説明

ルーバー機構付き帽子

【課題】 通気性および遮光性を有すると共に、外観上のデザインが極めて優れた帽子を提供する。
【手段】 帽体の前部および後部に開口が設けられ、該開口にルーバー枠と羽板とからなるルーバー機構が固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通気性および遮光性を有する帽子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通気性を有する帽子としては、帽体に通気孔を設けるもの、帽体の生地の一部または全部にメッシュ素材を用いるもの等が知られている。
帽体に通気孔を設ける方式は、直径1mm〜5mm程度の通気孔が帽体の適宜位置に数か所設けられるが、通気孔が小さいため清涼感を感じるのに十分な通気性を確保することはできなかった。また、帽体の生地の一部にメッシュ素材を用いた場合には、通気性を確保することはできるが、メッシュ素材を用いた部分において直接日光が当たるため、被着者は十分な清涼感を感じることができない。さらに、帽体に通気孔を設けたり、帽体の生地の一部にメッシュ素材を用いたりした場合は、外観上の体裁も良くない。
【0003】
特許文献1には、遮光素材からなるクラウン表地と通気素材からなるクラウン裏地とでクラウンを形成した帽子であって、クラウン表地の下縁における所定区間をクラウン裏地に対して縫着せずにふらし、クラウン表地の下縁におけるふらした部分の下側からクラウン表地とクラウン裏地との隙間へ外気を導入することができるようにしたことを特徴とする帽子が開示されている。しかしながら、単に表地と裏地を縫着しないという方法のみでは、外気を導入するための隙間が十分に確保されているとはいえない。また、クラウン表地の下縁における所定区間をクラウン裏地に対して縫着しないので、十分な通気性を確保しようとするとクラウン下縁の強度が弱くなるという問題がある。
【0004】
他方、特許文献2には、リング状シートを重合して構成したことを特徴とする帽子が開示されている。本発明によれば、遮光性と通気性の双方を確保することができる。しかしながら、本発明に係る帽子は、従来の帽子の製法とは全く異なる製法により製造されるものであるため、量産が困難である上、製造コストも高くなる。また、リング状シートを重合するのみであるため、構造上、頭部を保護するという帽子本来の機能を果たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−308790号公報
【特許文献2】特開2001−226814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、通気性および遮光性を有すると共に、外観上のデザインが極めて優れた帽子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、帽体の前部および後部に開口が設けられ、該開口にルーバー枠と羽板とからなるルーバー機構が固定されたことを特徴とする。
【0008】
前記羽板を回動自在としたことが好ましい。
【0009】
前記帽体の内側にバンドが設けられ、帽子を被着した状態において、頭部に前記バンドが接触するが前記帽体は接触しないで、頭部と前記帽体の間に隙間が形成されることが好ましい。
前記帽体の内側にハンモックが設けられ、帽子を被着した状態において、頭部に前記ハンモックが接触するが前記帽体は接触しないで、頭部と前記帽体の間に隙間が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る帽子は、通気性および遮光性を有するため、被着者は十分な清涼感を感じることができる。また、従来の帽子に開口を設け、該開口にルーバー機構を固定するので、製作容易で外観上のデザインも極めて優れたものとなる。さらに、頭部を保護するという帽子本来の機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の帽子の正面図(図1(1))と側面図(図1(2))である。
【図2】帽体2及びルーバー機構8を分離して示す側面図である。
【図3】ルーバー機構8の正面図(図3(1))と側面図(図3(2))である。
【図4】本発明の帽子の縦断側面図である。
【図5】本発明の帽子の他の実施形態の縦断側面図である。
【図6】本発明の帽子の他の実施形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る通気性を有する帽子の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(1)は、本発明に係る帽子の正面図、図1(2)はその側面図であり、帽子を構成する帽体2及びルーバー機構8A、8Bが示されている。図2は、帽体2及びルーバー機構8A、8Bを分離して示す側面図である。
【0013】
帽子に設けられるルーバー機構8については図3を用いて後述するように、羽板10およびルーバー枠20とからなり、ルーバー機構8はルーバー枠20の周縁に形成される取付部21を介して帽体前部および帽体後部に設けられた開口3A、3Bに固定される。
【0014】
次に、図3を用いてルーバー機構8を説明する。
図3にはルーバー機構8が示されており、図3(1)はその正面図、図3(2)はその側面図である。
これらの図において、所要の長さ、幅、厚みを有する羽板10が、ルーバー枠20に一定の隙間をあけて平行に設置されている。ルーバー枠20の周縁にはルーバー機構8を帽体2に固定するための取付部21が形成される。
【0015】
ルーバー機構8の大きさについて格別の制限はなく、十分な通気性を確保することのできる大きさとすれば良い。但し、頭部を保護するという帽子本来の目的を果たす必要性と、ルーバー機構8の製造コストを廉価に抑える必要性を考慮すると、帽体2の表面積の1/4以下の大きさとすることが好ましい。
本実施形態においてルーバー機構8の外形は台形としたが、円形、楕円形、矩形、その他種々の形状とすることができる。
【0016】
羽板10の長さ、幅、厚みは、帽体2の大きさやルーバー機構8の大きさに多分に依存するものの、格別の制限はない。但し、通気性と遮光性を確保すると共に、羽板10の強度を保持する必要性から、長さ50mm〜150mm、幅5mm〜10mm、厚み0.5mm〜2mmの範囲とすることが好ましい。
本実施形態において羽板10の断面を矩形としたが、必ずしも矩形でなくとも良い。
【0017】
羽板10の枚数および間隔については、格別の制限はなく、通気性および遮光性が確保されるものであれば良い。通常、羽板の枚数は3枚〜10枚、その間隔は1mm〜5mmの範囲とすることが好ましい。羽板10の角度に特に制限はなく、日差しを有効に遮ることのきる角度とすれば良い。例えば、西日の入射角に対して垂直に光を受けることのできる角度とすれば、日中の日差しを全て遮ることが可能となる。また、使用状況によって自由に羽板10の角度を変えることのできるものとしても良い。
【0018】
ルーバー機構8は、可撓性を有する合成樹脂により成型することができ、特に、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ナイロンなどの弾性を有する合成樹脂により成型することが好ましい。このルーバー機構8は、僅かな部品により構成され、かつ、簡易な構造の故に、金型で容易に一体成型することができる。
【0019】
本実施形態において、帽体前部および後部に其々一つずつ開口3A、3Bを設けたが、帽体前部および後部に設けられる開口3の数量に制限はない。通気性や外観上のデザイン、開口3とルーバー機構8の大きさ等を考慮して適宜数量を決定すれば良い。
【0020】
続いて、図1に示すルーバー機構付き帽子の作用を説明する。
ルーバー機構8A、8Bが帽体2の前部および後部に設けられた開口3A、3Bに固定されるので、羽板10A、10Bの隙間から外気が導入され、かつ、羽板10A、10Bにより日差しを遮ることが可能となる。本発明のルーバー機構付き帽子の構造によれば、ルーバー機構8A、8Bから流入する大量の外気は、帽子の被着者の頭部に直接接触することに加えて、羽板10Aにより日差しが遮られるので、冷却効果が体感上極めて優れている。図4は本実施形態における帽子の縦断側面図である。
【0021】
次に本発明の別の実施形態について図5および図6を参照しながら説明する。
図5は本実施形態における帽子の縦断側面図、図6はその底面図である。
この実施形態では、帽体2の前部および後部にルーバー機構8A、8Bが設けられるほか、帽体内部にバンド30A、30Bが設置されている。
【0022】
本実施形態における帽子を被着した状態では、被着者の額にバンド30Aが接触し、被着者の頭頂部から後頭部にかけてバンド30Bが接触する。これにより、被着者の頭部と帽体2の間に隙間が形成される。したがって、外気が帽体前部および帽体後部のルーバー機構8A、8Bから帽体内部に入ると、その空気は帽体内部に形成される前記隙間から導入される。その際、帽体内部に貯留する蒸れた空気も、この外気流に同伴されて瞬時に帽体外部に排気される。
【0023】
前記帽体前部に設けられるルーバー機構8Aが主として外気の導入口として機能するのに対して、前記帽体後部に設けられるルーバー機構8Bは導入されかつ帽体内部に溜まった空気の排気口として機能することが求められることから、ルーバー機構8Aと対向する位置、特に、帽体2の頂部後方位置とすることが好ましい。
【0024】
バンド30はルーバー機構8から導入された外気の通路が確保されるように設置されれば良く、その設置位置と数量に特に制限はない。つまり、帽子の被着状態において頭部と帽体2の間に隙間が形成されるように設ければ良い。
【0025】
また、図示しないが、帽体内部にハンモックを設けることによっても、頭部と帽体2の間に隙間を形成することができる。
【符号の説明】
【0026】
2 帽体
3 開口
8 ルーバー
10 羽板
20 ルーバー枠
21 取付部
30 バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体の前部および後部に開口が設けられ、該開口にルーバー枠と羽板とからなるルーバー機構が固定されたことを特徴とする帽子。
【請求項2】
前記羽板を回動自在とした請求項1記載の帽子。
【請求項3】
前記帽体の内側にバンドが設けられ、帽子を被着した状態において、頭部に前記バンドが接触するが前記帽体は接触しないで、頭部と前記帽体の間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の帽子。
【請求項4】
前記帽体の内側にハンモックが設けられ、帽子を被着した状態において、頭部に前記ハンモックが接触するが前記帽体は接触しないで、頭部と前記帽体の間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の帽子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19088(P2013−19088A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166005(P2011−166005)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(399102127)ビルマテル株式会社 (19)