説明

ルミネセンス用途用の重水素化合物

本発明は、ルミネセンス用途用の重水素化合物に関する。また、活性層がそのような重水素化合物を含む電子デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に重水素化されている光活性化合物に関する。また、活性層がそのような化合物を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光を発する有機電子デバイス(ディスプレイを構成する発光ダイオードなど)は、多くの種類の電子機器の中に存在する。そのようなデバイスすべてにおいて、有機活性層が2つの電気接触層の間に挟まれている。電気接触層の少なくとも1つは、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。電気接触層から電気接触層にかけて電気を流すと、有機活性層は光透過性の電気接触層を通して光を発する。
【0003】
発光ダイオードの活性成分として有機エレクトロルミネセンス化合物を使用することはよく知られている。アントラセン、チアジアゾール誘導体、およびクマリン誘導体などの単純な有機分子は、エレクトロルミネセンスを示すことで知られている。半導体共役ポリマー(semiconductive conjugated polymers)もエレクトロルミネセンス成分として使用されてきたが、そのことは、例えば、米国特許第5,247,190号明細書、米国特許第5,408,109号明細書、および欧州特許出願公開第443861号明細書に開示されている。多くの場合、エレクトロルミネセンス化合物はホスト物質中にドーパントとして存在する。多くのデバイスでは、有機電荷注入層及び/または電荷輸送層が、発光層と陽極及び/または陰極との間に存在する。
【発明の概要】
【0004】
しかし、エレクトロルミネセンス化合物が引き続き必要とされている。
【0005】
式I
Q−(NAr 式I
[式中:
Qは、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、フルオランテン、フルオレン、ナフタレン、ペリレン、フェナントレン、ピレン、スピロフルオレン、テトラセン、およびそれらの置換誘導体からなる群から選択される芳香族核であり;
Arはアリールであり;
aは、1または2である]
を有し、少なくとも1つのDを有する化合物が提供される。
【0006】
上記化合物を含んでいる活性層を含む電子デバイスも提供される。
【0007】
本明細書で提示する概念がいっそう理解されるように添付図で実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】有機電子デバイスの一例の説明図を含む。
【図2】別の有機電子デバイスの説明図を含む。
【0009】
図中の物体は、簡単にするためまた明快にするために例示されているのであり、必ずしも縮尺通り描かれてはいないことは、当業者なら理解することである。例えば、図中の一部の物体の大きさは、実施形態をいっそう理解するのを助けるために、他の物体との関係で誇張されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
多くの態様および実施形態が本明細書に開示されているが、それらは例示的なものであり、限定するものではない。本明細書を読むならば、本発明の範囲の中で他の態様および実施形態が可能であることは、当業者なら理解することである。
【0011】
実施形態のいずれか1つまたはそれ以上における他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかであろう。詳細な説明では、最初に用語の定義と説明を扱い、その後、重水素化合物、および電子デバイスを扱う。
【0012】
1.用語の定義と説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義し説明する。
【0013】
本明細書で使用される「脂肪族環(aliphatic ring)」という用語は、非局在パイ電子を持たない環状基(cyclic group)を意味することを意図する。実施形態によっては、脂肪族環に不飽和はない。実施形態によっては、その環は1個の二重結合または三重結合を有する。
【0014】
「アルコキシ」という用語は、RO−基[ここで、Rはアルキルである]を表す。
【0015】
「アルキル」という用語は、結合点が1つある脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図しており、直鎖状基、分枝状基、または環状基(cyclic group)を含む。この用語はヘテロアルキルおよび重水素化アルキルを含むことを意図する。この用語は、置換された基および非置換の基を含むことを意図する。「炭化水素アルキル」という用語は、ヘテロ原子を持たないアルキル基を表す。「重水素化アルキル」という用語は、少なくとも1個の利用可能なHがDと置換されている炭化水素アルキルである。実施形態によっては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0016】
「アリール」という用語は、結合点が1つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。「芳香族化合物」という用語は、非局在パイ電子を有する少なくとも1個の不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図する。この用語は、ヘテロアリールおよび重水素化アルキルを含むことを意図する。「炭化水素アリール」という用語は、環の中にヘテロ原子を持たない芳香族化合物を意味することを意図する。アリールという用語は、1つの環を有する基、および単結合で結合できるかまたは縮合できる複数の環を有する基を含む。「重水素化アリール」という用語は、アリールに直接結合している少なくとも1個の利用可能なH原子がDと置換しているアリール基を表す。「アリーレン」という用語は、結合点が2つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。アリール部分のあらゆる好適な環位置で、定義された化学構造に共有結合することができる。実施形態によっては、炭化水素アリール基は、3〜60個の炭素原子を有し;実施形態によっては6〜30個の炭素原子を有する。ヘテロアリール基は、3〜50個の炭素原子を有することができ;実施形態によっては3〜30個の炭素原子を有することができる。
【0017】
「分枝状アルキル」という用語は、少なくとも1個の第二級または第三級炭素を有するアルキル基を表す。「第二級アルキル」という用語は、第二級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。「第三級アルキル」という用語は、第三級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。実施形態によっては、分枝状アルキル基は第二級または第三級炭素を介して結合する。
【0018】
「電荷輸送」という用語は、層、物質、部材、または構造を表す場合、そのような層、物質、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、物質、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図する。正孔輸送物質は正電荷を促進し;電子輸送物質は負電荷を促進する。発光物質も、ある程度の電荷輸送特性を有する場合があるが、「電荷、正孔、または電子を輸送する層、物質、部材、または構造」という用語は、主要な機能が発光である層、物質、部材、または構造を含むことを意図しない。
【0019】
「化合物」という用語は、分子で構成される帯電していない物質(分子は、原子からさらに構成され、物理的手段では原子を分離できない)を意味することを意図する。「隣接した」という語句は、デバイス中の層を表すのに用いられる場合、1つの層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味しない。その一方で、「隣接したR基」という語句は、化学式において隣同士のR基(すなわち、1つの結合でつながれた原子にあるR基)を表すのに用いられる。「電気活性」という用語は、エレクトロルミネセンスおよび/または感光性を示す任意の物質を意味する。
【0020】
「重水素化(されている)」という用語は、少なくとも1個の利用可能なHがDで置換されていることを意味することを意図する。X%が重水素化された化合物または基は、利用可能なHのX%がDで置換されている。重水素化されている化合物または基は、重水素が、天然存在レベルの少なくとも100倍存在する化合物または基である。
【0021】
「電気的活性」という用語は、層または物質に言及している場合、デバイスの動作が電子的に促進される層または物質を指すことを意図する。活性物質の例としては、電荷の伝導、注入、輸送または遮断を行う物質(電荷は電子または正孔のいずれかでありうる)、または放射線を発するかまたは電子−正孔ペアの濃度の変化を示す(放射線を受けたとき)物質があるが、これらに限定されない。不活性物質の例としては、平坦化物質、絶縁物質、および環境障壁物質(environmental barrier materials)があるが、これらに限定されない。
【0022】
接頭語の「ヘテロ」は、1つまたは複数個の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。実施形態によっては、異なる原子は、N、O、またはSである。
【0023】
「層」という用語は、「膜」という用語と同義語的に使用され、目的の領域を覆うコーティングを表す。この用語は大きさによって限定されるものではない。この領域は、デバイス全体と同じくらい大きくても、あるいは実際の表示装置など特定の機能領域と同じくらい小さくても、あるいは単一のサブピクセルと同じくらい小さくても構わない。層および膜は、蒸着、液体付着(連続技法および不連続技法)、および熱転写を含め、従来の任意の付着技法で形成できる。連続付着技法としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬被覆、スロットダイコーティング(slot−die coating)、吹付け塗り、および連続ノズルコーティングがあるが、これらに限定されない。不連続付着技法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷があるが、これらに限定されない。
【0024】
「有機電子デバイス」またはときにはただの「電子デバイス」という用語は、1種または複数種の有機半導体活性層または有機半導体活性物質を含むデバイスを意味することを意図する。
【0025】
「オキシアルキル」という用語は、1つ以上の炭素が酸素で置換されているヘテロアルキル基を意味することを意図する。この用語は、酸素を介して結合している基を含む。
【0026】
「シリル」という用語は、RSi−基[ここで、RはH、D、C1〜20アルキル、フルオロアルキル、またはアリールである]を意味する。実施形態によっては、Rアルキル基中の1つ以上の炭素がSiと置換されている。実施形態によっては、シリル基は、(ヘキシル)Si(Me)CHCHSi(Me)−および[CF(CFCHCHSiMe−である。
【0027】
「シロキサン」という用語は、(RO)Si−基[ここで、RはH、D、C1〜20アルキル、またはフルオロアルキルである]を意味する。
【0028】
すべての基は、特に記載のない限り、置換されていても非置換であってもよい。実施形態によっては、置換基は、D、ハロゲン化物、アルキル、アルコキシ、アリール、およびシアノからなる群から選択される。限定はされないが、アルキルまたはアリールなどの場合により置換されていてもよい基は、同一または異なっていてよい1つ以上の置換基で置換されていてもよい。他の好適な置換基としては、ニトロ、シアノ、−N(R’)(R”)、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキサン、チオアルコキシ、−S(O)−N(R’)(R”)、−C(=O)−N(R’)(R”)、(R’)(R”)N−アルキル、(R’)(R”)N−アルコキシアルキル、(R’)(R”)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)−アリール(ここでs=0〜2である)、または−S(O)−ヘテロアリール(ここでs=0〜2である)がある。R’およびR”のそれぞれは独立に、場合により置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。特定の実施形態では、R’およびR”は、それらが互いに結合している窒素原子とともに環系を形成することができる。置換基は架橋基であってもよい。
【0029】
本明細書で使用される「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」という用語、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図する。例えば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。例えば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0030】
また、本明細書に記載する要素および成分を説明するために「a」または「an」が使用される。これは単に便宜的なものであり、本発明の範囲の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形をも含んでいる。
【0031】
特に定義されていない限り、本明細書に用いられている技術用語および科学用語はすべて、本発明が関係する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および物質と同様または同等の方法および物質を本発明の実施または試験に使用できるが、好適な方法および物質を以下に記載しておく。本明細書で挙げる刊行物、特許出願、特許、および他の文献はすべて、その全体を援用する。矛盾がある場合には、定義を含んでいる本明細書で調整されるであろう。さらに、そうした物質、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0032】
全体を通してIUPAC番号付け方式(IUPAC numbering system)が使用されており、その方式では、周期律表の族は左から右に1〜18の番号が付けられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition,2000)。
【0033】
2.電気活性化合物
本明細書に記載の化合物は、少なくとも1つのジアリールアミノ置換基を有する重水素化芳香族化合物である。実施形態によっては、化合物はエレクトロルミネセンスであり、赤色、緑色、または青色の発光が可能である。
【0034】
実施形態によっては、化合物は少なくとも10%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されている。実施形態によっては、化合物は100%が重水素化されている。
【0035】
重水素化は、アリール環、アリール環Ar〜Ar、およびコアQ基上の置換基から選択される1つ以上の場所上に存在することができる。
【0036】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、アリール環上の置換基上で行われる。重水素化置換基を有するアリール基は、コアQ基;窒素上のアリール、または置換基のアリール基の任意の1つ以上であってよい。実施形態によっては、アリール環上の重水素化置換基は、アルキル、アリール、アルコキシ、およびアリールオキシから選択される。実施形態によっては、置換基は少なくとも10%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0037】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、アリール基Ar〜Arの任意の1つ以上の上で行われる。この場合、Ar〜Arの少なくとも1つが重水素化アリール基である。実施形態によっては、Ar〜Arは少なくとも10%が重水素化されている。これは、Ar〜Ar中のアリールCに結合した全ての利用可能なHの少なくとも10%がDで置換されていることを意味する。実施形態によっては、各アリール環がいくらかのDを有する。実施形態によっては、アリール環のすべてではなく一部がDを有する。実施形態によっては、Ar〜Arは少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0038】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、コアQ基上で行われる。実施形態によっては、Q基は少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0039】
式Iの実施形態によっては、Qはベンゾ[a]アントラセンである。実施形態によっては、化合物は式II
【0040】
【化1】

【0041】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]を有し;
この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がベンゾ[a]アントラセン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0042】
式IIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0043】
式IIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが式(a):
【0044】
【化2】

【0045】
[式中:
は、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、アリール、シリル、およびシロキサンからなる群から選択されるか、あるいは隣接したR基は互いに結合して芳香環を形成してもよく;
cは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜4の整数であり;
dは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜5の整数であり;
mは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜6の整数である]
を有する。
【0046】
式IIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが式(b):
【0047】
【化3】

【0048】
[式中:
は、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択されるか、あるいは隣接したR基は互いに結合して芳香環を形成してもよく;
cは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜4の整数であり;
dは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜5の整数であり;
mは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜6の整数である]
を有する。
【0049】
式IIの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0050】
式IIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0051】
式IIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0052】
式IIの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0053】
式Iの実施形態によっては、Qはジベンゾ[a,h]アントラセンである。実施形態によっては、化合物は式III
【0054】
【化4】

【0055】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有し、この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がジベンゾ[a,h]アントラセン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0056】
式IIIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0057】
式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0058】
式IIIの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0059】
式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0060】
式IIIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0061】
式Iの実施形態によっては、Qはフルオランテンである。実施形態によっては、化合物は式IV
【0062】
【化5】

【0063】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
ArおよびArは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有し、
この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がフルオランテン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0064】
式IVの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0065】
式IVの実施形態によっては、ArおよびArの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、ArおよびArは少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0066】
式IVの実施形態によっては、ArおよびArは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0067】
式IVの実施形態によっては、ArおよびArは過重水素化されている。
【0068】
式IVの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、ArおよびArは過重水素化されている。
【0069】
式IVの実施形態によっては、ArはArとは異なる。
【0070】
式Iの実施形態によっては、Qはフルオレンである。実施形態によっては、化合物は式V
【0071】
【化6】

【0072】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
は、それぞれの出現において同一または異なっていて、アルキル基から選択され;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]を有し、
この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がフルオレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0073】
式Vの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0074】
式Vの実施形態によっては、RはC1〜10アルキル基である。式Vの実施形態によっては、複数のR基は同一である。
【0075】
式Vの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0076】
式Vの実施形態によっては、Ar〜Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0077】
式Vの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0078】
式Vの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0079】
式Vの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0080】
式Iの実施形態によっては、Qはナフタレンである。実施形態によっては、化合物はVI−a、VI−b、およびVI−cから選択される式を有する。
【0081】
【化7】

【0082】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択され;
この化合物は少なくとも1つのDを有する]
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がナフタレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。式VI−a、VI−b、およびVI−cを一括して式VIと呼ぶ。
【0083】
式VIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0084】
式VIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式のIII実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0085】
式VIの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0086】
式VIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0087】
式VIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0088】
式VIの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0089】
式Iの実施形態によっては、Qはペリレンである。実施形態によっては、化合物は式VII−aまたはVII−bを有する。
【0090】
【化8】

【0091】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリール、からなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択され;
この化合物は少なくとも1つのDを有する]
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がペリレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。式VII−aおよびVII−bを一括して式VIIと呼ぶ。
【0092】
式VIIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0093】
式VIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0094】
式VIIの実施形態によっては、Ar1〜Ar4は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0095】
式VIIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0096】
式VIIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0097】
式VIIの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0098】
式Iの実施形態によっては、Qはフェナントレンである。実施形態によっては、化合物は式VIII−aまたはVIII−bを有する。
【0099】
【化9】

【0100】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択され;
この化合物は少なくとも1つのDを有する]
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がフェナントレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。式VIII−aおよびVIII−bを一括して式VIIIと呼ぶ。
【0101】
式VIIIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0102】
式VIIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0103】
式VIIIの実施形態によっては、Ar〜Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0104】
式VIIIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0105】
式VIIIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0106】
式VIII−aの実施形態によっては、ArはArとは異なる。
【0107】
式VIII−bの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0108】
式Iの実施形態によっては、Qはピレンである。実施形態によっては、化合物は式IX−a、IX−b、またはIX−cを有する。
【0109】
【化10】

【0110】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択され;
この化合物は少なくとも1つのDを有する]
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がピレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。式IX−a〜IX−cを一括して式IXと呼ぶ。
【0111】
式IXの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0112】
式IXの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0113】
式IXの実施形態によっては、Ar〜Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0114】
式IXの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0115】
式IXの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0116】
式IX−aの実施形態によっては、ArはArとは異なる。
【0117】
式IX−bおよびIX−c実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0118】
式Iの実施形態によっては、Qはスピロフルオレンである。実施形態によっては、化合物は式X
【0119】
【化11】

【0120】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]を有し、
この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がスピロフルオレン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0121】
式Xの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0122】
式Xの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0123】
式Xの実施形態によっては、Ar〜Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0124】
式Xの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0125】
式Xの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0126】
式Xの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではない。実施形態によっては、ArおよびArをまとめたものは、ArおよびArをまとめたもの、ならびにArおよびArをまとめたもののいずれとも異なる。実施形態によっては、ArはAr〜Arのいずれとも異なる。
【0127】
式Iの実施形態によっては、Qはテトラセンである。実施形態によっては、化合物は式XI
【0128】
【化12】

【0129】
[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有し、
この化合物は少なくとも1つのDを有する。
式中の破線は、R基が存在する場合に、そのR基がテトラセン核上の任意の部位に存在できることを示すことを意図する。
【0130】
式XIの実施形態によっては、少なくとも1つのRが炭化水素アルキルである。実施形態によっては、Rは重水素化アルキルである。実施形態によっては、Rは、分枝状炭化水素アルキル、環状炭化水素アルキル、およびそれらの重水素化類似体から選択される。
【0131】
式XIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(a)を有する。式IIIの実施形態によっては、Ar〜Arの少なくとも1つが上述の式(b)を有する。
【0132】
式XIの実施形態によっては、Ar〜Arは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、フェニルナプチル(phenylnapthyl)、ナフチルフェニル、ビナフチル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0133】
式XIの実施形態によっては、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0134】
式XIの実施形態によっては、末端アリール上の1つのアルキル基を除けば、Ar〜Arは過重水素化されている。
【0135】
式XIの実施形態によっては、化合物はAr基に関して対称ではなく、ArはArおよびArのいずれとも異なる。
【0136】
式Iを有する化合物の例としては、以下に示す化合物があるが、これらに限定されない。
【0137】
【化13】

【0138】
【化14】

【0139】
【化15】

【0140】
【化16】

【0141】
新規化合物の非重水素化類似体は、周知のカップリングおよび置換反応で調製できる。次いで新規の重水素化合物は、重水素化前駆体物質を用いて類似の方法で調製することができるし、またはより一般的には、三塩化アルミニウムまたは塩化エチルアルミニウムなどのルイス酸H/D交換触媒の存在下でのd6−ベンゼンなどの重水素化溶媒による非重水素化合物の処理、あるいはCFCOOD、DClなどの酸による非重水素化化合物の処理によって調製することができる。重水素化のレベルは、NMR分析および質量分析法(大気圧固体分析プローブ質量分析法(ASAP−MS)など)によって求めることができる。過重水素化または部分重水素化された芳香族化合物またはアルキル化合物の出発物質は、市販品供給元から購入できるか、または周知の方法を用いて得ることができる。そのような方法の幾つかの例は、a)“Efficient H/D Exchange Reactions of Alkyl−Substituted Benzene Derivatives by Means of the Pd/C−H2−D2O System” Hiroyoshi Esaki,Fumiyo Aoki,Miho Umemura,Masatsugu Kato,Tomohiro Maegawa,Yasunari Monguchi,and Hironao Sajiki Chem.Eur.J.2007,13,4052−4063.b)“Aromatic H/D Exchange Reaction Catalyzed by Groups 5 and 6 Metal Chlorides” GUO,Qiao−Xia,SHEN,Bao−Jian;GUO,Hai−Qing TAKAHASHI,Tamotsu Chinese Journal of Chemistry,2005,23,341−344;c)“A novel deuterium effect on dual charge−transfer and ligand−field emission of the cis−dichlorobis(2,2’−bipyridine)iridium(III)ion” Richard J.Watts,Shlomo Efrima,and Horia Metiu J.Am.Chem.Soc.,1979,101(10),2742−2743;d)“Efficient H−D Exchange of Aromatic Compounds in Near−Critical D20 Catalysed by a Polymer−Supported Sulphonic Acid” Carmen Boix and Martyn Poliakoff Tetrahedron Letters 40(1999)4433−4436;e)米国特許第3849458号明細書;f)“Efficient C−H/C−D Exchange Reaction on the Alkyl Side Chain of Aromatic Compounds Using Heterogeneous Pd/C in D2O”Hironao Sajiki,Fumiyo Aoki,Hiroyoshi Esaki,Tomohiro Maegawa,and Kosaku Hirota Org.Lett.,2004,6(9),1485−1487の中に見出すことができる。
【0142】
本明細書に記載の化合物は、液体付着技法を用いて膜にすることができる。驚くべきことに、こうした化合物は、予想外にも類似の非重水素化合物と比べて非常に特性が向上している。本明細書に記載の化合物を持つ活性層を含んだ電子デバイスは、大幅に向上した寿命を持つ。加えて、量子効率が高くかつ彩度が良好な状態で、その寿命の増大が達成される。さらに、本明細書に記載の重水素化合物は、非重水素化類似体よりも空気耐性が高い。このため、物質の調製および精製と、物質を使用した電子デバイスの形成との両方での加工許容範囲(processing tolerance)を広げることができる。
【0143】
本明細書に記載の新規の重水素化合物は、正孔輸送物質として、エレクトロルミネセンス物質として、およびエレクトロルミネセンス物質のホストとしての有用性を有する。
【0144】
3.電子デバイス
本明細書に記載の重水素化物質を含んでいる1つまたは複数の層を有することから恩恵を受けることのできる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスの処理による信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電変換装置または太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含んでいる1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスターまたはダイオード)があるが、これらに限定されない。
【0145】
有機電子デバイス構造の1つの説明図を図1に示す。デバイス100は、第1電気接触層である陽極層110と、第2電気接触層である陰極層160と、それらの間にある電気活性層140とを有する。陽極の隣には正孔注入層120がある。正孔注入層の隣には、正孔輸送物質を含む正孔輸送層130がある。陰極の隣には、電子輸送物質を含む電子輸送層150があってよい。任意選択で、デバイスでは、陽極110の隣の1つまたは複数の更なる正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)及び/または陰極160の隣の1つまたは複数の更なる電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用してよい。
【0146】
実施形態によっては、フルカラーを実現するために、種々の色のそれぞれのためのサブピクセル単位を有するように、発光層がピクセル化される。ピクセル化されたデバイスの1つの説明図を図2中に示す。デバイス200は、陽極210と、正孔注入層220と、正孔輸送層230と、エレクトロルミネセンス層240と、電子輸送層250と、陰極260とを有する。エレクトロルミネセンス層はサブピクセル241、242、243に分割され、これらは層全体にわたって繰り返される。実施形態によっては、サブピクセルは赤色、青色、および緑色の発光を表す。3つの異なるサブピクセルが図2中に示されているが、2つまたは4つ以上のサブピクセル単位を使用してもよい。
【0147】
図1を参照しながら、種々の層について本明細書でさらに議論する。しかし、その議論は、図2およびその他の構成にも同様に適用される。
【0148】
層120〜150は、個別にも集合的にも活性層と呼ばれる。
【0149】
1つの実施形態では、種々の層の厚さの範囲は以下の通りである:陽極110は500〜5000Åで、1つの実施形態では1000〜2000Åであり;正孔注入層120は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;正孔輸送層130は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;電気活性層140は10〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;層150は50〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;陰極160は200〜10000Åで、1つの実施形態では300〜5000Åである。デバイス中の電子−正孔再結合域の場所(したがってデバイスの発光スペクトル)は、各層の相対的厚さによって影響されうる。層の厚さの所望の比率は、使用する物質のまさにその性質によって異なるであろう。
【0150】
デバイス100の用途に応じて、電気活性層140は、印加電圧によって活性化される発光層であってよいか(発光ダイオードまたは発光電気化学セルの場合など)、あるいはバイアス印加電圧の有無にかかわりなく放射エネルギーに反応して信号を発生する物質の層(光検出器の場合など)であってよい。光検出器の例としては、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、および光電管、および光起電力セルがあり、これらの用語は、Markus,John,Electronics and Nucleonics Dictionary,470 and 476(McGraw Hill,Inc.1966)に記載されている通りである。
【0151】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層130中の正孔輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は電気活性層140である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0152】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は、電気活性層140中の電気活性物質のホスト物質として有用である。実施形態によっては、放射性物質も重水素化されている。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0153】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は、電気活性層140中の電気活性物質として有用である。実施形態によっては、電気活性層中にはホストも存在する。実施形態によっては、ホスト物質も重水素化されている。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である
【0154】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層150中の電子輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層は重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電気活性層140である。
【0155】
実施形態によっては、電子デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層、電気活性層、および電子輸送層からなる群から選択される層の任意の組合せにおいて重水素化物質を有する。
【0156】
実施形態によっては、デバイスは、処理に役立つようにまたは機能を向上させるために、更なる層を有する。そうした層の一部または全部が重水素化物質を含むことができる。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質を含む。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質から本質的になる。
【0157】
a.電気活性層
本明細書に記載の新規の重水素化合物は、層140中のエレクトロルミネセンス物質として有用である。本発明の化合物は、単独で使用してもよいし、ホスト物質とともに使用してもよい。
【0158】
実施形態によっては、電気活性層は、ホスト物質と本明細書に記載の新規の重水素化合物とより本質的になる。
【0159】
実施形態によっては、ホストは、ビス縮合環式芳香族化合物である。
【0160】
実施形態によっては、ホストは、アントラセン誘導体化合物である。実施形態によっては、化合物は式:
An−L−An
[式中:
Anはアントラセン部分であり;
Lは二価の連結基である]
を有する。
【0161】
この式の実施形態によっては、Lは、単結合、−O−、−S−、−N(R)−、または芳香族基である。実施形態によっては、Anは、モノ−またはジフェニルアントリル部分である。
【0162】
実施形態によっては、ホストは式:
A−An−A
[式中:
Anはアントラセン部分であり;
Aは、それぞれの出現において同一または異なっていて、芳香族基である]
を有する。
【0163】
実施形態によっては、A基は、アントラセン部分の9位および10位に結合する。実施形態によっては、Aは、ナフチル、ナフチルフェニレン、およびナフチルナフチレンからなる群から選択される。実施形態によっては、化合物は対称であり、実施形態によっては化合物は非対称である。
【0164】
実施形態によっては、ホストは式:
【0165】
【化17】

【0166】
[式中:
およびAは、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、芳香族基、アルキル基、およびアルケニル基からなる群から選択されるか、あるいはAは1つ以上の縮合芳香環を表してもよく;
pおよびqは、同一または異なっていて、1〜3の整数である]
を有する。
【0167】
実施形態によっては、アントラセン誘導体は非対称である。実施形態によっては、p=2およびq=1である。
【0168】
実施形態によっては、AおよびAの少なくとも1つがナフチル基である。実施形態によっては、さらなる置換基が存在する。
【0169】
実施形態によっては、ホストは、
【0170】
【化18】

【0171】
およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0172】
本明細書に記載の新規の重水素化合物は、電気活性層中の電気活性物質として有用であることに加えて、電気活性層140中の別の電気活性物質のための電荷キャリアホストとして機能することもできる。実施形態によっては、電気活性層は、新規の重水素化物質、および1種類以上の電気活性物質より本質的になる。
【0173】
b.デバイスの他の層
デバイス中の他の層は、そのような層に有用であることが知られている任意の物質で作ることができる。
【0174】
陽極110は、正の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。それは、例えば、金属を含む物質、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物で作ることができるか、またはそれは導電性ポリマーにすることができるか、あるいはそれらの混合物にすることもできる。好適な金属としては、11族の金属、4〜6族の金属、および8〜10族の遷移金属がある。陽極を光透過性にする場合、12族、13族および14族の金属の混合金属酸化物(インジウム−スズ−酸化物など)が一般的に使用される。陽極110は、“Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer,”Nature vol.357,pp 477−479(11 June 1992)に記載されているようにポリアニリンなどの有機物質を含むこともできる。生じた光を見ることができるように、陽極および陰極のうちの少なくとも1つが、望ましくは少なくとも部分的に透明である。
【0175】
正孔注入層120は正孔注入物質を含み、有機電子デバイスにおいて1つまたは複数の機能を有しうる。その機能としては、下にある層の平坦化、電荷輸送特性及び/または電荷注入特性、不純物(酸素または金属イオンなど)の除去、および有機電子デバイスの性能を促進または向上させる他の側面があるが、それらに限定されない。正孔注入物質は、ポリマー、オリゴマー、または小分子でありうる。それらは、溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、コロイド状混合物、または他の組成物の形であり得る液体から付着させるか、あるいは蒸着させることができる。
【0176】
正孔注入層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料(プロトニック酸がドープされることが多い)によって形成させることができる。プロトニック酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。
【0177】
正孔注入層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷移動化合物などを含むことができる。
【0178】
実施形態によっては、正孔注入層は、少なくとも1種類の導電性ポリマーおよび少なくとも1種類のフッ素化酸ポリマーを含む。このような物質は、例えば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている
【0179】
実施形態によっては、本明細書に記載の新規の重水素化合物は、正孔輸送物質として有用である。層130用の他の正孔輸送物質の例は、例えば、Y.WangによってKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用できる。通常用いられる正孔輸送分子は以下のものである:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、およびポルフィリン化合物(銅フタロシアニンなど)。通常用いられる正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)−ポリシラン、およびポリアニリンである。正孔輸送分子(上述したものなど)をポリマー(ポリスチレンおよびポリカーボネートなど)にドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。場合によっては、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。場合によっては、これらのポリマーおよびコポリマーは架橋性である。架橋性正孔輸送ポリマーの例は、例えば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書および国際公開第2005/052027号パンフレット中に見出すことができる。実施形態によっては、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp−ドーパントがドープされる。
【0180】
実施形態によっては、本明細書に記載の新規の重水素化合物は、電子輸送物質として有用である。層150中に使用できる電子輸送物質の例としては、金属キレートオキシノイド化合物(トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq)など);ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ);およびアゾール化合物(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダゾール)ベンゼン(TPBI)など);キノキサリン誘導体(2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなど);フェナントロリン誘導体(9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)など);およびそれらの混合物がある。電子輸送層は、n−ドーパントでドープされていてもよい。N−ドーパント物質はよく知られている。n−ドーパントとしては、1族および2族の金属;1族および2族の金属塩(LiF、CsF、およびCsCOなど);1族および2族の金属有機化合物(Liキノレートなど);ならびに分子n−ドーパント(ロイコ染料など)、金属錯体(W(hpp)[ここでhpp=1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−[1,2−a]−ピリミジンである]、およびコバルトセンなど)、テトラチアナフタセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、複素環式ラジカルまたはジラジカル、ならびに複素環式ラジカルまたはジラジカルのダイマー、オリゴマー、ポリマー、ジスピロ化合物、および多環化合物があるが、これらに限定されない。層150は、電子輸送を促進する機能を果たすことができ、層界面での励起子の消光を防止するための正孔注入層または閉じ込め層としての機能を果たすこともできる。好ましくは、この層は、電子移動を促進し、励起子の消光を減少させる。
【0181】
陰極160は、電子または負の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。陰極は、陽極よりも仕事関数の小さい任意の金属または非金属であってよい。陰極用の物質は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族の(アルカリ土類)金属、12族の金属(希土類元素およびランタニドを含む)、およびアクチニドから選択できる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの物質、ならびにそれらの組合せを使用できる。動作電圧を下げるために、有機層と陰極層との間にLi含有またはCs含有の有機金属化合物、LiF、CsF、およびLiOを付着させることもできる。
【0182】
有機電子デバイス中に別の層を設けることが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため、かつ/または層のバンドギャップを一致させるため、あるいは保護層として機能するための、陽極110と正孔注入層120との間の層(図示せず)があってよい。当該技術分野において知られている層を使用でき、それには、銅フタロシアニン、酸窒化ケイ素、フルオロカーボン類、シラン類、または金属(Ptなど)の極薄層がある。あるいはまた、陽極層110、活性層120、130、140、および150、または陰極層160の一部または全部を表面処理して、電荷担体輸送効率を増大させることができる。各成分層の物質の選択は、好ましくは、デバイスが高いエレクトロルミネセンス効率となるように正電荷と負電荷を釣り合わせることにより決定する。
【0183】
各機能層は、複数の層で構成できることが理解される。
【0184】
好適な基板上に個々の層を順次蒸着させることを含め、さまざまな技法でデバイスを作製できる。ガラス、プラスチック、および金属などの基板を使用できる。熱蒸発、化学蒸着などの従来の蒸着手法を使用できる。あるいはまた、スピンコーティング、浸漬塗装、ロール間技法(roll−to−roll techniques)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来のコーティング技法または印刷技法(但し、それらに限定されない)を用いて、適切な溶媒の分散液または溶液から有機層を施すことができる。
【0185】
効率の高いLEDを実現するために、正孔輸送物質のHOMO(最高被占軌道)は、陽極の仕事関数と一致するのが望ましく、また電子輸送物質のLUMO(最低空軌道)が陰極の仕事関数と一致するのが望ましい。物質の化学的適合性および昇華温度も、電子輸送物質および正孔輸送物質を選択する際の重要な考慮事項である。
【0186】
本明細書に記載のクリセン化合物で作られたデバイスの効率は、デバイス中の他の層を最適化することによってさらに改善できると考えられる。例えば、Ca、BaまたはLiFなどのさらに効率的な陰極を使用できる。動作電圧の低減または量子効率の増大をもたらす形状化基板および新規の正孔輸送物質も、使用できる。種々の層のエネルギー準位を調整するため、またエレクトロルミネセンスを促進するため、更なる層を加えることもできる。
【0187】
本発明の化合物は、光ルミネセンス性であることが多く、OLED以外の用途(酸素感受性の指示薬およびバイオアッセイにおける蛍光性指示薬など)に有用でありうる。
【0188】
概要および実施例において上で述べた作業のすべてが必要であるわけではないこと、特定作業の一部は必要ではないことがあること、また説明したものに加えて1つまたは複数の更なる作業が実行されうることに留意されたい。またさらに、列挙されている作業の順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0189】
上記の明細書により、各概念が特定の実施形態に関連して説明された。しかし、以下の請求項に記載した本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を行うことができることは、当業者により理解される。したがって、明細書および図は、制限的な意味ではなく例示的なものと見なすべきであり、そのような修正はすべて本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0190】
上記において、便益、他の利点、および問題の解決法は、特定の実施形態に関連して説明されている。しかし、便益、利点、問題の解決法、ならびにいずれかの便益、利点、または解決法をもたらしうるかまたはより顕著なものにしうるどの特徴も、いずれかまたはすべての請求項の重要な特徴、必須の特徴、または基本的特徴と解釈すべきではない。
【0191】
明快にするために別々の実施形態の文脈において本明細書で説明されている特定の複数の特徴を、1つの実施形態で兼ね備えさせることもできることを理解すべきである。その逆に、簡潔にするために1つの実施形態の文脈で説明されている様々な特徴を、別個に、あるいは任意の副次的な組合せで備えさせることもできる。さらに、範囲内に示されている値に言及する場合、それはその範囲内の各値およびすべての値を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
Q−(NAr 式I
[式中:
Qは、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、フルオランテン、フルオレン、ナフタレン、ペリレン、フェナントレン、ピレン、スピロフルオレン、テトラセン、およびそれらの置換誘導体からなる群から選択される芳香族核であり;
Arはアリールであり;
aは、1または2である]
を有し、少なくとも1つのDを有する、化合物。
【請求項2】
少なくとも20%が重水素化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
重水素化が、アリール環上の置換基上で行われている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
重水素化が、Ar〜Arの任意の1つ以上で行われている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
重水素化がQ上で行われている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Qが式II
【化1】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Qが式III
【化2】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Qが式IV
【化3】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
ArおよびArは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Qが式V
【化4】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
は、それぞれの出現において同一または異なっていて、アルキル基から選択され;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
QがVI−a、VI−b、およびVI−c
【化5】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
から選択される式を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Qが式VII−aまたはVII−b
【化6】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Qが式VIII−aまたはVIII−b
【化7】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
QがIX−a、IX−b、およびIX−c
【化8】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
から選択される式を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Qが式X
【化9】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Qが式XI
【化10】

[式中:
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、およびアリールからなる群から選択され、隣接したR基は互いに結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar〜Arは、同一または異なっていて、アリール基からなる群から選択される]
を有する、請求項1または5のいずれか一項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515053(P2013−515053A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545990(P2012−545990)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/058865
【国際公開番号】WO2011/084284
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】