説明

ルツォーミアロンギパルピスポリペプチドおよび使用方法

【課題】ルツォーミアロンギパルピス(Lutzomyialongipalpis;Lu.longipalpis)砂バエ(sandfly)唾液腺から実質的に精製されたタンパク質、またはこれらのタンパク質を発現する組換えベクター、およびこれらのタンパク質に対して起こる免疫応答を誘導するポリペプチド及びその使用方法を提供する。
【解決手段】実質的に精製された唾液Lu.ロンギパルピスポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。Lu.ロンギパルピスポリペプチドを含むベクターおよび宿主細胞。該ペプチドを利用した砂バエ唾液に対する免疫応答誘導方法、および、リーシュマニア症を治療、診断、または予防する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照として本明細書に組み入れられる、2002年10月29日に出願されたU.S.仮特許出願第60/422,303号の利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、ルツォーミアロンギパルピス(Lutzomyia longipalpis; Lu. longipalpis)砂バエ(sandfly)唾液腺から実質的に精製されたタンパク質、またはこれらのタンパク質を発現する組換えベクター、およびこれらのタンパク質に対して起こる免疫応答に関する。本開示はまた、リーシュマニアの生存に影響を及ぼす免疫応答の産生に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
リーシュマニア症はリーシュマニア属の原虫によって起こる疾患の一群であり、世界中で何百万人という人々がこれに冒されている。ヒトでは、寄生虫による感染は、主にL.メジャー(L. major)、熱帯リーシュマニア(L. tropica)、およびメキシコリーシュマニア(L. mexicana)によって起こる皮膚疾患として; 主にブラジルリーシュマニア(L. brasiliensis)によって起こる皮膚粘膜疾患として;またはドノバンリーシュマニア(L. donovani)およびシャーガスリーシュマニア(L. chagasi)によって起こる内臓疾患として現れる。イヌ科の動物では、リーシュマニア感染は内臓疾患として現れ、この疾患は高い死亡率を招き得る。
【0004】
すべてのリーシュマニア症は砂バエを介してその脊椎動物宿主に伝染するが、砂バエは感染宿主を摂食することにより病原体を獲得し、次の吸血部位で病原体を逆流させることによってこれを感染させる(Killick-Kendrick, Biology of Leishmania in phlebotomine sand flies. Bioglogy of the kinetoplastida中. W. Lumsden and D. Evans, editors. Academic Press, New York. 395, 1979(非特許文献1))。
【0005】
吸血中、砂バエは宿主の皮膚内に唾液を分泌する。この唾液は、抗凝固化合物、抗血小板化合物、および血管拡張性化合物を含み、これらにより砂バエが摂食する出血プールが増加する(Ribeiro et al., Comp. Biochem. Physiol. 4:683, 1986(非特許文献2);Charlab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 26:15155, 1999(非特許文献3))。これらの成分のうちのいくつかは、さらに免疫調節性である。例えば、新世界砂バエルツォミヤロンギパルピス(Lutzomyia longipalpis)は、6.5 kDaペプチドのマキサディラン(maxadilan)を含むが、これは既知の最も強力な血管拡張剤である(Lerner et al., J. Biol. Chem. 17:11234, 1991(非特許文献4))。マキサディランは、プロスタグランジンE2(Makoul et al., J. Immunol. 134:2645, 1985(非特許文献5);Santoli and Zurier, J. Immunol. 143:1303, 1989(非特許文献6);Stockman and Mumford, Exp. Hematol. 2:65, 1974(非特許文献7))およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(Nong et al., J. Immunol. 1:45, 1989(非特許文献8))等の多くの持続性血管拡張剤と同様に、さらにそれ自体で免疫抑制活性を有する(Qureshi et al., Am. J. Trop. Med. Hyg. 6:665, 1996(非特許文献9))。旧世界砂バエはマキサディランを有さないが、代わりに血管拡張剤としてAMPおよびアデノシンを使用する(Ribeiro et al., J. Exp. Biol. 11:1551, 1999(非特許文献10))。アデノシンもまた免疫調節性成分であり、マウスにおいてIL-10の産生を促進し、TNF-αおよびIL-12を抑制する(Hasko et al., J. Immunol. 10:4634, 1996(非特許文献11);Webster, Asian Pac. J. Allergy Immunol. 2:311, 1984(非特許文献12);Hasko et al., FASEB J. 14:2065, 2000(非特許文献13))。砂バエの唾液の役割および疾患の伝染について周知である事実にもかかわらず、多くは未知のままであり、有効なワクチンは存在しない。したがって、リーシュマニア症を引き起こす生物に対して免疫応答を誘導するために使用し得る薬剤の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Killick-Kendrick, Biology of Leishmania in phlebotomine sand flies. Bioglogy of the kinetoplastida中. W. Lumsden and D. Evans, editors. Academic Press, New York. 395, 1979
【非特許文献2】Ribeiro et al., Comp. Biochem. Physiol. 4:683, 1986
【非特許文献3】Charlab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 26:15155, 1999
【非特許文献4】Lerner et al., J. Biol. Chem. 17:11234, 1991
【非特許文献5】Makoul et al., J. Immunol. 134:2645, 1985
【非特許文献6】Santoli and Zurier, J. Immunol. 143:1303, 1989
【非特許文献7】Stockman and Mumford, Exp. Hematol. 2:65, 1974
【非特許文献8】Nong et al., J. Immunol. 1:45, 1989
【非特許文献9】Qureshi et al., Am. J. Trop. Med. Hyg. 6:665, 1996
【非特許文献10】Ribeiro et al., J. Exp. Biol. 11:1551, 1999
【非特許文献11】Hasko et al., J. Immunol. 10:4634, 1996
【非特許文献12】Webster, Asian Pac. J. Allergy Immunol. 2:311, 1984
【非特許文献13】Hasko et al., FASEB J. 14:2065, 2000
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ルツォーミアロンギパルピス(Lu. longipalpis)の砂バエベクター由来の唾液タンパク質およびこれらのタンパク質をコードする核酸に関する。また、被検体において免疫応答を生じさせる方法も開示される。
【0008】
実質的に精製された唾液のLu.ロンギパルピスポリペプチドが本明細書に開示される。また、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが開示される。
【0009】
本明細書に開示された、実質的に精製された唾液のLu.ロンギパルピスポリペプチド、または本明細書に開示されたLu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの治療上有効な量を使用して免疫応答を誘導するための方法が開示される。
【0010】
もう一つの態様において、被検体のリーシュマニア感染症の症状を阻害する、またはリーシュマニア感染症を予防するための方法が本明細書に開示される。本方法は、被検体に対してLu.ロンギパルピスポリペプチド、またはLu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの治療上有効な量を投与することを含む。2つの非限定的な実施例において、複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドを投与することができる、または少なくとも1つのLu.ロンギパルピスポリペプチドをP.アリアシ(P. ariasi)またはユウガイサシチョウバエ(P. perniciosus)ポリペプチドと組み合わせる。
【0011】
また、被検体のリーシュマニア感染症を診断する方法も本明細書に開示される。本方法は、少なくとも3、6、もしくは10個のLu.ロンギパルピスポリペプチド、またはその免疫原性の断片を含む固形基体に接触させる段階、被検体から得られる試料と固形基体を接触させる段階、および固形基体上の少なくとも1つのポリペプチドに対する試料の成分の結合を検出する段階を含む。基体に対する成分の結合の検出は、被検体がリーシュマニアに感染することを示す。
【0012】
薬学的に許容される担体およびLu.ロンギパルピスポリペプチドを含む薬学的組成物が開示される。
【0013】
前述のおよび他の特徴並びに効果は、以下のいくつかの態様の詳細な説明からさらに明らかになり、添付の図を参照しながら進める。
【0014】
配列リスト
添付の配列リストに記載した核酸およびアミノ酸配列は、37 C.F.R. 1.822に定義された通りに、ヌクレオチド塩基に関しては標準的な文字略語を用いて、アミノ酸に関しては3文字コードを用いて示す。各核酸配列の一方の鎖のみを示すが、示した鎖を参照することにより相補鎖も含まれることが理解される。添付配列リストにおいて:
SEQ ID NO: 1は、LJL34のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 2は、LJL34の核酸配列である。
SEQ ID NO: 3は、LJL18のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 4は、LJL18の核酸配列である。
SEQ ID NO: 5は、LJS193のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 6は、LJS193の核酸配列である。
SEQ ID NO: 7は、LJS201のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 8は、LJS201の核酸配列である。
SEQ ID NO: 9は、LJL13のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 10は、LJL13の核酸配列である。
SEQ ID NO: 11は、LJL23のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 12は、LJL23の核酸配列である。
SEQ ID NO: 13は、LJM10のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 14は、LJM10の核酸配列である。
SEQ ID NO: 15は、LJL143のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 16は、LJL143の核酸配列である。
SEQ ID NO: 17は、LJS142のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 18は、LJS142の核酸配列である。
SEQ ID NO: 19は、LJL17のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 20は、LJL17の核酸配列である。
SEQ ID NO: 21は、LJM06のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 22は、LJM06の核酸配列である。
SEQ ID NO: 23は、LJM17のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 24は、LJM17の核酸配列である。
SEQ ID NO: 25は、LJL04のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 26は、LJL04の核酸配列である。
SEQ ID NO: 27は、LJM114のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 28は、LJM114の核酸配列である。
SEQ ID NO: 29は、LJM111のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 30は、LJM111の核酸配列である。
SEQ ID NO: 31は、LJM78のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 32は、LJM78の核酸配列である。
SEQ ID NO: 33は、LJS238のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 34は、LJS238の核酸配列である。
SEQ ID NO: 35は、LJS169のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 36は、LJS169の核酸配列である。
SEQ ID NO: 37は、LJL11のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 38は、LJL11の核酸配列である。
SEQ ID NO: 39は、LJL08のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 40は、LJL08の核酸配列である。
SEQ ID NO: 41は、LJS105のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 42は、LJS105の核酸配列である。
SEQ ID NO: 43は、LJL09のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 44は、LJL09の核酸配列である。
SEQ ID NO: 45は、LJL38のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 46は、LJL38の核酸配列である。
SEQ ID NO: 47は、LJM04のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 48は、LJM04の核酸配列である。
SEQ ID NO: 49は、LJM26のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 50は、LJM26の核酸配列である。
SEQ ID NO: 51は、LJS03のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 52は、LJS03の核酸配列である。
SEQ ID NO: 53は、LJS192のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 54は、LJS192の核酸配列である。
SEQ ID NO: 55は、LJM19のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 56は、LJM19の核酸配列である。
SEQ ID NO: 57は、LJL138のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 58は、LJL138の核酸配列である。
SEQ ID NO: 59は、LJL15のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 60は、LJL15の核酸配列である。
SEQ ID NO: 61は、LJL91のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 62は、LJL91の核酸配列である。
SEQ ID NO: 63は、LJM11のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 64は、LJM11の核酸配列である。
SEQ ID NO: 65は、LJS138のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 66は、LJS138の核酸配列である。
SEQ ID NO: 67は、LJL124のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 68は、LJL124の核酸配列である。
SEQ ID NO: 69は、LJL35のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 70は、LJL35の核酸配列である。
SEQ ID NO: 71は、オリゴヌクレオチドプライマーである。
SEQ ID NO: 72は、オリゴヌクレオチドプライマーである。
SEQ ID NO: 73は、オリゴヌクレオチドプライマーである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】個体の血清中のルツォーミアロンギパルピス(Lu. longipalpis)の唾液に対する抗体のレベルを示す一連の棒グラフである。ヒト血清は、0時間(陰性の抗リーシュマニア血清(S-)または陰性のDTH(DTH-))および6ヶ月後(陽性の抗リーシュマニア血清(S+)または陽性の抗リーシュマニアDTH(DTH+))で得た。ELISAは、砂バエLu.ロンギパルピスの唾液腺超音波処理物を使用してこれらの血清で行った。図1Aは、S- → S+に変換した個体およびDTH- からDTH+ に変換した個体の抗唾液IgGレベルの棒グラフである。図1Bは、図1Aに記載されている個体の抗唾液IgEレベルの棒グラフである。図1Cは、図1Aに記載されている個体の抗唾液IgG1レベルの棒グラフである。図1Dは、図1Aに記載されている個体の抗唾液IgG4レベルの棒グラフである。0時間および6ヶ月後の抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体のレベルを比較するために、母数によらない対ウィルコクソン試験を使用した。P値<0.05が有意水準として確立された。
【図2】唾液のタンパク質がウエスタンブロット解析によって認識されたことを示す2つのデジタル・イメージおよび一連の棒グラフである。図2Aおよび2Bは、リーシュマニアに対するS- → S+ に(レーン1〜6)またはリーシュマニアに対するDTH- → DTH+ に(レーン7〜14)変換した個体のヒト血清と反応したLu.ロンギパルピスの唾液タンパク質のウエスタンブロットのデジタル・イメージである。記号:-,0時間;+, 6ヶ月。図2Cは、リーシュマニアに対してDTH- → DTH+ に変換した13の個体の血清によって認識される唾液タンパク質の頻度の棒グラフである。x軸は、ウエスタンブロット解析によって認識された種々のヒゲナガサシチョウバエの唾液タンパク質(おおよその分子量で標識した)を示すが、y軸は、特定の唾液のタンパク質を認識するヒト血清の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
I. 略語
AAV アデノ随伴ウイルス
AcNPV オートグラファカリフォルニア(Autographa California)核多角体病ウイルス
alum リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム
BCG カルメット・ゲラン桿菌
BLAST 基礎的局所的アラインメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)
BSA ウシ血清アルブミン
CAV イヌアデノウイルス
CDR 相補性決定領域
CHV イヌヘルペスウイルス
CMV サイトメガロウイルス
CTL 細胞障害性Tリンパ球
DMRIE N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシロキシ)-1-プロパンアンモニウム
DOPE ジオレオイル-ホスファチジル-エタノールアミン
DTH 遅延型過敏
fMLP N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアミン
GM-CSF 顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子
H 重鎖
HLB 親水性-親油性バランス
ID 皮内
IM 筋肉内
ISS 免疫促進配列
KLH キーホールリンペットヘモシアニン
L 軽鎖
LB ルリアブロス(Luria broth)
Lu.ロンギパルピス ルツォーミアロンギパルピス
MVA 改変ワクシニアウイルス・アンカラ(Ankara)
OFR オープンリーディングフレーム
P.アリアシ フレボトーマスアリアシ
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
ポリA ポリアデニル化シグナル
P. パパタシ フレボトーマスパパタシ(Phlebotomus papatasi)
PVDF 二フッ化ポリビニリデン
SC 皮下
SCA 一本鎖抗体
sFv 一本鎖抗原結合タンパク質
SGH 唾液腺ホモジネート
SPGA ショ糖リン酸グルタミン酸アルブミン
tPA 組織プラスミノーゲンアクチベーター
VH 重鎖可変領域
VL 軽鎖可変領域
VL 内臓リーシュマニア症
【0017】
II. 用語
特記しない限り、専門用語は慣例的用法に従って用いる。分子生物学における一般用語の定義は、Oxford University Pressによって出版されたBenjamin Lewin, Genes V., 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Blackwell Science Ltd.,によって出版されたKendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびVCH Publishers, Inc.によって出版されたRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出し得る。
【0018】
本開示の様々な態様の概説を容易にするため、以下の特定用語の説明を提供する。
【0019】
核酸分子(例えば、DNAまたはRNA分子)の増幅:試料中の核酸分子のコピー数を増加させる技法。増幅の一例はポリメラーゼ連鎖反応法であり、この方法では、対象から採取した生物試料を、プライマーが試料中の核酸鋳型とハイブリダイズし得る条件下において、一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させる。適切な条件下においてプライマーは伸長し、鋳型から解離され、次いで再度アニーリングし、伸長し、解離され、核酸の多くのコピーが増幅される。増幅産物は、標準的な技法を用いて、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションもしくは連結、および/または核酸配列決定によって特徴づけられ得る。増幅の他の例には、U.S. Patent No. 5,744,311に開示されているような鎖置換増幅法;U.S. Patent No. 6,033,881に開示されているような転写なしの等温増幅法;WO 90/01069に開示されているような修復連鎖反応増幅法;EP 0320308に開示されているようなリガーゼ連鎖反応増幅法;5,427,930に開示されているようなギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅法;およびU.S. Patent No. 6,025,134に開示されているようなNASBA(商標) RNA転写なし増幅法が含まれる。
【0020】
抗体:免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分、すなわ抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子。
【0021】
天然抗体(例えば、IgG、IgM、IgD)は、4つのポリペプチド鎖、ジスルフィド結合により相互に結合した2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。しかし、抗体の抗原結合機能は、天然抗体の断片によっても遂行され得ることが示されている。したがって、これらの抗原結合断片もまた、「抗体」という用語によって呼称されることを意図する。抗体という用語の範囲内に包含される結合断片の具体的な限定されない例には、(i) VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片;(ii) VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iii) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv) VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989);(v) 単離された相補性決定領域(CDR);および(vi) ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結した2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片が含まれる。
【0022】
免疫グロブリンおよびその特定の変種は周知であり、多くは組換え細胞培養において調製されている(例えば、U.S. Patent No. 4,745,055;U.S. Patent No. 4,444,487;WO 88/03565;EP 0256654;EP 0120694;EP 0125023;Faoulkner et al., Nature 298:286, 1982;Morrison, J. Immunol. 123:793, 1979;Morrison et al., Ann. Rev. Immunol 2:239, 1984を参照のこと)。
【0023】
動物:例えば、哺乳動物および鳥類を含むカテゴリーである、生きている多細胞脊椎動物。哺乳動物という用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物が含まれる。同様に、「対象」という用語には、ヒトおよびイヌ等の家畜対象が含まれる。
【0024】
保存的変種(conservative variant):保存的アミノ酸置換とは、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの活性または抗原性に実質的に影響しないまたはそれらを減少させない置換である。保存的置換の具体的な限定されない例には、以下の例が含まれる:

【0025】
保存的変化という用語には、未置換ポリペプチドに対して産生された抗体が置換ポリペプチドとも本質的に免疫反応する、または未置換ポリペプチドに対する免疫応答と類似した免疫応答が、置換ポリペプチドに対しても起こり得るという条件での、未置換の親アミノ酸の代わりの置換アミノ酸の使用もまた含まれる。したがって、1つの態様において、非保存的置換とは活性または抗原を減少させる置換である。
【0026】
cDNA(相補DNA):内部の非コード部分(イントロン)および発現調節配列を欠くDNA断片。実験室において、cDNAは、細胞から抽出されたメッセンジャーRNAから逆転写により合成される。
【0027】
縮重変種(degenerate variant):遺伝暗号の結果として縮重した配列を含む、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。20種の天然アミノ酸が存在するが、そのほとんどは1つより多いコドンによって指定されている。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるLu.ロンギパルピスポリペプチドのアミノ酸配列が変化しない限り、すべての縮重ヌクレオチド配列が本開示に含まれる。
【0028】
遅延型過敏症(DTH):T細胞依存的なマクロファージの活性化および炎症が組織傷害を引き起こす免疫反応。抗原の皮下注射に対するDTH反応は、細胞性免疫のアッセイ法として使用されることが多い。
【0029】
エピトープ:抗原決定基。これは、抗原性である、すなわち特異的免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体は、ポリペプチド上の特定の抗原性エピトープに特異的に結合する。エピトープの具体的な限定されない例には、ポリペプチド内のテトラ〜ペンタペプチドの配列、多糖内のトリ〜ペンタグリコシドの配列が含まれる。動物では、ほとんどの抗原は、数個ないしは多くの抗原決定基を同時に示すことになる。そのようなポリペプチドはまた免疫原性ポリペプチドとして認められ得り、さらに説明するようにエピトープが同定され得る。
【0030】
発現調節配列:それが機能的に結合した異種性核酸配列等の核酸の発現を調節および制御する核酸配列。発現調節配列が核酸配列の転写、および必要に応じて翻訳を調節および制御する場合、発現調節配列は核酸配列に機能的に結合している。したがって、発現調節配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリAシグナル、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の前にある開始コドン(すなわちATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にするための遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、および終止コドンが含まれ得る。「調節配列」という用語には、その存在が発現に影響し得る最小限の成分が含まれることが意図され、この用語には、例えばリーダー配列および融合パートナー配列等の、その存在が有利であるさらなる成分もまた含まれ得る。発現調節配列には、プロモーターが含まれ得る。
【0031】
プロモーターは、核酸の転写を誘導するために十分な最小限の配列である。プロモーターは、細胞型特異的または組織特異的であってもよい。プロモーターは、転写開始部位の近くで、ポリメラーゼII型プロモーターの場合には、TATAエレメントなどの必要な核酸配列を含む。また、プロモーターは、任意で転写開始部位から数千塩基対程度に位置することができる遠位のエンハンサーまたはリプレッサー・エレメントを含む。構成的および誘導性のプロモーターの両者が含まれる(たとえば、Bitter et al., Methods in Enzymology 153:516-544, 1987を参照されたい)。
【0032】
例えば、細菌システムのクローニングのときは、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lac-ハイブリッド・プロモーター)などの誘導性プロモーターを使用してもよい。一つの態様において、哺乳類細胞システムのクローニングのときは、哺乳動物細胞のゲノムに(たとえば、メタロチオネイン・プロモーター)または哺乳類ウイルスに(たとえば、レトロウイルス末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)由来するプロモーターを使用することができる。組換えDNAまたは合成技術によって産生されるプロモーターも、核酸配列の転写のために提供するために使用してもよい。ポリヌクレオチドは、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的な転写を容易にするプロモーター配列を含む発現ベクターに挿入することができる。発現ベクターは、典型的には複製開始点、プロモーター、並びに形質転換細胞の表現型を選択できる特異的な核酸配列を含む。一つの態様においてプロモーターは、サイトメガロウイルス・プロモーターである。
【0033】
宿主細胞:その中でベクターが増殖し得り、DNAが発現し得る細胞。細胞は、原核細胞であってもまたは真核細胞であってもよい。この用語には、対象宿主細胞の子孫もまた含まれる。複製中に起こる変異が存在する場合があるため、すべての子孫細胞が親細胞と同一でない可能性があることが理解される。しかし、「宿主細胞」という用語を用いる場合には、そのような子孫も含まれる。対象の細胞もまた含まれる。
【0034】
免疫応答:刺激に対する、B細胞、T細胞、または単球等の免疫系の細胞の応答。1つの態様において、応答は特定の抗原に対して特異的である(「抗原特異的応答」)。応答は、リンホカインの産生のような非特異的応答(唾液ポリペプチドに特異的に標的されない)であってもよい。1つの態様において、免疫応答は、CD4+応答またはCD8+応答等のT細胞応答である。別の態様において、応答はTh1(ヘルパーT細胞のサブセット)応答である。さらに別の態様において、応答はB細胞応答であり、特異的抗体の産生が起こる。
【0035】
免疫原性ポリペプチド:対立遺伝子特異的モチーフ、エピトープ、またはポリペプチドがMHC分子を結合し、細胞障害性Tリンパ球(「CTL」)応答を誘導し、および/またはB細胞応答(例えば抗体産生)、および/またはTヘルパーリンパ球応答、および/または免疫原性ポリペプチドの由来元である抗原に対する遅延型過敏(DTH)反応の誘導が含まれる。
【0036】
1つの態様において、免疫原性ポリペプチドは、配列モチーフまたは当技術分野において周知の他の方法を用いて同定される。典型的には、アルゴリズムを用いてポリペプチドの「結合閾値」を決定し、特定の親和性で結合する高い可能性を与え免疫原性となるであろうスコアを有するポリペプチドを選択する。アルゴリズムは、特定の位置における特定のアミノ酸のMHC結合に対する影響、特定の位置における特定のアミノ酸の抗体結合に対する影響、またはモチーフ含有ポリペプチドにおける特定の置換の結合に対する影響に基づく。免疫原性ポリペプチドとの関連において、「保存的残基」とは、ポリペプチドの特定の位置において、ランダム分布によって予想されるよりも有意に高い頻度で現れる残基である。1つの態様において、保存的残基は、MHC構造が免疫原性ポリペプチドとの接点を提供し得る残基である。
【0037】
免疫原性組成物:対象に投与した場合に、Lu.ロンギパルピス唾液ポリペプチドに対する免疫応答を誘導する組成物。1つの態様において、特に陽性遅延型過敏反応である。
【0038】
単離された:「単離された」生物学的成分(核酸またはタンパク質または細胞小器官等)は、生物体の細胞内の天然に存在する他の生物学的成分、すなわち他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、ならびに細胞小器官から実質的に分離または精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製法により精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語には、組換え技術および化学合成により調製された核酸およびタンパク質もまた包含される。
【0039】
標識:分子の検出を容易にするために、別の分子に直接的または間接的に結合させる検出可能な化合物または組成物。標識の具体的な限定されない例には、蛍光タグ、酵素結合、および放射性同位元素が含まれる。
【0040】
リーシュマニア症:感染した砂バエの刺咬により伝播する寄生虫病。リーシュマニア属のトリパノソーマ類寄生虫は、まとめてリーシュマニア症として知られる様々な疾患症状の病原体である。リーシュマニア症は、アフリカ、アジア、地中海、南欧(旧世界)、ならびに南アフリカおよび中央アフリカ(新世界)の熱帯および亜熱帯地域に蔓延している。旧世界種は、媒介昆虫砂バエサシチョウバエ種を介して伝染する。ヒト、野生動物、および家畜(イヌ等)は、これらの砂バエの標的であること、および保有宿主となるかまたはリーシュマニア症を発症することが知られている。
【0041】
皮膚リーシュマニア症は、刺咬部位の皮膚において単一または複数の結節として始まり、これは潰瘍へと進展する。チクレロ潰瘍は典型的に、耳朶の組織の切痕様喪失として現れる。潜伏期間は数日から数ヶ月におよび、症例によっては一年にもおよぶ。潰瘍は通常数ヶ月から2、3年持続し、ほとんどの症例では自然寛解する。皮膚粘膜型は、鼻、口、または咽頭において侵食性病変に進展し得り、重篤な容姿の変貌をもたらし得る。内臓リーシュマニア症は、典型的な毎日のパターンで起こる発熱、痛みを伴う腹部拡張、衰弱、広範囲にわたるリンパ節腫大、および体重減少、ならびに免疫系の低下による混合型の感染症を有する場合が多い。内臓リーシュマニア症(VL)は高い死亡率を招き得る。症状の発現は急激であるが、潜行性である傾向が強い。
【0042】
ルツォーミアロンギパルピス(Lu. longipalpis):新世界(南および中央アメリカ)の内生の砂バエ。この砂バエは、主に南および中央アメリカのいくつかの国の児童を襲う潜在的に致命的な疾患である、アメリカ内臓リーシュマニア症の主要な媒介生物である。
【0043】
リンパ球:身体の免疫防御に関与する白血球の一種。2つの主要なリンパ球:B細胞およびT細胞が存在する。
【0044】
哺乳動物:この用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物が含まれる。同様に、「対象」という用語には、ヒトおよびヒトおよび家畜対象が含まれる。
【0045】
オリゴヌクレオチド:最長で約100ヌクレオチド塩基長までの直鎖状ポリヌクレオチド配列。
【0046】
オープンリーディングフレーム(ORF):開始コドンで始まり終止コドンで終わり、内部に終止コドンのないアミノ酸をコードする、ひと続きのヌクレオチド三つ組(コドン)を有する核酸配列。これらの配列は通常、ポリペプチドに翻訳可能である。
【0047】
機能的に結合した:第1核酸配列が第2核酸配列と機能的な関係に置かれる場合、第1核酸配列は第2核酸配列と機能的に結合している。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響する場合、プロモーターはコード配列に機能的に結合している、一般に、機能的に結合したDNA配列は近接しており、2つのタンパク質コード領域を結合する必要がある場合には、同じリーディングフレーム内にある。
【0048】
ポリペプチド修飾:Lu.ロンギパルピスポリペプチドには、本明細書に記載するポリペプチドの合成態様が含まれる。さらに、これらのタンパク質の類似体(非ペプチド有機分子)、誘導体(開示したポリペプチド配列から開始して得られた、化学的に官能性をもたせたペプチド分子)、および変種(相同体)も、本明細書に記載する方法において使用することができる。開示の各ポリペプチドはアミノ酸の配列からなり、アミノ酸は、Lアミノ酸および/またはDアミノ酸、天然、およびその他であってよい。
【0049】
ポリペプチドは様々な化学的技法により修飾され、本質的に未修飾のポリペプチドと同じ活性を有し、任意に他の所望の特定を有する誘導体が産生され得る。例えば、タンパク質のカルボン酸基は、カルボキシル末端であろうと側鎖であろうと、薬学的に許容される陽イオンの塩の形で提供され得る、またはエステル化されてC1〜C16エステルが形成され得る、式NR1R2(式中、R1およびR2はそれぞれ独立的にHまたはC1〜C16アルキルである)のアミドに変換され得る、または化合され五員環または六員環等の複素環が形成され得る。ペプチドのアミノ基は、アミノ末端であろうと側鎖であろうと、HCl塩、HBr塩、酢酸塩、安息香酸塩、トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、および他の有機塩等の薬学的に許容される酸付加塩の形であってよく、またはC1〜C16アルキルアミノもしくはジアルキルアミノに修飾され得るかまたはさらにアミドに変換され得る。
【0050】
ペプチド側鎖の水酸基は、よく知られた技法を用いてC1〜C16アルコキシまたはC1〜C16エステルに変換され得る。ペプチド側鎖のフェニル環またはフェノール環は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素等の1つもしくは複数のハロゲン元素と、またはC1〜C16アルキルカルボン酸、C1〜C16アルコキシカルボン酸、およびそのエステル、またはそのようなカルボン酸のアミドと置換され得る。ペプチド側鎖のメチレン基は、相同的なC2〜C4アルキレンに伸長され得る。チオールは、アセトアミド基等の、多くのよく知られた保護基のいずれか1つによって保護され得る。当業者は、本開示のペプチドに環状構造を導入し、安定性の増大をもたらす、構造への高次構造的制約を選択かつ提供する方法もまた理解するであろう。
【0051】
ペプチド模倣体および有機模倣体の化学成分の三次元配置が、ペプチド骨格および成分アミノ酸側鎖の三次元配置を模倣し、その結果、L.ロンギパルピスポリペプチドのそのようなペプチド模倣体および有機模倣体が免疫応答を起こすある程度のまたは増大した能力を有する場合の、ペプチド模倣および有機模倣態様も想定される。コンピューターモデリングの適用に関して、ファーマコフォアとは、生物活性に必要な構造の理想的な三次元定義である。現行のコンピューターモデリングソフトウェアを用いて(コンピューター支援薬物設計またはCADDを用いて)、各ファーマコフォアに適合するように、ペプチド模倣体および有機模倣体を設計することができる。CADDで用いられる技法の説明に関しては、Walters, “Computer-Assisted Modeling of Drugs,” Klegerman & Groves (eds.), 1993、Pharmaceutical Biotechnology, Interpharm Press: Buffalo Grove, IL, pp. 165-174、およびPrinciples of Pharmacology Munson (ed.) 1995, Ch. 102を参照されたい。そのような技法を用いて調製された模倣体もまた含まれる。
【0052】
薬学的に許容される賦形剤または添加剤:有益な薬学的に許容される賦形剤または添加剤は、従来通りである。E.W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)は、本明細書に開示するポリペプチド、プラスミド、ウイルスベクターの薬学的送達に適した組成物および製剤について記載している。
【0053】
一般に、賦形剤または添加剤の性質は、利用する特定の投与方法に依存することになる。例えば、非経口製剤は通常注射用液体を含み、この液体は、添加剤として水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水溶性ブドウ糖、グリセロール等の薬学的および生理学的に許容される液体を含む。固形組成物(例えば、凍結乾燥錠剤、粉末、丸剤、錠剤、またはカプセル形態)に関して、通常の無毒性固形賦形剤または添加剤には、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。投与する免疫原性組成物は、生物学的に中性の賦形剤または添加剤に加えて、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートといった、湿潤剤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤等の少量の無毒性補助剤を含み得る。
【0054】
フレボトーマスアリアシ(P. ariasi):旧世界、詳細には南欧および地中海諸国、より詳細にはスペインおよびフランスに固有のサシチョウバエ(砂バエ)属の一種。この砂バエは、内臓リーシュマニア症の媒介昆虫であることが証明されている。P.アリアシは、フレボトーマスラルシウス亜属の一員である。
【0055】
ユウガイサシチョウバエ(P. perniciosus):旧世界、詳細には南欧および地中海諸国、より詳細にはフランス、イタリア、ギリシャ、モロッコ、およびスペインに固有のサシチョウバエ(砂バエ)属の一種。この砂バエは、内臓リーシュマニア症の媒介昆虫であることが証明されている。ユウガイサシチョウバエは、フレボトーマスラルシウス亜属の一員である。
【0056】
ポリヌクレオチド:ポリヌクレオチドまたは核酸配列という用語は、少なくとも10塩基長のヌクレオチドの重合形態を指し、したがってこれにはオリゴヌクレオチドおよび遺伝子が含まれる。組換えポリヌクレオチドには、その由来元の生物の天然ゲノムでは直接近接している(一方は5'末端において、およびもう一方は3'末端において)コード配列のどちらとも直接近接していないポリヌクレオチドが含まれる。したがってこの用語には、例えば、ベクター;自律的複製プラスミドもしくはウイルス;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み入れられた、または他の配列から独立した別の分子(例えばcDNA)として存在する組換えDNAが含まれる。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾型であってよい。この用語には、一本鎖および二本鎖型のDNAが含まれる。
【0057】
ポリペプチド:長さ(したがって、オリゴペプチド、ペプチド、およびタンパク質を包含する)または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、またはアシル化)にかかわらず、アミノ酸の任意の鎖。ポリペプチドにはまた、前駆体および成熟タンパク質が包含される。1つの態様において、ポリペプチドは、本明細書に開示するLu.ロンギパルピスポリペプチド等の、Lu.ロンギパルピスから単離された、またはLu.ロンギパルピスから単離された核酸によってコードされるポリペプチドである。
【0058】
プローブおよびプライマー:プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に結合させた単離されたポリヌクレオチドを含む。プライマーは、短いポリヌクレオチドである。1つの態様において、ポリヌクレオチドは15ヌクレオチド長またはそれ以上の長さである。核酸ハイブリダイゼーションによりプライマーを相補的な標的DNA鎖にアニールさせ、プライマーと標的DNA鎖のハイブリッドを形成させ、次いでDNAポリメラーゼ酵素により標的DNA鎖に沿って伸長させることができる。プライマー対を用いて、例えばポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)または当技術分野において周知の他の核酸増幅法により、核酸配列を増幅することができる。当業者は、特定のプローブまたはプライマーの特異性がその長さに伴って増加することを理解するであろう。したがって、例えば、20の連続したヌクレオチドを含むプライマーは、対応する15ヌクレオチドのみのプライマーよりも高い特異性で標的にアニールすることになる。よって、高い特異性を得るためには、少なくとも15、20、25、30、35、40、50、またはそれ以上の連続したヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーを選択し得る。
【0059】
タンパク質の精製:本明細書に開示するLu.ロンギパルピスポリペプチドは、当技術分野において周知の手段のいずれかにより精製することができる。例えば、Guide to Protein Purification, Deutscher (ed.), Meth. Enzymol. 185, Academic Press, San Diego, 1990;およびScopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer Verlag, New York, 1982を参照されたい。実質的な精製とは、他のタンパク質または細胞成分からの精製を意味する。実質的に精製されたタンパク質は、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または98%純粋である。したがって、1つの具体的な限定されない例において、実質的に精製されたタンパク質は、他のタンパク質または細胞成分を90%含まない。
【0060】
精製された:精製されたという用語は、完全な純度を必要とせず;むしろ相対後として意図される。したがって、例えば、精製されたポリペプチド調製物とは、ポリペプチドが天然環境にあるポリペプチドよりも濃縮されているポリペプチド調製物である。ポリペプチド調製物は、ポリペプチドがいくつかの態様において、調製物の全ポリペプチド含有量の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%を表すように、実質的に精製される。同様のことがポリヌクレオチドにも当てはまる。本明細書に開示するポリペプチドは、当技術分野において周知の手段のいずれかにより精製することができる(例えば、Guide to Protein Purification, Deutscher (ed.), Meth. Enzymol. 185, Academic Press, San Diego, 1990;およびScopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer Verlag, New York, 1982を参照されたい。)
【0061】
組換え型:組換えポリヌクレオチドとは、天然でない配列を有するか、またはそうでなければ分離している配列の2つの部分の人工的な組み合わせにより作製される配列を有するポリヌクレオチドである。この人工的な組み合わせは、化学合成によって、またはより一般的には核酸の分離部分の人工的操作によって、例えば遺伝子工学技法によって達成される場合が多い。一つの態様において、組換えポリヌクレオチドは融合タンパク質をコードする。
【0062】
選択的にハイブリダイズする:非関連のヌクレオチド配列を排除する、中程度または高度にストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーション。
【0063】
核酸ハイブリダイゼーション反応において、特定レベルのストリンジェンシーを達成するために用いられる条件は、ハイブリダイズさせる核酸の性質に依存して変動することになる。例えば、ハイブリダイゼーション条件の選択において、ハイブリダイズさせる核酸領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列の組成(例えば、GC対AT含量)、および核酸の種類(例えば、RNA対DNA)が考慮され得る。さらなる考慮点は、核酸の一方を例えばフィルター上に固定化するかどうあである。
【0064】
徐々に高くなっていくストリンジェンシー条件の具体的な限定されない例は以下の通りである:約室温での2 x SSC/0.1% SDS(ハイブリダイゼーション条件);約室温での0.2 x SSC/0.1% SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃における0.2 x SSC/0.1% SDS(中程度ストリンジェンシー条件);および約68℃における0.1 x SSC(高ストリンジェンシー条件)。当業者は、これらの条件の変化形を容易に決定し得る(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3 ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)。ハイブリダイゼーション条件は2時間から16時間実施されても良い。洗浄は、例えば高ストリンジェンシー条件のように上記の条件のうちの1つのみを用いて行うことができ、またはそれぞれの条件を例えばそれぞれ10〜15分間、上記の順で、上記の段階のいずれかまたはすべてを繰り返して用いることもできる。しかし上記のように、最適条件は関連する特定のハイブリダイゼーション反応に依存して変動することになり、よって実験的に決定することができる。
【0065】
配列同一性:アミノ酸配列間の類似度は、配列間のパーセント同一性の点から示される。割合が高いほど、2つの配列が類似している。Lu.ロンギパルピスポリペプチドの相同体または変種は、標準的な方法を用いてアラインメントした場合、比較的高い配列同一性を有することになる。
【0066】
比較のために配列をアラインメントする方法は、当技術分野において周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444, 1988;Higgins and Sharp, Gene 73:237, 1988;Higgins and Sharp, CABIOS 5:151, 1989;Corpet et al., Nucleic Acids Research 16:10881, 1998;およびPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85: 2444, 1988に記載されている。Altschul et al., Nature Genet., 6:119, 1994は、配列アラインメント法および同一性算出の詳細な考察を示している。
【0067】
配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxとの関連で使用するための、NCBI基礎的局所的アラインメント検索ツール(BLAST)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403, 1990)は、National Center for Biotechnology Infomation(NCBI、メリーランド州、ベテスダ)を含む様々な情報源、およびインターネットから利用できる。このプログラムを用いて配列同一性を決定する方法の説明は、インターネットのNCBIウェブサイトで入手できる。
【0068】
Lu.ロンギパルピスポリペプチドの相同体および変種は典型的に、デフォルトパラメータに設定したNCBI Blast 2.0、gapped blastpを用いた、Lu.ロンギパルピスポリペプチドのアミノ酸配列との全長アラインメントで算出された少なくとも75%、例えば少なくとも80%の配列同一性の所有により特徴づけられる。配列間の比較は、デフォルトパラメータ(ギャップ存在コスト11、および残基当たりギャップコスト1)に設定したデフォルトBLOSUM62行列を用いたBlast 2配列機能による、本開示に提供するアミノ酸配列との全長アラインメントにおいてなされる。
【0069】
短いペプチドをアラインメントする場合(約30アミノ酸未満)、アラインメントは、デフォルトパラメータ(オープンギャップペナルティー9、拡張ギャップペナルティー1)に設定したPAM30行列を用いてBlast 2配列機能により実行すべきである。参照配列との高い類似度を有するタンパク質は、この方法で評価した場合に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性といったような高いパーセント同一性を示すことになる。全体配列に満たない配列を配列同一性に関して比較する場合、相同体および変種は典型的に、10〜20アミノ酸の短い領域において少なくとも80%の配列同一性を有することになり、参照配列との類似度に依存して、少なくとも85%または少なくとも90%もしくは95%の配列同一性を有する場合がある。そのような短い領域において配列同一性を決定する方法は、インターネットのNCBIウェブサイト上で入手できる。当業者は、これらの配列同一性の範囲が説明のためのみに提供されることを理解するであろう;提供した範囲から外れた非常に意義深い相同体が得られ得ることも、全く可能なことである。
【0070】
特異的結合剤:実質的に所定の標的のみに結合する薬剤。したがって、Lu.ロンギパルピス特異的結合剤は、Lu.ロンギパルピスに実質的に結合する薬剤である。
【0071】
1つの態様において、特異的結合剤は、Lu.ロンギパルピスに特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体である。
【0072】
対象:ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む、ヒトおよび家畜対象を含むカテゴリーである、生きている多細胞脊椎動物。1つの態様において、対象はイヌ等のイヌ科の動物の一員である。別の対象において、対照はヒトである。
【0073】
T細胞:免疫応答に重要な白血球。T細胞には、これらに限定されないが、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞が含まれる。CD4+ Tリンパ球は、その表面上に「表面抗原分類4」(CD4)として知られるマーカーを有する免疫細胞である。これらの細胞はヘルパーT細胞としても知られており、抗体応答およびキラーT細胞応答を含む免疫応答の調整を助ける。CD8+ T細胞は、「表面抗原分類8」(CD8)マーカーを有する。1つの態様において、CD8 T細胞は細胞障害性Tリンパ球である。別の態様において、CD8細胞はサプレッサーT細胞である。
【0074】
治療効果のあるポリペプチド:臨床反応によって測定される(例えば、免疫細胞集団の増加、Lu.ロンギパルピスポリペプチドに特異的に結合する抗体の産生、リーシュマニアへの曝露によって生じる症状のある程度の軽減、またはリーシュマニアによる感染の予防)免疫応答の誘導をもたらす、Lu.ロンギパルピスポリペプチド等の薬剤。治療効果のある分子は、核酸からも作製され得る。核酸に基づく治療効果のある分子の例は、プロモーター等の調節エレメントに機能的に結合している、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードする核酸配列である。治療効果のある薬剤には、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの効果を模倣する有機化学成分または他の化学成分が含まれ得る。
【0075】
「Lu.ロンギパルピスポリペプチドの治療上有効な断片」という用語は、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの任意の断片、またはLu.ロンギパルピスポリペプチドの変種、またはLu.ロンギパルピスポリペプチドを含む融合タンパク質であって、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの機能(免疫原性など)を保持するか、またはリーシュマニアに対する曝露による症状を減少させる、もしくはリーシュマニアに対する感染から保護する能力を保持するものを含む。
【0076】
従って、一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの断片の治療上有効な量は、ポリペプチドに対する免疫応答を生じさせるために使用される量である。もう一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの断片の治療上有効な量は、被検体のリーシュマニア感染症を予防し、または治療するために使用する量である。治療とは、リーシュマニアへの感染に対する抵抗性、またはリーシュマニアに対する曝露に関連した症状の減少を与える治療的な介入をいう。特異的な、ポリペプチド断片の非限定的な例は、本明細書に開示したP.Lu.ロンギパルピスポリペプチドのN末端の半分またはC末端の半分のものである。6ヒスチジン残基、c-mycタグ、または他の何らかのポリペプチド・タグとの融合などの融合タンパク質も含まれる点に留意する必要がある。このような融合は、当技術分野の当業者に公知であり、たいていタンパク質の精製に使用される。
【0077】
形質導入された:形質導入細胞とは、分子生物学的技法により核酸分子が導入された細胞である。本明細書では、形質導入という用語は、ウイルスベクターによるトランスフェクション、プラスミドベクターによる形質転換、ならびにエレクトロポレーション、リポフェクション、およびパーティクルガン加速による裸のDNAの導入を含む、そのような細胞に核酸分子を導入するすべての技法を包含する。
【0078】
ベクター:宿主細胞に導入され、それにより形質導入宿主細胞が産生される核酸分子。ベクターは、複製開始点等の、宿主細胞内での複製を可能にする核酸配列を含み得る。ベクターはまた、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、および当技術分野で周知の他の遺伝子エレメントも含み得る。
【0079】
ワクチン:対象に投与した場合に、障害または疾患の症状の重症度の軽減を誘導する組成物。1つの態様において、ワクチンはリーシュマニア症の症状の重症度を軽減する、および/または寄生虫負荷を減少させる。
【0080】
特記しない限り、本明細書で使用する専門用語および科学用語はすべて、本開示が属する当技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味をもつ。単数語「1つの」、「ある」、および「その」とは、特記する場合を除き、その対象物の複数形も含む。同様に、特記する場合を除き、「または」という用語は「および」を含むことが意図される。「含む」は「包含する」を意味し、ポリペプチドを含む組成物はそのポリペプチドを包含する。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して規定したすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子量値は概算値であり、説明のために提供するものであることがさらに理解されるべきである。本開示の実施または試験において、本明細書に記載したものと類似したまたは同等の方法および材料が使用できるが、適切な方法および材料は以下に記載するものである。本明細書で言及した出版物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、その全体が参照として組み入れられる。抵触する場合には、本明細書が用語の説明も含め調整すると考えられる。さらに、材料、方法、および実施例は一例に過ぎず、制限する意図はない。
【0081】
Lu.ロンギパルピスポリヌクレオチドおよびポリペプチド
砂バエ種Lu.ロンギパルピスからの唾液ポリペプチドが本明細書に開示される。







【0082】
一つの態様において、

を含むポリペプチドが、本明細書に開示される。

に記載されたアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する相同的なポリペプチドが本明細書に開示される。

を含む融合タンパク質も、本明細書に開示される。
【0083】
上で同定したLu.ロンギパルピスポリペプチドの断片および変種は、本明細書に開示され、当技術分野の当業者によって、分子技術を使用して容易に調製することができる。一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの断片は、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの少なくとも8、10、15、または20個の連続したアミノ酸を含む。もう一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの断片は、全長Lu.ロンギパルピスポリペプチド上に見いだされる特異的な抗原エピトープを含む。
【0084】
一つの態様において、断片は、任意ののポリペプチド(

に与えられたポリペプチド、これらの保存された変種、およびこれらの相同体)に由来する長さが少なくとも19アミノ酸、少なくとも23アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、もしくは少なくとも30アミノ酸、または少なくともエピトープを保持する任意の断片である。
【0085】
また、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを含む融合タンパク質は、当技術分野の当業者に公知の方法を使用して産生することができる。一つの態様において、融合タンパク質は、

に記載されたアミノ酸配列、またはこれらの保存された変種、およびマーカーポリペプチドを含む。マーカーポリペプチドは、タンパク質精製を補助するためのポリペプチドなどのポリペプチドタグ(たとえば、6ヒスチジン残基もしくはc-mycポリペプチド)、または酵素マーカー(たとえば、アルカリホスファターゼ)、または蛍光マーカー(たとえば、緑色蛍光タンパク質)を含む。
【0086】
当業者は、本明細書において本開示を付与されれば、タンパク質精製の標準的な技法を用いて、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを精製し得る。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元ポリアクリルアミドゲルにおいて、単一の主要なバンドを生じることになる。Lu.ロンギパルピスポリペプチドの純度は、アミノ末端アミノ酸配列解析によっても決定することができる。
【0087】
Lu.ロンギパルピスポリペプチド一次アミノ酸配列の軽微な修飾により、本明細書に記載する未修飾の対応するポリペプチドと比較して実質的に同等の活性を有するペプチドが生じ得る。そのような修飾は、部位特異的突然変異誘発によるように意図的であるか、または自然発生である可能性がある。これらの修飾により生じるポリペプチドもすべて、本明細書に含まれる。
【0088】

をコードするポリヌクレオチドなどの、Lu.ロンギパルピス砂バエからの唾液ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に開示される。
【0089】
Lu.ロンギパルピス核酸配列の特異的な、非限定的な例は、

およびこれらの縮重変種を含む。これらのポリヌクレオチドは、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするDNA、cDNA、およびRNA配列を含む。
【0090】
ポリヌクレオチドが、ポリペプチドを認識する抗体への結合、ポリペプチドに対する免疫応答の誘導、リーシュマニア症を有する対象に投与した場合のリーシュマニアの生存に及ぼす影響、またはそのような対象においてリーシュマニア感染の徴候または症状が軽減する等の認められる活性を有するポリペプチドをコードする限りは、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするすべてのポリヌクレオチドもまた本明細書に含まれることが理解される。
【0091】
本開示のポリヌクレオチドには、遺伝暗号の結果として縮重した配列が含まれる。20種の天然アミノ酸が存在するが、そのほとんどは1つより多くのコドンによって指定されている。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるLu.ロンギパルピスポリペプチドのアミノ酸配列が機能的に変化しない限り、すべての縮重ヌクレオチド配列が本開示に含まれる。
【0092】
P.アリアシポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの具体的な限定されない例を以下に示す:
















【0093】
開示した特定された条件下のLu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと選択的にハイブリダイズするのを可能にするのに十分な、少なくとも33塩基長、少なくとも36塩基長、少なくとも42塩基長、または少なくとも48塩基長である、上記の核酸配列の断片もまた含まれる。「選択的にハイブリダイズする」という用語は、非関連のヌクレオチド配列を排除する、中程度または高度にストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーションを指す。
【0094】
Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)もまた、本明細書に開示する。これらのORFは、開始コドンによりおよび終止コドンにより範囲が定められる。これには、縮重変種ならびに保存的変種および相同体をコードするヌクレオチド配列もまた含まれる。
【0095】
オープンリーディングフレームの特異的な、非限定的な例は、以下の通りである:
【0096】
LJL34未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:1の核酸30〜842によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:1の核酸配列87〜842によってコードされる。
【0097】
LJL18未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:3の核酸56〜532によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:3の核酸配列113〜532によってコードされる。
【0098】
LJS193未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:5の核酸216〜502によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:5の核酸配列276〜502によってコードされる。
【0099】
LJS201未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:7の核酸48〜353によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:7の核酸配列117〜352によってコードされる。
【0100】
LJL13未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:9の核酸26〜766によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:9の核酸配列83〜766によってコードされる。
【0101】
LJL23未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:11の核酸18〜992によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:11の核酸配列81〜992によってコードされる。
【0102】
LJM10未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:13の核酸92〜571によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:13の核酸配列149〜571によってコードされる。
【0103】
LJL143未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:15の核酸46〜948によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:15の核酸配列115〜948によってコードされる。
【0104】
LJS142未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:17の核酸25〜507によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:17の核酸配列85〜507によってコードされる。
【0105】
LJL17未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:19の核酸28〜342によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:19の核酸配列88〜342によってコードされる。
【0106】
LJM06未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:21の核酸50〜523によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:21の核酸配列107〜523によってコードされる。
【0107】
LJM17未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:23の核酸24〜1264によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:23の核酸配列83〜1264によってコードされる。
【0108】
LJL04未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:25の核酸30〜914によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:25の核酸配列81〜914によってコードされる。
【0109】
LJM114未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:27の核酸29〜475によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:27の核酸配列101〜475によってコードされる。
【0110】
LJM111未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:29の核酸24〜1214によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:29の核酸配列78〜1214によってコードされる。
【0111】
LJM78成熟未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:31の核酸42〜1091によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:31の核酸配列102〜11091によってコードされる。
【0112】
LJS238未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:33の核酸27〜206によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:33の核酸配列87〜206によってコードされる。
【0113】
LJS169未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:35の核酸11〜370によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:35の核酸配列77〜370によってコードされる。
【0114】
LJL11未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:37の核酸30〜1745によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:37の核酸配列105〜1745によってコードされる。
【0115】
LJL08未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:39の核酸26〜238によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:39の核酸配列95〜238によってコードされる。
【0116】
LJS105未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:41の核酸24〜275によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:41の核酸配列81〜275によってコードされる。
【0117】
LJL09未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:43の核酸74〜1954によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:43の核酸配列128〜1954によってコードされる。
【0118】
LJL38未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:45の核酸40〜165によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:45の核酸配列100〜165によってコードされる。
【0119】
LJM04未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:47の核酸40〜456によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:47の核酸配列100〜456によってコードされる。
【0120】
LJM26未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:49の核酸96〜1616によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:49の核酸配列147〜1616によってコードされる。
【0121】
LJS03未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:51の核酸41〜553によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:51の核酸配列98〜553によってコードされる。
【0122】
LJS192未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:53の核酸18〜344によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:53の核酸配列87〜344によってコードされる。
【0123】
LJM19未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:55の核酸16〜360によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:55の核酸配列82〜360によってコードされる。
【0124】
LJL138未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:57の核酸12〜1238によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:57の核酸配列72〜1238によってコードされる。
【0125】
LJL15未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:59の核酸63〜542によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:59の核酸配列120〜542によってコードされる。
【0126】
LJL91未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:61の核酸63〜542によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:61の核酸配列120〜542によってコードされる。
【0127】
LJM11未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:63の核酸20〜1216によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:63の核酸配列74〜1216によってコードされる。
【0128】
LJS138未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:65の核酸12〜1238によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:65の核酸配列72〜138によってコードされる。
【0129】
LJL124未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:67の核酸23〜241によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:67の核酸配列83〜241によってコードされる。
【0130】
LJL35未処理のタンパク質は、SEQ ID NO:69の核酸12〜1238によってコードされ、成熟タンパク質は、SEQ ID NO:69の核酸配列72〜1238によってコードされる。
【0131】
Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの別の具体的な限定されない例は、Lu.ロンギパルピスポリペプチドの抗原性エピトープまたは機能を有するポリペプチドをコードする、上記の配列の1つと少なくとも75%、85%、90%、95%、または99%相同であるポリヌクレオチドである。Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのさらに別の具体的な限定されない例は、Lu.ロンギパルピスポリペプチドに特異的に結合する抗体が特異的に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0132】
Lu.ロンギパルピスポリヌクレオチドには、ベクター;自律的複製プラスミドもしくはウイルス;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み入れられた、または他の配列から独立した別の分子(例えばcDNA)として存在する組換えDNAが含まれる。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾型であってよい。この用語には、いずれのヌクレオチドの一本鎖および二本鎖型も含まれる。この用語には、一本鎖および二本鎖型のDNAが含まれる。
【0133】
本開示によるポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた、本明細書に開示する。組換えベクターには、プラスミドおよびウイルスベクターが含まれ、これらはインビトロまたはインビボ発現で使用することができる。
【0134】
プラスミドは、DNA転写単位、複製開始点(原核生物または真核生物の)等の宿主細胞内での複製を可能にする例えば核酸配列を含み得る。プラスミドはまた、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、および当技術分野で周知の他の遺伝子エレメントも含み得る。環状および線状型のプラスミドが本開示に包含される。
【0135】
インビボ発現では、プロモーターは一般にウイルスまたは細胞起源のものである。1つの態様では、プロモーターおよびエンハンサーを含むサイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター(CMV-IEプロモーター)が使用できる。CMV-IEプロモーターはヒトもしくはマウス起源であってよく、またはラットもしくはモルモット等の他の起源であってもよい(EP 0260148;EP 0323597;WO 89/01036;Pasleau et al., Gene 38:227-232, 1985;Boshart M. et al., Cell 41:521-530, 1985を参照のこと)。CMV-IEプロモーターの機能的な断片もまた使用可能である(WO 98/00166)。SV40ウイルス初期または後期プロモーターおよびラウス肉腫ウイルスLTRプロモーターもまた使用できる。他のプロモーターには、これらに限定されないが、デスミンプロモーター(Kwissa M. et al., Vaccine 18(22):2337-2344, 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki J. et al., Gene 79(2):269-277, 1989)(これらに限定されない)等の細胞骨格遺伝子のプロモーターが含まれる。同じプラスミド内にいくつかの遺伝子が存在する場合、それらは同じ転写単位内にまたは別の転写単位内に提供され得る。
【0136】
プラスミドは、例えばイントロン型の安定化配列等の他の転写制御エレメントも含み得る。いくつかの態様では、プラスミドは、CMV-IEの第1イントロン(公開PCT出願第WO 89/01036号)、ウサギβグロビン遺伝子のイントロンII(van Ooyen et al., Science 206: 337-344, 1979)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)によってコードされるタンパク質のシグナル配列(Montgomery et al., Cell. Mol. Biol. 43:285-292, 1997)、および/またはポリアデニル化シグナル(ポリA)、詳細にはウシ成長ホルモン(bGH)遺伝子のポリA(米国特許第5,122,458号)またはウサギβグロビン遺伝子もしくはSV40ウイルスのポリAを含む。
【0137】
具体的な限定されない例では、そのようなポリヌクレオチド配列を挿入するために、ベクターとしてpVR1020プラスミド(VICAL Inc.;Luke C. et. al., Journal of Infectious Diseases 175:91-97, 1997;Hartikka J. et. al., Human Gene Therapy 7:1205-1217, 1996)を使用することができ、組換えプラスミドが得られる。
【0138】
リーシュマニア感染に対する有効性を判定するため、プラスミドをイヌで評価する(Vidor E. et al., P3.14, XXIV World Veterinary Congress, Rio de Janeiro, Brazil, 18-23 August 1991)。
【0139】
様々なウイルスベクターもまた、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと共に使用できる。具体的な限定されない例には、カナリア痘ウイルス等のトリ痘ウイルスを含む組換えポックスウイルスが含まれる。別の具体的な限定されない例には、NYVAC(U.S. Patent No. 5,494,807を参照のこと)または改変ワクシニアウイルス・アンカラ(MVA、Stickl H. and Hochstein-Mintzel V., Munch. Med. Wschr. 113:1149-1153, 1971;Sutter G. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10847-10851, 1992;Carroll M. W. et al., Vaccine 15(4):387-394, 1997;Stittelaar K. J. et al., J. Virol. 74(9):4236-4243, 2000;Sutter G. et al., Vaccine 12(11):1032-1040, 1994)等の弱毒化ワクシニアウイルスのようなワクシニアウイルス(U.S. Patent No. 4,603,112)を含む組換えポックスウイルスが含まれる。トリ痘ウイルスを用いる場合、弱毒化ウイルス等のカナリア痘ウイルス(U.S. Patent No. 5,756,103)および鶏痘ウイルス(U.S. Patent No. 5,766,599)を用いることができる。組換えカナリア痘ウイルスベクターでは、挿入部位は具体的にはORF C3、C5、またはC6内であってよい。発現ベクターがポックスウイルスである場合、ワクシニアウイルス7.5 kDaプロモーター(Cochran et al., J. Virology 54:30-35, 1985)、ワクシニアウイルスI3Lプロモーター(Riviere et al., J. Virology 66:3424-3434, 1992)、ワクシニアウイルスHAプロモーター(Shida, Virology 150:451-457, 1986)、牛痘ウイルスATIプロモーター(Funahashi et al., J. Gen. Virol. 69:35-47, 1988)、他のワクシニアウイルスH6プロモーター(Taylor et al., Vaccine 6:504-508, 1988;Guo et al., J. Virol. 63:4189-4198, 1989;Perkus et al., J. Virol. 63:3829-3836, 1989)等のポックスウイルス特異的プロモーターの調節下に、異種性ポリヌクレオチドを挿入し得る。
【0140】
使用できる他のウイルスベクターは、ヘルペスウイルスまたはアデノウイルスである。具体的な限定されない例には、イヌヘルペスウイルス(CHV)またはイヌアデノウイルス(CAV)ベクター(例えば、U.S. Patent No. 5,529,780;U.S. Patent No. 5,688,920;Published PCT Application No. WO 95/14102)が含まれる。CHVに関しては、挿入部位は、詳細にはチミジンキナーゼ遺伝子、ORF3、またはUL43 ORF(U.S. Patent No. 6,159,477を参照のこと)内であってよい。CAVに関しては、挿入部位は詳細には、E3領域またはE4領域と右側ITR領域との間に位置する領域内であってよい(U.S. Patent No. 6,090,393;U.S. Patent No. 6,156,567を参照のこと)。CHVまたはCAVベクターの1つの態様において、挿入物は一般に、CMV-IEプロモーター等のプロモーター(プラスミドに関して上記したような)の調節下にある。
【0141】
異なる挿入部位を用いてまたは同じ挿入部位を用いて、同じベクター内に複数の挿入を行うことができる。同じ挿入部位を用いる場合、各ポリヌクレオチド挿入物を異なるプロモーターの調節下に挿入する。挿入は、tail-to-tail、head-to-head、tail-to-head、またはhead-to-tailで行い得る。IRESエレメント(配列内リボソーム進入部位、European Patent EP 0803573を参照のこと)を用いて、同じプロモーターに機能的に結合させた複数の挿入物を分離し発現させることも可能である。インビボ発現に、細菌ベクターを用いてもよい。
【0142】
適切な宿主細胞へのDNA移入、または発現ベクターにより、本開示による任意のポリヌクレオチドをインビトロで発現させることができる。宿主細胞は、原核生物のものであってもまたは真核生物のものであってもよい。「宿主細胞」という用語には、対象宿主細胞の子孫もまた含まれる。宿主細胞内で外来性ポリオヌクレオチドが持続して維持されることを意味する安定な移入の方法は、当技術分野において周知である。宿主細胞には、細菌(例えば大腸菌)、酵母、昆虫細胞、および脊椎動物細胞が含まれる。真核細胞内でDNA配列を発現させる方法は、当技術分野において周知である。
【0143】
インビトロ発現の方法として、組換えバキュロウイルスベクター(例えば、Autographa California核多角体病ウイルス(AcNPV))を本明細書に開示する核酸と共に用いることができる。例えば、ポリヘドリンプロモーターを昆虫細胞と共に用いることができる(例えば、ATCCにおいてアクセッション番号CRL 1711で入手可能なSf9細胞と同種のSpodoptera frugiperda、またはSf21細胞)(例えば、Smith et al., Mol. Cell Biol. 3:2156-2165, 1983;Pennock et al., Mol. Cell Biol. 4: 399-406, 1994;Vialard et al., J. Virol. 64:37-50, 1990;Verne A., Virology 167:56-71, 1988;O'Reilly et al., “Baculovirus expression vectors, A laboratory manual,” New York Oxford, Oxford University Press, 1994;Kidd I. M. & Emery V.C., “The use of baculoviruses as expression vectors,” Applied Biochemistry and Biotechnology 42:37-159, 1993;European Patent No. EP 0370573;European Patent No. EP 0265785;U.S. Patent No. 4,745,051を参照のこと)。発現には、Pharmingen(Becton Dickinson)製のBaculoGold(商標) スターターパッケージ(Cat# 21001K)を使用し得る。
【0144】
インビトロ発現の方法として、組換え大腸菌をベクターと共に用いることができる。例えば、細菌系にクローニングする場合、アラビノースプロモーター、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)等の誘導性プロモーターを使用し得る。
【0145】
組換えDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知のような従来の技法により行い得る。宿主が大腸菌等の原核生物の場合、対数増殖期後に回収し、次いで当技術分野において周知の手順を用いてCaCl2法により処理した細胞から、DNAを取り込み得るコンピテント細胞を調製することができる。または、MgCl2またはRbClを用いることもできる。形質転換は、必要に応じて宿主細胞のプロトプラストを形成した後に、またはエレクトロポレーションにより行い得る。
【0146】
宿主が真核生物の場合、リン酸カルシウム共沈法、マイクロインジェクション等の従来の機械的手順、エレクトロポレーション、リポソーム内に封入したプラスミドの挿入、またはウイルスベクター等のDNA導入法を使用し得る。真核細胞はまた、Lu.ロンギパルピスポリヌクレオチド配列、および単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子等の選択可能な表現系をコードする第2の外来性DNA分子により、同時形質転換することもできる。別の方法は、真核細胞に一過性に形質導入しタンパク質を発現させるための、ヘルペスウイルスまたはアデノウイルス(例えばイヌアデノウイルス2)等の真核生物ウイルスベクター(上記を参照のこと)の使用である(例えば、Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982を参照のこと)。また、ジオレオイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DOPE)等のトランスフェクション剤を用いることができる。
【0147】
組換えにより発現させたポリペプチドの単離および精製は、分取クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除、イオン交換、アフィニティー)、選択的沈殿法、および限外濾過を含む従来の手段によって行い得る。そのような組換えにより発現させたポリペプチドは、本開示の一部である。そのようなポリペプチドを産生するための方法、詳細には宿主細胞および本開示によるポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターの使用もまた包含される。
【0148】
抗体
本開示のLu.ロンギパルピスポリペプチドまたは本開示によるその断片を用いて、抗体を産生することができる。ポリクローナル抗体、本質的に異なるエピトープ特異性を有するモノクローナル抗体のプールからなる抗体、および別個のモノクローナル抗体が含まれる。曝露のマーカーとして、およびサシチョウバエ唾液タンパク質に対する免疫応答の発生を追跡するための免疫診断ツールとして、そのような抗体を使用することができる。
【0149】
ポリクローナル抗体の調製は当業者に周知である。例えば、Green et al., “Production of Polyclonal Antisera,” Immunochemical Protocols, pp. 1-5, Manson, ed., Humana Press, 1922;Coligan et al., “Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats, Mice and Hamsters,” Current Protocols in Immunology, section 2.4.1, 1992を参照されたい。
【0150】
モノクローナル抗体の調製も同様に慣習的である。例えば、Kohler & Milstein, Nature 256:495, 1975;Coligan et al., sections 2.5.1-2.6.7;およびHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, p 726, Cold Spring Harbor Pub., 1988を参照されたい。簡潔に説明すると、抗原を含む組成物をマウスに注射し、血清試料を採取して抗体産生の存在を確認し、脾臓を摘出してBリンパ球を採取し、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを産生し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択し、ハイブリドーマ培養物から抗体を単離することにより、モノクローナル抗体を得ることができる。モノクローナル抗体は、様々な確立した技法によりハイブリドーマ培養物から単離および精製することができる。そのような単離技法には、プロテインAセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。例えば、Coligan et al., sections 2.7.1-2.7.12 and sections 2.9.1-2.9.3;Barnes et al., “Purification of Immunoglobulin G (IgG),” Methods in Molecular Biology, Vol. 10, pp 79-104, Humana Press, 1992を参照されたい。
【0151】
モノクローナル抗体のインビトロおよびインビボ増殖の方法は、当業者に周知である。インビトロでの増殖は、ウシ胎児血清等の哺乳動物血清、または微量元素、および正常マウス腹膜浸出細胞、脾臓細胞、胸腺細胞、もしくは骨髄マクロファージ等の増殖維持補充物を任意に補充したダルベッコ変法イーグル培地またはRPMI 1640培地等の適切な培地中で行い得る。インビトロでの産生により比較的純粋な抗体調製物が提供され、スケールアップして所望の抗体を大量に得ることが可能になる。大量のハイブリドーマ培養は、エアリフト反応器、連続撹拌反応器中での均一な懸濁培養、または固定化もしくは補足細胞培養によって行い得る。インビボでの増幅は、例えば同質遺伝子マウスのような親細胞と組織適合性のある哺乳動物に細胞クローンを注射し、抗体産生腫瘍の増殖をもたらすことにより行い得る。任意で、動物に炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)等の油で初回刺激をしてから、注射をする。1〜3週間後、動物の体液から所望のモノクローナル抗体を回収する。
【0152】
抗体は類人猿由来の抗体であってもよい。治療効果のある抗体をヒヒで産生させる一般的技法は、例えば、WO 91/11465, 1991およびLosman et al., Int. J. Cancer 46:310, 1990に見い出し得る。
【0153】
あるいは、ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、ヒト化モノクローナル抗体に由来し得る。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重可変鎖および軽可変鎖のマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移し、次いでマウス対応物のフレームワーク領域内をヒト残基に置換することによって産生される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分の使用により、マウス定常領域の免疫原性に関連した潜在的問題が回避される。マウス免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的技法は、例えば、Orlandi et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833, 1989により記載されている。ヒト化モノクローナル抗体を産生する技法は、例えば、Jones et al., Nature 321:522, 1986;Riechmann et al., Nature 332:323, 1988;Verhoeyen et al., Science 239:1534, 1988;Carter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89:4285, 1922;Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437, 1992;およびSinger et al., J. Immunol. 150:2844, 1933に記載されている。
【0154】
抗体は、コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体断片に由来してもよい。例えば、Barbas et al., Methods: a Companion to Methods in Enzymology, Vol. 2, p. 119, 1991;Winter et al., Ann. Rev. Immunol. 12:433, 1994を参照されたい。ヒト免疫グロブリンファージライブラリーの産生に有用なクローニングおよび発現ベクターは、例えばSTRATAGENE Cloning Systems(カリフォルニア州、ラ・ホーヤ)から入手できる。
【0155】
さらに、抗体はヒトモノクローナル由来であってもよい。そのような抗体は、抗原誘発に応答して特定のヒト抗体を産生するように「操作された」トランスジェニックマウスから得られる。この技法では、内因性の重鎖および軽鎖遺伝子座の標的破壊を含む胚性幹細胞株に由来するマウスの系統に、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントを導入する。トランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成し得り、このマウスを用いてヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al., Nature Genet. 7:13, 1994;Lonberg et al., Nature 368:856, 1994;およびTaylor et al., Int. Immunol. 6:579, 1994に記載されている。
【0156】
抗体には、原型分子、ならびにエピトープ決定基に結合し得るFab、F(ab')2、およびFv等の原型分子の断片が含まれる。これらの抗体断片は抗原または受容体と選択的に結合するいくらかの能力を保持し、以下の通りに定義される:
(1) Fab、抗体分子の一価の抗体結合断片を含む断片であって、原型軽鎖(L)および1つの重鎖(H)の一部を生じるように、抗体全体を酵素パパインで消化することによって産生され得る;
(2) Fab'、抗体分子の断片であって、原型軽鎖および重鎖の一部を生じるように、抗体全体をペプシンで処理し、その後還元することによって得られ得る;抗体分子当たり2つのFab'断片が得られる;
(3) F(ab')2、抗体全体を酵素ペプシンで処理し、次に還元を行わずに得られ得る抗体分子の断片;F(ab')2は、2つのジスルフィド結合によって互いに結合した2つのFab'断片の二量体である;
(4) Fv、2つの鎖として発現する、軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)
を含む遺伝子操作された断片として定義される;および
(5) 一本鎖抗体(SCA)、遺伝子融合した一本鎖分子として適切なポリペプチドリンカーによって結合した、軽鎖可変領域、重鎖可変領域を含む遺伝子操作された断片として定義される。
【0157】
これらの断片を作製する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988を参照されたい)。
【0158】
抗体断片は、抗体のタンパク質分解性加水分解により、または断片をコードするDNAの大腸菌での発現によって調製し得る。抗体断片は、従来法による抗体全体のペプシンまたはパパイン消化によって得られ得る。例えば、ペプシンによる抗体の酵素切断によって抗体断片が産生され、F(ab')2と示される5S断片が提供され得る。この断片をチオール還元剤、および任意でジスルフィド結合の切断によって生じるスルフヒドリル基の保護基によりさらに切断し、3.5S Fab'一価断片が産生され得る。または、ペプシンを用いた酵素的切断により、2つの一価Fab'断片およびFc断片が直接産生される(米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号、ならびにそこに含まれる参考文献;Nisonhoff et al., Arch. Biochem. Biophys. 89:230, 1960;Porter, Biochem. J. 73:119, 1959;Edelman et al., Methods in Enzymology, Vol. 1, page 422, Academic Press, 1967;およびColigan et al. at sections 2.8.1-2.8.10 and 2.10.1-2.10.4を参照のこと)。
【0159】
断片が原型抗体により認識される抗原に結合する限りは、一価の軽-重鎖断片を形成するための重鎖の分離、断片のさらなる切断、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝学的技法等の、抗体を切断する他の方法を用いることもできる。
【0160】
例えば、Fv断片はVH鎖およびVL鎖の会合を含む。この会合は非共有結合であってよい(Inbar et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 69:2659, 1972)。または、可変鎖は分子内ジスルフィド結合により結合し得るか、またはグルタルアルデヒド等の化学物質により架橋され得る。例えば、Sandhu、前記を参照されたい。1つの態様において、Fv断片はペプチドリンカーによって結合したVH鎖およびVL鎖を含む。これらの一本鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドにより結合したVHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することにより調製される。構造遺伝子を発現ベクターに挿入し、次に大腸菌等の宿主細胞に導入する。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一のポリペプチドを合成する。sFvを産生する方法は当技術分野において周知である(Whitlow et al., Methods: a Companion to Methods in Enzymology, Vol. 2, page 97, 1991;Bird et al., Science 242:423, 1988;U.S. Patent No. 4,946,778;Pack et al., Bio/Technology 11: 1271, 1993;およびSandhu, 前記を参照のこと)。
【0161】
抗体断片の別の形は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、関心対象の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得られ得る。そのような遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成することによって調製される(Larrick et al., Methods: a Companion to Methods in Enzymology, Vol. 2, page 106, 1991)。
【0162】
抗体は、免疫抗原として、原型ポリペプチドまたは関心対象の小さなペプチドを含む断片を用いて調製し得る。動物を免疫するために使用するポリペプチドまたはペプチドは、宿主細胞で産生された実質的に精製したポリペプチド、cDNAをインビトロ翻訳したもの、または化学合成し必要に応じて単体タンパク質と結合させたものに由来し得る。ペプチドに化学的に結合させるそのような一般的に使用される単体には、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)、および破傷風トキソイドが含まれる。次に結合したペプチドを用いて、動物(例えば、マウス、ラット、またはウサギ)を免疫する。
【0163】
例えば、抗体を産生させたポリペプチドまたはペプチドを結合した基質に結合させ基質から溶出することにより、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体をさらに精製することができる。当業者は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を精製および/または濃縮するための、免疫学において一般的な様々な技法を理解していると考えられる(例えば、Coligan et al., Unit 9, Current Protocols in Immunology, Wiley Interscience, 1991を参照のこと)。
【0164】
エピトープを模倣するモノクローナル抗体を産生させるために、抗イディオタイプ技術を使用することも可能である。例えば、第1モノクローナル抗体に対して作製された抗イディオタイプモノクローナル抗体は、超可変領域内に、第1モノクローナル抗体が結合するエピトープの「像」である結合ドメインを有することになる。
【0165】
様々な放射線診断化合物、放射線治療化合物、標識(例えば、酵素または蛍光分子)薬剤、毒素、および他の薬剤の抗体への結合に関して報告されている多くの方法を考慮し、当業者は抗体または他のポリペプチドに所与の薬剤を結合させる適切な方法を決定し得ると考えられる。
【0166】
1つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドと結合する抗体を用いて、対象が砂バエによって刺咬されたかどうかを評価することができる。1つの具体的な限定されない例では、ヒトまたはイヌ等の関心対象の対象から試料を採取する。試料は体液(例えば、血液、血清、尿、唾液等)であっても、または組織生検試料であってもよい。試料またはその画分を抗体と接触させ、抗体が抗原-抗体複合体を形成する能力を評価する。当業者は、抗原-抗体複合体の形成を容易に検出し得る。例えば、ELISA法、ウェスタンブロット法、または放射性免疫アッセイ法を用いることができる。
【0167】
免疫原性組成物、ワクチン、および使用法
免疫原性組成物およびワクチンを本明細書に開示する。1つの態様において、免疫原性組成物およびワクチンはポリペプチドを含む。別の態様において、免疫原性組成物およびワクチンは、ウイルスベクターまたはプラスミド等の組換えベクターを含む。対象に投与した場合、そのような免疫原性組成物またはワクチンにより、砂バエの唾液タンパク質に対する免疫応答が起こり、驚いたことにリーシュマニア症症状の軽減およびリーシュマニア寄生虫負荷の減少という結果が起こる。したがって、理論に縛られることなく、唾液タンパク質に対して起こるTh1応答等の細胞応答が、間接的にリーシュマニア寄生虫を殺し得る。例えば、Th1型応答により、Th1との関連において、マクロファージによるリーシュマニア抗原の取り込みおよびT細胞への抗原提示が可能になる。Th1応答の誘導により、抗リーシュマニア免疫応答が生じ得るか、または後の感染に応答する抗リーシュマニア免疫に関して哺乳動物宿主の免疫系が初回抗原刺激され得る。
【0168】
一つの態様において、免疫原性の組成物またはワクチンは、本明細書に開示された少なくとも1つのLu.ロンギパルピスポリペプチドの有効な量を含む。免疫原性の組成物およびワクチンは、薬学的に許容される賦形剤および/またはアジュバントを含むことができる。一つの態様において、免疫原性の組成物またはワクチンは、

に記載されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、これらのポリペプチドの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%相同的なポリペプチド、保存された変種、相同体、またはこれらのポリペプチドのうちの1つの少なくとも8もしくは少なくとも10の連続したアミノ酸を含む免疫原性断片、またはこれらのポリペプチドの組み合わせを含む。1つの特異的な、非限定的な例において、免疫原性の組成物またはワクチンは、

に記載されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特異的な、非限定的な例において、免疫原性の組成物は、

に記載された配列を有するポリペプチドを含む。
【0169】
一つの態様において、免疫原性の組成物は、本明細書に開示したポリペプチドのうちの2、3、4、5、6、10以上などの複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドを含む。従って、免疫原性の組成物は、

に記載されたアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%相同なポリペプチド、保存された変種、相同体、またはこれらのポリペプチドのうちの1つの少なくとも8もしくは少なくとも10の連続したアミノ酸を含む免疫原性断片、および任意で、

に記載されたアミノ酸配列を有するもう一つのポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%相同なポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つの保存された変種、または相同体、またはこれらのポリペプチドのうちの1つの少なくとも8もしくは少なくとも10の連続したアミノ酸を含む免疫原性断片を含む。
【0170】
特異的な非限定的な例において、免疫原性の組成物は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:39に記載された配列を有するアミノ酸、これらのポリペプチドのうちの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%相同なポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つの保存された変種、または相同体、またはこれらのポリペプチドのうちの1つの少なくとも8もしくは少なくとも10の連続したアミノ酸、またはこれらのポリペプチドの組み合わせを含む免疫原性断片を含む。従って、免疫原性の組成物は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:39に記載された配列を有するポリペプチドを含むことができる。これらの組成物は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:55、またはSEQ ID NO:59に記載された配列を有するポリペプチド、およびSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:39に記載された配列を有するポリペプチドを含む免疫原性の組成物を含むが、これらに限定されない。
【0171】
免疫原性の組成物またはワクチンは、薬学的に許容される賦形剤および/またはアジュバントを含むことができる。
【0172】
もう一つの態様において、免疫原性の組成物またはワクチンは、1つもしくは複数のユウガイサシチョウバエポリペプチドおよび/または1つもしくは複数のP.アリアシポリペプチドと組み合わせて、少なくとも1つのLu.ロンギパルピスポリペプチドの有効な量を含む。これらのポリペプチド配列は、2002年9月19日に出願のU. S. Patent Application No. 60/412,327、2002年11月12日に出願のU. S. Patent Application No. 60/425,852、および2003年9月18日に出願のPCT Application No. PCT/US03/29833に開示されており、これらは、参照として本明細書に組み入れられる。
【0173】
一つの態様において、免疫原性の組成物またはワクチンは、本明細書に開示された少なくとも1つのLu.ロンギパルピスポリペプチドを発現する組換えベクターおよび薬学的に許容される媒体または賦形剤の有効な量を含む。1つの特異的な非限定的な例において、組換えベクターは、

に記載されたアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、これらの保存された変種、相同体、免疫原性断片、または融合タンパク質をコードする。1つの特異的な非限定的な例において、ベクターは、

に記載された配列を有するポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%相同なポリペプチド、これらの保存された変種、相同体、免疫原性断片、または融合タンパク質をコードする。いくつかの実施例において、ベクターは、

に記載された配列を有する1つまたは複数のポリペプチドをコードする。また、ベクターは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:39に記載された配列を有するポリペプチドを選択的にコードすることができる。
【0174】
免疫原性の組成物は、P.アリアシポリペプチドおよび/またはユウガイサシチョウバエポリペプチド(U.S. Provisional Application No. 60/412,327を参照されたい、これは、その全体が本明細書に参照として組み入れられる)をコードする核酸配列を含む。一つの態様において、

に記載されたアミノ酸配列を有するLu.ロンギパルピスポリペプチド、これらの保存された変種、相同体、免疫原性の断片、もしくは融合タンパク質は、P.アリアシポリペプチドおよび/またはユウガイサシチョウバエポリペプチドと同じ組換えベクターによってコードされる。もう一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチド、P.アリアシポリペプチドおよび/またはユウガイサシチョウバエポリペプチドは、異なる組換えベクターによってコードされる。
【0175】
筋肉内(IM)、皮内(ID)、皮下(SC)、または静脈内注射等の当業者に周知の任意の手段により(Banga, A., “Parenteral Controlled Delivery of Therapeutic Peptides and Proteins,” Therapeutic Peptides and Proteins, Technomic Publishing Co., Inc., Lancaster, PA, 1995を参照のこと)、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを投与することができるが、経口、経鼻、または経肛門投与も包含される。1つの態様において、投与は、無針注射器(Biojector(商標)、Bioject、米国、オレゴン州)を用いた皮下、皮内、または筋肉内注射による。
【0176】
応答を促進するためにペプチドまたはタンパク質を利用できる時間を延ばすため、体内埋植、油性注射、または粒子系としてペプチドまたはタンパク質を提供し得る。粒子系は、微粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、または類似の粒子であってよい(例えば、Banja、前記を参照のこと)。合成高分子に基づく粒子性担体は、放出制御の提供に加えて、免疫応答を増強させるためのアジュバントとしても作用することが示されている。アルミニウム塩もまた、体液性免疫応答を起こすためのアジュバントとして使用し得る。したがって、1つの態様において、体液性応答を誘導する様式で、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを投与する。
【0177】
別の態様では、体液性(抗体)応答よりもむしろ細胞性応答(すなわちCTL応答)に向けて免疫応答を指示する様式で、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを投与する。インビトロおよびインビボで細胞応答を誘導する多くの手段が周知である。脂質は、様々な抗原に対するインビボでのCTLの初回刺激を補助し得る薬剤として同定されている。例えば、U.S. Patent No. 5,662,907号に記載されているように、パルミチン酸残基をリジン残基のαおよびεアミノ基に結合し、次いでこれを免疫原性ペプチドに結合することができる(グリシン、グリシン-グリシン、セリン、セリン-セリン等の1つまたは複数の連結残基を介して)。次に、脂質化したペプチドを、ミセル型で直接投与する、リポソームに組み入れる、またはアジュバント内に乳化することができる。別の例として、適切なペプチドに共有結合されている場合、トリパルミトイル-S-グリセリルシステイニルセリル-セリン等の大腸菌リポタンパク質を用いて、腫瘍特異的CTLを初回刺激することができる(Deres et al., Nature 342, 561, 1989を参照のこと)。さらに、適切なエピトープを示すペプチドに結合させた同様の分子により中和抗体の誘導が刺激されるため、2つの組成物を組み合わせて、望ましいと考えられる、体液媒介性応答および細胞媒介性応答の両方を誘発することができる。
【0178】
さらに別の態様では、本開示のポリペプチドにMHCクラスII限局的Tヘルパーエピトープを付加し、Tヘルパー細胞が微小環境においてサイトカインを分泌してCTL前駆細胞を活性化するのを誘発する。この技法はさらに、注射部位に構築物を数日間保持して注射部位に抗原を局在化させ、一定期間にわたって樹状細胞または他の「プロフェッショナル」抗原提示細胞への抗原の近接を増大させるために、短い脂質分子を添加する段階を含む(Chesnut et al., “Design and Testing of Peptide-Based Cytotoxic T-Cell-Mediated Immunotherapeutics to Treat Infectious Diseases and Cancer,” Powell, et al., (eds.), Vaccine Design, the Subunit and Adjuvant Approach, Plenum Press, New York, 1995を参照のこと)。
【0179】
本開示による免疫原性組成物またはワクチンは、薬学および獣医学分野の当業者に周知である標準的な技法に従い調製し得る。そのような組成物は、医学および獣医学分野の当業者に周知の技法により、年齢、性別、体重、種、および特定の対象の状態等の要因、ならびに投与経路を考慮した投与量で投与し得る。免疫原性組成物またはワクチンは、単独で、またはアジュバントおよび/もしくは他の抗原と組み合わせて投与することができる。他の抗原はリーシュマニア抗原であってよい。1つの態様において、リーシュマニア抗原は、小児リーシュマニア(L. infantum)由来のA2抗原(公開PCT特許出願第WO 95/06729号、および詳細にはSEQ ID NO:2に示される配列を参照のこと)等のA2抗原である。他の抗原は、タンパク質としてもしくはその免疫断片(例えばエピトープ)として、または発現ベクター(例えば、組換えウイルスベクター、組換えプラスミド、詳細にはpVR1012(Vical Inc.;Hartikka J. et al., Human Gene Therapy 7:1205-1217, 1996))内の挿入物として組成物中に存在し得る。
【0180】
本開示による任意の免疫原性組成物、ワクチン、または治療組成物をアジュバントと混合することができる。
【0181】
ポリペプチドに基づく組成物:
いくつかの態様において、本開示によるポリペプチドに基づく免疫原性組成物およびワクチンは、(1) ビタミンE、サポニン(例えばQuil A(商標)、QS21(商標))、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム(Micheal F. Powell and Mark J. Newmanの編集による“Vaccine Design, The subunit and adjuvant approach,” Pharmaceutical Biotechnology, vol. 6, 1995, Plenum Press, New York)、(2) アクリル酸またはメタクリル酸重合体、無水マレイン酸およびアルケニル誘導体の重合体、(3) 免疫活性化配列(ISS)、詳細には1つまたは複数の非メチル化CpG基を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド配列(Klinman D. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:2879-2883, 1996;公開PCT出願第WO 98/16247号)と共に製剤化するか、(4) 水中油型乳剤、詳細にはM. Powell and M. Newmanの編集による“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach,” Plenum Press, の147ページに記載されているSPT乳剤および同じ本の183ページに記載されている乳剤MF59の形で、免疫原性またはワクチン調製物を製剤化するか、(5) サイトカイン、 または(6)それらの組み合わせもしくは混合物と共に製剤化する。
【0182】
GM-CSF(granulocyte-macrophage cology stimulating factor)またはTh1を誘導するサイトカイン(例えばIL12)を含むがこれらに限定されないサイトカイン(5)を、組成物に添加し得る。これらのサイトカインはすべて、タンパク質としてまたはこのサイトカインタンパク質をコードするベクターとして添加することができる。1つの態様において、サイトカインはイヌ起源、例えば遺伝子配列がGenBankデータベースに寄託されている(アクセッション番号S49738)イヌGM-CSFである。この配列を用いて、公開PCT特許出願第WO 00/77210号で行われているのと類似した様式でベクターを作製することができる。
【0183】
1つの具体的な限定されない例において、アジュバントは2つまたはそれ以上の乳化剤、ミセル形成剤、および油を含む。適切な乳化剤、ミセル形成剤、および油は、その全体が参照として組み入れられるU.S. Patent No. 5,585,103;No. 5,709,860;No. 5,270,202;およびNo. 5,695,770に詳述されている。乳化剤とは、乳剤の成分を安定な乳剤として維持し得る任意の分子である。そのような乳化剤には、ポリソルベート80(ソルビタン-モノ-9-オクタデセノエート-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル);ICI Americas製、デラウェア州、ウイルミントン)、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート85、ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、TEEPOL HB7(商標)、およびSPAN 80(商標)、SPAN 85(商標)、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化ヒマシ油(水素化または非水素化)が含まれる。1つの態様において、これらの乳化剤は、約0.05〜約0.5%の量で提供される。別の態様において、これらの乳化剤は約0.2%の量で提供される。ミセル形成剤とは、ミセル様構造が形成されるように、他の成分と共に形成される乳剤を安定化し得る薬剤である。
【0184】
そのような薬剤の例には、例えばSchmolka, J. Am. Oil. Chem. Soc. 54:110, 1997およびHunter et al., J. Immunol. 129:1244, 1981といったBASF Wyandotte出版物により記載されている高分子界面活性剤、プルロニック(商標) L62LF、L101、L121、およびL64、PEG1000、ならびにテトロニック(商標) 1501、150R1、701、901、1301、および130R1が含まれる。そのような薬剤の化学構造は当技術分野において周知である。1つの態様において、薬剤は、Hunter and Bennett, J. Immun. 133:3167, 1984により定義されるように、約0〜約2の親水性・親油性バランス(HLB)を有するように選択される。1つの態様において、薬剤は例えば約0.5〜約10%という有効量で提供され得る。別の態様において、薬剤は例えば約1.25〜約5%という有効量で提供され得る。
【0185】
1つの態様において、組成物に含まれる油は、抗原の水中油型乳剤中への保持を促進するように、すなわち所望の抗原のための賦形剤を提供するように選択される。別の態様において、油は、乳剤が室温(約20℃〜約25℃)で形成されるか、または乳剤の温度がいったん室温にまで下げられるように、約65℃未満の融解温度を有する。
【0186】
水中油型乳剤中(4)は、詳細には、軽質流動パラフィン油(欧州薬局法型);スクアラン、スクアレン、EICOSANE(商標)、またはテトラテトラコンタン等のイソプレノイド油;アルケン、詳細にはイソブテンまたはデセンのオリゴマー形成によって生じる油;直鎖アルキル基を含む酸またはアルコール、より詳細には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ(カプリル酸/カプリン酸)、グリセリルトリ(カプリル酸/カプリン酸)、またはプロピレングリコールジオレイン酸のエステル;分枝脂肪酸またはアルコールのエステル、詳細にはイソステアリン酸エステルに基づき得る。油を乳化剤と組み合わせて使用し、乳剤を形成させる。いくつかの態様において、乳化剤は、非イオン性界面活性剤、詳細には任意でエトキシル化した、ソルビタン、マンニド(mannide)(無水マンニトールオレイン酸)、グリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、またはヒドロキシステアリン酸のエステル、およびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン共重合体ブロック、詳細にはPluronic(登録商標)製品、特にL121である。1つの具体的な限定されない例において、油は約1〜60%の量で提供される。別の具体的な限定されない例において、油は約5〜30%の量で提供される。1つの態様において、アジュバントは、Provax(登録商標)(IDEC Pharmaceuticals、カリフォルニア州、サンディエゴ)という名称で入手できる、乳化剤、ミセル形成剤、および油の混合物である。
【0187】
アクリル酸またはメタクリル酸重合体(2)は、詳細には糖類またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルで架橋することができる。これらの化合物は「カルボマー」という名称で知られている(Pharmeuropa, Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者には、少なくとも3つの水酸基を含むポリヒドロキシル化化合物で架橋したそのようなアクリル酸重合体について記載している、U.S. Patent No. 2,909,462(参照として組み入れられる)も参照されたい。1つの態様において、ポリヒドロキシル化化合物は、8個未満の水酸基を含む。別の態様において、少なくとも3つの水酸基の水素原子は、少なくとも2つの炭素原子を含む不飽和脂肪族ラジカルで置換される。他の態様において、ラジカルは、約2〜約4個の炭素原子、例えばビニル、アリル、および他のエチレン性不飽和基を含む。不飽和ラジカルはそれ自体、メチル等の他の置換基を含み得る。Carbopol(登録商標)(Noveon Inc., 米国、オハイオ州)の名称で販売されている製品は、特に適している。これらは、アリルショ等またはアリルペンタエリスリトールで架橋されている。これらの中で、製品Carbopol(登録商標) 974P、934P、および971Pに言及する。
【0188】
無水マレイン酸およびエチレンの共重合体であるEMA(登録商標)製品(Monsanto)等の無水マレイン酸およびアルケニル誘導体の共重合体は、直鎖状であってもまたは架橋されていてもよく、例えばジビニルエーテルで架橋されるている。J. Fields et al., Nature 186:778-780, 1960(参照として組み入れられる)を参照されたい。1つの態様において、アクリル酸またはメタクリル酸重合体およびEMA(登録商標)製品は、以下の式に基づいた単位で形成される:

式中:
- R1およびR2は同一でもまたは異なってもよく、HまたはCH3を示す
- x = 0または1であり、1つの態様においてはx = 1である
- y = 1または2であり、x + y = 2を満たす
【0189】
EMA(登録商標)製品では、x = 0かつy = 2である。カルボマーでは、x = y = 1である。
【0190】
1つの態様において、水中でのこれらの重合体の溶解により酸性溶液が得られ、免疫原性組成物またはワクチン自体が取り込まれたアジュバント溶液を被験体に提供するために、これを生理的pHに中和する。その結果、重合体のカルボキシル基は、一部COO-の形である。
【0191】
1つの態様において、アジュバント、特にカルボマーの溶液は蒸留水で調製する。別の態様において、アジュバント、特にカルボマーの溶液は塩化ナトリウムの存在下で調製し、溶液は酸性pHで得られる。別の態様では、NaClを添加した所望量の水に(所望の最終濃度が得られるように)この保存溶液またはその実質的部分を添加することにより、これを希釈する。さらに別の態様では、所望量の生理食塩水(NaCl 9g/l)に、付随物または次の中和剤(pH 7.3〜7.4)と共に保存溶液をいくつかの部分で一度に添加することによって、これを希釈する。1つの態様において、保存溶液はNaOHで中和する。生理的pHであるこの溶液は、免疫原性組成物またはワクチンと混合して使用し、凍結乾燥、液体、または凍結形態で保存し得る。
【0192】
1つの態様において、最終的なワクチン組成物中の重合体濃度は、約0.01%〜約1.5% W/Vである。別の態様において、最終的なワクチン組成物は約0.05%〜約1% W/Vである。さらに別の態様において、最終的なワクチン組成物は約0.1%〜約0.4% W/Vである。
【0193】
脂質は、さまざまな抗原に対する免疫応答を促進し得る薬剤として同定されている。例えば、U.S. Patent No. 5,662, 907に記載されているように、パルミチン酸残基をリジン残基のαおよびεアミノ基に結合し、次いでこれを免疫原性ペプチドに結合することができる(グリシン、グリシン-グリシン、セリン、セリン-セリン等の1つまたは複数の連結残基を介して)。次に、脂質化したペプチドを、ミセル型で直接投与する、リポソームに組み入れる、またはアジュバント内に乳化することができる。別の例として、トリパルミトイル-S-グリセリルシステイニルセリル-セリン等の大腸菌リポタンパク質を用いることができる。
【0194】
応答を促進するためにペプチドまたはタンパク質を利用できる時間を延ばすため、体内埋植、油性注射、または粒子系としてペプチドまたはタンパク質を提供し得る。粒子系は、微粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、または類似の粒子であってよい(例えば、Banja、前記を参照のこと)。合成高分子に基づく粒子性賦形剤は、放出制御の提供に加えて、免疫応答を増強させるためのアジュバントとしても作用することが示されている。
【0195】
プラスミドに基づく組成物:
1つの態様において、プラスミドに基づく組成物は、陽イオン性脂質、詳細には以下の式を有する四級アンモニウム塩を含む陽イオン性脂質と共に製剤化する:

式中、R1は12〜18個の炭素原子の飽和または不飽和直鎖状脂肪族ラジカルであり、R2は2〜3個の炭素原子を含む別の脂肪族ラジカルであり、Xは水酸基またはアミノ基である。
【0196】
1つの態様において、DMRIE(N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアンモニウム;公開PCT出願第WO 96/34109号)が陽イオン性脂質である。別の態様では、DMRIE-DOPEを形成するために、陽イオン性脂質は、例えばDOPE(ジオレイル-ホスファチジル-エタノールアミン;Behr J. P., Bioconjugate Chemistry 5:382-389, 1994)といった中性脂質と会合している。さらに別の態様では、投与の約10分〜約60分前に混合物を即時に作製する。別の態様では、投与の約30分前に混合物を即時に作製する。1つの態様において、DMRIE-DOPEのモル比は約95/5〜約5/95である。別の態様において、DMRIE-DOPEのモル比は約1/1である。1つの態様において、プラスミド/DMRIEまたはDMRIE-DOPEアジュバントの重量比は約50/1〜約1/10である。別の態様において、プラスミド/DMRIEまたはDMRIE-DOPEアジュバントの重量比は約10/1〜約1/5である。さらに別の態様において、プラスミド/DMRIEまたはDMRIE-DOPEアジュバントの重量比は約1/1〜約1/2である。
【0197】
1つの態様では、ポリペプチドに基づく組成物について上記したように、サイトカインまたは非メチル化CpG基を組成物に添加する。添加は、サイトカインをコードするプラスミドにより有利に行われ得る。
【0198】
ウイルスベクターに基づく組成物:
組換えウイルスベクターに基づく組成物に、fMLP(N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン;U.S. Patent No. 6,017,537)、および/またはポリペプチドに基づく組成物について上記したようなアクリル酸もしくはメタクリル酸重合体アジュバントを補充することができる。組成物はまた、上記のような乳剤と共に製剤化してもよい。
【0199】
1つの態様では、ポリペプチドに基づく組成物について上記したように、サイトカイン、非メチル化CpG基、または乳剤を組成物に添加する。添加は、そのようなサイトカインをコードするウイルスベクターにより有利に行われ得る。
【0200】
本開示による免疫原性組成物およびワクチンは、製剤化した形態で5℃にて、または凍結乾燥した形態で保存および貯蔵する。1つの態様において、本開示による免疫原性組成物およびワクチンは、安定剤と共に製剤化した形態で5℃にて、または凍結乾燥した形態で保存および貯蔵する。凍結乾燥は、周知の標準的な凍結乾燥手順によって行い得る。薬学的に許容される安定剤は、SPGA(ショ等・リン酸・グルタミン酸・アルブミン)(Bovarnic et al., J. Bacteriology 59:509, 1950)、炭水化物(例えば、ソルビトール、マンニトール、ラクトース、ショ等、グルコース、デキストラン、トレハロース)、グルタミン酸ナトリウム(Tsvetkov T. et al., Cryobiology 20(3):318-23, 1983;Israeli E et al., Cryobiology 30(5):519-23, 1993)ペプトン、アルブミン、またはカゼイン等のタンパク質、スキムミルク等の薬剤を含むタンパク質(Mills CK et al., Cryobiology 25(2):148-52, 1988;Wolff E. et al., Cryobiology 27(5):569-75, 1990)、および緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、アルカリ金属リン酸緩衝液)であってよい。アジュバントを用いて、可溶性の凍結乾燥調製物を作製することができる。
【0201】
免疫法
本開示により、対象においてルツォーミア砂バエポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法が提供される。本開示によりさらに、対象においてリーシュマニア症を阻害または予防する方法が提供される。
【0202】
これらの方法は、本開示による少なくとも1つの免疫原性組成物またはワクチンの投与を含む。
【0203】
本開示による免疫原性組成物またはワクチンは、薬学および獣医学分野の当業者に周知である標準的な技法に従い調製し得る。そのような組成物は、医学および獣医学分野の当業者に周知の技法により、年齢、性別、体重、種、および特定の対象の状態等の要因、ならびに投与経路を考慮した投与量で投与し得る。
【0204】
2種以上の投与が必要とされる場合、投与は同時に(例えば、同じもしくは異なる経路を介して同じ期間に異なる組成物を提供するか、または異なる経路を介して同じ期間に同じ組成物を提供する)または連続して(例えば、同じまたは異なる経路を介して、少なくとも2回、同じまたは異なる組成物を提供する)行い得る。1つの態様において、2つの連続した投与間の遅延時間は約1週間〜約6ヶ月である。別の態様において、遅延時間は約3週間〜約6週間である。さらに別の態様において、遅延時間は約4週間である。ワクチン接種した後、年に1度、追加免疫投与を行ってもよい。プライム・ブーストワクチン接種計画では有利に、プラスミドによりおよびウイルスベクターによりコードされてどちらにも同じLu.ロンギパルピス唾液ポリペプチドが存在する条件において、本開示によるプラスミドを含む組成物を用いて少なくとも1回の初回刺激投与を行い、その後に本開示による組換えウイルスベクターを含む組成物を用いて少なくとも1回の追加免疫投与を行い得る。または、初回刺激投与プラスミドによってコードされておよび追加免疫のポリペプチドに基づく組成物中に、同じLu.ロンギパルピス唾液ポリペプチドが存在する条件において、本開示によるポリペプチドを含む組成物を用いて追加免疫投与を行い得る。
【0205】
そのような組成物において、抗原は、滅菌水、生理食塩水、グルコース等の適切な賦形剤または添加剤との混合物中にあってよい。組成物は、所望の投与経路および調製物に応じて、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、アジュバント、ゲル化添加剤または増粘添加剤、保存剤、着香剤、色素等の等の補助剤を含み得る。必要以上に実験を行うことなく、本明細書に参照として組み入れられるRemington's Pharmaceutical Science, 17th edition, 1985等の標準的な教科書を参考にして適切な調製物を調製し得る。組成物は、凍結乾燥してもよい。
【0206】
適切な用量は、以下の例に基づいても決まり得る。ペプチドに基づく組成物の場合、投与経路はID、IM、またはSC、静脈内、経口、経鼻、または経肛門であってよい。この投与は、注射器および針で、または例えばBiojector(商標)(Bioject、米国、オレゴン州)のような無針器具で行い得る。いくつかの態様において、ポリペプチド用量は、約1〜250μg/ml、約15〜約150μg/用量、または約20〜約100μg/用量であってよい。別の態様において、無針器具を用いた場合、投与容量は約0.1 ml〜約0.5 mlであってよい。さらに別の態様において、無針器具を用いた場合、投与容量は約0.25 mlであってよい。複数点での注射による投与が好ましい。1つの態様において、注射器および針を用いた従来の注射では、容量は約0.1〜約2 mlである。別の態様において、注射器および針を用いた従来の注射では、容量は約0.5〜約1 mlである。
【0207】
プラスミドに基づく組成物の場合、投与経路はID、IM、SC、静脈内、経口、経鼻、または経肛門であってよい。この投与は、注射器および針で、または例えばBiojectorのような無針器具で行い得る。用量は、プラスミド当たり約50μg〜約500μgである。DMRIE-DOPEを添加する場合、プラスミド当たり約100μgが好ましい。1つの態様において、イヌGM-CSFまたは他のサイトカインを用いる場合、このタンパク質をコードするプラスミドは、約200μg〜約500μgの用量で存在する。別の態様において、このタンパク質をコードするプラスミドは約200μgの用量で存在する。1つの態様において、無針器具を用いた場合、投与容量は約0.1 ml〜約0.5 mlである。別の態様において、投与容量は約0.25 mlである。さらに別の態様では、複数点での注射により投与が行われる。1つの態様において、注射器および針を用いた従来の注射では、容量は約0.1〜約2である。別の態様において、容量は約0.5〜約1 mlである。用量は上記と同様である。
【0208】
組換えウイルスベクターに基づく組成物の場合、投与経路はID、IM、SC、静脈内、経口、経鼻、または経肛門であってよい。この投与は、注射器および針で、または例えばBiojector(商標)のような無針器具で行い得る。用量は、組換えポックスウイルスベクター当たり約103 pfu〜約109 pfuである。1つの態様において、ベクターがカナリア痘ウイルスである場合、用量は約105 pfu〜約109 pfuである。別の態様において、投与量は約106 pfu〜約108 pfuである。1つの態様において、無針器具用量の容量は約0.1 ml〜約0.5 mlである。別の態様において、無針器具用量の容量は0.25 mlである。さらに別の態様では、複数点での注射により投与が行われる。1つの態様において、注射器および針を用いた従来の注射では、容量は約0.1〜約2 mlである。別の態様において、容量は約0.5〜約1 mlである。用量は上記と同様である。1つの態様において、針付き注射器を用いる場合、注射はIMである。
【0209】
プライムブースト投与計画に有利なように、プラスミドに基づく組成物を用いて初回刺激投与を行い、ウイルスベクターに基づく組成物を用いて追加免疫投与を行う。1つの態様において、追加免疫投与はカナリア痘ベクターを用いて行う。初回刺激投与および追加免疫投与のどちらも、少なくとも1つの同じLu.ロンギパルピス唾液抗原および任意でリーシュマニアA2抗原を含む。プラスミドおよび組換えウイルスベクターの用量は、上記と同様である。任意で、追加免疫投与はポリペプチドに基づく組成物を用いて行うことができる。この場合ポリペプチドの用量は、約1〜250μg/ml、約15〜約150μg/用量、または約20〜約100μg/用量である。
【0210】
核酸構築物による免疫は当技術分野において周知であり、例えば、U.S. Patent No. 5,643,578(細胞性または体液性応答を誘発するために所望の抗原をコードするDNAを導入することによる、脊椎動物を免疫する方法について記載)、ならびにU.S. Patent No. 5,593,972およびU.S. Patent No. 5,817,637(抗原をコードする核酸の、発現を可能にする制御配列への機能的結合について記載)に記載されている。U.S. Patent No. 5,880,103は、免疫原性ペプチドまたは他の抗原をコードする核酸を生物に送達するいくつかの方法について記載している。方法には、核酸(または合成ペプチド自体)のリポソーム送達、およびコレステロールとQuil A(商標)(サポニン)を混合した際に自然に形成される30〜40 nmの大きさの負に荷電したケージ様構造である免疫活性化構築物またはISCOMS(商標)が含まれる。抗原の送達媒体としてISCOMS(商標)を使用し、トキソプラスマ症およびエプスタイン・バーウイルス誘導性腫瘍を含む感染の様々な実験モデルにおいて、防御免疫がもたらされている(Mowat and Donachie, Immunol. Today 12:383, 1991)。ISCOMS(商標)にカプセル化した1μg程度に低い抗原用量で、クラスI媒介性CTL応答が起こることが見出されている(Takahashi et al., Nature 344:873, 1990)。
【0211】
免疫に核酸を用いる別のアプローチでは、Lu.ロンギパルピスポリペプチド、またはそれらの免疫原性断片を、弱毒化ウイルス宿主もしくはベクターまたは細菌ベクターにより発現させ得る。組換えワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV) ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、または他のウイルスベクターを用いてペプチドまたはタンパク質を発現させ、それによりCTL応答を誘発することができる。例えば、免疫手順において有用なワクシニアベクターおよび方法は、U.S. Patent No. 4,722,848に記載されている。BCG(カルメット・ゲラン桿菌)により、ペプチドを発現させるための別のベクターが提供される(Stover, Nature 351:456-460, 1991を参照のこと)。
【0212】
1つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチド、またはそれらの免疫原性ペプチドをコードする核酸は、細胞に直接導入する。例えば、標準的技法により核酸を金微粒子に付着させ、Bio-RadのHelios(商標)遺伝子銃等の装置によりこれを皮膚に導入する。Bioinjector2000(商標)等の無針注射器を利用することもできる。核酸は、強力なプロモーターの調節下にあるプラスミドからなる「裸」であってよい。典型的にDNAは筋肉内に注射するが、他の部位に直接注射することもできる。注射の例示的な用量は約0.5μg/kg〜約50 mg/kgであり、典型的には0.005 mg/kg〜約5 mg/kgである(例えばU.S. Patent No. 5,589,466を参照のこと)。1つの態様において、免疫にはプライム・ブースト法を利用する。したがって、1つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドをコードする核酸を対象に投与し、その後リーシュマニアの弱毒化型または不活化型で免疫する。
【0213】
本明細書で開示する免疫原性組成物およびワクチンは、予防および治療処置のために投与し得る。治療への適用では、リーシュマニア症等の疾患を患う対象に、疾患または疾患の徴候もしくは症状を治癒するまたは少なくとも部分的に抑止するのに十分な治療有効量の組成物を投与する。この使用に関して有効な量は、疾患の重症度および対象の健康の全身状態に依存することになる。化合物の有効量とは、症状の自覚的軽減、または臨床医もしくは資格のある観察者によって認められるような客観的に同定され得る改善を提供する量である。
【0214】
対象により必要とされるまたは許容される用量および頻度に応じて、組成物の単回または複数回の投与を行う。1つの態様では、大量瞬時投与として用量を1度に投与するが、別の態様では、治療結果が得られるまで定期的に用量を投与し得る。一般に、用量は、対象において容認できない毒性をもたらすことなく、疾患の症状または徴候を治療または寛解するのに十分である。
【0215】
上記したように、組成物の用量は、体重、年齢、性別、および投与法に依存して変動する。用量はまた、特定の状況に基づいて要請される個々の医師によって調整され得る。組成物は、必須の薬学的に許容される担体または希釈剤(すなわち、担体または賦形剤)と共同して所望の治療効果または免疫原性効果をもたらすように算出された所定量の活性物質としての活性組成物を含むワクチンとして、従来通りに投与し得る。例えば、約50μgの本開示のDNA構築物ワクチンを2週間間隔で皮内に3回注射し、所望の治療効果または免疫原性効果をもたらすことが可能である。別の態様においては、約1 mg/Kg用量の本開示のタンパク質ワクチンを2週間間隔で皮内に3回注射し、所望の治療効果または免疫原性効果をもたらすことが可能である。
【0216】
Lu.ロンギパルピスポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含むワクチンを、本明細書において提供する。ヒトまたは家畜対象等の対象へのワクチン投与により、リーシュマニアによる感染に対する抵抗性がもたらされる。1つの態様において、対象はヒト対象である。別の態様において、対象はイヌ等のイヌ科動物対象である。
【0217】
リーシュマニア感染症の診断のための方法およびキット
抗リーシュマニアDTH反応転換を経験した個体は、Lu.ロンギパルピスポリペプチド唾液タンパク質に対する抗体を増加させることが本明細書に開示される。従って、Lu.ロンギパルピスポリペプチド唾液タンパク質に対する抗体の有無は、被検体がリーシュマニア感染症を有するかどうかを確認するために使用することができる。
【0218】

に記載されたアミノ酸配列を有する1つもしくは複数のポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つに対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%相同なポリペプチド、これらのポリペプチドのうちの1つの保存された変種、相同体、または免疫原性断片に特異的に結合する抗体の存在を検出することによってリーシュマニアへの感染を診断するための方法が本明細書に開示される。本方法は、単一のLu.ロンギパルピスポリペプチドまたはこれらのポリペプチドの組み合わせを利用することができる。特定の例において、診断の方法は、これらのポリペプチドの少なくとも3、6、もしくは10、またはこれらの免疫原性断片に特異的に結合する抗体を検出する。
【0219】
一つの態様において、1つまたは複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドは、固形基体に結合することができる。たとえば、

に記載されたアミノ酸配列を有するLu.ロンギパルピスポリペプチドを基体に結合することができる。より多くのこれらのポリペプチドのうちの1つ、たとえばこれらのポリペプチド、またはこれらの免疫原性断片のうちの少なくとも3、6、もしくは10を基体に結合することができる。一つの例において、

の1つに記載された配列を有する1つまたは複数のポリペプチドを基体に結合することができる。もう一つの例において、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:39の1つに記載された配列を有する1つまたは複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドを基体に結合することができる。一つの特異的な非限定的な例において、少なくとも6つのLu.ロンギパルピスポリペプチドであって、各々のポリペプチドは、

に記載されたアミノ酸配列、またはこれらの免疫原性の断片を含むポリペプチドを固形基体に結合する。もう一つの特異的な、非限定的な例において、少なくとも3つのLu.ロンギパルピスポリペプチドであって、各々のポリペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:39に記載されたアミノ酸配列、またはこれらの免疫原性の断片を含むポリペプチドを固形基体に結合する。
【0220】
一つの態様において、2つ以上(たとえば少なくとも3、6、または10)のLu.ロンギパルピスポリペプチド(または、これらの免疫原性断片)を固形基体に対して、たとえば「ドットブロット」アッセイ法などの一連の「ドット」として適用する。もう一つの態様において、2つ以上のLu.ロンギパルピスポリペプチドを線上アレイなどの基体に適用する。さらなる態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドを二次元アレイの膜に適用する。このように、複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドに対する抗体の存在が評価される。それぞれのLu.ロンギパルピスポリペプチドは、膜の単一の位置の、または組み合わせた位置の表面に直接適用することができる。
【0221】
固形基体は、ポリスチレンビーズ、膜、チップ、またはプレートであることができる。プラスチックまたはガラス基体を利用することができる。その他の態様において、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、およびその他の多孔質ポリマーなどの多孔質材料から成る膜が利用される。固体担体の表面は、担体に対してポリペプチドの共有結合を生じさせる化学プロセスによって活性化されていてもよい。しかし、固体担体にポリペプチドを固定するために、イオン相互作用、疎水的相互作用、共有結合性の相互作用などを含む、(限定されない)いずれのその他の適切な方法を使用してもよい。一旦ポリペプチドが基体に適用されれば、基体をタンパク質含有溶液などの物質と接触させて、その上の結合部位を非特異的に飽和させることができる。特異的な、タンパク質含有溶液の非限定的な例は、粉乳またはウシ血清アルブミンなどの血清アルブミンから作製される溶液を含む。
【0222】
次いで、検体(たとえば、血清、血液、血漿、尿、精液、唾液、痰、涙液、リンパ液体)を基体に添加し、合わせた検体および基体を特異的に結合させるために十分な時間インキュベートする。次いで、本明細書に開示されたLu.ロンギパルピスポリペプチドに対する抗体の特異的な結合を当技術分野の当業者に公知の任意の手段を使用して検出する。一つの態様において、標識された二次抗体は、特異的にLu.ロンギパルピスポリペプチドに結合する抗体を検出するために使用される。標識は、放射標識(たとえば、125I)、酵素標識(たとえば、アルカリホスファターゼもしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ)、または蛍光標識(たとえば、フルオレセインイソチオシアナート)であることができる。これらの標識のための検出システムは、当技術分野の当業者に公知である。Lu.ロンギパルピスポリペプチドに対する検体、または検体の成分の結合は、マーカーの存在によって示され、リーシュマニアへの感染を示す。
【0223】
もう一つの態様において、検体は、抗体分子などの、ポリペプチドに対する結合部位を含む固形基体上に吸着される。一つの態様において、固形基体は、ポリスチレンビーズ、チップ、膜、またはプレートである。その後に、基体をタンパク質含有溶液などの物質と接触させ、その上の結合部位を非特異的に飽和させる。次いで、基体を緩衝液で洗浄する。次いで、1つまたは複数のLu.ロンギパルピスポリペプチド溶液を結合した検体に添加する。一つの態様において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドは、直接標識されている。Lu.ロンギパルピスポリペプチドの標識は、放射性の同位元素もしくはその取り込みによって、またはこの成分を酵素、色素、例えば発色団の部分もしくは蛍光群に結合することによってなど、任意のマーカーを使用することによっても導入することができる。使用する酵素は、比色定量的、分光光度的、または蛍光定量的に決定することができるものである。本発明に使用される酵素の非限定的な例は、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、およびガラクトースオキシダーゼなどのオキシドレダクターゼの群からの酵素を含む。標識されたLu.ロンギパルピスポリペプチドを固形基体とインキュベートした後、任意の結合していない標識されたLu.ロンギパルピスポリペプチドを洗浄して除去する。次いで、結合した標識されたLu.ロンギパルピスポリペプチドを適切なアッセイ法によって検出する。検体、または検体の成分に対するLu.ロンギパルピスポリペプチドの結合は、リーシュマニアへの感染を表す。
【0224】
一般に、本手順を実施する際に利用されるインキュベーション工程は、約4℃〜約25℃の間の温度で約30分〜約48時間インキュベートすることなどにより、公知の方法で行うことができる。洗浄は、約7のpHの等張食塩水液を使用することなどにより、約pH 6〜約pH 8の緩衝液などの水溶液と共に含めることができる。
【0225】
また、競合的結合アッセイ法は、リーシュマニアの感染を検出する際に有用である。当技術分野の当業者であれば、本明細書において開示された所与のLu.ロンギパルピスポリペプチドを、リーシュマニア感染症を検出する際の使用における競合的結合アッセイ法などのさらなるアッセイ法を容易に、設計することができるであろう。
【0226】
もう一つの態様において、本明細書に開示したLu.ロンギパルピスポリペプチドは、診断試験キットに含めることができる。たとえば、リーシュマニア感染症を検出するための診断試験キットは、その上に適用された1つまたは複数の本明細書に開示されたLu.ロンギパルピスポリペプチドを有する固形基体を含む。その他の態様において、本キットは、書面の説明書および/またはIgGもしくはIgMなどの免疫グロブリンに対する標識された抗体、または関心対象の種に由来する抗体に結合する標識された二次抗体の指定された量を含む容器を含む。たとえば、イヌまたはヒトの免疫グロブリンを特異的に検出する標識された抗体を提供することができる。標識された抗体は、蛍光標識、酵素標識、または放射標識することができる。上記試験キットに使用する標識された抗体は、溶液形態で、または再構成に適した凍結乾燥された形態のいずれかで梱包することもできる。
【0227】
もう一つの態様において、試験キットは、容器内の1つまたは複数の本明細書に記載されたLu.ロンギパルピスポリペプチドの指定された量、および書面の説明書を含む。一つの例において、Lu.ロンギパルピスポリペプチドは、直接標識される。もう一つの例において、1つまたは複数のLu.ロンギパルピスポリペプチドは、標識されていない。Lu.ロンギパルピスポリペプチドが標識されていない場合、容器は、標識されたモノクローナル抗体などのLu.ロンギパルピスポリペプチドに特異的に結合する検出試薬と共に含めることもできる。また、キットは任意で、検体を結合するための固形基体を含むことができる。
【0228】
Lu.ロンギパルピスポリペプチドに対する抗体の検出のための上記した方法および試験キットは、本明細書に開示した方法を使用して被検体のリーシュマニア感染症を検出するためのものを含む(しかし、限定されない)、多くの適用に利用することができる。本明細書に開示された試験およびキットは、被検体の治療的な処置の有効性を検出するために使用することができる。さらにもう一つの態様において、本明細書に開示された試験およびキットは、たとえば、感染後の種々の時間において感染した被検体から体液を得ること、および上記した検出手順を適用することによってリーシュマニアでの初感染を評価するために、またはリーシュマニア感染症からの回復を予測するために使用することもできる。
【0229】
本開示は、以下の非限定的な例によって例証される。
【実施例】
【0230】
実施例1
ライブラリーの構築
砂バエおよび唾液腺ホモジネート(SGH)の調製。砂バエルツォーミアロンギパルピスの唾液腺は、Walter Reed軍研究所(Walter Reed Army Institute)および米国国立衛生研究所で定着させた砂バエから得た。
【0231】
解剖顕微鏡下で解剖し、無菌のリン酸生理食塩緩衝液(PBS)、pH 7.0の入った微量遠心管に回収した唾液腺をドライアイス中で保存し、使用するまで-70℃に移しておく。
【0232】
Lu.ロンギパルピスの唾液腺は、大きな管腔を囲む単細胞上皮層からなる嚢様構造をしている(Adler and Theodor , Ann. Trop. Med. Parasitol. 20:109, 1926)。血液摂取後、腺の全タンパク質含量は、その約1μg値の半分またはそれ以下に減少する(Ribeiro et al., Insect Biochem. 19:409-412, 1989)。したがって、ハエSGHのタンパク質のほとんどは分泌することになっているに違いない。実際、SGHのSDS-PAGEにより、10から100 kDaまで様々な約12の主要なバンドからなる複雑度の低い組成が示される(Valenzuela et al., J. Exp. Med. 194:331-42, 2001)。SDS-PAGEに関しては、トリス-グリシンゲル(16%)、1 mm厚、およびNUPAGE 12% BIS-トリスゲルを使用した(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)。製造業者の説明に従い、トリス-グリシンまたはMOPS Nupage泳動緩衝液でゲルを泳動した。試料の分子量を推定するため、InvitrogenのSee BlueJマーカー(ミオシン、BSA、グルタミン酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、炭酸脱水酵素、ミオグロビン、リゾチーム、アプロチニン、およびインスリン、B鎖)を用いた。
【0233】
SGHを等量の2X SDS試料緩衝液(8% SDS(トリス-HCl緩衝液、0.5 M、pH 6.8に溶解したもの)、10%グリセロール、および1%ブロモフェノールブルー色素)で処理した。クマシーブルーによって染色されたタンパク質バンドの可視化を所望する場合には、1レーン当たりホモジナイズした唾液腺30組を供した。唾液タンパク質のアミノ末端配列決定には、ホモジナイズした腺40組を電気泳動し、Xcell II Mini-Cellのブロットモジュール(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)上で10 mM CAPS、pH 11、10%メタノールを用いて二フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜に転写した。酢酸の非存在下で、膜をクマシーブルーで染色した。染色されたバンドをPVDF膜から切り出し、Prociseシーケンサー(Perkin-Elmer Corp、Foster City、カリフォルニア州)を用いるエドマン分解に供した。
【0234】
唾液腺cDNAライブラリーの構築
雌成体の80組の唾液腺から、Lu.ロンギパルピス唾液腺mRNAを単離した。Micro-FastTrack mRNA単離キット(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)を使用し、約100 ngのpoly(A)+ mRNAを得た。SMART cDNAライブラリー構築キット(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)の説明に従い、PCRに基づくcDNAライブラリーを作製した。Superscript II RNase H-逆転写酵素(Gibco-BRL、メリーランド州、ゲイサーズバーグ、)およびCDS/3'プライマー(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)を用いて、Lu.ロンギパルピス唾液腺mRNA 100 ngを42℃で1時間、cDNAに逆転写した。センスプライマーとしてSMART IIIプライマー(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)を、アンチセンスプライマーとしてCDS/3'プライマーを用いて、PCRに基づく手順により第2鎖の合成を行った。これらの2つのプライマーによりさらに、新生cDNAの末端にそれぞれSfiI AおよびB部位が作製される。二本鎖cDNAの合成は、Advantage Klen-Taq DNAポリメラーゼ(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)を用いて、Perkin Elmer 9700サーマルサイクラー(Perkin Elmer Corp.、カリフォルニア州、フォスターシティー)により行った。PCR条件は以下の通りであった:94℃で2分;94℃で10秒および68℃で6分の19サイクル。直ちにプロテイナーゼK(0.8μg/μl)により二本鎖cDNAを45℃で20分間処理し、100 kDaカットオフのAmiconフィルター(Millipore Corp., マサチューセッツ州、ベッドフォード)を用いて水で3回洗浄した。次いで、Sfi Iにより二本鎖cDNAを50℃で2時間消化した(Sfi I部位は、SMART IIIプライマーおよびCDS/3'プライマーを用いて第2鎖合成中にcDNAに挿入された)。続いて、製造業者(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)により提供されたカラムを用いて、cDNAを分画した。400塩基対(bp)を超えるcDNAを含む画分をプールして濃縮し、100 kDaカットオフのAmiconフィルターにより、水で3回洗浄した。cDNAを7μl量に濃縮した。次に、濃縮したcDNAをλtriplex2ベクター(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)に連結し、製造業者の説明に従い、得られた連結反応物をStratagene/Biocrest(Cedar Creek, TE)製のGigapack gold IIIを用いてパッケージングした。得られたライブラリーを対数期のXL1-ブルー細胞(Clontech、カリフォルニア州、パロアルト)に感染させてプレーティングし、挿入されたcDNAに隣接するベクタープライマーを用いてPCRを行い、1.1%アガロースゲル上でエチジウムブロマイド(1.5μg/ml)により可視化して、組換え体の量を決定した。
【0235】
Lu.ロンギパルピス唾液腺cDNAライブラリーの大規模配列決定
Lu.ロンギパルピス唾液腺cDNAライブラリーを、プレート(150 mmペトリ皿)当たり約200プラークになるようにプレーティングした。プラークを無作為に拾い上げ、ウェル当たり水100μlを含む96ウェルポリプロピレンプレートに移した。プレートにカバーをかけ、旋回シェーカー上に室温で1時間置いた。ファージ試料4μlをPCR反応の鋳型として使用し、ランダムcDNAを増幅した。この反応に使用したプライマーはtriplex2ベクターによる配列であり、関心対象のcDNAの上流(5'末端)に位置する

、および
関心対象のcDNAの下流(3'末端)に位置する

と命名した。これらの反応には、プラチナTaqポリメラーゼ(Gibco-BRL、メリーランド州、ゲイサーズバーグ)を使用した。増幅条件は次のとおりである:75℃で3分間維持;94℃で3分間維持;ならびに94℃で30秒、49℃で30秒、および72℃で1分20秒の34サイクルであった。増幅産物を、1.1%アガロースゲル上でエチジウムブロマイドにより可視化した。きれいなPCR反応物を、Beckmam Coulter Inc.(カリフォルニア州、フラートン)のDTCS標識キットを用いるサイクルシーケンシング反応の鋳型として使用した。配列決定に用いたプライマー

は、挿入されたcDNAの上流かつプライマーPT2F1の下流にある。シーケンシング反応は、Perkin Elmer 9700サーモサイクラーで行った。条件は、75℃で2分、94℃で4分、ならびに96℃で20秒、50℃で20秒、および60℃4分の30サイクルであった。
【0236】
試料をサイクルシーケンスした後、Millipore(マサチューセッツ州、ベッドフォード)のマルチスクリーン96ウェルプレートクリーニングシステムを用いて、洗浄段階を行った。一定量(製造業者の説明に従って)のセファデックス-50(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州、ピスカタウェイ)および脱イオン水300μlを添加し、96ウェルマルチスクリーニングプレートを準備した。室温で1時間インキュベートした後、750 gで5分間遠心分離してマルチスクリーンプレートから水を除去した。マルチスクリーンプレート中のセファデックスをある程度乾燥させた後、全サイクルシーケンシング反応物を各ウェルの中央に添加して750 gで5分間遠心分離し、きれいな試料をシーケンシングマイクロタイタープレート(Beckmam Coulter、カリフォルニア州、Fullerton)に回収した。次いで、マイクロタイタープレートホルダーを備えたスピードバックSC110モデル(Savant Instruments Inc、ニューヨーク州、Holbrook)で、プレートを乾燥させた。乾燥させた試料を直ちに25μlの脱イオン超高純度ホルムアミド(J.T. Baker、ニュージャージー州、フィリップスバーグ)で再懸濁し、ミネラルオイル1滴を各試料の上に添加した。試料はCEQ 2000 DNA配列決定装置(Beckmam Coulter Inc.、カリフォルニア州、Fullerton)で直ちに配列決定するか、または-30℃で保存した。上記のようにCEQ 2000 DNA配列決定装置(Beckmam Coulter Inc.、カリフォルニア州、Fullerton)により、カスタムプライマーを用いて、選択した遺伝子の全cDNAを十分に配列決定した。
【0237】
DNAワクチンの作製およびVR1020ベクターの説明
プラチナTaqポリメラーゼ(GIBCO BRL、メリーランド州、ゲイザースバーグ)ならびに選択したcDNAの予測されるN末端(フォワードプライマー)および終止コドン(リバースプライマー)を有する特異的プライマーを用いてPCRすることにより、Lu.ロンギ派特異的cDNAから、予測される分泌タンパク質をコードする遺伝子を増幅した。
【0238】
製造業者の説明(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)に従い、PCR産物を直ちにカスタムメイドのVR-2001-TOPO(VR1020ベクターに由来)クローニングベクターにクローニングした。連結混合物を用いてTOP 10細胞(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)を形質転換し、細胞を37℃で一晩インキュベートした。8個のコロニーを拾い、滅菌水10μlと混合した。各試料5マイクロリットルをアンピシリン(100μg/ml)を含むLuriaブロス(LB)に移し、37℃で培養した。残りの5μlは、挿入物の存在の確認および配列決定解析のために、PCRIIベクターに由来する2つのベクター特異的プライマーを用いるPCR反応の鋳型として使用した。1.1%アガロースゲル上でPCR産物を可視化した後、CEQ 2000 DNA配列決定装置(Beckmam Coulter)を用いて、上記のように8個のPCR産物を完全に配列決定した。選択したLu.ロンギパルピス遺伝子を有するプラスミドを含む細胞を、アンピシリン(100μg/ml)を含むLuriaブロスで37℃で一晩培養し、Wizardミニプレップキット(Promega、ウィスコンシン州、マディソン)を用いてプラスミドの単離を行った。VR-2001-TOPO(VicalのVR1020プラスミドの変種)プラスミドは、カナマイシン耐性遺伝子、ヒトサイトメガロウイルスプロモーター、およびTOPO TAクローニング部位上流の組織プラスミノーゲンアクチベーターシグナルペプチドを含む。組織プラスミノーゲンアクチベーターシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列の後に、正しい方向でかつ正しいオープンリーディングフレームで開始コドンから終止コドンまでの配列を含む試料を選択した。
【0239】
製造業者の説明に従い、大腸菌のTOP-10株(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)にプラスミドを形質転換した。形質転換した細菌をLB培地で培養し、次に市販のプラスミド精製キットMegaprep(Qiagen、カリフォルニア州、バレンシア)を用いてプラスミドを精製した。それぞれのプラスミドは、ポリペプチドの名前に従って命名された。すなわち、pLJL34はLJL34をコードするプラスミドであり、pLJM11はポリペプチドをコードするプラスミドである、等である。
【0240】
研究集団。ヒト被験者を使用する研究に使用する血清は、ブラジル北東部のSao Luiz, Maranhao State地方の地域の7歳未満の児童の内臓リーシュマニア症(VL)の疫学的な調査から得た。この前向き研究の間に、抗リーシュマニアDTHおよび血清学を1997および1998年の間に年に2回行った。最初の調査でVL、陽性血清、またはDTHのいずれも有さなかった児童だけを研究に含めた。データセット中の個体はいずれも疾患を有さず、全てが、前述の6ヶ月の期間の間にリーシュマニア抗原に対して陰性反応を有した。本明細書に報告した抗リーシュマニア試験の陽性は、感受性かつ特異的なELISA(Barral et al., Am J Trop Med Hyg 62:740-5, 200)および/またはDTH試験(Barral et al., ibid)によって決定される最近の転換を示す。ELISAアッセイ法におけるIgG抗Lu.ロンギパルピスに対するカットオフ値を決定するために、非流行地域から同じ年齢範囲の児童から血清を得た。最近の抗体陽転が感染を表すこと、およびDTH陽性反応が潜在性のリーシュマニア症である場合の保護マーカーであることを仮定し、本発明者らは、これらの抗リーシュマニア反応に従って2つの群に児童を分類した:群I、陽性血清(S- → S+)(n = 15)および群II、陽性DTH(DTH- → DTH+)(n = 15)。
【0241】
抗砂バエ唾液血清。抗砂バエ唾液血清ELISAは、前述したように行った(Barral et al., ibid)。血清IgGサブクラスは、抗ヒトIgG1、IgG3、またはIgG4アルカリホスファターゼ抱合体(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を使用して決定した。IgEレベルを決定するために、血清を予めリウマチ因子を使用して吸収した。抗ヒトのIgE(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)をELISAに使用した。
【0242】
ウエスタンブロット。唾液腺抗原のウエスタンブロットは、前述したように行った(Barral et al., ibid)。
【0243】
統計解析(ヒト研究)。0時間(調査の開始時)および6ヶ月後に同じ児童において抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体のレベルを比較するために、ノンパラメトリック対ウィルコクソン試験を使用した。P値<0.05を有意水準として確立した。Graph Pad Prism software (San Diego, CA)を使用して統計的検定を行った。
【0244】
実施例2 DNAおよび予測されるタンパク質の配列解析
大規模配列決定プロジェクトによって得られたDNAデータを、VisualBASIC(Microsoft)で書かれた組織内のプログラムで解析した。このプログラムにより、未加工の配列からベクターおよびプライマー配列が除去される。BLOSUM-62行列を用いたプログラムBlastXにより(Altschul et al., Nucleic Acids Research 25:3389, 1997)、除去した後の配列をNCBI非冗長タンパク質データベースと比較した。あらかじめ設定したカットオフ閾値、通常は1e-10(BlastNプログラム)(Altschul et al., Nucleic Acids Research 25:3389, 1997)を用いてデータベースをそれ自体に対して放ち、DNA配列をクラスタリングした。同じクラスターによる配列を、ClustalX(Jeanmougin et al., Trends Biochem Sci. 23:403, 1998)によりアラインメントした。SDS-PAGEゲルからPVDF膜に転写されたタンパク質のエドマン分解により得られたアミノ酸配列に相当するcDNA配列を見出すため、大規模配列決定プロジェクトで得られた各cDNA配列の3つの可能なタンパク質翻訳物に対してこれらのアミノ酸配列を調べる翻訳検索プログラムを書いた。これは、BLOCKSプログラム(Henikoff et al., Bioinformatics 15:471, 1999)またはPrositeプログラム(Bairoch, Nucleic Acids Res. 19(Suupl.):2241, 1991)で用いられたアプローチと同じアプローチを用いて書いた。オンラインで利用可能なSignal Pプログラム(Nielsen et al., Protein Eng. 10:1, 1997)を用いて、全長クローンのタンパク質翻訳物をさらに加工し、予測されるシグナルペプチドを同定した。予測されるシグナルペプチド切断部位を、Phlebotomus唾液タンパク質のエドマン分解から得られたN末端配列と比較した。DNA STARプログラム(DNASTAR)を用いて、翻訳されたタンパク質の等電点および分子量の推定を行った。BLAST-Pプログラム(Altschul et al. Nucleic Acids Research 25:3389, 1997)により、全長翻訳されたタンパク質配列情報をNCBIの非冗長タンパク質データベースと比較し、各配列を電子データベースに投稿してモチーフを検索した。
【0245】
Lu.ロンギパルピスのSGHの主要なタンパク質の一次構造を特徴づけるため、SDS-PAGEゲルをPVDF膜に転写し、エドマン分解による各切り出しバンドのアミノ末端配列を推定した。
【0246】
加えて、次の値を確認した。
【0247】
(表1)タンパク質の特徴

【0248】
実施例3
Lu.ロンギパルピスの唾液に対する抗体
VLの風土病の地域で暮らしている児童からの血清は、唾液腺抗原を差動的に認識する抗SGS IgG抗体を有することが以前に示されている。抗リーシュマニアDTH陽性反応を有する個体は、抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体を示した。順相関は、抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体と抗リーシュマニアDTHとの間で観察されたが、抗唾液抗体と抗リーシュマニア血清との間に相互関係は観察されなかった(Barral et al., ibid)。
【0249】
VLの風土病の地域の個体の6ヶ月の経過観察における体液性および細胞性の抗リーシュマニア反応の変化、並びに同じ個体の抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体反応の変化を研究した。抗リーシュマニアDTH陽性に変換した個体(n = 15)は、有意にこれらの抗Lu.ロンギパルピスIgG(図1A;P = 0.02)およびIgE抗体レベル(図1B、P = 0.002)を増大した。IgG1は、抗リーシュマニアDTH変換群の抗唾液抗体の増加に関与する主要な抗体サブクラスであった(n = 15)(図1C)が;その他のIgGサブクラスでは、有意な変化が観察されなかった。ELISAにおける抗Lu.ロンギパルピスIgGのカットオフ値は、0.045であった。抗唾液IgG抗体レベル(P = 0.035)の有意な減少が、これらの抗リーシュマニア血清が変換した児童からの血清において観察された(群I)(図1A)。群I(図1B)の抗唾液IgEでは、有意な変化は観察されなかった。群IIの児童のIgG抗唾液レベルは、6ヶ月の期間に減少したが、IgG4抗唾液の有意な増加が、この群で観察された(P = 0.0245;図1D)。
【0250】
S- → S+、またはDTH- → DTH+のいずれかに変換された個体の血清によって認識される、Lu.ロンギパルピス唾液タンパク質の数およびパターンをウエスタンブロットによって評価した。これらの抗リーシュマニア血清が変換した個体の7つのランダムに選択した血清では、2つが、それぞれ33 kDaおよび200 kDaの2つの異なる唾液のタンパク質を十分に認識しなかった(図2A、レーン4);残りの血清は、どの時点においてもいずれの唾液タンパク質も認識しなかった。逆に、DTH- → DTH+ 個体の13のランダムに選択した血清では、12個が、種々の強度で種々の唾液タンパク質を認識した。図2Aおよび2Bは、唾液抗原の多様性がこれらの血清によって認識されたことを示す(レーン7〜14)。さらに、6つのDTH- → DTH+ 個体からの血清は、0(-)時間および6ヶ月(+)の時点で比較すると、唾液タンパク質の認識の数および/または強度の増大を示した(図2A、レーン7(-)および8(+)、11(-)および12(+)、13(-)および14(+);図2B、レーン11(-)および12(+)、13(-)および14(+)、並びにデータ示さず)。DTH- → DTH+ 群のいくつかの個体は、0時間〜6ヶ月の間に何らの変化も示さず(図2A、レーン9(-)および10(+);図2B、レーン7(-)および8(+))またはいずれの唾液タンパク質も認識しなかった(図2B、レーン9(-)および10(+))。
【0251】
DTH- → DTH+ 個体の血清は、合計16の異なる唾液タンパク質を認識したが;認識の頻度は、これらの個体間で変化する(図2C)。45 kDaの唾液タンパク質は、12の血清によって認識され、続いて44および43および35 kDaのタンパク質が8つの血清によって(それぞれ)認識され、6つの血清によって17 kDaのタンパク質が、および5つの血清による16 kDaのタンパク質が認識された。その他の唾液タンパク質も同様に認識されたが、より少ない頻度であった(3つ以下の血清、図2C)。
【0252】
従って、群IIの児童であって、その抗リーシュマニアDTHが変換した児童も、ELISAおよびウエスタンブロットによって証明されたように、抗砂バエ唾液抗体の増加をもたらす。抗唾液抗体価と抗リーシュマニアDTHとの間の相互関係が示された(Barral et al, ibid);本明細書に提示された結果は、抗寄生虫DTHの発生が時間的に抗Lu.ロンギパルピス唾液抗体の発生と同時であることを示す。理論によって拘束されないが、唾液タンパク質に対する抗体または細胞反応による砂バエ唾液の成分の中和は、おそらく寄生虫に対してTh1反応を発生することによって、抗リーシュマニア細胞媒介免疫応答をより効率的に展開することができる。マキサディランなどの砂バエ唾液成分は、マクロファージ機能を障害することができ(Charlab et al., Proc Natl Acad Sci USA 96:15155-60, 1999)、リーシュマニアの生存および抗原提示を妨害する(Soares et al., J. Immunol. 160:1811-6, 1998)。DTH- → DTH+ 個体において観察されるより高い抗体レベルは、抗唾液成分に対する免疫応答の展開が、リーシュマニアに対する細胞性免疫の発生と関連していることを示唆する。
【0253】
ウエスタンブロット解析によって今回示された結果は、抗リーシュマニア血清を変換した個体が実際にいずれの唾液タンパク質も認識しなかったが、抗リーシュマニアDTHを変換した個体が多くの異なる唾液タンパク質を認識したことを示した。これらの血清によって認識される唾液抗原の頻度から、45、44、43、35、27、および16 kDa近くの分子量を有する抗原を含むほんの少数のタンパク質だけの一群が明らかになる(図2C)。
【0254】
これらの抗原の中で、少なくとも2つの唾液タンパク質(45 kDaおよび35 kDa)の認識が、最も頻度の高いヒト血清による認識のうちの2つを表す。驚くべきことに、2つの血清だけが、マキサディランの分子量の6 kDaの範囲内のタンパク質を認識し(Titus and Ribeiro, Parasitol Today 6:157-159, 1990)、ヒトにおいてマキサディランは、強い抗体反応を誘導しないが、細胞性免疫の強い誘導因子である可能性を示唆している。
【0255】
抗リーシュマニア細胞性免疫が変換した個体は、IgG1およびIgEレベルの増大を示した。IgG1は、ヒトTh1反応に関連していた。IgEは、Th2-タイプ反応のマーカーと考えられているので、IgE抗体の上昇は、即時過敏症の発症を示唆する。理論によって拘束されないが、最近抗リーシュマニアDTHに変換した個体には、唾液成分に対するTh2-タイプ(即時過敏症に関連したもの)およびTh1様の反応(DTHに関連したもの)が混合されて共存する可能性が高い。実際に、この種の混合反応は、昆虫刺症に曝露された個体において報告されており、この場合、昆虫唾液に対する宿主免疫応答は、DTH反応から始まり、優勢な即時型過敏症および最後に脱感作へと発展する(Melanby, Nature. 158, 554-555. 13, 1946)。
【0256】
本明細書において開示したとおり、マウスにおいて、Lu.ロンギパルピス唾液遺伝子を使用する免疫化は、典型的なDTHおよび/またはLu.ロンギパルピス唾液のタンパク質に対する抗体反応を生じ(下記を参照)、Lu.ロンギパルピス咬創がヒトのTh1およびTh2反応を誘導することができることを示唆している。おもしろいことに、マウスのDTH反応の原因となるP. パパタシ(SP15)唾液タンパク質は、Lu.ロンギパルピス唾液に存在するSL1タンパク質に非常に相同的である(Charlab et al., Proc Natl Acad Sci USA 96:15155-60, 1999)。理論によって拘束されないが、本明細書に提示した結果は、Th1およびTh2成分を有する混合抗唾液反応が、抗免疫リーシュマニア反応を確立するための助けとなり得ることを示唆する。
【0257】
実施例4 マウスにおけるDNAワクチン接種
遺伝子による免疫化のため、Taconic FarmsからSwiss Websterマウスを購入した。マウスは、無菌条件下のNIAID動物飼育設備で維持した。PBS 5μlに懸濁したLu.ロンギパルピス由来の選択したcDNAをコードするプラスミド30μgを、マウスの右耳に接種した。2週間後、同じ方法により各群に追加免疫を行った。マウスの反対側の耳にLu.ロンギパルピスの唾液腺ホモジネートを投与し、注射してから24時間後に、耳の厚さおよび発赤を測定することにより、遅延型過敏(DTH)反応を測定した(++:少なくとも2匹のマウスが良好なDTH反応を有する、+++:少なくとも3匹のマウスが良好なDTH反応を有する)。
【0258】
(表2)マウスのDTH反応

*遅延型過敏症(DTH)反応は、以前に唾液DNAワクチンを免疫したマウス(3群)の耳に唾液腺ホモジネートを注射することによって誘導した。マウスは、予め特異的なDNAプラスミドによって2週間の間隔で2回感作し、次いで砂バエルツォーミアロンギパルピス唾液腺ホモジネートを注射した。唾液腺ホモジネートの注射の24時間後にDTH反応を測定した(耳の厚みおよび赤み)。(++=少なくとも2匹のマウスが良好なDTH反応を有した、+++ 少なくとも3匹のマウスが良好なDTH反応を有した)。
【0259】
実施例5 イヌにおける免疫応答の産生
第1の実験では、どのLu.ロンギパルピス唾液タンパク質が防御免疫応答により認識されるのかを判定するため、リーシュマニア症に対する自然免疫を有するイヌにおいてDTH(遅延型過敏)反応を行った。自然免疫を有するイヌは、流行地での2年間の曝露の後、症状を示すことなく生存した。第2の実験では、DTHによって測定される細胞性免疫応答を誘導する能力を評価するため、プラスミドによって発現されるLu.ロンギパルピス唾液腺タンパク質で未処置のイヌを免疫した。
【0260】
リーシュマニア症に対する自然免疫を有するおよそ3歳のイヌ12頭の剪毛した背中に、PBS 100μlに懸濁したそれぞれのプラスミド100μgを皮内経路(ID)を介して注射した。各プラスミドは異なる点で注射した。DTH反応間の干渉を回避するため、点は少なくとも3 cm離した。陰性対象(緩衝液100μl)もID経路により接種した。
【0261】
注射してから72時間後に、皮膚腫脹領域のより大きな直径を測定することにより、DTH反応を評価した。結果は、イヌ全頭の腫脹領域の平均値として、および陽性DTH反応を有するイヌの割合として示す。陽性DTHとは、注射から72時間後において直径が4 mm以上の腫脹領域である。
【0262】
第2の研究では、PBS 1000μlにそれぞれ100μgずつを懸濁したLu.ロンギパルピスポリペプチドをコードするプラスミドのプールを右耳の10点(1点当たり100μl)にID注射することにより、4〜6月齢の未処置のイヌ10頭を免疫した。21日目に、PBS 2000μlにそれぞれ100μgずつを懸濁したプラスミドのプールを、イヌの左耳の10点(1点当たり100μl)および腹部の10点(1点当たり100μl)に注射した。PBS 100μlに懸濁したそれぞれのプラスミド100μgをID経路を介して背中(剪毛後)に接種することにより、35日目に全頭に投与した。各プラスミドは異なる点で注射した。干渉を回避するため、点は少なくとも3 cm離した。陰性対象として、緩衝液100μlを皮内に接種した。投与から72時間後に、皮膚腫脹領域のより大きな直径を測定することにより、DTH反応を評価した。結果は、イヌ全頭の腫脹領域の平均値として、および陽性DTH反応を有するイヌの割合として示す。陽性DTHとは、注射から72時間後において直径が4 mm以上の腫脹領域である。
【0263】
この調査の結果から、プラスミドが、DTH反応によって示される細胞性免疫を注射後のイヌで誘導し得ることが示される。DTH反応レベルのばらつきは、挿入物の発現のばらつきに起因している可能性がある。
【0264】
記載した方法の詳細が記載した開示の精神から逸脱することなく変更または修正され得ることは明白であろう。本発明者らは、特許請求の範囲の範囲および精神に含まれるそのような修正および変更すべてを請求する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に精製された唾液のLu.ロンギパルピスポリペプチド。
【請求項2】
以下のa)〜d)を含む、請求項1記載のポリペプチド:
a)

に記載されたアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列;
b)

に記載されたアミノ酸配列の保存された変種;
c)

に記載されたアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸を含む免疫原性断片であって、それぞれ

に記載されたアミノ酸配列に特異的に結合する抗体に対して特異的に結合する免疫原性断片;または、
d)

に記載されたアミノ酸配列であり、かつ被検体に対するポリペプチドの投与が、Lu.ロンギパルピスに対する免疫応答を生じるポリペプチド。
【請求項3】

に記載されたアミノ酸配列、またはこれらの保存された変種を含む、請求項2記載のLu.ロンギパルピスポリペプチド。
【請求項4】

に記載されたアミノ酸配列を含む、請求項3記載のLu.ロンギパルピスポリペプチド。
【請求項5】
請求項4記載のポリペプチドの抗原性断片。
【請求項6】

に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項8】

に記載された配列、またはこれらの縮重変種を含む、請求項7記載の核酸。
【請求項9】

に記載された配列を含む、請求項7記載の核酸。
【請求項10】

に記載されたアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列をコードする、請求項7記載の核酸。
【請求項11】
発現調節配列と機能的に結合した、請求項7記載の核酸。
【請求項12】
発現調節配列がプロモーターである、請求項11記載の核酸。
【請求項13】
プロモーターが誘導性または構成的なプロモーターである、請求項12記載の核酸。
【請求項14】
プロモーターがサイトメガロウイルスプロモーターである、請求項13記載の核酸。
【請求項15】
請求項7記載の核酸を含むベクター。
【請求項16】
ベクターがプラスミドである、請求項15記載のベクター。
【請求項17】
ベクターがウイルスベクターである、請求項15記載のベクター。
【請求項18】
請求項15記載のベクターによって形質転換された宿主細胞。
【請求項19】
請求項1記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項20】
モノクローナル抗体である、請求項19記載の抗体。
【請求項21】
検出可能な標識を含む、請求項20記載の抗体。
【請求項22】
標識が蛍光標識、酵素標識、または放射標識である、請求項21記載の抗体。
【請求項23】
請求項1記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項24】
請求項7記載の核酸および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項25】
被検体に治療上有効な量の以下のa)〜e)を投与する段階を含む、被検体においてLu.ロンギパルピスポリペプチドに対する免疫応答を誘導するための方法:
a)

に記載されたアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列;
b)

に記載されたアミノ酸配列の保存された変種;
c)

に記載されたアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸を含む免疫原性断片であって、それぞれ

に記載されたアミノ酸配列に特異的に結合する抗体に対して特異的に結合する免疫原性断片;
d)

に記載されたアミノ酸配列;または、
(e) (a)、(b)、(c)、もしくは(d)に記載されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項26】
免疫応答がT細胞応答である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
免疫応答がB細胞応答である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
被検体が非ヒト獣医学的被検体である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
被検体がイヌである、請求項25記載の方法。
【請求項30】
被検体がヒトである、請求項25記載の方法。
【請求項31】
被検体に対して治療上有効な量の以下のa)〜e)を投与することを含む、被検体のリーシュマニア感染症の症状を阻害する、または、リーシュマニア感染症を予防するための方法:
a)

に記載されたアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列;
b)

に記載されたアミノ酸配列の保存された変種;
c)

に記載されたアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸を含む免疫原性断片であって、それぞれ

に記載されたアミノ酸配列に特異的に結合する抗体に対して特異的に結合する免疫原性断片;
d)

に記載されたアミノ酸配列;または、
(e) (a)、(b)、(c)、もしくは(d)に記載されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項32】
薬剤の製造のための、請求項1記載のポリペプチドまたは請求項1記載のポリペプチドをコードする核酸を含む組成物の使用。
【請求項33】
薬剤の製造のための、P.アリアシ(P. ariasi)またはユウガイサシチョウバエ(P. perniciosus)ポリペプチドを含む組成物と組み合わせた、請求項32記載の組成物の使用。
【請求項34】
以下の段階を含む、被検体のリーシュマニア感染症を診断する方法:
少なくとも3、6、または10個のポリペプチドであって、それぞれのポリペプチドが、

に記載された1つのアミノ酸配列、またはこれらの免疫原性断片を含むポリペプチドを含む固形基体を接触させる段階;
固形基体と、被検体から得られた試料とを接触させる段階;および、
固形基体上の少なくとも1つのポリペプチドと試料の成分との結合を検出する段階であって、基体に対する成分の結合の検出が、被検体がリーシュマニアに感染していることを示す段階。
【請求項35】
少なくとも3つのポリペプチドのうちの1つが、SEQ ID NO:1に記載されたアミノ酸配列を含み、少なくとも3つのポリペプチドうちのもう1つが、SEQ ID NO:23に記載されたアミノ酸配列を含み、少なくとも3つのポリペプチドのさらに一つが、SEQ ID NO:39に記載されたアミノ酸配列を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項34記載の方法であって、固形基体が、少なくとも6つのポリペプチドを含み、第1のポリペプチドが、SEQ ID NO:3に記載されたアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドが、SEQ ID NO:11に記載されたアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチドが、SEQ ID NO:19に記載されたアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチドが、SEQ ID NO:29に記載されたアミノ酸配列を含み、第5のポリペプチドが、SEQ ID NO:55に記載されたアミノ酸配列を含み、および第6のポリペプチドが、SEQ ID NO:59に記載されたアミノ酸配列を含む方法。
【請求項37】
固形基体が、ポリスチレンビーズ、チップ、膜、またはプレートを含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
検出が、標識された二次抗体と固形基体に結合した成分とを接触させることを含む、請求項34記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−142226(P2010−142226A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285970(P2009−285970)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【分割の表示】特願2004−548595(P2004−548595)の分割
【原出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【出願人】(505004949)アメリカ合衆国 (7)
【出願人】(306012400)
【Fターム(参考)】