説明

ルーバー窓の羽板ガラス用ワイパー

【課題】ルーバー窓の羽板ガラスを清掃するためのワイパー、特に、羽板ガラスの汚れを確実に除去できるように工夫されたワイパーを提供する。
【解決手段】ワイパーは、柄部6と清掃部7とを有する一対の挟持アーム1,2を、基端の連結部3において連結軸4を中心に回動自在に連結することにより形成され、該連結軸4を中心に両挟持アーム1,2を相互に回動させることにより、両挟持アーム1,2の清掃部材9が互いに向き合う第1の使用状態と、両挟持アーム1,2の基台8の背面同士が相互に当接して上記清掃部材9が何れも外側を向く第2使用状態とに変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバー窓の羽板ガラスを清掃するためのワイパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の住宅はルーバー窓を備えているものが多い。このルーバー窓は、横に細長いガラス製の羽板(羽板ガラス)を上下に複数枚並べて配置したもので、ハンドル操作で各羽板ガラスの傾斜角度を調節することによって隣接する羽板ガラス間の間隔を調整し、それによって窓を開閉するものである。
【0003】
このようなルーバー窓において、従来は、上記羽板ガラスが汚れた場合に雑巾を使用して該羽板ガラスを拭いていた。しかし、上記羽板ガラスは比較的狭い間隔で配置されているため、手に持った雑巾を羽板ガラス間に完全に挿入するのが難しく、清掃作業に支障を来すことがあった。しかも、ガラスのエッジが手に当たって怪我をする心配もあった。
【0004】
一方、ルーバー窓と良く似た構成を有するブラインドの清掃には、特許文献1や特許文献2等に記載された清掃具が用いられている。この清掃具は、開閉自在の一対の挟持アームの先端部にスポンジを対向状に取り付けたもので、これらのスポンジ間にブラインドの羽板を挟持し、その状態で清掃具を該羽板に沿って移動させることにより、上記スポンジで羽板の両面の汚れを拭き取るものである。
【0005】
そこで、上述したブラインド用清掃具の構成を、ルーバー窓の羽板ガラス用清掃具に応用することが考えられる。しかし、羽板ガラスはブラインドの羽板より厚みが大きく、しかも表面に凹凸が形成されているものもあるため、単にスポンジ間に羽板ガラスを挟持して該スポンジを移動させるだけでは、汚れを十分に拭き取れない場合がある。このため、清掃具に、羽板ガラスに付着した汚れを確実に除去できるような工夫を施すことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭52−163959号公報
【特許文献2】実開平2−67945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ルーバー窓の羽板ガラスを清掃するためのワイパー、特に、羽板ガラスの汚れを確実に除去できるように工夫されたワイパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の羽板ガラス用ワイパーは、基端の連結部において連結軸を中心に回動自在なるように連結された一対の挟持アームにより形成されている。各挟持アームは、握持用の柄部と、該柄部の先端に連なる清掃部とを有していて、該清掃部が、上記柄部と一体の基台の内側面に柔軟な清掃部材を取り付けることにより形成され、上記挟持アームを上記連結軸を中心に回動させることにより、両挟持アームの清掃部材が互いに向き合う第1の使用状態と、両挟持アームの基台の背面同士が相互に当接して両挟持アームの清掃部材が何れも外側を向く第2の使用状態とに変更可能である。
【0009】
本発明において好ましくは、上記ワイパーが、一対の挟持アームの使用時の位置ずれを防止するアームストッパを有し、このアームストッパが、一方の挟持アームに形成された凹部と、他方の挟持アームに形成されて該凹部に係止する凸部とからなり、このような凹部と凸部とが、各挟持アームの内側面と背面の両面に形成されていることである。
【0010】
また、本発明のワイパーは、清掃部と柄部との境界部分に、互いに向き合う清掃部材間に挟持された羽板ガラスに当接して該羽板ガラスがそれ以上柄部側に進入するのを防止するガラスストッパを有することが望ましい。
【0011】
本発明のワイパーにおいて、上記連結部が、一方の第1の挟持アームの基端部に形成された連結孔と、他方の第2の挟持アームの基端部に取り付けられて上記連結孔に嵌合する上記連結軸とを有し、上記連結孔は、上記第1の挟持アームの内側面−背面方向に細長く延在し、上記連結軸がこの連結孔の一端側に移動した状態で両挟持アームが上記第1の使用状態を占め、上記連結軸がこの連結孔の他端側に移動した状態で両挟持アームが上記第2使用状態を占めるように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワイパーは、2つの挟持アームを第1の使用状態にすることにより、両挟持アームの相対する清掃部材間に羽板ガラスを挟持して清掃することができ、また、2つの挟持アームを第2の使用状態にすることにより、外側を向いた清掃部材を羽板ガラスの上面や下面に押し付けて汚れを擦り落とすことができ、この結果、羽板ガラスの汚れを確実に除去することができる。さらに、ワイパーを上記第2の使用状態にした場合には、サッシの清掃も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るワイパーの一実施形態を示す第1の使用状態での側面図である。
【図2】図1のワイパーを斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図1のワイパーを斜め下方から見た斜視図である。
【図4】図1におけるIV−IV線での拡大断面図である。
【図5】図1におけるV−V線での拡大断面図である。
【図6】図1におけるVI−VI線での拡大断面図である。
【図7】2つの挟持アームを開いた状態の斜視図である。
【図8】第2の挟持アームを360度回動させてワイパーを第2の使用状態とした場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図には本発明に係るルーバー窓の羽板ガラス用ワイパーの一実施形態が示されている。このワイパーは、基端の連結部3において連結軸4を中心に相互に回動自在なるように連結された第1の挟持アーム1及び第2の挟持アーム2からなるもので、これらの挟持アーム1,2は、握持用の柄部6と、該柄部6の先端に連なる清掃部7とを有し、該清掃部7が、上記柄部6と一体の基台8の内側面8aに柔軟な清掃部材9を取り付けることにより形成されている。
【0015】
そして、上方の第2の挟持アーム2を上記連結軸4を中心に正逆方向に360度回動させることにより、ワイパーの使用状態を、図1−図3のように、両挟持アーム1,2の清掃部材9が互いに向き合う第1の使用状態と、図8のように、両挟持アーム1,2の基台8の背面8b同士が相互に当接し、これら両挟持アーム1,2の清掃部材9が何れも外側を向く第2の使用状態とに、変更できるようになっている。
【0016】
上記一対の挟持アーム1,2の具体的構成は以下の通りである。先ず、第1の挟持アーム1の構成について説明する。この第1の挟持アーム1の上記柄部6と基台8とは、合成樹脂で一体に形成されている。このうち柄部6は、強度を高めるため、図4からも明らかなように、細長い平らな柄板10の内側面(第2の挟持アーム2側を向く面)に複数のリブ11を設けた構成を有しており、これらのリブ11は、上記柄板10の長さ方向に互いに平行に延び、その先端は上記基台8との境まで達している。図示した例では、全部で5本のリブ11が形成されている。また、上記柄部6は全体的に上方に向けて緩やかに湾曲している。
【0017】
一方、上記基台8は、上記柄板10の先端に該柄板10と一体に形成され、その厚さは該柄板10と実質的に同じであり、その横幅は該柄板10より広くされている。また、該基台8は、湾曲する上記柄部6と違って平坦である。該基台8の内側面8a即ち上記第2の挟持アーム2側を向く面は、平らな清掃部材用取付面となっていて、該取付面に、清掃部材取付用の2つの突起14が形成されている。これらの突起14は、上記基台8の幅方向の中間位置に、該基台8の長さ方向に間隔を開けて配設されている。
【0018】
上記基台8の内側面8aには、上記清掃部材9が取り付けられている。この清掃部材9は、長方形の四隅を円弧状に形成したような平面視形状と、一定の厚さとを有するもので、2つの取付孔15を有しており、該清掃部材9の形状及び大きさは上記基台8の形状及び大きさと実質的に同じである。そして、この清掃部材9が、上記取付孔15内に上記突起14を嵌合させることにより位置決めされた状態で、接着剤や両面接着シート等で上記内側面8aに取り付けられている。これらの基台8及び清掃部材9の長さは、図1及び図3に示すように、羽板ガラスGの幅より大きい。
【0019】
また、上記清掃部材9は、圧縮性と保水性とを有するスポンジ製基材9aの表面(清掃面)に不織布製の摺擦体9bを取り付けることにより形成されており、その厚さは上記リブ11の高さより小さい。従って、該清掃部材9を上記基台8に取り付けたとき、上記リブ11の上端は該清掃部材9の清掃面よりも上方に突出している。
【0020】
次に、上記第2の挟持アーム2の構成について説明する。この第2の挟持アーム2は、柄部6に形成された補強用のリブ17と連結部3及び後述するストッパとに関する構成が上記第1の挟持アーム1と若干異なっているが、それ以外の構成は実質的にこの第1の挟持アーム1と同じである。従って、第1の挟持アーム1と同じ構成部分については、該第1の挟持アーム1で用いたものと同じ符号を付してその説明は省略し、相違する部分について以下に説明することとする。
【0021】
即ち、上記第2の挟持アーム2の柄部6は、図5に示すように、細長い平らな柄板10の内側面(第1の挟持アーム1側を向く面)に複数のリブ17を設けた構成を有しているが、第1の挟持アーム1の場合と違って上記リブ17は全部で4本形成され、これらのリブ17の高さは、上記第1の挟持アーム1のリブ11の高さより低い。
【0022】
また、上記4本のリブ17のうち、内側にある2本のリブ17における基台8側の端部は、ワイパーの内側即ち第1の挟持アーム1側に向けて突出し、ストッパ用の凸部18を形成しており、ワイパーが図1に示す第1の使用状態にあるとき、図6からも分かるように、上記凸部18が、第1の挟持アーム1の中央のリブ11とその両側のリブ11との間の溝で形成された凹部19内に嵌合、係止し、両挟持アーム1,2が左右方向に位置ずれするのを規制するようになっている。従って、上記凸部18と凹部19とは、両挟持アーム1,2の位置ずれを防止する第1のアームストッパを形成するもので、清掃部7と柄部6との境界部分に形成されていることになる。
【0023】
上記連結部3は、第1の挟持アーム1の基端部に形成された細長い連結孔23と、第2の挟持アーム2の基端部に取り付けられて上記連結孔23に嵌合する上記連結軸4とを有している。この構成のため、上記第1の挟持アーム1の基端部には、該挟持アーム1の厚さ方向即ち内側面−背面方向に延びる細幅の連結縁枠24が該挟持アーム1と一体に形成され、この連結縁枠24に上記連結孔23が形成されており、また、上記第2の挟持アーム2の基端部には、上記連結縁枠24を挟む二股状の軸受部25が該挟持アーム2と一体に形成され、この軸受部25に上記連結軸4が取り付けられている。
【0024】
そして、図7に示すように上記連結軸4を中心にして第2の挟持アーム2を回動させると、該連結軸4が回転しながら上記連結孔23内を移動し、図1−図3に示すように、該連結軸4が連結孔23の一端側に移動した状態で両挟持アーム1,2が上記第1の使用状態を占めることができ、図8に示すように、上記連結軸4が連結孔23の他端側に移動した状態で両挟持アーム1,2が上記第2の使用状態を占めることができるようになっている。
【0025】
また、上記両挟持アーム1,2には、これらの挟持アームが第2の使用状態にあるときの位置ずれを防止するため、第2のアームストッパが設けられている。この第2のアームストッパは、図示の例では第1の挟持アーム1の背面に形成された凹部27と、第2の挟持アーム2の背面に形成されて該凹部27に嵌合、係止する凸部28とからなっている。しかし、これらの凹部27と凸部28との配置は、上記とは逆に、第1の挟持アーム1の背面に凸部28を設け、第2の挟持アーム2の背面に凹部27を設けたものであっても良い。上記凹部27と凸部28とは、上記第1のアームストッパの凹部19及び凸部18と同様に、清掃部7と柄部6との境界部分に形成されていることが望ましい。
【0026】
上記構成を有するワイパーは、上記第1の使用状態と第2の使用状態とにおいてルーバー窓の羽板ガラスGを清掃することができるものである。
先ず、図1に示す第1の使用状態では、一対の挟持アーム1,2の互いに向き合う2つの清掃部材9間に羽板ガラスGを挟持し、その状態でワイパーを該羽板ガラスGに沿って横に移動させることにより、該羽板ガラスGの両面の汚れを清掃部材9で除去することができる。このとき、上記清掃部材9の長さは羽板ガラスGの幅より大きいため、該羽板ガラスGは全幅にわたり上下の清掃部材9間に挟持され、確実に汚れが落とされることになる。
【0027】
また、上記両挟持アーム1,2の左右方向の位置ずれは、凸部18と凹部19とからなる第1のアームストッパによって防止されるため、清掃作業を円滑かつ安定的に行うことができる。しかも、ワイパーを強く羽板ガラスGに押し付けても、該羽板ガラスGは、両挟持アーム1,2に形成されたリブ11及び凸部18の端部に当接し、それ以上柄部6側に進入できないから、該羽板ガラスGのエッジが手に当たって怪我をするおそれがない。従って、これらのリブ11及び凸部18は、羽板ガラスGが柄部6側に進入するのを防止するガラスストッパを形成するものである。
【0028】
次に、第2の挟持アーム2を360度回動させてワイパーを図8に示す第2の使用状態にすると、一対の挟持アーム1,2は、基台8の背面同士が相互に当接し、各々の清掃部材9が何れも外側を向く姿勢を占める。そこで、該ワイパーを上下の羽板ガラスGの間に挿入し、上を向いた清掃部材9で上段の羽板ガラスGの下面を清掃し、下を向いた清掃部材9で下段の羽板ガラスGの上面を清掃するといったように、各々の清掃部材9で羽板ガラスGを個々に清掃することができる。このとき、該羽板ガラスGは、上記リブ11又は凸部18の端部に当接してそれ以上柄部6側に進入できないから、該羽板ガラスGのエッジが手に当たって怪我をするおそれがない。
また、両挟持アーム1,2の左右方向の位置ずれは、凹部27と凸部28とからなる第2のアームストッパによって防止される。
【0029】
なお、ワイパーを上記第2の使用状態にしたときは、上記清掃部材9でサッシ等を清掃することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1の挟持アーム
2 第2の挟持アーム
3 連結部
4 連結軸
6 柄部
7 清掃部
8 基台
8a 内側面
9 清掃部材
18,28 凸部
19,27 凹部
23 連結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端の連結部において連結軸を中心に回動自在なるように連結された一対の挟持アームからなり、各挟持アームは、握持用の柄部と、該柄部の先端に連なる清掃部とを有していて、該清掃部が、上記柄部と一体の基台の内側面に柔軟な清掃部材を取り付けることにより形成され、
上記挟持アームを上記連結軸を中心に回動させることにより、両挟持アームの清掃部材が互いに向き合う第1の使用状態と、両挟持アームの基台の背面同士が相互に当接して両挟持アームの清掃部材が何れも外側を向く第2の使用状態とに変更可能であることを特徴とするルーバー窓の羽板ガラス用ワイパー。
【請求項2】
上記一対の挟持アームの使用時の位置ずれを防止するアームストッパを有し、このアームストッパは、一方の挟持アームに形成された凹部と、他方の挟持アームに形成されて該凹部に係止する凸部とからなり、このような凹部と凸部とが、各挟持アームの内側面と背面の両面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパー。
【請求項3】
清掃部と柄部との境界部分に、互いに向き合う清掃部材間に挟持された羽板ガラスに当接して該羽板ガラスがそれ以上柄部側に進入するのを防止するガラスストッパを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパー。
【請求項4】
上記連結部は、一方の第1の挟持アームの基端部に形成された連結孔と、他方の第2の挟持アームの基端部に取り付けられて上記連結孔に嵌合する上記連結軸とを有し、上記連結孔は、上記第1の挟持アームの内側面−背面方向に細長く延在し、上記連結軸がこの連結孔の一端側に移動した状態で両挟持アームが上記第1の使用状態を占め、上記連結軸がこの連結孔の他端側に移動した状態で両挟持アームが上記第2使用状態を占めるように構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のワイパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−24880(P2011−24880A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175405(P2009−175405)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)