる。
【0066】
上記したように、本実施形態にかかる電子部品100によれば、電子デバイス4をパッド部7〜9に搭載する際に搭載位置を高精度に決定することができ、そのため、電子デバイス4とパッド部7〜9との間の電気接続の信頼性を高めることができる。また、前記位置決め部は、パット部7〜9における搭載面(前記X−Y平面)での電子デバイス4の搭載位置を示すものであり、このような位置決め部をパッド部7〜9に備えることにより、電子デバイス4を搭載面の予め設定された位置に精度よく配することができる。
【0067】
次いで、リードフレーム10を用いて電子部品100を製造する手順について説明する。
【0068】
図2に示す電子部品100を形成する際、まず初めに、図4に示すリードフレーム10のパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する(デバイス搭載工程)。前記デバイス搭載工程では、まず、前述した手順によって電子デバイス4のパッド部4〜9における搭載位置を決定した後、パッド部7〜9のうち後に外部電極41〜44が接合される領域に、スクリーン印刷等を行ってクリーム半田を塗布する。このクリーム半田を塗布した後、電子デバイス4を搬送して前記搭載位置に載置し、リフロー半田付け装置等によりクリーム半田を溶融してパッド部7〜9に外部電極41〜44を加熱溶着し、パッド部7〜9に外部電極41〜44を電気的機械的に接続する。前記クリーム半田としては、鉛フリー半田等を含有する鉛フリーのクリーム半田が用いられる。前記鉛フリー半田は、搭載後の再溶融を防止するために融点が高いものがより好ましく、例えば、Sn(錫)及びAgを含むSnAg系の半田(融点は約221度)、Sn及びCuを含むSnCu系の半田(融点は約227度)、Sn、Ag及びCuを含むSnAgCu系の半田(融点は約217度〜約220度)、並びにSn及びアンチモン(Sb)を含むSnSb系の半田(融点は約245度〜約250度)がある。
【0069】
前記デバイス搭載工程を行った後、パッド部7〜9及び電子デバイス4を樹脂封止する樹脂パッケージ部5を形成する(樹脂モールド工程)。ここでは、図2に示すように、リード端子1〜3それぞれの基端側の一部分も樹脂パッケージ部により樹脂封止してもよい。
【0070】
前記樹脂モールド工程を行った後、タイバーカットダイ(抜き型)及びタイバーカットパンチ(抜き刃)を備えたタイバー切断装置等を用いて、タイバー部40を切断する(タイバーカット工程)。本実施形態においては、このタイバーカット工程において、タイバー部40のうち、リード端子1とリード端子2との間を連結する部位とリード端子2とリード端子3との間を連結する部位とを、リード端子2に接続した部位を残すようにタイバーカットすることによって、第1突出片12,12を形成する。具体的には、タイバー部40の、図4中にLcut1で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断する。一般に、タイバー切断装置でタイバー部40を切断する際、切断位置がずれてリード端子1及びリード端子3の一部を誤って切断してしまうことを防止するために、実際には、リード端子1及びリード端子3とタイバー部40との各境界よりも多少タイバー部側の位置(リード端子1及びリード端子3から離れた位置)を切断する。本実施形態においては、タイバー部40はリード端子1〜3の前記広ピッチ部位を連結しているため、リード端子1〜3の前記狭ピッチ部位を連結した場合と比較してリード端子1〜3からさらに離れた位置を切断しても各リード端子1〜3間を確実に分離することができる。これにより、タイバー切断装置の切断位置に係る精度を緩和することができる。
【0071】
前記タイバーカット工程を行った後、支持フレーム20からリード端子1〜3を切断することにより電子部品100を個々に分離し(トリミング工程)、図1に示す電子部品100を得る。
【0072】
なお、樹脂パッケージ部5を形成する際に生じたバリを除去したり、リード端子1〜3の形を整えたりするためのフォーミング工程を、必要に応じて前述した手順に追加してもよい。
【0073】
上記した製造工程により製造した電子部品100を配線基板6に実装する際、まず、リード端子1をスルーホール61に、リード端子2をスルーホール62に、リード端子3をスルーホール63にそれぞれ挿入して、配線基板6に電子部品100を配置する。このように配置した後、配線基板6をディップ槽に投入して半田をディップする。前記半田の具体例としては、鉛フリー半田である、例えば、Sn及びAgを含むSnAg系の半田、Sn及びCuを含むSnCu系の半田、Sn、Ag及びCuを含むSnAgCu系の半田、並びにSn及びアンチモンを含むSnSb系の半田がある。
【0074】
一般的に、これらの鉛フリー半田は鉛を含有する半田と比較して融点が高い。そのため、電子部品100を配線基板6に実装する際にリード端子1〜3に加えた熱がパッド部7〜9にも伝わり、パッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)が過度に加熱されてしまうことにより、電子デバイス4に含まれる素子(例えば集積回路素子64)が熱で破壊され電子部品100が破壊されてしまうことが懸念される。また、パッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)が過度に加熱されてしまうことにより、電子デバイス4とパッド部7〜9(特に体積の小さいパッド部8)との間の半田が再溶融して、電子デバイス4の外部電極41〜44とパッド部7〜9との間の電気接続が低下し電子部品100の電気的特性が劣化してしまうことも懸念される。
【0075】
これに対して、本実施形態にかかる電子部品100は、図1,2に示すように、体積の小さいパッド部8から延設されたリード端子2に第1突出片12,12を備えており、第1突出片12,12に熱の一部を留めることができるため、パッド部8への熱伝導を抑制することができ、パッド部8が過度に熱くなることを防止できる。そのため、電子部品100を配線基板6に実装する際に、集積回路素子64が破壊されてしまうことや、パッド部8と外部電極43との間の半田等が再溶融してしまうことを防止できる。その結果、実装時の熱によって、電子部品100が破壊されてしまったり、電子部品100の電気的な特性が劣化してしまったりすることを防止できる。
【0076】
また、パッド部7〜9と外部電極41〜44との間の半田等の再溶融をより確実に防止するためには、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続に用いる半田の融点が、電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田の融点と同じであるか、または電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田の融点よりも高いことが好ましい。具体的に、電子部品100と配線基板6との接続に用いる半田としてSnAgCu系の半田を用いた場合、パッド部7〜9と外部電極41〜44との接続に用いる半田としては、SnAg系の半田、SnCu系の半田またはSnSb系の半田を用いることが好ましく、最も融点が高いためSnSb系の半田を用いることがより好ましい。
【0077】
なお、上記した第1突出片の大きさ(体積)、配置、及びリード端子1〜3ごとの数は一例であり、パッド部7〜9の大きさ等に従って適宜変更可能である。例えば、パッド部8がパッド部7,9と比較して大きなパッド部であった場合には、リード端子2には前記第1突出片を設けずに、リード端子1,3に前記第1突出片を設けてもよい。
【0078】
また、上記した第1突出片の形状は一例であり、適宜変更可能である。また、リード端子2の第1突出片12,12の突出方向(X軸方向)の寸法(幅の寸法)は、図1,2に示す寸法に限定されるものではなく、任意に設定可能である。具体的に、リード端子1,3に第1突出片を備え、リード端子2の第1突出片12,12の突出方向(X軸方向)の寸法(幅の寸法)をかえた形態を図6に示す。
【0079】
図6は、本発明の一実施形態に係るリード端子1〜3の変形例1の概略構成図である。なお、図6には、リード端子のうち第1突出片とその周辺の部位とのみを示す。
【0080】
図6に示すリード端子1〜3は、図2に示す第1突出片12,12の代わりに、パッド部7〜9それぞれの体積に応じて体積の異なる第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13を備えている。具体的には、リード端子1は第1突出片11,11を、リード端子2は第1突出片12,12を、リード端子3は第1突出片13,13をそれぞれ備えている。
【0081】
また、図2に示すように、パッド部8の体積がパッド部7及びパッド部9それぞれの体積と比較して非常に小さい。そのため、第1突出片12,12それぞれの体積の合計が、第1突出片11,11それぞれの体積の合計や第1突出片13,13それぞれの体積の合計よりも充分に大きくなるように、第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13それぞれの体積が設定されている。
【0082】
第1突出片11,11、第1突出片12,12及び第1突出片13,13は、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0083】
また、上記した図2に示す第1突出片12や図6に示す第1突出片11〜13は、平面視矩形に成形されているが、第1突出片の平面視形状はこれに限定されるものではなく、例えば図7,8に示すように、第1突出片がパッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であってもよい。また、第1突出片11〜13の形状は、パッド部7〜9から離間するに従って幅狭となった台形であってもよい。
【0084】
図7,8は、本発明の一実施形態に係るリード端子1〜3の変形例2,3の概略構成図である。なお、図7,8には、リード端子のうち第1突出片とその周辺の部位とのみを示す。
【0085】
図7に示すリード端子1〜3では、図2に示す矩形の第1突出片12,12の代わりに、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状の第1突出片12,12をリード端子2に備えている。詳しくは、第1突出片12,12は、リード端子2の先端側(以下、リード端子先端側とする)に向かうに従って先細りした形状となっている。この図7に示す第1突出片12,12は、そのリード端子先端側の寸法が小さく、配線基板6のスルーホール62に挿入しやすい形状となっている。
【0086】
2つ設けられた第1突出片12,12それぞれの最大となる幅(最大幅)の寸法(突出方向(X軸方向)の寸法)とリード端子2の幅の寸法との合計は、スルーホール62の直径よりもやや大きい。
【0087】
なお、本実施形態においては、少なくとも第1突出片がリード端子先端側に向かうに従って幅狭となる構成を有する場合、その第1突出片12,12の幅狭となる形状をテーパ形状と称する。また、本実施形態において、第1突出片の幅とはX軸方向における寸法である。
【0088】
第1突出片12,12は、テーパ形状であるため、スルーホール62に圧入することができる。これにより、電子部品100を配線基板6により強く固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0089】
第1突出片12,12は、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0090】
図8に示すリード端子1〜3では、図7に示すリード端子2を用い、さらにリード端子1,3に、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状の第1突出片11、13をそれぞれ備えている。また、リード端子1の第1突出片11は、リード端子1の左側端面(隣り合うリード端子がない側の端面)に設けられている。また、リード端子3の第1突出片13は、リード端子3の右側端面(隣り合うリード端子がない側の端面)に設けられている。これら第1突出片11、13は、リード端子1〜7のリード端子先端側に向かうに従って先細りした形状となっており、リード端子先端側の寸法が小さく、配線基板6のスルーホール61〜63に挿入しやすい形状となっている(図9参照)。
【0091】
また、リード端子1の幅の寸法と第1突出片11の最大幅の寸法との合計は、スルーホール61の直径よりもやや大きい。リード端子3の幅の寸法と第1突出片13の最大幅の寸法との合計は、スルーホール61の直径よりもやや大きい。
【0092】
第1突出片11と第1突出片13は、第1突出片12,12と同様に、タイバーカット工程での切断位置を変更する点以外は図2に示す第1突出片12と同様の手順で、図4に示すリードフレーム10を用いて形成される。
【0093】
なお、図9では、第1突出片11、第1突出片12,12及び第1突出片13の全体がスルーホール61〜63内に完全に挿入されているが、第1突出片11、第1突出片12,12及び第1突出片13の最大幅を変更してその一部分(リード端子先端側の一部分)のみをスルーホール61,63内に挿入してもよい。
【0094】
なお、本実施形態では、図4に示すリードフレーム10を用いているが、これに限定されるものではなく、図10に示すリードフレーム10を用いてもよい。
【0095】
図10に示すリードフレーム10は、図4に示すリードフレーム10に、2つの第2突出片22,22を追加した構成となっている。そのため、ここでは、第2突出片22,22に関する内容を述べ、他の構成についてはその説明を省略する。
【0096】
第2突出片22,22は、リード端子2の前記広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)に設けられ、タイバー部40よりもリード端子先端側に配されている。第2突出片22,22の形状は、パッド部8から離間するに従って幅狭となったテーパ形状である。
【0097】
なお、図10では、リード端子2、タイバー部40及び第2突出片22,22それぞれの境界が二点鎖線で示されているが、実際には、リード端子2、タイバー部40及び第2突出片22,22は一体形成されている。具体的には、第2突出片22,22のうち、リード端子1側(左側)に設けられた第2突出片22は、その上側端面がタイバー部40の下側端面に一体形成され、その右側端面がリード端子2の左側端面に一体形成されている。また、リード端子2側(右側)に設けられた第2突出片22は、その上側端面がタイバー部40の下側端面に一体形成され、その左側端面がリード端子2の右側端面に一体形成されている。なお、図10に示す実施形態では、タイバー部40と第2突出片22,22とが一体形成されているが、これに限定されるものではなく、タイバー部40と第2突出片22,22とは一体形成されていなくてもよい。例えば、第2突出片22,22をタイバー部40からリード端子先端側に離間させてもよい。
【0098】
この図10に示すリードフレームを用いて上記した製造方法によりリード端子2を製造した場合、図11,12に示すリード端子2が成形される。
【0099】
図11に示すリード端子2の変形例4では、図2に示すリード端子2に第2突出片22,22が追加形成されている。
【0100】
図11に示すリード端子1〜3は、製造工程の前記タイバーカット工程において、図10に示すリードフレーム10のタイバー部40の、Lcut2で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断することによって得られる。なお、このタイバーカット工程では、第1突出片12,12の幅が第2突出片22,22の最大幅と同じになるように、Lcut2が設定されている。
【0101】
2つ設けられた第2突出片22,22それぞれの最大幅(リード端子基端側の幅)W3の寸法とリード端子2の幅W0の寸法との合計(W3+W3+W0)は、スルーホール62の直径よりもやや大きい。なお、本実施形態において、第2突出片の幅とはX軸方向における寸法である。
【0102】
図11に示すリード端子1〜3は、リード端子1〜3に加えられた熱の一部を第1突出片12,12及び第2突出片22,22に留めることができる。これによって、パッド部8への熱伝導をより確実に抑制することができる。
【0103】
また、リード端子1〜3をスルーホール61〜63にそれぞれ挿入し、第2突出片22,22をスルーホール62に圧入すると、第2突出片22がスルーホール62の内壁に押し付けられ圧接した状態になる。これにより、配線基板6に対して電子部品100を強固に固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。
【0104】
図12に示すリード端子2の変形例5では、図11に示す第1突出片12,12の幅W3が幅W2(W3<W2)に変更されている。
【0105】
図12に示すリード端子1〜3は、製造工程の前記タイバーカット工程において、図10に示すリードフレーム10のタイバー部40の、Lcut3で示す部位と、図示しないがリード端子1との境界及びリード端子3との境界とを切断することによって得られる。なお、このタイバーカット工程では、第1突出片12,12の幅W2が、第2突出片22,22の最大幅W3よりも充分大きくなり、かつ、第1突出片12,12と第2突出片22,22との境界部分E1には段差が形成されるように、Lcut3が設定されている。
【0106】
図12に示すリード端子1〜3は、リード端子1〜3に加えられた熱の一部を第1突出片12,12及び第2突出片22,22に留めることができる。これによって、パッド部8への熱伝導をより確実に抑制することができる。
【0107】
また、リード端子1〜3をスルーホール61〜63にそれぞれ挿入し、図13に示すように、第2突出片22,22をスルーホール62に圧入すると、第2突出片22,22がスルーホール62の内壁に押し付けられ圧接した状態になる。これにより、配線基板6に対して電子部品100を強く固定することができる。その結果、配線基板6から電子部品100が抜ける(または抜けそうになり浮いてしまう)ことや配線基板6に対して電子部品100が傾いた状態で実装されることを防止できる。また、第1突出片12,12は、スルーホール62に挿入させずに、第1突出片12,12の第2突出片22,22よりも突出した部位を配線基板6の実装面(図13では、上側の表面)60と当接させることができる。これにより、第1突出片12,12によって、配線基板6に対する電子部品100の高さ方向(Y軸方向)の位置決めを行うことができる。
【0108】
なお、本実施形態では、テーパ形状の第1突出片11,12,13及び第2突出片22,22は、それぞれのリード端子基端側の端面がX軸方向に対して平行となっているがこれに限定されず、X軸方向に対するリード端子基端側の端辺の角度が90度より小さくてもよく、また大きくてもよく、適宜変更可能である。
【0109】
また、本実施形態では、前記位置決め部として、パッド部7,9に切り欠き部71、切り欠き部91を設けているが、これに限定されるものではなく、図14〜21に示す形態であってもよい。
【0110】
図14に示す変形例1において、前記位置決め部として、切り欠き部71と切り欠き部91を適用している。
【0111】
切り欠き部71は、パッド部7の左側端部から+X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成され、切り欠き部91は、パッド部9の右側端部から−X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成されている。
【0112】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711と基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0113】
なお、この変形例では、基準点711を切り欠き部71とパッド部7の外周端部との角部とし、基準点911を切り欠き部91とパッド部9の外周端部との角部としたが、基準点711及び基準点911の位置はこれに限定されず、例えば切り欠き部71または切り欠き部91のいずれかの角部であればよい。
【0114】
また、切り欠き部71及び切り欠き部91は、+X軸方向または−X軸方向に沿って矩形に切り欠くことによって形成されているが、これに限定されるものではなく、基準点を設けることができれば他の形状であってもよい。具体的に、パッド部7及びパッド部9の外周方向に対して斜めに切り欠いたものであってもよく、前記外周方向に沿って(平行に)切り欠いたものであってもよい。切り欠き部71及び切り欠き部91の形状は、前述したような矩形(長方形または正方形)であってもよく、三角形であってもよい。さらに、切り欠き部71及び切り欠き部91は、パッド部7及びパッド部9の外周端を構成する複数の辺のうちの1つの辺に設けられていてもよく、複数の辺に設けられていてもよい。
【0115】
図15は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の変形例2を示す説明図であり、図15は図15(a)、図15(b)、図15(c)、図15(d)、図15(e)及び図15(f)からなる。図15(a)及び図15(b)にはパッド部の搭載面を示し、図15(c)、図15(d)、図15(e)及び図15(f)には図15(a)のA−A線断面を示す。また、図15(a)にはパッド部のみを示し、図15(b)には二点鎖線を用いて電子デバイスの搭載位置も示し、図15(c)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凹部である場合の一例を示し、図15(d)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が貫通孔である場合の一例を示し、図15(e)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)がマーキングである場合の一例を示し、図15(f)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凸部である場合の一例を示す。
【0116】
図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用している。
【0117】
位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、パッド部7の搭載面70及びパッド部9の搭載面90において、電子デバイス4が搭載される領域(前記搭載位置)の周辺に設けられている。位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、電子デバイス4が搭載される矩形(長方形または正方形)の領域の少なくとも二つの角部に沿うように(ここでは、三辺で構成される二つの角部に沿うように)形成された平面視L字状のマークである。位置決めマーク171の平面視形状は、L字を時計回りに90度回転させた形状であり、位置決めマーク191の平面視形状は、L字を時計回りに180度回転させた形状である。
【0118】
なお、ここでいう位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、図15(c)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、図15(d)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよく、図15(e)に示すようなパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、図15(f)に示すような、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0119】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711または基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0120】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図15に示す位置に限定されるものではない。位置決めマーク171及び位置決めマーク191が前記凹部または前記貫通孔であった場合、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を前記搭載位置よりもリード端子1〜3側(リード端子1〜3とパッド部7〜9との境界部位側)に形成することや、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を電子デバイス4の外部電極41〜44が接合される部位を囲むように形成することにより、
位置決めマーク171及び位置決めマーク191によって外部電極41〜44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができる。これにより、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0121】
なお、上記した図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用しているが、これは好適な例であり、図16に示すように位置決めマーク171だけであっても前述したような効果が得られる。
【0122】
また、上記した図15に示す変形例2では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用しているが、図17に示すように、さらに位置決めマーク175を備えてもよい。
【0123】
位置決めマーク175は、平面視矩形状であり、パッド部7において、電子デバイス4の隣り合う外部電極である外部電極41と外部電極42とが個々に接続される各部位の間に設けられている。この位置決めマーク175は、パッド部7を貫通しない凹部であっても、パッド部7を貫通する貫通孔であってもよい。
【0124】
図17に示す変形例4によれば、前記位置決め部は、位置決めマーク171及び位置決めマーク191に加えて位置決めマーク175も備えているため、電子デバイス4の搭載位置をより高精度に決定することができる。
【0125】
ところで、一般に、半田は、リフロー装置により溶融されたときに電子デバイスの外部電極とパッド部との隙間に沿って拡がり、塗布された領域の周囲に流れ出してしまう場合がある。この場合、外部電極とパッド部との間の半田の量が不足し、外部電極とパッド部との間の電気的な接続が低下してしまうことが懸念される。
【0126】
これに対して、図17に示す前記位置決め部によれば、位置決めマーク175によって半田の拡がりを防止することができ、電子デバイス4とパッド部7との間の電気的な接続に係る信頼性を維持することができる。
【0127】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図17に示す位置に限定されるものではない。例えば、パッド部7において、位置決めマーク171、175に加えて、図17中に破線で示すように、前記搭載位置よりもリード端子1側(リード端子1とパッド部7との境界部位側)に位置決めマーク176を形成してもよい。ここでは、位置決めマーク176の平面視形状はL字形状である。このような位置に位置決めマーク176を形成することにより、位置決めマーク176によって外部電極42が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができ、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0128】
図18は、本発明の一実施形態に係るパッド部7〜9の変形例5を示す説明図であり、図18は図18(a)、図18(b)、図18(c)、図18(d)、図18(e)及び図18(f)からなる。図18(a)及び図18(b)にはパッド部の搭載面を示し、図18(c)、図18(d)、図18(e)及び図18(f)には図18(a)のB−B線断面を示す。また、図18(a)にはパッド部のみを示し、図18(b)には二点鎖線を用いて電子デバイスの搭載位置も示し、図18(c)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凹部である場合の一例を示し、図18(d)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が貫通孔である場合の一例を示し、図18(e)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)がマーキングである場合の一例を示し、図18(f)にはパッド部に設けられた位置決め部(位置決めマーク)が凸部である場合の一例を示す。
【0129】
図18に示す変形例5では、前記位置決め部として、位置決めマーク171と位置決めマーク191を適用している。
【0130】
位置決めマーク171は、電子デバイス4を搭載する領域(電子デバイス4の外形と一致する領域)の紙面左上隅近傍に設けられ、位置決めマーク191は、電子デバイス4を搭載する領域(電子デバイス4の外形と一致する領域)の紙面右上隅近傍に設けられている。位置決めマーク171及び位置決めマーク191の平面視形状は円形である。
【0131】
なお、ここでいう位置決めマーク171及び位置決めマーク191は、図18(c)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、図18(d)に示すようなパッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよく、図18(e)に示すようなパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、図18(f)に示すような、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0132】
このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711または基準点911とを通る仮想線を用いて基準線Lに基づいてY軸方向における搭載位置を決定する。
【0133】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図18に示す位置に限定されるものではない。位置決めマーク171及び位置決めマーク191が前記凹部または前記貫通孔であった場合、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を前記搭載位置よりもリード端子1〜3側(リード端子1〜3とパッド部7〜9との境界部位側)に形成することや、例えば位置決めマーク171及び位置決めマーク191を電子デバイス4の外部電極41〜44が接合される部位を囲むように形成することにより、
位置決めマーク171及び位置決めマーク191によって外部電極41〜44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができる。これにより、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0134】
上記した図18に示す前記位置決め部では、パッド部8に設けた平面視円形の位置決めマーク171と、パッド部9に設けた平面視円形の位置決めマーク191を用いているが、その数は、1つに限定されるものではなく、図19に示すような複数個であってもよい。
【0135】
図19に示す変形例6では、前記位置決め部として、位置決めマーク171〜173と、位置決めマーク191〜193とを適用している。
【0136】
位置決めマーク171〜173に関して、パッド部7において図18の位置決めマーク171と同様の位置に位置決めマーク171が設けられ、この位置決めマーク171から−Y軸方向上の任意の位置に位置決めマーク172が設けられ、位置決めマーク171から+X軸方向上の任意の位置に位置決めマーク173が設けられる。そして、これら位置決めマーク171,173を通る仮想線と、位置決めマーク171,172を通る仮想線とからL字の仮想線を作成する。
【0137】
同様に、位置決めマーク191〜193に関して、パッド部9において図18の位置決めマーク191と同様の位置に位置決めマーク191が設けられ、この位置決めマーク191から−Y軸方向上の任意の位置に位置決めマーク192が設けられ、位置決めマーク191から−X軸方向上の任意の位置に位置決めマーク193が設けられる。そして、これら位置決めマーク191,192を通る仮想線と、位置決めマーク191,193を通る仮想線とからL字の仮想線を作成する。
【0138】
そして、このような構成の前記位置決め部を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、位置決めマーク171〜173により作成したL字の仮想線と、位置決めマーク191〜193により作成したL字の仮想線とからX軸方向及びY軸方向における電子デバイス4の搭載位置の位置決めを行う。
【0139】
なお、位置決めマーク171及び位置決めマーク191の形成位置は図19に示す位置に限定されるものではない。例えば、パッド部7において、位置決めマーク171〜173に加えて、図19中に破線で示すように、電子デバイス4の外部電極41,42が接合される部位を囲むように位置決めマーク177を複数形成し、パッド部9において、位置決めマーク191〜193に加えて、図19中に破線で示すように、電子デバイス4の外部電極44が接合される部位を囲むように位置決めマーク197を複数形成してもよい。ここでは、位置決めマーク177,197の平面視形状は円形である。このような位置に位置決めマーク177,197を形成することにより、位置決めマーク177,197によって外部電極41,42,44が接合される部位への前記熱伝導をより確実に妨げることができ、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。
【0140】
また、前記位置決め部では、上記した実施形態だけでなく、図20に示すような実施形態であってもよい。
【0141】
図20に示す変形例7では、前記位置決め部として、位置決めマーク172,173と、位置決めマーク192,193とを適用している。
【0142】
位置決めマーク172,173は、パッド部7の搭載面に平面視長方形の矩形に形成されている。位置決めマーク172は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面左上隅にその長手方向がY軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク172は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちX軸方向の位置決めに用いる。また、位置決めマーク173は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面左上隅にその長手方向がX軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク173は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちY軸方向の位置決めに用いる。これら位置決めマーク172,173の長辺に沿った延長線の交点が、基準点711とされている。
【0143】
また、位置決めマーク192,193は、パッド部7の搭載面に平面視長方形の矩形に形成されている。位置決めマーク192は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面右上隅にその長手方向がY軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク192は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちX軸方向の位置決めに用いる。また、位置決めマーク193は、搭載面に搭載する電子デバイス4の搭載領域の外方であって、電子デバイス4の搭載領域の紙面右上隅にその長手方向がX軸方向に沿って形成されている。この位置決めマーク193は、搭載する電子デバイス4の搭載領域のうちY軸方向の位置決めに用いる。これら位置決めマーク192,193の長辺に沿った延長線の交点が、基準点911とされている。
【0144】
位置決めマーク172,173,192,193は、パッド部7やパッド部9を貫通しない凹部であってもよく、パッド部7やパッド部9を貫通する貫通孔であってもよくパッド部7やパッド部9の表面に印刷等により形成されたマーキングであってもよく、リードフレーム10を形成する際に用いられる金型の変更によりパッド部7やパッド部9の表面にプレス成形された凸部であってもよい。
【0145】
これら位置決めマーク172,173,192,193を用いてパッド部7〜9に電子デバイス4を搭載する際には、基準点711,911を通る仮想線Lに基づいて電子デバイス4の搭載位置のY軸方向における搭載位置を決定する。
【0146】
また、本実施形態では、前記位置決め部として、図5,14〜20に示す形態を示しているが、これらの形態はそれぞれ単独で用いてもよいが、図21に示すように組み合わせて用いてもよい。なお、図21は、図5に示す切り欠き部71,91と、図19に示す位置決めマーク171〜173と、位置決めマーク191〜193とを組み合わせた変形例8を示す。
【0147】
上記したように、前記位置決めマークがマーキングであった場合、印刷等により比較的安価で形成することができる。
【0148】
前記位置決めマークが凹部、凸部及び貫通孔のうちのいずれか1つを含む場合、樹脂パッケージ部5とパッド部7〜9との接触面積を増加させることができる。これにより、樹脂パッケージ部5から、パッド部7〜9を含むリード端子1〜3が脱落してしまう(抜け落ちてしまう)ことを防止できる。また、前記位置決めマークによって前記熱伝導をより確実に妨げることができるため、前記半田が搭載後に再溶融することをより確実に防止できる。特に、前記位置決めマークが凹部または凸部であった場合、パッド部7〜9の強度を保つことができ、前記位置決めマークが貫通孔であった場合、画像処理時に前記位置決めマークをより確実に検出することができる。
【0149】
なお、本実施形態では、例えば図5に示すパッド部7〜9を用いているが、パッド部7〜9の形状は、これに限定されるものではなく、電子デバイス4を搭載可能であれば任意に設定可能であり、図22に示すパッド部7〜9の変形例9であってもよい。
【0150】
図22に示す変形例9では、左側から順に、パッド部9、パッド部7、パッド部8を配している。このパッド部7〜9の配置は、搭載する電子デバイス4の外部電極41〜44の位置に関係している。なお、この図22に示すパッド部7〜9では、パッド部8,9の体積が同一であり、パッド部7の体積がパッド部8,9の体積より小さい。
【0151】
また、このパッド部7〜9では、図2に示す形態の前記位置決め部(切り欠き部71,91)に代わる前記位置決め部(切り欠き部91,81)が、パッド部8,9に形成されている。
【0152】
また、パッド部7〜9の変形例は、上記した形態に限定されるものではなく、下記する図23〜図25に示す変形例10〜12であってもよい。
【0153】
変形例10について、図23に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例10では、パッド部7の外周縁に、搭載面70に対して垂直な方向に突出する突起部75が備えられている。なお、図23ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が備えられている。
【0154】
このように、パッド部7に突起部75が備えられることにより、突起部75が堤部の役割を果たし、半田等がパッド部7の搭載面からはみ出してしまう(オーバフローしてしまう)ことを防止することもできる。
【0155】
なお、パッド部7(リードフレーム10)が、金属の板材を、金型を用いた打ち抜き加工等を用いてパターンニングすることによって形成されたものである場合、前記突起部75は、打ち抜き加工時にパッド部7(リードフレーム10)を金型から取り出す際に形成された打ち抜きバリであってもよい。
【0156】
この場合には、金属の板材に打ち抜き加工を施してリードフレーム10を形成する際に、突起部も同時に形成することができ、より安価で簡単に突起部75を形成することができる。
【0157】
また、パッド部7を作業台に載置した状態で電子デバイス4をパッド部7に搭載する際には、前記打ち抜きバリが前記作業台に接触してパッド部7の搭載面70が前記作業台に対して傾いた状態になることが懸念される。
【0158】
しかしながら、本実施形態によれば、前記打ち抜きバリを突起部75とするので、パッド部7の平坦な面(突起部75が形成されておらず平坦な面)が前記作業台に接触し、パッド部7の搭載面70が前記作業台に対して傾いた状態になることを防止できる。これにより、搭載後の電子デバイス4とパッド部7との間の電気的機械的な接続の安定度を向上させることができ、接続不良が発生することを防止できる。これにより、電子デバイス4とパッド部7との間の電気的な接続に係る信頼性を向上することができる。なお、電子デバイス4の外部電極41〜44とパッド部7〜9との間は、ワイヤボンドまたはFCBによって電気的に接続されていることが好ましい。
【0159】
変形例11について、図24に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例11にかかるパッド部7では、リード端子1との境界部位に隣接する端面(下側端面)76がジグザグ状に成型されている。なお、図24ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が形成されている。本実施形態において、ジグザグ状とは、端面に凹凸形状が形成され、凸部の突起及び凹部の窪みが鋭角を成している形状(楔形状)を示す。
【0160】
このように端面をジグザグ状に成型することによって、パッド部7と樹脂パッケージ部5との間の接触面積を増加させることができるため、樹脂パッケージ部5からパッド部7ごとリード端子1が脱落してしまうことを防止できる。
【0161】
なお、ジグザグ状に成型する部位(端面)は図24に示す部位(端面76)に限定されるものではなく、パッド部7〜9の全ての端面の少なくとも一部分がジグザグ状に成型されてもよい。例えば、パッド部7の左側端面や右側端面をジグザグ状に成型してもよく、この場合には、ジグザグ状に成型された部位が樹脂パッケージ部5内部に引掛かるため、リード端子1が脱落してしまうことをより確実に防止できる。
【0162】
また、前記端面をジグザグ状に成型するために、凹部内面にジグザグ形状が予め設けられている金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成してもよい。また、金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成し、金型からリード端子1(リードフレーム10)を取り出した後で、エッチング、打ち抜き加工または切削加工によって前記端面をジグザグ状に成型してもよい。
【0163】
変形例12について、図25に示すようにパッド部7を例にして説明する。この変形例12にかかるパッド部7では、電子デバイス4の搭載面70の外周縁(特に、リード端子1と隣接する部位)に、搭載面70(X−Y平面)に対して垂直な方向に突出する堤部77が備えられている。なお、図25ではパッド部7を例にして説明しているが、パッド部8,9にも同様の構成が形成されている。
【0164】
このようにパッド部7に堤部77が備えられていることによって、パッド部7と樹脂パッケージ部5との間の接触面積を増加させることができるとともに、堤部77が樹脂パッケージ部5内部に引掛かるため、樹脂パッケージ部5からパッド部7ごとリード端子1が脱落してしまうことを防止できる。
【0165】
なお、堤部77を形成する部位は、図25に示す部位が好適であるが、これに限定されるものではなく、パッド部7の全ての端部の少なくとも一部分に堤部が形成されていても、同様の効果を有する。
【0166】
また、堤部77は、金型を用いてリード端子1(リードフレーム10)を形成する際に、リード端子1の端部から後に堤部77となる部材を予め延設しておき、リード端子1(リードフレーム10)を金型から取り出した後に、前記端部と延設されている部材との境界部位に折り曲げ加工を施すことによって形成してもよい。
【0167】
なお、上記した本実施形態では、樹脂パッケージ部5の形状を直方体としているが、これに限定されるものではなく、パッド部7〜9と電子デバイス4とを樹脂封止できれば、他の形態であってもよい。具体的に、図26〜30に示すような樹脂パッケージ部の変形例1〜5であってもよい。図26〜30は、樹脂パッケージ部5の変形例1〜5を示す概略斜視図である。
【0168】
図26に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面半円形の柱形状である。ここでいう前記断面半円形の柱形状とは、円柱形を高さ方向に沿って切断した形状である。
【0169】
図27に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面略半円形の柱形状である。ここでいう前記断面略半円形の柱形状とは、断面の外周が円形と直線とからなる柱形状である。
【0170】
図28に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、断面半円形の先細りの柱形状である。ここでいう前記断面半円形の先細りの柱形状とは、円錐台形を高さ方向に沿って切断した形状である。
【0171】
図29に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、半球形状である。ここでいう前記半球形状とは、球形状の一部分を切断して除去した凸レンズ形状である。
【0172】
図30に示す電子部品100の樹脂パッケージ部5の形状は、略半球形状である。ここでいう前記略半球形状とは、筐体が半球形状のものと直方体形状のものが平面で一体形成されたものである。
【0173】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0174】
10 リードフレーム
1 第1リード端子
11 第1突出片
2 第2リード端子
12 第1突出片
22 第2突出片
3 第3リード端子
13 第1突出片
4 電子デバイス
41 第1外部電極
42 第2外部電極
43 第3外部電極
44 第4外部電極
5 樹脂パッケージ部
6 配線基板
7 第1パッド部
71 切り欠き部
171,172,173,175 位置決めマーク
8 第2パッド部
9 第3パッド部
91 切り欠き部
191,192,193 位置決めマーク
100 電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子とを備えたリードタイプの電子部品であって、
前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とをそれぞれ備え、
前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりも前記複数のパッド部側に配され、
前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片を備えたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項2】
請求項1記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出片は、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であることを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項3】
請求項1記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出部を備えた前記リード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項4】
請求項3記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出片は、前記第2突出片よりも突出したことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品であって、
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子の前記広ピッチ部位を連結したタイバー部とを備えたリードフレームを用いて、前記パッド部と前記リード端子とが形成され、
前記第1突出片は、前記タイバー部をカットして複数のリード端子を個別に分けるタイバーカット時に前記タイバー部の一部分を残すことによって形成されたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品であって、
前記複数のパッド部の体積は互いに異なり、前記複数のリード端子のうちの少なくとも2つの前記リード端子は前記第1突出片をそれぞれ備え、体積の小さい前記パッド部を備えた前記リード端子の前記第1突出片の体積は、他の前記リード端子の前記第1突出片の体積よりも大きいことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項7】
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延長された複数のリード端子と、前記複数のリード端子を連結したタイバー部とを備えたリードフレームであって、
前記複数のリード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とを備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位に対して前記パッド部側に配され、
前記タイバー部は、前記広ピッチ部位を連結したことを特徴とするリードフレーム。
【請求項8】
請求項7記載のリードフレームであって、
前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、
前記タイバー部は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたことを特徴とするリードフレーム。
【請求項1】
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子とを備えたリードタイプの電子部品であって、
前記各リード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とをそれぞれ備え、
前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりも前記複数のパッド部側に配され、
前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に第1突出片を備えたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項2】
請求項1記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出片は、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状であることを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項3】
請求項1記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出部を備えた前記リード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、前記第1突出片は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項4】
請求項3記載のリードタイプの電子部品であって、
前記第1突出片は、前記第2突出片よりも突出したことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品であって、
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延設された複数のリード端子と、前記複数のリード端子の前記広ピッチ部位を連結したタイバー部とを備えたリードフレームを用いて、前記パッド部と前記リード端子とが形成され、
前記第1突出片は、前記タイバー部をカットして複数のリード端子を個別に分けるタイバーカット時に前記タイバー部の一部分を残すことによって形成されたことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか一つの請求項記載のリードタイプの電子部品であって、
前記複数のパッド部の体積は互いに異なり、前記複数のリード端子のうちの少なくとも2つの前記リード端子は前記第1突出片をそれぞれ備え、体積の小さい前記パッド部を備えた前記リード端子の前記第1突出片の体積は、他の前記リード端子の前記第1突出片の体積よりも大きいことを特徴とするリードタイプの電子部品。
【請求項7】
隣接して配された複数のパッド部と、前記各パッド部からそれぞれ同一方向に延長された複数のリード端子と、前記複数のリード端子を連結したタイバー部とを備えたリードフレームであって、
前記複数のリード端子は、隣り合う前記リード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位と、隣り合う前記リード端子間のピッチが広い広ピッチ部位とを備え、前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位に対して前記パッド部側に配され、
前記タイバー部は、前記広ピッチ部位を連結したことを特徴とするリードフレーム。
【請求項8】
請求項7記載のリードフレームであって、
前記複数のリード端子のうちの少なくとも1つのリード端子は、前記広ピッチ部位に、前記パッド部から離間するに従って幅狭となるテーパ形状の第2突出片を備え、
前記タイバー部は、前記第2突出片よりも前記パッド部側に配されたことを特徴とするリードフレーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−29402(P2011−29402A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173531(P2009−173531)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]