説明

ルーフモールディング構造

【課題】ルーフサイドフィニッシャとルーフモールディングの突き合わせ部の見栄えを良くするルーフモールディング構造を提供する。
【解決手段】樹脂材からなるルーフサイドフィニッシャ7と、ステンレス材からなるルーフモールディング8とを、車両のピラーアウターパネル2とルーフアウターパネル3との接合部に形成された凹溝4に配置したルーフモールディング構造であり、そのルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8の突き合わせ部に、車両に取り付けられるルーフラック5のセンター脚部10を上から覆うように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフモールディング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両におけるピラーアウターパネルとルーフアウターパネルとの接合部には、これらパネル同士をスポット溶接した溶接痕を隠すためにルーフモールディングが取り付けられている(例えば、特許文献1などに記載)。
【特許文献1】特開2002−193050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ルーフモールディングは車両の前後方向を長手方向とする長尺部品であるため、このルーフモールディングを、前後で分割し、樹脂モールディング部と金属モールディング部のように異種材料の2部品で構成した場合、これら樹脂モールディングと金属モールディング部との突き合わせ部に熱膨張差を吸収するためのクリアランスを設ける必要がある。しかしながら、これら樹脂モールディング部と金属モールディング部の突き合わせ部にクリアランスを設けると、ルーフモールディングの一体感が失われ、見栄えが低下する。
【0004】
そこで、本発明は、ルーフサイドフィニッシャとルーフモールディングの突き合わせ部の見栄えを良くするルーフモールディング構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のルーフモールディング構造では、ルーフサイドフィニッシャとルーフモールディングの突き合わせ部に、ルーフラックの脚部を上から覆うように配置する構造とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のルーフモールディング構造によれば、ルーフサイドフィニッシャとルーフモールディングの突き合わせ部がルーフラックの脚部によってその上から覆われるため、異種材料からなるルーフサイドフィニッシャとルーフモールディングとが熱膨張し、それらの間のクリアランスが大きくなっても外観からは隙間が見えず、前記突き合わせ部の見栄えが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
本実施の形態のルーフモールディング構造は、図1及び図2に示すように、自動車等の車両1のピラーアウターパネル2とルーフアウターパネル3との接合部に形成された凹溝4に配置され、その上に取り付けられるルーフラック5にて車体に固定されている。
【0009】
本実施の形態のルーフモールディング構造は、サンルーフユニット6の側部に設けられたルーフサイドフィニッシャ7と、該ルーフサイドフィニッシャ7と異なる材質からなるルーフモールディング8と、エンドキャップ9と、を主たる構成としている。
【0010】
ルーフサイドフィニッシャ7は、サンルーフガラス等からなるサンルーフユニット6の側部に設けられている。このルーフサイドフィニッシャ7は、例えば樹脂材からなり、サンルーフガラスをインサートするモールド成形により形成されている。
【0011】
ルーフモールディング8は、ルーフサイドフィニッシャ7と異なる材質であるステンレス材からなり、このステンレス材を押し出し成形することにより形成されている。このルーフモールディング8の先端には、図3及び図4に示すように、ルーフラック5の脚部であるセンター脚部10の一部を挿入配置させる切り欠き部11が形成されている。
【0012】
エンドキャップ9は、前記切り欠き部11の開口周縁部に装着され、この切り欠き部11の周縁部における強度を補強する役目をする。かかるエンドキャップ9には、図5及び図6に示すように、切り欠き部11の開口周縁部に形成された切欠き12に係合して、ルーフモールディング8からの脱落を防止する係止突起13が設けられている。このエンドキャップ9に設けられた係止突起13がルーフモールディング8に形成された切欠き12に係合することで、前記ルーフモールディング8からの前記エンドキャップ9の脱落が防止される。
【0013】
また、エンドキャップ9には、該エンドキャップ9を前記切り欠き部11の開口周縁部に装着させる際にスライドガイドさせて装着性を容易なものとするスライドガイド部14が形成されている。このスライドガイド部14には、前記切り欠き部11の開口周縁部における奥側の開口側縁11aに係合するスリット溝が形成されている。
【0014】
また、エンドキャップ9には、ルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8間の隙間を塞ぐ隙間隠し部15と、ルーフサイドフィニッシャ7を下から支える補強部16と、が設けられている。隙間隠し部15は、ルーフモールディング8の先端面8aに当接し、該ルーフモールディング8とルーフサイドフィニッシャ7間の隙間(クリアランス)を埋める役目をする。補強部16は、隙間隠し部15から前方へ突出するように設けられており、前記ルーフサイドフィニッシャ7の中に差し込まれて該ルーフサイドフィニッシャ7を下から支える役目をする。
【0015】
このように、エンドキャップ9に隙間隠し部15を設けることで、図4中矢印Aで示す方向から突き合わせ部を見たときにサイド部側の隙間がこの隙間隠し部15によって見え無くなる。そして、エンドキャップ9に補強部16を設けることで、ルーフサイドフィニッシャ7をこの補強部16で下から支え当該ルーフサイドフィニッシャ7の落ち込みを防止することができる。
【0016】
サンルーフユニット6に一体化されたルーフサイドフィニッシャ7と、エンドキャップ9が取り付けられたルーフモールディング8とは、ピラーアウターパネル2とルーフアウターパネル3との接合部に形成された凹溝4に配置され、この上に取り付けられるルーフラック5によって車体にネジ止めされる。ルーフラック5は、その長手方向両端のサイド脚部17、18と、中央のセンター脚部10の3箇所で車体にボルト19にて固定されている。サイド脚部17、18には、前記ボルト19を目隠しするためのカバー20が装着されるようになっている。
【0017】
センター脚部10は、図3及び図7から図9に示すように、ボルト19で車体に固定される脚部本体10Aと、この脚部本体10Aに装着されるカバー10Bとから構成されている。脚部本体10Aの一部は、ルーフモールディング8に形成した切り欠き部11内に突出し、ボルト19にて車体に固定される。ルーフラック5とセンター脚部10は、当該ルーフラック5に形成された孔部21に嵌合挿入される連結部材22を介してボルト23で固定されている。なお、ルーフラック5には、前記孔部21を塞ぐキャップ24が装着される。
【0018】
以上のように構成されたルーフモールディング構造では、初めに、エンドキャップ9をルーフモールディング8の先端部に装着した後、このルーフモールディング8を、ピラーアウターパネル2とルーフアウターパネル3との接合部に形成された凹溝4に配置しクリップにて仮止めする。次に、サンルーフユニット6に一体化されたルーフサイドフィニッシャ7を、前記凹溝4に配置する。そして、これらルーフモールディング8とルーフサイドフィニッシャ7の突き合わせ部を上から覆い隠すようにしてセンター脚部10をボルト19で車体に固定する。
【0019】
次に、ルーフラック5に形成した孔部21に連結部材22を嵌合挿入させてボルト23でルーフラック5とセンター脚部10とを固定する。また、ルーフラック5のサイド脚部17、18をそれぞれルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8の上に配置させた後、ボルト19にて前記サイド脚部17、18を車体に固定する。そして最後に、カバー20を各サイド脚部17、18に取り付ける。
【0020】
このように構成されたルーフモールディング構造によれば、ルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8の突き合わせ部がルーフラック5のセンター脚部10によってその上から覆われるため、異種材料からなるルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8とが熱膨張し、それらの間のクリアランスが大きくなっても外観からは隙間が見えず、前記突き合わせ部の見栄えが向上する。また、このルーフモールディング構造によれば、これらルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8との分割位置が外観からは判り難くなり、見栄えが更に良くなる。
【0021】
また、このルーフモールディング構造によれば、前記ルーフサイドフィニッシャ7とルーフモールディング8間の車体側部からの隙間(クリアランス)は、ルーフモールディング8に取り付けられたエンドキャップ9の隙間隠し部15によって塞がれるため、同様に突き合わせ部の見栄えが良くなる。
【0022】
また、このルーフモールディング構造によれば、エンドキャップ9にルーフサイドフィニッシャ7を下から支える補強部16を設けたので、ルーフサイドフィニッシャ7の落ち込みを防止することができる。
【0023】
以上、本発明を適用した具体的な実施の形態について説明したが、上述の実施の形態は、本発明の一例に過ぎず、前記した実施の形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本実施の形態のルーフモールディング構造が車両に取り付けられた状態を示す図である。
【図2】図2は本実施の形態のルーフモールディング構造の分解斜視図である。
【図3】図3は本実施の形態のルーフモールディング構造におけるルーフラックのセンター脚部の分解斜視図である。
【図4】図4は本実施の形態のルーフモールディング構造における突き合わせ部の斜視図である。
【図5】図5は図4で示すルーフラックを外した状態を示す図である。
【図6】図6はルーフモールディングの先端部にエンドキャップを取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図7】図7は図1のA−A断面図である。
【図8】図8は図1のB−B断面図である。
【図9】図9は図1のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…車両
2…ピラーアウターパネル
3…ルーフアウターパネル
4…凹溝
5…ルーフラック
6…サンルーフユニット
7…ルーフサイドフィニッシャ
8…ルーフモールディング
9…エンドキャップ
10…センター脚部(脚部)
11…切り欠き部
15…隙間隠し部
16…補強部
17…サイド脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドフィニッシャと、該ルーフサイドフィニッシャと異なる材質からなるルーフモールディングとを、車両のピラーアウターパネルとルーフアウターパネルとの接合部に形成された凹溝に配置し、
前記ルーフサイドフィニッシャと前記ルーフサイドフィニッシャの突き合わせ部に、前記車両に取り付けられるルーフラックの脚部を上から覆うように配置した
ことを特徴とするルーフモールディング構造。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフモールディング構造であって、
前記ルーフモールディングに、前記脚部の一部を挿入配置させる切り欠き部を形成し、その切り欠き部の開口周縁部に該ルーフモールディングの補強用のエンドキャップを設けた
ことを特徴とするルーフモールディング構造。
【請求項3】
請求項2に記載のルーフモールディング構造であって、
前記エンドキャップに、前記ルーフサイドフィニッシャと前記ルーフモールディング間の隙間を塞ぐ隙間隠し部と、前記ルーフサイドフィニッシャを下から支える補強部とを設けた
ことを特徴とするルーフモールディング構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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